説明

構成部品接続部

第1の構成部品、第2の構成部品、前記両方の構成部品を着脱自在に互いに接続するために利用される、互いから離間して配置される少なくとも二対の留め具を有する構成部品接続部であって、それぞれの留め具対が、一つの雌型留め具と、前記雌型留め具の内部に挿入される、特に差し込まれる一つの雄型留め具とから成っており、さらに、それぞれの留め具対の一方の留め具が前記第1の構成部品に、他方の留め具が前記第2の構成部品にそれぞれ備えられている。前記両方の構成部品に備えられた前記各留め具対を利用して前記両方の構成部品を着脱自在に接続する際に、前記両方の構成部品を湾曲させるある一定の曲げ応力が生じるように、前記各留め具は配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念(所謂おいて書き部分、プリアンブル部分)に記載の構成部品(コンポーネント)接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
本特許出願の対象に関連するのは、特許文献1ならびに2から知られる構成部品接続部である。
ほかにも背景技術として特許文献3〜16が挙げられる。
【0003】
車両ボディの大量生産ラインでは、多数の個々のボディ部品ならびに付属品類、例えば保持具等の組付けが、様々なロボットにより実質的に全自動化された工程で行われるようになっている。接合ないしは接続工程においては、まず複雑なクランピング技術やピックアップ技術により二点以上のボディ部品の相対的な位置決めを行った後、続いて例えば溶接やクリンクチングにより、またはその他の接合方案により、各部品を互いに接合している。
【0004】
前掲の特許文献2は、二点以上のボディ部品の(予備)組付けを簡単に行えるようにするために利用される、差込み式のクランプジョイントに関するものである。少なくとも二つの構成部品の内、第1の構成部品から「雄型留め具」が突出しており、これが別の車両構成部品に設けられた穴状の「雌型留め具」の内部に一定の挿入方向に沿って挿入されるようになっている。雄型留め具は一つの作用頭部を有しており、この作用頭部が、その一部または全体に一つの球の形状、もしくはその一部または全体に球に似た形状を有しており、かつ挿入方向に対して横向きに雌型留め具よりも大きい寸法を有することによって、両方の車両ボディ構成部品が留め具のところで互いに対して挟持されるようにしている。
【0005】
車両ボディの生産ラインでは、一般には「構成部品別に専用の」保持装置を使用して、互いに接続されなければならないそれぞれのボディ部品をばらばらにならないように保持した後、続いて接合するようになっている。「構成部品別に専用の」とは、特定の構成部品もしくは互いに接続されることになる二つの構成部品の幾何形状に対応して、当該装置が個別に考案され設計されていることを意味する。互いに接合されることになる構成部品が、十分な固有安定性を有していない、すなわち成形型での成形後に一種の「跳ね返り挙動」を呈する場合は、作製対象である構成部品複合体の幾何形状を、当該保持装置に備えられるその幾何形状に固有の支持点により規定してやることが必要である。保持装置を使用して設定されるこの幾何形状は、さらにもう一つの構成部品を溶接することによって初めてこれを固定化することができる。
【0006】
そのような保持装置は、高額な初期投資と抱き合わせになっている。この保持装置により工場内の貴重な生産スペースが占有されることになるが、これもまたコストと抱き合わせになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE 10 2010 028 323 A1
【特許文献2】DE 10 2010 040 547 A1
【特許文献3】DE 10 2009 049 602.5
【特許文献4】DE 10 2008 038 747 A1
【特許文献5】DE 10 2009 041 161 A1
【特許文献6】DE 10 2010 028 322 A1
【特許文献7】DE 10 2007 044 635 A1
【特許文献8】DE 10 2004 046 584 A1
【特許文献9】DE 3302177 A1
【特許文献10】US 4942539
【特許文献11】US 2003/0090682 A1
【特許文献12】EP 1772199 A1
【特許文献13】US 5150623
【特許文献14】DE 19745728 A1
【特許文献15】DE 69632309 T2
【特許文献16】DE 10 2007 061 803 B3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、構成部品別に専用の保持装置を不要として、互いに対して永久固定式に接続されなければならない二つの構成部品の予備固定を可能とする、構成部品接続部を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の各特徴により解決される。本発明の有利な構成形態および展開構成例は、それぞれの従属請求項から読み取ることができる。
