説明

検索端末装置、検索サーバ装置、検索木圧縮方法、及びセンタ連携型検索システム

【課題】検索操作時のユーザの操作性を損なわずに、カーナビに格納する検索データベースのサイズを削減する。
【解決手段】通信網を介して検索サーバ装置に接続された検索端末装置であって、検索対象となるデータを構成する情報と情報よりも下位の階層の情報との関係を対応付けたノード情報と、ノード情報に含まれる情報または下位の情報によって特定される検索対象となるデータの実体を示す実体識別情報とを対応付けた検索木データ141を記憶する検索木データ記憶部と、ユーザから入力された情報または下位の情報と、検索木データ記憶部に記憶されたノード情報とに基づいて、検索対象となるデータの候補を出力する入力制御部と、入力制御部が出力した検索対象となるデータの候補に含まれる情報または下位の情報に対応する実体識別情報を含む検索要求を検索サーバ装置に送信し、検索サーバ装置から実体データを取得する実体データ取得部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検索データのサイズを削減する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステム(以下、カーナビとする)は、地図データを加工してユーザに交通案内情報を提供するものである。この地図データの記録手段として従来はHDD(Hard Disk Drive)を使用している機種が多かったが、近年はSDメモリーカードやSSD(Solid State Drive)等の半導体素子メモリを用いた機種が主流になりつつある。
【0003】
半導体素子メモリは、従来のHDDと比較して、消費電力が少ない、耐衝撃性に優れている等の利点がある一方、容量あたりの単価が高いという欠点がある。そのため、従来と同程度の価格帯でユーザにカーナビを提供するためには、使用する半導体素子メモリの容量を少なくする必要がある。これに対して、カーナビが動作するために必要なデータの内容は、記録媒体がHDDでも半導体素子メモリでも変わりはなく、また、新しい道路や施設の整備等によりデータベースのサイズは年々増加する傾向にあるため、カーナビに収録するデータのサイズを削減する技術が常に望まれている。この、データのサイズを削減する手段として、以下の技術が提案されている。
【0004】
まず、データの内容を変えずにデータサイズを削減するために一般的に用いられる手段として、特許文献1に記載されているデータ圧縮技術がある。データ圧縮技術は、容易にデータサイズを削減することが可能であるため、特許文献1に記載の技術の他、多数の圧縮方式が提案され、広く実用に供されている。
【0005】
また、カーナビに収録するデータサイズを削減する別の技術として、特許文献2に記載の技術がある。この技術は、従来カーナビに格納していたデータを、通信ネットワークを介して接続されているサーバ装置に格納し、必要なデータを逐次サーバ装置からダウンロードしてナビゲーションを行うものである。この技術によってカーナビにデータを格納する必要性が無くなるため、カーナビの記録媒体の容量を大幅に削減することが可能となる。
【0006】
また、カーナビに収録するデータサイズを削減する別の技術として、特許文献3に記載の技術がある。この技術は、カーナビを販売後に新たに整備された道路や店舗等の情報は、通信ネットワークを介して接続されるサーバ装置のデータベースに格納しておき、検索を行う際は、まずカーナビ内のデータベースを検索し、該当施設がカーナビ内のデータベースに見つからない場合は、入力された検索条件(ジャンル、電話番号、50音名称等)をサーバ装置に送信し、サーバ装置のデータベースで検索を行うものである。この技術を用いれば、カーナビを販売後に新たに整備された道路や店舗等の情報をカーナビに収録する必要が無くなるため、カーナビの記録媒体の容量は、カーナビを販売する時点のデータベースを収録できる容量があれば十分となり、カーナビを販売後に整備された道路や施設によるデータベースのサイズの増加は考慮しなくても良くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−237138号公報
【特許文献2】特開2003−207354号公報
【特許文献3】特開2001−304874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1、特許文献2、および特許文献3に記載の技術には、以下の問題がある。
【0009】
まず、特許文献1等に記載のデータ圧縮技術は、データを参照する前に、圧縮されたデータを元に戻す処理(以下、解凍処理と記載する)が必要になる。この解凍処理には時間がかかるため、単純にデータを圧縮してしまうと、データを参照して各種のナビゲーションを行う際の性能が悪化するという問題がある。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術は、データを参照する前に、通信ネットワークを介してサーバ装置からデータを取得する処理が必要になる。近年のデータ通信技術の発展によりデータ通信速度は向上しつつあるが、通信処理がユーザの操作性に大きく影響するような場合は問題がある。このような、通信処理がユーザの操作性に大きく影響する一例として、名称を入力して住所や施設等の検索を行う機能がある。一般的なカーナビで名称を入力してデータの検索を行う場合、ユーザの操作性を向上するために、キーボードから1文字が入力される毎に、候補名称や該当件数の表示を行ったり、次に入力可能なキーのみを押下可能とする制御が行われたりする。このような処理は、1文字入力される毎に検索データベースから情報を取得することにより実現されているため、1文字入力される毎に通信ネットワークを介したサーバ装置との通信が発生し、特にカーナビのように通信手段が低速の移動体通信にならざるを得ないような装置の場合は、ユーザの操作性が著しく悪化する。
【0011】
また、特許文献3に記載の技術は、データの検索を行う際、まずカーナビに格納されているデータベースを検索し、カーナビのデータベースに該当データが無い場合は、入力された検索条件(ジャンル、電話番号、50音名称等)をサーバ装置に送信し、サーバ装置のデータベースで検索を行うことを意図した技術であるが、この技術は、ユーザが検索条件を入力している間はデータベースへの問い合わせが発生しないことを前提としている。これに対して、前述した、1文字を入力する毎にユーザに候補名称を提示するような機能は、1文字入力する毎に必然的にデータベースへの問い合わせが発生するため、特許文献3に記載の技術では実現することが困難である。
【0012】
