説明

楽音出力装置

【課題】簡単な操作で本格的な演奏を可能とする。
【解決手段】楽音出力装置10は、状態を切り替えるためのスイッチ1,2,3と、物体の位置を検出する位置センサー16と、スイッチ1,2,3の状態と物体の位置との組み合わせに対して楽音データを対応付けたテーブルを記憶する記憶部と、を備え、位置センサー16により物体の位置が検出された場合に、テーブルを参照して、スイッチ1,2,3の状態と位置センサー16により検出された物体の位置との組み合わせに対応する楽音データを読み出し、当該読み出した楽音データに基づく楽音を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽音を出力する楽音出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物体に接触することなく物体の位置を検出する技術が用いられている。例えば、複数存在するコミュニケーション対象のそれぞれの距離を電波強度により検出し、検出された距離が最小となるコミュニケーション対象を、コミュニケーション行動を実行する対象として特定するコミュニケーションロボットが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、現在、本格的な演奏用の楽器から玩具まで、様々な電子楽器が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4677593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、電子楽器が有する機能が多過ぎると操作が難しく、また、単純に鍵盤等を押して楽音を出力するだけでは面白みがない。そこで、より楽しみながら簡単に操作することが可能な楽音出力装置が望まれていた。
【0006】
本発明は、簡単な操作で本格的な演奏を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、楽音出力装置において、
状態を切り替えるためのスイッチと、
物体の位置を検出する位置センサーと、
前記スイッチの状態と物体の位置との組み合わせに対して楽音データを対応付けたテーブルを記憶する記憶部と、
楽音を出力する楽音出力部と、
前記位置センサーにより物体の位置が検出された場合に、前記記憶部に記憶されているテーブルを参照して、前記スイッチの状態と前記位置センサーにより検出された物体の位置との組み合わせに対応する楽音データを読み出し、当該読み出した楽音データに基づく楽音を前記楽音出力部に出力させる制御モードを有する制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の楽音出力装置において、
前記位置センサーは、物体の少なくとも2種類の位置を検出するものであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の楽音出力装置において、
前記楽音データが音階に関するデータであることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の楽音出力装置において、
前記制御部は、前記位置センサーにより検出される物体の位置が同じ位置の間、前記楽音出力部に前記読み出した楽音データに基づく楽音を伸ばして出力させることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の楽音出力装置において、前記楽音データが楽器の音色に関するデータであることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の楽音出力装置において、
複数の楽音データが出力順に並べられて構成された曲データを記憶する第2の記憶部を備え、
前記制御部は、前記位置センサーにより物体の位置が検出されるタイミング毎に、前記第2の記憶部に記憶されている曲データに含まれる楽音データを順に読み出し、当該読み出した楽音データに基づく楽音を前記楽音出力部に出力させる他の制御モードを有することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の楽音出力装置において、
前記制御部は、前記他の制御モードにおいて、前記位置センサーにより検出された物体の位置に応じて、前記楽音出力部により出力される楽音の長さを制御することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の楽音出力装置において、
前記位置センサーは、
赤外線を発光する発光部と、
物体により反射された赤外線を受光する受光部と、
を備え、
前記受光部により受光された赤外線の強度に基づいて、当該楽音出力装置から物体までの距離を検出する距離センサーであることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の楽音出力装置において、
当該楽音出力装置は、口部を備える人形玩具であり、
前記口部を動かす駆動部を備え、
