説明

検知装置

【課題】ノイズによる影響を抑えて誤動作を防ぐことができるとともに、人感センサと制御回路を接続する電線が切断されたことをも検知することができ、さらに、記憶媒体の交換、又は、長期の使用、によって検知性能が低下することを防止することができる検知装置を提供する。
【解決手段】対象物に対する人体の接触を検知する人感センサと、人感センサからの出力に対応して、人感センサが人体の接触を検知していないときに、人体の接触を検知しているときよりも高いレベルの信号を出力する制御回路と、を備え、制御回路の出力信号が高いレベルから低いレベルに変わることによって人体の接触を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置に関し、特に、特に遊技機の動作を制御するデータを記憶した記憶媒体の盗難及び交換防止に好適な検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ台の動作を制御するデータを記憶したROM(Read Only Memory)の盗難及び交換防止のために、特許文献1(特開2003−230751号公報)記載の防犯装置が提案されている。この防犯装置では、パチンコ台の裏側に設けられているROMを取付けてある制御基板を囲う制御箱の内側に、圧電素子を直接取付け、制御箱に人間が触れると、人間の手指の微振動を検知し、警報を発する。圧電素子を制御する制御回路は制御箱の外部に配置され、制御回路と圧電素子とは電線で接続されている。
【特許文献1】特開2003−230751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の防犯装置では、圧電素子と制御回路間が電線で接続されているため、パチンコ台内のノイズが多い所では、インピーダンスが高い圧電素子の出力はノイズの影響を受け易く誤動作する可能性もあった。また、圧電素子と制御回路間を接続する電線が切断されてしまった場合は、切断されたこと自体を検知することができないだけでなく、切断後に制御箱に人体が接触しても圧電素子からの出力信号が制御回路に伝達されないため、防犯装置として機能を果たすことが困難であった。
【0004】
また、特許文献1で記載されている防犯装置では、圧電素子が制御箱の内側に両面テープその他の中間部材を介して取付けられるため、中間部材がクッションとなって圧電素子に振動が伝わりにくくなり、微振動を確実に検知することが難しかった。また、経年変化により、中間部材の粘着力が劣化すると、圧電素子が制御箱から剥れる可能性がある。
【0005】
さらに、圧電素子は、制御回路と接続するための電線が直接半田付けされているが、ケースなどによって覆われることなく剥き出しとなっている。このため、ROM交換を行うために制御箱を開閉すると、そのたびに圧電素子又は電線に触れるおそれがあり、圧電素子に直接触れなかったとしても、電線に触れてしまうと、圧電素子の半田付部にストレスがかかり、これにより圧電素子が破壊されてしまい、制御箱への人体の接触を感知できなくなる可能性がある。
【0006】
これに対して、圧電素子と制御回路を接続する電線をパイプなどで覆って保護することも考えられるが、パチンコ台における制御箱及び圧電素子の位置はパチンコ台の仕様その他の条件によって異なるため、パチンコ台の構造によっては電線を覆うことが難しく、覆うことができたとしても多大なコストを伴うおそれが大きかった。さらに、従来の防犯装置では、制御箱の外に配置される制御回路用のスペースを確保することが必要であるが、制御箱及び圧電素子の位置が一定でないため、制御回路の配置が困難となる場合があった。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みたものであって、ノイズによる影響を抑えて誤動作を防ぐことができる検知装置を提供することを目的とする。また、本発明の目的は、人感センサとしての圧電素子と制御回路を接続する電線が切断されたことを検知できる検知装置を提供することにある。さらに、記憶媒体としてのROMの交換、又は、長期の使用、によって検知性能が低下することのない検知装置を提供することが本発明の目的である。また、本発明は、検知性能を低下させず、かつ、制御箱の配置の自由度を高く維持しつつ、低コストで提供することのできる検知装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の検知装置においては、対象物に対する人体の接触を検知する人感センサと、人感センサからの出力に対応して、人感センサが人体の接触を検知していないときに、人体の接触を検知しているときよりも高いレベルの信号を出力する制御回路と、を備え、制御回路の出力信号が高いレベルから低いレベルに変わることによって人体の接触を検知することを特徴としている。
