説明

業務データ提供システム

【課題】業務ホスト(データホスト)が異なっても共通のCRMシステムを構築できる業務データ提供システムを提供する。
【解決手段】受信される証券会社A〜J用データの種別毎の一時テーブルが設定されている一時テーブル記憶部32と、受信した証券会社A〜J用データの種別を判別して該当する一時テーブルに記憶させる送受信部31と、受信される証券会社A〜J用データのデータフォーマットと共通データフォーマットとの対応関係を示す変換テーブルが記憶されている変換テーブル記憶部32と、一時テーブルと一対一で対応する共通テーブルが設定されている共通テーブル記憶部35と、変換テーブルに基づいて、一時テーブルに記憶されている証券会社A〜J用データを共通データフォーマットに変換させ、共通データフォーマットに統一した証券会社A〜J用データを共通テーブルに記憶させる変換処理部34とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SaaS(Software as a Service)によって業務データを提供する業務データ提供システムに関し、特に証券業務用CRM(顧客情報管理)に係る業務データを業務データ提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務ホスト(データホスト)である勘定系システムから、日々、顧客毎の預り残高や取引履歴等の勘定系データの提供を受けて、データベースを構築し、営業業務を支援するための情報系システムが証券会社で用いられる。業務ホスト(データホスト)である勘定系システムは、顧客登録、照会、注文処理などを行い、顧客マスタ、預かり、取引履歴等の勘定系データは、業務ホスト(データホスト)である勘定系システムから証券会社内のCRM(顧客情報管理)システムへ転送され、営業業務の支援等に用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−134124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図8は、従来の業務ホスト(データホスト)から証券会社内のCRMシステムへの勘定系データの転送を説明するための図である。図8には、Aベンダが管理する業務ホスト(データホスト)であるAシステムから証券会社A〜DのCRMシステム2a〜2dに、Bベンダが管理する業務ホスト(データホスト)であるBシステムから証券会社E〜GのCRMシステム2e〜2gに、Cベンダが管理する業務ホスト(データホスト)であるCシステムから証券会社H〜IのCRMシステム2h〜2iに、Dベンダが管理する業務ホスト(データホスト)であるDシステムから証券会社JのCRMシステム2jに、それぞれの証券会社用データ(勘定系データ)が転送される例が示されている。A〜Dシステムから転送される証券会社用データのフォーマットは、各システムで異なっているため、業務ホスト(データホスト)毎にCRMシステムを構築しなければならないという問題点があった。
【0005】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、業務ホスト(データホスト)が異なっても共通のCRMシステムを構築できる業務データ提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る業務データ提供システムは、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
請求項1記載の業務データ提供システムは、それぞれフォーマットの異なる業務データを配信する複数のデータホストから業務データの配信を受ける業務データ提供システムであって、前記データホストから業務データを受信し、いずれのユーザに対応する業務データであるかを判別する受信手段と、前記受信手段でユーザ毎に判別された業務データを、ユーザ毎に設定されている一時テーブルにそれぞれ記憶する一時テーブル記憶手段と、前記データホスト毎に異なる業務データのデータフォーマットと、一つの共通データフォーマットとの対応関係を示す変換テーブルが記憶されている変換テーブル記憶手段と、前記変換テーブルに基づいて、前記一時テーブルに記憶されている業務データを統一された前記共通データフォーマットに変換する変換処理手段と、前記変換処理手段で前記共通データフォーマットに変換された業務データを、前記一時テーブルと一対一で対応して設定されている共通テーブルにそれぞれ記憶する共通テーブル記憶手段と、前記ユーザのクライアント端末からのアクセスに応じて、該当するユーザに対応する前記共通テーブルに記憶されている業務データを当該クライアント端末へ送信する送信手段とを具備することを特徴とする。
