説明

極端紫外光発生装置、光脱離質量分析装置、極端紫外分光測光装置および極端紫外光発生方法

【課題】小型、低コストで高強度の極端紫外光源を提供すること。
【解決手段】絶縁体(3)を挟んで対向する第1の電極(4)および第2の電極(2)と、前記第1の電極(4)および前記絶縁体(3)とを貫通する細孔光路(3a+4a)の他端側に連通して第2電極(2)に形成されたターゲット材収容部(2a)と、前記ターゲット材収容部(2a)に収容された極端紫外光(13)の発光種となる固体のターゲット材(T)と、前記第1の電極(4)と前記第2の電極(2)との間に、真空状態の前記細孔光路(3a+4a)に沿面放電を発生させる電圧パルスを印加するパルス電源(6)と、を備え、沿面放電により、前記ターゲット収容部(2a)の固体のターゲット材(T)をプラズマ化し、極端紫外光(13)を発生させて、前記細孔光路(3a+4a)を通じて外部に導く極端紫外光発生装置(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長が10nm〜300nm程度、特に120nm以下程度の極端紫外光(EUV:Extreme Ultraviolet)を発生させる極端紫外光発生装置、極端紫外光発生方法、前記極端紫外光源発生装置を使用した光脱離質量分析装置および極端紫外分光測光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体製造装置等の技術分野において、波長が10nm〜300nm以下、特に、120nm以下のEUV光源(Extreme Ultraviolet光源:極端紫外光源)の開発が盛んである。このようなEUV光源では、発光種(ターゲット)を励起状態(プラズマ化)にしてEUV光を得ており、EUV光を発生させる発光種(ターゲット)として、ガスを使用するものと固体を使用するものが知られている。
【0003】
ターゲットとしてガスを使用するEUV光源装置では、強い発光強度を売るためにガス圧が高い方(1気圧程度)がよいことが知られている(例えば、特許文献1:特開2004−226244号公報等参照)。
ここで、100nmよりも短い波長域のEUV光を透過可能な窓材が存在しないため、EUV光源と被照射物を配置する場所(チャンバ)との間を窓材で仕切ることができず、EUV光源と被照射物の配置場所とを連通させておく必要がある。したがって、原料ガスが被照射物側に流入する問題や、波長が220nm程度以下のEUV光は、空気により吸収されるため、真空状態にする必要があり、ガスが流れるEUV光源と連通状態としつつ光路を真空状態とするためには、段階的に排気を行う差動排気が必要となる(前記特許文献1等参照)。
【0004】
一方、ターゲットとして固体を使用する場合、固体を気化して励起状態からの発光を利用するため、効率よい気化が重要となる。ターゲットを励起する方式としては、大きく分けると、2つの方式があり、一方は、ターゲットをパルスレーザで励起して、発生するプラズマからEUV光を得るLPP方式(Laser Produced Plasma:レーザ生成プラズマ方式)であり、もう1つは、電極間にパルス電力を供給して発生した放電によるプラズマからEUV光を得るDPP方式(Discharge Produced Plasma:放電生成プラズマ方式)である。このようなEUV光源装置に関して、下記の特許文献2、3が知られている。
【0005】
特許文献2としての特開2009−32776号公報には、リング状の絶縁材(2c)を挟んで配置されたカソード(2a)とアノード(2c)に、貫通する連通穴を形成して、連通穴にSnH等のEUV放射種を含む原料ガスを供給し、カソード(2a)とアノード(2b)との間にパルス電力を供給して、絶縁材(2c)表面に沿面放電(creeping discharge)を発生させて大電流を流し、連通穴部分でプラズマを発生させて、Snに対応する波長13.5nmのEUV光を発生させる技術が記載されている。すなわち、ターゲットとしてガスを使用したDPP方式のEUV光源装置が記載されている。
また、特許文献2には、外周部分がエッジ状に形成された円盤状のカソード(20a)とアノード(20b)を設け、アノード(20b)の外周縁に固体のSnや固体のLiを配置し、差動排気をしながら、固体Snや固体Liに対して、レーザ照射機(30)でレーザを照射して気化、電離させると共に、電極(20a,20b)間にパルス発生部(11)でパルス電力を供給することで、エッジ間部分の空間でプラズマを発生させて、EUV光を発生させる技術も記載されている。すなわち、ターゲットとして固体を使用したLPP方式のEUV光源装置が記載されている。
【0006】
特許文献3としての特開平11−283558号公報には、密封容器(2)内にガス(ネオンガス)を封入して、密閉容器(2)内の陽極(8)と円筒状のホロー陰極(9)との間に電圧を印加し、陽極(8)とホロー陰極(9)との間の放電によって、封入ガスが電離してプラズマが発生し、陰極(9)の白金がスパッタ(気化)され、193.4369nmの波長にピークを有する輝線を得るDPP方式の技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−226244号公報(「0013」〜「0015」、図1)
