楽譜作成装置及び楽譜作成プログラム
【課題】演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成装置及び楽譜作成プログラムを提供する。
【解決手段】MIDIデータ等の音楽データに基づいて作成された楽譜情報に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、相互にタイで結ばれた複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段42と、その分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段44とを、備えたものであることから、楽曲の拍に応じて適宜定められる基準音符に基づいて楽譜に含まれる各音符を補正することにより、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【解決手段】MIDIデータ等の音楽データに基づいて作成された楽譜情報に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、相互にタイで結ばれた複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段42と、その分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段44とを、備えたものであることから、楽曲の拍に応じて適宜定められる基準音符に基づいて楽譜に含まれる各音符を補正することにより、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽譜作成装置及び楽譜作成プログラムに関し、特に、演奏者にとって読み易い楽譜を作成するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲に対応する音楽データに基づいてその楽曲の楽譜を作成(自動生成)する楽譜作成装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された楽譜表示制御装置がそれである。この技術によれば、演奏曲に関する楽曲データを供給する供給手段と、その供給手段により供給された楽曲データを分析し、演奏曲の所定範囲毎にその範囲内に含まれる楽譜記号を検出する分析手段と、その分析手段により分析された楽譜記号を所定の基本表示ブロックを単位として表示させる表示手段とを、備えたものであることから、例えば音楽データは存在するものの楽譜化が為されていない楽曲に関して、簡便にその楽曲の楽譜を自動生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−258837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、楽譜においては一般に、例えば2分音符と、相互にタイで結ばれた2つの4分音符とが等価な音を表すといったように、同じ長さの音を表すのに様々な表現をとることができる。このため、同じ演奏に対応して複数の楽譜(符割)が考えられ、例えば図23に示す(a)〜(d)は全て同一の長さの音を表している。一方、楽譜を読みつつ演奏を行う演奏者にとっては、楽譜の表現によって読み易さ(把握のし易さや拍のとり易さ)に差異があり、例えば図23に示す例では(a)、(b)が比較的読み易く、(c)、(d)は比較的読みにくい。しかし、前記従来の技術による楽譜の自動作成では、楽譜の読み易さまで考慮するものではなかったことから、例えば図23の(c)、(d)に示すような比較的読みにくい表現が頻出するおそれがあった。また、斯かる楽譜の表現を図23の(a)、(b)に示すような比較的読み易いものに編集するためには、従来は人的な作業により行う他はなく、多大な労力を要し煩雑であるという不具合があった。このため、演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成装置及び楽譜作成プログラムの開発が求められていた。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成装置及び楽譜作成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる目的を達成するために、本第1発明の要旨とするところは、楽曲に対応する音楽データに基づいてその楽曲の楽譜を作成する楽譜作成装置であって、前記音楽データに基づいて作成された楽譜に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段と、その分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段とを、備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、前記目的を達成するために、本第2発明の要旨とするところは、CPU、ROM、及びRAMを備え、そのRAMの一時記憶機能を利用しつつ前記ROMに予め記憶されたプログラムに基づいて前記CPUにより電子情報を処理する電子制御装置を、前記音楽データに基づいて作成された楽譜に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段、及びその分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段として機能させるものであることを特徴とする楽譜作成プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
このように、前記第1発明によれば、前記音楽データに基づいて作成された楽譜に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段と、その分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段とを、備えたものであることから、楽曲の拍に応じて適宜定められる基準音符に基づいて楽譜に含まれる各音符を補正することにより、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。すなわち、演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成装置を提供することができる。
【0009】
ここで、前記第1発明において、好適には、前記楽譜に含まれる各音符を長さ情報に変換する変換手段を備え、前記分割手段は、前記楽譜に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、その音符を単数乃至複数の前記基準音符及びその基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであり、前記結合手段は、その分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報の整数倍である場合には、その複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行するものである。このようにすれば、前記基準音符に基づく実用的な分割処理乃至結合処理により、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0010】
また、前記第2発明によれば、前記電子制御装置を、楽曲に対応する音楽データに基づいて作成された楽譜に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段、及びその分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段として機能させるものであることを特徴とする楽譜作成プログラムであることから、楽曲の拍に応じて適宜定められる基準音符に基づいて楽譜に含まれる各音符を補正することにより、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。すなわち、演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成プログラムを提供することができる。
【0011】
また、前記第2発明において、好適には、前記電子制御装置を、前記楽譜に含まれる各音符を長さ情報に変換する変換手段として機能させるものであり、前記分割手段は、前記楽譜に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、その音符を単数乃至複数の前記基準音符及びその基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであり、前記結合手段は、その分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報の整数倍である場合には、その複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行するものである。このようにすれば、前記基準音符に基づく実用的な分割処理乃至結合処理により、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0012】
また、前記第1発明乃至第2発明において、好適には、前記分割手段は、前記楽譜に含まれる相互に隣接する1対の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、それら1対の音符のうち後に位置する音符を、前記基準音符から前に位置する音符を引いた長さ情報に対応する第1の音符と、前記後に位置する音符からその第1の音符を引いた長さ情報に対応する第2の音符とに分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものである。このようにすれば、前記基準音符に基づく実用的な分割処理乃至結合処理により、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0013】
また、好適には、前記基準音符は4分音符である。このようにすれば、4分音符を1拍とする一般的な楽曲に関して、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好適な実施例である楽譜作成装置の構成を例示するブロック線図である。
【図2】図1に示す楽譜作成装置の電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図3】図2に示す楽譜編集手段による処理の前提となる、5線譜表において用いられる代表的な音符それぞれの長さ情報に対応するTick数を例示する図である。
【図4】図3に示す各音符とTick数との関係において、連音符の長さ情報に対応するTick数を例示する図である。
【図5】図2に示す楽譜編集手段による処理に用いられる480[tick]スコープを説明する図である。
【図6】図2に示す楽譜編集手段による処理の対象となる小節を例示する図である。
【図7】図2に示す楽譜編集手段による分割処理により図6に示す小節に含まれる音符が分割された小節を例示する図である。
【図8】図2に示す楽譜編集手段による結合処理により図7に示す小節に含まれる音符が結合された小節を例示する図であり、図6に示す小節の編集後の表現を示している。
【図9】図6に示す小節に係る、図2に示す楽譜編集手段による分割処理の一例を説明する図である。
【図10】図7に示す小節に係る、図2に示す楽譜編集手段による結合処理の一例を説明する図である。
【図11】図2に示す楽譜編集手段による処理に用いられる240[tick]スコープを説明する図である。
【図12】図2に示す楽譜編集手段による処理の対象となる小節を例示する図である。
【図13】図2に示す楽譜編集手段による分割処理により図12に示す小節に含まれる音符が分割された小節を例示する図である。
【図14】図2に示す楽譜編集手段による結合処理により図13に示す小節に含まれる音符が結合された小節を例示する図であり、図12に示す小節の編集後の表現を示している。
【図15】図12に示す小節に係る、図2に示す楽譜編集手段による分割処理の一例を説明する図である。
【図16】図13に示す小節に係る、図2に示す楽譜編集手段による結合処理の一例を説明する図である。
【図17】図2に示す楽譜編集手段による処理の対象となる小節を例示する図である。
【図18】図2に示す楽譜編集手段による分割処理により図17に示す小節に含まれる休符が分割された小節を例示する図である。
【図19】図2に示す楽譜編集手段による結合処理により図18に示す小節に含まれる休符が結合された小節を例示する図であり、図17に示す小節の編集後の表現を示している。
【図20】図17に示す小節に係る、図2に示す楽譜編集手段による分割処理の一例を説明する図である。
【図21】図18に示す小節に係る、図2に示す楽譜編集手段による結合処理の一例を説明する図である。
【図22】図1に示す楽譜作成装置の電子制御装置による楽譜作成/編集制御の要部を説明するフローチャートである。
【図23】同一の演奏を表す楽譜であっても表現によって演奏者にとっての読み易さに差が生じることを説明する図であり、(a)、(b)は比較的読み易い例を、(c)、(d)は比較的読みにくい例をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の好適な実施例である楽譜作成装置10の構成を例示するブロック線図である。この図1に示すように、本実施例の楽譜作成装置10は、中央演算処理装置であるCPU12、読出専用メモリであるROM14、及び随時書込読出メモリであるRAM16を含む電子制御装置を備え、上記CPU12により上記RAM16の一時記憶機能を利用しつつ上記ROM14に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂ノイマン型コンピュータを主体として構成されるものであり、好適には、所定のオペレーティングシステムが組み込まれた一般的なパーソナルコンピュータを主体として構成されるものである。
【0017】
図1に示すように、上記楽譜作成装置10は、記憶装置であるハードディスク18と、グラフィックスボード20と、そのグラフィックスボード20を介して上記CPU12等に接続される映像表示装置22と、インターフェイス24と、そのインターフェイス24を介して上記CPU12等に接続される入力装置26と、上記CPU12等を通信回線30に接続するためのモデム28とを、備えて構成されている。
【0018】
