構造化の方法と構造化面を有する構成物品
フィラメント状の複数の突出部(11)を有する構造化面(10)を形成するための方法において、スタンプ面(21.1,21.2)とパターン面(31.1,31.2)との少なくとも一方が流動可能な物質(20)でできており、これらスタンプ面とパターン面とを互いに接触させる工程と、前記流動可能な物質の複数の連結フィラメントのストランド(22)が、前記スタンプ面と前記パターン面との間で延伸されるように、これらスタンプ面とパターン面とを分離移動させる工程と、前記フィラメント状の突出部が、前記スタンプ面と前記パターン面との少なくとも一方に形成されるように、前記連結フィラメントのストランドを分断する工程とを具備することを特徴とする方法。この方法により形成された構成物品(100)が示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメント状の複数の突出部を有する構造化面を形成する方法と、この方法により形成された構成物品とに関する。
【背景技術】
【0002】
境界面の特性、表面の光学的な特性または電気的な特性が、表面の構造化により変更され得ることが知られている。実際には、特に代表的な寸法ではμmないしnmの範囲での、例えば電気的または光学的な構成物品、センサ等の表面構造が、このような構造化の対象として適している。例えば、液体の加湿が抑制されることができるマイクロスケールの構造化面が、Z. Yoshimitsu ("Langmuir" vol. 18, 2002, pp. 5818-5812)に開示されている。水滴に対して、150°を超える接触角が、面上に50μmの径と148μmの高さとを有する柱体を配置することによりなされ得る。さらに、構造化により互いに接触した表面の互いの接着を果すことが知られている(米国特許第6737160号,Arzt et al. in "Acta Biomat." vol. 1, 2005, pp. 5-13,または独国特許第10223234号参照)。いわゆるロータス効果(欧州特許第1171529B1号参照)も、マイクロスケールの構造化面の化学組成の効果により説明されている。
【0003】
このような表面構造の効果は、通例、研究室での実験のフレームワークで以前から説明されてきている。しかし、実際上の慣例的な適用は、以前から限られた範囲のみでしか使用できなかった。なぜならば、フォトリソグラフィ技術やエッチング法を用いて数多くのフィラメント状の突出部を有する構造化面は、以下にあげるような欠点を有するからである。まず、このような方法は、技術の複雑さと大いに関係している。広範囲に渡る面の構造化は、非常に高コストになってしまう。さらに、代表的には20以下の小さなアスペクト比(長さと突出部の直径との比)のみを有する、代表的にはナノメートルの範囲(<1μm)の寸法であるこのような突出部が、従来技術により形成される。しかし、非常に多くを形成するためには、100以上のアスペクト比が望まれている。また、フォトリソグラフィやエッチング法は、従来の接着効果に適しているような、特定の方向に調整するための可変性や表面の構造の形態に制限があった。さらに、径の勾配や所定の材料の組成のようなサブ構造(substructure)を有する突出物は、従来技術では制限を受けるような方法でしか形成できない。
【0004】
独国特許第10353697号は、ポリマ材料の円柱形状の突出部分を有する構造化面の形成するための成形方法を開示している。この方法では、アスペクト比を増加させることが可能である。しかし、この方法による高度な技術の複雑さと、直線の形態での突出部に対する制限という欠点がある。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、従来の技術の欠点を克服した構造化面を形成するための、改良された方法を提供することである。本発明に係る方法は、広範囲に渡る面の場合でも低コストを実現することができ、また、広範囲に渡る適用が可能である。特に、表面構造の、特に、拡大されたアスペクト比の構造の、構造的、電気的、光学的、機械的の少なくとも1つの特性を調節する際の高い可変性を可能にする。さらに、本発明の目的は、構造化面を有する改良された構成物品を提供することである。この構成物品は、技術の複雑さを軽減し、コストを削減して形成されることができ、また、表面の物理的および化学的特性を調節する際の高い可変性を可能にする。
【0006】
これら目的は、本発明の請求項1並びに25の特徴を有する方法または構成物品により果される。効果的な実施の形態と本発明の適用装置とが、従属請求項により規定される。
【0007】
この方法に関連して、本発明は、流動可能な物質が、スタンプ面とパターン面との間で延伸されて、連結フィラメントのストランドが切断されるような、フィラメント状の突出部を有する面を与える一般的な技術の教示に基づいている。このパターン面は、化学的または構造的な形式の表面変化(modification)の所定の構造的なパターンを支持している。このパターンは、フィラメント状の突出部を形成するためのモデルを形成している。また、スタンプ面は、構造化されていない面を有する。これらパターン面とスタンプ面とは、これら両面が少なくとも一部の領域が相互に接近して互いに接触するようにして、互いに接触する形態を有し、これら一部の領域は、面または線形状の延長部を有し得る。
【0008】
流動可能な物質は、スタンプ面とパターン面との少なくとも一方内または上に設けられ、これら面は、スタンプ面とパターン面との相互の接触により、他方の面を湿らせる。パターン面とスタンプ面とが両方の面が互いに離れるように、互いに対して移動するならば、前記連結フィラメントのストランドは、特に、広がった状態での前記物質の粘度と表面張力とによって決定される。
【0009】
本発明の第1の実施の形態では、スタンプ面は、流動可能な物質の自由面(流体面)により形成され、連結フィラメントのストランドは、パターン面により延伸され、流動可能な物質の硬化が、延伸の間または後に設けられる。この連結フィラメントのストランドの分断を含む、前記パターン面と前記流体面との分離の後、所望のフィラメント状の突出部は、流体面、パターン面、またはこれらの両方に留まる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態では、スタンプ面は、固体(固体面)の面により形成され、パターン面が、流動可能な物質を支持している。この流動可能な物質は、互いに離れている部分的な領域(アイランド)の所定の構造の構成を有するパターン面に配置されており、前記フィラメント状の突出部の配置のためのモデルを形成する。前記固体面と前記パターン面との接触の間、前記流動可能な物質は、両方の面の連続的な分離移動の間に、最初に前記連結フィラメントのストランドが広がり、それから分断して、フィラメント状の突出部が前記固体面とパターン面との一方に形成されるように、固体面に接着する。本発明の第2の実施の形態は、流動可能な物質の貯蔵容器(reservoir)の準備が避けられ得るという効果を奏する。
【0011】
フィラメント状の全ての突出部は、前記パターン面の延伸の間、前記連結フィラメントのストランドの分断を、同時に、効果的に発生させることができる。この方法は、慣例的な構造化の技術よりもかなり簡単であり、dm2ないしm2の範囲か、これ以上の広範囲に渡る面の場合にも、問題なく使用されることができる。本発明に係る方法のさらなる重要な効果は、このフィラメント状の突出部が、非常に大きな長さ−直径のアスペクト比で使用され得ることである。十分に高い粘度が与えられると、前記流体面と前記パターン面との間の連結フィラメントのストランドが、この連結フィラメントのストランドの直径よりも大きな、例えば500倍の長さを有することができる。
【0012】
この装置に関連して、上述の目的は、流動可能かつ硬化可能な物質のフィラメント状の複数の突出部を備えた基部面を有する構成物品を提供する一般的な技術の教示により果される。このようなフィラメント状の突出部は、流動可能な状態で、前記物質の表面張力により形成される外形(表面の形態)を有する。このフィラメント状の突出部の外形は、前記物質が、2つの面の間に自由に広がる流動可能な状態を仮定した形態に、少なくとも複数の部分で、または局所的に一致する。
【0013】
本発明は、1つの面にフィラメント状の多数の突出部の構成体を形成するための方法を提供する。「フィラメント状の突出部」という用語は、ここでは基部面から自由端部へと延びた細長い構造を示している。このような構造は、代表的には、支柱、繊維、針、ロッドまたは毛の形態である。このようなフィラメント状の突出部は、数十nm(例えば100nm)ないし数cm(例えば3cm)の範囲の長さと、数nm(例えば10nm)ないし数mm(例えば5mm)の直径を有する構造を形成する。「流動可能な物質」という用語は、2つの物体の間でフィラメント状になるようにして広がる(伸びる)ことができ、この広がった状態でこのような形態を維持することができる全ての液体材料を示している。流動性が、特に、本発明の方法が実行される動作温度の所で与えられる。「構造化面」は、フィラメント状の複数の突出部を支持している物体の面の領域である。
【0014】
流体面と合わせることとは別に、連結フィラメントのストランドを延伸するためのパターン面が置かれる必要はないという効果を奏する。このようなパターン面が、例えば、滑らかな面を有するならば、フィラメント状の突出部の構成体は、ランダムに、または自己組織化によって起こり得る。しかし、これらフィラメント状の突出部の位置決めの制御の改良のために、本発明の実施の形態では、前記連結フィラメントのストランドと前記フィラメントの突出部との配置は、複数の接着アイランド(本発明の第1の実施の形態)と、パターン面に設けられている流動可能な物質の複数のアイランド(本発明の第2の実施の形態)とにより形成される。「接着アイランド」という用語は、ここではパターン面上に局所的に範囲を設定された各々の領域を示しており、流動可能な物質で湿らされるこのパターン面の機能は、残りのパターン面よりも上側に引き上げることと、流動可能な物質が与えられることにより好ましく塗らされることとである。このような接着は、前記物質と前記接着アイランドとの間に、流体面とパターン面との接触の間に効果的に形成される。この流動可能な物質は、好ましくは前記接着アイランドに接着されており、これら接着アイランドの間のパターン面は、接着機能が比較的少ない。前記連結フィラメントのストランドは、これら連結フィラメントのストランドの構造的な配置、並びにこの連結フィラメントのストランドが分断した後でさえも、フィラメント状の突出部の構造的な配置が、前記接着アイランドの構造によりパターン面上に与えられるように、前記流体面と前記パターン面の分離の間、これら接着アイランドに効果的に局在している。
【0015】
本発明の効果は、特に、フィラメント状の突出部の構成が、接着アイランドの所定のパターンを有するパターン面、または流動可能な物質のアイランドの使用により、正確に固定され得ることである。これらフィラメント状の突出部は、例えば規則的な形状に、例えば正方形の格子の構造に配置されることができ、本発明に係る構造化面または構成物品の機能に依存している。代わって、接着アイランドまたは流動可能な物質のアイランドの濃度とフィラメント状のアイランドの濃度とは、この構造化面が、フィラメント状の突出部の面の濃度勾配で形成され得るように、パターン面に沿って変化されても良い。このような接着アイランドまたは流動可能な物質のアイランドの準備は、前記フィラメント状の構成体が前記基部面で制御されることによる予めの構造化を示している。このような予めの構造化は、効果的に簡単であり、大きな領域に渡って経済的に実行可能である。
【0016】
本発明の第1の実施の形態のさらなる効果は、接着アイランドを設計する際に高い可変性を有することである。一般的に、接着アイランドは、この接着アイランドの構造的な構成と化学的な構成との少なくとも一方により、近くの周辺環境とは異なり得る。第1の態様に従って、このような接着アイランドがパターン面の凹凸構造部により形成されているならば、接着アイランドの規定された設定範囲と互いの配置とに関する効果を奏する。この凹凸構造部は、好ましくは、パターン面の局所的な突出部分を含み、前記流体面と前記パターン面とが互いに接近する際、最初に流動可能な物質と接触する。このような効果は、ここでの例では、接着アイランドの部分的な濡れに関係する。このような突出部分は、パターン面上のパーティクルや層によってのような、局所的なステップ上の構成により、好ましくは形成されている。代わって、凹凸構造部が、パターン面上の準備工程で、本発明に従い形成されるフィラメント状の突出部か、この突出部の一部により形成されても良い。この凹凸構造部は、例えば流体面とパターン面とに接触する流動可能な物質を収容するキャビティの形態で、パターン面の局所的な互い違いの凹所を有する。
【0017】