【0009】
本発明の検知装置において、人感センサはケース及びフィルムで形成される空間内に収容されることが好ましい。
【0010】
本発明の検知装置において、制御回路はケース及びフィルムで形成される空間内に収容されているとよい。
【0011】
本発明の検知装置において、フィルムはポリイミドを含むことが好ましい。
【0012】
本発明の検知装置において、人感センサはケース内に収容することもできる。
【0013】
本発明の検知装置において、ケースは対象物の内部に固定されていることが好ましい。
【0014】
本発明の検知装置において、ケースは、ネジ締め又は熱加締め等により、対象物の内部に固定することができる。
【0015】
本発明の検知装置において、人感センサが人体の接触を検知したときに警報を発生する警報手段を備えることが好ましい。
【0016】
本発明の検知装置において、人感センサは圧電素子を含むとよい。
【0017】
本発明の検知装置においては、対象物を、遊技機の動作を制御するデータを記憶した記憶媒体を内部に収容するものとすることができる。
【0018】
本発明の検知装置においては、対象物を自動車のボディとすることができる。
【0019】
本発明の検知装置においては、コントロールボックスを対象物とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、対象物に対する人体の接触を検知する人感センサと、人感センサからの出力に対応して、人感センサが人体の接触を検知していないときに、人体の接触を検知しているときよりも高いレベルの信号を出力する制御回路と、を備える構成により、対象物又はその周辺のノイズによる影響を抑えて誤動作を防ぐことができるとともに、人感センサと制御回路を接続する電線が切断されたことをも検知することができる。また、人感センサ及び制御回路のうち少なくとも人感センサがケースで囲まれていることにより、記憶媒体の交換、又は、長期の使用、によって検知性能が低下することを防止することができる。また、検知性能を低下させることなく、制御箱の配置の自由度を高く維持しつつ、低コストで提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る検知装置としての防犯センサ30について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態に係る防犯センサ30は、遊技機としてのパチンコ台10の動作を制御するデータを記憶した記憶媒体(ROM23)を内部に収容する制御箱20を検知の対象物とするが、本発明の防犯センサは、記憶媒体自体又はパチンコ台を対象物とすることができるほか、遊技機用の制御箱以外の物を対象物とすることができる。例えば、自動車のボディを対象物として、自動車の所有者以外の者がウィンドウに接触したことを検知することができる。また、各種セキュリティ装置に用いるコントロールボックスを対象物として、コントロールボックスに収容された物(例えば、記憶媒体、回路、鍵)の盗難や交換を防止するために、コントロールボックスに人体が接触したことを検知することができる。なお、遊技機としては、パチンコ台のほかに、スロットマシーンやパチスロ機を挙げることができ、記憶媒体としては、ROMその他の半導体素子のほか、ハードディスク、光磁気ディスク、フレキシブルディスクその他の媒体を含む。
【0022】
図1は、防犯センサ30を備えたパチンコ台10を正面上方から見た斜視図であって、パチンコ台板11を開いた状態を示す図である。なお、図1は、説明の便宜上、構成を簡略化して表示している。パチンコ台10の前面14(正面)の下部には、球体を打ち出すためのノブ12が設けられ、その上側には、玉受け台13が設けられている。パチンコ台板11には、多数の釘体を打ち付けて多数の球体の通路(不図示)と、複数個のラップ穴(不図示)が形成されている。パチンコ台板11は、パチンコ台10に対して開閉自在に取り付けられている。
【0023】
図2、図3に示すように、パチンコ台板11の裏側には、内部に防犯センサ30を収容し、パチンコ台10の動作を制御する制御箱20が設けられている。ここで、図2は、パチンコ台10の裏側の構成を示す背面図である。図3は、パチンコ台10の裏側の構成を示す面であって、図2のIII−III線における断面図である。なお、図3においては、パチンコ台10の前面14の構成の図示を省略している。
【0024】
制御箱20は、パチンコ台板11の裏面に対して、プラスチックの板体からなる蓋体21の四隅をねじ27で止めてなる。蓋体21は、ねじ27を手指又はねじ回しで外すことによって、パチンコ台板11から取り外すことができる。制御箱20は、CPUを始め、マイコン構成の電子部品を有する。また、ROM23(記憶媒体)はパチンコ台10の動作を制御するデータを記憶している。ROM23は、図3から明らかなように、ROMソケット24に対して脱着可能に装着されている。ROMソケット24は制御箱20を構成する基板25に固定されている。