上記ハードディスク18は、前記楽譜作成装置10による制御に係る各種情報を記憶する記憶装置であり、図2に示すように、楽曲データベース32及び楽譜データベース34等の各種データベースを備えている。また、上記映像表示装置22は、CRT(Cathode-ray Tube)やTFT(Thin Film Transistor Liquid Crystal)等、前記CPU12による映像表示制御において上記グラフィックスボード20を介して入力される映像情報を表示させるディスプレイである。また、上記入力装置26は、前記CPU12等に対して情報入力を行うためのキーボードやマウス等の装置であり、その入力装置26により入力された入力情報は、上記インターフェイス24を介して前記CPU12等に入力される。
【0019】
前記モデム28は、前記楽譜作成装置10を公衆電話回線、ADSL回線、或いは光ファイバ回線等から構成されるWWW(World Wide Web)をはじめとするインターネット等の通信回線30に接続するための装置であり、前記CPU12から出力されるディジタル信号をアナログ信号に変換して前記通信回線30に送り出すと共に、その通信回線30を介して伝送されるアナログ信号をディジタル信号に変換して前記CPU12に供給する処理を行う。なお、前記楽譜作成装置10が特にインターネット等の通信回線30に接続を必要としない態様においては、前記モデム28は必ずしも設けられる必要はない。
【0020】
図2は、前記楽譜作成装置10の電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図2に示すように、前記ハードディスク18に備えられた楽曲データベース32は、本実施例の楽譜作成装置10による楽譜の作成の基となる複数の楽曲に対応する楽曲データ(音楽データ)を記憶する。この楽曲データは、好適には、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データ等、音程(音高)、音の長さ、及び音色(楽器)の種類を定める情報(演奏データ)であり、MIDI音源等によりその情報に対応する演奏音の出力を可能とするものである。また、前記楽譜データベース34は、前記楽曲データベース32に記憶された楽曲データに基づいて後述する楽譜作成手段36により作成された楽譜情報、延いては楽譜編集手段38により編集された楽譜情報を記憶する。
【0021】
楽譜作成手段36は、前記楽曲データベース32に記憶された楽曲データに基づいて、その楽曲データに対応する楽譜情報を作成する。換言すれば、対象となる楽曲データに対応する譜面を起こし、所定フォーマットの楽譜情報として記述する。この楽譜情報とは、例えば5本の線と4つの間から成り、隣接する線が3度の音程を表す線上乃至線間に複数種類の音符乃至休符が配列される所謂5線譜表に相当するものである。また、好適には、音符乃至休符の他に音部記号、調号、変化記号、拍子記号、縦線、複縦線、及び連結括弧(ブレース)が付記される。或いは、上記楽譜情報は、ギターやベースギター等の弦楽器の演奏に好適に用いられるタブラチュア(Tablature)すなわちタブ譜に相当するものであってもよく、対象となる弦楽器の弦それぞれに対応する6線譜乃至4線譜から成り、線上乃至線間に複数種類の音符乃至休符が配列される。また、好適には、音符乃至休符の他に棒や旗、点、スタッカート、及び弦楽器の奏法を表すための各種記号が付記される。
【0022】
上記楽譜作成手段36は、好適には、楽曲データとしてのMIDIデータを解析することでそのMIDIデータに対応する楽譜情報を作成する。すなわち、対象となるMIDIデータから楽曲に対応する一連の音程及び音の長さに係る情報を取得し、予め定められた複数種類の音符乃至休符からその音程及び音の長さに対応する音符乃至休符を選択して順次配列する自動楽譜作成処理を実行する。ここで、複数種類の音符とは、例えば5線譜表における全音符、2分音符、4分音符、8分音符、16分音符、32分音符等、それぞれ所定の相対的な長さ(音長)に相当する音符すなわち譜表中の位置によって音の高低を示すと共に形によって音の長短を示す記号である。また、複数種類の休符とは、例えば5線譜表における全休符、2分休符、4分休符、8分休符、16分休符、32分休符等、それぞれ所定の相対的な長さ(音長)に相当する休符すなわち楽曲の進行中における休止を示す記号(休止符)である。また、上記楽譜作成手段36は、好適には、楽曲データとしてのMIDIデータに記載された各音の強弱を表す情報、演奏速度を表す情報、装飾音符、及び頒布記号等の各種情報を取得し、それらの情報を上記自動楽譜作成処理において作成される楽譜情報に反映する。
【0023】
楽譜編集手段38は、上記楽譜作成手段36により作成された楽譜情報を編集する。すなわち、編集対象となる楽譜情報における符割を演奏者にとって読み易いように補正する符割自動補正処理を実行する。斯かる処理を行うために、図2に示すように、変換手段40、分割手段42、及び結合手段44を含んでいる。以下、上記楽譜編集手段38による楽譜情報の編集に係るこれら変換手段40、分割手段42、及び結合手段44による制御について、図3乃至図12等を参照して詳しく説明する。
【0024】
図3は、上記楽譜編集手段38による処理の前提となる、5線譜表において用いられる代表的な音符それぞれの長さ情報に対応するTick数を例示する図である。前述したように、前記楽譜作成手段36により作成される楽譜情報において配列される音符は、それぞれ所定の相対的な長さ(音長)に相当するものであり、図3に示すように、各音符の長さ情報をTick数で表すことができる。この図3に示すTick数は、基準音符としての4分音符の長さ情報を480[tick]とした場合における各音符の長さ情報に相当し、対象音価をnとした場合、その音符のTick数は次の(1)式により算出される。また、付点が付く音符に関しては更に半音分の長さが加算される。また、図4に示すような連音符すなわち所定の音符が等分割されると共に連結された表現で示される音符に関しても、原音符の長さ情報を表すTick数に換算することができる。
【0025】
Tick数=480[tick]/(n/4) ・・・(1)
【0026】
前記変換手段40は、予め定められた種類の基準音符を単位として、編集対象となる楽譜情報に含まれる各音符を長さ情報に変換する。例えば、基準音符としての4分音符の長さ情報に対応するTick数を480[tick]として、編集対象となる楽譜情報に含まれる各音符を相対的な長さ情報であるTick数に変換(換算)する。この変換処理により、編集対象となる楽譜情報は、その楽譜情報に含まれる各音符に対応してその長さを示すTick数が各音符の配列順に並んだ、各音符のタイミング及び長さ情報のみを要素とするメタ情報に再編される。
【0027】
前記分割手段42は、編集対象となる楽譜情報に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、相互にタイで結ばれた複数の音符に分割する分割処理を実行する。図5は、前記分割手段42による分割処理に用いられる長さスコープ(基準音符の長さ情報に対応する範囲)の一例として、4分音符の長さ情報に対応するTick数を480[tick]とした場合における480[tick]スコープを説明する図である。ここで、説明の便宜上、32分音符を最小音価としてその32分音符の長さ情報に対応するTick数である60[tick]を最小の分割単位とする分割処理について説明する。前記分割手段42は、好適には、前記変換手段40により各音符が長さ情報に変換された楽譜情報に関して、分割対象となる先頭音符から順に図5に示すような480[tick]スコープで見ていき、その楽譜情報に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報すなわち480[tick]スコープよりも長い場合には、その音符を単数乃至複数の前記基準音符及びその基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行する。
【0028】
また、前記分割手段42は、好適には、前記変換手段40により各音符が長さ情報に変換された楽譜情報に関して、分割対象となる先頭音符から順に図5に示すような480[tick]スコープで見ていき、その楽譜情報に含まれる相互に隣接する1対の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報すなわち480[tick]スコープよりも長い場合には、それら1対の音符のうち後に位置する音符(5線譜表に向かって右側に位置する音符)を、前記基準音符から前に位置する音符(5線譜表に向かって左側に位置する音符)を引いた長さ情報(前に位置する音符の音価をnとした場合、480−n[tick])に対応する第1の音符と、前記後に位置する音符からその第1の音符を引いた長さ情報(後に位置する音符の音価をn’とした場合、n’−{480−n}[tick])に対応する第2の音符とに分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行する。
【0029】
また、前記結合手段44は、前記分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する。好適には、前記分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報すなわち480[tick]スコープの整数倍である場合には、それら複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行する。
【0030】
前記楽譜編集手段38による符割自動補正処理の具体例として、図6に示す楽譜情報(小節)の分割処理乃至結合処理について説明する。なお、以下に説明する分割処理乃至結合処理では、4分音符を1拍とする楽曲において、その4分音符を基準音符とする処理を例示する。図9は、この図6に示す楽譜情報に含まれる各音符の分割処理について説明する図である。先ず、プロセス(以下、プロセスを省略する)P1において、前記変換手段40により図6に示す楽譜情報に含まれる全ての音符すなわち付点4分音符A、2分音符B、及び8分音符Cが長さ情報であるTick数に変更(換算)される。次に、P2において、音符Aに対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP2におけるチェックの結果として、音符Aに対応するTick数は480[tick]スコープよりも長く、240[tick]オーバーすることが検出される。次に、P3において、音符Aが480[tick]の音符Aと240[tick]の音符A’とに分割される。すなわち、P2におけるチェックの結果として検出された480[tick]スコープからの超過分に対応する音符A’が、音符Aから分割されて(切り離されて)新たに配列される。
【0031】
次に、P4において、音符A’及びそれに続く音符Bに対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP4におけるチェックの結果として、音符A’に対応するTick数は480[tick]スコープよりも短いが、音符A’及びそれに続く音符Bに対応するTick数は480[tick]スコープよりも長く、720[tick]オーバーすることが検出される。次に、P5において、音符Bが第1の音符である240[tick]の音符Bと第2の音符である720[tick]の音符B’とに分割される。すなわち、P4におけるチェックの結果として検出された480[tick]スコープからの超過分に対応する第2の音符B’が、第1の音符Bから分割されて新たに配列される。次に、P6において、音符B’に対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP6におけるチェックの結果として、音符B’に対応するTick数は480[tick]スコープよりも長く、240[tick]オーバーすることが検出される。
【0032】
次に、P7において、音符B’が480[tick]の音符B’と240[tick]の音符B”とに分割される。すなわち、P6におけるチェックの結果として検出された480[tick]スコープからの超過分に対応する音符B”が、音符B’から分割されて新たに配列される。次に、P8において、音符B”及びそれに続く音符Cに対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP8におけるチェックの結果として、音符B”及びそれに続く音符Cに対応するTick数が480[tick]に収まることが検出されるため、続くP9において、対象となる楽譜情報の分割処理が終了させられる。以上の分割処理により、図6に示す表現の楽譜情報が図7に示す表現の楽譜情報に変換(再編)される。すなわち、図6に示す付点4分音符Aが図7に示す4分音符A及び8分音符A’に、図6に示す付点2分音符Bが図7に示す8分音符B、4分音符B’、及び8分音符B”にそれぞれ分割される。また、分割された音符に関してはタイで相互に連結される。
【0033】
図10は、図9に示す分割処理により各音符が分割された図7に示す楽譜情報に含まれる各音符の結合処理について説明する図である。この結合処理においては、相互にタイで結ばれた複数の音符を破線で囲繞して示すタイスコープで見ていき、それら複数の音符を連結できるか否かがチェックされる。先ず、P10において、前記変換手段40により図7に示す楽譜情報に含まれる全ての音符すなわち4分音符A、8分音符B(=図7に示す音符A’)、8分音符C(=図7に示す音符B)、4分音符D(=図7に示す音符B’)、8分音符E(=図7に示す音符B”)、及び8分音符F(=図7に示す音符C)が長さ情報であるTick数に変更(換算)される。次に、P11において、音符Aと音符Bとがタイで連結されているため、それら音符A及び音符Bを連結できるか否かがチェックされる。すなわち、音符A及び音符Bに対応する長さ情報の合計が、480[tick]スコープの整数倍であるか否かがチェックされる。このP11におけるチェックの結果として、音符A及び音符Bに対応する長さ情報の合計は480[tick]スコープの整数倍ではないことが検出される。
【0034】
次に、P12において、音符Bと音符Cとはタイで連結されていないため、それら音符B及び音符Cを連結できるか否かのチェックは行われない。次に、P13において、音符D、音符E、及び音符Fが相互にタイで連結されているため、それら音符D、音符E、及び音符Fを連結できるか否かがチェックされる。すなわち、音符D、音符E、及び音符Fに対応する長さ情報の合計が、480[tick]スコープの整数倍であるか否かがチェックされる。このP13におけるチェックの結果として、音符D、音符E、及び音符Fに対応する長さ情報の合計は480[tick]スコープの2倍であることが検出される。次に、P14において、音符D、音符E、及び音符Fが480[tick]の2倍のTick数960[tick]に対応する音符D’に結合される。以上の結合処理により、図7に示す表現の楽譜情報が図8に示す表現の楽譜情報に変換される。すなわち、図7に示す4分音符B’(音符D)、8分音符B”(音符E)、及び8分音符C(音符F)が図8に示す音符D’に連結される。
