説明

検証支援装置

【課題】検証者による検証が必要なデータ量を削減し、検証に必要となる労力や時間を削減すること。
【解決手段】検証支援装置100の表示機器101は、演出開始時に変動が開始されて演出終了時に停止する図柄と、検証対象の演出の画像とを含む映像を表示する。映像信号入力部102は、表示させた映像をあらわす映像信号の入力を受け付ける。第1記憶部103は、映像信号入力部102により受け付けた映像信号に基づいて、当該映像信号があらわす映像をデータにして記憶する。判定部104は、映像信号入力部102により受け付けた映像信号に基づいて、当該映像信号があらわす映像が所定期間変化していないかを判定する。第2記憶部105は、判定部104により映像が所定期間変化していないと判定された場合に、第1記憶部103に記憶されたデータから、当該変化していない期間を含むあらかじめ定めた期間の映像のデータを検証用データとして記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不具合を検証するためのデバッグに用いる検証支援装置に関し、特に、大当たり抽選をおこなう遊技機の演出のデバッグに用いる検証支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、遊技盤上の所定の始動口へ遊技球が入賞することにより大当たり抽選をおこなって、可変表示装置にて3列の図柄(たとえば1〜12の数字の図柄)を変動表示させる遊技機があった。このような遊技機は、大当たり抽選に当選した場合に、変動表示させた3列の図柄を特定の組み合わせ(たとえば「7・7・7」)で停止表示させ、大当たり遊技状態へと移行する。この大当たり遊技状態において、遊技者は多数の賞球を獲得できる。
【0003】
また、このような遊技機においては、図柄の変動中にはリーチ演出などの演出をおこなう。近年では、興趣性の向上のため、リーチ演出のほか、疑似連続予告など、演出のバリエーションが多彩になってきている(たとえば下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−5968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように、近年では演出のバリエーションの増加に伴って、これらの演出の不具合を検証するためのデバッグに伴う作業量も増大してきている。このため、これらの演出のデバッグに必要となる労力や時間が増加という問題があった。
【0006】
本発明は、上記の従来技術による問題点を解消するため、大当たり抽選をおこなう遊技機の演出の不具合の検証に必要となる労力や時間を削減することができる検証支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決し、目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用した。括弧内の参照符号は、本発明の理解を容易にするために実施形態との対応関係を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。本発明にかかる検証支援装置(100)は、演出開始時に変動が開始されて演出終了時に停止する図柄と、検証対象の演出の画像(以下「演出画像」という)とを含む映像を表示する表示機器(101)から、表示させた映像をあらわす映像信号の入力を受け付ける入力手段(102)と、前記入力手段(102)により受け付けた映像信号に基づいて、当該映像信号があらわす映像をデータにして記憶する第1記憶手段(103)と、前記入力手段(102)により受け付けた映像信号に基づいて、当該映像信号があらわす映像が所定期間変化していないかを判定する判定手段(104)と、前記判定手段(104)により映像が所定期間変化していないと判定された場合に、前記第1記憶手段(103)に記憶されたデータから、当該変化していない期間を含むあらかじめ定めた期間の映像のデータを検証用データとして記憶する第2記憶手段(105)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記の発明において、前記第2記憶手段(105)は、所定期間変化していないと判定されたときの一定期間前からの映像のデータを検証用データとして記憶することを特徴とする。
【0009】
また、上記の発明において、前記第2記憶手段(105)は、所定期間変化していないと判定された際におこなっていた検証対象の演出の開始時からの映像のデータを検証用データとして記憶することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるぱちんこ遊技機は、上記の検証支援装置(100)により検証された演出をおこなう演出制御基板を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検証者による検証が必要なデータ量を削減し、検証に必要となる労力や時間を削減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明にかかる実施の形態の検証支援装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかる実施の形態の検証支援装置の具体的な構成の一例を示す説明図である。
