説明

構内交換機システム及び通信接続方法

【課題】利便性の高い構内交換機システム及び通信接続方法を提案する。
【解決手段】構内交換機は、ログインしている電話機から送信される発信要求に含まれる発信先の電話機の内線番号と、構内交換機により管理されている内線番号とに基づいて、発信先の電話機が自構内交換機にログインしているか否かを判断し、発信先の電話機が自構内交換機にログインしている場合には、発信要求の発信元の電話機と、発信先の電話機とを通信接続する一方、発信先の電話機が自構内交換機にログインしていない場合には、発信要求を他の構内交換機に転送する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構内交換機システム及び通信接続方法に関し、例えば複数のIP電話機及び通話路スイッチを備えて構成される構内交換機システム及び通信接続方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットで利用されるパケット通信プロトコルであるIP(Internet Protocol)を利用して通話を実現するIP電話機が知られている。また、従来、IP電話機の回線交換を行うために通話路スイッチ(IP-PBX:Internet Protocol Private Branch Exchange)が使用されることが知られている。この通話路スイッチを有する構内交換機から構成される構内交換機システムには、一般にトランクと呼ばれる通話路スイッチに会議通話や公衆網接続等のサービス機能を付加するためのインタフェースが備わっている。そしてこのトランクを備えることにより、構内交換機システムはIPネットワーク上で通話路スイッチをまたいだIP電話機の転送や構内交換機システム内で会議通話といったサービスを可能にする。
【0003】
ところで、サービスを可能にするトランクは、一台に接続できるIP電話機の台数が決まっている。従ってトランクは、会議に参加するIP電話機の台数が増えた場合、全てのIP電話機に対して会議通話サービスを提供することができない場合がある。
【0004】
このような問題を解決するための手段として、例えば特許文献1には、複数の端末が接続され、複数の端末からの会議通話の要求を受け付ける構内交換機において、会議通話に参加する端末数の増加に応じて会議通話トランクを捕捉するようにし、会議参加希望者の会議参加ダイヤル操作ごとに会議通話トランクに接続させることで、多者会議通話を提供する会議通信接続方法が開示されている。
【0005】
ところが、上述の多者会議通話を提供する会議通信接続方法においては、構内交換機システム上の通話路スイッチの故障や回線の障害等によって生じるIP電話機の通信障害については考慮されておらず、構内交換機システムの故障や回線の障害時には、構内交換機システム上の全てのIP電話機においてサービスが利用できなくなる問題があった。
【0006】
かかる問題を解決するための手段として、例えば特許文献2には、構内交換機の故障時又は回線の障害時に、複数のIP電話機を収容する各拠点において複数のIP電話機の内線通話をバックアップするバックアップ交換機を設け、センタの構内交換機の故障及び回線の障害が発生した場合、IP電話機のログイン先を構内交換機からバックアップ交換機へ切り替えることで、拠点内IP電話機の全ての通話不能を回避し、拠点内の通話を確保する方法が開示されている。
【0007】
ところが、上述のように構内交換機システム上においては、複数の各拠点間でサービスリソースであるバックアップ交換機を共有しないため、構内交換機システムを構成する全ての構内交換機にバックアップ交換機を備えなければならず、拠点数の増加に伴って、構成が大きくなる問題や、コストが高くなる問題があった。
【0008】
かかる問題を解決するための手段として、例えば特許文献3には、同機能のトランクが複数の拠点に存在する環境下で、IP電話機からの発信にトランクを使用する際に、各拠点に設けられた複数のトランクの中から、1つの最適なトランクを選択し利用することで、拠点間でサービスリソースを共有する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−234835号公報
【特許文献2】特開2006−254096号公報
【特許文献3】特開2009−100333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の特許文献3に開示された方法によると、例えば発信先のIP電話機がバックアップ先として他の拠点の構内交換機に迂回してログインした場合、かかるバックアップ先の拠点の構内交換機の内線電話機として動作するため、発信元のIP電話機は、ログイン先の構内交換機ごとに対応した局番及び内線番号でダイヤル操作をしなければサービスを利用することができない問題があった。
【0011】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、局番を意識することなく固有の局番及び内線番号で所望の電話機に通信接続することが可能な利便性が高い構内交換機システム及び通信接続方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するために本発明においては、相互に接続され、それぞれ固有の局番が付与された複数の構内交換機と、それぞれログインする前記構内交換機ごとに異なる固有の内線番号が付与された複数の電話機とを有し、前記電話機がログインしている前記構内交換機の局番と、当該電話機に付与された当該構内交換機における前記内線番号とを組み合わせた発信ダイヤルをダイヤルすることにより当該電話機に通信接続される構内交換システムにおいて、前記構内交換機は、前記電話機ごとに、前記電話機の前記構内交換機ごとの前記内線番号を管理し、ログインしている前記電話機から送信される他の前記電話機への発信要求に含まれる発信先の前記電話機の内線番号と、前記構内交換機により管理されている前記内線番号とに基づいて、発信先の前記電話機が自構内交換機にログインしているか否かを判断し、発信先の前記電話機が自構内交換機にログインしている場合には、前記発信要求の発信元の前記電話機と、発信先の前記電話機とを通信接続する一方、発信先の前記電話機が自構内交換機にログインしていない場合には、前記発信要求を他の前記構内交換機に転送するようにした。
【0013】
また本発明においては、相互に接続され、それぞれ固有の局番が付与された複数の構内交換機と、それぞれログインする前記構内交換機ごとに異なる固有の内線番号が付与された複数の電話機とを有し、前記電話機がログインしている前記構内交換機の局番と、当該電話機に付与された当該構内交換機における前記内線番号とを組み合わせた発信ダイヤルをダイヤルすることにより当該電話機に通信接続される構内交換システムの通信接続方法において、前記構内交換機が前記電話機ごとに、前記電話機の前記構内交換機ごとの前記内線番号を管理する第1のステップと、前記構内交換機がログインしている前記電話機から送信される他の前記電話機への発信要求に含まれる発信先の前記電話機の内線番号と、前記構内交換機により管理されている前記内線番号とに基づいて、発信先の前記電話機が自構内交換機にログインしているか否かを判断する第2のステップと、前記構内交換機が発信先の前記電話機が自構内交換機にログインしている場合には、前記発信要求の発信元の前記電話機と、発信先の前記電話機とを通信接続する一方、発信先の前記電話機が自構内交換機にログインしていない場合には、前記発信要求を他の前記構内交換機に転送する第3のステップとを備えるようにした。
【0014】
この結果、この構内交換機システム及び通信接続方法によれば、局番を意識することなく固有の局番及び内線番号で所望の電話機に通信接続することによって、利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、利便性の高い構内交換機システム及び通信接続方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態による構内交換機システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】拠点2AにおけるIP電話機のログイン状態情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図3】拠点2Aにおける迂回ログイン先情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図4】拠点2Aにおけるサービス種別毎迂回ログイン先情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図5】拠点2Aにおける特番ダイヤルテーブル種別情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図6】拠点2Aにおける特番ダイヤル種別情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図7】拠点2BにおけるIP電話機のログイン状態情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図8】拠点2Bにおける迂回ログイン先情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図9】拠点2Bにおけるサービス種別毎迂回ログイン先情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図10】拠点2Bにおける特番ダイヤルテーブル種別情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図11】拠点2Bにおける特番ダイヤル種別情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図12】拠点2CにおけるIP電話機のログイン状態情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図13】拠点2Cにおける迂回ログイン先情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図14】拠点2Cにおけるサービス種別毎迂回ログイン先情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図15】拠点2Cにおける特番ダイヤルテーブル種別情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図16】拠点2Cにおける特番ダイヤル種別情報テーブルの構成を示す概念図である。
