説明

検索型カラー暗号化ファイルの構成方法および検索型カラー暗号化ファイルシステム

【課題】カラーを利用した暗号化技術でキー検索技術を付加し、カラー暗号化ファイルの保管および取り扱い上の利便性を向上できる検索型カラー暗号化ファイルの構成方法および検索型カラー暗号化ファイルシステムを提供する。
【解決手段】検索型カラー暗号化ファイルの構成方法は、文書ファイル31Aを情報変換型カラー暗号化の処理83に基づいてカラー画像ファイル52Bに変換し、同じ文書ファイル31Aの中からテキスト抽出の処理61によって抽出されたテキストファイル31A−1を、情報置換型のカラー変換の処理62に基づいてカラー画像ファイル52Aに変換し、結合処理86により、新たなカラー画像ファイル52Cが作成される。そして、結合されたカラー結合ファイル52Cに対してカラーキー75を用いてカラーキー検索の処理71が実行され、カラー画像ファイルの検索リスト73が作成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーを利用した情報置換型の変換要素に基づき作成されたカラー画像ファイルの領域でキー検索を行うことができる検索型カラー暗号化ファイルの構成方法、および検索型カラー暗号化ファイルシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先に、カラーを利用した暗号化方法および暗号化装置を提案した(特許文献1)。この暗号化方法等では、従来のパソコン等のコンピュータシステムで取り扱われているコンピュータオブジェクト(文書、設計図等のファイル)を、当該コンピュータシステム等の上で暗号化する発明であり、カラーデータを利用してデータとして認識できない常態に変換してコンピュータシステム等のメモリ上に常置する。上記のコンピュータオブジェクトは、RGB等に基づくカラーコードに基づいて作られるカラー画像ファイルに変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−139722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、コンピュータ上の暗号化技術では、従来、暗号化ファイルのままでキー検索を行うことができない。当該暗号化技術では、本来的に情報漏洩防止のための技術である。しかし、利便性を考慮すると、暗号化されたファイルのままでキー検索を行えることが望ましい。暗号化技術にキー検索技術を付加し、利便性を向上することが望まれる。
【0005】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、カラーを利用した暗号化技術においてキー検索技術を付加し、カラー暗号化ファイルの保管および取り扱い上の利便性を向上することができるようにした検索型カラー暗号化ファイルの構成方法および検索型カラー暗号化ファイルシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る検索型カラー暗号化ファイルの構成方法および検索型カラー暗号化ファイルシステムは、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0007】
本発明に係る検索型カラー暗号化ファイルの構成方法は、
複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々を、情報置換型のカラー変換処理に基づき、カラー画像ファイルに変換するステップと、
カラー変換処理で作成された複数のカラー画像ファイルを保存メモリに保存するステップと、
保存メモリに保存された複数のカラー画像ファイルをカラーキーで検索するステップと、
検索でヒットしたカラー画像ファイルのリストを作成するステップと、
を有することを特徴とする。
【0008】
上記の検索型カラー暗号化ファイルの構成方法において、複数の文書ファイルまたは図面ファイルを検索するための検索キーを、情報置換型のカラー変換処理に基づいてカラー変換することにより、カラーキーを作成するステップを有することを特徴とする。
【0009】
上記の検索型カラー暗号化ファイルの構成方法において、情報置換型のカラー変換処理を行うための手段はONC対応表に基づいて作成されることを特徴とする。
【0010】
他の本発明に係る検索型カラー暗号化ファイルの構成方法は、
複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々を、情報変換型のバイナリ式のカラー変換処理に基づき、第1のカラー画像ファイルに変換するステップと、
複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々を、情報置換型のカラー変換処理に基づき、第2のカラー画像ファイルに変換するステップと、
複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々について、第1のカラー画像ファイルと第2のカラー画像ファイルとを結合して第3のカラー画像ファイルを作成するステップと、
複数の第3のカラー画像ファイルを保存メモリに保存するステップと、
保存メモリに保存された複数の第3のカラー画像ファイルをカラーキーで検索するステップと、
検索でヒットした第3のカラー画像ファイルのリストを作成するステップと、
を有することを特徴とする。
【0011】
さらに他の本発明に係る検索型カラー暗号化ファイルの構成方法は、
キー検索ができない複数の非文書ファイルの各々を、情報変換型のバイナリ式のカラー変換処理に基づき、第1のカラー画像ファイルに変換するステップと、
複数の非文書ファイルに、関連するテキスト文を付与するステップと、
複数のテキスト文付き非文書ファイルの各々を、情報置換型のカラー変換処理に基づき、第2のカラー画像ファイルに変換するステップと、
複数の非文書ファイルの各々について、第1のカラー画像ファイルと第2のカラー画像ファイルとを結合して第3のカラー画像ファイルを作成するステップと、
複数の第3のカラー画像ファイルを保存メモリに保存するステップと、
保存メモリに保存された複数の第3のカラー画像ファイルをカラーキーで検索するステップと、
検索でヒットした第3のカラー画像ファイルのリストを作成するステップと、
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る検索型カラー暗号化ファイルシステムは、
1つのコンピュータもしくはその周辺装置で、または、通信回線で接続された複数のコンピュータから成るコンピュータシステムで用いられる検索型カラー暗号化ファイルシステムであり、
複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々を、情報置換型のカラー変換処理に基づき、カラー画像ファイルに変換する変換手段と、
カラー変換処理で作成された複数のカラー画像ファイルを保存メモリに保存する保存手段と、
保存メモリに保存された複数のカラー画像ファイルをカラーキーで検索する検索手段と、
