説明

検量線算出方法、及び情報処理装置

【課題】個人差を生じさせずにROI範囲を設定して検量線を算出することが可能な、検量線算出方法、及び情報処理装置を提供すること。
【解決手段】測定スペクトル上のROI範囲を設定するROI範囲設定工程と、設定されたROI範囲の積分強度を前記測定スペクトルごとに算出し、算出した積分強度に基づき最小二乗法により検量線を算出する検量線算出工程と、前記積分強度と前記検量線との誤差を算出する誤差算出工程とを含み、前記ROI範囲設定工程において、前記測定スペクトル上のROI範囲を変更し、変更後のROI範囲に基づき算出される前記誤差が最小となるROI範囲を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成分量が異なる複数の標準試料の測定スペクトルに基づき検量線を算出する検量線算出方法、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、標準サンプルを分析する分析装置からのスペクトル波形等のデータについてピーク検出、各ピークの面積算出、検量線作成等の分析処理を実行するデータ処理装置において、検量線と実測データの乖離度を求め、乖離度に応じて実測データの表示形態を異ならせて表示するようにしたデータ処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−151743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のデータ処理装置では、検量線を算出する際にスペクトル波形上のROI範囲をユーザが任意に指定するため、指定するROI範囲に個人差が生じるといった問題点があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、個人差を生じさせずにROI範囲を設定して検量線を算出することが可能な、検量線算出方法、及び情報処理装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る検量線算出方法は、成分量が異なる複数の標準試料の測定スペクトルに基づき検量線を算出する検量線算出方法であって、
前記測定スペクトル上のROI範囲を設定するROI範囲設定工程と、
設定されたROI範囲の積分強度を前記測定スペクトルごとに算出し、算出した積分強度に基づき最小二乗法により検量線を算出する検量線算出工程と、
前記積分強度と前記検量線との誤差を算出する誤差算出工程とを含み、
前記ROI範囲設定工程において、
前記測定スペクトル上のROI範囲を変更し、変更後のROI範囲に基づき算出される前記誤差が最小となるROI範囲を決定する。
【0007】
また、本発明に係る情報処理装置は、成分量が異なる複数の標準試料の測定スペクトルに基づき検量線を算出する情報処理装置であって、
前記測定スペクトル上のROI範囲を設定するROI範囲設定部と、
設定されたROI範囲の積分強度を前記測定スペクトルごとに算出し、算出した積分強度に基づき最小二乗法により検量線を算出する検量線算出部と、
前記積分強度と前記検量線との誤差を算出する誤差算出部とを含み、
前記ROI範囲設定部が、
前記測定スペクトル上のROI範囲を変更し、変更後のROI範囲に基づき算出される前記誤差が最小となるROI範囲を決定する。
【0008】
本発明によれば、ROI範囲の積分強度と検量線との誤差が最小となるROI範囲が自動設定されるため、個人差を生じさせずにROI範囲を設定することが可能となる。
【0009】
(2)本発明に係る検量線算出方法は、成分量が異なる複数の標準試料の測定スペクトルに基づき検量線を算出する検量線算出方法であって、
操作部からの操作情報に基づいて、前記測定スペクトル上のROI範囲を設定するROI範囲設定工程と、
設定されたROI範囲の積分強度を前記測定スペクトルごとに算出し、算出した積分強度に基づき最小二乗法により検量線を算出する検量線算出工程と、
前記積分強度と前記検量線との誤差を算出する誤差算出工程と、
前記誤差を表示部に表示させるための表示制御を行う表示制御工程とを含み、
前記操作情報に基づきROI範囲が変更された場合に、
前記誤差算出工程において、
変更後のROI範囲に基づき算出される前記積分強度と前記検量線とに基づいて、前記誤差を再度算出し、
前記表示制御工程において、
再度算出された前記誤差に基づいて、前記表示部に表示される前記誤差を更新する表示制御を行う。
【0010】
また、本発明に係る情報処理装置は、成分量が異なる複数の標準試料の測定スペクトルに基づき検量線を算出する情報処理装置であって、
