説明

構造化多目的パッキングおよびその使用

【課題】プロセスエンジニアリング工業及び環境保護において、蒸留の様な物理的プロセスを、第2機能としての化学的、生物学的または他の物理的プロセスと一緒に1つのプロセスユニットにて同時に実施する事がコスト的にも、時間的にも有利である。
【解決手段】特殊構造を有する有能な多目的パッキングは少なくとも2倍の機能性を有すると共に交互の層で設けられた物質分離要素と第2機能性要素とを内蔵し、物質分離要素はプロフィルド表面を有すると共に第2機能性要素のそれぞれは相互の頂部に設けられた2つもしくはそれ以上の閉鎖チャンバを有して第2機能性に関し物理的、化学的もしくは生物学的に活性なパッキング材料が充填される。

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、少なくとも2つの機能性を有すると共に交互の層にて設けられた物質分離要素と第2機能性要素とを有する構造化多目的パッキングに関するものであり、物質分離要素はプロフィルド表面を有すると共に第2機能性要素のそれぞれは相互の頂部に設けられて第2官能性に関する物理的、化学的もしくは生物学的に活性な物質を充填した2つもしくはそれ以上の閉鎖チャンバを有し、さらにこの種の構造化多目的パッキングの使用にも関するものである。
【0002】プロセスエンジニアリング工業および環境保護において、たとえば蒸留、精留もしくは吸着による物質分離のような物理的移動プロセスを、たとえば反応性もしくは細菌性の変換もしくは吸着のような第2機能性としての化学的、生物学的もしくは他の物理的プロセスと一緒に1つのプロセスユニットにて同時に実施することが時間的にも有利である。
【0003】2つもしくはそれ以上の異なるプロセスを単一のプロセスユニットで組み合わせると共に最適に実施しうるためには、考慮される材料システムおよび特殊なプロセス要件に応じて種々異なるパラメータを柔軟に変動させねばならない。最適な物理的物質交換を実現するには、一方では種々異なる流体相の間の接触面積が臨界的因子となる。他方では、第2機能性につき滞留時間および活性表面積が臨界的因子となる。これら異なるパラメータを異なる方法で変化させうるためには、多目的有用性(すなわち少なくとも2倍の機能性および高い融通性)を有し、所定目的に鑑み処理された挿入体が必要とされる。
【0004】液相における或る種の不均質触媒反応については、いわゆる触媒固定床反応器が用いられる。EP−A−0 396 650号およびEP−A−0 631813号は、それぞれ主流動方向に沿って配向された各層で構成される積層パッキング要素を有するこの種の装置を記載している。パッキング部分の内部空間は、壁部におけるレリーフ状プロフィルドの形態の平行チャンネルにより形成される。EP−A−0 631 813号において壁部はパッキング部分の内部領域に一時的に接触すると共に、点熔接もしくはリベットにより部分的に接続される。両者の場合、接続層の内部は、触媒材料での全インタースペースの充填が材料をパッキングの上側から(すなわち単一充填ポイントから)充填して行いうるよう設計される。触媒固定床反応器のパッキング要素は、1本のカラムにて物質分離のみに作用する他のいわゆる構造化パッキングと一緒に用いる場合は、蒸留プロセス(精留)についても適している。
【0005】この種の装置は化学反応を触媒しうるが、その重大な欠点は物理的物質分離につき制限された適性、並びに多目的の有用性および融通性の欠如である。一方では、貧弱な物理的物質分離は下方に流れる液体と上昇するガスとのカラムの内部における不明確な流動案内に起因しうる。他方、物質分離につき必要な接触面積も小さ過ぎる。しかしながら、不充分に規定された液体の流動案内は化学反応にマイナスの影響をも与える。何故なら、触媒材料の完全な湿潤化および/従って高い触媒作用の利用度を達成しえないからである。最後に、不充分に規定されたガス案内はカラムにおける不必要に高い圧力低下を生ぜしめ、これは温度感受性物質の処理を困難にする。上記の理由から設計パラメータ、特に分離性能および反応器性能の簡単な決定および最適化を種々異なる用途につき結論するには、公知装置の使用では可能でない。さらに一方では、反応性帯域を変動させることができず、他方では考慮される材料システムの特殊要件に鑑み最適に接触面積を変動させることができない。
