説明

構成部品を接着する方法およびその方法を用いて作られた物品

本発明は、単一の物品を形成するために2つ以上の構成部品を接着する方法に関する。その方法は、最終的な組み立て位置に構成部品を配置して接着部空洞を作り出すこと、その空洞に接着剤を充填すること、そして構成部品を分離せずに取り扱うことができるように接着剤を硬化することからなる。本発明はまた、その方法によって形成された物品にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、構成部品を接着することに関する。特に、本発明は、自動車車両において使用される物品を作るために構成部品を接着することに関する。
【背景技術】
【0002】
歴史上、物品の製造のための製作技術は、個別の構成部品の製作、および固定機構(fastening mechanism)を使用した構成部品の結合を伴った。固定機構としては、典型的には、機械的な固定具(たとえば、リベット、ねじ、ナットとボルト、スナップフィットデバイスなど)および接着剤が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらの固定機構は欠点を持っている。たとえば、従来の多くの接着剤は、異なる材料を一緒に(たとえば、プラスチックを金属に、または2つの異なる種類のプラスチックを)接着するのが困難であったり、いくつもの工程(たとえば、構成部品の下塗り、接着剤の多数回の塗布、表面の洗浄、接着剤化合物の混合、あるいは溶剤の蒸発)を必要としたりする。さらに、接着剤による接着の制約としては、長い硬化時間、短い貯蔵寿命または短いオープンタイムがある。接着剤はまた、非平面のまたは不連続な表面を接着したり、共通の継ぎ手を共有する多数の構成部品を接着したりするのが難しかったりする。さらに、多数の面で接着するときは、構成部品が一つに組み立てられたとき、接着剤がこすれて汚れることがある。
【0004】
発明者は、これらの問題のうちの1つ以上に解決策をみつけた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、単一の物品(article)を形成するために2つ以上の構成部品(components)を接着する(bond)方法を含む。その方法は、提案された組み立て位置に構成部品を配置して接着部空洞(joint cavity)を作り出すこと、その空洞に接着剤を充填すること、および構成部品を分離せずに取り扱うことができるように接着剤を硬化することを含む。本発明はまた、その開示された方法によって形成された物品にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、接着された物品(bonded article)を形成するために2つ以上の構成部品を接着する(attach)方法を含む。その方法は、2つ以上の構成部品をお互いに関して提案された組み立て位置に配置し、それによって接着部空洞を作り出すこと、その接着部空洞に接着剤を充填すること、および接着剤を少なくとも部分的に硬化することを含む。
【0007】
図1a−bを参照して、その方法は、第一の構成部品10と第二の構成部品12を配置し、それらの相互の位置関係が接着部空洞14を形成するようにすることを含む。それらの構成部品は、配置中や配置後に、互いに接触していてもよいし、接触していなくてもよい。それらの構成部品は、接着剤の注入および硬化の間、構成部品の相対運動を制限するために、クランプ、リベット、ねじ、スナップまたはその他の機械的な固定方法を用いて、一緒に固定してもよい。接着部の厚さを維持するために、一方または両方の構成部品の上に、間隔をあける肋材(ribs)または突起を使用してもよい。その後、接着部空洞14に接着剤16を充填する。接着部空洞は、構成部品のうちの1つにある入口(access point)(たとえば開口部(aperture)18)を通して、または空洞の露出した縁(たとえば縁20)を通して充填してもよい。いったん空洞が少なくとも部分的に充填されれば、接着された物品22を作るために、接着剤は少なくとも部分的に硬化される。
【0008】
図2a−cには、3つの構成部品を接着する方法が示されており、その方法では、第一の構成部品30、中間の構成部品32および第三の構成部品34が接着される。第一の接着部空洞36は第一の構成部品と中間の構成部品によって作り出され、第二の接着部空洞38は中間の構成部品と第三の構成部品によって作り出される。接着部空洞は、第一の構成部品30にある一つの入口40を通して、接着剤で充填され、そのとき接着剤は中間の構成部品にある1つ以上の入口42(たとえば開口部)を通って移動するようにしてもよい。代わりに、接着部空洞は、第一および第三の構成部品にある入口を通して個々に充填してもよい。この場合は、中間の構成部品に開口部はない。別の実施態様においては、3つの構成部品が協働して単一の接着部空洞を形成する。
【0009】
