説明

業務支援システム、業務支援方法及び業務支援プログラム

【課題】終了時限が定められている業務において、業務量の変化が想定される場合にも終了時限を遵守できるように改善提案を行なうための業務支援システム、業務支援方法及び業務支援プログラムを提供する。
【解決手段】業務支援サーバ20の制御部21は、処理件数情報記憶部23に記録された処理件数を分析し、将来の処理件数を予測する。この将来予測に応じて、終了予想時刻を予測する。終了予想時刻が管理時刻を超えるエラー予想日がある場合、制御部21は、プロセス毎に対策種別情報記憶部25に記録された対策を組み合わせ、終了予想時刻が管理時刻よりも早くなる対策プランを登録する。次に、制御部21は、対策プランを用いて、評価対象期間における改善提案候補を生成し、改善提案候補の中に固定資産的な対策と一時的な対策とを分けてコスト算出処理を実行する。そして、制御部21は、トータルコストを考慮した改善提案を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、終了時限が定められている業務において、業務量の変化が想定される場合にも終了時限を遵守できるように改善提案を行なうための業務支援システム、業務支援方法及び業務支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業活動において、多量の案件を一括して処理する業務がある。例えば、金融機関においても、顧客からの依頼をまとめて一括処理を行なうバッチ処理を行なっており、特に、一括処理の終了期限が設けられている。このような一括処理においては、この業務の中で取り扱う案件の件数によって処理に要する時間は変化するので、業務処理の的確な管理が必要である。
【0003】
このように所定期間内に処理しなければならない処理負荷を分散するための情報処理装置が検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。この文献に記載された情報処理装置のデータベースには、予めジョブの実行可能日時と期限日時を含むジョブ管理情報が格納される。スケジューリング情報作成部は、このジョブ管理情報に基づいて、ジョブごとに処理の期間内で、他のジョブと重複しない日時にジョブの実行処理の起動日時を設定する。そして、設定されたジョブごとの起動日時からスケジューリング情報を作成し、データベースに格納する。スケジューリング処理部は、スケジューリング情報を参照し、起動日時を経過して実行可能となったジョブの実行処理を起動する。
【0004】
更に、実際の進捗状況に応じて各人員の仕事量を調整するための仕事管理システムも検討されている(例えば、特許文献2を参照。)。この文献に記載された技術では、仕事管理コンピュータのCPUは、仕事の割り振りを変更することにより、プロジェクトが初期目標期限内に完了するように計画を修正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−91969号公報(第1頁、図6)
【特許文献2】特開2005−99906号公報(第1頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような業務は、複数のプロセスから構成されている場合がある。例えば、金融機関の各店舗において受け付けた振込依頼を集約して処理する場合には、以下のようなプロセスから構成される。
【0007】
・第1の拠点において振込依頼に基づいて業務データを生成するプロセス、
・生成された業務データを第2の拠点に一括伝送するプロセス、
・第2の拠点において受信した業務データを集約するプロセス、
・この業務データの第3への拠点のホストシステムに転送するプロセス、
・第3の拠点のホストシステムにおいて振込処理を行なうプロセス、
・振込処理結果を第2の拠点や第1の拠点に送信するプロセス。
【0008】
そして、このような業務処理においては、上述したように、最終的な処理時限が決められている場合があり、取り扱う件数によらず、この時限を遵守する必要がある。このような件数は、将来の状況によって変動していく可能性があり、このような変動を予測し、終
了期限を遵守できるように対策を講じていく必要がある。
【0009】
一方、各プロセスにおいては、処理の迅速化のために多様な対策が考えられるが、各対策を行なうためにはコストを考慮する必要がある。しかも、各対策には、要員増加等の一時的な対策の他に、新しい装置を購入する等、永続的な対策がある。しかし、特許文献1、2においては、将来の変動に対応する対策や、そのためのコストについては検討されていない。
【0010】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされ、その目的は、終了時限が定められている業務において、業務量の変化が想定される場合にも終了時限を遵守できるように改善提案を行なうための業務支援システム、業務支援方法及び業務支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のプロセスからなる業務の実績日毎に、処理件数、各プロセスの所要時間を記録した実績情報記憶手段と、業務の開始時刻を記録した開始時刻情報記憶手段と、各プロセスを改善するための対策毎に、対策に要するコストを記録した対策情報記憶手段と、業務の終了時限を記録した期限情報記憶手段と、プロセスの改善提案を出力する制御手段とを備えた業務支援システムであって、前記制御手段が、前記実績情報記憶手段に記録された処理件数に基づいて、評価対象期間の処理件数予測を算出する手段と、前記実績情報記憶手段に記録された所要時間と処理件数とに基づいて算出される単位所要時間と、前記処理件数予測とから将来プロセス所要時間を算出する手段と、前記開始時刻情報記憶手段に記録された業務開始時刻と、前記将来プロセス所要時間とから、業務終了予想時刻を算出する手段と、前記業務終了予想時刻が、前記期限情報記憶手段に記憶された終了時限を超えている場合には、終了時限内に収まるように対策の組み合わせを生成し、前記組み合わせを構成する対策毎のコストの総計を算出し、この総計に基づいて改善提案を出力する手段とを備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の業務支援システムにおいて、前記対策情報記憶手段には、対策毎に一時的な対策と繰り返し適用可能な対策とを識別するための種別情報が記録されており、前記対策の組み合わせにおいて、一時的な対策を適用する場合には、適用毎にコストを加算し、繰り返し適用可能な対策を適用する場合には、繰り返し適用可能な範囲で1回のみコストを加算することによりコストの総計を算出することを要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の業務支援システムにおいて、処理件数予測の算出において、前記実績情報記憶手段に記録された処理件数に基づいて処理件数の変動幅を算出し、この変動幅に基づいて将来の処理件数を算出することを要旨とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、複数のプロセスからなる業務の実績日毎に、処理件数、各プロセスの所要時間を記録した実績情報記憶手段と、業務の開始時刻を記録した開始時刻情報記憶手段と、各プロセスを改善するための対策毎に、対策に要するコストを記録した対策情報記憶手段と、業務の終了時限を記録した期限情報記憶手段と、プロセスの改善提案を出力する制御手段とを備えた業務支援システムを用いて、業務を支援するための方法であって、前記制御手段が、前記実績情報記憶手段に記録された処理件数に基づいて、評価対象期間の処理件数予測を算出する段階と、前記実績情報記憶手段に記録された所要時間と処理件数とに基づいて算出される単位所要時間と、前記処理件数予測とから将来プロセス所要時間を算出する段階と、前記開始時刻情報記憶手段に記録された業務開始時刻と、前記将来プロセス所要時間とから、業務終了予想時刻を算出する段階と、前記業務終了予想時刻が、前記期限情報記憶手段に記憶された終了時限を超えている場合には、終了時限
内に収まるように対策の組み合わせを生成し、前記組み合わせを構成する対策毎のコストの総計を算出し、この総計に基づいて改善提案を出力する段階とを備えたことを要旨とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、複数のプロセスからなる業務の実績日毎に、処理件数、各プロセスの所要時間を記録した実績情報記憶手段と、業務の開始時刻を記録した開始時刻情報記憶手段と、各プロセスを改善するための対策毎に、対策に要するコストを記録した対策情報記憶手段と、業務の終了時限を記録した期限情報記憶手段と、プロセスの改善提案を出力する制御手段とを備えた業務支援システムを用いて、業務を支援するためのプログラムであって、前記制御手段を、前記実績情報記憶手段に記録された処理件数に基づいて、評価対象期間の処理件数予測を算出する手段、前記実績情報記憶手段に記録された所要時間と処理件数に基づいて算出される単位所要時間と、前記処理件数予測とから将来プロセス所要時間を算出する手段、前記開始時刻情報記憶手段に記録された業務開始時刻と、前記将来プロセス所要時間とから、業務終了予想時刻を算出する手段、前記業務終了予想時刻が、前記期限情報記憶手段に記憶された終了時限を超えている場合には、終了時限内に収まるように対策の組み合わせを生成し、前記組み合わせを構成する対策毎のコストの総計を算出し、この総計に基づいて改善提案を出力する手段として機能させることを要旨とする。
【0016】
(作用)
請求項1、4又は5に記載の発明によれば、制御手段が、実績情報記憶手段に記録された処理件数に基づいて、評価対象期間の処理件数予測を算出する。更に、実績情報記憶手段に記録された所要時間と処理件数とに基づいて算出される単位所要時間と、処理件数予測とから将来プロセス所要時間を算出する。更に、実績情報記憶手段に記録されたプロセスの所要時間に基づいて、評価対象期間のプロセス開始時刻の将来予測値を算出する。そして、開始時刻情報記憶手段に記録された業務開始時刻と、将来プロセス所要時間とから、業務終了予想時刻を算出する。ここで、業務終了予想時刻が、期限情報記憶手段に記憶された終了時限を超えている場合には、終了時限内に収まるように対策の組み合わせを生成し、組み合わせを構成する対策毎のコストの総計を算出し、この総計に基づいて改善提案を出力する。これにより、業務について将来の終了時刻を予測し、終了時限を越える場合には、終了時限内にプロセスを完了させるために、コスト総計に応じた適切な対策を提案することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、対策の組み合わせにおいて、一時的な対策を適用する場合には、適用毎にコストを加算する。一方、繰り返し適用可能な対策を適用する場合には、繰り返し適用可能な範囲で1回のみコストを加算することによりコストの総計を算出する。これにより、終了時限を越える状況に応じて、一時的な対策と、継続的な対策とを考慮して、コストパフォーマンスが良い改善を提案することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、処理件数予測の算出において、実績情報記憶手段に記録された処理件数に基づいて処理件数の変動幅を算出し、この変動幅に基づいて将来の処理件数を算出する。処理件数には揺らぎがあるが、この変動幅を考慮して、対策を講じることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、終了時限が定められている業務において、業務量の変化が想定される場合にも終了時限を遵守できるように改善提案を行なうための業務支援システム、業務支援方法及び業務支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態のシステムの概略図。
【図2】本発明の実施形態の各データ記憶部に記録されたデータの説明図であって、(a)は管理情報記憶部、(b)は処理件数情報記憶部、(c)は処理履歴情報記憶部、(d)は対策種別情報記憶部に記録されたデータの説明図。
【図3】本発明の実施形態の各データ記憶部に記録されたデータの説明図であって、(a)は対策候補情報記憶部、(b)は改善提案情報記憶部に記録されたデータの説明図。
【図4】本発明の実施形態の処理手順の説明図。
【図5】本発明の実施形態の処理手順の説明図。
【図6】本発明の実施形態の処理手順の説明図。
【図7】本発明の実施形態の処理手順の説明図。
【図8】本発明の実施形態の対策プランと個別対策処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。本実施形態では、処理対象の案件について、第1の拠点や第2の拠点における複数のプロセスからなる業務において所定の処理を行なう場合を想定する。ここでは、業務支援システムとして、複数の情報処理装置10が接続されている業務支援サーバ20を用いる。
