説明

楽音再生装置および制御回路

【課題】テンポのずれから生じる違和感を抑えて楽音を連続再生する楽音再生装置を提供する。
【解決手段】テンポの異なる第1の楽音および第2の楽音におけるテンポ情報をそれぞれ解析するテンポ解析部と、1以上のテンポピーク間隔で構成される第1周期に含まれる第1の楽音のテンポピーク間隔数となる第1個数と、1以上のテンポピーク間隔で構成される第2周期に含まれる第2の楽音のテンポピーク間隔数となる第2個数とを、解析したテンポ情報に基づいて決定する決定部と、決定された第1個数により構成される第1周期と決定された第2個数により構成される第2周期とが一致するように、第1の楽音と第2の楽音とのテンポ速度をそれぞれ変更するテンポ変更部と、テンポ速度が変更された第1の楽音と第2の楽音とを合成する楽音合成部と、合成された第1の楽音と第2の楽音とを出力する楽音出力部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽音再生装置および制御回路に関する。特に、楽音のテンポを合わせながら音切れなく連続再生する楽音再生装置および制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、楽音再生装置では、楽音が切り替わる際の音切れによって視聴者が退屈しないように、ランダム、または、予め定められた順番に楽音を連続的に再生(以下、連続再生と記載。)する方法が利用される。しかし、楽音が音切れなく連続再生されると、楽音の特徴のひとつであるテンポが急に切り替わる場合がある。その場合すなわち前後の楽音でテンポの差異が大きい場合、視聴者は違和感を覚えてしまう。
【0003】
その違和感を抑えるために、例えば今までDJ(Disc Jockey)が行っていたようなこと、すなわち連続再生する楽音同士の接続部分で楽音のテンポを合わせながら再生することを自動で行う連続再生方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、テンポとは、音楽のリズムを構成する単位である拍の長さ、すなわち拍節の速さのことである。また、拍は、一定の時間間隔をもち、その長短によりテンポが決まる。以下、拍の位置をテンポピークの位置として記載する。
【0004】
特許文献1の連続再生方法は、前の楽音におけるテンポピークの位置と、後の楽音におけるテンポピークの位置とを合わせながら、連続再生する楽音同士を接続する。
【特許文献1】特許第3799360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、楽音同士のテンポ差異が大きい場合に、テンポピークを合わせて再生すると、再生された楽音は元のテンポから大きくずれた楽音になる。そのため、視聴者は、再生された楽音が元の楽音とは違う楽音に聞こえてしまい、逆に違和感が増加してしまう。
【0006】
その問題を回避するため、従来の方法では、図10に示すように、テンポの差異が大きい場合は(S902のNoの場合)、テンポを合わせずに連続再生する。ここで、図10は、従来の楽音再生装置における連続再生する処理を示すフローチャートである。また、その問題を回避するため、テンポの近い楽音を選択して連続再生することで違和感をなくす方法も考えられる。しかし、その場合、連続再生の楽音を選択する範囲すなわち選択できる楽音に制限がかかってしまうため、望む楽音順で連続再生することができない。
【0007】
したがって、従来の方法では、テンポのずれから生じる違和感をなくすことはできない。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、テンポのずれから生じる違和感を抑えて楽音を連続再生する楽音再生装置および制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の楽音再生装置は、テンポの異なる第1および第2の楽音を連続して再生する楽音再生装置であって、前記第1の楽音および前記第2の楽音におけるリズムを構成する単位である拍の速さを示すテンポ速度を含むテンポ情報をそれぞれ解析するテンポ解析部と、1以上のテンポピーク間隔で構成される第1周期に含まれる前記第1の楽音のテンポピーク間隔数となる第1個数と、1以上のテンポピーク間隔で構成される第2周期に含まれる前記第2の楽音のテンポピーク間隔数となる第2個数とを、解析したテンポ情報に基づいて決定する決定部と、決定された前記第1個数のテンポピーク間隔で構成される前記第1の楽音の第1周期と決定された前記第2個数のテンポピーク間隔で構成される前記第2の楽音の第2周期とが一致するように、前記第1の楽音と前記第2の楽音とのテンポ速度をそれぞれ変更するテンポ変更部と、前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とを合成する楽音合成部と、前記合成された前記第1の楽音と前記第2の楽音とを出力する楽音出力部とを備える。
【0010】
この構成により、違うテンポの楽音同士を合成する場合にテンポのずれから生じる違和感を抑えることができる。すなわち、解析したテンポ情報から第1の楽音と第2の楽音とのテンポの合わせ方を決定し、再生時のテンポ変化比率を抑えるように第1の楽音と第2の楽音のテンポ速度を共に変更する。それにより、テンポのずれから生じる違和感を抑えることができる。ここでテンポ変化比率とは、元の楽音のテンポとテンポ変更後の楽音のテンポとの比を示す。
【0011】
また、前記テンポ解析部は、前記解析した情報からテンポ速度が速い方であると判定した前記第1の楽音または前記第2の楽音の前記第1個数または前記第2個数を2以上の整数に決定してもよい。
【0012】
この構成により、テンポが大きく違う楽音同士を合成する場合でも、テンポ速度が速い第1または第2の楽音の周期に含まれるテンポピーク数を調整し、さらにそれぞれの周期が一致するように第1の楽音と第2の楽音とのテンポ速度を変更することでテンポのずれから生じる違和感を抑えることができる。
【0013】
また、前記テンポ解析部は、前記解析した情報からテンポ速度が遅い方であると判定した前記第1の楽音または前記第2の楽音の前記第1個数または前記第2個数を1と決定してもよい。
【0014】
