説明

検証装置

【課題】媒体を搬送不良が生じることなく搬送することができ、正確な検証を行える検証装置を提供する。
【解決手段】搬送部により搬送された印刷媒体に印刷された情報を読み取るスキャナ部と、スキャナ部が読み取った情報を検証する検証部として機能する制御部と、を備え、搬送部は、軸13b,23b,33bに沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ、かつ、印刷媒体の一方面側から印刷媒体に接触する第1の搬送ローラ13c,23c,33cと、軸に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ第1の搬送ローラ13c,23c,33cに対向し、かつ、印刷媒体の他方面側から印刷媒体に接触する第2の搬送ローラとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、別途設けられたプリンタにより印刷媒体に印刷されたバーコードや文字等を読み取り検証する検証装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からプリンタを用いてバーコード等をラベルに印刷し、印刷されたバーコードを、プリンタに内蔵されたスキャナにより読み取り、正常に印刷されたかどうか検証する検証装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−212373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の検証装置は、プリンタに内蔵された形態であり、プリンタ本体とバーコード検証装置の一部として用いるスキャナとが一体として備えられており、筐体の大型化が避けられなかった。また、検証装置は、一体に設けられたプリンタにより印刷された印刷媒体の検証専用となり、汎用性に乏しく、高価になるという問題があった。そのため、プリンタと検証装置とが別体となっているものが所望されている。
【0005】
しかし、検証装置をプリンタとは別体として構成し、さらに、汎用品として市場に流通する様々なプリンタにより印刷された印刷媒体の検証を行える検証装置とするためには、印刷媒体の搬送において以下のような課題があった。
例えば、プリンタにより印刷される印刷媒体の種類は非常に多い。また、プリンタによっても印刷後の印刷媒体の巻き癖状態等が大きく異なる。汎用性の高い検証装置とするためには、様々な形態(大きさ、厚さ、材質、その他)の印刷媒体を搬送経路中の僅かな隙間等に印刷媒体が引っかかったり、入り込んだりしてしまうことなく搬送する必要がある。
【0006】
例えば、搬送経路中に搬送ローラ等を設ける場合には、搬送経路を構成するガイド部材や搬送経路面を形成する部材から搬送ローラ等が搬送経路中に突出する部分に、隙間が生じてしまう。この隙間に印刷媒体が引っかかったり、入り込んだりしてしまうと、正確な検証を行えないだけでなく、印刷媒体を損傷してしまうおそれもある。特に、印刷媒体の巻き癖が大きい場合には、この搬送ローラ等の突出する部分の隙間に印刷媒体が引っかかったり、入り込んだりしてしまったりしやすくなる。
【0007】
本発明の課題は、印刷媒体を搬送不良が生じることなく搬送することができ、正確な検証を行える検証装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、検証対象である媒体(P)が挿入される挿入部(4a)と、前記挿入部から挿入された前記媒体を搬送する搬送部(10,20,30)と、前記搬送部により搬送された前記媒体に印刷された情報を読み取る読み取り部(70)と、前記読み取り部が読み取った前記情報を検証する検証部(95)と、を備え、前記搬送部は、回転軸(13b,23b,33b)に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ、かつ、前記媒体の一方面側から前記媒体に接触する第1の搬送ローラ(13c,23c,33c)と、回転軸(14a,24a,34a)に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ前記第1の搬送ローラに対向し、かつ、前記媒体の他方面側から前記媒体に接触する第2の搬送ローラ(14b,24b,34b)と、を備える検証装置(1)である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の検証装置において、前記搬送部(10,20,30)により搬送される前記媒体(P)の移動を検出する移動検出部(40,50)を備え、前記移動検出部は、回転軸(41b,51b)に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ、かつ、前記媒体の一方面側から前記媒体に接触する第1の検出ローラ(41c,51c)と、回転軸(42a,52a)に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ前記第1の検出ローラに対向し、かつ、前記媒体の他方面側から前記媒体に接触する第2の検出ローラ(42b,52b)と、を備えることを特徴とする検証装置(1)である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の検証装置において、前記搬送部(10,20,30)と前記移動検出部(40,50)との少なくとも一方が複数設けられており、前記搬送部と前記移動検出部とのいずれかのうちで隣り合うものの間では、前記第1の搬送ローラ(13c,23c,33c)及び前記第2の搬送ローラ(14b,24b,34b)の組み合わせと、前記第1の検出ローラ(41c,51c)及び前記第2の検出ローラ(42b,52b)の組み合わせとのいずれも、搬送方向に直交する方向で互い違いにずらして配置されていること、を特徴とする検証装置(1)である。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の検証装置において、前記媒体(P)が搬送される経路に沿って設けられ、前記第1の搬送ローラ(13c,23c,33c)と、前記第2の搬送ローラ(14b,24b,34b)と、前記第1の検出ローラ(41c,51c)と、前記第2の検出ローラ(42b,52b)とのうちの少なくとも1つを配置するための複数のローラ開口部(6a,6b)を備えた搬送ガイド板(6)を備え、前記ローラ開口部は、搬送方向において近接して設けられた前記ローラ開口部の間では、搬送方向の一端側から見たときに、一方の前記ローラ開口部と他方の前記ローラ開口部とが重ならないで繋がっている接続領域(6d)が設けられていること、を特徴とする検証装置(1)である。