構成部品の配置は手動で行なってもよいし、ロボットを使用して行なってもよい。1つの好ましい実施態様においては、構成部品は、固定機構(securing mechanism)の使用によって、充填中、決められた場所に保持される。2つの構成部品間の接着部空洞の寸法を維持するまたは維持するのを支援する機構であればどんな機構でも適切である。好ましい実施態様においては、硬化工程の開始後まで、固定機構は使用される。より好ましくは、固定機構がない状態でも構成部品の位置および/または方位が維持されるのに十分なだけ接着剤が硬化されるまで、固定機構は使用される。適切な固定機構は、構成部品が互いに関して移動するのを防ぐ機構を含んでいる。たとえば、構成部品を1つ以上のクランプによって決められた場所に保持してもよい。
【0010】
代わりに、固定機構は、トレー/取付具(trays/fixtures)のような、互いに関して構成部品の位置を決める1つ以上の形式であってもよい。別の実施態様においては、構成部品はロボットアームによって把持され、ロボットアームによって位置が定められる。さらに、決められた場所に構成部品を固定するために、電磁エネルギーを使用してもよい。たとえば、適切な台(platform)に構成部品(たとえばプラスチック製構成部品)を固定するのに静電気を使用してもよいし、電気を使用して金属製構成部品を磁化しそれらを決められた場所に固定してもよい。固定機構の組み合わせも好ましい。
【0011】
さらに、空洞を充填しまたは接着剤を硬化する前、間または後に、構成部品をそれらの相対位置に一緒に固定するために、他の固定機構、たとえばスナップフィットファスナーまたは摩擦フィットファスナー(friction fit fastener)のような機械的な固定具(fastener)を使用してもよい。
【0012】
1つ以上の構成部品は、構成部品の位置決めを容易にするために1つ以上の案内機構(guidance mechanism)を含んでいてもよい。たとえば、所望の相対的な位置または方位に構成部品を維持するために、ほぞ穴結合(mortise-and-tenon)または実矧(tongue-and-groove)ガイドを使用してもよい。さらに、充填中または硬化中、接着部空洞の所望の体積が維持されるのを保証するために、案内機構を使用してもよい。たとえば、空洞が小さくなりすぎないようにするために、止め具(stop)またはスペーサーを使用してもよい。同様に、接着部空洞が大きくなりすぎないようにするために、機械的な固定具を使用してもよい。さらに、接着剤が接触する構成部品上の面積を限定し、接着剤が広がりすぎるのを制限するために、案内機構を使用してもよい。
【0013】
接着部空洞の形成前、形成中、または形成後に、接着部空洞は接着剤で充填される。接着部空洞は空洞への任意の入口を通して充填することができる。典型的な入口としては、構成部品のうちの1つにある1つ以上の開口部または穴(hole)が挙げられる。他の入口としては、接着部空洞に隣接する1つ以上の構成部品の縁(edge)の近くが挙げられる。
【0014】
適切な充填技術であれば、いかなる充填技術を使用してもよい。1つの実施態様においては、接着剤は、空洞の中に注入することができる。限定するものではないが、注入技術としては、接着剤に正のまたは負の圧力を付与し、それによって入口を通して接着剤を注入するものが挙げられる。これは、注射器とプランジャー、スクリューと押し出し機、それらの組み合わせなどを使用して遂行することができる。
【0015】
1つの実施態様においては、これは必ずしもそうではないけれど、接着部空洞が充填された後、入口は覆われるか閉じられる。たとえば、開口部は、栓(plug)、鋲(rivet)、栓(stopper)、蓋(cap)、ねじ(screw)、当て板(patch)、それらの組み合わせなどによって閉じてもよい。
【0016】
硬化工程は構成部品間の接着の強さを増大する。接着された物品を取り扱えるようにするのに十分な接着強度が得られる程度まで接着剤を硬化するだけでよい。
【0017】
硬化方法は、選択された接着剤の種類に依存するであろう。また、選択された接着剤の種類は、構成部品を構成する材料に依存するであろう。硬化は、接着剤の塗布に際し、熱硬化、赤外線硬化、紫外線硬化、化学硬化、無線周波硬化(radio frequency cure)、溶媒喪失硬化(solvent loss cure)、湿気硬化、剪断力付与硬化(shear force application cure)等の様々な既知の機構によって行うことができる。ただし、好ましい接着剤は周囲の状態に曝すだけで硬化するものである。別の実施態様においては、接着剤の硬化を遅らせ、接着剤が硬化を開始するようにするために別個の操作を要求するキュアオンデマンド接着剤を構成することもできる。1つの実施態様においては、これは、組み立て中に破裂するカプセルに入れられた硬化剤の使用により達成される。別の実施態様においては、これは、接着剤を周囲の状態に曝すために保護皮膜を取り除くことにより達成される。
【0018】
