説明

構内電話機用の課金装置

【課題】
極性反転が生じない光ファイバーの電話回線においても、電話の使用時間に対して正確な課金する構内電話機用の課金装置を提供する。
【解決手段】
構内電話機に接続する電話回線から信号音を検出する信号音検知手段とともに、構内電話機のフックによる回線の接続と切断との状態を検知するフック接続検知手段とを設け、構内電話の呼出信号音を信号音検知手段によって検知し、該呼出信号音が停止し、フック接続検知手段によりフックが上がって回線に接続されていることを条件として、相手に接続していると判断して課金を開始し、課金停止においては、信号音検出手段によって相手の切断信号音を検知し、又はフック接続検知手段によってフックが下がって回線が遮断していることを検知して課金を停止する構内電話機用の課金装置

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院、あるいは、病院と同じようなベッドのある老人ホーム、介護施設等の施設に設置される構内電話機を接続する課金装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院、あるいは、病院と同じようなベッドのある老人ホーム、介護施設等の施設には、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機等の電化製品や電話設備を使用するに際して、これらの稼働をプリペードカードを利用して使用時間を計算して課金し制御する課金装置が設置されている場合が多い。
ところで、この種の課金装置に構内電話機を接続する場合に、通常の電話機とは異なり、外部電話回路(例えば、商標登録:NTTの回線)は一旦PBX(Private Branchh Exchange:構内交換機)に接続し、この管理PBXから構内電話回線に接続するが、この構内電話回線は個々の構内電話機に接続しており、個々の構内電話機の使用時間の課金は、特許文献1に開示されているように、送受話器を取り上げて相手に接続した時および電話を切った時に電話回線の極性が反転することを利用し、極性の反転時から課金を開始し、再び電話回線の極性反転時に課金を停止するようにしている。
【0003】
ところで、近時、電話料金は外部回線の中央管理部で算出するともに、外部や構内ともに電話回線を光ファイバーに代える工事が進行していることから、従来の構内電話機の光ファイバーの電話回線では、電流を流すことが出来ないため極性反転がなされず、この場合に課金の算出を行うことができない。
このため、光ファイバーの電話回線では、フック接続検知手段によりフックが上がって30秒経過すれば、相手と接続したと見なして課金を開始し、フックが下がった時に相手との接続が遮断されたと見なして課金を停止していた。
【特許文献1】特許第3066011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような従来技術のように、フックのON/OFFでの課金は、フックON後の30秒前に相手に接続しても課金されず、逆に、30秒たって接続していなくとも課金されてしまうという不都合が生じる。
また、課金の停止において、相手が受話器を置いて接続を切っても、こちらのフックを下ろしてOFFにしない限り課金が続行してしまうという不都合もあった。
そこで、本発明は、上記のような不都合に鑑みてなされたもので、極性反転が生じない光ファイバーの電話回線においても、構内電話機の使用時間をより正確に検出して、その使用時間に対して課金する構内電話機用の課金装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、プリペードカードを利用して構内電話機の使用時間に対して課金し制御するカードリーダー部を設けた課金装置において、
構内電話機に接続する電話回線から信号音を検出する信号音検知手段とともに、構内電話機のフックによる回線の接続と切断との状態を検知するフック接続検知手段とを設け、
課金開始においては、構内電話の呼出信号音を信号音検知手段によって検知し、該呼出信号音が停止したことを検知した場合であって、フック接続検知手段によりフックが上がって回線に接続されていることを条件として、相手に接続していると判断して課金を開始するとともに、
課金停止においては、信号音検出手段によって相手の切断信号音を検知し、又は、フック接続検知手段によってフックが下がって回線が遮断していることを検知して課金を停止することを特徴とする構内電話機用の課金装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、構内電話機に使用する課金装置において、極性反転が生じない光ファイバーの電話回線においても、構内電話機の使用時間をより正確に検出して、その使用時間に対して課金することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の好適な構内電話機用の課金装置の実施例を説明するが、構内電話機用のカードタイマーは、多くは病院等のベッドの近傍に配置される床頭台に設置されるもので、通常、構内電話機以外にもテレビや冷蔵庫や洗濯機にも課金する構成であるが、ここでは、構内電話機を接続する場合に、電話使用時間に課金する構成を図に沿って説明する。