【0012】
請求項5の発明は、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の検証装置において、前記第1の検出ローラ(41c,51c)と前記第2の検出ローラ(42b,52b)とが互いに対向して接触する位置は、前記第1の搬送ローラ(13c,23c,33c)と前記第2の搬送ローラ(14b,24b,34b)とが互いに対向して接触する位置よりも、前記第1の検出ローラ及び前記第2の検出ローラのうちでエンコーダ(E)に回転を伝えるように接続されている側が前記媒体(P)に近づく方向に位置がずれて配置されていること、を特徴とする検証装置(1)である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0014】
(1)搬送部は、回転軸に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ、かつ、媒体の一方面側から媒体に接触する第1の搬送ローラと、回転軸に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ第1の搬送ローラに対向し、かつ、媒体の他方面側から媒体に接触する第2の搬送ローラとを備える。よって、検証装置は、第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラにおける媒体の引っ掛かりや入り込みを防止でき、搬送不良の発生を抑制できる。したがって、検証装置は、媒体を搬送不良が生じることなく搬送することができ、正確な検証を行える。
【0015】
(2)移動検出部は、回転軸に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ、かつ、媒体の一方面側から媒体に接触する第1の検出ローラと、回転軸に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ第1の検出ローラに対向し、かつ、媒体の他方面側から媒体に接触する第2の検出ローラとを備える。よって、検証装置は、第1の検出ローラ及び第2の検出ローラにおける媒体の引っ掛かりや入り込みを防止でき、搬送不良の発生を抑制できる。
【0016】
(3)前記搬送部と前記移動検出部との少なくとも一方が複数設けられており、前記搬送部と前記移動検出部とのいずれかのうちで隣り合うものの間では、前記第1の搬送ローラ及び前記第2の搬送ローラの組み合わせと、前記第1の検出ローラ及び前記第2の検出ローラの組み合わせとのいずれも、搬送方向に直交する方向で互い違いにずらして配置されている。よって、検証装置は、搬送ローラ同士が並んでいても、検出ローラ同士が並んでいても、さらに、搬送ローラと検出ローラとが並んでいても、これらの部分における媒体の引っ掛かりや入り込みを防止でき、搬送不良の発生を抑制できる。
【0017】
(4)ローラ開口部は、搬送方向において近接して設けられたローラ開口部の間では、搬送方向の一端側から見たときに、一方のローラ開口部と他方のローラ開口部とが重ならないで繋がっている接続領域が設けられている。よって、検証装置は、ローラ開口部における媒体の引っ掛かりや入り込みを防止でき、搬送不良の発生を抑制できる。
【0018】
(5)第1の検出ローラと第2の検出ローラとが互いに対向して接触する位置は、第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとが互いに対向して接触する位置よりも、第1の検出ローラ及び第2の検出ローラのうちでエンコーダに回転を伝えるように接続されている側が媒体に近づく方向に位置がずれて配置されている。よって、検証装置は、媒体の移動を確実に検出することができ、正確な検証を行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による検証装置1の実施形態を側面(zマイナス側)からみた透視図である。
【図2】本発明による検証装置1の実施形態を図1とは反対側の側面(zプラス側)からみた透視図である。
【図3】下側本体2を上方(yプラス側)から見た図である。
【図4】下側搬送ガイド板6を取り外した状態の下側本体2を上方(yプラス側)から見た図である。
【図5】図1中に矢印で示したA−A断面を示す図である。
【図6】図1中に矢印で示したC−C断面を示す図である。
【図7】上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50と、上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30との配置を示す図である。
【図8】印刷媒体の入り込む状況を説明する図である。
【図9】第1の搬送ローラ13cと下側搬送ガイド板6とを本実施形態の正しい形態で示した図である。
【図10】下側搬送ガイド板6の一部を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。なお、以下に示す各図には、説明と理解を容易にするために、xyz直交座標系を設けた。この座標系では、検証装置を水平に設置したときに印刷媒体が搬送される向きをxプラス方向とし、上側に向かう方向をyプラス方向とし、図1において紙面奥向きをzプラス方向とする。また、これらの座標系は、原点を定義せず、単に方向を示すために設けている。
【0021】
(実施形態)
図1は、本発明による検証装置1の実施形態を側面(zマイナス側)からみた透視図である。
図2は、本発明による検証装置1の実施形態を図1とは反対側の側面(zプラス側)からみた透視図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0022】
本実施形態の検証装置1は、下側本体2と、上側本体3と、挿入ガイド4とを備えている。
下側本体2は、検証装置1の略下半分を占める部分である。
上側本体3は、下側本体2の上方に設けられ、検証装置1の略半分を占める部分である。上側本体3は、下側本体2に対して、不図示の蝶番部を支点として回転移動して、印刷媒体の搬送路を露呈させることができる。