【特許文献2】特開2009−32776号公報(「0003」〜「0011」、「0042」〜「0049」、図7、図10)
【特許文献3】特開平11−283558号公報(「0015」〜「0019」、「0024」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般のLPP方式のEUV光源では、励起されたターゲット材の一部が、デブリとなり、発生したEUV光を集光等する光学系を損傷させやすい問題がある。また、LPP方式では、レーザー光が照射される部分が損傷して窪みが形成され、発光条件が変わるため、レーザーが照射されるターゲットの表面を移動させる等して発光部分を変える必要がある。さらに、DPP方式に比べて、装置が大型化しやすく、消費電力が大きいという課題もある。
【0009】
特許文献3記載のDPP方式のEUV光源では、光が通過する窓を有する封入容器が必要であり、得たいEUV光の波長によっては、EUV光が窓を通過できない問題がある。また、特許文献3記載の技術では、低圧ガスプラズマであるため、電子密度が低く、スパッタにより気化される金属蒸気の密度も低いため、得られる光の強度も弱いという問題がある。100nm以下のEUV光を通過させるために窓材を設けない場合、特許文献1、2記載のように差動排気系が必要となる。しかしながら、差動排気系は、EUV光が通過する開口が小さければ、ガスの流入量が少なく、真空ポンプの出力も低くて済むが、開口が小さいと通過するEUV光が少なくなるため、ある程度の大きさの開口が必要となり、高出力の真空ポンプが必要となってしまう。したがって、差動排気系を有するEUV光源では、高出力の真空ポンプが必要となり、大型化、高コスト化する問題がある。
【0010】
特に、現在研究が行われている波長13.5nmの光源が半導体製造用のステッパー光源として採用された場合、いろいろな材料の波長13.5nm近傍における光学特性を検査、測定する必要がある。光学特性を検査、測定するためには、波長13.5nm近傍の光源が必要であるが、波長100nm以下のEUV光である波長13.5nmの光を使用するステッパー光源は非常に高価で、これら検査用、測定用に使用する小型で、安価な光源の必要性は高い。特に、波長100nm以下のEUV光を用いる光量子プロセスや、光脱離等の計測などで必要性が高い。光量子プロセスにおいては、200nm〜50nmの光が必要であることが分かってきたが、ステッパーではなく計測機器用の光源として、100nm以下の光源は実用的なものがほとんどない。
【0011】
本発明は、小型、低コストで高強度の極端紫外光源を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の極端紫外光発生装置は、
絶縁体と、
前記絶縁体を挟んで対向する第1の電極および第2の電極と、
前記第1の電極および前記絶縁体とを貫通して形成され、一端が窓材を介さずに第1の電極の外方に開口し且つ他端が前記絶縁体端面で開口する細孔光路と、
前記細孔光路の他端側に連通して、前記第2電極に形成されたターゲット材収容部と、
前記ターゲット材収容部に収容された極端紫外光の発光種となる固体のターゲット材と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に、真空状態の前記細孔光路に沿面放電を発生させる電圧パルスを印加するパルス電源と、
を備え、
前記沿面放電により、前記ターゲット収容部の固体のターゲット材をプラズマ化し、極端紫外光を発生させて、前記細孔光路を通じて外部に導く
ことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の極端紫外光発生装置において、
前記第2の電極が陰極であることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の極端紫外光発生装置において、
前記細孔光路の他端側に空間をあけて前記ターゲット材が収容された前記ターゲット収容部、
を備え、
前記細孔光路の他端側の空間の周壁が前記細孔光路と共に、中空筒状のホロー陰極の一部を構成し、前記ホロー陰極で生成される電子により前記ターゲット材をスパッタすることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の極端紫外光発生装置において、
前記第2の電極が、前記絶縁体に対して回動可能に支承され、前記回動方向に沿って複数のターゲット材収容部を有し、前記ターゲット材収容部と前記細孔光路との一致時に同期して電圧パルスが印加されて、前記細孔光路に対向するターゲット材収容部に収容された前記ターゲット材から極端紫外光を発生させることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の極端紫外光発生装置において、
複数の元素を含む前記ターゲット材を使用することを特徴とする。
【0017】
前記技術的課題を解決するために、請求項6に記載の発明の光脱離質量分析装置は、
請求項1ないし5のいずれかに記載の極端紫外光発生装置と、
前記極端紫外光発生装置の前記細孔光路の一端側の開口が、窓を介さずに接続された処理室と、
前記処理室内および前記細孔光路を真空状態に排気する排気装置と、
前記処理室内に配置され、前記極端紫外光発生装置からの極端紫外光を分光する回折格子と、