この構成により、テンポ速度が遅い第1または第2の楽音の周期に含まれるテンポピーク数を基準にテンポ速度が速い第1または第2の楽音の周期に含まれるテンポピーク数を調整し、さらにそれぞれの周期が一致するように第1の楽音と第2の楽音とのテンポ速度を変更する。それによりテンポのずれから生じる違和感を抑えることができる。
【0015】
また、前記テンポ解析部は、前記第1個数と前記第2個数との予め決められた組合せが保持されるテーブルを有し、前記解析した情報と前記テーブルの組合せとから前記第1個数と前記第2個数とを決定してもよい。
【0016】
この構成により、第1個数と第2個数とを簡単に決定することができる。すなわち、第1個数と第2個数とには無数の組合せがあるが、実際にテンポの違いからくる違和感を抑える組合せの数は少ない。そのため、予め第1個数と第2個数の組合せを決めておくことで、第1個数と第2個数とを簡単に決定することができる。
【0017】
また、前記テンポ解析部は、前記解析した情報から前記第1の楽音のテンポ速度と前記第2の楽音のテンポ速度との比である変化比率を算出し、算出した変化比率から前記第1個数と前記第2個数とを決定してもよい。
【0018】
この構成により、元の楽音のテンポから大きく変わることで生じる違和感を抑えつつ、第1個数および第2個数を決定することができる。
【0019】
また、前記テンポ解析部は、さらに、前記第1楽音のテンポピーク位置での音量と平均音量の比である第1楽音テンポ強度と第2楽音のテンポピーク位置での音量と平均音量の比である第2楽音テンポ強度とを算出し、算出した第1楽音テンポ強度と第2楽音テンポ強度とが閾値以下かどうかを判定するテンポ強度判定部を備え、前記テンポ強度判定部により第1楽音テンポ強度または第2楽音テンポ強度が前記閾値以下と判断された場合に、前記第1の楽音および第2の楽音とのテンポ速度を変更しない旨の決定をし、前記テンポ変更部は、前記テンポ解析部のテンポ速度を変更しない旨の決定に従い、前記第1の楽音と第2の楽音とのテンポ速度を変更せずそのままにしてもよい。
【0020】
この構成により、元の楽音のテンポから変わるために生じる違和感を抑える効果を得ることができる。
【0021】
また、前記テンポ変更部は、前記第1の楽音のテンポ速度を変更する第1テンポ変更部と前記第2の楽音のテンポ速度を変更する第2テンポ変更部とを備え、前記第1テンポ変更部は、所定の期間において、前記第1周期と前記第2周期とを一致させながら、前記第1の楽音のテンポ速度から、前記第2の楽音のテンポ速度の(前記第1個数/前記第2個数)倍にまでテンポ速度を徐々に変化させることにより前記第1の楽音のテンポ速度を変更し、前記第2テンポ変更部は、前記所定の期間において、前記第1周期と前記第2周期とを一致させながら、前記第1の楽音のテンポ速度の(前記第2個数/前記第1個数)倍から、前記第2の楽音のテンポ速度にまでテンポ速度を徐々に変化させることにより前記第2の楽音のテンポ速度を変更してもよい。すなわち、テンポ変更部で第1の楽音と第2の楽音とのテンポピークを合わせつつ、徐々にテンポを変更しながら、連続再生するものである。
【0022】
この構成により、楽音同士を接続するときに、テンポの急激な変化を抑えつつ、元の楽音のテンポで再生することができる。
【0023】
また、前記楽音合成部は、前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とカットインの方式で合成してもよい。
【0024】
また、前記楽音合成部は、前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とクロスフェードの方式で合成してもよい。
【0025】
また、前記楽音合成部は、前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とミキシングの方式で合成してもよい。
【0026】
また、上記目的を達成するために、本発明の制御回路は、テンポの異なる第1および第2の楽音を連続して再生する楽音再生装置の制御回路であって、前記第1の楽音および前記第2の楽音におけるリズムを構成する単位である拍の速さを示すテンポ速度を含むテンポ情報をそれぞれ解析するテンポ解析部と、1以上のテンポピーク間隔で構成される第1周期に含まれる前記第1の楽音のテンポピーク間隔の第1個数と、1以上のテンポピーク間隔で構成される第2周期に含まれる前記第2の楽音のテンポピーク間隔の第2個数とを、解析したテンポ情報に基づいて決定する決定部と、決定された前記第1個数のテンポピーク間隔で構成される前記第1の楽音の第1周期と決定された前記第2個数のテンポピーク間隔で構成される前記第2の楽音の第2周期とが一致するように、前記第1の楽音と前記第2の楽音とのテンポ速度をそれぞれ変更するテンポ変更部と、前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とを合成する楽音合成部と、前記合成された前記第1の楽音と前記第2の楽音とを出力する楽音出力部とを備える。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、テンポのずれから生じる違和感を抑えて楽音を連続再生する楽音再生装置および制御回路を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本発明における楽音再生装置の構成を示すブロック図である。
【0030】
楽音再生装置100は、楽音入力部10と、テンポ解析部30と、テンポ変更部40と、楽音合成部50と、楽音出力部60とを備える。また、楽音入力部10は、楽音のデジタルデータが入力される第1楽音入力部11および第2楽音入力部12と、それらのテンポ情報を示すデジタルデータが入力される第1テンポ情報入力部21および第2テンポ情報入力部22とを備える。また、テンポ変更部40は、第1テンポ変更部41と、第2テンポ変更部42とを備える。以下、それらの各ブロックについて説明する。
【0031】
楽音入力部10は、外部からPCM(Pulse Coded Module)データなどからなる例えば2つの楽音とそれらのテンポ情報が入力される。そして、楽音入力部10は、入力された2つの楽音をテンポ変更部40に出力し、入力された2つの楽音のテンポ情報をテンポ解析部30に出力する。
【0032】