挿入ガイド4は、印刷媒体を挿入部4aから検証装置1に挿入するときの案内をする部分であり、下側本体2のxマイナス端に突出して設けられている。
本実施形態の検証装置1は、市販されている汎用品のラベルプリンタ等(不図示)の直近に配置して用いることを想定している。そして、検証装置1は、汎用品のラベルプリンタ等から連続的に排出される印刷済みのラベル連続体等の印刷媒体を挿入ガイド4から挿入し、印刷されているバーコード等の各種情報を検証する。
【0023】
検証装置1は、挿入センサ5と、下側搬送ガイド板6と、上側搬送ガイド板7と、上流側搬送部10と、中間搬送部20と、下流側搬送部30と、上流側移動検出部40と、下流側移動検出部50と、媒体位置検出部60と、スキャナ部70と、マーキング部80と、表示操作部90と、制御部95と、エンコーダEと、モータMとを備えている。
【0024】
挿入センサ5は、挿入部4aの搬送方向下流側の直近に設けられ、印刷媒体の先端を検出し、検出信号を制御部95に伝達する。この挿入センサ5の検出信号が発せられると、制御部95が、上流側搬送部10と、中間搬送部20と、下流側搬送部30とを駆動する。
【0025】
下側搬送ガイド板6は、下側本体2の上部(yプラス側)に配置された板状の部材である。
図3は、下側本体2を上方(yプラス側)から見た図である。
下側搬送ガイド板6には、搬送用開口部6aと、検出用開口部6bとが形成されている。
搬送用開口部6aは、後述する第1の搬送ローラ13c,23c,33cに対応する位置に開口しているローラ開口部である。第1の搬送ローラ13c,23c,33cは、この搬送用開口部6aを通して上方(yプラス側)に突出している。
検出用開口部6bは、後述する第1の検出ローラ41c,51cに対応する位置に開口しているローラ開口部である。第1の検出ローラ41c,51cは、この検出用開口部6bを通して上方(yプラス側)に突出している。
【0026】
図1,2に戻って、上側搬送ガイド板7は、上側本体3の下部(yマイナス側)に配置された板状の部材である。上側搬送ガイド板7には、下側搬送ガイド板6と同様に、搬送用開口部7aと、検出用開口部7bとが形成されている。
搬送用開口部7aは、後述する第2の搬送ローラ14b,24b,34bに対応する位置に開口している。第2の搬送ローラ14b,24b,34bは、この搬送用開口部7aを通して下方(yマイナス側)に突出している。
検出用開口部7bは、後述する第2の検出ローラ42b,52bに対応する位置に開口している。第2の検出ローラ42b,52bは、この検出用開口部7bを通して下方(yマイナス側)に突出している。
【0027】
上流側搬送部10と、中間搬送部20と、下流側搬送部30とは、いずれも、挿入部4aから挿入された印刷媒体を搬送する搬送部を構成する機構である。
上流側搬送部10は、中間搬送部20及び下流側搬送部30よりも搬送方向において挿入部4aに近い位置に配置されている。上流側搬送部10は、トルクリミッタ11と、アイドルギヤ12と、第1の搬送ローラユニット13と、第2の搬送ローラユニット14とを有している。
【0028】
トルクリミッタ11は、モータMから第1の搬送ローラ13cへ伝わる駆動力のトルクを所定値以下に制限する過負荷制限装置である。トルクリミッタ11は、プーリ11aと、ギヤ11bとを有している。プーリ11aには、ベルトB3が掛けられている。このベルトB3は、後述のプーリ21aに掛けられており、モータMからの駆動力をこのプーリ21aを介してプーリ11aに伝える。トルクリミッタ11は、プーリ11aに伝わった駆動力のトルクを所定値以下に制限してギヤ11bに伝える。
【0029】
アイドルギヤ12は、ギヤ11bと後述のギヤ13aとにかみ合っている。アイドルギヤ12は、ギヤ11bに伝わった駆動力をギヤ13aに伝える。
【0030】
図4は、下側搬送ガイド板6を取り外した状態の下側本体2を上方(yプラス側)から見た図である。
図5は、図1中に矢印で示したA−A断面を示す図である。
第1の搬送ローラユニット13は、ギヤ13aと、軸13bと、第1の搬送ローラ(下側搬送ローラ)13cとを有している。
【0031】
ギヤ13aは、軸13bのzプラス端部分に設けられている。ギヤ13aは、上述したように、アイドルギヤ12とかみ合っており、アイドルギヤ12から駆動力を伝達される。
【0032】
軸13bは、z方向に延在しており、不図示の軸受け部により回転自在な状態で下側本体2に取り付けられている回転軸である。軸13bには、第1の搬送ローラ13cを取り付ける位置に外径が他の部分よりも小さい小径部13b1が設けられている。この小径部13b1は、z方向に等間隔となるように6箇所並べて設けられている。
【0033】
第1の搬送ローラ13cは、例えば、弾性のあるゴムや樹脂等で形成されている。よって、第1の搬送ローラ13cは、半径方向に容易に変形可能となっている。また、第1の搬送ローラ13cは、軸13bに一体に設けられており、z方向に等間隔となるように6箇所並べて設けられている。なお、本実施形態の第1の搬送ローラ13cは、一般的なゴムローラになっているが、例えば、中空形状等としてもよい。
【0034】
第2の搬送ローラユニット14は、軸14aと、第2の搬送ローラ(上側搬送ローラ)14bとを有している。軸14a及び第2の搬送ローラ14bの構成は、それぞれ、軸13b及び第1の搬送ローラ13cの構成と同様である。ただし、第2の搬送ローラユニット14は、ギヤ13aに相当する部分を有しておらず、また、軸14aは、不図示の軸受け部により回転自在な状態で上側本体3に取り付けられている。
【0035】
それぞれ6箇所ずつ設けられている第1の搬送ローラ13cと第2の搬送ローラ14bとは、互いに対向して接触するように配置されている。したがって、印刷媒体を搬送するときには、第1の搬送ローラ13cが印刷媒体の下方から印刷媒体に接触し、第2の搬送ローラ14bが印刷媒体の上方から印刷媒体に接触する。そして、第1の搬送ローラ13cが駆動力を受けて回転することにより、印刷媒体を搬送する。このとき、第2の搬送ローラ14bは、印刷媒体を介して第1の搬送ローラ13cを上方から押さえており、印刷媒体の移動と共に回転する。また、第1の搬送ローラ13cと第2の搬送ローラ14bとは、所定の接触圧力で押し合うように配置されている。したがって、第1の搬送ローラ13cと第2の搬送ローラ14bとは、両者が僅かずつそれぞれの半径方向に変形をしながら印刷媒体に、又は、互いに接触している。これにより、軸13b及び軸14aに沿って間隔を有して6箇所ずつ並べて設けられた第1の搬送ローラ13c及び第2の搬送ローラ14bの全てにおいて、第1の搬送ローラ13c及び第2の搬送ローラ14bが印刷媒体を押す力、又は、互いに押し合う力が略均等になる。
