説明

構成情報統合管理システム及び構成情報統合管理方法

【課題】構成情報操作の効率化と操作誤りの低減
【解決手段】クライアントマシン101からの操作要求を受ける構成情報操作インタフェース103と、操作対象とするデータリポジトリを決定するデータリポジトリ選択部104と、複数のデータリポジトリへのアクセスを行うためのアダプタ106及びアダプタ107と、入出力する構成情報と操作対象とするデータリポジトリとの対応情報を格納したデータリポジトリ定義情報部105とを備え、クライアントマシン101からの要求によって構成情報を登録するとき及び構成情報を参照するとき、データリポジトリ選択部104がデータリポジトリ定義情報部105に格納した対応情報を取得することによって、構成情報を管理する複数のデータリポジトリに対して単一アクセスによる操作を実行する構成情報統合管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムの構成情報操作を効率化すると共に操作誤りを低減することができる構成情報統合管理システム及び構成情報統合管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に企業やデータセンタのコンピュータのシステム環境には、サーバ監視システムや資産管理システムなど、情報システムの構成情報を管理するシステム(以下、データリポジトリという。)が複数存在し、この構成情報には、ハードウェアの機器情報やアプリケーションプログラム等のソフトウェア情報やドキュメント情報等の様々な種類(以下、構成情報種別という。)があり、中には同一構成アイテムの情報を複数のデータリポジトリで管理する場合もあり、例えば、新規に機器を購入した際など、監視システム及び資産管理システムの両方において構成情報の登録作業が必要となる場合がある。また、同種類の複数のデータリポジトリにおいて管理する構成アイテムが異なっている場合もあり、例えば、ネットワークグループ単位で監視システムを構築する場合、それぞれの監視システムで管理する機器情報が異なる場合もある。
【0003】
前記の構成情報の操作は、前記の構成情報種別によって操作対象とするデータリポジトリを指定するため、同一の構成アイテムを複数のデータリポジトリに登録する操作や、同一の構成情報種別だが構成アイテム毎に異なるデータリポジトリに登録する操作が挙げられ、構成情報種別及び構成アイテムと操作対象データリポジトリの対応付けの管理方法を工夫する必要がある。
【0004】
前記の構成情報を管理するシステムに関する技術が記載された文献としては、下記の特許文献1が挙げられ、この特許文献1には、散して存在する様々なデータの構成とアクセス処理の管理をメタモデル管理部で一元管理するオブジェクト統合管理システム技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−323677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の構成情報の操作は、複数のデータリポジトリで同じ構成アイテムの構成情報を管理する場合、それぞれ個別に操作するために作業が煩雑になること、データリポジトリに誤って異なった構成情報を登録してしまう可能性があること、登録漏れが発生する可能性があること、データリポジトリ間で構成情報の不整合が発生する可能性があること、構成アイテムによって管理対象のデータリポジトリが異なる場合、操作対象のデータリポジトリの特定の手間がかかる可能性があること、誤って別のデータリポジトリを操作してしまう可能性があるという課題があった。
【0007】
本発明の目的は、前述の従来技術による課題を解決しようとするものであり、複数のデータリポジトリへの単一アクセスを可能とすることよって、利用者が各データリポジトリの管理対象とする構成情報種別及び構成アイテムを意識することなく、構成情報の登録・更新・削除・参照等を実行できるようにし、構成情報操作の効率化と操作誤りを低減した構成情報統合管理システム及び構成情報統合管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ネットワーク上の機器情報を監視する複数のデータリポジトリと、資産管理を行うデータリポジトリとに接続され、クライアントマシンからの操作要求を受け、複数のデータリポジトリを統合的に操作する構成情報統合管理システムであって、前記クライアントマシンからの操作要求を受ける構成情報操作インタフェースと、操作の対象とするデータリポジトリを決定するデータリポジトリ選択部と、データリポジトリへのアクセスを行うための複数のアダプタと、入出力する構成情報と操作対象とするデータリポジトリの対応情報を格納したデータリポジトリ定義情報部とを備え、クライアントマシンからの要求によって構成情報を登録するとき及び構成情報を参照するとき、前記データリポジトリ選択部がデータリポジトリ定義情報部に格納した対応情報を取得することによって、構成情報を管理する複数のデータリポジトリに対して単一アクセスによる操作を実行することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記特徴の構成情報統合管理システムにおいて、前記データリポジトリ定義情報部が、操作対象となるデータリポジトリを定義するための操作対象データリポジトリ定義テーブルと、前記操作対象としたデータリポジトリ間の接続情報を定義するためのデータリポジトリ接続情報テーブルとによって、入出力する構成情報と操作対象とするデータリポジトリの対応情報を構成することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、ネットワーク上の機器情報を監視する複数のデータリポジトリと、資産管理を行うデータリポジトリとに接続され、クライアントマシンからの操作要求を受け、複数のデータリポジトリを統合的に操作するコンピュータシステムの構成情報統合管理方法であって、前記コンピュータシステムに、前記クライアントマシンからの操作要求を受ける構成情報操作インタフェースと、操作の対象とするデータリポジトリを決定するデータリポジトリ選択部と、データリポジトリへのアクセスを行うための複数のアダプタと、入出力する構成情報と操作対象とするデータリポジトリの対応情報を格納したデータリポジトリ定義情報部とを設け、クライアントマシンからの要求によって構成情報を登録するとき及び構成情報を参照するとき、前記データリポジトリ選択部がデータリポジトリ定義情報部に格納した対応情報を取得することによって、構成情報を管理する複数のデータリポジトリに対して単一アクセスによる操作を実行することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記特徴の構成情報統合管理方法において、前記データリポジトリ定義情報部に、操作対象となるデータリポジトリを定義するための操作対象データリポジトリ定義テーブルと、前記操作対象としたデータリポジトリ間の接続情報を定義するためのデータリポジトリ接続情報テーブルとを設け、前記前記データリポジトリ選択部が操作対象データリポジトリ定義テーブル及びデータリポジトリ接続情報テーブルとを参照することによって、入出力する構成情報と操作対象とするデータリポジトリの対応情報を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明による構成情報統合管理システム及び構成情報統合管理方法は、クライアントマシンからの操作要求を受ける構成情報操作インタフェースと、操作の対象とするデータリポジトリを決定するデータリポジトリ選択部と、データリポジトリへのアクセスを行うための複数のアダプタと、入出力する構成情報と操作対象とするデータリポジトリの対応情報を格納したデータリポジトリ定義情報部とを設け、クライアントマシンからの要求によって構成情報を登録するとき及び構成情報を参照するとき、前記データリポジトリ選択部がデータリポジトリ定義情報部に格納した対応情報を取得することによって、構成情報を管理する複数のデータリポジトリに対して単一アクセスによる操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態による構成情報統合管理システムの構成を示す図
【図2】本発明の実施形態によるデータリポジトリ定義情報を示す図
【図3】本発明の実施形態による構成情報追加の処理フローを示す図
【図4】本発明の実施形態による構成情報参照の処理フローを示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による構成情報統合管理方法を実現する構成情報統合管理システムの一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態による構成情報統合管理システム102は、図1に示す如く、ネットワーク上の機器情報を監視する監視システムに相当するデータリポジトリ108及び109と、資産管理システムに相当するデータリポジトリ110とに接続され、クライアントマシン101からの操作要求を受け、複数のデータリポジトリを統合的に操作するものであって、監視対象の機器情報の管理や資産監視システムにおける機器情報やソフトウェア情報など複数の構成情報種別を管理を行うものである。
