説明

構成部品、特に車両の横支持体用ハイブリッド構成部品および構成部品の使用

【課題】 均一な流出が可能となる、特に簡単な構成部品を提供する。
【解決手段】 構成部品(1)、特に車両の支持体用のハイブリッド構成部品において、少なくとも部分的にプラスチック(4)によって被覆された基体(2)に少なくとも1つの流れ取出し部(8aから8e)が設けられている。基体(2)の流れ取出し部(8aから8e)の領域に、流れを案内する手段(9)が設けられている。流れを案内する手段(9)が、平滑化部材(11)として形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成部品、特に車両の横支持体用ハイブリッド構成部品に関する。さらに、本発明は、この種の構成部品の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車製造から、パイプからなる横支持体が知られており、それは金属からなり、それに応じた大きい肉厚を有している。その場合に肉厚は、十分な形状強度、曲げ強度、折れ強度および捻り強度のため、および十分な圧力負荷耐性のために然るべく厚く形成されている。パイプまたは中空プロフィールとして形成された横支持体は、原理的に、たとえば車両のフロント領域の中央に配置された空調設備から側方の流出部へ、空気を案内するのに適している。
【0003】
この種の横支持体は、従来技術(たとえば、特許文献1を参照)から知られている。その場合に横支持体は、重量削減のために軽構造材料から、特に軽金属から、シェル構造または基体の形式で形成されており、その中に横支持体の十分な強度と圧力負荷耐性のために、少なくとも1つの通路を形成するプラスチックコアが配置されている。空気流を流出させるために、通路には空気を取り出すための開口部が設けられている。
【0004】
その場合に通常、それぞれの空気取出し部において、構成部品の外側に配置された方向案内およびガイド部材によって流れガイド、特に流れの方向変換が行われる。その場合に流れ媒体、たとえば空気は、構成部品の基体に形成された個々の大きい開口部または多孔開口領域の形式の複数の開口部を介して方向案内およびガイド部材へ供給される。その場合に空気取出しの領域において、基体の開口部の稜に接してハードな流出がもたらされ、それによって不規則な流れがもたらされる可能性がある。
【特許文献1】ドイツ公開公報DE10064522A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、均一な流出が可能となる、特に簡単な構成部品を提供することである。さらに、構成部品の使用が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、構成部品に関しては、本発明によれば、請求項1の特徴(すなわち、少なくとも部分的にプラスチックによって被覆された基体を有し、前記基体に少なくとも1つの流れ取出し部が設けられており、その場合に基体の流れ取出し部の領域に、流れを案内する手段が設けられている、構成部品、特に車両の支持体用のハイブリッド構成部品)によって、かつこの種の構成部品の使用に関しては、独立請求項27(すなわち、構成部品を、通路、特に少なくとも1つの空気案内通路および/またはケーブル通路を備えた車両内の計器パネル支持体として使用。)、請求項28(すなわち、構成部品を、車両内の横支持体として、特に車両のAピラー間の横支持体として、あるいはフロントエンド構成部品として使用)、請求項29(すなわち、構成部品を、車両内の構造部品として、特に中空構造部品として、縦支持体、ドアステップ、中央トンネル構造、正面張出し支持体、縦支持体または横支持体、垂直構造部品、Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーまたは屋根構造部品として使用)および請求項30の特徴(すなわち、構成部品を、車両内の構造部品として、特に、それを通して暖房装置、冷房装置、空調装置または通気装置の空気が案内される、中空構造部品として使用)によって解決される。
【0007】
本発明の好ましい展開が、従属請求項の対象である。
【発明の実施の形態】
【0008】
本発明は、少なくとも1つの流れ取出し部を有する、少なくとも部分的にプラスチック被覆された基体から形成される、車両の横支持体用のハイブリッド構成部品のような、構成部品において、構成部品を通して案内される媒体、たとえば空気の、流れ取出し部における調和のとれた流出を可能にしよう、という考えに基づいている。そのために構成部品が、できるだけソフトな流れガイドによる流れ取出しを保証するように、しようとしている。そのために構成部品自体の中に、特に流れ取出し部の領域に、流れを案内する手段が設けられている。流れ取出し部の領域に流れを案内する手段を配置することによって、構成部品の開口部を通る確実で均一な流出が保証される。構成部品を車両内の空調設備の空気案内のために使用する場合には、空気の均一かつソフトな流出が、車両内の空調快適性の改良をもたらす。
【0009】