検索でヒットしたカラー画像ファイルのリストを作成するリスト作成手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
上記の構成において、カラーキーは、複数の文書ファイルまたは図面ファイルを検索するための検索キーを、情報置換型のカラー変換処理に基づいてカラー変換することにより、作成されることを特徴とする。
【0014】
上記の構成において、情報置換型のカラー変換処理を行うための手段はONC対応表であることを特徴とする。
【0015】
他の本願発明に係る検索型カラー暗号化ファイルシステムは、
複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々を、情報変換型のバイナリ式のカラー変換処理に基づき、第1のカラー画像ファイルに変換する第1変換手段と、
複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々を、情報置換型のカラー変換処理に基づき、第2のカラー画像ファイルに変換する第2変換手段と、
複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々について、第1のカラー画像ファイルと第2のカラー画像ファイルとを結合して第3のカラー画像ファイルを作成する結合手段と、
複数の第3のカラー画像ファイルを保存メモリに保存する保存手段と、
保存メモリに保存された複数の第3のカラー画像ファイルをカラーキーで検索する検索手段とと、
検索でヒットした第3のカラー画像ファイルのリストを作成するリスト作成手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
他の本願発明に係る検索型カラー暗号化ファイルシステムは、
キー検索ができない複数の非文書ファイルの各々を、情報変換型のバイナリ式のカラー変換処理に基づき、第1のカラー画像ファイルに変換する第1変換手段と、
複数の非文書ファイルに、関連するテキスト文を付与する付与手段と、
複数のテキスト文付き非文書ファイルの各々を、情報置換型のカラー変換処理に基づき、第2のカラー画像ファイルに変換する第2変換手段と、
複数の非文書ファイルの各々について、第1のカラー画像ファイルと第2のカラー画像ファイルとを結合して第3のカラー画像ファイルを作成する結合手段と、
複数の第3のカラー画像ファイルを保存メモリに保存する保存実行手段と、
保存メモリに保存された複数の第3のカラー画像ファイルをカラーキーで検索する検索手段と、
検索でヒットした第3のカラー画像ファイルのリストを作成するリスト作成手段と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
上記において、ONC対応表のオブジェクトリストの部分に文字コードを用いることを特徴とする。
【0018】
上記において、ONC対応表のオブジェクトリストの部分に所定数の語データを含む辞書を用いることを特徴とする。
【0019】
上記において、ONC対応表のオブジェクトリストの部分にファイルフォーマットと文字コードからなる要素を用いることを特徴とする。
【0020】
上記において、ONC対応表のオブジェクトリストの部分に、ファイルフォーマットと所定数の語データを含む辞書とからなる要素を用いることを特徴とする。
【0021】
上記において、文書ファイルまたは図面ファイルがバイナリ形式をとる場合、文書ファイルまたは図面ファイルから、ファイルフォーマットに対応する文書フィルタによってテキスト文を抽出し、その後に、ONC対応表に基づいて、複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々をカラー画像ファイルに変換することを特徴とする。
【0022】
上記において、ONC対応表に基づいて、テキスト文のテキストオブジェクトをカラー数値を経由してカラーに変換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、次の効果を奏する。
(1)コンピュータで取り扱われる文書ファイル等(オブジェクトファイル)をカラーデータを利用してデータ内容を認識できない常態に変換しコンピュータ上に常置するようにしたカラー暗号化技術において、情報置換型の変換機能を利用して検索用カラーキーを作ることにより、暗号ファイルであるカラー画像ファイルのままでキー検索を行うことができ、利便性を向上することができ、カラー暗号化技術にキー検索可能の付加価値を付与することができる。
(2)カラーを利用した暗号化技術においてキー検索技術を付加したため、カラー暗号化ファイルの保管および取り扱い上の利便性を向上することができる。
(3)またテキスト検索ができなかった従来の非文書ファイルも、カラー暗号化されたカラー画像ファイルにおいてテキスト検索を行うことができるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る検索型カラー暗号化ファイルの構成方法等が組み込まれるコンピュータ等のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】コンピュータ等の要部構成を機能的な面で示したブロック図である。
【図3】コンピュータ等におけるコンピュータオブジェクトとカラーデータの間の変換と逆変換を図解するための全体的なシステム構成図である。
【図4】離れた場所にある2つのコンピュータの間でカラー画像ファイルをやり取りするための構成図である。
【図5】カラー変換処理の2つのタイプ(情報変換型と情報置換型)を対比して示す図表である。
【図6】コンピュータ上で実行されるカラー変換技術を説明するためのブロック構成図である。
【図7】文書ファイルをカラー画像ファイルに変換するプロセスを説明するフローチャートである。
【図8】コンピュータ上で、カラー変換技術で作成されかつ保存管理される多数のカラー画像ファイルについてカラーキー検索を実行するための構成を示すブロック図である。
【図9】カラーキー検索に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】カラー変換技術によるカラー暗号化の処理の流れとカラーキー検索の処理の流れとを併せて示したフローチャートである。
【図11】情報変換型のカラー暗号化に基づく文書ファイルとカラー画像ファイルとの間の変換と復号化の関係を示すフローチャートである。
【図12】1つの文書ファイルに対して情報変換型のカラー暗号化と情報置換型のカラー暗号化とを行うカラー暗号化の処理の流れと、カラーキー検索の処理の流れとを併せて示したフローチャートである。
【図13】非文書ファイルに対するカラー暗号化の処理の流れと、カラーキー検索の処理の流れとを併せて示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る検索型カラー画像ファイルシステムが実現されるコンピュータの装置構成を示す。なお当該コンピュータでは、前提として、カラーを用いた暗号化方法が実施される装置構成(暗号化装置)が組み込まれている。図2は同コンピュータの機能構成の要部を示すブロック図を示す。