【0022】
ここで、各情報処理装置10として、作業担当者のコンピュータ端末や通信処理端末等を用いる。そして、各情報処理装置10は、各作業やプロセスの稼働状況に関するデータを、業務支援サーバ20に送信する。例えば、第1の拠点において、業務データの生成処理を管理する情報処理装置10aにおいては、業務データの生成処理を開始した時刻や、この処理を完了した時刻及び処理件数に関するデータを、業務支援サーバ20に送信する。又、第1の拠点において業務データの送信を管理する情報処理装置10bは、第2の拠点の情報処理装置10cに対して業務データの送信を開始した時刻や、送信を完了した時刻に関するデータを、業務支援サーバ20に送信する。又、第2の拠点において、受信した業務データの加工プロセスを管理する情報処理装置10dにおいては、このプロセスの開始時刻や完了時刻に関するデータを、業務支援サーバ20に送信する。
【0023】
各情報処理装置10には、図1に示すように、ネットワークを介して、業務支援サーバ20が接続される。この業務支援サーバ20は、制御部21や、管理情報記憶部22、処理件数情報記憶部23、処理履歴情報記憶部24、対策種別情報記憶部25、対策候補情報記憶部26、改善提案情報記憶部27を備えている。ここで、管理情報記憶部22は開始時刻情報記憶手段及び期限情報記憶手段として機能し、処理件数情報記憶部23、処理履歴情報記憶部24は実績情報記憶手段として機能し、対策種別情報記憶部25は対策情報記憶手段として機能する。更に、業務支援サーバ20には、業務の管理者が利用する管理者端末30が接続されている。
【0024】
ここで、制御部21は、各情報処理装置10から受信したデータを用いて、各プロセスの稼働状況を把握し、必要に応じて業務の改善提案を行なう処理を実行する。この制御部21は、制御手段(CPU、RAM及びROM等)を備えており、後述する処理(プロセス監視段階、業務予測段階、対策立案段階及び対策評価段階を含む処理)を行なう。このため、業務支援プログラムを実行することにより、制御部21は、プロセス監視手段211、業務予測手段212、対策立案手段213及び対策評価手段214として機能する。
【0025】
プロセス監視手段211は、各情報処理装置10から各プロセスの開始状況や完了状況に関するデータを取得し、処理履歴情報記憶部24に記録する処理を実行する。
業務予測手段212は、処理件数情報記憶部23、処理履歴情報記憶部24に記録された実績期間のデータを用いて、将来の評価対象期間について業務状況を予測する処理を実
行する。このため、業務予測手段212は、実績期間、評価対象期間に関するデータを保持している。本実施形態においては、評価対象期間として固定資産の償却期間を用いる。
【0026】
対策立案手段213は、将来、処理しなければならない案件量が多くなり、終了時限内に処理を完了することができないと予測した場合には、このような状態を回避するための改善提案候補を生成する処理を実行する。
対策評価手段214は、生成した各改善提案候補においてコストパフォーマンスが高いものを選択し、管理者に対して提案する処理を実行する。
【0027】
管理情報記憶部22には、図2(a)に示すように、業務の開始時刻についての業務開始時刻レコード220、業務を終了させる終了時限についての管理時刻レコード221や、各プロセスにおいて利用されているリソース量についての現状リソース管理レコード222が記録される。この管理時刻レコード221や現状リソース管理レコード222は、管理時刻を決定した場合や各プロセス量におけるリソースが登録された場合に記録される。
【0028】
業務開始時刻レコード220は、最初のプロセスを開始する業務の開始時刻に関するデータを含んで構成される。
管理時刻レコード221は、すべてのプロセスを完了して業務を終了する時刻(管理時刻)とに関するデータを含んで構成される。
【0029】
一方、現状リソース管理レコード222は、プロセス識別子やリソース量に関するデータを含んで構成される。
プロセス識別子データ領域には、各プロセスを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0030】
リソース量データ領域には、このプロセスに用いられている現在のリソースの数量に関するデータが記録される。ここでは、リソース量として、このプロセスの作業(例えば分類作業)を行なう作業担当者の人数や、利用している処理装置の台数に関するデータが記録される。
【0031】
又、処理件数情報記憶部23には、図2(b)に示すように、処理量を特定するための処理件数レコード230が記録される。この処理件数レコード230は、情報処理装置10から、当日の案件件数に関するデータを取得したときに記録される。処理件数レコード230は、処理日、処理件数に関するデータを含んで構成される。
【0032】
処理日データ領域には、業務を実行した日付(実績日)に関するデータが記録される。なお、業務が日を跨いで行なわれる場合には、一連のプロセスをまとめた処理対象日を記録する。
処理件数データ領域には、この処理日において処理量(ここでは、処理を行なった案件の件数)に関するデータが記録される。
【0033】
処理履歴情報記憶部24には、図2(c)に示すように、各プロセスの実施状況を特定するための処理履歴レコード240が記録される。この処理履歴レコード240は、各業務におけるプロセスについての開始通知を受信したときや、完了通知を受信したときに記録される。処理履歴レコード240は、処理日、プロセス識別子、プロセス開始時刻、プロセス完了時刻、プロセス所要時間に関するデータを含んで構成される。
【0034】
処理日データ領域には、各プロセスを実行した日付(実績日)に関するデータが記録される。
プロセス識別子データ領域には、この処理日に行なわれた業務における各プロセスを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0035】
プロセス開始時刻データ領域には、このプロセスを開始した時刻に関するデータが記録される。
プロセス完了時刻データ領域には、このプロセスを完了した時刻に関するデータが記録される。
プロセス所要時間データ領域には、このプロセスに要した所要時間に関するデータが記録される。
【0036】
対策種別情報記憶部25には、図2(d)に示すように、各プロセスを迅速に完了させるための対策に関する対策種別レコード250が記録される。この対策種別レコード250は、対策が登録されたときに記録される。対策種別レコード250は、プロセス識別子、個別対策識別子、追加限度、コスト、種別に関するデータを含んで構成される。