【0035】
以上、図9及び図10を用いて説明した分割処理乃至結合処理により、図6に示す表現の楽譜情報が図8に示す表現の楽譜情報に変更(再編)される。これら図6及び図8に示す楽譜情報は、何れも同一の演奏を表しているが、図8に示す楽譜情報においては基準音符である4分音符に基づく表現となっており、図6に示す楽譜情報よりも演奏者にとって読み易いものとなっている。このように、本実施例の楽譜編集手段38により所定の基準音符を単位とする分割処理乃至結合処理を行うことにより、MIDIデータ等の楽曲データに基づいて前記楽譜作成手段36により自動作成された楽譜情報を、演奏者にとって読み易い楽譜に自動編集することができるのである。
【0036】
続いて、前記楽譜編集手段38による符割自動補正処理の他の好適な態様として、8分音符を基準とする制御について説明する。すなわち、8分音符を1拍とする楽曲において、その8分音符を基準音符とする処理を例示する。
【0037】
図11は、前記分割手段42による分割処理に用いられる長さスコープの一例として、8分音符の長さ情報に対応するTick数を240[tick]とした場合における240[tick]スコープを説明する図である。ここで、前述した実施例と同様に説明の便宜上、32分音符を最小音価としてその32分音符の長さ情報に対応するTick数である60[tick]を最小の分割単位とする分割処理について説明する。なお、本実施例において、各音符の長さ情報に対応するTick数は、対象音価をnとして次の(2)式により算出される。また、付点が付く音符に関しては更に半音分の長さが加算される。
【0038】
Tick数=240[tick]/(n/8) ・・・(2)
【0039】
本実施例において、前記分割手段42は、前記変換手段40により各音符が長さ情報に変換された楽譜情報に関して、分割対象となる先頭音符から順に図11に示すような240[tick]スコープで見ていき、その楽譜情報に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報すなわち240[tick]スコープよりも長い場合には、その音符を単数乃至複数の前記基準音符及びその基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行する。また、好適には、分割対象となる先頭音符から順に図11に示すような240[tick]スコープで見ていき、相互に隣接する1対の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報すなわち240[tick]スコープよりも長い場合には、それら1対の音符のうち後に位置する音符を、前記基準音符から前に位置する音符を引いた長さ情報(前に位置する音符の音価をnとした場合、240−n)[tick]に対応する第1の音符と、前記後に位置する音符からその第1の音符を引いた長さ情報(後に位置する音符の音価をn’とした場合、n’−{240−n}[tick])に対応する第2の音符とに分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行する。また、前記結合手段44は、前記分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報すなわち240[tick]スコープの整数倍である場合には、それら複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行する。
【0040】
前記楽譜編集手段38による符割自動補正処理の具体例として、図12に示す楽譜情報(小節)の分割処理乃至結合処理について説明する。図15は、この図12に示す楽譜情報に含まれる各音符の分割処理について説明する図である。先ず、P’1において、前記変換手段40により図12に示す楽譜情報に含まれる全ての音符すなわち付点8分音符A、16分音符B、16分音符C、16分音符D、16分音符E、及び付点8分音符Fが長さ情報であるTick数に変更(換算)される。次に、P’2において、音符Aに対応するTick数が240[tick]スコープによりチェックされる。このP’2におけるチェックの結果として、音符Aに対応するTick数は240[tick]スコープよりも長く、120[tick]オーバーすることが検出される。次に、P’3において、音符Aが240[tick]の音符Aと120[tick]の音符A’とに分割される。すなわち、P’2におけるチェックの結果として検出された240[tick]スコープからの超過分に対応する音符A’が、音符Aから分割されて(切り離されて)新たに配列される。
【0041】
次に、P’4において、音符A’及びそれに続く音符Bに対応するTick数が240[tick]スコープによりチェックされる。このP’4におけるチェックの結果として、音符A’及びそれに続く音符Bに対応するTick数が240[tick]に収まることが検出される。次に、P’5において、音符C及びそれに続く音符Dに対応するTick数が240[tick]スコープによりチェックされる。このP’5におけるチェックの結果として、音符C及びそれに続く音符Dに対応するTick数が240[tick]に収まることが検出される。
【0042】
次に、P’6において、音符E及びそれに続く音符Fに対応するTick数が240[tick]スコープによりチェックされる。このP’6におけるチェックの結果として、音符Eに対応するTick数は240[tick]スコープよりも短いが、音符E及びそれに続く音符Fに対応するTick数は240[tick]スコープよりも長く、240[tick]オーバーすることが検出される。次に、P’7において、音符Fが120[tick]の音符Fと240[tick]の音符F’とに分割される。すなわち、P’6におけるチェックの結果として検出された240[tick]スコープからの超過分に対応する音符F’が、音符Fから分割されて(切り離されて)新たに配列される。次に、P’7−2において、音符F’に対応するTick数が240[tick]スコープによりチェックされる。このP’7−2におけるチェックの結果として、音符F’に対応するTick数が240[tick]に収まることが検出されるため、対象となる楽譜情報の分割処理が終了させられる。以上の分割処理により、図12に示す表現の楽譜情報が図13に示す表現の楽譜情報に変換(再編)される。すなわち、図12に示す付点8分音符Aが図13に示す8分音符A及び16分音符A’に、図12に示す付点8分音符Fが図13に示す8分音符F及び16分音符F’にそれぞれ分割される。また、分割された音符に関してはタイで相互に連結される。
【0043】
図16は、図15に示す分割処理により各音符が分割された図13に示す楽譜情報に含まれる各音符の結合処理について説明する図である。この結合処理においては、相互にタイで結ばれた複数の音符を破線で囲繞して示すタイスコープで見ていき、それら複数の音符を連結できるか否かがチェックされる。先ず、P’8において、前記変換手段40により図13に示す楽譜情報に含まれる全ての音符すなわち8分音符A、16分音符B(=図13に示す音符A’)、16分音符C(=図13に示す音符B)、16分音符D(=図13に示す音符C)、16分音符E(=図13に示す音符D)、16分音符F(=図13に示す音符E)、8分音符G(=図13に示す音符F)、及び16分音符H(=図13に示す音符F’)が長さ情報であるTick数に変更(換算)される。
【0044】
次に、P’9において、音符A、音符B、及び音符Cが相互にタイで連結されているため、それら音符A、音符B、及び音符Cを連結できるか否かがチェックされる。すなわち、音符A、音符B、及び音符Cに対応する長さ情報の合計が、240[tick]スコープの整数倍であるか否かがチェックされる。このP’9におけるチェックの結果として、音符A、音符B、及び音符Cに対応する長さ情報の合計は240[tick]スコープの2倍であることが検出される。次に、P’10において、音符A、音符B、及び音符Cが240[tick]の2倍のTick数480[tick]に対応する音符Aに結合される。
【0045】
次に、P’11において、音符D及び音符Eが相互にタイで連結されているため、それら音符D及び音符Eを連結できるか否かがチェックされる。すなわち、音符D及び音符Eに対応する長さ情報の合計が、240[tick]スコープの整数倍であるか否かがチェックされる。このP’11におけるチェックの結果として、音符D及び音符Eに対応する長さ情報の合計は240[tick]スコープの1倍であることが検出される。次に、P’12において、音符D及び音符Eが240[tick]の1倍のTick数240[tick]に対応する音符Dに結合される。
【0046】
次に、P’13において、音符F、音符G、及び音符Hが相互にタイで連結されているため、それら音符F、音符G、及び音符Hを連結できるか否かがチェックされる。すなわち、音符F、音符G、及び音符Hに対応する長さ情報の合計が、240[tick]スコープの整数倍であるか否かがチェックされる。このP’13におけるチェックの結果として、音符F、音符G、及び音符Hに対応する長さ情報の合計は240[tick]スコープの2倍であることが検出される。次に、P’14において、音符F、音符G、及び音符Hが240[tick]の2倍のTick数480[tick]に対応する音符Fに結合される。以上の結合処理により、図13に示す表現の楽譜情報が図14に示す表現の楽譜情報に変換される。すなわち、図13に示す8分音符A、16分音符A’(音符B)、及び16分音符B(音符C)が4分音符Aに、16分音符C(音符D)及び16分音符D(音符E)が8分音符Dに、16分音符E(音符F)、8分音符F(音符G)、及び16分音符F’(音符H)が4分音符Fに連結される。
【0047】
以上、図15及び図16を用いて説明した分割処理乃至結合処理により、図12に示す表現の楽譜情報が図14に示す表現の楽譜情報に変更(再編)される。これら図12及び図14に示す楽譜情報は、何れも同一の演奏を表しているが、図14に示す楽譜情報においては基準音符である8分音符に基づく表現となっており、図12に示す楽譜情報よりも演奏者にとって読み易いものとなっている。このように、本実施例の楽譜編集手段38により所定の基準音符を単位とする分割処理乃至結合処理を行うことにより、MIDIデータ等の楽曲データに基づいて前記楽譜作成手段36により自動作成された楽譜情報を、演奏者にとって読み易い楽譜に自動編集することができるのである。
【0048】
続いて、前記楽譜編集手段38による符割自動補正処理の他の好適な態様として、楽譜情報に含まれる休符の編集制御について説明する。5線譜表において用いられる休符の長さは、例えば4分休符が4分音符と同じ長さというように、同じ音価の音符に対応するものであるため、各休符の長さ情報に対応するTick数は、図3を用いて前述した各音価の音符と等価なものとなる。すなわち、各休符のTick数は、基準音符(基準休符)としての4分休符の長さ情報を480[tick]とした場合における各休符の長さ情報に相当し、対象音価をnとした場合、その休符のTick数は前述した(1)式により算出される。また、付点が付く休符に関しては更に半音分の長さが加算される。
【0049】
本実施例において、前記分割手段42は、前記変換手段40により各休符が長さ情報に変換された楽譜情報に関して、分割対象となる先頭休符から順に前述した図5に示すような480[tick]スコープで見ていき、その楽譜情報に含まれる各休符に対応する長さ情報が、前記基準休符に対応する長さ情報すなわち480[tick]スコープよりも長い場合には、その休符を単数乃至複数の前記基準休符及びその基準休符よりも短い休符に分割する分割処理を実行する。また、好適には、分割対象となる小節を先頭から順に480[tick]スコープで見ていき、相互に隣接する1対の音符乃至休符に対応する長さ情報の合計が、前記基準休符に対応する長さ情報すなわち480[tick]スコープよりも長い場合には、それら1対の音符乃至休符のうち後に位置する休符を、前記基準休符から前に位置する音符乃至休符を引いた長さ情報(前に位置する音符乃至休符の音価をnとした場合、480−n[tick])に対応する第1の休符と、前記後に位置する休符からその第1の休符を引いた長さ情報(後に位置する休符の音価をn’とした場合、n’−{480−n}[tick])に対応する第2の休符とに分割する分割処理を実行する。また、前記結合手段44は、前記分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互に隣接する複数の休符に対応する長さ情報の合計が、前記基準休符に対応する長さ情報すなわち480[tick]スコープの整数倍である場合には、それら複数の休符を前記基準休符の整数倍である休符に結合する結合処理を実行する。
【0050】
前記楽譜編集手段38による符割自動補正処理の具体例として、図17に示す楽譜情報(小節)の分割処理乃至結合処理について説明する。なお、以下に説明する分割処理乃至結合処理では、4分休符を1拍とする楽曲において、その4分休符を基準音符(基準休符)とする処理を例示する。図20は、この図17に示す楽譜情報に含まれる各休符の分割処理について説明する図である。先ず、P”1において、前記変換手段40により図17に示す楽譜情報に含まれる全ての音符及び休符すなわち全休符A及び8分休符Bが長さ情報であるTick数に変更(換算)される。次に、P”2において、休符A及びその前に位置する音符に対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP”2におけるチェックの結果として、音符及びそれに続く休符Aに対応するTick数は480[tick]スコープよりも長く、720[tick]オーバーすることが検出される。
【0051】
次に、P”3において、休符Aが第1の休符である240[tick]の休符Aと第2の休符である720[tick]の休符A’とに分割される。すなわち、P”2におけるチェックの結果として検出された480[tick]スコープからの超過分に対応する第2の休符A’が、第1の休符Aから分割されて新たに配列される。次に、P”4において、休符A’に対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP”4におけるチェックの結果として、休符A’に対応するTick数は480[tick]スコープよりも長く、240[tick]オーバーすることが検出される。次に、P”5において、休符A’が480[tick]の休符A’と240[tick]の休符A”とに分割される。すなわち、P”4におけるチェックの結果として検出された480[tick]スコープからの超過分に対応する休符A”が、休符A’から分割されて新たに配列される。
【0052】
