説明

検証システム

【課題】建物に固定設置されている各種機器が真正なものなのかを確認したい人物が、機器の真正性やその属性を検証できる検証システムを得る。
【解決手段】建物等に設置され一意に識別可能な識別コードが付与されている機器と、機器を確認したい検証者が携行する携帯装置と、機器を検証する検証装置をネットワークにて接続した検証システムであって、検証者が携行している携帯装置と機器間にて、検証情報を直接的に通信し、この検証情報に機器の識別コードを付加して検証装置に送信する。検証装置では、受信した検証情報と送信した検証情報が一致し、受信した識別コードが予め記憶されていれば真正な機器であると判定し、その判定結果を携帯装置に送信する。判定結果を受信した携帯装置にて判定結果を表示することにより、検証者が検証結果を知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設置された監視カメラ等の機器が真正なるものかを検証する検証システムに関し、特に、機器が設置されている場所にて検証したい人物が携帯装置を用いて真正な機器であることを確認することができる検証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商店街、公共施設、オフィスビル、家などの建物に、防犯目的あるいは防災目的に監視カメラが設置されている。また、監視カメラ以外にも、防犯センサ、インターホン、警備装置、冷蔵庫、テレビなどの種々の機器が様々な建物に設置されている。ところが、これら機器の管理者が誰であるか、機器の性能がどのようなものか、不正に設置されている機器なのか等を容易に確認できない。
例えば、監視カメラを例にすると、撮影される人物にとっては、プライバシーの関係から無闇に撮影されたくない。一方、監視カメラを設置する立場から見ると、その場所の状況を把握し易いので、できるだけ死角がないよう多く設置したい。また、監視カメラは、盗撮目的のカメラやプライバシーを無視したようなカメラなども設置されているのが現状である。しかしながら、撮影されている人物が、信頼のおける管理人が設置した監視カメラか、プライバシーに配慮した監視カメラかなど、監視カメラの真正性や属性をその場所で知ることができない。
同様な課題を解決するために、例えば、偽ブランド品か正規品かの真贋判定するシステムが提案されている(特許文献1)。すなわち、特許文献1の真贋判定方法では、正規の製品に予めワンタイムIDを付与したRFタグを埋め込んでおき、このRFタグ情報をリーダー/ライターにて読み出したワンタイムIDを真贋判定用のサーバが認証する。そして、サーバが認証結果をリーダー/ライターに送信し、リーダー/ライターにて認証結果を確認する。リーダー/ライターは、認証結果がOKであれば、サーバから送信された新たなワンタイムIDを製品のRFタグに書き込む。これにより、真贋判定の信頼性が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−293415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、店ぐるみで不正品を販売しようとすると、製品に埋め込まれているRFタグ、リーダー/ライターが店の管理下におかれているので、悪意をもってすれば偽ブランド品がさも正規品のように扱われてしまう可能性があるという課題がある。すなわち、リーダー/ライター自体を改造等すると、認証用のサーバでの認証をすることなく、不正品であるにも係わらず、さも正規品であるが如く認証結果を表示することができてしまう。
また、従来技術では、専用のリーダー/ライターを用いて、RFタグの情報を読み書きしている。このため、専用のリーダー/ライターを所持している店の人物を通じてしか認証結果を確認できない。従って、専用のリーダー/ライターを所持しない一般の人が、製品の真贋判定をすることができないという課題がある。
更に、従来技術が想定している鞄のような製品は、販売される物であるが故に、人が容易に手にとって確認できる。これに対し、監視カメラや建物に設置されている各種機器は、持ち運びを想定しておらず、天井部分に設置されて必ずしもリーダー/ライターではRFタグの情報を読み書きできるとは限らないという課題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、建物に固定設置されている各種機器が真正なものなのかを確認したい人物が、機器の真正性やその属性を検証できるようにした検証システムを実現することにある。


