検索装置、及び、プログラム
【課題】 ユーザの選択状況に応じた適切な検索を実現可能な検索装置を提供する。
【解決手段】 音声認識部が、入力された音声と予め記憶されている複数の比較対象パターンとを比較し、一致度合の高いものを認識結果として制御部へ出力する。制御部は、施設情報DBを使用し、認識結果に対応する施設情報を取得する(S200)。また、走行環境として、車両の「位置情報」、「天候情報」、「時間帯情報」及び「乗車人数情報」を取得する(S220)。そして、この走行環境と要因DB32の選択時情報を比較し、検索された複数の施設に優先度を付加して(S240)、リスト表示を行う(S260)。
【解決手段】 音声認識部が、入力された音声と予め記憶されている複数の比較対象パターンとを比較し、一致度合の高いものを認識結果として制御部へ出力する。制御部は、施設情報DBを使用し、認識結果に対応する施設情報を取得する(S200)。また、走行環境として、車両の「位置情報」、「天候情報」、「時間帯情報」及び「乗車人数情報」を取得する(S220)。そして、この走行環境と要因DB32の選択時情報を比較し、検索された複数の施設に優先度を付加して(S240)、リスト表示を行う(S260)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばナビゲーションシステムにおける目的地の設定などに有効な検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力された音声を予め記憶されている複数の比較対象パターン候補と比較し、一致度合の高いものを認識結果とする音声認識技術が知られている。この音声認識技術は、ナビゲーション装置にも採用されており、目的地の設定などに利用されている。特に、運転者が利用する場合、ボタン操作や画面注視が軽減され、安全面にも寄与する。
【0003】
ところで、例えば目的地の設定に利用する場合、ユーザが発話した音声を基に認識結果を表示すると、複数の認識結果が表示されることが多い。このような場合、認識結果としての施設名などがリスト表示されるため、当該リストから目的地を選択することとなる。
【0004】
しかしながら、認識結果が多くなると、リスト中から所望の施設を選択するのが困難になる。また、全ての認識結果が一度に表示されない場合、リストをスクロールさせる必要が生じ、ユーザの操作が増えてしまう。
【0005】
これを解決するための手法として、複数の認識結果の中から所望の認識結果の選択が行われると、次回からは、選択された認識結果以外の認識結果に対する優先度を下げてリスト表示を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−4054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、ユーザが何を選択するかは、選択するときの状況によって異なるため、選択により一律に優先度を下げると、ユーザにとって使い辛いものとなる虞がある。なお、ここでは音声の認識結果に基づく検索に言及したが、このような問題は、音声認識に基づく検索以外の種々の方法での検索でも起こり得る。
【0008】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザにとって使いやすい検索装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の検索装置は、入力情報に対応する検索情報が記憶されている検索データベースと、入力情報を取得する入力情報取得手段と、検索データベースを参照し、入力情報取得手段によって取得された入力情報に対応する検索情報を検索する検索手段と、検索された検索情報を出力する出力手段と、走行環境を取得する走行環境取得手段と、検索された検索情報がユーザにより選択されたとき、取得した走行環境を選択された検索情報に対応付けた対応情報を記憶する記憶手段と、を備え、出力手段は、取得した走行環境と対応情報とに基づき、検索された検索情報を出力することを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、選択された検索情報に該検索情報が選択されたときの走行環境を対応付けた対応情報が記憶されており、取得した走行環境と対応情報とに基づき検索情報が検索されて出力されるため、ユーザにとって使いやすい検索装置となる。
【0011】
また、検索情報が選択されたときの走行環境と対応情報とに基づいて検索情報に優先度を付加する優先度付加手段を備え、出力手段によって、優先度に基づくリストが表示されるようにしてもよい。このようにすれば、適切なリスト表示が実現される。
【0012】
以上は、検索装置の発明として説明してきたが、コンピュータシステムにて実行されるプログラムの発明として実現することもできる。すなわち、入力情報を取得する入力情報取得処理と、入力情報に対応する検索情報が記憶されている検索データベースを参照し、入力情報取得処理によって取得された入力情報に対応する検索情報を検索する検索処理と、検索された検索情報を出力する出力処理と、走行環境を取得する走行環境取得処理と、前記検索された検索情報がユーザにより選択されたとき、取得した走行環境を選択された検索情報に対応付けた対応情報を記憶する記憶処理と、を備え、出力処理では、取得した走行環境と対応情報とに基づき、検索された検索情報を出力することを特徴とするプログラムである。このようなプログラムを実行すれば、上述の検索装置と同様の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態のナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図2】音声認識部を示す機能ブロック図である。
【図3】音声認識処理を示すフローチャートである。
【図4】要因データベースの一例を示す説明図である。
【図5】リスト表示処理を示すフローチャートである。
【図6】走行環境取得処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】優先度付加処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】要因DB更新処理を示すフローチャートである。
【図9】要因DB更新処理における追加登録を示す説明図である。
【図10】具体的な検索事例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を具体化した一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下に示すような形態に何等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは言うまでもない。
【0015】
図1は、本形態のナビゲーションシステム(以下「システム」という)を示すブロック図である。本形態のシステムは、車両に搭載されて用いられ、設定された目的地までの経路を案内するナビゲーション機能を有する。
【0016】
このシステムは、制御部10を中心に構成されており、この制御部10に、入力部20と、地図データ記憶部30と、通信部40と、現在位置算出部50と、着座センサ60と、スピーカ70と、ディスプレイ80とが接続されている。
【0017】
制御部10は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスラインを備えたコンピュータとして構成されており、システム全体の制御を司る。