次に、P”6において、休符A”に対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP”6におけるチェックの結果として、休符A”に対応するTick数は480[tick]スコープよりも短く、240[tick]足りないことが検出される。次に、P”7において、休符A”及びそれに続く休符Bに対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP”7におけるチェックの結果として、休符A”及びそれに続く休符Bに対応するTick数が480[tick]に収まることが検出されるため、続くP”8において、対象となる楽譜情報の分割処理が終了させられる。以上の分割処理により、図17に示す表現の楽譜情報が図18に示す表現の楽譜情報に変換(再編)される。すなわち、図17に示す全休符Aが図18に示す8分休符A、4分休符A’、及び8分休符A”に分割される。
【0053】
図21は、図20に示す分割処理により各休符が分割された図18に示す楽譜情報に含まれる各休符の結合処理について説明する図である。この結合処理においては、複数の休符を連結できるか否かがチェックされる。先ず、P”9において、前記変換手段40により図18に示す楽譜情報に含まれる全ての休符すなわち8分休符A、4分休符B(=図18に示す休符A’)、8分休符C(=図18に示す休符A”)、及び8分休符D(=図18に示す休符B)が長さ情報であるTick数に変更(換算)される。次に、P”10において、対象となる小節の先頭から各休符に対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP”10におけるチェックの結果として、休符A及びその前に位置する音符に対応するTick数は480[tick]に収まるため、その休符Aは結合対象外であることが検出される。また、休符B、休符C、及び休符Dに対応する長さ情報の合計は480[tick]スコープの2倍であることが検出される。次に、P”11において、休符B、休符C、及び休符Dが480[tick]の2倍のTick数960[tick]に対応する休符B’に結合される。以上の結合処理により、図18に示す表現の楽譜情報が図19に示す表現の楽譜情報に変換される。
【0054】
以上、図20及び図21を用いて説明した分割処理乃至結合処理により、図17に示す表現の楽譜情報が図19に示す表現の楽譜情報に変更(再編)される。これら図17及び図19に示す楽譜情報は、何れも同一の演奏を表しているが、図19に示す楽譜情報においては基準休符である4分音符に基づく表現となっており、図17に示す楽譜情報よりも演奏者にとって読み易いものとなっている。このように、本実施例の楽譜編集手段38により所定の基準休符を単位とする分割処理乃至結合処理を行うことにより、MIDIデータ等の楽曲データに基づいて前記楽譜作成手段36により自動作成された楽譜情報を、演奏者にとって読み易い楽譜に自動編集することができるのである。
【0055】
図22は、前記楽譜作成装置10の電子制御装置による楽譜作成/編集制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0056】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、楽譜の作成対象となる楽曲に対応するMIDIデータが前記楽曲データベース32から読み出される。次に、前記楽譜作成手段36の動作に対応するS2において、S1にて読み出されたMIDIデータから楽曲に対応する一連の音程及び音の長さに係る情報が取得され、斯かる一連の音程及び音の長さに対応する音符乃至休符が選択されて順次配列される自動楽譜作成処理によりその楽曲に対応する楽譜情報が作成される。次に、前記変換手段40の動作に対応するS3において、S2にて作成された楽譜情報に含まれる各音符乃至休符が長さ情報であるTick数に変換される。次に、前記分割手段42の動作に対応するS4において、S3にて各音符乃至休符が長さ情報に変換された楽譜情報において、各音符が所定の基準音符を単位として相互にタイで結ばれた複数の音符に分割される分割処理が実行される。次に、前記結合手段44の動作に対応するS5において、S4にて分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符が、基準音符を単位として単数の音符に結合される結合処理が実行される。次に、S6において、S2〜S5の処理により作成された楽譜情報が前記楽譜データベース34に記憶された後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、S3〜S5が前記楽譜編集手段38の動作に対応する。
【0057】
このように、本実施例によれば、音楽データとしてのMIDIデータに基づいて作成された楽譜情報に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、相互にタイで結ばれた複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段42(S4)と、その分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段44(S5)とを、備えたものであることから、楽曲の拍に応じて適宜定められる基準音符に基づいて楽譜に含まれる各音符を補正することにより、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。すなわち、演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成装置10を提供することができる。
【0058】
また、前記楽譜情報に含まれる各音符を長さ情報に変換する変換手段40(S3)を備え、前記分割手段42は、前記楽譜情報に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、その音符を単数乃至複数の前記基準音符及びその基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであり、前記結合手段44は、その分割手段42により分割処理の実行された楽譜に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報の整数倍である場合には、その複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行するものであるため、前記基準音符に基づく実用的な分割処理乃至結合処理により、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0059】
また、本実施例によれば、前記CPU12、ROM14、及びRAM16から成る電子制御装置を、楽曲に対応する音楽データとしてのMIDIデータに基づいて作成された楽譜情報に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、相互にタイで結ばれた複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段42、及びその分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段44として機能させるものであることを特徴とする楽譜作成プログラムであることから、楽曲の拍に応じて適宜定められる基準音符に基づいて楽譜に含まれる各音符を補正することにより、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。すなわち、演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成プログラムを提供することができる。
【0060】
また、本実施例の楽譜作成プログラムは、前記電子制御装置を、前記楽譜情報に含まれる各音符を長さ情報に変換する変換手段40として機能させるものであり、前記分割手段42は、前記楽譜情報に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、その音符を単数乃至複数の前記基準音符及びその基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであり、前記結合手段44は、その分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報の整数倍である場合には、その複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行するものであるため、前記基準音符に基づく実用的な分割処理乃至結合処理により、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0061】
また、前記分割手段42は、前記楽譜情報に含まれる相互に隣接する1対の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、それら1対の音符のうち後に位置する音符を、前記基準音符から前に位置する音符を引いた長さ情報に対応する第1の音符と、前記後に位置する音符からその第1の音符を引いた長さ情報に対応する第2の音符とに分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであるため、前記基準音符に基づく実用的な分割処理乃至結合処理により、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0062】
また、前記基準音符は4分音符であるため、4分音符を1拍とする一般的な楽曲に関して、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0064】
例えば、前述の実施例において、前記楽譜作成装置10は、前記変換手段40、分割手段42、及び結合手段44を含む楽譜編集手段38に加え、楽曲データとしてのMIDIデータに基づいて楽譜情報を作成する楽譜作成手段36を機能的に備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、斯かる楽譜作成手段36は必ずしも備えられなくともよい。すなわち、他の装置乃至ソフトウェアにより作成された楽譜情報を前記楽譜編集手段38により編集する態様においても本発明の一応の効果を奏するため、前記楽譜作成手段36乃至それに対応する装置が、前記楽譜作成装置10とは別の構成として設けられたものであっても構わない。
【0065】
また、前述の実施例では特に言及していないが、前記楽譜作成装置10は、前記楽譜編集手段38による符割自動補正処理に関連して、対象となる楽器毎に種々の付加的な処理を行い得るものである。例えば、各音符のピッキング種別に応じて基準音符を変更したり、その基準音符に補正を加える等の制御が考えられる。更に、利用者による入力操作に応じて基準音符を変更する等の制御を行うことで、利用者の嗜好を楽譜情報の編集に反映できるようにしてもよい。
【0066】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0067】
10:楽譜作成装置
40:変換手段
42:分割手段
44:結合手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽譜作成装置及び楽譜作成プログラムに関し、特に、演奏者にとって読み易い楽譜を作成するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲に対応する音楽データに基づいてその楽曲の楽譜を作成(自動生成)する楽譜作成装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された楽譜表示制御装置がそれである。この技術によれば、演奏曲に関する楽曲データを供給する供給手段と、その供給手段により供給された楽曲データを分析し、演奏曲の所定範囲毎にその範囲内に含まれる楽譜記号を検出する分析手段と、その分析手段により分析された楽譜記号を所定の基本表示ブロックを単位として表示させる表示手段とを、備えたものであることから、例えば音楽データは存在するものの楽譜化が為されていない楽曲に関して、簡便にその楽曲の楽譜を自動生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−258837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、楽譜においては一般に、例えば2分音符と、相互にタイで結ばれた2つの4分音符とが等価な音を表すといったように、同じ長さの音を表すのに様々な表現をとることができる。このため、同じ演奏に対応して複数の楽譜(符割)が考えられ、例えば図23に示す(a)〜(d)は全て同一の長さの音を表している。一方、楽譜を読みつつ演奏を行う演奏者にとっては、楽譜の表現によって読み易さ(把握のし易さや拍のとり易さ)に差異があり、例えば図23に示す例では(a)、(b)が比較的読み易く、(c)、(d)は比較的読みにくい。しかし、前記従来の技術による楽譜の自動作成では、楽譜の読み易さまで考慮するものではなかったことから、例えば図23の(c)、(d)に示すような比較的読みにくい表現が頻出するおそれがあった。また、斯かる楽譜の表現を図23の(a)、(b)に示すような比較的読み易いものに編集するためには、従来は人的な作業により行う他はなく、多大な労力を要し煩雑であるという不具合があった。このため、演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成装置及び楽譜作成プログラムの開発が求められていた。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成装置及び楽譜作成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる目的を達成するために、本第1発明の要旨とするところは、楽曲に対応する音楽データに基づいてその楽曲の楽譜を作成する楽譜作成装置であって、前記音楽データに基づいて作成された楽譜に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段と、その分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段とを、備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、前記目的を達成するために、本第2発明の要旨とするところは、CPU、ROM、及びRAMを備え、そのRAMの一時記憶機能を利用しつつ前記ROMに予め記憶されたプログラムに基づいて前記CPUにより電子情報を処理する電子制御装置を、前記音楽データに基づいて作成された楽譜に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段、及びその分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段として機能させるものであることを特徴とする楽譜作成プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
