説明

構造化されたシリコン電池アノード

電気化学エッチングおよびそれに続く不動態化剤処理での被覆によって、多孔質シリコンを製造する方法が提供される。被覆された多孔質シリコンは、アノードおよび電池を作成するために使用することができる。被覆された多孔質シリコンは、大量のリチウムと合金化し、少なくとも1000mAh/gの容量を有し、この性能を少なくとも60の充電/放電サイクルを通して保持する能力がある。具体的なpSi調合は、少なくとも60サイクルの間非常に高容量(3000mAh/g)を提供し、これはシリコンの理論値の80%である。第3のサイクル後のクーロン効率は、95〜99%である。最良の容量は、3400mAh/gを超え、最良のサイクル寿命は、240サイクルを超え、その容量およびサイクル寿命は、適用の必要に応じて変化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2009年10月30日に出願された米国仮出願第61/256,445号の優先権を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
該当なし
【0003】
マイクロフィッシュ付録の参照
該当なし
【0004】
技術分野
本発明は、多孔質シリコンの製造方法、および再充電可能な電池アノードとしてのその使用方法、ならびにそれを含む電池に関する。
【背景技術】
【0005】
リチウムイオン電池において、アノードは、電池が充電されるとき、リチウムイオンをカソードから取り込み、電池が放電されるとき、リチウムイオンをカソードに戻すように放出する。アノード材料の重要なパラメータの1つは、リチウムイオンを保持するその容量であるのは、これが電池が維持することができる充電量に直接影響を与えるからである。別の重要なパラメータは、サイクル性であり、これは材料が容量の低下または著しい損失なしにリチウムイオンを取り込み、放出することができる回数である。このパラメータは、電池の使用寿命に直接影響を与える。
【0006】
現在のところ、炭素系材料(たとえば、黒鉛)が、再充電可能な電池(参考文献1、2)内のアノード材料として利用されている。Liの炭素へのインターカレーションに対する理論的容量限界は、372mAh/gであり、これは完全に担持した材料LiCに対応する。しかし、実質的な限界は約300〜330mAh/gである。したがって、容量を増加させ、電気自動車のような用途が見込まれる、より高電力の要件を満たすために、より高い容量の新材料が必要である。これは、Si、Sn、Sb、Pb、Al、Zn、およびMg等々などの新材料および新しい形態(参考文献3)に向けて積極的な調査が行われている分野である。
【0007】
シリコンは、その非常に高い理論的リチウムイオン容量4200mAh/g(参考文献4)に起因して、次世代アノードのための有望材料として広く研究されており、4200mAh/gは完全に担持した材料Li4.4Siに対応する。しかし、シリコンは、シリコンからリチオ化シリコンへの容量変化に起因して、サイクル中に重大な膨張/縮小問題を有する。これは、結晶構造内の応力を大幅に増加させ、シリコンの微粉化を引き起こす。この微粉化によって、内部抵抗が増加し、容量がより低くなり、電池セルの故障が生じる。
【0008】
様々なシリコン構造およびシリコンベースの合成物は、リチオ化誘起応力を低減させ、シリコンの構造破壊を抑制するために検査されており、これはシリコンの構造破壊は、充電/放電サイクル(参考文献5〜11)中に持続可能性を損失し、容量保持を欠く主因と考えられている。シリコンまたはシリコンベースの材料の最適構造/組成物を見出すことは、電池アノード材料の研究分野における現在の課題である。
【0009】
研究者により取り入れられている一手法は、シリコンのナノ構造形成を検討することであり、シリコンのナノ構造形成は、性能低下により耐性を示すとの仮説が立てられている。他の手法は、シリコン粉末およびカーボンブラック(参考文献12〜15)からなるナノ複合材料を使用してきた。これらの研究は、微粒子シリコンまたは炭素被覆シリコンを使用する。これらの手法の多くは、シリコンナノ構造またはシリコン複合材を生成するために、高額な真空ベースの製造技法を必要とする。
【0010】
シリコンナノクラスタ(参考文献16)およびSi/黒鉛ナノ複合材料(参考文献17)の研究では、シリコン粉末を結合剤と比較して、サイクル寿命およびリチウム容量の向上を示した。サイクル性の向上は、ナノサイズSi粒子および炭素マトリクスによって保持された酸化シリコン相内でのそれらの均一分散に起因する。炭素マトリクスは、リチウムの挿入および抽出中に容量変化により、Si粒子の微粉化を効果的に抑制できる可能性がある。Si黒鉛複合材料は、シリコン粒子が黒鉛マトリクス内に均一に分布され、その結果それぞれのシリコン粒子が多数の黒鉛層によって完全に被覆されるので、シリコンナノクラスタより高い容量およびサイクル性を有する。
【0011】
シリコンナノワイヤ(NW)の最近の研究は、アノード材料(参考文献18〜21)としてシリコンの性能の向上を示し、SiNWは、他の形のシリコン(参考文献11)より高い容量を示すことが見出された。観察された充電、放電容量(参考文献18)は、シリコンの理論値の80%でほぼ一定に保持され、最大10サイクルまでほとんど減衰なく90%のクーロン効率を提供する。これは以前に報告された結果(参考文献22、23)より著しく良い。しかし、10サイクルを超える減衰応答は、報告されなかった。炭化シリコンナノワイヤ(参考文献21)を使用する他の実験は、炭素担体に起因してシリコンナノワイヤ(参考文献18)に比較して、リチウムイオン電池のサイクル安定性の増加を示す。炭素担体によって、構造または容積の変化をほとんど引き起こさないことが可能になるが、これは容量とのトレードオフである。
【0012】