第2の態様では、前記複数の接着アイランドが、化学的に変化される(modified)パターン面の領域を有する場合に、物質とパターン面との間の接着による接触を改良するために効果的を奏し得る。化学的な変化領域は、前記フィラメント状の突出部が局所的な良い接着を果すために形成される物質に、特別に配置されることができる。化学的に変化される接着アイランドを提供するための物質は、好ましくは、延伸される突出部の材料、または極性または無極性(apolarity)のアカウント(account)を延伸させる突出部の材料と結合を形成する材料である。第1の場合には、接着アイランドは、流動可能な物質を有する。第2の場合の、代わりの例は、Y−(COOH)x,Y−(NH)x−NH2,Y−(CH2)x,メチルメタクリレート、Y−OH、金や銀のような金属である(ここで、Yは、パターン面の材料と結合する機能的な化学成分であり、たとえば、Au上での結合のためのOH基を有するチオール、ガラス面でエステルと結合する反応構成のためのシラン基である)。
【0018】
さらなる態様では、接着アイランドは、突出部分または濃縮部分での化学変化を有する凹凸構造部により形成されても良い。化学的に変化される凹凸構造部の準備は、含まれる材料の、特に、パターン面の材料の一方側および流動可能な物質の一方側での選択において、可撓性を増加させる効果を奏する。
【0019】
前記接着アイランドは、前記パターン面の側に連結フィラメントのストランドの基部を形成する。従って、所定の断面が、この接着アイランドの形状の関数として、連結フィラメントのストランドとフィラメント状の突出部とに効果的に押圧されることができる。例えば、円形の接着アイランドが、円形の断面を有するフィラメント状の突出部を形成するために、使用されることができる。フィラメント状の突出部の機械的な特性の異方性のために、例えばフィラメント状の突出部のヤングモジュール、例えば楕円形または角のある接着アイランドが、代わりに使用されても良い。
【0020】
本発明の第2の実施の形態は、構造化された構造部材を効果的に提供する。前記フィラメント状の複数の突出部は、付加的な凹凸構造も化学変化もないパターン面およびスタンプ面に直接接着される。この場合、以下の様々な態様が、効果的に実現されることができる。第1の態様では、流動可能な物質のアイランドが、パターン面に普遍的に接着されている。この流動可能な物質とパターン面の材料とは、互いに化学的に相溶性があり、即ち、特に、例えば付加的な反応により、溶融された状態で混合されることができるか、化学的な化合物を形成するかの少なくとも一方に適している。化学的な化合物は、好ましくは、例えば、熱的または光化学的なラジカル結合(例えばアクリル基による)により、または、流動可能な物質およびパターン面の材料(例えば溶媒の蒸発による)の部分的なエッチングにより、流動可能な物質とパターン面との間に与えられる。流動可能な物質とパターン面の材料とが同じ化学組成であるならば、確実な結合による特別な効果が生じる。流動可能な物質のアイランドの延伸の間、パターン面とスタンプ面との接触および連続的な分離移動の後、フィラメント状の突出部が、このパターン面に形成される。第2の態様では、これらフィラメント状の突出部は、化学的な化合物が、固体面とパターン面との接触の間に、前記流動可能な物質と固体面との間に形成されるようにして、固体面に形成される。この場合、流動可能な物質のアイランドは、パターン面に接着のみにより固着されなければならない。従って、第2の態様では、流動可能な物質と固体面の材料との化学組成は、同じであることが好ましい。
【0021】
本発明の第2の実施の形態では、流動可能な複数のアイランドは、好ましくはコロイドのポリマのパーティクルにより形成されている。このようなパーティクルは、例えば動作温度の関数として、パターン面の流動可能な物質の位置決めと流動特性の調整とで特別な効果を奏する。このようなポリマのパーティクルは、好ましくはポリスチレンまたはポリアクリレートのような溶融可能なポリマからなる。微細構造の形成のために、50nmないし20μmの範囲の、好ましくは100nmないし10μmの直径のパーティクルが、好ましくは使用される。
【0022】
本発明の特に好ましい態様では、流動可能な物質の硬化が、フィラメント状の突出部の形成に与えられる。「硬化」という用語は、ここでは形状が安定するまでのこの物質の凝固を示している。この硬化の後、例えばカバー層による、突出部の付加的な安定化が、効果的に省略されても良い。この硬化は、第1の態様で、前記連結フィラメントのストランドの延伸の間に起こる。この場合、連結フィラメントのストランドの延伸は、前記物質が十分に硬化されるとすぐに、この連結フィラメントのストランドを引き裂くことによって、自動的に効果的に終わる。第2の態様では、前記連結フィラメントのストランドの分断の後まで、前記物質の硬化が与えられないように、与えられることができる。この場合、フィラメント状の突出部の長さの調節が、再現性を有するという効果を奏する。
【0023】
別の硬化の処理が、個別に、または組合せて、効果的に使用されることができる。連結フィラメントのストランドの物質の溶剤の蒸発の間、前記硬化が、付加的な測定なしで効果的に起こる。さらに、冷却による物質の凝固または物質の架橋が与えられ得る。このような架橋は、光照射によって始まる流動可能な物質の異なる構成成分間の反応のような、化学的または物理的な効果による連結フィラメントの内面の変化を含む。
【0024】
代わって、フィラメント状の突出部は、流動可能な物質の流動面に設けられても良い。この場合、この物質の硬化は、フィラメント状の突出部の安定化ではなく、この実施の形態でのフィラメント状の突出部のための基材を形成する固体層に流体面を転換することを含む。この基材とフィラメント状の突出部とは、ここでは同じ物質からなることが好ましい。
【0025】
本発明のさらなる態様では、フィラメント状の突出部の形成は、外部の物理的なまたは化学的な作用(action)の関数として、前記物質の硬化の間に、特に、連結フィラメントのストランドの分断の後に与えられても良い。例えば、温度またはpH依存性の表面張力や、特定の誘電的または磁気的特性を有するポリマが、流動可能な物質として使用されることができる。この場合、フィラメント状の突出部は、特に、硬化の間、例えば、温度調節(tempering)、環境中の所定のpHを与えること、電場と磁場との少なくとも一方を与えることによって、変形されることができる。
【0026】
本発明のさらなる硬化は、フィラメント状の突出部の形状の選択が、非常に富んでいることである。例えば、直線的な、または曲線的なフィラメント状の突出部が、構造化面の所望の構成に基づいて形成されることができる。第1の態様では、流体面とパターン面との分離移動が、直線的な参照線に沿って起こると、連結フィラメントのストランドは、直線的になるようにして、この参照線に対応して広がる。例えば、これらのストランドは、隣接している面に、例えば流体面またはパターン面に対して、垂直にまたは傾斜し得る。直線的なフィラメント状の突出部は、延伸の間または後に硬化されることができる。第2の態様では、流体面とパターン面との分離移動が、湾曲したり、傾斜したり、捩れた突出部をも形成するように、直線的な、傾斜した、または曲線的な参照線に沿って起こる。この場合、硬化は、連結フィラメントのストランドの延伸の間に起こる。
【0027】
本発明のさらなる態様では、連結フィラメントのストランドの延伸の速度の変化が与えられるならば、付加的な径の勾配が、フィラメント状の突出部の長さに沿って効果的に形成されることができる。流体面とパターン面との分離移動の速度が、最初は遅い速度であるならば、連結フィラメントのストランドは、比較的速い分離移動の速度での場合よりも厚い径を有する。
【0028】
本発明の好ましい態様では、流動可能な物質は、少なくとも1つの有機ポリマ、少なくとも1つの有機物/無機物を組合せたポリマのような、少なくとも1つのポリマの化合物を含む。少なくとも1つのポリマを使用することにより、溶媒の除去および調節による硬化の制御が特に容易であるという効果を奏する。好ましくは、使用されるポリマは、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)(PDMS)(付加的な構成成分により硬化可能)、ポリビニルピリジン(polyvinylpyridine)、ポリスチレン、ポリホスファゼンおよびポリエチレングリコールである。代わって、流動可能な物質は、アクリレート、メタクリレート、アルケン、二トリルおよび負荷重合、縮合重合等による2つの構成成分の他のモノマの混合物のような、少なくとも1つの架橋可能なモノマ(飽和していない炭素結合)を含む。
【0029】
本発明のさらなる態様では、流動可能な物質は、前記フィラメント状の突出部が、化学的、誘電的、光学的および磁気的特性の少なくとも1つが変化可能な、少なくとも1つの付加的な物質を含むならば、構造化面の形成の間または構造化面の適用の間、所定の突出部の形態の調整のために効果を奏することができる。本発明では、動的な表面構造が、外部からの働きが与えられ得ることによって制御されることができる。フィラメント状の突出部は、磁気的なコロイドや特別な誘電特性を有するコロイドのような付加的な物質を含む。さらに、中性の媒質の場合、例えばポリビニルピリジンが、酸性の水溶液中に加えられる付加的な物質として使用されることができる。
【0030】
本発明のさらなる態様では、フィラメント状の突出部の先端の処理が与えられても良い。この先端の処理は、フィラメント状の突出部の自由端部に太径部(creation of thickening)を含む。この先端の処理は、連結フィラメントのストランドの分断した後に与えられる。この先端の処理は、例えば、これら先端に球体の太径部を形成するように、フィラメント状の突出部の自由端部の局所的な加熱処理を含む。さらなる態様では、真空蒸着によってのような、フィラメント状の突出部のコーティングが与えられる。さらに、本発明のさらなる態様では、フィラメント状の突出部は、カバー層で覆われても良い。この場合、適切な物質が選択されれば、フィラメント状の突出部の硬化は、省略されても良い。
【0031】
本発明に係る好ましい構造化面の適用装置は、接着面の形態および気体貯蔵容器中に在る。このような気体貯蔵容器は、フィラメント状の突出部の動的かつ機械的な特性により形成され得る。外部の液体の圧力が、気体が、本発明に係る構造化された物体の液体層に貯蔵されることができるように、突出部の変形と加湿の度合を変化させることによって、補正することができる。この効果は、自然界ではプラストロン効果(plastron effect)として知られており、例えば特定の水中動物で見られる(例えば、D. J. Crisp in "Discussions of the Faraday Society London" vol. 3, 1948, pp. 210 220参照)。
【0032】
本発明のさらなる詳細と効果とが、添付図面の記載を参照して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図は、拡大して概略的に示されており、スケールは正確ではない。特に、図1並びに図2には、1連の3つの突出部のみの形成工程が示されているが、実際には、非常に多くの線状の突出部またはフィラメント状の突出部の面の構成体が形成される。さらに、これら突出部は、実際には、特にテーパが微小な長さを超えてこれら突出部の基部に与えられた他の形態を有し得るが、これら突出部の残りの部分の直径の大きさは、実質的に一定である。
【0034】
図1Aないし図1Dは、本発明の第1の実施の形態に係る、フィラメント状の複数の突出部11を有する構造化面10の形成工程を示している。図1Aは、準備工程を示しており、流動可能な物質20と、パターン面31.1を有する延伸装置30とが設けられ、これらは、互いに関連して配置されている。この物質20は、例えばコンテナ中に、自由流体面21.1を有するように配置されている。この延伸装置30(図1A)は、駆動装置と温度調節装置とを有し(図1Aには示されていない、図8参照)、これにより、前記パターン面31.1は、移動され、温度を調節されることができる。このパターン面31.1は、前記流体面21.1に対面している。これら両方の面は、水平かつ互いに平行に配置されており、また、このパターン面31.1は、前記フィラメント状の突出部11の形成のためのテンプレートとして機能する複数の接着アイランド32を支持している。
【0035】
前記パターン面31.1は、例えば有機物または無機物(例えばプラスチック、特にPDMS、ポリスチレン、エポキシ樹脂、PMMA、アクリレート、セラミクス金属、半導体、特にAu、Ag、TiO2、ZnO2、Si、SiO2、炭素を主とした複合材料または強化複合材料)のプレート形状の基材を有する。前記接着アイランド32は、例えば4nmの直径のパーティクル、例えばマイクロメートル(例えば100μm)までの金(いわゆる金のナノポイント)の直径のパーティクル、例えばポリスチレン、SiO2、TiO2のコロイドの直径のパーティクルを有する。この接着アイランド32は、例えば、フォトリソグラフィにより形成されるか、型押し(stamp)を加えられるかの、少なくとも一方の物質のポリマの表面の自己組織化の処理によって、形成されることができる。
【0036】
図1Aに係る状態では、前記流動可能な物質は、最初はまだ固体であり得る。この場合、準備工程は、加熱装置(図1Aには示されていない、図6参照)で、前記物質20の融解温度または軟化温度を超えた温度に、この物質20の加熱する工程を含む。