操作部からの操作情報に基づいて、前記測定スペクトル上のROI範囲を設定するROI範囲設定部と、
設定されたROI範囲の積分強度を前記測定スペクトルごとに算出し、算出した積分強度に基づき最小二乗法により検量線を算出する検量線算出部と、
前記積分強度と前記検量線との誤差を算出する誤差算出部と、
前記誤差を表示部に表示させるための表示制御を行う表示制御部とを含み、
前記操作情報に基づきROI範囲が変更された場合に、
前記誤差算出部が、
変更後のROI範囲に基づき算出される前記積分強度と前記検量線とに基づいて、前記誤差を再度算出し、
前記表示制御部が、
再度算出された前記誤差に基づいて、前記表示部に表示される前記誤差を更新する表示制御を行う。
【0011】
本発明によれば、ユーザによって設定されたROI範囲に基づきROI範囲の積分強度と検量線との誤差が算出され、算出された誤差が表示部に表示される。そして、ユーザによってROI範囲の設定が変更された場合には、変更後のROI範囲に基づき前記誤差が再度算出されて表示部の前記誤差の表示が更新される。すなわち、ユーザは、表示部に表示される前記誤差を指標として確認しながら、例えば前記誤差が最小となるようにROI範囲を設定することができ、個人差を生じさせずにROI範囲を設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図の一例を示す図。
【図2】本実施形態の第1の手法におけるROI範囲の変更について説明するための図。
【図3】本実施形態の第1の手法における検量線の算出について説明するための図。
【図4】誤差の算出について説明するための図。
【図5】本実施形態の第2の手法における表示画面の一例を示す図。
【図6】本実施形態の第1の手法における処理の一例を示すフローチャート図。
【図7】本実施形態の第2の手法における処理の一例を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0014】
1.構成
図1に、本実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図の一例を示す。なお本実施形態の情報処理装置は図1の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0015】
情報処理装置100は、元素分析や膜厚分析を行うための装置であり、スペクトロメータ10(例えば、蛍光X線分析装置、エネルギー分散型X線分析装置)から入力される標準試料の測定スペクトルに基づき検量線を作成し、作成した検量線を用いて試料(成分量が未知の試料)の定量分析を行う装置である。
【0016】
図1に示すように、情報処理装置100は、処理部20と、操作部30と、表示部32と、記憶部34と、情報記憶媒体36とを含んでいる。
【0017】
操作部30は、ユーザが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部20に出力する。操作部30の機能は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル型ディスプレイなどのハードウェアにより実現することができる。
【0018】
表示部32は、処理部20によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。
【0019】
記憶部34は、処理部20のワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現できる。情報記憶媒体36(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部20は、情報記憶媒体36に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。情報記憶媒体36には、処理部20の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶することができる。
【0020】
処理部20は、ROI範囲を設定する処理、検量線の算出処理、誤差の算出処理等の処理を行う。処理部20の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。処理部20は、ROI範囲設定部22、検量線算出部24、誤差算出部26を含む。
【0021】
ROI範囲設定部22は、スペクトロメータ10から出力された、成分量(例えば、濃度、膜厚)が異なる複数の標準試料の各測定スペクトル上のROI範囲(Region Of Interest、関心領域)を設定する。なお、ROI範囲設定部22は、操作部30からの操作情報に基づきROI範囲を設定(変更)してもよい。