入力部20は、音声認識部21と、操作スイッチ22とを備えている。この入力部20は、利用者がシステムに対する指示を行うためのものであり、音声認識部21を介した音声入力と、操作スイッチ22を介した操作入力とが可能となっている。操作スイッチ22は、通常の押しボタン式のスイッチを有するとともに、ディスプレイ80と一体になってユーザのタッチ動作を操作入力とするタッチパネルを有している。なお、音声認識部21の構成については、後述する。
【0018】
地図データ記憶部30は、例えばハードディスク装置(HDD)として実現される記憶装置である。なお、ここではHDDを用いたが、DVD−ROMや、メモリカード等の他の媒体を用いても差し支えない。
【0019】
この地図データ記憶部30は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データおよび経路を探索するための地図データを記憶している。地図データには、各種データが含まれるが、その一つとして施設に関する施設情報が含まれる。
【0020】
施設情報は、具体的には施設を特定するIDと関連付けられて記憶されているPOI(Point of Interest )情報である。このようなPOI情報は、施設情報データベース(以下「データベース」を「DB」と記述する。)31として具現化される。POI情報には、施設名称、施設ID、位置座標、種別(ジャンル)を示す情報などが含まれる。かかる構成により、施設情報DB31を使用し、例えばジャンル等の条件から施設を絞り込んで検索することが可能となっている。
【0021】
また、本形態では特に、地図データ記憶部30が、要因DB32を有している。要因DB32の詳細については、後述する。
【0022】
通信部40は、外部との情報通信を行うための構成である。本形態では、外部のセンタ装置(不図示)との通信を行うことで、センタ装置から現在の天候を示す情報を取得可能となっている。
【0023】
現在位置算出部50は、車両の現在位置を算出するものである。例えば、地磁気センサ、ジャイロスコープ、距離センサ、および、衛星からの電波を受信するGPS(Global Positioning System )受信機等を有している。これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、相互に補完しながら使用される。この現在位置算出部50によって、リアルタイムに自車位置を算出することができる。
【0024】
着座センサ60は、車両シートに設けられており、シートに座っていることを検知するためのものである。本形態では、運転席、助手席、後席左側、後席右側のシートに設けられている。
【0025】
スピーカ70は、音声を出力するためのものであり、例えば経路の案内等を音声で行う場合に使用される。また、ディスプレイ80は、液晶などを用いて構成されるカラーディスプレイ装置である。ディスプレイ80を介して地図や施設情報などが表示される。後述する施設情報のリスト表示も、このディスプレイ80を介して行われる。
【0026】
次に、図2に基づき、音声認識部21の構成を説明する。図2は、音声認識部21の機能ブロック図である。音声認識部21は、入力信号制御部21a、認識処理部21b、認識制御部21c及び辞書管理部21dを備えている。
【0027】
入力信号制御部21aは、利用者から入力される音声をA/D変換し、データ処理が可能な例えば周波数方向の波形データである音声データに変換する。認識処理部21bは、後述する辞書管理部21dによって設定される認識辞書にある比較対象パターン候補の中から一致度合が所定値以上のものを認識結果として出力する。なお、この認識結果は、認識制御部21cを介して制御部10へ出力される。認識制御部21cは、制御部10からの情報に基づいて、使用する認識辞書を指定する。辞書管理部21dは、認識制御部21cから指定された認識辞書を設定する。
【0028】
このような音声認識部21により、施設情報の検索をユーザの音声にて行えるようになっている。そこで次に、図3に示すフローチャートの基づき、音声認識処理を説明する。
【0029】
音声認識処理にあたり、制御部10は、ユーザに対し、音声入力を促すメッセージ出力を行う。例えば、検索処理において「住所の一部を音声で入力してください」といったメッセージを出力するという具合である。そして、音声認識部21に対し、音声認識処理の開始要求を行う。
【0030】
これにより、音声認識部21は、図3中のS100において、認識辞書をセットする。この処理は、上述したように、認識制御部21cが使用する辞書を指定し、辞書管理部21dが、認識制御部21cから指定された認識辞書を設定するものである。例えば、住所の一部を音声にて入力させる場合、住所を構成する地名を比較対象パターン候補として記憶した認識辞書が設定されるという具合である。
【0031】
続くS110では、音声情報を取得する。この処理は、入力信号制御部21aにて、行われる。入力信号制御部21aは、上述したように、利用者から入力される音声を音声データに変換する。
【0032】
次のS120では、認識処理を実行する。この処理は認識処理部21bによって行われる。ここで、認識辞書にある比較対象パターン候補の中から一致度合が所定値以上のものがあれば、認識結果として認識制御部21cに出力される。
【0033】
続くS130では、認識結果があるか否かを判断する。この処理は認識制御部21cにて実行され、認識処理部21bから認識結果が出力された場合に肯定判断される。ここで認識結果があると判断された場合(S130:YES)、S140へ移行し、認識結果を制御部10へ出力して、音声認識処理を終了する。一方、認識結果がないと判断された場合(S130:NO)、S150へ移行し認識不能である旨を制御部10へ出力して、音声認識処理を終了する。
【0034】
次に、図1に示した要因DB32について説明する。図4は、要因DB32を示す説明図である。
【0035】
図4(a)に示すように、要因DB32は、「施設名称」及び「施設ID」に対し、各種情報が対応付けられた情報(対応情報)によって構築されている。具体的には、「位置情報」、「天候情報」、「時間帯情報」及び「乗車人数情報」が紐付けられている。
【0036】
位置情報は、車両位置を示す情報であり、「座標値」の情報となっている。また、天候情報は、「晴」、「曇」、「雨」の3種類の情報となっている。さらにまた、時間帯情報は、「朝」、「昼」、「夜」、「深夜」の4種類の情報となっている。例えば4:00〜10:00を「朝」、10:00〜17:00を「昼」、17:00〜21:00を「夜」、21:00〜4:00を「深夜」として設定するという具合である。また、乗車人数情報は、「単数」又は「複数」のいずれかの情報となっている。単数というのは、運転者だけであることを示す。
【0037】
地図データ記憶部30の有する施設情報DB31を使用して施設情報を検索可能であることは、既に述べた。本形態のシステムでは、検索された施設の「施設名称」に対応させ、その選択時における「選択時情報」として、上述した位置情報、天候情報、時間帯情報、及び、乗車人数情報を記憶する。かかる構成により、図3(b)に示すような要因DB32が構築されることになる。
【0038】
この要因DB32を参照することにより、過去の時点でA施設が選択された際、車両位置が(X1,Y1)、天候が「晴」、時間帯が「朝」、乗車人数が「複数」であったことが分かる。同様に、過去の時点でB施設が選択された際、車両位置が(X2,Y2)、天候が「雨」、時間帯が「昼」、乗車人数が「複数」であったことが分かり、過去の時点でC施設が選択された際、車両の位置座標が(X3,Y3)、天候が「曇」、時間帯が「深夜」、乗車人数が「単数」であったことが分かる。
【0039】
次に、認識結果を基にしたリスト表示処理を説明する。図5は、リスト表示処理を示すフローチャートである。このリスト表示処理は、音声認識部21から認識結果が出力されると、制御部10にて実行される。
