説明

検索が容易な通話録音方法

【課題】検索キーとしての文字データを入力することなく、蓄積されている多数の通話録音の中から、目的の通話録音を簡単に検索できる録音方法を提供する。
【解決手段】通話録音/再生部21が通話録音中に、表示部12に表示されている所定のデータが指定された場合、通話録音データ管理部20は、当該通話録音を、電話帳データ蓄積部30,スケジュールデータ蓄積部40,電子メール通信制御部50のいずれかのデータと関連付けて通話録音データ蓄積部22に蓄積する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話装置内の電話帳データまたはスケジュールデータまたは電子メールデータと関連付けて通話録音を蓄積する録音方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な録音装置が備える通話録音機能は、録音した通信相手との通話録音を録音日時順に蓄積し、検索は録音日時または通信相手の名前もしくは電話番号で検索するので、録音日時や通信相手が不詳な通話録音を、蓄積されている多数の通話録音の中から検索することは容易ではなかった。
【0003】
これを改善する手段として、コールセンタ等の通話録音システムでは、オペレータが専用端末を操作して通話の概要を文字データとして入力し、録音通話音声と関連付けて蓄積する技術がある(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、コールセンタ等で使用される高機能な通話録音装置向けであって、文字入力機能が低い一般的な録音装置に適用できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−12339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、検索キーとしての文字データを入力することなく、蓄積されている多数の通話録音の中から、目的の通話録音を簡単な操作で検索することができる録音方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、通話音声を録音する通話録音手段、および電話帳データを蓄積する電話帳データ蓄積手段またはスケジュールデータを蓄積するスケジュールデータ蓄積手段または送受信した電子メールデータを蓄積する電子メールデータ蓄積手段のいずれか1以上の手段を具備する録音装置における通話録音方法であって、通話録音を開始した時に前記電話帳データ蓄積手段またはスケジュールデータ蓄積手段または電子メールデータ蓄積手段に蓄積しているいずれかのデータを表示していた場合、または通話録音中もしくは通話録音を終了した後の一定時間以内に前記いずれかのデータを指定する予め定められたデータ指定操作が為された場合に、前記表示していたまたは指定されたデータと当該通話録音を関連付けて蓄積する通話録音蓄積ステップと、前記電話帳データ蓄積手段またはスケジュールデータ蓄積手段または電子メールデータ蓄積手段が蓄積しているいずれかのデータを表示する際に、当該データと関連付けて蓄積している通話録音に係る情報を付加して前記録音装置が備える表示手段に表示する、または前記通話録音蓄積手段に蓄積している通話録音に係る情報を前記表示手段に表示する際に、当該通話録音と関連付けられている前記いずれかのデータに係る情報を付加して前記表示手段に表示する表示ステップと、前記表示中の通話録音に係る情報のいずれかを特定する操作が為された場合に、前記操作に対応する通話録音の再生を開始する通話録音再生ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自装置の操作者が使い慣れた電話帳機能やスケジュール機能や電子メール機能に係る操作で関連する通話録音を検索できるので、検索キーとしての文字データを入力することなく、多数の蓄積されている通話録音の中から、目的の通話録音を簡単な操作で検索することができる録音方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】・・・本発明の実施形態に係るブロック構成図
【図2】・・・本発明の実施形態に係る通話録音データの例
【図3】・・・本発明の実施形態に係る関連データの表示例
【図4】・・・本発明の実施形態に係る通話録音リストの表示例