構成部品、特に車両の横支持体用のハイブリッド構成部品に関して、構成部品は少なくとも部分的にプラスチック被覆された基体を有しており、その基体が少なくとも2つの部材から形成されており、それらの部材が互いに結合可能であって、その場合に基体の内壁に、流れ取出しの領域に流れを案内する手段が設けられるように、プラスチックが設けられている。特に、プラスチックは、プラスチック構造の形式で基体内に配置され、たとえば吹き付けられ、接合され、および/または挿入されている。その場合にプラスチック構造は、基体の断面に比較して小さい断面を有している。好ましくは部分的にプラスチックで被覆された基体は、少なくとも領域的に穿孔して形成することができる。好ましくはこの穿孔は、たとえば開口領域内で行われる。この種の基体は、特に、重量を削減し、かつ/または構造を補強する利点を有している。
【0010】
好ましくは流れを案内する手段が、平滑化部材として形成されている。特に簡単な実施形態においては、流れを案内する手段、特に平滑化部材は、厚みの変化するプラスチック構造から形成されている。換言すると:平滑化部材は、流れ取出し部の領域内でプラスチック被覆またはプラスチック構造が変化する厚みを有することにより、基体自体のプラスチックによって形成されている。たとえば、プラスチック構造は1mmから10mm、特に2mmから6mmの厚みを有している。さらに、プラスチック構造は、音響改良のために、少なくとも領域的に多層で、特にハード−ソフト−層コンビネーションから、形成することができる。
【0011】
平滑化部材の可能な実施形態において、プラスチック構造は、流れ取出し部内の湾曲した肥厚部によって形成されている。流れ取出し部の領域内の、特に流出開口部の領域内の、この種の湾曲によって、ソフトな流れガイドが保証される。
【0012】
その代りに、あるいはそれに加えて、流れを案内する手段は、方向変換部材として形成されている。それによって、できるだけソフトな流れ案内に加えて、たとえば流出開口部の方向への、流れ方向変換が保証される。可能な実施形態において、方向変換部材は、内壁のプラスチック層からアーチ状に、特に舌片の形式で、基体の中空室内へ延びているので、方向変換部材は流れ方向に対してほぼ垂直に、特に上方または下方へ延びて、流れの方向変換をもたらす。代替的に、方向変換部材は基体の長手方向に見て垂直に延びて、その後側方へアーチ状に延びることができるので、方向変換部材は流れ方向に対して横方向に、特に側方へ、延びて、側方への流れの方向変換をもたらす。それぞれ実施形態に応じて、方向変換部材は、一方で、別体のモジュールとして形成することができ、それがプラスチック層に接合可能である。他方で、プラスチック層と方向変換部材をモジュールとして、特にプラスチック構造の形式のプラスチックモジュールとして形成することができる。
【0013】
それぞれ構成部品の、特にその基体の形成に応じて、たとえば複数の流れ媒体を案内するためのマルチチャンバ通路として形成されている場合に、複数の方向変換部材を長手方向に見て互いに平行に並べて基体内に、特に流れ取出し部の領域に、配置することができる。この実施形態において、方向変換部材は、通路の個々のチャンバの間の仕切壁を形成する。
【0014】
その代りに、あるいはそれに加えて、流れを案内する手段は、組み合わされた案内および補強部材として形成することができる。それによってソフトな流れ案内と可能な流れ方向変換に加えて、基体の十分に良好な補強、特に十分に良好な捻り強度、曲げ強度および折れ強度が保証される。たとえば、組み合わされた案内および補強部材は、通路部材、通路部材内に配置された方向変換部材および、通路部材によって基体に対して支持された、少なくとも1つの補強部材から形成されている。その場合に通路部材は、流れ取出しの方向に見て、減少する断面を有しており、その場合に補強部材は横リブの形式で、通路部材と基体との間に形成される中空室内に配置されている。その場合に横リブの角度は、通路に対して垂直または0°から±60°の角度で斜めに延びている。すなわち、リブは互いに対して平行であり、あるいは最大で120°、好ましくは90°または0°の角度を形成する。
【0015】
それぞれ組み合わされた案内および補強部材の実施形態に応じて、方向変換部材が通路部材からアーチ状に、特に舌片状に延びて、流れ取出し部の領域内でこの通路部材を組み合わされた案内および補強部材の終端側で閉鎖し、その場合に方向変換部材は基体の流出開口部内へ連通する。これが、流れる媒体にとっての衝突端縁を形成しないことを、可能にする。
【0016】
それぞれ構成部品のための製造方法に応じて、流れを案内する手段は、少なくとも部分的に、あるいは完全に、別に形成して、基体内へ挿入することができる。代替的に、流れを案内する手段を基体のプラスチック被覆と一緒に1つの処理ステップで、いわゆるシングルコンポーネントまたはマルチコンポーネント射出成形方法で形成して、プラスチック構造として成形することができる。これらの部材は、好ましくは、単純な開−閉−工具を使用することができるような、形態にされている。
【0017】
