説明

検針機の性能チェック用テストカード及びそれを収納する収納ケース

【課題】ハンガー式、コンベア式、卓上式、ハンディ式及び透視式等の検針機の多くの異なるタイプの検針機に適用でき、検針機の事前調整や性能チェックに用いるテストカードと、性能チェックの便宜及び実際の製品内部に異物が混入する状態を想定した試験が可能なテストカードの収納ケースの提供を目的とする。
【解決手段】検針機の性能をチェックするテストカードであって、テスト片と、当該テスト片の種類及び大きさ等のテスト条件をコード化した1次・2次元コード又はICチップを配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣料品、クッションやぬいぐるみ等の縫製品及びパン・菓子等の食料品等の検針機を必要とする分野にて針、針金、金属製異物の検出及び混入を防止するための検針機の性能をチェックするテストカード及びこのテストカードを収納しつつ多機能的に利用できる収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
食料品業界では金属の異物が食品に混入していないことを出荷前にチェックする金属検出機が用いられている。
紳士服、婦人服、子供服等の衣料品や、クッション、ぬいぐるみ等の身廻り縫製製品業界においては、全ての金属と反応すると金属製のファスナー、ボタン、スナップ、前カン等の服飾付属品等にも感知してしまい、縫製用針の検出が難しくなることから鉄系の針だけに感知する検針機が用いられている。
近年では、服飾付属品メーカーが銅合金、アルミ合金、亜鉛合金等の検針機に感知されにくい素材を用いたり、表面にメッキ加工をすることで「検針対応製品」として販売しているものもある。
この種の検針機は永久磁石と直流磁界とからなる検針センサーが用いられ、例えば縫製工程中に混入した針、折れ針、ホチキス針等が磁界を横切った際に生じる誘起電圧を検出するものであることから、被検針物の移動速度や移動距離等の影響を受けやすく、検針作業の前に検針センサーの感度調整や被検針物の移動速度、移動範囲、移動高さ等の調整が必要となる。
また、包丁やハサミの破片が製品に混入した場合にその破片に対して検針機が検知できる範囲を事前にチェックしておくことが重要となる。
【0003】
検針機の種類も特許文献1に開示するようなハンガー式検針装置や、特許文献2に開示するようなベルトコンベア式の検針機等の他に卓上式、ハンディ式等の各種タイプが商品化されている。
また、近年はX線による透視画像にて針等の混入を感知するX線異物検出装置の提案もされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−317376号公報
【特許文献2】特開2009−276066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はハンガー式、コンベア式、卓上式、ハンディ式及び透視式等の検針機の多くの異なるタイプの検針機に適用でき、検針機の事前調整や性能チェックに用いるテストカード及びその収納ケースの提供を目的とする。
テストカード単体でも検針機のチェックが可能であるが、テストカードを収納ケースに入れることで、チェックの便宜と、この収納ケースを用いることで、実際に製造する製品の内部に存在する異物の、深さや角度を想定したチェックを可能にすることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は検針機の性能をチェックするテストカードであって、テスト片と、当該テスト片の種類及び大きさ等のテスト条件をコード化した一次・二次元コード又はICチップを配置したことを特徴とする。
【0007】
ここで、テスト片とは検針機の感知の可否確認やセンサーの感度調整に用いるためのサンプル品をいい、例えば直径0.5mm,0.8mm,1.0mm等の大きさ0.5〜1.5mm程度の鉄球、あるいは直径0.5mm,1.0mm,1.5mm,2.0mm等の大きさ0.5〜2.0mmのステンレス球等の標準化されたサンプルが例として挙げられる。
また、このテスト片にはボタン,スナップ等の服飾部品が検針機に感知するか否かを確かめるための各種縫製部品及び作業上必要な各種道具及びその破片等も含まれる。
【0008】
本発明は上記テスト片と、このテスト片の情報を一次元コード,二次元QRコード(登録商標)等の手段を用いてコード化したコード情報又はテスト片の情報を記録したICチップをテスト片と同じテストカードに配置した点に特徴がある。
これにより、携帯端末等を用いて記録,データ送信,データ解析等に用いることができる。
【0009】
一つのテストカードを用いてテスト片を取り替えたい場合には、テストカードにテスト片を収納できる袋体を有し、テスト片を取り替え可能にしてもよい。
例えば、服飾部品を感知するか否か等を事前にチェックしたい場合に袋体にそのサンプルを入れて検針機にかけてみることができる。
テストカードに、サンプルの大きさを計測できる定規(目盛り)を予め印刷しておき、袋体を折り畳み可能な透明素材で形成すると、サンプルを袋体に入れたままその大きさを計測及び記録することもできる。