【図17】各IP電話機がそれぞれ最優先の各ログイン拠点先にログインする様子を模式的に示した概念図である。
【図18】IP電話機4C1が拠点2Aの会議トランクボードへ迂回する様子を模式的に示した概念図である
【図19】IP電話機4C1が拠点2Bの会議トランクボードへ迂回する様子を模式的に示した概念図である。
【図20】IP電話機4C1が拠点2Cの公衆網トランクボードにログインする様子を模式的に示した概念図である。
【図21】IP電話機4C1が拠点2Aの公衆網トランクボードへ迂回する様子を模式的に示した概念図である。
【図22】IP電話機4C1が拠点2Bの公衆網トランクボードへ迂回する様子を模式的に示した概念図である。
【図23】IP電話機4C1が拠点2Bのアナログ内線電話機と通信接続する様子を模式的に示した概念図である。
【図24】IP電話機4C1が拠点2Bのアナログ内線電話機と通信接続する様子を模式的に示した概念図である。
【図25】通信接続制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図26】特定拠点向け発信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図27】会議発信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図28】第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図29】本店側空き会議トランク検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図30】迂回ログイン先拠点側空き会議トランク検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図31】内線解放処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図32】ログイン及び発信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図33】会議招集処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図34】公衆網発信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図35】第1の構内交換機側空き公衆網接続トランク検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図36】本店側空き公衆網接続トランク検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図37】迂回ログイン先拠点側空き公衆網接続トランク検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図38】内線解放処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図39】ログイン及び発信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図40】通話終了処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0018】
(1)本実施の形態による構内交換機システムの構成
図1において、1は全体として本実施の形態による構内交換機システムを示す。
【0019】
この構内交換機システム1は、本店又は支店などの複数の拠点2(2A,2B及び2C)にそれぞれ設置された構内交換機3(3A,3B及び3C)と、複数のIP-MFT電話機(Internet Protocol Multi-Function Telephone)等のIP電話機4(4A,4B1,4B2,4B3,4C1,4C2及び4C3)と、公衆電話網(PSTN:Public Switched Telephone Networks)5とを備えて構成される。なお、複数の拠点2について総括した説明の場合、A,B及びCの符号は省略して記す場合がある。
【0020】
複数の拠点2及び複数のIP電話機4は、それぞれインターネット等のIP(Internet Protocol)ネットワーク6を介して通信可能に接続されており、当該IPネットワーク6を介してコマンドや各種制御情報を相互に送受し得るようになされている。
【0021】
また、拠点2Aは、構内交換機3A、アナログ内線電話機7A及び保守端末装置(MT:Maintenance Terminal)8Aを備えて構成される。そして、構内交換機3(3A,3B及び3C)、公衆電話網5、アナログ内線電話機7A及び保守端末装置8Aは、それぞれ制御バス9Aを介して拠点2A内で通信可能に接続されている。
【0022】
拠点2Aの構内交換機3Aは、CPU10Aと、メモリ11A、入出力遠隔保守トランク(IOC:Input-Output Control)12A、通話路スイッチ13A、IP専用線接続制御ボード(VIPT:Voice Internet Protocol Trunk)14A1,14A2、IP電話機制御トランクボード(VIPL:Voice Internet Protocol Line)15A、会議トランクボード(CFT:conference trunk)16A、アナログ内線電話機制御トランクボード(LIN:local interconnect network)17A及び公衆網接続トランクボード(COT:Central Officeline Trunk)18Aを備えて構成される。
【0023】
そして、これらCPU10Aと、メモリ11A、入出力遠隔保守トランク12A、通話路スイッチ13A、IP専用線接続制御ボード14A1,14A2、IP電話機制御トランクボード15A、会議トランクボード16A、アナログ内線電話機制御トランクボード17A及び公衆網接続トランクボード18Aとは、拠点2A内で制御バス9Aを介して接続されている。
【0024】
CPU10Aは、構内交換機3A体の動作制御を司るプロセッサである。CPU10Aは、メモリ11Aに格納された制御プログラムを実行することにより、構内交換機3A全体としての各種処理を実行する。
【0025】
メモリ11Aは、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリから構成され、交換動作制御プログラムなどの各種制御プログラムや構内交換機3の内線番号情報又は制御情報などの各種制御情報を記憶するために利用されるほか、交換動作を実行するときに一時的に利用される情報を記憶するCPU10Aのワークメモリとしても利用される。
【0026】
入出力遠隔保守トランク12Aは、構内交換機3Aの保守に利用される情報処理装置であり、例えばパーソナルコンピュータから構成される。入出力遠隔保守トランク12Aは、構内交換機3A内の情報を収集して保守端末装置8Aに通知したり、保守端末装置8Aから送信される設定指令に従って構内交換機3A内の各種設定を行う。
【0027】
保守端末装置8Aは、例えばパーソナルコンピュータ又はワークステーション等のコンピュータ装置から構成され、制御バス9Aを介して構内交換機3Aの入出力遠隔保守トランク12Aと接続されている。保守端末装置8Aは、構内交換機3Aに対して各種設定を行うためのGUI(Graphical User Interface)や各種情報を表示する表示装置と、オペレータが各種操作や各種設定入力を行うためのキーボードやマウス等の入力装置と、制御バス9Aを介して構内交換機3Aの入出力遠隔保守トランク12Aと通信を行うための通信装置とを備えて構成される。そして保守端末装置8Aは、例えば構内交換機3Aの入出力遠隔保守トランク12Aから通知される各種情報を表示装置に表示したり、表示装置に表示したGUIを用いて入力された各種設定内容に従った設定指令を構内交換機3Aの入出力遠隔保守トランク12Aに送信する。
【0028】
通話路スイッチ13Aは、CPU10Aの指示に従って、CPU10A、メモリ11A、入出力遠隔保守トランク12A、IP専用線接続制御ボード14A、IP電話機制御トランクボード15A、会議トランクボード16A及び公衆網接続トランクボード18A間におけるデータの転送を行うスイッチである。通話路スイッチ13Aは、CPU10Aの指示に従って、CPU10A、メモリ11A、入出力遠隔保守トランク12A、IP専用線接続制御ボード14A、IP電話機制御トランクボード15A、会議トランクボード16A及び公衆網接続トランクボード18A間におけるデータの転送を行う。
【0029】
IP専用線接続制御トランクボード14Aは、構内交換機3AをIPネットワーク6に接続するためのインタフェースであり、構内交換機3AがIPネットワーク6を介して他の拠点に設置された構内交換機3B,3Cと通信を行う際のプロトコル制御を行う。
【0030】
なお、本実施の形態における構内交換機システム1では、拠点2Aの構内交換機3Aには、複数のIP専用線接続制御ボードを備えて構成されており、これらのIP専用線接続制御ボード14A(14A1,14A2)には、各IP専用線接続制御ボード14A1,14A2ごとにそれぞれ通信する構内交換機3が決められている。
【0031】