このように、前記第1発明によれば、前記音楽データに基づいて作成された楽譜に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段と、その分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段とを、備えたものであることから、楽曲の拍に応じて適宜定められる基準音符に基づいて楽譜に含まれる各音符を補正することにより、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。すなわち、演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成装置を提供することができる。
【0009】
ここで、前記第1発明において、好適には、前記楽譜に含まれる各音符を長さ情報に変換する変換手段を備え、前記分割手段は、前記楽譜に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、その音符を単数乃至複数の前記基準音符及びその基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであり、前記結合手段は、その分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報の整数倍である場合には、その複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行するものである。このようにすれば、前記基準音符に基づく実用的な分割処理乃至結合処理により、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0010】
また、前記第2発明によれば、前記電子制御装置を、楽曲に対応する音楽データに基づいて作成された楽譜に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段、及びその分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段として機能させるものであることを特徴とする楽譜作成プログラムであることから、楽曲の拍に応じて適宜定められる基準音符に基づいて楽譜に含まれる各音符を補正することにより、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。すなわち、演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成プログラムを提供することができる。
【0011】
また、前記第2発明において、好適には、前記電子制御装置を、前記楽譜に含まれる各音符を長さ情報に変換する変換手段として機能させるものであり、前記分割手段は、前記楽譜に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、その音符を単数乃至複数の前記基準音符及びその基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであり、前記結合手段は、その分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報の整数倍である場合には、その複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行するものである。このようにすれば、前記基準音符に基づく実用的な分割処理乃至結合処理により、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0012】
また、前記第1発明乃至第2発明において、好適には、前記分割手段は、前記楽譜に含まれる相互に隣接する1対の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、それら1対の音符のうち後に位置する音符を、前記基準音符から前に位置する音符を引いた長さ情報に対応する第1の音符と、前記後に位置する音符からその第1の音符を引いた長さ情報に対応する第2の音符とに分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものである。このようにすれば、前記基準音符に基づく実用的な分割処理乃至結合処理により、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0013】
また、好適には、前記基準音符は4分音符である。このようにすれば、4分音符を1拍とする一般的な楽曲に関して、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好適な実施例である楽譜作成装置の構成を例示するブロック線図である。
【図2】図1に示す楽譜作成装置の電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図3】図2に示す楽譜編集手段による処理の前提となる、5線譜表において用いられる代表的な音符それぞれの長さ情報に対応するTick数を例示する図である。
【図4】図3に示す各音符とTick数との関係において、連音符の長さ情報に対応するTick数を例示する図である。
【図5】図2に示す楽譜編集手段による処理に用いられる480[tick]スコープを説明する図である。
【図6】図2に示す楽譜編集手段による処理の対象となる小節を例示する図である。
【図7】図2に示す楽譜編集手段による分割処理により図6に示す小節に含まれる音符が分割された小節を例示する図である。
【図8】図2に示す楽譜編集手段による結合処理により図7に示す小節に含まれる音符が結合された小節を例示する図であり、図6に示す小節の編集後の表現を示している。
【図9】図6に示す小節に係る、図2に示す楽譜編集手段による分割処理の一例を説明する図である。
【図10】図7に示す小節に係る、図2に示す楽譜編集手段による結合処理の一例を説明する図である。
【図11】図2に示す楽譜編集手段による処理に用いられる240[tick]スコープを説明する図である。
【図12】図2に示す楽譜編集手段による処理の対象となる小節を例示する図である。
【図13】図2に示す楽譜編集手段による分割処理により図12に示す小節に含まれる音符が分割された小節を例示する図である。
【図14】図2に示す楽譜編集手段による結合処理により図13に示す小節に含まれる音符が結合された小節を例示する図であり、図12に示す小節の編集後の表現を示している。
【図15】図12に示す小節に係る、図2に示す楽譜編集手段による分割処理の一例を説明する図である。
【図16】図13に示す小節に係る、図2に示す楽譜編集手段による結合処理の一例を説明する図である。
【図17】図2に示す楽譜編集手段による処理の対象となる小節を例示する図である。
【図18】図2に示す楽譜編集手段による分割処理により図17に示す小節に含まれる休符が分割された小節を例示する図である。
【図19】図2に示す楽譜編集手段による結合処理により図18に示す小節に含まれる休符が結合された小節を例示する図であり、図17に示す小節の編集後の表現を示している。
【図20】図17に示す小節に係る、図2に示す楽譜編集手段による分割処理の一例を説明する図である。
【図21】図18に示す小節に係る、図2に示す楽譜編集手段による結合処理の一例を説明する図である。
【図22】図1に示す楽譜作成装置の電子制御装置による楽譜作成/編集制御の要部を説明するフローチャートである。
【図23】同一の演奏を表す楽譜であっても表現によって演奏者にとっての読み易さに差が生じることを説明する図であり、(a)、(b)は比較的読み易い例を、(c)、(d)は比較的読みにくい例をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の好適な実施例である楽譜作成装置10の構成を例示するブロック線図である。この図1に示すように、本実施例の楽譜作成装置10は、中央演算処理装置であるCPU12、読出専用メモリであるROM14、及び随時書込読出メモリであるRAM16を含む電子制御装置を備え、上記CPU12により上記RAM16の一時記憶機能を利用しつつ上記ROM14に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂ノイマン型コンピュータを主体として構成されるものであり、好適には、所定のオペレーティングシステムが組み込まれた一般的なパーソナルコンピュータを主体として構成されるものである。
【0017】
図1に示すように、上記楽譜作成装置10は、記憶装置であるハードディスク18と、グラフィックスボード20と、そのグラフィックスボード20を介して上記CPU12等に接続される映像表示装置22と、インターフェイス24と、そのインターフェイス24を介して上記CPU12等に接続される入力装置26と、上記CPU12等を通信回線30に接続するためのモデム28とを、備えて構成されている。
【0018】
上記ハードディスク18は、前記楽譜作成装置10による制御に係る各種情報を記憶する記憶装置であり、図2に示すように、楽曲データベース32及び楽譜データベース34等の各種データベースを備えている。また、上記映像表示装置22は、CRT(Cathode-ray Tube)やTFT(Thin Film Transistor Liquid Crystal)等、前記CPU12による映像表示制御において上記グラフィックスボード20を介して入力される映像情報を表示させるディスプレイである。また、上記入力装置26は、前記CPU12等に対して情報入力を行うためのキーボードやマウス等の装置であり、その入力装置26により入力された入力情報は、上記インターフェイス24を介して前記CPU12等に入力される。
【0019】
前記モデム28は、前記楽譜作成装置10を公衆電話回線、ADSL回線、或いは光ファイバ回線等から構成されるWWW(World Wide Web)をはじめとするインターネット等の通信回線30に接続するための装置であり、前記CPU12から出力されるディジタル信号をアナログ信号に変換して前記通信回線30に送り出すと共に、その通信回線30を介して伝送されるアナログ信号をディジタル信号に変換して前記CPU12に供給する処理を行う。なお、前記楽譜作成装置10が特にインターネット等の通信回線30に接続を必要としない態様においては、前記モデム28は必ずしも設けられる必要はない。
【0020】
図2は、前記楽譜作成装置10の電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図2に示すように、前記ハードディスク18に備えられた楽曲データベース32は、本実施例の楽譜作成装置10による楽譜の作成の基となる複数の楽曲に対応する楽曲データ(音楽データ)を記憶する。この楽曲データは、好適には、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データ等、音程(音高)、音の長さ、及び音色(楽器)の種類を定める情報(演奏データ)であり、MIDI音源等によりその情報に対応する演奏音の出力を可能とするものである。また、前記楽譜データベース34は、前記楽曲データベース32に記憶された楽曲データに基づいて後述する楽譜作成手段36により作成された楽譜情報、延いては楽譜編集手段38により編集された楽譜情報を記憶する。
【0021】
楽譜作成手段36は、前記楽曲データベース32に記憶された楽曲データに基づいて、その楽曲データに対応する楽譜情報を作成する。換言すれば、対象となる楽曲データに対応する譜面を起こし、所定フォーマットの楽譜情報として記述する。この楽譜情報とは、例えば5本の線と4つの間から成り、隣接する線が3度の音程を表す線上乃至線間に複数種類の音符乃至休符が配列される所謂5線譜表に相当するものである。また、好適には、音符乃至休符の他に音部記号、調号、変化記号、拍子記号、縦線、複縦線、及び連結括弧(ブレース)が付記される。或いは、上記楽譜情報は、ギターやベースギター等の弦楽器の演奏に好適に用いられるタブラチュア(Tablature)すなわちタブ譜に相当するものであってもよく、対象となる弦楽器の弦それぞれに対応する6線譜乃至4線譜から成り、線上乃至線間に複数種類の音符乃至休符が配列される。また、好適には、音符乃至休符の他に棒や旗、点、スタッカート、及び弦楽器の奏法を表すための各種記号が付記される。
【0022】
上記楽譜作成手段36は、好適には、楽曲データとしてのMIDIデータを解析することでそのMIDIデータに対応する楽譜情報を作成する。すなわち、対象となるMIDIデータから楽曲に対応する一連の音程及び音の長さに係る情報を取得し、予め定められた複数種類の音符乃至休符からその音程及び音の長さに対応する音符乃至休符を選択して順次配列する自動楽譜作成処理を実行する。ここで、複数種類の音符とは、例えば5線譜表における全音符、2分音符、4分音符、8分音符、16分音符、32分音符等、それぞれ所定の相対的な長さ(音長)に相当する音符すなわち譜表中の位置によって音の高低を示すと共に形によって音の長短を示す記号である。また、複数種類の休符とは、例えば5線譜表における全休符、2分休符、4分休符、8分休符、16分休符、32分休符等、それぞれ所定の相対的な長さ(音長)に相当する休符すなわち楽曲の進行中における休止を示す記号(休止符)である。また、上記楽譜作成手段36は、好適には、楽曲データとしてのMIDIデータに記載された各音の強弱を表す情報、演奏速度を表す情報、装飾音符、及び頒布記号等の各種情報を取得し、それらの情報を上記自動楽譜作成処理において作成される楽譜情報に反映する。
【0023】
楽譜編集手段38は、上記楽譜作成手段36により作成された楽譜情報を編集する。すなわち、編集対象となる楽譜情報における符割を演奏者にとって読み易いように補正する符割自動補正処理を実行する。斯かる処理を行うために、図2に示すように、変換手段40、分割手段42、及び結合手段44を含んでいる。以下、上記楽譜編集手段38による楽譜情報の編集に係るこれら変換手段40、分割手段42、及び結合手段44による制御について、図3乃至図12等を参照して詳しく説明する。
【0024】
図3は、上記楽譜編集手段38による処理の前提となる、5線譜表において用いられる代表的な音符それぞれの長さ情報に対応するTick数を例示する図である。前述したように、前記楽譜作成手段36により作成される楽譜情報において配列される音符は、それぞれ所定の相対的な長さ(音長)に相当するものであり、図3に示すように、各音符の長さ情報をTick数で表すことができる。この図3に示すTick数は、基準音符としての4分音符の長さ情報を480[tick]とした場合における各音符の長さ情報に相当し、対象音価をnとした場合、その音符のTick数は次の(1)式により算出される。また、付点が付く音符に関しては更に半音分の長さが加算される。また、図4に示すような連音符すなわち所定の音符が等分割されると共に連結された表現で示される音符に関しても、原音符の長さ情報を表すTick数に換算することができる。