【0027】
図1および図2は、コンピュータネットワークをベースとした閉じたコンピュータシステム(コンピュータ・クローズド・システム)の中の1つのコンピュータ10を示している。コンピュータ10は、バス11を介して相互に接続されたCPU(中央処理装置)12、メモリ13、入出力制御部14を備える。さらに入出力制御部14には、保存メモリとしてのハードディスク(HD)21、出力装置としての例えばディスプレイ22、入力装置としての例えばキーボード23、携帯型の記録媒体24、外部装置との間でインターネットを経由して信号送受(通信)を行うためのインターネット・インターフェース(インターネットI/F)25が接続されている。なおインターネット・インターフェース25は一般的に通信部であってもよい。
上記の記録媒体24の種類としては、例えばフレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、DVD、USBメモリ等である。これらの記録媒体24は、それぞれ、ドライバ等を介してコンピュータ10にセットされる。
これらの要素21〜25は、入出力制御部14およびバス11を介してCPU12等との間でデータの送受を行う。外部装置は、少なくとも1台の他のコンピュータ26である。コンピュータ10と他のコンピュータ26の間では、インターネットやLAN等の通信回線27を介してプログラムやデータ等のデータ・情報の送受を行えるように通信可能になっている。
【0028】
上記の構成において、メモリ13はメインメモリであり、CPU12によって演算処理されたデータまたは演算処理が継続されるデータを一時的に保持するワーキングメモリを含んでいる。ハードディスク21は、CPU12により演算処理で作成されメモリ13で一時的に保持されたデータを保存するための保存メモリである。また記録媒体24は、外部メモリであって、携帯型の保存メモリとして機能する。
【0029】
図1で示したハードウェア構成を有するコンピュータ10をその機能構成の観点で表すと、図2に示すごとくなる。
【0030】
図2においてブロック10は上述したコンピュータを指している。さらに図2で、ブロック31は例えばメモリ13やハードディスク21等に保持されるデータ等の総体を示している。ブロック31のデータ等は、コンピュータ10で取り扱われる文書、文字、記号、図形、数式、画像、音声等の個々のデータや情報(プログラムを含む)である。当該データ等は前述した「コンピュータオブジェクト」であり、ブロック31には「コンピュータオブジェクト」と記載している。
なおコンピュータオブジェクト31は、コンピュータ10の周辺装置、関連する諸種の装置、または通信回線で接続された複数のコンピュータから成るコンピュータシステム等においても取り扱われることが可能な対象である。
【0031】
コンピュータオブジェクト31は、PC(Personal Computor)等のコンピュータで、通常的に、または常態的に、認識可能な状態で存在している。コンピュータオブジェクト31は、コンピュータ10で通常的に扱われるデータファイル(オブジェクトファイル)を構成している。
上記のデータファイル(オブジェクトファイル)の種類は、第1の分類の仕方として、文書ファイルと図面ファイル(設計図ファイル等)である。文書ファイルは少なくとも「文書」のデータを含むファイルであり、従来よく知られた検索技術に基づきキー検索(キーワードによる検索)が可能なファイルである。文書ファイルの例としては、市販されている各ワープロソフトウェア、表計算ソフトウェア、書類ソフトウェア等で作成されるファイルである。HTML等のマルチメディア用ファイルも含まれる。また「文書」のデータとしては例えばテキストデータである。図面ファイルは主に「図形」のデータから成るものであるが、図形に関する説明のための「文書」のデータも含む。図面ファイルとしては、電子回路、電気回路、機械設計等の設計図ファイルである。図面ファイルにおける「文書」のデータ部分に基づけば、図面ファイルについてもキー検索が可能である。
また上記のデータファイルの種類の第2の分類の仕方としては、文書ファイルと非文書ファイルである。文書ファイルは前述した通りである。他方、非文書ファイルはキー検索を行うことができないデータのみから成るファイルである。非文書ファイルの例としては、音声ファイル、画像のみのファイル、実行形式ファイル、動的リンクライブラリ等である。
【0032】
またブロック32は、カラーを利用した暗号化方法で暗号化された「カラー」、または「カラーに係るデータ」(以下「カラーデータ」と記す)の総体を示す。カラーデータ32は、RGBまたはCMYK等のカラーを表すためのデータである。
【0033】
ここで「カラー」とは、コンピュータ内でデータとして取り扱われかつそのディスプレイの画面に表示することが可能な数百万以上の色のことを意味する。当該「カラー」は、原則として、可視光に基づいて通常の人間がその視覚により認識する物理的実在である。当該カラーをコンピュータ10のディスプレイ22の画面上に表示すると、カラーは画面上で色の組合せに基づく表示物、すなわち「カラーコード」の画像として人間の視覚に認識されるものである。
【0034】
なお上記の「カラーデータ」は「カラーディジタル値」である。この「カラーディジタル値」は、カラーの属性に依存する数値であり、コンピュータ上でカラーをデータとして扱うときに割り当てられるディジタル数値である。
【0035】
コンピュオブジェクト31は変換部33によってカラーデータ32に変換される。変換部33の変換機能は、「情報変換型の変換機能」と「情報置換型の変換機能」との2つのタイプの変換機能を有している。2つのタイプの変換機能は選択的に使用される。
変換部33の情報変換/情報置換の機能(情報変換の機能または情報置換の機能)、すなわち「カラー暗号化」の機能により作成された上記のカラーデータ32は、仮にディスプレイ22の画面に表示されたとすると、特定のカラーコード画像を表示することができるものである。ここで、「カラーコード画像」は「カラー画像」と同義である。カラーデータ32は、それ自体は、コンピュータ10のメモリ13等の一部やハードディスク21の上において、カラー画像ファイルを形成している。
上述した通りコンピュータオブジェクト31はオブジェクトファイルとして構成しているので、上述の文書ファイル等は変換部33によりカラー画像ファイルに変換される。
【0036】
上記において、コンピュータオブジェクト31とカラーデータ32とは対応した関係にある。コンピュータオブジェクト31の各々は、変換部33の情報変換/情報置換の機能によって、カラーデータ32の各々に対応づけられる。
【0037】