【図3】コマンド出力パターンの内容を示す説明図である。
【図4】演出用データの内容を示す説明図である。
【図5】ログデータの内容を示す説明図である。
【図6−1】検証用データの概要を示す説明図(その1)である。
【図6−2】検証用データの概要を示す説明図(その2)である。
【図7】検証用データの内容を示す説明図である。
【図8−1】本実施の形態のコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図8−2】本実施の形態のシミュレータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図8−3】本実施の形態の表示モジュールのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図9】本実施の形態の検証支援装置の処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる検証支援装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。まず、本発明にかかる実施の形態の検証支援装置の機能的構成について説明する。
【0014】
(検証支援装置の機能的構成)
図1は、本発明にかかる実施の形態の検証支援装置の機能的構成を示すブロック図である。図1に示すように、検証支援装置100は、表示機器101と、映像信号入力部102と、第1記憶部103と、判定部104と、第2記憶部105とを備えている。
【0015】
表示機器101は、たとえば、ぱちんこ遊技機などの大当たり抽選をおこなう遊技機に用いられる表示機器で、表示画面を備えて、この表示画面上に、大当たり抽選の抽選結果を示すための図柄と、検証対象の演出の画像とを含む映像を表示する機能を有する。ここで、表示機器101は、大当たり抽選の抽選結果を示すための図柄が演出の画像と同一位置に重なる場合には、Zバッファ法など周知の陰面消去法により、大当たり抽選の抽選結果を示すための図柄が、常に、演出の画像よりも前面(検証者から見て手前)となるように表示する。
【0016】
表示機器101は、大当たり抽選の抽選結果を示す図柄を、演出中、常に変動した状態となるように表示する。たとえば、表示機器101は、フリーズしたように見せる演出を表示する際に、この演出の画像の動きを一時的に停止させるが、このときにも大当たり抽選の抽選結果を示す図柄を変動した状態となるように表示する。このように、大当たり抽選の抽選結果を示す図柄は、表示中の演出の画像とは無関係な表示(たとえば演出の画像は停止した状態となっているときにも図柄は変動した状態)となるため、表示画面の隅などに小さく表示することが好ましい。
【0017】
また、表示機器101は、大当たり抽選の抽選結果を示す図柄や各種演出の映像を表示すると、表示させた映像をあらわす映像信号を映像信号入力部102へ出力する。また、表示機器101は、音声を含む映像を、表示および音声出力するようにしてもよく、この場合は、映像信号入力部102へ映像信号のほか、音声をあらわす音声信号も出力する。
【0018】
映像信号入力部102は、表示機器101と接続され、この表示機器101から出力された映像信号を受け付ける機能を有する。前述したように、表示機器101は、大当たり抽選の抽選結果を示すための図柄や、各種の演出の画像などからなる映像を表示する。このため、映像信号入力部102に入力される映像信号には、これらを含む映像をあらわす映像信号が入力される。
【0019】
第1記憶部103は、映像信号入力部102により受け付けた映像信号に基づいて、当該映像信号があらわす映像をデータ(たとえばMPEG−4)に変換して記憶する機能を有する。また、第1記憶部301は、所定期間分の映像をデータに変換して記憶すると、古い映像をあらわすデータ部分から、上書きするように新たなデータを記憶していってもよい。
【0020】
判定部104は、映像信号入力部102により受け付けた映像信号に基づいて、当該映像信号があらわす映像が所定期間変化していないかを判定する機能を有する。前述したように、演出中、大当たり抽選の抽選結果を示す図柄は常に変動した状態で表示される。このため、判定部104が所定期間変化しているか否かを判定することにより、検証支援装置100は、表示機器101のハングアップを検出することができる。
【0021】