本発明の方法は、2つ以上の構成部品から、いかなる接着された物品を形成するためにも好ましく使用することができる。その方法は、たとえば、輸送用車両(たとえば自動車、船、列車、牽引車(tractor)、自動二輪車または飛行機)、建物、電子機器またはその他の製作品のための物品を作るのに使用することができる。1つの好ましい実施態様においては、その物品は自動車の中または外において有用でありうる。たとえばフロントエンドキャリヤー組立部品(assemblies)、クロスカービーム(cross-car beam)組立部品、後部扉(tailgate)/リフトゲート組立部品、ドア組立部品、水導管(water conductor)組立部品、放熱器末端貯槽(radiator end tank)組立部品、油受(oil pan)組立部品、エンジン吸気多岐管(intake manifold)組立部品、弁覆い気筒頭部(valve cover cylinder head)組立部品、他のエンジン構成部品、他の排気系統構成部品、外装品、内装品(たとえば計器盤)、自動車車両の骨組み(frame)への構造的支持体および構成部品(たとえば緩衝装置(bumper))、それらの組み合わせなどはすべて、本方法によって製造するのにふさわしい物品である。典型的な構成部品は、米国特許出願第10/051,417号(「接着剤で接着した弁覆い気筒頭部組立部品」)、米国特許出願第09/922,030号(「接着剤で接着した水導管組立部品」)、米国特許出願第09/921,636号(「接着剤で接着した油受組立部品」)および米国特許出願第09/825,721番(「接着剤で接着した放熱器組立部品」)に見いだすことができ、それらは引用によって本願に含まれる。
【0019】
この方法は、好ましくは、異なる材料(たとえば金属をプラスチックへ、金属を木材へ、プラスチックをセラミックへ、プラスチックを異なるプラスチックへ、金属をガラスへ、それらの組み合わせなど)で作られた構成部品を接着するのに使用することができる。しかしながら、この方法は類似の材料で作られた構成部品を接着するのにも使用することができる。
【0020】
接着するのに適した構成部品は、様々な構造(制限するものではないが、たとえば、平面、中空、管状、中実(solid)、蜘蛛の巣状、それらの組み合わせなど)を含んでいてもよい。構成部品は、接着部空洞を形成するために、互いを補完するように、たとえば雄の構成部品と雌の構成部品、U字型の表面によって補完されるC字型の表面、間隔を置いて配置される1対の対立する表面の1つを各々含む構成部品、それらの組み合わせなどのように、大きさを合わせ、形づくることができる。
【0021】
制限するものではないが、構成部品は、充填剤入りの(filled)または充填剤を含まない(unfilled)プラスチック(たとえば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、それらの組み合せなど)、金属(たとえば鋼鉄、アルミニウム、それらの組み合せなど)、木材、ガラス、セラミックス、それらの組み合せなどから形成することができる。構成部品は、表面処理したり、下塗りしたり(primed)、塗装したり(coated)してもよいし、付加的な材料の層を含んでもよいし、それらを組み合せてもよい。ふさわしい表面処理としては、構成部品中の重合体の分子状態を変える多くの手法のうちのいずれか、所望の表面特性を有する物質を構成部品に接着する手法、またはそれらの組み合せが挙げられる。特別の例として、適切なコロナ処理、火炎噴霧(flame spray)処理または表面塗装処理の1つまたは任意の組み合せを用いることができる。適切な塗装としては、金属のための硬化されたイーコート(cured e-coating)が挙げられる。適切な下塗り剤(primer)は、選択された接着剤に基づいて選択することができる。1つの実施態様においては、所望の表面エネルギーを達成するために、構成部品の少なくとも1つは表面処理される。別の実施態様においては、構成部品の1つだけが表面処理される。別の実施態様においては、接着剤下塗り剤はプラスチックで作られた構成部品の上には使用されない。別の実施態様においては、組み立てられた物品は、ペンキ塗装や装飾塗装などのような仕上げ処理を含む。好ましくは、甲種表面仕上げが施される。
【0022】
第1の構成部品は好ましくは重合体材料からなる。特に好ましい実施態様においては、構成部品の少なくとも1つは、スチレン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルエステル、それらの混合物などから選ばれた高強度熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂からなる。さらに好ましくは、それらは、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート/アクリロニトリル/ブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド/ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、シンジオタクチックポリスチレン、エチレンα−オレフィン、ポリブチレンテレフタレート/ポリカーボネート、ポリアミド(たとえばナイロン)、ポリエステル、ポリウレタン、シートモールディングコンパウンド(SMC)(たとえばポリエステル、ポリビニルエステル)、熱硬化性ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン(たとえば高密度ポリエチレン(HDPE))、アクリル樹脂(poly acrylics)、およびそれらの混合物などからなる群から選ばれる。より好ましくは、構成部品の少なくとも1つはポリプロピレンからなる。