【0015】
この構成情報統合管理システム102は、クライアントマシン101からの操作要求を受ける構成情報操作インタフェース103と、操作の対象とするデータリポジトリを決定するデータリポジトリ選択部104と、データリポジトリへのアクセスを行うための監視システム用監視システム用アダプタ106及び資産管理システム用アダプタ107と、入出力する構成情報と操作対象とするデータリポジトリの対応情報を格納したデータリポジトリ定義情報部105とを備え、このデータリポジトリ定義情報部105は、図2に示す如く、操作対象となるデータリポジトリを定義するための操作対象データリポジトリ定義テーブル201と、前記操作対象としたデータリポジトリ間の接続情報を定義するためのデータリポジトリ接続情報テーブル202とから構成され、前記操作対象データリポジトリ定義テーブル201は、データリポジトリ名と前記データリポジトリの種別と接続情報と操作対象条件の各項目情報とから成り、前記データリポジトリ接続情報テーブル202は、項目名に対応した項目値とから成る。
【0016】
このように構成された構成情報統合管理システム102は、構成情報の登録動作を行う場合、図3、図1、図2に示す如く、クライアントマシン101から構成情報操作インタフェース103が構成情報の登録要求及び登録する構成情報のデータを受け取るステップ301と、データリポジトリ選択部104が操作対象データリポジトリ定義テーブル201を参照し、クライアントマシン101から受け取った登録データに合致するデータリポジトリ情報を取得すると共にデータリポジトリ接続情報テーブル202からデータリポジトリの接続情報を取得するステップ302とを実行する。このステップ302は、図2に示した定義情報例では、登録データの構成情報種別が「機器情報」かつ含まれるドメイン名が「domainA」のとき、監視システム1と資産管理システム1とを登録対象のデータリポジトリと決定し、「機器情報」かつドメイン名が「domainB」のとき、監視システム2と資産管理システム1とを登録対象のデータリポジトリと決定する。前記取得する接続情報には使用する監視システム用アダプタ106又は資産管理システム用アダプタ107の情報や接続先のIPアドレス等が含まれ、この接続情報の項目はデータリポジトリごとに異なる項目を定義することができる。
【0017】
次いで本実施形態による構成情報統合管理システム102は、取得したデータリポジトリの接続情報を基に、監視システム用アダプタ106又は資産管理システム用アダプタ107を介して各データリポジトリに登録データを登録するステップ303と、構成情報統合管理システム102上で扱っている構成情報オブジェクトの形式を監視システム用アダプタ106又は資産管理システム用アダプタ107がデータリポジトリ固有形式の構成情報オブジェクトに変換して登録するステップ304とを実行することによって、構成情報の登録を行うように動作する。
【0018】
さらに、本実施形態による構成情報統合管理システム102は、構成情報の参照動作
を行う場合、図4、図1、図2に示す如く、構成情報操作インタフェース103がクライアントマシン101から構成情報の参照要求及び参照条件(参照する構成情報の条件)を受け取るステップ401と、データリポジトリ選択部104が操作対象データリポジトリ定義テーブル201を参照し、クライアントマシン101から受け取った参照条件に合致するデータリポジトリ情報及びデータリポジトリ接続情報テーブル202から接続情報を取得するステップ402とを実行する。このステップ402は、図2の定義情報例では参照条件の構成情報種別が「機器情報」かつドメイン名が「domainA」という構成情報を参照する場合、監視システム1と資産管理システム1を参照対象のデータリポジトリと決定する。
【0019】
次いで、本実施形態による構成情報統合管理システム102は、前記ステップ402によって取得したデータリポジトリの接続情報を基に監視システム用アダプタ106又は資産管理システム用アダプタ107を介して各データリポジトリから構成情報を取得するステップ403と、データリポジトリ固有形式の構成情報オブジェクトを監視システム用アダプタ106又は資産管理システム用アダプタ107が構成情報統合管理システム102上で扱っている構成情報オブジェクトの形式に変換し、クライアントマシン101へ返すステップ404とを実行することによって、構成情報を参照するように動作する。