【0037】
プロセス識別子データ領域には、業務において行なわれる各プロセスを特定するための識別子に関するデータが記録される。
個別対策識別子データ領域には、このプロセスを迅速化するための対策を特定するためのデータが記録される。例えば、人手作業を行なうプロセスについては「増員」、伝送速度を上げて伝送時間を短縮するためには「伝送装置の強化」、「通信回線の増強」に関するデータが記録される。
【0038】
追加限度データ領域には、この個別対策について、追加可能なリソース量に関するデータが記録される。
コストデータ領域には、この個別対策を実行するために必要なコストに関するデータが記録される。
【0039】
種別データ領域には、一時的な対策と繰り返し適用可能な対策とを識別するための種別を特定するための識別子に関するデータが記録される。例えば、このデータ領域には、固定資産装置を購入して迅速化を図る場合には固定資産的対策を特定するためのフラグ、一時的にアルバイトを雇用する場合には一時的対策を特定するためのフラグが記録される。固定資産的対策の場合には、各プロセスに対して対策を講じれば、繰り返し適用可能な範囲で一度の適用で対応することが可能である。
【0040】
対策候補情報記憶部26には、図3(a)に示すように、各対策を組み合わせて生成した対策プランに関する対策候補レコード260が記録される。この対策候補レコード260は、対策プランを生成したときに記録される。対策候補レコード260は、エラー予想日、対策プラン識別子、プロセス識別子、個別対策識別子、対策数量に関するデータを含んで構成される。
【0041】
エラー予想日データ領域には、管理時刻を越えると予想される日付(エラー予想日)に関するデータが記録される。
対策プラン識別子データ領域には、各対策プランを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0042】
プロセス識別子データ領域には、対策の対象となるプロセスを特定するための識別子に関するデータが記録される。
個別対策識別子データ領域には、各対策プランを構成する個別対策を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0043】
対策数量データ領域には、この個別数量を適用する量に関するデータが記録される。
改善提案情報記憶部27には、図3(b)に示すように、各対策プランを組み合わせて生成した改善提案に関する改善提案レコード270が記録される。この改善提案レコード270は、改善提案を生成したときに記録される。改善提案レコード270は、改善提案識別子、対策プラン識別子、トータルコストに関するデータを含んで構成される。
【0044】
改善提案識別子データ領域には、各改善提案を特定するための識別子に関するデータが記録される。
対策プラン識別子データ領域には、各対策プランを特定するための識別子に関するデータが記録される。
トータルコストデータ領域には、対策を行なった場合のコストの総計に関するデータが記録される。
【0045】
次に、以上のように構成された業務支援サーバ20において、業務支援を行なう場合についての手順を図4〜図8に基づいて説明する。
【0046】
(実績蓄積処理)
まず、図4を用いて、実績蓄積処理を説明する。
ここでは、業務支援サーバ20の制御部21は、各情報処理装置10からの通知の待機処理を実行する(ステップS1−1)。ここで、各情報処理装置10は、それぞれのプロセスを開始した場合、或いは各プロセスを完了した場合に、開始通知又は完了通知を業務支援サーバ20に送信する。各開始通知又は完了通知には、各プロセスを特定するプロセス識別子及び開始又は完了を識別するためのフラグ(開始フラグ又は完了フラグ)、プロセス開始時刻又はプロセス完了時刻に関するデータを含める。更に、完了通知には、処理件数に関するデータを含める。
【0047】
そして、業務支援サーバ20の制御部21は、各情報処理装置10からの通知の受信処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21のプロセス監視手段211が、各情報処理装置10からの開始通知又は完了通知を受信する。
【0048】
ここで、業務支援サーバ20の制御部21は、開始通知又は完了通知のいずれかについての判定処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部21のプロセス監視手段211は、通知に含まれる開始フラグ又は完了フラグに基づいて判定する。
【0049】
開始通知を受信した場合(ステップS1−3において「開始」の場合)には、業務支援サーバ20の制御部21は、プロセス開始時刻の記録処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21のプロセス監視手段211は、開始通知を受信した場合には、通知に含まれるプロセス識別子、当日の日付及びプロセス開始時刻を記録した処理履歴レコード240を生成する。そして、プロセス監視手段211は、このレコードを処理履歴情報記憶部24に記録する。
【0050】
一方、完了通知を受信した場合(ステップS1−3において「完了」の場合)には、業務支援サーバ20の制御部21は、処理件数の登録処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21のプロセス監視手段211は、情報処理装置10から当日の処理件数に関するデータを取得する。そして、プロセス監視手段211は、取得した処理件数及び当日の日付(処理日)に関するデータを含めた処理件数レコード230を生成し、処理件数情報記憶部23に登録する。なお、本実施形態においては、業務の最初のプロセスと判断した場合のみ、処理件数の登録処理を実行する。
【0051】
次に、業務支援サーバ20の制御部21は、プロセス完了時刻の記録処理を実行する(
ステップS1−6)。具体的には、制御部21のプロセス監視手段211は、当日の日付及び通知に含まれるプロセス識別子に基づいて、処理履歴情報記憶部24から処理履歴レコード240を抽出する。そして、プロセス監視手段211は、この処理履歴レコード240のプロセス完了時刻データ領域にプロセス完了時刻を記録する。
【0052】
