説明

楽音装置並びに楽音装置の生産方法及び改造方法

【課題】弦発音/弦消音、楽音信号出力/非出力、加振体への出力/非出力、ヘッドフォンへの出力/非出力を任意の組み合わせで連動/非連動させる。
【解決手段】消音切換レバー179(消音切換え手段)の弦発音/弦消音の切換えと、駆動回路(信号出力手段)の電源の投入/遮断と、切換えスイッチ74L、75L、76L、74R、75R、76R(加振体切換え手段)への出力/非出力、ヘッドフォン78の差込みスイッチ79L、79Rの出力/非出力とは一部または全てが連動・一体とされたり、一部または全てが非連動/独立・別体とされたりする。弦発音、楽音信号出力、電磁駆動ユニット31、37などからの発音、ヘッドフォン78からの発音につき、全て発音・出力から、いずれかの発音・出力、いずれも発音・出力しない無音の状態まで、種々の演奏状態を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、楽音装置並びに楽音装置の生産方法及び改造方法に関し、特に、接触する物体を振動させて同物体より音を放射させる加振体を、アコースティックな楽器に取り付けて、楽音を発音・放音させるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような加振体としては、ピアノの響板に電磁駆動体を接合し、この電磁駆動体に楽音信号を送り込んで、電磁駆動体ではなく、響板を振動させて、この響板から楽音を発音・放音させている。この電磁駆動体が加振体である。
【0003】
【特許文献1】実開昭60−150894号公報
【特許文献2】特開平8−146949号公報
【特許文献3】特開平8−111896号公報
【特許文献4】特開平4−156799号公報
【特許文献5】特開昭53−69624号公報
【特許文献6】特開平4−56996号公報
【特許文献7】特開平5−80748号公報
【特許文献8】特開平5−73039号公報
【特許文献9】特願2006−181135号(未公開)
【特許文献10】特願2006−160054号(未公開)
【特許文献11】特願2006−151287号(未公開)
【特許文献12】特願2006−141954号(未公開)
【特許文献13】特願2006−135899号(未公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような楽器に加振体を取り付けると、加振体が目立ち、楽器/鍵盤楽器の外観を損ねていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本件発明は、複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体を、鍵盤楽器の響板の内側に接触した状態で取り付け、鍵盤楽器の前面の水平な棚板の下に配置された垂直な下前板の上に形成された穴部において、この穴部の内側であって、上記棚板に取り付け部材を固定し、この取り付け部材に、複数種類の楽音からなる楽音信号を音に変換し、上記棚板に対して音を伝達する発音体を取り付けるようにした。
【0006】
また、本件発明は、ハンマーが弦を振動させて発音させるのを禁止させる消音機構を取り付け、 この消音機構によって弦の発音を禁止させ、信号出力手段からの信号出力を許容させることと、上記消音機構によって弦の発音を許容させ、上記信号出力手段からの信号出力を禁止させることとを切換え、 加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力するか否かを切換えるようにした。
【0007】
さらに、本件発明は、鍵盤楽器の弦による発音と、加振体による発音と、ヘッドフォンによる発音とにつき、 弦による発音と加振体または/及びヘッドフォンによる発音とを同時に行なってこれらの合奏を可能とすること、若しくは加振体による発音とヘッドフォンによる発音とを同時に行なってこれらの合奏を可能とする切換え手段を上記鍵盤楽器に取り付けたまたは備えた。
【発明の効果】
【0008】
これにより、加振体と発音体とを鍵盤楽器の内部に取り付け、楽器/鍵盤楽器の外側から加振体と発音体とが目立たず、楽器/鍵盤楽器の外側を損ねず、楽器/鍵盤楽器を改造しても外からはわからない。
【0009】
また、弦の発音が禁止されるとき、代わりに加振体を通じて発音でき、弦が発音されるとき、代わりに加振体による発音が禁止される。また逆に、弦が発音されるとき、同時に加振体によっても発音され、弦の発音が禁止されるとき、同時に加振体による発音も禁止され、このとき例えばヘッドフォンを通じて発音される。
【0010】
さらに、鍵盤楽器の弦と加振体または/及びヘッドフォンによる合奏が可能となり、アコースティックな楽音とエレクトロニックな楽音との合奏を行い、同じ操作の同じ音色・音高・タッチでありながら、弦の音にさらに異なる音質の音を付加して、音質的に異なる楽音の合奏が可能となる。
【0011】
また、弦または加振体とヘッドフォンとの合奏も行い、同じ操作の同じ音色・音高・タッチの音を鍵盤楽器で放音しながら、ヘッドフォンでこの楽音の音質を細かく聞き分けることができ、また聴覚に障害のある人でも鍵盤楽器からの放音以外に、同じ操作の同じ音色・音高・タッチの音をヘッドフォンによって耳元で正確に聞くことができる。
【0012】
本発明の楽音装置の改造方法は、いったん生産された楽音装置(楽器)に、発音体、加振体、これを駆動する回路などが後から付加される。また、本発明の楽音装置の生産方法は、発音体、加振体、これを駆動する回路が、楽音装置(楽器)の生産において組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(1)楽音装置(楽器)の響板8
図1は楽音装置(楽器)の左方から見た縦断面、図2は楽音装置の右方から見た縦断面、図3は楽音装置の背面を示し、図4は楽音装置の正面を示す。この楽音装置はアコースティックのアップライトピアノの例である。角材状の骨組み(支柱)1は方形枠状に組まれ、さらにこの骨組み(支柱)1の方形枠の内側には、縦に延びる複数例えば三本の内支柱2がほぼ等間隔に固定されている。
【0014】
この骨組み1及び内支柱2の前面の上側にはピン板3が固定され、同じくこの骨組み1及び内支柱2の前面の下側には底板4が固定され、この骨組み1及び内支柱2の上面には屋根板5が固定され、この骨組み1及び内支柱2の左右両側面側には左親板6、右親板7が固定されている。
【0015】
このピン板3と底板4と左親板6と右親板7とで囲まれた内側であって、楽音装置の背面側には、方形で平板状の響板8が木ねじ、ボルトまたは接着剤などによって略垂直に取り付けられている。この響板8は、複数の木材の板が接合されて、大きな一枚の板になっている。これらの繋ぎ合わされている複数の木材板の各部の柾目または木目は、木材板の長手方向に沿ってほぼ同一方向に揃っている。
【0016】
これにより、響板8の音が響板8の一部に偏ることなく、全体に均一に広がり、響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0017】
この響板8は材木から切り出した単体の板材、または薄い膜板材のほか、ベニヤ板、合板、化粧板、集成材などでもよく、この場合でも、柾目または木目は存在する。これらベニヤ板、合板、化粧板、集成材は、複数枚の木板が積層されたり、繋ぎあわされたりされているが、この場合の複数枚の木板の各柾目または各木目は同じ方向に揃っていないこともある。
【0018】
このような場合でも、これらの複数枚の木板の各柾目または各木目の合成方向は存在するし、複数枚の木板のうちのもっとも多い柾目または木目の方向も存在するし、一番内側の電磁駆動ユニット31、37に接する積層面の柾目または木目の方向も存在するし、内側ほど重み付けを大きくした各柾目または各木目の合成方向も存在する。これがこれらベニヤ板、合板、化粧板、集成材の柾目または木目となる。
【0019】
この響板8の柾目または木目の方向は、水平方向に対して20度乃至70度、望ましくは30度乃至60度、より望ましくは40度ないし50度、例えばほぼ斜め45度の方向となっている。この響板8の板面は垂直方向に沿っている。この響板8は、振動されて音を放射するものである。
【0020】
この響板8の後面(裏面)の外側の表面には、複数の響棒9…が木ねじ、ボルトまたは接着剤などによって取り付け固定されている。この響棒9…の長手方向は、上記響板8の柾目または木目の方向とは異なる方向であって、ほぼ直交する方向にほぼ揃っている。この響棒9…は、2本乃至30本、望ましくは5本乃至20本、たとえば10本が、ほぼ等間隔で取り付けられている。
【0021】
上記響棒9…は、水平方向に対して20度乃至70度、望ましくは30度乃至60度、より望ましくは40度ないし50度傾斜していてもよい。これにより、響板8の音が水平方向または/及び垂直方向に偏ることなく、全体に均一に広がり、響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。なお、響板8は長方形状なので、響板8の音は水平方向または/及び垂直方向にもともと偏る性質がある。
【0022】
上記各響棒9…は、上記響板8の柾目または木目と、40度乃至140度、望ましくは60度乃至120度、より望ましくは80度ないし100度、例えばほぼ直交する方向に配置されている。これにより、響板8の音は柾目または木目に沿って伝播し易いが、各響棒9…によって、柾目または木目を跨いで音が伝播され、響板8の音が偏ることなく、全体に均一に広がり、響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0023】
この響棒9…の両端縁は、上記響板8の端縁まで達している。これにより、上述の響板8の音が水平方向または/及び垂直方向に偏ることが無いことが、響板8の端縁まで達成されることができ、響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0024】
響棒9…の両端は厚さが薄くなっている。これにより、響棒9…自身の共振が防止され、響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0025】
上記響棒9…の各間隔は、10cm乃至30cmであり、等間隔ではなく、不等間隔となっていてもよい。これにより、響棒9…が振動の節となって、各響棒9…の間で同じ周波数の音が共振してしまうことがなくなり、響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。このような響棒9…は響板8の後面側以外に前面側に取り付けられてもよい。
【0026】
上記響板8の前面においてピン板3前面から底板4にかけて金属製のフレーム10が木ねじ、ボルトまたは接着剤などによって取り付け固定されている。このフレーム10には多数の弦(ピアノ線)11…が架け渡されている。この弦11…と上記響板8との間には駒12が挟持されて、弦11…の振動が響板8に伝達されて、響板8が振動して音が出るようになっている。
【0027】
楽音装置の底板4の前には左右に一対の前土台12、12が木ねじ、ボルトまたは接着剤などによって取り付け固定されている。この前土台12、12の上には垂直に伸びる一対の棚受け柱13、13が木ねじ、ボルトまたは接着剤などによって取り付け固定され、この棚受け柱13、13の上には水平方向に延びる板状の棚板14が木ねじ、ボルトまたは接着剤などによって取り付け固定されている。
【0028】
この棚板14の手前上には鍵盤15が取り付けられており、この棚板14の奥上には腕木16が木ねじ、ボルトまたは接着剤などによって取り付け固定されている。この腕木16の前面上縁から棚板14の上面手前縁にかけて鍵盤蓋17が開閉可能に木ねじ、ボルトまたは接着剤などによって取り付け固定されている。
【0029】
上記底板4上面前縁、左親板6内側前縁、右親板7内側前縁、棚板14下面で囲まれた内側には、方形で平板状の下前板18が開閉かつ取り外し可能に取り付けられている。上記屋根板5下面前縁、左親板6内側前縁、右親板7内側前縁、鍵盤蓋17の奥上縁で囲まれた内側には、方形で平板状の上前板19が開閉かつ取り外し可能に取り付けられている。
【0030】
(2)電磁駆動ユニット(電磁駆動体/加振体)31、37の取り付け構造
図5は電磁駆動ユニット(電磁駆動体/加振体)31の取り付け構造を示す。上記棚板14の下面の左側には、金属板からなるL字金具32がねじ留めされている。このL字金具32は、細長い金属板の中央が直角に折り曲げられて「L」字形になっており、高さは10乃至30cmほどである。
【0031】
このL字金具32の上半分は水平向きになり、棚板14の下面にねじ留めされる。L字金具32の下半分は垂直向きになり、中央に穴があけられている。この穴に頭が六角のボルト33が挿通され、このボルト33にナット34と調節つまみ35とが螺合され、このナット34と調節つまみ35とによって、L字金具32を挟持可能となっている。
【0032】
このボルト33の先端は、上記電磁駆動ユニット31の後面中央のねじ穴に螺着固定されている。上記ナット34と調節つまみ35とを回してL字金具32を挟持した状態で、電磁駆動ユニット31を響板8に押し当てて、L字金具32を棚板14下面に固定する。
【0033】
この後、ナット34、33と調節つまみ35とを回して、電磁駆動ユニット31を響板8に所定の力で押し付ける。この押し付けによって、電磁駆動ユニット31が加振/振動したとき、電磁駆動ユニット31と響板8との間に瞬間的に隙間ができず、電磁駆動ユニット31と響板8とがぶつかり合って異常振動/異常音が発生してしまうことがなくなり、響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0034】
図6は電磁駆動ユニット(電磁駆動体/加振体)37の取り付け構造を示す。上記底板4の上面の右側には、金属板からなる三角金具36がねじ留めされている。この三角金具36は、細長い金属板の中央付近が直角に「L字状」に折り曲げられ、この「L字状」の両先端を架渡すように斜めの金属板がねじ留めされて「三角形」になっており、高さは10乃至120cmほどである。
【0035】
この三角金具36の短辺にあたる下面は水平向きになり、上記前土台12の奥面(後面)に当接されて、底板4の上面にねじ留めされる。三角金具36の上先端は垂直向きになり、中央に穴があけられている。この穴に頭が六角のボルト33が挿通され、このボルト33にナット34と調節つまみ35とが螺合され、このナット34と調節つまみ35とによって、三角金具36を挟持可能となっている。
【0036】
このボルト33の先端は、上記電磁駆動ユニット37の後面中央のねじ穴に螺着固定されている。上記ナット34と調節つまみ35とを回して三角金具36を挟持した状態で、電磁駆動ユニット37を響板8に押し当てて、三角金具36を底板4上面に固定する。
【0037】
この後、ナット34と調節つまみ35とを回して、電磁駆動ユニット37を響板8に所定の力で押し付ける。この押し付けによって、電磁駆動ユニット37が加振/振動したとき、電磁駆動ユニット37と響板8との間に瞬間的に隙間ができず、電磁駆動ユニット37と響板8とがぶつかり合って異常振動/異常音が発生してしまうことがなくなり、響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0038】
このような電磁駆動ユニット31は、響板8、底板4、屋根板5、左親板6、右親板7、下前板18、上前板19などに、木ねじやボルトなどで留められないので、これらに穴を開けなくて済み、響板8をはじめとする楽音装置の音響特性を変質させてしまうことがなくなる。
【0039】
また、このように響板8、底板4、屋根板5、左親板6、右親板7、下前板18、上前板19などに、木ねじやボルトを取り付けたり、これらに穴を開けたりしなくてよく、楽音装置の音質及び音響特性が変化しない。穴部52はもともと楽音装置に形成されていて、改造時には形成されていない。
【0040】
電磁駆動ユニット31、37、L字金具32、三角金具36、スピーカー(発音体)51、ツィーター(発音体)55、取り付け板(取り付け部材)53、取り付け金具(取り付け部材)54は、下側板18の内側、響板8の内側などに取り付けられ、楽音装置の外からは全く見えないので、これら電磁駆動ユニット31、37、L字金具32、三角金具36、スピーカー51、ツィーター55、取り付け板53、取り付け金具54などを取り付けても楽音装置の外観・美観を損ねることがない。
【0041】
電磁駆動ユニット31、37の外形は円柱状の本体ケースとこの本体ケースの側面に設けられている円形の平坦な振動板とからなっている。電磁駆動ユニット31、37の中にはコイルと磁石とが内蔵され、上記本体ケース及び振動板の一方にコイルが連結され他方に磁石が連結される。
【0042】