【0025】
Tick数=480[tick]/(n/4) ・・・(1)
【0026】
前記変換手段40は、予め定められた種類の基準音符を単位として、編集対象となる楽譜情報に含まれる各音符を長さ情報に変換する。例えば、基準音符としての4分音符の長さ情報に対応するTick数を480[tick]として、編集対象となる楽譜情報に含まれる各音符を相対的な長さ情報であるTick数に変換(換算)する。この変換処理により、編集対象となる楽譜情報は、その楽譜情報に含まれる各音符に対応してその長さを示すTick数が各音符の配列順に並んだ、各音符のタイミング及び長さ情報のみを要素とするメタ情報に再編される。
【0027】
前記分割手段42は、編集対象となる楽譜情報に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、相互にタイで結ばれた複数の音符に分割する分割処理を実行する。図5は、前記分割手段42による分割処理に用いられる長さスコープ(基準音符の長さ情報に対応する範囲)の一例として、4分音符の長さ情報に対応するTick数を480[tick]とした場合における480[tick]スコープを説明する図である。ここで、説明の便宜上、32分音符を最小音価としてその32分音符の長さ情報に対応するTick数である60[tick]を最小の分割単位とする分割処理について説明する。前記分割手段42は、好適には、前記変換手段40により各音符が長さ情報に変換された楽譜情報に関して、分割対象となる先頭音符から順に図5に示すような480[tick]スコープで見ていき、その楽譜情報に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報すなわち480[tick]スコープよりも長い場合には、その音符を単数乃至複数の前記基準音符及びその基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行する。
【0028】
また、前記分割手段42は、好適には、前記変換手段40により各音符が長さ情報に変換された楽譜情報に関して、分割対象となる先頭音符から順に図5に示すような480[tick]スコープで見ていき、その楽譜情報に含まれる相互に隣接する1対の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報すなわち480[tick]スコープよりも長い場合には、それら1対の音符のうち後に位置する音符(5線譜表に向かって右側に位置する音符)を、前記基準音符から前に位置する音符(5線譜表に向かって左側に位置する音符)を引いた長さ情報(前に位置する音符の音価をnとした場合、480−n[tick])に対応する第1の音符と、前記後に位置する音符からその第1の音符を引いた長さ情報(後に位置する音符の音価をn’とした場合、n’−{480−n}[tick])に対応する第2の音符とに分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行する。
【0029】
また、前記結合手段44は、前記分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する。好適には、前記分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報すなわち480[tick]スコープの整数倍である場合には、それら複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行する。
【0030】
前記楽譜編集手段38による符割自動補正処理の具体例として、図6に示す楽譜情報(小節)の分割処理乃至結合処理について説明する。なお、以下に説明する分割処理乃至結合処理では、4分音符を1拍とする楽曲において、その4分音符を基準音符とする処理を例示する。図9は、この図6に示す楽譜情報に含まれる各音符の分割処理について説明する図である。先ず、プロセス(以下、プロセスを省略する)P1において、前記変換手段40により図6に示す楽譜情報に含まれる全ての音符すなわち付点4分音符A、2分音符B、及び8分音符Cが長さ情報であるTick数に変更(換算)される。次に、P2において、音符Aに対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP2におけるチェックの結果として、音符Aに対応するTick数は480[tick]スコープよりも長く、240[tick]オーバーすることが検出される。次に、P3において、音符Aが480[tick]の音符Aと240[tick]の音符A’とに分割される。すなわち、P2におけるチェックの結果として検出された480[tick]スコープからの超過分に対応する音符A’が、音符Aから分割されて(切り離されて)新たに配列される。
【0031】
次に、P4において、音符A’及びそれに続く音符Bに対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP4におけるチェックの結果として、音符A’に対応するTick数は480[tick]スコープよりも短いが、音符A’及びそれに続く音符Bに対応するTick数は480[tick]スコープよりも長く、720[tick]オーバーすることが検出される。次に、P5において、音符Bが第1の音符である240[tick]の音符Bと第2の音符である720[tick]の音符B’とに分割される。すなわち、P4におけるチェックの結果として検出された480[tick]スコープからの超過分に対応する第2の音符B’が、第1の音符Bから分割されて新たに配列される。次に、P6において、音符B’に対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP6におけるチェックの結果として、音符B’に対応するTick数は480[tick]スコープよりも長く、240[tick]オーバーすることが検出される。
【0032】
次に、P7において、音符B’が480[tick]の音符B’と240[tick]の音符B”とに分割される。すなわち、P6におけるチェックの結果として検出された480[tick]スコープからの超過分に対応する音符B”が、音符B’から分割されて新たに配列される。次に、P8において、音符B”及びそれに続く音符Cに対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP8におけるチェックの結果として、音符B”及びそれに続く音符Cに対応するTick数が480[tick]に収まることが検出されるため、続くP9において、対象となる楽譜情報の分割処理が終了させられる。以上の分割処理により、図6に示す表現の楽譜情報が図7に示す表現の楽譜情報に変換(再編)される。すなわち、図6に示す付点4分音符Aが図7に示す4分音符A及び8分音符A’に、図6に示す付点2分音符Bが図7に示す8分音符B、4分音符B’、及び8分音符B”にそれぞれ分割される。また、分割された音符に関してはタイで相互に連結される。
【0033】
図10は、図9に示す分割処理により各音符が分割された図7に示す楽譜情報に含まれる各音符の結合処理について説明する図である。この結合処理においては、相互にタイで結ばれた複数の音符を破線で囲繞して示すタイスコープで見ていき、それら複数の音符を連結できるか否かがチェックされる。先ず、P10において、前記変換手段40により図7に示す楽譜情報に含まれる全ての音符すなわち4分音符A、8分音符B(=図7に示す音符A’)、8分音符C(=図7に示す音符B)、4分音符D(=図7に示す音符B’)、8分音符E(=図7に示す音符B”)、及び8分音符F(=図7に示す音符C)が長さ情報であるTick数に変更(換算)される。次に、P11において、音符Aと音符Bとがタイで連結されているため、それら音符A及び音符Bを連結できるか否かがチェックされる。すなわち、音符A及び音符Bに対応する長さ情報の合計が、480[tick]スコープの整数倍であるか否かがチェックされる。このP11におけるチェックの結果として、音符A及び音符Bに対応する長さ情報の合計は480[tick]スコープの整数倍ではないことが検出される。
【0034】
次に、P12において、音符Bと音符Cとはタイで連結されていないため、それら音符B及び音符Cを連結できるか否かのチェックは行われない。次に、P13において、音符D、音符E、及び音符Fが相互にタイで連結されているため、それら音符D、音符E、及び音符Fを連結できるか否かがチェックされる。すなわち、音符D、音符E、及び音符Fに対応する長さ情報の合計が、480[tick]スコープの整数倍であるか否かがチェックされる。このP13におけるチェックの結果として、音符D、音符E、及び音符Fに対応する長さ情報の合計は480[tick]スコープの2倍であることが検出される。次に、P14において、音符D、音符E、及び音符Fが480[tick]の2倍のTick数960[tick]に対応する音符D’に結合される。以上の結合処理により、図7に示す表現の楽譜情報が図8に示す表現の楽譜情報に変換される。すなわち、図7に示す4分音符B’(音符D)、8分音符B”(音符E)、及び8分音符C(音符F)が図8に示す音符D’に連結される。
【0035】
以上、図9及び図10を用いて説明した分割処理乃至結合処理により、図6に示す表現の楽譜情報が図8に示す表現の楽譜情報に変更(再編)される。これら図6及び図8に示す楽譜情報は、何れも同一の演奏を表しているが、図8に示す楽譜情報においては基準音符である4分音符に基づく表現となっており、図6に示す楽譜情報よりも演奏者にとって読み易いものとなっている。このように、本実施例の楽譜編集手段38により所定の基準音符を単位とする分割処理乃至結合処理を行うことにより、MIDIデータ等の楽曲データに基づいて前記楽譜作成手段36により自動作成された楽譜情報を、演奏者にとって読み易い楽譜に自動編集することができるのである。
【0036】
続いて、前記楽譜編集手段38による符割自動補正処理の他の好適な態様として、8分音符を基準とする制御について説明する。すなわち、8分音符を1拍とする楽曲において、その8分音符を基準音符とする処理を例示する。
【0037】
図11は、前記分割手段42による分割処理に用いられる長さスコープの一例として、8分音符の長さ情報に対応するTick数を240[tick]とした場合における240[tick]スコープを説明する図である。ここで、前述した実施例と同様に説明の便宜上、32分音符を最小音価としてその32分音符の長さ情報に対応するTick数である60[tick]を最小の分割単位とする分割処理について説明する。なお、本実施例において、各音符の長さ情報に対応するTick数は、対象音価をnとして次の(2)式により算出される。また、付点が付く音符に関しては更に半音分の長さが加算される。
【0038】
Tick数=240[tick]/(n/8) ・・・(2)
【0039】
本実施例において、前記分割手段42は、前記変換手段40により各音符が長さ情報に変換された楽譜情報に関して、分割対象となる先頭音符から順に図11に示すような240[tick]スコープで見ていき、その楽譜情報に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報すなわち240[tick]スコープよりも長い場合には、その音符を単数乃至複数の前記基準音符及びその基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行する。また、好適には、分割対象となる先頭音符から順に図11に示すような240[tick]スコープで見ていき、相互に隣接する1対の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報すなわち240[tick]スコープよりも長い場合には、それら1対の音符のうち後に位置する音符を、前記基準音符から前に位置する音符を引いた長さ情報(前に位置する音符の音価をnとした場合、240−n)[tick]に対応する第1の音符と、前記後に位置する音符からその第1の音符を引いた長さ情報(後に位置する音符の音価をn’とした場合、n’−{240−n}[tick])に対応する第2の音符とに分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行する。また、前記結合手段44は、前記分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報すなわち240[tick]スコープの整数倍である場合には、それら複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行する。
【0040】
前記楽譜編集手段38による符割自動補正処理の具体例として、図12に示す楽譜情報(小節)の分割処理乃至結合処理について説明する。図15は、この図12に示す楽譜情報に含まれる各音符の分割処理について説明する図である。先ず、P’1において、前記変換手段40により図12に示す楽譜情報に含まれる全ての音符すなわち付点8分音符A、16分音符B、16分音符C、16分音符D、16分音符E、及び付点8分音符Fが長さ情報であるTick数に変更(換算)される。次に、P’2において、音符Aに対応するTick数が240[tick]スコープによりチェックされる。このP’2におけるチェックの結果として、音符Aに対応するTick数は240[tick]スコープよりも長く、120[tick]オーバーすることが検出される。次に、P’3において、音符Aが240[tick]の音符Aと120[tick]の音符A’とに分割される。すなわち、P’2におけるチェックの結果として検出された240[tick]スコープからの超過分に対応する音符A’が、音符Aから分割されて(切り離されて)新たに配列される。
【0041】
次に、P’4において、音符A’及びそれに続く音符Bに対応するTick数が240[tick]スコープによりチェックされる。このP’4におけるチェックの結果として、音符A’及びそれに続く音符Bに対応するTick数が240[tick]に収まることが検出される。次に、P’5において、音符C及びそれに続く音符Dに対応するTick数が240[tick]スコープによりチェックされる。このP’5におけるチェックの結果として、音符C及びそれに続く音符Dに対応するTick数が240[tick]に収まることが検出される。
【0042】