更に、業務支援サーバ20の制御部21は、プロセス所要時間の算出処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、制御部21のプロセス監視手段211は、プロセス完了時刻からプロセス開始時刻を差し引くことにより、プロセスに要した時間(プロセス所要時間)を算出し、処理履歴レコード240に記録する。
これにより、業務支援サーバ20は、各処理日のプロセスの処理履歴を蓄積する。
【0053】
(業務予測処理)
次に、将来の評価対象期間について稼働予測処理について、図5を用いて説明する。この稼働予測処理は、所定の周期で、例えば、6ヶ月毎に実行される。
【0054】
ここでは、業務支援サーバ20の制御部21は、処理件数の傾向分析処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の業務予測手段212は、処理件数情報記憶部23から、所定の実績期間(例えば、3年間)の処理件数レコード230を抽出する。次に、業務予測手段212は、処理日を変数として処理件数を表す回帰関数を算出する。そして、業務予測手段212は、この回帰関数を用いて、将来の処理件数の傾向(ベースライン)を算出する。更に、業務予測手段212は、実績期間における処理件数とベースラインとの差分を算出することにより、ベースラインに対する処理件数の揺らぎ(変動幅)の分布(頻度)を算出する。
【0055】
次に、業務支援サーバ20の制御部21は、処理件数の将来予測処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の業務予測手段212は、ベースラインを評価対象期間に延長させることにより、評価対象期間に含まれる将来日付毎にベースライン処理件数を算出する。更に、業務予測手段212は、将来日付毎のベースライン処理件数に変動幅を頻度に応じて加算して、将来日付毎の処理件数(予測件数)を算出し、将来日付に関連付けてメモリに一時記憶する。
【0056】
次に、業務支援サーバ20の制御部21は、プロセス所要時間と処理件数との相関関数の算出処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21の業務予測手段212は、処理履歴情報記憶部24から、処理日及びプロセス識別子毎にプロセス所要時間を取得する。そして、業務予測手段212は、各処理日における処理件数を変数としてプロセス所要時間を表す相関関数(所要時間近似関数)を算出する。
【0057】
次に、業務支援サーバ20の制御部21は、プロセス所要時間の傾向分析処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の業務予測手段212は、ステップS2−2において算出した予測件数を、所要時間近似関数に代入することにより、将来日付毎に各プロセスの所要時間を算出し、将来日付に関連付けてメモリに一時記憶する。
【0058】
次に、業務支援サーバ20の制御部21は、業務開始時刻の取得処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21の業務予測手段212は、管理情報記憶部22から業務開始時刻レコード220に記録された業務開始時刻を取得する。
【0059】
次に、業務支援サーバ20の制御部21は、終了予想時刻の将来予測処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21の業務予測手段212は、業務開始時刻に、将来日付毎に各プロセスのプロセス所要時間を加算して、将来日付毎に業務の終了予想時刻を算出し、将来日付に関連付けてメモリに一時記憶する。
【0060】
次に、業務支援サーバ20の制御部21は、評価対象期間においてエラー予想日があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、制御部21の業務予測手段212は、評価対象期間における終了予想時刻と、管理情報記憶部22に記録された管理時刻とを比較する。そして、業務予測手段212は、終了予想時刻が管理時刻を超える日(エラー予想日)の有無を判定する。
【0061】
ここで、評価対象期間においてエラー予想日がある場合(ステップS2−7において「YES」の場合)、業務支援サーバ20の制御部21は、後述する対策シミュレーション処理を実行する(ステップS2−8)。一方、エラー予想日がない場合(ステップS2−7において「NO」の場合)には、業務予測処理を終了する。
【0062】
(対策シミュレーション処理)
次に、対策シミュレーション処理について、図6を用いて説明する。
以下の処理は、業務予測処理において特定されたエラー予想日毎に繰り返して実行される。
【0063】
まず、業務支援サーバ20の制御部21は、対策プランの生成処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部21の対策立案手段213は、各プロセスに対して、対策種別情報記憶部25に記録された対策を組み合わせた対策プランを生成する。ここでは、1種類の個別対策からなる対策プランや複数種類の個別対策からなる対策プランを生成する。又、対策プランを構成する個別対策の数量も、管理情報記憶部22に記録された追加限度まで利用して、すべての組み合わせを生成する。そして、対策立案手段213は、生成した対策プランをメモリに一時記憶する。
【0064】
以下の処理は、生成した対策プラン毎に繰り返して実行される。
ここでは、業務支援サーバ20の制御部21は、対策プランを適用した場合の終了予想時刻の算出処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、制御部21の対策立案手段213は、各プロセスにおいて、管理情報記憶部22に記録されたリソース量に対して、対策プランにおける個別対策の数量を追加した場合のリソース量(改善リソース量)を算出する。そして、対策立案手段213は、改善リソース量について現状のリソース量に対する割合を算出し、エラー予想日におけるプロセス所要時間を、この割合で除算することにより、各プロセスの短縮時間を算出する。そして、対策立案手段213は、エラー予想日の終了予想時刻から短縮時間を差し引いた時刻(改善された終了予想時刻)を算出する。
【0065】
次に、業務支援サーバ20の制御部21は、改善された終了予想時刻が管理時刻内に収まったかどうかについての判定処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21の対策立案手段213は、改善された終了予想時刻と、管理情報記憶部22に記録された管理時刻とを比較する。
【0066】
