説明

楽曲再生装置および楽曲情報配信サーバ

【課題】 楽曲等の著作物に関連する情報を提供する場合、著作権を侵害しないよう十分に配慮する必要があり、制約が大きかった。
【解決手段】 本発明の楽曲再生装置10において、文書入力部46は、楽曲データに関連する情報が、ハイパーリンクを利用する所定の文書記述言語によって記述された楽曲情報文書を読み込み、言語解釈部38は、楽曲情報文書における文書記述言語による記述内容にしたがって楽曲データに関連する情報の内容およびその表示形式を認識する。再生処理部36は、楽曲情報文書により指定された楽曲データを再生する。権利確認部は、楽曲情報文書において文書記述言語により定義された楽曲用ハイパーリンクを用いて楽曲データが指定されている場合に、その楽曲用ハイパーリンクで指定された楽曲データを再生する権利をユーザが有しているか否かについて所定の登録情報に基づいて判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、楽曲再生装置および楽曲情報配信サーバに関する。この発明は特に、音楽を再生する装置において付加的な情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯情報端末の一つとして、符号化された楽曲データを再生できるいわゆるポータブルオーディオプレイヤーが人気を博している。ハードウエア的には、不揮発性メモリに楽曲データを格納するものや、小型ハードディスクに楽曲データを格納するものまで、容量や形式の面でメーカーごとに種々の仕様がみられる。MP3等の圧縮形式で符号化された楽曲データは、多くの場合、楽曲名、演奏者名、収録先アルバム名、演奏時間、曲番といった楽曲の内容を示すインデックス情報を内包している。小型の液晶パネルを備えるポータブルオーディオプレイヤーにあっては、再生中の楽曲に関して上記のインデックス情報を液晶パネルに表示する。
【0003】
デスクトップコンピュータにおいても、内蔵するCDドライブを用いて音楽CDを再生することができる。また、音楽CDに収録された楽曲の楽曲名、演奏者名、アルバム名等を含むインデックス情報をインターネット上の音楽データベースから自動取得する技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】[online]、Gracenote、[2004年2月10日検索]、インターネット<URL:http://www.gracenote.com/gn_japan/patents.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、データベースに登録された多数の楽曲のインデックス情報は、それらの楽曲の楽曲名等、すでに一般的に公開されている情報が一定のフォーマットでデータ化されているにすぎず、情報自体に第三者による創作の余地はない。その情報の価値や有用性という面では、ユーザが楽曲名等のインデックス情報をわざわざ手動で入力する必要がなくなるといったメリットが得られるだけであり、ユーザはその情報から新たな発見が得られるわけではない。
【0005】
また、インデックス情報をどのように利用してどのように表示させるかは、情報取得側のアプリケーションプログラムに委ねられており、表示態様の面で情報提供者側にも創作の余地はない。さらに、楽曲等の著作物に関連する情報を提供する場合、著作権を侵害しないよう十分に配慮する必要があり、制約が大きかった。
【0006】
本発明者は以上の認識に基づき本発明をなしたもので、その目的は、音楽を再生する装置を利用するユーザに付加的な情報を提供できる技術を実現する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の楽曲再生装置は、楽曲データに関連する情報が、ハイパーリンクを利用する所定の文書記述言語によって記述された楽曲情報文書を読み込む文書入力部と、楽曲情報文書における文書記述言語による記述内容にしたがって楽曲データに関連する情報の内容およびその表示形式を認識する言語解釈部と、楽曲情報文書により指定された楽曲データを再生する再生処理部と、楽曲情報文書において文書記述言語により定義された楽曲用ハイパーリンクを用いて楽曲データが指定されている場合に、その楽曲用ハイパーリンクで指定された楽曲データを再生する権利をユーザが有しているか否かについて所定の登録情報への登録有無に応じて判断する権利確認部と、楽曲データを再生する権利をユーザが有しているか否かに応じて異なる態様にて楽曲用ハイパーリンクで指定された楽曲データの内容を表示する表示処理部と、を備える。