【0023】
また、上記の重合体材料はすべて、繊維強化し、またはその他の方法で、セラミック、ガラス、重合体、天然の、合成のもしくはその他の繊維で強化することも考えられる。1つの好ましい実施態様によれば、強化のために、重合体材料は、長さが約0.1mm〜約30.0mmのガラス繊維を含む。より好ましくは、繊維は長さが約0.5mm〜約20.0mmである。もっとも好ましくは、繊維は長さが約1.0mm〜約5.0mmである。また、1つ以上の充填剤(filler)を高分子材料に含めることも考えられる。
【0024】
第二と第三の構成部品は、第一の構成部品と同じ材料からなってもよいし、異なる材料からなってもよい。第二と第三の構成部品の材料は、第一の構成部品に関して既述した材料から選ぶことができる。好ましくは、第二の構成部品は金属からなり、より好ましくは、第二の構成部品は鋼鉄からなり、もっとも好ましくは、第二の構成部品は硬化したイーコート(cured e-coat)からなる。
【0025】
構成部品が互いに関連し合って配置されたときに形成される接着部空洞は、いかなる体積や形状をとってもよい。空洞は外界に通じていてもよいし、実質的に閉じられ、唯一の開口部(opening)が構成部品の1つにある開口部(aperture)であってもよい。好ましくは、空洞は、構成部品の各々からの少なくとも1つの表面によって、その境界が定められる。より好ましくは、空洞は、構成部品の各々からの少なくとも2つの表面によって、その境界が定められる。1つの入口に加えて、空洞は、入口を通って空洞が充填される得るような、または入口を通って接着剤で充填される空洞の容積だけの空気が置換され得るような1つ以上の追加の入口を有していてもよい。
【0026】
入口は、接着剤が通り抜け空洞を充填することができれば、いかなる形でも大きさでもよい。開口部(aperture)は、接着部空洞に接着剤を分配するノズルの大きさと形に実質的に一致するような大きさと形にするのが好ましいが、必ずしもそうする必要はない。
【0027】
本発明の接着剤は、随意に、接着された物品の望ましい生産環境において流動し得る状態を達成し得る一液型または二液型接着剤であってもよい。接着剤は、低蒸気圧溶剤(たとえばアルコール、エーテル、アセトン、ベンゼン、メタン、エタン、それらの組み合わせなど)に溶けるものでもよいし、流動し得るもの(たとえばホットメルト流動性、室温流動性など)でもよいし、泡立ちやすいものでもよいし、それらの組み合わせでもよい。接着剤は、好ましくは−10℃から約240℃までの温度で流動し得るものであり、より好ましくは約−5℃から約160℃までの温度で流動し得るものであり、最も好ましくは約−5℃から約30℃までの温度で流動し得るものである。ホットメルト流動性接着剤は、接着される構成部品が構造的に完全な状態を失う温度より実質的に低い融解温度を有していなければならない。
【0028】
好ましい接着剤は、硬化後に、自動車車両の動作条件に耐えることができるものである。そのような接着剤は、好ましくは約30℃までの温度で、より好ましくは約40℃までの温度で、さらに好ましくは約60℃までの温度で、分解したり、薄い層に裂けたり(delaminate)しないものである。重大ではないが、1つの実施態様においては、ここで接合部に用いられる接着剤は、結果として生じる引張強さが少なくとも約70psi(約500kPa)、より好ましくは少なくとも約145psi(約1MPa)、さらに好ましくは少なくとも420psi(約3MPa)のものである。構造用接着剤(structural adhesive)が使用されるような用途においては、結果として生じる引張強さは、約5MPa程度であり、より好ましくは少なくとも約10MPaであり、さらに好ましくは少なくとも約24MPaである。
【0029】
さらに、好ましい接着剤は、接着された物品の周囲の動作条件への長期の曝露に耐えることができる。たとえば、好ましい接着剤としては、周囲条件で、または前述の温度と圧力で、炭化水素物質、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、その他の塩類、ブレーキ液、トランスミッション液、グリコール冷却剤、ウィンドシールドウォッシャ溶剤、洗浄剤などへの長期の曝露に耐えることができるものが挙げられる。
【0030】