請求項2記載の業務データ提供システムは、受信される業務データは、複数のユーザの勘定系データであり、前記共通テーブルは、前記ユーザ毎にアクセス制限されていることを特徴とする。
請求項3記載の業務データ提供システムは、前記変換テーブルには、データ項目毎の要否を示す取捨フラグが設定されており、前記変換処理手段は、前記取捨フラグに基づいてデータ項目を取捨選択して、必要なデータ項目のみを変換し、前記共通テーブルへ記憶させることを特微とする請求項1又は請求項2記載の業務データ提供システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明の業務データ提供システムは、業務ホスト(データホスト)が異なっても共通のCRMシステムを構築でき、安価なCRMサービスを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る業務データ提供システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す業務データ提供システムにおけるデータ転送を説明するための説明図である。
【図3】証券会社用データのデータフォーマット例を示す図である。
【図4】ホストデータブリッジ機能を説明するための説明図である。
【図5】変換テーブル例を示す図である。
【図6】本発明に係る業務データ提供システムの実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】共通テーブルの表示例を示す図である。
【図8】従来のデータ転送を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好適な本実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本実施の形態の業務データ提供システム3は、図1を参照すると、A〜Dベンダがそれぞれ管理する業務ホスト(データホスト)であるA〜Dシステム1a〜1dと、証券会社A〜Jにそれぞれ設置されているCRMクライアント端末4a〜4jとにインターネット等のネットワーク5を介して接続されている。業務データ提供システム3は、プロバイダ環境に設置されたシステムであり、各証券会社A〜Jにシステムを導入することなく、CRMクライアント端末4a〜4jとネットワーク回線があれば、利用できるサービスであり、ネットワーク5を介して、すなわちSaaS(Software as a Service)の形態で、CRMクライアント端末4a〜4jに対して証券業務CRMサービスを提供する。
【0010】
A〜Dシステム1a〜1dは、顧客登録、照会、注文処理等を行うシステムであり、コンピュータ等のプログラム制御によって動作する情報処理装置で構成されている。A〜Dシステム1a〜1dは、キーボードやマウス等からなる入力手段、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段、情報処理を実行するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、プログラムやデータを展開するための記憶領域を確保するRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段等のハードウェア資源を備えている。
【0011】
図2を参照すると、Aシステム1aは、証券会社A〜Dの顧客登録、照会、注文処理等を行う業務ホスト(データホスト)として機能し、顧客マスタ、預かり、取引履歴等の勘定系データを証券会社A〜D用データとして夜間バッチ、もしくはリアルタイムで、業務データ提供システム3に転送する。また、Bシステム1bは、証券会社E〜Gの顧客登録、照会、注文処理等を行う業務ホスト(データホスト)として機能し、顧客マスタ、預かり、取引履歴等の勘定系データを証券会社E〜G用データとして夜間バッチ、もしくはリアルタイムで、業務データ提供システム3に転送する。さらに、Cシステム1cは、証券会社H〜Iの顧客登録、照会、注文処理等を行う業務ホスト(データホスト)として機能し、顧客マスタ、預かり、取引履歴等の勘定系データを証券会社H〜I用データとして夜間バッチ、もしくはリアルタイムで、業務データ提供システム3に転送する。さらにまた、Dシステム1dは、証券会社Jの顧客登録、照会、注文処理等を行う業務ホスト(データホスト)として機能し、顧客マスタ、預かり、取引履歴等の勘定系データを証券会社J用データとして夜間バッチ、もしくはリアルタイムで、業務データ提供システム3に転送する。