例えば、IP専用線接続制御ボード14A1は、支店Aを示す拠点2Bに備えられたIP専用線接続制御ボード14Bと接続され、構内交換機3A及び構内交換機3B間の通信を行うための専用のインタフェースである。またIP専用線接続制御ボード14A2は、支店Bを示す拠点2Cに備えられたIP専用線接続制御ボード14Cと接続され、構内交換機3A及び構内交換機3C間の通信を行うための専用のインタフェースである。
【0032】
具体的に、支店Aを示す拠点2BのIP専用線接続制御トランクボード14Bは、本店を示す拠点2AのIP専用線接続制御ボード14Aとしか接続されず、支店Bを示す2CのIP専用線接続制御ボード14Cは、拠点2AのIP専用線接続制御ボード14Aとしか接続されない。これにより、拠点2B及び拠点2Cそれぞれにログイン状態のIP電話機4間での通信接続の際には、必ず本店を示す拠点2Aの構内交換機3Aを介して実行される。
【0033】
また、IP電話機制御トランクボード15Aは、構内交換機3AをIPネットワーク6に接続するためのインタフェースであり、構内交換機3AがIPネットワーク6を介してIP電話機4(4A,4B1,4B2,4B3,4C1,4C2及び4C3)と通信を行う際のプロトコル制御を行う。
【0034】
会議トランクボード16Aは、会議通話の通話路接続を行うために音声データをまとめる機能を持つインタフェースであり、例えばMPU(Micro Processing Unit)及び音声合成回路から構成される。会議トランクボード16Aは、CPU10Aの指示に従って、IP電話機4(4A,4B1,4B2,4B3,4C1,4C2及び4C3)から会議トランクボード16Aへの通話路の接続及び切断制御等の通話路接続制御を実行する。
【0035】
アナログ内線電話機制御トランクボード17Aは、アナログ内線電話機7Aを構内交換機3Aに接続するためのインタフェースであり、構内交換機3Aが制御バス9Aを介してアナログ内線電話機7Aと通信を行う際のプロトコル制御を行う。
【0036】
公衆網接続トランクボード18Aは、公衆電話網5を構内交換機3に接続するためのインタフェースであり、構内交換機3Aが制御バス9Aを介して公衆電話網5と通信を行う際のプロトコル制御を行う。
【0037】
なお、拠点2Bは、IP専用線接続制御ボード14Bが一つであることを除いて、拠点2Aと同様のハードウェア構成を有するものであり、拠点2Cは、会議トランクボード16Cを備えていないことを除いて、他の拠点2Bと同様のハードウェア構成を有するものであるため、その詳細についての説明は省略する。
【0038】
(2)本実施の形態による通信接続制御機能
(2−1)概要及びテーブル構成
次に、かかる各拠点2の構内交換機3に搭載された通信接続制御機能について説明する。本実施の形態による構内交換機3には、IPネットワーク6を介して各拠点2の構内交換機3に接続される管理対象であるIP電話機4のログイン先の拠点情報を管理する通信接続制御機能が搭載されている。
【0039】
実際上、本実施の形態による構内交換機システム1における複数のIP電話機4は、いずれかの拠点の構内交換機3にログインすることによって構内交換機3に備わるIP専用線接続制御ボード14、IP電話機制御トランクボード15、会議トランクボード16、アナログ内線電話機制御トランクボード17及び公衆網接続トランクボード等のトランクを利用する。これによりIP電話機4は、他のIP電話機、アナログ内線電話機又は公衆網と通信接続することができ、IP電話機間で会議通話させるためのサービスを利用することができる。
【0040】
しかしながら、IP電話機4は、これらのトランク及びこのトランクを備えた構内交換機システムの故障やそれぞれに接続される回線の障害又は回線の混雑等によって、構内交換機システム1上で優先的にログインする拠点2の構内交換機3以外の他の拠点2の構内交換機3に迂回してログインすることによって上述のサービスを利用する場合がある。この場合、IP電話機4には、新たに迂回先の拠点2の構内交換機3(以下、これを迂回ログイン先と呼ぶ)によって対応する固有の局番及び内線番号が割り当てられる。従って他のIP電話機4がこのIP電話機4に発信する場合、迂回ログイン先の局番及び内線番号を使用しないと通信接続することができない。
【0041】
そこで、本実施の形態の場合、IP電話機4に対して構内交換機システム1の全ての拠点2によってそれぞれ割り当てられる内線番号の情報及びIP電話機4が構内交換機3にログインしているか否かを示すログイン状態情報を各拠点2の構内交換機3において管理することで、発信先のIP電話機4が他の拠点2の構内交換機3に迂回してログインされている場合に、ダイヤル操作を変更しなくても発信先のIP電話機4が優先的にログインしている拠点2の構内交換機3によって割り当てられる局番及び内線番号を使用しても迂回ログイン先の拠点2で発信先のIP電話機4のログイン状態を検索することができる。これにより、発信元の電話機と発信先のIP電話機4とを接続することができる。
【0042】
以上のような通信接続制御機能に基づく通信接続制御処理を実行するための手段として、本店を示す拠点2Aにおける各構内交換機3Aのメモリ11Aには、図2に示すログイン状態情報テーブル20と、図3に示す迂回ログイン先情報テーブル21と、図4に示すサービス種別毎迂回ログイン先情報テーブル22と、図5に示す特番ダイヤルテーブル種別情報テーブル23と、図6に示す特番ダイヤル種別情報テーブル24とが格納されている。
【0043】
ログイン状態情報テーブル20は、構内交換機3AがIP電話機4(4A,4B1,4B2,4B3,4C1,4C2及び4C3)の構内交換機3Aへのログイン状態を管理するために利用されるテーブルであり、図2に示すように、内線番号欄20A及びログイン状態情報欄20Bから構成される。
【0044】
そして、内線番号欄20Aには、対応するIP電話機4に対して構内交換機3Aで付与された内線番号(以下、これをIP内線番号と呼ぶ)が格納され、ログイン状態情報欄20Bには、かかるIP内線番号に対応するIP電話機4のログイン状態情報が格納される。
【0045】
従って、図2では、「3000」というIP−MFT内線番号を有するIP電話機4の拠点2Aへのログイン状態が「ログイン・ログアウト」であることが示されている。
【0046】
迂回ログイン先情報テーブル21は、IP電話機4がいずれの構内交換機3を優先的に使用すべきかを示す構内交換機3の優先順位情報を構内交換機3Aが管理するために利用されるテーブルであり、図3に示すように、内線番号欄21A、ログイン先情報欄21B、第1迂回ログイン先欄21C及び第2迂回ログイン先欄21Dから構成される。
【0047】
そして、内線番号欄21Aには、対応する構内交換機3Aで付与されたIP電話機4のIP内線番号が格納され、ログイン先情報欄21Bには、IP内線番号を有するIP電話機4に対してユーザにより設定された対応する最優先のログイン先の構内交換機3の拠点2(以下、これを最優先ログイン先と呼ぶ)及びIP内線番号が格納される。
【0048】
また第1迂回ログイン先欄21Cには、構内交換機3Aの故障時、又は、回線の障害時等により最優先ログイン先でサービスが利用できない場合に、IP電話機4に対して迂回してログインをさせるためにユーザにより設定された対応する迂回ログイン先の構内交換機3の拠点2(以下、これを第1の迂回ログイン先と呼ぶ)及び第1の迂回ログイン先でのIP内線番号が格納される。
【0049】
また、第2迂回ログイン先欄21Dには、構内交換機3Aの故障、又は構内交換機3Aに接続される回線の障害又は回線の混雑等によりIP電話機4が迂回してログインする第1の迂回ログイン先でサービスが利用できない場合に、IP電話機4に対して迂回してログインをさせるためにユーザにより設定された対応する迂回ログイン先の構内交換機3の拠点2(以下、これを第2の迂回ログイン先と呼ぶ)及び第2の迂回ログイン先でのIP内線番号が格納される。
【0050】
従って、図3では、「3000」というIP−MFT内線番号を有するIP電話機4の最優先ログイン先の構内交換機3が「本店:内線番号3000」であり、第1迂回ログイン先と第2の迂回ログイン先とが無いことが示されている。
【0051】
サービス種別毎迂回ログイン先情報テーブル22は、各拠点2の構内交換機3によって提供されるユーザ業務に必要なサービス種別を提供するトランク毎にIP電話機4がいずれの構内交換機3のトランクを優先的に使用すべきかを示す構内交換機3の優先順位情報を構内交換機3Aが管理するために利用されるテーブルであり、図4に示すように、内線番号欄22A、サービス種別欄22B、第1迂回ログイン先欄22C及び第2迂回ログイン先欄22Dから構成される。
【0052】
そして、内線番号欄22Aには、対応するIP電話機4の対応する最優先ログイン先及びかかる構内交換機3ごとに付与されたIP内線番号が格納され、サービス種別欄22Bには、構内交換機システム1上の各構内交換機3によって提供されるユーザ業務に必要なサービス種別情報が格納される。なお、サービス種別としては、上述のように「会議通話」、「公衆網発信」、「支店A向け専用線発信」及び「支店B向け専用線発信」などがある。
【0053】
また、第1迂回ログイン先欄22Cには、対象のIP内線番号を有するIP電話機4が特定のサービスを提供するトランクの故障やトランクに接続される回線の混雑等により最優先ログイン先で特定のサービスが利用できない場合に、IP電話機4に対して迂回してログインをさせるためにユーザにより設定された対応する第1の迂回ログイン先及び第1の迂回ログイン先での内線番号が格納される。なお、対象のIP内線番号を有するIP電話機4に対応する第1の迂回ログイン先が設定されていない場合には、「なし」がそれぞれ格納される。
【0054】
また、第2迂回ログイン先欄22Dには、対象のIP内線番号を有するIP電話機4が迂回してログインする第1の迂回ログイン先で特定のサービスが利用できない場合に、IP電話機4に対して迂回してログインをさせるためにユーザにより設定された対応する第2の迂回ログイン先及び第2の迂回ログイン先での内線番号が格納される。なお、対象のIP内線番号を有するIP電話機4に対応する第2の迂回ログイン先が設定されていない場合には、「なし」がそれぞれ格納される。