【0037】
図1に係る説明から外れて、前記流動可能な物質20を有するコンテナまたはキャリアが、前記パターン面31.1に対する前記流体面21.1の位置決めと移動とを行うために、延伸装置に接続されても良い。
【0038】
前記流動可能な物質20は、皿のようなコンテナ中、もしくはガラスまたはポリマのフォイルのようなキャリア上に配置される。例えば、ポリビニルピリジン(PVP)(MW=60.000g/mol)が、エタノール中に約20wt%の濃度で溶解される。このPVP溶液は、ガラスの面に薄層として塗布されて、乾燥される。続いて、この乾燥されたPVPは、ポリマを軟化させるために加熱される。例えば、PVPは、約60℃ないし140℃に加熱される。
【0039】
前記パターン面31.1は、図1Bのように、このパターン面31.1の少なくとも一部の前記接着アイランド32が前記物質20と接触するまで、前記流体面21.1に近づけられる。これら接着アイランド32のグループは、この流体面21.1に同時に接触する。このグループは、例えば前記パターン面31.1の全ての接着アイランド32を含み、もしくは、ローラ(図14参照)のように、曲面のパターン面31.1が使用されるときは、接着アイランド32の少なくとも1つの列を含む。これら接着アイランド32の厚みは、例えば10nmであるので、このパターン面31.1は、これら接着アイランド32のみが前記物質20で濡らされるようにして、前記流体面21.1に接触することができる。しかし、代わって、このパターン面31.1は、流体面21.1に完全に接触するか、浸漬されても良い。なぜならば、物質20は、これら接着アイランド32の間に位置している領域よりも接着アイランド32により接着することができるからである。
【0040】
続いて、図1Cに従い、互いに関連する前記流体面21.1と前記パターン面31.1との分離移動が起こる。原則として、パターン面31.1が引き上げられるが、代わってまたは付加的に、流体面21.1が動かされても良い(矢印参照)。この移動は、例えば垂直方向に、もしくはこの流体面21.1に対する剪断運動のように起こる(点線の矢印並びに図14参照)。この移動の速度は、材料の特性と所望の突出部の形状との関数として選択され、上述のPVP層の場合には、1秒当たり0.1ミリメートルないし10ミリメートルの範囲で選択される。前記流動可能な物質20によるこの接着は、連結フィラメントのストランド22が、前記接着アイランド32と流体面21.1との間に広がるように、これら接着アイランド32の面に保たれる。
【0041】
前記分離移動の間、前記流動可能な物質20(PVP溶融体)の前記上昇された温度に保たれ、一方、前記パターン面31.1は、室温、または前記延伸装置の温度調節装置により調節された動作温度である。この動作温度は、室温から外れても良い。この温度調節装置は、冷却のために設けられても良い。従って、温度勾配が、前記パターン面31.1と前記物質20との間に与えられる。前記連結フィラメントのストランド22の硬化は、この温度勾配の経過に従い、前記接着アイランド32を起点として始まる分離移動の間に起こる。同時に、外形が、前記パターン面31.1からの距離の増加により、前記連結フィラメントのストランド22のテーパにより明確に分けられるように、最小の表面が、延伸の間にもなお流動可能なこの材料の表面張力により設定される。
【0042】
前記パターン面31.1と前記流動可能な物質20とが離れるような延伸の結果、この流動可能な物質は、前記接着アイランド32に接着する。例えばポリマのPVPであるこの物質20は、前記溶媒の蒸発と、溶解しているポリマの冷却との少なくとも一方によって、前記延伸の処理の間にまたは後に凝固される。前記連結フィラメントのストランド22(フィラメント状のポリマ)が形成され、このストランドのパターン面31.1上の起点は、前記接着アイランド32の構成体によって与えられ、また、このストランドの向きは、このパターン面31.1の延伸の方向にほぼ依存している。このストランドの形態、長さ、機械的および光学的特性のようなさらなる特性は、この物質の凝固(硬化)速度と同様に、延伸速度と、この物質20の組成、分子の重さ、ポリマの架橋の度合、粘度または粘弾性度のようなこの物質の物理的特性とによって決定され得る。具体的に行われる動作のパラメータは、必要に応じて、実験により選択される、または最適化されることができる。連続的な分離移動の間、前記フィラメント状の突出部11が、前記パターン面31.1に留まるように、前記連結フィラメントのストランドの分離が起こる。かくして、前記流体面21.1からの突出部分は、溶解、または溶融している物質20に戻る。
【0043】
図2Aないし図2Dは、本発明の第2の実施の形態に係る、対応する方法の工程を示している。この工程は、第1の実施の形態とは異なり、パターン面31.2上に複数のアイランド36の形態で流動可能な物質20が与えられ、また、固体面として、対向するスタンプ面21.2が形成されている。上述の図1Aないし図1Dに関して説明された工程と同様の移動工程により、最初に、このスタンプ面21.2と前記アイランド36(図2B)を有するパターン面31.2との相互の接触が起こり、続いて、分離移動が、前記連結フィラメントのストランド22が広がるように起こる(図2C)。この連結フィラメントのストランド22の硬化が、前記分離移動の間に起こり、さらに、前記フィラメント状の突出部11が、前記スタンプ面21.2上と前記パターン面31.2上との少なくとも一方に留まるように、最小の直径の領域で、分断が起こる。
【0044】
前記パターン面31.2が、前記流動可能な物質20と化学的な相溶性があり、化合物を生成し得るならば、前記複数のアイランド36は、このパターン面31.2に固着される。これらアイランド36は、例えば200nmの直径のポリスチレンのパーティクルでできており、部分的な溶解によって、ポリスチレンのパターン面31.2に結合されている。一般的に、前記流動可能な物質20と前記パターン面31.2の材料とは、このパターン面31.2の融解温度が流動可能な物質20の融解温度よりも高いようにして選択される。この条件は、パーティクル形状の前記アイランド36とパターン面31.2の材料とが同じ化学組成を有するが異なる鎖のポリマの長さである点で、ポリマのパーティクルにより効果的に満たされることができる。前記固体面21.2は、金属(例えば銅、鋼、これらの合金)でできており、パターン面とスタンプ面との接触の間のこれら面の温度は、前記流動可能な基材20を溶融するために上昇される。代わって、固体面21.2は、セラミック材料またはガラスでできていても良い。前記分離移動の結果、好ましくは、前記フィラメント状の突出部が、パターン面31.2に作られる。
【0045】
代わって、前記流動可能な物質20と前記パターン面31.2とは、化学的な相溶性のない材料でできていても良い。例えば、溶融可能なポリマのパーティクル形状の複数のアイランド36が、金属(例えば、銅、鋼、これらの合金)のパターン面31.2に設けられる。これらアイランド36は、化学的な結合をすることなくパターン面31.2に接着される。前記固体面21.2は、前記流動可能な物質20が化学的な化合物を形成し得る材料でできている。これらパターン面およびスタンプ面の接触の間(図2B)、これら流動可能な物質20は、前記固体面21.2に接触される。同時に、流動可能な物質20が、これらパターン面と固体面との少なくとも一方を介して加熱される。この流動可能な物質20の固体面21.2への結合は、例えば部分的な溶解または化学的な結合を、また、例えば光化学的な架橋を含む。続いて、前記連結フィラメントのストランドを延伸して、前記フィラメント状の突出部を形成するための分断が起こる。
【0046】
以下の方法の態様の説明は、本発明の第1の実施の形態に係る例を参照する。対応する態様が、同様に第2の実施の形態で理解され得る。
【0047】
本発明に係る構造化面10を有する構成物品100が、図3に示されているように、基材33に前記フィラメント状の突出部11が配置された前記パターン面31.1を有する。さらに、図4ないし図6には、本発明に係る構成物品100の他の態様が示されている。図4では、前記物質20の面も、例えば、前記フィラメント状の突出部11が、固体の基材23に転換される流体相に形成されるように、冷却または溶媒の除去によって、前記連結フィラメントのストランド22の延伸(例えば図1C参照)の間に硬化される。この基材23は、キャリア24に安定化(stabilized)されている。この場合、構成物品100は、前記基材23と前記フィラメント状の突出部11とを備えたキャリア24を有する。
【0048】
図5並びに図6は、構成物品100の完成後のさらなる処理工程を示している。図5では、前記複数の突出部11の自由端部に太径部12が設けられている。図6では、これら突出部11が、カバー層13で覆われている。この実施の形態は、例えば、前記突出部11が環境の影響から保護されるべき構造化面の光学的な適用装置に適している。構成物品100の完成後の処理工程は、光の照射によるこれら突出部の硬化を、代わりに、または付加的に含んでも良い。
【0049】
図7は、前記複数の突出部11が複数の層を有するようにして(in multi−layer manner)形成された、本発明のさらなる態様を示している。この目的のために、上述の方法で増産が行われ、特定の形成された突出部は、フィラメント状の連続的な延伸により接着アイランドとして使用される。これら突出部11の延伸部14は、これら突出部11と同じ材料か、違う材料により形成され得る。
【0050】
図8は、明確化のために、前記パターン面31.1の態様が前記接着アイランド32上の単一の突出部11のみを有する、構造化面10の形成のための器具200を概略的に示している。この器具200は、駆動装置34と温度調節装置35とを有する延伸装置30と、前記流動可能な物質20を収容するためのキャリアまたはコンテナ41を有する加熱装置40と、前記連結フィラメントのストランド並びに突出部11の形態が、延伸の処理の間に影響を及ぼすことができる調整装置50とを有する。
【0051】
前記駆動装置34は、前記パターン面31.1に配置され、このパターン面の位置を変化させるように機能する。この目的のために、例えばステッピングモータが設けられる。前記温度調節装置35並びに前記加熱装置40は、例えば抵抗加熱を含む。
【0052】
前記調整装置50は、例えば、前記突出部11の曲面が形成される動きの下で磁場を発生させるための磁石(永久磁石か電磁石)を含む。この目的のために、前記物質20は、磁気性のコロイドのような付加的な物質を含む。代わって、前記突出部の形状に影響を与えるための磁場は、前記調整装置50により発生されても良い。本発明の特別な効果は、この調整装置50が、全ての突出部が一様な形状に形成され得るように、全ての突出部で同時に機能することである。
【0053】
さらなる態様では、前記調整装置50は、前記突出部11の形態の化学的な作用により形成され得る。図1または図2に係る連結フィラメントのストランド22の延伸での構造化の処理は、気体環境中では強制的に生じなくとも良いが、代わって、液体中では与えられ得る。曲線的な突出部は、前記連結フィラメントのストランドの分断後に、液体のpHを調整することにより生産されることもできるが、硬化の完了前に与えられても良い。液体中での本発明に係る表面構造は、温度制御に対する気体環境での処理と比較して、前記流動可能な物質の前記延伸されたフィラメントから溶媒を取り除く制御能力と、特に、高い面密度を有する突出部の、突出部の機械的な分離による能力とで、効果を奏する。
【0054】
図9は、垂直面から逸れた方向(矢印参照)への延伸による、曲線的な複数の突出部11の形成の一例を示している。この分離移動は、前記流体面21.1に対して直線的な、または曲線的な参照線に沿って起こる。この延伸の方向は、これら突出部の方向と形態との少なくとも一方に影響を与えるように、この分離移動の間に変化されることができる。
【0055】
曲線的な複数の突出部は、図10に概略的に示されているように、動的にスイッチを切り換えることができる面に、効果的に使用されることができる。例えば、図9に係るPVPの曲線的な突出部が、中性の周囲媒質中に在るならば、これら突出部は、酸性の媒質中のpHの変化によって直線的になる。対応するスイッチの働きは、温度変化によって果されても良い。このスイッチは、構造化面の光学的な適用装置、またはセンサ技術の適用装置のために適し得る。
【0056】
図11は、接着アイランドの様々な態様の概略的な正面図である。円形の基部32A、正方形の基部32Bに代わって、前記構造化面の機械的な異方性を発生させるために、楕円形の基部32C、菱形の基部32Dのように、特に、少なくとも1つの好ましい方向を有する基部が設けられても良い。参照部号32Eは、例えば、点状の接着アイランドを示している。代わって、このような接着アイランドが、4より多い角を含む基部を有するならば、本発明に係るフィラメント状の延伸の機械的な安定化のために効果を奏し得る。
【0057】
図11ないし図14は、本発明に従い形成されたポリビニルピリジンの表面構造の電子顕微鏡像を示している。図14では、本発明に従い、巻き線を有する突出部が形成され、この巻き線は、過度の剪断運動の間のポリマの硬化により形成され得る。