【0012】
A〜Dシステム1a〜1dから業務データ提供システム3に転送される証券会社A〜J用データは、証券会社A〜J毎に複数種類(例えば、顧客データ、預りデータ、取引データ等)あり、A〜Dシステム1a〜1d間で書式の取り決めがなされておらず、A〜Dシステム1a〜1d毎で項目名等のデータフォーマットが統一されていないものになっている。図3(a)には、Aシステム1aから業務データ提供システム3に転送される証券会社A用データの内のA社顧客データ例の一部が、図3(b)には、Bシステム1bから業務データ提供システム3に転送される証券会社B用データの内のB社顧客データ例の一部がそれぞれ示されている。A社顧客データ及びB社顧客データのデータフォーマットは、項目とデータの桁数で定義されており、各項番のデータがデータ項目となる。両者を比較すると、A社顧客データの項目1、2とB社顧客データの項目1、2とは、実質的に同じデータであってもの項目名および桁数が異なっている。また、A社顧客データの項目3、4とB社顧客データの項目3、4とは、同じ項目名であっても、桁数が異なっている。さらに、A社顧客データの項目6に対応するデータがB社顧客データには、存在しない。さらにまた、A社顧客データの項目7、8、9とB社顧客データの項目6、7、8とは、同じ項目名であっても項番と桁数とが異なっている。
【0013】
業務データ提供システム3は、CRMクライアント端末4a〜4jに業務データを提供するためのシステムであり、コンピュータ等のプログラム制御によって動作する情報処理装置で構成されている。業務データ提供システム3は、キーボードやマウス等からなる入力手段、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段、情報処理を実行するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、プログラムやデータを展開するための記憶領域を確保するRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段等のハードウェア資源を備えている。CPU等の制御手段は、図1を参照すると、送受信部31および変換処理部34として機能し、HDD等の記憶手段は、一時テーブル記憶部32、変換テーブル記憶部33及び共通テーブル記憶部35として機能する。
【0014】
業務データ提供システム3は、図2を参照すると、A〜Dシステム1a〜1dから配信される業務データ、すなわちA〜Dシステム1a〜1dからそれぞれ転送される証券会社A〜D用データを受信し、受信した証券会社A〜D用データを共通データフォーマットに変換するホストデータブリッジ機能と、共通データフォーマットに変換した証券会社A〜D用データを証券会社A〜Jにそれぞれ提供する証券会社用CRMサービス機能とを有している。
【0015】
送受信部31は、A〜Dシステム1a〜1dから受信した証券会社A〜D用データの種別を判別し、加工することなく一時テーブル記憶部32に記憶させる。また、共通テーブル記憶部35に記憶させている証券会社A〜D用データをCRMクライアント端末4a〜4jに提供する証券会社用CRMサービス機能を実行する。
【0016】
一時テーブル記憶部32には、証券会社A〜J用データが加工されることなく記憶される一時テーブルが設定されている。一時テーブルは、証券会社A〜D毎、且つ顧客データ、預かりデータ、取引データ等の種類毎に設定されている。すなわち一時テーブルは、受信される証券会社A〜J用データの種別毎に設定されており、A〜Dシステム1a〜1dから受信した証券会社A〜D用データは、送受信部31によって判別された種別に応じた一時テーブルにそれぞれ記憶される。図4には、証券会社A〜J毎の顧客データが加工されることなくそれぞれ記憶されるA〜J社顧客テーブルが一時テーブル例として示されている。
【0017】
変換テーブル記憶部33には、A〜Dシステム1a〜1d毎の証券会社A〜J用データの項目と、共通テーブル記憶部35に設定されている共通テーブルの項目との対応関係を示すと共に、共通テーブルの項目毎の桁数が設定されている変換テーブルが記憶されている。変換テーブルは、証券会社A〜D用データの顧客データ、預かりデータ、取引データ等の種類毎に用意され、図5には、顧客データの変換テーブル例が示されている。また、変換テーブルには、図5に示すように、必要なデータ項目か否かを示す取捨フラグが設けられている。