上記コイルに複数種類の楽音からなる楽音信号が流れると、コイルに生じる磁界と磁石の磁界との相互作用によって、コイルまたは磁石が振動/駆動/変位し、本体ケースに対して振動板が振動/駆動/変位する。振動板を上記響板8に直接または連結部材を介して接合(取付け/連結/接着を含む)させる。したがって、電磁駆動ユニット31、37は、複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、楽音装置の響板8を駆動させて音を放射させる。
【0043】
これにより、振動板及び響板8を電磁駆動させて振動させることができる。電磁駆動ユニット31、37は、スピーカーとは異なり、それ自体は発音/放音せず、接合された他の物体を電磁駆動させて振動させ発音/放音させるものである。このような電磁駆動ユニット11は、特開平8−146949号公報、特開平8−111896号公報などに開示されている。
【0044】
三角金具36の短辺にあたる下面は前土台12の奥面(後面)に当接されているので、電磁駆動ユニット37の響板8への加振力/加圧力の反作用が大きくても、三角金具36が前方(図6の右方)へずれてしまうことがない。
【0045】
なお、上記調節つまみ35はナット、スクリューねじ、蝶ねじなど挟持力または挟持量を調整できるものならば何でもよい。また、三角金具36の下面手前は上記前土台12の奥面(後面)に当接されなくてもよい。
【0046】
(3)L字金具32及び三角金具36(支持体)と柔軟板21(柔軟体)
上記三角金具36(支持体)の先端に取り付けられている電磁駆動ユニット(電磁駆動体/加振体)37の先端面/加振面には柔軟板21(柔軟体)が接着剤または接着テープなどによって取り付けられており、L字金具32の先端の電磁駆動ユニット31には取り付けられていない。
【0047】
この柔軟板21はクッション性、弾性、可撓性があり、電磁駆動ユニット37(31)と響板8との間に介在される。したがって、この柔軟板21は、L字金具32及び三角金具36(支持体)の長さが長いほど介在され、短いほど介在されないことになる。
【0048】
これにより、L字金具32及び三角金具36の一端から他端までの長さが長いほど、電磁駆動ユニット37(31)の加振に対して響板8の振動が追従しにくく遅れ易くなるが、介在される柔軟板21によってこの遅れが吸収され、響板8と電磁駆動ユニット37(31)とが互いにぶつかり合って生じる異常な共振音が生じなくなる。
【0049】
また、L字金具32及び三角金具36(支持体)の長さが長い/短いほど、柔軟板21の厚さは厚く/薄くしてもよい。これにより、介在される柔軟板21による上記遅れの吸収が、連続的/段階的/無段階に実現される。
【0050】
このようなL字金具32及び三角金具36の一端では、上記電磁駆動ユニット37(31)が支えられ、他端では楽音装置本体に固定され、L字金具32及び三角金具36は上記電磁駆動ユニット37(31)を響板8に当接させることになる。このL字金具32及び三角金具36の一端から他端までの長さは、複数の上記電磁駆動ユニット37、31ごとに異なっている。
【0051】
しかも、上記ナット34と調節つまみ35の調整量は、電磁駆動ユニット37、31の両方において同じであり、電磁駆動ユニット37、31が上記響板8に当接される力は同じとなっている。しかし、異なっていてもよい。電磁駆動ユニット37の当接力の方が大きくてもよいし、電磁駆動ユニット31の当接力の方が大きくてもよい。これにより、このL字金具32及び三角金具36の一端から他端までの長さに応じて、電磁駆動ユニット31の当接力が変化される。
【0052】
上記柔軟板21は例えば以下のような材質が用いられる。材質はクロロプレンゴム(デュポン社のネオプレンゴム、Neo−180)、硬さA60、引っ張り強さ7.4MPa、伸び290%、圧縮永久ひずみ率35%(70℃×22h)。大きさは電磁駆動ユニット37、31の響板8への当接面より若干小さく、厚さは十分の数mm乃至数mm、例えば0.5mm乃至2mmであり、上記のようにクッション性、弾性、可撓性がある。
【0053】
電磁駆動ユニット37、31が上記響板8に当接される力は、電磁駆動ユニット37、31の自重と同じ、または自重の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、十数倍または数十倍より大きい。電磁駆動ユニット37、31の自重は、数百グラム、例えば400グラム乃至500グラムである。
【0054】
このように、電磁駆動ユニット37、31が上記響板8に当接される力が電磁駆動ユニット37、31の自重より大きいと、電磁駆動ユニット37、31の加振力が確実に響板8に伝えられ、響板8と電磁駆動ユニット37(31)とが互いにぶつかり合って生じる異常な共振音が生じなくなる。
【0055】
電磁駆動ユニット37、31が上記響板8に当接される力は、楽音装置本体内の駒20の上記響板8への加圧力より小さい。この駒20の上記響板8への加圧力は約数百キログラム、例えば200kg乃至400kgである。
【0056】
このように、電磁駆動ユニット37、31が上記響板8に当接される力が楽音装置本体内の駒20の上記響板8への加圧力より小さいと、弦11の振動/音が駒20を通じて響板8に伝わるのを妨害して支障を与えることがなくなり、電磁駆動ユニット37、31による振動/音以外に弦11による振動/音も変質されずに確実に響板8から発音/放射される。
【0057】
上記一端から他端までの長さが長い三角金具36(支持体)は、本鍵盤の楽音装置の底板4の上面に取り付けられ、上記一端から他端までの長さが短いL字金具32(支持体)は、本鍵盤の楽音装置の棚板14の下面に取り付けられる。
【0058】
また、上記一端から他端までの長さが長い三角金具36(支持体)は、本鍵盤の楽音装置の底板4の下方から持ち上げられ、上記一端から他端までの長さが短いL字金具32(支持体)は、本鍵盤の楽音装置の棚板14の下面の上方から吊り下げられている。
【0059】
これにより、電磁駆動ユニット31、37からの音の放射位置を鍵盤15や棚板14に近い位置にすることができ、鍵盤15の演奏/操作をしているときに、鍵盤15を演奏/操作している指/手が、音の放射/振動を感じることができ、実際の演奏に近い感触を得ることができる。
【0060】
また、三角金具36の先端の電磁駆動ユニット37と、L字金具32の先端の電磁駆動ユニット31とは、これらの三角金具36とL字金具32との間に、底板4、棚板14、左親板6、右親板7などが介在して、一方の電磁駆動ユニット31(37)の振動/音が他方の電磁駆動ユニット37(31)に伝わりにくくなり、異常な共振音が生じなくなり、電磁駆動ユニット31、37の音質を高く保つことができる。
【0061】
(4)電磁駆動ユニット31、37の取り付け位置
上記電磁駆動ユニット31は響板8の左端であって、棚板14のすぐ下の位置に取り付けられている。電磁駆動ユニット37は響板8の右端であって、棚板14と底板4のほぼ中間位置に取り付けられている。
【0062】
これにより、電磁駆動ユニット31、37は、上記響板8の柾目または木目に沿った同一線上からずれた位置、及び上記各響棒の各長手方向に沿った同一線上からもずれた位置の響板の表面に取り付けられる。
【0063】
ここで、電磁駆動ユニット37は、響板8の右端であって、棚板14のすぐ下の位置に取り付けられてもよい。この場合でも、電磁駆動ユニット31、37は、上記響板8の柾目または木目に沿った同一線上からずれた位置、及び上記各響棒の各長手方向に沿った同一線上からもずれた位置の響板の表面に取り付けられる。
【0064】
これにより、電磁駆動ユニット31及び37からの振動/音が、響板8の柾目または木目に沿ったある線上に偏らず、響棒9…の一部に沿って偏らなくなり、したがって、響板8の振動/音が響板の一部に偏ることがなく、響板8全体に均一に伝達され、また響板8への振動/音の伝達が響板8の隅々までほぼ同じ速度で伝わり、響板8全体が均一に振動/発音し、響板8からの楽音の変質/歪みがなくなる。
【0065】
また、上記電磁駆動ユニット31及び37は、上記響板8のほぼ中心を挟んで、できるだけ互いに離間される位置に取り付けられることにもなる。できるだけ互いに離間される位置は、響板8の隅部/頂点の四隅になる。しかし、響板8の隅部/頂点の四隅を駆動させても、響板8の音量は大きくならない。
【0066】
響板8の音量を大きくするには、響板8の中心に電磁駆動ユニット31及び37を取り付けなくてはならない。しかし、響板8の中心に複数の電磁駆動ユニット31及び37を接近して取り付けると、互いに干渉しあって響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまう。
【0067】
そこで、両者の調和をはかるため、電磁駆動ユニット31及び37は、上記響板8のほぼ中心を挟んで、できるだけ互いに離間される位置に取り付けられることが良いことになる。
【0068】
上記響板8は、例えば長方形、ひし形のように、互いに直交する方向において、長い部分つまり長手方向と短い部分つまり幅方向とがあるものであり、電磁駆動ユニット31及び37は、この長手方向に沿って離間され、響板8の左右の端縁付近に取り付けられている。これにより、互いに干渉しあって響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0069】
また、電磁駆動ユニット31及び37は、響板8の中心を挟んで互いにほぼ対称な位置に取り付けられる。これにより、電磁駆動ユニット31及び37からの各振動/各音の響板への伝達に、音量・音質のアンバランスが生じず、電磁駆動ユニット31及び37からの各振動/各音を均等に響板8に伝えることができる。
【0070】
さらに、上記響板8は長方形、正方形、六角形などの、線対称の形状をしており、この線対称のほぼ軸線上の位置に、上記電磁駆動ユニット31及び37は、取りつけられている。これにより、電磁駆動ユニット31及び37からの各振動/各音が響板8の重心・中心に対して効率よく伝わり、響板8の音量が低下してしまうことがなくなる。
【0071】
また、電磁駆動ユニット31及び37は、楽音装置の底面、つまり底板4からほぼ同じ高さに取り付けられる。これにより、電磁駆動ユニット31及び37からの各振動/各音が床面、底板4に反射してかもし出す音場・音の雰囲気にアンバランスが生じず、電磁駆動ユニット31及び37からの各振動/各音が左右均等に発せられる。
【0072】
電磁駆動ユニット31及び37は、実際には、響板8の中心、中心線または対称のほぼ軸線からやや下にずれた位置に取り付けられている。これにより、電磁駆動ユニット31及び37からの音が上方より下方に向かって強く放射され、演奏者は下から音を感じることができる。
【0073】
むろん、電磁駆動ユニット31及び37は、響板8の中心、中心線または対称のほぼ軸線からやや上にずれた位置に取り付けられてもよい。これにより、電磁駆動ユニット31及び37からの音が下方より上方に向かって強く放射され、演奏者は上から音を感じることができる。
【0074】
さらに、電磁駆動ユニット31及び37は、上記響板8において楽音装置の内側に取り付けられ、上記響棒9…は当該響板において楽音装置の外側に取り付けられている。したがって、電磁駆動ユニット31及び37は、響棒9…に当たることを防ぐことができる。
【0075】
しかも、電磁駆動ユニット31、37、L字金具32、三角金具36、スピーカー51、ツィーター55、取り付け板53、取り付け金具54は、下側板18の内側、響板8の内側などに取り付けられ、楽音装置の外から隠すことができ、楽音装置の外観が損なわれない。
【0076】
さらに、楽音装置の響板8、底板4、屋根板5、左親板6、右親板7、下前板18、上前板19などに、木ねじやボルトが取り付けられたり、これらに穴が開けられたりせず、楽音装置の音質及び音響特性が変化しない。穴部52はもともと楽音装置に形成されていて、改造時には形成されていない。
【0077】
しかも、電磁駆動ユニット31及び37は、響棒9…に当接しないで、響棒9…に対応した位置に取り付けることも可能となる。これは、上述の、響板8のほぼ中心を挟んで、できるだけ互いに離間される位置、響板8のほぼ中心を挟んで、できるだけ互いに離間される位置に電磁駆動ユニット31及び37が取り付けられる場合などに、電磁駆動ユニット31及び37の取り付け位置が響棒9…の位置と重なっても大丈夫となり、上記音質を維持してアンバランスを生じない効果を保つことができる。さらに、電磁駆動ユニット31及び37の大きさは、響棒9…の間隔より大きくでき、大きさに制限がなくなる。
【0078】
図8は上記電磁駆動ユニット31及び37のうち、一方、例えば、電磁駆動ユニット31のみを響板8に取り付けた実施例を示す。この実施例では、上記響板8の線対称のほぼ軸線E上の響板8の辺縁の近辺の位置に取り付けられることになる。なお、電磁駆動ユニット37のみを響板8に取り付けてもよい。
【0079】
そして、上記響板8の柾目または木目に沿った方向Pは、この軸線Eと上記響板8の辺縁の方向ABとからほぼ等角になる。また各響棒9の各長手方向に沿った方向Sは、この軸線Eと響板8の辺縁の方向ABとからもほぼ等角になる。このような位置の響板8の表面に電磁駆動ユニット31は取り付けられる。
【0080】
このような等角位置により、電磁駆動ユニット31からの振動/音が、響板8の柾目または木目に沿ったある線上に偏らず、響棒9…の一部に沿って偏らなくなり、したがって、響板8の振動/音が響板の一部に偏ることがなく、響板8全体に均一に伝達され、また響板8への振動/音の伝達が響板8の隅々までほぼ同じ速度で伝わり、響板8全体が均一に振動/発音し、響板8からの楽音の変質/歪みがなくなる。
【0081】
なお、図8では、軸線方向E、響板の辺縁方向AB、響板8の柾目または木目に沿った方向P、各響棒9の各長手方向に沿った方向Sの交点は、電磁駆動ユニット31の中心からずれているが、これは図面を見易くするためであり、電磁駆動ユニット31の中心に移動しても同じである。
【0082】
電磁駆動ユニット31は、響板8の中心に位置してもよいが、上記位置のように中心からずれた位置のほうが、響板8の音質はよくなる。これは、太鼓の幕を叩くのは中心から辺縁にずれた位置を叩くほうが、音質が良くなるのと同様の理由である。しかし、中心からずれると、響板8周縁まで全体に均一に振動/音が伝わらなくなる。そこで上記のような位置に取り付ければ、響板8全体に均一に振動/音が伝わる。
【0083】
図8では、電磁駆動ユニット31は、響板8の線対称の軸線Eよりやや下に位置している。これにより、楽音装置の下方から床に渡って音が伝わっていくような演奏感触を得ることができる。
【0084】
上記電磁駆動ユニット31は、楽音装置の複数の弦11…が架けられる上記駒20の各部分からほぼ等距離の位置に取り付けられる。これにより、電磁駆動ユニット31からの振動/音が駒20を通じて各弦11…に均一に伝わり、一部の弦11…に偏ることがなく、電磁駆動ユニット31による振動/音と弦11…の共鳴との調和を取ることができる。
【0085】
この場合の電磁駆動ユニット31から等距離の位置にある駒20は、全ての駒20ではなく、図4、図8に示すように、低音の弦11…と中音の弦11…だけに限られる。これは、高音の波長は短いために、電磁駆動ユニット31からの長さの差が表れにくいからである。
【0086】
しかし、電磁駆動ユニット31のほか、電磁駆動ユニット37も取り付ければ、高音の弦11…については、弦11…が架けられる上記駒20の各部分から、電磁駆動ユニット37まで、ほぼ等距離の位置に取り付けられる。
【0087】
したがって、電磁駆動ユニット31からは主に低音または中音を出力し、電磁駆動ユニット37からは主に高音を出力すれば、低音から高音にかけて全ての音域/周波数帯域で、電磁駆動ユニット31、37から、弦11…が架けられる駒20の各部分まで、ほぼ等距離となり、電磁駆動ユニット31、37からの振動/音が駒20を通じて各弦11…に均一に伝わり、一部の弦11…に偏ることがなく、電磁駆動ユニット31、37による振動/音と弦11…の共鳴との調和を取ることができる。以上のことは他方の電磁駆動ユニット37だけを楽音装置に単独で取り付けた場合についても同様に成立する。
【0088】
(6)スピーカー51、ツィーター55(発音体)
図9、図10及び図11はスピーカー51、ツィーター55(発音体)などを示す。上記楽音装置の前面の水平な棚板14の下面と、この棚板14の下に配置された垂直な下前板18の上縁との間には、水平方向に長い穴部52が形成されている。この穴部52の中央の内側(楽音装置背面側)の上記棚板14の下面には、板状で取り付け板53(取り付け部材)がその板面が鉛直方向に起立するように取り付けられている。
【0089】
この穴部52は、左親板6から右親板7までに渡って細長い。この穴部52の長さ(幅)は、取り付け板53の幅のほぼ2倍で、同幅より大きいので、穴部52の両端での空気の出入りに障害がない。よって、響板8の振動に支障が生じない。
【0090】