たとえば、判定部104は、検証者によりあらかじめ定めされた期間、映像が変化していないかを判定する。ここで、判定部104の判定に用いられる条件は、検証者の任意で定めることができる。この条件を、検証者は時間により設定してもよいし、フレーム数により設定してもよい。
【0022】
また、判定部104による映像の変化の有無の判定は、公知の技術であるため詳細な説明は省略するが、たとえば、映像信号入力部102により受け付けた映像信号があらわす映像を、1フレームごとに各画素のRGBの値を取得する。そして、Rの値の総和、Gの値の総和、Bの値の総和をそれぞれ算出し、これらを比較することで映像の変化の有無を判定することができる。
【0023】
第2記憶部105は、判定部104により映像が所定期間変化していないと判定された場合に、当該変化していない期間を含むあらかじめ定めた期間(以下「指定期間」という)の映像のデータを、検証用データとして記憶する機能を有する。たとえば、第2記憶部105は、判定部104により変化していないと判定された場合、この判定がおこなわれたときの所定期間前から、当該判定がおこなわれたときまでの指定期間の映像を検証用データとして記憶する(たとえば図6−1参照)。
【0024】
また、第2記憶部105は、判定部104により変化していないと判定された場合、この判定がおこなわれたときの所定期間前から、当該判定がおこなわれたときの所定期間後までの指定期間の映像を検証用データとして記憶してもよい。
【0025】
前述したように、第1記憶部103には表示機器101により表示された映像のデータが記憶されている。第2記憶部105は、判定部104により映像が所定期間変化していないと判定された場合には、第1記憶部103に記憶されたデータから指定範囲の映像に該当する部分のデータをトリミングして、これを検証用データとして記憶する。
【0026】
このように、検証支援装置100は、演出中は変動されているはずの図柄を含む映像が所定期間変化しない場合に、表示機器101にハングアップが発生していると検出する。これによって、検証支援装置100は、演出上のブラックアウトやフリーズなどをハングアップと検出してしまうことを防止して、ハングアップ検出の精度を向上させることができる。
【0027】
また、検証支援装置100は、上記によりハングアップが検出されたときには、ハングアップ前後の指定範囲の映像をあらわすデータを、検証用データとして記憶する。これによって、検証支援装置100は、検証者による検証が必要となるデータ量を削減することができる。
【0028】
(本実施の形態の検証支援装置の具体的な構成の一例)
つぎに、本発明にかかる実施の形態の検証支援装置の具体的な構成の一例について説明する。図2は、本発明にかかる実施の形態の検証支援装置の具体的な構成の一例を示す説明図である。図2に示すように、本実施の形態の検証支援装置100は、コンピュータ210と、シミュレータ220と、表示モジュール230とによって構成される。
【0029】
コンピュータ210は、たとえば、パーソナルコンピュータやワークステーションなどによって実現され、検証者からの操作を受け付けるための入力デバイス(たとえばマウスやキーボード)211と、検証者に提示する情報を表示するためのディスプレイ212とを備えている。また、コンピュータ210は、外部機器と接続するためのインターフェース(図8−1中符号819参照)を備えている。コンピュータ210は、このインターフェースを介して、シミュレータ220および表示モジュール230と接続される。
【0030】
コンピュータ210は、入力デバイス211により検証者からの操作を受け付けて、検証者が検証対象に指定した演出を示す情報をシミュレータ220へ送信する。また、コンピュータ210は、表示モジュール230から映像信号(たとえばコンポーネント映像信号やコンポジット映像信号)を受信して、この映像信号があらわす映像をディスプレイ212に表示したり、この映像信号があらわす映像をデータ(たとえばMPEG−4)に変換してコンピュータ210の記憶装置(たとえばハードディスク。図8−1中符号815参照)などに記憶したりすることができる。コンピュータ210は、表示モジュール230から受け付けた映像信号があらわす映像に基づいて、表示モジュール230のハングアップを検出する。
【0031】
具体的に、コンピュータ210は、映像信号があらわす映像が所定期間(たとえば10秒間)変化していない場合に、表示モジュール230のハングアップが発生していると判定して、表示モジュール230のハングアップを検出する。ここで、ハングアップと判定するための期間は、たとえば、検証者によってあらかじめ定められている。検証者は、時間やフレーム数などにより、ハングアップを検出する条件を設定することができるようになっている。コンピュータ210は、表示モジュール230のハングアップを検出すると、ハングアップを検出したときを含む指定期間の映像を検証用データとして、コンピュータ210の記憶装置などに記憶する。
【0032】