【0018】
変換処理部34は、ホストデータブリッジ機能として、変換テーブル記憶部33に記憶されている変換テーブルを用いて、一時テーブル記憶部32に設定されている一時テーブルに記憶されている証券会社A〜J用データを共通データフォーマットに変換する変換処理を実行する。なお、共通データフォーマットへの変換処理としては、まず、A〜Dシステム1a〜1d毎に項番・項目名・桁数が異なるため、項番の入れ替え・項目名および桁数の変換・が行われる。このような変換テーブルを業務データ提供システム3上に持つことにより、それぞれの証券会社A〜J用データを共通データフォーマットに変換して蓄積することができる。また、項目名の変換ルール等を整備することにより、自動変換することも可能となる。共通データフォーマットに統一された証券会社A〜J用データを共通テーブル記憶部35に設定されている共通テーブルに記憶される。また、変換処理に際し、変換テーブルの取捨フラグに基づいて、必要なデータ項目の取捨選択を行い、必要なデータ項目のみを共通テーブルに記憶させる。
【0019】
共通テーブル記憶部35には、共通データフォーマットに統一された証券会社A〜D用データが記憶される共通テーブルが設定されている。共通テーブルは、証券会社A〜D毎、且つ顧客データ、預かりデータ、取引データ等の種類毎に設定されている。図4には、共通データフォーマットに統一された証券会社A〜D毎の顧客データがそれぞれ記憶されるA〜D社顧客テーブルが共通テーブル例として示されている。なお、図4に示すように、一時テーブル記憶部32に設定されている一時テーブルと、共通テーブル記憶部35に設定されている共通テーブルとは、1対1で対応している。従って、対応する一時テーブルおよび共通テーブルに、同一のテーブル名や証券会社および種類がわかるテーブル名を付与したり、一時テーブルと共通テーブルを関連づける対照表を設けたりして管理されている。
【0020】
CRMクライアント端末4a〜4jは、各証券会社A〜Jに設置され、プロバイダ環境に設置された業務データ提供システム3にネットワーク5を介してアクセス可能なコンピュータ等のプログラム制御によって動作する情報処理装置で構成されている。A〜Dシステム1a〜1dは、キーボードやマウス等からなる入力手段、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段、情報処理を実行するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、プログラムやデータを展開するための記憶領域を確保するRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段、ディスプレイ等の出力手段等のハードウェア資源を備えている。
【0021】
次に、本実施の形態の業務データ提供システム3の動作については図6を参照して詳細に説明する。
業務データ提供システム3の送受信部31は、夜間バッチ、もしくはリアルタイムで転送されてくる証券会社用データの受信を監視しており(ステップA1)、証券会社用データを受信すると、証券会社及び種類の特定、すなわち受信した証券会社用データの種別の特定を行う(ステップA2)。証券会社及び種類、すなわち種別の特定は、転送元のシステムとの間のプロトコルやヘッダの記載事項に基づいて行うことができる。
【0022】
次に、送受信部31は、特定して証券会社及び種類に該当する一時テーブルに受信した証券会社用データを加工することなくそのまま記憶させる(ステップA3)。なお、一時テーブルは、証券会社及び種類毎に一時テーブル記憶部32に設定されているため、各証券会社のデータセキュリティは保った状態でデータ蓄積を行うことができる。また、ステップA2、A3の処理動作の際に、証券会社用データの整合性のチェックを行うようにすると良い。すなわち、A〜Dシステム1a〜1dにおいて、各ベンダによって証券会社用データのデータフォーマットが変更され、項番、項目名、桁数が変更される場合があり、証券会社用データの整合性のチェックを行うことで証券会社用データのデータフォーマットが変更されたか否かを判別することができる。証券会社用データの整合性のチェックは、例えば、変換テーブル記憶部33に記憶されている変換テーブルを用いて行うことができ、項番、項目名、桁数が変更されているか否か、また、項目名に対応する正しいデータになっているか否かを判別することができる。整合性のチェックで証券会社用データのデータフォーマットが変更されたと判別された場合には、一時テーブルに証券会社用データを記憶させることなく、図示しないディスプレイ等の出力手段によって警告を出力し、オペレータに変換テーブルの修正を指示する。