変換部33の「情報変換/情報置換」の機能は、後述するように、通常的な意味の「情報変換(変換)」の機能と、単なる「情報置換(置換え)」の機能とから構成される。情報置換の機能は、また代替機能であってもよい。変換部33の変換機能に関して、「情報変換」であるか、または「情報置換」であるかについてはコンピュータオブジェクト31の内容に依存して決まる。例えばバイトデータの文書データ等は情報置換の処理がなされ、バイナリデータの圧縮データやプログラム等は情報変換の処理がなされる。ただし、バイトデータに対しては情報変換処理と情報置換処理ができるが、バイナリデータは情報変換の処理しかできない。実際に、「情報変換」と「情報置換」はコンピュータオブジェクト31に依存して別物であるが、変換部33の情報変換/情報置換の機能として統合的に取り扱われる。
【0038】
また逆に、カラーデータ32を、逆変換部34で変換すると、コンピュータオブジェクト31に戻る。
【0039】
上記の変換部33は、ハードディスク21等に用意されたカラー変換テーブル(ONC対応関係表、OC対応関係表、または置換えプログラム)、あるいは、カラー変換キー(カラー暗号キー、または符号化(暗号化)プログラム)を用いた処理に基づいて、「情報変換/情報置換」の機能が実現される。なお「カラー変換テーブル」も広義には「カラー暗号キー」である。
【0040】
さらに逆変換部34は、同様に、ハードディスク21等に用意されたカラー逆変換テーブル(ONC対応関係表、OC対応関係表、または置換えプログラム)、あるいはカラー変換キー(カラー暗号解除キー)を用いた処理に基づいて、逆変換(復元)機能が実現される。
【0041】
カラー逆変換テーブルは、上記のカラー変換テーブルを逆向きに用いるものであり、対応表としては、変換元と変換先が入れ替わるだけであり、実質的に同じものであるということができる。
【0042】
コンピュータオブジェクト31が、変換部33でカラーデータ(カラー画像ファイル)32に変換されると、当該カラーデータ32に基づいて元のコンピュータオブジェクト31の内容を直接に認識し、知ることはできない。カラーデータ32をコンピュータオブジェクト31として認識したい場合には、逆変換部34を使用して元に戻すことが必要である。これによって、コンピュータ10内のメモリ13やハードディスク21等に記憶されるデータ等の秘匿または保全を行うことができる。
【0043】
また図2において、ブロック41は上記ディスプレイ22の画面にカラーデータ32に基づくカラーコード画像を表示する表示機能を示す。ブロック42は上記ハードディスク21にカラーデータ32すなわちカラー画像ファイルを保存する保存機能を示す。ブロック43はCPU12で実行されかつカラーデータ32の複製物を作る複製(コピー)機能を示す。ブロック44は、出力装置の1つである印刷装置を通してカラーコードの画像を印刷する機能を示す。ブロック45は、他のコンピュータ26との間で通信回線27を経由してデータや情報等をカラーデータ32の形式で送受する通信機能を示す。コンピュータ26の内部に示されたブロック46は、コンピュータ10から送信され、かつコンピュータ26内の保存メモリに保存されたカラーデータを示している。
【0044】
以上のごとく、コンピュータ10の内部では、コンピュータオブジェクト31がカラーデータ32に変換されると、その後は、基本的に、当該カラーデータ32の状態のままで保管される。すなわち、コンピュータ10のハードディスク21等の保存メモリにおいて複数(または多数)のカラー画像ファイル(カラー暗号化ファイル)として保管される。またその後、暗号化された情報として扱い、コンピュータオブジェクト31に戻すことなく、表示、保存、コピー、印刷、通信が行われる。またコンピュータ10が、通信回線27を経由して外部の他のコンピュータ26との間で通信を行う場合にも通信回線27の上を流れるデータ等はカラーデータ32の形式になっているので、他者がカラーデータ32を取得したとしても、その情報を盗むことはできない。また他のコンピュータ26では、カラーデータ32のままであると、元のコンピュータオブジェクト31を認識することができないので、コンピュータ10に設けられた逆変換部34を備えるように構成することにより、コンピュータオブジェクト31の内容を取得しこれを利用することができる。
【0045】
次に、変換部33と逆変換部34に基づくコンピュータオブジェクト31とカラーデータ32との間の「情報変換/情報置換」および「情報逆変換(復元)/情報逆置換」について詳述する。
【0046】
図3を参照して、コンピュータオブジェクト(オブジェクトファイル)31とカラーデータ32の間の変換と逆変換に関する全体的なシステム構成を説明する。
図3において、符号51で示した部分は、コンピュータ10内での変換および逆変換に係る共通プラットフォームを示す。共通プラットフォーム51では、図3で、右側領域に情報置換ルート(情報置換型)に係るカラー暗号化フロー51Aが示され、左側領域に情報変換ルート(情報変換型)に係るカラー暗号化フロー51Bが示され、さらに情報置換ルートのカラー暗号化フロー51Aの右側に位置する領域に、上記変換部33に設定されるカラー変換テーブル(カラー暗号化テーブル)51Cと、上記逆変換部34に設定されるカラー逆変換テーブル(カラー複合化テーブル)51Dと、アプリケーション51Eの一例が示されている。
【0047】
情報置換ルート51Aのフローにおいて、変換側51A−1では、カラー変換テーブル51Cを用いて、コンピュータオブジェクト(この場合にはオブジェクトファイルである。図3中記号「O」で表現)→カラー数値(図3中記号「N」で表現)→カラーデータ(図3中記号「C」で表現)の置換え(情報置換)がなされる。カラー数値は、異なるカラーを区別する目的で適宜に割り当てられる数値である。この置換え(情報置換)では、カラー変換テーブル51Cとして代表的に好ましくは「ONC対応関係表(ONC対応表)」が使用される。なお、中間のカラー数値は省略することもできる。この場合には、カラー変換テーブル51Cとして「OC対応関係表(OC対応表)」が使用される。
【0048】
上記のカラー変換テーブル51Cは、コンピュータオブジェクト(O)をカラーデータ(C)に対応させるためのオブジェクトマッチング(OM:最長一致探索)の働きを有している。
カラー変換テーブル51Cとしては、例えば、日本語辞書(標準)、任意に準備されるユーザ辞書、文字コード等が用いられる。
また観点を変えると、上記のカラー変換テーブル51C(「ONC対応関係表」または「OC対応関係表」)は、コンピュータオブジェクトを暗号化するカラーデータに置き換えるカラー暗号化テーブルとして機能する。
【0049】
変換で作られたカラーデータ(C)は、前述した通りカラーコード画像またはカラー画像から成るカラー画像ファイルを形成する。換言すれば、カラーデータすなわちカラー画像ファイルは、図3に示すごとくビットマップ(BMP)画像52として取り扱われる。
【0050】
さらに情報置換ルート51Aの逆変換側51A−2では、カラー逆変換テーブル51Dを用いて、カラーデータ(C)(カラー画像ファイル)→カラー数値(N)→コンピュータオブジェクト(O)(文書ファイル等)の変換がなされる。この変換では、カラー逆変換テーブル51Dとしての前述した「ONC対応関係表」または「OC対応関係表」が使用される。