具体的には、第1楽音入力部11は、連続再生される予定の楽音のうちで例えば前の楽音のデジタルデータ(以下、第1楽音と記載。)が入力される。第1楽音入力部11は、入力された第1楽音をテンポ変更部40の第1テンポ変更部41に出力する。また、第2楽音入力部12は、連続再生される予定の楽音のうちで例えば後の楽音のデジタルデータ(以下、第2楽音と記載)が入力される。第2楽音入力部12は、入力された第2楽音をテンポ変更部40の第2テンポ変更部42に出力する。
【0033】
また、第1テンポ情報入力部21は、第1楽音入力部11に入力された第1楽音のテンポ情報を示すデジタルデータ(以下、第1楽音のテンポ情報と記載。)が入力される。第1テンポ情報入力部21は、入力された第1楽音のテンポ情報をテンポ解析部30に出力する。また、第2テンポ情報入力部22は、第2楽音入力部12に入力された第2楽音のテンポ情報を示すデジタルデータ(以下、第2楽音のテンポ情報と記載。)が入力される。第2テンポ情報入力部22は、入力された第2楽音のテンポ情報をテンポ解析部30に出力する。ここで、第1テンポ情報入力部21と第2テンポ情報入力部22は、外部からテンポ情報を表したデジタルデータが入力される。また、テンポ情報とは、少なくともテンポ速度を含むテンポに関する情報である。
【0034】
なお、第1テンポ情報入力部21および第2テンポ情報入力部22は、外部から入力される代わりに、第1楽音入力部11および第2楽音入力部12に入力された楽音データを信号処理してそれぞれのテンポ情報を生成し、テンポ解析部30に出力してもよい。
【0035】
テンポ解析部30は、第1テンポ情報入力部21および第2テンポ情報入力部22から入力された第1楽音および第2楽音のテンポ情報をそれぞれ解析し、第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定する。具体的には、テンポ解析部30は、解析したテンポ情報に基づいて、第1楽音の1以上のテンポピーク間隔で構成される周期に含まれる第1楽音のテンポピーク間隔の個数と、第2楽音の1以上のテンポピーク間隔で構成される周期に含まれる第2楽音のテンポピーク間隔の個数とを決定する。ここで、テンポ解析部30には、第1テンポ情報入力部21および第2テンポ情報入力部22から入力された第1楽音および第2楽音のテンポ情報をそれぞれ解析する解析部と第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定する決定部とを備えるとしてもよい。
【0036】
また、テンポ解析部30は、決定したテンポピークの合わせ方をテンポ変更部40に指示する。
【0037】
例えば、テンポ解析部30は、第1楽音および第2楽音のテンポ情報をそれぞれ解析し、どちらの楽音のテンポが遅いかを判定する。そして、テンポ解析部30は、テンポの変化比率が最小限になるように、テンポの遅い楽音の一定のテンポピーク間隔数で構成される周期を基本周期として、基本周期と近似する周期を構成するテンポの早い楽音のテンポピーク間隔数を決定する。このようにして、テンポ解析部30は、第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定する。
【0038】
テンポ変更部40は、テンポ解析部30からの指示を受けて、第1楽音および第2楽音の周期における初頭および末尾のテンポピークを合わせるように楽音入力部10から入力された2つの楽音のテンポを変更する。そして、テンポ変更部40は、テンポを変更した2つの楽音を楽音合成部50に出力する。
【0039】
例えば、第1テンポ変更部41は、テンポ解析部30からの指示を受けて、第1楽音入力部11から入力された第1楽音のテンポを変更する。すなわち、第1テンポ変更部41は、周期を構成する第1楽音の初頭と末尾とのテンポピークと基本周期を構成する第2楽音の初頭と末尾とのテンポピークとを合わせるように、第1楽音のテンポを変更する。そして、第1テンポ変更部41は、テンポを変更した第1楽音を楽音合成部50に出力する。また、第2テンポ変更部42は、テンポ解析部30から指示を受けて、第2楽音入力部12から入力された第2楽音のテンポを変更する。すなわち、第2テンポ変更部42は、基本周期を構成する第2楽音の初頭と末尾とのテンポピークと周期を構成する第1楽音の初頭と末尾とのテンポピークとを合わせるように、第2楽音のテンポを変更する。そして、第2テンポ変更部42は、テンポを変更した第2楽音を楽音合成部50に出力する。このようにして、第1テンポ変更部41および第2テンポ変更部42は、第1楽音および第2楽音を、互いの初頭および末尾のテンポピークを合わせて周期を一致させてから楽音合成部50に出力する。
【0040】
楽音合成部50は、テンポ変更部40、すなわち第1テンポ変更部41および第2テンポ変更部42から出力され、テンポが変更された第1楽音および第2楽音をミキシングして、楽音出力部60を介して出力する。
【0041】
以上のように、楽音再生装置100は構成される。
次に、楽音再生装置100の動きについて説明する。ここでは、本発明の特徴的な部分であるテンポ解析部30およびテンポ変更部40の処理の一例について説明する。
【0042】
まず、テンポ解析部30がテンポピークの合わせ方を決定する処理の例を説明する。
図2は、実施の形態1におけるテンポ解析部がテンポピークの合わせ方を決定する処理について説明するためのフローチャートである。ここで、T1とT2とはそれぞれ、第1楽音のテンポと第2楽音のテンポとを示す。N1とN2とはそれぞれ、上記で説明した周期を構成する第1楽音のテンポピーク間隔数と第2楽音のテンポピーク間隔数を示し、整数である。なお、テンポピーク間隔数は、あるテンポピークを基準とすれば時間的に続くテンポピーク数と等価として扱えるので、同様の意味となる。
【0043】
まず、テンポ解析部30は、第1テンポ情報入力部21および第2テンポ情報入力部22から入力された第1楽音および第2楽音のテンポ情報を解析し、第1楽音のテンポ(T1)と第2楽音のテンポ(T2)とを取得する(S101)。
【0044】
次に、テンポ解析部30は、どちらの楽音のテンポが遅いかを調べる。すなわち、第2楽音のテンポ(T2)の方が第1楽音のテンポ(T1)よりも遅いか(T1>T2)を判定する(S103)。
【0045】