【0055】
従って、図4では、「3000」というIP内線番号を有するIP電話機4がサービスを利用する場合に、第1迂回ログイン先と第2の迂回ログイン先が無いことが示されている。
【0056】
一方、特番ダイヤルテーブル種別情報テーブル23は、構内交換機3AにログインしているIP電話機4がサービスを利用する際に利用すべき特番ダイヤルテーブルの種別を構内交換機3Aが管理するために利用されるテーブルであり、図5に示すように、内線番号欄23A、特番ダイヤルテーブル番号欄23Bから構成される。
【0057】
そして、内線番号欄23Aには、対応するIP電話機4の構内交換機3Aで付与されたIP内線番号が格納され、特番ダイヤルテーブル番号欄23Bには、かかるIP内線番号を有するIP電話機4に対して対応する特番ダイヤルテーブル毎に対して付与された当該特番ダイヤルテーブルに固有の番号が格納される。
【0058】
従って、図5では、拠点2Aで「3000」というIP内線番号を有するIP電話機4がサービスを利用する際に利用する特番ダイヤルテーブルが「テーブル番号1」であることが示されている。
【0059】
他方、特番ダイヤル種別情報テーブル24は、構内交換機3AにログインしているIP電話機4がサービスを使用する際に利用され、各構内交換機ごとの局番又はサービスごとに付与された番号から構成される特番ダイヤルを管理するために利用されるテーブルであり、図6に示すように、特番ダイヤルテーブル番号欄24A、特番ダイヤル欄24B、サービス種別欄24Cから構成される。
【0060】
そして、特番ダイヤル欄24Bには、対応するサービス種別毎に対して付与された特番ダイヤルの情報が格納される。なお、特番ダイヤルが構内交換機3AにログインされているIP電話機4や構内交換機3Aに接続されているアナログ電話機7Aに対して発信を行うための特番ダイヤルである場合には対象の特番ダイヤルのIP内線番号及び内線番号の上1桁の番号が格納される。具体的には、拠点2AでIP電話機4のIP内線番号が「3000」である場合には「3」が格納される。
【0061】
また、サービス種別欄24Cには、構内交換機システム1上の構内交換機3によって提供されるユーザ業務に必要なサービス種別情報が格納される。また、特番ダイヤルテーブル番号欄24Aには、対応する特番ダイヤル及びサービス種別情報からなる特番ダイヤルテーブルに対して付与された番号が格納される。
【0062】
従って、図6では、特番ダイヤルが「3」でサービス種別情報が「本店内線番号ダイヤル」の特番ダイヤルテーブル番号が「テーブル番号1」であることが示されている。
【0063】
また、支店Aを示す拠点2Bにおける各構内交換機3Bのメモリ11Bには、図7に示すログイン状態情報テーブル30と、図8に示す迂回ログイン先情報テーブル31と、図9に示すサービス種別毎迂回ログイン先情報テーブル32と、図10に示す特番ダイヤルテーブル種別情報テーブル33と、図11に示す特番ダイヤル種別情報テーブル34とが格納されている。
【0064】
ログイン状態情報テーブル30、迂回ログイン先情報テーブル31、特番ダイヤルテーブル種別情報テーブル33及び特番ダイヤル種別情報テーブル34については、それぞれ本店を示す拠点2Aのログイン状態情報テーブル20(図2)迂回ログイン先情報テーブル21(図3)、特番ダイヤルテーブル種別情報テーブル23(図5)及び特番ダイヤル種別情報テーブル24(図6)と同様のものであるため、ここでの説明は省略する。ただし、構内交換機3Bで付与されたIP内線番号によって構内交換機3Bに接続されるIP電話機4のログイン状態を管理する。
【0065】
一方、サービス種別毎迂回ログイン先情報テーブル32は、構内交換機システム1上の各拠点2の構内交換機3によって提供されるユーザ業務に必要なサービス種別を提供するトランク毎にトランクの故障やトランクに接続される回線の混雑等の際に、IP電話機4がログイン先の拠点2Bを介していずれの構内交換機3のトランクが使用できるかを問い合わせるために使用されるテーブルであり、図9に示すように、内線番号欄32A、サービス種別欄32B及び問合せ先情報欄32Cから構成される。
【0066】
そして、内線番号欄32A及びサービス種別欄32Bには、それぞれ拠点2Aのサービス種別毎迂回ログイン先情報テーブル22(図4)の対応する欄(内線番号欄22A、サービス種別欄22B及び問合せ先情報欄22C)に格納される情報と同じ情報が格納される。
【0067】
また問合せ先情報欄32Cには、IP電話機4が拠点2Bを介して他の拠点に対して利用できるトランクが存在するか否かを問い合わせるためのユーザにより設定された対応する問合せ先の拠点2が格納される。
【0068】
また、支店Bを示す拠点2Cにおける各構内交換機3Cのメモリ11Cには、図12に示すログイン状態情報テーブル40と、図13に示す迂回ログイン先情報テーブル41と、図14に示すサービス種別毎迂回ログイン先情報テーブル42と、図15に示す特番ダイヤルテーブル種別情報テーブル43と、図16に示す特番ダイヤル種別情報テーブル44とが格納されている。
【0069】
これらのログイン状態情報テーブル40、迂回ログイン先情報テーブル41、サービス種別毎迂回ログイン先情報テーブル42、特番ダイヤルテーブル種別情報テーブル43及び特番ダイヤル種別情報テーブル44は、それぞれ本店を示す拠点2Aのログイン状態情報テーブル30(図7)迂回ログイン先情報テーブル31(図8)、サービス種別毎迂回ログイン先情報テーブル32(図9)、特番ダイヤルテーブル種別情報テーブル33(図10)及び特番ダイヤル種別情報テーブル34(図11)と同様のものであるため、ここでの説明は省略する。ただし、構内交換機3Cで付与されたIP内線番号によって構内交換機3Cに接続されるIP電話機4のログイン状態を管理する。
【0070】
(3)本構内交換機システムにおける通信接続に要する動作原理
次に、構内交換機システム1においてIP電話機4でサービスを利用する際に実行される動作原理について説明する。
【0071】
図17は、各IP電話機4がそれぞれ最優先ログイン先である構内交換機3にログインする様子を模式的に示した概念図である。図17では、IP電話機4Aからの発信要求に応じて、IP電話機4Aの最優先ログイン拠点先である構内交換機3Aは、IP電話機制御トランクボード15Aを介してIP電話機4Aと接続する。構内交換機3AにログインしたIP電話機4Aは、内線番号「3000」として拠点2Aの構内交換機3Aによって通信接続制御される。
【0072】
図18は、IP電話機4C1が最優先ログイン先である支店Bを示す拠点2Cにおいて会議トランクボードを利用できず本店を示す拠点2Aの会議トランクボード16Aへ迂回する様子を模式的に示した概念図である。
【0073】
図18では、まず、IP電話機4C1からのログイン要求及び会議発信要求に応じて、拠点2Cの構内交換機3Cが拠点2Aの構内交換機3Aに迂回ログイン先を問い合わせる。IP電話機4C1の第1の迂回ログイン先であった拠点2Aの構内交換機3Aは、IP電話機制御トランクボード15Aを介してIP電話機4C1を構内交換機3Aにログインさせる。構内交換機3AにログインしたIP電話機4C1は、IP電話機制御トランクボード15Aを介して会議トランクボード16Aと接続され、会議通話サービスを利用することができる。なお、通信接続のための一連の制御処理が終了すると、IP電話機4C1からIP電話機制御トランクボード15Aを介して会議トランクボード16Aに音声が送信される。
【0074】
図19は、IP電話機4C1が最優先ログイン先である支店Bを示す拠点2C及び第1の迂回ログイン先である本店を示す拠点2Aの会議トランクボードを利用できず支店Aを示す拠点2Bの会議トランクボード16Bへ迂回する様子を模式的に示した概念図である。
【0075】
図19では、まず、IP電話機4C1からの会議発信要求に応じて、拠点2Cの構内交換機3Cが拠点2Aに迂回ログイン先を問い合わせる。IP電話機4C1の第2の迂回ログイン拠点先であった拠点2Bの構内交換機3Bは、IP電話機制御トランクボード15Bを介してIP電話機4C1を構内交換機3Bにログインさせる。拠点2BにログインしたIP電話機4C1は、IP電話機制御トランクボード15Bを介して会議トランクボード16Bと接続され、会議通話サービスを利用することができる。なお、通信接続のための一連の制御処理が終了すると、IP電話機4C1からIP電話機制御トランクボード15Bを介して会議トランクボード16Bに音声が送信される。
【0076】
図20は、IP電話機4C1が拠点2Cにログインし、公衆網接続トランクボード18Cを利用する様子を模式的に示した概念図である。
【0077】
図20では、まず、IP電話機4C1からの公衆網発信要求に応じて、IP電話機4C1の最優先ログイン先である拠点2Cの構内交換機3CがIP電話機制御トランクボード15Cを介してIP電話機4C1を構内交換機3Cにログインさせる。構内交換機3CにログインしたIP電話機4C1は、IP電話機制御トランクボード15C及び公衆網接続トランクボード18Cを介して公衆電話網5に接続され、公衆網発信サービスを利用することができる。なお、通信接続のための一連の制御処理が終了すると、IP電話機4C1からIP電話機制御トランクボード15C及び公衆網接続トランクボード18Cを介して公衆電話網5に音声が送信される。
【0078】
図21は、IP電話機4C1が最優先ログイン先である支店Bを示す拠点2Cの公衆網接続トランクボード18Cを利用できず本店を示す拠点2Aの公衆網接続トランクボード18Aへ迂回する様子を模式的に示した概念図である。
【0079】