【0058】
図15は、前記曲線的な突出部11を有する構造化面10を形成するための器具201のさらなる実施の形態の詳細を示している。この実施の形態は、本発明に係る構造化面を有する極めて多くの材料の生産に、特に十分に適している。この器具は、前記流動可能な物質20を有するコンテナ41内に浸漬しているローラ42を有し、このコンテナ41の外側で前記接着アイランド32を有するパターン面31.1に接触する。このコンテナ41とローラ42との少なくとも一方のための前記加熱装置と、光学的な前記調整装置(図8参照)とは、図示されていない。
【0059】
駆動装置(例えばモータ、図示されていない)が、前記ローラ42の回転の間、矢印の方向に前記パターン面31.1を動かすために設けられる。このローラ42の回転により、前記流動可能な物質20の層が、この物質の円筒体の面と前記パターン面31.1に面する自由流体面とに形成される。この結果、前記接着アイランド32は、前記連結フィラメントのストランドと前記突出部11(拡大して示されている)の形態が、延伸の処理の間に影響を及ぼし得る、前記流動可能な物質の流体面に対して剪断運動を果す。前記パターン面31.1は、図示されているように、キャリアに配置されることができ、または、代わって、さらなるローラで、前記ローラ42を超えて導かれることができる。
【0060】
上述の説明、図面および特許請求の範囲に規定された本発明の特徴は、異なる実施の形態において、本発明の実施のために各々を組み合わせて使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1A】図1Aは、本発明に係る方法の第1の実施の形態の、構造化面を形成するための準備工程を概略的に示している。
【図1B】図1Bは、本発明に係る方法の第1の実施の形態の、構造化面を形成するための図1Aに続く工程を概略的に示している。
【図1C】図1Cは、本発明に係る方法の第1の実施の形態の、構造化面を形成するための図1Bに続く工程を概略的に示している。
【図1D】図1Dは、本発明に係る方法の第1の実施の形態の、構造化面を形成するための図1Cに続く工程を概略的に示している。
【図2A】図2Aは、本発明に係る方法の第2の実施の形態の、構造化面を形成するための準備工程を概略的に示している。
【図2B】図2Bは、本発明に係る方法の第2の実施の形態の、構造化面を形成するための図2Aに続く工程を概略的に示している。
【図2C】図2Cは、本発明に係る方法の第2の実施の形態の、構造化面を形成するための図2Bに続く工程を概略的に示している。
【図2D】図2Dは、本発明に係る方法の第2の実施の形態の、構造化面を形成するための図2Cに続く工程を概略的に示している。
【図3】図3は、本発明に係る構造化面を有する一態様を示している。
【図4】図4は、本発明に係る構造化面を有する他の態様を示している。
【図5】図5は、本発明に係る構造化面を有するさらなる他の態様を示している。
【図6】図6は、本発明に係る構造化面を有する別の態様を示している。
【図7】図7は、本発明に係る構造化面を有するさらなる別の態様を示している。
【図8】図8は、本発明に係る構造化面を形成するための器具の概略を示している。
【図9】図9は、本発明に係る曲率を有するフィラメント状の突出部の形成の概略を示している。
【図10】図10は、本発明に係る動作可能な表面構造の概略を示している。
【図11】図11は、本発明に係る接着アイランドの様々な態様を示している。
【図12】図12は、本発明に従い形成された表面構造の電子顕微鏡像である。
【図13】図13は、本発明に従い形成された表面構造の電子顕微鏡像である。
【図14】図14は、本発明に従い形成された表面構造の電子顕微鏡像である。
【図15】図15は、本発明に係る構造化面を形成するためのさらなる器具の概略を示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメント状の複数の突出部を有する構造化面を形成する方法と、この方法により形成された構成物品とに関する。
【背景技術】
【0002】
境界面の特性、表面の光学的な特性または電気的な特性が、表面の構造化により変更され得ることが知られている。実際には、特に代表的な寸法ではμmないしnmの範囲での、例えば電気的または光学的な構成物品、センサ等の表面構造が、このような構造化の対象として適している。例えば、液体の加湿が抑制されることができるマイクロスケールの構造化面が、Z. Yoshimitsu ("Langmuir" vol. 18, 2002, pp. 5818-5812)に開示されている。水滴に対して、150°を超える接触角が、面上に50μmの径と148μmの高さとを有する柱体を配置することによりなされ得る。さらに、構造化により互いに接触した表面の互いの接着を果すことが知られている(米国特許第6737160号,Arzt et al. in "Acta Biomat." vol. 1, 2005, pp. 5-13,または独国特許第10223234号参照)。いわゆるロータス効果(欧州特許第1171529B1号参照)も、マイクロスケールの構造化面の化学組成の効果により説明されている。
【0003】
このような表面構造の効果は、通例、研究室での実験のフレームワークで以前から説明されてきている。しかし、実際上の慣例的な適用は、以前から限られた範囲のみでしか使用できなかった。なぜならば、フォトリソグラフィ技術やエッチング法を用いて数多くのフィラメント状の突出部を有する構造化面は、以下にあげるような欠点を有するからである。まず、このような方法は、技術の複雑さと大いに関係している。広範囲に渡る面の構造化は、非常に高コストになってしまう。さらに、代表的には20以下の小さなアスペクト比(長さと突出部の直径との比)のみを有する、代表的にはナノメートルの範囲(<1μm)の寸法であるこのような突出部が、従来技術により形成される。しかし、非常に多くを形成するためには、100以上のアスペクト比が望まれている。また、フォトリソグラフィやエッチング法は、従来の接着効果に適しているような、特定の方向に調整するための可変性や表面の構造の形態に制限があった。さらに、径の勾配や所定の材料の組成のようなサブ構造(substructure)を有する突出物は、従来技術では制限を受けるような方法でしか形成できない。
【0004】
独国特許第10353697号は、ポリマ材料の円柱形状の突出部分を有する構造化面の形成するための成形方法を開示している。この方法では、アスペクト比を増加させることが可能である。しかし、この方法による高度な技術の複雑さと、直線の形態での突出部に対する制限という欠点がある。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、従来の技術の欠点を克服した構造化面を形成するための、改良された方法を提供することである。本発明に係る方法は、広範囲に渡る面の場合でも低コストを実現することができ、また、広範囲に渡る適用が可能である。特に、表面構造の、特に、拡大されたアスペクト比の構造の、構造的、電気的、光学的、機械的の少なくとも1つの特性を調節する際の高い可変性を可能にする。さらに、本発明の目的は、構造化面を有する改良された構成物品を提供することである。この構成物品は、技術の複雑さを軽減し、コストを削減して形成されることができ、また、表面の物理的および化学的特性を調節する際の高い可変性を可能にする。
【0006】
これら目的は、本発明の請求項1並びに25の特徴を有する方法または構成物品により果される。効果的な実施の形態と本発明の適用装置とが、従属請求項により規定される。
【0007】
この方法に関連して、本発明は、流動可能な物質が、スタンプ面とパターン面との間で延伸されて、連結フィラメントのストランドが切断されるような、フィラメント状の突出部を有する面を与える一般的な技術の教示に基づいている。このパターン面は、化学的または構造的な形式の表面変化(modification)の所定の構造的なパターンを支持している。このパターンは、フィラメント状の突出部を形成するためのモデルを形成している。また、スタンプ面は、構造化されていない面を有する。これらパターン面とスタンプ面とは、これら両面が少なくとも一部の領域が相互に接近して互いに接触するようにして、互いに接触する形態を有し、これら一部の領域は、面または線形状の延長部を有し得る。
【0008】
流動可能な物質は、スタンプ面とパターン面との少なくとも一方内または上に設けられ、これら面は、スタンプ面とパターン面との相互の接触により、他方の面を湿らせる。パターン面とスタンプ面とが両方の面が互いに離れるように、互いに対して移動するならば、前記連結フィラメントのストランドは、特に、広がった状態での前記物質の粘度と表面張力とによって決定される。
【0009】
本発明の第1の実施の形態では、スタンプ面は、流動可能な物質の自由面(流体面)により形成され、連結フィラメントのストランドは、パターン面により延伸され、流動可能な物質の硬化が、延伸の間または後に設けられる。この連結フィラメントのストランドの分断を含む、前記パターン面と前記流体面との分離の後、所望のフィラメント状の突出部は、流体面、パターン面、またはこれらの両方に留まる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態では、スタンプ面は、固体(固体面)の面により形成され、パターン面が、流動可能な物質を支持している。この流動可能な物質は、互いに離れている部分的な領域(アイランド)の所定の構造の構成を有するパターン面に配置されており、前記フィラメント状の突出部の配置のためのモデルを形成する。前記固体面と前記パターン面との接触の間、前記流動可能な物質は、両方の面の連続的な分離移動の間に、最初に前記連結フィラメントのストランドが広がり、それから分断して、フィラメント状の突出部が前記固体面とパターン面との一方に形成されるように、固体面に接着する。本発明の第2の実施の形態は、流動可能な物質の貯蔵容器(reservoir)の準備が避けられ得るという効果を奏する。
【0011】
フィラメント状の全ての突出部は、前記パターン面の延伸の間、前記連結フィラメントのストランドの分断を、同時に、効果的に発生させることができる。この方法は、慣例的な構造化の技術よりもかなり簡単であり、dm2ないしm2の範囲か、これ以上の広範囲に渡る面の場合にも、問題なく使用されることができる。本発明に係る方法のさらなる重要な効果は、このフィラメント状の突出部が、非常に大きな長さ−直径のアスペクト比で使用され得ることである。十分に高い粘度が与えられると、前記流体面と前記パターン面との間の連結フィラメントのストランドが、この連結フィラメントのストランドの直径よりも大きな、例えば500倍の長さを有することができる。
【0012】
この装置に関連して、上述の目的は、流動可能かつ硬化可能な物質のフィラメント状の複数の突出部を備えた基部面を有する構成物品を提供する一般的な技術の教示により果される。このようなフィラメント状の突出部は、流動可能な状態で、前記物質の表面張力により形成される外形(表面の形態)を有する。このフィラメント状の突出部の外形は、前記物質が、2つの面の間に自由に広がる流動可能な状態を仮定した形態に、少なくとも複数の部分で、または局所的に一致する。
【0013】
本発明は、1つの面にフィラメント状の多数の突出部の構成体を形成するための方法を提供する。「フィラメント状の突出部」という用語は、ここでは基部面から自由端部へと延びた細長い構造を示している。このような構造は、代表的には、支柱、繊維、針、ロッドまたは毛の形態である。このようなフィラメント状の突出部は、数十nm(例えば100nm)ないし数cm(例えば3cm)の範囲の長さと、数nm(例えば10nm)ないし数mm(例えば5mm)の直径を有する構造を形成する。「流動可能な物質」という用語は、2つの物体の間でフィラメント状になるようにして広がる(伸びる)ことができ、この広がった状態でこのような形態を維持することができる全ての液体材料を示している。流動性が、特に、本発明の方法が実行される動作温度の所で与えられる。「構造化面」は、フィラメント状の複数の突出部を支持している物体の面の領域である。
【0014】
流体面と合わせることとは別に、連結フィラメントのストランドを延伸するためのパターン面が置かれる必要はないという効果を奏する。このようなパターン面が、例えば、滑らかな面を有するならば、フィラメント状の突出部の構成体は、ランダムに、または自己組織化によって起こり得る。しかし、これらフィラメント状の突出部の位置決めの制御の改良のために、本発明の実施の形態では、前記連結フィラメントのストランドと前記フィラメントの突出部との配置は、複数の接着アイランド(本発明の第1の実施の形態)と、パターン面に設けられている流動可能な物質の複数のアイランド(本発明の第2の実施の形態)とにより形成される。「接着アイランド」という用語は、ここではパターン面上に局所的に範囲を設定された各々の領域を示しており、流動可能な物質で湿らされるこのパターン面の機能は、残りのパターン面よりも上側に引き上げることと、流動可能な物質が与えられることにより好ましく塗らされることとである。このような接着は、前記物質と前記接着アイランドとの間に、流体面とパターン面との接触の間に効果的に形成される。この流動可能な物質は、好ましくは前記接着アイランドに接着されており、これら接着アイランドの間のパターン面は、接着機能が比較的少ない。前記連結フィラメントのストランドは、これら連結フィラメントのストランドの構造的な配置、並びにこの連結フィラメントのストランドが分断した後でさえも、フィラメント状の突出部の構造的な配置が、前記接着アイランドの構造によりパターン面上に与えられるように、前記流体面と前記パターン面の分離の間、これら接着アイランドに効果的に局在している。