接着剤は、いかなる数の成分を含んでもよいが、好ましくは、2つの成分を含む。他の接着剤系列(adhesive families)(たとえばウレタン、シランなど)も同様に考えられるが、好ましい接着剤は1つ以上のポリウレタンを主成分とする接着剤、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ハイブリッド(hi-bred)ポリイミド/エポキシ樹脂接着剤、アクリル樹脂またはエポキシノボラック/ニトリルゴム接着剤からなる。好ましくは、接着剤は、室温で流動性を示し、低エネルギー基体(low energy substrates)を接着するものである。より好ましくは、接着剤はポリウレタン系またはアクリル系接着剤からなる。そして、もっとも好ましくは、接着剤は、米国特許第6,710,145号明細書、米国特許第6,713,579号明細書、米国特許第6,713,578号明細書、米国特許第6,730,759号明細書、米国特許第6,949,603号明細書、米国特許第6,806,330号明細書、ならびに米国特許公開第2005−0004332号明細書および米国特許公開第2005−0137370号明細書に開示されているような低エネルギー基体用のBetamate LESAであり、それらは引用によって本願に含まれる。その他のふさわしい接着剤としては、米国特許第5,539,070号明細書、米国特許第6,630,555号明細書、米国特許第6,632,908号明細書、および米国特許第6,706,831号明細書に開示されたものが挙げられ、それらは引用によって本願に含まれる。
【0031】
可能な接着剤用組成物は、「アミン有機ボラン錯体重合開始剤と重合性組成物」と題する特許出願、国際公開第01/44311A1号パンフレット、米国特許出願第09/466,321号明細書に開示されており、それらは引用によって本願に含まれる。
【0032】
接着剤は下塗り(primer)が存在しない状態で使用されるのが好ましいが、構成部品の1つ以上に塗布された下塗り層(primer)またはその他の接着を促進する層が存在する状態で接着剤を使用してもよい。
【実施例】
【0033】
図3a−bに、本願の方法にしたがって作られた接着された物品の1つの実施態様を示す。車両フロントエンド組立部品50は、水平の金属補強横梁(cross-member)54に接着されたプラスチック製フロントエンドキャリヤー52から構成されている。2つの追加の垂直金属補強材56および58は、また、フロントエンドキャリヤーと水平横梁に接着されている。
【0034】
複数の構成部品もしくは工程の機能もしくは構造を単一の構成部品もしくは工程に組み合わせることができること、または1つの工程もしくは構成部品の機能もしくは構造物を複数の工程もしくは構成部品に分離することができることがさらに認識されるであろう。本発明はこれらの組み合せのすべてを熟考する。別段の言及がない限り、ここに描写された様々な構造物の寸法および幾何学的配置は、発明を限定するものではなく、また、他の寸法または幾何学的配置が可能である。複数の構造的な構成部品または工程が、単一の統合された構造物または工程によって提供され得る。あるいは、単一の統合構造物または工程を、個別の複数の構成部品または工程に分割することができる。さらに、本発明の特徴をたった1つの実施態様をもって説明したが、そのような特徴はいかなる用途にも他の実施態様の1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。この独特の構造物の製作およびその操作もまた、本発明の方法を構成することが、上記から認識されるであろう。
【0035】
ここに示された説明と例証は、他の当業者に、本発明、その原理およびその実用化を知らせることを意図している。特定の用途の要件に最も適するように、当業者は本発明をいろいろな形態で適応し応用することができる。したがって、記述された本発明の特定の実施態様は、発明を余すところなく説明するものでもないし、発明を限定するものでもない。したがって、本発明の範囲は、上記の記述を参照して決定すべきではなく、その代り、添付された特許請求の範囲を参照して決定されるべきであり、均等の範囲を含む。特許出願および公開を含むすべての記事および参考文献の開示は、あらゆる目的のために引用によって含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1a−bは、本願の方法の1つの実施態様を横断面図で示すものであり、この実施態様では、2つの構成部品が空洞を形成するように互いに関連して配置された後、空洞に接着剤が充填されている。
【0037】
【図2】図2aは、本願の方法の別の実施態様を分解透視図で示すものであり、この実施態様では、3つの構成部品が互いに関連して配置されている。図2bは、1対の接着部空洞を形成するように配置された3つの構成部品を大写しに示したものである。図2cは、接着剤を充填した接着部空洞を横断面図で示すものである。
【0038】
【図3】図3a−bは、本発明による自動車のフロントエンド組立部品の分解図および組立図をそれぞれ示す。