【0023】
次に、変換処理部34は、証券会社用データの一時テーブルへの記憶の完了を監視しており(ステップA4)、一時テーブルへの記憶が完了すると、変換テーブル記憶部33に記憶されている変換テーブルに基づいて、データ項目の取捨選択を行うと共に、一時テーブルに記憶された証券会社用データを共通データフォーマットに変換し(ステップA5)、共通データフォーマットに統一した証券会社用データを共通テーブル記憶部35に設定されている共通テーブルに記憶させる(ステップA6)。一時テーブル記憶部32に設定されている一時テーブルと、共通テーブル記憶部35に設定されている共通テーブルとは、1対1で対応しているため、各証券会社のデータセキュリティを保った状態で一時テーブルから共通テーブルへのロードを行うことができる。また、ステップA5の変換処理に際し、データ項目の取捨選択を行うことで、必要なデータのみ蓄積することができるため、システムのリソースの有効利用に役立つ。
【0024】
送受信部31は、CRMクライアント端末4a〜4jからのアクセスを受け付け、共通テーブル記憶部35の共通テーブルに記憶されている証券会社A〜J用データ、すなわち共通データフォーマットに統一された証券会社A〜J用データをCRMクライアント端末4a〜4jに提供する証券会社用CRMサービス機能を実行する。証券会社A〜J用データが共通データフォーマットに統一されているため、送受信部31は、CRMクライアント端末4a〜4jに対して共通の画面を提供することが可能になる。なお、共通テーブルに記憶されている証券会社用データは、各証券会社専用のデータであり、各証券会社のデータセキュリティは保った状態で証券会社用データを提供する必要がある。従って、共通テーブルへのアクセス権をパスワード等で制限することにより、送受信部31は、他の証券会社の証券会社用データへの参照を禁止している。本実施の形態では、証券会社用データの証券会社毎、且つ種類毎に共通テーブルが設定されているため、簡単にアクセス制限を行い、データセキュリティを保つことが可能になる。
【0025】
図7には、CRMクライアント端末4a〜4jから共通テーブル記憶部35の共通テーブルに記憶されている証券会社A〜J用データにアクセスする際に表示される表示項目選択画面が表示されている。表示項目選択画面は、項番、項目名、桁数以外に要否フラグが設けられており、要否フラグによって表示する項目を選択することができ、ユーザ固有のデータ表示を行うことが可能になっている。
【0026】
なお、変換テーブル記憶部33に記憶されている変換テーブル用いることで、共通データフォーマットへの変換処理だけでなく、他のシステムのデータフォーマットへの変換(例えば、Aシステム1aのデータフォーマットからBシステム1bのデータフォーマットへの変換)を行うこともできる。この変換処理により、証券会社が業務ホスト(データホスト)、すなわち使用するシステムを変更した際にも証券会社A〜J用データを変換することが容易となる。
【0027】
また、本実施の形態においては、業務データ提供システム3を証券会社の業務データに適用させた例について説明したが、本発明の業務データ提供システムは、証券会社以外でも同様の業務データ(例えば顧客データ、預りデータ、取引データ等)を扱う同様の分野の主体(例えば証券・金融全般)にも適用することができる。
【0028】
上述の説明のように、本実施の形態の業務データ提供システム3は、それぞれフォーマットの異なる業務データを配信する複数の業務ホスト(データホスト)であるA〜Dシステム1a〜1dから業務データの配信を受けるシステムであって、A〜Dシステム1a〜1dから業務データを受信し、いずれのユーザに対応する業務データであるかを判別する送受信部31と、送受信部31でユーザ毎に判別された業務データを、ユーザ毎に設定されている一時テーブルにそれぞれ記憶する一時テーブル記憶部32と、A〜Dシステム1a〜1d毎に異なる業務データのデータフォーマットと、一つの共通データフォーマットとの対応関係を示す変換テーブルが記憶されている変換テーブル記憶部32と、変換テーブルに基づいて