本発明の出発点は、互いから離間して配置される少なくとも二対の留め具を介して着脱自在に互いに接続される第1の構成部品と第2の構成部品とを有する構成部品接続部である。この「構成部品」という概念は、極めて広い解釈を許すものである。これには特にパネル状の構成部品、例えば鋼板製またはアルミニウム板製の構成部品などが含まれるが、これらに限定されるわけではない。構成部品は特に、製造対象である車両ボディの様々なボディ構成部品であるとよい。
【0010】
少なくとも二対の留め具はいずれも、一つの雌型留め具と、この雌型留め具の内部に挿入される、特に差し込まれる一つの雄型留め具とを有している。各留め具対の一方の留め具は第1の構成部品に、各留め具対の他方の留め具は第2の構成部品にそれぞれ備えられている。
【0011】
例えば雄型留め具が第1の構成部品に備えられ、雌型留め具が第2の構成部品に備えられたものであるとよい。
あるいはその代わりに、第1の留め具対の雄型構成部品を第1の構成部品に、これと組み合される雌型留め具を第2の構成部品に配置して、第2の留め具対の雄型留め具を第2の構成部品に、第2の留め具対のこれと組み合される雌型留め具を第1の構成部品に配置する、またはその逆に配置することも可能である。
【0012】
本発明の核心は、両方の構成部品を、両構成部品に設けられたこれらの留め具対を利用して着脱自在に接続する際に、これらの構成部品を屈曲ないしは湾曲させる曲げ荷重が生じるように、それぞれの留め具を配置することにある。
【0013】
そうすることによって、二点以上の構成部品から製造される構成部品複合体を着脱自在に「組み立てる」ことが可能となる。二点以上の構成部品のこの着脱自在な接続方式によって、従来のやり方では構成部品別ないしは構成部品接続部別の専用保持装置を使用しない限り加えることが不可能であった「曲げ荷重」を、構成部品複合体に狙い通りに加えることが可能となる。
【0014】
例えば車両のドアは、互いに接続されなければならない複数の薄板から、特に一枚のアウタパネルと、これに接続されることになる複数の構造用薄板とから成っている。個々の薄板を互いに溶接する前には、予め個々の薄板の相対的な位置を固定しておく必要があるのだが、上述の構成部品接続部により、構成部品別ないしは構成部品複合体別の専用保持装置を不要として、この作業を非常に簡単に実現することができる。
【0015】
特に、少なくとも二つの構成部品を、両構成部品に設けられた複数の留め具対を利用して着脱自在に接続する際には、これらの留め具対の間に位置している各構成部品の領域を屈曲ないしは湾曲させる曲げ荷重が生じるように、それぞれの留め具が配置されているとよい。
【0016】
第1の構成部品に備えられる留め具間の第1の構成部品の表面に沿って測った距離が、第2の構成部品に備えられる留め具間の第2の構成部品の表面に沿って測った距離とは(ほんの僅かだけ)異なっているように、それぞれの留め具が配置されているとよい。そのようなほんの僅かな距離差により、互いに組み合される留め具を接続する際には、両構成部品の「自動的」な湾曲ないしは屈曲がもたらされることになる。
【0017】
両構成部品の着脱自在な相互固定は、一方の留め具が、一定の挿入方向に沿って、他方の構成部品に備えられた他方の留め具の周囲に、もしくは他方の構成部品に備えられた留め具の内部に挿入されて固定式に挟持されることにより行われる。両構成部品は、これらが着脱自在に接続された後には、この挿入方向に対して垂直な向きに変位不能であるように、(着脱を可能として)相対位置を固定されている。
【0018】
それぞれの留め具は、クリップ式またはスナップイン式の接続部を形成するように構成されたものであるとよい。一方の留め具が他方の留め具にパチンとはまり込むようにするか、あるいは一方の留め具が他方の留め具を後方から把持する位置に移動されるようにするとよい。すなわちこれらの留め具間には、挿入方向とは逆方向に作用する形状同士の係合部が備えられているとよい。しかし、そのような形状同士の係合部もしくはアンダカット部は、どうしても備えなければならないといった類のものではない。
【0019】
両構成部品は、一対の留め具を利用して、摩擦係合だけにより互いに対して挟持されるようにしてもよい。あるいはその代わりに両構成部品は、一対の留め具を利用して、摩擦係合と同時に形状同士の係合によっても互いに対して挟持されるようにしてもよい。
【0020】
両構成部品は、これらを複数の留め具を介して脱着自在に(予め)固定した後には、例えば溶接により、取り外すことができないように互いに対して接合されるとよい。本発明の本質的な長所は、この取り外すことが不可能な接合部を得るために、(例えば溶接工程の間に)両構成部品を互いに対して押し付けるチャックもしくはクランプ装置が不要である点に見出される。それどころかむしろ溶接工程の前ならびに溶接工程の間には、着脱自在に互いに接続された留め具だけにより、両構成部品が互いに保持し合うだけで間に合うようになっている。
【0021】