【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明は、建物等に設置され一意に識別可能な識別コードが付与されている機器と、機器を確認したい検証者が携行する携帯装置と、機器を検証する検証装置をネットワークにて接続した検証システムであって、検証装置は、検証情報と予め真正を有する機器の識別コードを少なくとも記憶している記憶部と、携帯装置からの検証要求を受けると検証情報を携帯装置に送信し、機器の識別コードが付加された検証情報を受信し、受信した検証情報が携帯装置に送信した検証情報と一致しており、受信した識別コードが記憶部に記憶されていれば機器が真正であると判定し、判定結果を検証要求してきた携帯装置に送信する制御部と、ネットワークを介して携帯装置または機器と通信を行なう通信部を有し、携帯装置と機器は、共に携帯装置と機器とが直接的に検証情報を送受信する直接通信部を有し、携帯装置または機器の少なくとも何れか一方に、直接通信部にて送受信された検証情報に機器の識別コードを付加し、ネットワークを介して検証装置に送信または判定結果及び検証情報を検証装置から受信するネットワーク通信部を有し、携帯装置は、判定結果を表示する表示部を少なくとも有することを特徴とした検証システムを提供する。
【0007】
かかる構成により本発明は、検証者が携行している携帯装置と機器間にて、検証情報を直接的に通信し、この検証情報に機器の識別コードを付加して検証装置に送信する。そして、検証装置では、受信した検証情報と送信した検証情報が一致し、受信した識別コードが予め記憶されていれば真正な機器であると判定し、その判定結果を携帯装置に送信する。判定結果を受信した携帯装置にて判定結果を表示することにより、検証者が検証結果を知ることができる。したがって、検証装置が管理している検証情報を携帯装置と機器間で送受信し、この検証情報を用いて検証装置にて機器の検証を行なう。このため不正な機器を設置したとしても、検証装置および携帯装置へ不正を働くことが困難であるから、信頼性高く検証できる。
【0008】
本発明の好ましい態様は、検証装置の記憶部は、機器の識別コードと機器の属性情報を対応付けて記憶しており、検証装置の制御部は、受信した識別コードが記憶部に記憶されていれば、識別コードに対応する属性情報を携帯装置に送信する。
【0009】
かかる構成により本発明は、検証者は、真正な機器か否かのみならず、機器の属性、例えばプライバシー保護機能を持っているか否か等を確認できる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様は、検証装置の制御部は、検証情報を生成するとともに記憶部に記憶させる検証情報生成手段を更に有し、携帯装置から検証要求を受けると、検証情報生成手段が生成した検証情報を携帯装置に送信するとともに、受信した検証情報と記憶部に記憶した検証情報との一致を判定する。
【0011】
かかる構成により本発明は、検証情報を検証装置がアクティブに生成するので、より信頼性の高い検証が可能になる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様は、携帯装置は、ネットワーク通信部にて検証情報を受信すると、直接通信部が検証情報をカメラが撮影できる光の明滅信号に変換して出力し、機器は、直接通信部がカメラの撮影した画像を処理して検証情報を取得し、ネットワーク通信部が検証情報に自己の識別コードを付加して検証装置に送信する。
【0013】
かかる構成により本発明は、機器が撮影機能を有し、且つ光の明滅信号を認識する画像機能を持っていれば、携帯装置が単に光の明滅信号を再現すればよいので、携帯装置と機器の間で特別な設定をする必要がない。これにより、汎用の携帯装置を用いて、検証装置との間での取り決めたソフトウエアを利用することで検証でき、機器の管理者の関与を不要にできる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様は、機器を監視カメラとする。盗撮用に使用されている監視カメラか適切な監視用途に使用されている監視カメラかを検証者が検証できるので、特に有用である。
【0015】
また、本発明の好ましい態様は、携帯装置および機器の直接通信部は、無線信号により検証情報を通信する。
【0016】
かかる構成により、携帯装置と機器との直接通信を一般に普及した通信方式を用いれば、検証装置との間での取り決めたソフトウエアを利用することで検証でき、機器の管理者の関与を不要にできる。

【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、建物に固定設置されている各種機器が真正なものなのかを確認したい人物が、機器の真正性やその属性の検証が可能となる。

【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる検証システムの構成の概略模式図である
【図2】ローカル機器100の機能ブロック図である
【図3】管理装置110の概略構成を示すブロック図である
【図4】検証装置200の概略構成を示すブロック図である
【図5】属性テーブル400を表す模式図である
【図6】携帯端末装置300の概略構成を示すブロック図である
【図7】検証情報の好適な実現形態である、携帯端末装置300にて点滅される光のパターンを示す図である
【図8】本発明にかかる検証システムの動作フロー図である