好ましくは流れを案内する複数の手段、特に平滑化部材、方向変換部材および/または組み合わされた案内および補強部材が、個々の流れ取出し部内に配置されている。たとえば、基体には、長手方向に見て複数の互いに隔たった流れ取出し部が設けられている。それによって、たとえば車両において、車両室内に多重に、たとえばフロントガラス領域、サイドガラス領域、フロント領域および/または足下領域に、空気を流すことができる。その代りに、あるいはそれに加えて、基体に横方向に見て対向する流れ取出し部を設けることができる。それによって、それぞれ構成部品の配置に応じて、媒体を上方および/または下方へ向けて流出させることが可能である。その場合にたとえば、構成部品が2つのハーフシェルから組み立てられている場合に、流れ取出し部はシェルにまたがって、すなわち2つのハーフシェルの分離平面内に、および/またはシェルに関して、すなわちそれぞれのハーフシェル自体内に、配置することができる。
【0018】
構成部品のできる限り良好な支持構造と支持構成のために、基体は好ましくは少なくとも部分的に、特にその長手方向の延びに沿って、プラスチックで被覆され、特に回りに吹き付けられている。その代りに、あるいはそれに加えて、プラスチックを前もって別に成形して、次に基体内へ挿入することができる。好ましくは基体には、内側および/または外側にプラスチックが設けられる。また、プラスチックは、好ましくは1層または多層で、かつ/または領域的に変化する厚みで、設けられる。構成部品のできるだけ良好な曲げ強度、凹み強度およびねじり強度のために、プラスチックは好ましくは相補形状かつ平面的に設けられる。プラスチック層は、良好な構造強化に加えて熱絶縁および/または、プラスチック構造が、ガス状または液状の媒体によって貫流される通路として形成されている場合には、遮音ももたらす。付加的に、プラスチック層の1つに、補強、特に補強織物、繊維、球または他の材料、たとえばガラス繊維織物、を設けることができる。より良好な熱的および音響的絶縁のために、プラスチック層は、発泡形成することができる。その場合にPU泡、ハードまたはソフト泡、インテグラル泡が物理的または化学的に発泡形成され(TSG熱可塑性泡射出成形、ミューセル方法など)、あるいは多層で形成され、その場合に個々の層が異なる厚みを有することができる。
【0019】
好ましくは、金属および/または軽金属、特にアルミニウム、マグネシウム、チタンあるいはスチールシートから形成された、0.4mmから1.5mmまで、あるいは2.0mmまで、あるいは特に材料の強度に従って3.0mmまでの肉厚を有する基体が使用される。それぞれ構成部品の種類と機能に応じて、基体を領域的に異なる肉厚で成形することができる。たとえば、構成部品を横支持体として使用する場合には、構成部品を、車両内の保持および力導入箇所の領域に、たとえばAピラーに取り付ける領域、ステアリング領域、空調設備の取付け領域あるいは、いわゆるフロントエンド構成部品の場合には、縦支持体、エンジン軸受またはボンネットロックの領域において、構成部品が単に空気案内通路として、取付け支持体として、あるいは他の機能のための用いられる領域におけるよりも、厚い肉厚で形成することができる。基体のために使用されるこの種の薄板は、「テーラードブランク(領域的に溶接)」、「テーラードロールドブランク(圧延方向に異なる厚みで圧延)」「プロフィールドバンド(たとえば端縁が厚く、中央が薄い)」として、あるいは「パッチワーク薄板(パズルのように、しかし異なる肉厚を有する各部分が薄板として接合される)」として提供可能である。この種の金属の基体またはこの種の薄板部品は、特にコスト的に好ましく、かつ車両製造において重量削減に合わせて設計される軽構造に特に適している。
【0020】
好ましくは、上述した構成部品は車両内の計器パネル支持体として使用され、その場合にプラスチックコアまたはプラスチック構造が1つまたは複数の通路、特に空気案内通路および/またはケーブル通路を形成する。代替的に、この種の構成部品を車両内の横支持体として、特に車両のAピラー間の横支持体として使用することができる。
【0021】
本発明によって得られる利点は、特に流れ取出し部の領域に配置された、流を案内する手段によって、流れ媒体のソフトな流出が可能となるので、流出領域における空調快適性が向上することにある。さらに、構成部品は、特に簡単な工具で形成することができる。同様に、流れ案内の他の領域において、必要に応じて流れ案内の機能を基体のスタティック機能から分離することができる。それによって方向変換が、よりソフトに、かつより大きく実施される。
【実施例】
【0022】
本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
互いに相当する部分は、すべての図において同一の参照符号を有している。
【0024】
図1は、構成部品1、たとえば詳しく図示していない車両の詳しく図示していないAピラーの間に配置するための横支持体、の部材Eを上面で示している。
【0025】
