検知装置及び画像形成装置
【課題】媒体で反射された正反射光が透過部材で再度反射され、再度媒体を照射することで照度が変わることを抑制する。
【解決手段】媒体Pが搬送される搬送路60の方向へ向けて光を照射する照射手段212と、照射手段212から照射され搬送路60を搬送される媒体Pで反射された反射光を受光する受光手段204と、を備え、搬送路60を搬送される媒体P上の像又は媒体Pを検知する検知手段207と、媒体Pで反射された光の正反射光が斜めに入射されるように設けられるとともに、照射手段212から照射された光が透過する透過部材286と、透過部材286に設けられた多層の反射防止膜285と、を有する検知装置200であって、可視光域において、正反射光の入射角度と同じ角度で入射される第1入射光の反射率の最大値が、透過部材286に対して垂直方向から入射される第2入射光の反射率の最大値よりも小さくなるように反射防止膜285を構成する。
【解決手段】媒体Pが搬送される搬送路60の方向へ向けて光を照射する照射手段212と、照射手段212から照射され搬送路60を搬送される媒体Pで反射された反射光を受光する受光手段204と、を備え、搬送路60を搬送される媒体P上の像又は媒体Pを検知する検知手段207と、媒体Pで反射された光の正反射光が斜めに入射されるように設けられるとともに、照射手段212から照射された光が透過する透過部材286と、透過部材286に設けられた多層の反射防止膜285と、を有する検知装置200であって、可視光域において、正反射光の入射角度と同じ角度で入射される第1入射光の反射率の最大値が、透過部材286に対して垂直方向から入射される第2入射光の反射率の最大値よりも小さくなるように反射防止膜285を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙搬送路にある記録媒体上の像を連続して読み取ることができる画像読取装置及び画像形成装置は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−114498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、媒体で反射された正反射光が、透過部材で再度反射され、再度媒体を照射することで照度が変わることを抑制できる検知装置と、それを備えた画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の検知装置は、媒体が搬送される搬送路の方向へ向けて光を照射する照射手段と、前記照射手段から照射され、前記搬送路を搬送される媒体で反射された反射光を受光する受光手段と、を備え、前記搬送路を搬送される媒体上の像又は該媒体を検知する検知手段と、前記媒体で反射された光の正反射光が斜めに入射されるように設けられるとともに、前記照射手段から照射された光が透過する透過部材と、前記透過部材に設けられた多層の反射防止膜と、を有し、前記反射防止膜は、可視光域において、前記正反射光の入射角度と同じ角度で入射される第1入射光の反射率の最大値が、前記透過部材に対して垂直方向から入射される第2入射光の反射率の最大値よりも小さくなるように構成されていることを特徴としている。
【0006】
また、請求項2に記載の検知装置は、請求項1に記載の検知装置であって、前記反射防止膜は、可視光域において、前記第1入射光の反射率の極小値が、少なくとも2つ存在するように構成されていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る請求項3に記載の画像形成装置は、搬送手段によって搬送される媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって前記媒体に形成された画像又は該媒体を検知する請求項1又は請求項2に記載の検知装置と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、可視光域において、正反射光の入射角度と同じ角度で入射される第1入射光の反射率の最大値が、透過部材に対して垂直方向から入射される第2入射光の反射率の最大値よりも小さくなるように、反射防止膜が構成されていない場合に比べて、媒体で反射された正反射光が、透過部材で再度反射され、再度媒体を照射することで照度が変わることを抑制できる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、可視光域において、第1入射光の反射率の極小値が、少なくとも2つ存在するように、反射防止膜が構成されていない場合に比べて、媒体で反射された正反射光が、透過部材で再度反射され、再度媒体を照射することで照度が変わることを抑制できる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、媒体で反射された正反射光が、透過部材で再度反射され、再度媒体を照射することで照度が変わることを抑制できる画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体を示す概略構成図
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の画像形成手段を示す概略側面図
【図3】本実施形態に係るインラインセンサの構成を示す概略断面図
【図4】本実施形態に係るインラインセンサの一部の構成を示す概略断面図
【図5】本実施形態に係るインラインセンサの基準ロールの複合面を示す概略平面図
【図6】本実施形態に係るインラインセンサのロアユニットを示す概略断面図
【図7】本実施形態に係るインラインセンサの2層構造とされた反射防止膜を有するウインドウガラスを示す概略断面図
【図8】本実施形態に係るインラインセンサの2層構造とされた反射防止膜を有するウインドウガラスの正反射光の反射率を示すグラフ
【図9】本実施形態に係るインラインセンサの3層構造とされた反射防止膜を有するウインドウガラスを示す概略断面図
【図10】本実施形態に係るインラインセンサの3層構造とされた反射防止膜を有するウインドウガラスの正反射光の反射率を示すグラフ
【図11】比較例に係るインラインセンサの2層構造とされた反射防止膜を有するウインドウガラスの正反射光の反射率を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図1で示す矢印UPを上方向とする。また、以下において、シート状部材である媒体の一例としての記録媒体Pの搬送方向上流側及び搬送方向下流側を、単に「上流側」、「下流側」という場合がある。
【0013】
(全体構成)
本実施形態に係る画像形成装置10は、フルカラー画像又は白黒画像を形成するものであり、図1に示されるように、水平方向一側(図1における左側)部分を構成する第1処理部が収容された第1筐体10Aと、第1筐体10Aと分割可能に接続され、水平方向他側(図1における右側)部分を構成する第2処理部が収容された第2筐体10Bと、を備えている。
【0014】
第2筐体10Bの上部には、コンピュータ等の外部装置から送られて来る画像データに画像処理を施す画像信号処理部13が設けられている。
【0015】
一方、第1筐体10Aの上部には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが水平方向に沿って交換可能に設けられている。
【0016】
なお、第1特別色及び第2特別色としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色(透明を含む)から適宜選択される。また、以後の説明では、各構成部品について第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別する場合は、数字の後にV、W、Y、M、C、Kの何れかの英字を付して説明し、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kの英字を省略する。
【0017】
さらに、トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成手段の一例としての画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14と対応するように水平方向に沿って設けられている。
【0018】
画像形成ユニット16毎に設けられた露光装置40は、画像信号処理部13によって画像処理を施された画像データを、その画像信号処理部13から受け取り、この画像データに応じて変調した光ビームLを、後述する像保持体18へ照射するように構成されている(図2参照)。
【0019】
各画像形成ユニット16は、図2に示されるように、一方向(図2における時計回り方向)に回転駆動される像保持体18を備えている。各露光装置40から各像保持体18へ光ビームLが照射されることにより、各像保持体18には静電潜像が形成される。なお、露光装置40については詳細を後述する。
【0020】
各像保持体18の周囲には、像保持体18を帯電するコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器20と、露光装置40によって像保持体18に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置22と、転写後の像保持体18に残留する現像剤を除去する除去部材としてのブレード24と、転写後の像保持体18に光を照射して除電を行う除電装置26と、が設けられている。
【0021】
スコロトロン帯電器20、現像装置22、ブレード24、除電装置26は、像保持体18の表面と対向して、像保持体18の回転方向上流側から下流側へ向けて、この順番で配置されている。
【0022】
現像装置22は、トナーを含んだ現像剤Gを収容する現像剤収容部材22Aと、現像剤収容部材22Aに収容された現像剤Gを像保持体18に供給する現像ロール22Bと、を含んで構成されている。現像剤収容部材22Aは、トナーカートリッジ14(図1参照)とトナー供給路(図示省略)を通して接続されており、トナーカートリッジ14からトナーが供給されるようになっている。
【0023】
図1に示されるように、各画像形成ユニット16の下側には、転写手段の一例としての転写部32が設けられている。転写部32は、各像保持体18と接触する環状の中間転写ベルト34と、各像保持体18に形成されたトナー画像を中間転写ベルト34に多重転写させる一次転写部材としての一次転写ロール36と、を含んで構成されている。
【0024】
中間転写ベルト34は、図示しないモータで駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34に張力を付与する張力付与ロール41と、後述する二次転写ロール62に対向する対向ロール42と、複数の巻掛ロール44と、に巻き掛けられており、駆動ロール38により、一方向(図1における反時計回り方向)に循環移動されるようになっている。
【0025】
各一次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の像保持体18と対向配置されている。また、一次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、像保持体18に形成されたトナー画像が中間転写ベルト34に転写されるようになっている。
【0026】
中間転写ベルト34を挟んで駆動ロール38の反対側には、ブレードを中間転写ベルト34に接触させて、中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去する除去装置46が設けられている。
【0027】
転写部32の下方には、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部48が水平方向に沿って2個設けられている。各記録媒体収容部48は、第1筐体10Aから引き出し自在とされている。そして、各記録媒体収容部48の一端側(図1における右側)の上方には、各記録媒体収容部48から記録媒体Pを搬送路の一例としての搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられている。
【0028】
各記録媒体収容部48内には、記録媒体Pが載せられる底板50が設けられている。この底板50は、記録媒体収容部48が第1筐体10Aから引き出されると、図示しない制御手段の指示によって下降するようになっている。底板50が下降することで、ユーザーが記録媒体Pを補充する空間が記録媒体収容部48に形成される。
【0029】
第1筐体10Aから引き出された記録媒体収容部48を第1筐体10Aに装着すると、底板50が、制御手段の指示によって上昇するようになっている。底板50が上昇することで、底板50に載せられた最上位の記録媒体Pと送出ロール52とが当たるようになっている。
【0030】
送出ロール52の記録媒体搬送方向下流側には、記録媒体収容部48から重なって送り出された記録媒体Pを1枚ずつに分離する分離ロール56が設けられている。分離ロール56の下流側には、記録媒体Pを搬送方向下流側に搬送する搬送手段の一例としての複数の搬送ロール54が設けられている。
【0031】
記録媒体収容部48と転写部32との間に設けられる搬送経路60は、記録媒体収容部48から送り出された記録媒体Pを第1折返部60Aで図1における左側に折り返し、さらに、第2折返部60Bで図1における右側に折り返すように、二次転写ロール62と対向ロール42との間の転写位置Tへ延びている。
【0032】
二次転写ロール62は、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像が、二次転写ロール62によって、搬送経路60に沿って搬送されて来た記録媒体Pに二次転写される構成となっている。
【0033】
搬送経路60の第2折返部60Bへ合流するように、第1筐体10Aの側面から延びる予備経路66が設けられている。第1筐体10Aに隣接して配置される別の記録媒体収容部(図示省略)から送り出された記録媒体Pが、予備経路66を通って搬送経路60に入り込めるようになっている。
【0034】
転写位置Tの下流側には、トナー画像が転写された記録媒体Pを第2筐体10Bに向けて搬送する複数の搬送ベルト70が第1筐体10Aに設けられ、搬送ベルト70に搬送された記録媒体Pを下流側に搬送する搬送ベルト80が第2筐体10Bに設けられている。
【0035】
複数の搬送ベルト70及び搬送ベルト80のそれぞれは環状に形成されており、一対の巻掛ロール72に巻き掛けられている。一対の巻掛ロール72は、記録媒体Pの搬送方向上流側と下流側とにそれぞれ配置されており、一方が回転駆動することにより、搬送ベルト70(搬送ベルト80)を一方向(図1における時計回り方向)に循環移動させるようになっている。
【0036】
また、搬送ベルト80の下流側には、記録媒体Pの表面に転写されたトナー画像を、その記録媒体Pに熱と圧力で定着させる定着装置の一例としての定着ユニット82が設けられている。