図21では、まず、IP電話機4C1からの公衆網発信要求に応じて、拠点2Cの構内交換機3Cが構内交換機3Aに迂回ログイン先を問い合わせる。IP電話機4C1の第1の迂回ログイン先であった拠点2Aの構内交換機3Aは、IP電話機制御トランクボード15Aを介してIP電話機4C1を構内交換機3Aにログインさせる。構内交換機3AにログインしたIP電話機4C1は、IP電話機制御トランクボード15A及び公衆網接続トランクボード18Aを介して公衆電話網5に接続され、会議発信サービスを利用することができる。なお、通信接続のための一連の制御処理が終了すると、IP電話機4C1からIP電話機制御トランクボード15A及び公衆網接続トランクボード18Aを介して公衆電話網5に音声が送信される。
【0080】
図22は、IP電話機4C1が最優先ログイン先である支店Bを示す拠点2C及び第1の迂回ログイン先である本店を示す拠点2Aの公衆網接続トランクボードを利用できず支店Aを示す拠点2Bの公衆網接続トランクボード18Bへ迂回する様子を模式的に示した概念図である。
【0081】
図21では、まず、IP電話機4C1からの公衆網発信要求に応じて、拠点2Cの構内交換機3Cが構内交換機3Aに迂回ログイン先を問い合わせる。IP電話機4C1の第2の迂回ログイン先であった拠点2Bの構内交換機3Bは、IP電話機制御トランクボード15Bを介してIP電話機4C1を構内交換機3Bにログインさせる。構内交換機3BにログインしたIP電話機4C1は、IP電話機制御トランクボード15B及び公衆網接続トランクボード18Bを介して公衆電話網5に接続され、会議発信サービスを利用することができる。なお、通信接続のための一連の制御処理が終了すると、IP電話機4C1からIP電話機制御トランクボード15B及び公衆網接続トランクボード18Bを介して公衆電話網5に音声が送信される。
【0082】
図23は、支店Bを示す拠点2Cの構内交換機3Cにログイン状態であるIP電話機4C1が支店Aを示す拠点2Bのアナログ内線電話機と通信接続する様子を模式的に示した概念図である。
【0083】
図23では、まず、IP電話機4C1からのアナログ内線電話機への発信要求に応じて、拠点2Cの構内交換機3CがIP専用線接続制御ボード14C、IP専用線接続制御ボード14A2、IP専用線接続制御ボード14A1及び構内交換機3BのIP専用線接続制御ボード14Bを介して構内交換機3Bとログインすることで、IP電話機4C1がアナログ内線電話機7Bと接続される。なお、通信接続のための一連の制御処理が終了すると、IP電話機4C1からIP電話機制御トランクボード15B及びアナログ内線電話機制御トランクボード17Bを介してアナログ内線電話機7Bに音声が送信される。
【0084】
図24は、IP電話機4C1が最優先ログイン先である支店Bを示す拠点2CのIP専用線接続制御ボード14Cを利用できず支店Aを示す拠点2BのIP専用線接続制御ボード14Bへ迂回することで、拠点2Bのアナログ内線電話機と通信接続する様子を模式的に示した概念図である。
【0085】
図24では、まず、IP電話機4C1からのアナログ内線電話機への発信要求に応じて、拠点2Cの構内交換機3Cが構内交換機3Aに迂回ログイン先を問い合わせる。IP電話機4C1の第1の迂回ログイン先であった拠点2Bの構内交換機3Bは、IP電話機制御トランクボード15Bを介してIP電話機4C1を構内交換機3Bにログインさせる。構内交換機3BにログインしたIP電話機4C1は、IP電話機制御トランクボード15B及びアナログ内線電話機制御トランクボード17Bを介してアナログ内線電話機7Bと接続される。なお、通信接続のための一連の制御処理が終了すると、IP電話機4C1からIP電話機制御トランクボード15B及びアナログ内線電話機制御トランクボード17Bを介してアナログ内線電話機7Bに音声が送信される。
【0086】
(4)本構内交換機システムによる通信接続制御処理に関する各種処理
次に、本実施の形態による通信接続制御処理に関する各種処理の具体的な処理内容について説明する。
【0087】
(4−1)本構内交換機システムによる発信処理
図25は、各構内交換機3におけるCPU10により実行される通信接続制御処理の処理手順を示す。CPU10は、この図25に示す処理手順に従って、IP電話機4の構内交換機システム1内でのサービスの利用を可能にする。
【0088】
実際上、CPU10は、構内交換機3にログイン状態のIP電話機4から送信される発信ダイヤル(特番ダイヤル及び内線番号)を含む発信要求を受信すると、この通信接続制御処理を開始し、まず、対応する特番ダイヤル種別情報テーブル24,34,44(図6,図11及び図16)に登録されている対象特番ダイヤルに対応付けられたサービス種別情報を取得し、受信した特番ダイヤルのサービス種別情報が構内交換機3で付与されたIP内線番号を有する電話機又はアナログ内線電話機7への発信要求を示す拠点内内線番号ダイヤルであるか否かを判断する(SP1)。
【0089】
この判断で肯定結果を得ることは、そのときIP電話機4が発信している発信ダイヤルのサービス種別情報がIP電話機4のログイン先である構内交換機3(以下、これを第1の構内交換機と呼ぶ)にログイン状態のIP電話機4、又はアナログ内線電話機7への発信要求を示す拠点内内線番号ダイヤルであることを意味する。かくして、このときCPU10は、その発信ダイヤルを有する電話機に対して呼出しを実行した後(SP2)、この通信接続制御処理を終了する。
【0090】
一方、CPU10は、ステップSP1の判断で否定結果を得ると、対象発信ダイヤルのサービス種別情報が特定の構内交換機3の局番及び内線番号を有する対象のIP電話機4、又はアナログ内線電話機7への発信要求を示す特定拠点向け発信であるか否かを判断する(SP3)。そして、CPU10は、この判断で肯定結果を得ると、その発信ダイヤルの発信先の対象構内交換機3での内線番号を有するIP電話機4、又はアナログ内線電話機7に対して発信を行う特定拠点向け発信処理を実行した後(SP4)、この通信接続制御処理を終了する。
【0091】
他方、CPU10は、ステップSP3の判断で否定結果を得ると、対象発信ダイヤルのサービス種別情報が会議通話要求を示す会議発信であるか否かを判断する(SP5)。そして、CPU10は、この判断で肯定結果を得ると、会議通話を開始するための会議発信処理を実行した後(SP6)、この通信接続制御処理を終了する。
【0092】
これに対して、CPU10は、ステップSP5の判断で否定結果を得ると、対象発信ダイヤルのサービス種別情報が公衆網に対する発信要求を示す公衆網発信であるか否かを判断する(SP7)。そして、CPU10は、この判断で肯定結果を得ると、公衆網通話を開始するための公衆網発信処理を実行した後(SP8)、この通信接続制御処理を終了する。
【0093】
さらに、CPU10は、ステップSP7の判断で否定結果を得ると、対象発信ダイヤルは、誤ダイヤルであると判断し(SP9)、この後、この通信接続制御処理を終了する。
【0094】
(4−2)特定拠点向け発信処理
図26は、上述の通信接続制御処理(図25)のステップSP4において、第1の構内交換機のCPU10により実行される特定拠点向け発信処理の具体的な処理内容を示す。CPU10は、この図26に示す手順に従って、IP電話機4と発信ダイヤルの対象のIP電話機4、又はアナログ内線電話機7との通信接続を試みる。
【0095】
実際上、CPU10は、通信接続制御処理のステップSP4に進むと、この図26に示す特定拠点向け発信処理を開始し、まず、受信した発信ダイヤル(特番ダイヤル及び内線番号)を含む発信要求がIP電話機4に対する発信要求であるか否かを判断する(SP10)。
【0096】
なお、この判断の判断手法としては、例えば、迂回ログイン先情報テーブル21,31,41(図3,図8及び図13)のログイン先情報欄21B,31B,41B、第1迂回ログイン先欄21C,31C,41C及び第2迂回ログイン先欄に対象発信ダイヤルが格納されているレコード(行)が存在するか否かを判断することにより行われる。
【0097】
そして、CPU10は、ステップSP10の判断で否定結果を得ることは、対象の発信ダイヤルがアナログ内線電話機に対する発信要求であることを意味する。かくして、このときCPU10は、対象の発信ダイヤルを用いてその発信ダイヤルを有する電話機に対して呼出しを実行した後(SP11)、この特定拠点向け発信処理を終了する。
【0098】
これに対してCPU10は、ステップSP10の判断で肯定結果を得ると、迂回ログイン先情報テーブル21,31,41(図3,図8及び図13)に登録されている対象発信ダイヤルに対応付けられた第1の構内交換機で付与された内線番号を取得し(SP12)、受信した発信ダイヤルの第1の構内交換機内での内線番号に基づいてログイン状態情報テーブル20,30,40(図2,図7及び図12)を参照し、IP−MFT内線番号欄20A,30A,40Aに対象の内線番号が格納されているレコード(行)より対象の内線番号を有するIP電話機4が第1の構内交換機にログイン状態か否かを判断する(SP13)。
【0099】
この判断で肯定結果を得ることは、そのときIP電話機4が発信要求している発信ダイヤルは、第1の構内交換機にログイン状態のIP電話機4への発信要求であることを意味する。かくして、このときCPU10は、上述のステップSP12において得られた第1の構内交換機内での発信ダイヤルを用いて、その発信ダイヤルを有するIP電話機4に対して呼出しを実行した後(SP14)、この特定拠点向け発信処理を終了する。
【0100】
一方、CPU10は、ステップSP13の判断で否定結果を得ることは、そのときIP電話機4が発信要求している発信ダイヤルを有する電話機は、第1の構内交換機以外にログインされていることを意味する。かくして、このときCPU10は、対象の発信ダイヤルを有するIP電話機4がログイン状態であるか否かを問い合わせるための第1の構内交換機以外の構内交換機(以下、これを問合わせ先構内交換機と呼ぶ)が存在するか否かを判断する(SP15)。
【0101】
なお、この判断の判断手法としては、例えば、迂回ログイン先情報テーブル21,31,41(図3,図8及び図13)のIP−MFT内線番号欄21A,31A,41Aに上述のステップSP12において得られた対象の内線番号が格納されているレコード(行)を取出し、ログイン先情報欄21B、第1迂回ログイン先欄21C及び第2迂回ログイン先欄21Dに第1の構内交換機以外のログイン先の拠点2が存在するか否かを判断することにより行われる。