【0036】
中間搬送部20は、上流側搬送部10よりも搬送方向の下流側であって、スキャナ部70が印刷媒体に印刷された情報を読み取る位置(図1中の矢印Dにより示す位置)に近い位置に設けられている。中間搬送部20をこのような位置に設けることにより、スキャナ部70が印刷媒体に印刷された情報を読み取る位置における印刷媒体の平面性を高めることができる。よって、スキャナ部70による情報の読み取りを精度よく行える。
中間搬送部20は、トルクリミッタ21と、アイドルギヤ22と、第1の搬送ローラユニット23と、第2の搬送ローラユニット24とを有している。
【0037】
トルクリミッタ21は、モータMから第1の搬送ローラ23cへ伝わる駆動力のトルクを所定値以下に制限する過負荷制限装置である。トルクリミッタ21は、プーリ21aと、ギヤ21bとを有している。プーリ21aには、ベルトB2とベルトB3とが掛けられている。ベルトB2は、後述のプーリM1にも掛けられており、モータMからの駆動力をプーリ21aに伝える。トルクリミッタ21は、プーリ21aに伝わった駆動力のトルクを所定値以下に制限してギヤ21bに伝える。
【0038】
アイドルギヤ22は、ギヤ21bと後述のギヤ23aとにかみ合っている。アイドルギヤ22は、ギヤ21bに伝わった駆動力をギヤ23aに伝える。
【0039】
第1の搬送ローラユニット23は、ギヤ23aと、軸23bと、第1の搬送ローラ23cとを有している。
第2の搬送ローラユニット24は、軸24aと、第2の搬送ローラ24bとを有している。
中間搬送部20が有する、ギヤ23aと、軸23bと、第1の搬送ローラ23cと、軸24aと、第2の搬送ローラ24bとは、それぞれ、上流側搬送部10が有する、ギヤ13aと、軸13bと、第1の搬送ローラ13cと、軸14aと、第2の搬送ローラ14bと同様な形態をしているので、詳細な説明は省略する。
【0040】
下流側搬送部30は、中間搬送部よりも下流側、かつ、マーキング部80よりも下流側に設けられている。下流側搬送部30をマーキング部80よりも下流側に設けることにより、マーキング部80によりマーキングされる印刷媒体に対して十分な張力を与えることができる。よって、印刷媒体は、マーキングされる位置の平面性が高くなり、マーキングの結果を良好にできる。
下流側搬送部30は、トルクリミッタ31と、アイドルギヤ32と、第1の搬送ローラユニット33と、第2の搬送ローラユニット34とを有している。
【0041】
トルクリミッタ31は、モータMから第1の搬送ローラ33cへ伝わる駆動力のトルクを所定値以下に制限する過負荷制限装置である。トルクリミッタ31は、プーリ31aと、ギヤ31bとを有している。プーリ31aには、ベルトB1が掛けられている。ベルトB1は、後述のプーリM1にも掛けられており、モータMからの駆動力をプーリ31aに伝える。トルクリミッタ31は、プーリ31aに伝わった駆動力のトルクを所定値以下に制限してギヤ31bに伝える。
【0042】
なお、上述したプーリ11a,21a,31aの歯数は、それぞれ異なる歯数となっている。これにより、第1の搬送ローラ13cの回転速度が最も遅く、第1の搬送ローラ13cの回転速度よりも第1の搬送ローラ23cの回転速度が速く、さらに、第1の搬送ローラ23cの回転速度よりも第1の搬送ローラ33cの回転速度が速くなっている。これらの速度差については、例えば、第1の搬送ローラ13cの回転速度と第1の搬送ローラ23cの回転速度との間が3%程度異なり、さらに、第1の搬送ローラ23cの回転速度と第1の搬送ローラ33cの回転速度との間が3%程度異なるように設定するとよい。これにより、搬送される印刷媒体に張力を与えることができ、印刷媒体の平面性を保ったまま搬送することができる。
【0043】
アイドルギヤ32は、ギヤ31bと後述のギヤ33aとにかみ合っている。アイドルギヤ32は、ギヤ31bに伝わった駆動力をギヤ33aに伝える。
【0044】
第1の搬送ローラユニット33は、ギヤ33aと、軸33bと、第1の搬送ローラ33cとを有している。
第2の搬送ローラユニット34は、軸34aと、第2の搬送ローラ34bとを有している。
下流側搬送部30が有する、ギヤ33aと、軸33bと、第1の搬送ローラ33cと、軸34aと、第2の搬送ローラ34bとは、それぞれ、上流側搬送部10が有する、ギヤ13aと、軸13bと、第1の搬送ローラ13cと、軸14aと、第2の搬送ローラ14bと同様な形態をしているので、詳細な説明は省略する。
【0045】
上述したトルクリミッタ11,21,31の制限値は、所定の上限値を超えないように設定されている。ここで、上限値は、次の2つの観点により設定される。1つ目の観点は、接続が想定される市販の汎用プリンタから挿入される印刷媒体を破損しないという観点である。これは、汎用プリンタが動作を停止した場合であっても、検証装置1が印刷媒体を破損してしまうことがないようにするためである。2つ目の観点は、接続が想定される市販の汎用プリンタの用紙保持力を上回らないようにするという観点である。これは、汎用プリンタが動作を停止した場合であっても、検証装置1が印刷媒体を汎用プリンタから勝手に引きずり出してしまわないようにするためである。
【0046】
上流側移動検出部40は、上流側搬送部10の下流側直近に配置されている移動検出部である。上流側移動検出部40は、第1の検出ローラユニット41と、第2の検出ローラユニット42とを備えている。
図6は、図1中に矢印で示したC−C断面を示す図である。
第1の検出ローラユニット41は、プーリ41aと、軸41bと、第1の検出ローラ41cとを有している。
【0047】
プーリ41aは、軸41bのzマイナス端部分に設けられている。プーリ41aには、ベルトB4が掛けられている。ベルトB4は、後述のプーリ51a及びプーリE1にも掛けられている。よって、プーリ41aとプーリ51aとの少なくとも一方が回転させられると、その回転がプーリE1に伝わり、第1の検出ローラユニット41又は第1の検出ローラユニット51の回転をエンコーダEにより検出可能である。
