説明

極端紫外光源用ドライバレーザのレーザ増幅器

【課題】小型で、レーザ光の増幅を効率良く行うことができ、増幅されたレーザ光の集光性に優るドライバレーザを提供する。
【解決手段】このドライバレーザは、発振によりレーザ光を生成するレーザ発振器と、レーザ発振器によって生成されるレーザ光を入力し、該レーザ光を増幅して出力する少なくとも1つのスラブ型レーザ増幅器とを具備し、少なくとも1つのスラブ型レーザ増幅器が、第1のウィンドウ及び第2のウィンドウを有し、炭酸ガス(CO)を含む気体で充たされたチャンバと、チャンバ内に配置され、高周波電圧が印加されることにより形成される放電領域において気体を励起してレーザ光を増幅する一対の電極と、チャンバ内に配置され、第1のウィンドウから入射するレーザ光を多重反射することにより放電領域内を伝播させて第2のウィンドウから出射させる複数のミラーを有する光学系とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等を露光するために用いられる極端紫外光を発生するLPP(laser produced plasma)型EUV(extreme ultra violet:極端紫外)光源装置においてターゲットにレーザ光を照射するドライバレーザに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴い、光リソグラフィの微細化も急速に進展しており、次世代においては、100nm〜70nmの微細加工、さらには50nm以下の微細加工が要求されるようになっている。そのため、例えば、50nm以下の微細加工に応じるべく、波長13nm程度の極端紫外光を発生するEUV光源と縮小投影反射光学系(reduced projection reflective optics)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
そのようなEUV光源装置においては、一般に、駆動用光源(ドライバ)として短パルスレーザが用いられる。短パルスレーザは、LPP型EUV光源装置において高いCE(conversion efficiency:照射レーザ光からEUV光への変換効率)を得るのに適しているからである。
【0004】
図18は、ドライバとして用いられる発振増幅型レーザの構成を示す概略図である。
図18に示す発振増幅型レーザ90は、短パルスCOレーザによって構成されるレーザ発振器91と、短パルスCOレーザが発生したレーザ光を増幅するレーザ増幅器92とを含んでいる。ここで、レーザ増幅器92が光共振器を持たない場合に、そのような構成を有するレーザシステムは、MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)システムと呼ばれる。レーザ増幅器92は、二酸化炭素(CO)、窒素(N)、ヘリウム(He)、さらに、必要に応じて、水素(H)、一酸化炭素(CO)、キセノン(Xe)等を含むCOレーザガスを放電によって励起する放電装置を有している。
なお、図18に示すレーザ増幅器92と異なり、増幅段に共振器を設ける場合には、増幅段単体によるレーザ発振が可能である。そのような構成を有するレーザシステムは、MOPO(Master Oscillator Power Oscillator)システムと呼ばれる。
【0005】
レーザ発振器91から出射したエネルギーAを有するレーザ光(シードレーザ光)126は、レーザ増幅器92において所望のエネルギーBを有するレーザ光128に増幅される。このエネルギーBを有するレーザ光128は、レーザ光伝播系を通して、又は、レンズによって集光されて、錫(Sn)やキセノン(Xe)等から選択されるEUV発光ターゲット物質に照射される。
【0006】
図18においては、レーザエネルギーAをレーザエネルギーBまで増幅するために、増幅器を1段しか設けていないが、所望のレーザエネルギーBを得るために、複数段の増幅器を用いてもよい。このようなレーザ増幅器として、高速軸流型レーザ増幅器が使用されている。
【0007】
図19は、高速軸流型レーザ増幅器の構成を示す概略図である。高速軸流型レーザ増幅器は、高周波電圧を印加することにより内部に放電領域を生成し、レーザ光を増幅する複数本の放電管を有する。図19に示すように、上下2段で合計8本の放電管132a〜132hを有する場合を例として、高速軸流型レーザ増幅器の構成と動作について説明する。
【0008】
シードレーザ光126がウィンドウ137aから放電管132aに入射し、増幅されて、放電管132aから出射する。出射したレーザ光は、反射ミラー135aで向きを変えて、放電管132bに入射し、増幅されて、放電管132bから出射する。出射したレーザ光は、反射ミラー135bで向きを変える。レーザ光は、放電管132c〜132hで増幅されて、反射ミラー135c〜135hで向き変えることを繰り返しながら、ウィンドウ137bから増幅レーザ光128として出射する。
【0009】
関連する技術として、非特許文献1は、高速軸流COレーザ増幅器について開示する。非特許文献2は、核融合用COレーザシステムにおいて使用される気体過飽和吸収体について開示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】有我達也、遠藤彰,「極端紫外線(EUV)リソグラフィー光源用CO2レーザー」,O plus E,新技術コミュニケーションズ,平成16年12月,第28巻,第12号,p.1263−1267
【非特許文献2】リチャード・エフ・ハグルンド(Richard F. Haglund)、外2名,「ヘリオスCO2レーザーシステムのための気体過飽和吸収体(Gaseous Saturable Absorbers for the Helios CO2 Laser System)」,(米国),アイイーイーイー・ジャーナル・オブ・クオンタムエレクトロニクス(IEEE Journal of Quantum Electronics)1981年9月,第QE−17巻,第9号,p.1799−1808
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来使用されている高速軸流型レーザ増幅器では、レーザ発振出力の20%程度しか出力を取り出すことができなかった。図20は、5kW高速軸流型レーザ増幅器を使用した場合にシード光パワーとレーザ増幅器から取り出せるパワーとの関係を示している。増幅器に入力するシード光パワーが100W以上になると、増幅器から取り出すことができるパワーが飽和して、増幅器から取り出すことができるパワーの上限は、1200W程度となる。すなわち、5kW増幅器からの出力取り出し効率は、約24%(=1200W/5000W)となる。このように、高速軸流型レーザ増幅器においては、出力取り出し効率が低く、増幅効率に劣るという解決すべき課題がある。
【0012】
高速軸流型レーザ増幅器において、取り出し効率を増加するためには、軸流放電管の直径を大きくすることが必要であるが、軸流放電管の直径を大きくすると、増幅されたレーザ光がマルチモード化し、極端紫外光源装置にとって必須の要件である集光性が低下するという問題が生じる。また、高速軸流型レーザ増幅器においては、軸流放電管を多段で構成すること、及び、軸流放電管に循環装置を設ける必要があることから、レーザ増幅器が大型化するという問題が生じる。
【0013】
本発明は、これらの問題を解決することを課題としてなされたもので、本発明の目的は、小型で、レーザ光の増幅を効率良く行うことができ、増幅されたレーザ光の集光性に優るドライバレーザを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係るドライバレーザは、レーザ光をターゲット物質に照射することによりターゲット物質をプラズマ化して極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置において用いられるドライバレーザであって、発振によりレーザ光を生成するレーザ発振器と、レーザ発振器によって生成されるレーザ光を入力し、該レーザ光を増幅して出力する少なくとも1つのスラブ型レーザ増幅器とを具備し、少なくとも1つのスラブ型レーザ増幅器が、第1のウィンドウ及び第2のウィンドウを有し、炭酸ガス(CO)を含む気体で充たされたチャンバと、チャンバ内に配置され、高周波電圧が印加されることにより形成される放電領域において気体を励起してレーザ光を増幅する一対の電極と、チャンバ内に配置され、第1のウィンドウから入射するレーザ光を多重反射することにより放電領域内を伝播させて第2のウィンドウから出射させる複数のミラーを有する光学系とを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のようなスラブ型COレーザ増幅器を用いてドライバレーザを構成するので、ドライバレーザを小型化し、レーザ光の増幅を効率良く行うことができ、ビームの広がりを抑制して集光性に優れたレーザ光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の各実施形態に係る極端紫外光源用ドライバレーザが適用されるLPP型EUV光源装置の概要を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るドライバレーザの概要を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るドライバレーザのレーザ増幅器のミラー配置を示す模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るドライバレーザのレーザ増幅器の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るドライバレーザのレーザ発振器の基本構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るドライバレーザのレーザ増幅器の基本構成を示す斜視図である。
【図7】5kWスラブ型COレーザ増幅器における入力エネルギーと出力エネルギーとの関係を示す図である。
【図8】共焦点ミラーを増幅系ミラーとして用いる本発明の第2の実施形態を示す図である。
【図9】転写型光学系を増幅系ミラーとして用いる本発明の第3の実施形態を示す図である。
【図10】過飽和吸収体セルを用いる本発明の第4の実施形態を示す図である。
【図11】ミラー付過飽和吸収体セルを用いる本発明の第4の実施形態を示す図である。
【図12】本発明の第5の実施形態におけるダブルパス増幅を説明するための概念図である。
【図13】スラブ型レーザ増幅器にダブルパス増幅を適用した実施形態を示す図である。
【図14】本発明の第6の実施形態における2方向増幅を説明するための概念図である。
【図15】スラブ型レーザ増幅器に2方向増幅を適用した実施形態を示す図である。