以上の点に鑑み、本発明は、検索操作時のユーザの操作性を損なわずに、カーナビに格納するデータベースのサイズを削減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる検索端末装置は、通信網を介して検索サーバ装置に接続された検索端末装置であって、検索対象となるデータを構成する情報と前記情報よりも前記データを構成する下位の階層の情報との関係を対応付けたノード情報と、前記ノード情報に含まれる前記情報または前記下位の情報によって特定される前記検索対象となるデータの実体を示す実体データを識別するための実体識別情報とを対応付けた検索木データを記憶する検索木データ記憶部と、ユーザから入力された前記情報または前記下位の情報と、前記検索木データ記憶部に記憶された前記ノード情報とに基づいて、前記検索対象となるデータの候補を出力する入力制御部と、前記入力制御部が出力した前記検索対象となるデータの候補に含まれる前記情報または前記下位の情報に対応する前記実体識別情報を含む検索要求を前記検索サーバ装置に送信し、前記検索サーバ装置から前記実体識別情報によって識別される前記実体データを取得する実体データ取得部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる検索サーバ装置は、通信網を介して検索端末装置から検索対象となるデータの検索要求を受信する検索サーバ装置であって、複数の、前記検索対象となるデータの実体を示す実体データを識別するための実体識別情報と前記実体データとを対応付けて記憶する実体データ記憶部と、前記検索要求に含まれる、前記検索対象となるデータを構成する情報と前記情報よりも前記データを構成する下位の情報との関係を対応付けたノード情報に含まれる前記情報または前記下位の情報によって特定される前記検索対象となるデータを識別するための実体識別情報と前記情報または前記下位の情報によって特定される前記検索対象となるデータの候補の件数とに基づいて、前記実体データ記憶部に記憶されている複数の実体データの中から前記検索対象となるデータを検索する実体データ管理部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる検索木圧縮方法は、検索木データを圧縮する検索木圧縮方法であって、複数の、検索対象となるデータを構成する情報と前記情報よりも前記データを構成する下位の情報との関係を対応付けたノード情報を所定の順序で並べるノード情報整列ステップと、前記ノード情報整列ステップにより整列された複数のノード情報を二以上のグループに分類するノード情報分類ステップと、前記ノード情報分類ステップにより分類された二以上のグループの各々に対して異なるデータ圧縮処理または非圧縮処理を実行するノード情報圧縮ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかるセンタ連携型検索システムは、通信網を介して検索端末装置と検索サーバ装置とが接続され、検索対象となるデータを検索するセンタ連携型検索システムであって、前記検索装置は、検索対象となるデータを構成する情報と前記情報よりも前記データを構成する下位の階層の情報との関係を対応付けたノード情報と、前記ノード情報に含まれる前記情報または前記下位の情報によって特定される前記検索対象となるデータの実体を示す実体データを識別するための実体識別情報とを対応付けた検索木データを記憶する検索木データ記憶部と、ユーザから入力された前記情報または前記下位の情報と、前記検索木データ記憶部に記憶された前記ノード情報とに基づいて、前記検索対象となるデータの候補を出力する入力制御部と、前記入力制御部が出力した前記検索対象となるデータの候補に含まれる前記情報または前記下位の情報に対応する前記実体識別情報を含む検索要求を前記検索サーバ装置に送信し、前記検索サーバ装置から前記実体識別情報によって識別される前記実体データを取得する実体データ取得部と、を備え、前記検索サーバ装置は、複数の、前記検索対象となるデータの実体を示す実体データを識別するための実体識別情報と前記実体データとを対応付けて記憶する実体データ記憶部と、前記検索要求に含まれる、前記ノード情報に含まれる前記実体識別情報と前記情報または前記下位の情報によって特定される前記検索対象となるデータの候補の件数とに基づいて、前記実体データ記憶部に記憶されている複数の実体データの中から前記検索対象となるデータを検索する実体データ管理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、検索操作時のユーザの操作性を損なわずに、カーナビに格納するデータベースのサイズを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】名称候補提示型検索システムの全体構成図(実施例1)。
【図2】検索木データの説明図(実施例1)。
【図3】実体データの説明図(実施例1)。
【図4】検索メニュー画面の説明図(実施例1)。
【図5】検索木有効性判定部の動作を示すフローチャート(実施例1)。
【図6】名称入力画面の説明図(実施例1)。
【図7】名称入力制御部の動作を示すフローチャート(実施例1)。
【図8】ノード情報取得部の動作を示すフローチャート(実施例1)。
【図9】候補情報設定部の動作を示すフローチャート(実施例1)。
【図10】検索結果取得画面の説明図(実施例1)。
【図11】実体データ取得部の動作を示すフローチャート(実施例1)。
【図12】実体データ要求メッセージの構成図(実施例1)。
【図13】実体データ応答メッセージの構成図(実施例1)。
【図14】実体データ管理部の動作を示すフローチャート(実施例1)。
【図15】検索木データ更新画面の説明図(実施例1)。
【図16】検索木データ更新部の動作を示すフローチャート(実施例1)。
【図17】キーボード制御型検索システムの全体構成図(実施例2)。
【図18】検索木データの説明図(実施例2)。
【図19】名称入力画面の説明図(実施例2)。
【図20】キーボード制御部の動作を示すフローチャート(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
以下、図1から図16を用いて、実施例1の名称候補提示型検索システムについて説明する。なお、実施例1および実施例2は、英文字による名称を入力してデータを検索するシステムの例について記載したものであるが、本発明は英文字の使用に限るものではなく、候補を提示して名称を検索するものであれば、日本語、ドイツ語、フランス語等、その他の言語、あるいは数字(例えば、その名称に対応する電話番号)についても応用可能である。
【0020】
実施例1は、ユーザが施設情報を検索する際、名称を1文字入力する毎に候補の施設名称を表示し、ユーザが候補名称を選択した時点で検索サーバ装置へ施設情報の問い合わせを行い、結果を画面に表示するものである。
【0021】
図1は、実施例1の名称候補提示型検索システムの全体構成図を示したものである。本システムは、検索端末装置100、検索サーバ装置200、および通信ネットワーク300を含んで構成される。
【0022】
検索端末装置100は、検索木データの有効性を判定する検索木有効性判定部110、名称の入力を制御する名称入力制御部120、検索木データからノード情報を取得するノード情報取得部130、一以上の検索木データ141を記録している検索木データ記録部140、ノード情報に含まれる情報をもとに検索サーバ装置に実体データの問い合わせを行う実体データ取得部150、ノード情報に含まれる候補名称を名称入力画面に表示する候補名称設定部160、検索木データの更新を行う検索木データ更新部180、および一連の検索操作に必要となる各種画面の表示を行う検索制御部190から構成される。