【0051】
また情報変換ルート51Bのフローは、上記の情報置換ルート51Aとのフローは別ものとして用意される。情報変換ルート51Bにおいて、変換側51B−1では、コンピュータオブジェクト(O)のうちの「Byte/Binary File(バイトファイルまたはバイナリファイル)」については、「Byte/Binary File」→疑似カラー化の変換を行い、その後に、上記のカラー暗号キー54を用いて上記のカラーデータ(C)(カラー画像ファイル)に変換する。情報変換ルート51Bにおける以上の変換側51B−1の内容は、上記の情報置換ルート51Aの変換側51A−1に対応している。
【0052】
さらに情報変換ルート51Bの逆変換側51B−2では、疑似カラー化→「Byte/Binary File」の変換がなされる。この変換では、上記のカラー暗号化キー54が使用される。
【0053】
情報変換ルート51Bのフローにおいて、変換側51B−1で、コンピュータオブジェクト(O)のうちの「Byte/Binary File」(バイトファイルまたはバイナリファイル)については、「Byte/Binary File」→データ圧縮→疑似カラー化の変換を行い、その後に、上記のカラー暗号キー54を用いて上記のカラーデータ(C)に変換する。またこの場合、情報変換ルート51Bの逆変換側51B−1では、カラー暗号キー54を用いてカラーデータ(C)を疑似カラー化データに変換した後、疑似カラー化→データ伸張→「Byte/Binary File」の変換がなされる。この変換でもカラー暗号化キー54が使用される。
【0054】
上記において、コンピュータオブジェクト(O)(オブジェクトファイル)をカラーデータ(C)に変換した後におけるビットマップ画像52(カラー画像ファイル)は、情報置換ルート51Aおよび情報変換ルート51Bで共通のデータ状態にある。前述のコンピュータ10において変換されたカラーデータ32は、図3ではビットマップ画像52として示されている。従って、コンピュータ10のハードディスクク21等に保存される一般的に複数または多数の「カラー画像ファイル」はビットマップ画像52の形式を有している。
【0055】
上記のビットマップ画像52、すなわちコンピュータ10内で取り扱われまたは保存メモリ(ハードディスク21等)に保存されるカラー画像ファイルは、アプリケーション51Eとしてカラー暗号化ファイル等として用いられる。またコンピュータ10から他のコンピュータ(PC)26や携帯電話28等への通信として、インターネット53を利用して送信され得る。
【0056】
図4は、インターネットを利用したカラー画像ファイルのやり取りの一例を示す。コンピュータ(PC)10側のハードディスク21に保存された1つのカラー画像ファイル52Aを、他のコンピュータ(PC)26のハードディスク21Aに保存する例である。コンピュータ10では、ハードディスク21に保存されたカラー画像ファイル52Aを呼び出し、インターネット・インターフェース25およびインターネット27を経由して他のコンピュータ26に送信する。コンピュータ26では、受信したカラー画像ファイル52Aをそのままの状態で、そのハードディスク21Aに保存する。また他の方法として、カラー画像ファイル52Aを前述の記録媒体24に保存し、郵送等にてコンピュータ26側に送付することもできる。この場合には、人が、当該記録媒体24をコンピュータ26にセットし、記録媒体24からカラー画像ファイル52Aを読出し、ハードディスク21Aに保存することになる。
【0057】
以上のごとく、変換部33は、ハードディスク21等に用意されたカラー変換テーブル51C、カラー逆変換テーブル51D、またはカラー暗号キー54を用いた処理に基づいて実現される情報変換または情報置換の機能を有する。このカラー変換テーブル51C等の内容は、当該カラー変換テーブル51C等が対応づけるコンピュータオブジェクト31の内容とカラーデータ32の内容とに応じて事前に任意に決定されている。図2において、コンピュータオブジェクト31の中には、1つ、複数、または多数のコンピュータオブジェクト(オブジェクトファイル)が含まれている。複数のコンピュータオブジェクトの各々は、前述の通り、コンピュータ10で取り扱われる文書、文字、記号、図形、数式、画像、または音声等のデータ等あるいはプログラムである。コンピュータオブジェクト31に含まれる要素は、その内容に応じて、前述した情報変換型または情報置換型に基づきカラー暗号化される。
【0058】
図5に示した図表では、カラー変換処理の2つのタイプ、すなわち、情報変換ルートと情報置換ルートを、「処理方式」、「対象データ」、「暗号化媒介データ」、および「暗号化方法」の各項目について対比して示している。
【0059】
次に、図6〜図9を参照して、情報変換/情報置換の変換機能に基づくカラー画像ファイル(カラー暗号化ファイル)の作成(カラー暗号化)およびその取扱いと、カラーキー検索とについて説明する。
図6は、情報変換/情報置換の変換機能に基づくカラー画像ファイル(カラー暗号化ファイル)の作成(カラー暗号化)のプロセスを示すブロック図である。コンピュータ10のメモリ13においてカラー暗号化のプロセスが実行される。
【0060】
図6のブロック13は、図1で示した前述したメモリ13を概念的に示している。その中に、便宜上、ブロック表現によって変換部33と逆変換部34が示されている。当該変換部33と逆変換部34によれば、変換部33によるカラー暗号化機能(情報変換/情報置換の機能)に基づいて文書ファイル31A等(オブジェクトファイル)をカラー画像ファイル52Aに変換し、反対に逆変換部34による復元化機能(逆変換機能)に基づいてカラー画像ファイル52Aを文書ファイル31A等に逆変換する。なお、変換部33と逆変換部34の変換・逆変換機能の動作は、変換キー55によって指定される。変換キー55は、カラーコード表(ONC対応関係表51C,51D)またはカラー暗号化キー54から成る要素である。
変換部33と逆変換部34に基づく変換機能で作成された多数のカラー画像ファイル52Aは、ハードディスク21の内部に保存される。メモリ13とハードディスク21との間では、必要に応じて、カラー画像ファイル52Aの保存またはカラー画像ファイル52Aの取出しが実行される。
【0061】
図7に、図6で説明したカラー暗号化の処理フローについて、特に情報置換型の変換の仕組みを示す。例えば文書ファイル31Aは通常的にはバイナリ形式であるので、当該文書ファイル31Aからテキストを抜き出す。図7では、対象である文書ファイル31Aからテキスト抽出の処理61を実行し、テキストファイル31A−1を抽出する。このテキスト抽出の処理61には、例えば、全文検索用テキスト抽出ツールが使用される。そして、抽出した当該テキストファイル31A−1に対してONC対応関係表(ONC対応表)を利用してカラー変換の処理62を実行し、上記のカラー画像ファイル52Aを作成する。当該カラー画像ファイル52Aは、情報置換によって暗号化されたカラー画像ファイルである。
