説明

極低温冷凍機

【課題】冷凍機一台で可能な限り、予冷時間短縮、取扱簡便性および熱ひずみによる劣化防止等の予冷特性向上を図った極低温冷凍機を提供する。
【解決手段】圧縮機18により昇圧された冷媒をコールドヘッド11内へ供給し、膨張させて寒冷を発生させ、コールドヘッド11内で膨張後の冷媒を再び圧縮機18に導いて昇圧させる極低温冷凍機において、圧縮機18により昇圧された冷媒が供給される高圧配管20と圧縮機ユニット17の外部から導入された冷媒を圧縮機18へ供給する低圧配管19を連結するバイパス配管27と、バイパス配管27に設けられ、高圧配管20および低圧配管19の少なくとも一方の管内圧力を調整する圧力調整弁26と、バイパス配管27内の冷媒を圧縮機ユニット17の外部へ取り出す取出口38と、圧縮機ユニット17の外部から圧縮機ユニット17の内部へ冷媒を導入する導入口37を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被冷却体を極低温に冷却する極低温冷凍機に係り、特に、冷凍機が1台でも予冷特性の向上を図った極低温冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
被冷却体を極低温に冷却する極低温冷凍機により、例えば、超電導コイルの冷却への応用が可能となり、液体ヘリウム、液体窒素等の冷媒を使うことなく、格段に取り扱いが簡便となった。使われている冷凍機は、冷媒を圧縮、循環させる圧縮機と、寒冷を発生させるコールドヘッドで構成され、被冷却体の冷却仕様にあった冷凍機がラインナップされつつある。
【0003】
被冷却体の冷却仕様としては、必要とする冷却温度、およびその温度でどれだけの熱負荷、熱侵入量を冷却する必要があるかに応じた冷凍能力がある。さらに、その所定の温度まで室温から冷却する時間を短くする要求がある場合がある。その場合、室温から所定温度までの冷凍能力が大きい必要があるが、一般には極低温で必要な冷凍能力に対し、室温付近では被冷却体の熱容量は大きくなるため、長時間の予冷が必要となる。特に大型機器の冷却の場合は数週間〜数ヶ月かかることもあり、例えば、予冷時には別の手段の冷却、例えば液体窒素を引き回して冷却する方法が併用されることもある。
【0004】
上述したような極低温冷凍機に関する技術は、例えば、以下の特許文献1,2,3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−116171号公報
【特許文献2】特開2005−201604号公報
【特許文献3】特許第3673410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、一般には極低温で必要な冷凍能力に対し、室温付近では被冷却体の熱容量は大きくなり、長時間の予冷が必要となることから、予冷手段と、定常の状態での極低温を維持する冷却仕様を同時に満たす設計をある1台の冷凍機に施すことは困難であった。そのため、予冷の時間が長期間になることを余儀なくされるか、あるいは予冷手段として他の手段を併用させることがなされているが、後者の場合、装置の高コスト化、取り扱いの不便さ等のデメリットがあった。
【0007】
図7は従来の極低温冷凍機の一例である極低温冷凍機100とともに、この極低温冷凍機100を用いて超電導コイル124を冷却する様子を示した説明図である。上記の課題について、図7を引用してさらに説明する。
【0008】
尚、図7において、符番101〜117が極低温冷凍機100を構成する構成要素であり、具体的には、101がコールドヘッド、102が冷却ステージ、103が冷媒吐出継手、104が冷媒導入継手、105が冷媒低圧配管、106が冷媒高圧配管、107が圧縮機ユニット、108が圧縮機、109が圧縮機ユニット内低圧配管、110が圧縮機ユニット内高圧配管、111が冷媒導入継手、112が冷媒吐出継手、113がバッファタンク、114がオイルミストトラップ、115がアドソーバ、116が圧力調整弁、117がバイパス配管である。また、124が超電導コイル、125が伝熱板である。
【0009】
図7に示される極低温冷凍機100は、膨張器ユニット(コールドヘッド)101と、圧縮機ユニット107とが分離されているGM(Gifford−McMahon)冷凍機であって、圧縮機ユニット107とコールドヘッド101とは、冷媒低圧配管105と冷媒高圧配管106によって接続され、冷媒が循環できるように構成される。
【0010】
極低温冷凍機100では、圧縮機ユニット107内の圧縮機108によって冷媒を昇圧し、昇圧した冷媒を圧縮機ユニット内高圧配管110へ送り、この圧縮機ユニット内高圧配管110の経路上に設けられたオイルミストトラップ114、アドソーバ115および冷媒吐出継手112を経由して圧縮機ユニット107の外部へ吐出する。
【0011】