次に、P’6において、音符E及びそれに続く音符Fに対応するTick数が240[tick]スコープによりチェックされる。このP’6におけるチェックの結果として、音符Eに対応するTick数は240[tick]スコープよりも短いが、音符E及びそれに続く音符Fに対応するTick数は240[tick]スコープよりも長く、240[tick]オーバーすることが検出される。次に、P’7において、音符Fが120[tick]の音符Fと240[tick]の音符F’とに分割される。すなわち、P’6におけるチェックの結果として検出された240[tick]スコープからの超過分に対応する音符F’が、音符Fから分割されて(切り離されて)新たに配列される。次に、P’7−2において、音符F’に対応するTick数が240[tick]スコープによりチェックされる。このP’7−2におけるチェックの結果として、音符F’に対応するTick数が240[tick]に収まることが検出されるため、対象となる楽譜情報の分割処理が終了させられる。以上の分割処理により、図12に示す表現の楽譜情報が図13に示す表現の楽譜情報に変換(再編)される。すなわち、図12に示す付点8分音符Aが図13に示す8分音符A及び16分音符A’に、図12に示す付点8分音符Fが図13に示す8分音符F及び16分音符F’にそれぞれ分割される。また、分割された音符に関してはタイで相互に連結される。
【0043】
図16は、図15に示す分割処理により各音符が分割された図13に示す楽譜情報に含まれる各音符の結合処理について説明する図である。この結合処理においては、相互にタイで結ばれた複数の音符を破線で囲繞して示すタイスコープで見ていき、それら複数の音符を連結できるか否かがチェックされる。先ず、P’8において、前記変換手段40により図13に示す楽譜情報に含まれる全ての音符すなわち8分音符A、16分音符B(=図13に示す音符A’)、16分音符C(=図13に示す音符B)、16分音符D(=図13に示す音符C)、16分音符E(=図13に示す音符D)、16分音符F(=図13に示す音符E)、8分音符G(=図13に示す音符F)、及び16分音符H(=図13に示す音符F’)が長さ情報であるTick数に変更(換算)される。
【0044】
次に、P’9において、音符A、音符B、及び音符Cが相互にタイで連結されているため、それら音符A、音符B、及び音符Cを連結できるか否かがチェックされる。すなわち、音符A、音符B、及び音符Cに対応する長さ情報の合計が、240[tick]スコープの整数倍であるか否かがチェックされる。このP’9におけるチェックの結果として、音符A、音符B、及び音符Cに対応する長さ情報の合計は240[tick]スコープの2倍であることが検出される。次に、P’10において、音符A、音符B、及び音符Cが240[tick]の2倍のTick数480[tick]に対応する音符Aに結合される。
【0045】
次に、P’11において、音符D及び音符Eが相互にタイで連結されているため、それら音符D及び音符Eを連結できるか否かがチェックされる。すなわち、音符D及び音符Eに対応する長さ情報の合計が、240[tick]スコープの整数倍であるか否かがチェックされる。このP’11におけるチェックの結果として、音符D及び音符Eに対応する長さ情報の合計は240[tick]スコープの1倍であることが検出される。次に、P’12において、音符D及び音符Eが240[tick]の1倍のTick数240[tick]に対応する音符Dに結合される。
【0046】
次に、P’13において、音符F、音符G、及び音符Hが相互にタイで連結されているため、それら音符F、音符G、及び音符Hを連結できるか否かがチェックされる。すなわち、音符F、音符G、及び音符Hに対応する長さ情報の合計が、240[tick]スコープの整数倍であるか否かがチェックされる。このP’13におけるチェックの結果として、音符F、音符G、及び音符Hに対応する長さ情報の合計は240[tick]スコープの2倍であることが検出される。次に、P’14において、音符F、音符G、及び音符Hが240[tick]の2倍のTick数480[tick]に対応する音符Fに結合される。以上の結合処理により、図13に示す表現の楽譜情報が図14に示す表現の楽譜情報に変換される。すなわち、図13に示す8分音符A、16分音符A’(音符B)、及び16分音符B(音符C)が4分音符Aに、16分音符C(音符D)及び16分音符D(音符E)が8分音符Dに、16分音符E(音符F)、8分音符F(音符G)、及び16分音符F’(音符H)が4分音符Fに連結される。
【0047】
以上、図15及び図16を用いて説明した分割処理乃至結合処理により、図12に示す表現の楽譜情報が図14に示す表現の楽譜情報に変更(再編)される。これら図12及び図14に示す楽譜情報は、何れも同一の演奏を表しているが、図14に示す楽譜情報においては基準音符である8分音符に基づく表現となっており、図12に示す楽譜情報よりも演奏者にとって読み易いものとなっている。このように、本実施例の楽譜編集手段38により所定の基準音符を単位とする分割処理乃至結合処理を行うことにより、MIDIデータ等の楽曲データに基づいて前記楽譜作成手段36により自動作成された楽譜情報を、演奏者にとって読み易い楽譜に自動編集することができるのである。
【0048】
続いて、前記楽譜編集手段38による符割自動補正処理の他の好適な態様として、楽譜情報に含まれる休符の編集制御について説明する。5線譜表において用いられる休符の長さは、例えば4分休符が4分音符と同じ長さというように、同じ音価の音符に対応するものであるため、各休符の長さ情報に対応するTick数は、図3を用いて前述した各音価の音符と等価なものとなる。すなわち、各休符のTick数は、基準音符(基準休符)としての4分休符の長さ情報を480[tick]とした場合における各休符の長さ情報に相当し、対象音価をnとした場合、その休符のTick数は前述した(1)式により算出される。また、付点が付く休符に関しては更に半音分の長さが加算される。
【0049】
本実施例において、前記分割手段42は、前記変換手段40により各休符が長さ情報に変換された楽譜情報に関して、分割対象となる先頭休符から順に前述した図5に示すような480[tick]スコープで見ていき、その楽譜情報に含まれる各休符に対応する長さ情報が、前記基準休符に対応する長さ情報すなわち480[tick]スコープよりも長い場合には、その休符を単数乃至複数の前記基準休符及びその基準休符よりも短い休符に分割する分割処理を実行する。また、好適には、分割対象となる小節を先頭から順に480[tick]スコープで見ていき、相互に隣接する1対の音符乃至休符に対応する長さ情報の合計が、前記基準休符に対応する長さ情報すなわち480[tick]スコープよりも長い場合には、それら1対の音符乃至休符のうち後に位置する休符を、前記基準休符から前に位置する音符乃至休符を引いた長さ情報(前に位置する音符乃至休符の音価をnとした場合、480−n[tick])に対応する第1の休符と、前記後に位置する休符からその第1の休符を引いた長さ情報(後に位置する休符の音価をn’とした場合、n’−{480−n}[tick])に対応する第2の休符とに分割する分割処理を実行する。また、前記結合手段44は、前記分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互に隣接する複数の休符に対応する長さ情報の合計が、前記基準休符に対応する長さ情報すなわち480[tick]スコープの整数倍である場合には、それら複数の休符を前記基準休符の整数倍である休符に結合する結合処理を実行する。
【0050】
前記楽譜編集手段38による符割自動補正処理の具体例として、図17に示す楽譜情報(小節)の分割処理乃至結合処理について説明する。なお、以下に説明する分割処理乃至結合処理では、4分休符を1拍とする楽曲において、その4分休符を基準音符(基準休符)とする処理を例示する。図20は、この図17に示す楽譜情報に含まれる各休符の分割処理について説明する図である。先ず、P”1において、前記変換手段40により図17に示す楽譜情報に含まれる全ての音符及び休符すなわち全休符A及び8分休符Bが長さ情報であるTick数に変更(換算)される。次に、P”2において、休符A及びその前に位置する音符に対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP”2におけるチェックの結果として、音符及びそれに続く休符Aに対応するTick数は480[tick]スコープよりも長く、720[tick]オーバーすることが検出される。
【0051】
次に、P”3において、休符Aが第1の休符である240[tick]の休符Aと第2の休符である720[tick]の休符A’とに分割される。すなわち、P”2におけるチェックの結果として検出された480[tick]スコープからの超過分に対応する第2の休符A’が、第1の休符Aから分割されて新たに配列される。次に、P”4において、休符A’に対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP”4におけるチェックの結果として、休符A’に対応するTick数は480[tick]スコープよりも長く、240[tick]オーバーすることが検出される。次に、P”5において、休符A’が480[tick]の休符A’と240[tick]の休符A”とに分割される。すなわち、P”4におけるチェックの結果として検出された480[tick]スコープからの超過分に対応する休符A”が、休符A’から分割されて新たに配列される。
【0052】
次に、P”6において、休符A”に対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP”6におけるチェックの結果として、休符A”に対応するTick数は480[tick]スコープよりも短く、240[tick]足りないことが検出される。次に、P”7において、休符A”及びそれに続く休符Bに対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP”7におけるチェックの結果として、休符A”及びそれに続く休符Bに対応するTick数が480[tick]に収まることが検出されるため、続くP”8において、対象となる楽譜情報の分割処理が終了させられる。以上の分割処理により、図17に示す表現の楽譜情報が図18に示す表現の楽譜情報に変換(再編)される。すなわち、図17に示す全休符Aが図18に示す8分休符A、4分休符A’、及び8分休符A”に分割される。
【0053】
図21は、図20に示す分割処理により各休符が分割された図18に示す楽譜情報に含まれる各休符の結合処理について説明する図である。この結合処理においては、複数の休符を連結できるか否かがチェックされる。先ず、P”9において、前記変換手段40により図18に示す楽譜情報に含まれる全ての休符すなわち8分休符A、4分休符B(=図18に示す休符A’)、8分休符C(=図18に示す休符A”)、及び8分休符D(=図18に示す休符B)が長さ情報であるTick数に変更(換算)される。次に、P”10において、対象となる小節の先頭から各休符に対応するTick数が480[tick]スコープによりチェックされる。このP”10におけるチェックの結果として、休符A及びその前に位置する音符に対応するTick数は480[tick]に収まるため、その休符Aは結合対象外であることが検出される。また、休符B、休符C、及び休符Dに対応する長さ情報の合計は480[tick]スコープの2倍であることが検出される。次に、P”11において、休符B、休符C、及び休符Dが480[tick]の2倍のTick数960[tick]に対応する休符B’に結合される。以上の結合処理により、図18に示す表現の楽譜情報が図19に示す表現の楽譜情報に変換される。
【0054】
以上、図20及び図21を用いて説明した分割処理乃至結合処理により、図17に示す表現の楽譜情報が図19に示す表現の楽譜情報に変更(再編)される。これら図17及び図19に示す楽譜情報は、何れも同一の演奏を表しているが、図19に示す楽譜情報においては基準休符である4分音符に基づく表現となっており、図17に示す楽譜情報よりも演奏者にとって読み易いものとなっている。このように、本実施例の楽譜編集手段38により所定の基準休符を単位とする分割処理乃至結合処理を行うことにより、MIDIデータ等の楽曲データに基づいて前記楽譜作成手段36により自動作成された楽譜情報を、演奏者にとって読み易い楽譜に自動編集することができるのである。
【0055】
図22は、前記楽譜作成装置10の電子制御装置による楽譜作成/編集制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0056】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、楽譜の作成対象となる楽曲に対応するMIDIデータが前記楽曲データベース32から読み出される。次に、前記楽譜作成手段36の動作に対応するS2において、S1にて読み出されたMIDIデータから楽曲に対応する一連の音程及び音の長さに係る情報が取得され、斯かる一連の音程及び音の長さに対応する音符乃至休符が選択されて順次配列される自動楽譜作成処理によりその楽曲に対応する楽譜情報が作成される。次に、前記変換手段40の動作に対応するS3において、S2にて作成された楽譜情報に含まれる各音符乃至休符が長さ情報であるTick数に変換される。次に、前記分割手段42の動作に対応するS4において、S3にて各音符乃至休符が長さ情報に変換された楽譜情報において、各音符が所定の基準音符を単位として相互にタイで結ばれた複数の音符に分割される分割処理が実行される。次に、前記結合手段44の動作に対応するS5において、S4にて分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符が、基準音符を単位として単数の音符に結合される結合処理が実行される。次に、S6において、S2〜S5の処理により作成された楽譜情報が前記楽譜データベース34に記憶された後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、S3〜S5が前記楽譜編集手段38の動作に対応する。
【0057】
このように、本実施例によれば、音楽データとしてのMIDIデータに基づいて作成された楽譜情報に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、相互にタイで結ばれた複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段42(S4)と、その分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段44(S5)とを、備えたものであることから、楽曲の拍に応じて適宜定められる基準音符に基づいて楽譜に含まれる各音符を補正することにより、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。すなわち、演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成装置10を提供することができる。