【0022】
検量線算出部24は、設定されたROI範囲の積分強度を前記測定スペクトルごとに算出し、算出した積分強度に基づき最小二乗法により検量線を算出する。
【0023】
誤差算出部26は、検量線算出部24で算出された前記積分強度と前記検量線との誤差(差または偏差)を算出する。
【0024】
また、ROI範囲設定部22は、前記測定スペクトル上のROI範囲を変更し、変更後のROI範囲に基づき誤差算出部26で算出される前記誤差が最小となるROI範囲を決定してもよい。
【0025】
また、処理部20は、表示制御部28を更に含んでもよい。表示制御部28は、誤差算出部26で算出された前記誤差を表示部に表示させるための表示制御を行う。
【0026】
また、操作部30からの操作情報に基づきROI範囲が変更された場合に、誤差算出部26は、変更後のROI範囲に基づき算出される前記積分強度と前記検量線とに基づいて、前記誤差を再度算出し、表示制御部28は、再度算出された前記誤差に基づいて、前記表示部に表示される前記誤差を更新する表示制御を行ってもよい。
【0027】
2.本実施形態の手法
次に本実施形態の手法について図面を用いて説明する。
【0028】
2−1.第1の手法
まず、本実施形態の第1の手法について説明する。第1の手法では、ROI範囲設定部22が、ユーザの操作によらずにROI範囲の設定・変更を行い、誤差算出部26で算出される誤差が最小となるROI範囲を決定する。
【0029】
図2に、濃度(成分量の一例)が異なる複数の標準試料の測定スペクトルの一例を示す。図2に示す測定スペクトルS、S、Sは、それぞれ濃度がC、C、C(C<C<C)である3つの標準試料のスペクトルである。
【0030】
第1の手法では、図2に示すように、まず、測定スペクトルのピークp(強度が最大となるエネルギー値)を指定する。なお、ユーザが操作部20を操作してピークpを指定するようにしてもよいし、測定スペクトルからピークpを自動検出するようにしてもよい。
【0031】
次に、指定したピークpを中心として所定の幅を有するROI範囲を設定する。例えば、図2に示すa〜bの範囲をROI範囲として設定する。
【0032】
次に、図3に示すように、各測定スペクトルS、S、Sのそれぞれについて、ROI範囲をa〜bの範囲としたときのROI範囲の積分強度I、I、Iを算出し、算出した積分強度I、I、Iに基づき最小二乗法により検量線Aを算出する。具体的には、検量線(Y=aX+b)の係数a、bを最小二乗法により求める。図3に示す例では、検量線Aは、横軸(X軸)が標準試料の濃度となり、縦軸(Y軸)が積分強度となるようにプロットされている。
【0033】
次に、積分強度I、I、Iと検量線Aとの誤差を算出する。例えば、図4に示すように、積分強度I、I、Iと検量線Aとの各偏差をx(i=1〜n、ここではn=3)とすると、誤差σを、次式により求めることができる。
【0034】
【数1】

【0035】
次に、ROI範囲を変更し、変更後のROI範囲に基づき、積分強度と検量線を算出し、積分強度と検量線の誤差を同様に算出する。以下、任意の回数だけROI範囲を変更して同様の処理を行う。
【0036】
例えば、図2に示すa〜bのROI範囲を、ピークpを中心として所定の幅だけ拡大して、a’〜b’の範囲を新たなROI範囲として設定し、図3に示すように、ROI範囲をa’〜b’の範囲としたときの積分強度I’、I’、I’を算出する。そして、算出した積分強度I’、I’、I’に基づき最小二乗法により検量線A’を算出し、式(1)により積分強度I’、I’、I’と検量線A’との誤差σを算出する。
【0037】
更に、図2に示すa’〜b’のROI範囲を、ピークpを中心として所定の幅だけ拡大して、図3に示すように、ROI範囲をa”〜b”の範囲としたときの積分強度I”、I”、I”を算出し、算出した積分強度I”、I”、I”に基づき最小二乗法により検量線A”を算出し、式(1)により積分強度I”、I”、I”と検量線A”との誤差σを算出する。
【0038】
次に、算出した誤差σが最小となるROI範囲を決定する。図3に示す例では、ROI範囲をa’〜b’の範囲としたときの積分強度I’、I’、I’と検量線A’との誤差σが最小となるため、図2に示すa’〜b’の範囲をROI範囲として決定し、図3に示すA’を検量線として決定する。
【0039】
このように本実施形態の第1の手法によれば、ユーザの操作に拠らず、ROI範囲の積分強度と検量線との誤差が最小となるROI範囲を設定することができるため、個人差を生じさせずにROI範囲を設定することが可能となる。
【0040】
