構造を検出しおよび/または作用させるための共鳴音響および/または共鳴音響−EMエネルギーの使用方法
【課題】従来技術は、近くの組織に影響を及ぼさずに、生物学的構造の機能に影響を及ぼすための申し分ない方法または系(装置)を示唆できなかった。さらに、従来技術は、音響共鳴を用いて生物学的構造または無機構造の正確な検出を可能にして、高信号対ノイズ比を有する特徴を生じる一方、近くの構造にほとんど影響を及ぼさない方法を提供しない。さらに、従来技術における非共鳴音響エネルギーの使用は、標的構造および非標的構造に等しく影響を及ぼす。
【解決手段】本発明は、生物学的構造内の機能の検出および/または同定のために、ならびに増大および/または毀損のために、無機または生物学的構造に適用される共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを使用する。
【解決手段】本発明は、生物学的構造内の機能の検出および/または同定のために、ならびに増大および/または毀損のために、無機または生物学的構造に適用される共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響、共鳴音響および/または共鳴音響−EMエネルギーおよび/または電磁特性および/または場を用いた無機および生物学的構造の検出、ならびに/あるいは生物学的構造の機能の毀損(disruption)および/または増大(augmentation)に関する。
【背景技術】
【0002】
系の共鳴音響周波数は、その系の自然の自由振動周波数である。共鳴音響系は、共鳴周波数に近いかまたは等しい周波数の狭帯域の弱い機械的または音響的駆動力により励起され、それにより標的構造に音響共鳴を誘導(誘起)し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,976,148号
【特許文献2】米国特許第5,062,296号
【特許文献3】米国特許第5,355,731号
【特許文献4】米国特許第5,048,520号
【特許文献5】米国特許第5,178,134号
【特許文献6】米国特許第4,646,725号
【特許文献7】米国特許第5,426,977号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
音響共鳴は、固体物質の種々の特性を決定するために用いられてきた。例えば、Migliori等は、米国特許第4,976,148号および第5,062,296号および第5,355,731号において、対象物の超音波励起に由来する対象物の独特の共鳴周波数スペクトル分析学的特徴を特徴付けるための方法、軸受け用ローラーボールのような球状対象物の生産量を等級分けするための共鳴超音波スペクトル分析法の使用、ならびに高散逸試料の弾性定数を算出する場合に使用するために低振幅共鳴を検出させるための高散逸物質の矩形平行管試料を用いた共鳴超音波スペクトル分析法の使用を開示する。しかしながら、Miglioriの特許は固体物質に向けられ、特に液体系が関与する場合には、有機または生物学的物質の選択的ターゲッティングに向けられない。
【0005】
無生物構造との相互作用の他に、共鳴エネルギーは生きている生物学的有機体および構造とも相互作用する。音響エネルギーは、生物学的構造に音響波を向け、そして音響波の反射パターンを分析することにより、構造をイメージングするために医学および生物学に広範に用いられてきた。さらに、音響エネルギーは、損傷または疼痛の標的領域に熱を送達するために物療医学に用いられてきた。しかしながら、前記の用途はすべて、特定の標的構造に対して非選択的である音響エネルギーの使用によっており、そういうものとして、ただ標的構造だけより以外に影響を及ぼし得る。
【0006】
Vago, RE.、米国特許第5,048,520号および第5,178,134号は、局所衛生および抗ウイルス作用のための動物の超音波治療を開示する。開示された周波数は、15キロヘルツ〜500キロヘルツの範囲である。それらは、非エンベロープ性ウイルスが超音波の不活性化作用に不応性あった、ということも報告する。それらの抗菌作用に関して引用されたメカニズムは、皮膚表面のみの「キャビテーション」であり、それらは特に、それらの装置における共鳴周波数の使用を回避する。
【0007】
Moasser, M.、米国特許第4,646,725号は、ヘルペスウイルスを含めた感染性作因により引き起こされる皮膚および粘膜病変の治療のための診断用超音波機のためのアダプターの使用を開示する。治療方法は、1平方センチメートル当たり1.5ワットの出力で2.0〜3.0分であって、特定の周波数は挙げられていない。音響共鳴の使用は、考察または意図されていない。
【0008】
Johnston, RG.、米国特許第5,426,977号は、サルモネラ属細菌の存在を確立するための技法を提供するために、卵における音響共鳴の超音波測定を開示する。Johnsonは卵を特性化し、サルモネラ属細菌を含有する卵と含有しない卵との間の差を確定している。このようなものとして、この方法は実際の微生物を検出しないが、しかしその代わりに、細菌の物理的存在により修飾される卵殻の振動モードを特性化する。
【0009】
従来技術は、近くの組織に影響を及ぼさずに、生物学的構造の機能に影響を及ぼすための申し分ない方法または系(装置)を示唆できなかった。さらに、従来技術は、音響共鳴を用いて生物学的構造または無機構造の正確な検出を可能にして、高信号対ノイズ比を有する特徴を生じる一方、近くの構造にほとんど影響を及ぼさない方法を提供しない。さらに、従来技術における非共鳴音響エネルギーの使用は、標的構造および非標的構造に等しく影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要約
本発明の目的のために、明細書および特許請求の範囲に出現する下記の用語および表現は、以下の意味を有するものとする:
「音響エネルギー(acoustic energy)」とは、本明細書中で用いる場合、物理的構造が振動し、動きの振動エネルギーが周囲媒質、例えば空気、液体または固体に伝達されるときに生成しているエネルギーと定義される。
【0011】
「検出する(detect)」とは、本明細書中で用いる場合、構造の存在または非存在を決定し、存在する場合にはその構造を同定することと定義される。
【0012】
「電磁(EM)特性および/または場(electromagnetic(EM)properties and/or fields)」とは、本明細書中で用いる場合、直流および交流の電流、電場、磁場、電磁線のほか、波、流量(cunent)、流束、抵抗、ポテンシャル、放射線またはあらゆる物理的現象(例えば参照により本明細書中に含まれるマックスウェルの方程式から得られるかまたは誘導されるもの)を含むがそれらに限定されないものの場を含む。
【0013】
「電磁(EM)エネルギーパターン(electromagnetic(EM)energy pattern)」とは、本明細書中で用いる場合、音響エネルギーがその構造と相互作用し、電磁特性および/または場として表出されるときに構造により産生される電磁エネルギーを表す。
【0014】
「生物学的構造(biologic structure)」とは、本明細書中で用いる場合、有機物と言い換え得るように用いられ、その例としては、最小の有機物または生化学的イオンまたは分子から細胞、器官および全生物体までの何でもが挙げられる。
【0015】
「毀損(disruption)」とは、本明細書中で用いる場合、生物学的構造に及ぼす有害作用を指す。
【0016】
「音響特徴(acoustic signature)」とは、本明細書中で用いる場合、音響共鳴における場合には信号の振幅の形態を取り得る構造により生成される独特の音響パターンを意味する。
【0017】
「共鳴音響周波数(resonant acoustic frequency)」とは、本明細書中で用いる場合、そこに音響共鳴を誘導するための自然共鳴周波数の調和または非調和周波数を含めた構造の自然共鳴周波数またはその近くの周波数を含む。
【0018】
「音響−EM特徴(acoustic-EM signature)」とは、本明細書中で用いる場合、音響共鳴において目的物によって生じるEMエネルギーパターンおよび/または共鳴音響周波数と等価の周波数におけるEMエネルギーと定義される。
【0019】
「音響−EMスペクトル分析法(aconsts-EM spectroscopy)」とは、本明細書中で用いる場合、音響共鳴にある構造に独特のEM特徴を検出すること、または電磁エネルギーの導入によって共鳴にある構造から独特の音響特徴を検出することと定義され、両方とも共鳴における構造を検出および/または同定するために用いられ得る。
【0020】
「生きている変換器(living transducer)」とは、本明細書中で用いる場合、電磁エネルギーまたは場を機械的エネルギーに、および/または機械的エネルギーを電磁エネルギーまたは場に変換する生物学的構造(たとえば、圧電または半導体)と定義される。
【0021】
「キャビテーション(cavitation)」とは、本明細書中で記載される場合、液体中の蒸気充填キャビティの形成、たとえば、沸騰が生じた場合の水中の気泡形成と定義される。
【0022】
「機械的(mechanical)」とは、本明細書中で記載される場合、熱およびキャビテーション領域間の強度/継続時間閾値領域に起こると考えられる圧縮および希薄化のようなメカニズムを含む。
【0023】
「非共鳴電磁特徴(non-resonant electromagnetic signature)」とは、本明細書中で用いる場合、非共鳴音響場により刺激された対象物により産生されるEMエネルギーパターンと定義される。
【0024】
「共鳴音響−EMエネルギー(resonant acousts-EM energy)」とは、本明細書中で記載する場合、構造中に音響共鳴を誘導(誘起)する電磁特性または場を意味する。
【0025】
本発明は、特定の標的構造に影響を及ぼすが、しかし近くの非共鳴構造に及ぼす作用を事実上有さない周波数を選択して、標的構造に音響共鳴を誘導することにより、従来技術の欠点を処理する。さらに、音響エネルギーパワー強度は、音響エネルギーを増大または置換する電磁(EM)エネルギー源を導入することにより低減され得るので、それにより高パワー音響エネルギーの毀損性を低減できる。EMエネルギーと音響共鳴との間の相互作用は、他の構造中でほとんど作用を生じることなく、高信号対ノイズ比を有する特徴を生じることにより、音響共鳴における構造の正確な検出を可能にする。
【0026】
本発明は、近くの構造は共鳴されず、事実上変更されないままにして、標的構造に有用なエネルギーを伝搬し得る共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いることにより、無機または生物学的構造を選択的に検出し、同定しおよび/または影響するための方法を提供する。
【0027】
したがって、その共鳴音響および/または音響−EM特徴および/または音響−EMエネルギーパターンを用いて無機または生物学的構造を同定または検出する方法を提供することは、本発明の目的である。
【0028】
共鳴音響および/または音響−EM特徴および/または音響−EMエネルギーパターンを用いて生物学的構造の増殖および/または機能を増大(augmentation)および/または毀損(disruption)するための方法を提供することは、本発明の目的である。
【0029】
生物学的構造の共鳴周波数を決定するための方法を提供することは、本発明のもう一つの目的である。
【0030】
共鳴音響および/または共鳴音響−EMエネルギーを用いて生物学的構造の存在を検出しおよび/または生物学的構造を同定するための方法を提供することも本発明の目的である。
【0031】
前記の目的にしたがって、本発明は、共鳴音響および/または共鳴音響−EM特徴および/または音響−EMエネルギーパターンを用いて、無機または生物学的構造の検出、ならびに/あるいは生物学的構造の増殖および/または機能の毀損および/または増大を提供する。
【0032】
音響共鳴の原理を適用すると、系の共鳴音響周波数はその系の自然自由振動周波数であり、したがって生物学的系は、周波数の狭いバンドでの弱い機械的または音響駆動力により励起され得る。さらに、生物学的構造のサイズ、形状および組成によって、1つより多い自然共鳴音響周波数、ならびに多数の亜調和的および超調和的共鳴音響周波数が存在し得る。
【0033】
無機および生物学的構造の両方を含む構造が音響共鳴を起こすと、エネルギーはその中で急速に強まる。エネルギーは系中に保持されるか、または周囲環境に放出される。構造中に保持されたエネルギーは、構造機能を増強するか、または構造の毀損を引き起こすことができる。共鳴系中のエネルギーは、電磁エネルギーとして内在的に散逸されるか、または音響エネルギーとして近くの媒質に伝達される。内在的散逸エネルギーは、分子および原子振動を介して散逸され、EMエネルギーパターンを産生するために、特に興味深い。このEMエネルギーは、構造が音響エネルギーにより励起され、いくつかの音響エネルギーはその構造と相互作用して、電磁エネルギーに変換されて、それが内在的に散逸されるため、音響−EMエネルギーと呼ばれる。産生されるEMエネルギーの特性、場および/または周波数は、当該構造の独特の分子および原子構成成分によっている。さらに、構造中の音響共鳴の誘導は、その構造に関して独特の音響−EM特徴の産生をもたらし、本発明に開示したように、これを用いて構造を検出および/または同定し得る。逆に、構造が適用される音響−EM特徴に等価なEMエネルギーを用いて標的化される場合、エネルギー散逸経路は逆に向けられ、音響共鳴の状態が誘導され得る。適用される音響−EM特徴によるエネルギー散逸経路の逆転は、もとの共鳴音響エネルギー場が産生するのと同一の増大、検出および毀損作用を生じるために用いられ得る。共鳴音響−EM特徴は、それ自体、あるいは共鳴音響エネルギーと組合せて用いられ得る。適用される共鳴音響−EM特徴および共鳴音響エネルギーを一緒に用いると、低パワーレベルの両方の種類のエネルギーの使用が可能になって、近くのまたは隣接する非標的構造に及ぼす電磁エネルギーおよび/または音響エネルギーの考え得る悪作用が軽減される。
【0034】
電磁エネルギーも、少なくとも4つの方法で系中の音響エネルギー波と相互作用し、そしてそれを補足し得る。即ち、圧電作用を介して、電磁エネルギーの内部散逸を介して、ならびに音響−電気作用または磁気−音響作用を介して。
【0035】
圧電作用において、音響振動エネルギーは変換器により互換可能的にEMエネルギーに転換される。生物学的圧電構造は、エネルギーの同一転換を行ない、それにより生きている変換器として作用し得る。したがって、EM場が生物学的圧電構造に適用されると、音響波が生成される。同様に、音響波が生物学的圧電構造に適用されると、EMエネルギーが産生される。生物学的構造中の圧電作用は、多数の有用な用途を有する(下記参照)。この作用は、音響共鳴の原理が適用されると、さらに有用になる。本発明においては、標的構造には劇的に影響を及ぼすが、隣接する非共鳴構造に及ぼす作用は事実上全く有さないパワーレベルで、特定の生物学的構造は音響波またはEMエネルギーで標的化され得る。他の人々により以前に定立されてはいないが、しかし機械的およびEMエネルギーの転換を変調する生きている共鳴圧電変換器として機能する生物学的構造は、疑いなく、EM場と生物学的構造との相互作用に関与する主な根元的メカニズムの1つである。
【0036】
音響電気作用では、音響波が半導体を通過すると、電流が誘導される。音響波がその物質を通過すると、電荷キャリヤーの位置エネルギーの定期的立体変動が引き起こされる。これは、音響波が半導体を横切っている間は、半導体の末端を横断する電場を生じる。自由電子キャリヤーは、位置エネルギートラフ中に束ねられ、そして特定の周波数を有する音響波が伝播すると、それは、それと一緒に束を引きずって、電場、例えば特定の音響周波数でパルスを発生するDC場、または特定の音響周波数と等しい周波数を有するAC場を生じる。その作用は、負と正の両方の荷電キャリヤーが存在する場合、そしてキャリヤーの多数の異なる群が存在する場合−即ち、生物学的系中にしばしば見出される状態が存在する場合に、増強される。生成される電流の属性は、当該構造の独特の分子および原子構成成分によっている。この局面は単独で、多くは半導体である生物学的物質に関する音響電気スペクトル分析を実施するための手段を提供し、そして、選択される周波数によって、生物学的構造における音響電気作用は多数の考え得る有用な他の用途を有する。このように理解される場合、標的構造は、非共鳴周波数を有する音響エネルギーに照射または曝露され、構造中の音響電気作用の電磁エネルギーパターンが検出され得る。この検出される非共鳴電磁特徴は、標的構造に影響を及ぼし、検出し、同定するための特徴として用いられ得る。
【0037】
しかしながら、音響電気作用は、音響共鳴の原理が適用される場合には、より有用になる。生物学的物質の増大、検出および/または毀損は、標的構造に劇的に影響を及ぼすが、しかし近くの非共鳴構造に及ぼす作用は事実上全く有さないパワーレベルで特定の構造に対して標的化され得る。共鳴構造中の音響電気作用により産生される電流は、隣接する非共鳴構造により産生されるいかなる電流より非常に強く、そして交流の性質を有し得る。共鳴構造から得られる大きい信号対ノイズ比は、音響およびEMエネルギーパターンの同定および検出の精度を改良する。圧電作用および音響共鳴内部エネルギー散逸経路の逆転(前記参照)と同様に、標的構造への共鳴音響電気EMパターンの適用は、音響波を増幅する(音響波長がデバイ長さである周波数でピークとなる音響電気増量。この場合、バンチングは最適である)。したがって、共鳴音響、音響電気および/またはEM場の併用は、そうでなければ非常に減衰し乏しい組織透過しか示さない高周波数音響エネルギーのより大きな組織透過を許容にする。共鳴音響周波数、音響電気および/またはEM場を一緒に用いると、より低パワーレベルのこれらの種類のエネルギーの使用が可能になり、他の非標的および非共鳴構造に及ぼす潜在的作用が軽減される。
【0038】
磁気音響作用は、当該物質の電子特性によって、単調な、振動性のまたは共鳴方式の、音響場の磁場依存性減衰である。構造組成に依存する結果のこの変動性は、磁場の付加により、生物物質およびその他の構造に関連して、音響−EMスペクトル分析のさらなる増強を提供する。さらに磁場の付加は、音響場を増幅または減衰し、それにより生物学的組織中の音響場の透過を改良または変調する手段を提供する。
【0039】
同様に、音響サイクロトロン共鳴(即ち、共鳴音響サイクロトロン共鳴)およびドップラーシフト化共鳴音響サイクロトロン共鳴と併用される共鳴音響作用は、構造の増大、検出および/または毀損を選択的に引き起こす強力且つ明確な手段を提示する。
【0040】
本発明は、特異的に標的にされた生物学的構造の機能の毀損および/または増大の目的のために生物学的構造に音響共鳴の原理を適用する方法を提供する。生物学的構造の共鳴音響周波数は、当業界で周知の方法および系を用いて共鳴音響スペクトル分析を実施することにより決定され得る。特に、生物学的構造の共鳴音響周波数は、以下の:
a)生物学的構造に音響エネルギーを適用して、一連の音響エネルギー周波数を通して走査し、そして
b)生物学的構造が少なくとも特定の周波数より音響共鳴に誘導されていることを示す生物学的構造からの最大信号出力を生じる少なくとも1つの特定の周波数を検出する
工程により決定され得る。
【0041】
(複数の)最大信号を生じる特定の周波数(群)は、生物学的構造の音響特徴として本明細書中で定義され、用いられる生物学的構造の共鳴音響周波数である。一旦決定されれば、少なくとも1つの共鳴音響周波数が生物学的構造に適用されて、そこにおける機能に影響を及ぼし、および/またはその音響−EM特徴を決定し得る。
【0042】
共鳴音響周波数を含めた音響エネルギー(たとえば、音響−EM特徴)は、生物学的構造の機能に影響を及ぼすのに十分なパワーレベルで適用される。音響エネルギーのパワー強度、および音響共鳴に誘導される標的構造の種類によって、構造は、毀損および/または増大といった影響を受けたその機能を有し得る。
【0043】
低パワーレベルでは、生物学的構造の機能は増大(augmentation)されるが、一方高パワーレベルでは、構造の毀損(disruption)が起こり得る。増大とは、本明細書中で用いる場合、生物学的構造に及ぼす有益な作用を包含する。機能のこのような増大または作用増強としては、増殖、生殖、再生、胚形成、代謝、発酵等の増強が挙げられるが、これらに限定されない。このような増強の結果としては、骨の質量または密度の増大、卵の数および成熟度の増大、白血球の数および/または機能の増大、ビール、ワインおよびチーズ製造業における発酵生成物の増大、植物の発芽および成長の増大等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本発明に開示されているように、音響共鳴により構造を選択的に毀損する能力が非常に有用であるいくつかの状況が存在する。前記のように、毀損とは、本明細書中で用いる場合、生物学的構造に及ぼす有害作用を指す。このような有害作用としては、生物学的構造の、あるいは生物学的構造の1つ又はそれ以上の構成成分の溶解、粉砕、破裂または不活性化を引き起こす生物学的構造の構造的不全が挙げられるが、これらに限定されない。毀損には、本明細書中で用いる場合、その範囲内に、成長、生殖、代謝、感染等に必要な生命作用過程の阻害も含まれる。毀損に関して標的にされ得る構成成分としては、DNA、RNA、タンパク質、炭水化物、脂質、リポ多糖、糖脂質、糖タンパク質、プロテオグリカン、葉緑体、ミトコンドリア、小胞体、細胞、器官等が挙げられるが、これらに限定されない。有毒生物の場合、毒性因子は、生物体の成長、感染性または毒性を防止または抑制するための毀損に向けて特異的に標的化され得る。このような毒性因子としては、内毒素、外毒素、ピリ線毛、鞭毛、プロテアーゼ、宿主細胞受容体のための配位子、被膜、細胞壁、胞子、キチン質等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本発明の方法を用いて毀損を受け易い有機物質、生物物質、あるいはそれらの1つ又はそれ以上の標的部分としては、ウイルス、細菌、原生動物、寄生生物、真菌、虫、軟体動物、節足動物、組織塊等が挙げられるが、これらに限定されない。毀損さるべき有機物質または生物物質は単離され、あるいは多細胞生物またはその部分中にもしくはその他の複合環境中に存在し得る。
【0046】
近くの組織または構造に影響を及ぼさない標的生物学的構造の毀損は、標的構造においてのみ誘導される音響共鳴(これは今日まで生物学的構造に影響を及ぼすメカニズムとは考えられたことがないが)によって起こると推測される。これは、キャビテーション、熱的および機械的メカニズムを含む生物学的構造に影響を及ぼすための3つのメカニズムのみを意図する従来技術で開示されたものとは非常に異なる。
【0047】
構造の実際的毀損を引き起こさない、例えば低レベルでの、特定のパワーレベルで、共鳴音響エネルギーは、構造内で内在的に散逸し得る。この内在的散逸音響エネルギーは、構造により、直流および交流、電場および磁場、電磁線等として表出され得る特定の特性および/または場を有する電磁エネルギーに転換され得る。電磁エネルギーのパターンは、構造の生成した音響−EM特徴を表す。
【0048】
本発明は、構造の音響−EM特徴の決定方法であって、構造の予め決定された共鳴音響周波数またはその近くの周波数を有する音響エネルギーで構造を照射してそこに共鳴を誘導し、そしてエネルギーの内在的散逸により引き起こされる電磁エネルギーパターンを検出する方法を提供する。
【0049】
特定の構造に関して音響−EM特徴が一旦決定されると、EMエネルギーパターンを適用することにより、この構造は音響共鳴に誘導され得る。適用される電磁エネルギーは直流および交流、電場および磁場、ならびに電磁線等を含む。
【0050】
このようなものとして、本発明は、標的構造の共鳴音響周波数および既定音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーを別々にまた組合せて適用して、標的構造に影響を及ぼすことにより音響共鳴の原理を適用し、その方法は、以下の:
a)標的構造の少なくとも1つの共鳴音響周波数を適用し、および/または
b)標的構造の音響−EM特徴の一部または全部と等価の電磁エネルギーを適用して、そして
c)標的生物学的構造内に音響共鳴を誘導し、そして構造の機能に影響を及ぼすためのパワー強度レベルで(a)および/または(b)の各々を適用する
工程を包含する。
【0051】
標的構造の共鳴音響周波数または音響−EM特徴はいずれも、構造中に音響共鳴を誘導するための適用可能エネルギーを提供するには、前記のように、予め決定されねばならない。電磁エネルギーは、構造が音響共鳴を誘導された場合に検出される電磁エネルギーパターン(たとえば、音響−EM特徴)と等価の特定の周波数を有する直流または交流の形態で標的構造中に導入され得る。さらに、各種類のエネルギーは、別々に用いられるより低いパワーレベルで適用され、これが構造中の音響共鳴の誘導を可能にして、構造に対する損害を低減し得る。
【0052】
本発明は、共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて無機または生物学的構造を検出しおよび/または同定するための方法を提供する。本方法は、一連の周波数を構造に照射して構造に音響共鳴を誘導する特定の1つ及び/又は複数の周波数を決定して構造の音響特徴を提供することによる、構造の音響特徴の決定を含む。音響特徴は、構造を検出および/または同定するために、参照特徴と比較され得る。
【0053】
さらに、構造の同定および/または検出は、標的構造の音響−EM特徴を検出することによっても達成され、その方法は、以下の:
a)標的構造中に音響共鳴を誘導し、そして
b)構造の音響−EM特徴を表す音響共鳴における標的構造からの電磁エネルギーパターンを検出する
工程を包含する。音響−EM特徴は、その構造を検出および/または同定するために、参照特徴と比較され得る。
【0054】
標的構造は、少なくとも1つの共鳴音響周波数を含む音響エネルギー、共鳴音響周波数と等価の電磁エネルギー、および/または音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーパターンを導入することにより、音響共鳴に誘導され得る。
【0055】
電磁特性および場として表出される電磁エネルギーパターンは、当業者に周知の検出手段、例えばIntroduction to Electromagnetic Fields and Waves, by Erik V. Bohn Addison-Wesley Publishing Co., 1968(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に開示された手段により決定され得る。
【0056】
本発明の別の実施態様では、構造を音響共鳴に誘導するために構造の音響−EM特徴の一部または全部を構造に適用することにより、構造は音響共鳴に誘導される。構造が音響共鳴に誘導されると、この事実を用いて、構造を検出および/または同定し得る。これは、特定の構造の同定または検出に用いられ得る本発明の別の方法を表すが、これは、各構造がそれ自体の独特の音響特徴を有するだけでなく、音響的に共鳴することによりそれが応答する独特の音響−EM特徴も有するためである。さらに、電磁特性および/または場のパワー強度、ならびに音響共鳴に誘導される標的構造の種類によって、構造は、毀損および/または増大といった影響を受けたその機能を有し得る。
【0057】
前記のすべての実施態様において、共鳴音響周波数を含めた音響および/または電磁エネルギーの導入は、所望の効果に依存して、連続的および/または周期的形態で適用され得る。
【0058】
音響および/またはEMエネルギーまたは場は、別々に、または組合せて適用され得る。同様に、音響および/またはEMエネルギーまたは場は、別々に、または組合せて検出され得る。
【0059】
多数の生化学的化合物および生物学的構造は、天然の結晶であって、特に、その点で、共鳴音響エネルギーを受けやすい。多数の生物学的物質は、圧電性物質である。例えば、本発明の圧電性物質であり、骨の圧電特性はその生物学的機能において極めて重要な役割を演じる。このようなものとして、圧電性を有する生物学的構造は、構造を共鳴に誘導し、それにより生物学的構造の機能に陽性または陰性に影響を及ぼすのに十分な量の音響エネルギーおよび/または電磁エネルギーを適用することにより影響を及ぼされ得る、ということが本発明人によりさらに意図される。このように理解された場合、生きている変換器として作用する生物学的構造は、生きている変換器により機械的エネルギーに変換され、それにより構造に音響共鳴を導入される生物学的構造の共鳴音響周波数と等価の電磁エネルギーを導入することにより、音響共鳴に誘導され得る。
【0060】
本発明の別の局面は、構造の共鳴音響および/または音響−EM特徴を決定することにより生物学的または無機構造を検出するためのシステム(装置)であって、以下の:
a)生物学的または無機構造に音響共鳴を誘導するための手段、
b)生物学的または無機構造の音響特徴を検出するための手段、および
c)生物学的または無機構造の音響特徴を構造の参照音響特徴と比較するための手段
を包含するシステムである。
【0061】
さらに、前記のシステムは、前記のような電磁エネルギーパターンを生じる音響共鳴における構造の共鳴音響−EMエネルギー特徴を検出するための手段も包含し得る、あるいは変わりにそれを包含してもよい。音響−EM特徴は、検出または同定システムにおいて比較するための手段を提供することにより、前に決定された参照音響−EM特徴と比較され得る。電磁エネルギーパターンは、電磁特性および/または場として表出され、その例としては、直流および交流、電場および磁場、ならびに電磁線の形態のエネルギーが挙げられるが、これらに限定されない。標的構造は、少なくとも1つの共鳴音響周波数を含めた音響エネルギー、共鳴音響周波数と等価の電磁エネルギー、および/または音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーパターンを導入することにより、音響共鳴に誘導され得る。
【0062】
本発明の別の実施態様では、標的生物学的構造を増大および/または毀損するためのシステムは、生物学的構造中に音響共鳴を誘導するために予め決定された共鳴音響周波数を含めた音響エネルギーを適用するための手段を包含し、音響エネルギーは生物学的構造の機能に影響を及ぼすのに十分な入力で適用される。あるいは、標的構造は、共鳴音響周波数と等価の電磁エネルギー、または直流および交流、電場および磁場を含む電磁エネルギーのような前に決定された音響−EM特徴、ならびに電磁エネルギーを提供することにより音響共鳴に誘導され得る。
【0063】
さらに別の実施態様では、標的構造の共鳴音響周波数またはそれに近い音響周波数を有する音響エネルギー、そして共鳴音響周波数を増大するための電磁エネルギーも導入するためのシステムであって、以下の:
標的構造の共鳴音響周波数またはそれに近い周波数を導入するための手段、および
直流および交流、電場および磁場および/または電磁線等を含む手段のような構造の音響−EM特徴として前に決定された電磁エネルギーパターンと等価の電磁エネルギーを導入するための手段
を包含するシステムが提供され得る。
【0064】
音響エネルギーおよび音響−EM特徴と等価のEMエネルギーは、両方の種類のエネルギーに適用し得る単一手段により適用および/または検出され得る。
【0065】
本発明のさらに別の目的、利点および新規の特徴は、一部は以下の説明に記載されており、一部は以下の試験において当業者に明らかになり、あるいは本発明の実行により習得され得る。本発明の目的および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘される手段および組合せによって実現され、到達され得る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
本発明のその他の目的、特徴および多数の利点は、以下の詳細な説明を読みながら、添付の図面とともに考察すると、より良好に理解される。
【図1】基本音響エネルギー発生システムのブロック図である。
【図2】基本音響エネルギー検出システムのブロック図である。
【図3】生物学的構造に適用される固定磁場のブロック図である。
【図4】生物学的構造に適用される振動磁場のブロック図である。
【図5】生物学的構造に適用される直流または交流のブロック図である。
【図6】生物学的構造に適用される静電荷のブロック図である。
【図7】生物学的構造への電磁線の送達のブロック図である。
【図8】生物学的構造中の固定または振動磁場の検出のブロック図である。
【図9】生物学的構造中の静電荷の検出のブロック図である。
【図10】生物学的構造から放射される電磁線の検出のブロック図である。
【図11】生物学的構造中の直流または交流の検出のブロック図である。
【図12】ウイルスの共鳴音響周波数を決定するための方法を示すブロック図である。
【図13】ウイルスの共鳴音響場の作用を査定するための方法を示すブロック図である。
【図14】共鳴音響場を用いて体外的にウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図15】共鳴音響場を用いて脈管内でin vivoにウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図16】共鳴音響場を用いて多細胞生物中でin vivoにウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図17】共鳴音響場探針を用いて多細胞生物の一部分中でウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図18】共鳴音響場シートを用いて多細胞生物の一部分中でウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図19A】ウイルスの共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法を示すブロック図である。
【図19B】ウイルスの共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法を示すブロック図である。
【図20】ウイルスに及ぼす共鳴音響および/または音響−EM場の作用を査定するための方法を示すブロック図である。
【図21】共鳴音響および/または音響−EM場を用いて体外的にウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図22】共鳴音響および/または音響−EM場を用いて脈管内でin vivoにウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図23】共鳴音響および/または音響−EM場探針を用いて多細胞生物の一部分中でウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図24A】微生物の共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法を示すブロック図である。
【図24B】微生物の共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法を示すブロック図である。
【図25】共鳴音響および/または音響−EM場を用いて微生物を増大するための方法を示すブロック図である。
【図26】共鳴音響および/または音響−EM場を用いて微生物を毀損するための方法を示すブロック図である。
【図27】節足動物の共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法を示すブロック図である。
【図28】共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて節足動物を毀損するための方法を示すブロック図である。
【図29】骨粗鬆症を有する個体において正常骨構造を増大し克つ保持するための方法を示すブロック図である。
【図30】無重力における正常固体の正常骨構造を保持するための方法を示すブロック図である。
【図31】共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて良性または悪性組織型を検出するための方法を示すブロック図である。
【図32】共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて細胞間のプロテオグリカン接着単位を刺激および/または毀損するための方法を示すブロック図である。
【図33】共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて多細胞生物の構造を増大、同定、検出および/または毀損するための方法を示すブロック図である。
【図34】共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて多細胞生物の成長率を増大するための方法を示すブロック図である。