【0102】
そして、CPU10は、ステップSP15の判断で否定結果を得ることは、対象発信ダイヤルのIP電話機4には、第1の構内交換機以外にログイン先が設定されておらず、他の構内交換機3に対して対象の発信ダイヤルを有するIP電話機4がログイン状態であるか否かを問い合わせる必要が無いことを意味する。かくして、このときCPU10は、この特定拠点向け発信処理を終了する。
【0103】
一方、CPU10は、ステップSP15の判断で肯定結果を得ると、迂回ログイン先情報テーブル(図5、図6及び図7)に登録されている上述のステップSP12において得られた対象の内線番号に対応付けられた問合わせ先構内交換機の情報(拠点2及び内線番号)を取得し(SP16)、この拠点2の構内交換機3に向けて発信ダイヤルの転送をすることで問合わせ先拠点へ発信する(SP17)。そして、CPU10は、問合せ先構内交換機のCPU10により、対象の発信ダイヤルを有するIP電話機4が構内交換機3にログインしているか否か判断し、ログインしている場合は、対象のIP電話機4に対して呼出しを実行した後、この特定拠点向け発信処理を終了する。一方、ログインしていない場合は、CPU10は、問合せ先構内交換機のCPU10により、他の構内交換機3に向けて発信ダイヤルの転送し、上述のステップSP1〜ステップSP17までの同様の処理を実行することにより対象の発信ダイヤルを有するIP電話機4が構内交換機3にログインしているか否か判断し、ログインしている場合は、対象のIP電話機4に対して呼出しを実行した後、この特定拠点向け発信処理を終了する。
【0104】
(4−3)会議発信処理
図27は、上述の通信接続制御処理(図25)のステップSP5において、第1の構内交換機のCPU10により実行される会議発信処理の具体的な処理内容を示す。
【0105】
CPU10は、通信接続制御処理のステップSP5に進むと、この図27に示す会議発信処理を開始し、まず、利用できる会議トランクボード16を有する拠点2の情報を取得するための空き会議トランクボード16の検索処理を実行する(SP20)。
【0106】
具体的に、CPU10は、第1の構内交換機内で会議トランクボード16の検索を行い利用できる会議トランクボード16が存在するか否か判断する。そして、CPU10は、第1の構内交換機において利用できる会議トランクボード16が存在した場合は、会議招集処理を開始する。
【0107】
一方、第1の構内交換機において利用できる会議トランクボード16が存在しない場合は、CPU10は、迂回ログイン先の構内交換機3に利用できる会議トランクボード16が存在するか否か検索する。そして、迂回ログイン先の構内交換機3において、利用できる会議トランクボード16が存在した場合は、CPU10は、迂回ログイン先の構内交換機3に接続させるためのログイン先変更処理を実行し、会議招集処理を開始する。一方、迂回ログイン先で利用できる会議トランクボード16が存在しない場合は、この会議発信処理を終了する。
【0108】
続いて、CPU10は、ステップSP20で検索した会議トランクボード16より、会議通話をするため、会議に参加させる電話機を会議トランクボード16に接続させるための会議招集処理を実行し(SP21)、この会議発信処理を終了する。
【0109】
(4−4)第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理
図28は、上述の会議発信処理(図27)のステップSP20において、第1の構内交換機のCPU10により実行される空き会議トランク検索処理(以下、これを第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理と呼ぶ)の具体的な処理内容を示す。
【0110】
CPU10は、会議発信処理のステップSP20に進むと、この図28に示す第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理を開始し、まず、第1の構内交換機内で会議トランクボード16の検索を実行し(SP30)、第1の構内交換機内に利用できる会議トランクボード16が存在するか否か判断する(SP31)。
【0111】
そして、CPU10は、この判断で肯定結果を得ると、ステップSP34に進み、第1の構内交換機で会議発信が可能であることをIP電話機4に通知(以下、これを会議発信可能通知と呼ぶ)した後(SP34)、この第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理を終了する。
【0112】
これに対してCPU10は、ステップSP31の判断で否定結果を得ると、第1の構内交換機に新たな会議トランクボード16を捕捉可能であるか否かを判断する(SP32)。そしてCPU10は、この判断で肯定結果を得ると、第1の構内交換機に対して会議トランクボード16の捕捉をした後(SP33)、ステップSP34に進み、会議発信可能通知をIP電話機4に送信し(SP34)、この後、この第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理を終了する。
【0113】
またCPU10は、ステップSP32の判断で否定結果を得ると、第1の構内交換機が本店を示す拠点2Aの構内交換機3Aであるか否か判断する(SP35)。
【0114】
そして、CPU10は、この判断で肯定結果を得ると、ステップSP40に進む。
【0115】
これに対してCPU10がステップSP35で否定結果を得ることは、第1の構内交換機が本店以外の支店を示す拠点2B,2Cの構内交換機3B,3Cであることを意味する。かくして、このときCPU10は、空き会議トランク検索要求を問合せ先である本店を示す構内交換機3Aに送信する(SP36)。
【0116】
この後、CPU10は、構内交換機3Aから後述する空き会議トランクボード16の検索結果が送信されるのを待ち受け、やがて空き会議トランクボード16の検索結果を受領すると(SP37)、検索結果より会議トランクボード16が利用できる構内交換機3が存在するか否か判断する(SP38)。そして、CPU10は、この判断で肯定結果を得ると、ステップSP39に進み、IP電話機4に対して迂回ログイン先へログインさせるための要求(以下、これを迂回先ログイン要求と呼ぶ)をIP電話機4に送信した後(SP39)、この第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理を終了する。
【0117】
一方、CPU10は、ステップSP35で肯定結果を得ると、利用できる会議トランクボード16が存在するかを問い合わせるための迂回ログイン先の構内交換機3が存在するか否かを判断する(SP40)。
【0118】
なお、この判断の判断手法としては、例えば、サービス種別毎迂回ログイン先情報テーブル22(図4)のIP−MFT内線番号欄22Aに対象IP電話機4が格納されているレコード(行)を取出し、第1迂回ログイン先欄22C及び第2迂回ログイン先欄22Dに迂回ログイン先の構内交換機3が存在するか否かを判断することにより行われる。
【0119】
そしてCPU10は、この判断で否定結果を得ると、この第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理を終了する。
【0120】
一方、CPU10は、ステップSP40の判断で肯定結果を得ると、サービス種別毎迂回ログイン先情報テーブル22(図4)に登録されている対処のIP電話機4に対応付けられた迂回ログイン先の構内交換機3の情報(拠点2及び内線番号)を取得し(SP41)、この拠点2の構内交換機3に向けて空き会議トランク検索要求を送信する(SP42)。
【0121】
この後、CPU10は、迂回ログイン先から後述する空き会議トランクボード16の検索結果が送信されるのを待ち受け、やがて空き会議トランクボード16の検索結果を受領すると(SP43)、検索結果より迂回ログイン先の構内交換機3に利用できる会議トランクボード16が存在するか否か判断する(SP44)。
【0122】
そして、CPU10は、この判断で肯定結果を得ると、ステップSP46に進み、迂回先ログイン要求をIP電話機4に送信した後(SP46)、この第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理を終了する。
【0123】
これに対してCPU10は、ステップSP44で否定結果を得ると、ステップSP40〜ステップSP45の処理をすべての迂回ログイン先の構内交換機3に対して実行し終えたか否かを判断する(SP45)。
【0124】
CPU10は、ステップSP45で否定結果を得ると、ステップSP40に戻り、この後、同様の処理(ステップSP40〜ステップSP45−ステップSP40)を繰り返す。
【0125】
そして、CPU10は、すべての迂回ログイン先の構内交換機3に対してステップSP40〜ステップSP45の処理を実行し終えることによりステップSP45で肯定結果を得ると、この第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理を終了する。
【0126】
(4−5)本店側空き会議トランク検索処理
図29は、上述の第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理(図28)のステップSP36において、本店を示す拠点2Aの構内交換機3AのCPU10により実行される空き会議トランク検索処理(以下、これを本店側空き会議トランク検索処理と呼ぶ)の具体的な処理内容を示す。
【0127】
CPU10は、会議発信処理のステップSP20に進むと、この図27に示す本店側空き会議トランク検索処理を開始し、まず、利用できる会議トランクボード16が存在するかを問い合わせるための迂回ログイン先の構内交換機3が存在するか否かを判断する(SP50)。
【0128】