【0040】
最初のS200では、施設検索を行う。これにより、例えば住所の一部が認識結果となっている場合、当該住所の一部を含む施設が検索される。
【0041】
次のS210では、S200にて検索された施設が複数あるか否かを判断する。ここで認識結果に対し、複数の施設が検索された場合(S210:YES)、S220へ移行する。一方、認識結果に対する施設が一つだけだった場合(S210:NO)、S260へ移行する。
【0042】
S220では、走行環境を取得する。この走行環境は、上述した要因DB32の選択時情報となり得るものであり、「位置情報」、「天候情報」、「時間帯情報」及び「乗車人数情報」で構成されている。
【0043】
ここで、走行環境取得処理を、図6のフローチャートに基づき説明する。
最初のS221では、位置情報を取得する。この処理は、現在位置算出部50から車両位置を取得するものである。上述したように、位置情報は、座標値として取得される。
【0044】
次のS222では、天候情報を取得する。この処理は、通信部40を介し、外部のセンタ装置から現在の天候情報を取得するものである。具体的には、車両位置情報をセンタ装置へ送信し、当該車両位置に対応する現在の天候情報を取得する。
【0045】
続くS223では、時間帯情報を取得する。この処理は、制御部10の備える計時機能によって分かる時刻から、上述したような例えば4種類の時間帯情報を取得するものである。
【0046】
次のS224では、乗車人数情報を取得する。乗車人数情報は、着座センサ60からの信号に基づき、運転者だけである場合には「単数」、他に同乗者が存在する場合には「複数」として取得される。
【0047】
図5に戻り、S230では、S200にて検索された施設の「施設名称」及び「施設ID」が要因DB32にあるか否かを判断する。ここで要因DB32に「施設名称」及び「施設ID」があると判断された場合(S230:YES)、S240へ移行する。一方、「施設名称」及び「施設ID」のうちの少なくとも一方がないと判断された場合(S230:NO)、S260へ移行する。
【0048】
S240では、優先度付加処理を実行する。この処理は、S200にて検索された施設に対し、優先度を付加するものである。この優先度付加処理については後述する。続くS250では、S200にて検索された複数の施設の全てについて処理したか否かを判断する。ここで全ての施設について処理したと判断された場合(S250:YES)、S260へ移行する。一方、未処理の施設があると判断された場合(S250:NO)、S240からの処理を繰り返す。
【0049】
S200にて検索された施設が一つだけであった場合(S210:NO)、要因DB32にS200にて検索された施設がなかった場合(S230:NO)、あるいは、S200にて検索された複数の施設に優先度を付加した場合(S250:YES)に移行するS260では、それぞれの場合に応じた表示を行う。検索された施設が一つだけであった場合はその施設のみを表示する。検索された施設がなかった場合は「該当施設が見つかりません」と表示する。検索された複数の施設に優先度を付加した場合は優先度に基づく施設のリスト表示を行う。例えば、優先度の高い順に複数の施設を並べ替えてリスト表示を行うという具合である。
【0050】
次に、図5中のS240にて実行される優先度付加処理の詳細を説明する。図7は、優先度付加処理の詳細を示すフローチャートである。
最初のS241において、類似度を示す変数Rを初期化して「0」とする。変数Rは、要因DB32の選択時情報と、S220にて取得された走行環境との類似度を示すものである。以下の比較処理では、選択時情報と走行環境とを比較する。
【0051】
S242では、車両位置が近いか否か判断する。この処理は、要因DB32にある位置情報と、現在の車両の位置情報とを比較するものである。具体的には、要因DB32にある位置情報としての座標値を中心とする所定半径のエリアを想定し、このエリア内に車両が位置しているか否かを判断する。ここで前記所定半径のエリア内に車両が位置している場合に車両位置が近いと判断し(S242:YES)、S243にてRをインクリメントし、S244へ移行する。一方、車両位置が近くないと判断された場合(S242:NO)、S243の処理を実行せず、S244へ移行する。
【0052】
S244では、S222にて取得された天候情報が更新DB32にある天候情報と一致しているか否かを判断する。この処理は天候情報を比較するものである。上述したように天候情報は「晴」、「曇」、「雨」で示される。ここで天候情報が一致していると判断された場合(S244:YES)、S245にて変数Rをインクリメントし、S246へ移行する。一方、天候情報が一致していないと判断された場合(S244:NO)、S245の処理を実行せず、S246へ移行する。
【0053】
S246では、時間帯情報が一致しているか否かを判断する。この処理は、時間帯情報を比較するものである。上述したように時間帯情報は「朝」、「昼」、「夜」、「深夜」で示される。ここで時間帯情報が一致していると判断された場合(S246:YES)、S247にて変数Rをインクリメントし、S248へ移行する。一方、時間帯情報が一致していないと判断された場合(S246:NO)、S247の処理を実行せずに、S248へ移行する。
【0054】
S248では、乗車人数情報が一致しているか否かを判断する。この処理は、乗車人数情報を比較するものである。上述したように乗車人数情報は「単数」又は「複数」で示される。ここで乗車人数情報が一致していると判断された場合(S248:YES)、S249にて変数Rをインクリメントし、優先度付加処理を終了する。一方、乗車人数情報が一致していないと判断された場合(S248:NO)、S249の処理を実行せず、優先度付加処理を終了する。
【0055】
この優先度付加処理では、類似度を示す変数Rが「0」〜「4」の5段階で示されることになる。ここでは、この類似度を示す「0」〜「4」の情報を「優先度」を示す情報として用いる。
【0056】
図5中のS260にて優先度に基づく施設のリストが表示されると、ユーザは、例えば目的地設定のための目的地等として、リスト表示された施設を選択する。このとき、本形態のシステムでは、要因DB更新処理を実行する。そこで次に、要因DB更新処理を、図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0057】
最初のS300では、選択された施設が要因DB32にあるか否かを判断する。選択された施設が要因DB32にあると判断された場合(S300:YES)、施設が選択されたときの走行環境をS310にて選択時情報に追加登録し、その後、要因DB更新処理を終了する。一方、選択された施設が要因DB32にないと判断された場合(S300:NO)、施設が選択されたときの走行環境をS320にて選択時情報とし施設名称と共に新規登録を行い、その後、要因DB更新処理を終了する。
【0058】
追加登録は、例えば図9に示すように、以前と異なる情報があれば当該情報を追加する態様で行うことが考えられる。
図9(a)に示すように、要因DB32にあるA施設の選択時情報は、位置情報が座標値(X1,Y1)、天候情報が「晴」、時間帯情報が「朝」、乗車人数情報が「複数」であるとする。
【0059】
このとき、図9(b)に示すように、A施設がリストから選択された際の走行環境が、位置情報(X4,Y4)、天候情報「曇」、時間帯情報「昼」、乗車人数情報「複数」であれば、図9(c)に示すような態様で追加登録することが考えられる。つまり、A施設の選択時情報を、位置情報(X1,Y1)、(X4,Y4)、天候情報「晴」及び「曇」、時間帯情報「朝」及び「昼」、乗車人数情報「複数」とすることが考えられる。