前記制御部は、楽音を前記楽音出力部に出力させる際に、前記駆動部に前記口部を開閉させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、スイッチの状態と位置センサーにより検出された物体の位置との組み合わせに対応する楽音データに基づく楽音を出力するので、簡単な操作で本格的な演奏が可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、スイッチの状態と物体の2種類以上の位置との組み合わせによって、4つ以上の楽音を出力することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、簡単な操作で音階の楽音を出力することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、各音階の楽音を伸ばして出力することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、簡単な操作で楽器の音色の楽音を出力することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、他の制御モードでは、簡単な操作で曲を演奏することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、他の制御モードにおいて、物体の位置に応じて楽音の長さを制御することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、スイッチの状態と距離センサーにより検出された物体の距離との組み合わせに対応する楽音データに基づく楽音を出力するので、簡単な操作で本格的な演奏が可能となる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、楽音を出力する際に、人形玩具の口部が開閉するので、人形玩具が歌を歌っているような動作を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態における楽音出力装置の外観図である。
【図2】楽音出力装置の側面図である。
【図3】楽音出力装置の背面図である。
【図4】楽音出力装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】音階対応テーブルを示す図である。
【図6】楽器音対応テーブルを示す図である。
【図7】曲データの曲名一覧を示す図である。
【図8】曲操作対応テーブルを示す図である。
【図9】楽音出力装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図10】第1の制御モードにおける楽音出力処理を示すフローチャートである。
【図11】第2の制御モードにおける楽音出力処理を示すフローチャートである。
【図12】第3の制御モードにおける楽音出力処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明に係る楽音出力装置の実施の形態について説明する。
【0027】
[外観構成]
図1は、本実施の形態における楽音出力装置10の外観図である。図2は、楽音出力装置10の側面図である。図3は、楽音出力装置10の背面図である。
楽音出力装置10は、動物をキャラクター化した外観を呈する人形玩具である。
【0028】
楽音出力装置10の頭部の正面には、赤外線を発光する発光部161と、物体により反射された赤外線を受光する受光部162と、から構成される距離センサー16が設けられている。距離センサー16は、楽音出力装置10の前方向に操作者が手をかざした場合等、楽音出力装置10の前方向が物体によって遮られた場合に、楽音出力装置10から物体までの距離を検出する。本実施の形態では、距離センサー16は、楽音出力装置10から物体までの距離が予め定められた距離以下であるか否かに基づいて、「近い」、「遠い」の2種類の距離を検出する。
【0029】
また、楽音出力装置10の正面には、口部181が設けられている。口部181は、可撓性を有する素材で構成されており、楽音出力装置10が楽音を発する際に、口部181が開閉する。
【0030】
楽音出力装置10の右側面には、スイッチ1,2,3と、電源スイッチ4と、が設けられている。スイッチ1,2,3は、それぞれ、ON/OFFの状態を切り替え可能となっており、制御モードの選択や、各制御モードにおいて出力する楽音を切り替える際等に用いられる。電源スイッチ4は、楽音出力装置10の電源のON/OFFを切り替えるスイッチである。
【0031】
楽音出力装置10の背面には、スピーカー171が設けられており、スピーカー171から楽音が出力される。
【0032】
[内部構成]
図4は、楽音出力装置10の機能的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、楽音出力装置10は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、記憶部14、操作部15、距離センサー16、楽音出力部17、駆動部18等を備えて構成され、各部はバス19により接続されている。
【0033】
CPU11は、楽音出力装置10の各部の処理動作を統括的に制御する。CPU11は、ROM12に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM13に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0034】