【0025】
図3に示すように、防犯センサ30は、蓋体21の裏側(蓋体21の内面)に配置さている。防犯センサ30は、制御箱20の蓋体21に人体が接触したときにその手指から伝わる微弱振動を検知することができる。また、パチンコ台板11の下部には、防犯センサ30に電源を供給する電源回路と防犯センサ30の出力信号を監視する監視回路が設けられた監視基板50が配置されている。防犯センサ30と監視基板50は電線51で接続されている。
【0026】
防犯センサ30は、そのケース31をフィルム45を介して制御箱20の蓋体21の裏側にねじ止めすることによって固定される。フィルム45としては、ケース31の振動に対応した圧電素子40の振動を妨げない程度に、薄く柔軟性のあるフィルムが好ましく、例えばポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタレート、ビニール、樹脂を用いることができる。とくに、検知精度の観点からは厚さ0.1から0.3mmの薄いポリイミドフィルムがより好ましい。図4に示すように、防犯センサ30のケース31には、4箇所の取付貫孔32が設けられており、この取付貫孔32にねじ39(図6)を螺入することにより防犯センサ30を制御箱20にねじ締め固定する。このとき、ねじ39は、取付貫孔32からフィルム45を貫通して制御箱20に至っている。ここで、図4(a)は、防犯センサ30、監視基板50、及び電線51の構成を示す平面図であり、図4(b)は、防犯センサ30、監視基板50、及び電線51の構成を示す側面図である。なお、図3及び図4においては、フィルム45の表示を省略している。また、防犯センサ30は、ねじ締めに代えて熱加締め等で固定することもできる。
【0027】
つづいて、図5を参照しつつ、防犯センサ30の構成について説明する。図5は、防犯センサ30の構成を示す断面図であって、図4(a)のV−V線における断面図である。防犯センサ30のケース31は、上ケース33、中ケース34、下ケース35に分かれており、それぞれの嵌合部が溶着により互いに固定される。ケース31は、下ケース35の下面35aをフィルム45の上面45aに接触するように配置するとともに、フィルム45の下面45bを蓋体21の裏面に接触させるように、制御箱20内に配置される。
【0028】
中ケース34、下ケース35、及びフィルム45で囲まれる空間36には、圧電素子40(人感センサ)が配置されている。下ケース35においては、圧電素子40の少なくとも中心部40aがフィルム45の上面45aに接するように、圧電貫孔38が形成されている。圧電素子40は、外縁部40bが、圧電貫孔38の外周部分とフィルム45の上面45aとに挟まれて固定される。一方、圧電素子40の中央部40aは、上面が空間36へ露出していることになるため、振動し易くなり、障害がない自由な状態になっている。このようにケース31及びフィルム45で形成される空間内に圧電素子40を収容すると、ケース31の四隅からの振動による歪を確実に検知できるため、従来のように圧電素子を両面テープ等で固定する方式よりも、高い精度で検知することができる。また、圧電素子40をケース31で囲った防犯センサ30は、ネジ止め又は熱加締め等によって固定するため、経年変化により、制御箱20からおそれが少なく、高い信頼性を得ることができる。
【0029】
上ケース33と中ケース34で囲まれる空間37には、圧電素子40の検出信号を制御するとともに、圧電素子40からの出力に対応した信号を出力する制御回路としての防犯判別器73を備えた防犯基板41が配置されている。圧電素子40と防犯基板41とは、電線42の半田固定によって接続されている。
【0030】
また、防犯基板41には、電線51も接続され、監視基板50との間で電源供給及び信号出力を行う。電線51は、中ケース34と下ケース35との間に設けた挿入孔からケース31内に導入されている。電線51には、防犯基板41で行った人体接触検出処理後の信号のみが出力される。
【0031】
以上のように、本実施形態に係る防犯センサ30においては、圧電素子40と防犯基板41がケース31内に配置されていることから、短い電線42で互いに接続することができる。このため、ノイズの影響を受けにくくなり、かつ、圧電素子40の電線42の半田にストレスがかかることも少なくなる。また、防犯基板41がケース31に内蔵されたため、パチンコ台内の監視基板50に圧電素子40を制御する防犯判別器73のためのスペースを設ける必要がなくなる。なお、制御箱20を金属材料で構成すると、シールド効果によって、制御箱20内の防犯センサ30へのノイズの影響をさらに減らすことができる。
【0032】