構成部品1は、たとえば少なくとも2つの部材Eから形成されており、図1にはそのうちの下方の部材E、たとえば半体またはハーフシェルが示されている。詳しく図示されていない、上方の部材は、下方の部材Eを補うように、半体またはハーフシェルとして形成されている。構成部品1は、基体2を有しており、その基体は好ましくは薄板から、特に軽金属薄板から、たとえばアルミニウム薄板またはマグネシウム薄板から、あるいはスチールシートから形成されている。基体2は、本実施例においては、閉鎖された状態において、すなわち2つの部材Eを互いに重ねた場合に、中空プロフィールとして、特にパイプ状の中空プロフィールとして形成されている。代替的に、基体2を、ボックス形状の断面を有する、かつ/または少なくとも領域的に穿孔して形成された、中空プロフィールとして形成することもできる。ボックス形状の断面を有する、可能な実施形態において、基体2は2つの部材E、たとえばUプロフィールまたはアンダーシェルとカバーから形成される。
【0026】
代替的に、基体6を、ボックス形状の断面を有する中空体として形成することができ、かつ/または少なくとも領域的に穿孔して形成することができる。
【0027】
基体2は、内側に、プラスチック構造Kを形成するプラスチック4を有している。その場合にプラスチック4は、プラスチック被覆の形式で接合し、挿入し、あるいは吹付けることができる。少なくとも部分的にプラスチック4で被覆された基体2は、閉鎖された状態において通路6として、特に流れを案内するため、ないしはケーブルおよび/または他のコンポーネントを案内するための、流れ通路および/またはガイド通路として用いられる。
【0028】
媒体、たとえば車両室内を空調するための空気あるいは導管またはケーブルを案内するために、プラスチック構造Kを用いて形成された通路6をできるだけ良好に利用するために、2つの部材Eは端縁Rを介して互いに十分に堅固に結合される。その場合に端縁Rは、2つの部材Eの間の分離平面を形成する。そのために部材Eは、基体2が閉鎖された状態において、互いに重なり合った端縁Rを介して互いに機械的および/または材料結合で結合される。その場合に基体2は、部材Eの互いに添接する端縁を突き合わせてリベット止め、ねじ止め、溶接、接着、フランジ止め、かしめ、クリンチなどの方法で結合することができる。付加的に、基体2、特にその2つの部材Eの、端縁Rの詳しく図示されていない開口部の、たとえば張出しを、プラスチック4を介してまとめることができる。その場合にプラスチック4が基体2に接合されて、たとえば熱処理によってもたらされる自己付着を介して基体2と結合されている。
【0029】
プラスチック4から形成されるプラスチック構造Kは、特に基体2の強度を高めるために、プラスチック被覆の形式で用いられる。特に肉薄に形成されている基体2は、空気で貫流される場合に騒音発生をもたらし、それが特に、基体2をプラスチック4で被覆することによって効果的に減衰される。すなわち、プラスチック4は、遮音と、場合によっては熱絶縁も引き受ける。
【0030】
通路6内で案内される媒体を、たとえば車両室内へ、流出させるために、基体2は、少なくとも1つの流れ取出し部8aから8cを有している。図1においては、3つの流れ取出し部8aから8cが示されている。それぞれの流れ取出し部8aから8cの領域に、媒体の調和のとれた流出のために、流れを案内する手段9が設けられている。その場合に図1に示す、流れを案内する手段9は、それぞれの流れ取出し部8aまたは8bの領域においてプラスチック構造Kが変化する厚みを有することにより、平滑化部材11として形成されているので、ソフトないしハードな流れ案内がもたらされる。還元すると:プラスチック構造Kの厚みないしプラスチック4の厚みは、該当する流れ取出し部8aから8cの領域において予め定められた流れプロフィールに、位置に応じて適合されている。プラスチック構造Kは、0.1mmから10mm、特に2mmから6mmの厚みを有している。その場合にプラスチック構造Kは、領域的に多層で形成することもできる。それぞれ流れ案内の種類に応じて−ソフトな流れ案内またはハードな流れ案内−それぞれの流れ取出し部8aないし8b、8cの領域において、該当するプラスチック構造Kは、湾曲された肥厚部の形式の4mmから6mmの、より大きい厚み、あるいは平坦にされ、または軽く面取りした肥厚部の形式の2mmから4mmの小さい厚みを有している。代替的に、肥厚させ、あるいは薄くする代りに、それぞれの流れ取出し部8aから8cの領域内で異なる大きさの半径を選択することもできる。
【0031】