【0060】
次に本形態のシステムが奏する効果について説明する。
本形態では、音声認識部が、入力された音声と予め記憶されている複数の比較対象パターンとを比較し、一致度合の高いものを認識結果として制御部へ出力する。制御部は、施設情報DBを使用し、認識結果に対応する施設情報を取得する(S200)。また、走行環境としての車両の「位置情報」、「天候情報」、「時間帯情報」及び「乗車人数情報」を取得する(S220)。そして、要因DB32の選択時情報との類似度を判断し、検索された複数の施設に優先度を付加して(S240)、優先度に基づくリスト表示を行う(S260)。
【0061】
音声認識部21での認識結果から施設検索を行うと、複数の施設が検索されることがある。そこで、施設が選択された時点の走行環境を選択時情報として施設名称に紐付けた要因DB32を用意し、次に同じ認識結果から施設検索を行った場合、検索の際に取得される走行環境と要因DB32の選択時情報とを比較して、優先順位を付けたリスト表示を行う。これにより、入力音声に応じた認識結果に基づく検索施設を適切に表示することができる。
【0062】
例えば、図10(a)は、位置情報に基づく優先度付加の事例である。この場合、認識結果が「おかざき」であることを前提に、自車位置が座標値(X1,Y1)の近くにあれば、「A鉄道岡崎駅」の優先度が高くなり、自車位置が座標値(X2,Y2)の近くにあれば、「B鉄道岡崎駅」の優先度が高くなる。したがって、例えば自宅の位置が座標値(X1,Y1)であり、職場の位置が座標値(X2,Y2)であるとすると、自宅付近から検索する場合には「A鉄道岡崎駅」が優先的に表示され、職場付近から検索する場合には「B鉄道岡崎駅」が優先的に表示されることになる。
【0063】
また例えば図10(b)は、乗車人数情報に基づく優先度付加の事例である。この場合、認識結果が「わいわいらんど」であることを前提に、乗車人数情報が「複数」であれば、「遊園地ワイワイランド」の優先度が高くなり、乗車人数情報が「単数」であれば、「株式会社ワイワイランド」の優先度が高くなる。したがって、同乗者がいるような場合には「遊園地ワイワイランド」が優先的に表示され、一人で運転しているような場合には、「株式会社ワイワイランド」が優先的に表示されることになる。
【0064】
例えば図10(c)は、時間帯情報に基づく優先度付加の事例である。この場合、認識結果が「すーぱーせんとう」であることを前提に、時間帯情報が「昼」であれば、食料品などを売る「スーパー千島」の優先度が高くなり、時間帯情報が「夜」であれば、銭湯である「スーパー銭湯」の優先度が高くなる。したがって、昼間には「スーパー千島」が優先的に表示され、夜間には「スーパー銭湯」が優先的に表示されることになる。
【0065】
また、本形態では、要因DB32の更新処理を行う。つまり、表示されたリストからユーザが施設を選択した際、選択された施設に対し走行環境を登録する(図8中のS310,S320)。これにより、施設名称と選択時情報との対応関係が更新されつつ増加していくため、検索された施設のリストをより適切に表示することができる。
【0066】
本形態における施設情報DB31が「検索データベース」に相当し、入力部20が「入力情報取得手段」に相当し、要因DB32に記憶される情報が「対応情報」に相当し、制御部10が「検索手段」、「出力手段」、「走行環境取得手段」、「記憶手段」及び「優先度付加手段」に相当する。
【0067】
図3の音声認識処理が「入力情報取得手段」の機能としての「入力情報取得処理」に相当し、図5のリスト表示処理が「検索手段」の機能としての「検索処理」に相当し、図5中のS220の処理が「走行環境取得手段」の機能としての「走行環境取得処理」に相当し、図5中のS240の処理が「優先度付加手段」の機能としての処理に相当し、図5中のS260の処理が「出力手段」の機能としての「出力処理」に相当し、図8の要因DB更新処理が「記憶手段」の機能としての「記憶処理」に相当する。
【0068】
なお、以上の構成は一例であり、次のような構成を採用してもよい。
(イ)要因DB32が車両で取得された走行環境によって構築されていくことは述べたが、当初は、デフォルトの選択時情報を記憶しておくようにしてもよい。
(ロ)上記形態では、時間帯情報を「朝」、「昼」、「夜」、「深夜」という具合に4種類で示しているが、「昼間」と「夜間」というようにもっと少ない項目で切り分けたり、もっと多くの項目で切り分けたりすることも考えられる。天候情報や乗車人数情報についても同様である。天候情報で言えば、雨の強さを示すような「雷雨」や「台風」といった情報を含めるようにしてもよい。また、「気温」などの情報を加えてもよい。
(ハ)上記形態では、通信部40を介しセンタ装置から天候情報を取得しているが、例えばレインセンサを自車両に搭載し、レインセンサからの信号に基づいて天候情報を取得するようにしてもよい。例えば、雨が降っているか否かを天候情報として取得するという具合である。上記形態では、着座センサ60から乗車人数を検出していたが、例えばカメラなどを搭載し、当該カメラの映像から乗車人数を検出するようにしてもよい。
(ニ)上記形態では、優先度を付加した後、優先度の高い順序でリスト表示を行っていた。これに対し、表示されるリストの優先度が分かればよいため、例えば上述した変数Rの数だけ、星印などの特定のマークを並べて表示するなどして優先度を示すようにしてもよい。
(ホ)上記形態では、音声認識の認識結果を入力情報として施設情報DBを検索する構成であった。これに対し、操作スイッチ22から入力される文字情報などを入力情報として施設情報DB31を検索する構成としてもよい。また、上記形態はナビゲーションシステムに本発明を適用したものであったが、携帯電話に代表される携帯端末システムに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10:制御部、20:入力部、21:音声認識部、21a:入力信号制御部、21a:入力信号制御部、21b:認識処理部、21c:認識制御部、21d:辞書管理部、22:操作スイッチ、30:地図データ記憶部、31:施設情報DB、32:要因DB、40:通信部、50:現在位置算出部、60:着座センサ、70:スピーカ、80:ディスプレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばナビゲーションシステムにおける目的地の設定などに有効な検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力された音声を予め記憶されている複数の比較対象パターン候補と比較し、一致度合の高いものを認識結果とする音声認識技術が知られている。この音声認識技術は、ナビゲーション装置にも採用されており、目的地の設定などに利用されている。特に、運転者が利用する場合、ボタン操作や画面注視が軽減され、安全面にも寄与する。
【0003】
ところで、例えば目的地の設定に利用する場合、ユーザが発話した音声を基に認識結果を表示すると、複数の認識結果が表示されることが多い。このような場合、認識結果としての施設名などがリスト表示されるため、当該リストから目的地を選択することとなる。
【0004】
しかしながら、認識結果が多くなると、リスト中から所望の施設を選択するのが困難になる。また、全ての認識結果が一度に表示されない場合、リストをスクロールさせる必要が生じ、ユーザの操作が増えてしまう。
【0005】