次に、制御箱20の蓋体21に人間の手指が触れたときに、防犯センサ30に人間の手指の微振動が伝わるしくみについて図6、図7を用いて説明する。
ここで、図6は、蓋体21に人体が触れていないときの状態を示す図であって、(a)は蓋体21上に防犯センサ30をねじ39で固定した状態を示す平面図であり、(b)は(a)のVIB−VIB線における断面図である。図7は、図6における×印の中心点に人体が接触したときの状態を示す図であって、(a)は図6(a)に対応する平面図であり、(b)は(a)のVIIB−VIIB線における断面図である。
【0033】
例えば蓋体21の×印の中心点(交差点)に人間の手指62(人体)が触れると、図7の波線で示すような、×印の中心点を中心として同心状に広がるマイクロバイブレーションの振動波63が蓋体21に発生する。この振動波63は、蓋体21から、防犯センサ30の下ケース35の4箇所に貫設された取付貫孔32に伝わる。4箇所の取付貫孔32では、振動波63の中心からの距離に応じた歪が生じる。すなわち、制御箱20に人体が接触すると、接触によって生ずるマイクロバイブレーションの微振動により、制御箱20が振動し、蓋体21に固定してある防犯センサ30上の4箇所の取付貫孔32に振動波が伝わり、それぞれ異なる歪を生じる。
【0034】
ケース31では、4箇所の取付貫孔32の歪みに対応した歪みを生じ、このように変形する下ケース35とフィルム45によって挟持された圧電素子40においても4箇所の取付貫孔32の歪みに対応した歪みを生ずる。圧電素子40は、中央部40aの上面が空間36内に露出されているため変形し易くなっていることから、取付貫孔32のわずかな歪みにも対応して変形することができ、これにより人体が制御箱20に接触したことを高い精度で検知することができる。
【0035】
次に、図8、図9を参照しつつ、防犯基板41の構成と動作について説明する。ここで、図8は、防犯基板41の構成及び圧電素子40との関係を示すブロック図である。図9は、縦軸に電圧(V)、横軸に時間をとって示したグラフであって、(a)は増幅器72の出力信号例を示し、(b)は防犯判別器73の出力信号例を示す。
【0036】
図8に示すように、防犯基板41は、フィルタ71、増幅器72、及び防犯判別器73を備える。蓋体21に人体が接触したことによるマイクロバイブレーションの振動波63は、圧電素子40において電気信号に変換され、変換された電気信号は、フィルタ71にて1.0Hz〜5.0Hzの帯域のみが通過する。フィルタ71を通過した電気信号は、増幅器72において、1000倍〜10000倍に増幅される。防犯判別器73には、増幅器72によって増幅された電気信号が入力される。
【0037】
防犯判別器73は、信号が入力されていない状態、すなわち、検知を行っていない状態、及び、人体の接触を検知していない状態では、HIGHレベル信号を出力する。また、防犯判別器73は、一定時間に渡って所定波形の信号が入力され続けると、圧電素子40が人体の蓋体21への接触に対応して変形しているとして、出力信号をHIGHレベルからLOWレベルに反転する。具体的には、防犯判別器73に、図9(a)に示す1.0Hz〜5.0Hzのアナログの電気信号がある一定時間連続して入力されると、図9(b)のように、防犯判別器73の出力信号は、HIGHレベル信号からLOWレベル信号に反転する。
【0038】
このことにより、防犯センサ30が人体の接触によるマイクロバイブレーションの微振動63を検知した場合は、防犯基板41からの出力信号がHIGHレベル信号からLOWレベル信号に反転する。また、電線42が切断された場合にも、防犯判別器73への入力信号がゼロとなることに対応して、防犯判別器73の出力信号は、HIGHレベル信号からLOWレベル信号に反転する。このため、防犯センサ30が人体の接触による微振動を検知した状態と同様な信号を得ることができる。
【0039】
なお、防犯センサ30は、防犯基板41を内蔵しているため、蓋体21の裏面のほか、制御箱20の基板25に設けることも可能であり、特にROMソケット24の近傍に隣接して設けることもできるため、高い防犯効果を実現することができる。
【0040】
次に、図10、図11を参照しつつ、防犯判別器73の構成と詳細な動作について説明する。ここで、図10は、防犯判別器73の構成を示すブロック図である。図11(a)は電圧比較器74で形成されたパルスの例を示すグラフ、(b)は初期禁止回路75で形成されたパルスの例を示すグラフ、(c)は振動判別回路76で形成されたパルスの例を示すグラフ、(d)はAND回路77で形成されたパルスの例を示すグラフ、(e)はフリップフロップ78で形成されたパルスの例を示すグラフである。図11のグラフの横軸の目盛は何れも1000ms単位である。
【0041】