【0037】
定着ユニット82は、定着ベルト84と、定着ベルト84に対して下側から接触するように配置された加圧ロール88と、を備えている。定着ベルト84と加圧ロール88との間には、記録媒体Pを加圧及び加熱してトナー画像を定着させる定着部Nが形成されている。
【0038】
定着ベルト84は、環状に形成されており、駆動ロール89及び従動ロール90に巻き掛けられている。駆動ロール89は、加圧ロール88に対して上側から対向しており、従動ロール90は、駆動ロール89よりも上側に配置されている。駆動ロール89及び従動ロール90は、それぞれに、ハロゲンヒータ等の加熱部が内蔵されている。これにより、定着ベルト84が加熱される構成である。
【0039】
図1に示されるように、定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82から送り出された記録媒体Pを下流側へ搬送する搬送ベルト108が設けられている。搬送ベルト108は、搬送ベルト70と同様に形成されている。そして、搬送ベルト108の下流側には、定着ユニット82によって加熱された記録媒体Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。
【0040】
冷却ユニット110は、記録媒体Pの熱を吸収する吸収装置112と、記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114と、を備えている。吸収装置112は、搬送経路60に対する一方側(図1における上側)に配置され、押付装置114は、他方側(図1における下側)に配置されている。
【0041】
吸収装置112は、記録媒体Pと接触し、記録媒体Pの熱を吸収する環状の吸収ベルト116を備えている。吸収ベルト116は、吸収ベルト116へ駆動力を伝達する駆動ロール120と、複数の巻掛ロール118とに巻き掛けられている。
【0042】
吸収ベルト116の内周側には、吸収ベルト116と面状に接触して吸収ベルト116が吸収した熱を放熱させるアルミニウム材料で形成されたヒートシンク122が設けられている。さらに、ヒートシンク122から熱を奪い、熱気を外部へ排出させるためのファン128が、第2筐体10Bの裏側(図1に示す紙面奥側)に配置されている。
【0043】
記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114は、記録媒体Pを吸収ベルト116へ押し付けながら記録媒体Pを搬送する環状の押付ベルト130を備えている。押付ベルト130は、複数の巻掛ロール132に巻き掛けられている。
【0044】
冷却ユニット110の下流側には、記録媒体Pを挟んで搬送し、記録媒体Pの湾曲(カール)を矯正する矯正装置140が設けられている。
【0045】
矯正装置140の下流側には、記録媒体Pに定着されたトナー画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥、及び記録媒体Pの位置や形状等を検知する検知装置の一例としてのインラインセンサ200が設けられている。なお、インラインセンサ200については、詳細を後述する。
【0046】
インラインセンサ200の下流側には、片面に画像が形成された記録媒体Pを第2筐体10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。
【0047】
一方、両面に画像を形成する場合には、インラインセンサ200から送出された記録媒体Pは、インラインセンサ200の下流側に設けられた反転経路194に搬送されるようになっている。
【0048】
反転経路194には、搬送経路60から分岐する分岐パス194Aと、分岐パス194Aに沿って搬送される記録媒体Pを第1筐体10A側に向けて搬送する用紙搬送パス194Bと、用紙搬送パス194Bに沿って搬送される記録媒体Pを逆方向に向けて折り返してスイッチバック搬送させ、表裏を反転させる反転パス194Cと、が設けられている。
【0049】
この構成により、反転パス194Cでスイッチバック搬送された記録媒体Pは、第1筐体10Aに向けて搬送され、さらに、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれるようになっている。
【0050】
次に、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
【0051】
画像信号処理部13で画像処理が施された画像データが、各露光装置40に送られる。各露光装置40では、画像データに応じて各光ビームLを出射して、スコロトロン帯電器20によって帯電した各像保持体18に露光し、静電潜像が形成される。
【0052】
図2に示されるように、像保持体18に形成された静電潜像は、現像装置22によって現像され、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される。
【0053】
図1に示されるように、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの像保持体18に形成された各色のトナー画像は、6つの一次転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34に順次多重転写される。
【0054】
中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール62によって、記録媒体収容部48から搬送されて来た記録媒体P上に二次転写される。トナー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト70によって第2筐体10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
【0055】
記録媒体P上の各色のトナー画像は、定着ユニット82によって加熱、加圧されることで、記録媒体Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録媒体Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、矯正装置140に送り込まれ、記録媒体Pに生じた湾曲が矯正される。
【0056】
湾曲が矯正された記録媒体Pは、インラインセンサ200によって画像欠陥等が検知され、その後、排出ロール198によって排出部196に排出される。
【0057】
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成する場合(両面印刷の場合)には、インラインセンサ200を通過後に、記録媒体Pが反転経路194で反転され、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー画像が形成される。
【0058】
なお、本実施形態に係る画像形成装置10では、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品(画像形成ユニット16V、16W、露光装置40V、40W、トナーカートリッジ14V、14W、一次転写ロール36V、36W)は、ユーザーの選択により、追加部品として第1筐体10Aに装着可能に構成されている。したがって、画像形成装置10としては、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品を有さない構成、第1特別色及び第2特別色のうち何れか1色の画像を形成するための部品のみを有する構成としてもよい。
【0059】
次に、インラインセンサ200について説明する。
【0060】
以下の説明では、画像形成装置10の長さ方向(記録媒体Pの搬送方向である副走査方向)をX方向、装置の高さ方向をY方向、装置の奥行き方向(主走査方向)をZ方向ということとする。
【0061】
(インラインセンサの基本構成、機能)
図3に示されるように、インラインセンサ200は、画像が記録された記録媒体Pに向けて光を照射する照射部202と、照射部202から照射されて記録媒体Pで反射された光を受光する受光手段の一例としてのCCDセンサ204に結像する結像光学系206を備えた結像部208と、インラインセンサ200の使用時やキャリブレーション時の各種基準等が設定された設定部210と、を備えている。CCDセンサ204は、記録媒体Pで反射された光を受光すると共に、光の強度に基づいて画像(像)又は記録媒体Pを検知する構成となっている。
【0062】
なお、記録媒体Pからの光とは、記録媒体Pで反射された反射光及び記録媒体Pを透過した透過光を含み、より広くは、記録媒体P上に形成された像や記録媒体Pの位置や形状に関する情報を検知することができる光である。また、透過とは、光がウインドウガラス等を通り抜けることの他、結像レンズ等を光が通り抜けることも含む。さらに、記録媒体Pの検知とは、記録媒体Pの位置、形状を検知することを含む。
【0063】
照射部202は、記録媒体Pの搬送経路60の上側に配置されており、照射手段の一例としての一対のランプ212を有している。各ランプ212は、Z方向に長手とされたキセノンランプであり、その照射範囲の長さは、搬送される最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。
【0064】
一対のランプ212は、記録媒体Pにて反射されて結像部208に向かう光軸OA(設計上の光軸)に対して対称に配置されている。より具体的には、各ランプ212は、記録媒体Pへの照射角度θ(図7、図9参照)がそれぞれ45°〜50°(望ましくは50°)となるように光軸OAに対して対称に配置されている。
【0065】
詳細には、一対のランプ212は、記録媒体Pの搬送方向上流側に設けられた第1光源の一例としての第1ランプ212Aと、第1ランプ212Aに対して光軸OAを挟んで反対側(記録媒体Pの搬送方向下流側)に設けられた第2光源の一例としての第2ランプ212Bと、を備えている。なお、CCDセンサ204、ランプ212、及び後述する透過部材の一例としてのウインドウガラス286を含んで検知手段の一例としての検知部207が構成されている。そして、搬送される記録媒体Pの画像は、検知部207で検知される。
【0066】
結像光学系206は、光軸OAに沿って導かれた光をX方向(この実施形態では記録媒体Pの搬送方向下流側)に反射する第1ミラー214と、第1ミラー214が反射した光を上向きに反射する第2ミラー216と、第2ミラー216が反射した光を記録媒体Pの搬送方向上流側に反射する第3ミラー218と、第3ミラー218が反射した光をCCDセンサ204に集光(結像)するレンズ220と、を主要部として構成されている。なお、CCDセンサ204は、光軸OAに対して記録媒体Pの搬送方向上流側に配置されている。
【0067】
第1ミラー214のZ方向の長さは、最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。第1ミラー214〜第3ミラー218は、結像光学系206に入射された記録媒体Pの反射光をそれぞれZ方向(主走査方向)に絞りながら反射するようになっている。これにより、略円柱状に形成されたレンズ220に対し、記録媒体Pの幅方向各部からの反射光を入射させる構成である。
【0068】
上記構成により、インラインセンサ200では、CCDセンサ204が、結像された光、即ち画像濃度に応じた信号を、画像形成装置10の制御装置192(図1参照)に出力(フィードバック)するようになっている。制御装置192は、インラインセンサ200からの信号に基づいて、画像形成ユニット16において形成される画像を補正するようになっている。画像形成装置10では、一例として、露光装置40による照射光の強度、画像の形成位置などがインラインセンサ200からの信号に基づいて補正される。
【0069】
また、結像光学系206における第3ミラー218とレンズ220との間には、光量絞り部224が設けられている。光量絞り部224は、光路をZ方向に横切ってCCDセンサ204に結像する光の光量をY方向(主走査方向との交差方向)に絞るとともに、外部から操作することで光量絞り量を調整可能に構成されている。光量絞り部224による光量絞り量は、経時により各ランプ212の発光量が変化しても、CCDセンサ204に結像される光量が予め定めた量となるように調整される構成になっている。
【0070】
一方、設定部210は、Z方向に長手の基準部材の一例としての基準ロール226を備えている。基準ロール226は、インラインセンサ200によって、記録媒体Pの画像検出を行う際に搬送経路60側に向ける検出基準面228と、記録媒体Pの画像検出を行わない場合に搬送経路60側に向ける退避面230と、白色基準面232と、多色のパターンが長手方向に沿って形成されたカラー基準面234と、複数の検査パターンが形成された複合検査面236と、を有している。
【0071】
この実施形態では、基準ロール226は、周方向に8面以上の面が形成された多角形筒状に形成されている。検出基準面228、退避面230、カラー基準面234、複合検査面236は各一面だけ設けられ、白色基準面232は2面設けられている。
【0072】
基準ロール226は、回転軸226A周りに回転することで、搬送経路60側を向ける面を切り替える構成とされている。この基準ロール226の面の切替は、後述する回路基板262に設けられた制御回路によって行われるようになっている。また、基準ロール226は、八角形以上の多角形筒状に形成されることで、各面の周方向中央と面間の角部との回転中心に対する距離差が小さく抑えられている。
【0073】
これにより、基準ロール226の各面と各ランプ212の照射位置(後述するウインドウガラス286)との距離を小さく抑えながら、基準ロール226の面間の角部が照射部202と干渉しない構成とされている。
【0074】
検出基準面228は、周方向の幅が他の面よりも小とされており、その周方向両側の面は、上記した各基準としての機能を有しない案内面238とされている。検出基準面228は、搬送される記録媒体Pの被検出(被読み取り)面を各ランプ212による照射位置に位置決めする位置基準面とされている。
【0075】
退避面230は、周方向の幅が他の面よりも大とされている。この退避面230は、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行わない場合に、記録媒体Pを案内する案内面であり、検出基準面228よりも回転軸226Aの軸心からの距離が小とされている。
【0076】
これにより、インラインセンサ200によって記録媒体Pの画像検出を行わない場合には、インラインセンサ200によって記録媒体Pの画像検出を行う場合よりも、照射部202(ウインドウガラス286)との間隔が広い搬送経路60が形成されるようになっている。
【0077】