【図1a】

【図1b】

【図2a】

【図2b】

【図2c】

【図3a】

【図3b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの入口が接着部空洞への通路を提供するような状態で、接着部空洞を形成するように1つの構成部品に関連して少なくとも1つのプラスチック製構成部品を固定機構で保持すること、
少なくとも1つの入口を通って、接着部空洞に流動性接着剤を少なくとも部分的に充填すること、および
接着剤を少なくとも部分的に硬化すること、
を含む、輸送用車両の組立部品を製造する方法。
【請求項2】
入口が構成部品のうちの少なくとも1つにある開口部である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
当該方法がさらに、他の構成部品に関連して少なくとも1つの第三の構成部品を保持することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
プラスチック製構成部品が熱可塑性樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
プラスチック製構成部品がガラス繊維強化ポリプロピレンを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
金属製構成部品がイーコートを施した金属を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
硬化する工程が周囲条件で硬化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
接着剤が周囲条件で流動性である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
接着剤がアクリルまたはポリウレタン接着剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくともプラスチック製構成部品の上には下塗りなしで接着剤が利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第一のプラスチック製構成部品と第二の金属製構成部品が固定機構で一緒に保持され、それらの間に位置する少なくとも1つの接着部空洞、および
周囲条件で少なくとも1つの接着部空洞の中に入口を通って注入された少なくとも部分的に硬化された接着剤
を含む、接着された輸送用車両の組立部品。
【請求項12】
第一のプラスチック製構成部品が繊維を混ぜたポリプロピレンを含む、請求項11に記載の組立部品。
【請求項13】
第二の金属製構成部品がイーコートを施した金属を含む、請求項12に記載の組立部品。
【請求項14】
プラスチック製構成部品の上には下塗りなしで接着剤が利用される、請求項13に記載の組立部品。
【請求項15】
接着剤で接着された構成部品がフロントエンドキャリヤー組立部品、クロスカービーム組立部品、後部扉/リフトゲート組立部品、ドア組立部品、水導管組立部品、放熱器末端貯槽組立部品、オイルパン組立部品、エンジン吸気多岐管組立部品、弁覆い気筒頭部組立部品、排気系統構成部品、外装品、内装品、構造的支持体またはそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の組立部品。
【請求項16】
第一の構成部品がフロントエンドキャリヤーであり、第二の構成部品が水平補強横梁であり、そして当該組立部品がさらに追加の構成部品を垂直金属製補強材の形で含む、請求項15に記載の組立部品。
【請求項17】
さらに第三の構成部品を含む、請求項11に記載の組立部品。
【請求項18】
接着剤が周囲条件で流動性である、請求項11に記載の組立部品。
【請求項19】
接着剤がアクリルまたはポリウレタン接着剤である、クレーム19の組立部品。
【請求項20】
構成部品のうちの1つにある少なくとも1つの開口部が接着部空洞への通路を提供するような状態で、少なくとも1つの接着部空洞を形成するように、充填剤入りのポリプロピレンフロントエンドキャリヤーおよび少なくとも1つの水平鋼鉄製横梁を固定機構で保持すること、
接着部空洞の中に開口部を通して周囲条件で流動性の接着剤を注入すること、および
取り扱うのに十分ななま強度を持つまで周囲条件で接着剤を少なくとも部分的に硬化すること
を含む、車両フロントエンド組立部品を製造する方法。

【公表番号】特表2008−531951(P2008−531951A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558174(P2007−558174)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/007238
【国際公開番号】WO2006/094042
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】