シリコンナノ材料の別の例は、多孔質シリコン(「pSi」)であり、pSiは、再充電可能な電池(参考文献24、25)のための有望なアノードであることを示してきた。この研究では、充電容量は、電解液(これは、構造に起因するあらゆる表面積を無視する)に露出した、突起した電極表面積に挿入された全充電として定義される(μAh・cm−2で表す)。遺憾ながら、これらの群は、高容量および長いサイクル寿命の両方を備えたpSiベースのアノードを首尾よく調製できたことはまだない。リチウムイオンアノード材料としてのpSiに関するわずかな研究は、本発明の材料によって示された高性能を報告していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、高容量および長いサイクル寿命の両方を生成し有するために、費用効率がよい多孔質シリコンが、当技術分野に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
単語「a(1つの)」または「an(1つの)」の使用は、特許請求の範囲または本明細書における用語「comprising(備える/含む)」とともに使用される場合、文脈に特段の記載がない限り、1つまたは1つより多い数を意味する。用語「about(約)」は、計測方法が記されない場合は、表記された値プラスもしくはマイナス計測の許容誤差、またはプラスもしくはマイナス10%を意味する。特許請求の範囲において用語「or(または)」の使用は、選択肢のみを指すと明白に記されない限り、または代替が相互排他的である場合で無い限り、「and/or(および/または)」を意味するよう使用される。用語「comprise(備える/含む)」、「have(有する)」、「include(含む)」および「contain(包含する)」(ならびにそれらの変化形)は、オープンエンドの連結動詞であり、特許請求の範囲において使用される場合、他の要素の追加が可能である。
【0015】
孔幅および深さを本明細書で論じる場合、意味するものは、通常これらの計測において若干の変動性はあるので、平均の孔幅および深さである。
【0016】
本発明は、リチウムイオン電池のための被覆された多孔質シリコンを備えた改良されたアノード材料と、50サイクル以上の間、理論容量の80%である改良されたサイクル挙動および高容量のリチウムイオン電池と、リチウムイオン電池のためにアノードを製造する低コストの方法と、電池アノード材料を作成する再生可能な方法と、既存の電池より実質的に高い放電容量を有するリチウムイオン電池と、を提供する。
【0017】
本発明では、本発明者らは、バルクシリコンと比較して多孔質シリコンの質量を計算する方法も提供する。従来の研究(参考文献24〜26)によって使用された容量の定義は、電解液に露出した、突起した電極表面積に挿入された全充電である(μAhcm−2(マイクロアンペア時cm−2)で表される)。しかし、この定義は、孔内の電極表面積を無視する。本研究では、表面積の質量に挿入された全充電(mAhg−1(ミリアンペア時/グラム)で表される)として充電容量を計算する。
【0018】
本発明者らは、本明細書で酸またはプラズマのいずれかで処理することができる、電気化学エッチング処理による多孔質シリコンの製造方法を提供する。好ましい酸としては、フッ化水素酸(HF、通常約49%)、過フッ素酸、重フッ化アンモニウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素カリウム、酸性フッ化物ナトリウム、ハロゲン化水素酸硝酸、クロム酸、硫酸など、ならびにその混合物が挙げられる。特に好ましいのは、DMFなどの有機溶媒内のHF、ならびにエタノール内のHF、酢酸内のHFなどの酸である。好ましい高密度プラズマとしては、SF、CF、BCl、NF、XeFなど、ならびにその混合物のプラズマガスが挙げられる。エッチングされたシリコンは、その後、反復使用におけるシリコンの劣化を防ぐために出現する不動態化剤で被覆される。特に好ましい不動態化剤は、10〜100nm、好ましくは20〜50nmで塗布された金であるが、他の不動態化剤も有益である場合がある。
【0019】
結果としてもたらされる被覆された多孔質シリコン材料は、大量のリチウムイオンをインターカレーションする能力があり、この性能を大量の充電/放電サイクルを通して保持する。したがって、本発明者らは、アノード材料を著しく向上させることができ、改良されたサイクル挙動を達成し、少なくとも1000mAh/gの高容量で少なくとも50サイクル持続することができる。ある種のpSi形成により、本発明者らは、3400mAh/gまで高い容量および少なくとも200サイクルの寿命を達成することができた。さらに、これらの重要なパラメータのいずれかを、エッチング状態を修正することによって最大化する方法が示された。
【0020】
より具体的には、シリコンの平坦な形(ウェハ)または他の3Dの形が、孔の深さ5〜100μmで直径10nm〜10μmの孔を有する、多孔質シリコンを生成するための電流下でエッチングされ、次にシリコンは、少なくとも50サイクルの間少なくとも1000mAh/gの充電容量を有する被覆された多孔質シリコンを生成するために、少なくとも1nmの不動態化材料で被覆される、被覆された多孔質シリコンの作成方法が提供される。
【0021】
シリコンは、結晶シリコン、半結晶シリコン、非結晶シリコン、ドープシリコン、被覆されたシリコン、またはシリコンナノ粒子で被覆されることによって前処理されたシリコンとすることができる。電流は、1〜20mAの範囲、または40mAほどまで高いことがあり、30〜300分間印加される。電流は、連続または間欠とすることができ、両方が本明細書に例示されている。気孔率は、酸の濃度を低減することによって、および/または電流を増加させることによって、増加させることができ、孔幅および深さは、用途への必要に応じて、サイクル寿命または容量のどちらかを最適化するために本明細書に示されている。エッチングは、高密度プラズマガスまたは酸を使用することができ、好ましくはDMF内のHFを1:5〜1:35の範囲の割合で使用し、より好ましくは1:5〜1:25、または1:5〜1:10で使用する。好ましい実施形態では、被覆は、炭素または金であり、好ましくは少なくとも5nm、10、もしくは20nmの金であり、または金もしくは炭素および他の不動態化剤の組合せを使用することができる。好ましい実施形態では、容量は少なくとも3000mAh/gまたは3400mAh/gであり、寿命は少なくとも100サイクル、150サイクル、200サイクルまたは250サイクルである。