、一時テーブルに記憶されている業務データを統一された共通データフォーマットに変換する変換処理部34と、変換処理部34で共通データフォーマットに変換された業務データを、一時テーブルと一対一で対応して設定されている共通テーブルにそれぞれ記憶する共通テーブル記憶部35と、ユーザのCRMクライアント端末4a〜4jからのアクセスに応じて、該当するユーザに対応する共通テーブルに記憶されている業務データをCRMクライアント端末4a〜4jへ送信する送受信部31とを設けることにより、業務ホスト(データホスト)が異なり、それぞれの業務ホスト(データホスト)毎にデータフォーマットが異なっていても、共通レイアウトに自動変換されるため、共通のCRMシステムを構築でき、安価なCRMサービスを提供することができる。
【0029】
また、業務データの種別毎の一時テーブルに一対一で対応する共通テーブルを設定し、共通テーブルへのアクセスを証券会社毎に制限することにより、各証券会社のデータセキュリティは保った状態で証券会社用データを提供することができる。さらに、変換テーブルにデータ項目毎の要否を示す取捨フラグが設定し、取捨フラグに基づいてデータ項目を取捨選択して、必要なデータ項目のみを前記共通テーブルの記憶させることにより、システムのリソースの有効利用に役立つ。
【0030】
さらに、変換処理部34によって、変換テーブルに基づいて、受信した業務データの整合性をチェックさせることにより、各ベンダによって業務データのデータフォーマットが変更されたか否かを判別することができる。
【0031】
また、本発明の業務データ提供方法は、それぞれフォーマットの異なる業務データを配信する複数のデータホストから業務データの配信を受ける業務データ提供方法であって、
受信手段によって前記データホストから業務データを受信して、いずれのユーザに対応する業務データであるかを判別し、ユーザ毎に判別された業務データを、一時テーブル記憶手段においてユーザ毎に設定されている一時テーブルにそれぞれ記憶し、変換テーブル記憶手段に前記データホスト毎に異なる業務データのデータフォーマットと一つの共通データフォーマットとの対応関係を示す変換テーブルを記憶しておき、 変換処理手段によって前記変換テーブルに基づいて前記一時テーブルに記憶されている業務データを統一された前記共通データフォーマットに変換し、前記変換処理手段で前記共通データフォーマットに変換された業務データを、共通テーブル記憶手段において前記一時テーブルと一対一で対応して設定されている共通テーブルにそれぞれ記憶し、前記ユーザのクライアント端末からのアクセスに応じて、該当するユーザに対応する前記共通テーブルに記憶されている業務データを送信手段によって当該クライアント端末へ送信することを特徴としても良い。
さらに、本発明の業務データ提供方法において、受信されるデータは、複数のユーザの勘定系データであり、送受信部によって前記共通テーブルは前記ユーザ毎にアクセス制限されていることを特徴としても良い。
さらに、本発明の業務データ提供方法において、前記変換テーブルには、データ項目毎の要否を示す取捨フラグが設定されており、前記変換処理部によって、前記取捨フラグに基づいてデータ項目を取捨選択し、必要なデータ項目のみを前記共通テーブルの記憶させることを特徴としても良い。
【0032】
また、本発明の業務データ提供システムは、プロバイダ環境に設置され、SaaSの形態で業務データを提供する業務データ提供システムであって、複数のシステムから受信されるデータの種別毎の一時テーブルが設定されている一時テーブル記憶手段と、受信したデータの種別を判別して該当する前記一時テーブルに記憶させる受信手段と、受信されるデータのデータフォーマットと共通データフォーマットとの対応関係を示す変換テーブルが記憶されている変換テーブル記憶手段と、前記一時テーブルと一対一で対応する共通テーブルが設定されている共通テーブル記憶手段と、前記変換テーブルに基づいて、前記一時テーブルに記憶されているデータを前記共通データフォーマットに変換させ、前記共通データフォーマットに統一したデータを前記共通テーブルに記憶させる変換処理手段と、クライアント端末からのアクセスに応じて前記共通テーブルに記憶されているデータを提供する送信手段とを具備することを特徴としても良い。
さらに、本発明の業務データ提供システムにおいて、受信されるデータは、複数の証券会社の勘定系データであり、前記共通テーブルは、前記証券会社毎にアクセス制限されていることを特徴としても良い。