なお、上記説明では、ROI範囲の変更手順として、ROI範囲を所定の最小範囲から最大範囲に拡大する場合について説明したが、ROI範囲を所定の最大範囲から最小範囲に縮小するようにしてもよい。
【0041】
2−2.第2の手法
次に、本実施形態の第2の手法について説明する。第2の手法では、ユーザによって設定されたROI範囲に基づき誤差を算出して表示部32に表示し、ユーザによってROI範囲が変更された場合に、変更後のROI範囲に基づき誤差を再計算して誤差の表示を更新する。
【0042】
図5(A)、図5(B)は、第2の手法において表示部32に表示される表示画面の一例を示す図である。
【0043】
図5(A)に示すように、表示画面には、標準試料の測定スペクトルSと、測定スペクトルS上のROI範囲を示す線分状のマーカMa、Mbが表示される。ここでは、成分量が異なる複数の標準試料の測定スペクトルのうち、いずれか1つの測定スペクトルSのみが表示されている。なお、マーカMaはROI範囲の左端の位置を示し、マーカMbはROI範囲の右端の位置を示す。図5に示す例では、a1の位置にマーカMaが表示され、b1の位置にマーカMbが表示されているため、ROI範囲はa1〜b1の範囲に設定されている。また、設定されたROI範囲に基づき算出される積分強度と検量線の誤差の値が、表示画面上の誤差表示部EDに表示される。
【0044】
ユーザはマウス等の操作部30を操作して、マーカMa及びマーカMbに対してカーソルCSを用いたドラッグ操作を行うことでROI範囲を自由に設定することができる。例えば、図5(B)に示すように、ユーザがカーソルCSを用いてマーカMbをb1の位置からb2の位置に移動させる操作を行うと、ROI範囲がa1〜b1の範囲からa1〜b2の範囲に変更され、変更後のROI範囲(a1〜b2の範囲)に基づき算出される積分強度と検量線の誤差が誤差表示部EDに表示される。
【0045】
このように本実施形態の第2の手法では、ユーザによってROI範囲の設定が変更された場合に、変更後のROI範囲に基づき前記誤差が再度算出されて誤差表示部EDの誤差の表示が更新される。すなわち本実施形態の第2の手法によれば、ユーザは、誤差表示部EDに表示される誤差を指標として確認しながら、測定スペクトル上のROI範囲を設定変更する(例えば、誤差が最小となるようにROI範囲を設定する)ことができ、個人差を生じさせずにROI範囲を設定することが可能となる。
【0046】
なお、ユーザの操作によるROI範囲の設定は、マウスを用いたものに限られず、キーボードを用いた操作やタッチパネルディスプレイを用いたタッチ操作等によってROI範囲を設定できるように構成してもよい。
【0047】
3.処理
次に、本実施形態の処理の一例について図6、図7のフローチャートを用いて説明する。図6は、本実施形態の第1の手法における処理の一例を示すフローチャート図である。
【0048】
まず、ROI範囲設定部22は、測定スペクトルのピーク位置を設定し(ステップS10)、設定したピーク位置を中心として所定の幅を有するROI範囲(例えば、図2のa〜bの範囲)を設定する(ステップS12)。
【0049】
次に、検量線算出部24は、設定されたROI範囲の積分強度を測定スペクトル毎に算出し(ステップS14)、算出した積分強度に基づき最小二乗法により検量線を算出する(ステップS16)。
【0050】
次に、誤差算出部26は、算出された積分強度と検量線との誤差を式(1)により算出する(ステップS18)。
【0051】
次に、ROI範囲設定部22は、ROI範囲が所定の最大値(例えば、図2のa”〜b”の範囲)に達したか否かを判断し(ステップS20)、所定の最大値に達していない場合には、ROI範囲をピーク位置を中心として所定幅だけ拡大し(ステップS22)、ステップS14に進む。ステップS14では、変更後のROI範囲の積分強度を測定スペクトル毎に算出する。以下、ROI範囲が所定の最大値に達するまで、ステップS14〜ステップS22の処理を繰り返す。
【0052】
ステップS20において、ROI範囲が所定の最大値に達したと判断した場合には、ROI範囲設定部22は、誤差算出部26で算出される誤差が最小となるときのROI範囲を決定する(ステップS24)。
【0053】
図7は、本実施形態の第2の手法における処理の一例を示すフローチャート図である。
【0054】
まず、ROI範囲設定部22は、操作部30に対してROI範囲を設定(変更)するための操作入力があったか否かを判断し(ステップS30)、操作入力があったと判断した場合には、操作部30からの操作情報に基づき測定スペクトル上のROI範囲を設定する(ステップS32)。
【0055】