【0022】
上記のエッチングおよび被覆方法から作成されたアノードも、このようなアノードを含む電池のように提供される。被覆された多孔質シリコンは、圧搾されるか、または別法により砕いて粉末状にされ、マトリクス材料と結びつけられ、アノードを形成するために形付けることができる。代替的に、被覆された多孔質シリコンは、そのままて使用されるか、またはバルクシリコンからリフトオフして、任意選択的にドープされた任意選択的な転移層を有する任意選択的な基板上で使用することができる。基板は、銅、バルクシリコン、炭素、炭化ケイ素、炭素、黒鉛、炭素繊維、グラフェンシート、フラーレン、炭素ナノチューブ、グラフェンプレートレットなど、およびその組合せからなる群から選択される。このようなアノードをセパレータおよびカソード材料とともに備える再充電可能な電池は、コイル電池、パウチ電池、円柱電池、角柱電池または任意の他の電池構成に包装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】アノードとして多孔質シリコンを有するリチウムイオン電池の組立の概略図である。
【図2】異なるエッチング率における試料(a、b)A、試料B(c、d)、試料C(e、f)、および試料D(g、h)の多孔質シリコン試料の平面図(a、c、e、g)および断面図(b、d、f、h)である。
【図3A】60μA、0.09〜2VにおけるpSi電極(試料A)に対する電圧プロファイルを示す図である。
【図3B】pSi電極(試料A)に対する容量対サイクル数を示す図である。
【図4A】60μA、0.09〜1.5VにおけるpSi電極(試料B)に対する電圧プロファイルを示す図である。
【図4B】pSi電極(試料B)に対する容量対サイクル数を示す図である。
【図5A】100μA、0.11〜2VにおけるpSi電極(試料C)に対する電圧プロファイルを示す図である。
【図5B】pSi電極(試料C)に対する容量対サイクル数を示す図である。
【図6A】40μA、0.11〜2.5VにおけるpSi電極(試料D)に対する電圧プロファイルを示す図である。
【図6B】pSi電極(試料D)に対する容量対サイクル数を示す図である。
【図7】第15サイクル後のpSi構造(試料A)(a、b)、および第11サイクル後のpSi構造(試料B)(c、d)の、異なるサイクルにおける電気化学試験後のpSi構造の形態変化を示す図である。
【図8】(試料Ea、b)、試料F(c、d)の、同じ深さおよび異なる気孔率の多孔質シリコン試料の平面図(a、c)および断面図(b、d)である。
【図9】pSi電極(試料Eおよび試料F)に対する容量対サイクル数を示す図である。
【図10】試料G(a、b)の、異なる深さ、かつ同じ気孔率の多孔質シリコン試料の平面図(a)および断面図(b)である。
【図11】pSi電極(試料EおよびG)に対する容量対サイクル数を示す図である。
【図12】試料H(a、b)の、より広い気孔を有する多孔質シリコンの平面図(a)および断面図(b)である。
【図13】0.095〜1.5V、100μAおよび200μA(試料H)における、pSi電極充電および放電の容量対サイクル数を示す図である。
【図14】200μAでpSi構造(試料H)充電および放電230サイクル後(a、b)、ならびに100μAでpSi構造の同じ試料の充電および放電90サイクル後(c、d)の、異なるサイクルで電気化学試験後のpSi構造の形態変化を示す図である。
【図15】試料I(a、b)の、エッチング前にSiNPで被覆されたシリコンウェハを伴う多孔質シリコンの平面図(a)および断面図(b)である。
【図16】0.11〜2V、100μA、150μAおよび200μA(試料I)における、pSi電極充電および放電の容量対サイクル数を示す図である。
【図17】試料I(a、b)の、170サイクル後の、電気化学試験後のpSi構造の形態変化を示す図である。
【図18】リフトオフした多孔質シリコンの平面図(a)および背面図(b)である。
【図19】試料J(a、b)の、より深い孔を有する多孔質シリコンの平面図(a)および断面図(b)である。
【図20】0.09〜1.5V、300μAおよび500μA(試料J)における、pSi電極充電および放電の容量対サイクル数を示す図である。
【図21】試料J(a、b)の、170サイクル後、電気化学試験後のpSi構造の形態変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の実施例は、例示のみであり、本発明の様々な実施形態の限定を意図するものではない。
【0025】
実施例1
すべての実験に対して、Siltronix(商標)およびUniversity(商標)ウェハからの最高級、ボロンドープ、p型および片側研磨シリコンウェハが使用された。すべてのウェハは、275±25ミクロン厚であり、表面配向(100)で14〜22Ωcmから10〜30Ωcmまでの抵抗率を有していた。
【0026】
Teflon(商標)でできている標準電気化学セル内で、水性フッ化水素酸(HF)電解質内の結晶シリコンをエッチングすることによって、多孔質シリコン(pSi)を生成した。Viton(商標)Oリングを、セルを密封するために使用した。ウェハを、アルミニウム板でガスケットに押し付けた。ワイヤ形白金を、対電極として溶液内に浸した。すべてのエッチングは、Agilent(商標)E3612A直流電源によって提供される適切な電流で、一定の電流条件の下で実行された。ウェハの研磨されていない側は、アルミニウムの裏板への接触抵抗を低減するために、アルミニウムで被覆された。
【0027】
ここに報告されたすべての結果に対して、エッチングは、ジメチルホルムアミド(DMF)および49%のHF溶液を異なる容積比で使用して実行された。孔径、深さおよび間隔の制御は、電流密度、エッチング時間およびウェハ抵抗などのエッチング条件の変化を通して完全に達成された。pSi構造が処理状態に非常に敏感であるので、様々なエッチングパラメータの注意深い制御が必要とされる。DMFエッチングの信頼度の確立後、40を超える試料が、異なるエッチング条件を使用して生成された。4組のエッチング条件を表(1)に示す。
【表1】