シミュレータ220は、外部機器と接続するためのインターフェース(図8−2中符合824参照)を備えている。シミュレータ220は、このインターフェースを介して、コンピュータ210および表示モジュール230に接続される。シミュレータ220は、コンピュータ210から検証対象の演出を示す情報を受信すると、この演出に応じた映像を表示させるためのコマンドを表示モジュール230へ送信する。
【0033】
(コマンド出力パターンの内容)
図3は、コマンド出力パターンの内容を示す説明図である。図3に示すように、シミュレータ220は、各演出において出力するコマンドと、当該コマンドを出力するタイミングとを定めたコマンド出力パターンCp1〜Cpnが登録されたコマンド出力パターンテーブルCtを有している。
【0034】
ここで、シミュレータ220が表示モジュール230に送信するコマンドのうち、「AA」から始まるコマンドは演出の実行(たとえば表示)を開始させるためのコマンド(以下「演出開始コマンド」という)とする。また、「BB」から始まるコマンドは演出中に送信されるコマンド(以下「演出中コマンド」という)とする。「CC」から始まるコマンドは演出終了時に送信されるコマンド(以下「演出終了コマンド」という)とする。
【0035】
シミュレータ220は、コンピュータ210から受信された検証対象の演出を示す情報に基づいて、コマンド出力パターンテーブルCtからコマンド出力パターンを選択する。たとえば、コンピュータ210から受信された検証対象の演出を示す情報が「演出A」を示した場合、シミュレータ220は、コマンド出力パターンテーブルCtから「演出A」用のコマンド出力パターンを選択する。この例では、コマンド出力パターンCp1が選択されることになる。
【0036】
コマンド出力パターンを選択すると、シミュレータ220は、選択されたコマンド出力パターンにしたがって、各コマンドを表示モジュール230に送信する。上記のように、コマンド出力パターンCp1が選択された場合には、シミュレータ220は、まず、演出開始コマンドとして「AA01H」を表示モジュール230に送信する。演出開始コマンドを送信後に期間T1が経過すると、演出中コマンド「BB01H」を表示モジュール230に送信する。そして、演出開始コマンドを送信後に期間T2が経過すると、シミュレータ220は、演出終了コマンドとして「CC01H」を表示モジュール230に送信する。
【0037】
表示モジュール230は、LCD(Liquid Crystal Display)などの画像表示器231と、外部機器と接続するためのインターフェース(図8−3中符合834参照)とを備えている。表示モジュール230は、このインターフェースを介して、コンピュータ210およびシミュレータ220に接続される。
【0038】
表示モジュール230は、シミュレータ220からコマンドを受信するごとに、受信されたコマンドに対応した演出用データ(たとえば演出の画像をあらわす画像データ)を、表示モジュール230の記憶装置(たとえばROM。図8−3中符号832参照)などから読み込み、この演出用データに基づき、画像表示器231の表示制御などをおこなう。
【0039】
(演出パターンの内容)
図4は、演出用データの内容を示す説明図である。図4に示すように、表示モジュール230は、各コマンドと、当該コマンド受信時に表示させる映像をあらわす演出映像データや、当該コマンド受信時に音声出力させる音声をあらわす演出音声データを定めた演出パターンEp1〜Epnが登録された演出パターンテーブルEtを有している。
【0040】
たとえば、前述した変動開始コマンド「AA01H」を受信した場合、表示モジュール230は、演出パターンEp1を選択する。つづいて、表示モジュール230は、演出パターンEp1に対応した演出用データ(演出映像データAおよび演出音声データA)を、表示モジュール230の記憶装置から読み込む。そして、表示モジュール230は、読み込んだ演出用データがあらわす映像を画像表示器235に表示させる。表示モジュール230は、表示をおこなうと、インターフェースを介して、表示させた映像の映像信号をコンピュータ210へ送信する。
【0041】
また、シミュレータ220は、表示モジュール230へコマンドを送信するごとに、送信されたコマンドを示す情報をコンピュータ210へ送信する。コンピュータ210は、出力されたコマンドを示す情報を受信するとログデータとしてハードディスクなどコンピュータ210が備える記憶装置に記憶する。
【0042】
(ログデータの内容)
図5は、ログデータの内容を示す説明図である。図5に示すように、コンピュータ210は、シミュレータ220により表示モジュール230へ送信されたコマンドと、当該コマンドが送信されたタイミング(たとえば実時間によりあらわされる時期)とを関連づけたログデータLdをハードディスクなどに記憶する。
【0043】