テンポ解析部30は、第2楽音のテンポ(T2)の方が第1楽音のテンポ(T1)よりも遅くない、すなわち第1楽音のテンポ(T1)の方が遅い場合(S103のNoの場合)、周期を構成する第1楽音のテンポピーク間隔数(N1)を1として、テンポの速い第2楽音の周期を構成するテンポピーク間隔数(N2)を、N2=[T2/T1+0.5]から決定する(S105)。ここで[N]は、Nを超えない最大の整数を示し、例えば、[3.5]=3を示す。
【0046】
一方、テンポ解析部30は、第2楽音のテンポ(T2)の方が第1楽音のテンポ(T1)よりも遅い場合(S103のYesの場合)、周期を構成する第2楽音のテンポピーク間隔数(N2)を1として、テンポの速い第1楽音の周期を構成するテンポピーク間隔数(N1)を、N1=[T1/T2+0.5]から決定する(S107)。
【0047】
以上のようにして、テンポ解析部30は、一定の時間におけるテンポの遅い楽音のテンポピーク間隔数から構成される周期を基本周期として、基本周期と近似する周期を構成するテンポの早い楽音のテンポピーク間隔数を決定することにより、第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定する。
【0048】
次に、テンポ変更部40すなわち第1テンポ変更部41および第2テンポ変更部42が、テンポピークの合わせるためにテンポを変更する処理の例について説明する。
【0049】
図3は、実施の形態1におけるテンポ変更部がテンポピークを合わせるためにテンポを変更する処理を概念的に示した図である。図3(a)は、楽音入力部10から入力される楽音のテンポピーク(元のテンポピーク)を時間軸で表しており、第1楽音と第2楽音のテンポがずれている様子を示している。図3(b)は、楽音入力部10から入力された楽音の変更されたテンポピーク(変更後のテンポピーク)を時間軸で示している。
【0050】
また、図3(a)では、テンポ変更部40における第1テンポ変更部41および第2テンポ変更部42は、2個の第1楽音のテンポピーク間隔数と1個の第2楽音のテンポピーク間隔数とがそれぞれ周期を構成するようテンポ解析部30より指示を受ける。そして、第1テンポ変更部41および第2テンポ変更部42は、それぞれ周期における第1楽音と第2楽音との初頭および末尾のテンポピークが一致するように、第1楽音と第2楽音とのテンポを変更する。ここでは、第1楽音のテンポピーク間隔2個に対して第2楽音のテンポピーク間隔1個を合わせるように第1楽音と第2楽音とのテンポを変更している。
【0051】
図3(a)で示す例では、第1楽音のテンポは、第2楽音より早く150BPM(Beats Per Minute)であり、第2楽音のテンポは、第1楽音より遅く90BPMである。また、図3(b)で示す例では、それぞれの周期における第1楽音と第2楽音との初頭および末尾テンポピークが一致するよう(第2楽音のテンポピーク間隔1個に対して第1楽音のテンポピーク間隔2個)、第2楽音のテンポは82BPMに変更され、第1楽音のテンポは164BPMに変更されている。
【0052】
実施の形態1では、変更後の第1楽音および第2楽音のテンポは、テンポの変化比率が最小限になるように、(第1の楽音の変化比率−1)と、(1−第2の楽音の変化比率)とが同じとなるように求められる。具体的には、第1テンポ変更部41は、第1楽音の変更後のテンポを、(2×T1×T2×N1)/(T1×N2+T2×N1)で求める。第2テンポ変更部42は、第2楽音の変更後のテンポを、(2×T1×T2×N2)/(T1×N2+T2×N1)で求める。ここで、T1とT2とはそれぞれ、第1楽音のテンポと第2楽音のテンポとを示す。N1とN2とはそれぞれ、上記で説明した周期を構成する第1楽音のテンポピーク間隔数と第2楽音のテンポピーク間隔数とを示し、テンポ解析部30により指示された整数である。
【0053】
なお、変更後の第1楽音のテンポである(2×T1×T2×N1)/(T1×N2+T2×N1)は、第1楽音の周期を構成するテンポピーク間隔数であるN1を、変更後の周期のテンポである((1/T2×N2)+(1/T1×N))/2で除したものである。同様に、変更後の第2楽音のテンポである(2×T1×T2×N2)/(T1×N2+T2×N1)は、第2楽音の周期を構成するテンポピーク間隔数であるN2を、変更後の周期のテンポである((1/T2×N2)+(1/T1×N))/2で除したものである。
【0054】
以上のようにして、テンポ変更部40は、テンポ解析部30からの指示を受けて、基本周期で第1楽音と第2楽音とのテンポピークを合わせるように第1楽音と第2楽音とのテンポを変更する。
【0055】
以上、実施の形態1によれば、第1楽音と第2楽音とを元のテンポから大きくずれることを防ぎながら、テンポをあわせて合成して連続再生することができる。それにより、楽音のテンポ情報からテンポの合わせ方を解析し、解析したテンポ情報から第1の楽音と第2の楽音とのテンポの合わせ方を決定し、再生時のテンポ変化比率を抑えるように第1の楽音と第2の楽音のテンポ速度を共に変更する。それにより、テンポのずれから生じる違和感を抑えて楽音を連続再生する楽音再生装置が実現できる。
【0056】
(実施の形態2)
実施の形態1では、テンポ解析部30が、第1楽音と第2楽音とでどちらのテンポが遅いかに基づいて、第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定する場合の例について説明した。実施の形態2では、テンポ解析部30が第1楽音と第2楽音とのテンポに大きな違いがある場合をさらに考慮して決定する場合について説明する。なお、楽音再生装置100の構成については、図1と同様のため説明を省略する。
【0057】
図4は、実施の形態2におけるテンポ解析部がテンポピークの合わせ方を決定する処理について説明するためのフローチャートである。ここで、T1とT2とはそれぞれ、第1楽音のテンポと第2楽音のテンポとを示す。N1とN2とはそれぞれ、上記で説明した周期を構成する第1楽音のテンポピーク間隔数と第2楽音のテンポピーク間隔数とを示し、整数である。
【0058】
まず、テンポ解析部30は、第1テンポ情報入力部21および第2テンポ情報入力部22から入力された第1楽音および第2楽音のテンポ情報を解析し(S201)、第1楽音のテンポ(T1)と第2楽音のテンポ(T2)とを比較する。ここで、テンポ解析部30は、第1楽音のテンポ(T1)の方が第2楽音のテンポ(T2)よりも早い(T1>T2)という比較結果を得たとして以下説明する。