【0028】
エッチング後、エッチング溶液および副産物を取り除くために、ウェハをメタノールと水ですすいだ。表面の酸化を防ぐために、Eビーム蒸着を介してウェハを20nmの金被覆で被覆した。
【0029】
三電極電気化学電池(Hosen Test(商標)電池、日本の宝泉株式会社(Hohsen(商標)Corp.))をすべての電気化学計測に使用した。多孔質シリコンを作用電極として使用し、リチウム箔を対電極として使用した。多孔質シリコンの裏側をアルミニウムまたは銅で被覆したが、銅が好ましかった。ガラス繊維をセパレータとして使用し、電解液で湿した。電解液は、1:1(w/w)の比率のエチレン・カーボネートと炭酸ジエチル(Ferro(商標) Corporation)中の1.0MのLiPFであった。
【0030】
すべてのセルは、アルゴンが充填されたグローブボックス内に作成された。すべての実験は、Arbin Instruments(商標)BT2000を使用して実行された。様々なpSi試料をLi/Li+に対して0.09〜1.5Vで、また異なる電流密度の他の電圧でサイクルした。
【0031】
pSi層の気孔率および厚さは、数ある中でもpSiを特徴付ける(参考文献27)最も重要なパラメータの間であった。気孔率は、pSi層内の隙間の割合として定義され、重量測定によって容易に決定することができる。Siltronix(商標)およびUniversity(商標)ウェハを、まず陽極酸化前(m)、次いで陽極酸化直後(m)、最後に全多孔質シリコンの1モルのNaOH水溶液内での溶解後(m)に計量した。気孔率は、次の方程式によって単純に得られる。
【数1】