【0006】従来記載された装置の他の重大な欠点は、これらを常にスプリンクルせねばならず、かつその最初の使用後に湿潤状態にに保たねばならない点である。絶えずスプリンクルすると共に湿潤状態に保持するのを省略すれば、装置に内蔵される触媒材料は乾燥すると共に収縮する。かくして乾燥した自由流動性の触媒粒子(たとえばイオン交換樹脂ビーズ)は、触媒セグメントの全領域が相互接続されるのでパッキングの最下領域まで垂下する。次いで触媒材料を再び濡らすと、粒子は再び膨潤して望ましくないかつ不利なパッキングの下部の膨張をもたらす。この結果、パッキングの脱着および再装着にて相当な困難性が生じ、パッキングをバーストさえさせうる。要するに、これら装置を使用するための運転経費が上記装置の必要なスプリンクルおよび湿潤状態保持に基づき増大し、全プロセスの経済的魅力から相当に後退する。
【0007】DE−A−197 01 045号からは、物質分離要素と第2機能性要素との交互の層よりなる構造化多目的パッキングが公知である。物質分離要素は構造化布地シートもしくは金属シートから形成されると共に、第2機能性要素はそれぞれ閉鎖されると共に物理的、化学的もしくは生物学的に活性なパッキング材料が満たされた小チャンバを有する。各チャンバの壁部はパッキング材料に対し不透過性であると共に、プロセスにおける少なくとも1種の流体媒体に対し透過性である。これら構造化多目的パッキングの分室構造に基づきパッキングの下部における触媒粒子の蓄積および膨張が回避され、従ってパッキングの一時的乾燥が可能となり、再びパッキングの装着および脱着の融通性を増大させる。
【0008】第2機能性要素における壁部の材料としてDE 197 01 045号はたとえば金属ワイヤ布を挙げている。実験において、スチールワイヤ布で作成されたこの種の第2機能性要素は必ずしも最適結果を与えないことが判明した。たとえば第3級アルコールを酸性イオン交換体にてこの種の多目的パッキングを用いることにより対応イソオレフィンと水とから製造するための反応性精留においては、不満足な結果が経済的観点から生ずる。
【0009】従って本発明の目的は、優秀な物質分離特性と化学的、生物学的もしくは物理的な第2機能性の優秀な効果とを同時に示す改善された構造化多目的パッキングを提供することである。
【0010】今回、驚くことに化学的、生物学的もしくは物理的プロセスの効果の顕著な改善が第2機能性要素のチャンバ壁部を構成するためポリマー材料を用いて達成されうることが判明した。
【0011】本発明は、交互の層にて設けられた物質分離要素(1)と第2機能性要素(2)とを内蔵し、物質分離要素がプロフィルド表面を有すると共に第2機能性要素のそれぞれが相互の頂部に設けられて物理的、化学的もしくは生物学的に活性なパッキング材料を充填した2つもしくはそれ以上の閉鎖チャンバ(3)を有し、任意2つのチャンバの間に空間を設け、この空間を液体を案内するセクション(6)により架橋してなる構造化多目的パッキングを提供し、これにおいては、第2機能性要素の各チャンバの壁部がポリマー材料により構成されることを特徴とする。
【0012】物質分離要素は、プロフィルド(好ましくは波形)表面を有する。これらは一般に好ましくは黒色プレート、ステンレス鋼、ハステロイ、銅もしくはアルミニウムの金属シート(7)またはたとえばテフロン(登録商標)のようなプラスチック材料に基づく構造化布地シートで形成される。
【0013】第2機能性要素のそれぞれは、相互の頂部に設けられた2つもしくはそれ以上の閉鎖チャンバ(3)を有し、好ましくは枕形状を有して物理的、化学的もしくは生物学的に活性なパッキング材料が充填され、その壁部はポリマー材料で構成される。一般に、各チャンバ間に設けられる液体案内セクション(6)も同じポリマー材料で構成される。
【0014】適するポリマー材料はポリアミド、ポリオレフィンまたはハロゲン化(好ましくは弗素化)ポリオレフィンを包含する。前記ポリオレフィンとしては、たとえばポリエチレンもしくはポリプロピレンを用いることができる。前記ハロゲン化ポリオレフィンとしては、たとえばポリテトラフルオロエチレンもしくはポリ塩化ビニルを用いることができる。ポリアミドとしてはナイロンが有用であると判明した。より好ましくはチャンバ壁部および第2機能性要素の液体案内セクション(6)のための材料としてはポリエチレンを用いる。
【0015】水による良好な濡れ性を有するポリマー材料は織布、編布、編組布またはオープンメッシュ布の形態で用いられ、これらはパッキング材料に対し不透過性であると共にプロセスにおける少なくとも1種の流体媒体に対し透過性である。特定の場合、好ましくは化学的もしくは生物学的第2機能性を有する場合、相互に反応させるべき全反応相手に対し透過性であるポリマー材料が重要である。