【0020】
このように本実施形態による構成情報統合管理システム及び構成情報統合管理方法は、入出力する構成情報と操作対象とするデータリポジトリの対応情報をデータリポジトリ定義情報部105に格納し、構成情報登録時及び構成情報参照時に前記対応情報を参照することによって、構成情報を管理する複数のデータリポジトリに対し単一アクセスによる操作を可能とし、利用者が各データリポジトリの管理対象とする構成情報種別及び構成アイテムを意識することなく、構成情報の登録・更新・削除・参照等を実行し、構成情報操作を効率化すると共に操作誤りを低減することができる。
【符号の説明】
【0021】
101 クライアントマシン、102 構成情報統合管理システム、
103 構成情報操作インタフェース、104 データリポジトリ選択部、
105 データリポジトリ定義情報部、106 監視システム用アダプタ、
107 資産管理システム用アダプタ、108から110 データリポジトリ、
201 操作対象データリポジトリ定義テーブル、
202 データリポジトリ接続情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上の機器情報を監視する複数のデータリポジトリと、資産管理を行うデータリポジトリとに接続され、クライアントマシンからの操作要求を受け、複数のデータリポジトリを統合的に操作する構成情報統合管理システムであって、前記クライアントマシンからの操作要求を受ける構成情報操作インタフェースと、操作の対象とするデータリポジトリを決定するデータリポジトリ選択部と、データリポジトリへのアクセスを行うための複数のアダプタと、入出力する構成情報と操作対象とするデータリポジトリの対応情報を格納したデータリポジトリ定義情報部とを備え、クライアントマシンからの要求によって構成情報を登録するとき及び構成情報を参照するとき、前記データリポジトリ選択部がデータリポジトリ定義情報部に格納した対応情報を取得することによって、構成情報を管理する複数のデータリポジトリに対して単一アクセスによる操作を実行する構成情報統合管理システム。
【請求項2】
前記データリポジトリ定義情報部が、操作対象となるデータリポジトリを定義するための操作対象データリポジトリ定義テーブルと、前記操作対象としたデータリポジトリ間の接続情報を定義するためのデータリポジトリ接続情報テーブルとによって、入出力する構成情報と操作対象とするデータリポジトリの対応情報を構成する請求項1記載の構成情報統合管理システム。
【請求項3】
ネットワーク上の機器情報を監視する複数のデータリポジトリと、資産管理を行うデータリポジトリとに接続され、クライアントマシンからの操作要求を受け、複数のデータリポジトリを統合的に操作するコンピュータシステムの構成情報統合管理方法であって、前記コンピュータシステムに、前記クライアントマシンからの操作要求を受ける構成情報操作インタフェースと、操作の対象とするデータリポジトリを決定するデータリポジトリ選択部と、データリポジトリへのアクセスを行うための複数のアダプタと、入出力する構成情報と操作対象とするデータリポジトリの対応情報を格納したデータリポジトリ定義情報部とを設け、クライアントマシンからの要求によって構成情報を登録するとき及び構成情報を参照するとき、前記データリポジトリ選択部がデータリポジトリ定義情報部に格納した対応情報を取得することによって、構成情報を管理する複数のデータリポジトリに対して単一アクセスによる操作を実行する構成情報統合管理方法。
【請求項4】
前記データリポジトリ定義情報部に、操作対象となるデータリポジトリを定義するための操作対象データリポジトリ定義テーブルと、前記操作対象としたデータリポジトリ間の接続情報を定義するためのデータリポジトリ接続情報テーブルとを設け、前記前記データリポジトリ選択部が操作対象データリポジトリ定義テーブル及びデータリポジトリ接続情報テーブルとを参照することによって、入出力する構成情報と操作対象とするデータリポジトリの対応情報を取得する請求項3記載の構成情報統合管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−118844(P2012−118844A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269119(P2010−269119)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)