【図16】コアキシャルスラブ型レーザ増幅器を用いる本発明の第7の実施形態を説明するための概念図である。
【図17】スラブ型増幅器を用いたドライバレーザの構成の外観を示す斜視図である。
【図18】ドライバとして用いられる発振増幅型レーザの構成を示す概略図である。
【図19】高速軸流型レーザ増幅器の構成を示す概略図である。
【図20】5kW高速軸流型レーザ増幅器を使用した場合にシード光パワーとレーザ増幅器から取り出せるパワーとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の各実施形態に係る極端紫外光源用スラブ型COドライバレーザ(以下において、単に「ドライバレーザ」とも言う)が適用されるLPP型EUV光源装置の概要を示す模式図である。図1に示すように、このLPP型EUV光源装置は、ドライバレーザ1と、EUV光発生チャンバ2と、ターゲット物質供給部3と、レーザ集光光学系4とを含んでいる。
【0018】
ドライバレーザ1は、ターゲット物質を励起させるために用いられる駆動用のレーザ光を発生する発振増幅型レーザ装置である。ドライバレーザ1の構成については、後で詳しく説明する。
【0019】
EUV光発生チャンバ2は、EUV光の生成が行われる真空チャンバである。EUV光発生チャンバ2には、ドライバレーザ1から発生したレーザ光6をEUV光発生チャンバ2内に通過させるための窓11が設けられている。また、EUV光発生チャンバ2の内部には、ターゲット噴射ノズル15と、ターゲット回収筒16と、EUV集光ミラー8とが配置されている。
【0020】
ターゲット物質供給部3は、EUV光を発生するために用いられるターゲット物質を、ターゲット物質供給部3の一部であるターゲット噴射ノズル15を介して、EUV光発生チャンバ2内に供給する。供給されたターゲット物質の内、レーザ光が照射されずに不要となったものは、ターゲット回収筒16によって回収される。ターゲット物質としては、公知の様々な材料(例えば、錫(Sn)、キセノン(Xe)等)を用いることができる。
【0021】
ターゲット物質の状態は、固体、液体、気体のいずれでも良く、連続流れ(ターゲット噴流)や液滴(ドロップレット)等の公知のいずれの態様でターゲット物質をEUV光発生チャンバ2内の空間に供給しても良い。例えば、ターゲット物質として液体のキセノン(Xe)ターゲットを用いる場合には、ターゲット物質供給部3は、高純度キセノンガスを供給するガスボンベ、マスフローコントローラ、キセノンガスを液化するための冷却装置、ターゲット噴射ノズル等によって構成される。また、ドロップレットを生成する場合には、それらを含む構成に、ピエゾ素子等の加振装置が追加される。
【0022】
レーザ集光光学系4は、例えば、集光レンズを含んでおり、ドライバレーザ1から出射したレーザ光6を、ターゲット物質の軌道上に焦点を形成するように集光する。それにより、ターゲット物質5が励起してプラズマ化し、EUV光7が発生する。
【0023】
EUV集光ミラー8は、例えば、13.5nmの光を高反射率で反射するMo/Si膜がその表面に形成された凹面鏡であり、発生したEUV光7を反射することにより集光して伝送光学系に導く。さらに、このEUV光は、伝送光学系を介して露光装置等へ導かれる。図1において、EUV集光ミラー8は、紙面の手前方向にEUV光を集光する。
【0024】
本実施形態に係るドライバレーザは、レーザ増幅器としてスラブ型COレーザ増幅器を用いることを特徴とする。スラブ型レーザは、広い板状の電極を用いて、電極間で一様にレーザ光を励起することが可能である。スラブ型レーザを用いることにより、小型で増幅効率の高いレーザ増幅器を実現することができる。また、スラブ型レーザは、シングルモードレーザ光をシングルモードレーザ光として増幅することが可能であり、ビームの広がりを抑制して集光性に優れたレーザ光を得ることができる。
【0025】
次に、本発明の第1の実施形態に係るドライバレーザについて説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るドライバレーザの概要を示す模式図である。このドライバレーザは、レーザ発振器21と、スラブ型COレーザ増幅器31とを有している。スラブ型COレーザ増幅器31は、炭酸ガス(CO)を含む気体で充たされたチャンバ32と、チャンバ32内に配置された2個の電極33a及び33bと、チャンバ32内において2個の電極33a及び33bを挟む位置に配置されたリアミラー35a及びフロントミラー35bとを含む。チャンバ32には、第1のウィンドウであるリアウィンドウ37aと第2のウィンドウであるフロントウィンドウ37bとが設けられている。
【0026】
スラブ型COレーザ増幅器31の2個の電極33a及び33bは、高周波電源(図示せず)に接続され、チャンバ32内の炭酸ガス(CO)を含む気体を励起し、電極33a及び33bの間に放電領域27が形成される。レーザ発振器31から出力されたシードレーザ光26は、スラブ型COレーザ増幅器31の第1のウィンドウであるリアウィンドウ37aを通して電極33a及び33bの間に入る。2個の電極33a及び33bの間のキャップ長は、例えば、3mm〜4mmである。シードレーザ光26は、リアミラー35aの横より電極間へ注入され、リアミラー35a及びフロントミラー35bとの間で多重反射されながら、電極33a及び33bの間を伝播し、放電領域27にあるレーザ媒質によって増幅される。増幅された増幅レーザ光28は、フロントミラー35bの横から第2のウィンドウであるフロントウィンドウ37bを通して外部に出力される。本発明では上記の説明の通り、シードレーザが入射するスラブ型COレーザ増幅器のウィンドウを第1のウィンドウと定義し、スラブ型COレーザ増幅器で増幅されたシードレーザ光を外部へ出力するウィンドウを第2のウィンドウと定義する。