図1は、本実施例の構内電話機用の課金装置のブロック図で、構内電話機Aは、NTT(商標登録)等の外部電話回線BとPBX及び構内電話回線Cを介して接続されている。
構内電話機Aは、送受話器11はフックスイッチ12を作用させ、このフックスイッチ12にはオンフックとオフフックを判別するフックON/OFF検出回路13が設けられたフック接続検知手段1が構成され、送受話器11が上がるとフックがONとなって構内電話回線Cに接続し、送受話器11を下げるとフックがOFFとなって構内電話回線Cから遮断される。また、通常の番号入力機能や表示機能を有している。
また、構内電話機用の課金装置の課金計算部分は主に課金回路4とカードリーダー5と課金状態を表示する表示装置6とから構成され、この部分は公知のカードタイマーとほぼ同様で、カードタイマーの前面には従来より知られているプリぺードカードを挿入する挿入口や、プリぺードカードを返却するカード返却押しボタンが設けられ、表示装置6にはプリペードカードの残度数表示部等が配置されている。
【0008】
次に、この課金回路4には課金開始信号によって残度数が減算され、課金終了信号により残度数が減算を停止するが、この課金開始・終了信号を発生する構成を説明する。
光ファイバーの構内電話回線Cのように極性反転がなされない場合は、課金開始信号を発生する回路は、信号(呼出・切断)音増幅回路21、呼出・切断音検出回路22、接続(呼出)音判別回路23、切断音判別回路24とからなる信号音検知手段2と課金開始回路31から構成される。先ず、信号音増幅回路21は構内電話回線Cに接続され、構内電話回線Cから得られる微小な呼出信号を含む信号音を信号音増幅回路21で増幅し、呼出・切断音検出回路22でその信号音の中から電話の相手への呼出音である400Hzの所定間隔の断続音(呼出音)をフィルター等を用いて抽出する。
次に、呼出・切断音検出回路22で抽出された400Hzの断続音の間隔は、通常は最大2秒間隔の繰り返し信号であるので、2.5秒以上呼出音が検出されない場合は、相手が送受話器を上げて応答したか、こちらが送受話器11を置いて回線を切断したかのどちらかであるので、接続(呼出)音判別回路23では、2.5秒以上呼出音が検出されない場合であって、かつ、フックが上がっている状態を判別して、この場合にのみ課金開始回路31に信号を出力し、課金開始回路31では所定の課金開始信号を生成して前記課金回路4に入力して残度数が減算される。
ここで、相手が送受話器をフックスイッチに置くと、相手の電話は切れて切断音である400Hzの連続信号音が発生するので、切断音判別回路24でこれを検出し、課金終了回路32に入力して所定の課金終了信号を生成し、前記課金回路4に入力して残度数減算を停止する。
【0009】
また、本実施例では、従来の極性反転の電話回路にも対応させるため、極性反転検出回路71と課金開始・終了回路72とが設けられている。このシステムは、従来の課金システムと同様の構成で、構内電話機が相手と接続すると従来の金属ケーブル構内電話回線Cでは電源電極の正負の極性反転を発生するが、極性反転検出回路71ではこの極性反転を検知する。この検知された極性反転信号を課金開始・停止回路72に入力し、この課金開始・停止回路72では所定の課金開始信号に生成して前記課金回路4に入力して残度数が減算され、この結果を表示装置6にその数値が表示される。
逆に、構内電話機でNTT(登録商標)等の外部電話回線Bを介した相手が、電話を切った場合でも、電源の電極正負の極性反転を発生するので、極性反転検出回路71ではこれを検知し、この信号を課金開始・停止回路72に入力し、この課金開始・停止回路72では所定の課金終了信号を生成して前記課金回路4に入力して残度数減算を停止し、表示装置6の数値の進行が停止する。
【0010】
以上の処理工程を、図2のフローチャートを用いて説明する。
本実施例の構内電話機Aで、スタートで所定の相手に電話を掛ける場合、先ず、ステップS1で送受話器11を上げることによってフックも上がり、電話を掛ける状態にし、ステップS2で使用者は相手番号を入力すると相手に接続可能状態になり、ステップS3で400Hzの所定間隔の断続音送信する。
ここで、本実施例の構内電話機Aでは、従来の極性反転が送信される金属線の場合でも使用可能とする構成なので、ステップS4では構内電話回線Cでの極性反転の有無を検知し、極性反転があった場合(Yes)には後述するステップS41に移るが、光ファイバー電話回線のように極性反転がなされない場合(No)にはステップS5に進み、このステップS5ではステップS3で発生した400Hzの約2秒の間隔の断続呼出音を検知し、この2秒間隔より若干長い約2.5秒(所定間隔)待って呼出音が検出されていれ(Yes)ばステップS51に進み、ステップS51で依然としてフックが上がって使用者が相手を呼び出していれば(Yes)ステップS4に戻り、ステップS4の極性反転を監視した後ステップS5で断続呼出音を監視する。なお、ステップS51でフックが下げられて(No)いれば使用者は電話機を使用していなので、課金作業をしないで通話作業を終了する。
【0011】
