説明

楽器装置

【課題】音色向上のためにサキソフォンの概観のラッカー塗装をしていない、所謂ノーラッカーまたはアンラッカーと言われているサキソフォンは経年変化により表面が錆または酸化または腐食等により汚くなるという欠点があった。またラッカー等が塗装されていないので彫刻が高いコントラストで描けないという問題があった。
【解決手段】本発明はラッカー塗装をしていないノーラッカーのサキソフォンを製品出荷前の製造工程で金属表面の錆または酸化または腐食を促進させる化学薬品をあらかじめ均一に塗布することによって均一な錆びた面または酸化した面または腐食した面を作り、それ以降の経年変化による不均一で汚い錆または酸化または腐食を妨げる。また均一に錆びた面または酸化した面または腐食した面は光の反射率がそうでないところと異なるため彫刻模様を作った場合切り込みを入れた部分の光の反射率が異なり、高いコントラストで彫刻模様を描く事が出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
音楽演奏における楽器装置、所謂サキソフォンは1846年にアドルフ・サックスにより発明され、今日の音楽、吹奏楽、クラシック、ジャズ、フュージョン、ポピュラーミュージックなどの分野で多く使用されている、ソプラノサキソフォン、アルトサキソフォン、テナーサキソフォンの音質を改善する技術に伴う前記共鳴管の仕上げに関する発明。
【背景技術】
【0002】
当初サキソフォンは吹奏楽やブラスバンド用として開発・研究されてきたが、その後ジャズ、フュージョン、ポピュラーミュージックなどの独奏演奏にも利用されて来た。本発明はジャズ、フュージョン、ポピュラーミュージックなどには心地よい音色を得るための倍音、音の輪郭、高音部の高い音圧などの表現力が要望されて来ていたが、それらの要望に答えるために前記共鳴管のラッカーまたは金属メッキを敢えて行わず、生の材質をそのまま使用し、前記ラッカーや前記金属メッキが前記共鳴管の金属振動を抑制する作用を排除した、所謂、ノーラッカーまたはアンラッカー仕上げのサキソフォンがすでに製品化されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記ノーラッカーまたは前記アンラッカー仕上げのサキソフォンは音色を豊かにするための効果はあるが、使用に伴い前記共鳴管の表面が経年と伴に不均一な錆または酸化、腐食などにより汚れ、美観的観点から製品としての問題があった。またそれらの汚れをある程度避けるために保存状態を適切な環境に保管したりまたは使用後、水分を除去するなどにより多少効果があるが手間が掛かるという問題があった。またラッカーをかけた商品はラッカーをかけた後から彫刻を入れるので切削部とそうでない部分とのコントラストが得られ美術的価値が得られたが、前記ノーラッカーまたは前記アンラッカー仕上げのサキソフォンの彫刻は前記コントラストが得られず、彫刻模様が際立たないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
サキソフォンを構成するそれぞれの前記共鳴管の金属表面に化学変化を起こさせる化学物質を均一に塗布または霧吹き(スプレー)し、金属表面を均一に錆または酸化または腐食させる。また彫刻工程は前記錆または前記酸化または前記腐食後に行う。
【発明を実施するための形態】
【0005】
前記共鳴管によって組み立てられた塗装をしていないサキソフォン(11)に向けられたノズル(12)から霧吹き状の錆の促進物質または酸化促進物質または腐食促進物質(13)(例えば希塩酸、希硫酸、希酢酸、食塩水など)がサキソフォン(11)の表面に均一に塗布される。ノズル(12)にはコンプレッサー(14)から圧縮空気(15)が送られ、貯蔵タンク(16)には錆の促進物質または酸化促進物質または腐食促進物質(13)が液体状になって蓄えられている。サキソフォン(11)の表面には錆の促進物質または酸化促進物質または腐食促進物質が均一に塗布され、その後、時間が経過すると、サキソフォン(11)の表面は均一に錆または酸化または腐食するため、汚れた印象とは全く異なり、美的価値観が高い仕上げとなる。また錆または酸化または腐食した金属の表面は錆または酸化または腐食してない状態にくらべ光の反射率が低くなる。