【0048】
軸41bは、z方向に延在しており、不図示の軸受け部により回転自在な状態で下側本体2に取り付けられている回転軸である。軸41bには、第1の検出ローラ41cを取り付ける位置に外径が他の部分よりも小さい小径部41b1が設けられている。この小径部41b1は、z方向に等間隔となるように5箇所並べて設けられている。
【0049】
第1の検出ローラ41cは、例えば、弾性のあるゴムや樹脂等で形成されている。また、第1の検出ローラ41cは、軸41bに一体となるように設けられており、z方向に等間隔となるように5箇所並べて設けられている。
【0050】
また、第1の検出ローラ41cは、上方(yプラス側)から見たときに、搬送方向と直交する方向、すなわち、z方向において、第1の搬送ローラ13cとは位置をずらして互い違いとなるように配置されている。すなわち、第1の搬送ローラ13cと第1の検出ローラ41cとは、搬送方向に直交する方向で互い違いにずらして配置されている。
【0051】
第2の検出ローラユニット42は、軸42aと、第2の検出ローラ42bとを有している。
軸42a及び第2の検出ローラ42bの構成は、それぞれ、軸41b及び第1の検出ローラ41cの構成と同様である。ただし、第2の検出ローラユニット42は、プーリ41aに相当する部分を有しておらず、また、軸41baは、不図示の軸受け部により回転自在な状態で上側本体3に取り付けられている。
【0052】
それぞれ5箇所ずつ設けられている第1の検出ローラ41cと第2の検出ローラ42bとは、互いに対向して接触するように配置されている。したがって、印刷媒体が搬送部により搬送されるときには、第1の検出ローラ41cが印刷媒体の下方から印刷媒体に接触し、第2の検出ローラ42bが印刷媒体の上方から印刷媒体に接触する。
【0053】
下流側移動検出部50は、中間搬送部20の下流側直近に配置されている移動検出部である。下流側移動検出部50は、第1の検出ローラユニット51と、第2の検出ローラユニット52とを備えている。
第1の検出ローラユニット51は、プーリ51aと、軸51bと、第1の検出ローラ51cとを有している。
第2の検出ローラユニット52は、軸52aと、第2の検出ローラ52bとを有している。
下流側移動検出部50の構成は、上流側移動検出部40と同様な構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0054】
図7は、上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50と、上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30との配置を示す図である。なお、図7では、寸法hの量を特に誇張して示している。
先ず、上流側移動検出部40と上流側搬送部10との関係について説明する。第1の検出ローラ41cと第2の検出ローラ42bとが互いに対向して接触する位置は、第1の搬送ローラ13cと第2の搬送ローラ14bとが互いに対向して接触する位置よりも、エンコーダEに回転を伝えるように接続されている第1の検出ローラ41cが印刷媒体に近づく方向に位置がずれて配置されている。すなわち、第1の搬送ローラ13cと第2の搬送ローラ14bとの接触面よりも、第1の検出ローラ41cと第2の検出ローラ42bとの接触面が、上方に寸法hだけ高い位置(yプラス方向となる位置)となっている。
下流側移動検出部50と中間搬送部20との関係についても同様である。すなわち、第1の検出ローラ51cと第2の検出ローラ52bとが互いに対向して接触する位置は、第1の搬送ローラ23cと第2の搬送ローラ24bとが互いに対向して接触する位置よりも、エンコーダEに回転を伝えるように接続されている第1の検出ローラ51cが印刷媒体に近づく方向に位置がずれて配置されている。すなわち、第1の搬送ローラ23cと第2の搬送ローラ24bとの接触面よりも、第1の検出ローラ51cと第2の検出ローラ52bとの接触面が、上方に寸法hだけ高い位置(yプラス方向となる位置)となっている。
【0055】
印刷媒体の移動を検出するための構成を上流側搬送部10等に含ませる形態も考えられる。しかし、本実施形態では、そのようにせず、上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50を上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30とは独立させて設けた。以下、この理由について説明する。上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30は、いずれもトルクリミッタを備えている。トルクリミッタの部分では「すべり」が生じるので、モータMの回転駆動量と印刷媒体の搬送量とは1対1で対応していない。また、第1の搬送ローラ13c,23c,33cと印刷媒体との間でも「すべり」が生じる可能性もある。特に、プリンタと接続して利用する場合には、プリンタ側の負荷状態の影響を受けて、上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30のいずれかの部分で「すべり」が生じる可能性が高い。そうすると、上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30のいずれかの部分に搬送量を検出する手段を設けても、正確な検出ができない。そこで、本実施形態では、上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50を上流側搬送部10及び中間搬送部20及び下流側搬送部30とは独立させて設け、上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50から検出された印刷媒体の移動量を基準にして、各種制御を行っている。
【0056】
また、上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50の2つの移動検出部を設けたのは、連続する印刷媒体の最後尾がスキャナ部70を通過するときにも、印刷媒体の移動を検出する信号が取得できるようにするためである。
【0057】
