説明

検知管を用いる複数成分濃度の同時測定方法及びその測定装置

【課題】サンプル中の複数成分濃度を同時に測定できるようにすること。
【解決手段】測定対象の異なる複数の検知管を1つの透明ホルダーに入れた集合検知管を用い、その画像をカメラでコンピュータに取り込み、その各々の変色域の長さを画像解析ソフトで測定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サンプル中の複数成分濃度を、測定対象の異なる複数の検知管を用いて同時に測定する方法及びその測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の検知管を用いるサンプル中の複数成分濃度の測定法においては、まず1種類の測定対象の検知管を定量シリンジに装着してサンプルを吸引し、検知管の目盛りと変色域を目視で比較することにより濃度を読み取り、更に温度補正が必要な場合は、表から補正係数を求め濃度を補正していた。これを複数成分について繰り返すことにより測定していたが、この場合、測定が全て人手によるため費用及び時間を必要とするとともに、複数成分のサンプリング時刻の違いにより精度にも懸念があり、また、シリンジを用いるためサンプリング量の調整がしにくく1本の検知管で広い濃度範囲をカバーできないという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、検知管を用いた複数成分濃度の同時測定の道を開くものであり、さらに、複数の集合検知管の自動切換え装置を用いることにより、長期間の自動計測も可能とし、従来の測定技術の問題点を総合的に解決するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は次の複数成分濃度の同時測定方法及びその測定装置である。
(1)測定対象の異なる複数の検知管に、同時にサンプルを流し、各々の流量と、検知管の画像をカメラでコンピュータに取り込み、各々のサンプルの変色域の長さを画像解析ソフトで測定することを特徴とする複数成分濃度の同時測定方法。
(2)測定対象の異なる複数の検知管を1つの透明ホルダーに入れた集合検知管を用いることを特徴とする上記(1)記載の複数成分濃度の同時測定方法。
(3)複数の測定対象の異なる検知管を1つの透明ホルダーに入れた集合検知管と、集合検知管にサンプルを導入するための導入管及びサンプルの温度を計測するための温度センサーが付属する導入カバーと、集合検知管からサンプルを吸引するための吸引管が付属する吸引カバーと、各々の検知管のサンプル流量を測定するための流量計と、サンプルの導入時間を制御するための電磁バルブと、サンプル流量を調整するための流量調整バルブと、そのサンプルの吸引のためのポンプと、集合検知管を照明するための照明器と、集合検知管の画像を入力するためのカメラと、電磁バルブの作動、照明器の作動、ポンプの作動、温度データ、流量データ及び画像データを取込むためのコントローラーと、コントローラーから通信回線を介して得られる温度データ、流量データ及び画像データの解析から得られる複数成分の変色域の長さから濃度を演算すると共に、データの表示及び保存をするためのコンピュータを備えることを特徴とする検知管を用いる複数成分濃度の同時測定装置。
【0005】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を、環境内の腐食性ガス計測の例について、図面を用いて説明すると、図1は本発明の同時測定装置を示すブロック図であり、導入カバー3と吸引カバー6の間に、硫化水素、亜硫酸ガス、亜硝酸ガス用の3本の検知管5を1つの透明ホルダーに入れた集合検知管4を取り付けた後、以下の(a)開始サイクル、(b)計測サイクル、(c)判定サイクル、(d)終了サイクルを経て複数成分濃度の同時測定を行う。
(a) 開始サイクルでは、コンピュータ16からの開始指令によりコントローラー14は、照明器12を点灯した後、サンプルの吸引のためのポンプ11を作動する。
(b) 計測サイクルでは、コンピュータ16からの計測指令によりコントローラー14は、コンピュータ16から指定された電磁バルブ10を開いて、環境サンプルを、流量調整バルブ9で各々に設定された所定の流量で、導入管1、検知管5、吸引管7、流量計8を経て一定時間吸引した後、電磁バルブ10を閉じ、温度センサー2、流量計8、カメラ13からの温度データ、流量データ及び画像データを取込み、通信回線15を介してコンピュータ16へ送る。
(c) 判定サイクルでは、得られた画像データから各々の変色域の長さを画像解析ソフトにより測定し、変色域の長さが下限値を超えているか否かを判定し、不足の場合で且つ吸引回数が規定値以内の場合は、不足ラインのバルブのみを指定して、(b)の計測サイクルを繰り返す。全ラインの変色域の長さが下限値を超えているか、吸引回数が規定値を超えている場合は、次の(d)の終了サイクルを実行する。
(d) 終了サイクルでは、コンピュータ16からの終了指令によりコントローラー14は、ポンプ11を停止し、照明器12を消燈した後、コンピュータ16はコントローラー14から得られた、各々のラインのサンプルの温度データの平均値、計測サイクルごとの流量データの合計及び(c)の判定サイクルで求められた変色域の長さから、硫化水素、亜硫酸ガス、亜硝酸ガスの濃度を算出する。