続いて、圧縮機ユニット107から吐出された冷媒は、冷媒高圧配管106とコールドヘッド101に設けられた冷媒導入継手104とを経由してコールドヘッド101へ導入され、コールドヘッド101の内部で膨張させる。コールドヘッド101の内部では、高圧冷媒が膨張することで寒冷が発生する。膨張後の低圧冷媒は、コールドヘッド101に設けられた冷媒吐出継手103からコールドヘッド101外部の冷媒低圧配管105へ吐出され、圧縮機ユニット107に設けられた冷媒導入継手111から再び圧縮機ユニット107へ導入される。
【0012】
続いて、圧縮機ユニット107へ導入された冷媒は、冷媒導入継手111を介して冷媒低圧配管105と接続される圧縮機ユニット107内の圧縮機ユニット内低圧配管109に導入され、圧縮機ユニット内低圧配管109の経路上に設けられたバッファタンク113を経由して再び圧縮機108に導入される。
【0013】
図7に示されるような冷凍機による冷却の場合、被冷却体(例えば図7に示される超電導コイル124)との冷却インターフェースは、冷却ステージ102を被冷却体に熱接触させることで熱伝導により冷却する仕組のため、被冷却体の冷却が局所的になり、被冷却体との温度差による非効率性、および被冷却体内での温度差による熱ひずみの発生と劣化が生じるという課題がある。
【0014】
図7に示される従来の極低温冷凍機100の冷却ステージ102は一箇所であるため、超電導コイル124の片側からの冷却しかできず、他端は冷却されにくいため、超電導コイル124の両端で、有効熱伝導率に応じた温度差が生じてしまう。この温度差による熱ひずみが超電導コイル124を劣化させるため、これを防止するために、意図的に予冷能力を抑えて、温度差がつかないように冷却する場合もある。
【0015】
また、従来の極低温冷凍機100において、圧縮機ユニット107内には圧力調整弁116とバイパス配管117が設置されている。この圧力調整弁116は、初期冷却時において、コールドヘッド101の温度が室温に近い温度での運転時に冷媒流量が少なく、低圧配管109と高圧配管110に大きな圧力差がかかるので、圧縮機108内の部品の劣化、破損が生じないように、低圧配管109と高圧配管110との圧力差が所定値以上になった場合、高圧配管110が所定の圧力以上になった場合、又は、低圧配管109が所定の圧力以下になった場合、圧力調整弁116を開き、差圧を低下させる機能を有する。
【0016】
所定の温度に冷却されると、コールドヘッド101への流量が増加するため、この圧力調整弁116は閉じ、バイパス配管117に設けられるバイパス弁に流れる冷媒はなくなる。このように初期冷却時は圧縮機108には余剰の冷媒があり、入力電力が有効に使われていない状況となっている。
【0017】
以上のように、冷凍機一台で冷却する構成を採用した場合、予冷特性まで要求を満たす(予冷時間短縮、取り扱いの簡便さ、熱ひずみによる劣化防止)ことが困難であった。
【0018】
本発明は、上述した課題を考慮してなされたものであり、冷凍機一台で可能な限り、予冷時間の短縮、取り扱いの簡便さ、および、熱ひずみによる劣化防止等の予冷特性の向上を図った極低温冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る極低温冷凍機は、上述した課題を解決するため、圧縮機ユニットと、この圧縮機ユニットと分離したコールドヘッドとを備え、前記圧縮機ユニットの圧縮機によって昇圧された冷媒を前記コールドヘッドへ供給し、前記コールドヘッド内で膨張させることによって寒冷を発生させるとともに、前記コールドヘッド内で膨張した後の冷媒を再び前記圧縮機ユニットの圧縮機に導入して昇圧させる極低温冷凍機において、前記圧縮機によって昇圧された冷媒が供給される高圧側配管と前記圧縮機ユニットの外部から導入された冷媒を前記圧縮機へ供給する低圧側配管とを連結するバイパス配管と、このバイパス配管に設けられ、前記高圧側配管および前記低圧側配管の少なくとも一方の管内圧力を調整する圧力調整弁と、前記バイパス配管内の冷媒を前記圧縮機ユニットの外部へ取り出す取出口と、前記圧縮機ユニットの外部から前記圧縮機ユニットへ冷媒を導入する導入口と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、冷凍機1台で冷却する構成を採用しつつ、予冷時間の短縮、取り扱いの簡便さ、および、熱ひずみによる劣化の防止といった予冷特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る極低温冷凍機の構成を概略的に示した構成図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る極低温冷凍機の構成を概略的に示した構成図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る極低温冷凍機の構成を概略的に示した構成図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る極低温冷凍機の構成を概略的に示した構成図。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る極低温冷凍機の構成を概略的に示した構成図。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る極低温冷凍機の構成を概略的に示した構成図。