【0032】
計測された質量から、以下の式に従って層の厚さを計測することも可能である。
【数2】

【数3】

【0033】
また、厚さは、走査電子顕微鏡(SEM)によっても直接測定もできる。式(3)で、dはバルクシリコンの密度であり、Sは陽極酸化中にHFに露出されるウェハ面積である。多孔質の厚さ、バルクシリコンの表面積および密度がわかると、多孔質領域の質量は式(3)を使用して計算することができる。
【0034】
多孔質シリコンは、図1に示されるように試験電池に組み込むことによって、可逆充電性能に対して研究された。表1に列記された異なる条件下で、電気化学エッチング処理によって生成された、いくつかのpSi試料の平面図および断面図を図2に示した。pSiの物理的構造は、エッチング条件に依存した。孔の深さは、印加された電流および時間とともに増加した。気孔率は、HFの濃度が低減し、かつ/または電流が増加することによって増加した。孔は、直径10nm〜10μm、孔の深さ2〜100μm、好ましくは5〜15μmで変化する可能性があり、孔は電気化学試験中は電解液で充填される。
【0035】
図3aは、図2aおよび図2bに平面図および断面図を示したpSi電極(試料A)の電圧プロフィール(0.09〜2V、60μAの充電速度)を示す。孔の深さは、3.52μm(アスペクト比=孔の深さ/径=3.52)であった。pSi電極の表面積は、0.5cmであった。式3で計算されたpSiの質量は、0.00041gであった。観察された電圧プロフィールは、最初の充電中に長く平坦なプラトー状であり、前のSi研究と一致し、その間結晶SiはLiと反応して、非晶形LixSi(参考文献17、28〜31)を形成した。図3bは、図3aから導出された、15サイクルの間の充電および放電容量を示す。第1のサイクルの間の比充電容量は、2800mAh/gであり、第15サイクルで480mAh/gに低下した。これは黒鉛の容量より依然として大きい。
【0036】
pSi電極の高容量および良好なサイクル安定性を理解するために、Li挿入中の構造の形態変化が研究された。図7a、図7bは、15サイクル後のpSiの平面図および断面図を示す。pSiを15サイクルの間充電した後、pSi電極の多孔質構造は、チャネル壁の激しい変形にもかかわらず、15サイクル後に基本的に同一のままであることが認められた。このpSi材料に対して、(図1に示されたように、銅ではなく)アルミニウムが電流コレクタとして使用されたことに留意されたい。電解液によるアルミニウムの腐食は、他者にも観察され(参考文献11)、電池性能に重大な影響を及ぼし、サイクル能力および高い速度性能を低下させる。したがって、アルミニウムの使用によって、最初のサイクルで不可逆な容量の損失がもたらされたかもしれない。
【0037】
図4aは、pSi電極(試料B)の電圧プロフィールが、HF:DMFの比率が8:100から10:100に増加したように(図2cおよび図2d)、HFおよびDMFのより低量で5cmのエッチングセル内に7mAのより高い電流で生成されたことを示す。孔は、より深く、7.5μmで、直径は500nm〜1.5μmであった。電池内のpSiアノードの表面積および質量は、0.4cmおよび0.000699gであった。この電池は、Siの理論容量の40%まで充電され、充電/放電曲線は60μA、0.09〜1.5Vで観測された。第11サイクルを通した容量は、約1400mAh/gであった(図4b)。11サイクルの間充電した後、孔は損傷を受けていないことが見出された(図7c、図7d)。このアノードの試験に対して、アルミニウムも、電流コレクタ材料として使用された。11サイクル後、アルミニウムは電解液によって完全に腐食し、電池の故障を引き起こした。
【0038】
図5aは、pSiの電圧プロフィールが、より長いエッチング時間で5cmのエッチングセル内に5mAのより低い電流におけることを除いて(図2eおよび図2f)、試料Bのように生成されたことを示す。この試料Cの孔は、6.59μmとわずかに浅かった。pSiアノードの表面積および質量は、0.64cmおよび0.0009827gであると判定された。この試験電池では、銅が電流コレクタ材料として使用された。充電/放電曲線は、100μA、0.11〜2Vにおいて観測された。前回の例示からの劇的な変化は、充電容量が第5サイクルまで各サイクルで増加し、約3400mAh/gの一定値に達した。これは理論容量の80%である(図5b)。したがって、この例示は、被覆された多孔質シリコンを有する長持ちする電池が可能であることを証明する。
【0039】
容量およびサイクル安定性におけるこの向上は、安定した銅の電流コレクタ材料に変更後のみに観察可能である、pSiナノ構造の独自の特徴に反映される場合がある。発明者らは、その独特な容量の増加は、サイクル毎に形成された非結晶LiSiの増加量によって生じるものであり、Liが、pSiの80%が可逆的なLi蓄電池に参画するまで、量が増加している際にpSi構造の一部に接近することを示唆すると推測する。この高容量は、図5bに示されたように、95〜99%の高いクーロン効率で少なくとも76サイクルまで維持される。
【0040】
図6aは、pSiの電圧プロフィールが、200秒のわずかにより短いエッチング時間を除いて(図2gおよび図2h)、試料Bのように生成されたことを示す。孔は、試料Bの深さに比較して同様の深さ(7.4μm)であった。pSi電極の表面積および質量は、0.4cmおよび0.00068968gであった。充電/放電曲線(40μA、0.11〜2.5V)は、このpSi形式が第4サイクルで過充電され、その後充電容量はさらなるサイクルで減少した(図6b)を示す。この低下は、電池の過充電で生じた。
【0041】
実施例2
多孔質シリコン(pSi)の気孔率、厚さ、孔径および微細構造は、陽極酸化状態に依存する。固定電流密度に対して、気孔率は、HF濃度が増加すると減少する。さらに、HF濃度が増加すると、平均深さは増加し、気孔率は減少する(表2)。HF濃度および電流密度を固定させると、気孔率は、厚さとともに増加する(表3)。電流密度が増加すると、孔の深さおよび気孔率が増加する(表4)。これは、HF内の多孔質シリコン層の追加の化学溶解によって起きる。多孔質シリコン層の厚さは、電流密度が印加されるとき、すなわち陽極酸化時に判定される。多孔質シリコンの形成処理の別の利点は、多孔質層が一旦形成されると、それ以後の電流密度が変化の(参考文献27)間、多孔質層に対してそれ以上の電気化学エッチングは起きない。
【表2】

【表3】

【表4】

【0042】
実施例3
気孔率が異なるが平均の孔の深さが同じ、pSi構造のサイクル寿命および比容量を比較した。多孔質シリコン(pSi)の同じ深さおよび異なる気孔率を生成するためのエッチングパラメータが(表5)に示されている。同じ深さおよび異なる気孔率を有するpSi試料の平面図および断面図を図8に示した。
【表5】