【図5】・・・本発明の実施形態に係るフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る電話装置(以下、本装置と略す)1のブロック構成図であって、10は本装置の全体を制御する電話制御部、11は送受話に係るハンドセット、12は各種データを表示する表示部、13はテンキーやファンクションキー等のキー操作部、20は通話録音データ管理部、21は通話録音/再生部、22は通話録音データ蓄積部、30は電話帳データ蓄積部、40はスケジュールデータ蓄積部、50は電子メールデータ蓄積部である。
【0011】
通話録音データ管理部20は、通話録音/再生部21を制御すると共に、通話録音データ蓄積部22に蓄積されている通話録音を、電話帳データ蓄積部30またはスケジュールデータ蓄積部40または電子メールデータ蓄積部50に蓄積されているいずれかのデータと関連付けて管理する。
【0012】
電話帳データ蓄積部30は、通信相手の氏名,電話番号,電子メールアドレス等に係るデータを蓄積する手段である。スケジュールデータ蓄積部40は、本装置1の操作者が登録するスケジュールデータを蓄積する手段である。電子メールデータ蓄積部50は、通信相手と送受信した電子メールデータを蓄積する手段である。
【0013】
本装置1は、電話回線または構内交換機に接続される単体電話機またはボタン電話主装置に接続される内線電話機等であり、机上に設置される固定電話機でもよいし、携帯して持ち歩ける携帯電話機であってもよい。なお、図1において、本装置1は、電話帳データ蓄積機能またはスケジュールデータ蓄積機能または電子メール通信機能を装備した例のブロック構成を示しているが、本発明は、これらのいずれか1以上の機能を備えていればよい。
【0014】
図2は、本装置1の通話録音データ蓄積部22に蓄積されている通話録音データの例である。201は録音日時の情報を蓄積する列、202は録音した通話録音を識別する識別番号を蓄積する列、203は通話録音した相手の名前や電話番号を蓄積する列、204は録音して符号化された音声データを蓄積する列、205は通話録音と関連付けられたデータを蓄積する列である。そして、210〜213の各行は各通話録音に対応する。例えば、図2の行210の通話録音の例は、10月9日に相手Xとの通話を録音したもので、10月10日のスケジュールデータと関連付けられていることを示す。
【0015】
図3は、図2の通話録音データの例に対応して、スケジュール一覧を表示部12に表示させた表示画面例であり、301〜303は各日時のスケジュールの表示例、311,313は関連付けられた通話録音の表示例である。例えば、図2の行210、行211の通話録音は、スケジュール表示301と303の横に、通話録音#1,#2として、関連する通話録音の存在が表示される。
【0016】
そして、#1をキー操作部13から押下すれば、#1に対応する通話録音210が再生される。以上により、録音日時が不詳な場合でも、どのスケジュールに関連した通話録音かを憶えていれば、通話録音の検索は容易である。
【0017】
この通話録音と各データの関連付けは、例えば、スケジュールを表示部12に表示させて、それを見ながら通話録音し、所定の操作をすることで関連付けられる。または、関連付けなしに蓄積し、後から特定のデータと関連付けすることも可能である。
【0018】
なお、一つのデータに多数の通話録音を関連付けることも可能であり、その場合は通話録音数を表示させて、所定の操作をした場合に、そのスケジュールに対応した通話録音を全表示またはスクロール表示すればよい。すなわち、本機能により、大量の通話録音の中から当該スケジュールに関連する通話録音を抽出することが出来る。
【0019】
以下同様に、電話帳データや電子メールデータを表示する際も、関連付けられた通話録音の存在が表示され、どのデータに関連した通話録音かを憶えていれば、通話録音の検索は容易である(図示せず)。
【0020】
図4は、図2の通話録音データの例に対応して、通話録音リストを表示部12に表示させた画面例であり、400〜402は、図2の210〜212の通話録音に係る情報の表示例であり、各表示の横に関連データ410〜412が表示される。
【0021】
従って、通話録音にタイトルが付いていなくても、関連データ410〜412の存在により、通話録音の内容で推定でき、所望の通話録音をサーチし易い。
【0022】