これを解決するための手法として、複数の認識結果の中から所望の認識結果の選択が行われると、次回からは、選択された認識結果以外の認識結果に対する優先度を下げてリスト表示を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−4054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、ユーザが何を選択するかは、選択するときの状況によって異なるため、選択により一律に優先度を下げると、ユーザにとって使い辛いものとなる虞がある。なお、ここでは音声の認識結果に基づく検索に言及したが、このような問題は、音声認識に基づく検索以外の種々の方法での検索でも起こり得る。
【0008】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザにとって使いやすい検索装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の検索装置は、入力情報に対応する検索情報が記憶されている検索データベースと、入力情報を取得する入力情報取得手段と、検索データベースを参照し、入力情報取得手段によって取得された入力情報に対応する検索情報を検索する検索手段と、検索された検索情報を出力する出力手段と、走行環境を取得する走行環境取得手段と、検索された検索情報がユーザにより選択されたとき、取得した走行環境を選択された検索情報に対応付けた対応情報を記憶する記憶手段と、を備え、出力手段は、取得した走行環境と対応情報とに基づき、検索された検索情報を出力することを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、選択された検索情報に該検索情報が選択されたときの走行環境を対応付けた対応情報が記憶されており、取得した走行環境と対応情報とに基づき検索情報が検索されて出力されるため、ユーザにとって使いやすい検索装置となる。
【0011】
また、検索情報が選択されたときの走行環境と対応情報とに基づいて検索情報に優先度を付加する優先度付加手段を備え、出力手段によって、優先度に基づくリストが表示されるようにしてもよい。このようにすれば、適切なリスト表示が実現される。
【0012】
以上は、検索装置の発明として説明してきたが、コンピュータシステムにて実行されるプログラムの発明として実現することもできる。すなわち、入力情報を取得する入力情報取得処理と、入力情報に対応する検索情報が記憶されている検索データベースを参照し、入力情報取得処理によって取得された入力情報に対応する検索情報を検索する検索処理と、検索された検索情報を出力する出力処理と、走行環境を取得する走行環境取得処理と、前記検索された検索情報がユーザにより選択されたとき、取得した走行環境を選択された検索情報に対応付けた対応情報を記憶する記憶処理と、を備え、出力処理では、取得した走行環境と対応情報とに基づき、検索された検索情報を出力することを特徴とするプログラムである。このようなプログラムを実行すれば、上述の検索装置と同様の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態のナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図2】音声認識部を示す機能ブロック図である。
【図3】音声認識処理を示すフローチャートである。
【図4】要因データベースの一例を示す説明図である。
【図5】リスト表示処理を示すフローチャートである。
【図6】走行環境取得処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】優先度付加処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】要因DB更新処理を示すフローチャートである。
【図9】要因DB更新処理における追加登録を示す説明図である。
【図10】具体的な検索事例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を具体化した一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下に示すような形態に何等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは言うまでもない。
【0015】
図1は、本形態のナビゲーションシステム(以下「システム」という)を示すブロック図である。本形態のシステムは、車両に搭載されて用いられ、設定された目的地までの経路を案内するナビゲーション機能を有する。
【0016】
このシステムは、制御部10を中心に構成されており、この制御部10に、入力部20と、地図データ記憶部30と、通信部40と、現在位置算出部50と、着座センサ60と、スピーカ70と、ディスプレイ80とが接続されている。
【0017】
制御部10は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスラインを備えたコンピュータとして構成されており、システム全体の制御を司る。
入力部20は、音声認識部21と、操作スイッチ22とを備えている。この入力部20は、利用者がシステムに対する指示を行うためのものであり、音声認識部21を介した音声入力と、操作スイッチ22を介した操作入力とが可能となっている。操作スイッチ22は、通常の押しボタン式のスイッチを有するとともに、ディスプレイ80と一体になってユーザのタッチ動作を操作入力とするタッチパネルを有している。なお、音声認識部21の構成については、後述する。
【0018】
地図データ記憶部30は、例えばハードディスク装置(HDD)として実現される記憶装置である。なお、ここではHDDを用いたが、DVD−ROMや、メモリカード等の他の媒体を用いても差し支えない。
【0019】
この地図データ記憶部30は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データおよび経路を探索するための地図データを記憶している。地図データには、各種データが含まれるが、その一つとして施設に関する施設情報が含まれる。
【0020】
施設情報は、具体的には施設を特定するIDと関連付けられて記憶されているPOI(Point of Interest )情報である。このようなPOI情報は、施設情報データベース(以下「データベース」を「DB」と記述する。)31として具現化される。POI情報には、施設名称、施設ID、位置座標、種別(ジャンル)を示す情報などが含まれる。かかる構成により、施設情報DB31を使用し、例えばジャンル等の条件から施設を絞り込んで検索することが可能となっている。
【0021】
また、本形態では特に、地図データ記憶部30が、要因DB32を有している。要因DB32の詳細については、後述する。
【0022】
通信部40は、外部との情報通信を行うための構成である。本形態では、外部のセンタ装置(不図示)との通信を行うことで、センタ装置から現在の天候を示す情報を取得可能となっている。
【0023】
現在位置算出部50は、車両の現在位置を算出するものである。例えば、地磁気センサ、ジャイロスコープ、距離センサ、および、衛星からの電波を受信するGPS(Global Positioning System )受信機等を有している。これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、相互に補完しながら使用される。この現在位置算出部50によって、リアルタイムに自車位置を算出することができる。
【0024】
着座センサ60は、車両シートに設けられており、シートに座っていることを検知するためのものである。本形態では、運転席、助手席、後席左側、後席右側のシートに設けられている。
【0025】
