説明

検知器

【課題】検知場所に設置する設置作業性の向上が可能な検知器を提供する。
【解決手段】油膜検知器Eは、護岸に立設した状態で据え付けられている支柱11と、支柱11の上部から側方に延びる取り付けアーム12と、支柱11の上端に取り付けられ、油膜検知についての操作および制御を行うための操作・制御部13と、取り付けアーム12と係合可能な取り付けプレート21と、取り付けプレート21がボルトで締結され、取り付けプレート21を介して取り付けアーム12の先端に取り付けられている本体部22と、を備えている。本体部22は、操作・制御部13の制御によってレーザ光L3を水面Wに向けて照射し、水面Wで反射したレーザ光L4を受光すると操作・制御部13に信号として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知面の被検知物を検知する検知器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浄水場や河川、湖沼等に異物例えば油膜が存在している場合には、取水中止等の措置を行う必要があることから、常時の油膜検知が必要である。そのような要求に対応すべく、種々の油膜検出装置が提案されている。さらに説明すると、水面に光を照射してその反射光の強度を測定することで反射率を求め、これによって水面での油膜の有無を検出するという油膜検出方法を用いた油膜検出装置が知られている。このような検出装置によれば、水面の状態(水位の変動や波立ち、浮遊物の有無等)に影響されることなく、広範囲にわたって面積の小さな油膜であっても検出できる。
【0003】
このような非接触の油膜検出装置については、従来から種々の構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、光源から水面に照射されるレーザ光の角度を機械的手段により一定周期で変化させる油膜検出装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−149146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、かかる油膜検出装置は、装置本体を水面上に位置するように設置される。また、かかる油膜検出装置は、レーザ光を利用するために装置本体は重みのある重量物である。さらには、油膜検出装置を設置する際には、装置本体から照射されたレーザ光が水面で反射して再び装置本体に入射されるように、装置本体の角度調整を行う必要がある。しかしながら、従来から提案されている油膜検出装置の構造では、重量物である装置本体を検出場所に設置した後に調整作業を行う一連の作業の効率を上げることは困難であり、また、作業者の負担を軽減することが困難である。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、検知場所に設置する設置作業性の向上が可能な検知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的のもと、本発明が適用される検知器は、検知面の上方から当該検知面の状態を検知する本体部を備える検知器であって、前記本体部に取り付けられる取り付け部材と、前記取り付け部材と係合する係合部および当該係合部と係合する当該取り付け部材を固定するのに用いられる固定部を有し、当該取り付け部材が当該係合部と係合することにより、当該取り付け部材に取り付けられる前記本体部を前記検知面の上方に保持するための構造部材と、を備え、前記構造部材の前記係合部と係合する前記取り付け部材は、当該構造部材の前記固定部により固定される前に当該構造部材に対して回転可能であることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、前記構造部材は、前記取り付け部材の前記構造部材に対する回転を制限する制限部をさらに有することを特徴とすることができる。また、前記構造部材の前記係合部と係合する前記取り付け部材の当該構造部材に対する位置調整を行うための調整手段をさらに備えることを特徴とすることができる。また、前記調整手段は、前記構造部材に形成された第1の溝部および第2の溝部を含み、当該第1の溝部に対応して前記取り付け部材に形成された第1の穴部と当該第2の溝部に対応して当該取り付け部材に形成された、当該第1の穴部の数とは異なる数の第2の穴部を含むことを特徴とすることができる。また、前記本体部の前記取り付け部材に対する角度調整を行うための角度調整手段をさらに備えることを特徴とすることができる。また、前記角度調整手段を複数備えることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検知場所に設置する設置作業性の向上が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る油膜検知器Eの構成例を示すブロック図である。