【図7】従来の極低温冷凍機の構成図であり、この極低温冷凍機による被冷却体(超電導コイル)の冷却方法を概略的に説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る極低温冷凍機について添付の図面を参照して説明する。本発明に係る極低温冷凍機は、圧縮機ユニットと膨張器ユニット(コールドヘッド)が分離されているGM(Gifford−McMahon)冷凍機を構成の一部として採用し、これに、他の構成を付加して構成されるものである。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る極低温冷凍機の一例である第1の極低温冷凍機10Aの構成を概略的に示した構成図である。
【0024】
第1の極低温冷凍機10Aは、コールドヘッド(膨張器ユニット)11と、冷却ステージ12と、冷媒吐出継手13と、冷媒導入継手14と、冷媒低圧配管15と、冷媒高圧配管16と、圧縮機ユニット17と、圧縮機18と、圧縮機ユニット内低圧配管19と、圧縮機ユニット内高圧配管20と、冷媒導入継手21と、冷媒吐出継手22と、バッファタンク23と、オイルミストトラップ24と、アドソーバ25と、圧力調整弁26と、バイパス配管27と、を具備するGM冷凍機(図7に示される極低温冷凍機100に相当)に対して、さらに、圧力調整弁バイパス流導入継手37および圧力調整弁バイパス流吐出継手38を具備して構成される。
【0025】
通常、GM冷凍機は、冷却ステージ12が室温近くの、まだ冷却が完了していない初期の冷却段階では、冷媒の密度が小さいため、冷媒の質量流量は少ない。そのため、低圧側の圧力は低下し、高圧側の圧力は増加する。圧縮機18内には高圧側から低圧側に冷媒がリークしないためのシール機構が必要だが、高圧側と低圧側の差圧が大きいと、シールが劣化、破損し、リーク量が増加する。そこで、これを防止するため、高圧側と低圧側とを結ぶバイパス配管27が設けられ、さらに、バイパス配管27に低圧側の圧力を一定値以下にしない、高圧側の圧力を一定値以上にしない、または、高圧側と低圧側の差圧を一定以上にしないように圧力調整弁26が設けられる。
【0026】
ここで、第1の極低温冷凍機10Aが具備するコールドヘッド11、冷却ステージ12、冷媒吐出継手13、冷媒導入継手14、冷媒低圧配管15、冷媒高圧配管16、圧縮機ユニット17、圧縮機18、圧縮機ユニット内低圧配管19、圧縮機ユニット内高圧配管20、冷媒導入継手21、冷媒吐出継手22、バッファタンク23、オイルミストトラップ24、アドソーバ25、および、圧力調整弁26については、例えば、図7で示したような従来の極低温冷凍機(GM冷凍機)が具備するものと実質的に同様である。
【0027】
すなわち、第1の極低温冷凍機10Aでは、圧縮機ユニット17とコールドヘッド11とが、冷媒低圧配管15と冷媒高圧配管16によって接続され、冷媒が循環できるように構成されており、圧縮機ユニット17内の圧縮機18で昇圧された冷媒は、圧縮機ユニット内高圧配管20、オイルミストトラップ24、アドソーバ25、冷媒吐出継手22、冷媒高圧配管16、冷媒導入継手14、コールドヘッド11、冷媒吐出継手13、冷媒低圧配管15、冷媒導入継手21、圧縮機ユニット内低圧配管19、および、バッファタンク23を経由して再び圧縮機18へ戻って循環することができる。
【0028】
第1の極低温冷凍機10Aの圧力調整弁26は、圧縮機18が作る昇圧された高圧冷媒と減圧された低圧冷媒をバイパスさせるバイパス配管27に設けられ、高圧圧力、あるいは低圧側圧力、あるいはその両方を調整する。
【0029】
第1の極低温冷凍機10Aのバイパス配管27は、圧縮機18が作る昇圧された高圧冷媒と減圧された低圧冷媒をバイパスさせるために、圧縮機ユニット内低圧配管19と、圧縮機ユニット内高圧配管20と、をバイパスさせる管である。第1の極低温冷凍機10Aのバイパス配管27は、その経路の途中に、バイパス配管27に流れる冷媒を圧縮機ユニット17の外へ吐出するための圧力調整弁バイパス流導入継手37と、圧縮機ユニット17の外から内へ導入する(戻す)ための圧力調整弁バイパス流吐出継手38とを設けて構成される点で、従来のGM冷凍機の基本構成と異なる。
【0030】
圧力調整弁バイパス流導入継手37は、バイパス配管27の経路の途中に設けられ、バイパス配管27に流れる冷媒を圧縮機ユニット17の外へ取り出す際の取出口(吐出口)としての役割を担う。また、圧力調整弁バイパス流吐出継手38は、バイパス配管27に流れる冷媒を圧縮機ユニット17の内へ戻す際の導入口としての役割を担う。
【0031】