前記処理室内に配置され、分光された極端紫外光が照射される被照射物と、
前記被照射物から脱離した物質を分析する質量分析計と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
前記技術的課題を解決するために、請求項7に記載の発明の極端紫外分光測光装置は、
請求項1ないし5のいずれかに記載の極端紫外光発生装置と、
前記極端紫外光発生装置の前記細孔光路の一端側の開口が、窓を介さずに接続された処理室と、
前記処理室内および前記細孔光路を真空状態に排気する排気装置と、
前記処理室内に配置され、前記極端紫外光発生装置からの極端紫外光を分光する回折格子と、
前記処理室内に配置され、分光された極端紫外光が照射される被照射物と、
前記被照射物を透過した光を測定する透過光測定装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
前記技術的課題を解決するために、請求項8に記載の発明の極端紫外分光測光装置は、
請求項1ないし5のいずれかに記載の極端紫外光発生装置と、
前記極端紫外光発生装置の前記細孔光路の一端側の開口が、窓を介さずに接続された処理室と、
前記処理室内および前記細孔光路を真空状態に排気する排気装置と、
前記処理室内に配置され、前記極端紫外光発生装置からの極端紫外光を分光する回折格子と、
前記処理室内に配置され、分光された極端紫外光が照射される被照射物と、
前記被照射物で反射した光を測定する反射光測定装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
前記技術的課題を解決するために、請求項9に記載の発明の極端紫外光発生方法は、
絶縁体を挟んで対向する一対の電極の一方の電極に極端紫外光の発光種となる固体のターゲット材を収容するターゲット材収容部を形成し、他方の電極および前記絶縁体を貫通し且つ前記ターゲット収容部に開口する細孔光路を形成して、前記一対の電極間に前記細孔光路内で沿面放電を発生させる電圧パルスを印加することで、前記細孔光路の沿面放電により、固体のターゲット材をプラズマ化し、極端紫外光を発生させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1、9に記載の発明によれば、小型、低コストで高強度の極端紫外光源を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、陽極に比べて電子のエネルギーが高い陰極が第2の電極において、第2電極のターゲット材収容部に収容されたターゲット材の気化が、ターゲット材収容部が形成されていない第1の電極を陰極とする場合に比べて、生じやすく、高出力の極端紫外光を得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、ターゲット材が設けられていないターゲット収容部の露出する内面がホロー陰極を形成し、高エネルギーの電子の発生により、ホロー陰極を形成しない場合に比べて、効率よくターゲット材がスパッタされる。同時にスパッタされたターゲット材の気体が高効率で多価イオンとなり強い極端紫外光が発生する。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、第2の電極を回転させることで、ターゲット収容部を切り替えることができ、ターゲット収容部に収容されたターゲットを切り替えることができる。したがって、異なる波長の極端紫外光を発生させるターゲット材を各ターゲット収容部に収容した場合には、広い波長範囲の光源を得ることが出来る。この方法は放電パルスと同期させてターゲット収容部を回転させると連続的に波長範囲を変えることが出来る。また、同一のターゲット材を各ターゲット収容部に収容した場合には、プラズマ化で消耗したターゲット材を、第2の電極を回転させるだけで、消耗していないターゲット材に容易に交換することができる。
請求項5に記載の発明によれば、単一の元素により構成されたターゲット材を使用する場合に比べて、広い波長域の極端紫外光を得ることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、極端紫外光が照射された被照射物から光脱離した物質の質量分析を行うことができ、小型、低コストで、極端紫外光の波長域における被照射物の分析を行うことができる。また、従来、紫外光が透過可能な窓材が存在する120nmよりも長い波長領域と、窓材が存在しない120nmよりも短い波長領域では、異なる設計の装置が個別に必要であったが、請求項6に記載の発明によれば、紫外域から極端紫外域までの光が得られる極端紫外光発生装置を使用しており、紫外域から極端紫外域までの光を連続的に走査する光脱離質量分析装置を実現することが可能である。
請求項7、8に記載の発明によれば、極端紫外光が照射された被照射物の透過特性や反射特性の分析を行うことができ、小型、低コストで、極端紫外光の波長域における被照射物の分析を行うことができる。また、従来、紫外光が透過可能な窓材が存在する120nmよりも長い波長領域と、窓材が存在しない120nmよりも短い波長領域では、異なる設計の装置が個別に必要であったが、請求項7に記載の発明によれば、紫外域から極端紫外域までの光が得られる極端紫外光発生装置を使用しており、紫外域から極端紫外域までの光を連続的に走査する分光測光装置を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の極端紫外光発生装置の説明図である。