なお、この判断の判断手法としては、例えば、サービス種別毎迂回ログイン先情報テーブル22(図4)のIP−MFT内線番号欄22Aに対象IP電話機4が格納されているレコード(行)を取出し、第1迂回ログイン先欄22C及び第2迂回ログイン先欄22Dに迂回ログイン先の構内交換機3が存在するか否かを判断することにより行われる。
【0129】
そしてCPU10は、この判断で否定結果を得ると、ステップSP62に進み、利用可能な会議トランクボードが存在しないことをIP電話機4に通知(以下、これを利用可能会議トランクなし通知と呼ぶ)した後(SP62)、この本店側空き会議トランク検索処理を終了する。
【0130】
一方、CPU10は、ステップSP50の判断で肯定結果を得ると、サービス種別毎迂回ログイン先情報テーブル22(図4)に登録されている対処のIP電話機4に対応付けられた迂回ログイン先の構内交換機3の情報(拠点2及び内線番号)を取得し(SP51)、この迂回ログイン先の構内交換機3の拠点2が本店であるか否かを判断する(SP52)。
【0131】
そして、CPUは、そして、CPUは、この判断で否定結果を得ると、ステップSP55に進み、本店で利用できる会議トランクの検索を実行し(SP55)、この後、ステップSP56に進む。
【0132】
これに対してCPU10がステップSP52で否定結果を得ると、上述のステップSP51で取得した構内交換機3に向けて空き会議トランク検索要求を送信する(SP53)。
【0133】
この後、CPU10は、迂回ログイン先から後述する空き会議トランクボード16の検索結果が送信されるのを待ち受け、やがて空き会議トランクボード16の検索結果を受領すると(SP54)、検索結果より迂回ログイン先の構内交換機3に利用できる会議トランクボード16が存在するか否か判断する(SP56)。
【0134】
そして、CPU10は、この判断で肯定結果を得ると、ステップSP61に進み、利用できる会議トランクボード16を有する構内交換機3の情報及び利用可能な会議トランクボードが存在することをIP電話機4に通知(以下、これを利用可能会議トランクあり通知と呼ぶ)した後(SP61)、この本店側空き会議トランク検索処理を終了する。
【0135】
一方、CPU10は、ステップSP57の判断で肯定結果を得ると、ステップSP50〜ステップSP56の処理をすべての迂回ログイン先の構内交換機3に対して実行し終えたか否かを判断する(SP57)。
【0136】
CPU10は、ステップSP57で否定結果を得ると、ステップSP50に戻り、この後、同様の処理(ステップSP50〜ステップSP57−ステップSP50)を繰り返す。
【0137】
そして、CPU10は、すべての迂回ログイン先の構内交換機3に対してステップSP50〜ステップSP57の処理を実行し終えることによりステップSP57で肯定結果を得ると、ステップSP58に進み、構内交換機3Aに新たな会議トランクボード16Aを捕捉可能であるか否かを判断する(SP58)。
【0138】
そしてCPU10は、この判断で肯定結果を得ると、構内交換機3Aに対して会議トランクボード16Aの捕捉をした後(SP59)、ステップSP34に進み、利用可能会議トランクボードあり通知と利用できる会議トランクボード16を有する構内交換機3の情報とを第1の構内交換機に送信し(SP61)、この後、この本店側空き会議トランク検索処理を終了する。
【0139】
これに対して、CPU10は、ステップSP58の判断で否定結果を得ると、利用可能会議トランクなし通知を第1の構内交換機に送信し(SP34)、この後、この本店側空き会議トランク検索処理を終了する。
【0140】
(4−6)迂回ログイン先構内交換機側空き会議トランク検索処理
図30は、上述の第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理(図28)のステップSP42及び本店側空き会議トランク検索処理(図29)のステップSP53においてそれぞれ第1の構内交換機及び本店を示す構内交換機3Aより送信された空き会議トランクの検索要求を受信した迂回ログイン先の構内交換機3のCPU10により実行される空き会議トランク検索処理(以下、これを迂回ログイン先構内交換機側空き会議トランク検索処理と呼ぶ)の具体的な処理内容を示す。
【0141】
迂回ログイン先の構内交換機3のCPU10は、かかるログアウト要求を受信するとこの迂回ログイン先構内交換機側空き会議トランク検索処理を開始し、ステップSP70〜ステップSP73を図28について上述した第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理のステップSP30〜ステップSP33と同様に処理する。これにより、CPU10は、迂回ログイン先の構内交換機3において、利用ができる会議トランクボード16が存在することを確認した後、ステップSP34に進み、利用可能会議トランクボードあり通知と利用できる会議トランクボード16を有する構内交換機3の情報とを第1の構内交換機に送信し(SP74)、この後、この迂回ログイン先構内交換機側空き会議トランク検索処理を終了する。
【0142】
これに対して、CPU10は、ステップSP72で否定結果を得ることは、迂回ログイン先の構内交換機3において、利用が出来る会議トランクボードが存在したことを示し。利用可能会議トランクなし通知を第1の構内交換機に送信し(SP34)、この後、この迂回ログイン先構内交換機側空き会議トランク検索処理を終了する。
【0143】
(4−7)内線解放処理
図30は、上述の第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理(図28)のステップSP39において第1の構内交換機から送信された上述の迂回先ログイン要求を受信したIP電話機4からログアウト要求を受信した第1の構内交換機のCPU10により実行される内線解放処理の具体的な処理内容を示す。
【0144】
第1の構内交換機のCPU10は、かかるログアウト要求を受信すると、この内線解放処理を開始し、まず、第1の構内交換機からIP電話機4をログアウトさせる(SP80)。
【0145】
続いてCPU10は、かかるログアウト要求に従った第1の構内交換機でのIP電話機4のログアウトが完了したことをIP電話機4に通知(以下、これをログアウト完了通知と呼ぶ)した後(SP171)、この内線解放処理を終了する。
【0146】
(4−8)ログイン及び発信処理
図32は、上述の第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理(図31)のステップSP81において第1の構内交換機から送信された上述のログアウト完了通知を受信したIP電話機4からログイン及び発信要求を受信した迂回ログイン先の構内交換機3のCPU10により実行されるログイン及び発信処理の具体的な処理内容を示す。
【0147】
迂回ログイン先である構内交換機3のCPU10は、かかるログイン及び発信要求を受信すると、このログイン及び発信処理を開始し、まず、第1の構内交換機へIP電話機4をログインさせる(SP90)。
【0148】
続いてCPU10は、かかるログイン及び発信処理に従った構内交換機3でのIP電話機4のログインが完了したこと(以下、これをログイン完了通知と呼ぶ)と、ログインにより発信可能であることをIP電話機4に通知(以下、これを発信可能通知と呼ぶ。)した後(SP91)、このログイン及び発信処理を終了する。
【0149】
(4−9)会議招集処理
図33は、上述の第1の構内交換機側空き会議トランク検索処理(図31)のステップSP91において迂回ログイン先の構内交換機3から送信された上述の発振可能通知を受信したIP電話機4から発信ダイヤルを受信した迂回ログイン先の構内交換機3のCPU10により実行される会議招集処理の処理具体的な処理内容を示す。
【0150】
迂回ログイン先である構内交換機3のCPU10は、構内交換機3にログイン状態のIP電話機4から送信される発信ダイヤルを受信すると、この会議招集処理を開始し、まず、この発信ダイヤルを用いてその発信ダイヤルを有する電話機に対して呼出しを実行する(SP100)。
【0151】
続いて、CPU10は、IP電話機4から送信される全ての発信ダイヤルについて呼出しが終了したか否かを判断する(SP101)。そして、CPU10は、この判断で肯定結果を得ると、ステップSP102に進み、会議発信通話を開始した後(SP102)、この会議招集処理を終了する。
【0152】
これに対してCPU10は、ステップSP101で否定結果を得ると、ステップSP100〜ステップSP101の処理をすべての発信ダイヤルに対して実行し終えたか否かを判断する(SP45)
【0153】
CPU10は、ステップSP101で否定結果を得ると、ステップSP100に戻り、この後、同様の処理(ステップSP100〜ステップSP101−ステップSP100)を繰り返す。
【0154】
そして、CPU10は、すべての発信ダイヤルに対してステップSP100〜ステップSP101の処理を実行し終えることによりステップSP101で肯定結果を得ると、この会議招集処理を終了する。
(4−10)公衆網発信処理
図34〜図39は、本実施の形態による公衆網発信処理の処理内容を示す。公衆網発信処理は、公衆網接続トランクボード18を検索対象とし、公衆網に通信接続させている点を除いて、会議トランクボード16を検索対象とし、通信接続させている上述の会議発信処理(図28〜図32)と同様の処理を行っているため、詳細な説明は省略する。
【0155】
(4−11)通話終了処理
図40は、各構内交換機3におけるCPU10により実行される通話終了処理の処理手順を示す。通話終了時にIP電話機4から送信された通話終了要求を受信したIP電話機4のログイン先の構内交換機3により実行される通話終了処理の具体的な処理内容を示す。
【0156】
構内交換機3のCPU10は、かかる通話終了要求を受信すると、この通話終了処理を開始し、まず、IP電話機4が使用していたサービスが会議発信又は公衆網発信であるか否かを判断する(SP191)。