次に、検量線算出部24は、設定されたROI範囲の積分強度を測定スペクトル毎に算出し(ステップS34)、算出した積分強度に基づき最小二乗法により検量線を算出する(ステップS36)。
【0056】
次に、誤差算出部26は、算出された積分強度と検量線との誤差を式(1)により算出する(ステップS38)。
【0057】
次に、表示制御部28は、算出された誤差に基づき表示部32に表示される誤差を更新する表示制御を行う(ステップS40)。次に、処理部20は処理を続けるか否かを判断し(ステップS42)、処理を続けると判断した場合には、ステップS30の処理に進む。以下、操作情報に基づきROI範囲を設定し、設定されたROI範囲に基づき誤差を算出して誤差の表示を更新するステップS30〜ステップS40の処理を繰り返す。
【0058】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0059】
10 スペクトロメータ、20 処理部、22 ROI範囲設定部、24 検量線算出部、26 誤差算出部、28 表示制御部、30 操作部、32 表示部、34 記憶部、36 情報記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分量が異なる複数の標準試料の測定スペクトルに基づき検量線を算出する検量線算出方法であって、
前記測定スペクトル上のROI範囲を設定するROI範囲設定工程と、
設定されたROI範囲の積分強度を前記測定スペクトルごとに算出し、算出した積分強度に基づき最小二乗法により検量線を算出する検量線算出工程と、
前記積分強度と前記検量線との誤差を算出する誤差算出工程とを含み、
前記ROI範囲設定工程において、
前記測定スペクトル上のROI範囲を変更し、変更後のROI範囲に基づき算出される前記誤差が最小となるROI範囲を決定する、検量線算出方法。
【請求項2】
成分量が異なる複数の標準試料の測定スペクトルに基づき検量線を算出する検量線算出方法であって、
操作部からの操作情報に基づいて、前記測定スペクトル上のROI範囲を設定するROI範囲設定工程と、
設定されたROI範囲の積分強度を前記測定スペクトルごとに算出し、算出した積分強度に基づき最小二乗法により検量線を算出する検量線算出工程と、
前記積分強度と前記検量線との誤差を算出する誤差算出工程と、
前記誤差を表示部に表示させるための表示制御を行う表示制御工程とを含み、
前記操作情報に基づきROI範囲が変更された場合に、
前記誤差算出工程において、
変更後のROI範囲に基づき算出される前記積分強度と前記検量線とに基づいて、前記誤差を再度算出し、
前記表示制御工程において、
再度算出された前記誤差に基づいて、前記表示部に表示される前記誤差を更新する表示制御を行う、検量線算出方法。
【請求項3】
成分量が異なる複数の標準試料の測定スペクトルに基づき検量線を算出する情報処理装置であって、
前記測定スペクトル上のROI範囲を設定するROI範囲設定部と、
設定されたROI範囲の積分強度を前記測定スペクトルごとに算出し、算出した積分強度に基づき最小二乗法により検量線を算出する検量線算出部と、
前記積分強度と前記検量線との誤差を算出する誤差算出部とを含み、
前記ROI範囲設定部が、
前記測定スペクトル上のROI範囲を変更し、変更後のROI範囲に基づき算出される前記誤差が最小となるROI範囲を決定する、情報処理装置。
【請求項4】
成分量が異なる複数の標準試料の測定スペクトルに基づき検量線を算出する情報処理装置であって、
操作部からの操作情報に基づいて、前記測定スペクトル上のROI範囲を設定するROI範囲設定部と、
設定されたROI範囲の積分強度を前記測定スペクトルごとに算出し、算出した積分強度に基づき最小二乗法により検量線を算出する検量線算出部と、
前記積分強度と前記検量線との誤差を算出する誤差算出部と、
前記誤差を表示部に表示させるための表示制御を行う表示制御部とを含み、
前記操作情報に基づきROI範囲が変更された場合に、
前記誤差算出部が、
変更後のROI範囲に基づき算出される前記積分強度と前記検量線とに基づいて、前記誤差を再度算出し、
前記表示制御部が、
再度算出された前記誤差に基づいて、前記表示部に表示される前記誤差を更新する表示制御を行う、情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−83524(P2013−83524A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223039(P2011−223039)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】