このように構成される第1の極低温冷凍機10Aでは、従来のGM冷凍機と同様に、冷却ステージ12が室温近い(冷却が完了していない)初期の冷却段階では、冷媒の密度が小さいため、冷媒の質量流量は少ないため、低圧側の圧力は低下し、高圧側の圧力は増加する。そのため、初期予冷時はバイパス配管27に流れる冷媒量は多く、圧縮機ユニット17側に冷媒が多く存在する。
【0032】
その後、冷却が進行して冷却ステージ12の冷却温度が低下するに従ってコールドヘッド11側に流れる流量が増加していき、バイパス配管27に流れる冷媒量は低下していく。そして、最終的に冷却ステージ12が所定の温度に到達する(冷却が完了する)と圧力調整が不要となり、圧力調整弁26が閉じてバイパス配管27の流量は0となる。
【0033】
そこで、第1の極低温冷凍機10Aは、初期の冷却段階(初期予冷時)に圧縮機ユニット17側に多く存在する冷媒を有効活用する観点から、バイパス配管27に流れる余剰な冷媒を圧縮機ユニット17の内外へ自在に出し入れできるように、圧力調整弁バイパス流導入継手37と、圧力調整弁バイパス流吐出継手38とを設けたものである。このように第1の極低温冷凍機10Aを構成することによって、初期予冷時に圧縮機ユニット17側で余剰になっている冷媒を簡便に利用できるように図っている。
【0034】
上述したように、第1の極低温冷凍機10Aによれば、初期冷却(初期予冷)時にバイパス配管27に流れる余剰な冷媒を圧縮機ユニット17の外へ取り出すことができるように圧力調整弁バイパス流吐出継手38を設けることで、圧力調整弁バイパス流吐出継手38から余剰な冷媒を取り出して冷凍機以外の目的で簡便に利用することができる。また、バイパス配管27に圧力調整弁バイパス流吐出継手38と併せて圧力調整弁バイパス流導入継手37を設けることで、取り出して冷凍機以外の目的で利用した冷媒を簡便に戻すことができる。
【0035】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態に係る極低温冷凍機の一例である第2の極低温冷凍機10Bの構成を概略的に示した構成図である。
【0036】
図2に示される第2の極低温冷凍機10Bは、図1に示される第1の極低温冷凍機10Aに対して、圧力調整弁バイパス流吐出継手38から吐出され、圧縮機ユニット17の外部に設けられた圧力調整弁バイパス流吐出配管39および圧力調整弁バイパス流戻り配管40を廻って圧力調整弁バイパス流導入継手37へ戻る冷媒の経路と、この経路上に設けられた熱交換器41,42,43とをさらに具備する点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。
【0037】
そこで、本実施形態では、第2の極低温冷凍機10Bが、第1の極低温冷凍機10Aに対して相違する圧力調整弁バイパス流吐出配管39、圧力調整弁バイパス流戻り配管40、対向流熱交換器41、冷却ステージ熱交換器42、およびコイル部冷却熱交換器43を中心に説明し、その他の構成要素については同じ符号を付して説明を省略する。
【0038】
図2に示されるように、第2の極低温冷凍機10Bは、図1に示される第1の極低温冷凍機10Aに対して、圧力調整弁バイパス流吐出継手38から吐出され、圧縮機ユニット17の外部に設けられた圧力調整弁バイパス流吐出配管39および圧力調整弁バイパス流戻り配管40を廻って圧力調整弁バイパス流導入継手37へ戻る冷媒の経路をさらに具備する。また、圧力調整弁バイパス流吐出継手38、圧力調整弁バイパス流吐出配管39、圧力調整弁バイパス流戻り配管40、および、圧力調整弁バイパス流導入継手37によって構成される経路上には、対向流熱交換器41と、冷却ステージ12に取り付けられた冷却ステージ熱交換器42と、被冷却体46を冷却する被冷却体冷却用熱交換器43とが設けられる。
【0039】
第2の極低温冷凍機10Bでは、バイパス配管27を流れる冷媒が、圧力機ユニット17の圧力調整弁バイパス流吐出継手38から吐出され、圧力調整弁バイパス流吐出配管39を通って、第2の極低温冷凍機10Bの冷却ステージ12に取り付けられた冷却ステージ熱交換器42によって冷却された後、被冷却体冷却用熱交換器43へ導かれ、被冷却体冷却用熱交換器43で被冷却体46と熱交換された後、圧力調整弁バイパス流戻り配管40を通って、圧力調整弁バイパス流導入継手37へ導かれ、圧縮機ユニット17へ戻る。
【0040】
また、図2に示されるように、圧力調整弁バイパス流吐出配管39および圧力調整弁バイパス流戻り配管40の一部に、対向流熱交換器41をさらに設けることで、圧力調整弁バイパス流吐出配管39および圧力調整弁バイパス流戻り配管40を循環する冷媒が低温に冷却された場合、さらに効率よく冷却することができる。
【0041】
このように構成された第2の極低温冷凍機10Bによれば、第1の極低温冷凍機10Aの余剰の冷媒の具体的な利用方法として、圧縮機ユニット17の圧力調整弁バイパス流吐出継手38から冷媒を吐出し圧力調整弁バイパス流導入継手37へ戻る循環冷却配管、すなわち、圧力調整弁バイパス流吐出配管39および圧力調整弁バイパス流戻り配管40を設けることで、初期冷却時の余剰な冷媒を被冷却体46の予冷用の冷却に利用することができる。