【0059】
次に、テンポ解析部30は、第1楽音と第2楽音とのテンポに大きな違いがあるかどうかを判定する。すなわち、第1楽音のテンポ(T1)は、第2楽音のテンポ(T2)の1.5倍よりも遅いか(T1<1.5×T2)を判定し(S203)、遅い場合(S203のYes)には、さらに第2楽音のテンポ(T2)は、第1楽音のテンポ(T1)の1.5倍よりも遅いか(1.5×T1>T2)を判定する(S205)。
【0060】
テンポ解析部30は、第2楽音のテンポ(T2)が第1楽音のテンポ(T1)の1.5倍よりも遅い場合(S205のYesの場合)、第1楽音と第2楽音とのテンポに大きな違いはないと判定し、テンポを変更せずに楽音同士を合成する旨を示すテンポ変更機能オフをテンポ変更部40に指示する。
【0061】
なお、S203またはS205において、T1<1.5×T2または1.5×T1>T2の場合(S203のNoの場合またはS205のNoの場合)、第1楽音と第2楽音とのテンポに大きな違いがあったとして、テンポの遅い第2楽音の所定の時間に含まれるテンポピーク間隔数を基本周期として、それに近似する周期を構成するテンポの早い第1楽音のテンポピーク間隔数を決定する(S209またはS211)。なお、S209およびS211は、図2のS107と同様のため説明を省略する。
【0062】
以上のように、テンポ解析部30は、第1楽音および第2楽音のテンポが大きくずれている場合も考慮して第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定する。
【0063】
それにより、テンポの大きくずれている楽音同士であっても、元のテンポから大きくずれることを防ぎながら、テンポを合わせることが可能となる。
【0064】
なお、図4では、テンポ解析部30は、第1楽音のテンポ(T1)の方が第2楽音のテンポ(T2)よりも早い(T1>T2)という比較結果を得たとして説明したが、第2楽音のテンポ(T2)の方が第1楽音のテンポ(T1)よりも早い(T2>T1)という比較結果を得た場合も同様である。その場合には、S209およびS211は、図2のS105と同じとなる。すなわち、テンポの変化比率が最小限になるように、テンポの遅い第1楽音の所定の時間に含まれるテンポピーク間隔数を基本周期として、それに近似する周期を構成するテンポの早い第2楽音のテンポピーク間隔数を決定すればよい。
【0065】
(実施の形態3)
実施の形態3では、第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定する別の態様について説明する。なお、楽音再生装置100の構成については、図1と同様のため説明を省略する。
【0066】
図5は、実施の形態3におけるテンポ解析部がテンポピークの合わせ方を決定する処理について説明するためのフローチャートである。図6は、第1楽音および第2楽音のテンポの比率における第1楽音および第2楽音の最適なテンポピーク間隔数を示すテーブルである。ここで、T1とT2とはそれぞれ、第1楽音のテンポ、第2楽音のテンポとを示す。N1とN2とはそれぞれ、上記で説明した周期を構成する第1楽音のテンポピーク間隔数と第2楽音のテンポピーク間隔数を示し、整数である。
【0067】
図5において、まず、テンポ解析部30は、第1テンポ情報入力部21および第2テンポ情報入力部22から入力された第1楽音および第2楽音のテンポ情報を解析して、取得した第1楽音のテンポ(T1)と第2楽音のテンポ(T2)とのテンポ比率(T1/T2)を算出する(S301)。
【0068】
次に、テンポ解析部30は、図6に示すテーブルを参照し、算出したテンポ比率(T1/T2)からN1およびN2を決定する。
【0069】
ここで、図6は、テンポが変わることによる違和感と、テンポの合わせ方による違和感の両者を考慮し、第1楽音のテンポと第2楽音のテンポとの比から、最適なテンポピークの合わせ方を示したテーブルが、予め作成されている。
【0070】
以上のようにして、テンポ解析部30は、第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定する。
【0071】
以上のように、テンポ解析部30は、第1楽音および第2楽音のテンポ比率から予め作成されたテーブルにあるテンポピーク間隔数の組み合わせを決定することで、第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定する。
【0072】
それにより、テンポのずれによる違和感とテンポの合わせ方による違和感の両方を抑えたテンポの合わせ方が可能となる。
【0073】
(実施の形態4)
実施の形態4では、第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定するテンポ解析部30の追加機能について説明する。
【0074】
図7は、実施の形態4における楽音再生装置の構成を示すブロック図である。なお、図1と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。図7に示す楽音再生装置200は、実施の形態1に係る楽音再生装置100のテンポ解析部30に対して、テンポ解析機能部35の構成が異なる。
【0075】
テンポ解析機能部35は、テンポ解析部31と、第1楽音音量取得部32と、第2楽音音量取得部33とを備え、実施の形態1におけるテンポ解析部30に追加機能を備えた構成となっている。
【0076】
第1楽音音量取得部32は、第1楽音入力部11から入力された第1楽音の音量を取得し、テンポ解析部31に出力する。
【0077】
また、第2楽音音量取得部33は、第2楽音入力部12から入力された第2楽音の音量を取得し、テンポ解析部31に出力する。
【0078】
テンポ解析部31は、第1楽音音量取得部32から入力された第1楽音の音量により、第1楽音のテンポピーク位置での音量と平均音量の比である第1楽音テンポ強度比(TI1)を算出する。テンポ解析部31は、同様に、第2楽音音量取得部33から入力された第2楽音の音量により、第2楽音のテンポピーク位置での音量と平均音量の比である第2楽音テンポ強度比(TI2)を算出する。
【0079】