【0157】
このとき、否定結果を得ることは、IP電話機4が使用していたサービスが他のアナログ内線電話機7又はIP電話機4との通話サービスであることを意味する。かくして、このときCPU10は、ステップSP193に進み、内線解放処理を実行した後(SP193)、この通話終了処理を終了する。
【0158】
一方、CPU10は、ステップSP191の判断で否定結果を得ると、迂回ログイン先情報テーブル21,31,41(図3,図8及び図13)に登録されている対象IP電話機4に対応付けられた最優先ログイン先の構内交換機3を取得し(SP190)、取得した最優先ログイン先の構内交換機3と比較し、対象のIP電話機4がログインしている当該構内交換機3が最優先ログイン先の構内交換機3であるか否かを判断する(SP192)。
【0159】
そして、CPU10は、この判断で肯定結果を得ると、ステップSP193に進み、内線解放処理を実行した後(SP193)、この通話終了処理を終了する。
【0160】
これに対して、CPU10は、ステップSP192で否定結果を得ると、内線解放処理を実行し(SP194)、上述のステップSP190で取得した対象IP電話機4の最優先ログイン先の構内交換機3にIP電話機4をログインさせた後(SP195)、この通話終了処理を終了する。
(5)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態によれば、例えば、発信元のIP電話機4が回線の障害又は回線の混雑等によって、通常接続される拠点2の構内交換機3以外の他の拠点2の構内交換機3に迂回してログインしている場合であっても、ダイヤル操作を変更せずに発信先のIP電話機4が通常ログインしている拠点2の構内交換機3によって割り当てられる局番及び内線番号を使用することで、発信元のIP電話機4と発信先のIP電話機4とを通信接続することができる。従って、利便性の高い構内交換機システムおよび通信接続方法を実現できる。
【0161】
(6)他の実施の形態
なお、上述の実施の形態においては、予めユーザによって設定された迂回ログイン先情報テーブル21,31,41の情報に基づいてCPU10がIP電話機4を迂回させて迂回ログイン先である構内交換機3に接続させる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、時間帯によって迂回ログイン先の優先順位の情報を変更したり、構内交換機3の故障等構内交換機3の状態、回線の障害又は混雑等回線の状態、若しくは、IP電話機4のトランクの利用率及びトランクの負荷の状況等トランクの状態に応じて迂回ログイン先の優先順位の情報を変更するようにしても良い。また、構内交換機、回線及びトランクの状態が回復した際は、優先順位の情報の変更を元の状態に戻すようにしても良い。
【0162】
また上述の実施の形態においては、構内交換機システム1内に3つの拠点2が存在する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、拠点2が4つ以上存在するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明は、IP電話機の回線交換を行うための通話路スイッチを備える構内交換機システムに格納するプログラムに適用することができる。
【符号の説明】
【0164】
1……構内交換機システム、2,2A,2B,2C……拠点、3,3A,3B,3C……構内交換機、4,4A,4B1,4B2,4B3,4C1,4C2,4C3……IP電話機、5……公衆電話網、6……IPネットワーク、10,10A,10B,10C……CPU、11,11A,11B,11C……メモリ、13,13A,13B,13C……通話路スイッチ、14,14A1,14A2,14B,14C……IP専用線接続制御ボード、15,15A,15B,15C……IP電話機制御トランクボード、16,16A,16B,16C……会議トランクボード、17,17A,17B,17C……アナログ内線電話機制御トランクボード、18,18A,18B,18C……公衆網接続トランクボード、21,31,41……ログイン状態情報テーブル、22,32,42……迂回ログイン先情報テーブル、23,33,43……特番ダイヤルテーブル種別情報テーブル、24,34,44……特番ダイヤル種別情報テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に接続され、それぞれ固有の局番が付与された複数の構内交換機と、それぞれログインする前記構内交換機ごとに異なる固有の内線番号が付与された複数の電話機とを有し、前記電話機がログインしている前記構内交換機の局番と、当該電話機に付与された当該構内交換機における前記内線番号とを組み合わせた発信ダイヤルをダイヤルすることにより当該電話機に通信接続される構内交換システムにおいて、
前記構内交換機は、
前記電話機ごとに、前記電話機の前記構内交換機ごとの前記内線番号を管理し、
ログインしている前記電話機から送信される他の前記電話機への発信要求に含まれる発信先の前記電話機の内線番号と、前記構内交換機により管理されている前記内線番号とに基づいて、発信先の前記電話機が自構内交換機にログインしているか否かを判断し、
発信先の前記電話機が自構内交換機にログインしている場合には、前記発信要求の発信元の前記電話機と、発信先の前記電話機とを通信接続する一方、発信先の前記電話機が自構内交換機にログインしていない場合には、前記発信要求を他の前記構内交換機に転送する
ことを特徴とする構内交換機システム。
【請求項2】
前記構内交換機は、
前記電話機ごとのログインすべき前記構内交換機の優先順位を規定した優先順位情報を管理しており、
前記構内交換機の故障時、又は、前記構内交換機に接続される回線の障害若しくは混雑時には、前記優先順位情報に基づいて、迂回して前記電話機を他の前記構内交換機にログインさせる
ことを特徴とする請求項1に記載の構内交換機システム。
【請求項3】
前記構内交換機は、
前記電話機を他の前記電話機若しくは公衆網と通信接続させ、又は、前記電話機間で会議通話させるためのトランクを有し、
前記電話機ごとのログインすべき前記トランクを有する前記構内交換機の優先順位を規定した優先順位情報を管理しており、
前記トランクの故障時、又は、前記トランクに接続される回線の障害若しくは混雑時には、前記優先順位情報に基づいて、迂回して前記電話機を他の前記構内交換機にログインさせる
ことを特徴とする請求項1に記載の構内交換機システム。
【請求項4】
前記構内交換機は、
時間帯、前記構内交換機の状態、回線の状態に応じて前記電話機をログインさせる前記構内交換機の優先度を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の構内交換機システム。
【請求項5】
前記電話機は、IP電話機である
ことを特徴とする請求項1に記載の構内交換機システム。
【請求項6】
相互に接続され、それぞれ固有の局番が付与された複数の構内交換機と、それぞれログインする前記構内交換機ごとに異なる固有の内線番号が付与された複数の電話機とを有し、前記電話機がログインしている前記構内交換機の局番と、当該電話機に付与された当該構内交換機における前記内線番号とを組み合わせた発信ダイヤルをダイヤルすることにより当該電話機に通信接続される構内交換システムの通信接続方法において、
前記構内交換機が前記電話機ごとに、前記電話機の前記構内交換機ごとの前記内線番号を管理する第1のステップと、
前記構内交換機がログインしている前記電話機から送信される他の前記電話機への発信要求に含まれる発信先の前記電話機の内線番号と、前記構内交換機により管理されている前記内線番号とに基づいて、発信先の前記電話機が自構内交換機にログインしているか否かを判断する第2のステップと、
前記構内交換機が発信先の前記電話機が自構内交換機にログインしている場合には、前記発信要求の発信元の前記電話機と、発信先の前記電話機とを通信接続する一方、発信先の前記電話機が自構内交換機にログインしていない場合には、前記発信要求を他の前記構内交換機に転送する第3のステップと
を備えることを特徴とする通信接続方法。
【請求項7】
前記構内交換機は、
前記電話機ごとのログインすべき前記構内交換機の優先順位を規定した優先順位情報を管理しており、
第1、第2及び第3のステップと並行して、前記構内交換機が前記構内交換機の故障時、又は、前記構内交換機に接続される回線の障害若しくは混雑時には、前記優先順位情報に基づいて、迂回して前記電話機を他の前記構内交換機にログインさせる
ことを特徴とする請求項5に記載の通信接続方法。
【請求項8】
前記構内交換機は、
前記電話機を他の前記電話機若しくは公衆網と通信接続させ、又は、前記電話機間で会議通話させるためのトランクを有し、
前記電話機ごとのログインすべき前記トランクを有する前記構内交換機の優先順位を規定した優先順位情報を管理しており、
第1、第2及び第3のステップと並行して、前記構内交換機が前記トランクの故障時、又は、前記トランクに接続される回線の障害若しくは混雑時には、前記優先順位情報に基づいて、迂回して前記電話機を他の前記構内交換機にログインさせる
ことを特徴とする請求項5に記載の通信接続方法。
【請求項9】
第1、第2及び第3のステップと並行して、
前記構内交換機が時間帯、前記構内交換機の状態、回線の状態に応じて前記電話機をログインさせる前記構内交換機の優先度を変更する
ことを特徴とする請求項5に記載の通信接続方法。
【請求項10】
前記電話機は、IP電話機である
ことを特徴とする請求項5に記載の通信接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2013−62598(P2013−62598A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198484(P2011−198484)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】