【0008】
「楽曲データ」は、例えばMP3等の圧縮形式に符号化された音楽のデータであり、一般的には曲単位で一つのファイルを構成する。「ハイパーリンクを利用する所定の文書記述言語」は、例えばHTML(Hyper Text Markup Language)である。「楽曲用ハイパーリンク」は、例えばHTMLを拡張して用意された楽曲データ指定のための独自タグであってもよい。
【0009】
この楽曲再生装置は、例えばポータブルオーディオプレイヤである。ただし、必ずしも単一のハードウエア構成で実現されるとは限らず、その機能のうち少なくとも一部を外部のハードウエアに分離して全体を構成してもよい。例えば、権利確認部の機能の一部を楽曲情報配信サーバにもたせてもよい。
【0010】
この態様によると、ユーザが楽曲データに関して再生する権利を有するか否かにかかわらずその楽曲データへのハイパーリンクを含んだ楽曲情報文書をユーザに配布することができる。また、その楽曲データに関して再生する権利を有しないユーザに対しては、再生権利を有するユーザに対する再生とは異なる手法で表示できるので、著作権管理に配慮した形で楽曲データへの容易なアクセス手段をユーザに提供できる。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、データ構造などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、楽曲データの著作権管理に配慮した形で楽曲データへの容易なアクセス手段をユーザに提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施例1)
本実施例においては、HTMLを用いて記述された楽曲情報文書を楽曲情報配信サーバが楽曲再生装置へ送信し、楽曲再生装置はHTMLの記述内容を液晶画面に表示する。このとき、楽曲情報文書には他の楽曲データへのリンクが記述されるとともに、そのリンク内にユーザが再生する権利を有するか否かが記述されている。従来は、楽曲等の著作物に関しては著作権侵害が生じないよう配慮する必要があることから、安易にHTMLにリンク指定することはできなかった。本実施例によれば、別途再生する権利の有無を管理して、再生の許否を判断することを前提に、HTMLコンテンツを作成する側はユーザの権利有無に関して特に考慮せずにHTMLでリンク指定することができる。したがって、楽曲に関連する情報をリッチな形式で表現したコンテンツを容易に作成することができる。
【0014】
図1は、楽曲再生装置の外観を示す。楽曲再生装置10は、正面に液晶画面12を備え、その液晶画面12に楽曲データの情報やその再生状態が表示される。これらの表示形式はHTMLで記述された楽曲情報文書に定められる。楽曲再生装置10は、液晶画面12の下方に十字キー18、決定キー22、および取消キー20からなる指示受付部26を備える。ユーザは、十字キー18、決定キー22、取消キー20を操作して楽曲再生装置10を使用する。例えば、十字キー18で上下左右にスクロール指示し、決定キー22を押下すると、カーソル上の楽曲データの再生が開始され、ユーザが取消キー20を押下すると楽曲データの再生が停止される。楽曲再生装置10の上部には、楽曲情報配信サーバと無線通信するためのアンテナ16と、イヤーフォン14を差し込む音声出力端子が設けられる。すなわち、楽曲再生装置10は、アンテナ16を介した無線通信により楽曲情報配信サーバに接続し、楽曲データに関する情報を送受信する。ユーザはイヤーフォン14を用いて音楽を鑑賞する。
【0015】
図2は、楽曲再生装置および楽曲情報配信サーバの基本的な構成を示す機能ブロック図である。楽曲再生装置10は、コンテンツ格納部34、再生処理部36、言語解釈部38、権利確認部40、送受信部42、決済処理部44、文書入力部46、アンテナ16、音声出力部32、表示処理部24、指示受付部26、および制御部30を備える。楽曲再生装置10は、送受信部42とアクセスポイント52の間でアンテナ16を介して無線通信で接続され、アクセスポイント52およびインターネット50を経由して楽曲情報配信サーバ100とデータを送受信する。