図10に示すように、防犯判別器73(制御回路)は、電圧比較器74、初期禁止回路75、振動判別回路76、AND回路77、及びフリップフロップ78を備える。電圧比較器74は、図9(a)に示す1.0Hz〜5.0Hzの人間の手指62からのマイクロバイブレーションの振動波63を示すアナログ波が入力されると、1.0V以下のノイズレベルの波形を除去し、1.0V以上の1波形のアナログ信号を1個のパルス信号に変換する。電圧比較器74で形成されたパルスは、初期禁止回路75、振動判別回路76及びAND回路77にそれぞれに入力される。
【0042】
電圧比較器74で形成されたパルス(図11(a))が入力された初期禁止回路75は、図11(a)の区間a1の初期パルスが入力されると、図11(b)の区間b1に示すように3000ms〜5000msの間LOWレベルとなって出力の禁止をかける。
【0043】
振動判別回路76では、人間のマイクロバイブレーションの微振動が、周波数が1.0Hz〜5.0Hzで、1000ms以内の間隔で連続されるとして、この周波数及び間隔を基準として、電圧比較器74で形成されて初期禁止回路75に入力されると同時に振動判別回路76に入力されたパルスが人体による振動か否かを判断する。具体的には、図11(a)の区間a1のパルスのように、電圧比較器74で形成されたパルスの間隔が1000ms以上のとき、人間による振動と判断せずLOWレベルとなって出力の禁止をかける。
【0044】
上述のように、初期禁止回路75には、図11(a)の電圧比較器74で形成されたパルスが入力される。初期禁止回路75は、図11(b)の区間b1のように3000ms〜5000ms間LOWレベル信号となり禁止がかかった後に、図11(b)の区間b2のようにHIGHレベル信号となると、禁止を解除して、AND回路77へ向けて電圧比較器74で形成されたパルスを通過させる。同様に振動判別回路76では、入力された信号が、図11(a)の区間a2のパルスのようにパルス間隔が1000ms以内のパルスが入力されれば、図11(c)の区間c1のパルスのようなHIGHレベル信号となりAND回路77に電圧比較器74で形成されたパルスを通過させる。
【0045】
AND回路77は、初期禁止回路75からの入力パルスと振動判別回路76からの入力パルスがともにHIGHレベル信号であるとき、すなわち図11(b)の区間b3と図11(c)の区間c2が重なった図11(d)の区間d1において、電圧比較器74の出力パルスを通過させる。AND回路77からの出力パルスはフリップフロップ78に入力される。
【0046】
フリップフロップ78は、AND回路77からのパルスの最初の立上り信号により、図11(e)のように出力がHIGHレベル信号からLOWレベル信号に反転する(図11(e)の区間e1)。フリップフロップ78は、出力信号がいったんHIGHレベルからLOWレベルに反転すると、防犯センサ30の電源を切らない限りLOW信号を保つ。このようにして、防犯判別器73は、HIGHレベル信号からLOWレベル信号への信号の反転によって、蓋体21への人体の接触を検知することができる。また、フリップフロップ78自体が防犯センサ30に内蔵されているため、外部から容易にリセットすることができないため高い信頼性を確保することができる。
【0047】
上述のようにフリップフロップ78の出力すなわち防犯判別器73の出力がHIGHレベル信号からLOWレベル信号に反転すると、電線51にて接続された監視基板50に対して、制御箱20の蓋体21に人体が触れたことを知らせる検知信号が出力される。本実施形態に係る防犯センサ30では、ノイズの影響を受け易い圧電素子40、防犯基板41、及びこれらを接続する電線42がケース31内に収容されており、さらに、防犯センサ30に接続される電線51には、ノイズの影響を受けることが無いデジタルのHIGHレベル信号かLOWレベル信号のみが供給されるため、人体の接触検知について誤動作することがなくなる。
【0048】
次に、図12を参照しつつ、監視基板50について説明する。図12は、監視基板50の構成及び防犯センサ30との関係を示すブロック図である。
監視基板50には、防犯センサ30を駆動させる電源部79と、防犯センサ30の出力信号の状態を知らせる表示部80と、を備える。表示部80としては、例えば液晶、表示灯を用いる。液晶を用いた場合は人体の接触を知らせる文字・画像表示が可能である。表示灯としては、電球やLEDを用いることができる。ここで、表示部80は、蓋体21への人体の接触を知らせる警報手段であり、警報手段としては、表示して知らせるもののほか、警報音声を発生するスピーカを設けることができる。なお、監視基板50及び電線51は、制御箱20内に収容させることもできる。
【0049】