【0023】
検索サーバ装置200は、一以上の索引データ231および実体データ232を記録している実体データ記録部230、一以上の最新の検索木データ(更新検索木データ)241を記録している更新検索木データ記録部240、実体データの検索要求を処理する実体データ管理部250、および検索木データの情報を検索端末装置に送信する検索木データ管理部280を含んで構成される。
【0024】
通信ネットワーク300は、一般的な通信網であり、携帯電話網、無線通信網など、カーナビにおいて利用可能な通信網に相当する。
【0025】
図2は、検索木データ記録部140に記録される検索木データ141の例を記載したものである。実施例1の検索木データ141は、検索木識別子1411、検索木有効期限1412、ノード情報(非圧縮データ)1413、ノード情報(圧縮データ)1414、および名称リスト1415を含んで構成される。
【0026】
検索木識別子1411は、検索木の種別を示す識別子である。図の例では“100”が格納されており、レストランの検索データであることを意味している。検索木有効期限1412は、検索木データ141が有効である期限を示すものであり、図の検索木データは2020年3月31日まで有効なデータであることを意味している。
【0027】
ノード情報1413および1414は、検索木データ141を構成する各ノードの情報を並べたものである。各ノード情報には、文字と、その文字が入力された場合の下位ノード情報の位置を示す情報の並びが格納されている。例えば、ノード情報(1)は、すべての名称の1文字目の情報を記載したものであり、先頭の文字が“A”、“B”、“D”である名称が存在することを意味する。同様に、ノード情報(2)は、1文字目が“A”である場合の2文字目に関する情報を記載したものであり、2文字目が“A”または“C”である名称が存在することを意味する。ノード情報(3)は1文字目が“A”、2文字目が“A”である場合の3文字目に関する情報を記載したものであり、3文字目が“B”である名称が存在することを意味する。
【0028】
また、各ノード情報には、通常の文字の他に、特別な制御記号である“¥0”が含まれる。“¥0”は、現在のノード情報に対応する候補名称が、名称リスト1415のどこから開始するかを示すものである。例えば、ノード情報(2)の“¥0”は、入力文字列が“A”である場合の候補名称が、名称リストの1行目(“A”)から始まることを示しており、ノード情報(3)の“¥0”は、入力文字列が“AA”である場合の候補名称は名称リストの2行目(“AAB”)から始まることを示している。
【0029】
以上の説明は、図に記載しているその他のノード情報(4)(5)(6)(7)についても同様である。なお、以降の説明では、検索木データの先頭のノード情報(ノード情報(1))を、ルートノード情報と呼ぶ。
【0030】
実施例1のノード情報1413および1414は、ノードの階層の深さ順(文字列を構成する文字順)に並べて収録されている。すなわち、1文字目に対応するノード情報(1)、2文字目に対応するノード情報(2)(6)、3文字目に対応するノード情報(3)(4)(7)、4文字目に対応するノード情報(5)の順序で収録されている。ここで、3文字目以降に対応するノード情報(3)(4)(7)(5)(すなわちノード情報1414)は、検索木データ記録部140においてデータ圧縮された状態で格納されている。
【0031】
名称リスト1415は、検索可能な名称と、その名称について検索サーバ装置に問い合わせを行う際に必要となる件数および実体IDを格納したものであり、名称のアルファベット順に並べて格納されている。
【0032】
図3は、実体データ記録部230に記録される索引データ231および実体データ232の例を示したものである。索引データ231は、検索木識別子、有効期限、および実体IDと実体データ内アドレスの情報を表形式で保持している。図には2個の索引データを記載しており、1つは有効期限が2020年3月31日までの索引データ、もう1つは有効期限が2025年3月31日までの索引データである。有効期限が2025年3月31日までの索引データは、名称“ACE”の施設が新たに1件整備されたことを意味しており、実体ID1005が追加されている。実体データ232は、名称と、名称に付随する各種の情報を表形式で保持しており、図の例では都市名称と位置情報を記載している。
【0033】
以下、ユーザが検索操作を行う際の処理の流れに沿って、実施例1を説明する。
図4は、検索制御部190が検索操作の最初に表示する、検索メニュー画面の説明図である。検索メニュー画面191は、検索可能な分類(レストラン、ガソリンスタンド等)の名称192がリスト表示されている。ユーザは、表示されるリストにおいて、検索したい分類を選択する。
【0034】
図5は、上記分類の1つをユーザが選択後に実行される、検索木有効性判定部110の動作を示すフローチャートである。検索木有効性判定部110は、検索木データ記録部140から、選択された分類に対応する検索木データ141を参照し、検索木有効期限1412を取得する(ステップS1101)。次に、検索木有効性判定部110は、検索端末装置100に設定されている現在時刻を取得する(ステップS1102)。なお、この現在時刻の取得は、一般的なCMOSクロック等の時計装置から取得しても良いし、カーナビの場合はGPS(Global Positioning System)から取得される時刻情報を利用することも可能である。
【0035】
次に、検索木有効性判定部110は、ステップS1101およびステップS1102で取得した検索木有効期限1412および現在時刻を比較して、検索木データ141の有効性を判定する(ステップS1103)。そして、検索木有効性判定部110は、現在時刻が有効期限内であれば、検索制御部190に名称入力画面121の表示を指示する(ステップS1104)。一方、検索木有効性判定部110は、現在時刻が有効期限を過ぎていた場合は、検索制御部190に検索木データ更新画面181の表示を指示する(ステップS1105)。なお、検索木データを更新する処理の流れについては後述する。
【0036】
図6は、検索木データが有効期限内である場合に表示される、名称入力画面121の説明図である。実施例1の名称入力画面121は、名称を入力する名称入力欄122、文字を入力するためのキーボード123、および候補名称を表示する複数の候補名称ボタン124から構成される。候補名称ボタン124は、候補名称を表示するとともに、ユーザが押下した場合に検索サーバ装置への問い合わせを開始する検索ボタンとしての機能も有する。
【0037】