【図35A】無機物質または構造の共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法およびシステムを示すブロック図である。
【図35B】無機物質または構造の共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法およびシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明の方法は、図1に示すように、共鳴周波数の音響エネルギーを無機または生物学的構造に送達することを包含する。当業者に既知の方法を用いて、本発明により利用される共鳴音響周波数を生成するために、任意の媒質を介して音響エネルギーを発生および伝達し得るあらゆる装置が用いられ得る。この例としては、圧電変換器の伝統的EM刺激を用いて音響エネルギーを産生する装置(人工または天然)、純機械的装置(例えば、高周波エアホイッスル)およびレーザー装置が挙げられるが、これらに限定されない。音響エネルギーシステムのための個々の構成成分は、広範なメーカーから市販されており、特別な用途および周波数範囲に形造られ得る(Thomas Directory of American Manufacturers, Photonics Buyer's Guide, 1996, Microwave and RF, and Electronic Engineer's Master Catalogue参照)。
【0068】
例えば周波数、モード、パルス継続時間、形状および反復速度といった予め決められた特徴を有する信号を生成する、信号発生器または関数発生器とも呼ばれるあらゆる発振器は、本発明により利用される共鳴音響周波数を生成するために利用され得る。種々の発振器または信号発生器は、例えばMicroLambda LMOSシリーズ(500 MHz〜18 GHz)、BK Precision 2005A(100 kHZ〜450 MHz)(B&K Precision, Chicago, IL)、Tektronix SMEO2(5 KHz〜5 GHz)およびTektronix 25 SME 4040(0.5 Hz〜20 MHz)(Tektronic, Inc., Beaverton, OR)、ならびにMatec 700シリーズ(1〜1100 MHz)等が、ヘルツからギガヘルツまでの範囲の周波数に関して、商業的に購入され得る。
【0069】
共鳴が生じる振動数は、構造のサイズ、形状および組成によっている。例えば、球の共鳴振動数は、音響波長が球の直径と等しい振動数である。より複雑な構造−円筒−は、2つの軸の配向に基づいて2つの共鳴振動数を有し、共鳴振動数波長の一方は長さの1.5倍と等しい。構造の形状が複雑であるほど、共鳴音響周波数パターンは複雑であるが、しかしながら、音響共鳴が起こる波長は構造のサイズとほぼ等価である。
【0070】
特定の音響波長と整合する周波数は、以下の方程式にしたがって、構造の組成によっている:
速度=周波数 x 波長 (1)
(式中、速度は、構造を構成する媒質中の音響波伝搬速度(音の速さ)を指す)。音の速さは週の生物学的組織の間で変化するが、しかしそれは、ほとんどの生物学的有機体が主に水から成るために、水中の音の速さ(1,500 m/s)とほぼ等価である。水中の音の速さを音響波の速度として用い、そして構造サイズを波長とほぼ等価として用いると、有機または生物学的構造中の共鳴音響周波数のおよその範囲が、次式により求められる:
【数1】
(下記のチャート参照)。
生物組織中の音の他の既知の速さは変化し、それらの例としては(1)肝臓(1550 m/s);(2)筋肉(1580 m/s);(3)脂肪(1459 m/s);(4)脳(1560 m/s);(5)腎臓(1560 m/s);(6)脾臓(1570 m/s);(7)血液(1575 m/s);(8)骨(4080 m/s);(9)肺(650 m/s);(10)眼のレンズ(1620 m/s);(11)眼房水(1500 m/s);および(12)硝子体液(1520 m/s)が挙げられる。水中の音の速さとは異なる音響速度を有する組織から成る標的有機または生物学的構造に関する共鳴音響周波数範囲は、同一の方程式(速度/波長)を用いて得られ、そして、標的組織中の音の速さによって、プラスまたはマイナスはあるが、以下に列挙する図表化範囲と相関する。
【0071】
特定の媒質中の音響エネルギーの速度は、ほとんどの部分に関して、一定であるが、しかし速度の周波数へのわずかな依存−分散と呼ばれる作用−が認められる。例えば、1〜20 MHzの周波数範囲に亘って、音響速度は1%変化する。したがって、本発明においては、標的構造に関して共鳴振動数(単数または複数)または少なくとも共鳴振動数が見出される周波数の範囲は、そのサイズ、形状および組成、ならびに実験下の特定の周波数範囲によっている。生物学的構造に関するいくつかの近似音響共鳴周波数を、以下の表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
ある媒質から別の媒質への音響エネルギーの最大移動を得るためには、各々の特徴的音響インピーダンスができるだけ他とほぼ等しく存在すべきである。インピーダンス整合のこの問題は、いわれているように、物理学の多数の枝において生じ、そしてそれぞれ異なる音響インピーダンスR1およびR2の2つの媒質を整合させる手段として、音響技法に用いられる。整合用媒質は、他の2つの間に挟み込まれ、そして、伝達される音の波長に対して適切な厚みであるべきであり、その音響インピーダンスRはほぼ√(R1R2)であるべきである。市販され、本発明に利用され得るインピーダンス整合装置としては、Matec Instruments, Inc.製造のモデル60が挙げられる。
【0074】
音響エネルギーは、受信した電磁エネルギーを急速に物理振動に、したがって音響エネルギーに転換する変換器により生成され得る。最初の音響変換器は、天然石英の圧電特性を用いて音響エネルギー波を生成した。
【0075】
EMエネルギー → 圧電変換器 → 音響エネルギー波
新しい変換器は、強誘電性セラミック(チタン酸バリウム、チタン酸鉛またはジルコニウム酸鉛)および酸化亜鉛のような物質を用いる。材料工学における近年の進歩は、用途の多様性を可能にするシートおよびコードに造形され得る圧電性ポリマーも製造した。
【0076】
変換器はまた、特別な用途および周波数に形作られる広範な種々のデザインで、広範な種々のメーカーから市販されている。本発明で利用され得る、そしてヘルツからギガヘルツまでの範囲の周波数に関して商業的に購入され得る音響変換器の例としては、Matec広帯域浸漬変換器MIAシリーズ(10〜196 MHz)、Matec広帯域MIBOシリーズ(5〜10 MHz)、Matec広帯域MICO(3.5 MHz)、Matec広帯域MIDO(2.25 MHz)、Matec広帯域MwOシリーズ(50 KHz〜1 MHz)、Matec GPUTシリーズ(500 KHz〜20 MHz)、Matec脈管内血流VP-A50シリーズ(5〜30 MHz)、サファイア上の酸化亜鉛および任意の反射防止コーティングのTeledyne Electronic Technologies同位相または非同位相広帯域MHz/GHz(17.5 GHz)アレイ変換器、ならびにChannel Industriesキロヘルツ変換器が挙げられる。超高音響周波数(GHzおよびTHz以上)では、メーザーおよびレーザー系が利用され得る。
【0077】
変換器は、ある範囲の周波数内(広帯域)のまたは特定の周波数(狭帯域)のための音響波を発生し得る。
【0078】
市販の音響増幅器としては、Matecゲート増幅器系(100 KHZ〜200 MHz)およびEM広帯域増幅器モデル607L(0.8〜1,000 MHz)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
電源フレーム、コンピューターインターフェース、パルス幅発生器、ゲート増幅器、広帯域受信機および位相検出器(100 KHZ〜100 MHz)を含めた完全な音響システムが、Matecのような供給元から商業的に購入され得る。
【0080】
音響送達システムは、用途によって変動し得る。音響エネルギー波は、変換器の標的構造媒質との直接接触により、または標的構造との直接接触に存在する他の構造または媒質による音響波の伝送のカップリングにより、気体、液体または固体媒質に伝送され得る。生物学的構造の場合、多数の構造または媒質を介したカップリングは、音響波が多層の生物学的組織を通って走行してその標的構造に到達するので、ありそうな出来事である。標的構造が液体である場合、変換器はそれと直接接触する液体中に置かれるか、または液体が、液体と接触するその壁がそれ自体変換器である容器中に置かれ得る。さらに、変換器は液体が置かれる容器の壁の外側に配置され得る。
【0081】
標的構造が固体である場合にも、変換器はそれと直接接触して配置され得る。固体は、カップリング剤として用いられる気体または液体中に配置され得る。液体またはゲル型カップリング剤も、変換器が固体の表面に配置される場合、自立固体と変換器との間を結合し得る。
【0082】
本発明は、図2に示したような無機または生物学的構造から得られる音響エネルギーを受信し、分析することも包含する。当業者に既知の方法を用いて、本発明に利用される共鳴音響および/または音響−EM周波数を検出するために、任意の媒質を介して音響エネルギーを受信し、分析し得る任意の装置を用い得る。
【0083】
音響エネルギー波の検出は、基本的には、音響エネルギー波の発生の逆工程である。変換器に当たる音響エネルギー波は機械的応力を適用して、圧電作用により機械的応力に比例する電気分極を生じる。その結果生じるEMエネルギーは、オシロスコープ型装置により電気的に読取可能フォーマットに転換される。
【0084】
EMエネルギー ← 圧電変換器 ← 音響エネルギー波
したがって、圧電変換器は、可逆的圧電作用を用いて、音響エネルギーを生成し且つ検出するために用いられ得る。
【0085】
音響共鳴状態に誘導された後の構造は、振動波を発して変換器で機械的応力を生じる。次に、音響波と同一周波数を有する交流電位差が、変換器に接続された電極を通る電圧として出現する。この電圧は、オシロスコープ型装置により読取可能フォーマットに転換される。
【0086】
本発明に利用され得るオシロスコープとしては、BK Precision 21 60A(0〜60 GHz)、Tektronix TDS 784A(0〜1 GHz)、Tektronix TDS 820(6〜8 GHz)、Tektronix 1180 a B(0〜50 GHz);ならびにスペクトル分析器、例えばHewlett-Packard 8577A(100 Hz〜40 GHz)、HP 8555A(10 MHz〜40 GHz)、Tektronix 492(50 KHZ〜21 GHz)、Antitsu MS62C(50 Hz〜1.7GHz)およびPolarad 640B(3 MHz〜40 GHz)(これらはすべて、市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
電源フレーム、コンピューターインターフェース、パルス幅発生器、ゲート増幅器、広帯域受信機、位相検出器、制御ソフトウェア、前置増幅器、ダイオードエキスパンダー、ダイプレクサー、フィルターおよび減衰器を含めた完全な音響検出および分析システム(50 KHz〜100 MHz)が、Matec Instruments Inc.またはその他の供給元から商業的に購入可能である。
【0088】
試験中の音響エネルギーは、反射されるかまたは伝送され得る。例えば、伝統的医学用超音波法では、音響波は単一変換器から生成される。音響波は種々の構造に衝突する。音響波のあるものはその構造から反射され、同一単一変換器により反射波として検出される。音響波のあるものはまた、その構造を通過して伝送され得る。音響エネルギーの多数の工業用途は、反射波よりむしろ伝送波を利用する。
【0089】
本発明は、図3〜7に示したように、共鳴音響および/または共鳴音響−EM周波数でEMエネルギーを標的構造に送達することも包含する。
【0090】
共鳴系が流体環境中に埋め込まれている場合(ほとんどの生物学的構造に関する場合のように)、エネルギーの散逸は、その系における内部ソースにより(即ちEMエネルギーへの転換を介して)、あるいは近くの媒質への損失により(音響エネルギーのカップリングおよび伝送を介して)起こる。当業者に既知の方法を用いて、本発明により利用される共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを生成するために任意の媒質を介してEMエネルギーを発生および伝送し得る任意の装置が用いられ得る。それらの例としては、固定および振動磁場(図3および4)、直流または交流(図5)、静電荷(図6)、電場およびEM線(図7)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
直流および交流を送達するための電極は、広範な種々の供給元から市販されている。
【0092】
磁場発生器は市販されており、その例としては、Radio Shack Rareearth磁石64-1895、GMWモデル5403ACなどが挙げられる。図1および2に前記したような発振器および信号発生器は、市販されている。同様に、多数のEM線送達システムは市販されており、その例としては、Wavelineモデル99シリーズStandard Gain Horns(1.7〜40 GHz)およびJEMA JA-1 50-MSが挙げられる。
【0093】
生物学的構造をEMエネルギーに曝露するための当業者に既知のシステムとしては、無響室(anechoic chamber)、横型電磁セル(TEM)、共鳴キャビティ、ニアフィールド合成機、導波路細胞培養曝露系および同軸伝送線曝露細胞が挙げられる。
【0094】
本発明は、図8〜11に示したように標的構造から得られるEMエネルギーを受信し、分析することも包含する。当業者に既知の方法を用いて、本発明により利用される共鳴音響および/または音響−EM周波数を検出するために、任意の媒質を介してEMエネルギーを検知し、分析し得る任意の装置が用いられ得る。直流および交流は、BK Precision 283 1A(0〜1200 V, 0.1 mV解像度、またはBK Precision 3910-1 OOOV, 10μV解像度)のような15電圧計を用いて電圧変化を測定し(図11)、そして静電荷を検出(図9)することにより、ならびにHoneywellによるHET Micro Switch 5594A1F変換器のような系、およびAnalog Devicesによる計器操作増幅器チップAD524をもちいて固定および振動磁場変化を測定する(図8)ことにより、査定され得る。適合性且つ非摂動性のEM場であるモニタリング電極は、Technical 20 Fluorocarbons Engineeringによる、ならびにPolymer Corp.による炭素充填テフロン(登録商標)から作製される。
【0095】
広帯域測量メーターは、例えばAeritalia RVおよび307シリーズ(1〜1,000 MHZ)、General Microwave Raham 12(10 MHZ〜18GHz)、Holaday Industries 3000シリーズ(5〜300 MHzおよび500 MHz〜6 GHz)、Narda Microwave 8608(10 MHz〜26 GHz)およびInstruments for Industry RHM-1(10 KHz〜220 MHz)等が市販されている。
【0096】
電場強度メーターは供給元から市販されており、その例としては、Rohde & Schwarz MSU(25〜1000 MHz)、Rohde & Schwarz MSU(0.1〜30 MHz)、Scientific Atlanta 1640APZ(20 MHz〜32 GHZ)、Electro-Metrics EMS-25(20 KHz〜1 GHz)、Anritsu M, NMシリーズ(500 KHz〜1 GHz)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
磁場は、Bartington Fluxgate Nanoteslameter, Mag-01等を用いて査定され得る。
【0098】
スペクトル分析器は供給元から市販されており、その例としては、HP 8566A(100 Hz〜40 GHz)、HP 8555A(10 MHz〜40 GHz)、Tektronix 492(50 kHz〜21 GHz)、Anritsu M562C(50 Hz〜1.7 GHz)およびPolarad 640B(3 MHz〜40 GHz)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
熱電対E場探針はNardaにより製造され、組織植込み型E場探針としては、例えばNarda 26088、EIT 979およびHoladay IME-O1が挙げられる。場探針は、光ファイバー遠隔測定により外部回路部品と接続され得る。これは試験場の摂動を制限し、RF干渉を排除し、したがってノイズ検出に対する信号を改良する。送信機および受信機を有する光ファイバーキットは、Hewlett-PackardおよびBurr-Brownから市販されている。
【0100】
EM送信機としては、JEMAモデルJA-150-MS(139〜174 MHz)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
本発明をある特定の実施態様およびあるシステム構成成分に関して説明しているが、しかし本発明から逸脱することなく、多数の変更が可能であり、代替的装置および/または構成成分の配列が使用され得る、と理解される。いくつかの場合、このような変更および置換はいくつかの試験を要するが、しかしルーチン検査を包含するに過ぎない。
【0102】
以下の例および特定の実施態様の説明は本発明の一般的性質を十分に明示しており、したがって、包括的概念から逸脱することなく、最新の知識を適用することにより、このような特定の実施態様を、種々の用途のために容易に修正および/または適合し得るし、したがってこのような適合および修正は、開示された実施態様および系構成成分の透過物の意味および範囲内に包含されるよう意図される。
【実施例】
【0103】
例1
ウイルスの毀損、増大、検出および/または同定
構造中の共鳴の誘導は、その構造の1つ又はそれ以上の構成成分の破裂による突然且つ不可逆的な構造不全をもたらし得るため、生物学的構造は共鳴音響エネルギーを用いて選択的に毀損され得る。本発明は、各々の特定のウイルスに独特の共鳴周波数での音響エネルギーおよび/または音響EMを用いて、ウイルス粒子構造の検出、増大、同定および/または物理的毀損の目的のためにウイルスの剛性、結晶構造を利用する。ウイルスは、圧電性結晶と考えられ、したがって、生きている変換器として作用し得る。
【0104】
ウイルスにより引き起こされるヒトの疾患としては、肝炎、インフルエンザ、水痘、流行性耳下腺炎、麻疹、天然痘、後天性免疫不全症候群(AIDS)、エボラ熱、ポリオ、出血熱、ヘルペスおよび毛様細胞性白血病が挙げられる。
【0105】
ウイルスにより引き起こされる動物における疾患としては、イヌにおけるパルボウイルス感染、ネコの白血病、牛痘、狂犬病および鳥類ペストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
植物におけるウイルス性疾患の最も顕著な例の1つは、ジャガイモに感染するウイルスにより引き起こされたアイルランドにおける歴史的ジャガイモ飢饉である。
【0107】
ウイルス対称性には2つの主な型、即ち正二十面体およびらせん形がある。正二十面体形状はサッカーボールにほぼ等しく、一方らせん形状はしなやかな曲線を描く玩具に似ている。大多数のウイルスがこれらの群の1つに入り、残りは複合型であるかまたは不明である。正二十面体は、20の同一の等辺三角形から成るほぼ球形で、五重対称の3軸を有する。らせん形では、キャプシドの単位は核酸周囲をらせん状に進行し、これはウイルスの中心を下降して、渦巻対称の軸が1つだけ存在する。
【0108】
各対称群内では、ウイルスはさらにDNA群およびRNA群に分けられる。ウイルスはDNAまたはRNAの核酸物質の中心コアを有する。この核酸コアは、キャプシドまたはタンパク質コートと呼ばれる対称タンパク質に取り囲まれる。キャプシドは個々のキャプソメア形態学的単位から成り、これは個々の構造単位から成る。構造単位は、それらが反復パターンを形成し、X線結晶回析技法で顕示され得るために、結晶単位とも呼ばれる。構造単位はウイルス構造の構築ブロックであり、通常は同一タンパク質である。
【0109】
いくつかのウイルスでは、リポタンパク質膜またはエンベロープがキャプシドを取り囲む。エンベロープは宿主細胞膜から得られ、宿主細胞からのその逸脱中にウイルスにより修飾される。エンベロープは、ウイルスの将来的機能および生存のために重要な特殊なタンパク質、例えばヘマグルチニンまたはノイラミニダーゼを保有し得る。いくつかのウイルスのエンベロープには突起またはペプロマーが散在し、これらは縁を取り巻くフリンジのようである。フリンジもウイルスの機能および生存にとって重要であり得る。
【0110】
古典的には、圧電現象は、ある種の誘電性(電気的非伝導性)結晶への機械的応力の適用が、機械的応力に比例する電気的分極(電気双極子モーメント/cm3)を生じる場合に存在するといわれている。逆に、結晶へのEM場の適用は、機械的応力および歪曲収差を、それゆえ音響エネルギーを生じる。
【0111】
結晶における圧電現象に必要な条件は、対称の中心の非存在である。32の古典的に定義された結晶の種類のうちの20は対称の中心を欠き、圧電性である。ウイルスは結晶構造であり、そのようなものとして、共鳴音響および/または音響−EMエネルギーの使用による振動作用を受け易い。二十面体ウイルスは5重の対称を有し、したがってそれらの結晶構造中に古典的対称中心を有さず、これは、圧電性物質に必要な条件である。らせん形ウイルスは、渦巻形キャプシドが中心軸の水平90度から派生するので、同様に、古典的対称中心を有さない。ウイルスの結晶構造が音響エネルギーの振動共鳴作用を受け易い他に、ウイルスは、本発明で用いられる場合のように、圧電性、音響共鳴構造としても機能し得る。
【0112】
非有機化学で定義される天然結晶の古典的32群は、5重またはオフセットらせん対称を有する群を含まない。ウイルスは天然結晶の33番目および34番目の群を示し得る、と本発明人は定立する。
【0113】
本発明は、世界中の人口が罹患するウイルス感染の数および重症度を有意に低減する可能性を有する。本発明は、ワクチンの産生またはウイルス遺伝子導入を増大する可能性を有する。さらに本発明は、獣医学的用途、即ち家畜および家禽における感染を治療する用途、ならびに農業的用途を有する。超音波範囲の非共鳴周波数を使用する従来技術の治療とは異なり、本発明は、共鳴を特定のウイルス中に生じるが、しかし隣接組織中には生じない特定の周波数を用いる。本発明の方法は、音響共鳴の状態におけるウイルスにより産生される音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーも使用し、そしてウイルスの圧電性、内部エネルギー散逸、音響電気的および/または磁気音響的特性を、単独でまたは互いに組合せて、または共鳴音響場と組合せて利用する。
【0114】
ウイルスの毀損は、多細胞生物、特に動物、例えば哺乳類、鳥類、植物、果物、昆虫、節足動物等、あるいはウイルスによる感染を受け易いそれらの部分を治療するのに有用である。ウイルスの毀損に対して治療され得る多細胞生物の部分としては、全身、四肢、器官、例えば腎臓、脾臓、肝臓、膵臓、心臓、肺、消化管等、組織、例えば角膜、骨、骨髄、血液、軟骨等が挙げられるが、これらに限定されない。血液生成物のような多細胞生物から得られる生成物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0115】
ウイルスの毀損に用いられる本発明の一実施態様では、治療される身体または身体の一部は導電性媒質中に浸漬され、その媒質を介して身体または身体の一部に音響波が共鳴周波数で適用されて、身体またはその一部に感染するウイルスの共鳴および毀損を引き起こす。治療の継続期間は、存在するウイルスの少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%を毀損するのに十分である。一実施態様では、治療の継続期間は、ウイルスの少なくとも約50%〜約100%を毀損するのに十分であり、同時に、宿主多細胞生物に対する有害副作用をほとんどまたは全く示さない。パワー強度は組織または生物によっており、1 x 10-11 W/m2〜1 x 1011 W/m2、好ましくは約100〜10,000 W/m2である。
【0116】
多細胞生物が1つより多いウイルスの属または種に感染する場合には、生物に感染したウイルスの各種類を毀損するのに特異的な共鳴周波数を用いて生物体を治療するのが望ましい。HIV−1が感染したヒトの場合のように、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス等のようなウイルスにより引き起こされる日和見感染が起こり得る。このような場合、ヒトに感染した各生物体に独特の共鳴周波数が適用され得る。
【0117】
本発明の方法は、器官および組織移植に有益である。移植前のドナーからの器官または組織の治療は、レシピエントへの疾患を引き起こすウイルスの伝染を防止または抑制する。このような方法は、異種移植片、同種異系移植片、同系移植片等に有用である。ウイルスの毀損のために治療されるドナー器官または組織としては、角膜、心臓、肝臓、肺、皮膚、骨、骨髄細胞、血液および血液生成物、腎臓、膵臓等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
本明細書中に記載した毀損法を用いて抑制または治療され得るレトロウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、AIDS、白血病、マウス乳癌、肉腫等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
ヘパドナウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、B型肝炎、C型肝炎、肝臓癌、マーモット肝炎、シマリス肝炎、アヒル肝炎等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
本明細書中に記載した方法を用いて防止、抑制または治療され得るヘルペスウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、陰部および口腔ヘルペス、水痘、帯状疱疹、サイトメガロウイルス疾患(出生時欠損および肺炎)、単核細胞症、バーキットリンパ腫、鼻咽頭癌、ウシ乳頭炎、仮性狂犬病等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
本明細書中に記載した方法を用いて防止、抑制または治療され得るポックスウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、天然痘、牛痘、仮性牛痘、軟属腫、伝染性軟ゆう、感染性膿胞性皮膚炎、水牛痘、ラクダ痘、サル痘、ウサギ痘、マウス痘、ウシ丘疹性耳炎、鶏痘、七面鳥痘、ヒツジ痘、ヤギ痘、ノウサギ痘、リス痘、ブタ痘等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
ウイルスを毀損する方法を用いて防止、抑制または治療され得るパポバウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、ヒト疣ウイルス、性器疣、頸部癌、進行性多病巣性白質脳症、マウス、サルおよびウサギにおける疣および腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
ウイルスを毀損する方法を用いて防止、抑制または治療され得るアデノウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、上部気道感染、胃腸炎、結腸炎および腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
本明細書中に記載した方法を用いた防止、抑制または治療に服し易いパルボウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、第五病、骨髄不全、慢性関節リウマチ、胎児死および低出生時体重、ネコ白血病等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
本明細書中に記載した方法を用いて防止、抑制または治療され得るピコルナウイルス関連疾患の例としては、ポリオ、A型肝炎、一般的風邪、手足口病、脳炎、心筋炎、腸炎、ブタ水疱性疾患、接触性水疱性疾患等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
共鳴音響エネルギーを用いた防止、抑制または治療に服し易いレオウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、上部気道感染、コロラドダニ熱、胃腸炎等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
本明細書中に記載した方法を用いて防止、抑制または治療され得るオルトミクソウイルス関連疾患の例としては、ヒト、ブタ、ウマ、アザラシ、トリ等のインフルエンザ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
本発明の共鳴音響エネルギーを用いて防止、抑制または治療され得るウイルスにより引き起こされる疾患のその他の例としては、ウイルス性下痢、乳児胃腸炎、ブタの水疱性発疹、トド病脳脊髄炎、デング熱、黄熱病、風疹、ウマ脳脊髄炎、ブタコレラ、ブワンバ熱、オリボカ熱、リフトバレー熱、コンゴ出血熱、ナイロビヒツジ熱、アフリカブタ熱等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
ウイルスを毀損する本発明の方法は、農業環境にも利用され得る。例えば、疾患を引き起こすウイルスを含有することが疑われる植物、果実、野菜等は、ウイルスの毀損のために共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて治療され得る。ウイルスの毀損のために処置され得る植物の部分としては、種子、苗、髄(pulp)、葉、野菜、果実等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本発明の方法は、共鳴周波数で音響エネルギーをウイルスに送達することを包含する。例えば、定性および定量的共鳴周波数は、図12における装置により示されるようにin vitroで決定され得る。既知の共鳴音響特徴を有し、また標準ウイルス学的方法により確認されている既知のウイルスを含有する一滴の流体(全血、血清、培養流体または宿主細胞等)を、既知の共鳴音響特徴を有する吸収性媒質(紙、セルロース、木綿、ポリマー等)の浅皿に入れる。ウイルス負荷組織または物質(Polysciences, Inc.により市販されている JB-4 Embedding, Paraffin, Immuno-Bedキット、LR Gold, Osteo-Bed Boneキット、Polyfreeze, PEG 4000 Resin, PolyFin Paraffinなどのような包埋または薄切物質)の薄切片が用いられ得る。ウイルス円板を、前記のような2つの広帯域低GHzまたは高MHz変換器の間に置いて、適所にしっかり留める。
【0131】
定性的ウイルス共鳴特徴に関して検査される標的範囲の周波数は、ウイルス寸法を基礎にして、生物学的組織中の音の速さ1,500 m/sを所望の波長で割って得られる。ウイルス寸法が分からない場合には、当業界で既知の技法を用いて電子顕微鏡によりそれらを確定し得る。
【0132】
ある変換器は音響信号を発生し、標的周波数の広域帯全体をスウィープし得るが、他の変換器は伝送した音響信号を検出する。ウイルス被験円板/切片から伝送された音響信号を、信号分析器の正のリードに送り込む。被験流体および円板または被験包埋物質からの既知の音響信号は対照として役立ち、信号分析器の負のリードに送り込まれる。対照特徴は相殺され、表示された残りの共鳴音響特徴は試料中のウイルスからであり、定性的結果を生じる。
【0133】
分析される周波数の範囲を変え、各周波数での振幅を比較することにより、一次共鳴周波数、および関連調和共鳴周波数を同定し得る。一次共鳴周波数は、最大振幅を有するであろう。各ウイルスは、ウイルス寸法、例えば直径、長さ(円筒形またはらせん形の場合)、先端距離および単位距離(これらに限定されない)によって多数の一次周波数を有する。1,500 m/sの音響速度、標準ウイルス学的方法により一般に確定されるようなウイルス寸法を用いて、個々のウイルスに関する一次共鳴周波数を算定した範囲に関しては表2を参照されたい。結果は、実際には、嵩モジュール、分散度、ウイルス物質中の音響速度、in vivo対in vitro寸法等のような特定のウイルス因子によって変わり得るので、周波数は、表2の算定周波数に必ずしも限定されない。
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
【表4】
【0137】
【表5】
【0138】
定性的ウイルス共鳴音響特徴が確定されれば、定量的結果は、既知濃度の特定のウイルスの試料からの共鳴音響特徴振幅を比較することにより、確定し得る。高ウイルス負荷(濃度)を有する試料は、より高い共鳴音響特徴振幅を有する。一次共鳴周波数振幅対ウイルス濃度の比はこのようにして得られ、未知濃度の試料中のウイルス負荷の査定を可能にする。
【0139】
別の実施態様では、被験円板/切片からの共鳴音響特徴は、先ず対照円板/切片を変換器小室にしっかり留めて、被験円板/切片特徴を用いたその後のプロセッシングのためにマイクロプロセッサー中に共鳴音響特徴を保存することにより、あるいは第2の変換器小室に対照をしっかり留めて、被験円板/切片ウイルススウィープと同時に広域帯の周波数全体をスウィープすることにより、生成し得る。さらに、被験円板/切片を、変換器と反射表面との間にしっかり留めて、音響波を同一変換器により発生され且つ受信し、したがって伝送音響波よりむしろ反射音響波を分析してもよい。さらに、反射または伝送された音響エネルギーを分析する1つ又はそれ以上の変換器を、ウイルスを含有する流体または媒質中に浸漬し得る。
【0140】
別の実施態様では、反射または伝送音響エネルギーを分析する1つ又はそれ以上の変換器は、ウイルスを含有する流体または媒質を入れる容器の壁を構成する。
【0141】
本発明はさらに、図13における装置により示されるように、共鳴周波数の作用をin vitroに確定させ得る。当業者に既知の標準ウイルス学的培養法を用いて、ウイルス培養を再使用可能/オートクレーブ処理可能試験シリンダー中に入れ得る。試験シリンダーの底面は、適切な周波数のために構築された、例えばサファイア基板上の薄皮膜酸化亜鉛のような変換器である。試験シリンダー中にこのように置かれた宿主培地を、単一層で、そして変換器と直接接触させて、シリンダーの底面に拡げる。次に、所望の共鳴周波数の音響エネルギーを、培養流体および宿主培地を介してウイルスに送達し、増殖および機能に及ぼす作用を、標準ウイルス学的方法を用いて査定する。振幅、モード(連続対パルス化)、形状(シヌソイド対正方形)、強度等のような音響波特徴を変えることにより、特定の作用を得るのに必要な理想的周波数および波形を確定し得る。
【0142】
例えば、HIVに及ぼす共鳴音響周波数の増大および/または毀損作用を検査する場合、宿主細胞単独に及ぼす音響介入の作用を査定することにより異常ウイルス結果を除外するトリパンブルー染色排除検定を用いて、共鳴音響介入(種々の強度での種々の試験期間中の種々の波形パターンの共鳴周波数)を有する試験シリンダー中で、影響を受けないTリンパ球宿主細胞を先ず査定する。工程2は、算定数のHIV感染Tリンパ球を試験シリンダー中に入れることを包含する。宿主細胞は、音響介入が送達される試験シリンダーの変換器/床上に単一層を形成する。次に、標準in vitro法、例えばCoulterHIV−1p24抗原キット、HIV培養、PCRによるHIV−1DNA、ウイルス負荷測定、定量的測定、陽性までの時間、ならびに増殖抑制を用いて、結果を査定する。
【0143】
本発明の方法は、図14に示すように、動物においてin vivoで且つ体外でウイルスを毀損するための手段も提供する。例えば、HIVに感染したヒトにおいて、当業者に既知の技法を用いて、体外血液循環系を確立する。体外血液を、一次または調和共鳴周波数での音響エネルギーを送達する一連の再使用可能/オートクレーブ処理可能滅菌変換器上を通す。音響変換器シリーズは、事実上音響フィルターとして働いて、血流中のウイルスを毀損する。体外処置の前後両方で、当業者に既知のウイルス負荷試験を用いて、処置の効能を査定する。
【0144】
別の実施態様では、前記の音響フィルターは、血液試料の分析のための受信変換器モードも付けられる。大量の無傷ウイルスを含有する血液の初期通過により、共鳴振幅は高くなる。毀損共鳴周波数に血液を長期間曝露後、共鳴振幅は無傷ウイルス数が減少するので減衰し、したがって、ウイルス負荷読み取り値、ならびに体外処置の停止が示された時を確定するための方法が得られる。