【0016】第2機能性要素における各チャンバのための物理的、化学的もしくは生物学的に活性なパッキング材料は固体状もしくは液状のいずれかとすることができる。液体パッキング材料、たとえば触媒液または吸収剤もしくは抽出剤を使用する場合、ポリマー材料で作成されたチャンバの壁部はパッキング液に対し不透過性とせねばならず、反応システムの少なくとも1種の流体もしくは少なくとも1種流体成分に対し透過性でなければならない。必要ならば第2機能性要素は、この場合(図5をも参照)における金属ワイヤ布地層により中間部にて支持することもできる。
【0017】前記化学的または生物学的に活性なパッキング材料は一般に触媒活性材料である。用いうるパッキング材料はたとえばイオン交換体、活性炭、ビオフィルムもしくは抽出剤を含む支持材料を包含する。既に上記したように、第2機能性要素は追加金属ワイヤ布地層または挿入金属シートにより安定化させることもできる。
【0018】構造化多目的パッキングにおいては、物質分離要素および第2機能性要素を交互の層にて設ける。多目的パッキングの通常の実施形態において、物質分離要素および第2機能性要素は主流動方向に対し平行な配置であり、或いは反応器もしくはカラムに装着された後に所定角度だけそこから変位させる。
【0019】第2機能性要素のチャンバにおいて、下方に流れる液体はそこに含有された活性物質(特に触媒)と接触する。その後、液体は再びチャンバから流出して中間セクションを流過し、その間に上方向に流れるガスとの物質交換につき用いうる。扁平中間セクションは液体を規定されたように次のチャンバに案内する。上昇ガスは、同様にガス流につき乱流プロモータとして作用する物質交換要素の支援により第2機能性要素に沿って移動する。
【0020】本発明はさらに、物理的物質分離と化学的もしくは生物学的プロセスとを或いは本発明による構造化多目的パッキングを用いる第1物理的物質分離とは異なる第2物理的物質分離プロセスとを組み合わせて実施するための方法にも関するものである。
【0021】本発明による方法において物理的物質分離はたとえば蒸留、精留、吸収、吸着または抽出とすることができる。同時に実施すべき物理的プロセスは主として同じ物質分離方法から選択することができる。同時に実施すべき化学的もしくは生物学的プロセスはたとえば細菌変換もしくは化学反応を包含する。化学反応はたとえばアルキル化、異性化、エステル化、エーテル化、水和、二量化、オリゴマー化または重合とすることができる。
【0022】従って本発明による方法は、たとえば物理的物質分離と化学的もしくは生物学的第2機能性との組合せとして、不均質反応性精留、反応性吸収、反応性吸着(ビオフィルムヘの吸着を含む)として、或いは同時的な生物学的変換を含む物質分離として実施することができる。
【0023】さらに本発明による方法は、種々異なる物理的物質分離メカニズム、たとえば第1機能性としての精留もしくは吸着と第2機能性としての吸着もしくは抽出との組合せとすることもできる。
【0024】本発明による方法は、同数の炭素原子を有する第三級オレフィンを酸性イオン交換体にて水と反応させることにより第三級アルコールを製造するための不均質反応性精留につき有用であることが判明した。
【0025】好ましくはこの方法は、対応第3級オレフィン(特にイソアミレン)を酸性イオン交換体にて水と反応させることにより第三級C〜Cアルコール(好ましくはC、CもしくはCアルコール、特に第三級アミルアルコール(TAA))を製造するための反応性精留である。
【0026】本発明による構造化多目的パッキングをたとえばイソアミレンと水とからのTAAの製造にて使用することにより、第2機能性要素のチャンバ材料がポリマー材料でなく金属(たとえば鋼材)である構造化多目的パッキングを用いる場合と比べ使用イソアミレンに対し相当多量のTAA、および一層長い触媒の使用寿命が達成される。
【0027】第三級アルコールを製造するための本発明による反応性精留は第三級オレフィンを用いて行われる。これら第三級オレフィンは、対応第三級オレフィンを含有する蒸留カットの形態、または濃厚もしくは純粋品質のいずれかにて用いることができる。イソアミレン(異性体2−メチルブテン−1と2−メチルブテン−2との混合物)を、たとえば一般に少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%のイソアミレンを含有するC蒸留カットの形態で用いることができる。主として、この種のカットはイソアミレンの他に直鎖Cオレフィンと或る量の対応アルカンと若干の高級および低級炭化水素成分とを含有する。好ましくは約20〜95重量%のイソアミレンを含有する濃厚イソアミレン流を使用する。より好ましくは少なくとも95重量%のイソアミレンを含有する実質的に純粋なイソアミレン流を用いる。この種の実質的に純粋なイソアミレン流はたとえば第三級アミルメチルエーテル(TAME)の開裂から得られる。