【0058】
また、前記楽譜情報に含まれる各音符を長さ情報に変換する変換手段40(S3)を備え、前記分割手段42は、前記楽譜情報に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、その音符を単数乃至複数の前記基準音符及びその基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであり、前記結合手段44は、その分割手段42により分割処理の実行された楽譜に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報の整数倍である場合には、その複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行するものであるため、前記基準音符に基づく実用的な分割処理乃至結合処理により、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0059】
また、本実施例によれば、前記CPU12、ROM14、及びRAM16から成る電子制御装置を、楽曲に対応する音楽データとしてのMIDIデータに基づいて作成された楽譜情報に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、相互にタイで結ばれた複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段42、及びその分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段44として機能させるものであることを特徴とする楽譜作成プログラムであることから、楽曲の拍に応じて適宜定められる基準音符に基づいて楽譜に含まれる各音符を補正することにより、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。すなわち、演奏者にとって読み易い楽譜を自動編集し得る楽譜作成プログラムを提供することができる。
【0060】
また、本実施例の楽譜作成プログラムは、前記電子制御装置を、前記楽譜情報に含まれる各音符を長さ情報に変換する変換手段40として機能させるものであり、前記分割手段42は、前記楽譜情報に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、その音符を単数乃至複数の前記基準音符及びその基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであり、前記結合手段44は、その分割手段42により分割処理の実行された楽譜情報に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報の整数倍である場合には、その複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行するものであるため、前記基準音符に基づく実用的な分割処理乃至結合処理により、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0061】
また、前記分割手段42は、前記楽譜情報に含まれる相互に隣接する1対の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、それら1対の音符のうち後に位置する音符を、前記基準音符から前に位置する音符を引いた長さ情報に対応する第1の音符と、前記後に位置する音符からその第1の音符を引いた長さ情報に対応する第2の音符とに分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであるため、前記基準音符に基づく実用的な分割処理乃至結合処理により、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0062】
また、前記基準音符は4分音符であるため、4分音符を1拍とする一般的な楽曲に関して、演奏者が拍をとり易い楽譜を編集することができる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0064】
例えば、前述の実施例において、前記楽譜作成装置10は、前記変換手段40、分割手段42、及び結合手段44を含む楽譜編集手段38に加え、楽曲データとしてのMIDIデータに基づいて楽譜情報を作成する楽譜作成手段36を機能的に備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、斯かる楽譜作成手段36は必ずしも備えられなくともよい。すなわち、他の装置乃至ソフトウェアにより作成された楽譜情報を前記楽譜編集手段38により編集する態様においても本発明の一応の効果を奏するため、前記楽譜作成手段36乃至それに対応する装置が、前記楽譜作成装置10とは別の構成として設けられたものであっても構わない。
【0065】
また、前述の実施例では特に言及していないが、前記楽譜作成装置10は、前記楽譜編集手段38による符割自動補正処理に関連して、対象となる楽器毎に種々の付加的な処理を行い得るものである。例えば、各音符のピッキング種別に応じて基準音符を変更したり、その基準音符に補正を加える等の制御が考えられる。更に、利用者による入力操作に応じて基準音符を変更する等の制御を行うことで、利用者の嗜好を楽譜情報の編集に反映できるようにしてもよい。
【0066】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0067】
10:楽譜作成装置
40:変換手段
42:分割手段
44:結合手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲に対応する音楽データに基づいて該楽曲の楽譜を作成する楽譜作成装置であって、
前記音楽データに基づいて作成された楽譜に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段と、
該分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段と
を、備えたものであることを特徴とする楽譜作成装置。
【請求項2】
前記楽譜に含まれる各音符を長さ情報に変換する変換手段を備え、
前記分割手段は、前記楽譜に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、該音符を単数乃至複数の前記基準音符及び該基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであり、
前記結合手段は、該分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報の整数倍である場合には、該複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行するものである
請求項1に記載の楽譜作成装置。
【請求項3】
前記分割手段は、前記楽譜に含まれる相互に隣接する1対の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、それら1対の音符のうち後に位置する音符を、前記基準音符から前に位置する音符を引いた長さ情報に対応する第1の音符と、前記後に位置する音符から該第1の音符を引いた長さ情報に対応する第2の音符とに分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものである請求項2に記載の楽譜作成装置。
【請求項4】
前記基準音符は4分音符である請求項1から3の何れか1項に記載の楽譜作成装置。
【請求項5】
CPU、ROM、及びRAMを備え、該RAMの一時記憶機能を利用しつつ前記ROMに予め記憶されたプログラムに基づいて前記CPUにより電子情報を処理する電子制御装置を、
楽曲に対応する音楽データに基づいて作成された楽譜に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段、
及び該分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段
として機能させるものであることを特徴とする楽譜作成プログラム。
【請求項6】
前記電子制御装置を、前記楽譜に含まれる各音符を長さ情報に変換する変換手段として機能させるものであり、
前記分割手段は、前記楽譜に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、該音符を単数乃至複数の前記基準音符及び該基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであり、
前記結合手段は、該分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報の整数倍である場合には、該複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行するものである
請求項5に記載の楽譜作成プログラム。
【請求項7】
前記分割手段は、前記楽譜に含まれる相互に隣接する1対の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、それら1対の音符のうち後に位置する音符を、前記基準音符から前に位置する音符を引いた長さ情報に対応する第1の音符と、前記後に位置する音符から該第1の音符を引いた長さ情報に対応する第2の音符とに分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものである請求項6に記載の楽譜作成プログラム。
【請求項8】
前記基準音符は4分音符である請求項5から7の何れか1項に記載の楽譜作成プログラム。
【請求項1】
楽曲に対応する音楽データに基づいて該楽曲の楽譜を作成する楽譜作成装置であって、
前記音楽データに基づいて作成された楽譜に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段と、
該分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段と
を、備えたものであることを特徴とする楽譜作成装置。
【請求項2】
前記楽譜に含まれる各音符を長さ情報に変換する変換手段を備え、
前記分割手段は、前記楽譜に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、該音符を単数乃至複数の前記基準音符及び該基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであり、
前記結合手段は、該分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報の整数倍である場合には、該複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行するものである
請求項1に記載の楽譜作成装置。
【請求項3】
前記分割手段は、前記楽譜に含まれる相互に隣接する1対の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、それら1対の音符のうち後に位置する音符を、前記基準音符から前に位置する音符を引いた長さ情報に対応する第1の音符と、前記後に位置する音符から該第1の音符を引いた長さ情報に対応する第2の音符とに分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものである請求項2に記載の楽譜作成装置。
【請求項4】
前記基準音符は4分音符である請求項1から3の何れか1項に記載の楽譜作成装置。
【請求項5】
CPU、ROM、及びRAMを備え、該RAMの一時記憶機能を利用しつつ前記ROMに予め記憶されたプログラムに基づいて前記CPUにより電子情報を処理する電子制御装置を、
楽曲に対応する音楽データに基づいて作成された楽譜に含まれる各音符を、予め定められた種類の基準音符を単位として、複数の音符に分割する分割処理を実行する分割手段、
及び該分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる複数の音符を、前記基準音符を単位として単数の音符に結合する結合処理を実行する結合手段
として機能させるものであることを特徴とする楽譜作成プログラム。
【請求項6】
前記電子制御装置を、前記楽譜に含まれる各音符を長さ情報に変換する変換手段として機能させるものであり、
前記分割手段は、前記楽譜に含まれる各音符に対応する長さ情報が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、該音符を単数乃至複数の前記基準音符及び該基準音符よりも短い音符に分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものであり、
前記結合手段は、該分割手段により分割処理の実行された楽譜に含まれる相互にタイで結ばれた複数の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報の整数倍である場合には、該複数の音符を前記基準音符の整数倍である音符に結合する結合処理を実行するものである
請求項5に記載の楽譜作成プログラム。
【請求項7】
前記分割手段は、前記楽譜に含まれる相互に隣接する1対の音符に対応する長さ情報の合計が、前記基準音符に対応する長さ情報よりも長い場合には、それら1対の音符のうち後に位置する音符を、前記基準音符から前に位置する音符を引いた長さ情報に対応する第1の音符と、前記後に位置する音符から該第1の音符を引いた長さ情報に対応する第2の音符とに分割すると共にそれらをタイで相互に結ぶ分割処理を実行するものである請求項6に記載の楽譜作成プログラム。
【請求項8】
前記基準音符は4分音符である請求項5から7の何れか1項に記載の楽譜作成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−47983(P2012−47983A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190123(P2010−190123)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(396004833)株式会社エクシング (394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(396004833)株式会社エクシング (394)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]