なお、一つの通話録音に多数のデータを関連付けることも可能であり、その場合は多数の関連データが存在することを表示させて、所定の操作をした場合に、その多数の関連データを全表示またはスクロール表示すればよい。
【0023】
図5は本装置1の動作フローチャートである。以下、図1を併用して本装置1の動作フローを説明する。本フローは電源が投入された段階でスタートする(S500)。キー操作部13から通話録音を開始する操作が為されると(S510,YES)、電話制御部10は通話録音データ管理部20を介して通話録音/再生部21を起動する。起動した通話録音/再生部21は、通話中の音声を録音開始し(S511)、電話制御部10から入力する通話音声データ(例えばPCMデータ)を圧縮符号化して通話録音データ蓄積部22に入力する。なお、図示しないが、録音終了のキー操作が為された場合、または当該通信が終了した場合に、S510で開始した通話録音は終了する。
【0024】
通話録音データ管理部20は、一連の録音開始から録音終了までのデータを通話録音の単位として管理し、通話録音データ蓄積部22に蓄積した各通話録音に、図2に示した録音日時201と識別番号202と相手203に係る情報を自動的に付与して管理する。
【0025】
そして、通話録音を開始した後に(S511)、電話帳/スケジュール/電子メールのいずれかの関連付けるべきデータが表示部12に表示された場合(S512,YES)、通話録音データ管理部20は、録音中の通話録音とそのデータを関連付ける(S513)。S512でNOであれば、S514に進み、通話録音中または通話録音が終了してから一定時間(例えば1分)以内であれば(S514,NO)、S512に戻る。これにより、一つの通話録音に対して複数のデータを関連付け可能である。通話録音が終了してから一定時間が経過するとS510に戻る。
【0026】
S512で関連付けるデータを表示させる方法は、通話録音中にキー操作部13を操作して関連付けるデータを表示させればよい。例えば、図3に示したスケジュール一覧を表示し、特定のスケジュールをキー操作部13のテンキーでスケジュール番号を押下する、もしくは表示データの部位を矢印キー操作でポインティングすればよい。
【0027】
なお、関連付けるデータは、通話録音を開始する以前に予め表示していてもよい。また、関連付けるデータが指定されない場合は、そのまま関連データ無しとして通話録音データ蓄積部22に蓄積される。そして、後から、関連データを指定または変更することも可能である(図示せず)。
【0028】
キー操作部13から通話録音データの表示に係る操作が為されると(S520,YES)、通話録音データ管理部20は通話録音データ蓄積部22に蓄積されている通話録音の管理データを電話制御部10へ送り、電話制御部10は図4に示したような通話録音の一覧を表示部12に表示すると共に(S521)、各通話録音と関連付けられた関連データに係る情報も表示する(S522)。
【0029】
表示されたデータを見た操作者が、特定の通話録音を指定するキー操作をすると(S523,YES)、通話録音データ管理部20は指定された通話録音データを通話録音データ蓄積部22から通話録音/再生部21へ転送させ、通話録音/再生部21は圧縮符号化された通話録音データを復号して、電話制御部10を介してハンドセット11または拡声スピーカ(図示せず)から音声再生する(S524)。
【0030】
キー操作部13から、電話帳/スケジュール/電子メールのいずれかのデータ表示に係る操作が為されると(S530,YES)、電話制御部10は電話帳/スケジュール/電子メールのいずれかに係るデータの一覧を表示部12に表示する(S531)。そして、表示した各データと関連付けられた通話録音に係る情報も表示する(S532)。例えば、図3に示したようなスケジュール一覧である。
【0031】
表示されたデータを見た操作者が、電話帳/スケジュール/電子メールのいずれかのデータと関連付けられた通話録音を指定するキー操作をすると(S533,YES)、通話録音データ管理部20は指定された通話録音データを通話録音データ蓄積部22から通話録音/再生部21へ転送させ、通話録音/再生部21は通話録音データを復号して、電話制御部10を介してハンドセット11または拡声スピーカ(図示せず)から音声再生する(S534)。
【0032】
以上説明した通り、本発明によれば、電話帳/スケジュール/電子メールのいずれかのデータと関連付けて各通話録音を管理するので、検索すべき通話録音の内容に関連しそうな電話帳/スケジュール/電子メールのいずれかのデータを検索すればよい。