たとえば、図5に示す例では、時期t1で演出開始コマンド「AA01H」が送信されている。時期t2では、演出中コマンド「BB01H」が送信されている。時期t3では、演出終了コマンド「CC01H」が送信されている。また、時期taでは演出開始コマンド「AA02H」が送信され、その後の時期tbでは演出中コマンド「BB02H」が、時期tcでは演出中コマンド「BB03H」が、送信されている。
【0044】
以下において、時期taの演出開始コマンド「AA02H」を「コマンドα」という。また、時期tbの演出中コマンド「BB02H」を「コマンドβ」という。時期tcの演出中コマンド「BB03H」を「コマンドγ」という。
【0045】
(検証用データについて)
前述したように、コンピュータ210は、表示モジュール230から受信された映像信号に基づいて、表示モジュール230のハングアップを検出する。そして、ハングアップを検出したときには、コンピュータ210は、ハングアップを検出したときを含む指定期間の映像を検証用データとして記憶する。
【0046】
図6−1は、検証用データの概要を示す説明図(その1)である。図6−1においては、図5のログデータLgのとおり、時期t1にて検証が開始され、その後の時期taでコマンドαが送信されている。時期tbではコマンドβが送信されている。時期tcではコマンドγが送信されている。
【0047】
そして、時期tc後の時期tdにおいて、コンピュータ210は、表示モジュール230のハングアップを検出したとする。具体的には、たとえば、コンピュータ210は、図6−1中の時期thから時期tdまでの映像が変化のない映像であると判定し、表示モジュール230のハングアップを検出したとする。この場合、コンピュータ210は、ハングアップを検出した時期tdからあらかじめ設定された期間Tα前の時期teからの映像信号に基づく映像をあらわす検証用データを記憶する。
【0048】
また、コンピュータ210は、ハングアップを検出した時期tdからあらかじめ設定された期間Tβ前の時期tfとなってから、時期teから時期tfまでの映像信号に基づく検証用データを記憶してもよい。
【0049】
なお、上記の例では、あらかじめ設定された期間Tαの映像を記憶することにしたがこれに限らない。コンピュータ210は、ログデータLdを参照し、所定のコマンド(たとえばハングアップが発生した演出の演出開始コマンド)が送信されてからの映像を記憶することとしてもよい。
【0050】
図6−2は、検証用データの概要を示す説明図(その2)である。図6−2に示すように、時期taでコマンドαが、時期tbでコマンドβが、時期tcでコマンドγが、表示モジュール230へ送信されたとする。そして、時期tdで表示モジュール230のハングアップを検出した場合、コンピュータ210は、ハングアップを検出したときから直近の演出開始コマンドであるコマンドαが送信されたときからの映像信号に基づく映像データを記憶する。図6−2の例では、時期taからの映像データが記憶されることになる。
【0051】
また、このときにも、コンピュータ210は、ハングアップを検出した時期tdからあらかじめ設定された期間Tβ前の時期tfとなってから、時期taから時期tfまでの映像信号に基づく検証用データを記憶してもよい。
【0052】
図7は、検証用データの内容を示す説明図である。前述したように、コンピュータ210は、表示モジュール230のハングアップを検出すると、指定範囲の映像を検証用データとして記憶するが、この際には指定範囲内に送信されたコマンドを示す情報もあわせて記憶する。
【0053】
図7において、たとえば、検証用データEd1は、図6−1の期間Tαおよび期間Tβの映像をあらわす映像データと、期間Tαおよび期間Tβで送信されたコマンドα、コマンドβ、コマンドγとが関連づけられて記憶されている。また、図7に示すように、検証用データEdには、音声データも含んでもよい。
【0054】
以上のように、本実施の形態の検証支援装置100は、検証者から検証対象の演出の指定を受け付けると、この演出に対応する映像を表示モジュール230に表示させる。そして、表示モジュール230が表示した映像をコンピュータ210により監視し、表示モジュール230のハングアップを検出する。表示モジュール230のハングアップが発生した際には、ハングアップが検出された際の映像を含む指定期間の映像をあらわす検証用データを記憶する。
【0055】
(コンピュータのハードウェア構成)
つぎに、コンピュータ210のハードウェア構成について説明する。図8−1は、本実施の形態のコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。図8−1に示すように、コンピュータ210は、CPU(Central Processing Unit)811と、ROM(Read Only Memory)812と、RAM(Random Access Memory)813と、ハードディスクドライブ814と、ハードディスク215と、光ディスクドライブ816と、光ディスク817と、キャプチャボード818と、I/F(インターフェース)819と、キーボード111aと、マウス111bと、ディスプレイ112とを備えている。また、各構成部はバス820によってそれぞれ接続されている。