その代りに、あるいはそれに加えて、それぞれの流れ取出し部8aの領域に、図2に示すように、流れを案内するための他の手段9として、少なくとも1つの方向変換部材10を配置することができる。それぞれ方向変換部材10の形式と形態に応じて、この方向変換部材を別体のプラスチックモジュールとして形成することができ、それがプラスチック構造Kに接合される。その代りに、方向変換部材10をプラスチック構造Kまたはプラスチック層と共に、いわゆるシングルコンポーネントあるいはマルチコンポーネント射出成形方法で設けられる、モジュールとして形成することができる。図2に示すように、構成部品1の長手方向に見て複数の方向変換部材10を互いに平行に並べて配置することができ、それらがそれぞれ別々に該当する流れ取出し部8a内で基体2の開口部Oに連通している。方向変換部材10は、通路6内で長手方向に案内される媒体を開口部Oの方向へ方向変換させるために、アーチ状の推移を有しているので、媒体が開口部Oの方向へ方向変換されて、そこで流出する。付加的に、流れ取出し部8aの領域に軽く湾曲した肥厚部(平滑化部材11)を有するプラスチック構造Kによって、開口部Oを通る媒体の調和のとれた流出がもたらされる。最も外側の方向変換部材10は、同時に通路端部の栓として用いることができる。
【0032】
方向変換部材10は、さらに、基体2内の、特にそれぞれの部材E内に垂直に配置されているので、通路6は方向変換部材10によって仕切壁の形式で複数のチャンバ通路に分割される。この種の実施形態は、特に、通路6がいわゆるマルチチャンバ通路として形成されている場合に使用され、そのマルチチャンバ内で複数の媒体、たとえば新しい空気、冷たい空気および/または暖かい空気が案内される。様々な媒体は、その後、流出する際に混合することができる。異なるチャンバが、異なる流出をもたらすこともできる。基体2の対応する上方の部材Eは、図3Aから3Cに詳細に示されるように、それに応じて形成されている。
【0033】
図3Aと3Bは、構成部品1を開放された状態で示しており、その場合に図3Aは構成部品1の上方の部材Eと、上方の部材Eの内側に接合され、挿入され、ないしは吹き付けられたプラスチック構造Kを示し、図3Bは対応する下方の部材Eと内側のプラスチック構造Kを示している。図3Cは、構成部品1を、6つの流れ取出し部8aから8fを備えた、閉鎖された状態で示しており、その場合に流れ取出し部8aと8d内には、流れを方向変換させるための方向変換部材10が配置されている。その場合に、図3Aと3Bに示すように、それぞれの方向変換部材10は内壁のプラスチック層またはプラスチック構造Kからアーチ状に、特に舌片の形式で、基体2の中空室内へ、特に通路6内へ延びている。それによって通路6は、片側が閉鎖され、媒体は方向変換部材10によって開口部Oの方向に方向変換される。それぞれ流れ取出し部8aから8fの配置に応じて、これら流れ取出し部は、図示のように、シェルに関して配置されている。その代りに、あるいはそれに加えて、これらをシェルにまたがるように、2つの部材Eの間の分離平面に配置することもできる。
【0034】
基体2は、2つのハーフシェル部材Eから形成される、中空円筒として形成されている。2つのハーフシェル部材Eは、円形の断面を形成し、かつ張出しを有しており、その張出しが機械的および/または材料結合による結合のための端縁Rを形成する。代替的に、構成部品1を詳しくは図示されていない形式で、ほぼボックス形状の断面を有し、あるいはほぼ任意の他の断面を有することができる。さらに、部材Eは、プラスチック4自体を介して間接的に結合することができる。
【0035】
それぞれ構成部品1の形式と形態に応じて、それぞれの部材Eが付属のハーフ形状のプラスチック構造Kと共に、個々の前もって形成される部品を形成することができる。そのためにそれぞれの部材Eのシェル形状の領域に、プラスチック4が吹き付けられ、挿入され、あるいは接合されるので、基体2は少なくとも部分的にプラスチック構造Kのプラスチック層で被覆され、特に回りに吹き付けられ、あるいは回りに発泡形成される。そのためにプラスチック4は、たとえば少なくとも1つの、詳しく図示されていない通路を介して予め定められた噴射圧力で形状付与および接合工具内へ、基体2の片側または両側を完全あるいは部分的にコーティングするために、たとえば射出成型方法で、特に、構成部材1が片側または両側を、ないしは完全にコーティングされる場合に、シングルコンポーネントあるいはマルチコンポーネント射出成形方法で、投入される。代替的に、かつプラスチック4の種類に応じて、プラスチックを発泡、鋳造などの方法で設けることもできる。
【0036】
プラスチック層またはプラスチック4は、被覆の種類−射出成形されたか、接合されたか−に関係なく、それぞれ設定に応じて0.1mmから10mm、好ましくは0.8mmと6mmの間の厚みを有している。基体2は、内側および/または外側にプラスチック層4を有することができる。さらに、複数の段階においてプラスチックを設けることによって、このプラスチックを1層または複数層で基体2に形成することができる。プラスチック構造Kを有する金属の基体2の前もって形成された部材Eが、次に図3Cに示すように、構成部品1にまとめられる。
【0037】
さらに特に簡単に成形可能な、できるだけ軽い構成部品1のために、金属の基体2は好ましくは、軽金属、特にアルミニウムまたはマグネシウムから、あるいはスチールシートから形成された、0.4mmから2.0mm、あるいは3.0mmまでの肉厚を有する基体2から形成されている。好ましくは基体2は領域的に変化する肉厚で形成されているので、構成部品1に部分的に他の部材、たとえば方向案内、空調設備、空気入口および/または出口を一体化することができる。