そして、改善された終了予想時刻が管理時刻よりも早くなる場合(ステップS3−3において「YES」の場合)、業務支援サーバ20の制御部21は、個別対策を組み合わせた対策プランの登録処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21の対策立案手段213は、この対策プランを記録した対策候補レコード260を生成し、対策候補情報記憶部26に登録する。一方、改善された終了予想時刻が管理時刻よりも早くならない場合(ステップS3−3において「NO」の場合)、対策プランをメモリから削除する。
【0067】
そして、すべての組み合わせについて、上述の処理を繰り返す。これにより、図8に示
すように、エラー予想日毎に、個別対策からなる対策プランが設定された対策候補レコード260が生成される。
すべての組み合わせについて処理を完了した場合、業務支援サーバ20の制御部21は、後述するように対策評価処理を実行する(ステップS3−5)。
【0068】
(対策評価処理)
次に、対策評価処理について、図7を用いて説明する。
【0069】
まず、業務支援サーバ20の制御部21は、評価対象期間における改善提案候補の生成処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部21の対策立案手段213は、エラー予想日毎に、対策候補情報記憶部26に記録された対策プランの一つを選択する。そして、対策立案手段213は、エラー予想日毎に選択された対策プランを組み合わせることにより、評価対象期間を通じての改善提案候補を生成する。そして、対策立案手段213は、組み合わせに対して改善提案識別子を付与し、組み合わされた対策プラン識別子を記録した改善提案レコード270を生成し、改善提案情報記憶部27に登録する。
【0070】
そして、以下の処理を改善提案候補毎に繰り返して実行する。
まず、業務支援サーバ20の制御部21は、改善提案候補を構成する対策プランが固定資産的対策を含むかどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、制御部21の対策評価手段214は、対策種別情報記憶部25を用いて、対策プランを構成する個別対策の中に固定資産フラグが記録された対策があるかどうかを判定する。
【0071】
改善提案候補の中に固定資産的な対策が含まれる場合(ステップS4−2において「YES」の場合)、固定資産的対策についてのコスト算出処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部21の対策評価手段214は、改善提案候補において共通する固定資産的な個別対策を特定し、各個別対策において対策数量の最大値を特定する。そして、対策評価手段214は、対策種別情報記憶部25に記録された固定資産的対策のコストに対して、特定した最大値を乗算して固定資産的コストを算出する。なお、改善提案候補の中に固定資産的な対策が含まれない場合(ステップS4−2において「NO」の場合)、固定資産的対策についてのコスト算出処理を省略する。
【0072】
次に、業務支援サーバ20の制御部21は、一時的対策についてのコスト加算処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、制御部21の対策評価手段214は、改善提案候補を構成する残りの個別対策(一時的対策)について、対策種別情報記憶部25に記録された各個別対策のコストに対して各対策数量を乗算することにより、一時的コストを算出する。そして、対策評価手段214は、固定資産的コストと一時的コストとを総計してトータルコストを算出する。そして、対策立案手段213は、この改善提案レコード270にトータルコストを記録する。
【0073】
そして、評価対象期間におけるすべての改善提案候補について、トータルコストの算出を繰り返す。
すべての改善提案候補についての繰り返し処理を終了した場合、業務支援サーバ20の制御部21は、改善提案の出力処理を実行する(ステップS4−5)。具体的には、制御部21の対策評価手段214は、算出したトータルコストが最も少ない改善提案候補を特定し、改善提案として管理者端末30に出力する。
【0074】
以上、説明した本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態によれば、業務予測処理において、業務支援サーバ20の制御部21は、処理件数の傾向分析処理(ステップS2−1)、処理件数の将来予測処理(ステップS
2−2)を実行する。そして、プロセス所要時間と処理件数との相関の算出処理(ステップS2−3)を実行する。更に、業務支援サーバ20の制御部21は、業務開始時刻の取得処理を実行する(ステップS2−5)。そして、業務支援サーバ20の制御部21は、終了予想時刻の将来予測処理を実行する(ステップS2−6)。これにより、これまでの処理の実績に基づいて、将来の業務予測を行なうことができる。特に、業務が複数のプロセスにより構成されている場合、それぞれのプロセスの特徴を考慮して、的確な予測を行なうことができる。
【0075】
・ 本実施形態によれば、業務支援サーバ20の制御部21は、評価対象期間においてエラー予想日があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−7)。エラー予想日がある場合(ステップS2−7において「YES」の場合)、対策シミュレーション処理において、業務支援サーバ20の制御部21は、対策プランの生成処理を実行する(ステップS3−1)。更に、業務支援サーバ20の制御部21は、終了予想時刻の算出処理(ステップS3−2)を実行し、改善された終了予想時刻が管理時刻内に収まったかどうかについての判定処理を実行する(ステップS3−3)。これにより、対策プランにおいて、終了予想時刻の改善に有効かどうかを判定することができる。そして、有効な改善プランを対策候補情報記憶部26に登録することができる。
【0076】
・ 本実施形態によれば、対策評価処理において、業務支援サーバ20の制御部21は、評価対象期間における改善提案候補の生成処理を実行する(ステップS4−1)。ここで、改善提案候補の中に固定資産的な対策が含まれる場合(ステップS4−2において「YES」の場合)、固定資産的対策についてのコスト算出処理を実行する(ステップS4−3)。更に、他の対策については、一時的対策についてのコスト加算処理を実行する(ステップS4−4)。評価対象期間におけるすべての改善提案候補について、トータルコストの算出を繰り返す。これにより、一時的な対策と永続的な対策とを考慮してコストを算出することができる。すなわち、一時的な対策については、単価が比較的安いことが想定されるが、エラー予想日毎に対応が必要となる。一方、固定資産的な対策については、単価が高い場合であっても、一度対策を行なうことにより、他のエラー予想日にも適用することができる。従って、終了時限を遵守するために効率的な改善提案を行なうことができる。