名称入力画面121の動作は以下のとおりである。まず、ユーザがキーボード123を用いて文字“A”を入力した場合、名称入力欄122に“A”を表示するとともに、6個の候補名称ボタン124のそれぞれに、候補名称である“A”“AAB”“AAC”“AAD”“AAE”“AAF”を表示する。次に、ユーザがキーボード123を用いて文字“C”を入力した場合、2個の候補名称ボタン124のそれぞれに、候補名称である“ACD”“ACE”を表示する。
【0038】
図7は、上記の動作を行うための、名称入力制御部120の動作を示すフローチャートである。名称入力制御部120は、まず、ノード情報取得部130に、ルートノード情報の取得を指示する(ステップS1201)。ノード情報取得部130の動作は後述する。次に、名称入力制御部120は、候補名称設定部160に、名称入力画面121の候補名称ボタン124への候補名称の設定を指示する(ステップS1202)。候補名称設定部160の動作は後述する。次に、名称入力制御部120は、候補名称設定部160の処理の結果、検索対象の名称が確定したかどうかを判定する(ステップS1203)。なお、名称が確定するとは、次の文字を入力しても該当する名称は存在しない等、ユーザがこれ以上名称を入力する必要性が無い状態を意味する。
【0039】
名称入力制御部120は、ステップS1203の判定の結果、名称が確定していない場合は、ユーザによるボタンの押下を待つ(ステップS1204)。ボタンが押下された場合、名称入力制御部120は、まず、押下されたボタンが候補名称ボタン124(検索ボタン)であるかどうかを判定する(ステップS1205)。一方、押下されたボタンが候補名称ボタン124(検索ボタン)ではない場合、すなわち、キーボード123を使用して文字が入力された場合は、名称入力制御部120は、ノード情報取得部130に、現在取得済のノード情報の下位のノード情報のうち、押下された文字に対応するノード情報を取得するように指示する(ステップS1206)。名称入力制御部120は、下位のノード情報を取得後、ステップS1202から処理を繰り返す。この繰り返し処理の中で、ステップS1203において名称が確定したと判断した場合、および、ステップS1205で候補名称ボタン124(検索ボタン)が押下された場合は、名称入力制御部120は、押下された候補名称ボタン124(検索ボタン)に対応する件数および実体IDを候補名称設定部160から取得し、検索制御部190に通知して、検索結果取得画面151の表示を指示する(ステップS1207)。
【0040】
図8は、図7のステップS1201およびステップS1206において実行される、ノード情報取得部130の動作を示すフローチャートである。ノード情報取得部130は、まず、名称入力制御部120から取得を指示されたノードがルートノード情報であるかどうかを判定する(ステップS1301)。ルートノード情報であるか否かの判定は、ノード情報取得部130が、名称入力制御部120から取得を指示されたノードに対応する文字が、図2に示したノード情報(1)、すなわちルートノード情報に含まれているか否かを判定することによって行う。
【0041】
ルートノード情報の取得を指示されている場合は、ノード情報取得部130は、検索木データ141に含まれるノード情報1413の先頭ノードを取得対象ノードとする(ステップS1302)。ルートノード情報ではなく、下位ノード情報の取得を指示されている場合は、ノード情報取得部130は、現在取得しているノード情報に含まれる下位ノード情報のうち、入力された文字に対応するノード情報を取得対象ノードとする(ステップS1303)。
【0042】
次に、ノード情報取得部130は、取得対象のノードが、ノード情報(非圧縮データ)1413、およびノード情報(圧縮データ)1414のどちらに含まれるかを判定する(ステップS1304)。この判定は、取得対象のノードが名称の何文字目に対応するものなのかを確認することによって行う。すなわち、図2の説明で述べたように、実施例1の検索木データ141では、名称の3文字目以降に対応するノードは圧縮されているため、取得対象のノードが3文字目以降に対応するものである場合は、圧縮データに含まれていると判断する。次に、取得対象のノード情報がノード情報(圧縮データ)1414に含まれる場合は、ノード情報取得部130は、圧縮データの解凍を行う(ステップS1305)。最後に、ノード情報取得部130は、検索木データ141から取得対象のノード情報を読み込む(S1306)。
【0043】
図9は、図7のステップS1202において実行される、候補情報設定部160の動作を示すフローチャートである。候補情報設定部160は、まず、ノード情報取得部130が取得しているノード情報を参照し、ノード情報に含まれる制御記号“¥0”が示す名称リスト1415上の位置から、候補名称、件数、実体IDを取得して記憶する(ステップS1601)。この取得処理は、名称入力画面121に含まれる候補名称ボタン124(検索ボタン)の個数(6個)を上限として、ノード情報が示す名称リスト内の開始位置から下方向へ、名称の先頭が入力文字列に一致しない行の手前の行までを読み込むことによって行う。例えば、入力文字列が“AC”の場合は、ノード情報(4)によって示される名称リストの8行目(“ACD”)から、名称の先頭が入力文字列“AC”に合致しない10行目(“AUTO”)の手前の9行目までを、候補名称として取得する。
【0044】
次に、候補情報設定部160は、候補名称ボタン124(検索ボタン)のそれぞれに対して、取得した候補名称を設定する(ステップS1602)。次に、候補情報設定部160は、ノード情報取得部130が取得しているノード情報に下位ノード情報が含まれるかどうかを判定する(ステップS1603)。下位ノード情報が存在しない場合、候補情報設定部160は、名称が確定したことを名称入力制御部120に通知する(ステップS1604)。
【0045】
図10は、図7のステップS1207を実行した結果表示される、検索結果取得画面151の説明図である。この図では、名称“ACE”に関するデータを検索サーバ装置に問い合わせしている様子を示している。検索端末装置100は、名称“ACE”に関する問い合わせを開始する時点で、検索結果取得画面151上に、検索サーバ装置200から情報を取得中であることを示すポップアップメッセージ152を表示する。なお、本発明において、検索サーバ装置200から情報を取得中であることの表現は、ポップアップメッセージ152の形態に限るものではなく、通信ネットワーク300に接続するために使用している携帯電話等の画面が通信状態に変化することなど、システムが通信中であることをユーザに通知するために一般的に用いられる手法を使用可能である。検索サーバ装置200から問い合わせ結果を取得後、検索結果表示画面153が表示され、結果の一覧154が表示される。ユーザは、表示された一覧から目的のデータを選択することで、カーナビの目的地として設定したり、詳細情報を確認したりすることが可能となる。
【0046】