【0042】
従って、初期冷却時の余剰な冷媒を簡便に利用することができ、この冷媒を使って、コールドヘッド11の冷却部(冷却ステージ12)による局所的な範囲のみならず、被冷却体冷却用熱交換器43でも冷却することができ、従来よりも広範な範囲を冷却が可能な冷凍機を構成することができる。
【0043】
尚、図2に示される第2の極低温冷凍機10Bでは、被冷却体冷却用熱交換器43は一つであるが、複数であっても良い。被冷却体冷却用熱交換器43が複数である場合には、複数個所の冷却が可能となる。
【0044】
また、図2に示される第2の極低温冷凍機10Bでは、圧縮機ユニット17の圧力調整弁バイパス流吐出継手38から冷媒を吐出し圧力調整弁バイパス流導入継手37へ戻る循環経路は一つであるが、この循環経路は、並列に複数構成することもできる。
【0045】
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態に係る極低温冷凍機の一例である第3の極低温冷凍機10Cの構成を概略的に示した構成図である。
【0046】
図3に示される第3の極低温冷凍機10Cは、図2に示される第2の極低温冷凍機10Bの被冷却体46として超電導磁石(図3に示される超電導コイル44および伝熱板45)を想定した実施形態である。図3に示される超電導コイル44および伝熱板45は、第3の極低温冷凍機10Cの冷却ステージ12に熱的に接触させて冷却するのに加え、循環冷媒の冷却による被冷却体用熱交換器43での熱交換によっても冷却されている。
【0047】
第3の極低温冷凍機10Cでは、予冷時のコールドヘッド11への流量が少ない場合には、超電導コイル44全体の温度勾配を少なくして冷却するために、被冷却体用熱交換器43側へ冷媒を循環させることができ、冷却ステージ12が所定の温度に冷却された後は、温度変化による熱ひずみ量が低温では減少し、Cu、Al等の熱伝導体は熱伝導率が増加する結果、コールドヘッド11の局所的な冷却で十分伝熱特性が得られるため、循環冷媒による冷却は不要となる。そして、コールドヘッド11への冷媒質量が増加するとともに、循環冷媒の流量は減少し自動的に0となる。
【0048】
このように構成される第3の極低温冷凍機10Cによれば、超電導コイル44全体の温度勾配を少なくして室温から冷却することができ、超電導コイル44の熱ひずみによる劣化を防ぎつつ、冷凍機の冷凍能力をフルに発揮した初期冷却特性を得ることが可能となり、初期予冷が完了した後は、バイパス配管27への冷媒の流量が0となることから、切替操作なく圧力調整弁バイパス流吐出配管39および圧力調整弁バイパス流戻り配管40を廻る循環冷媒の流量を自動的に0とすることができる。従って、初期予冷から定常冷却への切替操作が不要、すなわち、操作が簡便な超電導磁石およびその冷却システムを構成することが可能となる。
【0049】
尚、図3に示される第3の極低温冷凍機10Cでは、被冷却体冷却用熱交換器43が一つであるが複数であっても良い点は第2の極低温冷凍機10Bと同様である。
【0050】
[第4の実施形態]
図4は、本発明の第4の実施形態に係る極低温冷凍機の一例である第4の極低温冷凍機10Dの構成を概略的に示した構成図である。
【0051】
図4に示される第4の極低温冷凍機10Dは、図3に示される第3の極低温冷凍機10Cと構成要素としては実質的な相違はないが、コールドヘッド11の冷却ステージ12と被冷却体46である超電導コイル44が物理的に接触し、熱的な接触をしているか否かの点で相違する。
【0052】
すなわち、第4の極低温冷凍機10Dでは、コールドヘッド11の冷却ステージ12と、被冷却体46である超電導コイル44とを熱的に接触をさせない構成とし、循環冷却配管である圧力調整弁バイパス流吐出配管39および圧力調整弁バイパス流戻り配管40だけの取り回しにより超電導コイル44の両面を冷却する構成とした。また、圧力調整弁26を、冷却ステージ12が所定の温度に冷却された後も、循環冷却の冷媒流量を0としないような設定を施した。
【0053】
このように構成される第4の極低温冷凍機10Dでは、図4に示されるように、コールドヘッド11の冷却ステージ12と被冷却体46とを空間的に隔離することによって、コールドヘッド11と被冷却体46との熱的な接触を遮断して構成されているため、被冷却体46はコールドヘッド11と直接的に熱交換することはない。
【0054】
この結果、第4の極低温冷凍機10Dでは、第4の極低温冷凍機10Dが止まった際にコールドヘッド11側から直接被冷却体である超電導コイル44への熱侵入を回避することができ、超電導コイル44に侵入する熱量は断熱特性の良い冷却配管からの小さい熱侵入量に止めることができるので、超電導コイル44の低温保持特性を向上させることができる。
【0055】