【0077】
・ 本実施形態によれば、評価対象期間として固定資産の償却期間を用いる。これにより、固定資産の償却を考慮して、対策に要するコスト評価を行なうことができる。
【0078】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態では、業務予測処理は、処理件数の将来予測処理(ステップS2−2)、プロセス所要時間の傾向分析処理(ステップS2−4)を実行する。更に、業務開始時刻の取得処理を実行する(ステップS2−5)。そして、業務支援サーバ20の制御部21は、終了予想時刻の将来予測処理を実行する(ステップS2−6)。この終了予想時刻を用いて、エラー予想日の有無を判定する。このエラー予想日の特定方法は、上述の方法に限定されるものではない。例えば、終了予想時刻の実績に基づいて回帰分析を行ない、将来の終了予想時刻を予測することも可能である。
【0079】
○ 上記実施形態では、業務支援サーバ20の制御部21は、対策プランの生成処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部21の対策立案手段213は、各プロセスに対して、対策種別情報記憶部25に記録された対策を組み合わせた対策プランを生成する。これに代えて、予め対策を組み合わせた対策パターンを準備しておき、各対策パターンを適用することにより管理時刻内に業務を終了させることができるかどうかを判定してもよい。
【0080】
○ 上記実施形態では、第1の拠点や第2の拠点における複数のプロセスからなる業務において所定の処理を行なう場合を想定した。本発明の業務支援方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、多様な業務に適用することができる。
【0081】
○ 上記実施形態では、業務予測処理において、業務開始時刻の取得処理を実行する(ステップS2−5)。これに代えて、業務開始時刻の変動を考慮するようにしてももよい。この場合には、業務開始時刻の取得処理において、実績情報記憶手段に記録されたプロセス開始時刻に基づいてプロセス開始時刻の変動幅を算出し、この変動幅を用いて将来の業務開始時刻を算出するようにしてもよい。
【0082】
具体的には、ステップS2−5において、業務支援サーバ20の制御部21は、業務開始時刻についての傾向分析処理を実行する。具体的には、制御部21の業務予測手段212は、処理履歴情報記憶部24から、実績期間における最初のプロセスのプロセス開始時刻(業務開始時刻)を取得する。そして、業務予測手段212は、処理日を変数として業務開始時刻を表す回帰関数を算出する。そして、業務予測手段212は、この回帰関数を用いて、将来の業務開始時刻の傾向(ベースライン)を算出する。更に、業務予測手段212は、実績期間の業務開始時刻について、このベースラインを用いて、業務開始時刻の変動幅を算出する。
【0083】
そして、ステップS2−6の終了予想時刻の将来予測処理において、業務支援サーバ20の制御部21の業務予測手段212は、将来日付における業務開始時刻変動幅と、各プロセスの所要時間とを合計する。これにより、業務開始時刻が変動する場合にも、この変動を考慮した対策を提案することができる。
【0084】
○ 上記実施形態では、業務支援サーバ20の制御部21は、改善提案の出力処理を実行する(ステップS4−5)。具体的には、制御部21の対策評価手段214は、算出したトータルコストが最も少ない改善提案候補を特定し、改善提案として管理者端末30に出力する。この場合、対策を導入するために要する準備期間日数や導入負荷も含めて評価するようにしてもよい。この場合には、対策種別情報記憶部25に、各対策を導入するために要する準備期間や導入負荷についての評価値を記録しておく。
【0085】
そして、制御部21の対策評価手段214は、対策種別情報記憶部25を用いて、各対策候補を構成する各対策を導入するための準備期間日数の中で最も日数が長い対策を特定する。ここで、この最長の準備期間日数がエラー予想日までの残り日数より長い場合には、対策評価手段214は、改善提案候補から外す。一方、最長の準備期間日数が、エラー予想日までの残り日数以下の場合には、対策評価手段214は、この改善提案を構成する対策を導入するための導入負荷の評価値を取得する。そして、対策評価手段214は、トータルコストと各評価値合計値からなる総合評価結果を算出する。ここで、総合評価結果は、トータルコストと各評価値を変数とする評価算出関数(例えば総和関数)に導入することにより算出する。そして、この総合評価結果により、低コストで合計値が低い改善提案候補を特定する。これにより、対策を導入する場合の準備期間や導入負荷を考慮して、的確な改善提案を行なうことができる。
【0086】
また、評価算出関数は、トータルコストと各評価値を変数とする総和関数に限定されるものではなく、最長の準備期間日数を変数に含めることも可能である。この場合には、例えば、短期間に実現できる対策を優先する関数とする。これにより、エラー予想日までの残り日数が少ない場合にも対応可能な改善提案候補を特定することができる。
【0087】
○ 上記実施形態では、業務支援サーバ20の制御部21は、対策プランを適用した場合の終了予想時刻の算出処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、制御部21
の対策立案手段213は、各プロセスにおいて、管理情報記憶部22に記録されたリソース量に対して、対策プランにおける個別対策の数量を追加した場合のリソース量(改善リソース量)を算出する。そして、対策立案手段213は、改善リソース量について現状のリソース量に対する割合を算出し、エラー予想日におけるプロセス所要時間を、この割合で除算することにより、各プロセスの短縮時間を算出する。これに代えて、各対策の処理能力に基づいて短縮時間を算出するようにしてもよい。この場合には、管理情報記憶部22に、現在のリソースの処理能力や、対策種別情報記憶部25に各対策の処理能力に関するデータを記録しておく。例えば、管理情報記憶部22や対策種別情報記憶部25に、現在のリソースや各対策について、単位時間当たりの処理件数を記録しておく。そして、現在の処理能力に、追加した対策の処理能力を加算した改善処理能力を算出する。そして、エラー予想日の処理件数を、この改善処理能力で除算することにより、このプロセスにおける所要時間を算出する。