白色基準面232は、結像光学系206のキャリブレーション用であり、予め定められた信号が結像光学系206から出力される基準の白色フィルムが貼着されて構成されている。カラー基準面234は、結像光学系206のキャリブレーション用であり、各色に応じて予め定められた信号が結像光学系206から出力される基準色のパターンが施されたフィルムが貼着されて構成されている。
【0078】
図5に示されるように、複合検査面236は、基準ロール226の回転方向(記録媒体Pの搬送方向)の位置をキャリブレーションするための位置調整パターン240と、フォーカス検出パターン242と、深度検出パターン244と、が同一面に配置されて形成されている。
【0079】
位置調整パターン240は、黒色の「N」字のパターンが、その「N」字の縦線が記録媒体Pの搬送方向に沿うように形成された白地のフィルムが貼着されることで構成されている。フォーカス検出パターン242は、記録媒体Pの搬送方向に沿った黒色の直線が多数並列されたようなラダーパターンが形成された白地のフィルムが貼着されることで構成されている。
【0080】
深度検出パターン244は、基準ロール226の回転軸226Aからの距離が異なる3つの白色面244A、244B、244Cが複合検査面236の長手方向に階段状に配列されたパターンが形成されたシート材を貼着することで形成されている。
【0081】
位置調整パターン240は、複合検査面236の長手方向両端に少なくとも1つずつ設けられている。また、フォーカス検出パターン242は、上記両端に配置された位置調整パターン240に対する複合検査面236の長手方向中央側に隣接するように配置されている。深度検出パターン244は、複合検査面236の長手方向の両端側と、中央部とに計3つ設けられている。この実施形態では、中央に配置された深度検出パターン244と長手方向一端に配置された深度検出パターン244との間に、さらに位置調整パターン240、フォーカス検出パターン242が各1つずつ配置されている。
【0082】
次に、CCDセンサ204のキャリブレーションの手順について説明する。
【0083】
図3に示されるように、まず、白色基準面232を記録媒体Pの搬送経路60に向ける。CCDセンサ204は、Z方向(主走査方向)の光量分布を補正するシェーディング補正信号を出力する。次いで、複合検査面236を記録媒体Pの搬送経路60に向けられ、位置調整パターン240により、記録媒体Pの搬送方向のCCDセンサ204による検出位置が自動的に調整される。
【0084】
すなわち、「N」字のパターンをZ方向(主走査方向)に横切って検出することで、図5に示されるように、2つの直線部240A、240C間に斜線部240Bが検出される。そして、直線部240Aと斜線部240Bとの間隔と、直線部240Cと斜線部240Bとの間隔とが等しくなるように基準ロール226が回転され、検出位置が調整される。
【0085】
図3に示されるように、記録媒体Pの搬送方向の検出位置が調整された後に、フォーカス検出パターン242によりCCDセンサ204の焦点が確認されるとともに、深度検出パターン244により照明深度が確認される。さらに、カラー基準面234を記録媒体Pの搬送経路60に向ける。CCDセンサ204は、各色において、予め定められた強度の信号が出力されるように、自動的に調整される。
【0086】
なお、上記したように、CCDセンサ204のキャリブレーションは、一例として画像形成装置10の電源投入時(1回/日程度)に行われる。一方、CCDセンサ204の信号に基づく画像形成装置10のキャリブレーション(上記した露光装置40の調整など)は、一例として予め定められた量以上の記録媒体Pに画像を形成したジョブの終了毎(10回/日程度)に行われる。
【0087】
(インラインセンサの分割構造)
上記したインラインセンサ200は、照射部202を主要部とするセンターユニット246と、結像部208を主要部とするアッパユニット248と、設定部210を主要部とするロアユニット250と、に3分割可能な構造とされている。
【0088】
アッパユニット248は、画像形成装置10の第2筐体10B(図1参照)に対して、Z方向にスライドして着脱可能とされている。センターユニット246は、アッパユニット248に対して、Z方向にスライドして着脱可能とされている。ロアユニット250は、センターユニット246及びアッパユニット248に対して、Z方向にスライドして着脱可能とされている。
【0089】
なお、記録媒体Pの搬送経路60の下側に配置されるロアユニット250は、記録媒体Pの詰まりを解消するために、第2筐体10Bから引き出される下側ドロワ(図示省略)に支持されており、この下側ドロワの出し入れに伴ってセンターユニット246及びアッパユニット248に対して脱着されるようになっている。以下、具体的に説明する。
【0090】
(アッパユニットの構成)
アッパユニット248はアッパハウジング254を備えている。アッパハウジング254は、結像部208及び後述する回路基板262を収容するとともに、冷却用の空気本流路の一例としてのダクト265等を構成している。アッパハウジング254は、CCDセンサ204、結像光学系206を収容した第1開孔部材の一例としての結像系ハウジング256を有して構成されている。
【0091】
結像系ハウジング256は、Z方向から見てX方向に長手の略矩形箱状に形成されており、X方向の一端部(この実施形態では、記録媒体Pの搬送方向上流側の端部)にCCDセンサ204を収容している。また、結像系ハウジング256におけるX方向の他端部には、第2ミラー216、第3ミラー218が配置されている。
【0092】
そして、結像系ハウジング256におけるX方向の略中央部には、光軸OAに沿って光が入射される第1通過孔の一例としての窓部256Aが形成されている。結像系ハウジング256には、その窓部256Aが、光透過性のウインドウガラス258によって閉止されることで、内部が密閉(気密)の空間とされるとともに、CCDセンサ204等が収容される光学室205が設けられている。
【0093】
アッパハウジング254は、結像系ハウジング256を上方から覆うアッパカバー260を備えている。これにより、結像系ハウジング256の上壁256Uとアッパカバー260との間に回路基板262が収容される基板室264が形成されている。
【0094】
また、アッパハウジング254は、結像系ハウジング256におけるCCDセンサ204が配置された側であるX方向一端部の外側にダクト265を形成するダクトカバー268を備えている。ダクトカバー268は、結像系ハウジング256の上記端部を記録媒体Pの搬送方向上流側及び用紙搬送側から覆って、X−Y断面形状が「L」字状であるダクト265を形成している。
【0095】
ダクト265の上端は空気取入口266Aとされ、ダクト265の空気取入口266Aと反対側の端部は、後述するランプハウジング284の第1空気流路の一例としてのダクト308に接続される接続口266Bとされている。ダクト265には、そのダクト265内を上側から下側に向かう気流を生じさせる空気流発生手段の一例としてのファン270が配置されている。
【0096】
また、ダクト265には、結像系ハウジング256に設けられた光学室205に空気を送り込む(光学室205内を正圧にする)ファン272が配置されている。さらに、ダクト265には、基板室264に空気を送り込むファン274(図4参照)が設けられている。
【0097】
また、アッパハウジング254は、結像系ハウジング256を第2ミラー216及び第3ミラー218側から覆うカバー275を備えている。カバー275は、結像系ハウジング256との間に断熱空間276を形成している。
【0098】
アッパハウジング254には、Z方向に長手とされたスライダ278が設けられている。この実施形態では、矢印X方向に並列して一対のスライダ278がアッパカバー260に設けられている。各スライダ278は、第2筐体10Bのフレーム(図示省略)に設けられたレールに嵌合している。これにより、各スライダ278は、レールに案内されつつ移動し、アッパユニット248が第2筐体10Bに対し、Z方向に移動されるようになっている。
【0099】
(センターユニットの構成)
センターユニット246は、一対のランプ212を収容するランプハウジング284と、ランプ212から記録媒体Pに向けて照射される光が透過するウインドウガラス286と、ウインドウガラス286を保持したウインドウカバー288と、を有している。ウインドウガラス286は、記録媒体Pの搬送経路60とランプ212との間に配置され、搬送経路60と対向して設けられている。また、ランプハウジング284は、上下に開口する箱状を成しており、上側の開口端がアッパハウジング254にて閉止されるとともに、下側の開口端がウインドウカバー288にて閉止されている。
【0100】
そして、照射部202では、各ランプ212が発した光はウインドウガラス286を通じて記録媒体Pに照射され、記録媒体Pにて反射された反射光はウインドウガラス286を通じて(透過して)光軸OAに沿ってランプハウジング284内に入射されるようになっている。ランプハウジング284に入射された記録媒体Pからの反射光は、結像部208を構成する結像系ハウジング256のウインドウガラス258を通じて結像部208内に導かれる構成とされている。
【0101】
ランプハウジング284は、上側の開口縁から矢印X方向にフランジ状に張り出されたZ方向に長手の一対のスライダ290を備えている。スライダ290は、アッパハウジング254に形成されたレール292に嵌合されている。これにより、各スライダ290は、レール292に案内されつつ移動し、ランプハウジング284がアッパハウジング254(アッパユニット248)に対して、Z方向に着脱されるようになっている。
【0102】
ウインドウカバー288は、自らのエッジ及びウインドウガラス286のエッジが記録媒体Pの搬送方向上流側を向くことのないように構成されている。ウインドウガラス286は、ウインドウカバー288に形成された窓部288Aを閉止する姿勢で、長手方向の両端が取り付けスプリング(図示省略)にてウインドウカバー288に押し付けられている。すなわち、ウインドウガラス286はウインドウカバー288に対して着脱可能に構成されている。
【0103】
また、ウインドウカバー288は、ランプハウジング284に対して着脱可能とされている。具体的には、ウインドウカバー288は、X−Y断面形状が上向きに開口する「コ」字状とされており、その開口縁部に一対のスライダ298が設けられている。スライダ298は、ランプハウジング284に形成されたレール300に嵌合されている。
【0104】
これにより、各スライダ298は、レール300に案内されつつ移動し、ウインドウカバー288がウインドウガラス286に対して、Z方向に着脱されるようになっている。以上により、インラインセンサ200では、ウインドウカバー288の単品での交換や清掃が可能とされている。
【0105】
図示は省略するが、センターユニット246とアッパユニット248とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピンと、孔部によって、高精度でX、Y、Zの各方向に位置決めされるようになっている。また、アッパユニット248と筐体とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピンと、孔部によって、高精度でX、Y、Zの各方向に位置決めされるようになっている。
【0106】
(ロアユニットの構成)
ロアユニット250は、基準ロール226及び基準ロール226を駆動するモータ(図示省略)を収容するロアハウジング302を備えている。ロアハウジング302は、上記の通り、下側ドロワによって支持されており、その下側ドロワによりZ方向の位置が決められている。
【0107】
また、ロアユニット250とセンターユニット246及びアッパユニット248とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピンと、孔部によって、高精度でX、Yの各方向に位置決めされるようになっている。これにより、センターユニット246との間に記録媒体Pの搬送経路60が位置するロアユニット250の、センターユニット246及びアッパユニット248に対するX、Y、Zの各方向の位置が決まる構成である。
【0108】
(迷光対策)
また、ランプハウジング284内には、一対のランプ212の上方で光軸OAを囲むように第2開孔部材の一例としてのバッフル304が設けられている。図3に示されるように、バッフル304は、側部の一例としての一対の側壁304Sと、底部の一例としての底壁304Bと、を少なくとも有して構成されている。
【0109】
この実施形態では、一対の側壁304Sは、Z方向に対向する前後一対の壁304F、304Rにて連結されている。底壁304Bには、光軸OAが入射される第2通過孔の一例としての下側窓304Wが形成されている。バッフル304の上側開口端は、結像系ハウジング256の窓部256Aを囲んでいる。したがって、光軸OAに沿って進む光は、バッフル304内を経由して結像部208に入射される。
【0110】
バッフル304は、各ランプ212の背面側から照射された光が窓部256Aに至らないように寸法形状が設定されている。すなわち、下側窓304Wは、各ランプ212の背面側から照射された光が窓部256Aに直接的に至らないように開口縁の位置が設定されている。また、側壁304Sは、各ランプ212の背面側から照射された光が1回反射しても窓部256Aに至らないように光軸OAに対する傾斜角が設定されている。
【0111】
図3に示されるように、結像系ハウジング256内には、結像光学系206による導光路以外の部分を仕切る複数の仕切壁306が配置されている。各仕切壁306は、記録媒体Pで反射され、ウインドウガラス286を透過した光の拡散角に応じて、その拡散光をY方向及びZ方向に絞らない限度で、光通過部の大きさ(上限)が決められた開口306Aを有している。
【0112】
(エアフロー)
また、ランプハウジング284内には、一方(この実施形態では、記録媒体Pの搬送方向の上流側)の側壁304Sとランプハウジング284の周壁とでダクト308が形成されている。ダクト308の上側開口端は、ランプハウジング284がアッパハウジング254に装着された状態で、接続口266Bを通じてダクト265に接続される。これにより、ファン270の作動によって生じた空気流がランプハウジング284内にも生じる構成とされている。
【0113】
ランプハウジング284の周壁におけるX方向においてダクト308側と反対側に位置する部分には、空気排出口310が形成されている。したがって、ダクト265からの空気流は、ランプハウジング284内で、ランプハウジング284の周壁及びウインドウカバー288によって案内されつつ、記録媒体Pの搬送方向の上流側の第1ランプ212A、同下流側の第2ランプ212Bを経由して流れ、空気排出口310を通じてランプハウジング284の外部に排出されるようになっている。
【0114】