【0015】
本発明の効果は、特に、フィラメント状の突出部の構成が、接着アイランドの所定のパターンを有するパターン面、または流動可能な物質のアイランドの使用により、正確に固定され得ることである。これらフィラメント状の突出部は、例えば規則的な形状に、例えば正方形の格子の構造に配置されることができ、本発明に係る構造化面または構成物品の機能に依存している。代わって、接着アイランドまたは流動可能な物質のアイランドの濃度とフィラメント状のアイランドの濃度とは、この構造化面が、フィラメント状の突出部の面の濃度勾配で形成され得るように、パターン面に沿って変化されても良い。このような接着アイランドまたは流動可能な物質のアイランドの準備は、前記フィラメント状の構成体が前記基部面で制御されることによる予めの構造化を示している。このような予めの構造化は、効果的に簡単であり、大きな領域に渡って経済的に実行可能である。
【0016】
本発明の第1の実施の形態のさらなる効果は、接着アイランドを設計する際に高い可変性を有することである。一般的に、接着アイランドは、この接着アイランドの構造的な構成と化学的な構成との少なくとも一方により、近くの周辺環境とは異なり得る。第1の態様に従って、このような接着アイランドがパターン面の凹凸構造部により形成されているならば、接着アイランドの規定された設定範囲と互いの配置とに関する効果を奏する。この凹凸構造部は、好ましくは、パターン面の局所的な突出部分を含み、前記流体面と前記パターン面とが互いに接近する際、最初に流動可能な物質と接触する。このような効果は、ここでの例では、接着アイランドの部分的な濡れに関係する。このような突出部分は、パターン面上のパーティクルや層によってのような、局所的なステップ上の構成により、好ましくは形成されている。代わって、凹凸構造部が、パターン面上の準備工程で、本発明に従い形成されるフィラメント状の突出部か、この突出部の一部により形成されても良い。この凹凸構造部は、例えば流体面とパターン面とに接触する流動可能な物質を収容するキャビティの形態で、パターン面の局所的な互い違いの凹所を有する。
【0017】
第2の態様では、前記複数の接着アイランドが、化学的に変化される(modified)パターン面の領域を有する場合に、物質とパターン面との間の接着による接触を改良するために効果的を奏し得る。化学的な変化領域は、前記フィラメント状の突出部が局所的な良い接着を果すために形成される物質に、特別に配置されることができる。化学的に変化される接着アイランドを提供するための物質は、好ましくは、延伸される突出部の材料、または極性または無極性(apolarity)のアカウント(account)を延伸させる突出部の材料と結合を形成する材料である。第1の場合には、接着アイランドは、流動可能な物質を有する。第2の場合の、代わりの例は、Y−(COOH)x,Y−(NH)x−NH2,Y−(CH2)x,メチルメタクリレート、Y−OH、金や銀のような金属である(ここで、Yは、パターン面の材料と結合する機能的な化学成分であり、たとえば、Au上での結合のためのOH基を有するチオール、ガラス面でエステルと結合する反応構成のためのシラン基である)。
【0018】
さらなる態様では、接着アイランドは、突出部分または濃縮部分での化学変化を有する凹凸構造部により形成されても良い。化学的に変化される凹凸構造部の準備は、含まれる材料の、特に、パターン面の材料の一方側および流動可能な物質の一方側での選択において、可撓性を増加させる効果を奏する。
【0019】
前記接着アイランドは、前記パターン面の側に連結フィラメントのストランドの基部を形成する。従って、所定の断面が、この接着アイランドの形状の関数として、連結フィラメントのストランドとフィラメント状の突出部とに効果的に押圧されることができる。例えば、円形の接着アイランドが、円形の断面を有するフィラメント状の突出部を形成するために、使用されることができる。フィラメント状の突出部の機械的な特性の異方性のために、例えばフィラメント状の突出部のヤングモジュール、例えば楕円形または角のある接着アイランドが、代わりに使用されても良い。
【0020】
本発明の第2の実施の形態は、構造化された構造部材を効果的に提供する。前記フィラメント状の複数の突出部は、付加的な凹凸構造も化学変化もないパターン面およびスタンプ面に直接接着される。この場合、以下の様々な態様が、効果的に実現されることができる。第1の態様では、流動可能な物質のアイランドが、パターン面に普遍的に接着されている。この流動可能な物質とパターン面の材料とは、互いに化学的に相溶性があり、即ち、特に、例えば付加的な反応により、溶融された状態で混合されることができるか、化学的な化合物を形成するかの少なくとも一方に適している。化学的な化合物は、好ましくは、例えば、熱的または光化学的なラジカル結合(例えばアクリル基による)により、または、流動可能な物質およびパターン面の材料(例えば溶媒の蒸発による)の部分的なエッチングにより、流動可能な物質とパターン面との間に与えられる。流動可能な物質とパターン面の材料とが同じ化学組成であるならば、確実な結合による特別な効果が生じる。流動可能な物質のアイランドの延伸の間、パターン面とスタンプ面との接触および連続的な分離移動の後、フィラメント状の突出部が、このパターン面に形成される。第2の態様では、これらフィラメント状の突出部は、化学的な化合物が、固体面とパターン面との接触の間に、前記流動可能な物質と固体面との間に形成されるようにして、固体面に形成される。この場合、流動可能な物質のアイランドは、パターン面に接着のみにより固着されなければならない。従って、第2の態様では、流動可能な物質と固体面の材料との化学組成は、同じであることが好ましい。
【0021】
本発明の第2の実施の形態では、流動可能な複数のアイランドは、好ましくはコロイドのポリマのパーティクルにより形成されている。このようなパーティクルは、例えば動作温度の関数として、パターン面の流動可能な物質の位置決めと流動特性の調整とで特別な効果を奏する。このようなポリマのパーティクルは、好ましくはポリスチレンまたはポリアクリレートのような溶融可能なポリマからなる。微細構造の形成のために、50nmないし20μmの範囲の、好ましくは100nmないし10μmの直径のパーティクルが、好ましくは使用される。
【0022】
本発明の特に好ましい態様では、流動可能な物質の硬化が、フィラメント状の突出部の形成に与えられる。「硬化」という用語は、ここでは形状が安定するまでのこの物質の凝固を示している。この硬化の後、例えばカバー層による、突出部の付加的な安定化が、効果的に省略されても良い。この硬化は、第1の態様で、前記連結フィラメントのストランドの延伸の間に起こる。この場合、連結フィラメントのストランドの延伸は、前記物質が十分に硬化されるとすぐに、この連結フィラメントのストランドを引き裂くことによって、自動的に効果的に終わる。第2の態様では、前記連結フィラメントのストランドの分断の後まで、前記物質の硬化が与えられないように、与えられることができる。この場合、フィラメント状の突出部の長さの調節が、再現性を有するという効果を奏する。
【0023】
別の硬化の処理が、個別に、または組合せて、効果的に使用されることができる。連結フィラメントのストランドの物質の溶剤の蒸発の間、前記硬化が、付加的な測定なしで効果的に起こる。さらに、冷却による物質の凝固または物質の架橋が与えられ得る。このような架橋は、光照射によって始まる流動可能な物質の異なる構成成分間の反応のような、化学的または物理的な効果による連結フィラメントの内面の変化を含む。
【0024】
代わって、フィラメント状の突出部は、流動可能な物質の流動面に設けられても良い。この場合、この物質の硬化は、フィラメント状の突出部の安定化ではなく、この実施の形態でのフィラメント状の突出部のための基材を形成する固体層に流体面を転換することを含む。この基材とフィラメント状の突出部とは、ここでは同じ物質からなることが好ましい。
【0025】
本発明のさらなる態様では、フィラメント状の突出部の形成は、外部の物理的なまたは化学的な作用(action)の関数として、前記物質の硬化の間に、特に、連結フィラメントのストランドの分断の後に与えられても良い。例えば、温度またはpH依存性の表面張力や、特定の誘電的または磁気的特性を有するポリマが、流動可能な物質として使用されることができる。この場合、フィラメント状の突出部は、特に、硬化の間、例えば、温度調節(tempering)、環境中の所定のpHを与えること、電場と磁場との少なくとも一方を与えることによって、変形されることができる。
【0026】
本発明のさらなる硬化は、フィラメント状の突出部の形状の選択が、非常に富んでいることである。例えば、直線的な、または曲線的なフィラメント状の突出部が、構造化面の所望の構成に基づいて形成されることができる。第1の態様では、流体面とパターン面との分離移動が、直線的な参照線に沿って起こると、連結フィラメントのストランドは、直線的になるようにして、この参照線に対応して広がる。例えば、これらのストランドは、隣接している面に、例えば流体面またはパターン面に対して、垂直にまたは傾斜し得る。直線的なフィラメント状の突出部は、延伸の間または後に硬化されることができる。第2の態様では、流体面とパターン面との分離移動が、湾曲したり、傾斜したり、捩れた突出部をも形成するように、直線的な、傾斜した、または曲線的な参照線に沿って起こる。この場合、硬化は、連結フィラメントのストランドの延伸の間に起こる。
【0027】
本発明のさらなる態様では、連結フィラメントのストランドの延伸の速度の変化が与えられるならば、付加的な径の勾配が、フィラメント状の突出部の長さに沿って効果的に形成されることができる。流体面とパターン面との分離移動の速度が、最初は遅い速度であるならば、連結フィラメントのストランドは、比較的速い分離移動の速度での場合よりも厚い径を有する。
【0028】
本発明の好ましい態様では、流動可能な物質は、少なくとも1つの有機ポリマ、少なくとも1つの有機物/無機物を組合せたポリマのような、少なくとも1つのポリマの化合物を含む。少なくとも1つのポリマを使用することにより、溶媒の除去および調節による硬化の制御が特に容易であるという効果を奏する。好ましくは、使用されるポリマは、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)(PDMS)(付加的な構成成分により硬化可能)、ポリビニルピリジン(polyvinylpyridine)、ポリスチレン、ポリホスファゼンおよびポリエチレングリコールである。代わって、流動可能な物質は、アクリレート、メタクリレート、アルケン、二トリルおよび負荷重合、縮合重合等による2つの構成成分の他のモノマの混合物のような、少なくとも1つの架橋可能なモノマ(飽和していない炭素結合)を含む。
【0029】
本発明のさらなる態様では、流動可能な物質は、前記フィラメント状の突出部が、化学的、誘電的、光学的および磁気的特性の少なくとも1つが変化可能な、少なくとも1つの付加的な物質を含むならば、構造化面の形成の間または構造化面の適用の間、所定の突出部の形態の調整のために効果を奏することができる。本発明では、動的な表面構造が、外部からの働きが与えられ得ることによって制御されることができる。フィラメント状の突出部は、磁気的なコロイドや特別な誘電特性を有するコロイドのような付加的な物質を含む。さらに、中性の媒質の場合、例えばポリビニルピリジンが、酸性の水溶液中に加えられる付加的な物質として使用されることができる。
【0030】
本発明のさらなる態様では、フィラメント状の突出部の先端の処理が与えられても良い。この先端の処理は、フィラメント状の突出部の自由端部に太径部(creation of thickening)を含む。この先端の処理は、連結フィラメントのストランドの分断した後に与えられる。この先端の処理は、例えば、これら先端に球体の太径部を形成するように、フィラメント状の突出部の自由端部の局所的な加熱処理を含む。さらなる態様では、真空蒸着によってのような、フィラメント状の突出部のコーティングが与えられる。さらに、本発明のさらなる態様では、フィラメント状の突出部は、カバー層で覆われても良い。この場合、適切な物質が選択されれば、フィラメント状の突出部の硬化は、省略されても良い。
【0031】