図11は、上記の動作を行うための、実体データ取得部150の動作を示すフローチャートである。実体データ取得部150は、まず、図12に示す実体データ要求メッセージを、通信ネットワーク300を介して実体データ管理部250へ送信する(ステップS1501)。次に、実体データ取得部150は、通信ネットワーク300を介して、実体データ管理部250から、図13に示す実体データ応答メッセージを受信する(ステップS1502)。実体データ応答メッセージを受信後、実体データ取得部150は、検索結果表示画面153に、取得した実体データに含まれる情報を表示する(ステップS1503)。
【0047】
図12は、図11のステップS1501で送信する、実体データ要求メッセージの構成図である。実体データ要求メッセージは、検索木識別子1511、実体ID1512、および件数1513から構成される。
【0048】
図13は、図11のステップS1502で受信する、実体データ応答メッセージの構成図である。実体データ応答メッセージは、複数の名称2511、都市名称2512、および位置情報2513を含んでいる。
【0049】
図14は、図12の実体データ要求メッセージを受信した場合の、実体データ管理部250の動作を示すフローチャートである。実体データ管理部250は、まず、実体データ要求メッセージに含まれる検索木識別子1511を参照して、対応する索引データ231を取得する(ステップS2501)。次に、実体データ管理部250は、実体データ要求メッセージに含まれる実体ID1512と件数1513を参照して、実体ID1512が示す値から、その値に件数1513を加算した値から1を減算した実体IDまでに対応するアドレス情報を、索引データ231から取得する(ステップS2502)。
【0050】
例えば、図12に示す実体データ要求メッセージの場合、実体データ管理部250は、実体ID1002、1003、1004の3件の実体IDに対応するアドレス情報を取得する。最後に、実体データ管理部250は、取得したアドレス情報に対応するデータを実体データ232から取得する(ステップS2503)。取得した実体データは、図13に示す実体データ応答メッセージとして実体データ取得部150へ送信され、検索結果表示画面153に表示される。以上が、実施例1の名称候補提示型検索システムによる検索処理の流れである。
【0051】
次に、前述した図5のステップS1103において検索木データが有効期限内ではなかった場合に実行される、検索木データの更新処理について説明する。
【0052】
図15は、検索木データが有効期限内ではなかった場合に表示される、検索木データ更新画面181の説明図である。検索木データ更新画面181は、検索木データの有効期限が切れたことをユーザに通知するポップアップメッセージ182、更新を続行するかどうかをユーザが選択するためのボタン183および184から構成される。この画面において“Yes”ボタン183が押下された場合、検索木データの更新中であることをユーザに通知するポップアップメッセージ185を表示し、検索木データの更新が完了した後に、図6に示す名称入力画面121を表示する。ユーザが“No”ボタン184を押下した場合は、図4に示す検索メニュー画面191に戻る。
【0053】
図16は、上記の動作を行うための、検索木データ更新部180の動作を示すフローチャートである。検索木データ更新部180は、まず、通信ネットワーク300を介して、新しい検索木データの有効期限を取得する(ステップS1801)。この処理は、検索木データ141に含まれる検索木識別子1411を検索木データ管理部280に送信し、検索木データ管理部280は、受信した検索木識別子1411と同じ検索木識別子を持つ最新の更新検索木データ241の有効期限を返却することによって実現される。次に、検索木データ更新部180は、受信した有効期限を画面に表示し、検索木データの更新を行うかどうかをユーザに問い合わせる(ステップS1802、ステップS1803)。ユーザが更新続行を選択した場合は、検索木データ更新部180は、通信ネットワーク300を介して検索木データ管理部280へ検索木識別子1411を送信し、最新の更新検索木データ241を取得して検索木データ記録部140に記録する(ステップS1804)。検索木データ更新部180は、検索木データを更新後、検索制御部190に名称入力画面121の表示を指示する(ステップS1805)。ステップS1803においてユーザが更新続行を選択しなかった場合は、検索木データ更新部180は、検索制御部190に検索メニュー画面191の表示を指示する(ステップS1806)。以上が、実施例1の名称候補提示型検索システムによる検索木データ更新処理の流れである。
【0054】
以上で説明した内容により、候補名称を表示するための検索木データは検索端末装置に格納されており通信処理が発生しないため、名称入力時のユーザの操作性が損なわれることはない。また、検索木データからノード情報を取得する際、図8のステップS1305で圧縮データの解凍処理が行われるのは、ユーザが3文字目以降を入力した場合のみであるため、2文字目の入力までは、圧縮データの解凍処理による操作性の低下は発生しない。なお、本実施例では、3文字目以降に対応するノード情報を圧縮対象としているが、3文字目以降に限るものではなく、検索データに含まれる名称の長さの分布等に応じて設定すれば良い。
【0055】
具体的には、図2に示した検索木データ141を構成するノード情報のうち、各階層のノード情報に含まれる文字数の分布に従って、圧縮データを解凍する時間が所定の閾値以下となるような範囲に含まれるノード情報を圧縮対象としてもよい。例えば、ノード情報(2)にはA、Cのほかこれらと同様に含まれる文字数n(2)、ノード情報(3)にはBのほかこれらと同様に含まれる文字数n(3)、ノード情報(4)にはD、Eのほかこれらと同様に含まれる文字数n(4)、…のように、各ノード情報に含まれる文字数の分布を求め、その分布の中で比較的少ない文字数の範囲にあるノード情報を、圧縮データの解凍時間が所定の閾値以下となる条件を満たすノード情報であるとして定め、それらのノード情報を圧縮対象とすることも可能である。このように、ノード情報に含まれる文字数の分布に応じて圧縮対象となるデータを定めることにより、解凍時間を考慮した、より柔軟な圧縮データの設定が可能となる。
【0056】
また、以上で説明した内容により、検索木データから参照される実体データは検索サーバ装置に格納することが可能になるため、検索端末装置に格納するデータのサイズを削減することが可能となる。
【実施例2】
【0057】
以下、図17から図20を用いて、実施例2のキーボード制御型検索システムについて説明する。実施例2は、ユーザが施設情報を検索する際、名称を1文字入力する毎に、該当件数の表示と、次に入力可能な文字に対応するキーのみを押下可能にする制御を行い、ユーザが検索ボタンを押下した時点で、検索サーバ装置へ施設情報の問い合わせを行い、結果を画面に表示するものである。
【0058】
図17は、実施例2のキーボード制御型検索システムの全体構成図を示したものである。基本的な構成は実施例1と同様であり、実施例1との差異は、図1における候補名称設定部160がなくなり、新たにキーボード制御部170を追加している点、および、図1の検索木データ記録部140に記録されている検索木データ141の構成を変え、検索木データ142としている点である。それ以外の部分については、実施例1と基本的に同様である。