【0016】
楽曲再生装置10および楽曲情報配信サーバ100の構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0017】
ユーザは、指示受付部26を操作することにより、楽曲再生装置10へ動作を指示する。指示受付部26は、ユーザから受け取った指示を制御部30へ送る。制御部30は、受け取った指示に基づいて各部の動作を制御する。例えば、ユーザが液晶画面12に表示されたメニューから特定の楽曲を選択して再生指示をすると、その選択された楽曲データを再生処理部36がコンテンツ格納部34から読み出して再生する。コンテンツ格納部34は、複数の楽曲データを保持する。再生処理部36で再生された音声は、音声出力部32から出力される。
【0018】
文書入力部46は、ユーザから楽曲データの再生指示があったときに、その楽曲データに関連する情報が記述された楽曲情報文書を、送受信部42またはコンテンツ格納部34からメモリに読み込む。楽曲情報文書は、HTMLやXML等のハイパーリンクを利用する文書記述言語によって記述されている。本実施例で用いられる文書記述言語は、楽曲データへのリンクや楽曲名等の情報を楽曲再生装置10の液晶画面12へ視覚的に表示させるためにHTMLを拡張した言語であり、独自のタグが追加されている。
【0019】
文書入力部46は、再生指示のあった楽曲データの楽曲情報文書がコンテンツ格納部34に格納されていたときはコンテンツ格納部34から読み出す。文書入力部46は、再生指示のあった楽曲データの楽曲情報文書がコンテンツ格納部34に格納されていないときは送受信部42を介して楽曲情報配信サーバ100から取得し、これをコンテンツ格納部34に格納する。コンテンツ格納部34から読み出された楽曲情報文書は言語解釈部38へ送られる。
【0020】
言語解釈部38は、楽曲情報文書における文書記述言語による記述内容にしたがって楽曲データに関連する情報の内容およびその表示形式を認識する。すなわち、言語解釈部38は、独自のタグで指定された楽曲データやその楽曲名、演奏者名、アルバム名等の情報を楽曲情報文書から認識するとともに、液晶画面12における各情報の配置や文字修飾等の表示形式を認識する。言語解釈部38は、認識した各情報とそれらの表示形式を表示処理部24へ送る。表示処理部24は、言語解釈部38から受け取った各情報をその表示形式にしたがって液晶画面12に表示する。
【0021】
言語解釈部38は、文書記述言語に含まれる独自のタグで定義された楽曲用ハイパーリンクにより、楽曲情報文書において他の楽曲データが指定されていた場合に、その楽曲データのリンク情報を権利確認部40へ送る。
【0022】
権利確認部40は、その楽曲データを再生する権利をユーザが有しているか否かについて、まず楽曲情報文書内の情報に基づいて判断を試みる。すなわち、楽曲用ハイパーリンクから権利有無の情報を読み出し、権利有りと記述されていればその楽曲データの再生する権利を有していると判断し、権利無しと記述されていればその楽曲データの再生する権利を有しないと判断する。権利有無の記述が含まれていない場合は、楽曲情報配信サーバ100へ改めて権利有無を問い合わせる。
【0023】
再生する権利をユーザが有している状態は、例えばその楽曲データを正規に購入した場合や、その楽曲データを一定期間再生するための許諾を受けているような場合である。本実施例においては、所定の登録情報を楽曲情報配信サーバ100が保持し、これを管理している。権利確認部40は、楽曲データのリンク情報とユーザを特定するためのユーザ識別情報とを、権利有無の問い合わせ内容として送受信部42を介し楽曲情報配信サーバ100へ送信する。権利確認部40は、楽曲データの再生する権利をユーザが有しているか否かの情報を、問い合わせの結果として送受信部42を介して楽曲情報配信サーバ100から受け取り、これを再生処理部36および表示処理部24へ送る。権利確認部40は、楽曲情報配信サーバ100から受け取った問い合わせ結果に基づき、権利有無の値を楽曲用ハイパーリンクの中に書き込む。
【0024】