ステップS5で所定間隔の約2.5秒に400Hzの呼出音で検出されなければ(No)、すなわち、相手の電話機に接続したことになるので、ステップS6に進み課金回路4に開始信号を入力して課金を開始する。
ステップS6で課金回路4により残度数が減算され、課金が進行している過程でステップS7に進むが、ステップS7では相手が送受話器を置くと、切断音である400Hzの連続信号音が発生しこれを切断音判別回路24で検知するが、検知しなければ(No)ステップS71に進み、ステップS71でフックが上がっていて(Yes)通話中であれば元にもどって課金作業を続ける。なお、ステップS71で送受話器11が置かれフックが下がっていれば(No)、通話が終了しているので、ステップS8に進み通話終了信号を課金回路4に入力して残度数減算を停止して、この工程を終了する。
前記ステップS7で、切断音である400Hzの連続信号音が発生しこれを切断音判別回路24で検知するが、検知すれば(Yes)通話が終了したことになるので、ステップS8に進み、通話終了信号を課金回路4に入力して残度数減算を停止して、この工程を終了する。
【0012】
ここで、ステップS4に戻って説明すると、ステップS4では構内電話回線Cでの極性反転の有無を極性反転検出回路71で検知し、極性反転があった場合(Yes)にはステップS41に移る。ステップS41では、従来の公知技術のように、相手に接続したことになるので、進み課金開始・終了回路72から課金回路4に開始信号を入力して課金を開始する。
通話中はステップS42に進み構内電話回線Cに再度極性反転があるか否かを極性反転検出回路71で検知し、再度極性反転がある場合(Yes)は、従来のように、相手が電話を切ったことになるので、ステップS8に進み、通話終了信号を課金回路4に入力して残度数減算を停止して、この工程を終了する。
前記ステップS42で、再度極性反転がない場合(No)は、相手が送受話器を置かないで引き続き通話中でステップS43に進み、このステップS43では、電話機のフックの状態を検出して、フックが上がっていれば(Yes)引き続き通話中であるのでステップS41に戻って課金作業を続ける。また、ステップS43でフックが上がっていなければ(No)通話は終了したので、ステップS8に進み通話終了信号を課金回路4に入力して残度数減算を停止して、この工程を終了する。
以上が本実施例の工程のフローである。
【0013】
このように、本発明の実施例によれば、従来の極性反転が伝送される構内電話回線に対しては勿論のこと、極性反転が生じない光ファイバーの電話回線においても、構内電話機の使用時間をより正確に検出して、その使用時間に対して課金することができる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。例えば、病院等の構内電話Aの実施例について説明したが、商用の外部電話回線から更に施設内に独自に光ファイバー等で接続した電話機に適用しても良いことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例の構内電話機と課金装置のブロック図
【図2】本発明の実施例の構内電話機の作動フローチャート図である。
【符号の説明】
【0015】
A…構内電話機、B…外部(NTT(商標登録)等)電話回線、C…構内電話回線
1…フック接続検知手段、11……送受話器、12フックスイッチ、
13…フックON/OFF検出回路、
2…信号音検知手段、21…信号(呼出・切断)音増幅回路、
22…呼出・切断音検出回路、23…接続(呼出)音判別回路、24切断音判別回路、
31課金開始回路、32…課金終了回路、
4…課金回路、5…カードリーダー、6…表示装置、
71…極性反転検出回路、72…課金開始・終了回路、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリペードカードを利用して構内電話機の使用時間に対して課金し制御するカードリーダー部を設けた課金装置において、
構内電話機に接続する電話回線から信号音を検出する信号音検知手段とともに、構内電話機のフックによる回線の接続と切断との状態を検知するフック接続検知手段とを設け、
課金開始においては、構内電話の呼出信号音を信号音検知手段によって検知し、該呼出信号音が停止したことを検知した場合であって、フック接続検知手段によりフックが上がって回線に接続されていることを条件として、相手に接続していると判断して課金を開始するとともに、
課金停止においては、信号音検出手段によって相手の切断信号音を検知し、又はフック接続検知手段によってフックが下がって回線が遮断していることを検知して課金を停止することを特徴とする構内電話機用の課金装置

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−278485(P2009−278485A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129152(P2008−129152)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(598105190)
【Fターム(参考)】