【0038】
図4から6は、それぞれ部材E、たとえば構成部品1の下方の部材または上方の部材Eを、流れ取出し部8gの領域に流れ案内手段9として配置された、組み合わされたガイドおよび分配部材12と共に上面で示している。その場合に組み合わされたガイドおよび分配部材12は、通路部材14、たとえば空気案内通路、通路部材14内に配置された方向変換部材10および通路部材14によって基体2に対して支持される少なくとも1つの補強部材16から形成されている。そのためにたとえば、プラスチック構造Kが流れ構造および適当な方法変換形状を備えた方向案内およびガイド構造として、インナーリブの形式の補強構造と組み合わせて形成されている。
【0039】
その場合に通路部材14は、該当する流れ取出し部8gの方向に見て減少する断面を有している。方向変換部材10は、通路部材14から延びている。それぞれ流れ取出し部8gの実施形態に応じて(たとえばシングル通路あるいはマルチ通路)、たとえば流れ取出し部8gがシングル通路である場合に、方向変換部材10は通路6を片側で閉鎖し、図5に示すように、構成部品1の開口部O内へ連通している。図4と6には、それぞれマルチ通路の流れ取出し部8gが示されており、その場合に方向変換部材10は開口部Oを仕切壁の形式で2つの流出通路に分割している。
【0040】
補強部材16は、通路部材14と基体2の間に形成された中空室H内に横リブの形式で配置されている。その場合に横リブの角度は、通路6に対して垂直あるいは0°から±60°の角度で斜めに延びることができる。すなわちリブは、互いに対して平行であり、あるいは最大120°、好ましくは90°または0°の角度を形成する。この種のプラスチック構造Kを有する基体2は、特に良好な形状強度と成形構造を可能にするので、基体2が肉薄の場合に、この基体に、然るべく成形されたプラスチック構造Kによって十分に良好な形状強度と凹み強度が与えられる。
【0041】
図4と5には、それぞれ半分開放した通路部材14が示されており、その通路部材は、構成部材1の該当する部材Eに調和する、同様に半開の通路部材14を有する、他の部材Eによって、構成部材1の閉鎖された状態において(部材Eが互いに重ねられた場合に)、閉鎖された通路6、特に流れ通路を形成する。図6には、それとは異なり、閉鎖された通路部材14と組み合わされたガイドおよび補強部材12が示されている。その場合に組み合わされたガイドおよび補強部材12は、たとえば金属の基体2内へ挿入され、あるいは接合される、別体のモジュールとして予め形成しておくことができるか、あるいはそれぞれの半体がそれぞれの基体2内へ取り付けられる。
【0042】
図7は、流れ案内するための複数の手段9−方向変換部材10と平滑化部材11(=開口部Oの端縁領域におけるプラスチック構造Kの湾曲した肥厚部)を有する流れ取出し部のための他の実施形態を示している。その場合に終端部材18が、通路終端のための補強リブとして用いられる。その代りに、あるいはそれに加えて、終端部材18をある種の仕切壁または仕切部材として用いることもできる。その場合に通路6は、構成部品1の長手方向に延びる仕切部材によって、マルチチャンバ通路として形成される。そのためには、2つの通路出口が生じるように、仕切部材が2つのハーフシェルの分割または仕切平面内に位置していなければならない。従って流れ取出し部8eにおいて、方向変換部材10によって2つの流れ媒体が開口部Oの方向に案内されて、そこでこれらの流れ媒体を混合することができる。方向変換部材10は、シングルチャンバ通路のためには、方向変換および方向案内部材であって、それによって方向変換後に断面にわたってできるだけ均質な空気量分布および速度分布が存在する。方向変換部材10がないと、外側の領域において質量流が超比例的に高くなり、内側の稜においては場合によっては還流が生じる。
【0043】
図8は、構成部品1の可能な実施形態を、流れ取出し部8aから8hの領域において、その中に配置されている方向変換部材10と共に断面で示している。
【0044】
構成部品1は、たとえば、空調設備および/または暖房設備のための計器パネル支持体として用いられる。代替的に、構成部品1を車両内の風防ガラスの下方に配置された横支持体として用いることができ、その横支持体は車両室内の空調のため、および風防ガラスあるいはフロントガラスの除霜のための空気案内通路として設けられている。そのために基体2には、長手方向に見て互いに間隔をもって配置された、通路6内で案内される媒体、たとえば空気を流入および/または流出させるための開口部Oを備えた、複数の流れ取出し部8aから8hが設けられている。もちろん、流入と流出の数と配置は、任意に変更することができる。さらに、流入あるいは流出は、端縁Rの領域で行うこともでき、かつ基体2の一方のシェル内に延びることも、2つのシェルにわたって延びることもできる。
【0045】