テンポ解析部31は、第1テンポ情報入力部21および第2テンポ情報入力部22から入力された第1楽音および第2楽音のテンポ情報をそれぞれ解析し、第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定する。
【0080】
ここで、テンポ解析部31は、算出した第1楽音テンポ強度比(TI1)または第2楽音テンポ強度比(TI1)が閾値より低い場合は、元の楽音のテンポが無視できるほど小さく、テンポピークを合わせる必要がないと判断する。すなわち、テンポの変更を行うことなく楽音を合成するという第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定する。そして、テンポ解析部31は、決定したテンポピークの合わせ方をテンポ変更部40に指示する。
【0081】
以上のように、楽音再生装置200は構成される。
図8は、実施の形態4におけるテンポピークの合わせ方を決定するテンポ解析部の追加機能の処理について説明するためのフローチャートである。ここで、TI1とTI2とはそれぞれ、第1の楽音のテンポ強度比と第2の楽音のテンポ強度比とを示し、テンポ強度比とは、テンポピーク位置での音量と平均音量との比を示す。
【0082】
まず、テンポ解析部31は、第1楽音音量取得部32から入力された第1楽音の音量により、第1楽音テンポ強度比(TI1)を算出し、第2楽音音量取得部33から入力された第2楽音の音量により、第2楽音テンポ強度比(TI2)を算出する(S401)。
【0083】
次に、テンポ解析部31は、算出した第1楽音テンポ強度比(TI1)または第2楽音テンポ強度比(TI1)が閾値より低いかを判定する(S403)。
【0084】
テンポ解析部31は、TI1またはTI2が閾値より低い場合(S403のYesの場合)、元の楽音が無視できるほど小さく、テンポピークを合わせる必要がないと判断する。そして、テンポ解析部31は、テンポの変更を行うことなく楽音を合成する旨を示すテンポ変更機能オフをテンポ変更部40に指示する。
【0085】
なお、S403において、テンポ解析部31は、TI1およびTI2が閾値より高い場合(S403のYesの場合)、S405に進み、テンポピークの合わせ方を決定する。
なお、S405については、図2のS103からS107を適用してもよいし、図4のS201〜S211を適用してもよい。
【0086】
以上のように、テンポ解析部31は、テンポ強度比も考慮して第1楽音および第2楽音のテンポピークの合わせ方を決定する。
【0087】
こうすることで、テンポのずれから生じる違和感がもともとない楽音の場合にテンポ変更を行わないことで、テンポを変えることで生じる違和感をなくすことが可能となる。
【0088】
(実施の形態5)
実施の形態1〜4では、楽音再生装置100のテンポ変更部40で、テンポ解析部30からの指示を受けて、それぞれの周期における2つの楽音の初頭および末尾のテンポピークを合わせるように楽音入力部10から入力された2つの楽音のテンポを変更する場合の例を説明した。実施の形態5では、第1楽音と第2楽音とのテンポを変更する方法の1態様として、それぞれの周期における初頭および末尾のテンポピークを合わせながら徐々にテンポを変更する方法の例について説明する。なお、楽音再生装置100の構成については、図1と同様のため説明を省略する。
【0089】
図9は、第1楽音と第2楽音とが連続再生される場合の態様の例を示す図である。
図9(a)は、テンポ変更部が、第1楽音と第2楽音とのテンポを変更する場合の例を示す図である。
【0090】
ここで、テンポ変更部40に入力される第1楽音のテンポを60BPM、第2楽音のテンポを160BPMとする。
【0091】
図9(a)では、テンポ変更部40は、1個の第1楽音のテンポピーク間隔と、2個の第2楽音のテンポピーク間隔とがそれぞれ周期を構成するようテンポ解析部30によりテンポピークの合わせ方の指示を受けて、第1楽音と第2楽音とのテンポを変更する場合の例を示している。
【0092】
すなわち、時間軸の前半に第1楽音の再生がされていた第1楽音再生期間があり、第1楽音と第2楽音とのそれぞれの周期位置(周期時点)でのテンポピークを合わせながら徐々にテンポが変更される楽音合成期間を経て、時間軸の後半に、第2楽音の再生がされる第2楽音再生期間がある。
【0093】
具体的には、まず、時間軸の前半の第1楽音再生期間では第1楽音が元のテンポである60BPMで再生されている。
【0094】
次に、第2楽音が再生開始されるが、楽音同士を合成する時間(楽音合成期間)を決め、その時間内で第1楽音と第2楽音との周期における初頭および末尾のテンポピークを合わせながら徐々にテンポを変更する。すなわち、テンポ変更部40は、テンポ解析部30からの指示を受けたテンポピークの合わせ方を守りながら、第1楽音は60BPMから80BPMまで、第2楽音は120BPMから160BPMまで、連続的にテンポを変更する。そして、楽音合成部50では、テンポ変更部40で、連続的にテンポが変更された第1楽音および第2楽音を合成して楽音出力部60に出力されて合成された楽音が再生される。
【0095】
次に、時間軸の後半の第2楽音再生期間では、第2楽音が元のテンポである160BPMで再生される。
【0096】
こうすることで、テンポのずれから生じる違和感と、テンポの急激な変化からくる違和感の両方を抑え、連続再生することができる。
【0097】
図9(b)および図9(c)は、楽音合成部50が入力された第1楽音と第2楽音を徐々に音量を変更しながら合成する場合の例を示している。図9(b)では、楽音合成部50がクロスフェードの機能を具備し、第1楽音と第2楽音とをクロスフェードする場合の例を示している。図9(c)では、楽音合成部50がカットインの機能を具備し、第1楽音と第2楽音とをカットインする場合の例を示している。このようにしても、連続再生時において、テンポのずれから生じる違和感と、テンポの急激な変化からくる違和感の両方を抑えることができる。
【0098】
以上のように、実施の形態5によれば、第1楽音と第2楽音とのそれぞれの周期における初頭および末尾のテンポピークを合わせながら、徐々にテンポを変更しながら、連続再生する。それにより、楽音同士を接続するときに、テンポの急激な変化を抑えつつ、元の楽音のテンポで再生することができる。
【0099】