取り付け板53の両端内面(楽音装置背面側)に断面「L字状」の金属製の取り付け金具54、54が接合され、この取り付け金具54、54の内面(楽音装置背面側)にさらにツィーター55、55が重ねられ、ツィーター55、55(発音体)から取り付け金具54、54を経て取り付け板53までねじなどが貫通されて固定されている。
【0091】
上記取り付け金具54、54の上面のL字状に折り曲げられた上面は、上記棚板14の下面に接合され、ねじなどで固定される。上記両ツィーター55、55の間には、スピーカー51、51が、ねじなどで取り付け板53の内側(楽音装置背面側)に取り付け固定されている。
【0092】
このスピーカー51、51の周囲は、木製の箱型の箱カバー57、57(遮蔽体)で囲われ覆われ塞がれている。この箱カバー57、57の上面のみ板が無い。しかし、箱カバー57、57の上面は、上記棚板14の下面に接合するので、スピーカー51、51の全周囲は囲われ覆われ塞がれる。この箱カバー57、57は取り付け板53に、ねじ又は接着剤などで固定されている。
【0093】
上記取り付け板53及び上記取り付け金具54、54の上記ツィーター55、55及び上記スピーカー51、51の前側の部分は放音穴58…があけられて音が放射され易い。これら放音穴58…を覆うように取り付け板53の外側(楽音装置前面側)には、布59が接着されていて、放音穴58…内に埃、ゴミなどが入らない。
【0094】
上記「L字状」の取り付け金具54、54の折り曲げ角度は直角ではなくやや鋭角となっている。これにより、取り付け板53が斜めに固定され、斜め上方の上記棚板14下面に向かって音を放射する位置に、上記ツィーター55、55、スピーカー51、51が取り付けられる。上記ツィーター55、55、スピーカー51、51は、複数種類の楽音からなる楽音信号を音に変換して放射する。
【0095】
したがって、ツィーター55、55、スピーカー51、51から発せられた音が楽音装置前面の棚板14に当たりまたは伝わる。また、上記ツィーター55、55、スピーカー51、51からの音は、上記取り付け板53及び上記取り付け金具54、54を介して、棚板14に伝わる。
【0096】
これにより、棚板14が振動したり棚板14の上の鍵盤などが振動したり楽音装置全体が振動したりして、実際のアコースティックな楽音装置を演奏したときと同様の楽音を発生できる。また、棚板14の上の鍵盤には手を置くので、楽音装置の演奏者は鳴っている音の振動と演奏感触とが感じ取られる。
【0097】
なお、上記取り付け板53の厚みは一律/一定であるが、上縁が下縁に対してより太く、取り付け板53の内面(楽音装置背面側)が垂直ではなく、斜め上方に向かって傾斜していてもよい。これでも、上述のようにスピーカー51、51から発せられた音が楽音装置前面の棚板14に当たりまたは伝わり、棚板14が振動したり棚板14の上の鍵盤などが振動したり楽音装置全体が振動したりする。
【0098】
上記電磁駆動ユニット31(加振体)は上記棚板14の下面または背面などに取り付けられている。したがって、電磁駆動ユニット31(加振体)からの振動は、棚板14に伝わり棚板14の上の鍵盤などが振動したり楽音装置全体が振動したりする。これにより、ツィーター55、55、スピーカー51、51からの音と電磁駆動ユニット31からの振動とが、棚板14で合流し、振動と音とが相乗的に混合し、実際のアコースティックな楽音装置を演奏したときと同様の演奏感触が得られる。
【0099】
穴部52は、楽器の前面の水平な棚板14の下に形成され、この下に配置された垂直な下前板18の上に形成されているので、スピーカー51及びツィーター55からの音が穴部52の内と外の広い範囲で当たり、実際のアコースティックな楽音装置を演奏したときと同様の演奏感触が得られる。
【0100】
この楽音装置背面の響板8を振動させて音を放射させる電磁駆動ユニット(電磁駆動体/加振体)31、37へ送られる楽音信号と、上記楽音装置前面のスピーカー51、51(発音体)へ送られる楽音信号とは同じ楽音信号であって、位相が同じである。
【0101】
この場合、響板8の内側への音の位相と、スピーカー51、51及びツィーター55、55の内側への音の位相とは、互いに逆位相どうしで、同じであるので、両音が重なると、互いに強め合ってしまう。このような強め合う逆位相の音は、スピーカー51、51及びツィーター55、55ならびに響板8の外側への音を打ち消してしまう。
【0102】
しかし、これら響板8とスピーカー51、51との間には、箱カバー(遮蔽体)57が設けられているので、両音が重なり合わず、互いに強め合わず、楽音装置の外側へ放射される音が打ち消されない。このような箱カバー57はスピーカー51、51の全周囲に設けられるが、背面(後面)、右側面、左側面、上面または下面だけ若しくはこれらのいくつかに設けられてもよく、一部で穴が開いていてもよい。
【0103】
また、箱カバー57は、ツィーター55、55の一方または両方にも取り付けられてもよい。しかし、響板8からの音の周波数とスピーカー51、51からの音の周波数とは近いが、響板8からの音の周波数とツィーター55、55からの音の周波数は大きく異なっているので、ツィーター55、55には、箱カバー57が無くても、上述の音が強めあうことは少ない。
【0104】
スピーカー51、51及びツィーター55、55の大きさに比べて、取り付け板53は下方に大きくせり出している。これにより、スピーカー51、51及びツィーター55、55の裏側からの逆位相の音が外へ漏れず、スピーカー51、51及びツィーター55、55、響板8から外へ放射される音が打ち消されてしまうことがない。
【0105】
また、この下へ延ばされている取り付け板53によって、響板8の裏からの逆位相の音も外へ漏れず、スピーカー51、51及びツィーター55、55、響板8から外へ放射される音が打ち消されてしまうことがない。
【0106】
また、上記箱カバー(遮蔽体)57は省略されてもよい。この場合、響板8の内側への音と、スピーカー51、51及びツィーター55、55の内側への音とは、互いに強めあうが、下へ延ばされている取り付け板53によって遮蔽される。
【0107】
上記取り付け板53の上縁のうち、箱カバー57のある箇所には、取り付けクッション48(図示せず)が両面接着テープまたは接着剤で接着されている。このような取り付けクッション48によって、スピーカー51、51の裏からの逆位相の音が取り付け板53の表へ漏れず、スピーカー51、51の表からの音が打ち消されない。
【0108】
上記取り付け板53の下側の内面(背面)には、AMP基板(プリント基板)49が取り付けられている。このAMP基板(プリント基板)49には、次述する楽音信号をフィルタ制御、周波数特性制御、位相制御、増幅などする、駆動回路が搭載されている。これにより、スピーカー51、51、ツィーター55、55などともに、駆動回路も同時に取り付けでき、生産、改造、加工が容易になる。
【0109】
(7)駆動回路(信号出力手段)
図7は、電磁駆動ユニット31、37、ツィーター55、55、スピーカー51、51の駆動回路(楽音制御回路、信号出力手段)を示す。この駆動回路は、図18の楽音回路80の中のトーンジェネレータ90及びサウンドシステム91を構成する。パンポット回路61からは、デジタルから変換されたアナログの、音像を形成するための複数の左右のチャンネル楽音信号が出力される。
【0110】
上記鍵盤15の各鍵には各種センサが設けられ、操作された鍵の識別コード、鍵操作の強さ/速さのタッチ、オンタイミング、オフタイミングなどが検出される。上記パンポット回路61からの楽音信号は、上記鍵の識別コードに応じた音高、当該鍵盤楽器(楽音装置)の音色、上記鍵操作のタッチに応じていて、オンタイミングで発音開始されてアタックに入り、オフタイミングでリリースに入る。
【0111】
この場合、タッチは省略されてもよいし、音色は当該鍵盤楽器(楽音装置)と異なっていてもよいし省略されてもよいし、音高は高音または低音へ変更されてもよい。このような楽音信号は、記憶されたまたは外部から送られてくる自動演奏情報(MIDI情報)または外部から送られてくる手動演奏情報に基づく楽音信号でもよい。
【0112】
パンポット回路61からの左の楽音信号Lは、左DSPフィルタ62L、左DSPフィルタ63L、左DSPフィルタ64Lでフィルタ制御され、高音域、中音域、低音域に分けられ、左4バンドイコライザー65L、左4バンドイコライザー66L、左4バンドイコライザー67Lで周波数特性が平坦にされ、左位相制御回路68L、左位相制御回路69L、左位相制御回路70Lで位相制御され、左アンプ71L、左アンプ72L、左アンプ73Lで増幅されて、切換えスイッチ74L、75L、76Lを経て、左側の上記ツィーター55、スピーカー51、電磁駆動ユニット31から放音出力される。
【0113】
パンポット回路61からの右の楽音信号Rは、右DSPフィルタ62R、右DSPフィルタ63R、右DSPフィルタ64Rでフィルタ制御され、高音域、中音域、低音域に分けられ、右4バンドイコライザー65R、右4バンドイコライザー66R、右4バンドイコライザー67Rで周波数特性が平坦にされ、右位相制御回路68R、右位相制御回路69R、右位相制御回路70Rで位相制御され、右アンプ71R、右アンプ72R、右アンプ73Rで増幅されて、切換えスイッチ74R、75R、76Rを経て、右側の上記ツィーター55、スピーカー51、電磁駆動ユニット37から放音出力される。
【0114】
切換えスイッチ74L、75L、76L、74R、75R、76Rは、電磁駆動ユニット31、37(加振体)へ上記楽音信号を出力するか否かを切換える加振体切換え手段の機能を果たす。
【0115】
上記左位相制御回路68L、左位相制御回路69L、左位相制御回路70L、右位相制御回路68R、右位相制御回路69R、右位相制御回路70Rには、上記楽音信号R、Lの位相の変更量を決定する位相制御データが送り込まれる。このような位相制御データは、上記楽音信号L、Rの音楽的ファクタデータ、外部からMIDI回路を通じて送られてくる音楽的ファクタデータ、上記楽音装置の操作パネルから入力された音楽的ファクタデータから変換される。
【0116】
この位相制御データの値は、左右の楽音信号L、Rに対して、異なっている。これにより、電磁駆動ユニット31、37、ツィーター55、55、スピーカー51、51に送り込まれる楽音信号のそれぞれの位相は異なり、響板8の左部と右部とで位相の異なる楽音を放音させ、ステレオ音響を形成できる。このステレオ音響の状態を上記音楽的ファクタに応じて変更できる。
【0117】
上述のように上記響板8のほぼ中心を挟んで、電磁駆動ユニット31、37、ツィーター55、55、スピーカー51、51は、できるだけ互いに離間される位置に取り付けられるので、両電磁駆動ユニット31、37、ツィーター55、55、スピーカー51、51の楽音信号の位相がずれていても、お互いに打ち消しあったり音質が歪んだりしてしまうことがない。
【0118】
なお、この位相制御データの値は、左右の楽音信号L、Rに対して、同じでもよい。これにより、電磁駆動ユニット31、37、ツィーター55、55、スピーカー51、51に送り込まれる楽音信号のそれぞれの位相は同じとなり、両電磁駆動ユニット31、37、ツィーター55、55、スピーカー51、51からの楽音信号を互いに強めあって、楽音信号のレベルを大きくしなくても響板8の音量を大きくできる。この場合、両電磁駆動ユニット31、37を互いに接近させたり、互いに響板8の中心に近づけたりすることも可能となる。
【0119】
したがって、両楽音信号L、Rのそれぞれの位相制御データの値の差は、両電磁駆動ユニット31、37、ツィーター55、55、スピーカー51、51の離間距離が大きくなるほど、大きくされてもよい。これにより、両電磁駆動ユニット31、37、ツィーター55、55、スピーカー51、51に送り込まれる上記楽音信号L、Rのそれぞれの位相差は、この複数の電磁駆動ユニット31、37、ツィーター55、55、スピーカー51、51の離間距離が大きくなるほど大きくなり、音量を相乗的に大きくする状態からステレオ音響を形成する状態まで段階的に変えていくことができる。
【0120】
上記左DSPフィルタ62L、左DSPフィルタ63L、左DSPフィルタ64L、右DSPフィルタ62R、右DSPフィルタ63R、右DSPフィルタ64Rでは、周波数特性の制御がなされ、例えば、左DSPフィルタ62L、63L、64Lをローパス、右DSPフィルタ62R、63R、64Rをハイパスとしたり、左DSPフィルタ62L、63L、64Lと右DSPフィルタ62R、63R、64Rとのカットオフ周波数を異ならせて、右DSPフィルタ62R、63R、64Rからより低音が通過するようにしたりされる。これにより、響板8の右がであって鍵盤の低音域側より、より低音が出力される。こうして、実際のアコースティックな鍵盤の楽音装置により近い音の出方を実現できる。
【0121】
すなわち、実際のピアノなどのアコースティックな鍵盤の楽音装置では、操作している鍵盤自体に、発音している楽音の振動が直に伝わってくる。この伝達振動は、鍵盤の低音域を操作していると、この低音域の鍵に低音の振動が伝わってくるし、鍵盤の高音域を操作していると、この高音域の鍵に高音の振動が伝わってくるし、鍵盤の中音域を操作していると、この中音域の鍵に中音の振動が伝わってくる。これは、弦楽器、管楽器、打楽器でも同様である。このようなアコースティックな鍵盤の楽音装置の生の演奏感覚を本楽音装置では得ることができる。
【0122】
上記左位相制御回路68L、左位相制御回路69L、左位相制御回路70L、右位相制御回路68R、右位相制御回路69R及び右位相制御回路70Rそれぞれへ送られる位相制御データの値は互いに異なっている。これにより、例えば、ツィーター55、55、スピーカー51、51の楽音信号の位相と、電磁駆動ユニット31、37の楽音信号の位相とは反転していたり異ならせたりできる。
【0123】
この場合には、上記箱カバー57、57(遮蔽体)が無くても、響板8の内側(裏側)からの音と、ツィーター55、55、スピーカー51、51の内側(裏側)からの音が強め合ってしまうことがなく、むしろ打ち消しあってしまい、これらの外側(表側)の音を打ち消さなくなる。この場合、楽音装置の背面の響板8からの音と前面のスピーカー51などからの音とが打ち消しあう可能性があるが、それぞれの音が放射する方向が逆向きなので、打ち消しあいは少ない。
【0124】
電磁駆動ユニット37または31が響板8の内側に取り付けられると、楽音装置内側のツィーター55、55、スピーカー51、51からの音の位相に対して、響板8からの音の位相が反転されなくても、楽音装置の外へ放射される音が打ち消しあうことがない。
【0125】
電磁駆動ユニット37または31が響板8の外側に取り付けられると、楽音装置内側のツィーター55、55、スピーカー51、51からの音の位相に対して、響板8からの音の位相が反転されなくても、楽音装置の内で放射される音どうしが打ち消しあう。したがって、電磁駆動ユニット37または31は響板8の外側に取り付けられてもよい。
【0126】
響棒9が響板8の外側に取り付けられていると、響板8の外側に放射される音の全方位への放射バランスがよくなり上記打ち消しあいも少なくなる。また、響棒9が響板8の内側に取り付けられていると、響板8の内側に放射される音の全方位への放射バランスがよくなり上記打ち消しあいも少なくなる。
【0127】
上記左アンプ71L、左アンプ72L、左アンプ73Lからの出力は、差込みスイッチ79Lを経て、残響共鳴回路77Lで残響(エコー、リバーブ)及び共鳴が付加されて、ヘッドフォン78の左イヤホンに送られる。上記右アンプ71R、右アンプ72R、右アンプ73Rからの出力は、差込みスイッチ79Rを経て、残響共鳴回路77Rで残響(エコー、リバーブ)及び共鳴が付加されて、ヘッドフォン78の右イヤホンに送られる。
【0128】
ヘッドフォン78は、左右の耳に対して装着され、上記左イヤホン及び右イヤホンから発音/放音される楽音が外へ漏れない。このヘッドフォン78は、楽音装置に対して着脱自在に取り付けられる。
【0129】
差込みスイッチ79L、79Rは、ヘッドフォン78の差込ジャックが差し込まれたときに閉じられ、ヘッドフォン78の差込ジャックが引き抜かれたときに開かれ、ヘッドフォン78の装着が検出される。上記切換えスイッチ74L、75L、76L、74R、75R、76R(加振体切換え手段)は、差込みスイッチ79L、79Rと連動しており、ヘッドフォン78の差込ジャックが差し込まれたときに開かれ、ヘッドフォン78の差込ジャックが引き抜かれたときに閉じられる。
【0130】
したがって、鍵盤楽器/楽音装置の鍵盤15が演奏されるとき、ヘッドフォン78が差込まれていれば、演奏楽音はヘッドフォン78から残響・共鳴が付加されて出力され、ヘッドフォン78が差込まれていなければ、ツィーター55、55、スピーカー51、51、電磁駆動ユニット31、37(響板8)から残響・共鳴が付加されないで発音される。差込みスイッチ79L、79Rは、電磁駆動ユニット31、37(加振体)へ上記楽音信号を出力するか否かを切換える加振体切換え手段の機能を果たす。
【0131】