【0088】
○ 上記実施形態では、処理件数が増加し、管理時刻を越える場合を想定した。これに代えて、リソースが過剰である場合の対策に用いることも可能である。具体的には、プロセスに利用している情報処理装置の償却時期が到来した場合に、対策シミュレーション処理を実行する。ここでは、管理情報記憶部22に最短管理時刻を保持させておく。そして、業務支援サーバ20の制御部21は、業務が最短管理時刻前に完了するエラー予想日を検出した場合には、リソース量を削減し、最短管理時刻以降に業務が終了するように対策シミュレーション処理を実行する。この場合には、削減されるコストが大きくなる対策を特定する。これにより、過剰なリソースを抑制して、コストパフォーマンスを向上させる改善を提案することができる。
【符号の説明】
【0089】
10…情報処理装置、20…業務支援サーバ、21…制御部、211…プロセス監視手段、212…業務予測手段、213…対策立案手段、214…対策評価手段、22…管理情報記憶部、23…処理件数情報記憶部、24…処理履歴情報記憶部、25…対策種別情報記憶部、26…対策候補情報記憶部、27…改善提案情報記憶部、30…管理者端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロセスからなる業務の実績日毎に、処理件数、各プロセスの所要時間を記録した実績情報記憶手段と、
業務の開始時刻を記録した開始時刻情報記憶手段と、
各プロセスを改善するための対策毎に、対策に要するコストを記録した対策情報記憶手段と、
業務の終了時限を記録した期限情報記憶手段と、
プロセスの改善提案を出力する制御手段とを備えた業務支援システムであって、
前記制御手段が、
前記実績情報記憶手段に記録された処理件数に基づいて、評価対象期間の処理件数予測を算出する手段と、
前記実績情報記憶手段に記録された所要時間と処理件数とに基づいて算出される単位所要時間と、前記処理件数予測とから将来プロセス所要時間を算出する手段と、
前記開始時刻情報記憶手段に記録された業務開始時刻と、前記将来プロセス所要時間とから、業務終了予想時刻を算出する手段と、
前記業務終了予想時刻が、前記期限情報記憶手段に記憶された終了時限を超えている場合には、終了時限内に収まるように対策の組み合わせを生成し、前記組み合わせを構成する対策毎のコストの総計を算出し、この総計に基づいて改善提案を出力する手段と
を備えたことを特徴とする業務支援システム。
【請求項2】
前記対策情報記憶手段には、対策毎に一時的な対策と繰り返し適用可能な対策とを識別するための種別情報が記録されており、
前記対策の組み合わせにおいて、一時的な対策を適用する場合には、適用毎にコストを加算し、
繰り返し適用可能な対策を適用する場合には、繰り返し適用可能な範囲で1回のみコストを加算することによりコストの総計を算出することを特徴とする請求項1に記載の業務支援システム。
【請求項3】
処理件数予測の算出において、前記実績情報記憶手段に記録された処理件数に基づいて処理件数の変動幅を算出し、この変動幅に基づいて将来の処理件数を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の業務支援システム。
【請求項4】
複数のプロセスからなる業務の実績日毎に、処理件数、各プロセスの所要時間を記録した実績情報記憶手段と、
業務の開始時刻を記録した開始時刻情報記憶手段と、
各プロセスを改善するための対策毎に、対策に要するコストを記録した対策情報記憶手段と、
業務の終了時限を記録した期限情報記憶手段と、
プロセスの改善提案を出力する制御手段とを備えた業務支援システムを用いて、業務を支援するための方法であって、
前記制御手段が、
前記実績情報記憶手段に記録された所要時間と処理件数とに基づいて、評価対象期間の処理件数予測を算出する段階と、
前記実績情報記憶手段に記録された所要時間に基づいて算出される単位所要時間と、前記処理件数予測とから将来プロセス所要時間を算出する段階と、
前記開始時刻情報記憶手段に記録された業務開始時刻と、前記将来プロセス所要時間とから、業務終了予想時刻を算出する段階と、
前記業務終了予想時刻が、前記期限情報記憶手段に記憶された終了時限を超えている場合には、終了時限内に収まるように対策の組み合わせを生成し、前記組み合わせを構成す
る対策毎のコストの総計を算出し、この総計に基づいて改善提案を出力する段階と
を備えたことを特徴とする業務支援方法。
【請求項5】
複数のプロセスからなる業務の実績日毎に、処理件数、各プロセスの所要時間を記録した実績情報記憶手段と、
業務の開始時刻を記録した開始時刻情報記憶手段と、
各プロセスを改善するための対策毎に、対策に要するコストを記録した対策情報記憶手段と、
業務の終了時限を記録した期限情報記憶手段と、
プロセスの改善提案を出力する制御手段とを備えた業務支援システムを用いて、業務を支援するためのプログラムであって、
前記制御手段を、
前記実績情報記憶手段に記録された処理件数に基づいて、評価対象期間の処理件数予測を算出する手段、
前記実績情報記憶手段に記録された所要時間と処理件数とに基づいて算出される単位所要時間と、前記処理件数予測とから将来プロセス所要時間を算出する手段、
前記開始時刻情報記憶手段に記録された業務開始時刻と、前記将来プロセス所要時間とから、業務終了予想時刻を算出する手段、
前記業務終了予想時刻が、前記期限情報記憶手段に記憶された終了時限を超えている場合には、終了時限内に収まるように対策の組み合わせを生成し、前記組み合わせを構成する対策毎のコストの総計を算出し、この総計に基づいて改善提案を出力する手段
として機能させることを特徴とする業務支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−191915(P2010−191915A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38437(P2009−38437)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【出願人】(592259978)株式会社みずほ銀行 (117)