なお、楽音合成部50は、クロスフェードまたはカットインの機能以外の機能を具備し、第1楽音と第2楽音との楽音の割合を変化させるミキシングの機能を具備していてもよい。
【0100】
その場合、2つの楽音を連続再生するのに限らず複数の楽音についてミキシングすることで、新たな楽音を生成するゲームや、メドレー再生機能のあるカラオケ装置の用途にも応用できる。
【0101】
以上のように、本発明によれば、テンポのずれから生じる違和感を抑えて楽音を連続再生する楽音再生装置を実現することができる。
【0102】
以上、本発明の楽音再生装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。例えば、楽音再生装置の構成要素を備える制御装置でもよい。すなわち、本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、楽音再生装置とその制御回路に利用でき、特にテンポの差異から生じる違和感を抑えて楽音を連続再生する楽音再生装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明における楽音再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1におけるテンポ解析部がテンポピークの合わせ方を決定する処理について説明するためのフローチャートである。
【図3】実施の形態1におけるテンポ変更部がテンポピークの合わせるためにテンポを変更する処理を概念的に示した図である。
【図4】実施の形態2におけるテンポ解析部がテンポピークの合わせ方を決定する処理について説明するためのフローチャートである。
【図5】実施の形態3におけるテンポ解析部がテンポピークの合わせ方を決定する処理について説明するためのフローチャートである。
【図6】第1楽音および第2楽音のテンポの比率における第1楽音および第2楽音の最適なテンポピーク間隔数を示すテーブルである。
【図7】実施の形態4における楽音再生装置の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態4におけるテンポピークの合わせ方を決定するテンポ解析部の追加機能の処理について説明するためのフローチャートである。
【図9】第1楽音と第2楽音とが連続再生される場合の態様の例を示す図である。
【図10】従来の楽音再生装置における連続再生する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0105】
10 楽音入力部
11 第1楽音入力部
12 第2楽音入力部
21 第1テンポ情報入力部
22 第2テンポ情報入力部
30、31 テンポ解析部
32 第1楽音音量取得部
33 第2楽音音量取得部
35 テンポ解析機能部
40 テンポ変更部
41 第1テンポ変更部
42 第2テンポ変更部
50 楽音合成部
60 楽音出力部
100、200 楽音再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンポの異なる第1および第2の楽音を連続して再生する楽音再生装置であって、
前記第1の楽音および前記第2の楽音におけるリズムを構成する単位である拍の速さを示すテンポ速度を含むテンポ情報をそれぞれ解析するテンポ解析部と、
1以上のテンポピーク間隔で構成される第1周期に含まれる前記第1の楽音のテンポピーク間隔数となる第1個数と、1以上のテンポピーク間隔で構成される第2周期に含まれる前記第2の楽音のテンポピーク間隔数となる第2個数とを、解析したテンポ情報に基づいて決定する決定部と、
決定された前記第1個数のテンポピーク間隔で構成される前記第1の楽音の第1周期と決定された前記第2個数のテンポピーク間隔で構成される前記第2の楽音の第2周期とが一致するように、前記第1の楽音と前記第2の楽音とのテンポ速度をそれぞれ変更するテンポ変更部と、
前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とを合成する楽音合成部と、
前記合成された前記第1の楽音と前記第2の楽音とを出力する楽音出力部とを備える
楽音再生装置。
【請求項2】
前記テンポ解析部は、
前記解析した情報からテンポ速度が速い方であると判定した前記第1の楽音または前記第2の楽音の前記第1個数または前記第2個数を2以上の整数に決定する
請求項1に記載の楽音再生装置。
【請求項3】
前記テンポ解析部は、
前記解析した情報からテンポ速度が遅い方であると判定した前記第1の楽音または前記第2の楽音の前記第1個数または前記第2個数を1と決定する
請求項1または請求項2に記載の楽音再生装置。
【請求項4】
前記テンポ解析部は、
前記第1個数と前記第2個数との予め決められた組合せが保持されるテーブルを有し、
前記解析した情報と前記テーブルの組合せとから前記第1個数と前記第2個数とを決定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の楽音再生装置。
【請求項5】
前記テンポ解析部は、
前記解析した情報から前記第1の楽音のテンポ速度と前記第2の楽音のテンポ速度との比である変化比率を算出し、算出した変化比率から前記第1個数と前記第2個数とを決定する
請求項1から4のいずれか1項に記載の楽音再生装置。
【請求項6】
前記テンポ解析部は、さらに、
前記第1楽音のテンポピーク位置での音量と平均音量の比である第1楽音テンポ強度と第2楽音のテンポピーク位置での音量と平均音量の比である第2楽音テンポ強度とを算出し、算出した第1楽音テンポ強度と第2楽音テンポ強度とが閾値以下かどうかを判定するテンポ強度判定部を備え、
前記テンポ強度判定部により第1楽音テンポ強度または第2楽音テンポ強度が前記閾値以下と判断された場合に、前記第1の楽音および第2の楽音とのテンポ速度を変更しない旨の決定をし、
前記テンポ変更部は、前記テンポ解析部のテンポ速度を変更しない旨の決定に従い、前記第1の楽音と第2の楽音とのテンポ速度を変更せずそのままにする
請求項1から5のいずれか1項に記載の楽音再生装置。
【請求項7】
前記テンポ変更部は、前記第1の楽音のテンポ速度を変更する第1テンポ変更部と前記第2の楽音のテンポ速度を変更する第2テンポ変更部とを備え、
前記第1テンポ変更部は、