また、ダクト308を構成する側壁304Sの下端からは、第1ランプ212Aの背面側から照射された光が下側窓304Wに至るのを抑制するための遮光部の一例としての張出部312が張り出している。張出部312の張り出し量は、一対のランプ212への空気流による一対のランプ212の冷却効果が同等になるように設定されている。
【0115】
(光量絞り部)
光量絞り部224は、側壁224Sと上壁224Uと下壁224Lとを有し、X−Y断面形状が第3ミラー218側に開口する断面「コ」字状とされている。この光量絞り部224の側壁224Sには、略矩形状の開口部314が形成されている。また、上壁224Uの自由端部からは、リブ316が垂下されている。光量絞り部224は、開口部314の下縁314Lと、リブ316の下端316Lとで、記録媒体Pで反射され、ウインドウガラス286を透過した光を切り、Y方向に光量を絞る構成とされている。
【0116】
光量絞り部224の長手方向一端は、結像系ハウジング256の手前側の壁に至っており、光量絞り部224の長手方向一端には、壁に形成された操作孔を通じて調整レバー(図示省略)が取り付けられている。光量絞り部224は、調整レバーの操作に伴って回転し、最も光量を絞った初期位置から徐々に絞り量を減じる姿勢に移動されるようになっている。
【0117】
(詰まり抑制構造)
図6に示されるように、センターユニット246(照射部202)とロアユニット250(設定部210)との間の搬送経路60は、記録媒体Pの搬送方向下流側に向けて高位となる構成とされている。ウインドウカバー288とロアハウジング302とには、それぞれの角部を面取り又はアール加工が施されており、これによりインラインセンサ200には、記録媒体Pの搬送方向の上流側を向く誘い込み部である入口シュート320が形成されている。
【0118】
入口シュート320の上部を成すアッパシュート320Uは、下向きに凸の滑らかな曲面で構成されている。基準ロール226の検出基準面228が記録媒体Pの搬送経路60側を向く状態におけるZ方向から見て、検出基準面228の延長線をILとすると、アッパシュート320Uは、延長線ILと干渉する(アッパシュート320Uの突出端が延長線ILの下側に位置する)ように寸法形状が設定されている。
【0119】
また、ウインドウカバー288におけるウインドウガラス286よりも記録媒体Pの搬送方向下流側には、下向きに凸の滑らかな曲面で構成された凸部322が形成されている。凸部322は、延長線ILの上側に位置している。
【0120】
入口シュート320の下部を成すロアシュート320Lは、ロアハウジング302の開口端から内向きに延びるフランジ302Fに固定したロアシュート部材324により、基準ロール226に一層近接されている。ロアシュート部材324における記録媒体Pの搬送方向の下流端は、上向きの凸となるように丸められたアール部324Aとされている。
【0121】
一方、凸部322における記録媒体Pの搬送方向下流側部分とロアハウジング302との間には、出口シュート326が形成されている。出口シュート326の下部を成すロアシュート326Lは、ロアハウジング302の開口端から外向きに延びるフランジ302Fにロアシュート部材328を固定して構成されている。ロアシュート部材328における記録媒体Pの搬送方向の下流端は、上向きの凸となるように丸められたアール部328Aとされている。
【0122】
また、基準ロール226の検出基準面228は、CCDセンサ204により画像を検出する際には、ウインドウガラス286と略平行となる姿勢で記録媒体Pの側に向けられるようになっている。この検出基準面228の両側に設けられた各案内面238は、入口シュート320から記録媒体Pを受け、また出口シュート326に向けて記録媒体Pを案内するようになっている。
【0123】
一方、基準ロール226の退避面230は、CCDセンサ204により画像を検出しない場合に、記録媒体Pの搬送方向の下流側ほどウインドウガラス286に近づく姿勢(非平行な姿勢)で記録媒体Pの側に向けられるようになっている。退避面230は、ロアシュート部材324のアール部324Aから出口シュート326の近傍まで延びる幅広面とされており、上記の姿勢で入口シュート320から記録媒体Pを受け、また出口シュート326に向け記録媒体Pを案内するようになっている。
【0124】
(インラインセンサの作用)
図3に示されるように、インラインセンサ200は、照射部202と設定部210との間を通過する記録媒体Pに対し、一対のランプ212により光を照射する。記録媒体Pで反射された反射光は、光軸OAに沿って結像部208に導かれ、その結像部208の結像光学系206によってCCDセンサ204に結像される。CCDセンサ204は、画像の位置毎の画像濃度に応じた信号が画像形成装置10の制御装置192に出力する。制御装置192では、CCDセンサ204からの信号に基づいて画像濃度、画像形成位置などが補正される。
【0125】
一方、インラインセンサ200を構成するCCDセンサ204のキャリブレーションの際には、まず、ロアユニット250のモータが作動して白色基準面232が記録媒体Pの搬送経路60に向けられる。CCDセンサ204は、予め定められた信号が出力されるように調整される。
【0126】
次いで、複合検査面236が記録媒体Pの搬送経路60に向けられ、位置調整パターン240の直線部240Aと斜線部240Bとの間隔と、直線部240Cと斜線部240Bとの間隔とが等しくなるように、CCDセンサ204の検出位置が調整される。この後、CCDセンサ204は、フォーカス検出パターン242により、フォーカスの状態が確認される。
【0127】
また、深度検出パターン244により、照明深度が確認される。さらに、カラー基準面234が記録媒体Pの搬送経路60に向けられる。そして、CCDセンサ204は、各色において、予め定められた信号が出力されるように調整される。
【0128】
(要部構成及び作用)
次に、ウインドウガラス286について詳細に説明する。図7で示すように、このウインドウガラス286は、その上層(記録媒体Pとは反対側の層)に、記録媒体Pで反射された反射光の主に正反射成分(以下、単に「正反射光」という)の反射を抑制(低減)又は防止する反射防止膜285を有している。
【0129】
すなわち、このウインドウガラス286は、基材となるガラス286Aの上に膜厚230nmの導電性誘電体膜(ITO:スズドープ酸化インジウム)285Bが積層され、さらに、その導電性誘電体膜285Bの上に膜厚113nmの誘電体膜(MgF2:フッ化マグネシウム)285Aが積層されて構成されており、この導電性誘電体膜285Bと誘電体膜285Aとで、2層構造(多層構造)の反射防止膜285が形成されている。
【0130】
ここで、反射防止膜285を形成するのは、キャビティ効果を低減させるためである。キャビティ効果とは、記録媒体Pで反射された正反射光が、ウインドウガラス286で再度反射され、再度記録媒体Pを照射することで照度が変わることであり、これによって、濃度の読み取り精度が劣化してしまうことである。したがって、キャビティ効果は生じない方が望ましく、ウインドウガラス286の反射率を低減させることが望ましい。
【0131】
ところで、通常の反射防止膜(図示省略)の設計では、ウインドウガラス面に対して垂直方向から入射される光の反射を抑制又は防止することを優先している。つまり、通常の読取光学系(スキャナ光学系)では、結像光線束の収差が小さくなるように、結像光線束の入射角度を0°とし、結像の品質を確保するため、結像光線束の入射角度に対して反射防止膜を最適化する。
【0132】
そのため、図11の比較例で示すように、可視光域である400nm〜700nmにおいて、通常の2層構造の反射防止膜を備えたウインドウガラスに対して垂直方向から入射される光の反射率の最大値は、そのウインドウガラスに対して斜め方向から入射される光の反射率の最大値よりも小さくなる。
【0133】
しかし、本実施形態に係るインラインセンサ200では、ウインドウガラス286に対して斜め方向、ここでは垂直方向に対して50°傾斜した方向(以下、「入射角度θ=50°」とする)から光が入射されるようになっているため、その斜め方向(入射角度θ=50°)から入射される光の正反射光(第1入射光)の反射を抑制又は防止することを優先するように設計されている。
【0134】
つまり、本実施形態に係るインラインセンサ200では、主に濃度を精度良く検出することを目的としており、大きな面積を持った均一濃度のパッチを用いて濃度を計測するため、空間的な分解能は必要なく、被測定パッチに照射される照明光線に外乱となる要因がなければ、目的を達成することが可能である。
【0135】
したがって、照明光線にフレアーや迷光が発生しないように、反射防止膜285を最適化している。すなわち、図8で示すように、可視光域である400nm〜700nmにおいて、本実施形態に係る反射防止膜285を備えたウインドウガラス286に対して垂直方向から入射される光の反射率の最大値は、そのウインドウガラス286に対して斜め方向(入射角度θ=50°)から入射される光の反射率の最大値よりも大きくなっている。
【0136】
換言すれば、本実施形態に係る反射防止膜285を備えたウインドウガラス286に対して斜め方向(入射角度θ=50°)から入射される光の正反射光の反射率の最大値は、そのウインドウガラス286に対して垂直方向から入射される光の正反射光の反射率の最大値よりも小さくなっている。
【0137】
このように、垂直方向から入射された光の正反射光の反射率低減と、斜め方向から入射された光の正反射光の反射率低減とはトレードオフの関係になっており、本実施形態に係るウインドウガラス286では、斜め方向(入射角度θ=50°)から入射された光の正反射光に対して、キャビティ効果の低減が図れるようになっている。
【0138】
つまり、キャビティ効果は反射率が高いほど影響が大きいが、本実施形態に係るウインドウガラス286では、斜め方向(入射角度θ=50°)から入射される光の正反射光に対して、その反射率の最大値を小さくすることで、その影響を小さくするようにしている。
【0139】
なお、可視光域において、正反射光の反射率の極小値が少なくとも2つ(2つ以上)あると、正反射光の反射率の極小値が1つしかない場合に比べ、正反射光の反射率の最大値を低減させることが可能になる。
【0140】
具体的に説明すると、図11で示す比較例では、可視光域において、通常の2層構造の反射防止膜を備えたウインドウガラスに対して垂直方向から入射される光の反射率の極小値は2個存在しているが、そのウインドウガラスに対して斜め方向(入射角度θ=50°)から入射される光の反射率の極小値は1個しか存在していない。
【0141】
つまり、入射角度θが0°の入射光の反射率の極小値は420nmと550nmであり、可視光域に2つの極小値が存在するが、入射角度θが50°の入射光では反射防止膜中の光の波長ベクトルの膜厚方向成分が小さくなるため、極小値となる波長が短波長側にシフトし、入射角度θが0°で極小値となる波長550nmは、入射角度θが50°では475nm付近に、入射角度θが0°で極小値となる波長420nmは、入射角度θが50°では可視光域外の400nm以下にシフトする。
【0142】
このように、比較例に係るウインドウガラスでは、斜め方向(入射角度θ=50°)からの入射光による正反射光の反射率の極小値は、入射角度の変化に伴う反射防止膜内の光路長の変化により可視光域から外れる(可視光域内に存在しない)。ちなみに、可視光域の反射防止を狙って400nm〜700nmで反射防止膜を最適化すると、反射率が極小値となる波長は、1層構造の反射防止膜では1波長、2層構造の反射防止膜では最大で2波長、3層構造の反射防止膜では最大で3波長となる。
【0143】
これに対し、図8で示す本実施形態では、可視光域において、ウインドウガラス286に対して斜め方向(入射角度θ=50°)から入射される光の正反射光の反射率の極小値が2個存在している。ある膜に対して波長420nmが反射防止膜となっていると、倍の波長840nmは反射増加膜になることから、可視光域内(400nm〜700nm)にバランス良く極小値となる波長を配置すると(極小値を少なくとも2つ設けると)、所望とする波長域全体で反射の防止が図れる。つまり、ここでは、可視光域全体で反射率の低減が図れる。
【0144】
なお、図9で示す別の実施形態に係るウインドウガラス289の場合も同様である。このウインドウガラス289は、基材となるガラス289Aの上に膜厚210nmの誘電体膜(MgF2)287Cが積層され、その誘電体膜287Cの上に、膜厚135nmの導電性誘電体膜(ITO)287Bが積層され、さらに、その導電性誘電体膜287Bの上に膜厚100nmの誘電体膜(MgF2)287Aが積層されて構成されており、この誘電体膜287Cと導電性誘電体膜287Bと誘電体膜287Aとで、3層構造(多層構造)の反射防止膜287が形成されている。
【0145】
この3層構造の反射防止膜287を有するウインドウガラス289では、図10で示すように、斜め方向(入射角度θ=50°)からの入射光に対して、可視光域全体で、2層構造の反射防止膜285を有するウインドウガラス286よりも、正反射光の反射率の低減が図れている。
【0146】
以上、本実施形態に係るインラインセンサ200について図面を基に説明したが、本実施形態に係るインラインセンサ200は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の種々の実施態様を取り得ることは当業者にとって明らかである。例えば、キャビティ効果を低減させる(正反射光の反射率を低減させる)のに最適な反射防止膜285、287の膜厚は、入射角度θが異なれば、当然ながら異なる。
【符号の説明】
【0147】
10 画像形成装置
16 画像形成ユニット(画像形成手段の一例)
32 転写部(転写手段の一例)
54 搬送ロール(搬送手段の一例)
60 搬送経路(搬送路の一例)
82 定着ユニット(定着装置の一例)
200 インラインセンサ(検知装置の一例)
204 CCDセンサ(受光手段の一例)
207 検知部(検知手段の一例)
212 ランプ(照射手段の一例)
285 反射防止膜
286 ウインドウガラス(透過部材の一例)
287 反射防止膜
289 ウインドウガラス(透過部材の一例)
P 記録媒体(媒体の一例)
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙搬送路にある記録媒体上の像を連続して読み取ることができる画像読取装置及び画像形成装置は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−114498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、媒体で反射された正反射光が、透過部材で再度反射され、再度媒体を照射することで照度が変わることを抑制できる検知装置と、それを備えた画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の検知装置は、媒体が搬送される搬送路の方向へ向けて光を照射する照射手段と、前記照射手段から照射され、前記搬送路を搬送される媒体で反射された反射光を受光する受光手段と、を備え、前記搬送路を搬送される媒体上の像又は該媒体を検知する検知手段と、前記媒体で反射された光の正反射光が斜めに入射されるように設けられるとともに、前記照射手段から照射された光が透過する透過部材と、前記透過部材に設けられた多層の反射防止膜と、を有し、前記反射防止膜は、可視光域において、前記正反射光の入射角度と同じ角度で入射される第1入射光の反射率の最大値が、前記透過部材に対して垂直方向から入射される第2入射光の反射率の最大値よりも小さくなるように構成されていることを特徴としている。