【0027】
スラブ型COレーザ増幅器31においては、電極33a及び33bの間のキャップ長が小さいので、シードレーザ光26のビームが拡がると、シードレーザ光26が電極33a及び33bで反射され、エネルギーの損失となる。増幅効率を高めるためには、これを防止することが必要となる。そこで、シードレーザ光26が電極33a及び33bで反射されることを防止するために、リアミラー35a及びフロントミラー35b等により構成される光学系が、シードレーザ光26のビームの拡がりを抑制するように配置される。
【0028】
また、増幅効率を高めるために、放電領域内におけるシードレーザ光26の光路を長くすることが必要となる。そこで、シードレーザ光26をリアミラー35a及びフロントミラー35bにより多数回反射して、放電領域内においてシードレーザ光26の光路を長くするように、光学系が構成される。さらに、増幅効率を高めるために、レーザ増幅器31の自励発振を抑制することが必要となる。そこで、自励発振を抑制するために、シードレーザ光26の光路中に、過飽和吸収体が設けられている。
【0029】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るドライバレーザのスラブ型COレーザ増幅器のミラーの配置を上から見た模式図である。図3の(a)においては、リアミラー35a及びフロントミラー35bの各々として凹面ミラーが配置され、シードレーザ光26が凹面ミラーの間で多重反射されながら、放電領域27のレーザ媒質中で増幅されて、増幅レーザ光28として出力される。
【0030】
図3の(b)においては、リアミラー35a及びフロントミラー35bの各々として平面ミラーが配置され、シードレーザ光26が平面ミラーの間で多重反射されながら、放電領域27のレーザ媒質中で増幅されて、増幅レーザ光28として出力される。
【0031】
図3の(c)においては、リアミラー35a及びフロントミラー35bの各々として複数のミラーが配置され、シードレーザ光26が複数のミラーの間で多重反射されながら、放電領域27のレーザ媒質中で増幅されて、増幅レーザ光28として出力される。
【0032】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るドライバレーザのスラブ型COレーザ増幅器の一例を示す図である。このスラブ型COレーザ増幅器は、シードレーザ光26を左側から入射する。シードレーザ光26のビーム径は、例えば、5mmである。シードレーザ光26は、平凸レンズ34a、平凹レンズ34b、平凹シリンドリカルレンズ34c、平凸シリンドリカルレンズ34dによってビーム成型されて、幅W0の扁平なレーザ光となる。幅W0の値は、例えば、10mmである。
【0033】
このレーザ光は、電極33a及び33bの間に形成された放電領域27に入射し、2個のリアミラー35aと2個のフロントミラー35bとによって多重反射されながら、電極33a及び33bの間に形成された放電領域27の中を伝播して増幅され、放電領域27から出射する。放電領域27から出射したレーザ光は、平凸シリンドリカルレンズ34e、平凹シリンドリカルレンズ34f、平凹レンズ34g、平凸レンズ34hを経て、EUVチャンバ内のターゲットに照射される。
【0034】
図4に示される本発明のスラブ型COレーザ増幅器の一例において、リアミラー35a及びフロントミラー35bの各々の直径D0は、例えば、25.4mmである。平凸レンズ34aと平凹レンズ34bとの間の距離D1は、例えば、45mmである。平凸レンズ34aと平凹シリンドリカルレンズ34cとの間の距離D2は、例えば、70mmである。平凸レンズ34aと平凸シリンドリカルレンズ34dとの間の距離D3は、例えば、116mmである。電極33a及び33bの幅W1は、例えば、60mmである。
【0035】
図5は、本発明の第1の実施形態に係るドライバレーザのスラブ型COレーザ発振器の基本構成を示す斜視図である。電極23a及び23bは、高周波電圧が印加されることにより、炭酸ガス中で放電を起こして放電領域27を形成する。放電領域27内で、レーザ光が励起され、リアミラー25aとフロントミラー25bの間で共振して、シードレーザ光26として放電領域27から出射する。冷却水入口29aから冷却水を注入して冷却水出口29bから排出することにより、電極23a及び23bが冷却される。
【0036】
図6は、本発明の第1の実施形態に係るドライバレーザのスラブ型COレーザ増幅器の基本構成を示す斜視図である。図2におけるのと同一の参照符号を付した同一の構成要素については、説明を省略する。冷却水入口39aから冷却水を注入して冷却水出口39bから排出することにより、電極33a及び33bが冷却される。
【0037】
図7は、5kWスラブ型COレーザ増幅器における入力エネルギーと出力エネルギーとの関係を示す。図7において、出力エネルギーは、100kHzでレーザパルスを増幅した時の1パルス当たり取り出すことができるエネルギーに相当する。図7に示すように、1パルス当たり最大17mJを取り出すことができ、5kWの増幅段から1700Wが取り出されている。すなわち、取り出し効率は、34%(=1700W/5000W)である。