【図2】図2は、実施例1の実験結果の説明図であり、横軸に波長、縦軸に光の強度を取ったグラフである。
【図3】図3は実施例2のEUV光源装置の説明図であり、図3Aは断面図、図3Bはカソードの平面図である。
【図4】図4は実施例3のEUV光源装置を備えた透過型の極端紫外光分光測光装置の説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
【図5】図5は実施例4のEUV光源装置を備えた反射型の極端紫外光分光測光装置の説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明の極端紫外光発生装置の説明図である。
図1において、本発明の実施例1の極端紫外光発生装置の一例としてのEUV光源1は、第2の電極の一例であって陰極の一例として、板状のカソード2を有する。前記カソード2の中央部には、上方に突出する円柱状の台座部2aが形成されており、台座部2aの中央部には、ターゲット収容部の一例として、凹部状に形成されたターゲット収容凹部2bが形成されている。
前記ターゲット収容凹部2bには、極端紫外光発生用のターゲット材の一例として、固体カリウムTが収容されている。なお、実施例1では、固体カリウムTの容積は、ターゲット収容凹部2bの容積よりも小さく設定されており、ターゲット収容凹部2bの内側面(周壁)の固体カリウムTよりも右側の露出部2cが内部に露出した状態となっている。すなわち、露出した内側面である露出部2cが、筒状の電極、いわゆるホロー陰極を構成する。
【0027】
前記カソード2の表面には、絶縁体の一例として、リング状のインシュレータ3が支持されている。前記インシュレータ3には、ターゲット収容凹部2bに対応する位置に貫通口3aが形成されている。なお、実施例1では、前記貫通口3aは、直径0.5mmに設定されているが、直径はこの値に限定されず、後述する供給される電力等に応じて変更可能である。
前記インシュレータ3の表面には、第1の電極の一例であって陽極の一例として、板状のアノード4が支持されている。前記アノード4には、ターゲット収容凹部2bおよび貫通口3aに対応して、円孔状の光通過口4aが形成されている。
前記貫通口3aおよび前記光通過口4aにより、実施例1の細孔光路3a+4aが構成されている。
【0028】
前記カソード2とアノード4との間には、パルス電源6が接続されており、カソード2とアノード4との間には、パルス電力(電圧パルス)が供給される。実施例1で、前記カソード2とアノード4との間には、パルス電力として、−30[kV]、500[A]、パルス幅(半値幅)が100[ns]〜200[ns]程度の電力が供給される。なお、供給されるパルス電力は、例示した値に限定されず、沿面放電が発生可能な任意の電力とすることが可能である。
【0029】
前記EUV光源1の光通過口4aは、処理室の一例としてのチャンバ11に開口しており、チャンバ11は、排気装置の一例としての真空ポンプ12で真空排気されている。したがって、EUV光源1の光通過口4aや貫通口3a、ターゲット収容凹部2bも真空排気されている。前記チャンバ11には、光通過孔4aに対向して光導入部11aが形成されており、光導入部11aの内側には、光を絞る絞りの一例としての第1可変スリットS1が配置されている。前記チャンバ11内には、光学系の一例として、光通過口4aからの極端紫外光:EUV光13を分光する回折格子14が配置されており、第1可変スリットS1を通過して回折格子14で分光されたEUV光13は、第2可変スリットS2で絞られて、被照射物の一例としての試料Sに照射される。
前記試料Sの近傍には、測定装置の一例であって、質量分析計の一例としての4重極子質量分析計(Q−MAS:quadrupole mass spectrometer)16が配置されており、EUV光13が照射された試料Sから脱離した原子や分子の質量分析を行う。
前記EUV光源装置1、前記チャンバ11、真空ポンプ12、スリットS1,S2、回折格子14および4重極子質量分析計16により、実施例1の光脱離質量分析装置(1〜16)が構成されている。
【0030】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のEUV光源1を有する光脱離質量分析装置(1〜16)では、パルス電源6からカソード2とアノード4との間に、パルス電力を供給すると、カリウムに対応する波長40nmのEUV光13が発生した。
この原理の詳細は、以下のように考えられる。カソード2とアノード4との間に、パルス電力が供給されると、インシュレータ3の貫通口3aの内表面に沿って、沿面放電が発生し、大電流が流れる。このとき、カソード2のターゲット収容凹部2bの内壁面近傍に陰極シースが形成され、この陰極シースで加速された電子がターゲット収容凹部2b内の固体カリウムTをスパッタし(叩き出し)、ターゲット材である固体カリウムTが気体化すると同時に高いエネルギー状態に励起されて多価イオンとなる。したがって、発光種の一例としての気体化した多価イオンのカリウム粒子が、ターゲット収容凹部2b内に、高密度で生成される。そして、インシュレータ3の貫通口3aに沿った沿面放電により、貫通口3aの内側のプラズマ領域で、気体化したカリウムがプラズマとなり、カリウムに対応する波長40nm程度のEUV光13が発生する。