同図に示す油膜検知器Eは、液面に油膜が存在するときの光の反射率と存在しないときの光の反射率とが違うという性質を利用して、検出対象面(同図の水面W)に油膜があるか否かを検知するための装置である。この水面Wとしては、例えば浄水場や河川、湖沼等の水面を指すものであり、水面Wの位置が高くなったり低くなったり、また、水面Wが波立ったりするものである。
【0011】
この油膜検知器Eは、レーザ光L1を発光するレーザ光源100と、レーザ光源100により発光されたレーザ光L1が所定の範囲を照射するように作用する照射部200と、を備えている。更に説明すると、照射部200は、レーザ光L1を走査することにより所定の範囲を照射するレーザ光L2を出力する。レーザ光L2は、レーザ光L2の光路上流側の横断面積と光路下流側の横断面積との大きさの差が無い乃至ほとんど無いいわゆる平行光である。
なお、本明細書で平行光というときには、1本のレーザ光を走査することによりビーム群に構成された光の横断面積が光路上の位置によって実質的に変わりがないレーザ光をいうものとする。
【0012】
また、油膜検知器Eは、水面Wに照射するレーザ光L3の光軸と水面Wで反射したレーザ光L4の光軸とが同軸となるようにレーザ光L3,L4を導く同軸落射部300と、同軸落射部300からのレーザ光L5を受光する受光部400と、を備えている。この同軸落射部300は、入射した光の一部を反射して残りを透過させる部分透過鏡の一例としてのハーフミラー310を有する。このハーフミラー310は、反射光と透過光の強さがほぼ等しくなるように形成されている板状部材である。
更に説明すると、同軸落射部300は、照射部200からのレーザ光L2をハーフミラー310に反射させ、その反射光であるレーザ光L3を水面Wに全反射するように導き、かつ、水面Wで全反射したレーザ光L4をハーフミラー310に透過させ、その透過光であるレーザ光L5を受光部400に受光されるように導く。レーザ光L4は、レーザ光L3の入射角に等しい角度で水面Wから反射していく。すなわち、レーザ光L3の入射角とレーザ光L4の反射角とは互いに等しい。
【0013】
このように、照射部200は、水面Wの油膜検知に用いる検出光を、所定の範囲を照射する平行光として出力するように構成されている。そして、同軸落射部300は、検出光をハーフミラー310を介して水面Wに全反射させ、その全反射した検出光をハーフミラー310を介して受光部400に向かわせるように構成されている。
このため、検出光を広い範囲に照射することが可能であり、水面Wの高さが変動して油膜検知器Eに対する距離が変わっても、受光部400による油膜検出に必要な検出光の受光に影響を受けず、また、水面Wが波立ったりしても、同様に、油膜検出に必要な検出光の受光に影響を受けない。
【0014】
また、油膜検知器Eは、受光部400が受光したレーザ光L5を所定の信号に変換することでレーザ光L5の強度情報を得て水面Wの反射率を演算する演算部500と、演算部500による演算結果を基に、水面Wに油膜が存在するか否かを判断する判断部600と、判断部600により水面Wに油膜が存在するとの判断がされるとユーザに通知する通知部700と、を備えている。
【0015】
ここで、レーザ光源100としては、図示しないレーザダイオードと、レーザダイオードに所定の電圧が印加されるように制御する図示しない駆動回路と、で構成する例が考えられる。
【0016】
また、同軸落射部300の構成については上述したとおりである。
また、受光部400としては、レーザ光L5を集光するための図示しない集光レンズと、集光した光の強度に応じた電気信号に変換する図示しないフォトダイオードと、で構成する例が考えられる。
【0017】
また、演算部500及び判断部600としては、予め定められた動作制御プログラム(ファームウェア)に従ってデジタル演算処理を実行する図示しないCPU(Central Processing Unit)と、CPUの作業用メモリ等として用いられる図示しないRAM(Random Access Memory)と、CPUにより実行される処理プログラムや処理プログラムにて用いられる各種のデータが格納される図示しないROM(Read Only Memory)と、で構成する例が考えられる。
また、通知部700としては、ユーザに対して視覚的に通知する図示しない表示画面で構成する例が考えられ、また、汎用の通信手段にて遠隔のユーザに通知するための通信インターフェースで構成する例が考えられる。
【0018】
図2は、本実施の形態に係る油膜検知器Eを検知場所に設置する場合の設置例を示す概略図である。
同図に示すように、油膜検知器Eは、護岸に立設した状態で据え付けられている支柱11と、支柱11の上部から側方に延びる取り付けアーム12と、支柱11の上端に取り付けられ、油膜検知についての操作および制御を行うための操作・制御部13と、を備えている。付言すると、取り付けアーム12は、油膜検知器Eの設置作業性を向上させるために、支柱11の長手方向(図2の上下方向)に延びる軸周りに関して位置変更可能な構造を有している(図2および図3参照)。すなわち、油膜検知器Eの設置時には、取り付けアーム12は、支柱11よりも水面W側に位置させたり(図2参照)、支柱11よりも護岸側に位置させたり(図3参照)することが可能である。