【0038】
一般に、レーザ集光光学系4(図1)のレンズから出力されるレーザ光のスポット径Sは、次式(1)で表される。
S=4Mλf/πD=4λM(f/♯)/π ・・・(1)
ここで、λは波長、fはレンズの焦点距離、Dはレンズにおける入力ビーム直径(強度が1/eとなる位置)、Mはビームモードパラメータ、(f/♯)は(レンズの焦点距離/ビーム径)で定義される。
【0039】
極端紫外光源装置に用いられるレーザ光は、集光性が良いことが必要とされる。ビームモードパラメータMは、集光性を表している。集光性を良くするための条件として、Mが1に近いことが要求される。スラブ型レーザ増幅器は、電極面積を広くすることにより、高利得増幅を実現している。すなわち、高利得増幅を行っても、電極間距離には変化がなく、均一な放電を行うことが可能である。その結果、シングルモードレーザをシングルモードレーザとして増幅することができる。
【0040】
図8は、共焦点ミラーを増幅系ミラーとして用いる本発明の第2の実施形態を示す図である。ここで、共焦点ミラーとは、互いに焦点距離が等しく、かつ、焦点の位置が一致するように光軸に沿って対向して配置される複数のミラーのことをいい、光共振モードを有するので、細い光ビームを形成することができる。
【0041】
図8の(a)は、共焦点ミラーを用いるスラブ型レーザ増幅器の構造を示す平面図である。図8の(a)に示されるように、シードレーザ光26は、共焦点シリンドリカルミラー35c及び35dにより多重反射されながら、放電領域27のレーザ媒質中で増幅され、増幅レーザ光28として出力される。
【0042】
図8の(b)は、共焦点ミラーを用いるスラブ型レーザ増幅器の構造を示す側面図である。図8の(b)に示されるように、共焦点シリンドリカルミラー35c及び35dを増幅系ミラーとして用いることにより、シードレーザ光26のビームの拡がりが抑制され、シードレーザ光26の電極33a及び33bによる反射が防止される。これにより、レーザ光が効率的に増幅される。図8においては、共焦点ミラーとして、シリンドリカルミラーを例にとって説明しているが、共焦点ミラーとして、凹面ミラーや球面ミラーを用いても良い。
【0043】
図9は、転写光学系を増幅光学系として用いる本発明の第3の実施形態を示す図である。ここで、転写光学系とは、放電領域においてレーザ光が少なくとも1つの焦点を結ぶように対向して配置される複数のミラーのことをいい、光共振モードを有するので、細い光ビームを形成することができる。
【0044】
図9の(a)は、複数の平面ミラーを組み合わせて構成された転写光学系を用いるスラブ型レーザ増幅器の構造を示す平面図であり、図9の(b)は、平面ミラーと凹面ミラーを組み合わせて構成された転写光学系を用いるスラブ型レーザ増幅器の構造を示す平面図であり、図9の(c)は、平面ミラーとレンズを組み合わせて構成された転写光学系を用いるスラブ型レーザ増幅器の構造を示す平面図である。
【0045】
図9の(a)〜(c)に示されるように、シードレーザ光26は、複数のミラー35e及び35fにより多重反射されながら転写を受けて、放電領域27のレーザ媒質中で増幅され、増幅レーザ光28として出力される。ここで、光ビームは、転写により光路中でクロスして伝播する。図9の(a)〜(c)においては、光ビームが水平方向にクロスして伝播する場合を示しているが、光ビームは、水平方向及び垂直方向の両方においてクロスしても良いし、水平方向及び垂直方向の一方においてクロスしても良い。
【0046】
転写光学系を増幅系ミラーとして用いることにより、シードレーザ光26のビームの拡がりが抑制され、シードレーザ光26の電極33a及び33bによる反射が防止される。これにより、レーザ光が効率的に増幅される。ミラー35e及び35fとしては、平面ミラー、凹面ミラー、シリンドリカルミラー、球面ミラーのいずれを用いても良いし、図9の(c)に示されるように、ミラーとレンズ36a及び36bとを組み合わせても良い。
【0047】
ところで、スラブ型レーザは、共振器を有していなくても自励発振を起こし易いという問題点を有している。自励発振は、次式(2)で表されるAの値が大きいほど発生し易いことが知られている。
A=g×L ・・・(2)
ここで、gは増幅利得であり、Lはシードレーザ光の光路長(利得長)である。
【0048】
スラブ型レーザにおいては、多重反射により光路を折り返して増幅を行うので、式(2)で表される光路長(利得長)が長くなる。そのため、Aの値も大きくなるので、スラブ型レーザは、自励発振を起こし易くなる。スラブ型レーザ増幅器において、Aの値が4以上になると自励発振が発生する。2パス増幅の場合には、増幅利得長(放電長)が1パス増幅の2倍になるので、自励発振の発生し易さが1パス増幅の2倍となる。
【0049】
そこで、スラブ型レーザ増幅器の光路中に過飽和吸収体を設けることにより、自励発振光を抑制して、レーザ光の増幅を効率的に行うことができる。以下に、スラブ型レーザ増幅器の光路中に過飽和吸収体が設けられた本発明の第4の実施形態について説明する。図10及び図11は、本発明の第4の実施形態を示す図である。
【0050】
図10の(a)は、光路中に過飽和吸収体が設けられたスラブ型レーザ増幅器の構造を示す平面図である。図10の(a)に示されるように、シードレーザ光26が、転写を受けてミラーにより多重反射されながら、放電領域27のレーザ媒質中で増幅され、増幅レーザ光28として出力される。その際に、レーザ光の光路中に設けられた過飽和吸収体セル41が、レーザ増幅器の自励発振を抑制する。