なお、これら電磁駆動ユニット31、37などからの楽音は、楽音装置全体で残響・共鳴が付加されるが、ヘッドフォン78からの楽音は、このような残響・共鳴の付加がないので、残響・共鳴の付加が必要となる。このような残響共鳴回路77L、77Rは省略可能であるし、切換えスイッチが設けられ、楽音信号が残響共鳴回路77L、77Rを経てヘッドフォン78へ送られるか、残響共鳴回路77L、77Rを経ないでヘッドフォン78へ送られるか選択されてもよい。
【0132】
後述する消音切換レバー179(消音切換え手段)によって、楽音装置/鍵盤楽器の弦137の発音を禁止させ、上記駆動回路(信号出力手段)の電源を投入し同駆動回路からの楽音信号の出力を許容させることと、この弦137の発音を許容させ、上記駆動回路(信号出力手段)の電源を遮断し同駆動回路からの楽音信号の出力を禁止させることとが切換えられる。
【0133】
この消音切換レバー179(消音切換え手段)と上記切換えスイッチ74L、75L、76L、74R、75R、76R(加振体切換え手段)、または差込みスイッチ79L、79Rとは連動または一体とされる。これにより、ツィーター55、55、スピーカー51、51、電磁駆動ユニット31、37(響板8)からの発音と、楽音装置/鍵盤楽器の弦137の発音を禁止させ、上記駆動回路(信号出力手段)の電源を投入し同駆動回路からの楽音信号の出力を許容させることとが連動する。
【0134】
また、ツィーター55、55、スピーカー51、51、電磁駆動ユニット31、37(響板8)からの非発音と、楽音装置/鍵盤楽器の弦137の発音を許容させ、上記駆動回路(信号出力手段)の電源を投入し同駆動回路からの楽音信号の出力を禁止させることとが連動する。これにより、弦137からの発音が禁止されると、電磁駆動ユニット31、37などから発音され、弦137からの発音が許容されると、電磁駆動ユニット31、37などからの発音が禁止される。
【0135】
さらに、ヘッドフォン78からの発音と、楽音装置/鍵盤楽器の弦137の発音を禁止させ、上記駆動回路(信号出力手段)の電源を投入し同駆動回路からの楽音信号の出力を許容させることとが連動する。ヘッドフォン78からの発音禁止と、楽音装置/鍵盤楽器の弦137の発音を許容させ、上記駆動回路(信号出力手段)の電源を遮断し同駆動回路からの楽音信号の出力を禁止させることとが連動する。
【0136】
なお、消音切換レバー179(消音切換え手段)と上記切換えスイッチ74L、75L、76L、74R、75R、76R(加振体切換え手段)、または差込みスイッチ79L、79Rとは連動または一体とされず、非連動/独立または別体とされてもよい。これにより、上述の切換え状態と逆の状態も可能となる。
【0137】
すなわち、ツィーター55、55、スピーカー51、51、電磁駆動ユニット31、37(響板8)からの発音と、楽音装置/鍵盤楽器の弦137の発音を許容させ、上記駆動回路(信号出力手段)からの楽音信号の出力を許容させることとが連動する。これにより、電磁駆動ユニット31、37などからの楽音と、弦137からの楽音とが合奏される。
【0138】
また、ツィーター55、55、スピーカー51、51、電磁駆動ユニット31、37(響板8)からの非発音と、楽音装置/鍵盤楽器の弦137の発音が禁止され、上記駆動回路(信号出力手段)の電源を遮断し同駆動回路からの楽音信号の出力が禁止されることとが連動する。これにより、楽音装置/鍵盤楽器が完全に無音状態となる。
【0139】
さらに、ヘッドフォン78からの発音と、楽音装置/鍵盤楽器の弦137の発音を許容させ、上記駆動回路(信号出力手段)の電源を投入し同駆動回路からの楽音信号の出力を許容させることとが連動する。また、ヘッドフォン78からの発音禁止と、楽音装置/鍵盤楽器の弦137の発音を禁止させ、上記駆動回路(信号出力手段)の電源を遮断し同駆動回路からの楽音信号の出力を禁止させることとが連動する。さらに、ヘッドフォン78からの発音禁止と、楽音装置/鍵盤楽器の弦137の発音を禁止させ、上記駆動回路(信号出力手段)の電源を投入し同駆動回路からの楽音信号の出力を許容させることとが連動する。
【0140】
図14は、以上の切換え状態を示す。消音切換レバー179(消音切換え手段)の弦発音/弦消音(オン/オフ)の切換えと、駆動回路(信号出力手段)の電源の投入/遮断(オン/オフ)と、切換えスイッチ74L、75L、76L、74R、75R、76R(加振体切換え手段)の出力/非出力(オン/オフ)、ヘッドフォン78の差込みスイッチ79L、79Rの出力/非出力(オン/オフ)とは一部または全てが連動・一体とされたり、一部または全てが非連動/独立・別体とされたりする。
【0141】
この連動・一体では、一つの機械的なスイッチに各導通線が接続されて、スイッチが複数の導通線で共有され一体とされる。また、これら複数のスイッチが、棒、ワイヤー、チェーン、歯車機構、リンクなどで一体的にオン/オフするように連結され連動される。また、一つのスイッチのオン/オフを電気的に検出して、このオン/オフ信号に基づいて、他のソレノドスイッチ、ホール素子スイッチ、半導体スイッチ、無接点スイッチがオン/オフされる。
【0142】
これにより、弦137発音、楽音信号出力、電磁駆動ユニット31、37などからの発音、ヘッドフォン78からの発音につき、全て発音・出力から、いずれかの発音・出力、いずれも発音・出力しない完全無音の状態まで、種々の演奏状態を実現できる。この図14の各演奏状態のうち、いずれかの一部の演奏状態を禁止・省略することもできる。よって、弦発音/弦消音、楽音信号出力/非出力、加振体への出力/非出力、ヘッドフォンへの出力/非出力を任意の組み合わせで連動/非連動される。
【0143】
また、上記弦137による発音と、上記ツィーター55、55、スピーカー51、51、電磁駆動ユニット31、37(響板8、加振体)による発音と、上記ヘッドフォン78による発音とにつき、 弦137による発音と電磁駆動ユニット31、37などまたは/及びヘッドフォン78による発音とを同時に行なってこれらの合奏が可能とされる。さらに、電磁駆動ユニット31、37などによる発音とヘッドフォン78による発音とを同時に行なってこれらの合奏が可能とされる。
【0144】
これにより、鍵盤楽器の弦137と電磁駆動ユニット31、37または/及びヘッドフォン78による合奏が可能となり、アコースティックな楽音とエレクトロニックな楽音との合奏を行い、同じ操作の同じ音色・音高・タッチでありながら、弦137の音にさらに異なる音質の音を付加して、音質的に異なる楽音の合奏が可能となる。
【0145】
また、弦137または加振体とヘッドフォン78との合奏も行い、同じ操作の同じ音色・音高・タッチの音を鍵盤楽器で放音しながら、ヘッドフォン78でこの楽音の音質を細かく聞き分けることができ、また聴覚に障害のある人でも鍵盤楽器からの放音以外に、同じ操作の同じ音色・音高・タッチの音をヘッドフォン78によって耳元で正確に聞くことができる。
【0146】
なお、上記左DSPフィルタ64Lまたは右DSPフィルタ64Rは省略されてもよいし、さらには左DSPフィルタ63Lまたは右DSPフィルタ63Rも省略されてもよい。左4バンドイコライザー65L、左4バンドイコライザー66L、左4バンドイコライザー67L、右4バンドイコライザー65R、右4バンドイコライザー66Rまたは右4バンドイコライザー67Rの一部または全部も省略されてもよいし、左位相制御回路68L、左位相制御回路69L、左位相制御回路70L、右位相制御回路68R、右位相制御回路69Rまたは右位相制御回路70Rの一部または全部も省略されてもよい。
【0147】
また、電磁駆動ユニット37または31の両方または一方は省略され、左DSPフィルタ64L及び右DSPフィルタ64Rからの出力が合成され、左4バンドイコライザー67L及び右4バンドイコライザー67Rからの出力が合成され、左アンプ70L及び右アンプ70Rからの出力が合成されて、残った電磁駆動ユニット37または31の一方に入力されてもよい。
【0148】
(8)打鍵(アクション)機構101及びダンパー機構102
図15〜図17は、多数の弦をハンマーで振動させて音高の異なる楽音を各弦から発音させる鍵盤楽器のアクション機構に対して、ハンマーが弦を振動させて発音させるのを禁止させる消音機構を示す。
【0149】
図15及び図16は打弦機構101、ダンパー機構102、ジャック禁止機構103及びハンマー禁止機構104の一例を示す。アップライトピアノの上記棚板111(14)の上には各鍵(キー)112…が設けられる。この棚板111の奥側、中央、手前にはそれぞれ横に延びるキーレール121、バランスレール122、筬前123が設けられ、これらキーレール121、バランスレール122、フロントレール123上に各鍵112…が設けられる。フロントレール123上には各鍵112…ごとにガイドピン124…が突設され、このガイドピン124…は各鍵112…下面の孔部内に入り、鍵112…の左右の揺れを防止している。
【0150】
各鍵112…の中央にはバランスピン125…が設けられ、これを支点として各鍵112…が動く。鍵112…の奥上面にはキャプスタン126…が設けられ、キーオンによって上昇し、キーオフによって下降する。キャプスタン126…の上には前後に延びるウィッペン127…が設けられ、このウィッペン127…の奥側はウィッペンフレンジ128…を介してセンターレール129の下に回動可能に設けられている。
【0151】
ウィッペン127…の中央やや先端寄りには、縦に延びるジャック130…が揺動可能に取り付けられている。このジャック130…の基端は手前にやや突出して突出部130a…が形成されている。この突出部130a…下面と上記ウィッペン127…上面との間にはジャックスプリング131…が固定され、ジャック130…が奥方向に付勢されている。
【0152】
このジャック130…はウィッペン127…とともに、キーオンに応じて持ち上げられ、ジャック130…の先端がハンマーバット133…を押し上げ、さらに突出部130a…がレギュラティングボタン132…の下面に当接すると、ジャック130…は回動してジャック130…の先端がハンマーバット133…からはずれる。このレギュラティングボタン132…は上記センターレール129の手前に突設されている。
【0153】
センターレール129の上方手前には縦に延びるバットフレンジ135…が固定され、このバットフレンジ135…の先には上記ハンマーバット133…が回動可能に支持されている。ハンマーバット133…の上にはハンマーシャンク134…が固定され、このハンマーシャンク134…の先端にはハンマーヘッド136…が固定されている。上記ジャック130…が持ち上げられると、ハンマーバット133…が上方へ押し下げ上げられ、これによりハンマーバット133…とともにハンマーシャンク134…が奥方へ回動され、ハンマーヘッド136…が弦137を叩く。
【0154】
上記ハンマーシャンク134…の手前には、筒形のハンマーレール138が固定されており、このハンマーレール138の奥面には緩衝部139が取り付けられ、この緩衝部139にはハンマーシャンク134…が受け止められる。上記ハンマーバット133…から手前方向にはバックストップ140…が突設され、上記ウィッペン127…の先端上面にはバックチェック141…が突設され、打弦後、鍵112…が押さえられている間、バックストップ140…がバックチェック141…に受け止められている。
【0155】
センターレール129の上面には奥方に延びるダンパーフレンジ143…が固定され、このダンパーフレンジ143…の先には上下に延びるダンパーレバー144…が回動可能に支持されて、このダンパーレバー144…の手前のダンパーフレンジ143…上には、上方に延びるダンパースプリング145…が固定され、ダンパーレバー144…が弦137…方向に付勢されている。このダンパーレバー144…の上先端にはダンパーワイヤ146…が連結され、このダンパーワイヤ146…の先にはダンパーヘッド147…が固定され、このダンパーヘッド147…の奥面にはフェルトが取り付けられ、このフェルトは上記弦137…に当接している。
【0156】
一方上記ウィッペン127…の奥上面には、縦に延びるダンパースプーン148…が突設されており、キーオンに応じてこのダンパースプーン148…がダンパースプリング145…に抗してダンパーレバー144…の下部を押し、これによりダンパーヘッド147…が弦137…より離れる。上記ダンパーワイヤ146…の手前には、板状のダンパーレバーストップレール149が固定されており、このダンパーレバーストップレール149の奥面には緩衝部150が取り付けられ、この緩衝部150には上記ダンパーワイヤ146…が受け止められる。なお、上記センターレール129、ハンマーレール138及びダンパーレバーストップレール149は後述するアクションブラケット161…の間に架け渡されている。
【0157】
(9)ジャック禁止機構103及びハンマー禁止機構104
図15及び図16にはジャック禁止機構103及びハンマー禁止機構104が示され、さらに図17はジャック禁止機構103、ハンマー禁止機構104及び発音(打鍵発音)/無音(消音、止音、電子発音)の切換機構105を示す。
【0158】
ピアノ内の2つのアクションブラケット161…の間の下方には円柱状の回転軸162が回転可能に架け渡されている。この回転軸162の両端には支持リンク163、163の基端が固定され、この支持リンク163、163の各先端の間には、支持軸164が固定されている。この支持軸164にはジャックシフトローラ165が回転可能に支持されている。上記回転軸162の一方の端には駆動リンク166の基端が固定されている。
【0159】
上記2つのアクションブラケット161…の間の上方には円柱状の回転軸172が回転可能に架け渡されている。この回転軸172の両端には支持リンク173、173の基端が固定され、この支持リンク173、173の各先端の間には、支持軸174が固定されている。この支持軸174にはハンマーストップローラ175が回転可能に支持されている。上記回転軸172の一方の端には駆動リンク176の基端が固定されている。
【0160】
上記駆動リンク166及び176の先端は切換ワイヤー177で連結され、この切換ワイヤー177は駆動リンク176からさらに下方に延長され、ワイヤーチューブ178内を通って、棚板111(14)に設けられた孔部を通り、ピアノ外に出て消音切換レバー179に連結されている。この消音切換レバー179とワイヤーチューブ178とは、上記棚板111(14)の下面に設けられている。
【0161】
上記駆動リンク176の先端とピアノのピン板または側板等の内壁との間にはスプリング168が架け渡されており、ジャックシフトローラ165及びハンマーストップローラ175が駆動リンク166及び176を介して付勢される。一方のアクションブラケット161の内側からスプリング168のストッパ169が突設され、このストッパ169には上記駆動リンク166の先端上縁が当接して駆動リンク166及び176の可動範囲を規制している。ジャックシフトローラ165及びハンマーストップローラ175は、ゴム、木材、スポンジ、フェルトまたは軟質樹脂等の緩衝材からなる。
【0162】
上記消音切換レバー179を切り換えると、切換ワイヤー177がスプリング168の付勢力に抗して引かれ、駆動リンク166及び176、回転軸162及び172、支持リンク163、163及び173、173とともにジャックシフトローラ165及びハンマーストップローラ175が回動され、図15の状態から図16の状態へと向きが変えられる。このとき消音切換レバー179は切り換えた状態で安定的に保持される。
【0163】
これにより、ジャックシフトローラ165がジャック130…に当接し、ジャックスプリング131…に抗してジャック130…を押し出し、これによりジャック130…の先端がハンマーバッド133…の下面から外れ、ジャック130…がハンマー133…、134…、136…を作動させることが禁止される。この結果ジャック130…のところでハンマーヘッド136…が弦137…に当たることを禁止することができ、打弦のときジャック130…にかかる力はハンマーヘッド136…またはハンマーシャンク134…にかかる力より小さいので、ジャックシフトローラ65またはジャック禁止機構3の強度やジャック130…の強度を上げる必要がなくなる。
【0164】
また、キーオン操作またはキーオフ操作によってジャック130…はジャックシフトローラ165上をジャックシフトローラ165を転動させながら上昇するので、ジャックシフトローラ165はキー操作に応じたジャック130…の当接面に沿った動きを吸収でき、打弦機構101が禁止機構に当たる衝突音はほとんど発生しないし、ジャック130…の表面も磨耗しない。
【0165】
さらに、ハンマーストップローラ175も回動してハンマーシャンク134…に近付く。これによりハンマー133…、134…、136…が弦137…に向かって動いても、ハンマーヘッド136…が弦137…に当たる前に、ハンマーシャンク134…がハンマーストップローラ175に当接し、ハンマーヘッド136…が弦137…を打つことが禁止される。ハンマーストップローラ175は回転軸162に対して回動可能となっているので、ハンマーストップローラ175はハンマーシャンク134…の長手方向への動きも吸収することができる。