また、圧力調整弁バイパス流吐出配管39および圧力調整弁バイパス流戻り配管40の素材にステンレス等の熱伝導率の低い材料を適用すれば、さらに上述の効果をより強めることができる。
【0056】
上述したように、第4の極低温冷凍機10Dによれば、例えば、停電時に第4の極低温冷凍機10Dが停止した場合に、超電導コイル44の温度上昇の速度が低減し、異常時の対処のための時間が大幅に増える。また、コールドヘッド11を取り替える等のメンテナンス時には、超電導磁石の温度を室温付近まで上昇させる必要はなく、コールドヘッド11のみをほぼ独立して室温に戻し、交換作業を行うことが可能となる。特に、熱容量が大きい超電導コイル44においては、超電導コイル44の室温までの温度上昇と再冷却が不要となるため、メンテナンス時間を大幅に短縮可能な超電導磁石およびその冷却システムを構成することができる。
【0057】
[第5の実施形態]
図5は、本発明の第5の実施形態に係る極低温冷凍機の一例である第5の極低温冷凍機10Eの構成を概略的に示した構成図である。
【0058】
図5に示される第5の極低温冷凍機10Eは、第2の極低温冷凍機10Bに対して一段式の冷却ステージ12を備えるコールドヘッド11(一段式の冷凍機)の代わりに、第1段ステージ47と第2段ステージ48とを備えるコールドヘッド11(二段式の冷凍機)を用いている点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。そこで、本実施形態では、相違する冷凍機を中心に説明し、実質的に相違しない構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0059】
図5に示されるように、第5の極低温冷凍機10Eは、第2の極低温冷凍機10Bの冷却ステージ12の代わりに、高温側の第1段冷却ステージ47と、低温側の第2段冷却ステージ48とを備えて構成される。
【0060】
第5の極低温冷凍機10Eでは、圧縮機ユニット17内のバイパス配管27を通る冷媒が圧力調整弁バイパス流吐出継手38から取り出され、冷媒が取り出された圧力調整弁バイパス流吐出配管39が熱的に連結されて配管内の冷媒が第1段冷却ステージ47で冷却され、被冷却体46との熱交換器43を介して圧縮機ユニット17へ戻る圧力調整弁バイパス流戻り配管40が設けられる。また、第1段ステージ47よりも低い温度が得られる第2段冷却ステージ48には、被冷却体46が熱的に接続される。
【0061】
このように構成される第5の極低温冷凍機10Eでは、冷却初期時においてはバイパス配管27に冷媒が流れるため、第1段冷却ステージ47で冷却された冷媒と、第2段冷却ステージ48の両方により、被冷却体46が冷却される。また、被冷却体46が十分低温に冷却された段階で、バイパス配管27に流れる冷媒を少量、または、0とすることができるため、第2の冷却ステージ48に対して高い温度となる第1段冷却ステージ47による冷却は停止し、第1段冷却ステージ47よりも低い温度に到達できる第2段冷却ステージ48のみで冷却するようになる。
【0062】
第5の極低温冷凍機10Eによれば、熱容量が大きい被冷却体46の冷却における初期予冷時には、第1段冷却ステージ47と第2段冷却ステージ48の両方の冷凍能力を使って冷却できるため、初期冷却の時間を大幅に短縮できる。また、所定の温度に冷却されれば、第2段冷却ステージ48のみの冷却に切り替わるため、被冷却体46を第1段冷却ステージ47の到達温度よりも低い温度に冷却することができる。
【0063】
尚、圧力調整弁バイパス流吐出配管39および圧力調整弁バイパス流戻り配管40に、例えばステンレスのような熱伝導率の低い金属を用い、所定の長さを保たせて室温と第1段冷却ステージ47、第1段冷却ステージ47と被冷却体46との被冷却体用熱交換器43等を接続する構成とすると、圧力調整弁バイパス流吐出配管39および圧力調整弁バイパス流戻り配管40からの熱侵入量を低減でき、冷媒が流れていない場合の到達温度を低下させることができる。
【0064】
また、図5に示される第5の極低温冷凍機10Eでは、冷却ステージ47,48を備える二段冷凍機の場合の例を示したが、二段以上の段数を持つ冷凍機においても同様に適用することができる。すなわち、最終段より上の高温側の冷却ステージを図5に示される第1段冷却ステージ47と、最終段の冷却ステージを第2段冷却ステージ48と、同様に構成することで、同じ作用、効果が得られる。
【0065】
[第6の実施形態]
図6は、本発明の第6の実施形態に係る極低温冷凍機の一例である第6の極低温冷凍機10Fの構成を概略的に示した構成図である。
【0066】
図6に示される第6の極低温冷凍機10Fは、図5に示される第5の極低温冷凍機10Eの被冷却体46を超電導コイル44および伝熱板45を冷却する構成としたものである。換言すれば、図3に示される第3の極低温冷凍機10Cに対して、一段式の冷却ステージ12を備えるコールドヘッド11(一段式の冷凍機)の代わりに、第1段ステージ47と第2段ステージ48とを備えるコールドヘッド11(二段式の冷凍機)を用いている点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。