【0033】
例えば、相手Zと電話した時の通話録音を検索したいのであれば、電話帳データを表示して相手Zに関連付けられた通話録音をサーチすればよい(図示せず)。これにより、膨大な通話録音や通話履歴から日時等を目で追って検索するよりも効率的である。
【0034】
また、例えば、会議A(図3のスケジュール301)に関連する通話録音を検索するのであれば、スケジュール一覧を表示してサーチすればよい。この場合、会議Aと関連付けられた多数の通話録音があれば、それらを時系列的に連続再生することも可能である。この場合、それらの通話録音に「会議A」というタイトルを付与したのと同じ効果がある。さらに、スケジュール確認のついでに、関連付けられた通話録音の存在に気付く効果もある。
【0035】
同様に、例えば、電子メール(Z)に関連して電話した相手Zとの通話を録音した通話録音を検索したいのであれば、電子メール一覧を表示してサーチすればよい(図示せず)。
【0036】
いずれにしても、自装置の操作者が使い慣れた電話帳機能/スケジュール機能/電子メール機能に係る操作で関連する通話録音を検索できるので、検索キーとしての文字データを入力することなく、多数の蓄積されている通話録音の中から、目的の通話録音を簡単な操作で検索することができる。
【0037】
ところで、実施形態において、本装置1は、ハンドセット11、表示部12、キー操作部13を有する電話装置として説明したが、本装置はこれに限定されない。例えば、内線電話機を収容するボタン電話主装置や構内交換装置、さらに通話録音機能を有するパーソナルコンピュータ等の情報機器であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1・・・本発明に係る実施形態の電話装置
10・・・電話制御部
11・・・ハンドセット
12・・・表示部
13・・・キー操作部
20・・・通話録音データ管理部
21・・・通話録音/再生部
22・・・通話録音データ蓄積部
30・・・電話帳データ蓄積部
40・・・スケジュールデータ蓄積部
50・・・電子メールデータ蓄積部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話音声を録音する通話録音手段、および電話帳データを蓄積する電話帳データ蓄積手段またはスケジュールデータを蓄積するスケジュールデータ蓄積手段または送受信した電子メールデータを蓄積する電子メールデータ蓄積手段のいずれか1以上の手段を具備する録音装置における通話録音方法であって、
通話録音を開始した時に前記電話帳データ蓄積手段またはスケジュールデータ蓄積手段または電子メールデータ蓄積手段に蓄積しているいずれかのデータを表示していた場合、または通話録音中もしくは通話録音を終了した後の一定時間以内に前記いずれかのデータを指定する予め定められたデータ指定操作が為された場合に、前記表示していたまたは指定されたデータと当該通話録音を関連付けて蓄積する通話録音蓄積ステップと、
前記電話帳データ蓄積手段またはスケジュールデータ蓄積手段または電子メールデータ蓄積手段が蓄積しているいずれかのデータを表示する際に、当該データと関連付けて蓄積している通話録音に係る情報を付加して前記録音装置が備える表示手段に表示する、または前記通話録音蓄積手段に蓄積している通話録音に係る情報を前記表示手段に表示する際に、当該通話録音と関連付けられている前記いずれかのデータに係る情報を付加して前記表示手段に表示する表示ステップと、
前記表示中の通話録音に係る情報のいずれかを特定する操作が為された場合に、前記操作に対応する通話録音の再生を開始する通話録音再生ステップと、を有することを特徴とする検索が容易な通話録音方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−110761(P2013−110761A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−21206(P2013−21206)
【出願日】平成25年2月6日(2013.2.6)
【分割の表示】特願2009−254441(P2009−254441)の分割
【原出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】