本発明の展開構成例においては、第1の留め具として「雄型留め具」が、すなわち第1の構成部品から何らかの方法により突出している留め具が使用されるようになっている。第2の留め具は、この雄型留め具と協働する雌型留め具であると好適である。両方の留め具をつなげたり、はめ合わせたりすることによって、両構成部品は互いに挟持し合うことができる。「雌型留め具」という概念も同様に、極めて広い解釈を許すものである。これは、雄型留め具を一定の挿入方向に沿って雌型留め具の内部へと挿入することができるような、設計上のデザインを意図したものである。すなわち(車両)構成部品は、玩具部門でおなじみのはめ込み式の積み木のように、簡単につなげられるようになっており、またそれにより相対的な位置を(予め)固定できるようになっている。
【0022】
雄型留め具は、挿入方向に対して実質的に横向きに、雌型留め具よりも大きい寸法を有しているが、それにより両構成部品は、両者をつなげた後には、それぞれの留め具のところで互いに挟持し合うようになっている。
【0023】
本発明の別の展開構成においては、第1の留め具として、球形の、または球形に似た形状の留め具として構成される、もしくは球形または球形に似た形状の部分を有している留め具が使用される。雄型留め具は100%金属製、特に鋼製またはアルミニウム製であるとよい。雄型留め具は、例えば材料同士の融合により、例えば溶接により、第1の構成部品に接合されるとよい。特に第1の留め具として機能する一つの球が、第1の構成部品に直接溶接されるようにするとよい。
【0024】
あるいはその代わりに、一部または全体に一つの球の形状を有している、もしくは一部または全体に球形に似た形状を有している作用頭部と、この作用頭部に(例えば一体式に)接続された脚部領域とを有している第1の留め具を使用することもできる。この脚部領域は、例えば何らかの冷間接合方案(例えばパンチリベット、圧入)を利用して、第1の構成部品に形状同士の係合により接合されるようにするとよい。
【0025】
前出の「球形に似た形状」という概念も同様に、非常に広い解釈を許すものであり、球の幾何形状の数学上の概念に限定されるものではない。例えば「球形に似た形状」の意味には、「凸型に膨出した」も含まれることになる。球状に、または球形に似た形状に構成される雄型留め具は、車両構成部品のいずれか一方または両方の、この雄型留め具が備えられている地点における法線方向に関して、回転対称形であると好適である。ごく一般には「球状」または「球形に似た形状」という概念には、「丸い」幾何形状、もしくは「膨出した」、特に「凸型に膨出した」幾何形状も含まれている。
【0026】
そのように構成された雄型留め具は、第2の(車両)構成部品に非常に良好につなげることができる。雄型留め具の角がない丸い幾何形状により、つなげる際に思いがけず角が当たり両方の(車両)構成部品が引っ掛かってしまう怖れを最小限化している。
【0027】
作用頭部とこれに接続される脚部領域とから成る第1の留め具を使用した場合は、ごく一般に言えばその脚部領域に、作用頭部を第1の構成部品に接続するために利用される一種の接続要素としての機能を受け持たせることができる。
【0028】
脚部領域は、「型押し要素」として低コストで構成されたものであるとよい。脚部領域は、圧入によって取外しが不可能な、すなわち第1の構成部品との形状同士の係合による永久固定式の接合部がもたらされるように、慣行の圧入方案(例えばパンチリベット)により第2の構成部品の内部に高精度で「圧入」されるとよい。脚部領域は、例えばセルフピアシングリベットとして実施されたものであるとよい。脚部の圧入は、相応のロボット装置を使用して全自動で実行されるようにするとよい。
【0029】
あるいはその代わりに成形型に圧入装置が組み込まれるようにしてもよい。例えば、第1の(薄板製)構成部品に三次元成形加工を施す深絞り工程の間または終了間際に、雄型留め具を植え込むことを可能にするようなパンチリベット装置が、深絞り金型に組み込まれているとよい。あるいはその代わりに脚部領域が同時に、第1の構成部品の対応するボルト穴の中へねじ込むためのものと定められたボルト軸部として実施されたものであってもかまわない。
【0030】
(車両)構成部品、例えば個々のボディ部品は、一つまたは複数のそのような留め具対により互いに接続される、すなわち(予め)組み付けられるようになっている。その際には個々の構成部品をただ単に「つなげる」ことだけが必要である。(車両)構成部品の種類および設計上企図されている「挟持力」に応じて、両方の(車両)構成部品は、そのような留め具対だけを介して、またはさらにそれに追加して、例えば溶接、ボルト締結、リベッティング、クリンチングなど、その他の接合技術の内のいずれか一つまたは複数を使用して、互いに接合されたものであるとよい。ここで検討対象となるのは特に、構成部品の片側だけから実行可能な接合技術(「片面接合法」)である。ここではその具体例としてレーザ溶接を挙げるが、この場合はスポット溶接法とは異なり、電極ホルダを使用して「構成部品複合体」の両側から作業を行う必要はなく、片側からだけで作業を行うことができる。
【0031】
雌型留め具は、第2の(車両)構成部品に設けられた「通し穴」により形成されたものであるとよい。この「通し穴」という概念は広い解釈を許すものであり、特定の幾何形状の穴におのずと限定されるものではない。この通し穴は、例えば円形であってもかまわないし、あるいは円形とは異なる幾何形状、例えば実質的に正方形の幾何形状や、三角形、四角形または多角形の幾何形状を有していてもかまわない。また後者の場合は「角」落としがなされたものであるとよい。
【0032】
少なくとも一つの雄型留め具の挿入方向に対して横向きの寸法は、雌型留め具に対して一定量過剰となっているために、両方の留め具―または両留め具の内の少なくともいずれか一方―は、両者をつなげることを可能にするとともに、つなげた後には十分な挟持力が維持され続けるようにするために、ある程度の「最小弾性率」を有していなければならない。
【0033】
雄型留め具、もしくは雄型留め具の作用頭部は、例えば中実材料から成る一つの球、特に鋼球またはアルミニウム球であるとよい。そのような「中実球」は、比較的小さな弾性率を有している。つなげるために必要な最小弾性率は、雌型留め具の形状を相応に構成することによって達成することができる。
【0034】
両方の(車両)構成部品をそれぞれの留め具のところでつなげた後には、挿入方向に対して垂直な向きに遊びなしで互いに対して接続された状態、すなわち変位不能であるように相対位置を固定された状態になるようにするとよい。
【0035】
本発明のさらに別の展開構成例においては、雌型留め具を形成している通し穴の周縁部に、第2の(車両)構成部品から突出している、曲げ弾性を示す一つの挟持要素が備えられている。この挟持要素は、雄型留め具の作用頭部の外表面に、外側から挿入方向に対して実質的に横向きに作用する挟持力を加えるようになっている。この挟持力により、雄型留め具の作用頭部は、後方からも把持されることになる。もっともこれは、必ずしもそうしなければならないものではない。アンダカット部が設けられている場合は、両方の留め具を接ぎ合わせる際に、すなわちつなげる際に「押付け力が過多」となると、雄型留め具の作用頭部が雌型留め具の内部または周囲にスナップイン式にはまり込むことになる。
【0036】
上述の挟持要素は、通し穴の周縁部の全周にわたり延びているクランプカラーであるとよい。あるいはその代わりに、周縁部の一部だけにわたり延びている一つのクランプカラー要素が備えられていてもかまわない。さらに、円周方向に互いから離間して配置される複数のクランプカラーを通し穴に沿って備え、これらがいずれも外側から雄型留め具の外周部分または外周の一カ所に接触するようにしてもよい。ほかにも、備えられている複数のクランプカラーの内の一部だけが、雄型留め具の作用頭部を外側から押さえ付けるようにしてもよい。
【0037】
上述の一つまたは複数のクランプカラーが、挿入方向もしくは挿入方向とは逆方向に第2の(車両)構成部品から突出するようにするとよい。この少なくとも一つのクランプカラーは、第2の車両部品に対して完全に直角曲げ加工される必要はなく、むしろ若干の傾斜姿勢を取るようにするとよい。例えば少なくとも一つのクランプカラーは、通し穴の領域で第2の(車両)構成部品の表面と80°から90°の間の範囲の角度を成して交差するとよい。
【0038】
第1および/または第2の(車両)構成部品は、薄板製構成部品、特にボディ構成部品であるとよい。あるいはその代わりに第1および/または第2の(車両)構成部品は、プラスチック製構成部品、特に繊維強化プラスチックから成るプラスチック製構成部品であるとよい。
【0039】
雌型留め具を形成する通し穴は、第2の(車両)構成部品から打抜き加工されたものであるとよい。クランプカラーは、この打抜き加工された通し穴の、「曲げ加工」もしくは「タンゼント曲げ加工」された部分、または隆起している部分であるとよい。
【0040】
車両部品は特に、一方が、または両方とも、深絞り部品であるとよい。例えば通し穴により形成されているとよい少なくとも一つの雌型留め具は、深絞り金型の内部で直接打抜き加工されるか、またはそれに続く製造工程で作製されるようにするとよい。
以下では本発明を図に関連付けて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】表面に鋼球が溶接されている薄板を示す図である。
【図2】環状クランプカラー付きの通し穴を設けた薄板を示す図である。
【図3】環状クランプカラー付きの通し穴を設けた薄板を示す図である。
【図4】クランプカラーの別の実施例を示す図である。
【図5】クランプカラーのさらに別の実施例を示す図である。
【図6】クランプカラーのさらに別の実施例を示す図である。
【図7】本発明にしたがった雄型留め具の第1実施例を示す図である。
【図8】本発明にしたがった雄型留め具の第2実施例を示す図である。
【図9】両方の構成部品を緩やかに接続する前の、本発明にしたがった構成部品接続部を示す図である。
【図10】両方の構成部品を緩やかに接続した後の、本発明にしたがった構成部品接続部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1には、表面に鋼球2として構成された作用頭部を有する雄型留め具が取り付けられている、第1の薄板1が示されている。
図2、3には、クランプカラーとして機能する曲げ加工されたカラー5を有する通し穴4が打抜き加工されている、第2の薄板3が示されている。この通し穴4ならびにクランプカラー5は、作用頭部を形成している球2よりもほんの僅かだけ小径となっている。しかしながらクランプカラーには十分な弾性が備わっているために、この通し穴4の中に、またはこれを通り抜けるように、球2を押し込むことができる。