本発明に係る好ましい構造化面の適用装置は、接着面の形態および気体貯蔵容器中に在る。このような気体貯蔵容器は、フィラメント状の突出部の動的かつ機械的な特性により形成され得る。外部の液体の圧力が、気体が、本発明に係る構造化された物体の液体層に貯蔵されることができるように、突出部の変形と加湿の度合を変化させることによって、補正することができる。この効果は、自然界ではプラストロン効果(plastron effect)として知られており、例えば特定の水中動物で見られる(例えば、D. J. Crisp in "Discussions of the Faraday Society London" vol. 3, 1948, pp. 210 220参照)。
【0032】
本発明のさらなる詳細と効果とが、添付図面の記載を参照して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図は、拡大して概略的に示されており、スケールは正確ではない。特に、図1並びに図2には、1連の3つの突出部のみの形成工程が示されているが、実際には、非常に多くの線状の突出部またはフィラメント状の突出部の面の構成体が形成される。さらに、これら突出部は、実際には、特にテーパが微小な長さを超えてこれら突出部の基部に与えられた他の形態を有し得るが、これら突出部の残りの部分の直径の大きさは、実質的に一定である。
【0034】
図1Aないし図1Dは、本発明の第1の実施の形態に係る、フィラメント状の複数の突出部11を有する構造化面10の形成工程を示している。図1Aは、準備工程を示しており、流動可能な物質20と、パターン面31.1を有する延伸装置30とが設けられ、これらは、互いに関連して配置されている。この物質20は、例えばコンテナ中に、自由流体面21.1を有するように配置されている。この延伸装置30(図1A)は、駆動装置と温度調節装置とを有し(図1Aには示されていない、図8参照)、これにより、前記パターン面31.1は、移動され、温度を調節されることができる。このパターン面31.1は、前記流体面21.1に対面している。これら両方の面は、水平かつ互いに平行に配置されており、また、このパターン面31.1は、前記フィラメント状の突出部11の形成のためのテンプレートとして機能する複数の接着アイランド32を支持している。
【0035】
前記パターン面31.1は、例えば有機物または無機物(例えばプラスチック、特にPDMS、ポリスチレン、エポキシ樹脂、PMMA、アクリレート、セラミクス金属、半導体、特にAu、Ag、TiO2、ZnO2、Si、SiO2、炭素を主とした複合材料または強化複合材料)のプレート形状の基材を有する。前記接着アイランド32は、例えば4nmの直径のパーティクル、例えばマイクロメートル(例えば100μm)までの金(いわゆる金のナノポイント)の直径のパーティクル、例えばポリスチレン、SiO2、TiO2のコロイドの直径のパーティクルを有する。この接着アイランド32は、例えば、フォトリソグラフィにより形成されるか、型押し(stamp)を加えられるかの、少なくとも一方の物質のポリマの表面の自己組織化の処理によって、形成されることができる。
【0036】
図1Aに係る状態では、前記流動可能な物質は、最初はまだ固体であり得る。この場合、準備工程は、加熱装置(図1Aには示されていない、図6参照)で、前記物質20の融解温度または軟化温度を超えた温度に、この物質20の加熱する工程を含む。
【0037】
図1に係る説明から外れて、前記流動可能な物質20を有するコンテナまたはキャリアが、前記パターン面31.1に対する前記流体面21.1の位置決めと移動とを行うために、延伸装置に接続されても良い。
【0038】
前記流動可能な物質20は、皿のようなコンテナ中、もしくはガラスまたはポリマのフォイルのようなキャリア上に配置される。例えば、ポリビニルピリジン(PVP)(MW=60.000g/mol)が、エタノール中に約20wt%の濃度で溶解される。このPVP溶液は、ガラスの面に薄層として塗布されて、乾燥される。続いて、この乾燥されたPVPは、ポリマを軟化させるために加熱される。例えば、PVPは、約60℃ないし140℃に加熱される。
【0039】
前記パターン面31.1は、図1Bのように、このパターン面31.1の少なくとも一部の前記接着アイランド32が前記物質20と接触するまで、前記流体面21.1に近づけられる。これら接着アイランド32のグループは、この流体面21.1に同時に接触する。このグループは、例えば前記パターン面31.1の全ての接着アイランド32を含み、もしくは、ローラ(図14参照)のように、曲面のパターン面31.1が使用されるときは、接着アイランド32の少なくとも1つの列を含む。これら接着アイランド32の厚みは、例えば10nmであるので、このパターン面31.1は、これら接着アイランド32のみが前記物質20で濡らされるようにして、前記流体面21.1に接触することができる。しかし、代わって、このパターン面31.1は、流体面21.1に完全に接触するか、浸漬されても良い。なぜならば、物質20は、これら接着アイランド32の間に位置している領域よりも接着アイランド32により接着することができるからである。
【0040】
続いて、図1Cに従い、互いに関連する前記流体面21.1と前記パターン面31.1との分離移動が起こる。原則として、パターン面31.1が引き上げられるが、代わってまたは付加的に、流体面21.1が動かされても良い(矢印参照)。この移動は、例えば垂直方向に、もしくはこの流体面21.1に対する剪断運動のように起こる(点線の矢印並びに図14参照)。この移動の速度は、材料の特性と所望の突出部の形状との関数として選択され、上述のPVP層の場合には、1秒当たり0.1ミリメートルないし10ミリメートルの範囲で選択される。前記流動可能な物質20によるこの接着は、連結フィラメントのストランド22が、前記接着アイランド32と流体面21.1との間に広がるように、これら接着アイランド32の面に保たれる。
【0041】
前記分離移動の間、前記流動可能な物質20(PVP溶融体)の前記上昇された温度に保たれ、一方、前記パターン面31.1は、室温、または前記延伸装置の温度調節装置により調節された動作温度である。この動作温度は、室温から外れても良い。この温度調節装置は、冷却のために設けられても良い。従って、温度勾配が、前記パターン面31.1と前記物質20との間に与えられる。前記連結フィラメントのストランド22の硬化は、この温度勾配の経過に従い、前記接着アイランド32を起点として始まる分離移動の間に起こる。同時に、外形が、前記パターン面31.1からの距離の増加により、前記連結フィラメントのストランド22のテーパにより明確に分けられるように、最小の表面が、延伸の間にもなお流動可能なこの材料の表面張力により設定される。
【0042】
前記パターン面31.1と前記流動可能な物質20とが離れるような延伸の結果、この流動可能な物質は、前記接着アイランド32に接着する。例えばポリマのPVPであるこの物質20は、前記溶媒の蒸発と、溶解しているポリマの冷却との少なくとも一方によって、前記延伸の処理の間にまたは後に凝固される。前記連結フィラメントのストランド22(フィラメント状のポリマ)が形成され、このストランドのパターン面31.1上の起点は、前記接着アイランド32の構成体によって与えられ、また、このストランドの向きは、このパターン面31.1の延伸の方向にほぼ依存している。このストランドの形態、長さ、機械的および光学的特性のようなさらなる特性は、この物質の凝固(硬化)速度と同様に、延伸速度と、この物質20の組成、分子の重さ、ポリマの架橋の度合、粘度または粘弾性度のようなこの物質の物理的特性とによって決定され得る。具体的に行われる動作のパラメータは、必要に応じて、実験により選択される、または最適化されることができる。連続的な分離移動の間、前記フィラメント状の突出部11が、前記パターン面31.1に留まるように、前記連結フィラメントのストランドの分離が起こる。かくして、前記流体面21.1からの突出部分は、溶解、または溶融している物質20に戻る。
【0043】
図2Aないし図2Dは、本発明の第2の実施の形態に係る、対応する方法の工程を示している。この工程は、第1の実施の形態とは異なり、パターン面31.2上に複数のアイランド36の形態で流動可能な物質20が与えられ、また、固体面として、対向するスタンプ面21.2が形成されている。上述の図1Aないし図1Dに関して説明された工程と同様の移動工程により、最初に、このスタンプ面21.2と前記アイランド36(図2B)を有するパターン面31.2との相互の接触が起こり、続いて、分離移動が、前記連結フィラメントのストランド22が広がるように起こる(図2C)。この連結フィラメントのストランド22の硬化が、前記分離移動の間に起こり、さらに、前記フィラメント状の突出部11が、前記スタンプ面21.2上と前記パターン面31.2上との少なくとも一方に留まるように、最小の直径の領域で、分断が起こる。
【0044】
前記パターン面31.2が、前記流動可能な物質20と化学的な相溶性があり、化合物を生成し得るならば、前記複数のアイランド36は、このパターン面31.2に固着される。これらアイランド36は、例えば200nmの直径のポリスチレンのパーティクルでできており、部分的な溶解によって、ポリスチレンのパターン面31.2に結合されている。一般的に、前記流動可能な物質20と前記パターン面31.2の材料とは、このパターン面31.2の融解温度が流動可能な物質20の融解温度よりも高いようにして選択される。この条件は、パーティクル形状の前記アイランド36とパターン面31.2の材料とが同じ化学組成を有するが異なる鎖のポリマの長さである点で、ポリマのパーティクルにより効果的に満たされることができる。前記固体面21.2は、金属(例えば銅、鋼、これらの合金)でできており、パターン面とスタンプ面との接触の間のこれら面の温度は、前記流動可能な基材20を溶融するために上昇される。代わって、固体面21.2は、セラミック材料またはガラスでできていても良い。前記分離移動の結果、好ましくは、前記フィラメント状の突出部が、パターン面31.2に作られる。
【0045】
代わって、前記流動可能な物質20と前記パターン面31.2とは、化学的な相溶性のない材料でできていても良い。例えば、溶融可能なポリマのパーティクル形状の複数のアイランド36が、金属(例えば、銅、鋼、これらの合金)のパターン面31.2に設けられる。これらアイランド36は、化学的な結合をすることなくパターン面31.2に接着される。前記固体面21.2は、前記流動可能な物質20が化学的な化合物を形成し得る材料でできている。これらパターン面およびスタンプ面の接触の間(図2B)、これら流動可能な物質20は、前記固体面21.2に接触される。同時に、流動可能な物質20が、これらパターン面と固体面との少なくとも一方を介して加熱される。この流動可能な物質20の固体面21.2への結合は、例えば部分的な溶解または化学的な結合を、また、例えば光化学的な架橋を含む。続いて、前記連結フィラメントのストランドを延伸して、前記フィラメント状の突出部を形成するための分断が起こる。
【0046】
以下の方法の態様の説明は、本発明の第1の実施の形態に係る例を参照する。対応する態様が、同様に第2の実施の形態で理解され得る。
【0047】
本発明に係る構造化面10を有する構成物品100が、図3に示されているように、基材33に前記フィラメント状の突出部11が配置された前記パターン面31.1を有する。さらに、図4ないし図6には、本発明に係る構成物品100の他の態様が示されている。図4では、前記物質20の面も、例えば、前記フィラメント状の突出部11が、固体の基材23に転換される流体相に形成されるように、冷却または溶媒の除去によって、前記連結フィラメントのストランド22の延伸(例えば図1C参照)の間に硬化される。この基材23は、キャリア24に安定化(stabilized)されている。この場合、構成物品100は、前記基材23と前記フィラメント状の突出部11とを備えたキャリア24を有する。
【0048】
図5並びに図6は、構成物品100の完成後のさらなる処理工程を示している。図5では、前記複数の突出部11の自由端部に太径部12が設けられている。図6では、これら突出部11が、カバー層13で覆われている。この実施の形態は、例えば、前記突出部11が環境の影響から保護されるべき構造化面の光学的な適用装置に適している。構成物品100の完成後の処理工程は、光の照射によるこれら突出部の硬化を、代わりに、または付加的に含んでも良い。
【0049】
図7は、前記複数の突出部11が複数の層を有するようにして(in multi−layer manner)形成された、本発明のさらなる態様を示している。この目的のために、上述の方法で増産が行われ、特定の形成された突出部は、フィラメント状の連続的な延伸により接着アイランドとして使用される。これら突出部11の延伸部14は、これら突出部11と同じ材料か、違う材料により形成され得る。
【0050】
図8は、明確化のために、前記パターン面31.1の態様が前記接着アイランド32上の単一の突出部11のみを有する、構造化面10の形成のための器具200を概略的に示している。この器具200は、駆動装置34と温度調節装置35とを有する延伸装置30と、前記流動可能な物質20を収容するためのキャリアまたはコンテナ41を有する加熱装置40と、前記連結フィラメントのストランド並びに突出部11の形態が、延伸の処理の間に影響を及ぼすことができる調整装置50とを有する。
【0051】