【図9】検証情報の他の実施形態を表す光の点滅のパターンを示す図である
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる検証システムの一つの実施の形態を、図を参照しつつ説明する。
当該検証システムの一つの用途としては、道路などの公共の場所や商業施設などの公共の場所に準ずる場所において設置された監視カメラが、正当な管理者によって設置されたものであるか、さらに後述するプライバシー保護機能を有するかといった属性情報を、その場所を利用する者が携帯端末装置を用いて確認できるものである。これにより、その場所を利用する者は、監視カメラがプライバシーを侵害しかねない形態で設置されているのではなく、むしろ見守られているという安心感を得ることが可能となる。
【0020】
図1は、本発明にかかる検証システム10の概略構成図である。
検証システム10は、ローカル機器100、検証装置200、携帯端末装置300、ネットワーク20から構成されている。図1には、理解の容易のため、検証システム10を用いてカメラに関する属性情報を検証したい検証者30も描画した。
【0021】
ローカル機器100は、本願の特許請求の範囲にいう機器に相当し、道路などの公共の場所や商業施設などの公共の場所に準ずる場所に存在する建物に設置されている。ローカル機器100が有する機能を機能ブロック図として表現したものを図2に示す。
図2に示すように、ローカル機器100は、ネットワーク通信部101、直接通信部102、制御部103、識別コード104を少なくとも有する。
ネットワーク通信部101は、ネットワーク20を経由して他の装置と通信するためのインターフェースである。
直接通信部102は、携帯端末装置300と直接通信するためものである。本実施の形態における好適な実施例は後述する。
制御部103は、ローカル機器100の動作を制御する。
識別コード104は、ローカル機器100に付与され、ネットワーク20に複数接続されている各ローカル機器100のそれぞれを識別可能な識別子である。
本実施例では、ローカル機器100は、図1の点線の中に示すように、管理装置110と監視カメラ120から構成されることが好適であるとして、以下説明する。
【0022】
監視カメラ120は、道路などの公共の場所や、商業施設などの公共の場所に準ずる場所、あるいは警備システムの契約先において設置されており、所定の監視領域を撮影する。監視カメラ120は、例えば、2次元に配列され、受光した光量に応じた電気信号を出力する光電変換素子(例えば、CCDセンサ、C−MOSなど)と、その光電変換素子上に監視領域の像を結像するための結像光学系を有し、撮影した監視画像を、所定の時間間隔(例えば、200msec)ごとに取得する。
監視カメラ120は、図2にいうローカル機器100における直接通信部102を構成し、検証情報を受信する一部の機能を担う。即ち、後述する検証情報を送信する機能を有する携帯端末装置300が表示した所定の光の点滅パターンを撮影し、画像を管理装置110に出力する。
監視カメラ120は、図1では1台の管理装置110につき1台が接続されているが、1台の管理装置110につき複数台の監視カメラ120が接続されるよう構成されても良い。その場合、管理装置110に記憶される識別コード104は、それぞれの監視カメラ120ごとに付与されるものとする。
【0023】
管理装置110は、ネットワーク20とのインターフェース機能を含み、監視カメラ120に接続されている。
管理装置110の構成を図3に示す。図3に示すように、管理装置110は、管理制御部111、管理記憶部113、ネットワーク通信部114から構成されており、さらに管理制御部111は検証情報抽出手段112を備える。
管理制御部111は、図2に示すローカル機器100の制御部103に相当し、マイコン等のコンピュータで実現される。そして管理記憶部113に記憶されている制御プログラムを実行させることで動作し、管理装置110全体を制御する。
管理記憶部113は、半導体メモリやハードディスクなどで実現され、管理装置110を動作させるためのプログラムなどを記憶する。また、接続されている監視カメラ120を検証システム10全体において一意に識別可能であり、図2に示した識別コード104に相当するカメラ識別コードを記憶する。カメラ識別コードについては後述する。
【0024】
検証情報抽出手段112は、管理記憶部113に記憶されているプログラムを実行させることで動作する画像処理を行う機能モジュールであり、直接通信部102を構成し、検証情報を受信する一部機能を担っている。
検証情報抽出手段112は、監視カメラ120から入力された監視画像を処理し、監視画像に検証情報が含まれているか否か、即ち、携帯端末装置300の端末表示部340に表示された所定の光の点滅パターンが写っているか否かを判定し、写っていた場合に光の点滅のパターンから検証情報を抽出する。
なお、光の点滅パターンの開始と終了時には特定のコード化された開始コードと終了コードが含まれているので、検証情報の抽出は容易である。