【0145】
別の実施態様では、圧電性物質のシートをエンベロープまたはメッシュ型変換器に仕上げて、それに体外血液を通す。別の実施態様では、圧電性物質の管をコイル変換器に仕上げて、それに体外血液を通す。別の実施態様では、体外血液を赤血球と白血球部分に分離して、白血球部分のみを音響フィルターに通し、したがって処置に要する時間を低減し、赤血球部分への機械的損害を低減する。
【0146】
別の実施態様では、預血化血液を、血液生成物収集および投与工程(即ち、ドナーからの収集、構成成分への分離またはレシピエントへの投与)の多数の点のいずれかで、音響フィルターに通す。
【0147】
別の実施態様では、ナノシステム技術(Nanosystem, by Eric Drechsler; publications of CJ Kim, Berkley University; publications of Ralph Merck, Xerox Co., Palo Alto, CA参照)を用いて、多数の小音響発振器を作製し、これをフィルター物質に封入し、フィルター物質は発振器の通過を防止するが、血球および血液構成成分は通過させる。natite virosonicフィルターを滅菌し、体外系上に一直線に取り付けるか、または血液生成物系に取り付ける。
【0148】
別の実施態様では、音響レーザーまたはメーザー系を用いて、共鳴および/または調和音響周波数を発生する。同様に、全血または分別血を、体外でレーザーまたはメーザー音響フィルター上または中を通過させる。
【0149】
本方法は、脈管内装置を用いて、図15に示したように動物においてin vivoおよび体内でウイルスを毀損するための手段も提供する。ナノシステム技術を用いて、多数の小音響発振器を作製し、これをフィルター物質に封入し、フィルター物質は発振器の通過を防止するが、血球および血液構成成分は通過させる。natite virosonicフィルターをCVP型カテーテル上に一直線に取り付けるか、またはグリーンフィールド型フィルターに取り付ける。
【0150】
別の実施態様では、当業者に既知の中心静脈カテーテル(Arrow、Baxter等により商業的に製造されている)を作成して、先端に適切な周波数の変換器を付ける。標準技法を用いてカテーテルを大型静脈、例えば鎖骨下静脈、頸静脈または大腿静脈に挿入する。次に共鳴音響エネルギーを循環血液に送達し、それによりウイルスをin vivoで毀損する。
【0151】
別の実施態様では、下大静脈用のグリーンフィールドフィルター型装置のような大型脈管内装置上の音響フィルターとして、変換器を取り付ける。その装置に、再充電可能心臓ペースメーカーで一般に実施されるように、皮膚を通して再充電可能な電池を取り付ける。挿入されると、音響フィルターは、カテーテルで患者を制限する必要を伴わずに、大静脈血流中に負荷されたウイルスを低減する。
【0152】
別の実施態様では、受信音響変換器の含入は、多細胞生物中のウイルスの定性的および定量的共鳴音響周波数を検出して、処置の効力および持続期間を確定し得る。
【0153】
本発明の方法は、共鳴音響場を用いて、図16に示すように、多細胞生物においてin vivoでウイルスを増大および/または毀損するための手段も提供する。水またはカップリング媒質、例えばヒマシ油(反射係数0.0043)または鉱油、あるいは市販されているこのようなその他の音響伝導性ゲルを充填した体(形状)に合うタブ中に生物を入れる。音響変換器はタブの壁および床に取付けられるか、あるいはそれ自体がタブの壁または床である(即ち、圧電ポリマーシートまたはセラミック)。予め決められた音響場(特定の強度での周波数、高調波、振幅、モード、形状等)を、変換器タブからカップリング媒質を介して生物に送達する。
【0154】
別の実施態様では、受信音響変換器モードは、多細胞生物中のウイルスの定性的および定量的共鳴音響周波数を検出して、処置の効力の確定をする。
【0155】
本発明は、共鳴音響場探針を用いて、図17に示したように、多細胞生物の部分中でin vivoでウイルスを増大および/または毀損する方法も提供する。所望の周波数の音響変換器を、医学超音波検査の当業者に一般に知られているように、握り探針装置(hand-held probe)の末端に取り付ける。予め決められた音響場(生物体に作用するのに必要な強度での周波数、高調波、振幅、モード、形状等)を、握り変換器探針から、生物の予め決められた部分に送達する。市販の音響カップリング媒質、例えばヒマシ油の使用により、空気中での減衰を排除する。例えば、肝炎に罹患したヒトでは、肝臓を被う皮膚を介して治療を送達する。共鳴音響周波数の分数調波を用いて、より高周波数での音響減衰を最小化し得る。
【0156】
別の実施態様では、受信音響変換器モードは、多細胞生物中のウイルスの定性的および定量的共鳴音響周波数も検出して、処置の効力および持続期間を確定する。
【0157】
本発明は、共鳴音響場シートを用いて、図18に示したように、多細胞生物の部分中でin vivoでウイルスを毀損する方法も提供する。所望の周波数の圧電ポリマー物質を、柔軟性変換器シート装置に仕上げる。予め決められた音響場(周波数、高調波、振幅、モード、形状等)を、変換器シート装置から、生物の予め決められた部分に送達する。市販の音響カップリング媒質、例えばヒマシ油の使用により、空気中での減衰を排除する。例えば、肝炎に罹患したヒトでは、肝臓を被う皮膚と接触してシートを配置することにより、治療を送達する。共鳴音響周波数の分数調波を用いて、より高周波数での音響減衰を最小化し得る。
【0158】
別の実施態様では、受信音響変換器モードは、多細胞生物中のウイルスの定性的および定量的共鳴音響周波数を検出して、処置の効力および持続期間を確定する。
【0159】
本発明は、図19A&19Bに示したように、in vitroで定性的および定量的共鳴音響および/または音響−EM周波数を確定するための手段も提供する。任意のおよびすべての実施態様を有する、上で説明し、図12に示したような試験装置に、送信器および受信機を取り付けて、EMエネルギーを伝送し、検出し、測定し、そして分析する。共鳴音響周波数をウイルス試験円板に適用する場合、試験中のウイルスおよび被験円板の構造および組成によって、本明細書中で共鳴音響−EM特徴と呼ばれる独特の電磁エネルギーパターンを生じる。共鳴音響−EM特徴を生じるメカニズムとしては、圧電性、音響電気性、磁気音響性、および/または内部エネルギー散逸が挙げられるが、これらに限定されない。共鳴音響−EM特徴は、1つ又はそれ以上のいくつかの電磁特性および/または場を表し、それらの例としては、直流、交流、磁場、電場、EM線および/または音響サイクロトロン共鳴(標準またはドップラーシフト化)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
前記の形態のEMエネルギーはすべて、当業者に既知の装置および方法を用いて、検出し、測定し、そして分析される(有用な情報は非共鳴周波数、即ち音響電気的作用による半導体生物物質の電流特徴の適用から得られる、ということに留意すべきである)。このデータは、共鳴特徴と組合せて、本方法に対するさらに大きい感受性および特異性を生じる。例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)IおよびIIは、サイズおよび形状がほとんど同一であるために、ほぼ同一の共鳴音響特徴を有する。しかしながら、それらは分子タンパク質立体配置が異なり、それらの音響−EM特徴により区別し得る。この例としては、内部エネルギー散逸により生成される音響−EM特徴、音響電気電流の、磁気音響作用による磁場の存在下での音響変調または減衰の、そして前記の方法のいずれかにより誘導または影響される電場または磁場の、非共鳴および共鳴周波数での特性化が挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
別の実施態様では、試験装置は、共鳴音響および音響−EM発生装置のいずれかまたはすべての組合せを装備する。未知の組成の試料を特殊な構造に関する音響−EM特徴に含まれる周波数エネルギーパターンに曝露する。試料からの関連共鳴音響波の検出は、試料中の構造の存在を確証する。振幅のさらなる分析は、試料中の特定の構造の相対量を示す。例えば、共鳴音響および音響−EM特徴の併用を用いて、先ずHSVの存在に関して組織切片を探索し、次にそれがHSVIであるか、HSVIIか、あるいは従来未知の且つ非特性化HSVかを特定し得る。さらに、試料中に負荷されたウイルスの定量的査定も、相対的振幅に基づいて実施し得る。したがって、共鳴音響および/または音響−EMエネルギー場の適用は、有機または生物学的生物体および構造に関しては、共鳴音響−EMスペクトル分析の一形態を生じ、3つの基本的刺激および検出モード(1.音響、2.EM、3.音響およびEM)を用いて、9つの基本的組合せを示す:
1.音響刺激、音響検出;
2.音響刺激、EM検出;
3.音響刺激、音響およびEM検出;
4.EM刺激、音響検出;
5.EM刺激、EM検出;
6.EM刺激、音響およびEM検出;
7.音響およびEM刺激、音響検出;
8.音響およびEM刺激、EM検出;ならびに
9.音響およびEM刺激、音響およびEM検出;
刺激および検出/分析モードが洗練されるほど、スペクトル分析装置は高感度および高特異的になる。本発明の共鳴音響−EMスペクトル分析法の単独でのあるいは共鳴音響スペクトル分析法と組合せた使用は生物学的物質に限定されず、下記のような無機物質または構造を検出および同定するために利用し得る、ということに留意すべきである。
【0162】
本発明は、音響および/またはEMエネルギーを産生する任意のおよびすべての装置、例えば前記のすべての装置および実施態様(これらに限定されない)を用いて、ウイルスに及ぼす共鳴音響および/または音響−EMエネルギーの作用を査定する方法を提供する。例えば、図20に示すように、ウイルスの結晶構造に及ぼすEM線の圧電作用を査定するために、ウイルスの共鳴音響周波数の少なくとも1つと同一周波数のEM線を用いる試験系を用いる。HIVの場合、周波数は約15 GHzである。EM吸収性物質から作製された試験箱は、15 GHzEM送信器を装備し、EM線は箱の床に向けられる。宿主細胞単独に及ぼす音響−EM介入の作用を査定することにより異常ウイルス結果を除外するトリパンブルー染色排除検定を用いて、種々の曝露パターンを有する15 GHz介入(種々の強度での種々の試験期間中の種々の波形パターンの共鳴周波数)を有する試験箱中で、非感染Tリンパ球宿主細胞を先ず査定する。工程2は、音響−EM介入が送達される試験箱中にHIV感染Tリンパ球を入れることを包含する。次に、その結果を、HIV法の標準in vitro法、例えばCoulterHIV−1p24抗原キット、HIV培養、PCRによるHIV−1DNAおよびウイルス負荷測定を用いて査定する。
【0163】
本発明は、図21に示すように、共鳴音響および/または音響−EM場を用いて、動物において体外的および/または対内的にウイルスを毀損するための方法も提供する。例えば、HIVに感染したヒトにおいて、当業者に既知の技法を用いて、体外血液循環系を確立する。体外血液を、任意のおよびすべての実施態様を含めた、図14に記載したような変換器上に通す。血中への音響浸透は、音響波と平行して血中に直流を通すことにより音響電気ゲインを用いて増大し得る。
【0164】
本発明は、共鳴音響および/または音響−EM場を用いて、図22に示すように、多細胞生物の器官中のウイルスを増大および/または毀損するための方法も提供する。例えば、任意のおよびすべての実施態様を含めて、図16の場合と同様に、移植のためのヒト死体角膜を、水または市販されているようなその他の非毒性音響伝導性ゲルを充填した体(形状)に合うカップ中に入れる。予め決められた音響場(周波数、高調波、振幅、モード、形状等)を、変換器タブからカップリング媒質を介して角膜に送達する。磁気音響作用を利用して、音響波伝搬の方向に垂直に、多数の音響周波数が存在する場強度で磁場を配置して、それにより音響パワーにシヌソイドまたはピーク型共鳴スパイクを生じ、そして角膜組織それ自体を損傷せずに角膜中への共鳴音響浸透を改良する。
【0165】
本発明は、共鳴音響および/または音響−EM場探針を用いて、多細胞生物の部分中でin vivoでウイルスを毀損するための手段も提供する。例えば、図23に示すように、握り探針は、当業者に一般に知られているようにEM線発生装置を装備する。特定のウイルスの内部散逸パターンを表す音響−EM特徴を複製する予め決められたEM線場(周波数、高調波、振幅、モード、形状等)を、握り探針から、生物の予定部分に送達する。例えば、上部気道感染(「風邪」)に罹患したヒトでは、鼻、喉および副鼻腔を被う皮膚を介して治療を送達し、ライノウイルスの内部エネルギー散逸経路を逆に向形質転換、共鳴音響振動を誘導し、ライノウイルスを毀損する。
【0166】
例2
微生物の毀損、増大、検出および/または同定
細菌のようなあらゆる微生物、ならびにこれに含まれ、または関連する構造および分子は、本発明の方法を用いてin vitroまたはin vivoに増大、毀損、検出および/または同定され得る。細菌としては、動物、ヒト、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫、水生動物、植物、果実、土壌、水、油、食品製造のための発酵工程等に関連するものが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様では、細菌としては、連鎖球菌属、ブドウ球菌属、ヘモフィルス属、ナイセリア属、トレポネマ属、サルモネラ属、赤痢菌属、大腸菌株、コリネバクテリア属、ボルデテラ属、クロストリドリウム属、リケッチア属、クラミジア属、ブルセラ属、マイコバクテリウム属、ボレリア属、マイコプラズマ属、乳酸桿菌属、それらの菌株等が挙げられるが、これらに限定されない。細菌により引き起こされるヒト疾病としては、肺炎、皮膚および創傷感染、心臓弁感染、胃腸炎、梅毒、淋病、ペスト、尿路感染、ライム病、結核、コレラ、腸チフス、炭疸、破傷風および壊疸が挙げられる。
【0167】
真菌感染としては、汗疱状白癬、白癬、膣酵母感染、鵞口瘡、ヒストプラスマ症およびクリプトコックスが挙げられる。
【0168】
細菌、真菌、原生動物および虫により引き起こされる動物の疾患は、ヒトの場合に類似する。同様に、広範囲の微生物が植物に感染し、その他の微生物で、有益であると思われるものさえある(たとえば、パン製造用酵母)。
【0169】
グラム陽性またはグラム陰性のような特徴を染色することにより、細菌は先ず分類される。染色に対する細菌応答は、細胞壁の構造により確定する。次に、細菌はさらに球菌(球状)または桿菌(円筒状)のように、形状により分類する。それ以外に、分類案は一般に、種々の生化学的反応を含む。
【0170】
細菌細胞壁は、硬質ペプチドグリカン(ムコペプチドまたはムレイン)、ヘキソース糖の混合ポリマー(N−アセチルグルコサミンおよびN−アセチルムラミン酸)およびアミノ酸(タンパク質の構造単位。下記参照)から成る。このようなものとして、細胞壁は結晶構造であり、音響エネルギーの使用からの振動作用を受ける。したがって、細菌は、それらの形状(球または円筒)、サイズおよび組成に適合した共鳴音響周波数による増大、同定および検出あるいは毀損を受け易い。さらに、細菌構造内に含まれる種々の細胞小器官も、特定の共鳴音響周波数を受け易い(即ち、ピリ線毛、形質膜、鞭毛、細胞質封入体、基底小体、被膜、胞子等)。最後に、構造それ自体を構成する化合物(結晶タンパク質等)も、独特の共鳴周波数を有する。
【0171】
真菌、原生動物、寄生生物および虫は、生物体が、全生物体のサイズおよび形状、生物体の一部を作り上げる細胞小器官のサイズおよび形状、ならびに生物体を作り上げる特定の生化学的化合物の共鳴特徴に基づいた特定の共鳴周波数の作用を受け易いという点で、細菌に類似する。
【0172】
あらゆる真菌、例えば酵母、糸状菌およびキノコ、原生動物、寄生生物または虫、ならびにそれらに含まれ、または関連する構造および分子は、本発明の方法を用いてin vitroまたはin vivoに増大、毀損および/または検出され得る。これらの生物としては、動物、ヒト、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫、水生動物、植物、果実、土壌、水、油、食品製造のための発酵工程等に関連するものが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様では、これらの生物としては、クリプトスポリジウム属、アスペルギルス属、白癬菌属、サッカロミセス属、ブラストミセス属、コクシジオイデス属、パラコクシジオイデス属、ペニシリウム属、クモノスカビ属、ケカビ属、アカパンカビ属、小胞子菌属、ストレプトミセス属、表皮糸状菌属、トキシカラ属、回虫属、エキノコックス属、ジアルジア属、プラスモディウム属、トリパノソーマ属、住血吸虫属、ブルギア属、それらの菌株等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0173】
1 X 10-5 W/m2より低いといった低音響および/または音響−EM入力で、微生物は機能を増大され、特徴的音響および/または音響−EM特徴を出すが、これを用いて微生物の存在を検出および診断し得る。より高い入力では、生物は毀損され、殺害される。音響および/または音響−EMエネルギーの振動共鳴作用を受け易い細菌、真菌、原生動物および虫の構造の他に、それらは、圧電構造、内部散逸、音響電気的および磁気音響的構造として機能し得る。
【0174】
本発明は、特定共鳴周波数での音響および/または音響−EMエネルギーを、ならびに包含される任意のおよびすべての構造の圧電、内部散逸、音響電気的および/または磁気音響特性を、単独でまたは共鳴音響場と組合せて用いた、微生物構造の増大、同定および/または物理的毀損の目的のために、構造の構成部分、または細菌、真菌原生動物および虫の全生物体を利用する。
【0175】
超音波を使用する従来技術の治療とは異なり、本発明は、多層生物体を治療するために用い得る特定の共鳴周波数を使用する。本発明は、パン酵母、ワイン酵母、乳酸菌(ワインおよびチーズ)、石油酵母、ならびに特定のアミノ酸、抗生物質、酵素またはその他の化学物質を産生する微生物のような有益と思われる微生物の機能活性を増大する可能性も有する。機能活性としては、増殖、代謝、酸化または還元活性等が挙げられ得る。
【0176】
一実施態様では、本発明は、MHz範囲の低周波数用に設計された変換器(Matec Instrumentsにより商業的に提供されるような)を有する、任意のおよびすべての実施態様を含めた、図12および図24A&Bに記載した装置により示されるように、微生物の共鳴音響および/または音響−EM周波数をin vitroで確定させ得る。例えば、細菌、特に大腸菌による牛肉の汚染に関連した食肉包装プラントでは、同様の装置を用いて、従来の培養法と比較した場合に相対的に短時間内に、細菌に関して食肉をスクリーニングし得る。先ず、食肉表面のスワブを採取し、生理学的pHの滅菌食塩水を含入する滅菌試験管に入れる。予め決められた量の溶液を標準試験円板上にピペット分取して、これを2つの変換器間にしっかり留める。共鳴または共鳴調和音響周波数を被験試料に関して走査し、それにより考え得る有害大腸菌の存在または非存在に関してスクリーニングする。食肉の検査は、一般的方法より効率的に且つ確実に実施する。
【0177】
本発明は、微生物の共鳴音響および/または音響−EM周波数を用いてこれらの生物学的有機体またはそれらの構造を増大させ得る。例えば、図25に示すように、ビール発酵バットの底は、ビール酵母菌の特定菌株の機能を増大するために適切な周波数および出力の音響変換器を装備する。この酵母は、一般に、5〜10日間、ビールを発酵するために用いるが、しかしながら、共鳴音響増大に関しては、発酵時間は低減される。定量的検出濃度の酵母、ならびにデンプンおよび/または糖分子のアルコール化合物への転換により、最も有効な出力レベルを決定し得る。
【0178】
本発明は、微生物の共鳴音響および/または音響−EM場を用いてこれらの生物学的有機体またはそれらの構造を毀損させ得る。例えば、図26に示すように、市販の台所用電子レンジに、2つのEM線ホーンを取付ける。1つは調理用で、1つは大腸菌およびサルモネラ属のような一般食物病原菌の共鳴音響および/または音響−EM周波数用である。あぶり、焼き、または所望され得るその他の食物調製法の前に、電子レンジの汚染除去サイクルを用いて、家庭料理人は、あらゆる考え得る病原体について食肉またはその他の食品を汚染除去し得る。
【0179】
いくつかの種類の細菌に関して音響共鳴測定を実行して、細菌の共鳴音響周波数を確定した。Matec高周波7000パルス変調器および受信器を、Matec自動データ獲得系およびオシロスコープと一緒に用いた。肺炎桿菌Klebsiella pneumoniae(アメリカ培養細胞コレクション#13883)を標準増殖培地上で増殖させた。Matec 90 MHz、3/8"直径変換器表面を清浄にして、アルコールで滅菌した。生肺炎桿菌を変換器の表面上に載せた。共鳴音響分光分析を、100〜200 MHzの音響範囲で実施した。125〜130 MHz、中央周波数127.5 MHzで、肺炎桿菌に関して、共鳴音響周波数を検出した。これは、共鳴分数調波であると推定された。
【0180】
同一装置を用いて、大腸菌(アメリカ培養細胞コレクション#25922)に関して、同一測定を実施した。大腸菌に関して、共鳴音響周波数を検出し、中央周波数は113 MHzであった。これも、共鳴分数調波であると推定された。
【0181】
例3
感染性節足動物の検出および毀損
節足動物は、ヒトおよび動物の血液に感染し、摂食する昆虫の種々の群を含む。例としてはシラミ、ノミ、マダニ、カ、ダニ、チョウバエおよびツェツェバエが挙げられる。ヒトまたは動物に感染した場合にこれらの節足動物が生じる一般的不快および迷惑の他に、感染の真の危険性は、節足動物により伝染される疾患にある。これらの疾患は、概して、毎年、世界経済に数十億ドルを失わせている。犠牲者の全体的健康状態は損なわれ、彼等は時間、快適生活、そして時として生命それ自体を失う。
【0182】
蚊は、デング熱、黄熱病、脳炎、出血熱、マラリアおよびリンパ性フィラリア症を伝染する。マダニは、脳炎、ライム病、回帰熱およびロッキー山紅斑熱を伝染する。ノミは、ペスト(エルジニア属)およびチフスを伝染する。シラミは、チフスを伝染する。ダニは、リケッチア痘を伝染する。ハエは、アフリカ睡眠病、リーシュマニア症およびシャーガス病を伝染する。
【0183】
節足動物の識別特徴は、体部および脚を被うキチン質の外骨格である。キチン質は、N−アセチル−D−グルコサミンの反復単位から成る長い非分枝化分子である。それは自然に豊富に見出され、昆虫、節足動物、甲殻類、軟体動物の硬質殻、そしてある種の真菌の細胞壁をさえ構成する。このようなものとして、キチン質は結晶構造であり、音響および/または音響−EMエネルギーの作用を受ける。したがって、節足動物は、それらの形状(球または円筒)およびサイズに適合した共鳴音響周波数による検出および毀損を受け易い。さらに、節足動物構造内に含入される種々の器官または付属器官も、特定の共鳴音響周波数を受け易い。最後に、構造それ自体を構成する化合物(キチン質、結晶タンパク質等)も、独特の共鳴周波数を有する。
【0184】
低音響入力で、感染性節足動物は特徴的音響および/または音響−EM特徴を放出し、それらはその存在を検出し、診断するために用いられ得る。より高い入力では、節足動物は毀損され、殺害される。検出または毀損のために用いられる特定範囲の強度は構造に依存する決定因子であり、そしてその強度は前記のような当業者に既知の標準法を用いて確定し得る。節足動物の構造は音響および/または音響−EMエネルギーの作用を受け易い他に、圧電構造としても機能し得る。
【0185】
本発明は、特定共鳴周波数での音響および/または音響−EMエネルギーを用いて、ならびに圧電、内部散逸、音響電気的および/または磁気音響構造として、単独でまたは共鳴音響場と組合せてそれらを用いて、節足動物構造の同定および/または物理的毀損の目的のために、構造の構成部分、または節足動物の全生物体を利用する。
【0186】
本発明は、前記と同様の適切な周波数の装置を用いて、節足動物の共鳴音響周波数を確定および利用させ得る。例えば、感染作因、例えばエボラ熱、出血熱または脳炎の原因を同定しようと努力して、何千もの昆虫およびその他の節足動物を捕獲し、分類中の研究者は、図27に示したような装置を用い得る。当該感染作因の共鳴周波数を含む音響スペクトルの部分が走査される。節足動物物質の既知の共鳴周波数をスペクトル分析器の負のリードに供給して、正のリードによる試料走査におけるそれらの構成成分共鳴周波数を相殺する。残りの周波数を、攻撃中の微生物の共鳴音響特徴に関して分析する。これは、高価で且つ時間の掛かる試験を必要とせずに、感染作因の宿主貯蔵所を容易に同定するための手段を提供する。
【0187】
本発明は、図28に示すように、大型微生物の感染性節足動物、例えばイヌまたはヒトにおけるノミを殺害する手段も提供する。高kHz〜極低MHzの変換器を、バスタブ型装置上に取り付ける。ノミ用の共鳴音響周波数を、水を介して動物の表面に送達する。感染性節足動物はイヌまたはヒトの表面または最外層に局限されるので、深部組織浸透のための高出力は必要でない。同一の方法は、例えば洗濯機中の防ノミまたは防シラミ寝具およびリネンにも用い得る。
【0188】
例4
骨増殖の増大
ヒトにおける骨無機質脱落は、有意のヘルスケア問題である。この骨無機質脱落(骨粗鬆症)のために、数千の高齢者が臀部、足または腕の骨折を蒙っている。これらの損傷は、損傷後の治療、手術およびリハビリのために、米国ヘルスケアシステムに毎年数十億ドルを失わせている。さらに犠牲者の全体的健康状態は損なわれ、彼等はこれらの骨折のために、時間および快適生活の損失を蒙る。骨基質損失に関与するその他の条件としては、無重力(たとえば、大気圏外での)および長期病床拘束が挙げられる。ある職業の人々は、正常骨密度の増大により利益を受ける。その例としては、プロの運動選手、軍人および増大大気圧への曝露を必要とする職業(たとえば、潜水夫)が挙げられる。
【0189】
生きている骨は銅がドープされたコラーゲン繊維中に包埋されているヒドロキシアパタイトのカルシウムベース結晶構造で組織化されている。機械的圧力または重力場による骨性基質中のコラーゲン繊維への力の適用は、骨の圧電作用および流体チャンネルを介するイオン流を刺激する。この小電荷は、次に、身体の骨芽細胞への信号として作用して、より多くのヒドロキシアパタイトを沈着させる。ヒドロキシアパタイト密度が増大すると、骨は強くなる。したがって、圧電作用を介して、正常な日々の活動中に遭遇する圧力および力に応答して、骨はその正常構造および密度を保持する。
【0190】
加齢に伴って、正常銅ドーピングは失われ、圧電作用は低減される。その結果、ヒドロキシアパタイト密度は保持されず、高齢者は骨粗鬆症および骨折を蒙る。同じことは、正常活動の非存在下(無重力および病床拘束)で、その後の正常圧電作用およびイオン電流の非存在を伴って起こる。
【0191】
骨は結晶性圧電構造であり、このようなものとして、音響エネルギーの振動作用を受ける。正常生理学的骨密度保持の背後に働いている過程は、マクロ圧力により圧縮されたコラーゲン繊維内のヒドロキシアパタイト分子運動の発生である。これらは、日常の活動から起こり、圧電作用およびその後の骨構築骨芽細胞作用を刺激する。
【0192】
この分子運動およびコラーゲン繊維圧縮は、骨の半導体基質内の微小圧力からも発生され得る。このように、ミクロ圧は、音響エネルギー波により産生され得ることが理解される。
【0193】
圧電作用の他に、骨は圧電性および半導体構造であるために、それは音響電気的、内部散逸および磁気音響作用を示す。骨半導体機能の減少(骨粗鬆症)および/またはマクロ圧低減(無重力および病床拘束)に伴う症状は、生物学的圧電作用を発生する音響ミクロ圧の適用により、および/または音響共鳴、内部散逸、音響電気的および磁気音響的作用を介して、有効に治療され得る。
【0194】
従来の文献は骨折の治癒速度を上げるための非共鳴超音波の使用を記載しているが、しかしながら、そのメカニズムは骨組織の厖大な毀損を引き起こして、これが順次、骨中の兼備強敵毛管床を損傷し、血清および細胞を骨基質中に漏出し、その後の骨鉱化をもたらす。文献は、全骨(大腿骨および尺骨)の構造の共鳴周波数を検出して骨が正常であるか欠損しているかを診断するために超音波を使用する試みも記載する。しかしながら、圧電作用を活性化するための共鳴音響および/または音響−EM周波数の使用は、記載されていない。圧電、内部散逸、音響電気的および磁気音響作用のための生きている変換器として、単独で、または共鳴音響場と組合せて、骨を用いるという考察は、従来技術には示されていない。
【0195】
本発明は、骨増殖および石灰化を増大する目的のために骨の結晶性、圧電性構造を利用する。本発明は、骨粗鬆症の犠牲者が蒙る骨折の数および重症度を有意に低減する可能性を有する。本発明は、骨折の治癒工程をスピードアップする可能性を有する。無重力(即ち、大気圏外での)または長期病床拘束のような骨基質損失に関与するその他の条件にも、本発明は有益である。本発明は、骨密度の増加により利益を受ける職業の人々(運動選手、軍人および大気圧増大への曝露を必要とする職業、例えば潜水夫)に役立つ可能性を有する。本発明は、獣医学的用途の可能性も有する。超音波を用いる従来の治療と異なり、本発明は、骨の共鳴音響および/または音響−EM周波数を用いて、隣接組織に影響を及ぼさない骨増殖の増大のために、少なくとも圧電作用を刺激する。
【0196】
本発明の方法は、共鳴音響および/または共鳴音響−EMエネルギーを用いて骨の増殖および保持を増大するための手段を提供する。例えば、図29に示すように、圧電物質のシートをシャワーマット具に取り付ける。骨粗鬆症傾向のある高齢者がシャワーを浴びる場合、そのマットを活性化する。シャワーの水は導電性媒質として作用し、一次または調和共鳴周波数が足裏を介して、力の線に沿って、足および臀部に送達される。骨中の圧電作用が活性化され、骨密度が増大される。
【0197】
本発明は、例えば図30に示すように、共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて、骨の増殖および保持を増大する方法を提供する。無重力条件下の宇宙飛行士が使用する睡眠/拘束袋に、袋の脚部にEM線送信器を装備する。袋はEM吸収物質製である。寝袋を宇宙船に固定する係留鎖は、宇宙船の信号発振器にアンテナを接続するためのケーブルを含む。睡眠中、寝袋の骨保持具が活性化されて、骨中の圧電作用を活性化する共鳴周波数でEM線を宇宙飛行士に送達し、したがって彼等の正常骨密度を保持する。ボード上の他の設備を妨害し得る外来EM線は、寝袋中のEM吸収物質により遮断される。
【0198】
例5
良性または悪性組織または集塊の毀損および検出
ヒトおよび動物に影響を及ぼす、良性および悪性の、広範な種々の組織塊が存在する。多くの組織塊は、身体中の限定領域内に封入または含入される。良性腫瘍はほとんどすべて、徐々に拡張し、繊維性皮膜を発現し、孤立性、易触知性、易可動性塊を生じる。良性腫瘍の例としては、繊維腫、脂肪腫、軟骨腫、骨腫、血管腫、リンパ管腫、髄膜腫、平滑筋腫、腺腫、乳頭腫、ポリープ、コンジローム、繊維腺腫および横紋筋腫が挙げられる。悪性腫瘍はほとんどが侵襲性で、転移するが、しかしながら顕著な例外は神経膠腫および基底細胞癌である。疾患を引き起こすその他の組織塊としては、塞栓、血栓、膿瘍、石および異物が挙げられる。
【0199】
多数の組織塊は、限定された孤立した構造を有するので、それらのサイズおよび形状に適合した共鳴周波数での音響エネルギーの毀損作用を受け易い。従来技術は、組織塊を検出し、毀損さえするための非共鳴周波数での音響の多数の用途を含有するが、共鳴音響エネルギーによる組織塊の検出および共鳴周波数での音響エネルギーによる組織塊の毀損は、今日まで開示されていない。
【0200】
それらの形状およびサイズに適合した共鳴音響周波数による検出および毀損を受け易い組織塊の他に、組織塊それ自体を構成する構成成分(細胞型、結晶タンパク質等)も、検出および毀損を受け易い独特の共鳴周波数を有する。低入力では、ある種の組織または集塊は増殖または代謝が増大されて、培養、再生および増殖のための補足技術が提供され得る。
【0201】
それらの構造によって、ある種の組織塊または組織型は共鳴音響−EM作用も示し、ならびに圧電性、内部散逸、音響電気的および/または磁気電気的の構造として機能し得る。本発明は、多数の良性および悪性組織および集塊の孤立した形状、サイズおよび組成を利用して、特定の共鳴周波数の音響および/または電磁エネルギーを用いてそれらの構造の同定、増大、検出および/または毀損を生じさせる。超音波を用いる従来の治療と異なり、本発明は、特定の共鳴音響および/または電磁周波数を使用し、これを用いてその中の特定構造をターゲッティングすることにより多層生物体を治療し得る。それは、音響エネルギーの既知の腫瘍/集塊検出能力(診断超音波)と共鳴周波数での音響および/または電磁エネルギーの毀損特性とを併有する。本発明は、望ましい場合には、種々の組織および集塊の増殖および機能を増大する可能性も有する。
【0202】
本発明は、共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて、良性または悪性組織および/または組織塊を検出および毀損するための手段を提供する。例えば、図31に示すように、標準エコー反射能力を伴って設計された音響変換器を用いて、組織塊のサイズおよび規模を確定する。算定された共鳴周波数を基礎にして、ある範囲を走査して、正確な共鳴周波数を確定する。次に1つ又はそれ以上のそれらの周波数を集塊に送達して、その構造を毀損し、その後の身体による集塊の吸収を可能にする。
【0203】
さらに、本発明は、任意のおよびすべての実施態様を含めた、図12および図19A&Bに記載した装置を用いて、共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて良性または悪性組織型を検出するための手段を提供し、細胞試験円板または組織調製物を2つの変換器の間に置いて、周波数を走査して、共鳴ピークおよびEMパターンを探す。共鳴ピークとEMパターンの差は、組織型間で、例えば正常上皮細胞と癌性上皮細胞との間を区別する。
【0204】
例6
生物学的化合物または組織の増大、検出および/または毀損
生物学的有機体は、多数の生化学的化合物、例えば核酸、炭水化物、脂質、アミノ酸およびステロイドで構成される。多数の生化学化合物は、それ自体、規則的反復パターンで整列する。言い換えれば、それらは結晶形態をとる。生化学的結晶の例としては、インスリン、ヘキソキナーゼ、アルドラーゼ、ヘモグロビン、ミオグロビンおよびスペクトリンが挙げられる。さらに、ある種の組織または細胞構造は結晶形態をとり、例えば前者の例は骨、筋繊維および結合組織繊維、そして後者の例は細胞膜、Na/K膜ポンプおよび視覚桿状受容体である。
【0205】
生物学的有機体を構成する生化学化合物は、それらの先天性結晶構造を基礎にして、それ自体の独特の共鳴周波数を有する。生化学化合物の多くは、圧電性、内部エネルギー散逸、音響電気的および磁気音響構造でもある。このようなものとして、生化学化合物は共鳴音響および/または音響−EMエネルギーの増大、毀損および/または検出特徴を受ける。本発明は、特定の共鳴音響および/または音響−EM周波数を使用し、これを用いて多層生物体を処置し得る。本発明は、圧電性、内部エネルギー散逸、音響電気的および/または磁気音響作用を利用して、単独で、または共鳴音響場と組合せて、所望の結果を達成する可能性も有する。
【0206】
例7
皮膚合一メスを産生する細胞間のプロテオグリカン接着単位の刺激または毀損
本発明は、共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて細胞間のプロテオグリカン接着単位を刺激および/または毀損するための方法を提供する。切開用の金属メスを用いて、ヒトに関して毎年数百万の手術が実施されている。このようなメスの使用は、切開部の糸による閉鎖、治癒期間を要し、そして必ず瘢痕形成を生じる。さらに、数百万の人々が皮膚の外傷性切り口、裂け目または破裂を蒙り、再び糸での創傷の閉鎖、治癒期間および瘢痕形成を要する。
【0207】
多細胞生物において、細胞は約1,600/細胞の割合のプロテオグリカン単位により一緒に保持する。これらの単位は約200μm長で、種間で多少の変動がある。
【0208】
切開をおこなうか、または細胞層に外傷性破断が起きた場合、細胞接着は引き裂かれ、いくつかの細胞は破裂し、血管が開裂する。白血球、血小板および繊維芽細胞は細胞外間隙に集合し、最後には瘢痕の形成を生じて、これが組織を再接着する。この治癒段階中、開口組織は外来生物の侵襲を非常に受け易く、創傷感染は絶えず警戒しなければならない合併症である。
【0209】
感染の合併症を伴わない創傷治癒の場合でも、瘢痕は依然として残る。新式プラスチック手術技法は瘢痕を最小化するかまたは隠そうとするが、しかし瘢痕の形成は避けられない。
【0210】
高パワーレベルを示す高振幅のプロテオグリカン単位に伴う音響共鳴を達成するエネルギー場は、細胞間の接着結合の分離を引き起こし、したがって組織層の分離を、そして本質的に非外傷性切開を生じる。低振幅の同一エネルギー場は、接着結合の再接着を生じ、再接着化切開のほぼ即時の且つ無瘢痕性の治癒を伴う。