【0059】
図18は、実施例2における検索木データ142の例を記載したものである。実施例2の検索木データ142は、検索木識別子1421、検索木有効期限1422、ノード情報(非圧縮データ)1423、ノード情報(圧縮データ)1424を含んで構成される。検索木識別子1421、および検索木有効期限1422は、実施例1と同様である。
【0060】
ノード情報1423、および1424は、検索木データ142を構成する各ノードの情報を並べたものである。各ノード情報には、文字と、その文字が入力された場合の件数、および下位ノード情報の位置を示す情報の並びが格納されている。例えば、ノード情報(1)は、“A”が入力された場合の件数は21件、“B”が入力された場合の件数は26件であることを示している。その他の文字についても同様である。
【0061】
各ノード情報には、通常の文字の他に、特別な制御記号である“¥0”が含まれる。文字が“¥0”の場合、該当件数を格納する欄にはそのノード情報に含まれる全ての文字の件数を合計した値が格納され、下位ノード情報の位置を示す欄には、そのノード情報に対応する実体IDが記録されている。例えば、ノード情報(4)は、ユーザが“AC”の順に文字を入力した場合に取得されるノード情報であり、入力が“AC”の場合の件数は12件であること、およびその場合の実体IDは998であることを意味している。
【0062】
実施例2のノード情報(非圧縮データ)1423およびノード情報(圧縮データ)1424を構成する各ノード情報は、“¥0”が示す件数の順に並べて収録されている。すなわち、件数が最も多い67件であるノード情報(1)が先頭に配置され、次に、件数が26件であるノード情報(6)が配置される。以降のノードについても同様である。ここで、件数が10件以下であるノード情報(3)および(5)は、検索木データ記録部140において、データ圧縮された状態で格納されている。
【0063】
以下、ユーザが検索操作を行う際の処理の流れに沿って、実施例2を説明する。名称入力画面が表示されるまでの流れは、実施例1と同様である。
【0064】
図19は、実施例2のキーボード制御型検索システムにおいて表示される名称入力画面121の説明図である。名称入力画面121は、実施例1と同様に、名称を入力する名称入力欄122、文字を入力するためのキーボード123、および検索ボタン124を持つ。なお、検索ボタン124は、実施例1では候補名称を表示するものであるが、実施例2ではボタンの名称として“検索”を表示している。また、実施例2の名称入力画面121は、入力された名称の件数を表示する件数表示欄125を備えている。
【0065】
図19に示す初期画面では、件数表示欄125に“67”が表示されている。これは、検索可能なデータの件数が67件であることを示している。また、キーボード123のボタン“C”“F”“Q”等、一部のボタンは、押下できない状態に設定されている。これは、1文字目が“C”“F”“Q”で始まる名称がデータベース(検索木データ142)に存在しないことを示している。この状態でユーザがキーボード123を用いて“A”を入力した場合、件数表示欄125は“21”に変化し、また、キーボード123は、ボタン“B”“D”“E”等、一部のボタンが押下できない状態に設定される。これは、1文字目が“A”である件数は21件であること、および、1文字目が“A”で2文字目が“B”“D”“E”である名称はデータベースに存在しないことを示している。実施例2のキーボード制御型検索システムでは、このように、ユーザが1文字を入力する毎に、件数の表示と、次に入力可能なキーのみを押下可能にする制御が行われる。
【0066】
図19に示した動作を行うための処理について、名称入力制御部120、ノード情報取得部130、およびキーボード制御部170の動作を以下で説明する。
【0067】
名称入力制御部120の動作については、図7のステップS1202において候補名称制御部160に候補名称を設定する指示を行っている箇所が、キーボード制御部170に件数表示およびキーボードの制御を指示する処理に変わるほかは、実施例1と同様である。
【0068】
ノード情報取得部130の動作については、図8のステップS1304において取得対象ノードが圧縮データ内に存在するかどうかを判定する基準が、実施例1では対象ノードが名称の何文字目に対応するノードであるかであったのに対して、実施例2では、対象ノードに対応する件数が10件以下であるかどうかに変わるほかは、実施例1と同様である。
【0069】
キーボード制御部170については、図20に、キーボード制御部170の動作を示したフローチャートを記載する。キーボード制御部170は、まず、ノード情報130が取得しているノード情報の“¥0”が示す件数を、実施例2の名称入力画面121の件数表示欄125に表示する(ステップS1701)。次に、キーボード制御部170は、キーボード123において、ノード情報に含まれる文字に対応するキーのみを押下可能に設定する(ステップS1702)。次に、キーボード制御部170は、ノード情報の“¥0”が示す件数および実体IDを記憶する(ステップS1703)。次に、キーボード制御部170は、ノード情報に下位ノード情報が含まれるかどうかを判定する(ステップS1704)。下位ノード情報が存在しない場合、キーボード制御部170は、名称が確定したことを名称入力制御部120に通知する(ステップS1705)。
【0070】
名称入力制御部120では、実施例1と同様に、図7のステップS1203において名称が確定した場合、または、ステップS1205において検索ボタン124が押下された場合、キーボード制御部170が記憶している件数および実体IDを取得し、検索制御部190に通知して、検索結果取得画面151の表示を指示する。以降、件数および実体IDを使用して検索サーバ装置から検索結果を取得する処理は、実施例1と同様である。
【0071】
以上で説明した内容により、ユーザが名称を1文字入力する毎に件数を表示し、次に入力可能なキーのみを押下可能にする制御を行うための検索木データは検索端末装置に格納されており、通信処理が発生しないため、名称入力時のユーザの操作性が損なわれることはない。また、検索木データからノード情報を取得する際に圧縮データの解凍処理が行われるのは、件数が10件以下になった場合のみであるため、件数が10件より多い状態で検索ボタン124が押下されれば、圧縮データの解凍処理による操作性の低下は発生しない。なお、本実施例では件数が10件以下であるノード情報を圧縮対象としているが、10件以下に限るものではなく、検索データに含まれる件数等に応じて設定すれば良い。
【0072】