そして、管理制御部111は、抽出した検証情報に当該監視カメラ120のカメラ識別コードを付加してネットワーク通信部350に出力して、ネットワーク20経由で検証装置200に出力する。なお、検証情報を抽出できなかった場合には何もしない。
ネットワーク通信部114は、図2に示すローカル機器100のネットワーク通信部101に相当し、ネットワークインターフェースであり、適宜公知のものを利用できる。
【0025】
次に、検証装置200の構成を示している図4を用いて説明する。
検証装置200は、サーバマシンと呼ばれるコンピュータにより実現され、監視カメラ120を検証したい検証者30が携行する携帯端末装置300からの検証要求信号を受けると、検証情報を生成し、ネットワーク20経由で要求してきた携帯端末装置300に出力する。
【0026】
図4に示すように検証装置200は、サーバ制御部210、サーバ記憶部220、通信部230から構成される。
サーバ記憶部220は、半導体メモリやハードディスクなどで実現され、検証装置200全体を動作させる制御プログラム類や各種フラグ類、制御パラメータ類などを記憶する。
サーバ記憶部220には、監視カメラ120の属性を含む属性テーブルと検証情報を表す光の点滅パターンが記憶されている。
ここで、検証情報とは、検証装置200と携帯端末装置300とローカル機器100との関係を特定させるとともに、ローカル機器100の検証に用いる情報である。本実施の形態では、携帯端末装置300からの検証要求を受信すると、検証情報は、検証装置200にてテンポラリーかつ任意に生成され、サーバ記憶部220に記憶される。図1に示すようにローカル機器100は管理装置110と監視カメラ120とから構成されているので、監視カメラ120にて抽出しやすい光の点滅パターンに変換しやすい情報であることが好ましい。
【0027】
図7に示すように、検証情報500は、その開始と終了の所定時間に渡って開始コード510と終了コード520を有している。この開始コード510と終了コード520は、例えば監視画像に、検証者30が所持する携帯端末装置300の他に点滅するものが写り込んでいると、正しく動作しないと考えられるため、特定のパターンを点滅させることで、開始コード510と終了コード520にはさまれた時間の点滅パターンを検証情報の本体として、管理装置110が検出できるようにする。
【0028】
属性テーブルを模式的に表したものを図5に示す。
図5に示すように、属性テーブル400は、カメラ識別コード410とカメラ属性420とが対応付いて構成される。
カメラ識別コード410は、図1に示すように、検証システム10全体に複数の監視カメラ120が接続されている場合に、各監視カメラ120を一意に特定する識別子である。
1台の管理装置110に複数の監視カメラ120が接続されている場合には、それぞれの監視カメラにカメラ識別コード410が付与されている。なお、カメラ識別コード410は、特許請求の範囲にいう識別コードに相当するものである。
【0029】
カメラ属性420は、各監視カメラ120が所定の属性を有するか否かを表す。図5においては、監視カメラ120がプライバシー保護機能を有しているか否かを記憶するものとして示している。
ここで、プライバシー保護機能とは、例えば監視画像中に写った人物について、その人物が写っている領域に含まれる画像をぼかしたり、黒塗りするなどして、顔がわからないようにすることで個人が特定できないようにする画像処理上の機能である。これにより、画像処理にて人物を検知しつつ、当該人物のプライバシーを保護するものである。
図5に示した属性テーブル400では、カメラ識別コード410が“1”、“2”、“3”の監視カメラ120はプライバシー保護機能を有するが、カメラ識別コード410が“1”の監視カメラ120はプライバシー保護機能は有しないことを示している。
なお、監視カメラ120のカメラ属性は、検証システム10の管理者が、属性テーブル400に責任を持って登録する。
【0030】
サーバ制御部210は、サーバコンピュータのCPUに相当し、サーバ記憶部220に記憶されたプログラムを実行することで動作する検証情報生成手段211、検証手段212を有する。
検証情報生成手段211は、検証情報を生成して、通信部230を経由して、検証情報を携帯端末装置300に送信し、携帯端末装置300のID情報と対応付けてサーバ記憶部220に一時記憶する。検証情報は、検証装置200が検証要求信号を受信するたびに、乱数を発生させて、それに基づいていわば動的に検証情報500を生成して、同じ検証情報500は1度のみ使用する。
このように、検証情報を動的に作成すると、仮に検証情報が漏洩しても、悪意の検証者により検証システム10の動作を破壊されるような被害を防ぐことができる。
検証情報は本実施の形態では携帯端末装置300の端末表示部340を点滅させるための時間的な点滅パターンとする。
【0031】