【0031】
特に、実施例1のEUV光源1では、ターゲットTの細孔光路3a+4a側で、ターゲット収容凹部2bの内側面が露出して、ホロー陰極を構成してる。したがって、放電に伴ってホロー陰極で、高エネルギーの電子が多く発生し、高エネルギー電子もターゲット材Tをスパッタする。したがって、スパッタされて気化したターゲット材の密度が高くなっており、発生するEUV光13の強度が、ホロー陰極を構成しない場合に比べて、強くなっている。
発生したEUV光13は、光通過口4aからチャンバ11内に照射され、回折格子14で分光されて、試料Sに照射される。
【0032】
実施例1のEUV光源1では、前記貫通口3aおよび光通過口4aが直径0.5mm程度の円柱孔により構成されており、いわば、キャピラリ管(毛細管)状に構成されている。したがって、発生したプラズマは、キャピラリ管3a+4a内に閉じこめられており、気体化したカリウムは、プラズマとターゲット収容凹部2bに挟まれた内側に閉じこめられる。したがって、気体化したカリウムが、光通過口4aを通じてチャンバ11内に放出されることがほとんど無く、デブリによる光学系(可変スリットS1,S2や回折格子14)の破損が低減されている。
【0033】
また、実施例1のEUV光源1では、固体カリウムTからターゲット収容凹部2b内に多価イオンが高密度に生成されているため、多価イオンから強いEUV光の発光が得られる。したがって、実施例1のEUV光源1では、特許文献3記載の技術のようなホローカソードランプの光に比べて1万倍以上も強い光が得られる(ターゲット材と放電条件を最適化すればさらに強くなる)と共に、アルゴンガスをターゲットとするLPP方式のレーザー生成Arプラズマ方式(例えば、特開2008−2862号公報等参照)で得られる極端紫外光と同等以上の強い光が得られる。
【0034】
さらに、実施例1のEUV光源1では、ターゲット収容凹部2bに収容するターゲット材の種類を変更することにより、ターゲット材に応じた波長の光を発生させることができ、光の波長を自由に選択することができる。特に、電極であるカソード2のターゲット収容凹部2bにターゲット材を収容するため、ターゲット材自体が導電性であるか、絶縁性であるかに関わらず、ターゲット材を気体化して、プラズマを得ることができる。
また、ターゲット材を、ブロック状や粉末状等の任意の形状とすることが可能であり、数種の発光種を混合することが可能となる。したがって、数種の発光種を混合した場合には、複数の波長の光が混合された光を得ることができ、発光波長帯を広くすることもできる。さらに、数種類の発光種を混合する場合に限定されず、複数の元素を含む多元系の化合物を採用することも可能である。また、ターゲット材としては、固体であればなんでも良く、必要とする波長に応じて任意の材料を選択可能である。特に、300nm〜10nmの間の波長に対しては、鉄、ニッケル、銅、錫、タンタル、タングステン、鉛などが、好適に用いられる。
【0035】
また、ターゲット材として固体が使用されており、発光種としてガスが使用されていないため、窓材が無くても、差動排気をする必要がなくなり、差動排気系が必要な従来の極端紫外光源に比べて、小型化、低コスト化できる。さらに、LPP方式のような励起用のレーザー光源も必要なく、部品点数が削減でき、小型化、低コスト化できる。また、実施例1のEUV光源装置は、カソード2に凹部を形成し、インシュレータ3とアノード4に貫通口3aと光通過口4aを形成しただけの簡易な構成で、極端紫外光を得ることができ、製作が極めて容易である。
したがって、従来、紫外光が透過する窓材が存在する120nmよりも長い波長領域と、窓材が存在しない120nmよりも短い波長領域では、異なる設計の装置が個別に必要であったが、実施例1の光脱離質量分析装置(1〜16)では、紫外域から極端紫外域までの光を照射可能なEUV光源1を使用しており、紫外域から極端紫外域までの光を連続的に走査する光脱離質量分析装置(1〜16)を実現することが可能である。
【0036】
また、実施例1のEUV光源装置1において、供給されるパルス電力を−30[kV]、500[A]とし、パルス幅(半値幅)を100[ns]〜200[ns]とし、パルス幅を100nsとすると、1パルス当たりの電力W1は、W1=30×10[V]×500[A]×1×10−7[s]=1.5[W]程度であり、1秒間に10パルス、すなわち繰り返し回数が10[Hz]の場合、1秒あたりの消費電力は15[W]、100Hzでも150W程度となる。したがって、従来のステッパー用の極端紫外光源等で必要な大電力が必要なくなり、大型の電源装置が必要なく、電源も小型化、省エネルギー化されると共に、高繰り返し動作が可能となっている。
したがって、実施例1のEUV光源装置1は、小型、低コスト且つ簡易な構成で、100nm以下の高強度のEUV光13を発生させることができ、計測機器等にも簡易に使用できる。
【0037】
(実施例1の変更例)
図2は、実施例1の実験結果の説明図であり、横軸に波長、縦軸に光の強度を取ったグラフである。