権利確認部40は、対象となる楽曲データの再生する権利をユーザが有しないと判断した場合、再生する権利を取得するか否かに関するユーザへの問い合わせを、表示処理部24を通じて液晶画面12に表示させる。ユーザが再生する権利の取得を指示した場合、決済処理部44は、その楽曲購入のための決済処理を実行し、ユーザ識別情報、楽曲識別情報、決済情報等のデータを送受信部42経由で楽曲情報配信サーバ100へ送信する。決済処理部44が決済完了を示す情報を楽曲情報配信サーバ100から受け取ると、権利確認部40は楽曲用ハイパーリンクの中にその楽曲データについて再生する権利を有することを示す値を書き込む。
【0025】
表示処理部24は、楽曲データの再生する権利をユーザが有しているか否かに応じた異なる態様にて、楽曲用ハイパーリンクで指定された楽曲データの内容を表示する。すなわち、表示処理部24は、その楽曲データの再生する権利をユーザが有しているかについて色彩やマーク等を用いて視覚的に表現する。例えば、再生する権利を有している楽曲名は太字で表示し、再生する権利を有しない楽曲名は薄字で表示するといった視覚的な差異をもたせてもよい。表示処理部24は、権利有無に応じた差異のある表示を、ユーザによる楽曲データの再生指示がなされたときにはじめて実行してもよい。同様に、権利確認部40は、楽曲用ハイパーリンクへのユーザによる選択指示があったときにはじめて権利有無の判断を実行してもよい。
【0026】
再生処理部36は、楽曲情報文書において楽曲用ハイパーリンクでリンク指定された楽曲データを再生する。ただし、再生する権利をユーザが有している場合に限りその楽曲データを再生する。再生する権利を有しない楽曲データに関しては、部分的な短時間再生や音質を落とした再生のみ許可してもよいし、再生を拒否してもよい。
【0027】
楽曲情報配信サーバ100は、送受信部102、権利確認部104、決済処理部106、登録情報格納部108、およびコンテンツ格納部110を備える。送受信部102は、アクセスポイント52およびインターネット50を経由して楽曲再生装置10との間でデータを送受信する。すなわち、送受信部102は、楽曲再生装置10の文書入力部46から楽曲情報文書の要求を受け取ったときに、その楽曲情報文書を登録情報格納部108から読み出す。そのとき、楽曲情報文書において楽曲用ハイパーリンクでリンク指定された楽曲データについてユーザが再生する権利を有するか否かを確認する。
【0028】
登録情報格納部108は、ユーザ識別情報と、そのユーザが購入済の楽曲データを特定するための楽曲識別情報と、その再生する権利の有効期限と、を対応させて登録情報として保持する。権利確認部104は、登録情報格納部108に格納された登録情報に基づき、対象となる楽曲データについて再生する権利を有するか否か、およびその権利が有効期限を経過していないかどうかについて判断する。例えば、ユーザがその楽曲データを購入済の場合やその権利が有効期限経過前の場合に、再生する権利を有すると判断する。
【0029】
権利確認部104は、対象となる楽曲データについて再生する権利を有するか否かの判断結果を楽曲用ハイパーリンクに記述してその楽曲情報文書を文書入力部46へ送信する。文書入力部46へ送信された楽曲情報文書に記述された権利有無の記述を権利確認部40が参照し、その記述に基づいて権利確認部40はそのユーザが再生する権利を有するか否かを判断する。
【0030】
決済処理部106は、楽曲再生装置10の決済処理部44から楽曲データの購入のための決済情報を受け取ったときに、決済情報とともに受け取るユーザ識別情報と楽曲識別情報を対応づけて登録情報格納部108の登録情報に書き込む。権利確認部104は、楽曲再生装置10の送受信部42から楽曲データのダウンロード要求を受け取ったとき、その楽曲データの再生する権利をユーザが有しているか否かを確認するとともに、有していると判断した場合はその楽曲データをコンテンツ格納部110から読み出して送受信部42へ送信する。
【0031】
図3は、楽曲情報文書の記述内容を模式的に例示する。楽曲情報文書120には、楽曲名用タグ122、演奏者名用タグ124、アルバム名用タグ126、楽曲時間用タグ128、トラック番号用タグ130、および楽曲ハイパーリンク用タグ132が記述されている。これらは楽曲データの情報を表示させるための独自のタグであり、「MUSIC」と記述されるタグ名と属性値の組合せで構成される。
【0032】