【0062】
上記のONC対応関係表(ONC対応表)の例は次の通りである。
(1)文字コードが用いられる場合、日本語では「JISコード」、「シフトJISコード」、「unicode」等であり、英語では「ASCIIコード」である。
(2)辞書が用いられる場合、例えば65000語相当の一般辞書または専門辞書である。より具体的には、例えば日本語辞書、業界辞書、学術辞書等である。
(3)その他に、ファイルフォーマットと上記の文字コードとを組み合わせたもの、ファイルフォーマットと上記の辞書を組み合わせたものがある。なおここで、「ファイルフォーマット」とは、HTMLタグ等の書式タグである。
【0063】
上記のカラー暗号化のプロセスにおいて、メモリ13に存在する複数のコンピュータオブジェクト31すなわち文書ファイル等のそれぞれの暗号化を行うタイミングあるいは時間的な制御に関しては、順次に行ってもよいし、また例えばすべてのコンピュータオブジェクト31をカラー暗号化する場合において設定した時間に従ってカラー暗号化することもできる。さらに、ブロック指定(指定ファイルのグループ、指定ファイル中の指定部分)に従ってカラー暗号化することもできる。このようなカラー暗号化処理は、カラー暗号化の処理を、選択的に、または利用の実情に応じて行うことができる。
【0064】
図8を参照してカラーキー検索を説明する。図8の構成では、上記の図6で説明したように、変換部33により情報置換に基づいて作成された多数のカラー画像ファイル52Aがハードディスク21に保存されている状態において、カラーキー検索の処理部71によりカラーキー検索が実行される。カラーキー検索の処理部71による処理は、多数のカラー画像ファイル52Aをメモリ13に呼び出して実行される。カラーキー検索の処理部71は、メモリ13内の存するブロックの形式で表現されている。
カラーキー検索の処理部71によるカラーキー検索では「カラーキー」が使用される。当該カラーキーは、外部の入力手段等で提供された検索用のキーワード(検索キー)72に基づいて作成される。
図9に検索用のカラーキーの作り方を示す。図9では、文書ファイル(テキストファイル)での検索を可能とする検索用のキーワード72に対して、ONC対応表を利用したカラー変換の処理74を行ってカラーキー75を作成する。
その後、図8および図9に示されるように、当該カラーキー75を用いて、ハードディスク21内に保存される多数のカラー画像ファイル52Aについてカラーキー検索の処理部71によってカラーキー検索処理を実行する。それにより、カラー画像ファイルの検索リスト73を作成する。
上記の検索用のカラーキー75は、検索対象を表す特定のカラーコード要素である。カラー画像ファイル52Aの中に当該カラーキー75すなわち特定のカラーコード要素が含まれる場合に、検索がヒットし、カラーキー75を含むカラー画像ファイルとしてファイル特定データ(ファイル名やインデックスデータ等)が取り出される。取り出された複数のファイル特定データに基づいてカラー画像ファイルの検索リスト73が作成され、メモリ13に保存される。
【0065】
図10は、カラー暗号化の処理フローとカラーキー検索の処理フローを一体化して示した全体的な構成図である。図10において、左側の処理ルート81では、文書ファイル31Aをカラー画像ファイル52Aに変換するプロセス(カラー暗号化処理フロー)を示している。この変換プロセス81では、文書ファイル31Aからテキスト抽出処理61によってテキストファイル31A−1を抽出し、さらに当該テキストファイル31A−1を、ONC対応表を利用した情報置換型のカラー変換処理62によってカラー画像ファイル52Aを作成する。こうして多数のカラー画像ファイル52Aを作成し、これらのカラー画像ファイル52Aをハードディスク21に保存する。他方、右側の処理ルート82では、キーワード72に基づき、同じくONC対応表を利用した情報置換型のカラー変換処理62によってカラーキー75を作成し、さらに前述のごとく当該カラーキー75を用いてカラーキー検索の処理71を行ってカラー画像ファイルの検索リスト73を作成する。
【0066】
図11は、オブジェクトファイルすなわち文書ファイル31A等を、情報変換型の変換機能でカラー暗号化するプロセスを示している。ブロック83は変換部であり、情報変換型カラー暗号化の処理を行う機能部である。情報変換型カラー暗号化の処理83はカラー暗号キー(カラー画像キー)84によって行われる。これにより文書ファイル31Aは、カラー画像ファイル52Bに変換される。またカラー暗号キー84を用いて逆演算を行うことにより復号化処理85を設けることができる。当該復号化処理85によれば、カラー画像ファイル52Bを文書ファイル31Aに変換することができる。
【0067】
図11で示した情報変換型のカラー暗号化の処理83を数式により次のように表現することができる。
文書ファイル31Aを「F」で表し、カラー画像ファイル52Bを「B」で表し、カラー暗号キー84を「R」で表すとき、
暗号化:F(XOR)R=B
ここで、Rには乱数の暗号化配列を用いている。
【0068】
図12は、カラー暗号化とカラーキー検索の処理フローについての他の実施形態を示している。
この処理フローでは、文書ファイル31Aを情報変換型カラー暗号化の処理83に基づいてカラー画像ファイル52Bに変換するルートと、同じ文書ファイル31Aの中からテキスト抽出の処理61によってテキストファイル31A−1を抽出し、さらに当該テキストファイル31A−1により情報置換型のカラー変換の処理62に基づいてカラー画像ファイル52Aを作成するルートとを含んでいる。作成された2つのカラー画像ファイル52A,52Bは結合処理(86)され、結合された新たなカラー画像ファイル52Cが作成される。そして、当該結合されたカラー結合ファイル52Cに対してカラーキー75を用いてカラーキー検索の処理71が実行され、カラー画像ファイルの検索リスト73が作成される。カラーキー75によるカラーキー検索の処理71では、結合されたカラー画像ファイル52Cのうちカラー画像ファイル52Aの部分のみが検索の対象になる。
上記のように構成されるカラーキー検索によれば、カラーキー検索が可能なカラー画像ファイル52Aを、それ自体検索が不能なカラー画像ファイル52Bに関係づけることにより、多数のカラー画像ファイル52Cの各々についてカラーキー検索を行うことができるようになる。
【0069】
図13は、非文書ファイルに関してのカラー暗号化とカラーキー検索の処理フローについての実施形態を示している。