また、この定規は縦方向と横方向にクロスするように二次元的に配置してもよい。
このようにするとテスト片の縦及び横方向の大きさが同時に計測できる。
袋体をテストカード本体に取り付ける場合に袋体の一部に開閉自在部を形成するのが好ましく、また粘着剤でテストカード本体から取外し自在にしてもよい。
【0010】
本発明はテストカードをそのまま検針機のチェックに用いてもよいが、テストカードを吊り下げ可能又は高さ調整可能に収納できるテストカード収納ケースを用いて検針機のテストに供してもよい。
このようなテストカード収納ケースを用いると、テストカードを収納し、このテストカード収納ケースをハンガーに吊り下げるだけでハンガー式検針機の事前チェックや感度調整に用いることができ、卓上式検針機にあっては、検出面に沿って吊り下げ部を引っ張るように移動させることができる。
また、コンベア式検針機やハンディ式検針機にあっては、テスト片の高さ調整をすることで事前チェックや感度調整ができる。
さらに透視式検針機にあっては、この収納ケースの収納部にテストカードと製品に用いられる他の部材等を重ね合せて入れることで透視精度の確認をすることができる。
従って、この収納ケースはテストカード単体でチェックする場合よりも、テスト片が実際の製品の内部に、所定の深さ、角度で存在する場合も想定した、より精度の高い事前チェックが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るテストカードは、テスト片とこのテスト片に関する情報を記録する一次元・二次元コード又はICチップを同一のカード本体に配設したので、次のような効果が得られる。
検針機が感知したテストカードの情報をそのままコード情報又はICチップ記録情報として記録,解析,送信等ができる。
【0012】
本発明に係るテストカードを本発明に係る収納ケースに収納して検針機の事前チェックや感度調整に用いると次のような効果が得られる。
ハンガー式検針機のハンガーにテストカードを入れた収納ケースを吊り下げると、まず事前チェックとして検出センサーの故障、磁石の劣化、故障、誤作動等の確認ができる。
鉄球の大きさ等、所定のテスト片を検針機に通過させることでハンガー移動速度の調整や検出センサーの感度調整ができる。
吊り下げる高さや水平方向の位置を変えることで検出範囲の事前調整ができる。
卓上式検針機の場合も卓上の検出面を収納ケースの吊り下げ部を持って移動させることで同様に検出センサーの感度、移動範囲等の事前チェックができる。
コンベア式検針機の場合にコンベアの搬送面からの高さを変えて通過チェックできるので、被検出物の通過速度のみならず、通過高さや検出範囲の事前チェック、調整ができる。
テストカード単体で検針機のチェックが可能である。
しかし、このようにテストカードを収納する収納ケースを設けると上述したように、各種タイプの検針機に対応しやすいことの他に、収納ケースを実際の製品の材質や厚み等に合せて製作すると、被テスト片が実際の製品の内部に混入した場合を想定したチェックが可能となる。
また、テストカードにテスト片を入れる袋体を設けた場合には、服飾部品等が事前に検出センサーに反応するか否かのチェックができる。
テストカードにICチップを配設すると、検針機の反応記録もテストカードに記録することができる。
X線透視式検針機の場合は、本発明に係る出願人が先に出願した特許第4753914号に開示する針管理カードを通過させ、残された針の透視画像データと使用前の針の画像データと比較することで、紛失折れ針の有無や形状、大きさ等の解析に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るテストカードの例を示す。
【図2】本発明に係るテストカード収納ケースの例を示し、(a)は側面図、(b)は平面図を示す。
【図3】テストカード収納ケースを折り畳んで吊り下げるようにした状態を示し、(a)は正面図、(b)は背面図,(c)は側面図を示す。
【図4】収納ケースに入れたテストカードをハンガーに吊り下げ検針機を通過させる状態を示す。
【図5】収納ケースの折り畳み角度を変えることでテスト片の高さを調整した例を示し、(a),(b)はテスト片の位置を高くした状態、(c),(d)は相対的にテスト片の高さを低くした状態を示す。
【図6】収納ケースに入れたテストカードをコンベア式検針機に通過させる状態を示す。
【図7】袋体を備えたテストカードの例を示す。
【図8】2本の計測定規を交差させて配置した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に本発明に係るテストカード10の例を示す。
紙、プラスチック、布等で形成したカード本体の表面に所定の大きさの鉄球、ステンレス球あるいは正方形、長方形等の鉄片等からなるテスト片12とコード化した情報として例えばコード13として二次元QRコード(登録商標)を配設してある。
テストカード10は必要に応じてテストカードの種類14、テスト片の材質、大きさ、製作日等のテスト片情報記入欄15を有する。
また、計測定規17を配設してもよい。