楽曲名用タグ122における属性「element」には「title」の値が記述されており、楽曲名用タグ122で囲まれた「○○○○○○」の文字列はこの楽曲データの楽曲名であることが示される。演奏者名用タグ124における属性「element」には「artist」の値が記述されており、演奏者名用タグ124で囲まれた「△△△△△△」の文字列はこの楽曲データの演奏者名であることが示される。アルバム名用タグ126における属性「element」には「album」の値が記述されており、アルバム名用タグ126で囲まれた「××××××」の文字列はこの楽曲データの収録先アルバム名であることが示される。楽曲時間用タグ128における属性「element」には「time」の値が記述されており、楽曲時間用タグ128で囲まれた「4:39」の文字列はこの楽曲データの演奏時間であることが示される。トラック番号用タグ130における属性「element」には「track」の値が記述されており、トラック番号用タグ130で囲まれた「2/13」の文字列は収録先アルバムにおけるこの楽曲データの曲番であることが示される。
【0033】
楽曲ハイパーリンク用タグ132における属性「src」には「http://www.△△△.com/○○○.mp3」の値が記述されている。この値は楽曲データへのリンク情報としてのURLである。属性「right」には「1」の値が記述されている。この値はこの楽曲データの再生する権利を有するか否かを示す値であり、「0」は権利無し、「1」は権利有りを示す。楽曲ハイパーリンク用タグ132で囲まれた「こんな曲もどうぞ」の文字列は、このタグが他の推薦楽曲データへのリンクであることを示している。楽曲ハイパーリンク用タグ132で囲まれた文字列は、液晶画面12上で他の文字列とは異なる文字色または異なる文字装飾で表示され、その文字列が他の楽曲データへのリンクであることが視覚的に表現される。また、本図に示される例では、リンクされた他の楽曲データは「権利有り」であることが示されているので、液晶画面12上では太字で表示される。この楽曲データが「権利無し」であることが示されていた場合には、液晶画面12上で薄字で表示されることとなる。
【0034】
図4は、液晶画面に表示される画面例を模式的に示す。液晶画面12には、図3の楽曲情報文書120に含まれる情報が、その楽曲情報文書120に記述された表示形式にて表示される。液晶画面12には、上から順に楽曲名150、演奏者名152、アルバム名154、楽曲時間156、トラック番号158、楽曲用ハイパーリンク160が表示される。
【0035】
楽曲用ハイパーリンク160は、他の楽曲データがリンクされていることを示すためにその文字列に下線が施されているだけでなく、指定された楽曲データに関してユーザが再生する権利を有していることを視覚的に示すために太字で表示されている。ユーザがこの楽曲用ハイパーリンク160を選択すると、ユーザはその楽曲データの再生する権利を有しているので、再生処理部36は直ちにその楽曲データの再生を開始する。
【0036】
図5は、登録情報の内容を示すテーブルの図である。登録情報140は、ID欄142、ファイル名欄144、および権利期限欄146で構成される。ID欄142には、ユーザ識別情報が格納される。ファイル名欄144には、再生する権利の対象となる楽曲データ名またはその格納位置であるURLが格納される。権利期限欄146には、楽曲データの再生する権利の有効期限が格納される。例えば、「ABC0001234」のユーザ識別情報が割り当てられたユーザについては、「○○○.mp3」のファイル名をもつ楽曲データと、有効期限「2004/12/31」が対応づけられており、このユーザは「○○○.mp3」の楽曲を2004年12月31日まで再生する権利を有することが示されている。
【0037】
図6は、楽曲データの再生する権利の有無について確認するための処理過程を例示するフローチャートである。ユーザが任意の楽曲データの再生を指示し(S10)、その楽曲データの楽曲情報文書がコンテンツ格納部34に格納されている場合(S12のY)、文書入力部46はコンテンツ格納部34から楽曲情報文書を読み込む(S20)。楽曲情報文書がコンテンツ格納部34に格納されていなかった場合(S12のN)、文書入力部46は再生すべき楽曲データの楽曲情報文書に関する取得要求を楽曲情報配信サーバ100へ送信する(S14)。楽曲情報配信サーバ100の権利確認部104は、要求された楽曲情報文書をコンテンツ格納部110から読み出すとともに、楽曲情報文書内にリンク指定された他の楽曲データについてユーザが再生する権利を有するか否かを登録情報に基づいて判断する(S16)。権利確認部104は、判断結果に基づいて権利有無を示す値を楽曲情報文書に記述して楽曲再生装置10へ送信し(S18)、これを文書入力部46が読み込む(S20)。