実施例1のEUV光源装置1では、カソード2にターゲット収容凹部2bを形成し、アノード4に光通過口4aを形成したが、実施例1の変更例では、パルス電源6による印加電圧の極性を反転させ、ターゲット収容凹部2bが形成された電極を陽極とし、光通過口4aが形成された電極を陰極として、パルス電源6を印加した。この場合でも、EUV光の発生が確認された。すなわち、陰極側である光通過口4aの内周面近傍に陰極シースが生成され、陰極シースからの電子が貫通口3aを通過してターゲット収容凹部2bまで達し、固体カリウムTをスパッタしたものと考えられる。
【0038】
ここで、図2において、実施例1の構成で、ターゲット収容凹部2b側をカソードとして実験を行った場合は、図2の実線で示すように、波長40nmに強い光が観測され、実施例1の変更例のように、ターゲット収容凹部2b側をアノードとした場合は、図2の破線で示すように、波長40nmに、実施例1よりは強度が弱いが、ピークが観測された。これは、陰極側の電子の方が、陽極側の電子よりもエネルギーが高いためであり、ターゲット材Tを収容している第2電極2側を陰極にした方が、ターゲット材の気化が生じやすく、極端紫外光の強度も強くなる。すなわち、ターゲット収容凹部2b側をカソードとする方が、強い光が得られることが確認されたが、ターゲット収容凹部2b側をアノードとすることも可能であることが確認された。
【実施例2】
【0039】
図3は実施例2のEUV光源装置の説明図であり、図3Aは断面図、図3Bはカソードの平面図である。
次に、本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図3において、実施例2のEUV光源1′では、実施例1のカソード2に替えて、第2の電極の一例であり陰極の一例としての円板状のカソード2′を有する。
実施例2のカソード2′は、回転軸21を中心として回転可能に支持されており、図3Bに示すように、回転軸21から予め設定された半径r1離れた位置には、90度ずつ位相をずらして、4つのターゲット収容凹部2b′が形成されている。
【0040】
図3Aにおいて、カソード2′の表面には、カソード2′と同様の直径を有する円板状のインシュレータ3′が支持されている。前記インシュレータ3′には、1つのターゲット収容凹部2b′に対向する位置に、貫通口3a′が形成されている。
前記貫通口3a′の位置には、実施例1と同様のアノード4が配置されており、アノード4とカソード2′との間には、パルス電源6によりパルス電力が供給可能に構成されている。
したがって、実施例2では、回転軸21を90度ずつ回転させることで、貫通口3a′および光通過口4aの位置に、4つのターゲット収容凹部2b′が順次移動、対向するように構成されている。
【0041】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2のEUV光源1′では、貫通口3a′および光通過口4aと対向したターゲット収容凹部2b′において、沿面放電によるプラズマが発生し、EUV光13が発生する。
そして、実施例2のEUV光源1′では、回転軸21を中心としてカソード2′を回転させて、貫通口3a′等に対向するターゲット収容凹部2b′を切り替えることで、ターゲット収容凹部2b′に収容されたターゲット材Tを変更できる。よって、各ターゲット収容凹部2b′に異なるターゲット材Tを収容しておけば、異なる波長のEUV光を容易に得ることができる。各ターゲット収容凹部2b′に、例えば、固体Sn(波長13.5nm)や固体Li(波長13.5nm)、固体K(40nm)等をそれぞれ収容し、回転軸21を回転させることで、異なる波長の極端紫外光を選択的に得ることが可能なEUV光源1′を提供できる。また、仮に各ターゲット収容凹部2b′に、同一のターゲット材Tを収容しておき、使用によりターゲット材Tが劣化、消耗すると、カソード2′を回転させることで、別のターゲット収容凹部2b′に収容されている劣化等していないターゲット材Tに交換することができ、速やかにEUV光13の照射や計測等が再開可能とすることも可能である。
【実施例3】
【0042】
図4は実施例3のEUV光源装置を備えた透過型の極端紫外光分光測光装置の説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
次に、本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図4において、実施例3の透過型の分光測光装置31では、実施例1の4重極子質量分析計16に替えて、透過光測定装置の一例として、試料Sの下方に配置され、試料Sを透過したEUV光13を検出する光検出器32が支持されている。
【0043】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の分光測光装置31では、EUV光源1から照射されたEUV光13は、試料Sに照射され、試料Sを透過したEUV光13が光検出器32で検出される。したがって、光検出器32で検出された透過光強度等の検出結果により、試料Sの透過特性を測定することが可能である。