【0006】
また、請求項2に記載の検知装置は、請求項1に記載の検知装置であって、前記反射防止膜は、可視光域において、前記第1入射光の反射率の極小値が、少なくとも2つ存在するように構成されていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る請求項3に記載の画像形成装置は、搬送手段によって搬送される媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって前記媒体に形成された画像又は該媒体を検知する請求項1又は請求項2に記載の検知装置と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、可視光域において、正反射光の入射角度と同じ角度で入射される第1入射光の反射率の最大値が、透過部材に対して垂直方向から入射される第2入射光の反射率の最大値よりも小さくなるように、反射防止膜が構成されていない場合に比べて、媒体で反射された正反射光が、透過部材で再度反射され、再度媒体を照射することで照度が変わることを抑制できる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、可視光域において、第1入射光の反射率の極小値が、少なくとも2つ存在するように、反射防止膜が構成されていない場合に比べて、媒体で反射された正反射光が、透過部材で再度反射され、再度媒体を照射することで照度が変わることを抑制できる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、媒体で反射された正反射光が、透過部材で再度反射され、再度媒体を照射することで照度が変わることを抑制できる画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体を示す概略構成図
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の画像形成手段を示す概略側面図
【図3】本実施形態に係るインラインセンサの構成を示す概略断面図
【図4】本実施形態に係るインラインセンサの一部の構成を示す概略断面図
【図5】本実施形態に係るインラインセンサの基準ロールの複合面を示す概略平面図
【図6】本実施形態に係るインラインセンサのロアユニットを示す概略断面図
【図7】本実施形態に係るインラインセンサの2層構造とされた反射防止膜を有するウインドウガラスを示す概略断面図
【図8】本実施形態に係るインラインセンサの2層構造とされた反射防止膜を有するウインドウガラスの正反射光の反射率を示すグラフ
【図9】本実施形態に係るインラインセンサの3層構造とされた反射防止膜を有するウインドウガラスを示す概略断面図
【図10】本実施形態に係るインラインセンサの3層構造とされた反射防止膜を有するウインドウガラスの正反射光の反射率を示すグラフ
【図11】比較例に係るインラインセンサの2層構造とされた反射防止膜を有するウインドウガラスの正反射光の反射率を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図1で示す矢印UPを上方向とする。また、以下において、シート状部材である媒体の一例としての記録媒体Pの搬送方向上流側及び搬送方向下流側を、単に「上流側」、「下流側」という場合がある。
【0013】
(全体構成)
本実施形態に係る画像形成装置10は、フルカラー画像又は白黒画像を形成するものであり、図1に示されるように、水平方向一側(図1における左側)部分を構成する第1処理部が収容された第1筐体10Aと、第1筐体10Aと分割可能に接続され、水平方向他側(図1における右側)部分を構成する第2処理部が収容された第2筐体10Bと、を備えている。
【0014】
第2筐体10Bの上部には、コンピュータ等の外部装置から送られて来る画像データに画像処理を施す画像信号処理部13が設けられている。
【0015】
一方、第1筐体10Aの上部には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが水平方向に沿って交換可能に設けられている。
【0016】
なお、第1特別色及び第2特別色としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色(透明を含む)から適宜選択される。また、以後の説明では、各構成部品について第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別する場合は、数字の後にV、W、Y、M、C、Kの何れかの英字を付して説明し、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kの英字を省略する。
【0017】
さらに、トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成手段の一例としての画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14と対応するように水平方向に沿って設けられている。
【0018】
画像形成ユニット16毎に設けられた露光装置40は、画像信号処理部13によって画像処理を施された画像データを、その画像信号処理部13から受け取り、この画像データに応じて変調した光ビームLを、後述する像保持体18へ照射するように構成されている(図2参照)。
【0019】
各画像形成ユニット16は、図2に示されるように、一方向(図2における時計回り方向)に回転駆動される像保持体18を備えている。各露光装置40から各像保持体18へ光ビームLが照射されることにより、各像保持体18には静電潜像が形成される。なお、露光装置40については詳細を後述する。
【0020】
各像保持体18の周囲には、像保持体18を帯電するコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器20と、露光装置40によって像保持体18に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置22と、転写後の像保持体18に残留する現像剤を除去する除去部材としてのブレード24と、転写後の像保持体18に光を照射して除電を行う除電装置26と、が設けられている。
【0021】
スコロトロン帯電器20、現像装置22、ブレード24、除電装置26は、像保持体18の表面と対向して、像保持体18の回転方向上流側から下流側へ向けて、この順番で配置されている。
【0022】
現像装置22は、トナーを含んだ現像剤Gを収容する現像剤収容部材22Aと、現像剤収容部材22Aに収容された現像剤Gを像保持体18に供給する現像ロール22Bと、を含んで構成されている。現像剤収容部材22Aは、トナーカートリッジ14(図1参照)とトナー供給路(図示省略)を通して接続されており、トナーカートリッジ14からトナーが供給されるようになっている。
【0023】
図1に示されるように、各画像形成ユニット16の下側には、転写手段の一例としての転写部32が設けられている。転写部32は、各像保持体18と接触する環状の中間転写ベルト34と、各像保持体18に形成されたトナー画像を中間転写ベルト34に多重転写させる一次転写部材としての一次転写ロール36と、を含んで構成されている。
【0024】
中間転写ベルト34は、図示しないモータで駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34に張力を付与する張力付与ロール41と、後述する二次転写ロール62に対向する対向ロール42と、複数の巻掛ロール44と、に巻き掛けられており、駆動ロール38により、一方向(図1における反時計回り方向)に循環移動されるようになっている。
【0025】
各一次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の像保持体18と対向配置されている。また、一次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、像保持体18に形成されたトナー画像が中間転写ベルト34に転写されるようになっている。
【0026】
中間転写ベルト34を挟んで駆動ロール38の反対側には、ブレードを中間転写ベルト34に接触させて、中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去する除去装置46が設けられている。
【0027】
転写部32の下方には、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部48が水平方向に沿って2個設けられている。各記録媒体収容部48は、第1筐体10Aから引き出し自在とされている。そして、各記録媒体収容部48の一端側(図1における右側)の上方には、各記録媒体収容部48から記録媒体Pを搬送路の一例としての搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられている。
【0028】
各記録媒体収容部48内には、記録媒体Pが載せられる底板50が設けられている。この底板50は、記録媒体収容部48が第1筐体10Aから引き出されると、図示しない制御手段の指示によって下降するようになっている。底板50が下降することで、ユーザーが記録媒体Pを補充する空間が記録媒体収容部48に形成される。
【0029】
第1筐体10Aから引き出された記録媒体収容部48を第1筐体10Aに装着すると、底板50が、制御手段の指示によって上昇するようになっている。底板50が上昇することで、底板50に載せられた最上位の記録媒体Pと送出ロール52とが当たるようになっている。
【0030】
送出ロール52の記録媒体搬送方向下流側には、記録媒体収容部48から重なって送り出された記録媒体Pを1枚ずつに分離する分離ロール56が設けられている。分離ロール56の下流側には、記録媒体Pを搬送方向下流側に搬送する搬送手段の一例としての複数の搬送ロール54が設けられている。
【0031】
記録媒体収容部48と転写部32との間に設けられる搬送経路60は、記録媒体収容部48から送り出された記録媒体Pを第1折返部60Aで図1における左側に折り返し、さらに、第2折返部60Bで図1における右側に折り返すように、二次転写ロール62と対向ロール42との間の転写位置Tへ延びている。
【0032】
二次転写ロール62は、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像が、二次転写ロール62によって、搬送経路60に沿って搬送されて来た記録媒体Pに二次転写される構成となっている。
【0033】
搬送経路60の第2折返部60Bへ合流するように、第1筐体10Aの側面から延びる予備経路66が設けられている。第1筐体10Aに隣接して配置される別の記録媒体収容部(図示省略)から送り出された記録媒体Pが、予備経路66を通って搬送経路60に入り込めるようになっている。
【0034】
転写位置Tの下流側には、トナー画像が転写された記録媒体Pを第2筐体10Bに向けて搬送する複数の搬送ベルト70が第1筐体10Aに設けられ、搬送ベルト70に搬送された記録媒体Pを下流側に搬送する搬送ベルト80が第2筐体10Bに設けられている。
【0035】
複数の搬送ベルト70及び搬送ベルト80のそれぞれは環状に形成されており、一対の巻掛ロール72に巻き掛けられている。一対の巻掛ロール72は、記録媒体Pの搬送方向上流側と下流側とにそれぞれ配置されており、一方が回転駆動することにより、搬送ベルト70(搬送ベルト80)を一方向(図1における時計回り方向)に循環移動させるようになっている。
【0036】
また、搬送ベルト80の下流側には、記録媒体Pの表面に転写されたトナー画像を、その記録媒体Pに熱と圧力で定着させる定着装置の一例としての定着ユニット82が設けられている。
【0037】
定着ユニット82は、定着ベルト84と、定着ベルト84に対して下側から接触するように配置された加圧ロール88と、を備えている。定着ベルト84と加圧ロール88との間には、記録媒体Pを加圧及び加熱してトナー画像を定着させる定着部Nが形成されている。
【0038】
定着ベルト84は、環状に形成されており、駆動ロール89及び従動ロール90に巻き掛けられている。駆動ロール89は、加圧ロール88に対して上側から対向しており、従動ロール90は、駆動ロール89よりも上側に配置されている。駆動ロール89及び従動ロール90は、それぞれに、ハロゲンヒータ等の加熱部が内蔵されている。これにより、定着ベルト84が加熱される構成である。
【0039】
図1に示されるように、定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82から送り出された記録媒体Pを下流側へ搬送する搬送ベルト108が設けられている。搬送ベルト108は、搬送ベルト70と同様に形成されている。そして、搬送ベルト108の下流側には、定着ユニット82によって加熱された記録媒体Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。
【0040】
冷却ユニット110は、記録媒体Pの熱を吸収する吸収装置112と、記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114と、を備えている。吸収装置112は、搬送経路60に対する一方側(図1における上側)に配置され、押付装置114は、他方側(図1における下側)に配置されている。
【0041】
吸収装置112は、記録媒体Pと接触し、記録媒体Pの熱を吸収する環状の吸収ベルト116を備えている。吸収ベルト116は、吸収ベルト116へ駆動力を伝達する駆動ロール120と、複数の巻掛ロール118とに巻き掛けられている。
【0042】
吸収ベルト116の内周側には、吸収ベルト116と面状に接触して吸収ベルト116が吸収した熱を放熱させるアルミニウム材料で形成されたヒートシンク122が設けられている。さらに、ヒートシンク122から熱を奪い、熱気を外部へ排出させるためのファン128が、第2筐体10Bの裏側(図1に示す紙面奥側)に配置されている。
【0043】
記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114は、記録媒体Pを吸収ベルト116へ押し付けながら記録媒体Pを搬送する環状の押付ベルト130を備えている。押付ベルト130は、複数の巻掛ロール132に巻き掛けられている。