具体的には、図18に示した検索木データ142を構成するノード情報のうち、各階層のノード情報に含まれる文字の件数に従って、圧縮データを解凍する時間が所定の閾値以下となるような件数のノード情報を圧縮対象としてもよい。例えば、ノード情報(1)には“¥0”が示す件数67件、ノード情報(2)には“¥0”が示す件数21件、ノード情報(3)には“¥0”が示す件数9件、ノード情報(4)には“¥0”が示す件数12件、ノード情報(5)には“¥0”が示す件数3件、ノード情報(6)には“¥0”が示す件数26件、ノード情報(7)には“¥0”が示す件数18件、…のように、各ノード情報に含まれる文字の件数を求め、その件数が多い順にノード情報を並べ替え、比較的少ない件数のノード情報(例えば、件数の少ない下位3つのノード情報)を、圧縮データの解凍時間が所定の閾値以下となる条件を満たすノード情報であるとして定め、それらのノード情報を圧縮対象とすることも可能である。このように、ノード情報に含まれる文字の件数に応じて圧縮対象となるデータを定めることにより、解凍時間を考慮した、より柔軟な圧縮データの設定が可能となる。
【0073】
また、実施例1と同様に、検索木データから参照される実体データは検索サーバ装置に格納することが可能になるため、検索端末装置に格納するデータのサイズを削減することが可能となる。
【0074】
さらに、上述した実施例1、実施例2において検索木データに含まれるノード情報のうち、ある階層よりも階層が深いノード情報(例えば、検索結果が十分に絞られた場合に表示される文字に対応するノード情報)は、検索対象となる場合が少ないノード情報、すなわち参照される頻度が低いノード情報であるとして、そのようなノード情報のみを圧縮対象とすることも可能である。この場合、参照頻度が高いノード情報は圧縮されることはないため、圧縮データの解凍に伴って発生する待ち時間の発生頻度を軽減することができ、利用者の利便性をさらに向上させることができる。
【0075】
このように、実施例1、実施例2に示したように、例えば、施設データの検索に必要なデータベースのうち、ユーザが検索対象の名称を1文字入力する毎に必要となるデータ(検索木データ)はカーナビに格納し、検索木データから参照される検索データの実体(施設名称、住所、電話番号等のデータ。すなわち実体データ)は、通信ネットワークを介して接続される外部の検索サーバ装置に格納し、名称を入力する際のユーザの操作性を向上する処理はカーナビに格納している検索木データを参照して実行し、ユーザが検索実行を指示した時点で、あるいは、検索木データを参照した結果、それ以上の文字入力が必要ないと判断できる時点で、検索サーバ装置に実体データの問い合わせを行い、結果をカーナビの画面に表示することを特徴としている。このように、ユーザの操作性に大きく影響するデータはカーナビに格納することにより、ユーザの操作性を損なわずに、カーナビに格納するデータベースのサイズを削減することが可能としている。
【0076】
さらに、カーナビに格納する検索木データを部分的に圧縮することを特徴としている。例えば、ユーザが検索対象の名称を入力する際、長い名称を最後まで入力することは稀であり、通常はある程度の長さを入力した時点で検索処理を実行して、結果の一覧から目的の名称を選択することが多い。すなわち、検索木データを構成する複数のノードのうち、名称の先頭近くの文字に対応するノードは必ず参照されるが、名称の末尾近くの文字に対応するノードは参照されないことが多い。このような参照頻度が少ないノードのみを選択的に圧縮することで、ユーザの操作性を損なわずに、カーナビに格納するデータベースのサイズをさらに削減することが可能となる。
【0077】
なお、検索木データ更新部が検索木データを更新する際に、過去に検索木データに含まれるノード情報にアクセスされた回数や時刻等の履歴情報を検索木データ記録部が記憶し、記憶した履歴情報のうち、アクセスされた回数が少ないノード情報を圧縮対象とすることも可能である。このように、ノード情報にアクセスされた履歴に応じて圧縮対象となるデータを定めることにより、より効率的な圧縮データの設定が可能となる。
【0078】
本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。例えば、実施例1および実施例2に記載の検索方法や圧縮方法を適宜組み合わせたり、いずれかを選択可能な形式で実施することももちろん可能である。
【符号の説明】
【0079】
100 検索端末装置
110 検索木有効性判定部
120 名称入力制御部
130 ノード情報取得部
140 検索木データ記録部
150 実体データ取得部
160 候補名称設定部
170 キーボード制御部
180 検索木データ更新部
190 検索制御部
200 検索サーバ装置
230 実体データ記録部
240 更新検索木データ記録部
250 実体データ管理部
280 検索木データ管理部
300 通信ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網を介して検索サーバ装置に接続された検索端末装置であって、
検索対象となるデータを構成する情報と前記情報よりも前記データを構成する下位の階層の情報との関係を対応付けたノード情報と、前記ノード情報に含まれる前記情報または前記下位の情報によって特定される前記検索対象となるデータの実体を示す実体データを識別するための実体識別情報とを対応付けた検索木データを記憶する検索木データ記憶部と、
ユーザから入力された前記情報または前記下位の情報と、前記検索木データ記憶部に記憶された前記ノード情報とに基づいて、前記検索対象となるデータの候補を出力する入力制御部と、
前記入力制御部が出力した前記検索対象となるデータの候補に含まれる前記情報または前記下位の情報に対応する前記実体識別情報を含む検索要求を前記検索サーバ装置に送信し、前記検索サーバ装置から前記実体識別情報によって識別される前記実体データを取得する実体データ取得部と、
を備えることを特徴とする検索端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検索端末装置であって、
前記入力制御部が出力した前記データの候補を表示部に表示させる候補名称設定部をさらに備え、
前記入力制御部は、前記表示部に表示された前記データの候補の指定を受け付け、
前記実体データ取得部は、前記入力制御部が受け付けた前記データの候補に含まれる前記情報または前記下位の情報に対応する前記実体識別情報を含む検索要求を前記検索サーバ装置に送信する、
ことを特徴とする検索端末装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検索端末装置であって、
前記ユーザから入力された前記情報または前記下位の情報と、前記検索木データ記憶部に記憶された前記ノード情報とに基づいて、キーボード表示部に表示されるキーのうち入力された前記情報または前記下位の情報の次に入力可能な情報に対応するキーを押下可能にするキーボード制御部をさらに備え、
前記入力制御部は、前記キーボード表示部に表示された前記次に入力可能な情報に対応するキーの押下を受け付け、
前記実体データ取得部は、前記入力制御部が受け付けた前記キーに含まれる前記情報または前記下位の情報に対応する前記実体識別情報を含む検索要求を前記検索サーバ装置に送信する、