検証手段212は、サーバ記憶部220に記憶されているプログラムを実行することで動作する機能モジュールである。管理装置110から受信した検証情報と、サーバ記憶部220に一時記憶した検証情報が一致するか否かを判定する。
一致すると判定した場合には、同時に受信したその管理装置110に接続されている監視カメラ120のカメラ識別コードについて、属性テーブル400を参照する。
検証手段212は、受信したカメラ識別コードが属性テーブル400に存在している場合には、その監視カメラ120は、検証システム10の管理者によって接続された真正のものと判定する。
また、検証手段212は、当該カメラ識別コードに対応するカメラ属性420が“プライバシー保護あり”か“プライバシー保護なし”かに応じて、検証者30に通知するための情報を生成する。
なお、属性情報420は、用途に応じて適宜他のものを用いるものとし、省略してもよい。
【0032】
そして検証装置200は、サーバ記憶部220に一時記憶した検証情報に対応付けられたID情報を持つ携帯端末装置300に、判定結果を出力する。
カメラ属性420が“プライバシー保護あり”の場合には、検証者30が監視カメラ120が正当に管理されており、見守られているとの安心感を抱いてもらう旨の案内を携帯端末装置300に出力する。
カメラ属性420が“プライバシー保護なし”の場合には、検証者30にその旨と、問い合わせ先などを含む案内を携帯端末装置300に出力する。
通信部230は、ネットワークインターフェースであり、適宜公知のものを利用できる。
【0033】
携帯端末装置300は、検証者30が所持する可搬型の小型端末装置であり、ネットワーク接続可能な情報端末や、スマートフォンを含む携帯電話などにより実現され、インターネット接続可能であることが好適である。
また、携帯端末装置300は、検証装置200に所定の検証要求信号を送信する際に、検証者30の操作の便利のため、一般的に入手が容易な専用アプリを動作可能であることや、HTML形式に対応したWebブラウザ機能を有することが好ましい。
携帯端末装置300の構成を図6に示す。携帯端末装置300は、端末制御部310、端末記憶部320、端末入力部330、端末表示部340、ネットワーク通信部350を有する。
【0034】
端末制御部310は、マイコン等のコンピュータで実現され、端末記憶部320に記憶されている制御プログラムを実行させることで動作し、携帯端末装置300全体を制御する。特に、検証装置200から送信されてきた検証情報を、端末表示部340を光の点滅可能とするよう変換する。
端末記憶部320は、半導体メモリやハードディスクなどで実現され、携帯端末装置300を動作させるためのプログラムなどを記憶する。
【0035】
端末入力部330は、携帯端末装置300の検証者30が、カメラ属性420を確認したい場合に、検証装置200に所定の操作をする際に操作する入力部であり、例えば携帯端末装置300を携帯電話で実現している場合には、テンキーなどのボタン類である。
端末表示部340は、携帯端末装置300の検証者30による操作時には入力操作画面を表示するとともに、検証装置200から送信された検証情報を表示し、検証装置200から送信された判定結果を表示するものであり、小型液晶パネルで実現される。あるいは、携帯端末装置300にいわゆるスマートフォンを用いている場合には、小型のタッチパネルを用いることにより、端末入力部330と端末表示部340を一体のものとして実現できる。
なお、端末表示部340は、図2に示したローカル機器100の機能ブロック図における直接通信部102の一部機能を担う。
ネットワーク通信部350は、ネットワークインターフェースであり、適宜公知のものを利用できるが、無線式のタイプを用いて、ネットワーク接続することが好適である。
【0036】
ネットワーク20は、公衆電話回線により実現される公知のネットワークであり、いわゆるインターネットである。
【0037】
次に、図8に示すフロー図を用いて、本発明にかかる検証システム10の動作を説明する。
まず、検証システム10の検証者30は、自らが所持する携帯端末装置300の端末入力部330を操作する。この操作を受けて端末制御部310は、カメラ属性を確認したい旨を表す検証要求信号および、携帯端末装置300のID情報をネットワーク通信部350に出力して、ネットワーク20経由で検証装置200に送信する(ステップS100)
携帯端末装置のID情報とは、端末記憶部320に記憶された、携帯端末装置300を一意に特定する情報であり、携帯端末装置300が携帯電話で実現されている場合には電話番号を送信する。あるいは、内蔵されているICチップの製造番号や、インターネット通信で用いられるIPアドレスを送信しても良い。
【0038】
携帯端末装置300から検証要求信号を受けた検証装置200のサーバ制御部210は、検証情報生成手段211を動作させ、検証情報を生成する。そして、当該検証情報と検証要求信号を出力した携帯端末装置のID情報とを対応付けてサーバ記憶部220に一時記憶する(ステップS110)。