さらに、この種の構成部品1を、車両の他の箇所で使用することもできる。たとえば:Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラー、縦支持体、ドアステップ、屋根の梁など。この構成部品1によって、空調設備(HVACと略称)の空気を場所を取らずに案内し、分配することができ、その場合に構成部品1は車両内の構造部分として、特に中空構造部分として、形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】流れ取出し部とその中に配置されている、流れ案内手段とを有する、構成部品のため、特に構成部品の半体のための実施形態を図式的に示している。
【図2】流れ案内手段のための代替的な実施形態を図式的に示している。
【図3】3Aから3Cは、複数の流れ取出し部と流れガイド手段とを備えた、少なくとも部分的にプラスチックで被覆された基体を有する構成部品を図式的に示す斜視図である。
【図4】流れ取出し部とその中に配置された流れガイド手段とを有する、構成部品の、特に構成部品の半体のための実施形態を図式的に示している。
【図5】流れ取出し部とその中に配置された流れガイド手段とを有する、構成部品の、特に構成部品の半体のための他の実施形態を図式的に示している。
【図6】流れ取出し部とその中に配置された流れガイド手段とを有する、構成部品の、特に構成部品の半体のための、さらに他の実施形態を図式的に示している。
【図7】流れ取出し部とその中に配置された流れガイド手段とを有する、閉鎖された構成部品を図式的に示す斜視図である。
【図8】流れ取出し部の領域に配置された、流れガイド手段を有する構成部品を図式的に断面で示している。
【符号の説明】
【0047】
1 構成部品
2 基体
4 プラスチック
6 通路
8aから8h 流れ取出し部
9 流れガイド手段
10 方向変換部材
11 平滑化部材
12 組み合わされたガイド部材と補強部材
14 通路部材
16 補強部材
18 分離部材
E 部材
H 中空室
K プラスチック構造
O 開口部
R 端縁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的にプラスチック(4)によって被覆された基体(2)を有し、前記基体に少なくとも1つの流れ取出し部(8aから8e)が設けられており、基体(2)の流れ取出し部(8aから8e)の領域に、流れを案内する手段(9)が設けられている、構成部品(1)、特に車両の支持体用のハイブリッド構成部品。
【請求項2】
流れを案内する手段(9)が、平滑化部材(11)として形成されている、請求項1に記載の構成部品。
【請求項3】
流れを案内する手段(9)、特に平滑化部材(11)が、厚みの変化するプラスチック構造(K)から形成されている、請求項1または2に記載の構成部品。
【請求項4】
プラスチック構造(K)が、0.1mmから10mmの厚みを有している、請求項3に記載の構成部品。
【請求項5】
プラスチック構造(K)が、少なくとも部分的に多層で、特にハード−ソフト−層コンビネーションから、形成されている、請求項3または4に記載の構成部品。
【請求項6】
平滑化部材(11)が、プラスチック構造(K)の湾曲された肥厚部によって形成されている、請求項3から5のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項7】
流れを案内する手段(9)が、方向変換部材(10)として形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項8】
方向変換部材(10)が、内壁のプラスチック層から基体(2)の中空室内へアーチ状に延びていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項9】
方向変換部材(10)が、別に形成されて、プラスチック層に接合されている、請求項7または8に記載の構成部品。
【請求項10】
方向変換部材(10)が、プラスチック被覆と一体的に形成されている、請求項7から9のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項11】
方向変換部材(10)が、長手方向に見て互いに平行に並べて配置されている、請求項7から10のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項12】
流れを案内する手段(9)が、組み合わされた案内および補強部材(12)として形成されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項13】
組み合わされた案内および補強部材(12)が、通路部材(14)、通路部材(14)内に配置されている方向変換部材(10)および、通路部材(14)によって基体(2)に対して支持された、少なくとも1つの補強部材(16)から形成されている、請求項12に記載の構成部品。
【請求項14】
通路部材(14)が、流れ取出し部(8aから8e)の方向に見て、減少する断面を有している、請求項12または13に記載の構成部品。
【請求項15】