【0211】
本発明は、組織中の細胞層を非外傷的に分離することにより、そして最小瘢痕かまたは瘢痕を全く伴わずに、細胞層を即時に再接着することにより、外科的工程を劇的に改良する。プロテオグリカンが圧電性、内部エネルギー散逸、音響電気的および/または磁気音響作用を示し得る限り、本発明は、電磁エネルギーパターンの音響−EM特徴を、単独で、または共鳴音響場と組合せて用いて、前記の結果を生じる可能性を有する。本発明は、獣医学的および農業的意義も有し、即ち家畜類および家禽類における創傷を治癒し、または外科手術を実施し、そして種々の植物組織または枝を、ある植物から別の植物に接ぎ木する。
【0212】
例えば、図33に示すように、変換器を先端に取り付けたメスを用いて、適切な周波数の音響/音響−EM波を生じて、細胞間のプロテオグリカン接着を毀損し、そして外科的切開を作り出す。その手法の終了時に、切開の縁を一緒に保持して、適切な周波数および型のもう一つの変換器を切開上を通過させて、組織を再接着する。
【0213】
例8
多細胞生物の構造の増大、検出および/または毀損
多細胞生物の増大、同定、検出および/または毀損は、多数の用途を有する。世界人口が、種々の害虫、例えば昆虫、齧歯類および軟体動物に苦しめられている。他の状況では、特定の生息地における種々の種の検出は、ヒトの活動にとって重要性を有する。最後に、その増殖および増大が食物、医薬、宝石等の収穫のために望ましい多数の多細胞生物が存在する。害虫は、それらの身体、その身体の一部、あるいはそれらの身体に含入される特定の生化学化合物のサイズおよび形状に適合した共鳴音響および/または音響−EM周波数の使用により、排除し得る。例えば、頭、胸または腹部のサイズに適合した共鳴音響および/または音響−EM周波数は、ミツバチ、スズメバチ、アリまたはシロアリに対して致死的であり得る。同様に、マウスの内部器官(脳、腎臓、生殖腺、大動脈等)のサイズおよび形状に適合した共鳴音響および/または音響−EM周波数は、その動物に対して致死的であり得る。軟体動物害虫、例えばムラサキガイおよびフジツボは、それらの卵、内部器官、キチン質貝殻またはセメント/セメントプレート等に適合した共鳴音響および/または音響−EM周波数の使用により制御または排除し得る。
【0214】
種々の害虫生物、例えばシロアリ、または望ましい生物、例えば絶滅寸前種の検出に、その生物に特異的な共鳴音響および/または音響−EM周波数の使用および検出は役立つ。共鳴音響および/または音響−EM周波数の使用は、おそらくは、動物、植物および微生物界全体の種および亜種の同定および弁別に役立ち得る。
【0215】
その増殖および増大が収穫のために望ましい多細胞生物の例としては、植物、およびタンパク質源、例えば魚、二枚貝、小エビ、鶏およびその他の家畜類が挙げられる。広範な種々の植物および動物源から収穫される医薬、衛生用品および化学物質としては、ホルモン、香料、染料およびビタミンが挙げられる。植物および動物源殻収穫されるその他の物質は、ヒトの活動の本質的部分であるために、非常に多すぎて列挙できない(即ち、真珠、衣類用繊維、建築材料、革等)。低入力の共鳴音響および/または音響−EM周波数では、これらの生物および構造は選択的に増大され得る。
【0216】
本発明は、多数の生物の別々の形状およびサイズを利用して、増大、同定、検出および/または毀損の目的のために、それらの生物に特異的な共鳴音響および/または音響−EM周波数を使用する。圧電性、内部エネルギー散逸、音響電気的および/または磁気音響作用を用いて、本発明は、特定の音響−EM特徴の電磁エネルギーパターンを、単独で、または共鳴音響場と組合せて用いて、前記の結果を生じる可能性を有する。本発明は、多数の害虫の化学物質フリーの制御を提供する可能性を有する。本発明は、多数の種の生物の検出および同定を提供する可能性も有する。最後に、本発明は、有益であると思われる種々の種における成長および代謝を、そして構造を増大する可能性を有する。
【0217】
本発明は、共鳴音響および/または音響−EM周波数を用いて多細胞生物の構造を増大、検出および/または毀損するための手段を提供する。例えば、図32に示すように、フジツボのセメントプレート(それによりそれらは船の船体にそれら自身をくっつける)に対する共鳴音響を有する変換器装置を、水面下の「スクラッバー」に取り付けて、これをケーブルを介して船のデッキから、またはRF制御を介して船の内部から遠隔操作する。スクラッバーは船体の外側に沿って動くので、音響波はフジツボのセメントプレートを毀損して、船体上でのそれらの把持力を失わせて、海中に落とす。
【0218】
例9
魚の成長率の増大または毀損
本発明は、図34に示すように、商業漁業における魚の成長率の増大および/または毀損を提供する。
【0219】
小魚の2匹の繁殖用つがいを、80゜Fで10ガロンの魚用タンク中に保持した。繁殖用つがいは産卵し、卵は約3〜5日で孵化した。3日齢孵化小幼魚を繁殖用タンクから取り出して、音響共鳴周波数プロフィールに関して測定した。小幼魚を、2.25 MHz Matec変換器の上の一滴の水の中に、一度に1匹置いて、小幼魚の共鳴周波数を測定し、決定した。試験した小幼魚はすべて、同様の共鳴音響周波数プロフィールを生じ、個体変動は小さかった。最強初期信号の1つは、2.4 MHzで認められた。
【0220】
(試験A)小幼魚の2つの異なる群に関して、最初の試験を実施した。一方は音響共鳴場に曝露し、他方は対照群として用いた。実験タンクに、タンクの底全体に且つ平行に、水密グロメットを介して、Matec 2.25 MHz音響変換器を取り付けた。小幼魚の2分の1を、変換器に接続しているが、作動させていない対照タンクに入れた。他の半分の小幼魚は、変換器を有するタンクに入れて、音響場をタンクに適用した。音響場は、2.4 MHzで、10ボルト/秒パワーで連続的に伝送した。対照タンク中の小幼魚はすべて、よく育ち、成長したが、一方、音響場中の小幼魚は2週間以内に死んだ。
【0221】
(試験B)別の試験レジメンを小幼魚に関して実施し、小幼魚を3群に分けた。
【0222】
(1日目)3分の1の群を、対照として親と一緒に繁殖用タンクに残した。1群を、変換器は装備しているが、変換器への電力は作動していない別の小対照タンクに入れた。第三群は、作動中の変換器を装備したタンクに入れ、20μ秒パルス幅または持続時間で10 msec反復速度での電源のパルスモードを用いて、小幼魚を2.4 MHzの音響場に曝露した。電圧は、Matec TB 1000により300ボルト/秒に設定した。
【0223】
(7日目)1週間以内に、異なる群の小幼魚のサイズに顕著な差が認められ、音響共鳴場に曝露された小幼魚は2つの群より大きかった。
【0224】
(10日目)実験10日目に、小幼魚をすべて再測定し、音響曝露タンク中の小幼魚に曝露する周波数を2.0 MHzに減少させたが、他のパラメーターはすべて、同一のままであった。音響曝露小幼魚はよく育った。
【0225】
(14日目)小タンク対照群の小幼魚のうち、5匹が死亡した。
【0226】
(16日目)小タンク対照群の小幼魚のうちの18匹がこのときまでに死亡していた。繁殖用タンクは影響を受けなかった。全軍の残りの小幼魚をすべて、センチメートル物差および双眼顕微鏡を用いて測定した。
音響群 体長7 mm
繁殖用タンク対照群 体長6 mm
小タンク対照群 体長5 mm
(18日目)小タンク対照群中の小幼魚は1匹以外はすべて死亡した。繁殖タンク中の対照群は依然として生存し、機能しており、音響共鳴曝露群はよく育っていた。
【0227】
(19日目)音響タンク中の成長中の小幼魚の共鳴音響周波数を再び測定した。音響場を1.55 MHzに変えたが、各反復のパルス幅を2μ秒に減少させた以外は、他のパラメーターはすべて同じままであった。パルスの幅の低減は、小幼魚の成長に顕著な影響を及ぼし、20μ秒がこれらの周波数での増大に関するパワー範囲の上端であったことを示した。
【0228】
(21日目)小タンク対照群の唯一の残存小幼魚を繁殖対照群に移した。この唯一の小幼魚は他の対照群より顕著に小さかったが、しかし対照小幼魚はすべて、音響群より顕著に小さかった。
【0229】
(41日目)音響群タンク中では、音響場を0.830 MHzに変え、他のパラメーターはすべて、そのままであった。
【0230】
(65日目)音響群中の小幼魚に曝露する音響場を終了した。約2ヶ月齢で、音響共鳴曝露魚は、初期対照群からの4ヶ月齢以上の対照とほぼ同一サイズで、繁殖対照群中のそれらの片割れよりはるかに大きかった。
【0231】
(結果)試験Aと試験Bとの間にパワーの入力または強度に有意差が認められた。試験Aでは、パワーは10ボルト/秒で継続した。試験Bでは、パワーはパルス化され、作動させた音響場はその時間のほとんど0.2%に過ぎなかった。したがって、パワーが300ボルト/秒の場合でも全体的収率は(300 V/秒 x0.002)または0.6ボルト/秒全パワーに過ぎなかった。
【0232】
小幼魚が成長した場合、構造のサイズおよび形状の差のために、関数変化を誘導する音響共鳴周波数も変えた。
【0233】
音響場の終止後、小幼魚を成長させて成熟期にして、繁殖させた。共鳴周波数の音響エネルギーに曝露した魚は、対照魚より有意に早期に成熟し、卵を生んだ。第二世代効果は、音響曝露魚または対照魚の子孫に認められなかった。
【0234】
例10
植物成長の増大
サトウサヤエンドウの発芽および成長パターンに及ぼす共鳴音響エネルギーの作用を確定するために、試験を実施した。サトウサヤエンドウ用の種子は、Lake Valley Seed Co.,から、ロット番号1997 lotA2B, 5717, Arapahoe, Boulder Colorado, 80303として包装されて入手した。
【0235】
最初に、Aスキャン上に示された最大振幅に対する周波数を確定することにより、マメの新芽の共鳴音響周波数を確認した。可聴周波数発生器の周波数を変えることにより、マメの新芽の振幅は共鳴周波数で最大になった。広口ガラス容器中で7つのサトウサヤエンドウを室温水で半分被い、カウンター上に放置して新芽にした。6日後、新芽を以下のように試験した:
Tb 1000およびA〜Dデータ獲得カードを含有するMatec超音波検査系を用いた。Tb 1000設定を以下に示す:
ゲイン 0〜20 dB
トリガ 内部+
電圧 高
整流 なし
LPフィルター 変動
HPフィルター 変動
出力レベル 100%
反復速度 10,000 msec
パルス幅 2.00 μsec
周波数 0.5〜20 MHz
モード 通し透過
A−D設定:
データ オン
遅延 なし
範囲 12 μsec
信号路 RF
電圧範囲 1 V
チャンネル A/AC
トリガ 外部+
閾値 1
試料速度 100 MHz
Vid.フィルター 1.7 μsec
DACオフセット 1945
【0236】
実験に使用した変換器としては、Matec 1.0 MHz、2.25 MHz、5.0 MHzおよび10.0 MHzが挙げられる(すべて直径0.5インチ)。計算が、水中の音の速さ(1,500 m/s)および新芽の直径(1〜2 mmまたは0.001〜0.002 m)を基礎にして、新芽の直径を横切る共鳴周波数は低MHz範囲にあるべきということを示したため、これらの周波数を最初に選択した:
速度=周波数 x 波長
周波数=速度÷波長=1,500 m/s÷0.001 m=1.5 MHz
新芽#1を各半分のマメから切り出して、2つの2.25 MHz変換器の間に置いて、EKGゲルの薄い皮膜と結合させた。Tb 1000を0.005 MHzの走査インクレメント上に固定し、その系で利用可能な最低(50 KHz)周波数から最高(20 MHz)まで走査した。振幅の変動は、この周波数スウィーピング工程中に観察され、低MHz領域を最高振幅領域として迅速に同定した。さらなる周波数スウィーピングにより、1.7 MHzでの最大振幅が明示された。
【0237】
被験新芽#2および#3に関して、同一手順を実施した。被験新芽#2は未だマメの半分にくっついており、1.64 MHzの共鳴周波数を全構造から検出したが、しかし、マメ半分による音響場減衰のために、ゲインは増大されねばならなかった。新芽#3は#1のように単離新芽で、1.78 MHzの共鳴周波数を明示した。
【0238】
1.0 MHz変換器を用いて同一手順を反復し、同様の結果を得た。したがって、4〜5日齢サトウサヤエンドウ新芽に関する音響共鳴周波数は1.7 MHz±0.1 MHzであると結論づけた。多細胞生物物質に関する共鳴周波数を首尾良く同定したら、次の工程は、この周波数での音響場の適用から毀損および/または増大を示すことであった。
【0239】
音響共鳴周波数での異なるパワーレベル、または電圧および曝露の長さを用いて、多数の発芽試験を実施した。
【0240】
(発芽#1)
音響共鳴周波数の確定に際して、Matec 1.0 MHz変換器を、下記以外は前記と同一設定のTb 1000系とともに用いた:
周波数 1.7 MHz
電圧 高
反復速度 10 msec
パルス幅 2μsec
通しモード
2つの小プラスチック皿を用意し、その皿の底に単一層の滅菌コットンボールを敷いて、7粒のサトウサヤエンドウを載せ、蒸留水を充填して、マメの種子を半分浸した。1つの皿のマメ種子を対照とした。1.0 MHz変換器を環スタンドクランプにしっかり留めて、変換器の面を皿の中央に下げた。変換器の音響場をさらに中央に下げた。1日目に音響場を開始し、その領域の頻繁なストームのために、次の72時間に数回遮断した。試験の最初の48時間中、変換器を操作したのは約18時間に過ぎなかった。
【0241】
5日目に実験を終結した。7つの音響マメ種子はすべて新芽を出したが、一方、対照マメ種子のうち新芽を出したのは5つだけであった。黒土のいくつかのスポットが対照皿中に認められた。根新芽の比較から、音響新芽は対照新芽の2倍の長さであることが明示された(2.9 cm対1.6 cm)。変換器をしっかり留め付けたこと、音響場の頻繁且つ反復的中断、そして対照皿中の汚染土のために、これらの結果の解釈は曖昧であった。したがって、トレイの底全体にできあがった変換器を有する試験トレイを構築した。
【0242】
(発芽#2)
この発芽には、発芽#1で用いたのと同様の音響装置および構成を用いた。1.0 MHz変換器を環スタンドクランプに緩く留めて、変換器の面を大型プラスチック皿中に下げた。信号発信器に接続されていない第二の1.0 MHz変換器を大型対照皿中に下げた。中断は頻繁でなかった。
【0243】
7日目に実験を終結した。対照皿では、79%が新芽を出し、平均根新芽長は3.95 cm(n=81)であった。音響皿では、69%だけが新芽を出し、平均根新芽長は3.12 cm(n=80)であった。高電圧出力でのこの周波数は、マメの出芽および成長に及ぼす毀損作用を実証した、と結論づけられた。
【0244】
(発芽#3)
1 MHz変換器を2つの皿の底に設置し、これを、ゴムシールに穴を開け、直径0.5インチの変換器を収容することにより修正した新構成を実行した。変換器を、皿の底面全体に上に向けて置いた。各皿を用意し、その底に単一層に滅菌コットンを薄く敷いた。50粒のサトウサヤエンドウを皿に載せ、水を半分まで充填した。信号発信器に接続されていない音響皿として、対照皿を的確に調製した。1日目に音響場を開始し、発芽#1で用いた前記の設定であったが、但し、パルス幅を発芽#1で用いたパルス幅の約10倍の19.98 μsecに増大した。それは、実験#2の場合の出力の10倍でもあった。中断は頻繁でなかった。
【0245】
7日目に試験を終結した。対照皿では、82%が新芽を出し、平均根新芽長は発芽#2と同様であった。音響皿では、72%だけが新芽を出し、平均根新芽長は発芽#2と同様であった。このデータは、高電圧レベルでの1.7 MHzという周波数が、マメの出芽および成長に及ぼす毀損作用を実証したことを確証した。
【0246】
(発芽#4)
下記以外は、発芽#3で開示したのと同様の構成を用いた:
電圧 低
反復速度 2μsec
パルス幅 0.3μsec(これは1つの音の波長を生じるよう調整された)
この発芽の結果は、対照皿の84%だけが新芽を出したが、一方、音響皿では、90%が発芽した。音響マメの平均根新芽長は対照マメより24%長かった。この周波数および低パワー音響場はマメの出芽および成長に増大作用を及ぼす、と結論づけられた。
【0247】
(発芽#5)
発芽#4で開示したのと同様の構成および実験を反復して、同様の結果を得た。対照皿では、84%が新芽を出し、一方、音響皿では、96%が発芽した。音響マメの平均根新芽長は対照マメより30%長かった(3.26 cm対2.49 cm)。低パワーでの音響共鳴周波数はマメの成長に増大作用を及ぼすことが確証された。
【0248】
表3に示した前記の5つの発芽試験の結果は、音響共鳴エネルギーが、曝露の長さおよび曝露のパワー強度によって、毀損および増大作用の両方を有し得る、ということを確証した。さらに、発芽#1で変換器をしっかり留めたことは、変換器からのパワー出力を弱め且つ減衰して、低パワー作用を模倣したに違いないと結論づけられた。
【0249】
【表6】
【0250】
(発芽#6)
底に音響変換器を装備した円形プラスチックボウルの底に滅菌コットンを敷いて、発芽トレイを調製した。75粒のマメ(サトウサヤエンドウ、Lake Valleyロット番号A2B 1997)を各トレイに載せて、必要な場合は蒸留水を付加した。パルス幅2μsecで10 msecの反復速度を有するMatec 1.0 MHz変換器を用いて3日間、音響場をマメの1つの群に送達した。次に、底に排水用の開口部を有する、植物成長媒質を充填した直径6インチのテーパー黒色プラスチックポットにマメを移した。3粒のマメを各容器に植えた。
【0251】
1000ワットグロー光を用いて、屋内でマメを栽培した。マメは成長して成熟期になり、マメの鞘を有する植物に育った。これを測定し、計量した。表4は、成熟マメ植物の全体的成長パターンに関する情報を提供する。
【0252】
【表7】
【0253】
(結論)−音響処理マメは、マメの重量および容量が約20%大きかった。植物体当たりのマメの重量は、2つの群間で同一であった。それゆえ、音響処理は、発芽を増大することにより、作物収量に間接的に影響を及ぼした。最初の3日間の音響処理は発芽のみに影響を及ぼしたが、音響場が中断された後のその後の成長および作物収量には影響を及ぼさなかった。
【0254】
(発芽#7)
1日目.115粒/トレイのマメを用いて、前記の発芽#6と同様に、発芽トレイ(2)を調製した。音響変換器を装備したトレイはなかった。この実験では、20フィートアンテナおよびE場発信器を用いて、遮蔽室中での曝露により送達される音響−EM場により、調製トレイの1つに含入されるマメに音響共鳴を誘導した。1.7 MHzの周波数でのEMエネルギーを、8.5 volt/mのパワーで連続的に適用した。対照マメを含有するトレイを、音響−EM場への曝露を伴わない第二遮蔽室中に保持した。
【0255】
3〜11日目の、音響−EM場に曝露したマメは新芽を出したが、一方、対照マメで新芽を出したのは5つだけであった。音響−EM曝露マメは、対照マメのほぼ2倍の長さであった。
【0256】
6〜45日目の、音響−EM場に曝露されたマメは新芽を出したが、一方、対照群で新芽を出したのは35粒だけであった。
【0257】
10〜61日目の、音響−EM場に曝露されたマメは新芽を出したが、一方、対照群で新芽を出したのは45粒だけであった。曝露音響−EM場群に関する葉新芽の平均長は3.3 cmであったが、一方、対照群の平均長は2.7 cmに過ぎなかった。
【0258】
結果:音響−EM特徴の適用は、マメの発芽および成長率を増大した。
【0259】
例11
無機構造の検出および同定
本発明の方法およびシステムは、種々の種類の無機物質または構造の定性的および定量的の両方の現場同定、金属アロイ中の不純物の識別、兵器および武器、例えばプラスチック爆薬等の識別といった広範な種々の有用な用途を有する。
【0260】
目的物または構造の共鳴周波数にぴったり適合する周波数で音響エネルギーを適用し、それにより独特の音響および/または音響−EM特徴の検出のためにそこに音響共鳴を誘導することにより、検出および同定を成し遂げ得る。当業者に既知の方法を用いて、あらゆる媒質を介して音響エネルギーを発生および伝送し得るあらゆる装置を用いて、開示し、上記で図1に示したような装置を含めた本発明により利用される共鳴音響および/または音響−EM特徴を発生し得る。
【0261】
当業者に既知の方法を用いて、あらゆる媒質を介して音響エネルギーおよび/またはEMエネルギーを検出し、分析し得るあらゆる装置を用いて、開示し、上記で図2に示したような本発明により利用される共鳴音響および/または音響−EM特徴を検出し得る。
【0262】
図12に示した系は、異なる無機物質または構造の共鳴音響周波数を確定する場合に利用される必要な構成成分の概観を示す。特定の周波数ならびに音響および/または音響−EM特徴の予めの決定は、後の比較のためのデータベースを提供する。
【0263】
図35A&Bでは、ブロック図は、共鳴音響エネルギーがスペクトル分析法のために音響−EMエネルギーと組合されて、同様のまたは同様でない対象を同定し、検出し、そして区別し得る装置構成を示す。これは、音響エネルギー、電磁エネルギーまたは両方の使用により、対象物を刺激して共鳴させることにより達成し得る。共鳴音響周波数を試料に適用すると、音響共鳴が誘導されて、独特の電磁エネルギーパターンが生じる。それが共鳴音響−EM特徴である。共鳴−EM特徴を生じるメカニズムとしては、圧電性、音響電気性、磁気音響性および/または内部エネルギー散逸が挙げられるが、これらに限定されない。共鳴音響−EM特徴は電磁特性および/または場の表現であり、その例としては直流、交流、磁場、伝場、EM線および/または音響サイクロトロン共鳴が挙げられるが、これらに限定されない。
【0264】
次に、その結果生じた音響、電磁または併合エネルギースペクトルに関して分析を実施する。次に、対象物の独特の音響および/または音響−EM特徴を説明するために、音響および電磁周波数および/または特性の分布を特性化する。
【0265】
本発明は、定期航空空港および輸送機へのプラスチック爆薬またはプラスチック武器の輸送に関する問題が安全性監視の増大を生じつつある空港の場合のようなセキュリティシステムに利用され得る。金属探知器は、ほとんどの場合、ポリマーは装置の磁場に応答しないために、ポリマーを検出できない。同様に、その他の代替物、例えばX線装置または訓練された動物は、ポリマーを他のものと区別できず、したがっていくつかの爆薬は検出が困難である。
【0266】
特定のプラスチック爆薬を特性化する独特の音響特徴および/または音響−EM特徴を識別する検出装置が使用され得る。
【0267】
プラスチック爆薬の音響共鳴周波数を確定するためには、爆薬を含有するプラスチックの自然周波数が先ず確定されねばならない。音響共鳴を誘導するために必要とされる周波数を次に確定する共鳴周波数を確定するための方法は、以下の工程を含む。Teledyne Electronic Technologyから入手可能なサファイア基材上の薄膜酸化亜鉛の薄片を包含する2つの変換器の間に、既知量の爆薬物質を有するプラスチックの試料を置く。接着剤として作用し、エネルギーの移動も可能にするカップリング媒質であるフェニルサリチレートにより、試料を変換器に接着させる。一方の変換器を、インピーダンス整合装置であるTeledyne Microstrip Matching Networkに接続する。インピーダンス整合装置を順次Hewlett-Packard Model 6286A電源に接続する。他方の変換器もTeledyne Microstrip Matching Networkに接続し、これを次にB & K Precision Model 2625スペクトル分析器に接続する。変換器から伝送されたプラスチック被験試料の音響信号を、スペクトル分析器の正のリードに送る。試験流体、ホルダー、変換器物質からの既知の音響信号は対照として役立ち、スペクトル分析器の負のリードに送られる。この構成を用いて、対照特徴を相殺すると、表示された残りの共鳴音響特徴はプラスチック爆薬からのものであり、定量的結果及び独特の特徴が得られる。
【0268】
電源を入れ、一連の電圧を変換器に伝送する。電気信号は変換器物質中に機械的応力を誘導して、電源により送達される電圧に対応する特定の周波数範囲で音響エネルギーを生じる。変換器からの電気出力を、スペクトル分析器により読取り可能フォーマットに転換する。この方法により、共鳴周波数、次に共鳴音響特徴が確定され得る。電源からの電圧を変えることにより、伝送音響波の振幅が異なる適用電圧に対して反応する。信号の振幅が最大に達すると、プラスチック試料は音響共鳴にあり、この状態を誘導する周波数は実質的に共鳴周波数に対応する。この時点で、共鳴音響および/または音響−EM特徴が確定され得る。
【0269】
プラスチック爆薬の共鳴音響特徴が確定されれば、次にいくつかの異なる種類のプラスチックに関して試験を実施し得る。爆薬を含有するものもあり、含有しないものもある。再び、各試料を前記と同一構成に置く。爆薬を含有する試料中に音響共鳴を誘導するために予め確定された周波数範囲は、対応する電圧を用いて電源から投入する。試料を別々に検査すると、爆薬を含有する試料のみが予定音響共鳴周波数で最大振幅に達する。この方法を用いて、ある種類の爆薬を含有するプラスチックに関する独特の特徴を確定し得る。
【0270】
定性的共鳴音響特徴が確定されたならば、識別モードで、その後の比較分析のためにそれをマイクロプロセッサーまたはその他の記憶保存装置中に保存し得る。さらに、定性的共鳴音響および/または音響−EMエネルギー特徴が確定されたならば、既知濃度のプラスチック爆薬の試料から共鳴音響特徴振幅を比較することにより、定量的結果を確定し得る。高濃度のプラスチック爆薬を有する試料は、より高い共鳴音響特徴振幅を有する。順次、未知濃度の試料中の負荷の査定を可能にする比率が得られ得る。
【0271】
スーツケース、パッケージおよび人々を空港ターミナルで走査して、プラスチック爆薬がターミナルまたは輸送機中に運搬されているか否かを確定し得る。一方の変換器は音響信号を発生して、広帯域の標的周波数全体をスウィープし、他方の変換器は伝送音響信号を検出する、2つの変換器の間にスーツケースを置く。スーツケースから伝送される音響信号を、信号分析器の正のリードに送る。革、紙、織物、プラスチックおよび乗客の手荷物または機内持ち込みパッケージ中に通常含入されるその他の物質に関する既知の音響共鳴特徴を、信号分析器の負のリードに送る。このようにして、対照特徴を、正のリード試料中のそれらの構成成分共鳴周波数から相殺する。プラスチック爆薬の音響共鳴特徴に関して、残りの周波数を分析する。
【0272】
別の実施態様では、プラスチック爆薬の音響−EM特徴の電磁エネルギーパターンをスーツケースに伝送する。音響変換器が、その物質が音響共鳴に誘導されたことを示しているスーツケース内からの音響信号を欠く場合には、検出は肯定される。音響信号の振幅は、スーツケース中の爆薬の相対的サイズまたは量に関する付加的情報を提供し得る。
【0273】
さらに別の実施態様では、プラスチック爆薬の音響−EM特徴がスーツケースに伝送される。スーツケース内の内容物の音響エネルギーおよび音響−EM特性はともに、プラスチック爆薬を検出および同定するために測定される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響、共鳴音響および/または共鳴音響−EMエネルギーおよび/または電磁特性および/または場を用いた無機および生物学的構造の検出、ならびに/あるいは生物学的構造の機能の毀損(disruption)および/または増大(augmentation)に関する。
【背景技術】
【0002】
系の共鳴音響周波数は、その系の自然の自由振動周波数である。共鳴音響系は、共鳴周波数に近いかまたは等しい周波数の狭帯域の弱い機械的または音響的駆動力により励起され、それにより標的構造に音響共鳴を誘導(誘起)し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,976,148号
【特許文献2】米国特許第5,062,296号
【特許文献3】米国特許第5,355,731号
【特許文献4】米国特許第5,048,520号
【特許文献5】米国特許第5,178,134号
【特許文献6】米国特許第4,646,725号
【特許文献7】米国特許第5,426,977号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
音響共鳴は、固体物質の種々の特性を決定するために用いられてきた。例えば、Migliori等は、米国特許第4,976,148号および第5,062,296号および第5,355,731号において、対象物の超音波励起に由来する対象物の独特の共鳴周波数スペクトル分析学的特徴を特徴付けるための方法、軸受け用ローラーボールのような球状対象物の生産量を等級分けするための共鳴超音波スペクトル分析法の使用、ならびに高散逸試料の弾性定数を算出する場合に使用するために低振幅共鳴を検出させるための高散逸物質の矩形平行管試料を用いた共鳴超音波スペクトル分析法の使用を開示する。しかしながら、Miglioriの特許は固体物質に向けられ、特に液体系が関与する場合には、有機または生物学的物質の選択的ターゲッティングに向けられない。
【0005】
無生物構造との相互作用の他に、共鳴エネルギーは生きている生物学的有機体および構造とも相互作用する。音響エネルギーは、生物学的構造に音響波を向け、そして音響波の反射パターンを分析することにより、構造をイメージングするために医学および生物学に広範に用いられてきた。さらに、音響エネルギーは、損傷または疼痛の標的領域に熱を送達するために物療医学に用いられてきた。しかしながら、前記の用途はすべて、特定の標的構造に対して非選択的である音響エネルギーの使用によっており、そういうものとして、ただ標的構造だけより以外に影響を及ぼし得る。
【0006】
Vago, RE.、米国特許第5,048,520号および第5,178,134号は、局所衛生および抗ウイルス作用のための動物の超音波治療を開示する。開示された周波数は、15キロヘルツ〜500キロヘルツの範囲である。それらは、非エンベロープ性ウイルスが超音波の不活性化作用に不応性あった、ということも報告する。それらの抗菌作用に関して引用されたメカニズムは、皮膚表面のみの「キャビテーション」であり、それらは特に、それらの装置における共鳴周波数の使用を回避する。
【0007】
Moasser, M.、米国特許第4,646,725号は、ヘルペスウイルスを含めた感染性作因により引き起こされる皮膚および粘膜病変の治療のための診断用超音波機のためのアダプターの使用を開示する。治療方法は、1平方センチメートル当たり1.5ワットの出力で2.0〜3.0分であって、特定の周波数は挙げられていない。音響共鳴の使用は、考察または意図されていない。
【0008】
Johnston, RG.、米国特許第5,426,977号は、サルモネラ属細菌の存在を確立するための技法を提供するために、卵における音響共鳴の超音波測定を開示する。Johnsonは卵を特性化し、サルモネラ属細菌を含有する卵と含有しない卵との間の差を確定している。このようなものとして、この方法は実際の微生物を検出しないが、しかしその代わりに、細菌の物理的存在により修飾される卵殻の振動モードを特性化する。
【0009】
従来技術は、近くの組織に影響を及ぼさずに、生物学的構造の機能に影響を及ぼすための申し分ない方法または系(装置)を示唆できなかった。さらに、従来技術は、音響共鳴を用いて生物学的構造または無機構造の正確な検出を可能にして、高信号対ノイズ比を有する特徴を生じる一方、近くの構造にほとんど影響を及ぼさない方法を提供しない。さらに、従来技術における非共鳴音響エネルギーの使用は、標的構造および非標的構造に等しく影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要約
本発明の目的のために、明細書および特許請求の範囲に出現する下記の用語および表現は、以下の意味を有するものとする:
「音響エネルギー(acoustic energy)」とは、本明細書中で用いる場合、物理的構造が振動し、動きの振動エネルギーが周囲媒質、例えば空気、液体または固体に伝達されるときに生成しているエネルギーと定義される。
【0011】
「検出する(detect)」とは、本明細書中で用いる場合、構造の存在または非存在を決定し、存在する場合にはその構造を同定することと定義される。
【0012】
「電磁(EM)特性および/または場(electromagnetic(EM)properties and/or fields)」とは、本明細書中で用いる場合、直流および交流の電流、電場、磁場、電磁線のほか、波、流量(cunent)、流束、抵抗、ポテンシャル、放射線またはあらゆる物理的現象(例えば参照により本明細書中に含まれるマックスウェルの方程式から得られるかまたは誘導されるもの)を含むがそれらに限定されないものの場を含む。
【0013】
「電磁(EM)エネルギーパターン(electromagnetic(EM)energy pattern)」とは、本明細書中で用いる場合、音響エネルギーがその構造と相互作用し、電磁特性および/または場として表出されるときに構造により産生される電磁エネルギーを表す。
【0014】
「生物学的構造(biologic structure)」とは、本明細書中で用いる場合、有機物と言い換え得るように用いられ、その例としては、最小の有機物または生化学的イオンまたは分子から細胞、器官および全生物体までの何でもが挙げられる。
【0015】
「毀損(disruption)」とは、本明細書中で用いる場合、生物学的構造に及ぼす有害作用を指す。
【0016】
「音響特徴(acoustic signature)」とは、本明細書中で用いる場合、音響共鳴における場合には信号の振幅の形態を取り得る構造により生成される独特の音響パターンを意味する。
【0017】
「共鳴音響周波数(resonant acoustic frequency)」とは、本明細書中で用いる場合、そこに音響共鳴を誘導するための自然共鳴周波数の調和または非調和周波数を含めた構造の自然共鳴周波数またはその近くの周波数を含む。
【0018】
「音響−EM特徴(acoustic-EM signature)」とは、本明細書中で用いる場合、音響共鳴において目的物によって生じるEMエネルギーパターンおよび/または共鳴音響周波数と等価の周波数におけるEMエネルギーと定義される。
【0019】
「音響−EMスペクトル分析法(aconsts-EM spectroscopy)」とは、本明細書中で用いる場合、音響共鳴にある構造に独特のEM特徴を検出すること、または電磁エネルギーの導入によって共鳴にある構造から独特の音響特徴を検出することと定義され、両方とも共鳴における構造を検出および/または同定するために用いられ得る。
【0020】
「生きている変換器(living transducer)」とは、本明細書中で用いる場合、電磁エネルギーまたは場を機械的エネルギーに、および/または機械的エネルギーを電磁エネルギーまたは場に変換する生物学的構造(たとえば、圧電または半導体)と定義される。
【0021】
「キャビテーション(cavitation)」とは、本明細書中で記載される場合、液体中の蒸気充填キャビティの形成、たとえば、沸騰が生じた場合の水中の気泡形成と定義される。
【0022】
「機械的(mechanical)」とは、本明細書中で記載される場合、熱およびキャビテーション領域間の強度/継続時間閾値領域に起こると考えられる圧縮および希薄化のようなメカニズムを含む。
【0023】
「非共鳴電磁特徴(non-resonant electromagnetic signature)」とは、本明細書中で用いる場合、非共鳴音響場により刺激された対象物により産生されるEMエネルギーパターンと定義される。
【0024】
「共鳴音響−EMエネルギー(resonant acousts-EM energy)」とは、本明細書中で記載する場合、構造中に音響共鳴を誘導(誘起)する電磁特性または場を意味する。
【0025】
本発明は、特定の標的構造に影響を及ぼすが、しかし近くの非共鳴構造に及ぼす作用を事実上有さない周波数を選択して、標的構造に音響共鳴を誘導することにより、従来技術の欠点を処理する。さらに、音響エネルギーパワー強度は、音響エネルギーを増大または置換する電磁(EM)エネルギー源を導入することにより低減され得るので、それにより高パワー音響エネルギーの毀損性を低減できる。EMエネルギーと音響共鳴との間の相互作用は、他の構造中でほとんど作用を生じることなく、高信号対ノイズ比を有する特徴を生じることにより、音響共鳴における構造の正確な検出を可能にする。
【0026】
本発明は、近くの構造は共鳴されず、事実上変更されないままにして、標的構造に有用なエネルギーを伝搬し得る共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いることにより、無機または生物学的構造を選択的に検出し、同定しおよび/または影響するための方法を提供する。
【0027】
したがって、その共鳴音響および/または音響−EM特徴および/または音響−EMエネルギーパターンを用いて無機または生物学的構造を同定または検出する方法を提供することは、本発明の目的である。
【0028】