CPU11は、操作部15からの操作により、第1の制御モード、第2の制御モード又は第3の制御モード(他の制御モード)が選択された場合に、それぞれの制御モードに応じた制御を行う。
【0035】
第1の制御モードでは、CPU11は、距離センサー16により物体の距離が検出された場合に、記憶部14に記憶されている音階対応テーブル141を参照して、スイッチ1,2,3の状態と距離センサー16により検出された物体の距離との組み合わせに対応する音階の楽音データを読み出し、当該読み出した音階の楽音データに基づく楽音を楽音出力部17に出力させる。第1の制御モードにおいて、CPU11は、距離センサー16により検出される物体の距離が同じ距離の間、楽音出力部17に音階の楽音データに基づく楽音を伸ばして出力させる。ここで、「同じ距離」とは、距離センサー16により検出される距離の種類(「近い」又は「遠い」)が同じであることをいう。例えば、「近い」と判断される範囲内で、距離の変化があってもかまわない。なお、楽音を伸ばして出力する場合には、ビブラートをかける場合も含まれる。
【0036】
第2の制御モードでは、CPU11は、距離センサー16により物体の距離が検出された場合に、記憶部14に記憶されている楽器音対応テーブル142を参照して、スイッチ1,2,3の状態と距離センサー16により検出された物体の距離との組み合わせに対応する楽器の音色の楽音データを読み出し、当該読み出した楽器の音色の楽音データに基づく楽音を楽音出力部17に出力させる。
【0037】
第3の制御モードでは、CPU11は、距離センサー16により物体の距離が検出されるタイミング毎に、記憶部14に記憶されている曲データ143に含まれる楽音データを順に読み出し、当該読み出した楽音データに基づく楽音を楽音出力部17に出力させる。第3の制御モードにおいて、CPU11は、距離センサー16により検出された物体の距離に応じて、楽音出力部17により出力される楽音の長さを制御する。
【0038】
CPU11は、楽音データに基づく楽音を楽音出力部17に出力させる際に、駆動部18に口部181を開閉させる。
【0039】
ROM12は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
【0040】
RAM13は、CPU11により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0041】
記憶部14は、不揮発性の半導体メモリやハードディスク等により構成され、各種処理に関するデータ等を記憶する。例えば、記憶部14には、音階対応テーブル141、楽器音対応テーブル142、曲データ143、曲操作対応テーブル144が記憶されている。
【0042】
図5に、音階対応テーブル141を示す。音階対応テーブル141は、スイッチ1,2,3の状態と、楽音出力装置10から物体までの距離との組み合わせに対して、音階の楽音データを対応付けたテーブルであり、第1の制御モードが選択された場合に用いられる。例えば、スイッチ1,2,3が全てOFFの状態で、距離センサー16により検出された距離が「近い」場合には、音階「ド」の楽音が出力される。
【0043】
図6に、楽器音対応テーブル142を示す。楽器音対応テーブル142は、スイッチ1,2,3の状態と、楽音出力装置10から物体までの距離との組み合わせに対して、楽器の音色の楽音データを対応付けたテーブルであり、第2の制御モードが選択された場合に用いられる。例えば、スイッチ1,2,3が全てOFFの状態で、距離センサー16により検出された距離が「近い」場合には、太鼓の「ドン」という楽音が出力される。
【0044】
図7に、記憶部14に記憶されている曲データ143の曲名一覧を示す。曲データ143は、各曲のメロディに従って、複数の楽音データが出力順に並べられて構成されている。
【0045】
図8に、曲操作対応テーブル144を示す。曲操作対応テーブル144は、スイッチ1,2,3の状態、又は、楽音出力装置10から物体までの距離に対して、操作内容を対応付けたテーブルであり、第3の制御モードが選択された場合に用いられる。曲名を選択する際に、スイッチ1をONの状態にすると、図7に示す曲の順番に従って、次の曲に移行する。曲名を選択する際に、スイッチ2をONの状態にすると、図7に示す曲の順番において、前の曲に移行する。また、スイッチ1又はスイッチ2により曲名が選択されると、選択された曲の導入部分が鳴らされる。楽音を出力する際に、距離センサー16により検出された距離が「近い」場合には、曲データ143に含まれる楽音データに基づく楽音が1つ短く(所定時間)鳴らされ、距離センサー16により検出された距離が「遠い」場合には、曲データ143に含まれる楽音データに基づく楽音が1つ、手をかざしている間鳴らされる。なお、手をかざしている間楽音を鳴らす場合には、ビブラートかける場合も含まれる。
【0046】
楽音データは、出力される楽音を特定するためのデータであり、当該楽音の波形を示すデータであってもよいし、音階や音色を示すデータであってもよい。
【0047】