【0043】
図9は、異なる気孔率および同じ平均深さの試料Eおよび試料Fに対する比容量対サイクルを示す。電池は、200μAの速度で、0.09〜1.5Vで充電および放電される。試料の平均の孔の深さは5.6および5.49μmである。式3で計算されたpSiの質量は0.00098gであった。試料Fに対する比容量ならびにサイクル寿命は、試料Eに比較してより良好であったことがわかる。
【0044】
ほぼ同じ気孔率だが異なる平均の孔の深さであるpSi構造のサイクル寿命および比容量を比較した。多孔質シリコン(pSi)の同じ気孔率および異なる深さを生成するためのエッチングパラメータが(表6)に示されている。同じ気孔率および異なる深さを有するpSi試料の平面図および断面図を図10に示した。
【表6】

【0045】
図11は、異なる深さおよびほぼ同じ気孔率の試料Eおよび試料Gに対する比容量対サイクルを示す。電池は、200μAの速度で0.09〜1.5Vで充電および放電された。試料の平均の孔の深さは5.6および7.07μmであった。より深い孔に対する比容量ならびにサイクル寿命(試料G)は、試料Eに比較して良好であった。より多くの平均深さを有するpSi試料は、より良好なサイクル寿命ならびに容量をもたらす、より多くのリチウムイオンを保持することができる。
【0046】
実施例4
異なる条件でエッチングされたより広いpSi構造のサイクル寿命および比容量を試験した。より広い孔を生成するためのエッチングパラメータが(表7)に示されている。より広い孔を有するpSi試料の平面図および断面図を図12aおよび図12bに示した。
【表7】

【0047】
図13は、試料Hに対する比容量対サイクルを示す。pSiは、その他の試料に比較して異なる条件でエッチングされる。試料は、5cmのエッチングセル内で8mAでエッチングされる。この試料の孔は、より広い(平均2ミクロン)。pSiアノードの質量は、0.00098gと判定された。充電/放電曲線は、同一試料に対して100μAおよび200μAで、0.095〜1.5Vで観測された。この試料は、より良いサイクル寿命およびより少ない容量を提供するが、黒鉛より4倍多い。電池は、200μAのより高い速度で230サイクルまで充電および放電することができる。したがって、最大のサイクル可能性に対して、孔幅が増加されるべきである。
【0048】
pSi電極の高容量および良好なサイクル安定性を理解するために、Li挿入中の形態変化について研究した。図14a、図14bは、200μAで充電および放電の230サイクル後のpSiの平面図および断面図を示す。図14c、図14dは、100μAで90サイクルの充電および放電後のpSiの平面図および断面図を示す。電池がより高い速度で充電および放電される場合は、遅い充電および放電と比較して構造形態を変化させるのにより長く時間がかかることに留意されたい。
【0049】
実施例5
Siナノ粒子で被覆後、エッチングされたpSi構造のサイクル寿命および比容量を試験した。エタノール内のSi粒子の1モルの溶液を、エッチング前にシリコンウェハ上に滴下し、一晩乾燥させ、エッチングを表8のパラメータを使用して実行した。これらのpSi試料の平面図および断面図を図15aおよびbに示した。
【表8】

【0050】
図16は、試料Iに対する比容量対サイクルを示す。Siは、5cmのエッチングセル内で8mAでSiNPによる被覆後にエッチングされた。pSiアノードの質量は、0.0007725gと判定された。充電/放電曲線は、サイクル55まで100μAで観測され、第55サイクル〜第65サイクルの間電池は150μAで充電および放電され、第65サイクル後電池は同一試料に対して200μAで、0.11〜2Vで充電および放電された。この試料は、多くのサイクルに対してより高容量を提供し、サイクル170まで充電および放電することができた。したがって、気孔率を低減することが、最良の容量を提供した。
【0051】
pSi電極の高容量および良好なサイクル安定性を理解するために、Li挿入中の構造の形態変化について研究した。図17a、図17bは、170サイクルの充電後のpSiの平面図および断面図を示す。
【0052】
実施例6
また、より深いpSi構造のサイクル寿命および比容量も試験した。より深い孔を作り出すためのエッチングパラメータが表9に示されている。pSi試料の平面図および断面図を図19aおよび図19bに示した。
【表9】

【0053】
図20は、試料Jに対する比容量対サイクルを示す。この試料は、前の試料に比較してより深い孔を有する。試料は、5cmのエッチングセル内に9mAでエッチングされた。pSiアノードの質量は、0.0034gと判定された。充電/放電曲線は、サイクル43まで300μAと観測され、次に電池は500μAで充電および放電され、第65サイクル後電池は200μAで、0.09〜1.5Vで充電および放電された。この試料は、1600mAh/gの平均容量を提供し、電池は58サイクルまで充電および放電することができた。
【0054】
pSi電極の高容量および良好なサイクル安定性を理解するために、Li挿入中の構造の形態変化について研究した。図21a、図21bは、58サイクル後のpSiの平面図および断面図を示す。
【0055】
銅で裏打ちされた試料の完全な要約が表10に示されている。
【表10】