共鳴音響および/または音響−EM特徴および/または音響−EMエネルギーパターンを用いて生物学的構造の増殖および/または機能を増大(augmentation)および/または毀損(disruption)するための方法を提供することは、本発明の目的である。
【0029】
生物学的構造の共鳴周波数を決定するための方法を提供することは、本発明のもう一つの目的である。
【0030】
共鳴音響および/または共鳴音響−EMエネルギーを用いて生物学的構造の存在を検出しおよび/または生物学的構造を同定するための方法を提供することも本発明の目的である。
【0031】
前記の目的にしたがって、本発明は、共鳴音響および/または共鳴音響−EM特徴および/または音響−EMエネルギーパターンを用いて、無機または生物学的構造の検出、ならびに/あるいは生物学的構造の増殖および/または機能の毀損および/または増大を提供する。
【0032】
音響共鳴の原理を適用すると、系の共鳴音響周波数はその系の自然自由振動周波数であり、したがって生物学的系は、周波数の狭いバンドでの弱い機械的または音響駆動力により励起され得る。さらに、生物学的構造のサイズ、形状および組成によって、1つより多い自然共鳴音響周波数、ならびに多数の亜調和的および超調和的共鳴音響周波数が存在し得る。
【0033】
無機および生物学的構造の両方を含む構造が音響共鳴を起こすと、エネルギーはその中で急速に強まる。エネルギーは系中に保持されるか、または周囲環境に放出される。構造中に保持されたエネルギーは、構造機能を増強するか、または構造の毀損を引き起こすことができる。共鳴系中のエネルギーは、電磁エネルギーとして内在的に散逸されるか、または音響エネルギーとして近くの媒質に伝達される。内在的散逸エネルギーは、分子および原子振動を介して散逸され、EMエネルギーパターンを産生するために、特に興味深い。このEMエネルギーは、構造が音響エネルギーにより励起され、いくつかの音響エネルギーはその構造と相互作用して、電磁エネルギーに変換されて、それが内在的に散逸されるため、音響−EMエネルギーと呼ばれる。産生されるEMエネルギーの特性、場および/または周波数は、当該構造の独特の分子および原子構成成分によっている。さらに、構造中の音響共鳴の誘導は、その構造に関して独特の音響−EM特徴の産生をもたらし、本発明に開示したように、これを用いて構造を検出および/または同定し得る。逆に、構造が適用される音響−EM特徴に等価なEMエネルギーを用いて標的化される場合、エネルギー散逸経路は逆に向けられ、音響共鳴の状態が誘導され得る。適用される音響−EM特徴によるエネルギー散逸経路の逆転は、もとの共鳴音響エネルギー場が産生するのと同一の増大、検出および毀損作用を生じるために用いられ得る。共鳴音響−EM特徴は、それ自体、あるいは共鳴音響エネルギーと組合せて用いられ得る。適用される共鳴音響−EM特徴および共鳴音響エネルギーを一緒に用いると、低パワーレベルの両方の種類のエネルギーの使用が可能になって、近くのまたは隣接する非標的構造に及ぼす電磁エネルギーおよび/または音響エネルギーの考え得る悪作用が軽減される。
【0034】
電磁エネルギーも、少なくとも4つの方法で系中の音響エネルギー波と相互作用し、そしてそれを補足し得る。即ち、圧電作用を介して、電磁エネルギーの内部散逸を介して、ならびに音響−電気作用または磁気−音響作用を介して。
【0035】
圧電作用において、音響振動エネルギーは変換器により互換可能的にEMエネルギーに転換される。生物学的圧電構造は、エネルギーの同一転換を行ない、それにより生きている変換器として作用し得る。したがって、EM場が生物学的圧電構造に適用されると、音響波が生成される。同様に、音響波が生物学的圧電構造に適用されると、EMエネルギーが産生される。生物学的構造中の圧電作用は、多数の有用な用途を有する(下記参照)。この作用は、音響共鳴の原理が適用されると、さらに有用になる。本発明においては、標的構造には劇的に影響を及ぼすが、隣接する非共鳴構造に及ぼす作用は事実上全く有さないパワーレベルで、特定の生物学的構造は音響波またはEMエネルギーで標的化され得る。他の人々により以前に定立されてはいないが、しかし機械的およびEMエネルギーの転換を変調する生きている共鳴圧電変換器として機能する生物学的構造は、疑いなく、EM場と生物学的構造との相互作用に関与する主な根元的メカニズムの1つである。
【0036】
音響電気作用では、音響波が半導体を通過すると、電流が誘導される。音響波がその物質を通過すると、電荷キャリヤーの位置エネルギーの定期的立体変動が引き起こされる。これは、音響波が半導体を横切っている間は、半導体の末端を横断する電場を生じる。自由電子キャリヤーは、位置エネルギートラフ中に束ねられ、そして特定の周波数を有する音響波が伝播すると、それは、それと一緒に束を引きずって、電場、例えば特定の音響周波数でパルスを発生するDC場、または特定の音響周波数と等しい周波数を有するAC場を生じる。その作用は、負と正の両方の荷電キャリヤーが存在する場合、そしてキャリヤーの多数の異なる群が存在する場合−即ち、生物学的系中にしばしば見出される状態が存在する場合に、増強される。生成される電流の属性は、当該構造の独特の分子および原子構成成分によっている。この局面は単独で、多くは半導体である生物学的物質に関する音響電気スペクトル分析を実施するための手段を提供し、そして、選択される周波数によって、生物学的構造における音響電気作用は多数の考え得る有用な他の用途を有する。このように理解される場合、標的構造は、非共鳴周波数を有する音響エネルギーに照射または曝露され、構造中の音響電気作用の電磁エネルギーパターンが検出され得る。この検出される非共鳴電磁特徴は、標的構造に影響を及ぼし、検出し、同定するための特徴として用いられ得る。
【0037】
しかしながら、音響電気作用は、音響共鳴の原理が適用される場合には、より有用になる。生物学的物質の増大、検出および/または毀損は、標的構造に劇的に影響を及ぼすが、しかし近くの非共鳴構造に及ぼす作用は事実上全く有さないパワーレベルで特定の構造に対して標的化され得る。共鳴構造中の音響電気作用により産生される電流は、隣接する非共鳴構造により産生されるいかなる電流より非常に強く、そして交流の性質を有し得る。共鳴構造から得られる大きい信号対ノイズ比は、音響およびEMエネルギーパターンの同定および検出の精度を改良する。圧電作用および音響共鳴内部エネルギー散逸経路の逆転(前記参照)と同様に、標的構造への共鳴音響電気EMパターンの適用は、音響波を増幅する(音響波長がデバイ長さである周波数でピークとなる音響電気増量。この場合、バンチングは最適である)。したがって、共鳴音響、音響電気および/またはEM場の併用は、そうでなければ非常に減衰し乏しい組織透過しか示さない高周波数音響エネルギーのより大きな組織透過を許容にする。共鳴音響周波数、音響電気および/またはEM場を一緒に用いると、より低パワーレベルのこれらの種類のエネルギーの使用が可能になり、他の非標的および非共鳴構造に及ぼす潜在的作用が軽減される。
【0038】
磁気音響作用は、当該物質の電子特性によって、単調な、振動性のまたは共鳴方式の、音響場の磁場依存性減衰である。構造組成に依存する結果のこの変動性は、磁場の付加により、生物物質およびその他の構造に関連して、音響−EMスペクトル分析のさらなる増強を提供する。さらに磁場の付加は、音響場を増幅または減衰し、それにより生物学的組織中の音響場の透過を改良または変調する手段を提供する。
【0039】
同様に、音響サイクロトロン共鳴(即ち、共鳴音響サイクロトロン共鳴)およびドップラーシフト化共鳴音響サイクロトロン共鳴と併用される共鳴音響作用は、構造の増大、検出および/または毀損を選択的に引き起こす強力且つ明確な手段を提示する。
【0040】
本発明は、特異的に標的にされた生物学的構造の機能の毀損および/または増大の目的のために生物学的構造に音響共鳴の原理を適用する方法を提供する。生物学的構造の共鳴音響周波数は、当業界で周知の方法および系を用いて共鳴音響スペクトル分析を実施することにより決定され得る。特に、生物学的構造の共鳴音響周波数は、以下の:
a)生物学的構造に音響エネルギーを適用して、一連の音響エネルギー周波数を通して走査し、そして
b)生物学的構造が少なくとも特定の周波数より音響共鳴に誘導されていることを示す生物学的構造からの最大信号出力を生じる少なくとも1つの特定の周波数を検出する
工程により決定され得る。
【0041】
(複数の)最大信号を生じる特定の周波数(群)は、生物学的構造の音響特徴として本明細書中で定義され、用いられる生物学的構造の共鳴音響周波数である。一旦決定されれば、少なくとも1つの共鳴音響周波数が生物学的構造に適用されて、そこにおける機能に影響を及ぼし、および/またはその音響−EM特徴を決定し得る。
【0042】
共鳴音響周波数を含めた音響エネルギー(たとえば、音響−EM特徴)は、生物学的構造の機能に影響を及ぼすのに十分なパワーレベルで適用される。音響エネルギーのパワー強度、および音響共鳴に誘導される標的構造の種類によって、構造は、毀損および/または増大といった影響を受けたその機能を有し得る。
【0043】
低パワーレベルでは、生物学的構造の機能は増大(augmentation)されるが、一方高パワーレベルでは、構造の毀損(disruption)が起こり得る。増大とは、本明細書中で用いる場合、生物学的構造に及ぼす有益な作用を包含する。機能のこのような増大または作用増強としては、増殖、生殖、再生、胚形成、代謝、発酵等の増強が挙げられるが、これらに限定されない。このような増強の結果としては、骨の質量または密度の増大、卵の数および成熟度の増大、白血球の数および/または機能の増大、ビール、ワインおよびチーズ製造業における発酵生成物の増大、植物の発芽および成長の増大等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本発明に開示されているように、音響共鳴により構造を選択的に毀損する能力が非常に有用であるいくつかの状況が存在する。前記のように、毀損とは、本明細書中で用いる場合、生物学的構造に及ぼす有害作用を指す。このような有害作用としては、生物学的構造の、あるいは生物学的構造の1つ又はそれ以上の構成成分の溶解、粉砕、破裂または不活性化を引き起こす生物学的構造の構造的不全が挙げられるが、これらに限定されない。毀損には、本明細書中で用いる場合、その範囲内に、成長、生殖、代謝、感染等に必要な生命作用過程の阻害も含まれる。毀損に関して標的にされ得る構成成分としては、DNA、RNA、タンパク質、炭水化物、脂質、リポ多糖、糖脂質、糖タンパク質、プロテオグリカン、葉緑体、ミトコンドリア、小胞体、細胞、器官等が挙げられるが、これらに限定されない。有毒生物の場合、毒性因子は、生物体の成長、感染性または毒性を防止または抑制するための毀損に向けて特異的に標的化され得る。このような毒性因子としては、内毒素、外毒素、ピリ線毛、鞭毛、プロテアーゼ、宿主細胞受容体のための配位子、被膜、細胞壁、胞子、キチン質等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本発明の方法を用いて毀損を受け易い有機物質、生物物質、あるいはそれらの1つ又はそれ以上の標的部分としては、ウイルス、細菌、原生動物、寄生生物、真菌、虫、軟体動物、節足動物、組織塊等が挙げられるが、これらに限定されない。毀損さるべき有機物質または生物物質は単離され、あるいは多細胞生物またはその部分中にもしくはその他の複合環境中に存在し得る。
【0046】
近くの組織または構造に影響を及ぼさない標的生物学的構造の毀損は、標的構造においてのみ誘導される音響共鳴(これは今日まで生物学的構造に影響を及ぼすメカニズムとは考えられたことがないが)によって起こると推測される。これは、キャビテーション、熱的および機械的メカニズムを含む生物学的構造に影響を及ぼすための3つのメカニズムのみを意図する従来技術で開示されたものとは非常に異なる。
【0047】
構造の実際的毀損を引き起こさない、例えば低レベルでの、特定のパワーレベルで、共鳴音響エネルギーは、構造内で内在的に散逸し得る。この内在的散逸音響エネルギーは、構造により、直流および交流、電場および磁場、電磁線等として表出され得る特定の特性および/または場を有する電磁エネルギーに転換され得る。電磁エネルギーのパターンは、構造の生成した音響−EM特徴を表す。
【0048】
本発明は、構造の音響−EM特徴の決定方法であって、構造の予め決定された共鳴音響周波数またはその近くの周波数を有する音響エネルギーで構造を照射してそこに共鳴を誘導し、そしてエネルギーの内在的散逸により引き起こされる電磁エネルギーパターンを検出する方法を提供する。
【0049】
特定の構造に関して音響−EM特徴が一旦決定されると、EMエネルギーパターンを適用することにより、この構造は音響共鳴に誘導され得る。適用される電磁エネルギーは直流および交流、電場および磁場、ならびに電磁線等を含む。
【0050】
このようなものとして、本発明は、標的構造の共鳴音響周波数および既定音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーを別々にまた組合せて適用して、標的構造に影響を及ぼすことにより音響共鳴の原理を適用し、その方法は、以下の:
a)標的構造の少なくとも1つの共鳴音響周波数を適用し、および/または
b)標的構造の音響−EM特徴の一部または全部と等価の電磁エネルギーを適用して、そして
c)標的生物学的構造内に音響共鳴を誘導し、そして構造の機能に影響を及ぼすためのパワー強度レベルで(a)および/または(b)の各々を適用する
工程を包含する。
【0051】
標的構造の共鳴音響周波数または音響−EM特徴はいずれも、構造中に音響共鳴を誘導するための適用可能エネルギーを提供するには、前記のように、予め決定されねばならない。電磁エネルギーは、構造が音響共鳴を誘導された場合に検出される電磁エネルギーパターン(たとえば、音響−EM特徴)と等価の特定の周波数を有する直流または交流の形態で標的構造中に導入され得る。さらに、各種類のエネルギーは、別々に用いられるより低いパワーレベルで適用され、これが構造中の音響共鳴の誘導を可能にして、構造に対する損害を低減し得る。
【0052】
本発明は、共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて無機または生物学的構造を検出しおよび/または同定するための方法を提供する。本方法は、一連の周波数を構造に照射して構造に音響共鳴を誘導する特定の1つ及び/又は複数の周波数を決定して構造の音響特徴を提供することによる、構造の音響特徴の決定を含む。音響特徴は、構造を検出および/または同定するために、参照特徴と比較され得る。
【0053】
さらに、構造の同定および/または検出は、標的構造の音響−EM特徴を検出することによっても達成され、その方法は、以下の:
a)標的構造中に音響共鳴を誘導し、そして
b)構造の音響−EM特徴を表す音響共鳴における標的構造からの電磁エネルギーパターンを検出する
工程を包含する。音響−EM特徴は、その構造を検出および/または同定するために、参照特徴と比較され得る。
【0054】
標的構造は、少なくとも1つの共鳴音響周波数を含む音響エネルギー、共鳴音響周波数と等価の電磁エネルギー、および/または音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーパターンを導入することにより、音響共鳴に誘導され得る。
【0055】
電磁特性および場として表出される電磁エネルギーパターンは、当業者に周知の検出手段、例えばIntroduction to Electromagnetic Fields and Waves, by Erik V. Bohn Addison-Wesley Publishing Co., 1968(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に開示された手段により決定され得る。
【0056】
本発明の別の実施態様では、構造を音響共鳴に誘導するために構造の音響−EM特徴の一部または全部を構造に適用することにより、構造は音響共鳴に誘導される。構造が音響共鳴に誘導されると、この事実を用いて、構造を検出および/または同定し得る。これは、特定の構造の同定または検出に用いられ得る本発明の別の方法を表すが、これは、各構造がそれ自体の独特の音響特徴を有するだけでなく、音響的に共鳴することによりそれが応答する独特の音響−EM特徴も有するためである。さらに、電磁特性および/または場のパワー強度、ならびに音響共鳴に誘導される標的構造の種類によって、構造は、毀損および/または増大といった影響を受けたその機能を有し得る。
【0057】
前記のすべての実施態様において、共鳴音響周波数を含めた音響および/または電磁エネルギーの導入は、所望の効果に依存して、連続的および/または周期的形態で適用され得る。
【0058】
音響および/またはEMエネルギーまたは場は、別々に、または組合せて適用され得る。同様に、音響および/またはEMエネルギーまたは場は、別々に、または組合せて検出され得る。
【0059】
多数の生化学的化合物および生物学的構造は、天然の結晶であって、特に、その点で、共鳴音響エネルギーを受けやすい。多数の生物学的物質は、圧電性物質である。例えば、本発明の圧電性物質であり、骨の圧電特性はその生物学的機能において極めて重要な役割を演じる。このようなものとして、圧電性を有する生物学的構造は、構造を共鳴に誘導し、それにより生物学的構造の機能に陽性または陰性に影響を及ぼすのに十分な量の音響エネルギーおよび/または電磁エネルギーを適用することにより影響を及ぼされ得る、ということが本発明人によりさらに意図される。このように理解された場合、生きている変換器として作用する生物学的構造は、生きている変換器により機械的エネルギーに変換され、それにより構造に音響共鳴を導入される生物学的構造の共鳴音響周波数と等価の電磁エネルギーを導入することにより、音響共鳴に誘導され得る。
【0060】
本発明の別の局面は、構造の共鳴音響および/または音響−EM特徴を決定することにより生物学的または無機構造を検出するためのシステム(装置)であって、以下の:
a)生物学的または無機構造に音響共鳴を誘導するための手段、
b)生物学的または無機構造の音響特徴を検出するための手段、および
c)生物学的または無機構造の音響特徴を構造の参照音響特徴と比較するための手段
を包含するシステムである。
【0061】
さらに、前記のシステムは、前記のような電磁エネルギーパターンを生じる音響共鳴における構造の共鳴音響−EMエネルギー特徴を検出するための手段も包含し得る、あるいは変わりにそれを包含してもよい。音響−EM特徴は、検出または同定システムにおいて比較するための手段を提供することにより、前に決定された参照音響−EM特徴と比較され得る。電磁エネルギーパターンは、電磁特性および/または場として表出され、その例としては、直流および交流、電場および磁場、ならびに電磁線の形態のエネルギーが挙げられるが、これらに限定されない。標的構造は、少なくとも1つの共鳴音響周波数を含めた音響エネルギー、共鳴音響周波数と等価の電磁エネルギー、および/または音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーパターンを導入することにより、音響共鳴に誘導され得る。
【0062】
本発明の別の実施態様では、標的生物学的構造を増大および/または毀損するためのシステムは、生物学的構造中に音響共鳴を誘導するために予め決定された共鳴音響周波数を含めた音響エネルギーを適用するための手段を包含し、音響エネルギーは生物学的構造の機能に影響を及ぼすのに十分な入力で適用される。あるいは、標的構造は、共鳴音響周波数と等価の電磁エネルギー、または直流および交流、電場および磁場を含む電磁エネルギーのような前に決定された音響−EM特徴、ならびに電磁エネルギーを提供することにより音響共鳴に誘導され得る。
【0063】
さらに別の実施態様では、標的構造の共鳴音響周波数またはそれに近い音響周波数を有する音響エネルギー、そして共鳴音響周波数を増大するための電磁エネルギーも導入するためのシステムであって、以下の:
標的構造の共鳴音響周波数またはそれに近い周波数を導入するための手段、および
直流および交流、電場および磁場および/または電磁線等を含む手段のような構造の音響−EM特徴として前に決定された電磁エネルギーパターンと等価の電磁エネルギーを導入するための手段
を包含するシステムが提供され得る。
【0064】
音響エネルギーおよび音響−EM特徴と等価のEMエネルギーは、両方の種類のエネルギーに適用し得る単一手段により適用および/または検出され得る。
【0065】
本発明のさらに別の目的、利点および新規の特徴は、一部は以下の説明に記載されており、一部は以下の試験において当業者に明らかになり、あるいは本発明の実行により習得され得る。本発明の目的および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘される手段および組合せによって実現され、到達され得る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
本発明のその他の目的、特徴および多数の利点は、以下の詳細な説明を読みながら、添付の図面とともに考察すると、より良好に理解される。
【図1】基本音響エネルギー発生システムのブロック図である。
【図2】基本音響エネルギー検出システムのブロック図である。
【図3】生物学的構造に適用される固定磁場のブロック図である。
【図4】生物学的構造に適用される振動磁場のブロック図である。
【図5】生物学的構造に適用される直流または交流のブロック図である。
【図6】生物学的構造に適用される静電荷のブロック図である。
【図7】生物学的構造への電磁線の送達のブロック図である。
【図8】生物学的構造中の固定または振動磁場の検出のブロック図である。
【図9】生物学的構造中の静電荷の検出のブロック図である。
【図10】生物学的構造から放射される電磁線の検出のブロック図である。
【図11】生物学的構造中の直流または交流の検出のブロック図である。
【図12】ウイルスの共鳴音響周波数を決定するための方法を示すブロック図である。
【図13】ウイルスの共鳴音響場の作用を査定するための方法を示すブロック図である。
【図14】共鳴音響場を用いて体外的にウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図15】共鳴音響場を用いて脈管内でin vivoにウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図16】共鳴音響場を用いて多細胞生物中でin vivoにウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図17】共鳴音響場探針を用いて多細胞生物の一部分中でウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図18】共鳴音響場シートを用いて多細胞生物の一部分中でウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図19A】ウイルスの共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法を示すブロック図である。
【図19B】ウイルスの共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法を示すブロック図である。
【図20】ウイルスに及ぼす共鳴音響および/または音響−EM場の作用を査定するための方法を示すブロック図である。
【図21】共鳴音響および/または音響−EM場を用いて体外的にウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図22】共鳴音響および/または音響−EM場を用いて脈管内でin vivoにウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図23】共鳴音響および/または音響−EM場探針を用いて多細胞生物の一部分中でウイルスを毀損するための方法を示すブロック図である。
【図24A】微生物の共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法を示すブロック図である。
【図24B】微生物の共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法を示すブロック図である。
【図25】共鳴音響および/または音響−EM場を用いて微生物を増大するための方法を示すブロック図である。
【図26】共鳴音響および/または音響−EM場を用いて微生物を毀損するための方法を示すブロック図である。
【図27】節足動物の共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法を示すブロック図である。
【図28】共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて節足動物を毀損するための方法を示すブロック図である。
【図29】骨粗鬆症を有する個体において正常骨構造を増大し克つ保持するための方法を示すブロック図である。
【図30】無重力における正常固体の正常骨構造を保持するための方法を示すブロック図である。
【図31】共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて良性または悪性組織型を検出するための方法を示すブロック図である。
【図32】共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて細胞間のプロテオグリカン接着単位を刺激および/または毀損するための方法を示すブロック図である。
【図33】共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて多細胞生物の構造を増大、同定、検出および/または毀損するための方法を示すブロック図である。
【図34】共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて多細胞生物の成長率を増大するための方法を示すブロック図である。
【図35A】無機物質または構造の共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法およびシステムを示すブロック図である。
【図35B】無機物質または構造の共鳴音響および/または音響−EM周波数を決定するための方法およびシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明の方法は、図1に示すように、共鳴周波数の音響エネルギーを無機または生物学的構造に送達することを包含する。当業者に既知の方法を用いて、本発明により利用される共鳴音響周波数を生成するために、任意の媒質を介して音響エネルギーを発生および伝達し得るあらゆる装置が用いられ得る。この例としては、圧電変換器の伝統的EM刺激を用いて音響エネルギーを産生する装置(人工または天然)、純機械的装置(例えば、高周波エアホイッスル)およびレーザー装置が挙げられるが、これらに限定されない。音響エネルギーシステムのための個々の構成成分は、広範なメーカーから市販されており、特別な用途および周波数範囲に形造られ得る(Thomas Directory of American Manufacturers, Photonics Buyer's Guide, 1996, Microwave and RF, and Electronic Engineer's Master Catalogue参照)。
【0068】
例えば周波数、モード、パルス継続時間、形状および反復速度といった予め決められた特徴を有する信号を生成する、信号発生器または関数発生器とも呼ばれるあらゆる発振器は、本発明により利用される共鳴音響周波数を生成するために利用され得る。種々の発振器または信号発生器は、例えばMicroLambda LMOSシリーズ(500 MHz〜18 GHz)、BK Precision 2005A(100 kHZ〜450 MHz)(B&K Precision, Chicago, IL)、Tektronix SMEO2(5 KHz〜5 GHz)およびTektronix 25 SME 4040(0.5 Hz〜20 MHz)(Tektronic, Inc., Beaverton, OR)、ならびにMatec 700シリーズ(1〜1100 MHz)等が、ヘルツからギガヘルツまでの範囲の周波数に関して、商業的に購入され得る。
【0069】
共鳴が生じる振動数は、構造のサイズ、形状および組成によっている。例えば、球の共鳴振動数は、音響波長が球の直径と等しい振動数である。より複雑な構造−円筒−は、2つの軸の配向に基づいて2つの共鳴振動数を有し、共鳴振動数波長の一方は長さの1.5倍と等しい。構造の形状が複雑であるほど、共鳴音響周波数パターンは複雑であるが、しかしながら、音響共鳴が起こる波長は構造のサイズとほぼ等価である。
【0070】
特定の音響波長と整合する周波数は、以下の方程式にしたがって、構造の組成によっている:
速度=周波数 x 波長 (1)
(式中、速度は、構造を構成する媒質中の音響波伝搬速度(音の速さ)を指す)。音の速さは週の生物学的組織の間で変化するが、しかしそれは、ほとんどの生物学的有機体が主に水から成るために、水中の音の速さ(1,500 m/s)とほぼ等価である。水中の音の速さを音響波の速度として用い、そして構造サイズを波長とほぼ等価として用いると、有機または生物学的構造中の共鳴音響周波数のおよその範囲が、次式により求められる:
【数1】
(下記のチャート参照)。
生物組織中の音の他の既知の速さは変化し、それらの例としては(1)肝臓(1550 m/s);(2)筋肉(1580 m/s);(3)脂肪(1459 m/s);(4)脳(1560 m/s);(5)腎臓(1560 m/s);(6)脾臓(1570 m/s);(7)血液(1575 m/s);(8)骨(4080 m/s);(9)肺(650 m/s);(10)眼のレンズ(1620 m/s);(11)眼房水(1500 m/s);および(12)硝子体液(1520 m/s)が挙げられる。水中の音の速さとは異なる音響速度を有する組織から成る標的有機または生物学的構造に関する共鳴音響周波数範囲は、同一の方程式(速度/波長)を用いて得られ、そして、標的組織中の音の速さによって、プラスまたはマイナスはあるが、以下に列挙する図表化範囲と相関する。
【0071】
特定の媒質中の音響エネルギーの速度は、ほとんどの部分に関して、一定であるが、しかし速度の周波数へのわずかな依存−分散と呼ばれる作用−が認められる。例えば、1〜20 MHzの周波数範囲に亘って、音響速度は1%変化する。したがって、本発明においては、標的構造に関して共鳴振動数(単数または複数)または少なくとも共鳴振動数が見出される周波数の範囲は、そのサイズ、形状および組成、ならびに実験下の特定の周波数範囲によっている。生物学的構造に関するいくつかの近似音響共鳴周波数を、以下の表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
ある媒質から別の媒質への音響エネルギーの最大移動を得るためには、各々の特徴的音響インピーダンスができるだけ他とほぼ等しく存在すべきである。インピーダンス整合のこの問題は、いわれているように、物理学の多数の枝において生じ、そしてそれぞれ異なる音響インピーダンスR1およびR2の2つの媒質を整合させる手段として、音響技法に用いられる。整合用媒質は、他の2つの間に挟み込まれ、そして、伝達される音の波長に対して適切な厚みであるべきであり、その音響インピーダンスRはほぼ√(R1R2)であるべきである。市販され、本発明に利用され得るインピーダンス整合装置としては、Matec Instruments, Inc.製造のモデル60が挙げられる。
【0074】
音響エネルギーは、受信した電磁エネルギーを急速に物理振動に、したがって音響エネルギーに転換する変換器により生成され得る。最初の音響変換器は、天然石英の圧電特性を用いて音響エネルギー波を生成した。
【0075】
EMエネルギー → 圧電変換器 → 音響エネルギー波
新しい変換器は、強誘電性セラミック(チタン酸バリウム、チタン酸鉛またはジルコニウム酸鉛)および酸化亜鉛のような物質を用いる。材料工学における近年の進歩は、用途の多様性を可能にするシートおよびコードに造形され得る圧電性ポリマーも製造した。
【0076】
変換器はまた、特別な用途および周波数に形作られる広範な種々のデザインで、広範な種々のメーカーから市販されている。本発明で利用され得る、そしてヘルツからギガヘルツまでの範囲の周波数に関して商業的に購入され得る音響変換器の例としては、Matec広帯域浸漬変換器MIAシリーズ(10〜196 MHz)、Matec広帯域MIBOシリーズ(5〜10 MHz)、Matec広帯域MICO(3.5 MHz)、Matec広帯域MIDO(2.25 MHz)、Matec広帯域MwOシリーズ(50 KHz〜1 MHz)、Matec GPUTシリーズ(500 KHz〜20 MHz)、Matec脈管内血流VP-A50シリーズ(5〜30 MHz)、サファイア上の酸化亜鉛および任意の反射防止コーティングのTeledyne Electronic Technologies同位相または非同位相広帯域MHz/GHz(17.5 GHz)アレイ変換器、ならびにChannel Industriesキロヘルツ変換器が挙げられる。超高音響周波数(GHzおよびTHz以上)では、メーザーおよびレーザー系が利用され得る。
【0077】
変換器は、ある範囲の周波数内(広帯域)のまたは特定の周波数(狭帯域)のための音響波を発生し得る。
【0078】
市販の音響増幅器としては、Matecゲート増幅器系(100 KHZ〜200 MHz)およびEM広帯域増幅器モデル607L(0.8〜1,000 MHz)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
電源フレーム、コンピューターインターフェース、パルス幅発生器、ゲート増幅器、広帯域受信機および位相検出器(100 KHZ〜100 MHz)を含めた完全な音響システムが、Matecのような供給元から商業的に購入され得る。
【0080】
音響送達システムは、用途によって変動し得る。音響エネルギー波は、変換器の標的構造媒質との直接接触により、または標的構造との直接接触に存在する他の構造または媒質による音響波の伝送のカップリングにより、気体、液体または固体媒質に伝送され得る。生物学的構造の場合、多数の構造または媒質を介したカップリングは、音響波が多層の生物学的組織を通って走行してその標的構造に到達するので、ありそうな出来事である。標的構造が液体である場合、変換器はそれと直接接触する液体中に置かれるか、または液体が、液体と接触するその壁がそれ自体変換器である容器中に置かれ得る。さらに、変換器は液体が置かれる容器の壁の外側に配置され得る。
【0081】
標的構造が固体である場合にも、変換器はそれと直接接触して配置され得る。固体は、カップリング剤として用いられる気体または液体中に配置され得る。液体またはゲル型カップリング剤も、変換器が固体の表面に配置される場合、自立固体と変換器との間を結合し得る。
【0082】
本発明は、図2に示したような無機または生物学的構造から得られる音響エネルギーを受信し、分析することも包含する。当業者に既知の方法を用いて、本発明に利用される共鳴音響および/または音響−EM周波数を検出するために、任意の媒質を介して音響エネルギーを受信し、分析し得る任意の装置を用い得る。
【0083】
音響エネルギー波の検出は、基本的には、音響エネルギー波の発生の逆工程である。変換器に当たる音響エネルギー波は機械的応力を適用して、圧電作用により機械的応力に比例する電気分極を生じる。その結果生じるEMエネルギーは、オシロスコープ型装置により電気的に読取可能フォーマットに転換される。
【0084】
EMエネルギー ← 圧電変換器 ← 音響エネルギー波
したがって、圧電変換器は、可逆的圧電作用を用いて、音響エネルギーを生成し且つ検出するために用いられ得る。
【0085】
音響共鳴状態に誘導された後の構造は、振動波を発して変換器で機械的応力を生じる。次に、音響波と同一周波数を有する交流電位差が、変換器に接続された電極を通る電圧として出現する。この電圧は、オシロスコープ型装置により読取可能フォーマットに転換される。
【0086】
本発明に利用され得るオシロスコープとしては、BK Precision 21 60A(0〜60 GHz)、Tektronix TDS 784A(0〜1 GHz)、Tektronix TDS 820(6〜8 GHz)、Tektronix 1180 a B(0〜50 GHz);ならびにスペクトル分析器、例えばHewlett-Packard 8577A(100 Hz〜40 GHz)、HP 8555A(10 MHz〜40 GHz)、Tektronix 492(50 KHZ〜21 GHz)、Antitsu MS62C(50 Hz〜1.7GHz)およびPolarad 640B(3 MHz〜40 GHz)(これらはすべて、市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
電源フレーム、コンピューターインターフェース、パルス幅発生器、ゲート増幅器、広帯域受信機、位相検出器、制御ソフトウェア、前置増幅器、ダイオードエキスパンダー、ダイプレクサー、フィルターおよび減衰器を含めた完全な音響検出および分析システム(50 KHz〜100 MHz)が、Matec Instruments Inc.またはその他の供給元から商業的に購入可能である。