【0067】
このように構成される第6の極低温冷凍機10Fでは、超電導コイル44全体の温度勾配を少なくして室温から冷却することができ、超電導コイル44の熱ひずみによる劣化を防ぎつつ、冷凍機の冷凍能力をフルに発揮した初期冷却特性を得ることができる。また、初期予冷から定常冷却への切替操作が不要(操作が簡便)である。
【0068】
一方、初期予冷時においては、第1段冷却ステージ47と第2段冷却ステージ48の両方の冷凍能力を使って冷却できるため、初期冷却の時間を大幅に短縮でき、また、所定の温度に冷却されれば、第2段冷却ステージ48のみの冷却に切り替わるため、被冷却体46を第1段冷却ステージ47の到達温度よりも低い温度に冷却することができる。
【0069】
第6の極低温冷凍機10Fによれば、超電導コイル44全体の温度勾配を少なくして室温から冷却することができ、超電導コイル44の熱ひずみによる劣化を防ぎつつ、冷凍機の冷凍能力をフルに発揮した初期冷却特性を得ることができる。特に、第1段冷却ステージ47と第2段冷却ステージ48とを備えるので、初期予冷時においては、第1段冷却ステージ47と第2段冷却ステージ48の両方の冷凍能力を使って冷却でき、初期冷却の時間を大幅に短縮できる。
【0070】
また、所定の温度に冷却された後は、特段の切替操作を行うことなく、第2段冷却ステージ48のみの冷却に切り替わるため、被冷却体46を第1段冷却ステージ47の到達温度よりも低い温度に冷却することができる。従って、初期予冷から定常冷却へ切り替える際も操作が極めて簡便である。さらに、このような第6の極低温冷凍機10Fを適用することによって、初期予冷時間を短縮し、到達温度での性能は維持し、操作簡便な超電導磁石およびその冷却システムを構成することができる。
【0071】
以上、極低温冷凍機10A,10B,10C,10D,10E,10Fによれば、冷凍機1台で冷却する構成を採用しつつ、予冷時間の短縮、取り扱いの簡便さ、および、熱ひずみによる劣化の防止といった予冷特性を向上させることができる。
【0072】
すなわち、極低温冷凍機10A,10B,10C,10D,10E,10Fは、初期冷却(初期予冷)時にバイパス配管27に流れる余剰な冷媒を圧縮機ユニット17の外へ取り出すことができるように圧力調整弁バイパス流吐出継手38を設けることで、圧力調整弁バイパス流吐出継手38から余剰な冷媒を取り出して冷凍機以外の目的で簡便に利用することができる。また、バイパス配管27に圧力調整弁バイパス流吐出継手38と併せて圧力調整弁バイパス流導入継手37を設けることで、取り出して冷凍機以外の目的で利用した冷媒を簡便に戻すことができる。
【0073】
さらに、極低温冷凍機10B,10C,10D,10E,10Fは、初期冷却時の余剰な冷媒を簡便に利用することができ、この冷媒を使って、コールドヘッド11の冷却部(冷却ステージ12)による局所的な範囲のみならず、被冷却体冷却用熱交換器43でも冷却することができ、従来よりも広範な範囲を冷却が可能な冷凍機を構成することができる。
【0074】
さらにまた、超電導コイル44を被冷却体46とする極低温冷凍機10C,10Fでは、超電導コイル44全体の温度勾配を少なくして室温から冷却することができ、超電導コイル44の熱ひずみによる劣化を防ぎつつ、冷凍機の冷凍能力をフルに発揮した初期冷却特性を得ることが可能となり、初期予冷が完了した後は、バイパス配管27への冷媒の流量が0となることから、切替操作なく圧力調整弁バイパス流吐出配管39および圧力調整弁バイパス流戻り配管40を廻る循環冷媒の流量を自動的に0とすることができる。従って、初期予冷から定常冷却への切替操作が不要、すなわち、操作が簡便な超電導磁石およびその冷却システムを構成することが可能となる。
【0075】
また、第4の極低温冷凍機10Dでは、被冷却体46を、コールドヘッド11からの直接的に冷却させないため、冷凍機の動作を止めた際に冷凍機からの熱侵入が直接被冷却体である超電導コイル44に入らず、断熱特性の良い冷却配管からの小さい熱侵入量となり、超電導コイル44の低温保持特性を向上させることができる。
【0076】
さらに、極低温冷凍機10E,10Fは、多段式(図5および図6に示される例では二段式)の冷凍機を採用しているので、熱容量が大きい被冷却体46(または超電導コイル44)の冷却における初期予冷時には、第1段冷却ステージ47と第2段冷却ステージ48の両方の冷凍能力を使って冷却でき、初期冷却の時間を大幅に短縮できる。さらにまた、所定の温度に冷却されれば、第2段冷却ステージ48のみの冷却に切り替わるため、被冷却体46(超電導コイル44)を第1段冷却ステージ47の到達温度よりも低い温度に冷却することができる。
【0077】