スピーカ70は、音声を出力するためのものであり、例えば経路の案内等を音声で行う場合に使用される。また、ディスプレイ80は、液晶などを用いて構成されるカラーディスプレイ装置である。ディスプレイ80を介して地図や施設情報などが表示される。後述する施設情報のリスト表示も、このディスプレイ80を介して行われる。
【0026】
次に、図2に基づき、音声認識部21の構成を説明する。図2は、音声認識部21の機能ブロック図である。音声認識部21は、入力信号制御部21a、認識処理部21b、認識制御部21c及び辞書管理部21dを備えている。
【0027】
入力信号制御部21aは、利用者から入力される音声をA/D変換し、データ処理が可能な例えば周波数方向の波形データである音声データに変換する。認識処理部21bは、後述する辞書管理部21dによって設定される認識辞書にある比較対象パターン候補の中から一致度合が所定値以上のものを認識結果として出力する。なお、この認識結果は、認識制御部21cを介して制御部10へ出力される。認識制御部21cは、制御部10からの情報に基づいて、使用する認識辞書を指定する。辞書管理部21dは、認識制御部21cから指定された認識辞書を設定する。
【0028】
このような音声認識部21により、施設情報の検索をユーザの音声にて行えるようになっている。そこで次に、図3に示すフローチャートの基づき、音声認識処理を説明する。
【0029】
音声認識処理にあたり、制御部10は、ユーザに対し、音声入力を促すメッセージ出力を行う。例えば、検索処理において「住所の一部を音声で入力してください」といったメッセージを出力するという具合である。そして、音声認識部21に対し、音声認識処理の開始要求を行う。
【0030】
これにより、音声認識部21は、図3中のS100において、認識辞書をセットする。この処理は、上述したように、認識制御部21cが使用する辞書を指定し、辞書管理部21dが、認識制御部21cから指定された認識辞書を設定するものである。例えば、住所の一部を音声にて入力させる場合、住所を構成する地名を比較対象パターン候補として記憶した認識辞書が設定されるという具合である。
【0031】
続くS110では、音声情報を取得する。この処理は、入力信号制御部21aにて、行われる。入力信号制御部21aは、上述したように、利用者から入力される音声を音声データに変換する。
【0032】
次のS120では、認識処理を実行する。この処理は認識処理部21bによって行われる。ここで、認識辞書にある比較対象パターン候補の中から一致度合が所定値以上のものがあれば、認識結果として認識制御部21cに出力される。
【0033】
続くS130では、認識結果があるか否かを判断する。この処理は認識制御部21cにて実行され、認識処理部21bから認識結果が出力された場合に肯定判断される。ここで認識結果があると判断された場合(S130:YES)、S140へ移行し、認識結果を制御部10へ出力して、音声認識処理を終了する。一方、認識結果がないと判断された場合(S130:NO)、S150へ移行し認識不能である旨を制御部10へ出力して、音声認識処理を終了する。
【0034】
次に、図1に示した要因DB32について説明する。図4は、要因DB32を示す説明図である。
【0035】
図4(a)に示すように、要因DB32は、「施設名称」及び「施設ID」に対し、各種情報が対応付けられた情報(対応情報)によって構築されている。具体的には、「位置情報」、「天候情報」、「時間帯情報」及び「乗車人数情報」が紐付けられている。
【0036】
位置情報は、車両位置を示す情報であり、「座標値」の情報となっている。また、天候情報は、「晴」、「曇」、「雨」の3種類の情報となっている。さらにまた、時間帯情報は、「朝」、「昼」、「夜」、「深夜」の4種類の情報となっている。例えば4:00〜10:00を「朝」、10:00〜17:00を「昼」、17:00〜21:00を「夜」、21:00〜4:00を「深夜」として設定するという具合である。また、乗車人数情報は、「単数」又は「複数」のいずれかの情報となっている。単数というのは、運転者だけであることを示す。
【0037】
地図データ記憶部30の有する施設情報DB31を使用して施設情報を検索可能であることは、既に述べた。本形態のシステムでは、検索された施設の「施設名称」に対応させ、その選択時における「選択時情報」として、上述した位置情報、天候情報、時間帯情報、及び、乗車人数情報を記憶する。かかる構成により、図3(b)に示すような要因DB32が構築されることになる。
【0038】
この要因DB32を参照することにより、過去の時点でA施設が選択された際、車両位置が(X1,Y1)、天候が「晴」、時間帯が「朝」、乗車人数が「複数」であったことが分かる。同様に、過去の時点でB施設が選択された際、車両位置が(X2,Y2)、天候が「雨」、時間帯が「昼」、乗車人数が「複数」であったことが分かり、過去の時点でC施設が選択された際、車両の位置座標が(X3,Y3)、天候が「曇」、時間帯が「深夜」、乗車人数が「単数」であったことが分かる。
【0039】
次に、認識結果を基にしたリスト表示処理を説明する。図5は、リスト表示処理を示すフローチャートである。このリスト表示処理は、音声認識部21から認識結果が出力されると、制御部10にて実行される。
【0040】
最初のS200では、施設検索を行う。これにより、例えば住所の一部が認識結果となっている場合、当該住所の一部を含む施設が検索される。
【0041】
次のS210では、S200にて検索された施設が複数あるか否かを判断する。ここで認識結果に対し、複数の施設が検索された場合(S210:YES)、S220へ移行する。一方、認識結果に対する施設が一つだけだった場合(S210:NO)、S260へ移行する。
【0042】
S220では、走行環境を取得する。この走行環境は、上述した要因DB32の選択時情報となり得るものであり、「位置情報」、「天候情報」、「時間帯情報」及び「乗車人数情報」で構成されている。
【0043】
ここで、走行環境取得処理を、図6のフローチャートに基づき説明する。
最初のS221では、位置情報を取得する。この処理は、現在位置算出部50から車両位置を取得するものである。上述したように、位置情報は、座標値として取得される。
【0044】
次のS222では、天候情報を取得する。この処理は、通信部40を介し、外部のセンタ装置から現在の天候情報を取得するものである。具体的には、車両位置情報をセンタ装置へ送信し、当該車両位置に対応する現在の天候情報を取得する。
【0045】
続くS223では、時間帯情報を取得する。この処理は、制御部10の備える計時機能によって分かる時刻から、上述したような例えば4種類の時間帯情報を取得するものである。
【0046】
次のS224では、乗車人数情報を取得する。乗車人数情報は、着座センサ60からの信号に基づき、運転者だけである場合には「単数」、他に同乗者が存在する場合には「複数」として取得される。
【0047】
図5に戻り、S230では、S200にて検索された施設の「施設名称」及び「施設ID」が要因DB32にあるか否かを判断する。ここで要因DB32に「施設名称」及び「施設ID」があると判断された場合(S230:YES)、S240へ移行する。一方、「施設名称」及び「施設ID」のうちの少なくとも一方がないと判断された場合(S230:NO)、S260へ移行する。
【0048】
S240では、優先度付加処理を実行する。この処理は、S200にて検索された施設に対し、優先度を付加するものである。この優先度付加処理については後述する。続くS250では、S200にて検索された複数の施設の全てについて処理したか否かを判断する。ここで全ての施設について処理したと判断された場合(S250:YES)、S260へ移行する。一方、未処理の施設があると判断された場合(S250:NO)、S240からの処理を繰り返す。