【0056】
実施例7
本発明者らは、処理を本明細書に巨視的に平坦なウェハの使用により例証したが、多孔質シリコンは平坦である必要はなく、他のSi構造(たとえば、支柱、厚いまたは薄い独立型ワイヤ、および三次元の多孔質シリコン)に適用することができ、構造安定性の必要に応じてバルクSiまたは他の基板上に支持することができる。したがって、多孔質シリコンは、巨視的次元または顕微鏡的寸法において平坦である必要はないが、様々なトポロジを有することができる。これらの構造の共通点は、多孔質シリコンがバルクSiより高い体積に対する表面積の比を有することであり、これらのSi構造の一部は、有効な電池アノードであることが示された。また、バルクSi上に支持されたSi構造の混合物も、有効な電池アノードであってもよい。したがって、既存の支柱およびワイヤは、本明細書に記載されたように、エッチング技法および被覆技法によってさらに改善することができる。あるいは、シリコンを十分に除去することによって、支柱のような点が形成されるまで、エッチングを継続することによって支柱を生成することができる。
【0057】
実施例8
バルクSiは、pSiに対して構造支持体を提供することができ、一部の適用において重要である多孔質シリコンとバルクシリコンとの間に任意選択的な転移層により、サイクル寿命をさらに向上させることができる。この転移層は、孔の底部からの距離に基づいてリチオ化の低減を経験する。多孔質シリコン直下のバルクシリコンは、構造内の良好な電気伝導経路を電流コレクタに提供する。電流コレクタをさらにより多く電気伝導性にさせるためにドープすることができる。この電気伝導は、内部電池の電気抵抗を低減し、その結果電圧損失が低減することにより、電池性能を向上させることができる。深さの関数としてリチオ化の低減を経験し、また応力勾配としても機能した転移層は、内部孔シリコンを循環的にリチオ化および脱リチオ化して、バルクシリコン基板に物理的に付着したままにすることが可能になる。
【0058】
実施例9
電気化学エッチング処理を、実施例1で使用されたSiltronix(商標)およびUniversity(商標)ウェハからの最高級、ボロンドープ、p型および片側研磨シリコンウェハに加えて、他の基板に適用することができる。別の材料上に堆積されたシリコン層は、電流コレクタまたは製造構造として作用することができ、基板として使用することができる。これによって、製造処理に適切な都合のよい基板上の適所にエッチングされたpSiにより、電池アノードの製造業者にさらなる効率を可能にする。基板は、取外し可能であってもよく、または最終アノード構造内に保持されてもよい。基板は、電池の構造部分および/または電流コレクタなどのような他の機能を有することができる。これは、個別の基板として、または連続した形で形成することができ、電池製造に適切なロール・ツー・ロール製造工程を容易にする。一例は、ロール・ツー・ロールの銅基板上の様々な可能な形(結晶、多結晶、非結晶、炭化ケイ素など)のシリコンの堆積である。次いでこのシリコンは、多孔質になる。次に、銅/多孔質シリコン構造は、連続した形の二次リチウム電池の他の構成要素と一致することができる可能性がある。
【0059】
実施例10
pSi構造はまた、サイクル寿命を向上させるために炭素材料と組み合わせることもできる。可能な炭素支持体としては、炭素繊維、グラフェンシート、フラーレン、炭素ナノチューブ、およびグラフェンプレートレットが挙げられる。あるいは、任意のこれらの形の炭素を不動態化被覆に役立てることができる。
【0060】
実施例11
電気化学エッチング処理は、たとえば収容されたエッチング液に浸されたSi基板を有する開放系内の閉鎖エッチング電池に加えて、他の形状に進むことができる。したがって、本発明は、エッチングが実行される方法に限定されない。
【0061】
実施例12
腐食HFを使用しないプラズマエッチングも、pSi構造を生成することができる。SF、CF、BCl、NF、およびXeFなどの、様々なプラズマガスを使用してpSi構造を生成する例がある。
【0062】
実施例13
多孔質シリコンウェハは、ロール粉砕またはハンマー粉砕およびボールミル粉砕または摩耗などの、サイズ縮小処理を施すことができる。次いで得られた粉末状材料を使用して、公知の混合処理、被覆処理および艶出し処理などのリチウムイオン電池作成のために一般的に使用される処理によって、リチウムイオン電池を製造することができる。したがって、被覆された多孔質シリコンをそのまま、またはマトリクスもしくは他の結合剤と粉末にして混合し、さらに所望のアノード形状に形成して使用することができる。
【0063】
実施例14
独立型多孔質シリコン層は、電気化学処理を修正することによって生成される。所与のシリコン・ドーピングのレベルおよびタイプに対して、電流密度およびHF濃度は、微細構造および層の気孔率を決定する2つの主要な陽極酸化パラメータである。これに留意して、多孔質シリコン層を、一段階分離(OSS)方法または二段階分離(TSS)方法で基板から分離することができる。
【0064】
一段階陽極酸化をリフトオフする手順は、孔が深くなるにつれて、フッ素イオンの溶解によって促進される。フッ素イオンの溶解は、高気孔率の層(50〜80%の多孔質)をより少ない多孔質の層(10〜30%の多孔質)の下に生成する。次いで孔は拡大して、多孔質シリコンがその基板から剥離するまで相互に重複する。
【0065】
TSS方法を実行するために、シリコンウェハは、一定の電流密度でエッチングされて、長く、まっすぐな孔を生成し、次にその電流密度における劇的な上昇によって孔が急速に拡大して、電気研磨層が生成され、次いで多孔質シリコンがウェハから分離することが可能になる。
【0066】
二段階エッチング処理は、有機溶液内で首尾よく実施された。最初の低い多孔質層は、室温で5〜12mAの範囲の電流で1〜3時間のいずれでもエッチングされた。この最初のエッチング状態によって、多孔質層の主要部分が生成された。最初のエッチング後、電流密度を40〜300mAの間で上昇させると、孔の基部が拡大し重複して、多孔質層が基板から分離することが可能になった。この電解研磨のリフトオフステップは、10分から1時間実行された。これらのパラメータはすべて、異なるサイズの多孔質構造を生成するように調整することができる。リフトオフ独立型多孔質シリコン層の層は、電流コレクタ材料上に直接置かれる。図18は、TSSを使用する例示的なリフトオフの正面および裏側を示す。
【0067】
以下の参考文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆された多孔質シリコンを作成する方法であって、
(a)電気化学セル内のシリコンを、孔の深さ5〜100μmで直径10nmから10μmまでの孔を有する多孔質シリコンを生成するために、電流の下でエッチングすることと、
(b)少なくとも1nmの不動態化材料で前記多孔質シリコンを被覆することと、