【0056】
ここで、CPU811は、コンピュータ210の全体の制御を司る。ROM812は、ブートプログラムなどの各種プログラムを記憶している。RAM813は、CPU811のワークエリアとして使用される。ハードディスクドライブ814は、CPU811の制御にしたがってハードディスク815に対するデータのリード/ライトを制御する。ハードディスク815は、ハードディスクドライブ814の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0057】
光ディスクドライブ816は、CPU811の制御にしたがって光ディスク817に対するデータのリード/ライトを制御する。光ディスク817は、光ディスクドライブ816の制御で書き込まれたデータを記憶したり、光ディスク817に記憶されたデータをコンピュータ210に読み取らせたりする。たとえば、光ディスク817としては、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical)、メモリーカードなどを採用することができる。
【0058】
キャプチャボード818は、たとえば、I/F819を介して入力された映像信号を受信して、この映像信号をCPU811へ入力する。また、キャプチャボード818は、CPU811を介さずに、入力された映像信号に基づき、ディスプレイ112の表示制御をおこなってもよい。また、キャプチャボード818は、入力された映像信号を、任意の形式(たとえばMpeg−4)などのデータに変換して、ハードディスク815に記憶させることもできる。
【0059】
I/F819は、コンピュータ210と外部機器とを接続するためのインターフェースとして機能し、外部機器からのデータの入出力を制御する。I/F819としては、たとえば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)、アナログRGBなどを採用することができる。また、I/F819は、通信回線を通じてインターネットなどのネットワークに接続され、このネットワークを介して他の装置に接続されるようにししてもよい。この場合のI/F819には、たとえば、モデムやLAN(Local Area Network)アダプタなどを採用することができる。
【0060】
キーボード111aは、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力をおこなう。また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。マウス111bは、カーソルの移動や範囲選択、あるいはウィンドウの移動やサイズの変更などをおこなう。ポインティングデバイスとして同様に機能を備えるものであれば、トラックボールやジョイスティックなどであってもよい。
【0061】
ディスプレイ112は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。このディスプレイ112は、たとえば、CRT(Cathode Ray Tube)、TFT(Thin Film Transistor)液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【0062】
(シミュレータのハードウェア構成)
つぎに、シミュレータ220のハードウェア構成について説明する。図8−2は、本実施の形態のシミュレータのハードウェア構成を示すブロック図である。図8−2に示すように、シミュレータ220は、CPU821と、ROM822と、RAM823と、I/F(インターフェース)824とを備えている。また、各構成部はバス830によってそれぞれ接続されている。
【0063】
ここで、CPU821は、シミュレータ220の全体の制御を司る。ROM822は、ブートプログラムなどの各種プログラムを記憶している。RAM823は、CPU821のワークエリアとして使用される。
【0064】
I/F824は、シミュレータ220と外部機器とを接続するためのインターフェースとして機能し、外部機器からのデータの入出力を制御する。I/F824としては、たとえば、USB、HDMI、アナログRGBなどを採用することができる。また、I/F824は、通信回線を通じてインターネットなどのネットワークに接続され、このネットワークを介して他の装置に接続されるようにししてもよい。この場合のI/F824には、たとえば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0065】
(表示モジュールのハードウェア構成)