この処理フローでは、先ず非文書ファイル31Bを情報変換型カラー暗号化の処理83に基づいてカラー画像ファイル52B−1に変換するルートと、加えて同じ非文書ファイル31Bに対してテキスト文を付与する処理85によって非文書ファイル31Bに適宜なテキスト文を付与し、さらに当該テキスト文のみを用いて情報置換型のカラー変換の処理62に基づいてカラー画像ファイル52A−1を作成するルートとを含んでいる。作成された2つのカラー画像ファイル52A−1,52B−1は結合処理(86)され、結合された新たなカラー画像ファイル52C−1が作成される。そして、当該結合されたカラー結合ファイル52C−1に対してカラーキー75を用いてカラーキー検索の処理71が実行され、カラー画像ファイルの検索リスト73が作成される。カラーキー75によるカラーキー検索の処理71では、結合されたカラー画像ファイル52C−1のうちカラー画像ファイル52A−1の部分のみが検索の対象になる。
上記のように構成されるカラーキー検索によれば、もともと非文書ファイルであるため、それ自体カラーキー検索が不能なカラー画像ファイル52B−1について、適宜なテキスト文を付加することによって、テキスト文に基づくカラーキー検索が可能なカラー画像ファイル52A−1をカラー画像ファイル52B−1に関係づけることにより、多数のカラー画像ファイル52C−1の各々についてカラーキー検索を行うことができるようになる。
【0070】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る検索型カラー暗号化ファイルの構成方法、および検索型カラー暗号化ファイルシステムは、カラーを利用した情報置換型の変換に基づき作成されたカラー画像ファイル、すなわちカラー暗号化ファイルの領域でキー検索を行うことができ、カラーを利用した暗号化技術においてキー検索技術を付加することによってカラー暗号化ファイルの保管および取り扱い上の利便性を向上するのに利用される。
【符号の説明】
【0072】
10 コンピュータ
12 CPU
13 メモリ
21,21A ハードディスク
24 記録媒体
26 他のコンピュータ等
27 インターネット
31 コンピュータオブジェクト
31A 文書ファイル
31A−1 テキストファイル
31B 非文書ファイル
33 変換部(情報変換/情報置換)
34 逆変換部
32 カラーデータ
51 共通プラットホーム
51A 情報置換ルート
51B 情報交換ルート
51C ONC対応関係表(OC対応関係表)
51D ONC対応関係表(OC対応関係表)
52 BMP画像
52A カラー画像ファイル
53 インターネット
54 カラー暗号キー
55 変換キー
61 テキスト抽出
62 カラー変換
71 カラーキー検索
72 キーワード
73 検索リスト
74 カラー変換
75 カラーキー
83 情報変換型カラー暗号化
84 カラー暗号キー(カラー画像キー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々を、情報置換型のカラー変換処理に基づき、カラー画像ファイルに変換するステップと、
前記カラー変換処理で作成された複数の前記カラー画像ファイルを保存メモリに保存するステップと、
前記保存メモリに保存された複数の前記カラー画像ファイルをカラーキーで検索するステップと、
前記検索でヒットした前記カラー画像ファイルのリストを作成するステップと、
を有することを特徴とする検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項2】
複数の前記文書ファイルまたは前記図面ファイルを検索するための検索キーを、情報置換型の前記カラー変換処理に基づいてカラー変換することにより、前記カラーキーを作成するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項3】
情報置換型の前記カラー変換処理を行うための手段はONC対応表に基づいて作成されることを特徴とする請求項1または2に記載の検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項4】
前記ONC対応表のオブジェクトリストの部分に文字コードを用いることを特徴とする請求項3に記載の検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項5】
前記ONC対応表のオブジェクトリストの部分に所定数の語データを含む辞書を用いることを特徴とする請求項3に記載の検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項6】
前記ONC対応表のオブジェクトリストの部分にファイルフォーマットと文字コードからなる要素を用いることを特徴とする請求項3に記載の検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項7】
前記ONC対応表のオブジェクトリストの部分に、ファイルフォーマットと所定数の語データを含む辞書とからなる要素を用いることを特徴とする請求項3に記載の検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項8】
前記文書ファイルまたは前記図面ファイルがバイナリ形式をとる場合、前記文書ファイルまたは前記図面ファイルから、ファイルフォーマットに対応する文書フィルタによってテキスト文を抽出し、その後に、ONC対応表に基づいて、複数の前記文書ファイルまたは前記図面ファイルの各々を前記カラー画像ファイルに変換することを特徴とする請求項3に記載の検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項9】
前記ONC対応表に基づいて、前記テキスト文のテキストオブジェクトをカラー数値を経由してカラーに変換することを特徴とする請求項8に記載の検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項10】
複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々を、情報変換型のバイナリ式のカラー変換処理に基づき、第1のカラー画像ファイルに変換するステップと、
複数の前記文書ファイルまたは前記図面ファイルの各々を、情報置換型のカラー変換処理に基づき、第2のカラー画像ファイルに変換するステップと、
複数の前記文書ファイルまたは前記図面ファイルの各々について、前記第1のカラー画像ファイルと前記第2のカラー画像ファイルとを結合して第3のカラー画像ファイルを作成するステップと、
複数の前記第3のカラー画像ファイルを保存メモリに保存するステップと、
前記保存メモリに保存された複数の前記第3のカラー画像ファイルをカラーキーで検索するステップと、
前記検索でヒットした前記第3のカラー画像ファイルのリストを作成するステップと、
を有することを特徴とする検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項11】
キー検索ができない複数の非文書ファイルの各々を、情報変換型のバイナリ式のカラー変換処理に基づき、第1のカラー画像ファイルに変換するステップと、
複数の前記非文書ファイルに、関連するテキスト文を付与するステップと、
複数の前記テキスト文付き非文書ファイルの各々を、情報置換型のカラー変換処理に基づき、第2のカラー画像ファイルに変換するステップと、