さらには、このコード13の上にコードの読みとれる範囲でテスト片を載置できるようにしてもよい。
コード13の上にテスト片を載置すればコード情報を読みとる際にテスト片の大きさとともにパスワード等の情報も同時に読みとることができ、テスト片情報記入欄の記入を省くことで事前に情報が分かるのを防止できる。
【0015】
図2はテストカード10を収納できるテストカード収納ケース(以下、単に収納ケースと称する。)20の例を示す。
布等の折り曲げ、折り畳み可能で検針機のセンサーの反応やX線透視検出機の透視に影響を与えない本体部21にテストカード10を入れる袋部22を形成する。
本実施例では折り曲げ部21aにて二つ折りにできる例を示したが、袋部22を有するものであればこれに限定されない。
検針機を使用する業種や職種により、製品の大きさ,構造,材質等に相違がある。
従って、製品の内部に異物が混入した場合を想定して検針機を事前チェックするのが好ましい。
例えば、革製品を対象とする場合は、この収納ケースを革素材で造るのが好ましく、同様にゴム製品を対象とする場合は、ゴム製の収納ケースを用いるのが好ましい。
なお、テストカード単体をそのまま商品に挿入できる場合には、テストカードに保護カバーをかけて商品に挿入してもよい。
本実施例は、本体部21を二つ折りにして吊り下げられるように本体部21の一方の端部に計測目もり付ベルト(以下、必要に応じて単にベルトと称する。)23を連結してある。
計測目もり付ベルト23の裏面には面ファスナー23aを重ね合せてある。
本体部21の所定の位置にこの計測目もり付ベルトとの面ファスナーに対応した面ファスナーを有する。
【0016】
図3は収納ケース20の本体部21を二つ折りにし、ベルト23の他端側を本体部の他の端部の裏面に形成した面ファスナー24dに付着させ、ベルト23を吊り下げひもにした状態を示す。
このようにすると図4に示すようにテストカード10を袋部22に入れ、ハンガー2に吊り下げ、検針機1を通過させることができる。
図5は本体部21の二つ折りにした場合に袋部22の有する折り曲げ片と対応する他方の折り曲げ片に設けた面ファスナー24aや本体部21の端部に設けた面ファスナー24cにベルト23の面ファスナー23aを付着させることで折り曲げ高さ(テスト片の高さ)を調整した状態を示す。
図5は(a),(b)が略直角に折り曲げた状態、(c),(d)はそれよりもテスト片が低くなるように鋭角に折り曲げた状態を示す。
このようにすると、図6に示すようにコンベア3の上面高さを調整しながら載置でき、検針機1のチェックや調整がしやすい。
なお、収納ケースは検針機の種類に対応した専用の収納ケースを用いてもよい。
例えばハンガー式であれば高さ及び幅が分かるもの、卓上式は製品の移動速度が分かるように定規状の紐をつけたもの、コンベア式はコンベアからの高さと幅方向が分かるものという具合である。
【0017】
図7はテストカード11aに開閉自在部16aを備えた透明な袋体16を取り付けた例を示す。
袋体16には検出チェックに用いる服飾部品12a等のサンプルを入れることができ、袋体16を折り曲げることでそのまま定規17にて大きさをチェックできる。
図8は定規2本18a,18bをクロス状に配置したテストカード11bの例を示し、クロス部19にテストサンプルを貼り付けるだけで大きさが計測されたサンプル付のテストカードになる。
このようにすると、収納ケース内でテストカードの位置を変えるだけで検針位置を変えたチェックもできる。
テストカードに配設したコード13の替わりにICチップを貼り付けることで検針機や携帯端末等と相互データ通信や記録することができる。
本発明でテストカードの大きさや形状に制限がなく、テストサンプルを貼り付けたり、あるいは収納できる袋体を取り付けることができるものであればよい。
【符号の説明】
【0018】
10 テストカード
11 カード本体
12 テスト片
13 コード
20 収納ケース
21 本体部
22 袋部
23 計測目もり付ベルト
23a 面ファスナー
24a 面ファスナー
24b 面ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検針機の性能をチェックするテストカードであって、テスト片と、当該テスト片の種類及び大きさ等のテスト条件をコード化した1次・2次元コード又はICチップを配置したことを特徴とするテストカード。
【請求項2】
前記テスト片を収納できる袋体を有し、テスト片を取り替え可能にしたことを特徴とする請求項1記載のテストカード。
【請求項3】
前記請求項1又は2記載のテストカードを吊り下げ可能又は高さ調整可能に収納できることを特徴とするテストカード収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−113693(P2013−113693A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259661(P2011−259661)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(598162034)株式会社トクエー (4)
【Fターム(参考)】