所定の期間において、前記第1周期と前記第2周期とを一致させながら、前記第1の楽音のテンポ速度から、前記第2の楽音のテンポ速度の(前記第1個数/前記第2個数)倍にまでテンポ速度を徐々に変化させることにより前記第1の楽音のテンポ速度を変更し、
前記第2テンポ変更部は、
前記所定の期間において、前記第1周期と前記第2周期とを一致させながら、前記第1の楽音のテンポ速度の(前記第2個数/前記第1個数)倍から、前記第2の楽音のテンポ速度にまでテンポ速度を徐々に変化させることにより前記第2の楽音のテンポ速度を変更する
請求項1から6のいずれか1項に記載の楽音再生装置。
【請求項8】
前記楽音合成部は、前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とカットインの方式で合成する
請求項1から7のいずれか1項に記載の楽音再生装置。
【請求項9】
前記楽音合成部は、前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とクロスフェードの方式で合成する
請求項1から7のいずれか1項に記載の楽音再生装置。
【請求項10】
前記楽音合成部は、前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とミキシングの方式で合成する
請求項1から7のいずれか1項に記載の楽音再生装置。
【請求項11】
テンポの異なる第1および第2の楽音を連続して再生する楽音再生装置の制御回路であって、
前記第1の楽音および前記第2の楽音におけるリズムを構成する単位である拍の速さを示すテンポ速度を含むテンポ情報をそれぞれ解析するテンポ解析部と、
1以上のテンポピーク間隔で構成される第1周期に含まれる前記第1の楽音のテンポピーク間隔の第1個数と、1以上のテンポピーク間隔で構成される第2周期に含まれる前記第2の楽音のテンポピーク間隔の第2個数とを、解析したテンポ情報に基づいて決定する決定部と、
決定された前記第1個数のテンポピーク間隔で構成される前記第1の楽音の第1周期と決定された前記第2個数のテンポピーク間隔で構成される前記第2の楽音の第2周期とが一致するように、前記第1の楽音と前記第2の楽音とのテンポ速度をそれぞれ変更するテンポ変更部と、
前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とを合成する楽音合成部と、
前記合成された前記第1の楽音と前記第2の楽音とを出力する楽音出力部とを備える
制御回路。
【請求項12】
前記テンポ解析部は、
前記解析した情報からテンポ速度が速い方であると判定した前記第1の楽音または前記第2の楽音の前記第1個数または前記第2個数を2以上の整数に決定する
請求項11に記載の制御回路。
【請求項13】
前記テンポ解析部は、
前記解析した情報からテンポ速度が遅い方であると判定した前記第1の楽音または前記第2の楽音の前記第1個数または前記第2個数を1と決定する
請求項11または請求項12に記載の制御回路。
【請求項14】
前記テンポ解析部は、
前記第1個数と前記第2個数との予め決められた組合せが保持されるテーブルを有し、
前記解析した情報と前記テーブルの組合せとから前記第1個数と前記第2個数とを決定する
請求項11から13のいずれか1項に記載の制御回路。
【請求項15】
前記テンポ解析部は、
前記解析した情報から前記第1の楽音のテンポ速度と前記第2の楽音のテンポ速度との比である変化比率を算出し、算出した変化比率から前記第1個数と前記第2個数とを決定する
請求項11から14のいずれか1項に記載の制御回路。
【請求項16】
前記テンポ解析部は、さらに、
前記第1楽音のテンポピーク位置での音量と平均音量の比である第1楽音テンポ強度と第2楽音のテンポピーク位置での音量と平均音量の比である第2楽音テンポ強度とを算出し、算出した第1楽音テンポ強度と第2楽音テンポ強度とが閾値以下かどうかを判定するテンポ強度判定部を備え、
前記テンポ強度判定部により第1楽音テンポ強度または第2楽音テンポ強度が前記閾値以下と判断された場合に、前記第1の楽音および第2の楽音とのテンポ速度を変更しない旨の決定をし、
前記テンポ変更部は、前記テンポ解析部のテンポ速度を変更しない旨の決定に従い、前記第1の楽音と第2の楽音とのテンポ速度を変更せずそのままにする
請求項11から15のいずれか1項に記載の制御回路。
【請求項17】
前記テンポ変更部は、前記第1の楽音のテンポ速度を変更する第1テンポ変更部と前記第2の楽音のテンポ速度を変更する第2テンポ変更部とを備え、
前記第1テンポ変更部は、
所定の期間において、前記第1周期と前記第2周期とを一致させながら、前記第1の楽音のテンポ速度から、前記第2の楽音のテンポ速度の(前記第1個数/前記第2個数)倍にまでテンポ速度を徐々に変化させることにより前記第1の楽音のテンポ速度を変更し、
前記第2テンポ変更部は、
前記所定の期間において、前記第1周期と前記第2周期とを一致させながら、前記第1の楽音のテンポ速度の(前記第2個数/前記第1個数)倍から、前記第2の楽音のテンポ速度にまでテンポ速度を徐々に変化させることにより前記第2の楽音のテンポ速度を変更する
請求項11から16のいずれか1項に記載の制御回路。
【請求項18】
前記楽音合成部は、前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とカットインの方式で合成する
請求項11から17のいずれか1項に記載の制御回路。
【請求項19】
前記楽音合成部は、前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とクロスフェードの方式で合成する
請求項11から17のいずれか1項に記載の制御回路。
【請求項20】
前記楽音合成部は、前記テンポ変更部によりテンポ速度が変更された前記第1の楽音と前記第2の楽音とミキシングの方式で合成する
請求項11から17のいずれか1項に記載の制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−160453(P2010−160453A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4117(P2009−4117)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】