【0166】
上記消音切換レバー179を逆に切り換えて解除すると、切換ワイヤー177がスプリング168の付勢力に沿って引かれ、駆動リンク166及び176、回転軸162及び172、支持リンク163、163及び173、173とともにジャックシフトローラ165及びハンマーストップローラ175が逆回動され、図16の状態から図15の状態へと復帰される。このとき駆動リンク166の先端上縁がストッパ169に当接する。
【0167】
これにより、ジャックシフトローラ165がジャック130…から離れ、ジャックスプリング131…の付勢力によってジャック130…が復帰し、これによりジャック130…の先端がハンマーバッド133…の下面に当接し、ジャック130…がハンマー133…、134…、136…を作動させることが許容される。
【0168】
また、ハンマーストップローラ175も逆回動してハンマーシャンク134…から遠ざかる。これによりハンマー133…、134…、136…が弦137…に向かって動くと、ハンマーヘッド136…が弦137…に当たり、ハンマーヘッド136…が弦137…を打つことが許容される。
【0169】
(10)楽音回路80
図18は楽音回路80を示す。この楽音回路は上述のAMP基板(プリント基板)49として構成され、取り付け板53後面/背面に構成されている。電源回路92は楽音回路80全体に電力を供給し、電源スイッチ93の投入によって電力を供給し、電源スイッチ93の遮断によって電力を遮断する。
【0170】
この電源スイッチ93は、上述の消音切換レバー179と連結または連動されている。この楽音回路80は上記消音切換レバー179が無音(消音、止音、電子発音)状態に切り換えられたときに連動して電源が投入される。むろん楽音回路80の電源投入は消音切換レバー179と連動せず、発音(打鍵発音)状態でも電子発音が行われてもよい。
【0171】
以下に詳述する発光部81、82、受光部83、84、スキャン回路85などは、鍵の操作を検出して、この操作された鍵に応じた楽音信号を生成して出力する信号出力手段である。
【0172】
上記各鍵112…の下面には段差を有する光シャッタ(図示せず)が設けられ、この光シャッタは鍵操作によって下動すると、発光部81、82と受光部83、84との間の光が遮られる。さらに鍵112が下動すると、まず光シャッタの低い方の段差が通過して発光部81から受光部83へ射光され、次いで光シャッタの高い方の段差が通過して発光部82から受光部84へ射光される。受光部83、84では光が電気信号に変換され出力される。
【0173】
各受光部83…、84…からの各信号のアップエッジ/ダウンエッジはスキャン回路85でスキャンされ、CPU86によって各光スイッチング動作のタイミングすなわち各遮光1タイミング、各透光タイミングが検出される。検出された遮光タイミングの差、透光タイミングの差、遮光時間の差に応じてタッチデータが作成される。また最初の遮光タイミングに応じてキーオンタイミングが検出される。さらに最後の遮光または透光タイミングに応じてキーオフタイミングが検出される。
【0174】
このときROM87、RAM88等が使用される。検出されたキーオン、キーオフ及び操作鍵に応じた楽音データ及び作成されたタッチデータはメモリ装置89に記憶されたり、トーンジェネレータ90を通じてサウンドシステム91で発音されたり、MIDI回路92を介して送出される。このタッチ(ベロシティ)データは発音などのキー操作の速さまたは強さを示す。
【0175】
(11)スピーカー51、ツィーター55(発音体)の第二実施例
図12はスピーカー51、ツィーター55(発音体)の第二実施例を示す。本実施例では、取り付け板53などが斜めに配置されず、鉛直(垂直)に配置される。L字状の取り付け金具は直角に折り曲げられる。
【0176】
このような第二実施例でも、スピーカー51、51、ツィーター55、55からの音が棚板14に当たる。穴部52が大きく、穴部52の高さがスピーカー51、51、ツィーター55、55の口径に略等しければ、このような鉛直な配置でも、楽音装置の外に充分に音を放射できる。他の構成、作用、効果は上記第一実施例と同じであり、説明は省略する。
【0177】
(12)スピーカー51、ツィーター55(発音体)の第三実施例
図13はスピーカー51、ツィーター55(発音体)の第三実施例を示す。本実施例でも、取り付け板53などが斜めに配置されず、鉛直(垂直)に配置される。L字状の取り付け金具は直角に折り曲げられる。
【0178】
箱カバー57は、若干テーパー状の箱型で、スピーカー51の上面も遮蔽された完全な箱型になっていて、ボール紙製である。この箱型の四辺縁は外側に折り曲げられ、取り付け板53の表面に固定される。ただし、箱カバー57の上縁のみ固定されず、箱カバー57の上縁に取り付けクッション48が重ねられ、取り付け板53の上縁と棚板14下面との間に挟まれる。
【0179】
これにより、スピーカー51、51からの音が箱カバー57の外に漏れず、スピーカー51、51の裏からの逆位相の音が取り付け板53の表へ漏れず、スピーカー51、51の表からの音が打ち消されない。
【0180】
また、箱カバー57の内側奥面にはスピーカークッション56が接着され、このスピーカークッション56にはスピーカー51の奥端が当接する。これにより、スピーカー51、51の裏からの逆位相の音がスピーカークッション56に吸収され、逆位相の音が減衰されて拡散されず、逆位相の音が箱カバー57に伝わらず、スピーカー51、51の表からの音が打ち消されない。
【0181】
このスピーカー51、51を密封する箱カバー57とスピーカークッション56とによって、逆位相の音が相乗的にかなり減衰され小さくされる。他の構成、作用、効果は上記第一実施例と同じであり、説明は省略する。
【0182】
(13)他の実施の形態
本件発明は上記実施例に限定されず、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、ヘッドフォン78の代わりに、小型スピーカー、小型ツイータ、小型電磁駆動ユニットが接続されてもよい。これにより、この小型スピーカー、小型ツイータ、小型電磁駆動ユニットから、残響・共鳴が付加された楽音が発音される。
【0183】
また、ヘッドフォン78は省略可能であり、差込みスイッチ79L、79R(加振体切換え手段)の一部または全部は省略可能である。切換えスイッチ74L、75L、76L、74R、75R、76R(加振体切換え手段)の一部または全部は省略可能である。残響共鳴回路77L、77Rの一部または全部は省略可能である。
【0184】
電源スイッチ93(消音切換え手段)は省略可能である。発光部81、82、受光部83、84、スキャン回路85(信号出力手段)の一部または全部は省略可能である。ジャック禁止機構103(162、163、164、165)(消音機構)、ハンマー禁止機構104(172、173、174、175)(消音機構)、切換機構105(168、169、176、177、178、179)(消音切換え手段)の一部または全部は省略可能である。
【0185】
切換えスイッチ74L、75L、76L、74R、75R、76Rは、電磁駆動体31、37、スピーカー51、ツイータ55の入力端だけでなく、図7の駆動回路のどの箇所に挿入されてもよい。差込みスイッチ79L、79Rは、ヘッドフォン78の入力右端だけでなく、残響・共鳴回路77L、77Rの出力端に設けられてもよい。
【0186】
電源スイッチ93は、図18の楽音回路80、図7の駆動回路のいずれかの箇所に挿入され、楽音信号の流れを遮断するものであってもよい。電源スイッチ93、切換えスイッチ74L、75L、76L、74R、75R、76R、差込みスイッチ79L、79Rの一部のスイッチは他のスイッチと合体されて兼用されてもよい。
【0187】
上記切換えスイッチ74L、75L、76L、74R、75R、76R、差込みスイッチ79L、79R、電源スイッチ93の一部はメーク接点、他方はブレーク接点として、択一的にオン/オフするスイッチであってもよい。
【0188】
上記切換えスイッチ74L、75L、76L、74R、75R、76R、差込みスイッチ79L、79R、電源スイッチ93、消音切換えレバー179(消音切換え手段)は、回路の導通路をオン/オフする機械的なスイッチであるが、ソレノイドスイッチ、ホール素子スイッチ、半導体スイッチ、無接点スイッチ、ゲート群、アンドゲート群、データセレクタ、マルチプレクサ、デマルチプレクサなど、回路をオン/オフできればどのようなスイッチ/切換え手段でもよい。
【0189】
上記ジャック禁止機構103(162、163、164、165)(消音機構)、ハンマー禁止機構104(172、173、174、175)(消音機構)、切換機構105(168、169、176、177、178、179)(消音切換え手段)をはじめとする本件発明は、アップライトピアノタイプのほか、グランドピアノタイプに適用されてもよいし、チェンバロなど、弦を叩くほか、はじいたり、爪弾いたり、つまんだり、擦ったりする鍵盤楽器にも適用されてもよい。
【0190】
図15、図16、図17に示す消音機構(ジャック禁止機構103、ハンマー禁止機構104)は、いったん生産された楽音装置(鍵盤楽器)に後から付加されて改造されてもよいし、楽音装置(鍵盤楽器)の生産時に同時に組み込まれてもよい。
【0191】
同様に、図5〜図14、図18の電磁駆動ユニット(電磁駆動体/加振体)、スピーカー51(発音体)、ツイータ55(発音体)、取り付け板(取り付け部材)53、駆動回路、楽音回路80などは、いったん生産された楽音装置(鍵盤楽器)に後から付加されて改造されてもよいし、楽音装置(鍵盤楽器)の生産時に同時に組み込まれてもよい。
【0192】
上記図15、図16、図17の消音機構(ジャック禁止機構103、ハンマー禁止機構104)と、図5〜図14、図18の電磁駆動ユニット(電磁駆動体/加振体)、スピーカー51(発音体)、ツイータ55(発音体)、取り付け板(取り付け部材)53、駆動回路、楽音回路80などとは、両方同時に、または別々に、いったん生産された楽音装置(鍵盤楽器)に後から付加されて改造されてもよいし、両方同時に、または別々に、楽音装置(鍵盤楽器)の生産時に組み込まれてもよいし、一方が楽音装置(鍵盤楽器)の生産時に組み込まれてもよいし、他方がいったん生産された楽音装置(鍵盤楽器)に後から付加されて改造されてもよい。
【0193】
ジャック禁止機構103(162、163、164、165)(消音機構)、ハンマー禁止機構104(172、173、174、175)(消音機構)は、ジャック130の動きを止められるなら、ハンマー134、136の動きを止められるなら、アクション機構のどこに設けられてもよい。
【0194】
切消音切換レバー(消音切換え手段)179などの切換機構105は、ワイヤー、レバーのほか、棒、チェーン、歯車機構、リンク機構、切換えスイッチなど、消音機構によって弦の発音を禁止させ、信号出力手段からの信号出力を許容させることと、消音機構によって弦の発音を許容させ、信号出力手段からの信号出力を禁止させることとを切換えることができれば、どのようなものでもよい。
【0195】
発光部81、82、受光部83、84、スキャン回路85は、ホール素子及び差動トランス等の磁気センサ、差動コンデンサ等の電界センサ、圧電素子を用いた圧力センサ、速度センサ、加速度センサ、圧力センサ、キーオンまたはキーオフで時間的にずれて作動する複数段差スイッチ等を用いたシステムなど、いずれの鍵が操作されたのか、鍵の操作の速さまたは強さを検出できて、鍵112の操作を検出して、この操作された鍵112に応じた楽音信号を生成して出力できればどのようなものでもよい。この場合、これらのセンサ、スイッチ等が鍵112の下面または棚板111(14)の上面に設けられる。
【0196】
回転軸62及び72は側板に直接取り付けられてもよいし、棚板111(14)から立設された2本の支柱の間に架け渡されてもよいし、楽音装置の屋根板、ピン板等から2つのスプリングで吊り下げられてもよいし、2つの側板内側に設けられたガイドレールに両端がスライド可能に支持されてもよい。
【0197】
この場合、切換ワイヤー177は4本用意され、各切換ワイヤー177…が消音切換レバー179と連結されとともに、回転軸162の両端及び回転軸172の両端に連結される。上記各支柱、回転軸162の両端及び回転軸172の両端はスプリングで付勢され、消音切換レバー179を切り換えることによって各支柱が傾いたり、回転軸162、172がスライドされたりする。
【0198】
また、ハンマー禁止機構104は場合によって省略可能である。ジャック130…をハンマー133…、134…、136…から解除すれば、ハンマー133…、134…、136…が大きく動くことが少ないからである。この場合、ブライドルテープまたはブライドルワイヤーは省略可能である。
【0199】
さらに、駆動リンク166先端と駆動リンク176先端と消音切換レバー179とは、リンク、連結棒等によって連結されてもよい。ジャックシフトローラ165及びハンマーストップローラ175は回転可能なものほか固定されたものでもよいし、円柱状のほか角柱状でもよい。
【0200】
また、ハンマー禁止機構104及び切換機構105としては、上述のものに限られず、種々の切換機構が用いられることができる。このような種々のハンマー禁止機構及び切換機構を本願出願人は出願済みであり、例えば特願平5−243183号、特願平5−243184号、特願平6−50507号、特願平6−55965号、特願平6−94970号及び特願平7−254282号明細書及び図面に示される。
【0201】
三角金具36(支持体)、L字金具32(支持体)は、底板4、棚板14だけでなく、ピン板3、左親板6、右親板7、下前板18、上前板19などの内側にまたは外側に取り付けられてもよいし、省略されてもよいし、その形状は任意であり、その材質は、金属製のほか、木製、紙製、樹脂製、ガラス製、布製、セラミック製でもよい。
【0202】
金具36、32(支持体)の数及び電磁駆動ユニット31、37(加振体)の数は、3つ以上であってもよく、金具36、32(支持体)のそれぞれの長さは短いものから長いものまで種々の異なる長さであってもよい。この場合、金具36、32(支持体)が長くなるにしたがって、柔軟板21の厚さは厚くなり、金具36、32(支持体)が短くなるにしたがって、柔軟板21の厚さは薄くなりまたは無くなる。
【0203】
スピーカー51及びツィーター55が固定された取り付け板53または電磁駆動ユニット31が固定されたL字金具32は、棚板14の下面のほか、棚板14の奥面、上面、側面などに取り付けられてもよい。
【0204】
楽器の前面の水平な棚板14の下に配置された垂直な下前板18の上に形成された穴部52の形状は、単一で方形で水平方向に延びるものであるが、複数に別れ、円形、楕円形、その他の形状でもよく、垂直方向、斜め方向に延びてもよいし、覆われていない穴、金属製、樹脂製または布製の網または穴あき板、布などが張られ覆われてもよいし、省略されてもよい。
【0205】
上記取り付け板53は斜めに取り付けられたり、斜めの面が形成されたりするが、スピーカー51及びツィーター55からの音が棚板14に向かって放射されれば、どのような傾斜構造でもよいし、取り付け板53の形状は板状のほか、湾曲状、球面状でもよく、複数に分割されてもよいし、省略されてもよいし、その材質は、木製のほか、金属製、紙製、樹脂製、ガラス製、布製、セラミック製でもよい。
【0206】
箱カバー(遮蔽体)57の形状は、箱形のほか、半球形、テーパー形など、どのようなものでもよい。箱カバー(遮蔽体)57の大きさは、取り付け板53の全面わたる大きさでもよいし、底板4から棚板14までの大きさ、底板4から屋根板5までの大きさ、左親板6から右親板7までの大きさ、楽音装置の中に設置された遮蔽板一枚であってもよいし、省略されてもよいし、その材質は木製、紙製のほか、金属製、樹脂製、ガラス製、布製、セラミック製でもよい。
【0207】
スピーカー51及びツィーター55を有する取り付け板53が取り付けられるのは、棚板14のほか、底板4、屋根板5、左親板6、右親板7、骨組み(支柱)1、内支柱2、ピン板3、フレーム10、響板8などであってもよいし、スピーカー51またはツィーター55の一方または両方が省略されてもよい。
【0208】
電磁駆動ユニット(電磁駆動体/加振体)31、37は、響板8の右方中央と左方中央のほか、上方中央と下方中央、右上隅と左下隅、右下隅と左上隅、中心付近などに取り付けられてもよい。
【0209】
電磁駆動ユニット31、37は響板8に対して3つ以上、4つ以上取り付けられてもよく、省略されてもよく、響板8の数も複数としてもよい。この場合、右方中央と左方中央と上方中央と下方中央に取り付けられたり、右上隅と左下隅と右下隅と左上隅に取り付けられたりする。
【0210】