【0038】
権利確認部40は、楽曲情報文書、特にコンテンツ格納部34から読み込まれた楽曲情報文書において、リンク指定された他の楽曲データに関する権利有無の記述がない場合(S22のN)、その楽曲データに関する再生する権利の有無を確認する要求を楽曲情報配信サーバ100へ送信する(S24)。その場合、楽曲情報配信サーバ100の権利確認部104は、要求された楽曲データの再生する権利の有無を登録情報に基づいて確認し(S26)、確認結果を楽曲再生装置10へ送信する(S28)。S22において、楽曲情報文書にリンク指定された他の楽曲データに関する権利有無の記述がある場合はS30へ移行する(S22のY)。
【0039】
表示処理部24は、リンク指定された他の楽曲データに関してユーザが再生する権利を有する場合(S32のY)、そのリンクを太字で表示し(S32)、ユーザが再生する権利を有しないと判断した場合(S32のN)、そのリンクを薄字で表示する(S34)。
【0040】
以上の通り、本実施例においては、HTMLの独自タグを用いることにより、楽曲データへのリンクをその楽曲の再生する権利の有無に配慮した形で容易に提示することができる。
【0041】
(実施例2)
本実施例における楽曲再生装置10および楽曲情報配信サーバ100は、楽曲用ハイパーリンクで指定された楽曲データについてユーザが再生を指示したときにはじめて権利確認部40または権利確認部104がその楽曲データの権利有無を判断する。この点、楽曲データがリンク指定された楽曲情報文書を楽曲再生装置10が楽曲情報配信サーバ100から取得する時点で権利確認部104があらかじめ権利有無を判断し、その判断結果を楽曲情報文書に埋め込んでおく実施例1とは処理工程の違いがある。本実施例の場合、楽曲データのリンクをユーザが選択したときに、権利確認部40はその楽曲用ハイパーリンクに記述された権利有無を示す値を参照し、権利有りと記述されていれば再生処理部36が再生を開始する。権利無しと記述されている場合、および権利有無の記述がない場合、権利確認部40は権利確認部104へ権利有無の確認を要求し、これに対して権利確認部104が登録情報に基づいて権利有無を判断し、判断結果を権利確認部40へ送信する。権利確認部40は受け取った情報に基づいて権利有無を判断する。表示処理部24は、判断結果に応じて異なる形態でリンクを表示する。この実施例においても、HTMLの独自タグを用いることにより、楽曲データへのリンクをその楽曲の再生する権利の有無に配慮した形で容易に提示することができる。
【0042】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、その各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を挙げる。
【0043】
各実施例においては、楽曲データを特定するための情報として楽曲識別情報を用いる構成としたが、変形例においては、楽曲データの一部、楽曲の音符を示す情報、楽曲の波形データ等を用いて楽曲データを特定する構成としてもよい。例えば、楽曲再生装置10が楽曲の波形の一部を楽曲情報配信サーバ100へ送信し、楽曲情報配信サーバ100はその波形データに基づいて楽曲を特定し、その楽曲データの再生する権利の有無を判断してもよい。この場合、楽曲識別情報が不明な楽曲であっても、そのデータの一部を楽曲情報配信サーバ100へ送信するだけで、対応する楽曲情報文書を得ることができる。
【0044】
各実施例においては、楽曲データを指定するためにHTMLを拡張して独自のタグ「MUSIC」を用いる構成を例示した。変形例においては、独自のタグではなく既存のタグを用いるとともに、独自のプロトコルおよび名前空間でリンク指定する構成を採用してもよい。例えば、「<A HREF=”music://www.○○○.com/○○○.mp3」のように、既存の「<A>」タグを用いるとともに、独自のデータ転送プロトコル「music」の文字列を名前空間に含めて楽曲データをリンク指定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】楽曲再生装置の外観を示す図である。