【0044】
冷却ユニット110の下流側には、記録媒体Pを挟んで搬送し、記録媒体Pの湾曲(カール)を矯正する矯正装置140が設けられている。
【0045】
矯正装置140の下流側には、記録媒体Pに定着されたトナー画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥、及び記録媒体Pの位置や形状等を検知する検知装置の一例としてのインラインセンサ200が設けられている。なお、インラインセンサ200については、詳細を後述する。
【0046】
インラインセンサ200の下流側には、片面に画像が形成された記録媒体Pを第2筐体10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。
【0047】
一方、両面に画像を形成する場合には、インラインセンサ200から送出された記録媒体Pは、インラインセンサ200の下流側に設けられた反転経路194に搬送されるようになっている。
【0048】
反転経路194には、搬送経路60から分岐する分岐パス194Aと、分岐パス194Aに沿って搬送される記録媒体Pを第1筐体10A側に向けて搬送する用紙搬送パス194Bと、用紙搬送パス194Bに沿って搬送される記録媒体Pを逆方向に向けて折り返してスイッチバック搬送させ、表裏を反転させる反転パス194Cと、が設けられている。
【0049】
この構成により、反転パス194Cでスイッチバック搬送された記録媒体Pは、第1筐体10Aに向けて搬送され、さらに、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれるようになっている。
【0050】
次に、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
【0051】
画像信号処理部13で画像処理が施された画像データが、各露光装置40に送られる。各露光装置40では、画像データに応じて各光ビームLを出射して、スコロトロン帯電器20によって帯電した各像保持体18に露光し、静電潜像が形成される。
【0052】
図2に示されるように、像保持体18に形成された静電潜像は、現像装置22によって現像され、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される。
【0053】
図1に示されるように、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの像保持体18に形成された各色のトナー画像は、6つの一次転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34に順次多重転写される。
【0054】
中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール62によって、記録媒体収容部48から搬送されて来た記録媒体P上に二次転写される。トナー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト70によって第2筐体10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
【0055】
記録媒体P上の各色のトナー画像は、定着ユニット82によって加熱、加圧されることで、記録媒体Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録媒体Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、矯正装置140に送り込まれ、記録媒体Pに生じた湾曲が矯正される。
【0056】
湾曲が矯正された記録媒体Pは、インラインセンサ200によって画像欠陥等が検知され、その後、排出ロール198によって排出部196に排出される。
【0057】
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成する場合(両面印刷の場合)には、インラインセンサ200を通過後に、記録媒体Pが反転経路194で反転され、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー画像が形成される。
【0058】
なお、本実施形態に係る画像形成装置10では、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品(画像形成ユニット16V、16W、露光装置40V、40W、トナーカートリッジ14V、14W、一次転写ロール36V、36W)は、ユーザーの選択により、追加部品として第1筐体10Aに装着可能に構成されている。したがって、画像形成装置10としては、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品を有さない構成、第1特別色及び第2特別色のうち何れか1色の画像を形成するための部品のみを有する構成としてもよい。
【0059】
次に、インラインセンサ200について説明する。
【0060】
以下の説明では、画像形成装置10の長さ方向(記録媒体Pの搬送方向である副走査方向)をX方向、装置の高さ方向をY方向、装置の奥行き方向(主走査方向)をZ方向ということとする。
【0061】
(インラインセンサの基本構成、機能)
図3に示されるように、インラインセンサ200は、画像が記録された記録媒体Pに向けて光を照射する照射部202と、照射部202から照射されて記録媒体Pで反射された光を受光する受光手段の一例としてのCCDセンサ204に結像する結像光学系206を備えた結像部208と、インラインセンサ200の使用時やキャリブレーション時の各種基準等が設定された設定部210と、を備えている。CCDセンサ204は、記録媒体Pで反射された光を受光すると共に、光の強度に基づいて画像(像)又は記録媒体Pを検知する構成となっている。
【0062】
なお、記録媒体Pからの光とは、記録媒体Pで反射された反射光及び記録媒体Pを透過した透過光を含み、より広くは、記録媒体P上に形成された像や記録媒体Pの位置や形状に関する情報を検知することができる光である。また、透過とは、光がウインドウガラス等を通り抜けることの他、結像レンズ等を光が通り抜けることも含む。さらに、記録媒体Pの検知とは、記録媒体Pの位置、形状を検知することを含む。
【0063】
照射部202は、記録媒体Pの搬送経路60の上側に配置されており、照射手段の一例としての一対のランプ212を有している。各ランプ212は、Z方向に長手とされたキセノンランプであり、その照射範囲の長さは、搬送される最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。
【0064】
一対のランプ212は、記録媒体Pにて反射されて結像部208に向かう光軸OA(設計上の光軸)に対して対称に配置されている。より具体的には、各ランプ212は、記録媒体Pへの照射角度θ(図7、図9参照)がそれぞれ45°〜50°(望ましくは50°)となるように光軸OAに対して対称に配置されている。
【0065】
詳細には、一対のランプ212は、記録媒体Pの搬送方向上流側に設けられた第1光源の一例としての第1ランプ212Aと、第1ランプ212Aに対して光軸OAを挟んで反対側(記録媒体Pの搬送方向下流側)に設けられた第2光源の一例としての第2ランプ212Bと、を備えている。なお、CCDセンサ204、ランプ212、及び後述する透過部材の一例としてのウインドウガラス286を含んで検知手段の一例としての検知部207が構成されている。そして、搬送される記録媒体Pの画像は、検知部207で検知される。
【0066】
結像光学系206は、光軸OAに沿って導かれた光をX方向(この実施形態では記録媒体Pの搬送方向下流側)に反射する第1ミラー214と、第1ミラー214が反射した光を上向きに反射する第2ミラー216と、第2ミラー216が反射した光を記録媒体Pの搬送方向上流側に反射する第3ミラー218と、第3ミラー218が反射した光をCCDセンサ204に集光(結像)するレンズ220と、を主要部として構成されている。なお、CCDセンサ204は、光軸OAに対して記録媒体Pの搬送方向上流側に配置されている。
【0067】
第1ミラー214のZ方向の長さは、最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。第1ミラー214〜第3ミラー218は、結像光学系206に入射された記録媒体Pの反射光をそれぞれZ方向(主走査方向)に絞りながら反射するようになっている。これにより、略円柱状に形成されたレンズ220に対し、記録媒体Pの幅方向各部からの反射光を入射させる構成である。
【0068】
上記構成により、インラインセンサ200では、CCDセンサ204が、結像された光、即ち画像濃度に応じた信号を、画像形成装置10の制御装置192(図1参照)に出力(フィードバック)するようになっている。制御装置192は、インラインセンサ200からの信号に基づいて、画像形成ユニット16において形成される画像を補正するようになっている。画像形成装置10では、一例として、露光装置40による照射光の強度、画像の形成位置などがインラインセンサ200からの信号に基づいて補正される。
【0069】
また、結像光学系206における第3ミラー218とレンズ220との間には、光量絞り部224が設けられている。光量絞り部224は、光路をZ方向に横切ってCCDセンサ204に結像する光の光量をY方向(主走査方向との交差方向)に絞るとともに、外部から操作することで光量絞り量を調整可能に構成されている。光量絞り部224による光量絞り量は、経時により各ランプ212の発光量が変化しても、CCDセンサ204に結像される光量が予め定めた量となるように調整される構成になっている。
【0070】
一方、設定部210は、Z方向に長手の基準部材の一例としての基準ロール226を備えている。基準ロール226は、インラインセンサ200によって、記録媒体Pの画像検出を行う際に搬送経路60側に向ける検出基準面228と、記録媒体Pの画像検出を行わない場合に搬送経路60側に向ける退避面230と、白色基準面232と、多色のパターンが長手方向に沿って形成されたカラー基準面234と、複数の検査パターンが形成された複合検査面236と、を有している。
【0071】
この実施形態では、基準ロール226は、周方向に8面以上の面が形成された多角形筒状に形成されている。検出基準面228、退避面230、カラー基準面234、複合検査面236は各一面だけ設けられ、白色基準面232は2面設けられている。
【0072】
基準ロール226は、回転軸226A周りに回転することで、搬送経路60側を向ける面を切り替える構成とされている。この基準ロール226の面の切替は、後述する回路基板262に設けられた制御回路によって行われるようになっている。また、基準ロール226は、八角形以上の多角形筒状に形成されることで、各面の周方向中央と面間の角部との回転中心に対する距離差が小さく抑えられている。
【0073】
これにより、基準ロール226の各面と各ランプ212の照射位置(後述するウインドウガラス286)との距離を小さく抑えながら、基準ロール226の面間の角部が照射部202と干渉しない構成とされている。
【0074】
検出基準面228は、周方向の幅が他の面よりも小とされており、その周方向両側の面は、上記した各基準としての機能を有しない案内面238とされている。検出基準面228は、搬送される記録媒体Pの被検出(被読み取り)面を各ランプ212による照射位置に位置決めする位置基準面とされている。
【0075】
退避面230は、周方向の幅が他の面よりも大とされている。この退避面230は、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行わない場合に、記録媒体Pを案内する案内面であり、検出基準面228よりも回転軸226Aの軸心からの距離が小とされている。
【0076】
これにより、インラインセンサ200によって記録媒体Pの画像検出を行わない場合には、インラインセンサ200によって記録媒体Pの画像検出を行う場合よりも、照射部202(ウインドウガラス286)との間隔が広い搬送経路60が形成されるようになっている。
【0077】
白色基準面232は、結像光学系206のキャリブレーション用であり、予め定められた信号が結像光学系206から出力される基準の白色フィルムが貼着されて構成されている。カラー基準面234は、結像光学系206のキャリブレーション用であり、各色に応じて予め定められた信号が結像光学系206から出力される基準色のパターンが施されたフィルムが貼着されて構成されている。
【0078】
図5に示されるように、複合検査面236は、基準ロール226の回転方向(記録媒体Pの搬送方向)の位置をキャリブレーションするための位置調整パターン240と、フォーカス検出パターン242と、深度検出パターン244と、が同一面に配置されて形成されている。
【0079】
位置調整パターン240は、黒色の「N」字のパターンが、その「N」字の縦線が記録媒体Pの搬送方向に沿うように形成された白地のフィルムが貼着されることで構成されている。フォーカス検出パターン242は、記録媒体Pの搬送方向に沿った黒色の直線が多数並列されたようなラダーパターンが形成された白地のフィルムが貼着されることで構成されている。
【0080】
深度検出パターン244は、基準ロール226の回転軸226Aからの距離が異なる3つの白色面244A、244B、244Cが複合検査面236の長手方向に階段状に配列されたパターンが形成されたシート材を貼着することで形成されている。
【0081】
位置調整パターン240は、複合検査面236の長手方向両端に少なくとも1つずつ設けられている。また、フォーカス検出パターン242は、上記両端に配置された位置調整パターン240に対する複合検査面236の長手方向中央側に隣接するように配置されている。深度検出パターン244は、複合検査面236の長手方向の両端側と、中央部とに計3つ設けられている。この実施形態では、中央に配置された深度検出パターン244と長手方向一端に配置された深度検出パターン244との間に、さらに位置調整パターン240、フォーカス検出パターン242が各1つずつ配置されている。
【0082】
次に、CCDセンサ204のキャリブレーションの手順について説明する。
【0083】
図3に示されるように、まず、白色基準面232を記録媒体Pの搬送経路60に向ける。CCDセンサ204は、Z方向(主走査方向)の光量分布を補正するシェーディング補正信号を出力する。次いで、複合検査面236を記録媒体Pの搬送経路60に向けられ、位置調整パターン240により、記録媒体Pの搬送方向のCCDセンサ204による検出位置が自動的に調整される。
【0084】
すなわち、「N」字のパターンをZ方向(主走査方向)に横切って検出することで、図5に示されるように、2つの直線部240A、240C間に斜線部240Bが検出される。そして、直線部240Aと斜線部240Bとの間隔と、直線部240Cと斜線部240Bとの間隔とが等しくなるように基準ロール226が回転され、検出位置が調整される。