【0043】
この通し穴4は、図2、3に示されるように概ね四角形ないしは正方形の形状を有しているとよい。通し穴の幾何形状が概ね正方形である場合は、クランプカラー5が互いから約90°ずつ離間した4箇所で、球2を外側から点状に押さえ付けることになる。
【0044】
図4には、つなげられた状態にある両方の薄板1、3が示されている。薄板1に取り付けられた球は、下側から通し穴4に通して差し込まれている。クランプカラー5は挿入方向6に対して実質的に横向きに球2を外側から押さえ付けている。それにより両薄板1、3は、挿入方向6に対して垂直な向きに固定式に、実質的に遊びなしで相対的に位置決めされている。
【0045】
図5には、一つの環状のクランプカラーの代わりに、円周方向に等間隔で分散して配置される複数の歯状クランプカラー要素5a、5b、5cが備えられた実施例が示されている。
図6の実施例においては、そのような歯状クランプカラー要素5a、5bが二つだけ備えられているが、これらは周方向に約180°互いから離間して配置されている。両クランプカラー要素5a、5bは、球2を挟んで互いに反対側に配置されている。
【0046】
図7には、球状の作用頭部2’と、これに一体式に接合された脚部領域ないしは脚部2”とを有する雄型留め具2が示されている。脚部領域2”は、ここでは(自己穴あけ機能を持つ)セルフピアシングリベットの形態として構成されている。セルフピアシングリベットとして構成された脚部領域2”を植え込む際、すなわち圧入する際には、脚部領域2”の端面領域が第1薄板1(図1を参照)の内部に侵入し、その際に半径方向に拡幅することによって、第1薄板1との形状同士の永久的な固定接合部がもたらされるようにしている。
【0047】
図8には、作用頭部2’が、上に向かって円錐状に先細りし、角を落とされた上側の領域2’aと、この領域から下へと続いている球状の領域2’bとを有している。さらに、図7の実施例と同様にセルフピアシングリベットとして構成されている脚部領域2”がある。
【0048】
図9には、互いに緩やかに接続されることになる構成部品1、3が示されている。第1の構成部品1の上側の面には、互いから離間して三つの球2a、2b、2cが配置されている。球2a〜2cは、第1構成部品1の上側の面に溶接されたものであるとよい。第2の構成部品3には、それぞれの球2a〜2cと組み合される通し穴4a、4b、4cが配置されており、そのいずれにもクランプカラーが備えられている。通し穴4bおよび4cは、例えば間隔xを有している。これらと組み合される球2b、2cは、間隔xよりも若干狭い間隔xを有している。
【0049】
図10から明らかであるように、その結果、両方の薄板1、3をつなげる際には、両薄板1、3を相応に湾曲させる曲げモーメントが生じることになる。
【符号の説明】
【0050】
1 第1薄板
2 鋼球
2a 球
2b 球
2c 球
2’ 作用頭部
2’a 円錐状領域
2’b 球状領域
2” 脚部領域
3 第2薄板
4 通し穴
4a 通し穴
4b 通し穴
4c 通し穴
5 クランプカラー
5a クランプカラー要素
5b クランプカラー要素
5c クランプカラー要素
6 挿入方向
間隔
間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成部品接続部であって、第1の構成部品(1)、第2の構成部品(2)、これら両方の構成部品(1,2)を着脱自在に互いに接合するために利用される、互いに離間して配置される少なくとも二対の留め具(2a,4a;2b,4b;2c,4c)を有しており、それぞれの留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)が、雌型留め具(4a,4b,4c)と、前記雌型留め具(4a,4b,4c)の内部に挿入され、特に差し込まれる雄型留め具(2a,2b,2c)とから成っており、さらに、それぞれの留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)の一方の留め具(2a〜2c)が前記第1の構成部品(1)に、他方の留め具(4a〜4c)が前記第2の構成部品(3)にそれぞれ備えられている、構成部品接続部において、
前記両方の構成部品(1,3)に備えられた前記各留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)を利用して前記両方の構成部品(1,3)を着脱自在に接合する際に、前記両方の構成部品(1,3)を湾曲させる曲げ応力が生じるように、前記各留め具(2a〜2c;4a〜4c)が配置されていることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項2】
請求項1に記載の構成部品接続部において、
前記両方の構成部品(1,3)に備えられた前記各留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)を利用して前記両方の構成部品(1,3)を着脱自在に接合する際に、前記各留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)間の領域で前記両方の構成部品(1,3)を湾曲する曲げ応力が生じるように、前記各留め具(2a〜2c;4a〜4c)が配置されていることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項3】