さらに、本発明の業務データ提供システムにおいて、前記変換テーブルには、データ項目毎の要否を示す取捨フラグが設定されており、前記変換処理手段は、前記取捨フラグに基づいてデータ項目を取捨選択して、必要なデータ項目のみを前記共通テーブルの記憶させることを特徴としても良い。
【0033】
また、本発明の業務データ提供方法は、プロバイダ環境に設置され、SaaSの形態で業務データを提供する業務データ提供方法であって、一時テーブル記憶部に複数のシステムから受信されるデータの種別毎の一時テーブルを設定しておき、送受信部によって受信したデータの種別を判別して該当する前記一時テーブルに記憶させ、変換テーブル記憶部に受信されるデータのデータフォーマットと共通データフォーマットとの対応関係を示す変換テーブルを記憶しておき、共通テーブル記憶部に前記一時テーブルと一対一で対応する共通テーブルを設定しておき、変換処理部によって前記変換テーブルに基づいて前記一時テーブルに記憶されているデータを前記共通データフォーマットに変換させると共に、前記共通データフォーマットに統一したデータを前記共通テーブルに記憶させ、送受信部によってクライアント端末からのアクセスに応じて前記共通テーブルに記憶されているデータを提供することを特徴としても良い。
さらに、本発明の業務データ提供方法において、受信されるデータは、複数の証券会社の勘定系データであり、送受信部によって前記共通テーブルは前記証券会社毎にアクセス制限されていることを特徴としても良い。
さらに、本発明の業務データ提供方法において、前記変換テーブルには、データ項目毎の要否を示す取捨フラグが設定されており、前記変換処理部によって、前記取捨フラグに基づいてデータ項目を取捨選択し、必要なデータ項目のみを前記共通テーブルの記憶させることを特徴としても良い。
【0034】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0035】
1a〜1d A〜Dシステム
2a〜2j CRMシステム
3 業務データ提供システム
4a〜4j CRMクライアント端末
5 ネットワーク
31 送受信部
32 一時テーブル記憶部
33 変換テーブル記憶部
34 変換処理部
35 共通テーブル記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれフォーマットの異なる業務データを配信する複数のデータホストから業務データの配信を受ける業務データ提供システムであって、
前記データホストから業務データを受信し、いずれのユーザに対応する業務データであるかを判別する受信手段と、
前記受信手段でユーザ毎に判別された業務データを、ユーザ毎に設定されている一時テーブルにそれぞれ記憶する一時テーブル記憶手段と、
前記データホスト毎に異なる業務データのデータフォーマットと、一つの共通データフォーマットとの対応関係を示す変換テーブルが記憶されている変換テーブル記憶手段と、
前記変換テーブルに基づいて、前記一時テーブルに記憶されている業務データを統一された前記共通データフォーマットに変換する変換処理手段と、
前記変換処理手段で前記共通データフォーマットに変換された業務データを、前記一時テーブルと一対一で対応して設定されている共通テーブルにそれぞれ記憶する共通テーブル記憶手段と、
前記ユーザのクライアント端末からのアクセスに応じて、該当するユーザに対応する前記共通テーブルに記憶されている業務データを当該クライアント端末へ送信する送信手段とを具備することを特徴とする業務データ提供システム。
【請求項2】
受信される業務データは、複数のユーザの勘定系データであり、
前記共通テーブルは、前記ユーザ毎にアクセス制限されていることを特徴とする請求項1 記載の業務データ提供システム。
【請求項3】
前記変換テーブルには、データ項目毎の要否を示す取捨フラグが設定されており、
前記変換処理手段は、前記取捨フラグに基づいてデータ項目を取捨選択して、必要なデータ項目のみを変換し、前記共通テーブルへ記憶させることを特微とする請求項1又は請求項2記載の業務データ提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−252430(P2012−252430A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123044(P2011−123044)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)