【0085】
図3に示されるように、記録媒体Pの搬送方向の検出位置が調整された後に、フォーカス検出パターン242によりCCDセンサ204の焦点が確認されるとともに、深度検出パターン244により照明深度が確認される。さらに、カラー基準面234を記録媒体Pの搬送経路60に向ける。CCDセンサ204は、各色において、予め定められた強度の信号が出力されるように、自動的に調整される。
【0086】
なお、上記したように、CCDセンサ204のキャリブレーションは、一例として画像形成装置10の電源投入時(1回/日程度)に行われる。一方、CCDセンサ204の信号に基づく画像形成装置10のキャリブレーション(上記した露光装置40の調整など)は、一例として予め定められた量以上の記録媒体Pに画像を形成したジョブの終了毎(10回/日程度)に行われる。
【0087】
(インラインセンサの分割構造)
上記したインラインセンサ200は、照射部202を主要部とするセンターユニット246と、結像部208を主要部とするアッパユニット248と、設定部210を主要部とするロアユニット250と、に3分割可能な構造とされている。
【0088】
アッパユニット248は、画像形成装置10の第2筐体10B(図1参照)に対して、Z方向にスライドして着脱可能とされている。センターユニット246は、アッパユニット248に対して、Z方向にスライドして着脱可能とされている。ロアユニット250は、センターユニット246及びアッパユニット248に対して、Z方向にスライドして着脱可能とされている。
【0089】
なお、記録媒体Pの搬送経路60の下側に配置されるロアユニット250は、記録媒体Pの詰まりを解消するために、第2筐体10Bから引き出される下側ドロワ(図示省略)に支持されており、この下側ドロワの出し入れに伴ってセンターユニット246及びアッパユニット248に対して脱着されるようになっている。以下、具体的に説明する。
【0090】
(アッパユニットの構成)
アッパユニット248はアッパハウジング254を備えている。アッパハウジング254は、結像部208及び後述する回路基板262を収容するとともに、冷却用の空気本流路の一例としてのダクト265等を構成している。アッパハウジング254は、CCDセンサ204、結像光学系206を収容した第1開孔部材の一例としての結像系ハウジング256を有して構成されている。
【0091】
結像系ハウジング256は、Z方向から見てX方向に長手の略矩形箱状に形成されており、X方向の一端部(この実施形態では、記録媒体Pの搬送方向上流側の端部)にCCDセンサ204を収容している。また、結像系ハウジング256におけるX方向の他端部には、第2ミラー216、第3ミラー218が配置されている。
【0092】
そして、結像系ハウジング256におけるX方向の略中央部には、光軸OAに沿って光が入射される第1通過孔の一例としての窓部256Aが形成されている。結像系ハウジング256には、その窓部256Aが、光透過性のウインドウガラス258によって閉止されることで、内部が密閉(気密)の空間とされるとともに、CCDセンサ204等が収容される光学室205が設けられている。
【0093】
アッパハウジング254は、結像系ハウジング256を上方から覆うアッパカバー260を備えている。これにより、結像系ハウジング256の上壁256Uとアッパカバー260との間に回路基板262が収容される基板室264が形成されている。
【0094】
また、アッパハウジング254は、結像系ハウジング256におけるCCDセンサ204が配置された側であるX方向一端部の外側にダクト265を形成するダクトカバー268を備えている。ダクトカバー268は、結像系ハウジング256の上記端部を記録媒体Pの搬送方向上流側及び用紙搬送側から覆って、X−Y断面形状が「L」字状であるダクト265を形成している。
【0095】
ダクト265の上端は空気取入口266Aとされ、ダクト265の空気取入口266Aと反対側の端部は、後述するランプハウジング284の第1空気流路の一例としてのダクト308に接続される接続口266Bとされている。ダクト265には、そのダクト265内を上側から下側に向かう気流を生じさせる空気流発生手段の一例としてのファン270が配置されている。
【0096】
また、ダクト265には、結像系ハウジング256に設けられた光学室205に空気を送り込む(光学室205内を正圧にする)ファン272が配置されている。さらに、ダクト265には、基板室264に空気を送り込むファン274(図4参照)が設けられている。
【0097】
また、アッパハウジング254は、結像系ハウジング256を第2ミラー216及び第3ミラー218側から覆うカバー275を備えている。カバー275は、結像系ハウジング256との間に断熱空間276を形成している。
【0098】
アッパハウジング254には、Z方向に長手とされたスライダ278が設けられている。この実施形態では、矢印X方向に並列して一対のスライダ278がアッパカバー260に設けられている。各スライダ278は、第2筐体10Bのフレーム(図示省略)に設けられたレールに嵌合している。これにより、各スライダ278は、レールに案内されつつ移動し、アッパユニット248が第2筐体10Bに対し、Z方向に移動されるようになっている。
【0099】
(センターユニットの構成)
センターユニット246は、一対のランプ212を収容するランプハウジング284と、ランプ212から記録媒体Pに向けて照射される光が透過するウインドウガラス286と、ウインドウガラス286を保持したウインドウカバー288と、を有している。ウインドウガラス286は、記録媒体Pの搬送経路60とランプ212との間に配置され、搬送経路60と対向して設けられている。また、ランプハウジング284は、上下に開口する箱状を成しており、上側の開口端がアッパハウジング254にて閉止されるとともに、下側の開口端がウインドウカバー288にて閉止されている。
【0100】
そして、照射部202では、各ランプ212が発した光はウインドウガラス286を通じて記録媒体Pに照射され、記録媒体Pにて反射された反射光はウインドウガラス286を通じて(透過して)光軸OAに沿ってランプハウジング284内に入射されるようになっている。ランプハウジング284に入射された記録媒体Pからの反射光は、結像部208を構成する結像系ハウジング256のウインドウガラス258を通じて結像部208内に導かれる構成とされている。
【0101】
ランプハウジング284は、上側の開口縁から矢印X方向にフランジ状に張り出されたZ方向に長手の一対のスライダ290を備えている。スライダ290は、アッパハウジング254に形成されたレール292に嵌合されている。これにより、各スライダ290は、レール292に案内されつつ移動し、ランプハウジング284がアッパハウジング254(アッパユニット248)に対して、Z方向に着脱されるようになっている。
【0102】
ウインドウカバー288は、自らのエッジ及びウインドウガラス286のエッジが記録媒体Pの搬送方向上流側を向くことのないように構成されている。ウインドウガラス286は、ウインドウカバー288に形成された窓部288Aを閉止する姿勢で、長手方向の両端が取り付けスプリング(図示省略)にてウインドウカバー288に押し付けられている。すなわち、ウインドウガラス286はウインドウカバー288に対して着脱可能に構成されている。
【0103】
また、ウインドウカバー288は、ランプハウジング284に対して着脱可能とされている。具体的には、ウインドウカバー288は、X−Y断面形状が上向きに開口する「コ」字状とされており、その開口縁部に一対のスライダ298が設けられている。スライダ298は、ランプハウジング284に形成されたレール300に嵌合されている。
【0104】
これにより、各スライダ298は、レール300に案内されつつ移動し、ウインドウカバー288がウインドウガラス286に対して、Z方向に着脱されるようになっている。以上により、インラインセンサ200では、ウインドウカバー288の単品での交換や清掃が可能とされている。
【0105】
図示は省略するが、センターユニット246とアッパユニット248とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピンと、孔部によって、高精度でX、Y、Zの各方向に位置決めされるようになっている。また、アッパユニット248と筐体とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピンと、孔部によって、高精度でX、Y、Zの各方向に位置決めされるようになっている。
【0106】
(ロアユニットの構成)
ロアユニット250は、基準ロール226及び基準ロール226を駆動するモータ(図示省略)を収容するロアハウジング302を備えている。ロアハウジング302は、上記の通り、下側ドロワによって支持されており、その下側ドロワによりZ方向の位置が決められている。
【0107】
また、ロアユニット250とセンターユニット246及びアッパユニット248とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピンと、孔部によって、高精度でX、Yの各方向に位置決めされるようになっている。これにより、センターユニット246との間に記録媒体Pの搬送経路60が位置するロアユニット250の、センターユニット246及びアッパユニット248に対するX、Y、Zの各方向の位置が決まる構成である。
【0108】
(迷光対策)
また、ランプハウジング284内には、一対のランプ212の上方で光軸OAを囲むように第2開孔部材の一例としてのバッフル304が設けられている。図3に示されるように、バッフル304は、側部の一例としての一対の側壁304Sと、底部の一例としての底壁304Bと、を少なくとも有して構成されている。
【0109】
この実施形態では、一対の側壁304Sは、Z方向に対向する前後一対の壁304F、304Rにて連結されている。底壁304Bには、光軸OAが入射される第2通過孔の一例としての下側窓304Wが形成されている。バッフル304の上側開口端は、結像系ハウジング256の窓部256Aを囲んでいる。したがって、光軸OAに沿って進む光は、バッフル304内を経由して結像部208に入射される。
【0110】
バッフル304は、各ランプ212の背面側から照射された光が窓部256Aに至らないように寸法形状が設定されている。すなわち、下側窓304Wは、各ランプ212の背面側から照射された光が窓部256Aに直接的に至らないように開口縁の位置が設定されている。また、側壁304Sは、各ランプ212の背面側から照射された光が1回反射しても窓部256Aに至らないように光軸OAに対する傾斜角が設定されている。
【0111】
図3に示されるように、結像系ハウジング256内には、結像光学系206による導光路以外の部分を仕切る複数の仕切壁306が配置されている。各仕切壁306は、記録媒体Pで反射され、ウインドウガラス286を透過した光の拡散角に応じて、その拡散光をY方向及びZ方向に絞らない限度で、光通過部の大きさ(上限)が決められた開口306Aを有している。
【0112】
(エアフロー)
また、ランプハウジング284内には、一方(この実施形態では、記録媒体Pの搬送方向の上流側)の側壁304Sとランプハウジング284の周壁とでダクト308が形成されている。ダクト308の上側開口端は、ランプハウジング284がアッパハウジング254に装着された状態で、接続口266Bを通じてダクト265に接続される。これにより、ファン270の作動によって生じた空気流がランプハウジング284内にも生じる構成とされている。
【0113】
ランプハウジング284の周壁におけるX方向においてダクト308側と反対側に位置する部分には、空気排出口310が形成されている。したがって、ダクト265からの空気流は、ランプハウジング284内で、ランプハウジング284の周壁及びウインドウカバー288によって案内されつつ、記録媒体Pの搬送方向の上流側の第1ランプ212A、同下流側の第2ランプ212Bを経由して流れ、空気排出口310を通じてランプハウジング284の外部に排出されるようになっている。
【0114】
また、ダクト308を構成する側壁304Sの下端からは、第1ランプ212Aの背面側から照射された光が下側窓304Wに至るのを抑制するための遮光部の一例としての張出部312が張り出している。張出部312の張り出し量は、一対のランプ212への空気流による一対のランプ212の冷却効果が同等になるように設定されている。
【0115】
(光量絞り部)
光量絞り部224は、側壁224Sと上壁224Uと下壁224Lとを有し、X−Y断面形状が第3ミラー218側に開口する断面「コ」字状とされている。この光量絞り部224の側壁224Sには、略矩形状の開口部314が形成されている。また、上壁224Uの自由端部からは、リブ316が垂下されている。光量絞り部224は、開口部314の下縁314Lと、リブ316の下端316Lとで、記録媒体Pで反射され、ウインドウガラス286を透過した光を切り、Y方向に光量を絞る構成とされている。
【0116】
光量絞り部224の長手方向一端は、結像系ハウジング256の手前側の壁に至っており、光量絞り部224の長手方向一端には、壁に形成された操作孔を通じて調整レバー(図示省略)が取り付けられている。光量絞り部224は、調整レバーの操作に伴って回転し、最も光量を絞った初期位置から徐々に絞り量を減じる姿勢に移動されるようになっている。
【0117】
(詰まり抑制構造)
図6に示されるように、センターユニット246(照射部202)とロアユニット250(設定部210)との間の搬送経路60は、記録媒体Pの搬送方向下流側に向けて高位となる構成とされている。ウインドウカバー288とロアハウジング302とには、それぞれの角部を面取り又はアール加工が施されており、これによりインラインセンサ200には、記録媒体Pの搬送方向の上流側を向く誘い込み部である入口シュート320が形成されている。
【0118】
入口シュート320の上部を成すアッパシュート320Uは、下向きに凸の滑らかな曲面で構成されている。基準ロール226の検出基準面228が記録媒体Pの搬送経路60側を向く状態におけるZ方向から見て、検出基準面228の延長線をILとすると、アッパシュート320Uは、延長線ILと干渉する(アッパシュート320Uの突出端が延長線ILの下側に位置する)ように寸法形状が設定されている。
【0119】
また、ウインドウカバー288におけるウインドウガラス286よりも記録媒体Pの搬送方向下流側には、下向きに凸の滑らかな曲面で構成された凸部322が形成されている。凸部322は、延長線ILの上側に位置している。
【0120】