【0039】
検証装置200は、前ステップで生成し、サーバ記憶部に記憶した検証情報500を携帯端末装置300に送信する(ステップS120)。
【0040】
携帯端末装置300は、前ステップにて検証装置200から送信された検証情報500に従い、端末表示部340を点滅させる(ステップS130)。この点滅は、所定の回数繰り返すものとする。
【0041】
検証者30は、携帯端末装置300が点滅している間に、端末表示部340を監視カメラ120に向ける。同時に監視カメラ120は、その様子を撮影した監視画像を取得する(ステップS140)。
【0042】
端末表示部340を撮影した監視カメラ120に接続された管理装置110の検証情報抽出手段112は、取得された監視画像から光が点滅する様子を抽出する(ステップS150)。
【0043】
管理装置110は、抽出した検証情報に監視カメラ120のカメラ識別コード410を付加して検証装置200にネットワーク通信部114から送信する(ステップS160)。
【0044】
検証装置200の検証手段212は、前ステップで管理装置110から受信した検証情報と、ステップS120で携帯端末装置300に送信した検証情報と一致するか否かを判定する(S170)。
検証手段212は、一致すると判定した場合には、その監視カメラ120は真正なものであり、同時に送信されたカメラ識別コードについて、属性テーブル400のカメラ属性420を参照する(ステップS180)。
カメラ属性420が“プライバシー保護あり”の場合には、検証者30がその属性を確認しようとした監視カメラ120が正当に管理された真正なものであるとして、その旨を表す情報を、ステップS110にてサーバ記憶部220に一時記憶された端末IDを有する携帯端末装置300に送信する(ステップS190)。
【0045】
ステップS170にて、ステップS160にて管理装置110から受信した検証情報が、ステップS120で携帯端末装置300に送信した検証情報と一致しないと判定した場合、および、ステップS180での判定において、カメラ属性420が“プライバシー保護なし”の場合には、検証装置200は、検証者30がその属性を確認しようとした監視カメラ120が正当に管理されたものではなく、他の方法で確認するよう促したり、管理会社に電話で問い合わせるなどの案内情報を、ステップS110にてサーバ記憶部220に一時記憶された端末IDを有する携帯端末装置300に送信する(ステップS200)。
なお、本実施の形態では、カメラ識別コード410が属性テーブル400に存在するか否かとカメラ属性420を併用するとして説明したが、カメラ識別コード410が属性テーブル400に存在するのみによって、監視カメラ120が真正なものであるか否かを携帯端末装置300に送信しても良い。
携帯端末装置300の端末表示部340は、ステップS190又はステップS200にて検証装置200から送信された案内情報を表示する(ステップS210)。
検証者30は、端末表示部340に表示された内容に応じて、適切な対応をとることができる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
例えば、管理装置110は、検証情報抽出手段112が抽出した検証情報500を検証装置200に送信する際に、カメラ識別コードを同時に送信するものの、別々に送信するものとしたが、カメラ識別コードを所定の規則で符号化し、検証情報500に含ませて検証装置200に送信するようにしてもよい。これを図9を用いて説明する。
図7の場合と異なるのは、終了コード520の前に、符号530に示すように点滅のパターンが追加されていることである。この追加部分がカメラ識別コードを符号化したものであり、検証情報500と一括して検証装置200に送信できる。
カメラ識別コードを符号化した部分は、開始コード510の直後でも良いし、後に分離可能とすることを条件に検証情報500に重畳するようにしてもよい。
【0047】
また、検証情報500は携帯端末装置300の端末表示部340を点滅させるパターンを表す制御信号として説明したが、これに代わり、監視カメラ120の解像度が高く、焦点距離が長い場合には、端末表示部340に他の情報、例えば2次元のバーコードを模した図形を表示させるようにしてもよい。あるいは特定のイラストを表示したり、動画を表示しても良い。
【0048】
また、以上説明してきた本発明の好適な実施形態では、道路や商業施設などの公共性の高い場所に設置された監視カメラの属性を確認することを目的とした実施形態であったが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
例えば、公共性の高低に関係なく、監視システムの定期的な保守時に、外観からでは保守すべき監視カメラか否かが判定できない場合に、携帯端末装置を用いて確認する、という用途にも本発明にかかる検証システムを応用できる。