【0049】
S200にて検索された施設が一つだけであった場合(S210:NO)、要因DB32にS200にて検索された施設がなかった場合(S230:NO)、あるいは、S200にて検索された複数の施設に優先度を付加した場合(S250:YES)に移行するS260では、それぞれの場合に応じた表示を行う。検索された施設が一つだけであった場合はその施設のみを表示する。検索された施設がなかった場合は「該当施設が見つかりません」と表示する。検索された複数の施設に優先度を付加した場合は優先度に基づく施設のリスト表示を行う。例えば、優先度の高い順に複数の施設を並べ替えてリスト表示を行うという具合である。
【0050】
次に、図5中のS240にて実行される優先度付加処理の詳細を説明する。図7は、優先度付加処理の詳細を示すフローチャートである。
最初のS241において、類似度を示す変数Rを初期化して「0」とする。変数Rは、要因DB32の選択時情報と、S220にて取得された走行環境との類似度を示すものである。以下の比較処理では、選択時情報と走行環境とを比較する。
【0051】
S242では、車両位置が近いか否か判断する。この処理は、要因DB32にある位置情報と、現在の車両の位置情報とを比較するものである。具体的には、要因DB32にある位置情報としての座標値を中心とする所定半径のエリアを想定し、このエリア内に車両が位置しているか否かを判断する。ここで前記所定半径のエリア内に車両が位置している場合に車両位置が近いと判断し(S242:YES)、S243にてRをインクリメントし、S244へ移行する。一方、車両位置が近くないと判断された場合(S242:NO)、S243の処理を実行せず、S244へ移行する。
【0052】
S244では、S222にて取得された天候情報が更新DB32にある天候情報と一致しているか否かを判断する。この処理は天候情報を比較するものである。上述したように天候情報は「晴」、「曇」、「雨」で示される。ここで天候情報が一致していると判断された場合(S244:YES)、S245にて変数Rをインクリメントし、S246へ移行する。一方、天候情報が一致していないと判断された場合(S244:NO)、S245の処理を実行せず、S246へ移行する。
【0053】
S246では、時間帯情報が一致しているか否かを判断する。この処理は、時間帯情報を比較するものである。上述したように時間帯情報は「朝」、「昼」、「夜」、「深夜」で示される。ここで時間帯情報が一致していると判断された場合(S246:YES)、S247にて変数Rをインクリメントし、S248へ移行する。一方、時間帯情報が一致していないと判断された場合(S246:NO)、S247の処理を実行せずに、S248へ移行する。
【0054】
S248では、乗車人数情報が一致しているか否かを判断する。この処理は、乗車人数情報を比較するものである。上述したように乗車人数情報は「単数」又は「複数」で示される。ここで乗車人数情報が一致していると判断された場合(S248:YES)、S249にて変数Rをインクリメントし、優先度付加処理を終了する。一方、乗車人数情報が一致していないと判断された場合(S248:NO)、S249の処理を実行せず、優先度付加処理を終了する。
【0055】
この優先度付加処理では、類似度を示す変数Rが「0」〜「4」の5段階で示されることになる。ここでは、この類似度を示す「0」〜「4」の情報を「優先度」を示す情報として用いる。
【0056】
図5中のS260にて優先度に基づく施設のリストが表示されると、ユーザは、例えば目的地設定のための目的地等として、リスト表示された施設を選択する。このとき、本形態のシステムでは、要因DB更新処理を実行する。そこで次に、要因DB更新処理を、図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0057】
最初のS300では、選択された施設が要因DB32にあるか否かを判断する。選択された施設が要因DB32にあると判断された場合(S300:YES)、施設が選択されたときの走行環境をS310にて選択時情報に追加登録し、その後、要因DB更新処理を終了する。一方、選択された施設が要因DB32にないと判断された場合(S300:NO)、施設が選択されたときの走行環境をS320にて選択時情報とし施設名称と共に新規登録を行い、その後、要因DB更新処理を終了する。
【0058】
追加登録は、例えば図9に示すように、以前と異なる情報があれば当該情報を追加する態様で行うことが考えられる。
図9(a)に示すように、要因DB32にあるA施設の選択時情報は、位置情報が座標値(X1,Y1)、天候情報が「晴」、時間帯情報が「朝」、乗車人数情報が「複数」であるとする。
【0059】
このとき、図9(b)に示すように、A施設がリストから選択された際の走行環境が、位置情報(X4,Y4)、天候情報「曇」、時間帯情報「昼」、乗車人数情報「複数」であれば、図9(c)に示すような態様で追加登録することが考えられる。つまり、A施設の選択時情報を、位置情報(X1,Y1)、(X4,Y4)、天候情報「晴」及び「曇」、時間帯情報「朝」及び「昼」、乗車人数情報「複数」とすることが考えられる。
【0060】
次に本形態のシステムが奏する効果について説明する。
本形態では、音声認識部が、入力された音声と予め記憶されている複数の比較対象パターンとを比較し、一致度合の高いものを認識結果として制御部へ出力する。制御部は、施設情報DBを使用し、認識結果に対応する施設情報を取得する(S200)。また、走行環境としての車両の「位置情報」、「天候情報」、「時間帯情報」及び「乗車人数情報」を取得する(S220)。そして、要因DB32の選択時情報との類似度を判断し、検索された複数の施設に優先度を付加して(S240)、優先度に基づくリスト表示を行う(S260)。
【0061】
音声認識部21での認識結果から施設検索を行うと、複数の施設が検索されることがある。そこで、施設が選択された時点の走行環境を選択時情報として施設名称に紐付けた要因DB32を用意し、次に同じ認識結果から施設検索を行った場合、検索の際に取得される走行環境と要因DB32の選択時情報とを比較して、優先順位を付けたリスト表示を行う。これにより、入力音声に応じた認識結果に基づく検索施設を適切に表示することができる。
【0062】
例えば、図10(a)は、位置情報に基づく優先度付加の事例である。この場合、認識結果が「おかざき」であることを前提に、自車位置が座標値(X1,Y1)の近くにあれば、「A鉄道岡崎駅」の優先度が高くなり、自車位置が座標値(X2,Y2)の近くにあれば、「B鉄道岡崎駅」の優先度が高くなる。したがって、例えば自宅の位置が座標値(X1,Y1)であり、職場の位置が座標値(X2,Y2)であるとすると、自宅付近から検索する場合には「A鉄道岡崎駅」が優先的に表示され、職場付近から検索する場合には「B鉄道岡崎駅」が優先的に表示されることになる。
【0063】
また例えば図10(b)は、乗車人数情報に基づく優先度付加の事例である。この場合、認識結果が「わいわいらんど」であることを前提に、乗車人数情報が「複数」であれば、「遊園地ワイワイランド」の優先度が高くなり、乗車人数情報が「単数」であれば、「株式会社ワイワイランド」の優先度が高くなる。したがって、同乗者がいるような場合には「遊園地ワイワイランド」が優先的に表示され、一人で運転しているような場合には、「株式会社ワイワイランド」が優先的に表示されることになる。
【0064】
例えば図10(c)は、時間帯情報に基づく優先度付加の事例である。この場合、認識結果が「すーぱーせんとう」であることを前提に、時間帯情報が「昼」であれば、食料品などを売る「スーパー千島」の優先度が高くなり、時間帯情報が「夜」であれば、銭湯である「スーパー銭湯」の優先度が高くなる。したがって、昼間には「スーパー千島」が優先的に表示され、夜間には「スーパー銭湯」が優先的に表示されることになる。