【0051】
図10の(b)は、光路中に設けられた過飽和吸収体セルを説明するための図である。過飽和吸収体セル41は、一方のウィンドウ42aから光を入射し、入射した光を過飽和吸収体セル43に通して他方のウィンドウ42bから出射する。
【0052】
可飽和吸収体は、強度が低いレーザ光に対する透過率が低く、強度が高いレーザ光に対する透過率が高いので、強度が低いレーザ光を吸収し、強度が高いレーザ光を透過する。一般に、自励発振光の強度はメインパルスの強度より低い。そのため、増幅系において自励発振が発生した場合に、可飽和吸収体は、自励発振光を吸収してメインパルスを通過させることができる。
【0053】
なお、COレーザにおける可飽和吸収体としては、一般に、SFを含む混合ガスが用いられる。可飽和吸収体としてSFを含む混合ガスを用いる場合には、バッファガスとして、He、N、Ar等を使用することができる。混合ガス中のSFの含有量、バッファガスの種類及び含有量、バッファガス以外の他のガスを混合すること、可飽和吸収体を通過するレーザ光路長を調整すること等により、可飽和吸収体のレーザ光吸収特性を調整することが可能である。可飽和吸収体としては、SFを含む混合ガス以外にも、エタノール(ethanol:COH)、フロン12(freon12:CCl)、フォーミック酸(formic acid:HCOOH)等を用いることができる。
【0054】
図11の(a)は、光路中にミラー付き過飽和吸収体が設けられたスラブ型レーザ増幅器の構造を示す平面図である。図11の(a)に示されるように、シードレーザ光26が、ミラー35e及び35fにより多重反射されながら、放電領域27のレーザ媒質中で増幅され、増幅レーザ光28として出力される。レーザ光の光路中に、ミラーと一体的に構成されたミラー付き過飽和吸収体セル45が設けられ、レーザ増幅器の自励発振を抑制する。
【0055】
図11の(b)は、光路中に設けられたミラー付き過飽和吸収体セルを説明するための図である。ミラー付き過飽和吸収体セル45は、ウィンドウ46から光を入射し、入射した光を過飽和吸収体47に通してミラー48で反射させ、反射した光を再び過飽和吸収体セル45に通してウィンドウ46から出射する。COレーザ光の可飽和吸収体としては、図10の(b)に示す過飽和吸収体セル41の可飽和吸収体と同様の材料を使用することができる。
【0056】
次に、ダブルパス増幅に関する本発明の第5の実施形態について説明する。図12は、本発明の第5の実施形態を説明するための概念図である。レーザ発振器21から出射されたシードレーザ光26は、レーザ増幅器31に入射し、レーザ媒質によって増幅された後にレーザ増幅器31から出射する。レーザ増幅器31から出射したレーザ光は、進行方向を変えて再びレーザ増幅器31に入射し、レーザ媒質によって増幅された後に、レーザ増幅器31から出射する。ダブルパス増幅によれば、このように2回増幅を繰り返すので、効率の良い増幅が可能となる。
【0057】
図13の(a)は、ダブルパス増幅を行うスラブ型レーザ増幅器の構造を示す平面図である。図13の(b)は、ダブルパス増幅を行うスラブ型レーザ増幅器の構造を示す側面図である。S偏光のシードレーザ光26(点線)が、スラブ型レーザ増幅器に入射し、偏光子51aを透過して、ミラー35a及び35bによって多重反射されながら放電領域27のレーザ媒質中で増幅され、増幅レーザ光28aとして出射する。
【0058】
出射したS偏光のレーザ光28aは、偏光子51bによって反射されて伝播方向を変えると共に、P偏光のレーザ光(実線)に変換される。P偏光のレーザ光は、ミラー52a及び52b、及び、偏光子51aによって伝播方向を変えながら、再びスラブ型レーザ増幅器に入射する。入射したP偏光のレーザ光は、ミラーで多重反射されながら放電領域27のレーザ媒質中で増幅されて、スラブ型レーザ増幅器からP偏光の増幅レーザ光28bとして出射する。偏光子51bは、P偏光の増幅レーザ光28bを透過させる。このように、レーザ光が、ダブルパスを通過することによって2度増幅されるので、効率の良い増幅が可能となる。
【0059】
次に、2方向増幅に関する本発明の第6の実施形態について説明する。図14は、本発明の第6の実施形態を説明するための概念図である。レーザ発振器21から出射したシードレーザ光26は、ビームスプリッタ54等によって構成される第1の光学系によって、2つのレーザ光26a(実線)及び26b(点線)に分離される。2つのレーザ光26a及び26bは、それぞれ高反射ミラー55a〜55c及び高反射ミラー56a及び56bを経由して、互いに異なる方向からウィンドウ57a及び57bを通ってレーザ増幅器31の放電領域に入射し、第2の光学系である増幅器ミラー58a及び58b間で多重反射し、放電領域27のレーザ媒質によって増幅された後に、それぞれウィンドウ57b及び57aよりレーザ増幅器31から2つの増幅レーザ光28a及び28bとして出射する。増幅器から出射した2つの光ビームは、合波されてターゲットに照射される。2方向増幅によれば、同一の増幅器において異なる方向に2回増幅を行うので、均一な増幅を行うことができ、増幅利得を増加して効率の良い増幅が可能となる。
【0060】