【0019】
支柱11および取り付けアーム12は、水面Wの油膜検知を行うために護岸に固定された構造部材であり、本実施の形態では、いずれも管状部材で構成されている。また、取り付けアーム12の上部には、丸穴が形成された板状の突出片12aが起立して設けられている。この取り付けアーム12の突出片12aには、風等による本体部22の揺れ防止のためのワイヤ31が取り付けられている。なお、ワイヤ31の一端部は、突出片12aの丸穴に固定され、図示しない他端部は、より強固な構造物に固定されている。
操作・制御部13は、ユーザの操作を受け付けるための各種の操作部13aと、操作部13aの操作に基づいて各種の制御を行う図示しない制御部と、検知結果をユーザに表示する表示部13bと、図示しない通信インターフェースと、を有するように構成されている。
【0020】
また、油膜検知器Eは、取り付けアーム12と係合可能な取り付けプレート21と、取り付けプレート21がボルトで締結され、取り付けプレート21を介して取り付けアーム12の先端に取り付けられている本体部22と、を備えている。
本体部22は、例えばダイキャスト等により製造されたカバーに覆われている重量物である。本体部22の上部には、アイボルト22aが設けられ、また、本体部22の下部には、油膜検知を行う際に外光の影響を軽減するためのフード22bが設けられている。
本体部22は、図示しないケーブルにて電気的に操作・制御部13と接続されている。本体部22は、操作・制御部13の制御によってレーザ光L3を水面Wに向けて照射し、水面Wで反射したレーザ光L4を受光すると操作・制御部13に信号として出力する。
【0021】
ここで、図2に示す本体部22は、図1に示すレーザ光源100、照射部200、同軸落射部300、ハーフミラー310及び受光部400を備え、また、同図に示す操作・制御部13は、演算部500、判断部600及び通知部700を備えている。
なお、支柱11および取り付けアーム12は構造部材の一例であり、また、取り付けプレート21は、取り付け部材の一例である。
【0022】
図3および図4は、油膜検知器Eを護岸に設置する際の手順を説明するための図である。図3は、油膜検知器Eの設置途中の状態を示す概略図であり、図4は、油膜検知器Eの設置完了の状態を示す斜視図である。なお、図4は、図3に示すアイボルト22aの図示を省略している。
図3に示すように、作業者は、支柱11を護岸に固定した後に、その支柱11に取り付けアーム12および操作・制御部13をボルトにより取り付ける。なお、取り付けアーム12は、支柱11よりも護岸側に位置している。
また、同図に示すように、作業者は、本体部22に取り付けプレート21をボルトにより取り付ける。これにより、取り付けプレート21と本体部22とが互いに固定されて一体になる。
【0023】
そして、同図に示すように、作業者は、取り付けアーム12の突出片12aと本体部22のアイボルト22aとをワイヤ31で互いにつないだ後に、本体部22を手に持って取り付けプレート21を取り付けアーム12と係合させる。なお、ワイヤ31を用いるのは、作業中の本体部22の落下による破損等を防止するためである。
ここで、取り付けプレート21を取り付けアーム12に係合させると、本体部22は、固定されていないものの、取り付けプレート21を介して取り付けアーム12および支柱11に保持される。このため、作業者は本体部22から手を離すことができる。そして、作業者は、取り付けアーム12が支柱11よりも水面W側に位置するように(図2参照)取り付けアーム12を支柱11に対して回転させる。その後に、ボルトを締め増しして取り付けアーム12および操作・制御部13を支柱11に固定する。
【0024】
この状態は、本体部22は、取り付けプレート21を介して取り付けアーム12に係合しているだけであり、本体部22は、取り付けアーム12に固定されていない。したがって、本体部22は、取り付けアーム12に対する相対的な位置を変更することが可能である。より具体的に説明すると、取り付けプレート21および本体部22は、取り付けアーム12の軸周りに回転させることが可能である。具体的な構造については後述する。
作業者は、かかる作用を利用して、本体部22を回転させて水面Wに対する位置調整を行う。すなわち、油膜検知器Eの受光部400(図1参照)の受信レベルを表示部13bに表示させた状態で、本体部22を取り付けアーム12に対して回転移動させて光軸調整する。光軸調整を行うための具体的な構造については後述する。
光軸調整した後には、図4に示すように、取り付けプレート21を取り付けアーム12に4本のボルト32により固定する。これにより、油膜検知器Eは、各構成部材が一体として組み立てられる。また、油膜検知器Eは、水面Wの油膜検知が可能になる。このようにして油膜検知器Eは検知場所に設置される。
【0025】
次に、取り付けアーム12と取り付けプレート21との係合について説明する。
図5は、取り付けアーム12の要部を説明する概略図である。同図の(a)は取り付けアーム12の正面図であり、同図の(b)は取り付けアーム12の右側面図である。なお、同図の(a)は、図2の概略図に対応する投影図である。
同図の(a)に示すように、取り付けアーム12は、管形状のアーム本体部41と、アーム本体部41の先端部に形成されたフランジ部42と、フランジ部42に隣接し、フランジ部42よりも縮径して形成された環状部43と、フランジ部42と環状部43との間に位置し、環状部43よりも縮径して形成された凹部44と、を備えている。
【0026】
また、同図の(b)に示すように、取り付けアーム12は、フランジ部42に形成されたねじ穴45と、フランジ部42に形成された溝部46,47と、フランジ部42に形成された取り付け穴48と、を備えている。
ねじ穴45は、アーム本体部41よりも下側の端面に位置し、フランジ部42の厚さ方向に穿設された穴である。本実施の形態では、ねじ穴45の個数は1つである。このねじ穴45には、ストッパ23(図4参照)がねじ込まれる。
【0027】
溝部46,47は、フランジ部42の端面42a,42bのうち突出片12aに臨む端面42bに形成されている。また、溝部46,47は、半径方向に延びるように形成され、フランジ部42の周面42cに達している(同図の(a)参照)。溝部46,47の各々は、互いに対向するように形成され、仮想延長線(図示せず)上に位置している。溝部46,47のいずれも厚さ方向に貫通しておらず、このため、底部46a(同図の(a)参照)を有する。
取り付け穴48は、フランジ部42の中心点(図示せず)からの距離をほぼ同じくする位置に形成され、フランジ部42の厚さ方向に螺設された穴である。本実施の形態では、取り付け穴48の個数は4つである。これら4つの取り付け穴48のうち2つは、溝部46を間に挟むように位置し、残りの2つは溝部47を間に挟むように位置している。
【0028】
図6は、取り付けプレート21の要部を説明する概略図である。同図の(a)は取り付けプレート21の正面図であり、同図の(b)は取り付けプレート21の右側面図である。なお、同図の(a)は、図2の概略図に対応する投影図である。
同図の(a)に示すように、取り付けプレート21は、板状のプレート本体部51と、プレート本体部51から一方向(同図の(a)の左方向)に突出する一対の取り付け片52と、プレート本体部51から他方向(同図の(a)の右方向)に突出する折曲げ部53と、を備えている。
一対の取り付け片52の各々は、本体部22(図2または図3参照)を取り付けるための取り付け穴52aを有する。すなわち、本体部22は、取り付けプレート21にボルト34(図4参照)を用いて取り付けられる。付言すると、ボルト34をきつく締め付けるまでは、本体部22を取り付けプレート21に対して回転させることが可能であり、したがって、取り付けプレート21に対する本体部22の姿勢を変更することが可能である。
折曲げ部53は、プレート本体部51の上端に位置し、プレート本体部51の剛性を高める補強部として機能する部分である。
【0029】
また、同図の(b)に示すように、取り付けプレート21は、プレート本体部51を逆U字状に切り欠いて形成された切り欠き部54と、切り欠き部54に隣接するように形成された調整穴55,56,57と、を備えている。
切り欠き部54は、一対の取り付け片52の間の略中央部に位置している。切り欠き部54は、下端に開口部を有し、下端から上方に延びるように形成されている。切り欠き部54は、折曲げ部53までは達しないように形成されている。
さらに説明すると、取り付けプレート21の切り欠き部54は、取り付けアーム12の凹部44(図5参照)に入り込み、かつ環状部43(図5参照)から脱落しないような寸法形状に形成されている。
【0030】
調整穴55,56,57は直線状に延びる長孔形状である。調整穴55,56,57のうち調整穴55と調整穴56,57とは、切り欠き部54を間に挟むように位置している。また、調整穴56,57は、互いに離間して位置し、また、互いに略平行となるように位置している。
さらに説明すると、取り付けプレート21の調整穴55,56,57は、取り付けアーム12の溝部46,47(図5参照)と共に、本体部22を取り付けアーム12の軸周りに調整する際に利用されるものである。すなわち、調整穴55は、溝部46と共に調整に用いられ、また、調整穴56,57は、溝部47と共に調整に用いられるものである。なお、調整穴55,56,57の長さは、取り付けアーム12の溝部46,47(図5参照)の長さに対応している。
【0031】
また、同図の(b)に示すように、取り付けプレート21は、円弧状に形成された取り付け長穴58と、プレート本体部51の下部に位置するねじ穴59と、を備えている。
取り付け長穴58は、同一円周上に位置するように形成されている。本実施の形態では、取り付け長穴58の個数は4つである。
さらに説明すると、取り付けプレート21の取り付け長穴58は、取り付けアーム12の取り付け穴48(図5参照)の各々に対応して位置する。
【0032】