入口シュート320の下部を成すロアシュート320Lは、ロアハウジング302の開口端から内向きに延びるフランジ302Fに固定したロアシュート部材324により、基準ロール226に一層近接されている。ロアシュート部材324における記録媒体Pの搬送方向の下流端は、上向きの凸となるように丸められたアール部324Aとされている。
【0121】
一方、凸部322における記録媒体Pの搬送方向下流側部分とロアハウジング302との間には、出口シュート326が形成されている。出口シュート326の下部を成すロアシュート326Lは、ロアハウジング302の開口端から外向きに延びるフランジ302Fにロアシュート部材328を固定して構成されている。ロアシュート部材328における記録媒体Pの搬送方向の下流端は、上向きの凸となるように丸められたアール部328Aとされている。
【0122】
また、基準ロール226の検出基準面228は、CCDセンサ204により画像を検出する際には、ウインドウガラス286と略平行となる姿勢で記録媒体Pの側に向けられるようになっている。この検出基準面228の両側に設けられた各案内面238は、入口シュート320から記録媒体Pを受け、また出口シュート326に向けて記録媒体Pを案内するようになっている。
【0123】
一方、基準ロール226の退避面230は、CCDセンサ204により画像を検出しない場合に、記録媒体Pの搬送方向の下流側ほどウインドウガラス286に近づく姿勢(非平行な姿勢)で記録媒体Pの側に向けられるようになっている。退避面230は、ロアシュート部材324のアール部324Aから出口シュート326の近傍まで延びる幅広面とされており、上記の姿勢で入口シュート320から記録媒体Pを受け、また出口シュート326に向け記録媒体Pを案内するようになっている。
【0124】
(インラインセンサの作用)
図3に示されるように、インラインセンサ200は、照射部202と設定部210との間を通過する記録媒体Pに対し、一対のランプ212により光を照射する。記録媒体Pで反射された反射光は、光軸OAに沿って結像部208に導かれ、その結像部208の結像光学系206によってCCDセンサ204に結像される。CCDセンサ204は、画像の位置毎の画像濃度に応じた信号が画像形成装置10の制御装置192に出力する。制御装置192では、CCDセンサ204からの信号に基づいて画像濃度、画像形成位置などが補正される。
【0125】
一方、インラインセンサ200を構成するCCDセンサ204のキャリブレーションの際には、まず、ロアユニット250のモータが作動して白色基準面232が記録媒体Pの搬送経路60に向けられる。CCDセンサ204は、予め定められた信号が出力されるように調整される。
【0126】
次いで、複合検査面236が記録媒体Pの搬送経路60に向けられ、位置調整パターン240の直線部240Aと斜線部240Bとの間隔と、直線部240Cと斜線部240Bとの間隔とが等しくなるように、CCDセンサ204の検出位置が調整される。この後、CCDセンサ204は、フォーカス検出パターン242により、フォーカスの状態が確認される。
【0127】
また、深度検出パターン244により、照明深度が確認される。さらに、カラー基準面234が記録媒体Pの搬送経路60に向けられる。そして、CCDセンサ204は、各色において、予め定められた信号が出力されるように調整される。
【0128】
(要部構成及び作用)
次に、ウインドウガラス286について詳細に説明する。図7で示すように、このウインドウガラス286は、その上層(記録媒体Pとは反対側の層)に、記録媒体Pで反射された反射光の主に正反射成分(以下、単に「正反射光」という)の反射を抑制(低減)又は防止する反射防止膜285を有している。
【0129】
すなわち、このウインドウガラス286は、基材となるガラス286Aの上に膜厚230nmの導電性誘電体膜(ITO:スズドープ酸化インジウム)285Bが積層され、さらに、その導電性誘電体膜285Bの上に膜厚113nmの誘電体膜(MgF2:フッ化マグネシウム)285Aが積層されて構成されており、この導電性誘電体膜285Bと誘電体膜285Aとで、2層構造(多層構造)の反射防止膜285が形成されている。
【0130】
ここで、反射防止膜285を形成するのは、キャビティ効果を低減させるためである。キャビティ効果とは、記録媒体Pで反射された正反射光が、ウインドウガラス286で再度反射され、再度記録媒体Pを照射することで照度が変わることであり、これによって、濃度の読み取り精度が劣化してしまうことである。したがって、キャビティ効果は生じない方が望ましく、ウインドウガラス286の反射率を低減させることが望ましい。
【0131】
ところで、通常の反射防止膜(図示省略)の設計では、ウインドウガラス面に対して垂直方向から入射される光の反射を抑制又は防止することを優先している。つまり、通常の読取光学系(スキャナ光学系)では、結像光線束の収差が小さくなるように、結像光線束の入射角度を0°とし、結像の品質を確保するため、結像光線束の入射角度に対して反射防止膜を最適化する。
【0132】
そのため、図11の比較例で示すように、可視光域である400nm〜700nmにおいて、通常の2層構造の反射防止膜を備えたウインドウガラスに対して垂直方向から入射される光の反射率の最大値は、そのウインドウガラスに対して斜め方向から入射される光の反射率の最大値よりも小さくなる。
【0133】
しかし、本実施形態に係るインラインセンサ200では、ウインドウガラス286に対して斜め方向、ここでは垂直方向に対して50°傾斜した方向(以下、「入射角度θ=50°」とする)から光が入射されるようになっているため、その斜め方向(入射角度θ=50°)から入射される光の正反射光(第1入射光)の反射を抑制又は防止することを優先するように設計されている。
【0134】
つまり、本実施形態に係るインラインセンサ200では、主に濃度を精度良く検出することを目的としており、大きな面積を持った均一濃度のパッチを用いて濃度を計測するため、空間的な分解能は必要なく、被測定パッチに照射される照明光線に外乱となる要因がなければ、目的を達成することが可能である。
【0135】
したがって、照明光線にフレアーや迷光が発生しないように、反射防止膜285を最適化している。すなわち、図8で示すように、可視光域である400nm〜700nmにおいて、本実施形態に係る反射防止膜285を備えたウインドウガラス286に対して垂直方向から入射される光の反射率の最大値は、そのウインドウガラス286に対して斜め方向(入射角度θ=50°)から入射される光の反射率の最大値よりも大きくなっている。
【0136】
換言すれば、本実施形態に係る反射防止膜285を備えたウインドウガラス286に対して斜め方向(入射角度θ=50°)から入射される光の正反射光の反射率の最大値は、そのウインドウガラス286に対して垂直方向から入射される光の正反射光の反射率の最大値よりも小さくなっている。
【0137】
このように、垂直方向から入射された光の正反射光の反射率低減と、斜め方向から入射された光の正反射光の反射率低減とはトレードオフの関係になっており、本実施形態に係るウインドウガラス286では、斜め方向(入射角度θ=50°)から入射された光の正反射光に対して、キャビティ効果の低減が図れるようになっている。
【0138】
つまり、キャビティ効果は反射率が高いほど影響が大きいが、本実施形態に係るウインドウガラス286では、斜め方向(入射角度θ=50°)から入射される光の正反射光に対して、その反射率の最大値を小さくすることで、その影響を小さくするようにしている。
【0139】
なお、可視光域において、正反射光の反射率の極小値が少なくとも2つ(2つ以上)あると、正反射光の反射率の極小値が1つしかない場合に比べ、正反射光の反射率の最大値を低減させることが可能になる。
【0140】
具体的に説明すると、図11で示す比較例では、可視光域において、通常の2層構造の反射防止膜を備えたウインドウガラスに対して垂直方向から入射される光の反射率の極小値は2個存在しているが、そのウインドウガラスに対して斜め方向(入射角度θ=50°)から入射される光の反射率の極小値は1個しか存在していない。
【0141】
つまり、入射角度θが0°の入射光の反射率の極小値は420nmと550nmであり、可視光域に2つの極小値が存在するが、入射角度θが50°の入射光では反射防止膜中の光の波長ベクトルの膜厚方向成分が小さくなるため、極小値となる波長が短波長側にシフトし、入射角度θが0°で極小値となる波長550nmは、入射角度θが50°では475nm付近に、入射角度θが0°で極小値となる波長420nmは、入射角度θが50°では可視光域外の400nm以下にシフトする。
【0142】
このように、比較例に係るウインドウガラスでは、斜め方向(入射角度θ=50°)からの入射光による正反射光の反射率の極小値は、入射角度の変化に伴う反射防止膜内の光路長の変化により可視光域から外れる(可視光域内に存在しない)。ちなみに、可視光域の反射防止を狙って400nm〜700nmで反射防止膜を最適化すると、反射率が極小値となる波長は、1層構造の反射防止膜では1波長、2層構造の反射防止膜では最大で2波長、3層構造の反射防止膜では最大で3波長となる。
【0143】
これに対し、図8で示す本実施形態では、可視光域において、ウインドウガラス286に対して斜め方向(入射角度θ=50°)から入射される光の正反射光の反射率の極小値が2個存在している。ある膜に対して波長420nmが反射防止膜となっていると、倍の波長840nmは反射増加膜になることから、可視光域内(400nm〜700nm)にバランス良く極小値となる波長を配置すると(極小値を少なくとも2つ設けると)、所望とする波長域全体で反射の防止が図れる。つまり、ここでは、可視光域全体で反射率の低減が図れる。
【0144】
なお、図9で示す別の実施形態に係るウインドウガラス289の場合も同様である。このウインドウガラス289は、基材となるガラス289Aの上に膜厚210nmの誘電体膜(MgF2)287Cが積層され、その誘電体膜287Cの上に、膜厚135nmの導電性誘電体膜(ITO)287Bが積層され、さらに、その導電性誘電体膜287Bの上に膜厚100nmの誘電体膜(MgF2)287Aが積層されて構成されており、この誘電体膜287Cと導電性誘電体膜287Bと誘電体膜287Aとで、3層構造(多層構造)の反射防止膜287が形成されている。
【0145】
この3層構造の反射防止膜287を有するウインドウガラス289では、図10で示すように、斜め方向(入射角度θ=50°)からの入射光に対して、可視光域全体で、2層構造の反射防止膜285を有するウインドウガラス286よりも、正反射光の反射率の低減が図れている。
【0146】
以上、本実施形態に係るインラインセンサ200について図面を基に説明したが、本実施形態に係るインラインセンサ200は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の種々の実施態様を取り得ることは当業者にとって明らかである。例えば、キャビティ効果を低減させる(正反射光の反射率を低減させる)のに最適な反射防止膜285、287の膜厚は、入射角度θが異なれば、当然ながら異なる。
【符号の説明】
【0147】
10 画像形成装置
16 画像形成ユニット(画像形成手段の一例)
32 転写部(転写手段の一例)
54 搬送ロール(搬送手段の一例)
60 搬送経路(搬送路の一例)
82 定着ユニット(定着装置の一例)
200 インラインセンサ(検知装置の一例)
204 CCDセンサ(受光手段の一例)
207 検知部(検知手段の一例)
212 ランプ(照射手段の一例)
285 反射防止膜
286 ウインドウガラス(透過部材の一例)
287 反射防止膜
289 ウインドウガラス(透過部材の一例)
P 記録媒体(媒体の一例)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が搬送される搬送路の方向へ向けて光を照射する照射手段と、前記照射手段から照射され、前記搬送路を搬送される媒体で反射された反射光を受光する受光手段と、を備え、前記搬送路を搬送される媒体上の像又は該媒体を検知する検知手段と、
前記媒体で反射された光の正反射光が斜めに入射されるように設けられるとともに、前記照射手段から照射された光が透過する透過部材と、
前記透過部材に設けられた多層の反射防止膜と、
を有し、
前記反射防止膜は、可視光域において、前記正反射光の入射角度と同じ角度で入射される第1入射光の反射率の最大値が、前記透過部材に対して垂直方向から入射される第2入射光の反射率の最大値よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする検知装置。
【請求項2】
前記反射防止膜は、可視光域において、前記第1入射光の反射率の極小値が、少なくとも2つ存在するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
搬送手段によって搬送される媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって前記媒体に形成された画像又は該媒体を検知する請求項1又は請求項2に記載の検知装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
媒体が搬送される搬送路の方向へ向けて光を照射する照射手段と、前記照射手段から照射され、前記搬送路を搬送される媒体で反射された反射光を受光する受光手段と、を備え、前記搬送路を搬送される媒体上の像又は該媒体を検知する検知手段と、
前記媒体で反射された光の正反射光が斜めに入射されるように設けられるとともに、前記照射手段から照射された光が透過する透過部材と、
前記透過部材に設けられた多層の反射防止膜と、
を有し、
前記反射防止膜は、可視光域において、前記正反射光の入射角度と同じ角度で入射される第1入射光の反射率の最大値が、前記透過部材に対して垂直方向から入射される第2入射光の反射率の最大値よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする検知装置。
【請求項2】
前記反射防止膜は、可視光域において、前記第1入射光の反射率の極小値が、少なくとも2つ存在するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
搬送手段によって搬送される媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって前記媒体に形成された画像又は該媒体を検知する請求項1又は請求項2に記載の検知装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−93394(P2012−93394A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238010(P2010−238010)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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