方向変換部材(10)が、通路部材(14)からアーチ状に延びて、流れ取出し部(8aから8e)の領域において組み合わされた案内および補強部材(12)の終端側で前記通路部材を閉鎖し、基体(2)の開口部(O)内へ連通する、請求項12から14のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項16】
横リブの形式の複数の補強部材(16)が、通路部材(14)と基体(2)との間に形成された中空室(H)内に配置されている、請求項12から15のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項17】
横リブの角度が、通路(6)に対して垂直または0°から±60°の角度で斜めに延びている、請求項16に記載の構成部品。
【請求項18】
流れを案内する手段(9)が、少なくとも部分的に、あるいは完全に、別に形成されて、基体(2)内へ挿入可能である、請求項1から17のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項19】
流れを案内する複数の手段(9)、特に平滑化部材(11)、方向変換部材(10)および/または組み合わされた案内および補強部材(12)が、個々の流れ取出し部(8aから8e)内に配置されている、請求項1から18のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項20】
流れを案内する手段(9)が、流れ取出し部(8aから8e)の領域で、基体(2)の開口部(O)内へ連通している、請求項1から19のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項21】
基体(2)に、長手方向に見て、複数の互いに隔たった流れ取出し部(8aから8e)が設けられている、請求項1から20のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項22】
基体(2)に、横方向に見て、対向する流れ取出し部(8aから8e)が設けられている請求項1から21のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項23】
基体(2)に、少なくとも部分的にプラスチック層が設けられており、特に回りに吹き付けられ、あるいは回りに発泡形成されている、請求項1から22のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項24】
基体(2)が、金属、軽金属あるいはその合金、特にアルミニウム、マグネシウム、チタンあるいはスチールシートから形成されており、0.4mmから2.0mmの肉厚を有している、請求項1から23のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項25】
基体(2)が、領域的に変化する肉厚を有している、請求項1から24のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項26】
基体(2)が、領域的に、物理的または化学的に発泡された、肉厚の変化する材料によって被覆されている、請求項1から25のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか1項に記載の構成部品(1)を、通路(6)、特に少なくとも1つの空気案内通路および/またはケーブル通路を備えた車両内の計器パネル支持体として使用。
【請求項28】
請求項1から26のいずれか1項に記載の構成部品(1)を、車両内の横支持体として、特に車両のAピラー間の横支持体として、あるいはフロントエンド構成部品として使用。
【請求項29】
請求項1から26のいずれか1項に記載の構成部品(1)を、車両内の構造部品として、特に中空構造部品として、縦支持体、ドアステップ、中央トンネル構造、正面張出し支持体、縦支持体または横支持体、垂直構造部品、Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーまたは屋根構造部品として使用。
【請求項30】
請求項1から26のいずれか1項に記載の構成部品(1)を、車両内の構造部品として、特に、それを通して暖房装置、冷房装置、空調装置または通気装置の空気が案内される、中空構造部品として使用。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−508177(P2007−508177A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530129(P2006−530129)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011282
【国際公開番号】WO2005/032866
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(594042033)ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (222)
【Fターム(参考)】