請求項1または2に記載の構成部品接続部において、
前記第1の構成部品(1)に備えられる前記各留め具(2b,2c)間の前記第1の構成部品(1)の表面に沿って測った距離(x)が、前記第2の構成部品に備えられる付設の各留め具(4b,4c)間の前記第2の構成部品(3)の表面に沿って測った距離(x)とは異なることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記各留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)の雄型留め具(2a〜2c)が、一定の挿入方向(6)に沿って別の構成部品(3)に備えられた雌型留め具(4a,4c)の内部に挿入され、そこに固定挟持されることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記両方の構成部品(1,3)が、前記挿入方向(6)に対して垂直な向きに着脱自在に接続された後、変位不能であるように相対位置を固定されることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
それぞれの構成部品接続部の前記各留め具が、クリップ式またはスナップイン式の接続部を形成すること、
それぞれの留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)の前記各留め具が、互いにはまり合うか、または互いの形状同士の係合により一方が他方を後方から把持することを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
それぞれの留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)の前記各留め具が、摩擦係合により互いに対して挟持されることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
それぞれの留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)の前記各留め具が、摩擦係合と形状同士の係合とにより互いに対して挟持されることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
それぞれの留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)の雄型留め具(2a,2c)がいずれも、対応して割り当てられる雌型留め具(4a〜4c)よりも大きい寸法を有することを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記各留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)の少なくとも一つの留め具対の雄型留め具の少なくとも一つが全体でまたは一部で、球形または球形に似た形状であるか、または、前記各留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)の少なくとも一つの留め具対の雄型留め具の少なくとも一つが、球形部分または球形に似た部分を有することを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記各留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)の少なくとも一つの留め具対の雄型留め具の少なくとも一つ(2a〜2c)が、100%金属製の、特に鋼またはアルミニウム製の留め具であることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記各雄型留め具の少なくとも一つが、前記両方の構成部品のいずれか一方(1)に溶接されていることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記各雄型留め具の少なくとも一つ(2)が、一部または全体に球の形状を有し、または一部または全体に球に似た形状を有する作用頭部(2’)と、前記作用頭部(2’)に接続された脚部(2”)とを有することを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項14】
請求項13に記載の構成部品接続部において、
前記脚部(2”)が、冷間接合法により前記両方の構成部品のいずれか一方(1)に接合されたものであることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記各留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)の少なくとも一つの雌型留め具(4a〜4c)が、前記両方の構成部品(1,3)のいずれか一方に設けられた通し穴に一部または全体が通されるように形成されていることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項16】