ねじ穴59は、プレート本体部51を貫通する貫通穴である。本実施の形態では、ねじ穴59の個数は2つである。2つのねじ穴59は、切り欠き部54を間に挟むように位置している。
さらに説明すると、ねじ穴59には、ボルト33(図4参照)が螺合する。ボルト33のねじ部先端は、取り付けプレート21にボルト34を介して取り付けられている本体部22と接している。ボルト33を図示しないドライバーにより回転させると、送りねじ作用によって、取り付けプレート21のプレート本体部51と本体部22との間の離間距離を変更することが可能になる。
【0033】
なお、フランジ部42、環状部43および凹部44は、構造部材の係合部の一例である。また、ねじ穴48およびボルト32は構造部材の固定部の一例であり、ねじ穴45およびストッパ23は制限部の一例である。
また、取り付けアーム12の溝部46,47および取り付けプレート21の調整穴55,56,57は、調整手段の一例である。また、溝部46は第1の溝部の一例であり、溝部47は第2の溝部の一例であり、調整穴55は第1の穴部の一例であり、調整穴56,57は第2の穴部の一例である。
また、ねじ穴59およびボルト33は角度調整手段の一例である。
【0034】
図7は、ストッパ23の作用を説明する図である。なお、同図は、取り付けアーム12および取り付けプレート21の右側面図に相当するものである。
同図に示すストッパ23は、フランジ部42の端面42bからその一部が突出するようにねじ穴45にねじ込まれる。
ここで、上述したように、本体部22が取り付けられた取り付けプレート21の切り欠き部54を取り付けアーム12の凹部44に係合させると、取り付けプレート21および本体部22は、取り付けアーム12の凹部44の軸周りに、矢印Aの方向に回転させることが可能に構成されている。
さらに説明すると、本実施の形態では、同図に示すように、取り付けプレート21および本体部22を大きな角度で回転させると、取り付けプレート21がストッパ23に当接し、それ以上の回転が行われないように構成されている。すなわち、取り付けプレート21および本体部22の回転の範囲は、ストッパ23により制限されている。
取り付けプレート21の切欠部54は開口部を有することから、取り付けプレート21を大きな角度で回転させてしまうと、取り付けプレート21が落下するおそれがある。本実施の形態では、取り付けアーム12が、取り付けプレート21の回り止めとして機能するストッパ23を備えている。そのため、取り付けプレート21を取り付けアーム12に係合させた後に作業者が誤って取り付けプレート21を大きく回転させてしまった場合等に、本体部22の落下を防止することができる。
【0035】
図8は、取り付けアーム12の溝部46,47と取り付けプレート21の調整穴55,56,57との協働作用を説明する図である。同図の(a)は、取り付けアーム12の溝部46と取り付けプレート21の調整穴55との協働作用を説明する図であり、同図の(b)は、取り付けアーム12の溝部47と取り付けプレート21の調整穴56との協働作用を説明する図であり、同図の(c)は、取り付けアーム12の溝部47と取り付けプレート21の調整穴57との協働作用を説明する図である。なお、同図の(a)は、図5の(b)に図示の線VIIIa-VIIIaによる断面図であり、図8の(b)および(c)は、図5の(b)に図示の線VIIIb-VIIIbによる断面図である。
同図の(a)に示すように、棒状部材61を取り付けプレート21の調整穴55を介して取り付けアーム12の溝部46に差し込むと、梃子の原理を利用して、取り付けプレート21を取り付けアーム12に対してわずかに回転させることが可能である。
すなわち、上述したように、本体部22を取り付けアーム12に対して回転させることで、本体部22の光軸調整を行うことができる。その場合には、本体部22の角度を微調整して光軸調整することが必要になる。しかしながら、本体部22は重量物であることから、作業者が直接本体部22を手で持って角度調整して光軸の微調整を行うことは困難である。本実施の形態では、取り付けアーム12の溝部46と取り付けプレート21の調整穴55との協働作用によって、本体部22の角度の微調整を容易に行うことが可能になる。
【0036】
同様に、同図の(b)および(c)に示すように、溝部47と調整穴56との協働作用ないし溝部47と調整穴57との協働作用によって本体部22の角度の微調整を容易に行うことが可能になる。
さらに説明すると、取り付けプレート21および本体部22を取り付けアーム12に対して大きく傾かせた場合にも、溝部46と調整穴55との協働作用、溝部47と調整穴56との協働作用または溝部47と調整穴57との協働作用のいずれかを利用して本体部22の角度の微調整を容易に行うことが可能になる。なお、このような角度の微調整を行っったとしても、取り付け長穴58を用いていることからねじ締結が可能である。
【0037】
図9は、本体部22と取り付けプレート21のねじ穴59とボルト33との協働作用を説明する図である。同図の(a)は、ボルト33を用いた調整を行う前の状態を示す図であり、同図の(b)は、ボルト33を用いた調整を行った後の状態を示す図である。