つぎに、表示モジュール230のハードウェア構成について説明する。図8−3は、本実施の形態の表示モジュールのハードウェア構成を示すブロック図である。図8−3に示すように、表示モジュール230は、CPU831と、ROM832と、RAM833と、I/F(インターフェース)834と、画像表示器231とを備えている。また、各構成部はバス840によってそれぞれ接続されている。
【0066】
CPU831は、表示モジュール230の全体の制御を司る。ROM832は、ブートプログラム、表示プログラム、映像信号出力プログラムなどのプログラムを記憶している。RAM833は、CPU831のワークエリアとして使用される。たとえば、RAM833にはVRAM(Video RAM)833aが含まれる。ここで、VRAM833aは、画像表示器231に表示させるための表示データが格納されるためのRAMとすることができる。
【0067】
I/F834は、表示モジュール230と外部機器とを接続するためのインターフェースとして機能し、外部機器からのデータの入出力を制御する。I/F834としては、たとえば、USB、HDMI、アナログRGBなどを採用することができる。また、I/F234は、通信回線を通じてインターネットなどのネットワークに接続され、このネットワークを介して他の装置に接続されるようにししてもよい。この場合のI/F224には、たとえば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0068】
画像表示器231は、VRAM835に記憶された表示データに基づいて、演出の画像や、図柄などを表示する。この画像表示器231には、たとえば、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【0069】
なお、たとえば、前述した表示機器101は表示モジュール230のCPU831とI/F834とによって、映像信号入力部102はコンピュータ210のキャプチャボード818とI/F819とによって、第1記憶部103はCPU811とROM813とハードディスクドライブ814とハードディスク815とによって、判定部104はCPU811とROM813とによって、第2記憶部105はCPU811とROM813とハードディスクドライブ814とハードディスク815とによって、その機能を実現することができる。
【0070】
(検証支援装置がおこなう処理)
つぎに、検証支援装置100がおこなう処理について説明する。図9は、本実施の形態の検証支援装置の処理を示すシーケンス図である。図9に示すように、まず、検証支援装置100のコンピュータ210は、検証者から検証対象とする演出の指定を受け付ける(ステップS901)。
【0071】
コンピュータ210は、検証者により検証対象とする演出が指定されると、検証対象の演出を示す情報をシミュレータ220へ送信する(ステップS902)。シミュレータ220は、検証対象の演出を示す情報を受信すると、コマンド出力パターンテーブルCtを参照して、検証対象の演出のコマンド出力パターンを選択する(ステップS903)。
【0072】
そして、シミュレータ220は、選択されたコマンド出力パターンにしたがって、表示モジュール230にコマンドの送信を開始する(ステップS904)。たとえば、シミュレータ220は、コマンド出力パターンを選択すると、まず、演出開始コマンドが表示モジュール230へ送信する(ステップS905)。
【0073】
なお、図示は省略するが、シミュレータ220は、選択されたコマンド出力パターンにしたがい、所定のタイミングとなったときには、演出中コマンドや演出終了コマンドを表示モジュール230へ送信する。また、シミュレータ220は、コマンドを送信するごとに、コンピュータ210へ送信されたコマンドを示す情報を送信する(ステップS906)。コンピュータ210は、送信されたコマンドを示す情報を受信すると、ログデータLdとして記憶する(ステップS907)。
【0074】
表示モジュール230は、演出開始コマンドを受信すると、演出用データを読み込んで(ステップS908)、演出画像の表示を開始するとともに(ステップS909)、図柄の変動表示を開始する(ステップS910)。そして、表示モジュール230は、コンピュータ210に対して、表示画面上に表示中の映像(演出用画像および図柄)の映像信号の出力を開始する(ステップS911)。
【0075】
コンピュータ210は、表示モジュール230から映像信号の受信を開始すると、この映像信号があらわす映像をデータに変換し、このデータの記憶を開始する(ステップS912)。また、コンピュータ210は、映像信号があらわす映像に基づいて、表示モジュール230のハングアップの検出を開始する(ステップS913)。
【0076】