媒体位置検出部60は、印刷媒体の位置を検出する。本実施形態の媒体位置検出部60は、反射型光センサと、透過型光センサとを備えている。
反射型光センサは、印刷媒体の少なくとも一面に所定間隔で印刷された位置検出マーク(アイマーク)を検出することによって、印刷媒体上のラベル等の位置を検出する。
透過型光センサは、印刷媒体が台紙と、台紙上に仮着されたラベルとにより構成されている場合に、台紙上にラベルが仮着されている位置と台紙にラベルが仮着されていない位置との光の透過率の差によって台紙上におけるラベルの位置を検出する。
なお、媒体位置検出部60は、位置検出マークの有無によって、反射型光センサ又は透過型光センサのいずれか一方を用いて印刷媒体の位置検出を行う。
【0058】
媒体位置検出部60は、下側センサ61と、下側送りねじ62と、下側ガイド軸63と、上側センサ66と、上側送りねじ67と、上側ガイド軸68とを備えている。
【0059】
下側センサ61は、透過型光センサの投光部又は受光部と、反射型光センサとを備えている。下側センサ61のxプラス側端には、下側送りねじ62に対応したナット部が形成されている。このナット部は、下側送りねじ62に螺合している。また、下側センサ61のxマイナス側端には、下側ガイド軸63に嵌合するガイド孔部が形成されている。
【0060】
下側送りねじ62は、z方向に延在しており、不図示の回転つまみを手動で回転させることにより、回転可能なように、下側本体2に取り付けられている。
下側ガイド軸63は、下側送りねじ62と平行となるようにz方向に延在する形態で、下側本体2に取り付けられている。
【0061】
上側センサ66は、透過型光センサの受光部又は投光部を備えている。なお、下側センサ61に透過型光センサの投光部が設けられている場合には、上側センサ66は、透過型光センサの受光部を備え、その逆に、下側センサ61に透過型光センサの受光部が設けられている場合には、上側センサ66は、透過型光センサの投光部を備えている。
なお、上側センサ66には、反射型光センサをさらに備えるようにしてもよい。そうすることにより、印刷媒体の表裏どちらの側に位置検出マークが設けられている場合にも対応可能となる。
上側センサ66のxプラス側端には、上側送りねじ67に対応したナット部が形成されている。このナット部は、上側送りねじ67に螺合している。また、上側センサ66のxマイナス側端には、上側ガイド軸68に嵌合するガイド孔部が形成されている。
【0062】
上側送りねじ67は、z方向に延在しており、不図示の連動機構により、下側送りねじ62と連動して回転可能なように、上側本体3に取り付けられている。
上側ガイド軸68は、上側送りねじ67と平行となるようにz方向に延在する形態で、上側本体3に取り付けられている。
【0063】
媒体位置検出部60は、上述した構成により、搬送方向と直交する方向(z方向)に移動可能となっている。よって、検証を行う印刷媒体が搬送方向と直交する方向のいずれの位置に搬送されても、印刷媒体の位置を検出できる。
【0064】
スキャナ部70は、搬送された印刷媒体に印刷された情報を読み取る読み取り部である。スキャナ部70が読み取った情報は、制御部95へ送られる。具体的には、スキャナ部70は、不図示の照明部とセンサとを有し、照明部により照明された印刷媒体をセンサにより読み取り、印刷媒体上の情報を像の形態で取得する。そして、スキャナ部70は、この取得した像を制御部95へ送る。
【0065】
マーキング部80は、後述する制御部95からの指示に応じて、印刷媒体にマーキングを行う。具体的には、マーキング部80は、制御部95がスキャナ部70から得た情報に基づいて、印刷媒体上の印刷結果が所定の条件を満たさない不良品であると判断したときに、印刷媒体上に、例えば、「NG」と押印を行う。なお、マーキング部80としては、ハンコを用いずに、レーザやインクジェット等を用いてマーキングを行ってもよいし、印刷媒体の一部を切り欠いたり孔を開けたりしてマーキングを行ってもよい。
【0066】
表示操作部90は、検証装置1に関する各種操作を受け付ける操作部と、各種情報の表示を行う表示部とを有している。
【0067】
制御部95は、検証装置1の動作を統括して制御を制御回路であり、不図示のCPUやメモリ等により構成されている。また、制御部95は、スキャナ部70から像の形態で取得した印刷媒体上の情報を検証する検証部としても機能する。制御部95は、別途入力された検証すべきデータを記憶しておき、印刷媒体上の情報が、正しく印刷媒体上に印刷されているか否かを検証する。なお、検証する内容としては、印刷されるべき内容、印刷のかすれや欠け、汚れ等、適宜選択可能である。また、検証すべきデータは、外部から通信や記憶媒体を介して入力されてもよいし、検証装置1が備えるスキャナ部70から正しい印刷媒体を読み込ませて登録されるようにしてもよい。
【0068】
エンコーダEは、上流側移動検出部40及び下流側移動検出部50が検出した印刷媒体の移動を移動量に変換可能な形態で出力するロータリエンコーダである。エンコーダEは、プーリE1を有している。プーリE1には、ベルトB4が掛けられているので、プーリE1は、第1の検出ローラ41c又は第1の検出ローラ51cの回転量に対応する量だけ回転する。エンコーダEは、プーリE1の回転量に応じた検出信号を制御部95へ送る。
【0069】
モータMは、上流側搬送部10と、中間搬送部20と、下流側搬送部30との駆動力を発生する駆動源である。モータMは、プーリM1を有している。プーリM1には、ベルトB1とベルトB2とが掛けられており、モータMが発生する駆動力を上流側搬送部10と、中間搬送部20と、下流側搬送部30とに伝える。
【0070】
本実施形態の検証装置1は、様々なプリンタの様々な形態の印刷媒体を検証可能となっている。したがって、プリンタから排出された印刷媒体によっては、巻き癖等が大きく、平面性が悪いものもある。そのような平面性の悪い印刷媒体を搬送する場合には、例えば、下側搬送ガイド板6と第1の搬送ローラ13c,23c,33cとの間の隙間、又は、下側搬送ガイド板6と第1の検出ローラ41c,51cとの間の隙間に印刷媒体が入り込んでしまい、搬送不良となるおそれがある。上側搬送ガイド板7側についても同様である。
【0071】
そこで、本実施形態の検証装置1では、上述した構成により、印刷媒体の入り込みによる搬送不良を防止している。以下、この点について説明する。