そのため前記錆または前記酸化または前記腐食した後から彫刻を施し彫刻の切削面は錆または酸化または腐食していないため光の反射率が高くなるので彫刻模様のコントラストが高くなる。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、ラッカーおよびメッキなどの塗装を行わない、所謂ノーラッカーまたはアンラッカー仕上げのサキソフォンにおいて、サキソフォンの製造工程内で均一な錆または酸化または腐食を表面処理として行うため、経年変化による汚れたような錆または酸化または腐食を防止することができる。(一度、錆または酸化または腐食した表面にさらなる2次的な錆または酸化または腐食が起こることがないことは広く知られている)また彫刻を施した場合は前記均一に錆または前記均一に酸化または前記均一に腐食した面は光の反射率が下がり、彫刻による切削面との反射率の差で高いコントラストの彫刻模様を創作することが可能になる。また前記錆または前記酸化または前記腐食は金属の表面の極わずかな深さで生じているため、所謂ノーラッカー(アンラッカー)仕上げのサキソフォンと同様に前記共鳴管の振動を抑制することがなく、ジャズ、フュージョン、ポピュラーミュージックなどには心地よい音色を得るための倍音、音の輪郭、高音部の高い音圧などの表現力を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の部分斜視図
【図2】 本発明の斜視図
【符号の説明】
【0008】
1吹く口(マウスピース)
2振動板(リード)
3第1の共鳴管
4第1の共鳴管と第2の共鳴管との接合部
5第2の共鳴管
6第2の共鳴管と第3の共鳴管との接合部
7第3の共鳴管
8第3の共鳴管と第4の共鳴管との接合部
9第4の共鳴管
10第5の穴を塞ぐ第5の蓋
11塗装をしていないサキソフォン
12ノズル
13錆または酸化促進物質または腐食促進物質
14コンプレッサー
15圧縮空気
16液体貯蔵タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属または硬質ゴムで出来た吹き口(1)に葦またはプラスティックによって形成された振動板(2)を設け前記吹き口(1)と前記振動板(2)は人が口に加え吹く息により前記振動板(2)を振動させることができるようになっている。また前記振動板(2)が発生した前記振動を音波として共鳴させる真鍮または銀または銅または洋白または青銅などの金属で出来た全長600mm以上1500mm以下の共鳴管(第1の共鳴管、第2の共鳴管、第3の共鳴管、および第4の共鳴管を結合した共鳴管)を設け、前記共鳴管の有効的な共鳴する長さを変化させることによって共鳴振動数を変化させることが出来る24個ないし25個の複数の円形の穴を設け、前記複数の円形の穴を個別に開閉する24個ないし25個の複数の円形の蓋を設け、前記複数の蓋のいくつかを選択的に開閉させる開閉機構を設け、前記開閉機構により音程を変えて音楽演奏ができる楽器装置(所謂、ソプラノサキソフォンまたはアルトサキソフォンまたはテナーサキソフォン、または特開2007−316562の楽器装置)において、前記共鳴管または前記共鳴管の一部の概観にラッカー塗装およびメッキ塗装をしない製品、すなわち前記共鳴管を構成する金属の表面が外観として露出している状態(所謂、ノーラッカー仕上げまたはアンラッカー仕上げ)において、予め製造工程の中で前記共鳴管の金属の表面の一部または全体に化学的な表面処理を行って、均一な錆または酸化または腐食をさせた楽器装置。
【請求項2】
前記共鳴管を前記表面処理により前記錆または前記酸化または前記腐食させた後に美術的模様の彫刻を行う事により、彫刻による切削部が錆または酸化または腐食がされていないことによる前記美術的彫刻模様のコントラストを高める請求項1の楽器装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−118484(P2012−118484A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280962(P2010−280962)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(505340054)