操作部15は、スイッチ1,2,3と、電源スイッチ4と、を備えて構成され、操作者による操作を受け付ける。操作部15は、スイッチ1,2,3、電源スイッチ4の操作により入力された操作信号をCPU11に出力する。
【0048】
距離センサー16は、発光部161と、受光部162と、を備える。発光部161から照射された赤外線が、操作者の手等の物体で反射され、その反射された赤外線を受光部162により受光する。距離センサー16は、受光部162により受光された赤外線の強度に基づいて、楽音出力装置10から物体までの距離(「近い」又は「遠い」)を検出し、検出信号をPU11に出力する。
【0049】
また、発光部161及び受光部162は、赤外線によりデータの送受信を行う通信手段としての機能を有している。
【0050】
楽音出力部17は、スピーカー171を備えており、CPU11の制御に従って、楽音データに基づく楽音を出力する。楽音出力部17は、PCM(Pulse Code Modulation)音源、FM(Frequency Modulation)音源、PSG(Programmable Sound Generator)等から構成される。
【0051】
駆動部18は、モーター等を備えており、CPU11の制御に従って、楽音出力時に口部181を動かす。
【0052】
[動作]
次に、楽音出力装置10における動作について説明する。
図9は、楽音出力装置10により実行される処理を示すフローチャートである。この処理は、CPU11と、ROM12に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0053】
楽音出力装置10において、電源スイッチ4がONにされると、第1の制御モード、第2の制御モード、第3の制御モードの中から、いずれかの制御モードを選択する制御モードの選択状態となる(ステップS1)。
【0054】
CPU11は、操作部15において、所定時間無操作であるか否かを判断する(ステップS2)。所定時間無操作である場合には(ステップS2;YES)、CPU11は、楽音出力装置10をスリープ状態に移行させる(ステップS3)。スリープ状態でスイッチ1,2,3のいずれかが押下された場合には、ステップS1に戻る。
【0055】
ステップS2において、所定時間の間に操作部15において操作が行われた場合には(ステップS2;NO)、CPU11は、スイッチ1,2,3のいずれかが押下されたか否かを判断する(ステップS4)。スイッチ1,2,3のいずれも押下されない場合には(ステップS4;NO)、ステップS1に戻る。
【0056】
ステップS4において、スイッチ1,2,3のいずれかが押下された場合には(ステップS4;YES)、CPU11は、通信相手がいるか否かを判断する(ステップS5)。例えば、CPU11は、発光部161から当該楽音出力装置10に通信相手が存在するか否かの問い合わせを送信し、他の楽音出力装置10からの返答を受光部162により受信した場合に、通信相手がいると判断する。通信相手がいる場合には(ステップS5;YES)、CPU11は、通信アクションへと移行させる(ステップS6)。通信アクションでは、問い合わせを行った方の楽音出力装置10に対して予め定められている曲データ143を、2体で自動演奏する。例えば、演奏パート(主旋律・ハモリ)を分担したり、演奏するタイミングを分担したり、2体で合唱するように楽音を出力する。
【0057】
ステップS5において、通信相手がいない場合には(ステップS5;NO)、CPU11は、押下されたスイッチがスイッチ1,2,3のいずれであるかを判断する(ステップS7)。押下されたスイッチがスイッチ1である場合には(ステップS7;スイッチ1)、CPU11は、第1の制御モードへ移行させる(ステップS8)。押下されたスイッチがスイッチ2である場合には(ステップS7;スイッチ2)、CPU11は、第2の制御モードへ移行させる(ステップS9)。押下されたスイッチがスイッチ3である場合には(ステップS7;スイッチ3)、CPU11は、第3の制御モードへ移行させる(ステップS10)。
【0058】
各制御モード又は通信アクションから制御モードの選択状態に戻るには、電源スイッチ4を一旦OFFにし、再度ONにすればよい。
【0059】
<第1の制御モード>
次に、第1の制御モードについて説明する。
図10は、第1の制御モードにおける楽音出力処理を示すフローチャートである。第1の制御モードは、マニュアル演奏を行う制御モードである。
【0060】
まず、CPU11は、距離センサー16によって、所定の距離に物体が検出されたか否かを判断する(ステップS11)。具体的には、楽音出力装置10から「近い」又は「遠い」と判断される距離に、操作者が手をかざしたか否かを判断する。所定の距離に物体が検出されない場合には(ステップS11;NO)、所定の距離に物体が検出されるまで待機状態となる。
【0061】
距離センサー16によって、所定の距離に物体が検出された場合には(ステップS11;YES)、CPU11は、操作部15のスイッチ1,2,3の状態が取得される(ステップS12)。
【0062】
次に、CPU11は、記憶部14に記憶されている音階対応テーブル141を参照して、スイッチ1,2,3の状態と距離センサー16により検出された物体の距離との組み合わせに対応する音階の楽音データを読み出す(ステップS13)。
【0063】