この用途では、図5に示した属性テーブル400において、カメラ属性420を“プライバシー保護あり”、“プライバシー保護なし”の代わりに、検証システム10の管理者は、保守作業の開始前に“要保守調整”、“保守調整不要”と記憶しておく。そして、検証装置200は、検証結果として保守調整を要する、または不要である旨を表す情報を携帯端末装置300に送信することとして、携帯端末装置300は端末表示部340にその結果に応じた表示をする。
さらには、属性テーブル400に、監視カメラ120が設置された日時も持つようにして、監視システムの保守の有無に利用するのも好適である。
【0049】
また、以上説明してきた本発明の好適な実施形態では、図2に示したローカル機器100の機能ブロックにおいて示した直接通信部102の機能を、携帯端末装置300に表示した光の情報を監視カメラ120にて撮像する、という可視光通信に依っていたが、携帯端末装置300と監視カメラ120に無線通信手段を備えておくことでも同様に検証情報の通信が可能となる。
さらには、この場合、携帯端末装置300と監視カメラ120の双方に送信手段と受信手段を備えることで、双方向に検証情報のやりとりが可能となる。


【符号の説明】
【0050】
10・・・検証システム
112・・・検証情報抽出手段
120・・・監視カメラ
200・・・検証装置
211・・・検証情報生成手段
212・・・検証手段
300・・・携帯端末装置
340・・・端末表示部
400・・・属性テーブル
500・・・検証情報



【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物等に設置され一意に識別可能な識別コードが付与されている機器と、前記機器を確認したい検証者が携行する携帯装置と、前記機器を検証する検証装置をネットワークにて接続した検証システムであって、
前記検証装置は、
検証情報と予め真正を有する機器の識別コードを少なくとも記憶している記憶部と、前記携帯装置からの検証要求を受けると前記検証情報を当該携帯装置に送信し、前記機器の識別コードが付加された検証情報を受信し、受信した検証情報が前記携帯装置に送信した検証情報と一致しており、受信した識別コードが前記記憶部に記憶されていれば当該機器が真正であると判定し、当該判定結果を前記検証要求してきた携帯装置に送信する制御部と、前記ネットワークを介して前記携帯装置または前記機器と通信を行なう通信部を有し、
前記携帯装置と前記機器は、共に前記携帯装置と前記機器とが直接的に検証情報を送受信する直接通信部を有し、前記携帯装置または前記機器の少なくとも何れか一方に、前記直接通信部にて送受信された検証情報に機器の識別コードを付加し、ネットワークを介して前記検証装置に送信または前記判定結果及び検証情報を前記検証装置から受信するネットワーク通信部を有し、携帯装置は、判定結果を表示する表示部を少なくとも有することを特徴とした検証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検証システムにおいて、
前記検証装置の記憶部は、前記機器の識別コードと当該機器の属性情報を対応付けて記憶しており、
前記検証装置の制御部は、受信した識別コードが前記記憶部に記憶されていれば、当該識別コードに対応する属性情報を前記携帯装置に送信することを特徴とした検証システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の検証システムにおいて、
前記検証装置の制御部は、検証情報を生成するとともに前記記憶部に記憶させる検証情報生成手段を更に有し、前記携帯装置から検証要求を受けると、前記検証情報生成手段が生成した検証情報を当該携帯装置に送信するとともに、受信した検証情報と前記記憶部に記憶した検証情報との一致を判定することを特徴とした検証システム。
【請求項4】
請求項3に記載の検証システムにおいて、
前記携帯装置は、前記ネットワーク通信部にて前記検証情報を受信すると、前記直接通信部が当該検証情報を前記カメラが撮影できる光の明滅信号に変換して出力し、
前記機器は、前記直接通信部がカメラの撮影した画像を処理して前記検証情報を取得し、前記ネットワーク通信部が当該検証情報に自己の識別コードを付加して前記検証装置に送信することを特徴とした検証システム。
【請求項5】
請求項4に記載の検証システムにおいて、前記機器は監視カメラであることを特徴とした検証システム。
【請求項6】
請求項3に記載の検証システムにおいて、
前記携帯装置および前記機器の直接通信部は、無線信号により前記検証情報を通信することを特徴とした検証システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−215972(P2012−215972A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79437(P2011−79437)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】