【図2】楽曲再生装置および楽曲情報配信サーバの基本的な構成を示す機能ブロック図である。
【図3】楽曲情報文書の記述内容を模式的に例示する図である。
【図4】液晶画面に表示される画面例を模式的に示す図である。
【図5】登録情報の内容を示すテーブルの図である。
【図6】楽曲データの再生する権利の有無について確認するための処理過程を例示するフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
10 楽曲再生装置、 24 表示処理部、 36 再生処理部、 38 言語解釈部、 40 権利確認部、 46 文書入力部、 104 権利確認部、 108 登録情報格納部、 120 楽曲情報文書、 134 リンク、 140 登録情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲データに関連する情報が、ハイパーリンクを利用する所定の文書記述言語によって記述された楽曲情報文書を読み込む文書入力部と、
前記楽曲情報文書における文書記述言語による記述内容にしたがって前記楽曲データに関連する情報の内容およびその表示形式を認識する言語解釈部と、
前記楽曲情報文書により指定された楽曲データを再生する再生処理部と、
前記楽曲情報文書において前記文書記述言語により定義された楽曲用ハイパーリンクを用いて楽曲データが指定されている場合に、その楽曲用ハイパーリンクで指定された楽曲データを再生する権利をユーザが有しているか否かについて所定の登録情報への登録有無に応じて判断する権利確認部と、
前記楽曲データを再生する権利を前記ユーザが有しているか否かに応じて異なる態様にて前記楽曲用ハイパーリンクで指定された楽曲データの内容を表示する表示処理部と、
を備えることを特徴とする楽曲再生装置。
【請求項2】
前記表示処理部は、前記ユーザにより前記楽曲データの再生指示がなされたときに、前記権利をユーザが有しているか否かに応じた態様にて前記楽曲用ハイパーリンクで指定された楽曲データの内容を表示することを特徴とする請求項1に記載の楽曲再生装置。
【請求項3】
ユーザを特定するための情報と、そのユーザが購入済の楽曲データを特定する情報とを対応させて前記登録情報として保持する登録情報格納部をさらに備え、
前記権利確認部は、前記登録情報において、前記楽曲用ハイパーリンクで指定された楽曲データに関してそのユーザが購入済であると記録されていれば前記再生する権利を有すると判断することを特徴とする請求項1または2に記載の楽曲再生装置。
【請求項4】
ユーザを特定するための情報と、そのユーザが再生する権利を有する楽曲データを特定する情報と、前記楽曲データに関する前記再生する権利の有効期限の情報とを対応させて前記登録情報として保持する登録情報格納部をさらに備え、
前記権利確認部は、前記登録情報において、前記楽曲用ハイパーリンクで指定された楽曲データに関して有効期限経過前の再生する権利を有する楽曲データであると記録されていればそのユーザが前記再生する権利を有すると判断することを特徴とする請求項1または2に記載の楽曲再生装置。
【請求項5】
前記権利確認部は、前記楽曲用ハイパーリンクへのユーザによる選択指示があったときに前記再生する権利を前記ユーザが有しているか否かを確認し、
前記再生処理部は、前記再生する権利を前記ユーザが有している場合に限り前記楽曲データを再生することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の楽曲再生装置。
【請求項6】
前記権利確認部は、前記楽曲用ハイパーリンクで指定された楽曲データについて前記再生する権利を有しないと判断した場合、前記再生する権利を取得するか否かに関する前記ユーザへ問い合わせを画面に表示させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の楽曲再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−72811(P2006−72811A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257027(P2004−257027)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(390024350)株式会社ジャストシステム (123)
【Fターム(参考)】