次に、CPU11は、読み出した音階の楽音データに基づく楽音を楽音出力部17に出力させるとともに、駆動部18を制御して、口部181を開閉させる(ステップS14)。
【0064】
ここで、CPU11は、距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS11において検出された距離と同じ距離であるか否かを判断する(ステップS15)。距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS11において検出された距離と同じ距離である場合には(ステップS15;YES)、ステップS14に戻る。すなわち、CPU11は、距離センサー16により検出される物体の距離が同じ種類の距離(「近い」又は「遠い」)である間、楽音出力部17に音階の楽音データに基づく楽音を伸ばして出力させる(ビブラートを含む。)。
【0065】
楽音出力装置10の前方向にかざしていた操作者の手が所定の範囲から逸れた場合等、ステップS15において、距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS11において検出された距離と同じ距離でなくなった場合には(ステップS15;NO)、ステップS11に戻り、次の楽音出力の待機状態となる。
【0066】
なお、同じ音階の楽音を1音ずつ離して連続して出力する場合には、距離センサー16の前方向に手をかざした状態から一旦手を距離センサー16の前方向から逸らし、再度距離センサー16の前方向に手をかざせばよい。
【0067】
<第2の制御モード>
次に、第2の制御モードについて説明する。
図11は、第2の制御モードにおける楽音出力処理を示すフローチャートである。第2の制御モードは、楽器の音を操作者が指示するタイミングで出力する制御モードである。
【0068】
まず、CPU11は、距離センサー16によって、所定の距離に物体が検出されたか否かを判断する(ステップS21)。具体的には、楽音出力装置10から「近い」又は「遠い」と判断される距離に、操作者が手をかざしたか否かを判断する。所定の距離に物体が検出されない場合には(ステップS21;NO)、所定の距離に物体が検出されるまで待機状態となる。
【0069】
距離センサー16によって、所定の距離に物体が検出された場合には(ステップS21;YES)、CPU11は、操作部15のスイッチ1,2,3の状態が取得される(ステップS22)。
【0070】
次に、CPU11は、記憶部14に記憶されている楽器音対応テーブル142を参照して、スイッチ1,2,3の状態と距離センサー16により検出された物体の距離との組み合わせに対応する楽器の音色の楽音データを読み出す(ステップS23)。
【0071】
次に、CPU11は、読み出した楽器の音色の楽音データに基づく楽音を楽音出力部17に出力させるとともに、駆動部18を制御して、口部181を開閉させる(ステップS24)。
【0072】
ここで、CPU11は、距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS21において検出された距離と同じ距離であるか否かを判断する(ステップS25)。距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS21において検出された距離と同じ距離である場合には(ステップS25;YES)、距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS21において検出された距離と同じ距離でなくなるまで待機状態となる。
【0073】
楽音出力装置10の前方向にかざしていた操作者の手が所定の範囲から逸れた場合等、ステップS25において、距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS21において検出された距離と同じ距離でなくなった場合には(ステップS25;NO)、ステップS21に戻り、次の楽音出力の待機状態となる。
【0074】
<第3の制御モード>
次に、第3の制御モードについて説明する。
図12は、第3の制御モードにおける楽音出力処理を示すフローチャートである。第3の制御モードは、半自動演奏を行う制御モードである。
【0075】
まず、操作者は、スイッチ1又はスイッチ2を操作し、曲名を選択する(ステップS31)。具体的には、スイッチ1がONの状態にされる毎に、CPU11は、図7に示す曲の順番に従って、次の曲に移行させ、演奏対象曲に対応する曲データ143に含まれる楽音データに基づいて、曲の導入部分の楽音を楽音出力部17に出力させる。あるいは、スイッチ2がONの状態にされる毎に、CPU11は、図7に示す曲の順番において、前の曲に移行させ、演奏対象曲に対応する曲データ143に含まれる楽音データに基づいて、曲の導入部分の楽音を楽音出力部17に出力させる。
【0076】
次に、CPU11は、距離センサー16によって、所定の距離に物体が検出されたか否かを判断する(ステップS32)。具体的には、楽音出力装置10から「近い」又は「遠い」と判断される距離に、操作者が手をかざしたか否かを判断する。所定の距離に物体が検出されない場合には(ステップS32;NO)、所定の距離に物体が検出されるまで待機状態となる。
【0077】