図8は、印刷媒体の入り込む状況を説明する図である。なお、図8は、本実施形態の検証装置1の形態を正確に示したものではなく、印刷媒体の入り込みを説明するために実際とは異なる形状で示している。また、図8では、印刷媒体Pの先端側(xプラス側)が下方に曲がっている例を示している。
このような場合、第1の搬送ローラ13cと搬送用開口部6aとの間の隙間のうち、下流側の隙間J1に印刷媒体Pの先端が引っかかって入り込む頻度が高い。なお、第1の搬送ローラ13cと搬送用開口部6aとの隙間のうち、上流側は、第1の搬送ローラ13cの回転に倣って印刷媒体Pの先端が送られるので、入り込みは発生しにくい。また、第1の検出ローラ41cと検出用開口部6bとの間の隙間のうち、上流側の隙間J2に印刷媒体Pの先端が引っかかって入り込む頻度が高い。この隙間J2の部分では、第1の検出ローラ41cは、印刷媒体Pにより従動駆動される形態であるので、印刷媒体Pの先端の当たり具合によっては、印刷媒体Pが隙間J2に入り込んでしまうおそれがある。
【0072】
本実施形態では、先ず、第1の搬送ローラ13c,23c,33cを搬送方向と直交する方向で複数個に分割して設けている。これにより、第1の搬送ローラ13c,23c,33cが存在していない部分には、搬送用開口部6aを開口しない形態とすることができる。すなわち、隙間J1のz方向両隣の部分の下側搬送ガイド板6が開口されていない部分(図3中の非開口部K1,K2等)を形成できる。印刷媒体Pは、搬送方向に直交する方向にある程度の幅を持っているので、その先端が曲がっていたとしても、印刷媒体Pを全体としてみると、非開口部K1,K2等の存在により、隙間に入り込むことができない。
なお、第1の検出ローラ41c,51cについても、第1の搬送ローラ13c,23c,33cと同様にして、印刷媒体Pの隙間への入り込みを防止している。
【0073】
また、本実施形態では、第1の搬送ローラ13cと第1の検出ローラ41cとは、搬送方向に直交する方向で互い違いにずらして配置されている。この理由を以下に説明する。
図9は、第1の搬送ローラ13cと下側搬送ガイド板6とを本実施形態の正しい形態で示した図である。
図9に示すように、第1の搬送ローラ13cの搬送方向の下流側となる位置には、第1の検出ローラ41cが存在せず、したがって、検出用開口部6bも第1の搬送ローラ13cの搬送方向の下流側となる位置には、存在しない。このような構成により、検証装置1は、印刷媒体Pの隙間への入り込みを防止できる。また、第1の検出ローラ41cも第1の搬送ローラ13cと同様に搬送方向と直交する方向で複数個に分割して設けており、印刷媒体Pの隙間への入り込み防止効果を高めている。
【0074】
また、印刷媒体Pのローラに挟まれた部分は、挟まれることにより若干延びることがある。そのため、例えば、印刷媒体Pのローラに挟まれた部分は、上方へ凸となるように変形し、ローラに挟まれていない部分が下方へ凹となり、全体として波打つような形状となってしまうことがある。隣り合う第1の搬送ローラ13cと第1の検出ローラ41cとを、搬送方向に直交する方向で互い違いにずらして配置しない場合には、この傾向がより顕著となってしまい、変形した媒体Pは、隙間に入り込みやすくなってしまう。これに対して、本実施形態では、第1の搬送ローラ13cと第1の検出ローラ41cとは、搬送方向に直交する方向で互い違いにずらして配置されているので、媒体Pが波打つような形状に変形してしまうことを防止でき、印刷媒体Pの隙間への入り込み防止効果をさらに高めている。
その上、本実施形態では、第1の搬送ローラ13cを通過した印刷媒体Pの下方へ凹となった領域が第1の検出ローラ41cに接触することとなるので、印刷媒体Pの動きをより確実に検出することが可能となる。
【0075】
さらに、第2の搬送ローラ14b,24b,34b及び第2の検出ローラ42b,52bと、上側搬送ガイド板7との間の隙間についても同様にして、印刷媒体Pの隙間への入り込みを防止している。
【0076】
さらにまた、本実施形態では、下側搬送ガイド板6にも印刷媒体Pの隙間への入り込みを防止するための構成を設けている。
図10は、下側搬送ガイド板6の一部を拡大して示した図である。図10(a)は、下側搬送ガイド板6をyプラス側(上方)から見た図であり、図10(b)は、図10(a)中の矢印W方向から見た模式図である。
搬送方向において近接して設けられた搬送用開口部6aと、検出用開口部6bとの間では、搬送方向の一端側、例えば、矢印Wの方向から見たときに、搬送用開口部6aと、検出用開口部6bとが重ならないで繋がっている接続領域6dが設けられている。この接続領域6dが設けられていることにより、印刷媒体Pを搬送用開口部6aと検出用開口部6bとの間で搬送方向において切れ目なくガイドできるガイド面が形成できる。よって、印刷媒体Pがこれら搬送用開口部6aや検出用開口部6b等に引っ掛かったり、これらの隙間に入り込んだりすることを防止できる。
なお、上側搬送ガイド板7についても同様の構成となっており、接続領域が設けられている。
これらの構成により、本実施形態の検証装置1では、各種ローラと下側搬送ガイド板6及び上側搬送ガイド板7との間の隙間に、印刷媒体が引っかかったり、入り込んだりする等の搬送不良を防止できる。
【0077】
さらに、図7に示すように、第1の搬送ローラ13cと第2の搬送ローラ14bとの接触面よりも、第1の検出ローラ41cと第2の検出ローラ42bとの接触面が、上方に寸法hだけ高い位置に設定されている。また、第1の搬送ローラ23cと第2の搬送ローラ24bとの接触面よりも、第1の検出ローラ51cと第2の検出ローラ52bとの接触面が、上方に寸法hだけ高い位置に設定されている。このようにしたことにより、印刷媒体の移動を確実に検出することができる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態によれば、下側搬送ガイド板6と第1の搬送ローラ13c,23c,33cとの間の隙間、又は、下側搬送ガイド板6と第1の検出ローラ41c,51cとの間の隙間に印刷媒体が入り込んでしまうことによる搬送不良を防止できる。また、上側搬送ガイド板7側についても印刷媒体が入り込んでしまうことによる搬送不良を防止できる。
尚、第1の搬送ローラ33cは、検証装置1から印刷媒体を排紙するために配置されている。