前記駆動装置34は、前記パターン面31.1に配置され、このパターン面の位置を変化させるように機能する。この目的のために、例えばステッピングモータが設けられる。前記温度調節装置35並びに前記加熱装置40は、例えば抵抗加熱を含む。
【0052】
前記調整装置50は、例えば、前記突出部11の曲面が形成される動きの下で磁場を発生させるための磁石(永久磁石か電磁石)を含む。この目的のために、前記物質20は、磁気性のコロイドのような付加的な物質を含む。代わって、前記突出部の形状に影響を与えるための磁場は、前記調整装置50により発生されても良い。本発明の特別な効果は、この調整装置50が、全ての突出部が一様な形状に形成され得るように、全ての突出部で同時に機能することである。
【0053】
さらなる態様では、前記調整装置50は、前記突出部11の形態の化学的な作用により形成され得る。図1または図2に係る連結フィラメントのストランド22の延伸での構造化の処理は、気体環境中では強制的に生じなくとも良いが、代わって、液体中では与えられ得る。曲線的な突出部は、前記連結フィラメントのストランドの分断後に、液体のpHを調整することにより生産されることもできるが、硬化の完了前に与えられても良い。液体中での本発明に係る表面構造は、温度制御に対する気体環境での処理と比較して、前記流動可能な物質の前記延伸されたフィラメントから溶媒を取り除く制御能力と、特に、高い面密度を有する突出部の、突出部の機械的な分離による能力とで、効果を奏する。
【0054】
図9は、垂直面から逸れた方向(矢印参照)への延伸による、曲線的な複数の突出部11の形成の一例を示している。この分離移動は、前記流体面21.1に対して直線的な、または曲線的な参照線に沿って起こる。この延伸の方向は、これら突出部の方向と形態との少なくとも一方に影響を与えるように、この分離移動の間に変化されることができる。
【0055】
曲線的な複数の突出部は、図10に概略的に示されているように、動的にスイッチを切り換えることができる面に、効果的に使用されることができる。例えば、図9に係るPVPの曲線的な突出部が、中性の周囲媒質中に在るならば、これら突出部は、酸性の媒質中のpHの変化によって直線的になる。対応するスイッチの働きは、温度変化によって果されても良い。このスイッチは、構造化面の光学的な適用装置、またはセンサ技術の適用装置のために適し得る。
【0056】
図11は、接着アイランドの様々な態様の概略的な正面図である。円形の基部32A、正方形の基部32Bに代わって、前記構造化面の機械的な異方性を発生させるために、楕円形の基部32C、菱形の基部32Dのように、特に、少なくとも1つの好ましい方向を有する基部が設けられても良い。参照部号32Eは、例えば、点状の接着アイランドを示している。代わって、このような接着アイランドが、4より多い角を含む基部を有するならば、本発明に係るフィラメント状の延伸の機械的な安定化のために効果を奏し得る。
【0057】
図11ないし図14は、本発明に従い形成されたポリビニルピリジンの表面構造の電子顕微鏡像を示している。図14では、本発明に従い、巻き線を有する突出部が形成され、この巻き線は、過度の剪断運動の間のポリマの硬化により形成され得る。
【0058】
図15は、前記曲線的な突出部11を有する構造化面10を形成するための器具201のさらなる実施の形態の詳細を示している。この実施の形態は、本発明に係る構造化面を有する極めて多くの材料の生産に、特に十分に適している。この器具は、前記流動可能な物質20を有するコンテナ41内に浸漬しているローラ42を有し、このコンテナ41の外側で前記接着アイランド32を有するパターン面31.1に接触する。このコンテナ41とローラ42との少なくとも一方のための前記加熱装置と、光学的な前記調整装置(図8参照)とは、図示されていない。
【0059】
駆動装置(例えばモータ、図示されていない)が、前記ローラ42の回転の間、矢印の方向に前記パターン面31.1を動かすために設けられる。このローラ42の回転により、前記流動可能な物質20の層が、この物質の円筒体の面と前記パターン面31.1に面する自由流体面とに形成される。この結果、前記接着アイランド32は、前記連結フィラメントのストランドと前記突出部11(拡大して示されている)の形態が、延伸の処理の間に影響を及ぼし得る、前記流動可能な物質の流体面に対して剪断運動を果す。前記パターン面31.1は、図示されているように、キャリアに配置されることができ、または、代わって、さらなるローラで、前記ローラ42を超えて導かれることができる。
【0060】
上述の説明、図面および特許請求の範囲に規定された本発明の特徴は、異なる実施の形態において、本発明の実施のために各々を組み合わせて使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1A】図1Aは、本発明に係る方法の第1の実施の形態の、構造化面を形成するための準備工程を概略的に示している。
【図1B】図1Bは、本発明に係る方法の第1の実施の形態の、構造化面を形成するための図1Aに続く工程を概略的に示している。
【図1C】図1Cは、本発明に係る方法の第1の実施の形態の、構造化面を形成するための図1Bに続く工程を概略的に示している。
【図1D】図1Dは、本発明に係る方法の第1の実施の形態の、構造化面を形成するための図1Cに続く工程を概略的に示している。
【図2A】図2Aは、本発明に係る方法の第2の実施の形態の、構造化面を形成するための準備工程を概略的に示している。
【図2B】図2Bは、本発明に係る方法の第2の実施の形態の、構造化面を形成するための図2Aに続く工程を概略的に示している。
【図2C】図2Cは、本発明に係る方法の第2の実施の形態の、構造化面を形成するための図2Bに続く工程を概略的に示している。
【図2D】図2Dは、本発明に係る方法の第2の実施の形態の、構造化面を形成するための図2Cに続く工程を概略的に示している。
【図3】図3は、本発明に係る構造化面を有する一態様を示している。
【図4】図4は、本発明に係る構造化面を有する他の態様を示している。
【図5】図5は、本発明に係る構造化面を有するさらなる他の態様を示している。
【図6】図6は、本発明に係る構造化面を有する別の態様を示している。
【図7】図7は、本発明に係る構造化面を有するさらなる別の態様を示している。
【図8】図8は、本発明に係る構造化面を形成するための器具の概略を示している。
【図9】図9は、本発明に係る曲率を有するフィラメント状の突出部の形成の概略を示している。
【図10】図10は、本発明に係る動作可能な表面構造の概略を示している。
【図11】図11は、本発明に係る接着アイランドの様々な態様を示している。
【図12】図12は、本発明に従い形成された表面構造の電子顕微鏡像である。
【図13】図13は、本発明に従い形成された表面構造の電子顕微鏡像である。
【図14】図14は、本発明に従い形成された表面構造の電子顕微鏡像である。
【図15】図15は、本発明に係る構造化面を形成するためのさらなる器具の概略を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメント状の複数の突出部(11)を有する構造化面(10)を形成するための方法において、
スタンプ面(21.1,21.2)とパターン面(31.1,31.2)との少なくとも一方が流動可能な物質(20)でできており、これらスタンプ面(21.1,21.2)とパターン面(31.1,31.2)とを互いに接触させる工程と、
前記流動可能な物質(20)の複数の連結フィラメントのストランド(22)が、前記スタンプ面(21.1,21.2)と前記パターン面(31.1,31.2)との間で延伸されるように、これらスタンプ面(21.1,21.2)とパターン面(31.1,31.2)とを分離移動させる工程と、
前記フィラメント状の突出部(11)が、前記スタンプ面(21.1,21.2)と前記パターン面(31.1,31.2)との少なくとも一方に形成されるように、前記連結フィラメントのストランド(22)を分断する工程とを具備することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記スタンプ面は、前記流動可能な物質(20)の流体面(21.1)により形成されており、
前記パターン面(31.1)は、複数の接着アイランド(32)を有し、また、
前記物質(20)は、このパターン面(31.1)と前記流体面(21.1)との接触により、これら接着アイランド(32)に接着する請求項1の方法。
【請求項3】
前記接着アイランド(32)は、前記パターン面(31.1)の凹凸構造部と化学変化を有する領域との少なくとも一方により形成されている前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項4】
前記パターン面(31.1)の前記凹凸構造部は、局所的な複数のステップ、予め形成された複数のフィラメント、またはこれらの組合せにより形成されている請求項3の方法。
【請求項5】
前記複数のステップは、前記パターン面(31.1)に、複数のパーティクルまたは複数の層の分離により形成されている請求項4の方法。
【請求項6】
前記フィラメント状の突出部(11)は、前記流体面(21.1)に形成され、
この流体面(21.1)は、固体の基部層(23)に転換される前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項7】
前記スタンプ面は、固体面(21.2)により形成されており、
前記パターン面(31.2)は、前記流動可能な物質(20)の複数のアイランド(36)を支持し、また、
前記物質(20)は、このパターン面(31.2)と前記固体面(21.2)との接触により、この固体面(21.2)に接着する請求項1の方法。
【請求項8】
前記流動可能な物質(20)の前記アイランド(36)は、前記パターン面(31.2)に接合されており、
前記フィラメント状の突出部(11)は、このパターン面(31.2)に形成される請求項7の方法。
【請求項9】
前記パターン面(31.2)並びに前記流動可能な物質(20)は、同じ化学組成を有する請求項8の方法。
【請求項10】
前記流動可能な物質(20)は、前記固体面(21.2)と前記パターン面(31.2)との接触により、この固体面(21.2)に接触し、
前記フィラメント状の突出部(11)は、この固体面(21.2)に形成される請求項7の方法。
【請求項11】
前記固体面(21.2)並びに前記流動可能な物質(20)は、同じ化学組成を有する請求項10の方法。
【請求項12】
パーティクルは、コロイドのポリマのパーティクルを含む請求項7ないし11のいずれか1の方法。
【請求項13】
前記コロイドのポリマのパーティクルは、50nmないし20μmの範囲の直径を有する請求項12の方法。
【請求項14】
前記物質(20)の硬化がなされる前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項15】
前記物質(20)の前記硬化は、前記連結フィラメントのストランド(22)が延伸される工程の間と分断する工程の後との少なくとも一方で起こる請求項14の方法。
【請求項16】
前記物質(20)の前記硬化は、この物質(20)から外部への溶媒の蒸発と、冷却によるこの物質(20)の凝固と、この物質(20)の架橋とを含む処理の少なくとも1つを含む請求項14ないし15の方法。
【請求項17】
外部からの働きによる前記フィラメントの突出部(11)の形成が、前記物質(20)の前記硬化の間になされる請求項14ないし16のいずれか1の方法。
【請求項18】
前記分離移動は、直線的な移動であり、直線的なフィラメント状の複数の突出部(11)が形成される前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項19】
前記分離移動は、曲線的な移動であり、曲線的なフィラメント状の複数の突出部(11)が形成される請求項1ないし17のいずれか1の方法。
【請求項20】
前記分離移動の間、相対的な前記スタンプ面(21.1,21.2)の速度と前記パターン面(31.1,31.2)の速度とが変化される前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項21】
前記流動可能な物質(20)は、有機ポリマ、有機−無機複合ポリマおよび架橋可能なモノマの少なくとも1つを含む前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項22】
前記流動可能な物質(20)は、前記フィラメント状の突出部(11)の化学的、誘電的、光学的または磁気的な特性を変化させることが可能な少なくとも1つの付加的な物質を含む前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項23】
前記フィラメント状の突出部(11)の先端の処理がなされる前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項24】
前記接着アイランド(32)または前記パーティクルは、延伸される間に前記連結フィラメントのストランドに押圧される所定の構成の位置に配置されている請求項2ないし23のいずれか1の方法。
【請求項25】
フィラメント状の複数の突出部(11)が、流動可能かつ硬化可能な物質(20)により形成された基材(23,33)を有する構成物品(100)において、