距離センサー16によって、所定の距離に物体が検出された場合には(ステップS32;YES)、CPU11は、記憶部14に記憶されている曲データ143のうち、ステップS31で選択された曲名に対応する曲データ143に含まれる次の楽音データを読み出す(ステップS33)。
【0078】
ここで、ステップS32において検出された距離が「近い」場合には(ステップS34;YES)、CPU11は、読み出した楽音データに基づく楽音を所定時間、楽音出力部17に出力させるとともに、駆動部18を制御して、口部181を開閉させる(ステップS35)。
【0079】
ここで、CPU11は、距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS32において検出された距離と同じ距離であるか否かを判断する(ステップS36)。距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS32において検出された距離と同じ距離である場合には(ステップS36;YES)、距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS32において検出された距離と同じ距離でなくなるまで待機状態となる。
【0080】
ステップS32において検出された距離が「遠い」場合には(ステップS34;NO)、CPU11は、読み出した楽音データに基づく楽音を楽音出力部17に出力させるとともに、駆動部18を制御して、口部181を開閉させる(ステップS37)。
【0081】
ここで、CPU11は、距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS32において検出された距離と同じ距離であるか否かを判断する(ステップS38)。距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS32において検出された距離と同じ距離である場合には(ステップS38;YES)、ステップS37に戻る。すなわち、CPU11は、距離センサー16により検出される物体の距離が「遠い」である間、楽音出力部17に楽音データに基づく楽音を伸ばして出力させる(ビブラートを含む。)。
【0082】
ステップS36又はステップS38において、距離センサー16により検出される物体の距離が、ステップS32において検出された距離と同じ距離でなくなった場合には(ステップS36;NO,ステップS38;NO)、CPU11は、曲が終了したか否かを判断する(ステップS39)。具体的には、ステップS31で選択された曲名に対応する曲データ143に含まれる全ての楽音データについて処理が終了したか否かを判断する。曲が終了していない場合には(ステップS39;NO)、ステップS32に戻り、次の楽音出力の待機状態となる。
【0083】
ステップS39において、曲が終了した場合には(ステップS39;YES)、ステップS31に戻り、次の曲名選択の待機状態となる。
【0084】
以上説明したように、楽音出力装置10によれば、スイッチ1,2,3の状態と距離センサー16により検出された物体の距離との組み合わせに対応する楽音データに基づく楽音を出力するので、簡単な操作で本格的な演奏が可能となる。
また、スイッチの状態と物体の2種類以上の距離との組み合わせによって、4つ以上の楽音を出力することができる。
【0085】
第1の制御モードでは、スイッチ1,2,3の状態と距離センサー16により検出された物体の距離との組み合わせに対応する音階の楽音データに基づく楽音を出力するので、簡単な操作で音階の楽音を出力することができる。本実施の形態では、3つのスイッチ1,2,3の状態と2種類の距離(「近い」、「遠い」)との組み合わせによって、低い「ド」から高い「ド#」までの14個の音階の楽音を出力することができる。
また、手をかざす位置を保つことにより、各音階の楽音を伸ばして出力することができる。
【0086】
また、第2の制御モードでは、スイッチ1,2,3の状態と距離センサー16により検出された物体の距離との組み合わせに対応する楽器の音色の楽音データに基づく楽音を出力するので、簡単な操作で多種の楽器の音色の楽音を出力することができる。
【0087】
また、第3の制御モードでは、操作者の操作タイミングに応じて、予め記憶されている曲データ143に含まれる楽音データに基づく楽音を1音ずつ出力するので、簡単な操作で曲を演奏することができる。
また、第3の制御モードにおいて、距離センサー16により検出された物体の距離(「近い」、「遠い」)に応じて楽音の長さを制御することができる。
【0088】
また、楽音を出力する際に、人形玩具の口部181が開閉するので、人形玩具が歌を歌っているような動作を提供することができる。
【0089】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る楽音出力装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0090】
上記実施の形態では、位置センサーとして、楽音出力装置10から物体までの距離を検出する距離センサー16を用いた場合について説明したが、楽音出力装置10に対して左右又は上下等、物体が存在する方向を検出することとしてもよい。また、物体の位置を3種類以上区別して検出することとしてもよい。