その後、コンピュータ210は、表示モジュール230のハングアップが検出されたかを判定し(ステップS914)、ハングアップが検出されれば(ステップS914:Yes)、指定範囲(図6−1および図6−2参照)のデータを検証用データとして記憶する(ステップS915)。また、図7に示したとおり、この際には、指定範囲内に送信されたコマンドも含んだ検証用データを記憶する。ハングアップが検出されなければ(ステップS914:No)、ステップS916へ移行する。
【0077】
ステップS916において、コンピュータ210は、演出終了コマンドがシミュレータ220から送信されたかを判定する(ステップS916)。演出終了コマンドが送信されていれば(ステップS916:Yes)、検証対象の演出の検証が完了したとして、検証が完了したことを検証者に報知する(ステップS917)。演出終了コマンドがシミュレータ220から送信されていなければ(ステップS916:No)、コンピュータ210はステップS914へ移行して、ハングアップの検出を継続する。
【0078】
また、表示モジュール230は、シミュレータ220から演出終了コマンドを受信したかを判定して(ステップS918)、演出終了コマンドを受信したときには(ステップS918:Yes)、図柄を停止表示させ(ステップS919)、演出用データに基づく表示を完了させる(ステップS920)。
【0079】
表示モジュール230は、演出終了コマンドを受信していなければ(ステップS914:No)、映像信号の出力を継続し、たとえば、演出中コマンドを受信したかを判定して演出中コマンドを受信したときには演出中コマンドに応じた演出用データを読み込んで、表示画面上にこの演出用データに基づく映像を表示する。
【0080】
以上に説明したように、本発明にかかる実施の形態の検証支援装置100は、演出中は変動されているはずの図柄を含む映像が所定期間変化しない場合に、表示機器101にハングアップが発生していると検出する。これによって、検証支援装置100は、演出上のブラックアウトやフリーズなどをハングアップと検出してしまうことを防止して、ハングアップ検出の精度を向上させることができる。これにより、検証支援装置100は、誤検出を減らして、検証者による検証が必要となるデータ量を削減することができ、検証にかかる手間や時間を削減することができる。
【0081】
また、検証支援装置100は、上記によりハングアップが検出されたときには、ハングアップ前後の指定範囲の映像をあらわすデータを、検証用データとして記憶する。これによって、検証支援装置100は、検証者による検証が必要となるデータ量を削減することができ、検証にかかる手間や時間を削減することができる。
【0082】
以上に説明したように、本発明にかかる検証支援装置によれば、図柄を含む映像によりハングアップを検証することで検証精度を高めることができるとともに、ハングアップが発生した際には、指定範囲の検証用データに絞り込んで記憶して検証者による検証が必要なデータ量を削減して検証に必要となる労力や時間を削減することができる。
【符号の説明】
【0083】
100 検証支援装置
101 表示機器
102 映像信号入力部
103 第1記憶部
104 判定部
105 第2記憶部
210 コンピュータ
220 シミュレータ
230 表示モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演出開始時に変動が開始されて演出終了時に停止する図柄と、検証対象の演出の画像(以下「演出画像」という)とを含む映像を表示する表示機器から、表示させた映像をあらわす映像信号の入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段により受け付けた映像信号に基づいて、当該映像信号があらわす映像をデータにして記憶する第1記憶手段と、
前記入力手段により受け付けた映像信号に基づいて、当該映像信号があらわす映像が所定期間変化していないかを判定する判定手段と、
前記判定手段により映像が所定期間変化していないと判定された場合に、前記第1記憶手段に記憶されたデータから、当該変化していない期間を含むあらかじめ定めた期間の映像のデータを検証用データとして記憶する第2記憶手段と、
を備えることを特徴とする検証支援装置。
【請求項2】
前記第2記憶手段は、所定期間変化していないと判定されたときの一定期間前からの映像のデータを検証用データとして記憶することを特徴とする請求項1に記載の検証支援装置。
【請求項3】
前記第2記憶手段は、所定期間変化していないと判定された際におこなっていた検証対象の演出の開始時からの映像のデータを検証用データとして記憶することを特徴とする請求項1に記載の検証支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の検証支援装置により検証された演出をおこなう演出制御基板を備えることを特徴とするぱちんこ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図9】
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