監視基板50では、防犯センサ30の出力線と表示部80との間に抵抗81を介在させて、グランドに抵抗81でPULL DOWNしておくことにより、電線51が切断された場合でもHIGHレベル信号からLOWレベル信号に反転させることができる。このことにより、出力信号は、人間の手指62からの振動を検知したこきと、電線51を切断されたときと同様な反転信号を得ることができる。
【0050】
上述のように、1.0Hz〜5.0Hzの手指の振動が1000msより長い間隔で発せられたときは、振動判別回路76からのHIGHレベル信号は途切れる。また、ノイズと考えられる1.0Hz〜5.0Hz以外の連続するパルスは、フィルタ71及び電圧比較器74で、1.0Hz〜5.0Hz以内の単発のパルスは、初期禁止回路75により、それぞれ波形制御されてAND回路77から出力されない。したがって、人体の接触による微振動とそれ以外の振動を容易かつ確実に判別することができる。
【0051】
なお、上記実施形態では、初期禁止回路75で3000ms〜5000ms間の禁止、振動判別回路76で1000msのパルスを出力するように数値を設定したが、この数値は一例であって、検知精度の設定、人間の体質等でいかようにも変更できる。
【0052】
以上、本発明を上述の実態の形態により説明したが、例えば、防犯センサとして制御箱の近傍に設けるだけでなく、例えばパチンコ台板上塗布多胎の裏面側のように複数個も設けるなど、本発明の趣旨の範囲内で種々の変形や応用を本発明の範囲から排除するものではない。
【0053】
また、上述の実施形態では、ケース31及びフィルム45で形成された空間内に圧電素子40を配置していたが、これに代えて、図13に示すように、フィルム45を用いずに、ケース31内に収容している。ここで、図13は、この変形例に係る防犯センサ30の構成を示す断面図であって、図5に対応する図である。
【0054】
図13に示す変形例では、ケース31は、フィルム45を介することなく、制御箱20の蓋体21の裏側にねじ止め固定される。圧電素子40は、少なくとも中心部40aが防犯センサ30の外部に露出する。
これ以外の構成、作用、効果は上述の実施形態と同様である。
【0055】
また、上述の防犯センサ30では人感センサとして圧電素子40を用いたが、これに代えて、微振動以外の特性(例えば電気抵抗、電流値)の変化によって人体の接触を検知してもよい
【0056】
以上のように構成されたことから、上記実施形態によれば、次の効果を奏する。
(1)HIGHレベル信号からLOWレベル信号への信号の反転によって、蓋体21への人体の接触を検知することができることから、ノイズの影響を受けることがなくなり、動作なく、人体の接触検知を行うことができる。よって、ROM23の不正な交換を効果的に防止することができる。
(2)人感センサとしての圧電素子40、及び、制御回路としての防犯判別器73を備える防犯基板を、ケース31及びフィルム45で形成される空間内に収容したことにより、対象物としての制御箱20、蓋体21、又はその周辺のノイズによる影響を抑えて、検知の誤動作を防ぎつつ、確実かつ精度よく人体接触を検知することができる。また、記憶媒体としてのROM23の交換、又は、長期の使用、によって、検知性能の低下、及び、外部からのストレスによる破壊を防止することができる。さらに、検知性能を低下させることなく、制御箱の配置の自由度を高く維持しつつ、低コストで防犯センサ30を提供することができる。
【0057】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る防犯センサを備えたパチンコ台を正面上方から見た斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るパチンコ台の裏側の構成を示す背面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るパチンコ台の裏側の構成を示す面であって、図2のIII−III線における断面図である。
【図4】(a)は、本発明の実施形態に係る防犯センサ、監視基板、及び電線の構成を示す平面図であり、(b)は、防犯センサ、監視基板、及び電線の構成を示す側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る防犯センサの構成を示す断面図であって、図4(a)のV−V線における断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る制御箱の蓋体に人体が触れていないときの状態を示す図であって、(a)は蓋体上に防犯センサをねじで固定した状態を示す平面図であり、(b)は(a)のVIB−VIB線における断面図である。
【図7】図6における×印の中心点に人体が接触したときの状態を示す図であって、(a)は図6(a)に対応する平面図であり、(b)は(a)のVIIB−VIIB線における断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る防犯基板の構成及び圧電素子との関係を示すブロック図である。