【0088】
試験中の音響エネルギーは、反射されるかまたは伝送され得る。例えば、伝統的医学用超音波法では、音響波は単一変換器から生成される。音響波は種々の構造に衝突する。音響波のあるものはその構造から反射され、同一単一変換器により反射波として検出される。音響波のあるものはまた、その構造を通過して伝送され得る。音響エネルギーの多数の工業用途は、反射波よりむしろ伝送波を利用する。
【0089】
本発明は、図3〜7に示したように、共鳴音響および/または共鳴音響−EM周波数でEMエネルギーを標的構造に送達することも包含する。
【0090】
共鳴系が流体環境中に埋め込まれている場合(ほとんどの生物学的構造に関する場合のように)、エネルギーの散逸は、その系における内部ソースにより(即ちEMエネルギーへの転換を介して)、あるいは近くの媒質への損失により(音響エネルギーのカップリングおよび伝送を介して)起こる。当業者に既知の方法を用いて、本発明により利用される共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを生成するために任意の媒質を介してEMエネルギーを発生および伝送し得る任意の装置が用いられ得る。それらの例としては、固定および振動磁場(図3および4)、直流または交流(図5)、静電荷(図6)、電場およびEM線(図7)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
直流および交流を送達するための電極は、広範な種々の供給元から市販されている。
【0092】
磁場発生器は市販されており、その例としては、Radio Shack Rareearth磁石64-1895、GMWモデル5403ACなどが挙げられる。図1および2に前記したような発振器および信号発生器は、市販されている。同様に、多数のEM線送達システムは市販されており、その例としては、Wavelineモデル99シリーズStandard Gain Horns(1.7〜40 GHz)およびJEMA JA-1 50-MSが挙げられる。
【0093】
生物学的構造をEMエネルギーに曝露するための当業者に既知のシステムとしては、無響室(anechoic chamber)、横型電磁セル(TEM)、共鳴キャビティ、ニアフィールド合成機、導波路細胞培養曝露系および同軸伝送線曝露細胞が挙げられる。
【0094】
本発明は、図8〜11に示したように標的構造から得られるEMエネルギーを受信し、分析することも包含する。当業者に既知の方法を用いて、本発明により利用される共鳴音響および/または音響−EM周波数を検出するために、任意の媒質を介してEMエネルギーを検知し、分析し得る任意の装置が用いられ得る。直流および交流は、BK Precision 283 1A(0〜1200 V, 0.1 mV解像度、またはBK Precision 3910-1 OOOV, 10μV解像度)のような15電圧計を用いて電圧変化を測定し(図11)、そして静電荷を検出(図9)することにより、ならびにHoneywellによるHET Micro Switch 5594A1F変換器のような系、およびAnalog Devicesによる計器操作増幅器チップAD524をもちいて固定および振動磁場変化を測定する(図8)ことにより、査定され得る。適合性且つ非摂動性のEM場であるモニタリング電極は、Technical 20 Fluorocarbons Engineeringによる、ならびにPolymer Corp.による炭素充填テフロン(登録商標)から作製される。
【0095】
広帯域測量メーターは、例えばAeritalia RVおよび307シリーズ(1〜1,000 MHZ)、General Microwave Raham 12(10 MHZ〜18GHz)、Holaday Industries 3000シリーズ(5〜300 MHzおよび500 MHz〜6 GHz)、Narda Microwave 8608(10 MHz〜26 GHz)およびInstruments for Industry RHM-1(10 KHz〜220 MHz)等が市販されている。
【0096】
電場強度メーターは供給元から市販されており、その例としては、Rohde & Schwarz MSU(25〜1000 MHz)、Rohde & Schwarz MSU(0.1〜30 MHz)、Scientific Atlanta 1640APZ(20 MHz〜32 GHZ)、Electro-Metrics EMS-25(20 KHz〜1 GHz)、Anritsu M, NMシリーズ(500 KHz〜1 GHz)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
磁場は、Bartington Fluxgate Nanoteslameter, Mag-01等を用いて査定され得る。
【0098】
スペクトル分析器は供給元から市販されており、その例としては、HP 8566A(100 Hz〜40 GHz)、HP 8555A(10 MHz〜40 GHz)、Tektronix 492(50 kHz〜21 GHz)、Anritsu M562C(50 Hz〜1.7 GHz)およびPolarad 640B(3 MHz〜40 GHz)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
熱電対E場探針はNardaにより製造され、組織植込み型E場探針としては、例えばNarda 26088、EIT 979およびHoladay IME-O1が挙げられる。場探針は、光ファイバー遠隔測定により外部回路部品と接続され得る。これは試験場の摂動を制限し、RF干渉を排除し、したがってノイズ検出に対する信号を改良する。送信機および受信機を有する光ファイバーキットは、Hewlett-PackardおよびBurr-Brownから市販されている。
【0100】
EM送信機としては、JEMAモデルJA-150-MS(139〜174 MHz)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
本発明をある特定の実施態様およびあるシステム構成成分に関して説明しているが、しかし本発明から逸脱することなく、多数の変更が可能であり、代替的装置および/または構成成分の配列が使用され得る、と理解される。いくつかの場合、このような変更および置換はいくつかの試験を要するが、しかしルーチン検査を包含するに過ぎない。
【0102】
以下の例および特定の実施態様の説明は本発明の一般的性質を十分に明示しており、したがって、包括的概念から逸脱することなく、最新の知識を適用することにより、このような特定の実施態様を、種々の用途のために容易に修正および/または適合し得るし、したがってこのような適合および修正は、開示された実施態様および系構成成分の透過物の意味および範囲内に包含されるよう意図される。
【実施例】
【0103】
例1
ウイルスの毀損、増大、検出および/または同定
構造中の共鳴の誘導は、その構造の1つ又はそれ以上の構成成分の破裂による突然且つ不可逆的な構造不全をもたらし得るため、生物学的構造は共鳴音響エネルギーを用いて選択的に毀損され得る。本発明は、各々の特定のウイルスに独特の共鳴周波数での音響エネルギーおよび/または音響EMを用いて、ウイルス粒子構造の検出、増大、同定および/または物理的毀損の目的のためにウイルスの剛性、結晶構造を利用する。ウイルスは、圧電性結晶と考えられ、したがって、生きている変換器として作用し得る。
【0104】
ウイルスにより引き起こされるヒトの疾患としては、肝炎、インフルエンザ、水痘、流行性耳下腺炎、麻疹、天然痘、後天性免疫不全症候群(AIDS)、エボラ熱、ポリオ、出血熱、ヘルペスおよび毛様細胞性白血病が挙げられる。
【0105】
ウイルスにより引き起こされる動物における疾患としては、イヌにおけるパルボウイルス感染、ネコの白血病、牛痘、狂犬病および鳥類ペストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
植物におけるウイルス性疾患の最も顕著な例の1つは、ジャガイモに感染するウイルスにより引き起こされたアイルランドにおける歴史的ジャガイモ飢饉である。
【0107】
ウイルス対称性には2つの主な型、即ち正二十面体およびらせん形がある。正二十面体形状はサッカーボールにほぼ等しく、一方らせん形状はしなやかな曲線を描く玩具に似ている。大多数のウイルスがこれらの群の1つに入り、残りは複合型であるかまたは不明である。正二十面体は、20の同一の等辺三角形から成るほぼ球形で、五重対称の3軸を有する。らせん形では、キャプシドの単位は核酸周囲をらせん状に進行し、これはウイルスの中心を下降して、渦巻対称の軸が1つだけ存在する。
【0108】
各対称群内では、ウイルスはさらにDNA群およびRNA群に分けられる。ウイルスはDNAまたはRNAの核酸物質の中心コアを有する。この核酸コアは、キャプシドまたはタンパク質コートと呼ばれる対称タンパク質に取り囲まれる。キャプシドは個々のキャプソメア形態学的単位から成り、これは個々の構造単位から成る。構造単位は、それらが反復パターンを形成し、X線結晶回析技法で顕示され得るために、結晶単位とも呼ばれる。構造単位はウイルス構造の構築ブロックであり、通常は同一タンパク質である。
【0109】
いくつかのウイルスでは、リポタンパク質膜またはエンベロープがキャプシドを取り囲む。エンベロープは宿主細胞膜から得られ、宿主細胞からのその逸脱中にウイルスにより修飾される。エンベロープは、ウイルスの将来的機能および生存のために重要な特殊なタンパク質、例えばヘマグルチニンまたはノイラミニダーゼを保有し得る。いくつかのウイルスのエンベロープには突起またはペプロマーが散在し、これらは縁を取り巻くフリンジのようである。フリンジもウイルスの機能および生存にとって重要であり得る。
【0110】
古典的には、圧電現象は、ある種の誘電性(電気的非伝導性)結晶への機械的応力の適用が、機械的応力に比例する電気的分極(電気双極子モーメント/cm3)を生じる場合に存在するといわれている。逆に、結晶へのEM場の適用は、機械的応力および歪曲収差を、それゆえ音響エネルギーを生じる。
【0111】
結晶における圧電現象に必要な条件は、対称の中心の非存在である。32の古典的に定義された結晶の種類のうちの20は対称の中心を欠き、圧電性である。ウイルスは結晶構造であり、そのようなものとして、共鳴音響および/または音響−EMエネルギーの使用による振動作用を受け易い。二十面体ウイルスは5重の対称を有し、したがってそれらの結晶構造中に古典的対称中心を有さず、これは、圧電性物質に必要な条件である。らせん形ウイルスは、渦巻形キャプシドが中心軸の水平90度から派生するので、同様に、古典的対称中心を有さない。ウイルスの結晶構造が音響エネルギーの振動共鳴作用を受け易い他に、ウイルスは、本発明で用いられる場合のように、圧電性、音響共鳴構造としても機能し得る。
【0112】
非有機化学で定義される天然結晶の古典的32群は、5重またはオフセットらせん対称を有する群を含まない。ウイルスは天然結晶の33番目および34番目の群を示し得る、と本発明人は定立する。
【0113】
本発明は、世界中の人口が罹患するウイルス感染の数および重症度を有意に低減する可能性を有する。本発明は、ワクチンの産生またはウイルス遺伝子導入を増大する可能性を有する。さらに本発明は、獣医学的用途、即ち家畜および家禽における感染を治療する用途、ならびに農業的用途を有する。超音波範囲の非共鳴周波数を使用する従来技術の治療とは異なり、本発明は、共鳴を特定のウイルス中に生じるが、しかし隣接組織中には生じない特定の周波数を用いる。本発明の方法は、音響共鳴の状態におけるウイルスにより産生される音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーも使用し、そしてウイルスの圧電性、内部エネルギー散逸、音響電気的および/または磁気音響的特性を、単独でまたは互いに組合せて、または共鳴音響場と組合せて利用する。
【0114】
ウイルスの毀損は、多細胞生物、特に動物、例えば哺乳類、鳥類、植物、果物、昆虫、節足動物等、あるいはウイルスによる感染を受け易いそれらの部分を治療するのに有用である。ウイルスの毀損に対して治療され得る多細胞生物の部分としては、全身、四肢、器官、例えば腎臓、脾臓、肝臓、膵臓、心臓、肺、消化管等、組織、例えば角膜、骨、骨髄、血液、軟骨等が挙げられるが、これらに限定されない。血液生成物のような多細胞生物から得られる生成物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0115】
ウイルスの毀損に用いられる本発明の一実施態様では、治療される身体または身体の一部は導電性媒質中に浸漬され、その媒質を介して身体または身体の一部に音響波が共鳴周波数で適用されて、身体またはその一部に感染するウイルスの共鳴および毀損を引き起こす。治療の継続期間は、存在するウイルスの少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%を毀損するのに十分である。一実施態様では、治療の継続期間は、ウイルスの少なくとも約50%〜約100%を毀損するのに十分であり、同時に、宿主多細胞生物に対する有害副作用をほとんどまたは全く示さない。パワー強度は組織または生物によっており、1 x 10-11 W/m2〜1 x 1011 W/m2、好ましくは約100〜10,000 W/m2である。
【0116】
多細胞生物が1つより多いウイルスの属または種に感染する場合には、生物に感染したウイルスの各種類を毀損するのに特異的な共鳴周波数を用いて生物体を治療するのが望ましい。HIV−1が感染したヒトの場合のように、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス等のようなウイルスにより引き起こされる日和見感染が起こり得る。このような場合、ヒトに感染した各生物体に独特の共鳴周波数が適用され得る。
【0117】
本発明の方法は、器官および組織移植に有益である。移植前のドナーからの器官または組織の治療は、レシピエントへの疾患を引き起こすウイルスの伝染を防止または抑制する。このような方法は、異種移植片、同種異系移植片、同系移植片等に有用である。ウイルスの毀損のために治療されるドナー器官または組織としては、角膜、心臓、肝臓、肺、皮膚、骨、骨髄細胞、血液および血液生成物、腎臓、膵臓等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
本明細書中に記載した毀損法を用いて抑制または治療され得るレトロウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、AIDS、白血病、マウス乳癌、肉腫等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
ヘパドナウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、B型肝炎、C型肝炎、肝臓癌、マーモット肝炎、シマリス肝炎、アヒル肝炎等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
本明細書中に記載した方法を用いて防止、抑制または治療され得るヘルペスウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、陰部および口腔ヘルペス、水痘、帯状疱疹、サイトメガロウイルス疾患(出生時欠損および肺炎)、単核細胞症、バーキットリンパ腫、鼻咽頭癌、ウシ乳頭炎、仮性狂犬病等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
本明細書中に記載した方法を用いて防止、抑制または治療され得るポックスウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、天然痘、牛痘、仮性牛痘、軟属腫、伝染性軟ゆう、感染性膿胞性皮膚炎、水牛痘、ラクダ痘、サル痘、ウサギ痘、マウス痘、ウシ丘疹性耳炎、鶏痘、七面鳥痘、ヒツジ痘、ヤギ痘、ノウサギ痘、リス痘、ブタ痘等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
ウイルスを毀損する方法を用いて防止、抑制または治療され得るパポバウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、ヒト疣ウイルス、性器疣、頸部癌、進行性多病巣性白質脳症、マウス、サルおよびウサギにおける疣および腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
ウイルスを毀損する方法を用いて防止、抑制または治療され得るアデノウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、上部気道感染、胃腸炎、結腸炎および腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
本明細書中に記載した方法を用いた防止、抑制または治療に服し易いパルボウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、第五病、骨髄不全、慢性関節リウマチ、胎児死および低出生時体重、ネコ白血病等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
本明細書中に記載した方法を用いて防止、抑制または治療され得るピコルナウイルス関連疾患の例としては、ポリオ、A型肝炎、一般的風邪、手足口病、脳炎、心筋炎、腸炎、ブタ水疱性疾患、接触性水疱性疾患等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
共鳴音響エネルギーを用いた防止、抑制または治療に服し易いレオウイルスにより引き起こされる疾患の例としては、上部気道感染、コロラドダニ熱、胃腸炎等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
本明細書中に記載した方法を用いて防止、抑制または治療され得るオルトミクソウイルス関連疾患の例としては、ヒト、ブタ、ウマ、アザラシ、トリ等のインフルエンザ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
本発明の共鳴音響エネルギーを用いて防止、抑制または治療され得るウイルスにより引き起こされる疾患のその他の例としては、ウイルス性下痢、乳児胃腸炎、ブタの水疱性発疹、トド病脳脊髄炎、デング熱、黄熱病、風疹、ウマ脳脊髄炎、ブタコレラ、ブワンバ熱、オリボカ熱、リフトバレー熱、コンゴ出血熱、ナイロビヒツジ熱、アフリカブタ熱等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
ウイルスを毀損する本発明の方法は、農業環境にも利用され得る。例えば、疾患を引き起こすウイルスを含有することが疑われる植物、果実、野菜等は、ウイルスの毀損のために共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて治療され得る。ウイルスの毀損のために処置され得る植物の部分としては、種子、苗、髄(pulp)、葉、野菜、果実等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本発明の方法は、共鳴周波数で音響エネルギーをウイルスに送達することを包含する。例えば、定性および定量的共鳴周波数は、図12における装置により示されるようにin vitroで決定され得る。既知の共鳴音響特徴を有し、また標準ウイルス学的方法により確認されている既知のウイルスを含有する一滴の流体(全血、血清、培養流体または宿主細胞等)を、既知の共鳴音響特徴を有する吸収性媒質(紙、セルロース、木綿、ポリマー等)の浅皿に入れる。ウイルス負荷組織または物質(Polysciences, Inc.により市販されている JB-4 Embedding, Paraffin, Immuno-Bedキット、LR Gold, Osteo-Bed Boneキット、Polyfreeze, PEG 4000 Resin, PolyFin Paraffinなどのような包埋または薄切物質)の薄切片が用いられ得る。ウイルス円板を、前記のような2つの広帯域低GHzまたは高MHz変換器の間に置いて、適所にしっかり留める。
【0131】
定性的ウイルス共鳴特徴に関して検査される標的範囲の周波数は、ウイルス寸法を基礎にして、生物学的組織中の音の速さ1,500 m/sを所望の波長で割って得られる。ウイルス寸法が分からない場合には、当業界で既知の技法を用いて電子顕微鏡によりそれらを確定し得る。
【0132】
ある変換器は音響信号を発生し、標的周波数の広域帯全体をスウィープし得るが、他の変換器は伝送した音響信号を検出する。ウイルス被験円板/切片から伝送された音響信号を、信号分析器の正のリードに送り込む。被験流体および円板または被験包埋物質からの既知の音響信号は対照として役立ち、信号分析器の負のリードに送り込まれる。対照特徴は相殺され、表示された残りの共鳴音響特徴は試料中のウイルスからであり、定性的結果を生じる。
【0133】
分析される周波数の範囲を変え、各周波数での振幅を比較することにより、一次共鳴周波数、および関連調和共鳴周波数を同定し得る。一次共鳴周波数は、最大振幅を有するであろう。各ウイルスは、ウイルス寸法、例えば直径、長さ(円筒形またはらせん形の場合)、先端距離および単位距離(これらに限定されない)によって多数の一次周波数を有する。1,500 m/sの音響速度、標準ウイルス学的方法により一般に確定されるようなウイルス寸法を用いて、個々のウイルスに関する一次共鳴周波数を算定した範囲に関しては表2を参照されたい。結果は、実際には、嵩モジュール、分散度、ウイルス物質中の音響速度、in vivo対in vitro寸法等のような特定のウイルス因子によって変わり得るので、周波数は、表2の算定周波数に必ずしも限定されない。
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
【表4】
【0137】
【表5】
【0138】
定性的ウイルス共鳴音響特徴が確定されれば、定量的結果は、既知濃度の特定のウイルスの試料からの共鳴音響特徴振幅を比較することにより、確定し得る。高ウイルス負荷(濃度)を有する試料は、より高い共鳴音響特徴振幅を有する。一次共鳴周波数振幅対ウイルス濃度の比はこのようにして得られ、未知濃度の試料中のウイルス負荷の査定を可能にする。
【0139】
別の実施態様では、被験円板/切片からの共鳴音響特徴は、先ず対照円板/切片を変換器小室にしっかり留めて、被験円板/切片特徴を用いたその後のプロセッシングのためにマイクロプロセッサー中に共鳴音響特徴を保存することにより、あるいは第2の変換器小室に対照をしっかり留めて、被験円板/切片ウイルススウィープと同時に広域帯の周波数全体をスウィープすることにより、生成し得る。さらに、被験円板/切片を、変換器と反射表面との間にしっかり留めて、音響波を同一変換器により発生され且つ受信し、したがって伝送音響波よりむしろ反射音響波を分析してもよい。さらに、反射または伝送された音響エネルギーを分析する1つ又はそれ以上の変換器を、ウイルスを含有する流体または媒質中に浸漬し得る。
【0140】
別の実施態様では、反射または伝送音響エネルギーを分析する1つ又はそれ以上の変換器は、ウイルスを含有する流体または媒質を入れる容器の壁を構成する。
【0141】
本発明はさらに、図13における装置により示されるように、共鳴周波数の作用をin vitroに確定させ得る。当業者に既知の標準ウイルス学的培養法を用いて、ウイルス培養を再使用可能/オートクレーブ処理可能試験シリンダー中に入れ得る。試験シリンダーの底面は、適切な周波数のために構築された、例えばサファイア基板上の薄皮膜酸化亜鉛のような変換器である。試験シリンダー中にこのように置かれた宿主培地を、単一層で、そして変換器と直接接触させて、シリンダーの底面に拡げる。次に、所望の共鳴周波数の音響エネルギーを、培養流体および宿主培地を介してウイルスに送達し、増殖および機能に及ぼす作用を、標準ウイルス学的方法を用いて査定する。振幅、モード(連続対パルス化)、形状(シヌソイド対正方形)、強度等のような音響波特徴を変えることにより、特定の作用を得るのに必要な理想的周波数および波形を確定し得る。
【0142】
例えば、HIVに及ぼす共鳴音響周波数の増大および/または毀損作用を検査する場合、宿主細胞単独に及ぼす音響介入の作用を査定することにより異常ウイルス結果を除外するトリパンブルー染色排除検定を用いて、共鳴音響介入(種々の強度での種々の試験期間中の種々の波形パターンの共鳴周波数)を有する試験シリンダー中で、影響を受けないTリンパ球宿主細胞を先ず査定する。工程2は、算定数のHIV感染Tリンパ球を試験シリンダー中に入れることを包含する。宿主細胞は、音響介入が送達される試験シリンダーの変換器/床上に単一層を形成する。次に、標準in vitro法、例えばCoulterHIV−1p24抗原キット、HIV培養、PCRによるHIV−1DNA、ウイルス負荷測定、定量的測定、陽性までの時間、ならびに増殖抑制を用いて、結果を査定する。
【0143】
本発明の方法は、図14に示すように、動物においてin vivoで且つ体外でウイルスを毀損するための手段も提供する。例えば、HIVに感染したヒトにおいて、当業者に既知の技法を用いて、体外血液循環系を確立する。体外血液を、一次または調和共鳴周波数での音響エネルギーを送達する一連の再使用可能/オートクレーブ処理可能滅菌変換器上を通す。音響変換器シリーズは、事実上音響フィルターとして働いて、血流中のウイルスを毀損する。体外処置の前後両方で、当業者に既知のウイルス負荷試験を用いて、処置の効能を査定する。
【0144】
別の実施態様では、前記の音響フィルターは、血液試料の分析のための受信変換器モードも付けられる。大量の無傷ウイルスを含有する血液の初期通過により、共鳴振幅は高くなる。毀損共鳴周波数に血液を長期間曝露後、共鳴振幅は無傷ウイルス数が減少するので減衰し、したがって、ウイルス負荷読み取り値、ならびに体外処置の停止が示された時を確定するための方法が得られる。
【0145】
別の実施態様では、圧電性物質のシートをエンベロープまたはメッシュ型変換器に仕上げて、それに体外血液を通す。別の実施態様では、圧電性物質の管をコイル変換器に仕上げて、それに体外血液を通す。別の実施態様では、体外血液を赤血球と白血球部分に分離して、白血球部分のみを音響フィルターに通し、したがって処置に要する時間を低減し、赤血球部分への機械的損害を低減する。
【0146】
別の実施態様では、預血化血液を、血液生成物収集および投与工程(即ち、ドナーからの収集、構成成分への分離またはレシピエントへの投与)の多数の点のいずれかで、音響フィルターに通す。
【0147】
別の実施態様では、ナノシステム技術(Nanosystem, by Eric Drechsler; publications of CJ Kim, Berkley University; publications of Ralph Merck, Xerox Co., Palo Alto, CA参照)を用いて、多数の小音響発振器を作製し、これをフィルター物質に封入し、フィルター物質は発振器の通過を防止するが、血球および血液構成成分は通過させる。natite virosonicフィルターを滅菌し、体外系上に一直線に取り付けるか、または血液生成物系に取り付ける。
【0148】
別の実施態様では、音響レーザーまたはメーザー系を用いて、共鳴および/または調和音響周波数を発生する。同様に、全血または分別血を、体外でレーザーまたはメーザー音響フィルター上または中を通過させる。
【0149】
本方法は、脈管内装置を用いて、図15に示したように動物においてin vivoおよび体内でウイルスを毀損するための手段も提供する。ナノシステム技術を用いて、多数の小音響発振器を作製し、これをフィルター物質に封入し、フィルター物質は発振器の通過を防止するが、血球および血液構成成分は通過させる。natite virosonicフィルターをCVP型カテーテル上に一直線に取り付けるか、またはグリーンフィールド型フィルターに取り付ける。
【0150】
別の実施態様では、当業者に既知の中心静脈カテーテル(Arrow、Baxter等により商業的に製造されている)を作成して、先端に適切な周波数の変換器を付ける。標準技法を用いてカテーテルを大型静脈、例えば鎖骨下静脈、頸静脈または大腿静脈に挿入する。次に共鳴音響エネルギーを循環血液に送達し、それによりウイルスをin vivoで毀損する。
【0151】
別の実施態様では、下大静脈用のグリーンフィールドフィルター型装置のような大型脈管内装置上の音響フィルターとして、変換器を取り付ける。その装置に、再充電可能心臓ペースメーカーで一般に実施されるように、皮膚を通して再充電可能な電池を取り付ける。挿入されると、音響フィルターは、カテーテルで患者を制限する必要を伴わずに、大静脈血流中に負荷されたウイルスを低減する。
【0152】
別の実施態様では、受信音響変換器の含入は、多細胞生物中のウイルスの定性的および定量的共鳴音響周波数を検出して、処置の効力および持続期間を確定し得る。
【0153】
本発明の方法は、共鳴音響場を用いて、図16に示すように、多細胞生物においてin vivoでウイルスを増大および/または毀損するための手段も提供する。水またはカップリング媒質、例えばヒマシ油(反射係数0.0043)または鉱油、あるいは市販されているこのようなその他の音響伝導性ゲルを充填した体(形状)に合うタブ中に生物を入れる。音響変換器はタブの壁および床に取付けられるか、あるいはそれ自体がタブの壁または床である(即ち、圧電ポリマーシートまたはセラミック)。予め決められた音響場(特定の強度での周波数、高調波、振幅、モード、形状等)を、変換器タブからカップリング媒質を介して生物に送達する。
【0154】
別の実施態様では、受信音響変換器モードは、多細胞生物中のウイルスの定性的および定量的共鳴音響周波数を検出して、処置の効力の確定をする。
【0155】
本発明は、共鳴音響場探針を用いて、図17に示したように、多細胞生物の部分中でin vivoでウイルスを増大および/または毀損する方法も提供する。所望の周波数の音響変換器を、医学超音波検査の当業者に一般に知られているように、握り探針装置(hand-held probe)の末端に取り付ける。予め決められた音響場(生物体に作用するのに必要な強度での周波数、高調波、振幅、モード、形状等)を、握り変換器探針から、生物の予め決められた部分に送達する。市販の音響カップリング媒質、例えばヒマシ油の使用により、空気中での減衰を排除する。例えば、肝炎に罹患したヒトでは、肝臓を被う皮膚を介して治療を送達する。共鳴音響周波数の分数調波を用いて、より高周波数での音響減衰を最小化し得る。
【0156】
別の実施態様では、受信音響変換器モードは、多細胞生物中のウイルスの定性的および定量的共鳴音響周波数も検出して、処置の効力および持続期間を確定する。
【0157】
本発明は、共鳴音響場シートを用いて、図18に示したように、多細胞生物の部分中でin vivoでウイルスを毀損する方法も提供する。所望の周波数の圧電ポリマー物質を、柔軟性変換器シート装置に仕上げる。予め決められた音響場(周波数、高調波、振幅、モード、形状等)を、変換器シート装置から、生物の予め決められた部分に送達する。市販の音響カップリング媒質、例えばヒマシ油の使用により、空気中での減衰を排除する。例えば、肝炎に罹患したヒトでは、肝臓を被う皮膚と接触してシートを配置することにより、治療を送達する。共鳴音響周波数の分数調波を用いて、より高周波数での音響減衰を最小化し得る。
【0158】
別の実施態様では、受信音響変換器モードは、多細胞生物中のウイルスの定性的および定量的共鳴音響周波数を検出して、処置の効力および持続期間を確定する。
【0159】
本発明は、図19A&19Bに示したように、in vitroで定性的および定量的共鳴音響および/または音響−EM周波数を確定するための手段も提供する。任意のおよびすべての実施態様を有する、上で説明し、図12に示したような試験装置に、送信器および受信機を取り付けて、EMエネルギーを伝送し、検出し、測定し、そして分析する。共鳴音響周波数をウイルス試験円板に適用する場合、試験中のウイルスおよび被験円板の構造および組成によって、本明細書中で共鳴音響−EM特徴と呼ばれる独特の電磁エネルギーパターンを生じる。共鳴音響−EM特徴を生じるメカニズムとしては、圧電性、音響電気性、磁気音響性、および/または内部エネルギー散逸が挙げられるが、これらに限定されない。共鳴音響−EM特徴は、1つ又はそれ以上のいくつかの電磁特性および/または場を表し、それらの例としては、直流、交流、磁場、電場、EM線および/または音響サイクロトロン共鳴(標準またはドップラーシフト化)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
前記の形態のEMエネルギーはすべて、当業者に既知の装置および方法を用いて、検出し、測定し、そして分析される(有用な情報は非共鳴周波数、即ち音響電気的作用による半導体生物物質の電流特徴の適用から得られる、ということに留意すべきである)。このデータは、共鳴特徴と組合せて、本方法に対するさらに大きい感受性および特異性を生じる。例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)IおよびIIは、サイズおよび形状がほとんど同一であるために、ほぼ同一の共鳴音響特徴を有する。しかしながら、それらは分子タンパク質立体配置が異なり、それらの音響−EM特徴により区別し得る。この例としては、内部エネルギー散逸により生成される音響−EM特徴、音響電気電流の、磁気音響作用による磁場の存在下での音響変調または減衰の、そして前記の方法のいずれかにより誘導または影響される電場または磁場の、非共鳴および共鳴周波数での特性化が挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
別の実施態様では、試験装置は、共鳴音響および音響−EM発生装置のいずれかまたはすべての組合せを装備する。未知の組成の試料を特殊な構造に関する音響−EM特徴に含まれる周波数エネルギーパターンに曝露する。試料からの関連共鳴音響波の検出は、試料中の構造の存在を確証する。振幅のさらなる分析は、試料中の特定の構造の相対量を示す。例えば、共鳴音響および音響−EM特徴の併用を用いて、先ずHSVの存在に関して組織切片を探索し、次にそれがHSVIであるか、HSVIIか、あるいは従来未知の且つ非特性化HSVかを特定し得る。さらに、試料中に負荷されたウイルスの定量的査定も、相対的振幅に基づいて実施し得る。したがって、共鳴音響および/または音響−EMエネルギー場の適用は、有機または生物学的生物体および構造に関しては、共鳴音響−EMスペクトル分析の一形態を生じ、3つの基本的刺激および検出モード(1.音響、2.EM、3.音響およびEM)を用いて、9つの基本的組合せを示す:
1.音響刺激、音響検出;
2.音響刺激、EM検出;
3.音響刺激、音響およびEM検出;
4.EM刺激、音響検出;
5.EM刺激、EM検出;
6.EM刺激、音響およびEM検出;
7.音響およびEM刺激、音響検出;
8.音響およびEM刺激、EM検出;ならびに
9.音響およびEM刺激、音響およびEM検出;
刺激および検出/分析モードが洗練されるほど、スペクトル分析装置は高感度および高特異的になる。本発明の共鳴音響−EMスペクトル分析法の単独でのあるいは共鳴音響スペクトル分析法と組合せた使用は生物学的物質に限定されず、下記のような無機物質または構造を検出および同定するために利用し得る、ということに留意すべきである。
【0162】
本発明は、音響および/またはEMエネルギーを産生する任意のおよびすべての装置、例えば前記のすべての装置および実施態様(これらに限定されない)を用いて、ウイルスに及ぼす共鳴音響および/または音響−EMエネルギーの作用を査定する方法を提供する。例えば、図20に示すように、ウイルスの結晶構造に及ぼすEM線の圧電作用を査定するために、ウイルスの共鳴音響周波数の少なくとも1つと同一周波数のEM線を用いる試験系を用いる。HIVの場合、周波数は約15 GHzである。EM吸収性物質から作製された試験箱は、15 GHzEM送信器を装備し、EM線は箱の床に向けられる。宿主細胞単独に及ぼす音響−EM介入の作用を査定することにより異常ウイルス結果を除外するトリパンブルー染色排除検定を用いて、種々の曝露パターンを有する15 GHz介入(種々の強度での種々の試験期間中の種々の波形パターンの共鳴周波数)を有する試験箱中で、非感染Tリンパ球宿主細胞を先ず査定する。工程2は、音響−EM介入が送達される試験箱中にHIV感染Tリンパ球を入れることを包含する。次に、その結果を、HIV法の標準in vitro法、例えばCoulterHIV−1p24抗原キット、HIV培養、PCRによるHIV−1DNAおよびウイルス負荷測定を用いて査定する。
【0163】
本発明は、図21に示すように、共鳴音響および/または音響−EM場を用いて、動物において体外的および/または対内的にウイルスを毀損するための方法も提供する。例えば、HIVに感染したヒトにおいて、当業者に既知の技法を用いて、体外血液循環系を確立する。体外血液を、任意のおよびすべての実施態様を含めた、図14に記載したような変換器上に通す。血中への音響浸透は、音響波と平行して血中に直流を通すことにより音響電気ゲインを用いて増大し得る。