尚、本発明は上記の各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化しても良い。
【0078】
また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0079】
10A,10B,10C,10D,10E,10F 極低温冷凍機
11 コールドヘッド(膨張器ユニット)
12 冷却ステージ
13 冷媒吐出継手
14 冷媒導入継手
15 冷媒低圧配管
16 冷媒高圧配管
17 圧縮機ユニット
18 圧縮機
19 圧縮機ユニット内低圧配管
20 圧縮機ユニット内高圧配管
21 冷媒導入継手
22 冷媒吐出継手
23 バッファタンク
24 オイルミストトラップ
25 アドソーバ
26 圧力調整弁
27 バイパス配管
37 圧力調整弁バイパス流導入継手
38 圧力調整弁バイパス流吐出継手
39 圧力調整弁バイパス流吐出配管
40 圧力調整弁バイパス流戻り配管
41 対向流熱交換器
42 冷却ステージ熱交換器
43 被冷却体冷却用熱交換器
44 超電導コイル
45 伝熱板
46 被冷却体
47 第1段冷却ステージ
48 第2段冷却ステージ
100 従来の極低温冷凍機
101 コールドヘッド(膨張器ユニット)
102 冷却ステージ
103 冷媒吐出継手
104 冷媒導入継手
105 冷媒低圧配管
106 冷媒高圧配管
107 圧縮機ユニット
108 圧縮機
109 圧縮機ユニット内低圧配管
110 圧縮機ユニット内高圧配管
111 冷媒導入継手
112 冷媒吐出継手
113 バッファタンク
114 オイルミストトラップ
115 アドソーバ
116 圧力調整弁
117 バイパス配管
124 超電導コイル
125 伝熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機ユニットと、この圧縮機ユニットと分離したコールドヘッドとを備え、前記圧縮機ユニットの圧縮機によって昇圧された冷媒を前記コールドヘッドへ供給し、前記コールドヘッド内で膨張させることによって寒冷を発生させるとともに、前記コールドヘッド内で膨張した後の冷媒を再び前記圧縮機ユニットの圧縮機に導入して昇圧させる極低温冷凍機において、
前記圧縮機によって昇圧された冷媒が供給される高圧側配管と前記圧縮機ユニットの外部から導入された冷媒を前記圧縮機へ供給する低圧側配管とを連結するバイパス配管と、
このバイパス配管に設けられ、前記高圧側配管および前記低圧側配管の少なくとも一方の管内圧力を調整する圧力調整弁と、
前記バイパス配管内の冷媒を前記圧縮機ユニットの外部へ取り出す取出口と、
前記圧縮機ユニットの外部から前記圧縮機ユニットへ冷媒を導入する導入口と、
を具備することを特徴とする極低温冷凍機。
【請求項2】
前記取出口と前記導入口とを接続し、前記取出口から前記バイパス配管内の冷媒を前記圧縮機ユニットの外部へ取り出すとともに取り出した冷媒を前記圧縮機ユニットの内部へ戻す循環経路を構成する配管が設置され、
この循環経路は、前記コールドヘッドの冷却ステージに設けられた冷却ステージ熱交換器と、この冷却ステージ熱交換器の下流側に被冷却体を冷却する少なくとも一以上の被冷却体熱交換器とが直列的に接続されて構成されることを特徴とする請求項1記載の極低温冷凍機。
【請求項3】
前記コールドヘッドは、冷却ステージを複数段有することを特徴とする請求項1又は2記載の極低温冷凍機。
【請求項4】
前記被冷却体を、前記コールドヘッドの最終段冷却ステージに熱的に接続させる一方、前記冷却ステージ熱交換器を、前記最終段冷却ステージよりも初段側の冷却ステージの何れかに設けることを特徴とする請求項3記載の極低温冷凍機。
【請求項5】
前記被冷却体は、超電導コイルであることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の極低温冷凍機。
【請求項6】
前記被冷却体は、超電導コイルであり、前記コールドヘッドの冷却ステージから直接冷却されている箇所とは別の少なくとも一箇所を前記被冷却体熱交換器と熱的に接触させて構成したことを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の極低温冷凍機。
【請求項7】
前記被冷却体熱交換器は、少なくとも第1の被冷却体熱交換器と、第2の被冷却体熱交換器とを有し、前記第1の被冷却体熱交換器および第2の被冷却体熱交換器を被冷却体と熱的に接触させる一方、前記冷却ステージと被冷却体とは熱的な接触を遮断して構成されることを特徴とする請求項2に記載の極低温冷凍機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−141074(P2011−141074A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1518(P2010−1518)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)