【図9】縦軸に電圧(V)、横軸に時間をとって示したグラフであって、(a)は増幅器の出力信号例を示し、(b)は防犯判別器の出力信号例を示すグラフである。
【図10】本発明の実施形態に係る防犯判別器の構成を示すブロック図である。
【図11】(a)は電圧比較器で形成されたパルスの例を示すグラフ、(b)は初期禁止回路で形成されたパルスの例を示すグラフ、(c)は振動判別回路で形成されたパルスの例を示すグラフ、(d)はAND回路で形成されたパルスの例を示すグラフ、(e)はフリップフロップで形成されたパルスの例を示すグラフである。
【図12】本発明の実施形態に係る監視基板の構成及び防犯センサとの関係を示すブロック図である。
【図13】本発明の変形例に係る防犯センサの構成を示す断面図であって、図5に対応する図である。
【符号の説明】
【0059】
10 パチンコ台(遊技機)
11 パチンコ台板
12 ノブ
13 玉受け台
20 制御箱(対象物)
21 蓋体(対象物)
23 ROM(記憶媒体)
24 ROMソケット
25 基板
30 防犯センサ(検知装置)
31 ケース
32 取付貫孔
33 上ケース
34 中ケース
35 下ケース
35a 下面
36 空間
37 空間
38 圧電貫孔
39 ねじ
40 圧電素子(人感センサ)
40a 中央部
40b 外縁部
41 防犯基板
42 電線
45 フィルム
45a 上面
45b 下面
50 監視基板
51 電線
62 手指
63 振動波
71 フィルタ
72 増幅器
73 防犯判別器(制御回路)
74 電圧比較器
75 初期禁止回路
76 振動判別回路
77 AND回路
78 フリップフロップ
79 電源部
80 表示部(警報手段)
81 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対する人体の接触を検知する人感センサと、
前記人感センサからの出力に対応して、前記人感センサが前記人体の接触を検知していないときに、前記人体の接触を検知しているときよりも高いレベルの信号を出力する制御回路と、
を備え、前記制御回路の出力信号が高いレベルから低いレベルに変わることによって人体の接触を検知することを特徴とする検知装置。
【請求項2】
前記人感センサはケース及びフィルムで形成される空間内に収容される請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記制御回路は前記ケース及びフィルムで形成される空間内に収容される請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記フィルムはポリイミドを含む請求項2又は請求項3に記載の検知装置。
【請求項5】
前記人感センサはケース内に収容される請求項1に記載の検知装置。
【請求項6】
前記ケースは前記対象物の内部に固定されている請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項7】
前記ケースは、ネジ締め又は熱加締めにより、前記対象物の内部に固定されている請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項8】
前記人感センサが前記人体の接触を検知したときに警報を発生する警報手段を備える請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項9】
前記人感センサは圧電素子を含む請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項10】
前記対象物は、遊技機の動作を制御するデータを記憶した記憶媒体を内部に収容する請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項11】
前記対象物は自動車のボディである請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項12】
前記対象物はコントロールボックスである請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−183464(P2009−183464A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26593(P2008−26593)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000103493)オータックス株式会社 (14)
【出願人】(595127610)イサオ電機株式会社 (5)
【出願人】(501488550)株式会社ユウキ電線 (1)
【Fターム(参考)】