同図に示すように、取り付けプレート21のねじ穴59にボルト33をねじ込むことで、ボルト34の軸を中心として、本体部22を取り付けプレート21に対して角度調整することが可能になる。そのため、ボルト34の軸を中心とした本体部22の光軸調整を行うことが可能になる。
付言すると、取り付けプレート21には、ねじ穴59が2つ形成されていることから、調整作業を容易に行うことが可能になる。
【0038】
このように、本実施の形態によれば、作業者は、重量物である本体部22を取り付けアーム12に組み付けることが容易に行うことができ、また、本体部22の光軸調整も容易に行うことが可能になる。
なお、本実施の形態は、検知面である水面Wの上方から水面Wに光を照射して水面Wの反射光を受光する本体部22を備える油膜検知器Eを例に説明したが、本発明は、これに限定されず、本体部22を、例えば、検知面である水面Wの上方から水面Wに光を照射して水面Wを撮影して映像信号として処理するように構成することも考えられる。さらには、本体部22を、光を照射することなく自然光を用いて水面Wの反射光を受光するように構成したり、光を照射することなく自然光を用いて水面Wを撮影して映像信号として処理するように構成したりすることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施の形態に係る油膜検知器の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る油膜検知器を検知場所に設置する場合の設置例を示す概略図である。
【図3】油膜検知器を護岸に設置する際の手順を説明するための図である。
【図4】油膜検知器を護岸に設置する際の手順を説明するための図である。
【図5】取り付けアームの要部を説明する概略図である。
【図6】取り付けプレートの要部を説明する概略図である。
【図7】ストッパの作用を説明する図である。
【図8】取り付けアームの溝部と取り付けプレートの調整穴との協働作用を説明する図である。
【図9】本体部と取り付けプレートのねじ穴とボルトとの協働作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0040】
11…支柱、12…取り付けアーム、21…取り付けプレート、22…本体部、23…ストッパ、32,33,34…ボルト、41…アーム本体部、42…フランジ部、43…環状部、44…凹部、45…ねじ穴、46,47…溝部、48…取り付け穴、51…プレート本体部、54…切り欠き部、55,56,57…調整穴、58…取り付け長穴、59…ねじ穴、E…油膜検知器、W…水面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知面の上方から当該検知面の状態を検知する本体部を備える検知器であって、
前記本体部に取り付けられる取り付け部材と、
前記取り付け部材と係合する係合部および当該係合部と係合する当該取り付け部材を固定するのに用いられる固定部を有し、当該取り付け部材が当該係合部と係合することにより、当該取り付け部材に取り付けられる前記本体部を前記検知面の上方に保持するための構造部材と、
を備え、
前記構造部材の前記係合部と係合する前記取り付け部材は、当該構造部材の前記固定部により固定される前に当該構造部材に対して回転可能であることを特徴とする検知器。
【請求項2】
前記構造部材は、前記取り付け部材の前記構造部材に対する回転を制限する制限部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の検知器。
【請求項3】
前記構造部材の前記係合部と係合する前記取り付け部材の当該構造部材に対する位置調整を行うための調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の検知器。
【請求項4】
前記調整手段は、前記構造部材に形成された第1の溝部および第2の溝部を含み、当該第1の溝部に対応して前記取り付け部材に形成された第1の穴部と当該第2の溝部に対応して当該取り付け部材に形成された、当該第1の穴部の数とは異なる数の第2の穴部を含むことを特徴とする請求項3に記載の検知器。
【請求項5】
前記本体部の前記取り付け部材に対する角度調整を行うための角度調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の検知器。
【請求項6】
前記角度調整手段を複数備えることを特徴とする請求項5に記載の検知器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−156588(P2010−156588A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334214(P2008−334214)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】