【0065】
また、本形態では、要因DB32の更新処理を行う。つまり、表示されたリストからユーザが施設を選択した際、選択された施設に対し走行環境を登録する(図8中のS310,S320)。これにより、施設名称と選択時情報との対応関係が更新されつつ増加していくため、検索された施設のリストをより適切に表示することができる。
【0066】
本形態における施設情報DB31が「検索データベース」に相当し、入力部20が「入力情報取得手段」に相当し、要因DB32に記憶される情報が「対応情報」に相当し、制御部10が「検索手段」、「出力手段」、「走行環境取得手段」、「記憶手段」及び「優先度付加手段」に相当する。
【0067】
図3の音声認識処理が「入力情報取得手段」の機能としての「入力情報取得処理」に相当し、図5のリスト表示処理が「検索手段」の機能としての「検索処理」に相当し、図5中のS220の処理が「走行環境取得手段」の機能としての「走行環境取得処理」に相当し、図5中のS240の処理が「優先度付加手段」の機能としての処理に相当し、図5中のS260の処理が「出力手段」の機能としての「出力処理」に相当し、図8の要因DB更新処理が「記憶手段」の機能としての「記憶処理」に相当する。
【0068】
なお、以上の構成は一例であり、次のような構成を採用してもよい。
(イ)要因DB32が車両で取得された走行環境によって構築されていくことは述べたが、当初は、デフォルトの選択時情報を記憶しておくようにしてもよい。
(ロ)上記形態では、時間帯情報を「朝」、「昼」、「夜」、「深夜」という具合に4種類で示しているが、「昼間」と「夜間」というようにもっと少ない項目で切り分けたり、もっと多くの項目で切り分けたりすることも考えられる。天候情報や乗車人数情報についても同様である。天候情報で言えば、雨の強さを示すような「雷雨」や「台風」といった情報を含めるようにしてもよい。また、「気温」などの情報を加えてもよい。
(ハ)上記形態では、通信部40を介しセンタ装置から天候情報を取得しているが、例えばレインセンサを自車両に搭載し、レインセンサからの信号に基づいて天候情報を取得するようにしてもよい。例えば、雨が降っているか否かを天候情報として取得するという具合である。上記形態では、着座センサ60から乗車人数を検出していたが、例えばカメラなどを搭載し、当該カメラの映像から乗車人数を検出するようにしてもよい。
(ニ)上記形態では、優先度を付加した後、優先度の高い順序でリスト表示を行っていた。これに対し、表示されるリストの優先度が分かればよいため、例えば上述した変数Rの数だけ、星印などの特定のマークを並べて表示するなどして優先度を示すようにしてもよい。
(ホ)上記形態では、音声認識の認識結果を入力情報として施設情報DBを検索する構成であった。これに対し、操作スイッチ22から入力される文字情報などを入力情報として施設情報DB31を検索する構成としてもよい。また、上記形態はナビゲーションシステムに本発明を適用したものであったが、携帯電話に代表される携帯端末システムに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10:制御部、20:入力部、21:音声認識部、21a:入力信号制御部、21a:入力信号制御部、21b:認識処理部、21c:認識制御部、21d:辞書管理部、22:操作スイッチ、30:地図データ記憶部、31:施設情報DB、32:要因DB、40:通信部、50:現在位置算出部、60:着座センサ、70:スピーカ、80:ディスプレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力情報に対応する検索情報が記憶されている検索データベースと、
前記入力情報を取得する入力情報取得手段と、
前記検索データベースを参照し、前記入力情報取得手段によって取得された入力情報に対応する検索情報を検索する検索手段と、
前記検索された検索情報を出力する出力手段と、
走行環境を取得する走行環境取得手段と、
前記検索された検索情報がユーザにより選択されたとき、前記取得した走行環境を選択された検索情報に対応付けた対応情報を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記出力手段は、前記取得した走行環境と前記対応情報とに基づき、前記検索された検索情報を出力すること
を特徴とする検索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検索装置において、
前記走行環境と前記対応情報とに基づいて、前記検索情報に優先度を付加する優先度付加手段を備え、
前記出力手段は、前記優先度に基づいて前記検索された検索情報のリストを表示することを特徴とする検索装置。
【請求項3】
入力情報を取得する入力情報取得処理と、
前記入力情報に対応する検索情報が記憶されている検索データベースを参照し、前記入力情報取得処理によって取得された入力情報に対応する検索情報を検索する検索処理と、
前記検索された検索情報を出力する出力処理と、
走行環境を取得する走行環境取得処理と、
前記検索された検索情報がユーザにより選択されたとき、前記取得した走行環境を選択された検索情報に対応付けた対応情報を記憶する記憶処理と、
を備え、
前記出力処理では、前記取得した走行環境と前記対応情報とに基づき、前記検索された検索情報を出力すること
を特徴とするプログラム。
【請求項1】
入力情報に対応する検索情報が記憶されている検索データベースと、
前記入力情報を取得する入力情報取得手段と、
前記検索データベースを参照し、前記入力情報取得手段によって取得された入力情報に対応する検索情報を検索する検索手段と、
前記検索された検索情報を出力する出力手段と、
走行環境を取得する走行環境取得手段と、
前記検索された検索情報がユーザにより選択されたとき、前記取得した走行環境を選択された検索情報に対応付けた対応情報を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記出力手段は、前記取得した走行環境と前記対応情報とに基づき、前記検索された検索情報を出力すること
を特徴とする検索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検索装置において、
前記走行環境と前記対応情報とに基づいて、前記検索情報に優先度を付加する優先度付加手段を備え、
前記出力手段は、前記優先度に基づいて前記検索された検索情報のリストを表示することを特徴とする検索装置。
【請求項3】
入力情報を取得する入力情報取得処理と、
前記入力情報に対応する検索情報が記憶されている検索データベースを参照し、前記入力情報取得処理によって取得された入力情報に対応する検索情報を検索する検索処理と、
前記検索された検索情報を出力する出力処理と、
走行環境を取得する走行環境取得処理と、
前記検索された検索情報がユーザにより選択されたとき、前記取得した走行環境を選択された検索情報に対応付けた対応情報を記憶する記憶処理と、
を備え、
前記出力処理では、前記取得した走行環境と前記対応情報とに基づき、前記検索された検索情報を出力すること
を特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−210041(P2011−210041A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77570(P2010−77570)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]