【0164】
本発明は、共鳴音響および/または音響−EM場を用いて、図22に示すように、多細胞生物の器官中のウイルスを増大および/または毀損するための方法も提供する。例えば、任意のおよびすべての実施態様を含めて、図16の場合と同様に、移植のためのヒト死体角膜を、水または市販されているようなその他の非毒性音響伝導性ゲルを充填した体(形状)に合うカップ中に入れる。予め決められた音響場(周波数、高調波、振幅、モード、形状等)を、変換器タブからカップリング媒質を介して角膜に送達する。磁気音響作用を利用して、音響波伝搬の方向に垂直に、多数の音響周波数が存在する場強度で磁場を配置して、それにより音響パワーにシヌソイドまたはピーク型共鳴スパイクを生じ、そして角膜組織それ自体を損傷せずに角膜中への共鳴音響浸透を改良する。
【0165】
本発明は、共鳴音響および/または音響−EM場探針を用いて、多細胞生物の部分中でin vivoでウイルスを毀損するための手段も提供する。例えば、図23に示すように、握り探針は、当業者に一般に知られているようにEM線発生装置を装備する。特定のウイルスの内部散逸パターンを表す音響−EM特徴を複製する予め決められたEM線場(周波数、高調波、振幅、モード、形状等)を、握り探針から、生物の予定部分に送達する。例えば、上部気道感染(「風邪」)に罹患したヒトでは、鼻、喉および副鼻腔を被う皮膚を介して治療を送達し、ライノウイルスの内部エネルギー散逸経路を逆に向形質転換、共鳴音響振動を誘導し、ライノウイルスを毀損する。
【0166】
例2
微生物の毀損、増大、検出および/または同定
細菌のようなあらゆる微生物、ならびにこれに含まれ、または関連する構造および分子は、本発明の方法を用いてin vitroまたはin vivoに増大、毀損、検出および/または同定され得る。細菌としては、動物、ヒト、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫、水生動物、植物、果実、土壌、水、油、食品製造のための発酵工程等に関連するものが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様では、細菌としては、連鎖球菌属、ブドウ球菌属、ヘモフィルス属、ナイセリア属、トレポネマ属、サルモネラ属、赤痢菌属、大腸菌株、コリネバクテリア属、ボルデテラ属、クロストリドリウム属、リケッチア属、クラミジア属、ブルセラ属、マイコバクテリウム属、ボレリア属、マイコプラズマ属、乳酸桿菌属、それらの菌株等が挙げられるが、これらに限定されない。細菌により引き起こされるヒト疾病としては、肺炎、皮膚および創傷感染、心臓弁感染、胃腸炎、梅毒、淋病、ペスト、尿路感染、ライム病、結核、コレラ、腸チフス、炭疸、破傷風および壊疸が挙げられる。
【0167】
真菌感染としては、汗疱状白癬、白癬、膣酵母感染、鵞口瘡、ヒストプラスマ症およびクリプトコックスが挙げられる。
【0168】
細菌、真菌、原生動物および虫により引き起こされる動物の疾患は、ヒトの場合に類似する。同様に、広範囲の微生物が植物に感染し、その他の微生物で、有益であると思われるものさえある(たとえば、パン製造用酵母)。
【0169】
グラム陽性またはグラム陰性のような特徴を染色することにより、細菌は先ず分類される。染色に対する細菌応答は、細胞壁の構造により確定する。次に、細菌はさらに球菌(球状)または桿菌(円筒状)のように、形状により分類する。それ以外に、分類案は一般に、種々の生化学的反応を含む。
【0170】
細菌細胞壁は、硬質ペプチドグリカン(ムコペプチドまたはムレイン)、ヘキソース糖の混合ポリマー(N−アセチルグルコサミンおよびN−アセチルムラミン酸)およびアミノ酸(タンパク質の構造単位。下記参照)から成る。このようなものとして、細胞壁は結晶構造であり、音響エネルギーの使用からの振動作用を受ける。したがって、細菌は、それらの形状(球または円筒)、サイズおよび組成に適合した共鳴音響周波数による増大、同定および検出あるいは毀損を受け易い。さらに、細菌構造内に含まれる種々の細胞小器官も、特定の共鳴音響周波数を受け易い(即ち、ピリ線毛、形質膜、鞭毛、細胞質封入体、基底小体、被膜、胞子等)。最後に、構造それ自体を構成する化合物(結晶タンパク質等)も、独特の共鳴周波数を有する。
【0171】
真菌、原生動物、寄生生物および虫は、生物体が、全生物体のサイズおよび形状、生物体の一部を作り上げる細胞小器官のサイズおよび形状、ならびに生物体を作り上げる特定の生化学的化合物の共鳴特徴に基づいた特定の共鳴周波数の作用を受け易いという点で、細菌に類似する。
【0172】
あらゆる真菌、例えば酵母、糸状菌およびキノコ、原生動物、寄生生物または虫、ならびにそれらに含まれ、または関連する構造および分子は、本発明の方法を用いてin vitroまたはin vivoに増大、毀損および/または検出され得る。これらの生物としては、動物、ヒト、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫、水生動物、植物、果実、土壌、水、油、食品製造のための発酵工程等に関連するものが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様では、これらの生物としては、クリプトスポリジウム属、アスペルギルス属、白癬菌属、サッカロミセス属、ブラストミセス属、コクシジオイデス属、パラコクシジオイデス属、ペニシリウム属、クモノスカビ属、ケカビ属、アカパンカビ属、小胞子菌属、ストレプトミセス属、表皮糸状菌属、トキシカラ属、回虫属、エキノコックス属、ジアルジア属、プラスモディウム属、トリパノソーマ属、住血吸虫属、ブルギア属、それらの菌株等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0173】
1 X 10-5 W/m2より低いといった低音響および/または音響−EM入力で、微生物は機能を増大され、特徴的音響および/または音響−EM特徴を出すが、これを用いて微生物の存在を検出および診断し得る。より高い入力では、生物は毀損され、殺害される。音響および/または音響−EMエネルギーの振動共鳴作用を受け易い細菌、真菌、原生動物および虫の構造の他に、それらは、圧電構造、内部散逸、音響電気的および磁気音響的構造として機能し得る。
【0174】
本発明は、特定共鳴周波数での音響および/または音響−EMエネルギーを、ならびに包含される任意のおよびすべての構造の圧電、内部散逸、音響電気的および/または磁気音響特性を、単独でまたは共鳴音響場と組合せて用いた、微生物構造の増大、同定および/または物理的毀損の目的のために、構造の構成部分、または細菌、真菌原生動物および虫の全生物体を利用する。
【0175】
超音波を使用する従来技術の治療とは異なり、本発明は、多層生物体を治療するために用い得る特定の共鳴周波数を使用する。本発明は、パン酵母、ワイン酵母、乳酸菌(ワインおよびチーズ)、石油酵母、ならびに特定のアミノ酸、抗生物質、酵素またはその他の化学物質を産生する微生物のような有益と思われる微生物の機能活性を増大する可能性も有する。機能活性としては、増殖、代謝、酸化または還元活性等が挙げられ得る。
【0176】
一実施態様では、本発明は、MHz範囲の低周波数用に設計された変換器(Matec Instrumentsにより商業的に提供されるような)を有する、任意のおよびすべての実施態様を含めた、図12および図24A&Bに記載した装置により示されるように、微生物の共鳴音響および/または音響−EM周波数をin vitroで確定させ得る。例えば、細菌、特に大腸菌による牛肉の汚染に関連した食肉包装プラントでは、同様の装置を用いて、従来の培養法と比較した場合に相対的に短時間内に、細菌に関して食肉をスクリーニングし得る。先ず、食肉表面のスワブを採取し、生理学的pHの滅菌食塩水を含入する滅菌試験管に入れる。予め決められた量の溶液を標準試験円板上にピペット分取して、これを2つの変換器間にしっかり留める。共鳴または共鳴調和音響周波数を被験試料に関して走査し、それにより考え得る有害大腸菌の存在または非存在に関してスクリーニングする。食肉の検査は、一般的方法より効率的に且つ確実に実施する。
【0177】
本発明は、微生物の共鳴音響および/または音響−EM周波数を用いてこれらの生物学的有機体またはそれらの構造を増大させ得る。例えば、図25に示すように、ビール発酵バットの底は、ビール酵母菌の特定菌株の機能を増大するために適切な周波数および出力の音響変換器を装備する。この酵母は、一般に、5〜10日間、ビールを発酵するために用いるが、しかしながら、共鳴音響増大に関しては、発酵時間は低減される。定量的検出濃度の酵母、ならびにデンプンおよび/または糖分子のアルコール化合物への転換により、最も有効な出力レベルを決定し得る。
【0178】
本発明は、微生物の共鳴音響および/または音響−EM場を用いてこれらの生物学的有機体またはそれらの構造を毀損させ得る。例えば、図26に示すように、市販の台所用電子レンジに、2つのEM線ホーンを取付ける。1つは調理用で、1つは大腸菌およびサルモネラ属のような一般食物病原菌の共鳴音響および/または音響−EM周波数用である。あぶり、焼き、または所望され得るその他の食物調製法の前に、電子レンジの汚染除去サイクルを用いて、家庭料理人は、あらゆる考え得る病原体について食肉またはその他の食品を汚染除去し得る。
【0179】
いくつかの種類の細菌に関して音響共鳴測定を実行して、細菌の共鳴音響周波数を確定した。Matec高周波7000パルス変調器および受信器を、Matec自動データ獲得系およびオシロスコープと一緒に用いた。肺炎桿菌Klebsiella pneumoniae(アメリカ培養細胞コレクション#13883)を標準増殖培地上で増殖させた。Matec 90 MHz、3/8"直径変換器表面を清浄にして、アルコールで滅菌した。生肺炎桿菌を変換器の表面上に載せた。共鳴音響分光分析を、100〜200 MHzの音響範囲で実施した。125〜130 MHz、中央周波数127.5 MHzで、肺炎桿菌に関して、共鳴音響周波数を検出した。これは、共鳴分数調波であると推定された。
【0180】
同一装置を用いて、大腸菌(アメリカ培養細胞コレクション#25922)に関して、同一測定を実施した。大腸菌に関して、共鳴音響周波数を検出し、中央周波数は113 MHzであった。これも、共鳴分数調波であると推定された。
【0181】
例3
感染性節足動物の検出および毀損
節足動物は、ヒトおよび動物の血液に感染し、摂食する昆虫の種々の群を含む。例としてはシラミ、ノミ、マダニ、カ、ダニ、チョウバエおよびツェツェバエが挙げられる。ヒトまたは動物に感染した場合にこれらの節足動物が生じる一般的不快および迷惑の他に、感染の真の危険性は、節足動物により伝染される疾患にある。これらの疾患は、概して、毎年、世界経済に数十億ドルを失わせている。犠牲者の全体的健康状態は損なわれ、彼等は時間、快適生活、そして時として生命それ自体を失う。
【0182】
蚊は、デング熱、黄熱病、脳炎、出血熱、マラリアおよびリンパ性フィラリア症を伝染する。マダニは、脳炎、ライム病、回帰熱およびロッキー山紅斑熱を伝染する。ノミは、ペスト(エルジニア属)およびチフスを伝染する。シラミは、チフスを伝染する。ダニは、リケッチア痘を伝染する。ハエは、アフリカ睡眠病、リーシュマニア症およびシャーガス病を伝染する。
【0183】
節足動物の識別特徴は、体部および脚を被うキチン質の外骨格である。キチン質は、N−アセチル−D−グルコサミンの反復単位から成る長い非分枝化分子である。それは自然に豊富に見出され、昆虫、節足動物、甲殻類、軟体動物の硬質殻、そしてある種の真菌の細胞壁をさえ構成する。このようなものとして、キチン質は結晶構造であり、音響および/または音響−EMエネルギーの作用を受ける。したがって、節足動物は、それらの形状(球または円筒)およびサイズに適合した共鳴音響周波数による検出および毀損を受け易い。さらに、節足動物構造内に含入される種々の器官または付属器官も、特定の共鳴音響周波数を受け易い。最後に、構造それ自体を構成する化合物(キチン質、結晶タンパク質等)も、独特の共鳴周波数を有する。
【0184】
低音響入力で、感染性節足動物は特徴的音響および/または音響−EM特徴を放出し、それらはその存在を検出し、診断するために用いられ得る。より高い入力では、節足動物は毀損され、殺害される。検出または毀損のために用いられる特定範囲の強度は構造に依存する決定因子であり、そしてその強度は前記のような当業者に既知の標準法を用いて確定し得る。節足動物の構造は音響および/または音響−EMエネルギーの作用を受け易い他に、圧電構造としても機能し得る。
【0185】
本発明は、特定共鳴周波数での音響および/または音響−EMエネルギーを用いて、ならびに圧電、内部散逸、音響電気的および/または磁気音響構造として、単独でまたは共鳴音響場と組合せてそれらを用いて、節足動物構造の同定および/または物理的毀損の目的のために、構造の構成部分、または節足動物の全生物体を利用する。
【0186】
本発明は、前記と同様の適切な周波数の装置を用いて、節足動物の共鳴音響周波数を確定および利用させ得る。例えば、感染作因、例えばエボラ熱、出血熱または脳炎の原因を同定しようと努力して、何千もの昆虫およびその他の節足動物を捕獲し、分類中の研究者は、図27に示したような装置を用い得る。当該感染作因の共鳴周波数を含む音響スペクトルの部分が走査される。節足動物物質の既知の共鳴周波数をスペクトル分析器の負のリードに供給して、正のリードによる試料走査におけるそれらの構成成分共鳴周波数を相殺する。残りの周波数を、攻撃中の微生物の共鳴音響特徴に関して分析する。これは、高価で且つ時間の掛かる試験を必要とせずに、感染作因の宿主貯蔵所を容易に同定するための手段を提供する。
【0187】
本発明は、図28に示すように、大型微生物の感染性節足動物、例えばイヌまたはヒトにおけるノミを殺害する手段も提供する。高kHz〜極低MHzの変換器を、バスタブ型装置上に取り付ける。ノミ用の共鳴音響周波数を、水を介して動物の表面に送達する。感染性節足動物はイヌまたはヒトの表面または最外層に局限されるので、深部組織浸透のための高出力は必要でない。同一の方法は、例えば洗濯機中の防ノミまたは防シラミ寝具およびリネンにも用い得る。
【0188】
例4
骨増殖の増大
ヒトにおける骨無機質脱落は、有意のヘルスケア問題である。この骨無機質脱落(骨粗鬆症)のために、数千の高齢者が臀部、足または腕の骨折を蒙っている。これらの損傷は、損傷後の治療、手術およびリハビリのために、米国ヘルスケアシステムに毎年数十億ドルを失わせている。さらに犠牲者の全体的健康状態は損なわれ、彼等はこれらの骨折のために、時間および快適生活の損失を蒙る。骨基質損失に関与するその他の条件としては、無重力(たとえば、大気圏外での)および長期病床拘束が挙げられる。ある職業の人々は、正常骨密度の増大により利益を受ける。その例としては、プロの運動選手、軍人および増大大気圧への曝露を必要とする職業(たとえば、潜水夫)が挙げられる。
【0189】
生きている骨は銅がドープされたコラーゲン繊維中に包埋されているヒドロキシアパタイトのカルシウムベース結晶構造で組織化されている。機械的圧力または重力場による骨性基質中のコラーゲン繊維への力の適用は、骨の圧電作用および流体チャンネルを介するイオン流を刺激する。この小電荷は、次に、身体の骨芽細胞への信号として作用して、より多くのヒドロキシアパタイトを沈着させる。ヒドロキシアパタイト密度が増大すると、骨は強くなる。したがって、圧電作用を介して、正常な日々の活動中に遭遇する圧力および力に応答して、骨はその正常構造および密度を保持する。
【0190】
加齢に伴って、正常銅ドーピングは失われ、圧電作用は低減される。その結果、ヒドロキシアパタイト密度は保持されず、高齢者は骨粗鬆症および骨折を蒙る。同じことは、正常活動の非存在下(無重力および病床拘束)で、その後の正常圧電作用およびイオン電流の非存在を伴って起こる。
【0191】
骨は結晶性圧電構造であり、このようなものとして、音響エネルギーの振動作用を受ける。正常生理学的骨密度保持の背後に働いている過程は、マクロ圧力により圧縮されたコラーゲン繊維内のヒドロキシアパタイト分子運動の発生である。これらは、日常の活動から起こり、圧電作用およびその後の骨構築骨芽細胞作用を刺激する。
【0192】
この分子運動およびコラーゲン繊維圧縮は、骨の半導体基質内の微小圧力からも発生され得る。このように、ミクロ圧は、音響エネルギー波により産生され得ることが理解される。
【0193】
圧電作用の他に、骨は圧電性および半導体構造であるために、それは音響電気的、内部散逸および磁気音響作用を示す。骨半導体機能の減少(骨粗鬆症)および/またはマクロ圧低減(無重力および病床拘束)に伴う症状は、生物学的圧電作用を発生する音響ミクロ圧の適用により、および/または音響共鳴、内部散逸、音響電気的および磁気音響的作用を介して、有効に治療され得る。
【0194】
従来の文献は骨折の治癒速度を上げるための非共鳴超音波の使用を記載しているが、しかしながら、そのメカニズムは骨組織の厖大な毀損を引き起こして、これが順次、骨中の兼備強敵毛管床を損傷し、血清および細胞を骨基質中に漏出し、その後の骨鉱化をもたらす。文献は、全骨(大腿骨および尺骨)の構造の共鳴周波数を検出して骨が正常であるか欠損しているかを診断するために超音波を使用する試みも記載する。しかしながら、圧電作用を活性化するための共鳴音響および/または音響−EM周波数の使用は、記載されていない。圧電、内部散逸、音響電気的および磁気音響作用のための生きている変換器として、単独で、または共鳴音響場と組合せて、骨を用いるという考察は、従来技術には示されていない。
【0195】
本発明は、骨増殖および石灰化を増大する目的のために骨の結晶性、圧電性構造を利用する。本発明は、骨粗鬆症の犠牲者が蒙る骨折の数および重症度を有意に低減する可能性を有する。本発明は、骨折の治癒工程をスピードアップする可能性を有する。無重力(即ち、大気圏外での)または長期病床拘束のような骨基質損失に関与するその他の条件にも、本発明は有益である。本発明は、骨密度の増加により利益を受ける職業の人々(運動選手、軍人および大気圧増大への曝露を必要とする職業、例えば潜水夫)に役立つ可能性を有する。本発明は、獣医学的用途の可能性も有する。超音波を用いる従来の治療と異なり、本発明は、骨の共鳴音響および/または音響−EM周波数を用いて、隣接組織に影響を及ぼさない骨増殖の増大のために、少なくとも圧電作用を刺激する。
【0196】
本発明の方法は、共鳴音響および/または共鳴音響−EMエネルギーを用いて骨の増殖および保持を増大するための手段を提供する。例えば、図29に示すように、圧電物質のシートをシャワーマット具に取り付ける。骨粗鬆症傾向のある高齢者がシャワーを浴びる場合、そのマットを活性化する。シャワーの水は導電性媒質として作用し、一次または調和共鳴周波数が足裏を介して、力の線に沿って、足および臀部に送達される。骨中の圧電作用が活性化され、骨密度が増大される。
【0197】
本発明は、例えば図30に示すように、共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて、骨の増殖および保持を増大する方法を提供する。無重力条件下の宇宙飛行士が使用する睡眠/拘束袋に、袋の脚部にEM線送信器を装備する。袋はEM吸収物質製である。寝袋を宇宙船に固定する係留鎖は、宇宙船の信号発振器にアンテナを接続するためのケーブルを含む。睡眠中、寝袋の骨保持具が活性化されて、骨中の圧電作用を活性化する共鳴周波数でEM線を宇宙飛行士に送達し、したがって彼等の正常骨密度を保持する。ボード上の他の設備を妨害し得る外来EM線は、寝袋中のEM吸収物質により遮断される。
【0198】
例5
良性または悪性組織または集塊の毀損および検出
ヒトおよび動物に影響を及ぼす、良性および悪性の、広範な種々の組織塊が存在する。多くの組織塊は、身体中の限定領域内に封入または含入される。良性腫瘍はほとんどすべて、徐々に拡張し、繊維性皮膜を発現し、孤立性、易触知性、易可動性塊を生じる。良性腫瘍の例としては、繊維腫、脂肪腫、軟骨腫、骨腫、血管腫、リンパ管腫、髄膜腫、平滑筋腫、腺腫、乳頭腫、ポリープ、コンジローム、繊維腺腫および横紋筋腫が挙げられる。悪性腫瘍はほとんどが侵襲性で、転移するが、しかしながら顕著な例外は神経膠腫および基底細胞癌である。疾患を引き起こすその他の組織塊としては、塞栓、血栓、膿瘍、石および異物が挙げられる。
【0199】
多数の組織塊は、限定された孤立した構造を有するので、それらのサイズおよび形状に適合した共鳴周波数での音響エネルギーの毀損作用を受け易い。従来技術は、組織塊を検出し、毀損さえするための非共鳴周波数での音響の多数の用途を含有するが、共鳴音響エネルギーによる組織塊の検出および共鳴周波数での音響エネルギーによる組織塊の毀損は、今日まで開示されていない。
【0200】
それらの形状およびサイズに適合した共鳴音響周波数による検出および毀損を受け易い組織塊の他に、組織塊それ自体を構成する構成成分(細胞型、結晶タンパク質等)も、検出および毀損を受け易い独特の共鳴周波数を有する。低入力では、ある種の組織または集塊は増殖または代謝が増大されて、培養、再生および増殖のための補足技術が提供され得る。
【0201】
それらの構造によって、ある種の組織塊または組織型は共鳴音響−EM作用も示し、ならびに圧電性、内部散逸、音響電気的および/または磁気電気的の構造として機能し得る。本発明は、多数の良性および悪性組織および集塊の孤立した形状、サイズおよび組成を利用して、特定の共鳴周波数の音響および/または電磁エネルギーを用いてそれらの構造の同定、増大、検出および/または毀損を生じさせる。超音波を用いる従来の治療と異なり、本発明は、特定の共鳴音響および/または電磁周波数を使用し、これを用いてその中の特定構造をターゲッティングすることにより多層生物体を治療し得る。それは、音響エネルギーの既知の腫瘍/集塊検出能力(診断超音波)と共鳴周波数での音響および/または電磁エネルギーの毀損特性とを併有する。本発明は、望ましい場合には、種々の組織および集塊の増殖および機能を増大する可能性も有する。
【0202】
本発明は、共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて、良性または悪性組織および/または組織塊を検出および毀損するための手段を提供する。例えば、図31に示すように、標準エコー反射能力を伴って設計された音響変換器を用いて、組織塊のサイズおよび規模を確定する。算定された共鳴周波数を基礎にして、ある範囲を走査して、正確な共鳴周波数を確定する。次に1つ又はそれ以上のそれらの周波数を集塊に送達して、その構造を毀損し、その後の身体による集塊の吸収を可能にする。
【0203】
さらに、本発明は、任意のおよびすべての実施態様を含めた、図12および図19A&Bに記載した装置を用いて、共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて良性または悪性組織型を検出するための手段を提供し、細胞試験円板または組織調製物を2つの変換器の間に置いて、周波数を走査して、共鳴ピークおよびEMパターンを探す。共鳴ピークとEMパターンの差は、組織型間で、例えば正常上皮細胞と癌性上皮細胞との間を区別する。
【0204】
例6
生物学的化合物または組織の増大、検出および/または毀損
生物学的有機体は、多数の生化学的化合物、例えば核酸、炭水化物、脂質、アミノ酸およびステロイドで構成される。多数の生化学化合物は、それ自体、規則的反復パターンで整列する。言い換えれば、それらは結晶形態をとる。生化学的結晶の例としては、インスリン、ヘキソキナーゼ、アルドラーゼ、ヘモグロビン、ミオグロビンおよびスペクトリンが挙げられる。さらに、ある種の組織または細胞構造は結晶形態をとり、例えば前者の例は骨、筋繊維および結合組織繊維、そして後者の例は細胞膜、Na/K膜ポンプおよび視覚桿状受容体である。
【0205】
生物学的有機体を構成する生化学化合物は、それらの先天性結晶構造を基礎にして、それ自体の独特の共鳴周波数を有する。生化学化合物の多くは、圧電性、内部エネルギー散逸、音響電気的および磁気音響構造でもある。このようなものとして、生化学化合物は共鳴音響および/または音響−EMエネルギーの増大、毀損および/または検出特徴を受ける。本発明は、特定の共鳴音響および/または音響−EM周波数を使用し、これを用いて多層生物体を処置し得る。本発明は、圧電性、内部エネルギー散逸、音響電気的および/または磁気音響作用を利用して、単独で、または共鳴音響場と組合せて、所望の結果を達成する可能性も有する。
【0206】
例7
皮膚合一メスを産生する細胞間のプロテオグリカン接着単位の刺激または毀損
本発明は、共鳴音響および/または音響−EMエネルギーを用いて細胞間のプロテオグリカン接着単位を刺激および/または毀損するための方法を提供する。切開用の金属メスを用いて、ヒトに関して毎年数百万の手術が実施されている。このようなメスの使用は、切開部の糸による閉鎖、治癒期間を要し、そして必ず瘢痕形成を生じる。さらに、数百万の人々が皮膚の外傷性切り口、裂け目または破裂を蒙り、再び糸での創傷の閉鎖、治癒期間および瘢痕形成を要する。
【0207】
多細胞生物において、細胞は約1,600/細胞の割合のプロテオグリカン単位により一緒に保持する。これらの単位は約200μm長で、種間で多少の変動がある。
【0208】
切開をおこなうか、または細胞層に外傷性破断が起きた場合、細胞接着は引き裂かれ、いくつかの細胞は破裂し、血管が開裂する。白血球、血小板および繊維芽細胞は細胞外間隙に集合し、最後には瘢痕の形成を生じて、これが組織を再接着する。この治癒段階中、開口組織は外来生物の侵襲を非常に受け易く、創傷感染は絶えず警戒しなければならない合併症である。
【0209】
感染の合併症を伴わない創傷治癒の場合でも、瘢痕は依然として残る。新式プラスチック手術技法は瘢痕を最小化するかまたは隠そうとするが、しかし瘢痕の形成は避けられない。
【0210】
高パワーレベルを示す高振幅のプロテオグリカン単位に伴う音響共鳴を達成するエネルギー場は、細胞間の接着結合の分離を引き起こし、したがって組織層の分離を、そして本質的に非外傷性切開を生じる。低振幅の同一エネルギー場は、接着結合の再接着を生じ、再接着化切開のほぼ即時の且つ無瘢痕性の治癒を伴う。
【0211】
本発明は、組織中の細胞層を非外傷的に分離することにより、そして最小瘢痕かまたは瘢痕を全く伴わずに、細胞層を即時に再接着することにより、外科的工程を劇的に改良する。プロテオグリカンが圧電性、内部エネルギー散逸、音響電気的および/または磁気音響作用を示し得る限り、本発明は、電磁エネルギーパターンの音響−EM特徴を、単独で、または共鳴音響場と組合せて用いて、前記の結果を生じる可能性を有する。本発明は、獣医学的および農業的意義も有し、即ち家畜類および家禽類における創傷を治癒し、または外科手術を実施し、そして種々の植物組織または枝を、ある植物から別の植物に接ぎ木する。
【0212】
例えば、図33に示すように、変換器を先端に取り付けたメスを用いて、適切な周波数の音響/音響−EM波を生じて、細胞間のプロテオグリカン接着を毀損し、そして外科的切開を作り出す。その手法の終了時に、切開の縁を一緒に保持して、適切な周波数および型のもう一つの変換器を切開上を通過させて、組織を再接着する。
【0213】
例8
多細胞生物の構造の増大、検出および/または毀損
多細胞生物の増大、同定、検出および/または毀損は、多数の用途を有する。世界人口が、種々の害虫、例えば昆虫、齧歯類および軟体動物に苦しめられている。他の状況では、特定の生息地における種々の種の検出は、ヒトの活動にとって重要性を有する。最後に、その増殖および増大が食物、医薬、宝石等の収穫のために望ましい多数の多細胞生物が存在する。害虫は、それらの身体、その身体の一部、あるいはそれらの身体に含入される特定の生化学化合物のサイズおよび形状に適合した共鳴音響および/または音響−EM周波数の使用により、排除し得る。例えば、頭、胸または腹部のサイズに適合した共鳴音響および/または音響−EM周波数は、ミツバチ、スズメバチ、アリまたはシロアリに対して致死的であり得る。同様に、マウスの内部器官(脳、腎臓、生殖腺、大動脈等)のサイズおよび形状に適合した共鳴音響および/または音響−EM周波数は、その動物に対して致死的であり得る。軟体動物害虫、例えばムラサキガイおよびフジツボは、それらの卵、内部器官、キチン質貝殻またはセメント/セメントプレート等に適合した共鳴音響および/または音響−EM周波数の使用により制御または排除し得る。
【0214】
種々の害虫生物、例えばシロアリ、または望ましい生物、例えば絶滅寸前種の検出に、その生物に特異的な共鳴音響および/または音響−EM周波数の使用および検出は役立つ。共鳴音響および/または音響−EM周波数の使用は、おそらくは、動物、植物および微生物界全体の種および亜種の同定および弁別に役立ち得る。
【0215】
その増殖および増大が収穫のために望ましい多細胞生物の例としては、植物、およびタンパク質源、例えば魚、二枚貝、小エビ、鶏およびその他の家畜類が挙げられる。広範な種々の植物および動物源から収穫される医薬、衛生用品および化学物質としては、ホルモン、香料、染料およびビタミンが挙げられる。植物および動物源殻収穫されるその他の物質は、ヒトの活動の本質的部分であるために、非常に多すぎて列挙できない(即ち、真珠、衣類用繊維、建築材料、革等)。低入力の共鳴音響および/または音響−EM周波数では、これらの生物および構造は選択的に増大され得る。
【0216】
本発明は、多数の生物の別々の形状およびサイズを利用して、増大、同定、検出および/または毀損の目的のために、それらの生物に特異的な共鳴音響および/または音響−EM周波数を使用する。圧電性、内部エネルギー散逸、音響電気的および/または磁気音響作用を用いて、本発明は、特定の音響−EM特徴の電磁エネルギーパターンを、単独で、または共鳴音響場と組合せて用いて、前記の結果を生じる可能性を有する。本発明は、多数の害虫の化学物質フリーの制御を提供する可能性を有する。本発明は、多数の種の生物の検出および同定を提供する可能性も有する。最後に、本発明は、有益であると思われる種々の種における成長および代謝を、そして構造を増大する可能性を有する。
【0217】
本発明は、共鳴音響および/または音響−EM周波数を用いて多細胞生物の構造を増大、検出および/または毀損するための手段を提供する。例えば、図32に示すように、フジツボのセメントプレート(それによりそれらは船の船体にそれら自身をくっつける)に対する共鳴音響を有する変換器装置を、水面下の「スクラッバー」に取り付けて、これをケーブルを介して船のデッキから、またはRF制御を介して船の内部から遠隔操作する。スクラッバーは船体の外側に沿って動くので、音響波はフジツボのセメントプレートを毀損して、船体上でのそれらの把持力を失わせて、海中に落とす。
【0218】
例9
魚の成長率の増大または毀損
本発明は、図34に示すように、商業漁業における魚の成長率の増大および/または毀損を提供する。
【0219】
小魚の2匹の繁殖用つがいを、80゜Fで10ガロンの魚用タンク中に保持した。繁殖用つがいは産卵し、卵は約3〜5日で孵化した。3日齢孵化小幼魚を繁殖用タンクから取り出して、音響共鳴周波数プロフィールに関して測定した。小幼魚を、2.25 MHz Matec変換器の上の一滴の水の中に、一度に1匹置いて、小幼魚の共鳴周波数を測定し、決定した。試験した小幼魚はすべて、同様の共鳴音響周波数プロフィールを生じ、個体変動は小さかった。最強初期信号の1つは、2.4 MHzで認められた。
【0220】
(試験A)小幼魚の2つの異なる群に関して、最初の試験を実施した。一方は音響共鳴場に曝露し、他方は対照群として用いた。実験タンクに、タンクの底全体に且つ平行に、水密グロメットを介して、Matec 2.25 MHz音響変換器を取り付けた。小幼魚の2分の1を、変換器に接続しているが、作動させていない対照タンクに入れた。他の半分の小幼魚は、変換器を有するタンクに入れて、音響場をタンクに適用した。音響場は、2.4 MHzで、10ボルト/秒パワーで連続的に伝送した。対照タンク中の小幼魚はすべて、よく育ち、成長したが、一方、音響場中の小幼魚は2週間以内に死んだ。
【0221】
(試験B)別の試験レジメンを小幼魚に関して実施し、小幼魚を3群に分けた。
【0222】
(1日目)3分の1の群を、対照として親と一緒に繁殖用タンクに残した。1群を、変換器は装備しているが、変換器への電力は作動していない別の小対照タンクに入れた。第三群は、作動中の変換器を装備したタンクに入れ、20μ秒パルス幅または持続時間で10 msec反復速度での電源のパルスモードを用いて、小幼魚を2.4 MHzの音響場に曝露した。電圧は、Matec TB 1000により300ボルト/秒に設定した。
【0223】
(7日目)1週間以内に、異なる群の小幼魚のサイズに顕著な差が認められ、音響共鳴場に曝露された小幼魚は2つの群より大きかった。
【0224】
(10日目)実験10日目に、小幼魚をすべて再測定し、音響曝露タンク中の小幼魚に曝露する周波数を2.0 MHzに減少させたが、他のパラメーターはすべて、同一のままであった。音響曝露小幼魚はよく育った。
【0225】
(14日目)小タンク対照群の小幼魚のうち、5匹が死亡した。
【0226】
(16日目)小タンク対照群の小幼魚のうちの18匹がこのときまでに死亡していた。繁殖用タンクは影響を受けなかった。全軍の残りの小幼魚をすべて、センチメートル物差および双眼顕微鏡を用いて測定した。
音響群 体長7 mm
繁殖用タンク対照群 体長6 mm
小タンク対照群 体長5 mm
(18日目)小タンク対照群中の小幼魚は1匹以外はすべて死亡した。繁殖タンク中の対照群は依然として生存し、機能しており、音響共鳴曝露群はよく育っていた。
【0227】
(19日目)音響タンク中の成長中の小幼魚の共鳴音響周波数を再び測定した。音響場を1.55 MHzに変えたが、各反復のパルス幅を2μ秒に減少させた以外は、他のパラメーターはすべて同じままであった。パルスの幅の低減は、小幼魚の成長に顕著な影響を及ぼし、20μ秒がこれらの周波数での増大に関するパワー範囲の上端であったことを示した。
【0228】
(21日目)小タンク対照群の唯一の残存小幼魚を繁殖対照群に移した。この唯一の小幼魚は他の対照群より顕著に小さかったが、しかし対照小幼魚はすべて、音響群より顕著に小さかった。
【0229】
(41日目)音響群タンク中では、音響場を0.830 MHzに変え、他のパラメーターはすべて、そのままであった。
【0230】
(65日目)音響群中の小幼魚に曝露する音響場を終了した。約2ヶ月齢で、音響共鳴曝露魚は、初期対照群からの4ヶ月齢以上の対照とほぼ同一サイズで、繁殖対照群中のそれらの片割れよりはるかに大きかった。
【0231】
(結果)試験Aと試験Bとの間にパワーの入力または強度に有意差が認められた。試験Aでは、パワーは10ボルト/秒で継続した。試験Bでは、パワーはパルス化され、作動させた音響場はその時間のほとんど0.2%に過ぎなかった。したがって、パワーが300ボルト/秒の場合でも全体的収率は(300 V/秒 x0.002)または0.6ボルト/秒全パワーに過ぎなかった。
【0232】
小幼魚が成長した場合、構造のサイズおよび形状の差のために、関数変化を誘導する音響共鳴周波数も変えた。
【0233】
音響場の終止後、小幼魚を成長させて成熟期にして、繁殖させた。共鳴周波数の音響エネルギーに曝露した魚は、対照魚より有意に早期に成熟し、卵を生んだ。第二世代効果は、音響曝露魚または対照魚の子孫に認められなかった。
【0234】
例10
植物成長の増大
サトウサヤエンドウの発芽および成長パターンに及ぼす共鳴音響エネルギーの作用を確定するために、試験を実施した。サトウサヤエンドウ用の種子は、Lake Valley Seed Co.,から、ロット番号1997 lotA2B, 5717, Arapahoe, Boulder Colorado, 80303として包装されて入手した。
【0235】
最初に、Aスキャン上に示された最大振幅に対する周波数を確定することにより、マメの新芽の共鳴音響周波数を確認した。可聴周波数発生器の周波数を変えることにより、マメの新芽の振幅は共鳴周波数で最大になった。広口ガラス容器中で7つのサトウサヤエンドウを室温水で半分被い、カウンター上に放置して新芽にした。6日後、新芽を以下のように試験した:
Tb 1000およびA〜Dデータ獲得カードを含有するMatec超音波検査系を用いた。Tb 1000設定を以下に示す:
ゲイン 0〜20 dB
トリガ 内部+
電圧 高
整流 なし
LPフィルター 変動
HPフィルター 変動
出力レベル 100%
反復速度 10,000 msec
パルス幅 2.00 μsec
周波数 0.5〜20 MHz
モード 通し透過
A−D設定:
データ オン
遅延 なし
範囲 12 μsec
信号路 RF
電圧範囲 1 V
チャンネル A/AC
トリガ 外部+
閾値 1
試料速度 100 MHz
Vid.フィルター 1.7 μsec
DACオフセット 1945
【0236】
実験に使用した変換器としては、Matec 1.0 MHz、2.25 MHz、5.0 MHzおよび10.0 MHzが挙げられる(すべて直径0.5インチ)。計算が、水中の音の速さ(1,500 m/s)および新芽の直径(1〜2 mmまたは0.001〜0.002 m)を基礎にして、新芽の直径を横切る共鳴周波数は低MHz範囲にあるべきということを示したため、これらの周波数を最初に選択した:
速度=周波数 x 波長
周波数=速度÷波長=1,500 m/s÷0.001 m=1.5 MHz