特に、従来の分光測光装置では、紫外光が透過可能な窓材が存在する120nmよりも長い波長領域と、窓材が存在しない120nmよりも短い波長領域では、異なる設計の装置が個別に必要であったが、実施例3の分光測光装置31では、紫外域から極端紫外域までの光が得られるEUV光源1を使用しており、回折格子14の回転に伴って紫外域から極端紫外域までの光を連続的に走査することが可能である。
【実施例4】
【0044】
図5は実施例4のEUV光源装置を備えた反射型の極端紫外光分光測光装置の説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
次に、本発明の実施例4の説明をするが、この実施例4の説明において、前記実施例1、3の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例4は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1、3と同様に構成されている。
図5において、実施例4の反射型の分光測光装置41では、実施例1の4重極子質量分析計16に替えて、反射光測定装置の一例として、試料Sの斜め上方に配置され、試料Sで反射されたEUV光13を検出する光検出器42が支持されており、光検出器42に対応して、実施例4の試料Sは、実施例1に比べて、光検出器42側に斜めに傾斜した状態で支持されている。
【0045】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の分光測光装置41では、EUV光源1から照射されたEUV光13は、試料Sに照射され、試料Sで反射されたEUV光13が光検出器42で検出される。したがって、光検出器42で検出された反射光強度等の検出結果により、試料Sの反射特性を測定することが可能である。また、実施例4の分光測光装置41でも、実施例3と同様に、紫外域から極端紫外域までの光が得られるEUV光源1を使用しており、回折格子14の回転に伴って紫外域から極端紫外域までの光を連続的に走査することが可能である。
【0046】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H06)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、実施例に例示した数値や具体的な材料名等は、実施例に例示したものに限定されず、設計や仕様に応じて任意に変更可能である。
(H02)前記実施例2において、ターゲット収容凹部2b′は、90度ずつ位相をずらして4つ設けたが、この構成に限定されず、数や位置は任意に変更可能である。
【0047】
(H03)前記実施例において、ターゲット収容凹部2b,2b′は、円柱状の凹部に限定されず、半円球状や、円錐状、四角柱や三角柱等の多角柱状、四角錐や三角錐等の多角錐状等、任意の形状とすることが可能である。また、実施例2のカソード2′の形状も円板状に限定されず、多角板状等の任意の形状とすることが可能である。
(H04)前記実施例において、ターゲット材Tの容積は、ターゲット収容凹部2b,2b′よりも小さくしたが、ターゲット収容凹部2b,2b′と同容積または大きな容積とすることも可能である。なお、同容積として実験した場合にも、EUV光13が発生した。これは、ターゲット収容凹部2b,2b′とターゲット材との間の微小な隙間等があるため、カソード2とアノード4との間で沿面放電が発生したものと考えられる。
【0048】
(H05)前記実施例において、測定機器としてのQ−MASで質量分析を行う光脱離質量分析装置や、透過特性または反射特性の測定を行う分光測光装置31を例示したが、この構成に限定されず、これら以外にも紫外光が照射される、任意の分析、測定装置に適用可能である。また、分析、測定装置に限定されず、極端紫外光源を使用した半導体製造や、試料表面の改質、洗浄等にも使用可能である。また、実施例3の透過型の測光分光装置31と実施例4の反射型の測光分光装置41とを組み合わせて、透過光を検出する光検出器32と、反射光を検出する光検出器42の両方を備えた測光分光装置とすることも可能である。この他にも、実施例1と実施例3、4とを組み合わせたり、実施例2と実施例3、4とを組み合わせたりすることも可能である。
(H06)前記実施例2において、ターゲット収容凹部2b′が貫通口3a′に対向した状態でカソード2′の回転を停止して、電圧パルスを印加する構成を例示したが、この構成に限定されず、カソード2′は停止せずに回転し続けた状態で、ターゲット収容凹部2b′が貫通口3a′に対向した状態において、電圧パルスが印加されればよい。すなわち、ターゲット収容凹部2b′と細孔光路3a′+4aとの一致に同期して電圧パルスが印加されればよく、カソード2′が、連続的に回転する構成でも、予め設定された時間間隔で間欠的に回転する構成でも、入力がされない限り停止する構成でも適用が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1,1′…極端紫外光発生装置、
1〜16…光脱離質量分析装置、
2,2′…第2の電極,陰極、
2b,2b′…ターゲット収容部、
2c…ホロー陰極、
3,3′…絶縁体、
3a+4a,3a′+4a…細孔光路、
4…第1の電極,陽極、
11…処理室、
12…排気装置、
14…回折格子、
16…質量分析計、
31,41…極端紫外光分光測光装置、
32…透過光測定装置、
42…反射光測定装置、
S…被照射物、