を含み、
前記被覆された多孔質シリコンは、少なくとも50サイクルの間、少なくとも1000mAh/gの充電容量を有する、方法。
【請求項2】
前記エッチングは、高密度プラズマガスまたは酸を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコンは、結晶シリコン、半結晶シリコン、非結晶シリコン、ドープ化されたシリコン、被覆されたシリコン、シリコンナノ粒子で事前に被覆されたシリコン又はそれらの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸は、ジメチルホルムアミド(DMF)中のフッ化水素酸(HF)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記の被覆は、炭素又は金である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記の被覆は、約20nmの金である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
気孔率は、前記酸の濃度を低減することによって、及び/又は前記電流を増加させることによって、増加させることができる、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記被覆された多孔質シリコンは、5〜10μmの孔の深さ及び少なくとも60サイクルの間、少なくとも2000mAh/gの充電容量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記被覆された多孔質シリコンは、約2μmの孔幅および少なくとも200サイクルの寿命を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記シリコンは、シリコンナノ粒子で前処理され、前記被覆された多孔質シリコンは、約1μm未満の孔幅、5〜10μmの深さおよび少なくとも少なくとも150サイクルの寿命を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記電流は1〜20mAの範囲であり、HF:DMFの比は1:5から1:35までの範囲であり、前記電流は30〜300分間印加される、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記電流は8mAであり、HF:DMF:水の比は1:10:1であり、前記電流は240分間印加され、前記孔の深さは少なくとも6ミクロンであり、孔径は少なくとも2ミクロンである、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記電流は8mAであり、HF:DMFの比は2:25であり、前記電流は約30分の間隔で約120分間印加され、前記孔の深さは少なくとも5ミクロンである、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
(a)孔の深さ5〜250μmで直径10nm〜10μmの孔を有する多孔質シリコンを生成するために、結晶シリコンを、電気化学セル内で、30〜300分間、3〜10mAでの、一定の電流又は間欠的な電流下で、1:5〜1:35の比でのHF:DMFで、エッチングすることと、
(b)前記多孔質シリコンを5〜50nmの金で被覆することと、
を含み、
前記被覆された多孔質シリコンは、少なくとも60サイクルの間、少なくとも3000mAh/gの充電容量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の前記被覆された多孔質シリコンを備えるアノード。
【請求項16】
請求項14に記載の前記被覆された多孔質シリコンを備えるアノード。
【請求項17】
請求項1に記載の前記被覆された多孔質シリコンを備えるアノードであって、前記被覆された多孔質シリコンは、圧搾され、マトリクス材料と結びつけられ、かつアノードを形成するために形作られる、又はそのまま使用されるか、若しくはバルクシリコンからリフトオフされて、任意にドープされた任意の転位層を有する任意の基板上で使用される、アノード。
【請求項18】
請求項1に記載の前記被覆された多孔質シリコンを含むアノードを備える再充電可能な電池。
【請求項19】
請求項14に記載の前記被覆された多孔質シリコンを含むアノードを備える再充電可能な電池。
【請求項20】
任意の基板の上部、前記被覆された多孔質シリコンと前記基板との間の任意の転位層、セパレータ、及びカソード材料の上に重ね合わされた、請求項1に記載の前記被覆された多孔質シリコンを備えるアノードを備える再充電可能な電池。
【請求項21】
前記基板は、銅、バルクシリコン、炭素、炭化ケイ素、炭素、黒鉛、炭素繊維、グラフェンシート、フラーレン、炭素ナノチューブ及びグラフェンプレートレット並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項20に記載の再充電可能な電池。
【請求項22】
請求項1に記載の前記多孔質シリコンと、セパレータと、カソード材料と、を備えるアノードを備える再充電可能な電池であって、前記電池は、コイル電池、パウチ型電池、円筒形電池、又は角柱形電池構成で包装され得る、再充電可能な電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公表番号】特表2013−509687(P2013−509687A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537080(P2012−537080)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054577
【国際公開番号】WO2011/053736
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(510166102)ウィリアム マーシュ ライス ユニバーシティ (2)
【氏名又は名称原語表記】WILLIAM MARSH RICE UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】6100 Main Street,Houston,TX 77005, United States of America
【出願人】(504019881)ロッキード マーティン コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】LOCKHEED MARTIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6801 Rockledge Drive, Bethesda, MD 20817, U.S.A.
【Fターム(参考)】