新芽#1を各半分のマメから切り出して、2つの2.25 MHz変換器の間に置いて、EKGゲルの薄い皮膜と結合させた。Tb 1000を0.005 MHzの走査インクレメント上に固定し、その系で利用可能な最低(50 KHz)周波数から最高(20 MHz)まで走査した。振幅の変動は、この周波数スウィーピング工程中に観察され、低MHz領域を最高振幅領域として迅速に同定した。さらなる周波数スウィーピングにより、1.7 MHzでの最大振幅が明示された。
【0237】
被験新芽#2および#3に関して、同一手順を実施した。被験新芽#2は未だマメの半分にくっついており、1.64 MHzの共鳴周波数を全構造から検出したが、しかし、マメ半分による音響場減衰のために、ゲインは増大されねばならなかった。新芽#3は#1のように単離新芽で、1.78 MHzの共鳴周波数を明示した。
【0238】
1.0 MHz変換器を用いて同一手順を反復し、同様の結果を得た。したがって、4〜5日齢サトウサヤエンドウ新芽に関する音響共鳴周波数は1.7 MHz±0.1 MHzであると結論づけた。多細胞生物物質に関する共鳴周波数を首尾良く同定したら、次の工程は、この周波数での音響場の適用から毀損および/または増大を示すことであった。
【0239】
音響共鳴周波数での異なるパワーレベル、または電圧および曝露の長さを用いて、多数の発芽試験を実施した。
【0240】
(発芽#1)
音響共鳴周波数の確定に際して、Matec 1.0 MHz変換器を、下記以外は前記と同一設定のTb 1000系とともに用いた:
周波数 1.7 MHz
電圧 高
反復速度 10 msec
パルス幅 2μsec
通しモード
2つの小プラスチック皿を用意し、その皿の底に単一層の滅菌コットンボールを敷いて、7粒のサトウサヤエンドウを載せ、蒸留水を充填して、マメの種子を半分浸した。1つの皿のマメ種子を対照とした。1.0 MHz変換器を環スタンドクランプにしっかり留めて、変換器の面を皿の中央に下げた。変換器の音響場をさらに中央に下げた。1日目に音響場を開始し、その領域の頻繁なストームのために、次の72時間に数回遮断した。試験の最初の48時間中、変換器を操作したのは約18時間に過ぎなかった。
【0241】
5日目に実験を終結した。7つの音響マメ種子はすべて新芽を出したが、一方、対照マメ種子のうち新芽を出したのは5つだけであった。黒土のいくつかのスポットが対照皿中に認められた。根新芽の比較から、音響新芽は対照新芽の2倍の長さであることが明示された(2.9 cm対1.6 cm)。変換器をしっかり留め付けたこと、音響場の頻繁且つ反復的中断、そして対照皿中の汚染土のために、これらの結果の解釈は曖昧であった。したがって、トレイの底全体にできあがった変換器を有する試験トレイを構築した。
【0242】
(発芽#2)
この発芽には、発芽#1で用いたのと同様の音響装置および構成を用いた。1.0 MHz変換器を環スタンドクランプに緩く留めて、変換器の面を大型プラスチック皿中に下げた。信号発信器に接続されていない第二の1.0 MHz変換器を大型対照皿中に下げた。中断は頻繁でなかった。
【0243】
7日目に実験を終結した。対照皿では、79%が新芽を出し、平均根新芽長は3.95 cm(n=81)であった。音響皿では、69%だけが新芽を出し、平均根新芽長は3.12 cm(n=80)であった。高電圧出力でのこの周波数は、マメの出芽および成長に及ぼす毀損作用を実証した、と結論づけられた。
【0244】
(発芽#3)
1 MHz変換器を2つの皿の底に設置し、これを、ゴムシールに穴を開け、直径0.5インチの変換器を収容することにより修正した新構成を実行した。変換器を、皿の底面全体に上に向けて置いた。各皿を用意し、その底に単一層に滅菌コットンを薄く敷いた。50粒のサトウサヤエンドウを皿に載せ、水を半分まで充填した。信号発信器に接続されていない音響皿として、対照皿を的確に調製した。1日目に音響場を開始し、発芽#1で用いた前記の設定であったが、但し、パルス幅を発芽#1で用いたパルス幅の約10倍の19.98 μsecに増大した。それは、実験#2の場合の出力の10倍でもあった。中断は頻繁でなかった。
【0245】
7日目に試験を終結した。対照皿では、82%が新芽を出し、平均根新芽長は発芽#2と同様であった。音響皿では、72%だけが新芽を出し、平均根新芽長は発芽#2と同様であった。このデータは、高電圧レベルでの1.7 MHzという周波数が、マメの出芽および成長に及ぼす毀損作用を実証したことを確証した。
【0246】
(発芽#4)
下記以外は、発芽#3で開示したのと同様の構成を用いた:
電圧 低
反復速度 2μsec
パルス幅 0.3μsec(これは1つの音の波長を生じるよう調整された)
この発芽の結果は、対照皿の84%だけが新芽を出したが、一方、音響皿では、90%が発芽した。音響マメの平均根新芽長は対照マメより24%長かった。この周波数および低パワー音響場はマメの出芽および成長に増大作用を及ぼす、と結論づけられた。
【0247】
(発芽#5)
発芽#4で開示したのと同様の構成および実験を反復して、同様の結果を得た。対照皿では、84%が新芽を出し、一方、音響皿では、96%が発芽した。音響マメの平均根新芽長は対照マメより30%長かった(3.26 cm対2.49 cm)。低パワーでの音響共鳴周波数はマメの成長に増大作用を及ぼすことが確証された。
【0248】
表3に示した前記の5つの発芽試験の結果は、音響共鳴エネルギーが、曝露の長さおよび曝露のパワー強度によって、毀損および増大作用の両方を有し得る、ということを確証した。さらに、発芽#1で変換器をしっかり留めたことは、変換器からのパワー出力を弱め且つ減衰して、低パワー作用を模倣したに違いないと結論づけられた。
【0249】
【表6】
【0250】
(発芽#6)
底に音響変換器を装備した円形プラスチックボウルの底に滅菌コットンを敷いて、発芽トレイを調製した。75粒のマメ(サトウサヤエンドウ、Lake Valleyロット番号A2B 1997)を各トレイに載せて、必要な場合は蒸留水を付加した。パルス幅2μsecで10 msecの反復速度を有するMatec 1.0 MHz変換器を用いて3日間、音響場をマメの1つの群に送達した。次に、底に排水用の開口部を有する、植物成長媒質を充填した直径6インチのテーパー黒色プラスチックポットにマメを移した。3粒のマメを各容器に植えた。
【0251】
1000ワットグロー光を用いて、屋内でマメを栽培した。マメは成長して成熟期になり、マメの鞘を有する植物に育った。これを測定し、計量した。表4は、成熟マメ植物の全体的成長パターンに関する情報を提供する。
【0252】
【表7】
【0253】
(結論)−音響処理マメは、マメの重量および容量が約20%大きかった。植物体当たりのマメの重量は、2つの群間で同一であった。それゆえ、音響処理は、発芽を増大することにより、作物収量に間接的に影響を及ぼした。最初の3日間の音響処理は発芽のみに影響を及ぼしたが、音響場が中断された後のその後の成長および作物収量には影響を及ぼさなかった。
【0254】
(発芽#7)
1日目.115粒/トレイのマメを用いて、前記の発芽#6と同様に、発芽トレイ(2)を調製した。音響変換器を装備したトレイはなかった。この実験では、20フィートアンテナおよびE場発信器を用いて、遮蔽室中での曝露により送達される音響−EM場により、調製トレイの1つに含入されるマメに音響共鳴を誘導した。1.7 MHzの周波数でのEMエネルギーを、8.5 volt/mのパワーで連続的に適用した。対照マメを含有するトレイを、音響−EM場への曝露を伴わない第二遮蔽室中に保持した。
【0255】
3〜11日目の、音響−EM場に曝露したマメは新芽を出したが、一方、対照マメで新芽を出したのは5つだけであった。音響−EM曝露マメは、対照マメのほぼ2倍の長さであった。
【0256】
6〜45日目の、音響−EM場に曝露されたマメは新芽を出したが、一方、対照群で新芽を出したのは35粒だけであった。
【0257】
10〜61日目の、音響−EM場に曝露されたマメは新芽を出したが、一方、対照群で新芽を出したのは45粒だけであった。曝露音響−EM場群に関する葉新芽の平均長は3.3 cmであったが、一方、対照群の平均長は2.7 cmに過ぎなかった。
【0258】
結果:音響−EM特徴の適用は、マメの発芽および成長率を増大した。
【0259】
例11
無機構造の検出および同定
本発明の方法およびシステムは、種々の種類の無機物質または構造の定性的および定量的の両方の現場同定、金属アロイ中の不純物の識別、兵器および武器、例えばプラスチック爆薬等の識別といった広範な種々の有用な用途を有する。
【0260】
目的物または構造の共鳴周波数にぴったり適合する周波数で音響エネルギーを適用し、それにより独特の音響および/または音響−EM特徴の検出のためにそこに音響共鳴を誘導することにより、検出および同定を成し遂げ得る。当業者に既知の方法を用いて、あらゆる媒質を介して音響エネルギーを発生および伝送し得るあらゆる装置を用いて、開示し、上記で図1に示したような装置を含めた本発明により利用される共鳴音響および/または音響−EM特徴を発生し得る。
【0261】
当業者に既知の方法を用いて、あらゆる媒質を介して音響エネルギーおよび/またはEMエネルギーを検出し、分析し得るあらゆる装置を用いて、開示し、上記で図2に示したような本発明により利用される共鳴音響および/または音響−EM特徴を検出し得る。
【0262】
図12に示した系は、異なる無機物質または構造の共鳴音響周波数を確定する場合に利用される必要な構成成分の概観を示す。特定の周波数ならびに音響および/または音響−EM特徴の予めの決定は、後の比較のためのデータベースを提供する。
【0263】
図35A&Bでは、ブロック図は、共鳴音響エネルギーがスペクトル分析法のために音響−EMエネルギーと組合されて、同様のまたは同様でない対象を同定し、検出し、そして区別し得る装置構成を示す。これは、音響エネルギー、電磁エネルギーまたは両方の使用により、対象物を刺激して共鳴させることにより達成し得る。共鳴音響周波数を試料に適用すると、音響共鳴が誘導されて、独特の電磁エネルギーパターンが生じる。それが共鳴音響−EM特徴である。共鳴−EM特徴を生じるメカニズムとしては、圧電性、音響電気性、磁気音響性および/または内部エネルギー散逸が挙げられるが、これらに限定されない。共鳴音響−EM特徴は電磁特性および/または場の表現であり、その例としては直流、交流、磁場、伝場、EM線および/または音響サイクロトロン共鳴が挙げられるが、これらに限定されない。
【0264】
次に、その結果生じた音響、電磁または併合エネルギースペクトルに関して分析を実施する。次に、対象物の独特の音響および/または音響−EM特徴を説明するために、音響および電磁周波数および/または特性の分布を特性化する。
【0265】
本発明は、定期航空空港および輸送機へのプラスチック爆薬またはプラスチック武器の輸送に関する問題が安全性監視の増大を生じつつある空港の場合のようなセキュリティシステムに利用され得る。金属探知器は、ほとんどの場合、ポリマーは装置の磁場に応答しないために、ポリマーを検出できない。同様に、その他の代替物、例えばX線装置または訓練された動物は、ポリマーを他のものと区別できず、したがっていくつかの爆薬は検出が困難である。
【0266】
特定のプラスチック爆薬を特性化する独特の音響特徴および/または音響−EM特徴を識別する検出装置が使用され得る。
【0267】
プラスチック爆薬の音響共鳴周波数を確定するためには、爆薬を含有するプラスチックの自然周波数が先ず確定されねばならない。音響共鳴を誘導するために必要とされる周波数を次に確定する共鳴周波数を確定するための方法は、以下の工程を含む。Teledyne Electronic Technologyから入手可能なサファイア基材上の薄膜酸化亜鉛の薄片を包含する2つの変換器の間に、既知量の爆薬物質を有するプラスチックの試料を置く。接着剤として作用し、エネルギーの移動も可能にするカップリング媒質であるフェニルサリチレートにより、試料を変換器に接着させる。一方の変換器を、インピーダンス整合装置であるTeledyne Microstrip Matching Networkに接続する。インピーダンス整合装置を順次Hewlett-Packard Model 6286A電源に接続する。他方の変換器もTeledyne Microstrip Matching Networkに接続し、これを次にB & K Precision Model 2625スペクトル分析器に接続する。変換器から伝送されたプラスチック被験試料の音響信号を、スペクトル分析器の正のリードに送る。試験流体、ホルダー、変換器物質からの既知の音響信号は対照として役立ち、スペクトル分析器の負のリードに送られる。この構成を用いて、対照特徴を相殺すると、表示された残りの共鳴音響特徴はプラスチック爆薬からのものであり、定量的結果及び独特の特徴が得られる。
【0268】
電源を入れ、一連の電圧を変換器に伝送する。電気信号は変換器物質中に機械的応力を誘導して、電源により送達される電圧に対応する特定の周波数範囲で音響エネルギーを生じる。変換器からの電気出力を、スペクトル分析器により読取り可能フォーマットに転換する。この方法により、共鳴周波数、次に共鳴音響特徴が確定され得る。電源からの電圧を変えることにより、伝送音響波の振幅が異なる適用電圧に対して反応する。信号の振幅が最大に達すると、プラスチック試料は音響共鳴にあり、この状態を誘導する周波数は実質的に共鳴周波数に対応する。この時点で、共鳴音響および/または音響−EM特徴が確定され得る。
【0269】
プラスチック爆薬の共鳴音響特徴が確定されれば、次にいくつかの異なる種類のプラスチックに関して試験を実施し得る。爆薬を含有するものもあり、含有しないものもある。再び、各試料を前記と同一構成に置く。爆薬を含有する試料中に音響共鳴を誘導するために予め確定された周波数範囲は、対応する電圧を用いて電源から投入する。試料を別々に検査すると、爆薬を含有する試料のみが予定音響共鳴周波数で最大振幅に達する。この方法を用いて、ある種類の爆薬を含有するプラスチックに関する独特の特徴を確定し得る。
【0270】
定性的共鳴音響特徴が確定されたならば、識別モードで、その後の比較分析のためにそれをマイクロプロセッサーまたはその他の記憶保存装置中に保存し得る。さらに、定性的共鳴音響および/または音響−EMエネルギー特徴が確定されたならば、既知濃度のプラスチック爆薬の試料から共鳴音響特徴振幅を比較することにより、定量的結果を確定し得る。高濃度のプラスチック爆薬を有する試料は、より高い共鳴音響特徴振幅を有する。順次、未知濃度の試料中の負荷の査定を可能にする比率が得られ得る。
【0271】
スーツケース、パッケージおよび人々を空港ターミナルで走査して、プラスチック爆薬がターミナルまたは輸送機中に運搬されているか否かを確定し得る。一方の変換器は音響信号を発生して、広帯域の標的周波数全体をスウィープし、他方の変換器は伝送音響信号を検出する、2つの変換器の間にスーツケースを置く。スーツケースから伝送される音響信号を、信号分析器の正のリードに送る。革、紙、織物、プラスチックおよび乗客の手荷物または機内持ち込みパッケージ中に通常含入されるその他の物質に関する既知の音響共鳴特徴を、信号分析器の負のリードに送る。このようにして、対照特徴を、正のリード試料中のそれらの構成成分共鳴周波数から相殺する。プラスチック爆薬の音響共鳴特徴に関して、残りの周波数を分析する。
【0272】
別の実施態様では、プラスチック爆薬の音響−EM特徴の電磁エネルギーパターンをスーツケースに伝送する。音響変換器が、その物質が音響共鳴に誘導されたことを示しているスーツケース内からの音響信号を欠く場合には、検出は肯定される。音響信号の振幅は、スーツケース中の爆薬の相対的サイズまたは量に関する付加的情報を提供し得る。
【0273】
さらに別の実施態様では、プラスチック爆薬の音響−EM特徴がスーツケースに伝送される。スーツケース内の内容物の音響エネルギーおよび音響−EM特性はともに、プラスチック爆薬を検出および同定するために測定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的構造の共鳴周波数またはその近くの周波数を有する音響エネルギーを生物学的構造に照射して、そこに音響共鳴を誘起することを包含する方法を特徴とするその機能に影響を及ぼすための生物学的構造のターゲッティング方法。
【請求項2】
音響共鳴を引き起こされた後に生物学的構造の音響特徴を決定する工程をさらに包含することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
生物学的構造が音響共鳴を引き起こされた後に生物学的構造の音響特徴および音響−EM特徴を決定する工程をさらに包含することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】
特定の生物学的構造を、該生物学的構造の音響共鳴における既定の音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーで照射することをさらに包含することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】
前記音響エネルギーが生物学的構造の機能に影響を及ぼすのに十分なパワー強度で適用されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項6】
前記機能が毀損および増大から成る群から選択されることを特徴とする請求項5の方法。
【請求項7】
近くの構造に作用せずに特性化されたその機能に影響を及ぼすための特定の生物学的特徴のターゲッティング方法であって、
a)特定の生物学的構造の少なくとも1つの共鳴音響周波数を決定し、そして
b)そこに音響共鳴を誘起するための生物学的構造の共鳴周波数を含めた周波数を有する音響エネルギーで生物学的構造を照射し、音響エネルギーが生物学的構造の機能に影響を及ぼすのに十分な出力レベルで適用されることを包含する工程を特徴とする方法。
【請求項8】
生物学的構造の機能が増大されることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項9】
生物学的構造の機能が毀損されることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項10】
生物学的構造がウイルス、細菌、真菌、組織塊、虫、節足動物、植物、動物および骨から成る群から選択されることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項11】
生物学的構造を特異的にターゲッティングし、そこに音響共鳴を誘起することによりその機能に影響を及ぼすための方法であって、
a)生物学的構造の少なくとも1つの共鳴音響周波数を適用し、および/または生物学的構造の既定の電磁エネルギーパターンと等価の電磁エネルギーを導入して、そして
b)標的生物学的構造内に音響共鳴を誘起し、そしてそこで機能に影響を及ぼすためのパワー強度レベルで(a)および/または(b)を適用することを包含する工程を特徴とする方法。
【請求項12】
生物学的構造の機能が増大されることを特徴とする請求項11の方法。
【請求項13】
生物学的構造の機能が毀損されることを特徴とする請求項11の方法。
【請求項14】
電磁エネルギーパターンが直流、交流、電場、磁場および電磁波から選択される電磁特性として表現されることを特徴とする請求項11の方法。
【請求項15】
交流の周波数が構造に適用されることを特徴とする請求項14の方法。
【請求項16】
生物学的構造に電磁エネルギーを適用してそこに音響共鳴を誘起し、その機能に影響を及ぼすことを包含する工程を特徴とするその機能に影響を及ぼすための生物学的構造のターゲッティング方法。
【請求項17】
電磁エネルギーが生物学的構造の電磁エネルギーパターンと等価であるかおよび/または前記構造の少なくとも1つの共鳴音響周波数と等価であることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項18】
電磁エネルギーが生物学的構造の機能に影響を及ぼすのに十分な出力レベルで適用され、前記機能が増大または毀損されることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項19】
生物学的構造の音響−EM特徴を決定することをさらに包含することを特徴とする請求項17の方法。
【請求項20】
生物学的構造の音響−EM特徴を予め決定された参照音響−EM特徴と比較することをさらに包含することを特徴とする請求項17の方法。
【請求項21】
生物学的構造の音響特徴を決定することをさらに包含することを特徴とする請求項16の方法。
【請求項22】
生物学的構造の音響特徴を予め決定された参照音響特徴と比較することをさらに包含することを特徴とする請求項16の方法。
【請求項23】
生物学的構造を検出しおよび/または同定するために生物学的構造の音響刺激を誘起する方法であって、以下の:
a)非共鳴周波数を有する音響エネルギーを生物学的構造に適用して、生物学的構造を刺激し、
b)音響エネルギーが前記構造と相互作用した後に前記構造からの電磁エネルギーを受信し、そして
c)刺激された生物学的構造の非共鳴電磁特徴を決定することを包含する工程を特徴とする方法。
【請求項24】
生物学的構造を検出しおよび/または同定するために生物学的構造の音響刺激を誘起するためのシステムであって、
a)非共鳴周波数を有する音響エネルギーを生物学的構造に適用して、生物学的構造を刺激するための手段、
b)音響エネルギーが前記構造と相互作用した後に前記構造からの電磁エネルギーを受信するための手段、そして
c)刺激された生物学的構造の非共鳴電磁特徴を決定するための手段を包含することを特徴とするシステム。
【請求項25】
無機または生物学的構造を検出しおよび/または同定するための方法であって、以下の:
a)前記構造に音響共鳴を誘起し、そして
b)前記構造の音響特徴を検出することを包含する工程を特徴とする方法。
【請求項26】
前記構造の現在決定される音響特徴を予め決定された音響特徴と比較することをさらに包含することを特徴とする請求項25の方法。
【請求項27】
標的構造中に音響共鳴を誘起することにより引き起こされるエネルギーの少なくとも1つの電磁特性を検出することにより前記構造の共鳴音響−EM特徴を検出することをさらに包含することを特徴とする請求項25の方法。
【請求項28】
前記構造の少なくとも1つの共鳴音響周波数を含めた音響エネルギー、前記構造の少なくとも1つの共鳴音響周波数と等価の電磁エネルギー、および前記構造の少なくとも1つの音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーからなる群から選択されるエネルギーの誘導により音響共鳴が誘起されることを特徴とする請求項25の方法。
【請求項29】
構造の共鳴音響特徴を決定することにより構造を同定するためのシステムであって、
a)構造中に音響共鳴を誘起するための手段、
b)構造の音響特徴を検出するための手段、および
c)構造の音響特徴を構造の参照音響特徴と比較するための手段を包含することを特徴とするシステム。
【請求項30】
標的構造の少なくとも1つの表出電磁特性を検出するための手段を包含する、音響共鳴における構造の音響−EMエネルギー特徴を検出することをさらに包含することを特徴とする請求項29のシステム。
【請求項31】
構造が無機および生物学的構造から成る群から選択されることを特徴とする請求項30のシステム。
【請求項32】
構造中に音響共鳴を誘起するための手段が信号発生システムおよび少なくとも1つの変換器を含むことを特徴とする請求項29のシステム。
【請求項33】
変換器の配置が容器の底面上、容器の壁、容器中、生物学的構造中の脈管内、生物学的構造の体外に、握り探針、圧電シート、遠隔ユニットおよびメス先端から成る群から選択されることを特徴とする請求項32のシステム。
【請求項34】
構造の音響特徴および/または音響−EM特徴を決定することにより構造を同定するためのシステムであって、
a)構造中に音響共鳴を誘起するための手段、
b)音響共鳴における構造の音響エネルギー特徴および/または音響−EMエネルギー特徴を検出するための手段を包含することを特徴とするシステム。
【請求項35】
生物学的構造に音響共鳴を誘起して機能に影響を及ぼすためのシステムであって、
a)音響信号を発生するための手段、
b)生物学的構造に音響信号を伝達するための手段、および
c)生物学的構造の機能に影響を及ぼすよう音響信号のパワーレベルを制御するための手段を包含することを特徴とするシステム。
【請求項36】
a)電磁信号を発生するための手段、
b)生物学的構造に電磁信号を伝達するための手段をさらに包含することを特徴とする請求項35のシステム。
【請求項37】
構造中の音響共鳴の誘起を測定するためのシステムであって、
a)音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーを発生するための手段、
b)構造に電磁エネルギーを伝達するための手段
c)電磁エネルギーが構造と相互作用した後に構造からの信号を受信するための手段、および d)構造中の音響共鳴の誘起を測定するための手段を包含することを特徴とするシステム。
【請求項38】
構造中の音響共鳴の誘起を測定するための方法であって、以下の:
a)構造に音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーを照射し、
b)電磁エネルギーが構造と相互作用した後に構造からの信号を受信し、そして
c)構造中の音響共鳴の誘起を測定する工程を包含することを特徴とする方法。
【請求項39】
生体変換器として作用する圧電性を有する生物学的構造の機能に影響を及ぼす方法であって、圧電性を有する生物学的構造に電磁エネルギーを適用し、電磁エネルギーが生体変換器内に音響共鳴を誘起するための生物学的構造の共鳴周波数を含む少なくとも1つの周波数を有し、当該エネルギーが生物学的構造の機能に影響を及ぼすのに十分な出力レベルで適用されることを特徴とする方法。
【請求項1】
生物学的構造の共鳴周波数またはその近くの周波数を有する音響エネルギーを生物学的構造に照射して、そこに音響共鳴を誘起することを包含する方法を特徴とするその機能に影響を及ぼすための生物学的構造のターゲッティング方法。
【請求項2】
音響共鳴を引き起こされた後に生物学的構造の音響特徴を決定する工程をさらに包含することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
生物学的構造が音響共鳴を引き起こされた後に生物学的構造の音響特徴および音響−EM特徴を決定する工程をさらに包含することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】
特定の生物学的構造を、該生物学的構造の音響共鳴における既定の音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーで照射することをさらに包含することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】
前記音響エネルギーが生物学的構造の機能に影響を及ぼすのに十分なパワー強度で適用されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項6】
前記機能が毀損および増大から成る群から選択されることを特徴とする請求項5の方法。
【請求項7】
近くの構造に作用せずに特性化されたその機能に影響を及ぼすための特定の生物学的特徴のターゲッティング方法であって、
a)特定の生物学的構造の少なくとも1つの共鳴音響周波数を決定し、そして
b)そこに音響共鳴を誘起するための生物学的構造の共鳴周波数を含めた周波数を有する音響エネルギーで生物学的構造を照射し、音響エネルギーが生物学的構造の機能に影響を及ぼすのに十分な出力レベルで適用されることを包含する工程を特徴とする方法。
【請求項8】
生物学的構造の機能が増大されることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項9】
生物学的構造の機能が毀損されることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項10】
生物学的構造がウイルス、細菌、真菌、組織塊、虫、節足動物、植物、動物および骨から成る群から選択されることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項11】
生物学的構造を特異的にターゲッティングし、そこに音響共鳴を誘起することによりその機能に影響を及ぼすための方法であって、
a)生物学的構造の少なくとも1つの共鳴音響周波数を適用し、および/または生物学的構造の既定の電磁エネルギーパターンと等価の電磁エネルギーを導入して、そして
b)標的生物学的構造内に音響共鳴を誘起し、そしてそこで機能に影響を及ぼすためのパワー強度レベルで(a)および/または(b)を適用することを包含する工程を特徴とする方法。
【請求項12】
生物学的構造の機能が増大されることを特徴とする請求項11の方法。
【請求項13】
生物学的構造の機能が毀損されることを特徴とする請求項11の方法。
【請求項14】
電磁エネルギーパターンが直流、交流、電場、磁場および電磁波から選択される電磁特性として表現されることを特徴とする請求項11の方法。
【請求項15】
交流の周波数が構造に適用されることを特徴とする請求項14の方法。
【請求項16】
生物学的構造に電磁エネルギーを適用してそこに音響共鳴を誘起し、その機能に影響を及ぼすことを包含する工程を特徴とするその機能に影響を及ぼすための生物学的構造のターゲッティング方法。
【請求項17】
電磁エネルギーが生物学的構造の電磁エネルギーパターンと等価であるかおよび/または前記構造の少なくとも1つの共鳴音響周波数と等価であることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項18】
電磁エネルギーが生物学的構造の機能に影響を及ぼすのに十分な出力レベルで適用され、前記機能が増大または毀損されることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項19】
生物学的構造の音響−EM特徴を決定することをさらに包含することを特徴とする請求項17の方法。
【請求項20】
生物学的構造の音響−EM特徴を予め決定された参照音響−EM特徴と比較することをさらに包含することを特徴とする請求項17の方法。
【請求項21】
生物学的構造の音響特徴を決定することをさらに包含することを特徴とする請求項16の方法。
【請求項22】
生物学的構造の音響特徴を予め決定された参照音響特徴と比較することをさらに包含することを特徴とする請求項16の方法。
【請求項23】
生物学的構造を検出しおよび/または同定するために生物学的構造の音響刺激を誘起する方法であって、以下の:
a)非共鳴周波数を有する音響エネルギーを生物学的構造に適用して、生物学的構造を刺激し、
b)音響エネルギーが前記構造と相互作用した後に前記構造からの電磁エネルギーを受信し、そして
c)刺激された生物学的構造の非共鳴電磁特徴を決定することを包含する工程を特徴とする方法。
【請求項24】
生物学的構造を検出しおよび/または同定するために生物学的構造の音響刺激を誘起するためのシステムであって、
a)非共鳴周波数を有する音響エネルギーを生物学的構造に適用して、生物学的構造を刺激するための手段、
b)音響エネルギーが前記構造と相互作用した後に前記構造からの電磁エネルギーを受信するための手段、そして
c)刺激された生物学的構造の非共鳴電磁特徴を決定するための手段を包含することを特徴とするシステム。
【請求項25】
無機または生物学的構造を検出しおよび/または同定するための方法であって、以下の:
a)前記構造に音響共鳴を誘起し、そして
b)前記構造の音響特徴を検出することを包含する工程を特徴とする方法。
【請求項26】
前記構造の現在決定される音響特徴を予め決定された音響特徴と比較することをさらに包含することを特徴とする請求項25の方法。
【請求項27】
標的構造中に音響共鳴を誘起することにより引き起こされるエネルギーの少なくとも1つの電磁特性を検出することにより前記構造の共鳴音響−EM特徴を検出することをさらに包含することを特徴とする請求項25の方法。
【請求項28】
前記構造の少なくとも1つの共鳴音響周波数を含めた音響エネルギー、前記構造の少なくとも1つの共鳴音響周波数と等価の電磁エネルギー、および前記構造の少なくとも1つの音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーからなる群から選択されるエネルギーの誘導により音響共鳴が誘起されることを特徴とする請求項25の方法。
【請求項29】
構造の共鳴音響特徴を決定することにより構造を同定するためのシステムであって、
a)構造中に音響共鳴を誘起するための手段、
b)構造の音響特徴を検出するための手段、および
c)構造の音響特徴を構造の参照音響特徴と比較するための手段を包含することを特徴とするシステム。
【請求項30】
標的構造の少なくとも1つの表出電磁特性を検出するための手段を包含する、音響共鳴における構造の音響−EMエネルギー特徴を検出することをさらに包含することを特徴とする請求項29のシステム。
【請求項31】
構造が無機および生物学的構造から成る群から選択されることを特徴とする請求項30のシステム。
【請求項32】
構造中に音響共鳴を誘起するための手段が信号発生システムおよび少なくとも1つの変換器を含むことを特徴とする請求項29のシステム。
【請求項33】
変換器の配置が容器の底面上、容器の壁、容器中、生物学的構造中の脈管内、生物学的構造の体外に、握り探針、圧電シート、遠隔ユニットおよびメス先端から成る群から選択されることを特徴とする請求項32のシステム。
【請求項34】
構造の音響特徴および/または音響−EM特徴を決定することにより構造を同定するためのシステムであって、
a)構造中に音響共鳴を誘起するための手段、
b)音響共鳴における構造の音響エネルギー特徴および/または音響−EMエネルギー特徴を検出するための手段を包含することを特徴とするシステム。
【請求項35】
生物学的構造に音響共鳴を誘起して機能に影響を及ぼすためのシステムであって、
a)音響信号を発生するための手段、
b)生物学的構造に音響信号を伝達するための手段、および
c)生物学的構造の機能に影響を及ぼすよう音響信号のパワーレベルを制御するための手段を包含することを特徴とするシステム。
【請求項36】
a)電磁信号を発生するための手段、
b)生物学的構造に電磁信号を伝達するための手段をさらに包含することを特徴とする請求項35のシステム。
【請求項37】
構造中の音響共鳴の誘起を測定するためのシステムであって、
a)音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーを発生するための手段、
b)構造に電磁エネルギーを伝達するための手段
c)電磁エネルギーが構造と相互作用した後に構造からの信号を受信するための手段、および d)構造中の音響共鳴の誘起を測定するための手段を包含することを特徴とするシステム。
【請求項38】
構造中の音響共鳴の誘起を測定するための方法であって、以下の:
a)構造に音響−EM特徴と等価の電磁エネルギーを照射し、
b)電磁エネルギーが構造と相互作用した後に構造からの信号を受信し、そして
c)構造中の音響共鳴の誘起を測定する工程を包含することを特徴とする方法。
【請求項39】
生体変換器として作用する圧電性を有する生物学的構造の機能に影響を及ぼす方法であって、圧電性を有する生物学的構造に電磁エネルギーを適用し、電磁エネルギーが生体変換器内に音響共鳴を誘起するための生物学的構造の共鳴周波数を含む少なくとも1つの周波数を有し、当該エネルギーが生物学的構造の機能に影響を及ぼすのに十分な出力レベルで適用されることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35A】
【図35B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35A】
【図35B】
【公開番号】特開2011−2463(P2011−2463A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−185446(P2010−185446)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【分割の表示】特願2000−569685(P2000−569685)の分割
【原出願日】平成11年9月10日(1999.9.10)
【出願人】(506271810)ジーアール インテレクチュアル リザーブ リミティド ライアビリティ カンパニー (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185446(P2010−185446)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【分割の表示】特願2000−569685(P2000−569685)の分割
【原出願日】平成11年9月10日(1999.9.10)
【出願人】(506271810)ジーアール インテレクチュアル リザーブ リミティド ライアビリティ カンパニー (8)
【Fターム(参考)】
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