【0091】
また、上記実施の形態では、第1の制御モードが選択された場合、又は、第3の制御モードにおいて距離センサー16により検出された距離が「遠い」場合には、距離センサー16により検出される物体の距離が同じ種類の距離である間、楽音を伸ばして出力することとしたが、3種類以上の位置を区別して検出する場合にも、検出される物体の位置が同じ種類の位置である間、楽音を伸ばして出力する等、楽音の長さを制御してもよい。
【0092】
また、上記実施の形態では、赤外線による距離センサー16を用いた場合について説明したが、電波や超音波を用いて物体の位置を検出することとしてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態では、楽音出力装置10が動物をキャラクター化した人形玩具である場合を例にして説明したが、人間やロボット等の人形玩具であってもよい。
また、同じ楽音を所定時間(例えば、2秒)以上伸ばすと咳き込む等、人形形状ならではの動作を組み込んでもよい。
【符号の説明】
【0094】
1,2,3 スイッチ
4 電源スイッチ
10 楽音出力装置
11 CPU(制御部)
12 ROM
13 RAM
14 記憶部(記憶部、第2の記憶部)
15 操作部
16 距離センサー(位置センサー)
17 楽音出力部
18 駆動部
19 バス
141 音階対応テーブル(テーブル)
142 楽器音対応テーブル(テーブル)
143 曲データ
144 曲操作対応テーブル
161 発光部
162 受光部
171 スピーカー
181 口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態を切り替えるためのスイッチと、
物体の位置を検出する位置センサーと、
前記スイッチの状態と物体の位置との組み合わせに対して楽音データを対応付けたテーブルを記憶する記憶部と、
楽音を出力する楽音出力部と、
前記位置センサーにより物体の位置が検出された場合に、前記記憶部に記憶されているテーブルを参照して、前記スイッチの状態と前記位置センサーにより検出された物体の位置との組み合わせに対応する楽音データを読み出し、当該読み出した楽音データに基づく楽音を前記楽音出力部に出力させる制御モードを有する制御部と、
を備えることを特徴とする楽音出力装置。
【請求項2】
前記位置センサーは、物体の少なくとも2種類の位置を検出するものであることを特徴とする請求項1に記載の楽音出力装置。
【請求項3】
前記楽音データが音階に関するデータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の楽音出力装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記位置センサーにより検出される物体の位置が同じ位置の間、前記楽音出力部に前記読み出した楽音データに基づく楽音を伸ばして出力させることを特徴とする請求項3に記載の楽音出力装置。
【請求項5】
前記楽音データが楽器の音色に関するデータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の楽音出力装置。
【請求項6】
複数の楽音データが出力順に並べられて構成された曲データを記憶する第2の記憶部を備え、
前記制御部は、前記位置センサーにより物体の位置が検出されるタイミング毎に、前記第2の記憶部に記憶されている曲データに含まれる楽音データを順に読み出し、当該読み出した楽音データに基づく楽音を前記楽音出力部に出力させる他の制御モードを有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の楽音出力装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記他の制御モードにおいて、前記位置センサーにより検出された物体の位置に応じて、前記楽音出力部により出力される楽音の長さを制御することを特徴とする請求項6に記載の楽音出力装置。
【請求項8】
前記位置センサーは、
赤外線を発光する発光部と、
物体により反射された赤外線を受光する受光部と、
を備え、
前記受光部により受光された赤外線の強度に基づいて、当該楽音出力装置から物体までの距離を検出する距離センサーであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の楽音出力装置。
【請求項9】
当該楽音出力装置は、口部を備える人形玩具であり、
前記口部を動かす駆動部を備え、
前記制御部は、楽音を前記楽音出力部に出力させる際に、前記駆動部に前記口部を開閉させることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の楽音出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−3221(P2013−3221A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131759(P2011−131759)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】