電磁駆動ユニット31、37及び響板8は、本楽音装置の上面、前面、左側面または右側面などに設けられてもよいし、ツィーターまたはスピーカーで代用可能である。電磁駆動ユニット31、37には同じ楽音信号であってモノラル信号が送り込まれてもよいし、電磁駆動ユニット31、37は単数とされてもよく、送り込まれる楽音信号はモノラル信号でもよい。
【0211】
電磁駆動ユニット31、37は、長方形の響板8の各長辺の辺縁の中央付近または長辺の辺縁の中央付近からずれた近傍のほか、長方形の響板8の各短辺の辺縁の中央付近または短辺の辺縁の中央付近からずれた近傍に設けられてもよい。この場合でも、響板8の線対称のほぼ軸線上の響板8の辺縁の近辺の位置に設けられることになる。
【0212】
電磁駆動ユニット31、37は、響板8の各辺の中央付近のほか、角/隅付近に取り付けられても良い。この場合、音量は低下する可能性はあるが、各電磁駆動ユニット31、37相互の干渉の可能性が小さくなる。電磁駆動ユニット31、37は、上記響板8の幅方向に沿って離間され、当該響板8端縁付近に取り付けられてもよい。この場合、各電磁駆動ユニット31、37相互の干渉の可能性は高まるが、音量は増加する。
【0213】
電磁駆動ユニット31、37は、響板8の中心を挟んで互いにほぼ対称な位置に取り付けられるが、非対称な位置に取り付けられてもよい。この場合、響板8の中心から各電磁駆動ユニット31、37までの距離は異なる。電磁駆動ユニット31、37は、楽音装置の底面から異なる高さに取り付けられてもよい。これにより、複数の電磁駆動ユニット31、37のうちの一方の振動/音を床の方から伝わるようにし、他方の振動/音を楽音装置の上付近または中央付近から伝わるようにできる。
【0214】
電磁駆動ユニット31、37は、下前板18の内側に取り付けられたが、一方または両方とも上前板19の内側に取り付けられてもよい。下前板18及び上前板19の一方の内側とした方が、取り付けが容易となる。
【0215】
電磁駆動ユニット31、37は、響板8のほか、底板4、屋根板5、左親板6、右親板7、下前板18、上前板19などに取り付けられてもよい。電磁駆動ユニット31、37は、響板8の内側/内面ではなく、響板8の外側/外面に取り付けられてもよい。
【0216】
電磁駆動ユニット31、37に送り込まれる楽音信号L、Rは、同じレベルであるが、異なるレベルにしてもよい。これにより、電磁駆動ユニット31、37で形成されるステレオ音響がより強調される。
【0217】
響板8の響棒9…の一部または全部が省略されても良い。響板8の響棒9…の断面形状は方形、三角形、多角形、円形、楕円、半円形、かまぼこ形、扇形など細長ければどのような形状でもよいし、線対称の形状以外の形状でもよい。響棒9…の両端は細くなっているが、響棒9…の太さは均一でもよいし、細い太いが交互に入れ換わったり、中央が細くなったり太くなったり、端が太くなったり細くなったり、真直ぐなもののほか湾曲していてもよい。
【0218】
響棒9…は、等間隔に取り付けられてもよいし、不等間隔に取り付けられても良いし、垂直方向/縦向きに取り付けられてもよいし、水平方向/横向きに取り付けられてもよいし、これらが混在してもよい。響棒9…は響板8の外面/後面/背面ではなく、内面/前面/正面にも取り付けられてもよいし、両面に取り付けられても良い。この場合、響板8の柾目と垂直方向または斜めに交差するように取り付けられる。
【0219】
響棒9…の各間隔は、電磁駆動ユニット31、37の直径より小さくてもよい。この場合、電磁駆動ユニット31、37は響棒9…の間に位置せず、響棒9…の一本または複数に重なって取り付けられることになる。電磁駆動ユニット31、37は響板8の中心に取り付けられてもよい。響棒9…の各間隔は、鍵盤22の中の低音域の楽音が出力指示される側に近づくにしたがって徐々に広くなっても、徐々に狭くってなってもよい。各響棒9…は互いに平行であったが、一部または全部が平行でなくてもよい。
【0220】
楽音装置本体(底板4、屋根板5、左親板6、右親板7、響板8、下前板18、上前板19)は、箱型であったが、八面体、十二面体、円筒、円柱、テーパー状、ラッパ状、球形、湾曲立体など、どのような形状であってもよい。響板8の形状は方形以外に、円形、多角形、環状など、平坦であればどのような形状でもよいし、響板8または上記響棒9…の材質は、木製のほか、金属製、紙製、樹脂製、ガラス製、布製、セラミック製でもよい。
【0221】
上記響板8は、平坦であるが、凹状に湾曲していても良いし、凸状に湾曲していてもよい。これにより、響板8から発生される楽音の波形は平面波ではなく、球面波になる。電磁駆動ユニット(電磁駆動体)31、37は、スピーカー、ツィーターなどに置き換えられても良いし、無くてもよい。
【0222】
また、本件発明の装置を取り付ける楽音装置は、アップライトピアノのほか、グランドピアノ、電子ピアノ、電子オルガン、チェンバロ、電子チェンバロ、鍵盤ハーモニカ、電子鍵盤ハーモニカなど鍵盤があればどのような楽音装置でもよいし、弦楽器でもよいし、鍵盤楽器以外の楽器などでもよい。この場合、響板8はほぼ垂直方向/ほぼ縦向きではなくほぼ水平方向/ほぼ横向きに配置されるので、電磁駆動ユニット31、37もほぼ横向き/水平方向向きにされて取り付けられる。響棒9…の一部または全部は省略可能である。
【0223】
さらに、上記複数種類の楽音からなる楽音信号は、複数種類の楽器、音色、音高または/及びタッチの楽音の信号からなっており、ポリフォニックに発音される楽音の信号であり、低音、中音、高音の各周波数帯域の楽音が含まれている。このような楽音信号には、楽器の弦自体、管自体、打自体の部分の楽音の信号ほか、響板8部分の楽音の信号も含まれるが、弦自体、管自体、打自体の部分の楽音の信号のみでもよいし、実際のアコースティック楽器の響板8部分の楽音の信号のみでもよいし、上記複数種類の楽音からなる楽音信号はPCMなどのデジタル信号でも良い。
【0224】
電磁駆動ユニット31、37が響板8の中心からずれた位置に取り付けられているので、響板8の振動が共振したりしてしまうことがなくなり、響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなり、実際のアコースティックな楽器の楽音に近づけることができる。
【0225】
この電磁駆動ユニット31、37は、響棒9…の間に取り付けられてもよい。これにより、響板8を電磁駆動ユニット31、37で振動させてから、この響板8の振動が響棒9…を通じて響板8全体に伝達され、響板8より響棒9の方が先に音が伝達されることがなくなり、響板8全体に音が均一に伝わることができる。
【0226】
上記響棒9…の各間隔は、10cm乃至30cmであり、等間隔ではなく、不等間隔となっていてもよい。これにより、響棒9…が振動の節となって、各響棒9…の間で同じ周波数の音が共振してしまうことがなくなり、響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。このような響棒9…は響板8の後面側以外に前面側に取り付けられてもよい。
【0227】
響棒9…の各間隔は不均一としてもよい。これにより、響棒9…の各間隔の響板8部分から発せられる楽音に高さに違いが生じ、響板8の振動が共振したりしてしまうことがなくなり、響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなり、実際のアコースティックな楽器の楽音に近づけることができる。
【0228】
電磁駆動ユニット31、37に送り込まれる上記楽音信号のそれぞれの大きさ/レベル/音量または周波数帯域は同じであるが、一方が他方より大きくてもよいし、一方が高音域、他方が低音域でもよい。これにより、響板8の音量分布を部分的に変えることができるし、響板8の周波数帯域分布を部分的に変えることもできる。
【0229】
(14)他の発明の効果
[1]複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体を、鍵盤楽器の響板の内側に接触した状態で取り付け、 鍵盤楽器の前面の水平な棚板の下に配置された垂直な下前板の上に形成された穴部において、この穴部の内側であって、上記棚板に取り付け部材を固定し、 この取り付け部材に、複数種類の楽音からなる楽音信号を音に変換し、上記棚板に対して音を伝達する発音体を取り付けることを特徴とする楽音装置の生産方法または改造方法。
【0230】
[2]複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体であって、鍵盤楽器の響板の内側に接触した状態で取り付けられる加振体と、 鍵盤楽器の前面の水平な棚板の下に配置された垂直な下前板の上に形成された穴部において、この穴部の内側であって、上記棚板に固定された取り付け部材と、 この取り付け部材に取り付けられた、複数種類の楽音からなる楽音信号を音に変換し、上記棚板に対して音を伝達する発音体とを備えたことを特徴とする改造された楽音装置。
【0231】
[3]多数の弦をハンマーで振動させて音高の異なる楽音を各弦から発音させる鍵盤楽器のアクション機構に対して、ハンマーが弦を振動させて発音させるのを禁止させる消音機構を取り付け、 鍵の操作を検出して、この操作された鍵に応じた楽音信号を生成して出力する信号出力手段を上記鍵盤楽器に取り付け、 上記消音機構によって弦の発音を禁止させ、上記信号出力手段からの信号出力を許容させることと、上記消音機構によって弦の発音を許容させ、上記信号出力手段からの信号出力を禁止させることとを切換える消音切換え手段を上記鍵盤楽器に取り付け、 上記信号出力手段からの楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体を、鍵盤楽器の響板に接触した状態で取り付け、 この加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力するか否かを切換える加振体切換え手段を上記鍵盤楽器に取り付けることを特徴とする楽音装置の生産方法または改造方法。
【0232】
[4]多数の弦をハンマーで振動させて音高の異なる楽音を各弦から発音させる鍵盤楽器のアクション機構に対して、ハンマーが弦を振動させて発音させるのを禁止させる消音機構と、 鍵の操作を検出して、この操作された鍵に応じた楽音信号を生成して出力する信号出力手段と、 上記消音機構によって弦の発音を禁止させ、上記信号出力手段からの信号出力を許容させることと、上記消音機構によって弦の発音を許容させ、上記信号出力手段からの信号出力を禁止させることとを切換える消音切換え手段と、 上記信号出力手段からの楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体であって、鍵盤楽器の響板に接触した状態で取り付けられる加振体と、 この加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力するか否かを切換える加振体切換え手段とを備えたことを特徴とする楽音装置。
【0233】
[5]上記加振体切換え手段は、上記消音切換え手段と連動または一体であり、 上記消音機構によって弦の発音を禁止させ、上記信号出力手段からの信号出力を許容させて、上記加振体へ楽音信号を出力することと、 上記消音機構によって弦の発音を許容させ、上記信号出力手段からの信号出力を禁止させて、上記加振体へ楽音信号を出力しないこととを切換えることを特徴とする請求項4記載の楽音装置。 これにより、加振体の発音と弦の発音とを連動させ、加振体の発音と弦の発音とを択一的に選択できる。
【0234】
[6]上記加振体切換え手段は、上記消音切換え手段と非連動または別体であり、 上記消音機構によって弦の発音を禁止させ、上記信号出力手段からの信号出力を許容させるときに、上記加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力させ、 上記弦の発音を許容させ、上記信号出力手段からの信号出力を禁止させるときに、上記加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力させない、 または 上記消音機構によって弦の発音を禁止させ、上記信号出力手段からの信号出力を禁止させるときに、上記加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力させず、 上記弦の発音を許容させ、上記信号出力手段からの信号出力を許容させるときに、上記加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力させることを特徴とする請求項4記載の楽音装置。これにより、加振体の発音と弦の発音とを非連動にもすることができ、加振体の発音と弦の発音とを同時に選択したり、この両方とも同時に選択しなかったりできる。
【0235】
[7]上記信号出力手段には上記楽音信号に残響または共鳴を付加する残響共鳴手段が付加され、上記加振体に当該楽音信号が出力されるときには、残響または共鳴が付加されないで当該加振体に当該楽音信号が出力され、上記加振体に当該楽音信号が出力されないときには、この残響共鳴手段で残響または共鳴が付加されて当該楽音信号が出力されることを特徴とする請求項4、5または6記載の楽音装置。 これにより、加振体は響板に接触していて残響・共鳴を生成することができるが、加振体以外では残響・共鳴を生成することができないので、これを補うことができる。
【0236】
[8]上記加振体に当該楽音信号が出力されないときには、この残響共鳴手段で残響または共鳴が付加されてヘッドフォンに当該楽音信号が出力され、ヘッドフォンの装着を検出する検出手段の検出結果に基づき、ヘッドフォン装着のときは、残響共鳴手段で残響または共鳴が付加され、 ヘッドフォン非装着のときは、残響共鳴手段で残響または共鳴が付加されないことを特徴とする請求項4、5、6または7記載の楽音装置。 これにより、楽音装置/鍵盤楽器全体のように残響・共鳴を生成することができないヘッドフォンでも、残響・共鳴を生成することができる。
【0237】
[9]多数の弦をハンマーで振動させて音高の異なる楽音を各弦から発音させる鍵盤楽器のアクション機構に対して、ハンマーが弦を振動させて発音させるのを禁止させる消音機構を取り付け、 鍵の操作を検出して、この操作された鍵に応じた楽音信号を生成して出力する信号出力手段を上記鍵盤楽器に取り付け、 この信号出力手段からの楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体を、上記鍵盤楽器の響板に接触した状態で取り付け、 上記信号出力手段からの楽音信号を楽音に変換して、この楽音が外へ漏れない状態で放音させるヘッドフォンを、上記楽音装置に着脱自在に取り付け、 上記弦による発音と、上記加振体による発音と、上記ヘッドフォンによる発音とにつき、 弦による発音と加振体または/及びヘッドフォンによる発音とを同時に行なってこれらの合奏を可能とすること、若しくは加振体による発音とヘッドフォンによる発音とを同時に行なってこれらの合奏を可能とする切換え手段を上記鍵盤楽器に取り付けることを特徴とする楽音装置の生産方法または改造方法。
【0238】
[10]多数の弦をハンマーで振動させて音高の異なる楽音を各弦から発音させる鍵盤楽器のアクション機構に対して、ハンマーが弦を振動させて発音させるのを禁止させる消音機構と、 鍵の操作を検出して、この操作された鍵に応じた楽音信号を生成して出力する信号出力手段と、 この信号出力手段からの楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体であって、鍵盤楽器の響板に接触した状態で取り付けられる加振体と、 上記信号出力手段からの楽音信号を楽音に変換して、この楽音が外へ漏れない状態で放音させるヘッドフォンと、 上記弦による発音と、上記加振体による発音と、上記ヘッドフォンによる発音とにつき、 弦による発音と加振体または/及びヘッドフォンによる発音とを同時に行なってこれらの合奏を可能とすること、若しくは加振体による発音とヘッドフォンによる発音とを同時に行なってこれらの合奏を可能とすることを特徴とする楽音装置。
【0239】
[11]楽器の前面の水平な棚板の下に配置された垂直な下前板の上に形成された穴部において、 この穴部の内側であって、上記棚板に取り付け部材を固定し、 この取り付け部材に、複数種類の楽音からなる楽音信号を音に変換し、上記棚板に対して音を伝達する発音体を取り付けることを特徴とする楽音装置の生産方法または改造方法。
【0240】
[12]楽器の前面の水平な棚板の下に配置された垂直な下前板の上に形成された穴部において、 この穴部の内側に取り付け部材を固定し、 複数種類の楽音からなる楽音信号を音に変換する発音体をこの取り付け部材に取り付け、この取り付け部材に傾斜構造を形成するか、またはこの取り付け部材を斜めに固定することによって、斜め上方の上記棚板下面に向かって音を放射する位置に、この発音体を取り付けることを特徴とする楽音装置の生産方法または改造方法。
【0241】