【0079】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態において、第1の搬送ローラ13c,23c,33c及び第2の搬送ローラ14b,24b,34bは、それぞれ、複数個の部材により形成されている例を挙げて説明した。これに限らず、第1の搬送ローラ13c,23c,33c及び第2の搬送ローラ14b,24b,34bは、それぞれ、1つの部材、例えば、1つのゴム部材に第1の搬送ローラ及び第2の搬送ローラに相当する部位を形成してもよい。
【0080】
(2)各実施形態において、第1の検出ローラ41c,51c及び第2の検出ローラ42b,52bは、それぞれ、複数個の部材により形成されている例を挙げて説明した。これに限らず、第1の検出ローラ41c,51c及び第2の検出ローラ42b,52bは、それぞれ、1つの部材、例えば、1つのゴム部材に第1の検出ローラ41c,51c及び第2の検出ローラ42b,52bに相当する部位を形成してもよい。
【0081】
(3)各実施形態において、第1の搬送ローラ13c,23c,33c及び第2の搬送ローラ14b,24b,34bと、第1の検出ローラ41c,51c及び第2の検出ローラ42b,52bとが、搬送方向に直交する方向で位置がずれるように互い違いに配置されている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、2つの搬送部が並んで配置される場合には、その2つの搬送部が有する搬送ローラ同士の間で、搬送方向に直交する方向で位置がずれるように互い違いに配置するとよい。本発明では、このように、隣り合うローラについて、搬送方向に直交する方向で位置がずれるように互い違いに配置することができれば、搬送不良を防止する効果を得ることができる。
【0082】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0083】
1 検証装置
6 下側搬送ガイド板
6a 搬送用開口部
6b 検出用開口部
6d 接続領域
10 上流側搬送部
11,21,31 トルクリミッタ
13b,14a,23b,24a,33b,34a,41b,42a,51b,52a 軸
13c,23c,33c 第1の搬送ローラ
14b,24b,34b 第2の搬送ローラ
20 中間搬送部
30 下流側搬送部
40 上流側移動検出部
41c,51c 第1の検出ローラ
42b,52b 第2の検出ローラ
50 下流側移動検出部
70 スキャナ部
95 制御部
E エンコーダ
M モータ
P 印刷媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検証対象である媒体が挿入される挿入部と、
前記挿入部から挿入された前記媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記媒体に印刷された情報を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部が読み取った前記情報を検証する検証部と、
を備え、
前記搬送部は、回転軸に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ、かつ、前記媒体の一方面側から前記媒体に接触する第1の搬送ローラと、
回転軸に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ前記第1の搬送ローラに対向し、かつ、前記媒体の他方面側から前記媒体に接触する第2の搬送ローラと、
を備える検証装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検証装置において、
前記搬送部により搬送される前記媒体の移動を検出する移動検出部を備え、
前記移動検出部は、回転軸に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ、かつ、前記媒体の一方面側から前記媒体に接触する第1の検出ローラと、
回転軸に沿って間隔を有して複数箇所に並べて設けられ前記第1の検出ローラに対向し、かつ、前記媒体の他方面側から前記媒体に接触する第2の検出ローラと、
を備えることを特徴とする検証装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検証装置において、
前記搬送部と前記移動検出部との少なくとも一方が複数設けられており、前記搬送部と前記移動検出部とのいずれかのうちで隣り合うものの間では、前記第1の搬送ローラ及び前記第2の搬送ローラの組み合わせと、前記第1の検出ローラ及び前記第2の検出ローラの組み合わせとのいずれも、搬送方向に直交する方向で互い違いにずらして配置されていること、
を特徴とする検証装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の検証装置において、
前記媒体が搬送される経路に沿って設けられ、前記第1の搬送ローラと、前記第2の搬送ローラと、前記第1の検出ローラと、前記第2の検出ローラとのうちの少なくとも1つを配置するための複数のローラ開口部を備えた搬送ガイド板を備え、
前記ローラ開口部は、搬送方向において近接して設けられた前記ローラ開口部の間では、搬送方向の一端側から見たときに、一方の前記ローラ開口部と他方の前記ローラ開口部とが重ならないで繋がっている接続領域が設けられていること、
を特徴とする検証装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の検証装置において、
前記第1の検出ローラと前記第2の検出ローラとが互いに対向して接触する位置は、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとが互いに対向して接触する位置よりも、前記第1の検出ローラ及び前記第2の検出ローラのうちでエンコーダに回転を伝えるように接続されている側が前記媒体に近づく方向に位置がずれて配置されていること、
を特徴とする検証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−30920(P2012−30920A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171202(P2010−171202)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】