複数の前記非文書ファイルの各々について、前記第1のカラー画像ファイルと前記第2のカラー画像ファイルとを結合して第3のカラー画像ファイルを作成するステップと、
複数の前記第3のカラー画像ファイルを保存メモリに保存するステップと、
前記保存メモリに保存された複数の前記第3のカラー画像ファイルをカラーキーで検索するステップと、
前記検索でヒットした前記第3のカラー画像ファイルのリストを作成するステップと、
を有することを特徴とする検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項12】
前記カラー画像ファイルが保存される前記保存メモリは、パーソナルコンピュータのハードディスクもしくは携帯型記録媒体、または携帯電話の内蔵メモリもしくはメモリカードのいずれかであることを特徴とする請求項1,10,11のいずれか1項に記載の検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項13】
カラー暗号化された前記カラー画像ファイルは、インターネットを経由して、または携帯型の記録媒体を経由してやり取りされることを特徴とする請求項1,10,11のいずれか1項に記載の検索型カラー暗号化ファイルの構成方法。
【請求項14】
1つのコンピュータもしくはその周辺装置で、または、通信回線で接続された複数のコンピュータから成るコンピュータシステムで用いられる検索型カラー暗号化ファイルシステムであり、
複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々を、情報置換型のカラー変換処理に基づき、カラー画像ファイルに変換する変換手段と、
前記カラー変換処理で作成された複数の前記カラー画像ファイルを保存メモリに保存する保存手段と、
前記保存メモリに保存された複数の前記カラー画像ファイルをカラーキーで検索する検索手段と、
前記検索でヒットした前記カラー画像ファイルのリストを作成するリスト作成手段と、
を備えることを特徴とする検索型カラー暗号化ファイルシステム。
【請求項15】
前記カラーキーは、複数の前記文書ファイルまたは前記図面ファイルを検索するための検索キーを、情報置換型の前記カラー変換処理に基づいてカラー変換することにより、作成されることを特徴とする請求項14に記載の検索型カラー暗号化ファイルシステム。
【請求項16】
情報置換型の前記カラー変換処理を行うための手段はONC対応表であることを特徴とする請求項14または15に記載の検索型カラー暗号化ファイルシステム。
【請求項17】
前記ONC対応表のオブジェクトリストの部分に文字コードを用いることを特徴とする請求項16に記載の検索型カラー暗号化ファイルシステム。
【請求項18】
前記ONC対応表のオブジェクトリストの部分に所定数の語データを含む辞書を用いることを特徴とする請求項16に記載の検索型カラー暗号化ファイルシステム。
【請求項19】
前記ONC対応表のオブジェクトリストの部分にファイルフォーマットと文字コードからなる要素を用いることを特徴とする請求項16に記載の検索型カラー暗号化ファイルシステム。
【請求項20】
前記ONC対応表のオブジェクトリストの部分に、ファイルフォーマットと所定数の語データを含む辞書とからなる要素を用いることを特徴とする請求項16に記載の検索型カラー暗号化ファイルシステム。
【請求項21】
前記文書ファイルまたは前記図面ファイルがバイナリ形式をとる場合、前記文書ファイルまたは前記図面ファイルから、ファイルフォーマットに対応する文書フィルタによってテキスト文を抽出し、その後に、ONC対応表に基づいて、複数の前記文書ファイルまたは前記図面ファイルの各々を前記カラー画像ファイルに変換することを特徴とする請求項16に記載の検索型カラー暗号化ファイルシステム。
【請求項22】
前記ONC対応表に基づいて、前記テキスト文のテキストオブジェクトをカラー数値を経由してカラーに変換することを特徴とする請求項21に記載の検索型カラー暗号化ファイルシステム。
【請求項23】
複数の文書ファイルまたは図面ファイルの各々を、情報変換型のバイナリ式のカラー変換処理に基づき、第1のカラー画像ファイルに変換する第1変換手段と、
複数の前記文書ファイルまたは前記図面ファイルの各々を、情報置換型のカラー変換処理に基づき、第2のカラー画像ファイルに変換する第2変換手段と、
複数の前記文書ファイルまたは前記図面ファイルの各々について、前記第1のカラー画像ファイルと前記第2のカラー画像ファイルとを結合して第3のカラー画像ファイルを作成する結合手段と、
複数の前記第3のカラー画像ファイルを保存メモリに保存する保存手段と、
前記保存メモリに保存された複数の前記第3のカラー画像ファイルをカラーキーで検索する検索手段とと、
前記検索でヒットした前記第3のカラー画像ファイルのリストを作成するリスト作成手段と、
を備えることを特徴とする検索型カラー暗号化ファイルシステム。
【請求項24】
キー検索ができない複数の非文書ファイルの各々を、情報変換型のバイナリ式のカラー変換処理に基づき、第1のカラー画像ファイルに変換する第1変換手段と、
複数の前記非文書ファイルに、関連するテキスト文を付与する付与手段と、
複数の前記テキスト文付き非文書ファイルの各々を、情報置換型のカラー変換処理に基づき、第2のカラー画像ファイルに変換する第2変換手段と、
複数の前記非文書ファイルの各々について、前記第1のカラー画像ファイルと前記第2のカラー画像ファイルとを結合して第3のカラー画像ファイルを作成する結合手段と、
複数の前記第3のカラー画像ファイルを保存メモリに保存する保存実行手段と、
前記保存メモリに保存された複数の前記第3のカラー画像ファイルをカラーキーで検索する検索手段と、
前記検索でヒットした前記第3のカラー画像ファイルのリストを作成するリスト作成手段と、
を備えることを特徴とする検索型カラー暗号化ファイルシステム。
【請求項25】
前記カラー画像ファイルが保存される前記保存メモリは、パーソナルコンピュータのハードディスクもしくは携帯型記録媒体、または携帯電話の内蔵メモリもしくはメモリカードのいずれかであることを特徴とする請求項14,23,24のいずれか1項に記載の検索型カラー暗号化ファイルシステム。
【請求項26】
カラー暗号化された前記カラー画像ファイルは、インターネットを経由して、または携帯型の記録媒体を経由してやり取りされることを特徴とする請求項14,23,24のいずれか1項に記載の検索型カラー暗号化ファイルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−81030(P2011−81030A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230637(P2009−230637)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000209474)谷電機工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】