T…ターゲット材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体と、
前記絶縁体を挟んで対向する第1の電極および第2の電極と、
前記第1の電極および前記絶縁体とを貫通して形成され、一端が窓材を介さずに第1の電極の外方に開口し且つ他端が前記絶縁体端面で開口する細孔光路と、
前記細孔光路の他端側に連通して、前記第2電極に形成されたターゲット材収容部と、
前記ターゲット材収容部に収容された極端紫外光の発光種となる固体のターゲット材と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に、真空状態の前記細孔光路に沿面放電を発生させる電圧パルスを印加するパルス電源と、
を備え、
前記沿面放電により、前記ターゲット収容部の固体のターゲット材をプラズマ化し、極端紫外光を発生させて、前記細孔光路を通じて外部に導く
ことを特徴とする極端紫外光発生装置。
【請求項2】
前記第2の電極が陰極であることを特徴とする請求項1に記載の極端紫外光発生装置。
【請求項3】
前記細孔光路の他端側に空間をあけて前記ターゲット材が収容された前記ターゲット収容部、
を備え、
前記細孔光路の他端側の空間の周壁が前記細孔光路と共に、中空筒状のホロー陰極の一部を構成し、前記ホロー陰極で生成される電子により前記ターゲット材をスパッタすることを特徴とする請求項2に記載の極端紫外光発生装置。
【請求項4】
前記第2の電極が、前記絶縁体に対して回動可能に支承され、前記回動方向に沿って複数のターゲット材収容部を有し、前記ターゲット材収容部と前記細孔光路との一致時に同期して電圧パルスが印加されて、前記細孔光路に対向するターゲット材収容部に収容された前記ターゲット材から極端紫外光を発生させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の極端紫外光発生装置。
【請求項5】
複数の元素を含む前記ターゲット材を使用することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の極端紫外光発生装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の極端紫外光発生装置と、
前記極端紫外光発生装置の前記細孔光路の一端側の開口が、窓を介さずに接続された処理室と、
前記処理室内および前記細孔光路を真空状態に排気する排気装置と、
前記処理室内に配置され、前記極端紫外光発生装置からの極端紫外光を分光する回折格子と、
前記処理室内に配置され、分光された極端紫外光が照射される被照射物と、
前記被照射物から脱離した物質を分析する質量分析計と、
を備えたことを特徴とする光脱離質量分析装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載の極端紫外光発生装置と、
前記極端紫外光発生装置の前記細孔光路の一端側の開口が、窓を介さずに接続された処理室と、
前記処理室内および前記細孔光路を真空状態に排気する排気装置と、
前記処理室内に配置され、前記極端紫外光発生装置からの極端紫外光を分光する回折格子と、
前記処理室内に配置され、分光された極端紫外光が照射される被照射物と、
前記被照射物を透過した光を測定する透過光測定装置と、
を備えたことを特徴とする極端紫外分光測光装置。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかに記載の極端紫外光発生装置と、
前記極端紫外光発生装置の前記細孔光路の一端側の開口が、窓を介さずに接続された処理室と、
前記処理室内および前記細孔光路を真空状態に排気する排気装置と、
前記処理室内に配置され、前記極端紫外光発生装置からの極端紫外光を分光する回折格子と、
前記処理室内に配置され、分光された極端紫外光が照射される被照射物と、
前記被照射物で反射した光を測定する反射光測定装置と、
を備えたことを特徴とする極端紫外分光測光装置。
【請求項9】
絶縁体を挟んで対向する一対の電極の一方の電極に極端紫外光の発光種となる固体のターゲット材を収容するターゲット材収容部を形成し、他方の電極および前記絶縁体を貫通し且つ前記ターゲット収容部に開口する細孔光路を形成して、前記一対の電極間に前記細孔光路内で沿面放電を発生させる電圧パルスを印加することで、前記細孔光路の沿面放電により、固体のターゲット材をプラズマ化し、極端紫外光を発生させることを特徴とする極端紫外光発生方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−3316(P2011−3316A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143604(P2009−143604)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、経済産業省、地域イノベーション創出研究開発事業の委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(505088983)株式会社NTP (5)
【出願人】(391016255)電子科学株式会社 (3)
【出願人】(304036743)国立大学法人宇都宮大学 (209)
【Fターム(参考)】