【0006】図2は、図1に使用している集合検知管4の縦断面図を示している。測定対象の異なる複数の検知管5を1つの透明ホルダー17に入れ、両端を接着剤20で透明ホルダー17に固定し、接着剤20が固化後、両端を規定の長さで切断して、ゴム製シート18及び保持シート19からなる2重シートを、上下の検知剤押さえ21により位置決めされている検知剤22に影響を及ぼさない接着剤で固定する。
【0007】導入カバー3及び吸引カバー6に付属する、導入管1及び吸引管7の先端は注射針のように斜めにカットされており、これを集合検知管4の両端の2重シートに挿入することにより、集合検知管4と導入管1及び吸引管7が気密接続される。
【0008】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0009】本発明によれば、測定対象の異なる複数の検知管に、同時にサンプルを流し、各々の流量と、検知管の画像をカメラでコンピュータに取り込み、その各々の変色域の長さを画像解析ソフトで測定するので、サンプル中の複数の成分濃度を同時測定できる。
【0010】本発明によれば、複数の測定対象の異なる検知管を1つの透明ホルダーに入れた集合検知管と、集合検知管にサンプルを導入するための導入管及びサンプルの温度を計測するための温度センサーが付属する導入カバーと、集合検知管からサンプルを吸引するための吸引管が付属する吸引カバーと、各々の検知管のサンプル流量を測定するための流量計と、サンプルの導入時間を制御するための電磁バルブと、サンプル流量を調整するための流量調整バルブと、そのサンプルの吸引のためのポンプと、集合検知管を照明するための照明器と、集合検知管の画像を入力するためのカメラと、電磁バルブの作動、照明器の作動、ポンプの作動、温度データ、流量データ及び画像データを取込むためのコントローラーと、コントローラーから通信回線を介して得られる温度データ、流量データ及び画像データの解析から得られる複数成分の変色域の長さから濃度を演算すると共に、データの表示及び保存をするためのコンピュータを備える、費用がかからず高精度な検知管を用いる複数成分濃度の同時測定装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の同時測定装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の集合検知管を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 導入管
2 温度センサー
3 導入カバー
4 集合検知管
5 検知管
6 吸引カバー
7 吸引管
8 流量計
9 流量調整バルブ
10 電磁バルブ
11 ポンプ
12 照明器
13 カメラ
14 コントローラー
15 通信回線
16 コンピュータ
17 透明ホルダー
18 ゴム製シート
19 保持シート
20 接着剤
21 検知剤押さえ
22 検知剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】測定対象の異なる複数の検知管に、同時にサンプルを流し、各々の流量と、検知管の画像をカメラでコンピュータに取り込み、各々のサンプルの変色域の長さを画像解析ソフトで測定することを特徴とする複数成分濃度の同時測定方法。
【請求項2】測定対象の異なる複数の検知管を1つの透明ホルダーに入れた集合検知管を用いることを特徴とする請求項1記載の複数成分濃度の同時測定方法。
【請求項3】複数の測定対象の異なる検知管を1つの透明ホルダーに入れた集合検知管と、集合検知管にサンプルを導入するための導入管及びサンプルの温度を計測するための温度センサーが付属する導入カバーと、集合検知管からサンプルを吸引するための吸引管が付属する吸引カバーと、各々の検知管のサンプル流量を測定するための流量計と、サンプルの導入時間を制御するための電磁バルブと、サンプル流量を調整するための流量調整バルブと、そのサンプルの吸引のためのポンプと、集合検知管を照明するための照明器と、集合検知管の画像を入力するためのカメラと、電磁バルブの作動、照明器の作動、ポンプの作動、温度データ、流量データ及び画像データを取込むためのコントローラーと、コントローラーから通信回線を介して得られる温度データ、流量データ及び画像データの解析から得られる複数成分の変色域の長さから濃度を演算すると共に、データの表示及び保存をするためのコンピュータを備えることを特徴とする検知管を用いる複数成分濃度の同時測定装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2002−131305(P2002−131305A)
【公開日】平成14年5月9日(2002.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−361949(P2000−361949)
【出願日】平成12年10月23日(2000.10.23)
【出願人】(599169195)センス株式会社 (1)
【出願人】(595142118)株式会社ラデックス (1)
【出願人】(592056687)株式会社マイクロ・テクニカ (3)
【Fターム(参考)】