前記フィラメント状の突出部(11)は、これら突出部の長さ方向に少なくとも局所的に沿った外形を有し、この外形は、前記物質(20)が、延伸の処理の間、自由な連結フィラメントのストランドを形成する状態でこの物質(20)の表面張力と粘度とによって決定される構成物品(100)。
【請求項26】
前記フィラメント状の突出部(11)は、有機ポリマ、有機−無機複合ポリマおよび架橋可能なモノマの少なくとも1つを含む請求項25の構成物品。
【請求項27】
前記フィラメント状の突出部(11)は、このフィラメント状の突出部(11)の化学的、誘電的、光学的または磁気的な特性を変化させることが可能な、少なくとも1つの付加的な物質を含む請求項25もしくは26の構成物品。
【請求項28】
前記フィラメント状の突出部(11)は、前記基材の面(23,33)から直線的に、または曲線的に突出している請求項25ないし27のいずれか1の構成物品。
【請求項29】
前記フィラメント状の突出部(11)は、これら突出部の長さ方向に沿った直径勾配を有する請求項25ないし28のいずれか1の構成物品。
【請求項30】
前記フィラメント状の突出部(11)は、これら突出部の端部に太径部(12)を有する請求項29の構成物品。
【請求項31】
前記フィラメント状の突出部(11)は、カバー層(13)で覆われている請求項25ないし30のいずれか1の構成物品。
【請求項32】
前記基材(23)と前記フィラメント状の突出部(11)は、同じ物質からなる請求項25ないし31のいずれか1の構成物品。
【請求項33】
前記基材(23)は、パターン面(31.1)を有し、
このパターン面に、複数の接着アイランド(32)が、所定のパターンで配置されており、
前記フィラメント状の突出部(11)が、これら接着アイランド(32)に接着されている請求項25ないし32のいずれか1の構成物品。
【請求項34】
前記接着アイランド(32)は、前記パターン面(31.1)の凹凸構造部と、このパターン面(31.1)の化学変化との少なくとも一方を有する請求項33の構成物品。
【請求項35】
前記パターン面(31.1)の前記凹凸構造部は、局所的な複数のステップ、予め形成された複数のフィラメント、またはこれらの組合せにより形成されている請求項34の構成物品。
【請求項36】
前記複数のステップは、前記パターン面に、複数のパーティクルまたは複数の層により形成されている請求項35の構成物品。
【請求項37】
前記基材(23)は、前記フィラメント状の突出部(11)が直接接着するパターン面またはスタンプ面(21.2,31.2)を有する請求項25ないし32のいずれか1の構成物品。
【請求項38】
前記フィラメント状の突出部(11)は、複数の層を有するようにして形成される請求項25ないし37のいずれか1の構成物品。
【請求項1】
フィラメント状の複数の突出部(11)を有する構造化面(10)を形成するための方法において、
スタンプ面(21.1,21.2)とパターン面(31.1,31.2)との少なくとも一方が流動可能な物質(20)でできており、これらスタンプ面(21.1,21.2)とパターン面(31.1,31.2)とを互いに接触させる工程と、
前記流動可能な物質(20)の複数の連結フィラメントのストランド(22)が、前記スタンプ面(21.1,21.2)と前記パターン面(31.1,31.2)との間で延伸されるように、これらスタンプ面(21.1,21.2)とパターン面(31.1,31.2)とを分離移動させる工程と、
前記フィラメント状の突出部(11)が、前記スタンプ面(21.1,21.2)と前記パターン面(31.1,31.2)との少なくとも一方に形成されるように、前記連結フィラメントのストランド(22)を分断する工程とを具備することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記スタンプ面は、前記流動可能な物質(20)の流体面(21.1)により形成されており、
前記パターン面(31.1)は、複数の接着アイランド(32)を有し、また、
前記物質(20)は、このパターン面(31.1)と前記流体面(21.1)との接触により、これら接着アイランド(32)に接着する請求項1の方法。
【請求項3】
前記接着アイランド(32)は、前記パターン面(31.1)の凹凸構造部と化学変化を有する領域との少なくとも一方により形成されている前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項4】
前記パターン面(31.1)の前記凹凸構造部は、局所的な複数のステップ、予め形成された複数のフィラメント、またはこれらの組合せにより形成されている請求項3の方法。
【請求項5】
前記複数のステップは、前記パターン面(31.1)に、複数のパーティクルまたは複数の層の分離により形成されている請求項4の方法。
【請求項6】
前記フィラメント状の突出部(11)は、前記流体面(21.1)に形成され、
この流体面(21.1)は、固体の基部層(23)に転換される前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項7】
前記スタンプ面は、固体面(21.2)により形成されており、
前記パターン面(31.2)は、前記流動可能な物質(20)の複数のアイランド(36)を支持し、また、
前記物質(20)は、このパターン面(31.2)と前記固体面(21.2)との接触により、この固体面(21.2)に接着する請求項1の方法。
【請求項8】
前記流動可能な物質(20)の前記アイランド(36)は、前記パターン面(31.2)に接合されており、
前記フィラメント状の突出部(11)は、このパターン面(31.2)に形成される請求項7の方法。
【請求項9】
前記パターン面(31.2)並びに前記流動可能な物質(20)は、同じ化学組成を有する請求項8の方法。
【請求項10】
前記流動可能な物質(20)は、前記固体面(21.2)と前記パターン面(31.2)との接触により、この固体面(21.2)に接触し、
前記フィラメント状の突出部(11)は、この固体面(21.2)に形成される請求項7の方法。
【請求項11】
前記固体面(21.2)並びに前記流動可能な物質(20)は、同じ化学組成を有する請求項10の方法。
【請求項12】
パーティクルは、コロイドのポリマのパーティクルを含む請求項7ないし11のいずれか1の方法。
【請求項13】
前記コロイドのポリマのパーティクルは、50nmないし20μmの範囲の直径を有する請求項12の方法。
【請求項14】
前記物質(20)の硬化がなされる前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項15】
前記物質(20)の前記硬化は、前記連結フィラメントのストランド(22)が延伸される工程の間と分断する工程の後との少なくとも一方で起こる請求項14の方法。
【請求項16】
前記物質(20)の前記硬化は、この物質(20)から外部への溶媒の蒸発と、冷却によるこの物質(20)の凝固と、この物質(20)の架橋とを含む処理の少なくとも1つを含む請求項14ないし15の方法。
【請求項17】
外部からの働きによる前記フィラメントの突出部(11)の形成が、前記物質(20)の前記硬化の間になされる請求項14ないし16のいずれか1の方法。
【請求項18】
前記分離移動は、直線的な移動であり、直線的なフィラメント状の複数の突出部(11)が形成される前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項19】
前記分離移動は、曲線的な移動であり、曲線的なフィラメント状の複数の突出部(11)が形成される請求項1ないし17のいずれか1の方法。
【請求項20】
前記分離移動の間、相対的な前記スタンプ面(21.1,21.2)の速度と前記パターン面(31.1,31.2)の速度とが変化される前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項21】
前記流動可能な物質(20)は、有機ポリマ、有機−無機複合ポリマおよび架橋可能なモノマの少なくとも1つを含む前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項22】
前記流動可能な物質(20)は、前記フィラメント状の突出部(11)の化学的、誘電的、光学的または磁気的な特性を変化させることが可能な少なくとも1つの付加的な物質を含む前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項23】
前記フィラメント状の突出部(11)の先端の処理がなされる前記全ての請求項のいずれか1の方法。
【請求項24】
前記接着アイランド(32)または前記パーティクルは、延伸される間に前記連結フィラメントのストランドに押圧される所定の構成の位置に配置されている請求項2ないし23のいずれか1の方法。
【請求項25】
フィラメント状の複数の突出部(11)が、流動可能かつ硬化可能な物質(20)により形成された基材(23,33)を有する構成物品(100)において、
前記フィラメント状の突出部(11)は、これら突出部の長さ方向に少なくとも局所的に沿った外形を有し、この外形は、前記物質(20)が、延伸の処理の間、自由な連結フィラメントのストランドを形成する状態でこの物質(20)の表面張力と粘度とによって決定される構成物品(100)。
【請求項26】
前記フィラメント状の突出部(11)は、有機ポリマ、有機−無機複合ポリマおよび架橋可能なモノマの少なくとも1つを含む請求項25の構成物品。
【請求項27】
前記フィラメント状の突出部(11)は、このフィラメント状の突出部(11)の化学的、誘電的、光学的または磁気的な特性を変化させることが可能な、少なくとも1つの付加的な物質を含む請求項25もしくは26の構成物品。
【請求項28】
前記フィラメント状の突出部(11)は、前記基材の面(23,33)から直線的に、または曲線的に突出している請求項25ないし27のいずれか1の構成物品。
【請求項29】
前記フィラメント状の突出部(11)は、これら突出部の長さ方向に沿った直径勾配を有する請求項25ないし28のいずれか1の構成物品。
【請求項30】
前記フィラメント状の突出部(11)は、これら突出部の端部に太径部(12)を有する請求項29の構成物品。
【請求項31】
前記フィラメント状の突出部(11)は、カバー層(13)で覆われている請求項25ないし30のいずれか1の構成物品。
【請求項32】
前記基材(23)と前記フィラメント状の突出部(11)は、同じ物質からなる請求項25ないし31のいずれか1の構成物品。
【請求項33】
前記基材(23)は、パターン面(31.1)を有し、
このパターン面に、複数の接着アイランド(32)が、所定のパターンで配置されており、
前記フィラメント状の突出部(11)が、これら接着アイランド(32)に接着されている請求項25ないし32のいずれか1の構成物品。
【請求項34】
前記接着アイランド(32)は、前記パターン面(31.1)の凹凸構造部と、このパターン面(31.1)の化学変化との少なくとも一方を有する請求項33の構成物品。
【請求項35】
前記パターン面(31.1)の前記凹凸構造部は、局所的な複数のステップ、予め形成された複数のフィラメント、またはこれらの組合せにより形成されている請求項34の構成物品。
【請求項36】
前記複数のステップは、前記パターン面に、複数のパーティクルまたは複数の層により形成されている請求項35の構成物品。
【請求項37】
前記基材(23)は、前記フィラメント状の突出部(11)が直接接着するパターン面またはスタンプ面(21.2,31.2)を有する請求項25ないし32のいずれか1の構成物品。
【請求項38】
前記フィラメント状の突出部(11)は、複数の層を有するようにして形成される請求項25ないし37のいずれか1の構成物品。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−527373(P2009−527373A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554671(P2008−554671)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001285
【国際公開番号】WO2007/096082
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(594056568)マツクス−プランク−ゲゼルシャフト ツール フエルデルング デル ヴイツセンシャフテン エー フアウ (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001285
【国際公開番号】WO2007/096082
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(594056568)マツクス−プランク−ゲゼルシャフト ツール フエルデルング デル ヴイツセンシャフテン エー フアウ (13)
【Fターム(参考)】
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