[13]楽器の前面の水平な棚板の下に配置された垂直な下前板の上に形成された穴部と、 この穴部の内側であって、上記棚板に固定された取り付け部材と、 この取り付け部材に取り付けられ、複数種類の楽音からなる楽音信号を音に変換し、上記棚板に対して音を伝達する発音体とを備えたことを特徴とする楽音装置。
【0242】
[14]楽器の前面の水平な棚板の下に配置された垂直な下前板の上に形成された穴部と、 この穴部の内側に固定された取り付け部材と、 この取り付け部材に取り付けられ、複数種類の楽音からなる楽音信号を音に変換する発音体であって、取り付け部材に傾斜構造を形成するか、またはこの取り付け部材を斜めに固定することによって、斜め上方の上記棚板下面に向かって音を放射する位置に、この発音体が取り付けられることを特徴とする楽音装置。
【0243】
[15]上記取り付け部材は、上記穴部の下方まで延びていることを特徴とする請求項3または4記載の楽音装置。これにより、発音体裏側/内側の逆位相の音と、響板裏側/内側の音とが外へ漏れにくくなり、発音体表側/外側の音と、響板表側/外側の音とが打ち消されず、楽音装置からの音が小さくならず、音が聞こえにくくならず、音量のバランスがとられ、音の違和感がなくなる。
【0244】
[16]上記楽器の背面に配置されたほぼ垂直な響板と、 この響板に取りつけられ、複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて同響板より音を放射させる加振体と、 この楽器背面の加振体へ送られる楽音信号と、上記楽器前面の発音体へ送られる楽音信号とは同じ楽音信号であって、位相が同じであり、これら発音体と加振体または響板との間には、音を遮蔽する遮蔽体が設けられていることを特徴とする請求項13、14または15記載の楽音装置。
【0245】
これにより、発音体裏側/内側の逆位相の音と、響板裏側/内側の音が響板からの音とが強めあわず、発音体表側/外側の音と、響板表側/外側の音とが打ち消されず、楽音装置からの音が小さくならず、音が聞こえにくくならず、音量のバランスがとられ、音の違和感がなくなる。
【0246】
[17]上記遮蔽体は、上記取り付け部材に取り付けられた上記発音体の周囲、背面、左側面、右側面、上面または下面に取り付けられていることを特徴とする請求項16記載の楽音装置。これにより、発音体裏側/内側の逆位相の音と、響板裏側/内側の音が響板からの音とが強め合いの防止が完全になったり、この強め合いに影響の大きい面のみを塞いで遮蔽できたりでき、音量のバランスがとられる。
【0247】
[18]上記加振体は上記棚板に取り付けられていることを特徴とする請求項16または17記載の楽音装置。これにより、棚板が振動され演奏者に振動が伝わり、発音体からの音と相乗的に混合され、アコースティックな楽器と同じ音と振動の演奏感触が得られる。
【0248】
[19]上記加振体は上記響板の内側に一つまたは複数取り付けられ、この響板の外側には一本または複数の響棒が取り付けられていることを特徴とする請求項16、17または18記載の楽音装置。加振体が響板の内側に取り付けられると、上記楽音装置内側の発音体からの音の位相に対して、響板からの音の位相が反転されなくても、楽音装置の外へ放射される音が打ち消しあうことがない。響棒が響板の外側に取り付けられていると、響板の外側に放射される音の全方位への放射バランスがよくなり打ち消しあいも少なくなり、響棒が響板の内側に取り付けられていると、響板の内側に放射される音の全方位への放射バランスがよくなり打ち消しあいも少なくなり、音量のバランスがとられる。
【0249】
[20]上記遮蔽体と上記発音体との間には、発音体の振動/音を吸収して、発音体の振動/音を遮蔽体に伝えない吸振体が介在されていることを特徴とする請求項16、17、18または19記載の楽音装置。これにより、発音体の裏面からの逆位相の音が拡散されず、発音体の表面からの正位相の音が打ち消されない。
【0250】
[21]振動されて音を放射する平板状の楽器の響板であって、この響板の各部の柾目または木目はほぼ同一方向に揃っている響板と、 この響板表面に取り付けられる複数の響棒であって、この各響棒の各長手方向は上記響板の柾目または木目の方向とは異なる方向にほぼ揃っている複数の響棒と、を備えた楽音装置に対して、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて同響板より音を放射させる加振体につき、 この加振体を一端で支えるとともに、他端で上記楽器本体に固定され、この加振体が響板に当接される力はほぼ同じとされ、上記加振体を上記響板に当接させる支持体において、この支持体の一端から他端までの長さが長いほど、加振体と響板との間に柔軟体が介在され、短いほど同柔軟体が介在されないことを特徴とする楽音装置の生産方法または加工方法。
【0251】
[22]振動されて音を放射する平板状の楽器の響板であって、この響板の各部の柾目または木目はほぼ同一方向に揃っている響板と、 この響板表面に取り付けられる複数の響棒であって、この各響棒の各長手方向は上記響板の柾目または木目の方向とは異なる方向にほぼ揃っている複数の響棒と、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて同響板より音を放射させる複数の加振体と、 この加振体を一端で支えるとともに、他端で上記楽器本体に固定され、この加振体が響板に当接される力はほぼ同じとされ、上記加振体を上記響板に当接させる支持体において、この支持体の一端から他端までの長さが長いほど、加振体と響板との間に柔軟体が介在され、短いほど同柔軟体が介在されないことを特徴とする楽音装置。
【0252】
[23]上記支持体の一端から他端までの長さが長いほど、上記柔軟体の厚さは厚くなることを特徴とする請求項22記載の楽音装置。ここで、支持体の一端から他端までの長さが長いほど、加振体の加振に対して響板の振動が追従しにくく遅れ易くなるが、介在される柔軟板によってこの遅れが吸収され、響板と加振体とが互いにぶつかり合って生じる異常な共振音が生じなくなる。したがって、介在される柔軟板によるこの遅れの吸収が、連続的/段階的/無段階に実現される。
【0253】
[24]上記加振体が響板に当接される力は、加振体の自重、自重の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、十数倍または数十倍より大きく、楽器本体内の駒の上記響板への加圧力より小さいことを特徴とする請求項22または23記載の楽音装置。これにより、加振体が響板に当接される力が加振体の自重より大きいと、加振体の加振力が確実に響板に伝えられ、響板と加振体とが互いにぶつかり合って生じる異常な共振音が生じなくなる。また、加振体が響板に当接される力が楽器本体内の駒の響板への加圧力より小さいと、弦の振動/音が駒を通じて響板に伝わるのを妨害して支障を与えることがなくなり、加振体による振動/音以外に弦による振動/音も変質されずに確実に響板から発音/放射される。
【0254】
[25]上記一端から他端までの長さが長い支持体は、鍵盤楽器の底板の上面に取り付けられ、上記一端から他端までの長さが短い支持体は、鍵盤楽器の棚板の下面に取り付けられることを特徴とする請求項22、23または24記載の楽音装置。これにより、加振体からの音の放射位置を鍵盤や棚板に近い位置にすることができ、鍵盤を演奏/操作している指/手が、音の放射/振動を感じることができ、実際の演奏に近い感触を得ることができる。また、各支持体の加振体の間が、この支持体、底板、棚板、左親板、右親板などが介在して、一方の加振体の振動/音が他方の加振体に伝わりにくくなり、異常な共振音が生じなくなり、加振体の音質を高く保つことができる。
【0255】
[26]上記複数の加振体の一部は上方から吊り下げられ、他の一部は下方から持ち上げられていることを特徴とする請求項22、23、24または25記載の楽音装置。これにより、加振体からの音の放射位置を鍵盤や棚板に近い位置にすることができ、鍵盤を演奏/操作している指/手が、音の放射/振動を感じることができ、実際の演奏に近い感触を得ることができる。また、各支持体の加振体の間が、この支持体、底板、棚板、左親板、右親板などが介在して、一方の加振体の振動/音が他方の加振体に伝わりにくくなり、異常な共振音が生じなくなり、加振体の音質を高く保つことができる。
【0256】
[27]上記複数の加振体は、上記響板の長手方向に沿って離間され、当該響板の端縁付近に取り付けら得ることを特徴とする請求項22、23、24、25または26記載の楽音装置。これにより、複数の加振体が接近して複数の加振体からの振動/音が互いに干渉しあって響板から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0257】
[28]上記複数の加振体は、楽音装置の底面からほぼ同じ高さに取り付けられることを特徴とする請求項22、23、24、25、26または27記載の楽音装置。これにより、加振体からの各振動/各音が床面、楽音装置の底板に反射してかもし出す音場・音の雰囲気にアンバランスが生じず、加振体からの各振動/各音が左右均等に発せられる。
【0258】
[29]上記響板は線対称の形状をしており、この線対称のほぼ軸線上の位置に、上記加振体は取りつけられていることを特徴とする請求項22、23、24、25、26、27または28記載の楽音装置。これにより、加振体からの各振動/各音が響板の重心・中心に対して効率よく伝わり、響板の音量が低下してしまうことがなくなる。
【0259】
[31]振動されて音を放射する平板状の楽器の響板であって、この響板の各部の柾目または木目はほぼ同一方向に揃っている線対称の響板と、 この響板表面に取り付けられる複数の響棒であって、この各響棒の各長手方向は上記響板の柾目または木目の方向とは異なる方向にほぼ揃っている複数の響棒と、を備えた楽音装置に対して、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて同響板より音を放射させる加振体を、上記響板の線対称のほぼ軸線上の響板の辺縁の近辺の位置であって、上記響板の柾目または木目に沿った方向が、この軸線と上記響板の辺縁の方向とからほぼ等角になるとともに、各響棒の各長手方向に沿った方向が、この軸線と上記響板の辺縁の方向とからもほぼ等角になる位置の響板の表面に取り付けることを特徴とする楽音装置の生産方法または加工方法。
【0260】
[32]振動されて音を放射する平板状の楽器の響板であって、この響板の各部の柾目または木目はほぼ同一方向に揃っている線対称の響板と、 この響板表面に取り付けられる複数の響棒であって、この各響棒の各長手方向は上記響板の柾目または木目の方向とは異なる方向にほぼ揃っている複数の響棒と、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて同響板より音を放射させる加振体であって、上記響板の線対称のほぼ軸線上の響板の辺縁の近辺の位置であって、上記響板の柾目または木目に沿った方向が、この軸線と上記響板の辺縁とからほぼ等角になるとともに、各響棒の各長手方向に沿った方向が、この軸線と上記響板の辺縁とからもほぼ等角になる位置の響板の表面に取り付けられる加振体とを備えたことを特徴とする楽音装置。
【0261】
[33]上記加振体は、楽音装置の複数の弦が架けられる駒の各部分からほぼ等距離の位置に取り付けられることを特徴とする請求項32記載の楽音装置。これにより、加振体からの振動/音が駒を通じて各弦に均一に伝わり、一部の弦に偏ることがなく、加振体による振動/音と弦の共鳴との調和を取ることができる。
【0262】
[34]振動されて音を放射する平板状の楽器の響板であって、この響板の各部の柾目または木目はほぼ同一方向に揃っている響板と、 この響板表面に取り付けられる複数の響棒であって、この各響棒の各長手方向は上記響板の柾目または木目の方向とは異なる方向にほぼ揃っている複数の響棒と、を備えた楽音装置に対して、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて同響板より音を放射させる複数の加振体を、上記響板の柾目または木目に沿った同一線上からずれた位置及び上記各響棒の各長手方向に沿った同一線上からもずれた位置の響板の表面に取り付けることを特徴とする楽音装置の生産方法または加工方法。
【0263】
[35]振動されて音を放射する平板状の楽器の響板であって、この響板の各部の柾目または木目はほぼ同一方向に揃っている響板と、 この響板表面に取り付けられる複数の響棒であって、この各響棒の各長手方向は上記響板の柾目または木目の方向とは異なる方向にほぼ揃っている複数の響棒と、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて同響板より音を放射させる複数の加振体であって、上記響板の柾目または木目に沿った同一線上からずれた位置及び上記各響棒の各長手方向に沿った同一線上からもずれた位置の響板の表面に取り付けられる複数の加振体と、を備えたことを特徴とする楽音装置。
【0264】
[36]上記複数の加振体は、上記響板の長手方向に沿って離間され、当該響板の端縁付近に取り付けられることを特徴とする請求項35記載の楽音装置。これにより、複数の加振体が接近して複数の加振体からの振動/音が互いに干渉しあって響板から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0265】
[37]上記複数の加振体は、上記響板のほぼ中心を挟んで、できるだけ互いに離間される位置に取り付けられることを特徴とする請求項35または36記載の楽音装置。これにより、複数の加振体が接近して複数の加振体からの振動/音が互いに干渉しあって響板から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0266】
[38]上記加振体は、上記響板の中心を挟んで互いにほぼ対称な位置に取り付けられることを特徴とする請求項35、36または37載の楽音装置。これにより、加振体からの各振動/各音の響板への伝達に、音量・音質のアンバランスが生じず、加振体からの各振動/各音を均等に響板に伝えることができる。
【0267】
[39]上記複数の加振体は、楽音装置の底面からほぼ同じ高さに取り付けられることを特徴とする請求項35、36、37または38記載の楽音装置。これにより、加振体からの各振動/各音が床面、楽音装置の底板に反射してかもし出す音場・音の雰囲気にアンバランスが生じず、加振体からの各振動/各音が左右均等に発せられる。
【0268】
[40]上記響板は線対称の形状をしており、この線対称のほぼ軸線上の位置に、上記加振体は取りつけられていることを特徴とする請求項35、36、37、38または39記載の楽音装置。これにより、加振体からの各振動/各音が響板の重心・中心に対して効率よく伝わり、響板の音量が低下してしまうことがなくなる。
【0269】
[41]上記加振体は、上記響板において楽音装置の内側に取り付けられ、上記響棒は当該響板において楽音装置の外側に取り付けられていることを特徴とする請求項32、35、36、37、38、39または40記載の楽音装置。これにより、加振体が響棒に当たることを防ぐことができる。しかも、楽音装置の外から加振体を隠すことができ外観を損なうことがない。しかも、加振体は、響棒に当接しないで、響棒に対応した位置に取り付けることも可能となる。
【0270】
[42]上記複数の加振体に送り込まれる上記楽音信号のそれぞれの位相は異なっていることを特徴とする請求項32、35、36、37、38、39、40または41記載の楽音装置。これにより、1つの響板で位相の異なる音を出して、ステレオ音響を形成できる。しかも、響板からの音は平面波なので、音像を形成できる範囲を一点ではなく広くできる。
【0271】
[43]上記複数の加振体に送り込まれる上記楽音信号のそれぞれの位相は同じであることを特徴とする請求項32、35、36、37、38、39、40、41または42記載の楽音装置。これにより、響板からの音が強め合って大きくなる。
【0272】
[44]上記複数の加振体に送り込まれる上記楽音信号のそれぞれの位相差は、この複数の加振体の離間距離が大きくなるほど大きくなることを特徴とする32、35、36、37、38、39、40、41、42または43記載の楽音装置。これにより、音量を相乗的に大きくする状態からステレオ音響を形成する状態まで段階的に変えていくことができる。
【産業上の利用可能性】
【0273】
弦発音/弦消音、楽音信号出力/非出力、加振体への出力/非出力、ヘッドフォンへの出力/非出力を任意の組み合わせで連動/非連動させる。消音切換レバー179(消音切換え手段)の弦発音/弦消音の切換えと、駆動回路(信号出力手段)の電源の投入/遮断と、切換えスイッチ74L、75L、76L、74R、75R、76R(加振体切換え手段)への出力/非出力、ヘッドフォン78の差込みスイッチ79L、79Rの出力/非出力とは一部または全てが連動・一体とされたり、一部または全てが非連動/独立・別体とされたりする。
【0274】