請求項15に記載の構成部品接続部において、
前記通し穴(4a〜4c)が、円形以外の任意形状を有することを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項17】
請求項15または16に記載の構成部品接続部において、
前記通し穴(4a〜4c)が正方形または三角形に近似していることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記通し穴(4a〜4c)を設ける際に、前記通し穴(4a〜4c)の周縁部(5a,5c)が曲げ加工され、該当構成部品(3)から突出する、曲げ弾性を示す挟持要素(5a,5c)を形成し、前記挟持要素(5a,5c)が、対応して割り当てられる雄型留め具(2a〜2c)の外周面で、前記挿入方向に対して実質的に横向きに作用する挟持力を外から作用させることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記通し穴(4a〜4c)が、前記両方の構成部品のいずれか一方(3)から打抜き加工されていることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
少なくとも一つの挟持要素(5a〜5c)が、前記両方の構成部品のいずれか一方(3)の曲げ加工された部分であることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記両方の構成部品(1,3)をつなげた後、前記少なくとも一つの挟持要素(5a〜5c)が、これと対応して割り当てられ協働する雄型留め具(2a〜2c)を後方から把持することを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記挟持要素(5a〜5c)が、前記通し穴(4a〜4c)の周縁部の全周にわたり延びるクランプカラーであることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記通し穴(4a〜4c)の周縁部に沿って、円周方向に互いに離間して配置される複数のクランプカラー(5a,5b,5c)が備えられており、前記各クランプカラー(5a,5b,5c)がいずれも外側から、対応して割り当てられる雄型留め具(2,2a,2b)の外周部分に接触することを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
一つのクランプカラーないしは複数のクランプカラー(5,5a,5b,5c)が、前記挿入方向に、もしくは前記挿入方向とは逆向きに、前記両方の構成部品のいずれか一方から突出するように、曲げ加工されていることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記両方の構成部品(1,3)の少なくともいずれか一方が、鋼またはアルミニウム製の構成部品であることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか一項に記載の構成部品接続部において、
前記両方の構成部品(1,3)の少なくともいずれか一方が、車両ボディのボディ構成部品であることを特徴とする、構成部品接続部。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか一項に記載の構成部品接続部の構成部品を着脱自在に接続する方法において、
前記構成部品(1,3)を材料同士の融合により互いに接合する工程を特徴とする、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、
前記両方の構成部品(1,3)を互いに溶接する工程を特徴とする、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
前記両方の構成部品を前記溶接工程の前または前記溶接工程の間に、もっぱら前記各留め具対(2a,4a;2b,4b;2c,4c)により互いに保持する工程を特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−521129(P2013−521129A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555337(P2012−555337)
【出願日】平成23年9月10日(2011.9.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/004561
【国際公開番号】WO2012/052094
【国際公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(391009671)バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト (194)
【氏名又は名称原語表記】BAYERISCHE MOTOREN WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】