ビームスプリッタ54としては、例えば、ZnSe基板、ダイヤモンド基板等に多層膜がコーティングされ反射率が50%であるものが使用される。ただし、反射率50%は一例であり、他の値でもよい。ビームスプリッタは、熱に弱く、必須ではないが冷却されていることが望ましい。図14においては、シード光26aに対して第1のウィンドウとしてウィンドウ57aが機能し、第2のウィンドウとしてウィンドウ57bが機能する。また、シード光26bに対しては第1のウィンドウとしてウィンドウ57bが機能し、第2のウィンドウとしてウィンドウ57aが機能する。
【0061】
図15の(a)は、2方向のシードレーザ光に対して共通のミラーを用いて2方向増幅を行うスラブ型レーザ増幅器の構造を示す平面図である。このスラブ型レーザ増幅器は、2方向から入射されるシードレーザ光26a(点線)及び26b(実線)を、共通のミラー35g及び35hにより多重反射して増幅を行い、増幅レーザ光28a及び28bを出射する。出射された増幅レーザ光28a及び28bは、ターゲットに照射される際に合波される。これにより、効率の良い増幅が可能となる。
【0062】
図15の(b)は、2方向のシードレーザ光に対して別個のミラーを用いて2方向増幅を行うスラブ型レーザ増幅器の構造を示す平面図である。このスラブ型レーザ増幅器は、2方向のシードレーザ光26a(実線)及び26b(点線)を、互いに異なるパスにおいて、別個のミラー35i及び35jによって多重反射して増幅を行い、増幅レーザ光28a及び28bを出射する。出射された増幅レーザ光28a及び28bは、ターゲットに照射される際に合波される。これにより、効率の良い増幅が可能となる。
【0063】
図15の(c)は、2方向の光ビームに対して縦横に別個のミラーを用いて2方向増幅を行うスラブ型レーザ増幅器の構造を示す平面図である。このスラブ型レーザ増幅器は、2方向のシードレーザ光26a(実線)及び26b(点線)を、異なるパスにおいて、縦横に別個のミラー35k、35l、35m、35nによって多重反射して増幅を行い、増幅レーザ光28a及び28bを出射する。出射された増幅レーザ光28a及び28bは、ターゲットに照射される際に合波される。これにより、安定で効率の良い増幅が可能となる。
【0064】
図15の(a)〜(c)を参照しながら2方向増幅の実施形態について説明したが、各図にかかわらず、ミラーとしては、平面ミラー、シリンドリカルミラー、球面ミラーのいずれを用いても良い。
【0065】
次に、コアキシャルスラブ型COレーザ増幅器を用いる本発明の第7の実施形態について説明する。図16は、本発明の第7の実施形態を説明するための概念図である。図16の(a)は、コアキシャルスラブ型COレーザを用いるコアキシャルスラブ型COレーザ増幅器を示す斜視図である。図16の(b)は、図16の(a)に示すコアキシャルスラブ型COレーザ増幅器の右側面図である。
【0066】
コアキシャルスラブ型COレーザ増幅器は、チャンバ(図示を省略)内に、内側管型電極62aと、外側管型電極62bとを有する。内側管型電極62a及び外側管型電極62bは、高周波電源63に接続され、チャンバ内に放電領域67が形成される。内側管型電極及び外側管型電極の右側と左側において、内側管型電極62a及び外側管型電極62bによって形成されるドーナツ状の領域に、複数の反射ミラー64a及び64bが設けられる。図16の(a)及び(b)においては、左右に4個ずつ、合計8個の反射ミラー64a及び64bが示されている。
【0067】
図16の(a)に示されるように、シードレーザ光66は、左側から入射し、内側管型電極62a及び外側管型電極62bの左右に設けられた複数の反射ミラー64a及び64bの間で多重反射されながら、放電領域67のレーザ媒質中で増幅され、増幅レーザ光68として右側から出力される。ここで、反射ミラー64a及び64bの数を増やして、レーザ光が放電部を通過する距離を長くしても良い。また、左右の反射ミラーが、それぞれ一体型の反射ミラー、例えば、ドーナッツ型の反射ミラーとして構成されても良い。反射ミラーとしては、平面ミラー、凹面ミラー、シリンドリカルミラー、球面ミラーのいずれを用いても良い。
【0068】
図17は、スラブ型増幅器を用いたドライバレーザの構成の外観を示す斜視図である。図17に示すように、このドライバレーザは、高周波電源18と、高周波電源18によって高周波電圧を印加されて短パルスレーザ光を発振する短パルスレーザ発振器21と、レーザ発振器21から入射したシードレーザ光26を伝播するレーザ光伝播系30と、入射したシードレーザ光26を増幅して増幅レーザ光28として出射するスラブ型レーザ増幅器31と、ドライバレーザ制御装置70とを具備する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、露光装置の光源として用いられる極端紫外光源装置において利用することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…ドライバレーザ、2…EUV光発生チャンバ、3…ターゲット物質供給部、4…レーザ集光光学系、5…ターゲット物質、6…レーザ光、7…EUV光、8…EUV集光ミラー、11…窓、15…ターゲット噴射ノズル、16…ターゲット回収筒、18…高周波電源、21…短パルスレーザ発振器、23a、23b…電極、25a、25b…ミラー、26、26a及び26b…シードレーザ光、27…放電領域、28、28a及び28b…増幅レーザ光、29a…冷却水入口、29b…冷却水出口、30…レーザ光伝播系、31…スラブ型レーザ増幅器、32…チャンバ、33a、33b…電極、34a〜34h…レンズ、35a〜35n…ミラー、36a、36b…レンズ、37a、37b…ウィンドウ、39a…冷却水入口、39b…冷却水出口、41…過飽和吸収体セル、42a、42b…ウィンドウ、43…過飽和吸収体、45…ミラー付過飽和吸収体セル、46…ウィンドウ、47…過飽和吸収体、48…ミラー、51a、51b…偏光子、52a、52b…ミラー、54…ビームスプリッタ、55a〜55f…ミラー、56a〜56e…ミラー、57a、57b…ウィンドウ、58a、58b…ミラー、62a、62b…管型電極、63…高周波電源、64a及び64b…ミラー、66…シードレーザ光、67…放電領域、68…増幅レーザ光、70…ドライバレーザ制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光をターゲット物質に照射することにより前記ターゲット物質をプラズマ化して極端紫外光を発生させる極端紫外光源装置において用いられるドライバレーザであって、
発振によりレーザ光を生成するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器によって生成されるレーザ光を入力し、該レーザ光を増幅して出力する少なくとも1つのスラブ型レーザ増幅器と、
を具備し、前記少なくとも1つのスラブ型レーザ増幅器が、
第1のウィンドウ及び第2のウィンドウを有し、炭酸ガス(CO)を含む気体で充たされたチャンバと、
前記チャンバ内に配置され、高周波電圧が印加されることにより形成される放電領域において前記気体を励起してレーザ光を増幅する一対の電極と、
前記チャンバ内に配置され、前記第1のウィンドウから入射するレーザ光を多重反射することにより前記放電領域内を伝播させて前記第2のウィンドウから出射させる複数のミラーを有する光学系と、
を含む、極端紫外光源用ドライバレーザ。
【請求項2】
前記一対の電極が、一対の平板型電極を含む、請求項1記載の極端紫外光源用ドライバレーザ。
【請求項3】
前記一対の電極が、内側管型電極と外側管型電極とを含み、前記内側管型電極と前記外側管型電極との間に形成される放電領域において前記気体を励起してレーザ光を増幅する、請求項1記載の極端紫外光源用ドライバレーザ。
【請求項4】
前記光学系が、互いに焦点距離が等しく、焦点の位置が一致するように光軸に沿って対向して配置されることにより共焦点光学系を構成する複数のミラーを有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源用ドライバレーザ。
【請求項5】
前記光学系が、前記放電領域においてレーザ光が少なくとも1つの焦点を結ぶように対向して配置されることにより転写型光学系を構成する複数のミラーを有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の極端紫外光源用ドライバレーザ。
【請求項6】
前記光学系が、
複数のミラーを有し、前記第1のウィンドウから入射する第1の偏光のレーザ光を多重反射することにより前記放電領域内を伝播させる第1の光学系と、
複数の偏光子と複数のミラーとを有し、前記第1の光学系から出射する第1の偏光のレーザ光の伝播方向を変更すると共に第2の偏光のレーザ光に変換して前記第1の光学系に再度入射させ、前記第1の光学系から出射する第2の偏光のレーザ光は通過させる第2の光学系と、
を含み、前記第1のウィンドウから入射するレーザ光に対してダブルパス増幅を行い、増幅されたレーザ光を前記第2のウィンドウから出射させる請求項1〜5のいずれか1項記載の極端紫外光源用ドライバレーザ。
【請求項7】
前記光学系が、
ビームスプリッタを有し、前記第1のウィンドウから入射するレーザ光を第1のレーザ光と第2のレーザ光とに分割する第1の光学系と、
複数のミラーを有し、前記第1の光学系によって分割された第1のレーザ光と第2のレーザ光とを互いに異なる方向から前記放電領域内に入射させ、第1のレーザ光と第2のレーザ光とを多重反射することにより前記放電領域内を伝播させる第2の光学系と、
第2の光学系から出射する第1のレーザ光と第2のレーザ光とを合波する光学系と、
を含み、前記第1のウィンドウから入射するレーザ光に対して2方向増幅を行い、増幅されたレーザ光を前記第2のウィンドウから出射させる請求項1〜5のいずれか1項記載の極端紫外光源用ドライバレーザ。
【請求項8】
前記レーザ増幅器が、レーザ光が前記第1のウィンドウから入射して前記第2のウィンドウから出射するまでの光路中に、自励発振を抑制するための過飽和吸収体セルをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の極端紫外光源用ドライバレーザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−164666(P2012−164666A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−75423(P2012−75423)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【分割の表示】特願2007−186798(P2007−186798)の分割
【原出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、文部科学省、科学技術試験研究「極端紫外(EUV)光源開発等の先進半導体製造技術の実用化」、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】