弦137発音、楽音信号出力、電磁駆動ユニット31、37などからの発音、ヘッドフォン78からの発音につき、全て発音・出力から、いずれかの発音・出力、いずれも発音・出力しない無音の状態まで、種々の演奏状態を実現できる。
【0275】
発音体からの音が楽器前面の棚板に当たり、棚板や棚板の上の鍵盤などが振動して、アコースティックな楽器と同じ演奏感触が得られる。取り付け板53の両端内面に断面「L字状」の取り付け金具54、54が固定され、取り付け板53の中央内面にスピーカー51、51が取り付けられている。取り付け金具54、54の折り曲げ角度はやや鋭角となっていて、取り付け板53が斜めに固定され、スピーカー51、51からの音が斜め上方の棚板14下面に向かって放射される。
【0276】
加振体を支持する支持体の一端から他端までの長さに応じて、加振体と響板との間に柔軟体が介在されたりされなかったりして、異常音が防止される。加振体を支持する支持体の一端から他端までの長さが長いほど、加振体と響板との間に柔軟体が介在され、短いほど同柔軟体が介在されない。これにより、響板と加振体との間の異常音が防止される。
【0277】
三角金具36(支持体)の先端に取り付けられている電磁駆動ユニット(加振体)37の加振面には柔軟板21が取り付けられ、L字金具32の先端の電磁駆動ユニット31には取り付けられない。この柔軟板21はクッション性があり、電磁駆動ユニット37(31)と響板8との間に介在される。
【0278】
これにより、L字金具32及び三角金具36の長さが長いほど、電磁駆動ユニット37(31)の加振に対して響板8の振動が追従しにくく遅れ易くなるが、介在される柔軟板21によってこの遅れが吸収され、響板8と電磁駆動ユニット37(31)とが互いにぶつかり合って生じる異常な共振音が生じない。三角金具36とL字金具32とはいずれかが一方のみまたは両方が取り付けられる。
【0279】
響板の柾目の方向が、響板の線対称の軸線と響板の辺縁とから等角になり、各響棒の方向が、この軸線と響板の辺縁とから等角になる位置に加振体が取り付けられ、加振体からの振動/音が、響板の柾目及び響棒の一部に沿って偏らなくなる。
【0280】
電磁駆動ユニット31は、響板8の線対称のほぼ軸線E上の響板8の辺縁の近辺の位置に取り付けられる。響板8の柾目の方向Pは、この軸線Eと響板8の辺縁の方向ABとからほぼ等角になる。各響棒9の方向Sは、この軸線Eと響板8の辺縁の方向ABとからもほぼ等角になる。
【0281】
このような等角位置により、電磁駆動ユニット31からの振動/音が、響板8の柾目に沿って偏らず、響棒9…の一部に沿って偏らず、響板8の振動/音が響板の一部に偏らず、響板8全体に均一に伝達され、響板8からの楽音の変質/歪みがなくなる。
【0282】
響板の柾目及び響棒の各長手方向に沿った同一線上からずれた位置の響板表面に加振体が取付けられ、加振体からの振動/音が、響板の柾目及び響棒の一部に沿って偏らなくなる。左の電磁駆動ユニット31は響板8の左端(図3右端)であって、棚板14のすぐ下の位置に取り付けられている。右の電磁駆動ユニット37は響板8の右端(図3左端)であって、棚板14と底板4のほぼ中間位置に取り付けられている。
【0283】
電磁駆動ユニット31及び37は、響板8の長手方向に沿って離間され、響板8の左右の端縁付近に取り付けられている。これにより、互いに干渉しあって響板8から発せられる楽音が不用意に変異したり変質したり歪んだり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0284】
【図1】楽音装置の左方から見た縦断面を示す。
【図2】楽音装置の右方から見た縦断面を示す。
【図3】楽音装置の背面を示す。
【図4】楽音装置の正面を示す。
【図5】電磁駆動ユニット(電磁駆動体/加振体)31の取り付け構造を示す。
【図6】電磁駆動ユニット(電磁駆動体/加振体)37の取り付け構造を示す。
【図7】電磁駆動ユニット31、37の駆動回路(楽音制御回路)を示す。
【図8】電磁駆動ユニット(電磁駆動体/加振体)31の取り付け位置を示す。
【図9】スピーカー51(発音体)、取り付け板53などの縦断面を示す。
【図10】ツィーター55(発音体)、取り付け板53などの縦断面を示す。
【図11】スピーカー51、ツィーター55(発音体)、取り付け板53などの横断面を示す。
【図12】スピーカー51(発音体)、取り付け板53などの第二実施例の縦断面を示す。
【図13】スピーカー51(発音体)、取り付け板53などの第三実施例の縦断面を示す。
【図14】消音切換レバー179(消音切換え手段)、駆動回路(信号出力手段)の電源の投入/遮断、切換えスイッチ74L〜76R(加振体切換え手段)、ヘッドフォン78の差込みスイッチ79L、79Rの各切換えに応じた各演奏状態を示す。
【図15】打弦発音時のピアノの側断面を示す。
【図16】電子発音時のピアノの側断面を示す。
【図17】切換機構105を示す。
【図18】楽音回路80を示す。
【符号の説明】
【0285】
1…骨組み(支柱)、2…内支柱、
3…ピン板、4…底板、
5…屋根板、6…左親板、
7…右親板、8…響板、
9…響棒、10…フレーム、
11…弦(ピアノ線)、12…前土台、
13…棚受け柱、14…棚板、
15…鍵盤、16…腕木、
17…鍵盤蓋、18…下前板、
19…上前板、20駒、21…柔軟板、
31、37…電磁駆動ユニット(電磁駆動体/加振体)、
32…L字金具、33…ボルト、
34…ナット、35…調節つまみ、
36…三角金具、41…パンポット回路、
42L…左DSPフィルタ、42R…右DSPフィルタ、
43L…左4バンドイコライザー、43R…右4バンドイコライザー、
44L…左位相制御回路、44R…右位相制御回路、
45L…左アンプ、45R…右アンプ、
48…取付けクッション、49…AMP基板(プリント基板)、
51…スピーカー(発音体)、52…穴部、53…取り付け板(取り付け部材)、
54…取り付け金具(取り付け部材)、55…ツィーター(発音体)、
56…スピーカークッション(吸振体)、57…箱カバー(遮蔽体)、
58…放音穴、59…布、61…パンポット回路、
62L…左DSPフィルタ、62R…右DSPフィルタ、
63L…左DSPフィルタ、63R…右DSPフィルタ、
64L…左DSPフィルタ、64R…右DSPフィルタ、
65L…左4バンドイコライザー、65R…右4バンドイコライザー、
66L…左4バンドイコライザー、66R…右4バンドイコライザー、
67L…左4バンドイコライザー、67R…右4バンドイコライザー、
68L…左位相制御回路、68R…右位相制御回路、
69L…左位相制御回路、69R…右位相制御回路、
70L…左位相制御回路、70R…右位相制御回路、
71L…左アンプ、71R…右アンプ、
72L…左アンプ、72R…右アンプ、
73L…左アンプ、73R…右アンプ、
74L、75L、76L、74R、75R、76R…切換えスイッチ(加振体切換え手段)、
77L、77R…残響共鳴回路、78…ヘッドフォン、
79L、79R…差込みスイッチ(加振体切換え手段)、
80…楽音回路、81、82…発光部(信号出力手段)、
83、84…受光部(信号出力手段)、85…スキャン回路(信号出力手段)、
86…CPU、87…ROM、
88…RAM、90…トーンジェネレータ、
81、82、83、84、85…キー操作検出手段、
86、87、88、90…楽音信号生成手段、
91…サウンドシステム、92…MIDI回路、
92…電源回路、93…電源スイッチ(消音切換え手段)、
101…打弦機構、102…ダンパー機構、
103(162、163、164、165)…ジャック禁止機構(消音機構)、
104(172、173、174、175)…ハンマー禁止機構(消音機構)、
105(168、169、176、177、178、179)…切換機構(消音切換え手段)、
111…棚板、112…鍵(キー)、
125…バランスピン、127…ウィッペン、
128…ウィッペンフレンジ、129…センターレール、
130…ジャック、130a…突出部、
131…ジャックスプリング、132…レギュラティングボタン、
133…ハンマーバット、134…ハンマーシャンク、
135…バットフレンジ、136…ハンマーヘッド、
137…弦、138…ハンマーレール、
139…緩衝部、140…バックストップ、
141…バックチェック、144…ダンパーレバー、
147…ダンパーヘッド、149…ダンパーレバーストップレール、
161…アクションブラケット、162…回転軸、
163…支持リンク、164…支持軸、
165…ジャックシフトローラ(消音機構)、166…駆動リンク、
168…スプリング、169…ストッパ、
172…回転軸、173…支持リンク(消音機構)、
174…支持軸、175…ハンマーストップローラ(消音機構)、
176…駆動リンク(消音機構)、177…切換ワイヤー(消音切換え手段)、
178…ワイヤーチューブ、179…消音切換レバー(消音切換え手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体を、鍵盤楽器の響板の内側に接触した状態で取り付け、
鍵盤楽器の前面の水平な棚板の下に配置された垂直な下前板の上に形成された穴部において、この穴部の内側であって、上記棚板に取り付け部材を固定し、
この取り付け部材に、複数種類の楽音からなる楽音信号を音に変換し、上記棚板に対して音を伝達する発音体を取り付けることを特徴とする楽音装置の生産方法または改造方法。
【請求項2】
複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体であって、鍵盤楽器の響板の内側に接触した状態で取り付けられる加振体と、
鍵盤楽器の前面の水平な棚板の下に配置された垂直な下前板の上に形成された穴部において、この穴部の内側であって、上記棚板に固定された取り付け部材と、
この取り付け部材に取り付けられた、複数種類の楽音からなる楽音信号を音に変換し、上記棚板に対して音を伝達する発音体とを備えたことを特徴とする改造された楽音装置。
【請求項3】
多数の弦をハンマーで振動させて音高の異なる楽音を各弦から発音させる鍵盤楽器のアクション機構に対して、ハンマーが弦を振動させて発音させるのを禁止させる消音機構を取り付け、
鍵の操作を検出して、この操作された鍵に応じた楽音信号を生成して出力する信号出力手段を上記鍵盤楽器に取り付け、
上記消音機構によって弦の発音を禁止させ、上記信号出力手段からの信号出力を許容させることと、上記消音機構によって弦の発音を許容させ、上記信号出力手段からの信号出力を禁止させることとを切換える消音切換え手段を上記鍵盤楽器に取り付け、
上記信号出力手段からの楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体を、鍵盤楽器の響板に接触した状態で取り付け、
この加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力するか否かを切換える加振体切換え手段を上記鍵盤楽器に取り付けることを特徴とする楽音装置の生産方法または改造方法。
【請求項4】
多数の弦をハンマーで振動させて音高の異なる楽音を各弦から発音させる鍵盤楽器のアクション機構に対して、ハンマーが弦を振動させて発音させるのを禁止させる消音機構と、
鍵の操作を検出して、この操作された鍵に応じた楽音信号を生成して出力する信号出力手段と、
上記消音機構によって弦の発音を禁止させ、上記信号出力手段からの信号出力を許容させることと、上記消音機構によって弦の発音を許容させ、上記信号出力手段からの信号出力を禁止させることとを切換える消音切換え手段と、
上記信号出力手段からの楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体であって、鍵盤楽器の響板に接触した状態で取り付けられる加振体と、
この加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力するか否かを切換える加振体切換え手段とを備えたことを特徴とする楽音装置。
【請求項5】
上記加振体切換え手段は、上記消音切換え手段と連動または一体であり、
上記消音機構によって弦の発音を禁止させ、上記信号出力手段からの信号出力を許容させて、上記加振体へ楽音信号を出力することと、 上記消音機構によって弦の発音を許容させ、上記信号出力手段からの信号出力を禁止させて、上記加振体へ楽音信号を出力しないこととを切換えることを特徴とする請求項4記載の楽音装置。
【請求項6】
上記加振体切換え手段は、上記消音切換え手段と非連動または別体であり、
上記消音機構によって弦の発音を禁止させ、上記信号出力手段からの信号出力を許容させるときに、上記加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力させ、 上記弦の発音を許容させ、上記信号出力手段からの信号出力を禁止させるときに、上記加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力させない、 または
上記消音機構によって弦の発音を禁止させ、上記信号出力手段からの信号出力を禁止させるときに、上記加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力させず、 上記弦の発音を許容させ、上記信号出力手段からの信号出力を許容させるときに、上記加振体へ上記信号出力手段からの信号を出力させることを特徴とする請求項4記載の楽音装置。
【請求項7】
上記信号出力手段には上記楽音信号に残響または共鳴を付加する残響共鳴手段が付加され、
上記加振体に当該楽音信号が出力されるときには、残響または共鳴が付加されないで当該加振体に当該楽音信号が出力され、
上記加振体に当該楽音信号が出力されないときには、この残響共鳴手段で残響または共鳴が付加されて当該楽音信号が出力されることを特徴とする請求項4、5または6記載の楽音装置。
【請求項8】
上記加振体に当該楽音信号が出力されないときには、この残響共鳴手段で残響または共鳴が付加されてヘッドフォンに当該楽音信号が出力され、
ヘッドフォンの装着を検出する検出手段の検出結果に基づき、ヘッドフォン装着のときは、残響共鳴手段で残響または共鳴が付加され、 ヘッドフォン非装着のときは、残響共鳴手段で残響または共鳴が付加されないことを特徴とする請求項4、5、6または7記載の楽音装置。
【請求項9】
多数の弦をハンマーで振動させて音高の異なる楽音を各弦から発音させる鍵盤楽器のアクション機構に対して、ハンマーが弦を振動させて発音させるのを禁止させる消音機構を取り付け、
鍵の操作を検出して、この操作された鍵に応じた楽音信号を生成して出力する信号出力手段を上記鍵盤楽器に取り付け、
この信号出力手段からの楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体を、上記鍵盤楽器の響板に接触した状態で取り付け、
上記信号出力手段からの楽音信号を楽音に変換して、この楽音が外へ漏れない状態で放音させるヘッドフォンを、上記楽音装置に着脱自在に取り付け、
上記弦による発音と、上記加振体による発音と、上記ヘッドフォンによる発音とにつき、 弦による発音と加振体または/及びヘッドフォンによる発音とを同時に行なってこれらの合奏を可能とすること、若しくは加振体による発音とヘッドフォンによる発音とを同時に行なってこれらの合奏を可能とする切換え手段を上記鍵盤楽器に取り付けることを特徴とする楽音装置の生産方法または改造方法。
【請求項10】
多数の弦をハンマーで振動させて音高の異なる楽音を各弦から発音させる鍵盤楽器のアクション機構に対して、ハンマーが弦を振動させて発音させるのを禁止させる消音機構と、
鍵の操作を検出して、この操作された鍵に応じた楽音信号を生成して出力する信号出力手段と、
この信号出力手段からの楽音信号を機械的変化に変換して、接触する響板を振動させて同響板より音を放射させる加振体であって、鍵盤楽器の響板に接触した状態で取り付けられる加振体と、
上記信号出力手段からの楽音信号を楽音に変換して、この楽音が外へ漏れない状態で放音させるヘッドフォンと、
上記弦による発音と、上記加振体による発音と、上記ヘッドフォンによる発音とにつき、 弦による発音と加振体または/及びヘッドフォンによる発音とを同時に行なってこれらの合奏を可能とすること、若しくは加振体による発音とヘッドフォンによる発音とを同時に行なってこれらの合奏を可能とすることを特徴とする楽音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−230406(P2012−230406A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−148258(P2012−148258)
【出願日】平成24年7月2日(2012.7.2)
【分割の表示】特願2007−176758(P2007−176758)の分割
【原出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】