ことを特徴とする検索端末装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の検索端末装置であって、
あらかじめ定められた前記検索木データの有効期限と現在時刻とを比較することにより、前記検索木データの有効性を判定する検索木有効性判定部と、
前記検索木有効性判定部が前記検索木データが有効ではないと判定した場合に、前記検索サーバ装置から更新後の検索木データを取得し、前記検索木データ記憶部に前記更新後の検索木データを記憶させる検索木データ更新部と、
をさらに備えることを特徴とする検索端末装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の検索端末装置であって、
前記実体データ取得部は、前記検索サーバ装置から前記実体データを取得する際に、前記検索装置と前記検索サーバとが通信中である旨を表示部に表示させる、
ことを特徴とする検索端末装置。
【請求項6】
通信網を介して検索端末装置から検索対象となるデータの検索要求を受信する検索サーバ装置であって、
複数の、前記検索対象となるデータの実体を示す実体データを識別するための実体識別情報と前記実体データとを対応付けて記憶する実体データ記憶部と、
前記検索要求に含まれる、前記検索対象となるデータを構成する情報と前記情報よりも前記データを構成する下位の情報との関係を対応付けたノード情報に含まれる前記情報または前記下位の情報によって特定される前記検索対象となるデータを識別するための実体識別情報と前記情報または前記下位の情報によって特定される前記検索対象となるデータの候補の件数とに基づいて、前記実体データ記憶部に記憶されている複数の実体データの中から前記検索対象となるデータを検索する実体データ管理部と、
を備えることを特徴とする検索サーバ装置。
【請求項7】
請求項6に記載の検索サーバ装置であって、
最新の検索木データを記録する更新検索木データ記録部と、
前記検索端末装置から受信した前記検索木データの更新要求に基づいて、前記最新の検索木データを前記検索端末装置に送信する検索木データ管理部と、
をさらに備えることを特徴とする検索サーバ装置。
【請求項8】
検索木データを圧縮する検索木圧縮方法であって、
複数の、検索対象となるデータを構成する情報と前記情報よりも前記データを構成する下位の情報との関係を対応付けたノード情報を所定の順序で並べるノード情報整列ステップと、
前記ノード情報整列ステップにより整列された複数のノード情報を二以上のグループに分類するノード情報分類ステップと、
前記ノード情報分類ステップにより分類された二以上のグループの各々に対して異なるデータ圧縮処理または非圧縮処理を実行するノード情報圧縮ステップと、
を含むことを特徴とする検索木圧縮方法。
【請求項9】
請求項8に記載の検索木圧縮方法であって、
前記ノード情報整列ステップは、前記検索木データにおける一のノード情報と他のノード情報との間における階層を比較してノード情報を整列するものである、
ことを特徴とする検索木圧縮方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の検索木圧縮方法であって、
前記ノード情報圧縮ステップは、前記ノード情報のうち、各階層のノード情報に含まれる前記情報または前記下位の情報の分布に基づいて、前記データ圧縮処理または前記非圧縮処理を実行する、
ことを特徴とする検索木圧縮方法。
【請求項11】
請求項10に記載の検索木圧縮方法であって、
前記ノード情報圧縮ステップは、前記情報または前記下位の情報の分布のうち、圧縮されたデータを解凍する時間が所定の閾値以下となるような範囲に含まれる前記ノード情報を圧縮対象とする、
ことを特徴とする検索木圧縮方法。
【請求項12】
請求項8に記載の検索木圧縮方法であって、
前記ノード情報整列ステップは、前記ノード情報に含まれる前記情報または前記下位の情報によって示される前記検索対象となるデータの件数を比較してノード情報を整列するものである、
ことを特徴とする検索木圧縮方法。
【請求項13】
請求項8または9に記載の検索木圧縮方法であって、
前記ノード情報圧縮ステップは、前記ノード情報のうち、各階層のノード情報に含まれる文字の件数に基づいて、前記データ圧縮処理または前記非圧縮処理を実行する、
ことを特徴とする検索木圧縮方法。
【請求項14】
請求項13に記載の検索木圧縮方法であって、
前記ノード情報圧縮ステップは、前記文字の件数のうち、圧縮されたデータを解凍する時間が所定の閾値以下となるような件数の前記ノード情報を圧縮対象とする、
ことを特徴とする検索木圧縮方法。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の検索木圧縮方法であって、
前記ノード情報圧縮ステップは、過去に前記検索木データに含まれる前記ノード情報に対するアクセス履歴に基づいて、前記ノード情報へのアクセス回数が少ない前記ノード情報を圧縮対象とする、
ことを特徴とする検索木圧縮方法。
【請求項16】
通信網を介して検索端末装置と検索サーバ装置とが接続され、検索対象となるデータを検索するセンタ連携型検索システムであって、
前記検索装置は、
検索対象となるデータを構成する情報と前記情報よりも前記データを構成する下位の階層の情報との関係を対応付けたノード情報と、前記ノード情報に含まれる前記情報または前記下位の情報によって特定される前記検索対象となるデータの実体を示す実体データを識別するための実体識別情報とを対応付けた検索木データを記憶する検索木データ記憶部と、
ユーザから入力された前記情報または前記下位の情報と、前記検索木データ記憶部に記憶された前記ノード情報とに基づいて、前記検索対象となるデータの候補を出力する入力制御部と、
前記入力制御部が出力した前記検索対象となるデータの候補に含まれる前記情報または前記下位の情報に対応する前記実体識別情報を含む検索要求を前記検索サーバ装置に送信し、前記検索サーバ装置から前記実体識別情報によって識別される前記実体データを取得する実体データ取得部と、を備え、
前記検索サーバ装置は、
複数の、前記検索対象となるデータの実体を示す実体データを識別するための実体識別情報と前記実体データとを対応付けて記憶する実体データ記憶部と、
前記検索要求に含まれる、前記ノード情報に含まれる前記実体識別情報と前記情報または前記下位の情報によって特定される前記検索対象となるデータの候補の件数とに基づいて、前記実体データ記憶部に記憶されている複数の実体データの中から前記検索対象となるデータを検索する実体データ管理部と、
を備えることを特徴とするセンタ連携型検索システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−105433(P2013−105433A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250774(P2011−250774)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)