【0028】この反応性精留において、芳香族ビニル化合物の重合もしくは共重合に続くスルホン化により得られる全ての公知の酸性陽イオン型交換体を第三級オレフィンの水和につき触媒として用いることができる。重合もしくは共重合につき用いうる芳香族ビニル化合物の例はスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルエチルベンゼン、メチルスチレン、ビニルクロルベンゼンおよびビニルキシレンを包含する。これらポリマーもしくはコポリマーの製造方法は広範に変化することができる。上記モノマーの単独−もしくは共−重合もたとえば架橋用のポリビニル化合物の存在下に行うことができる。使用しうる適するポリビニル化合物はジビニルベンゼン、ジビニルトルエンもしくはジビニルフェニルエーテルを包含する。ホモポリマーもしくはコポリマーは、たとえば無機もしくは有機ペルオキシドもしくはペルサルフェートのような広範な種類の開始剤を用いて溶剤もしくは分散剤の存在下もしくは不存在下に作成することができる。
【0029】酸性陽イオン型交換体としては、特にその各H型にて用いられるスルホン化フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スルホン化クマロン−インデン縮合生成物、スルホン化ポリスチレンもしくはスルホン化スチレン−ジビニルベンゼン樹脂が有用であると証明された。好ましくは2〜65重量%、好ましくは8〜25重量%の架橋度(ジビニルベンゼン含有量)を有するスルホン化スチレン−ジビニルベンゼンが用いられる。この種の酸性陽イオン型交換体は当業者に公知であって多くの名称で市販入手しうる。
【0030】本発明による方法は、酸性陽イオン型交換体に触媒1リットル当たり毎時0.05〜1リットルの供給混合物、好ましくは触媒1リットル当たり毎時0.1〜0.4リットルの供給混合物の液体空時速度(LHSV)が達成されるような量の全供給混合物を充填して行われる。
【0031】本発明の方法による機能性精留における第三級アルコールの作成で用いられる水の量を変化させることにより、変換率および触媒の使用寿命の生成物範囲に影響を及ぼしうる。水の使用量は、用いる第三級オレフィンに対し化学量論量以上、等モル量もしくは化学量論量以下とすることができる。好ましくは10〜90モル%、より好ましくは30〜70モル%過剰の水が使用される。特に、イソアミレンと水とからのTAAの作成につき、用いるイソアミレンに対し40〜50モル%過剰の水が使用される。
【0032】より少量の水を使用する場合、第三級オレフィンの二量化および部分的にオリゴマー化もより高程度まで生ずる。生成されるダイマーおよびオリゴマーは極めて疎水性であって、反応中心への水の輸送を阻害する。阻害されない第三級オレフィンに対し水が反応しえないので、低変換率が生ずる。さらに、イオン交換体の細孔におけるダイマーおよびオリゴマーの沈着物はたとえば濯ぎにより触媒から除去困難であり、従って触媒の初期形態の不可逆的変化をもたらす。触媒における酸性部位の部分がこのように封鎖されるので、イオン交換体の活性および/従って使用寿命も低下する。
【0033】他方、過剰量の水は、水相および有機相が反応性精留の反応器の底部に生じて遅延沸騰の発生をもたらすので、高過ぎてはならない。これは反応器の不安定な操作をもたらし、触媒パッキングの良好な充填および/従って第三級アルコールの連続製造を妨げる。
【0034】第三級アルコールの作成につき本発明による反応性精留は50〜99重量%、好ましくは70〜95重量%、より好ましくは85〜90重量%の純度にて第三級アルコールをもたらす。第三級アルコールの更なる精製が望ましければ、反応性精留に続き更に第三級アルコールの蒸留を行うこともできる。水分離を伴う共沸蒸留を使用し、99重量%以上の純度を達成することができる。この種の蒸留をどのように行うかは当業者に充分知られている。
【0035】第2機能性要素が鋼材に基づくチャンバ壁部を有する多目的パッキングと比較し、本発明の方法における収率はポリマー材料に基づくチャンバ壁部を有する多目的パッキングを用いて相当向上させることができる。同時に、第2機能性要素の各チャンバに内蔵される化学的、生物学的もしくは物理的活性材料の使用寿命も明瞭に増大する。恐らく、チャンバ壁部につきポリマー材料を使用すれば、各反応成分は各チャンバにおける活性物質の反応性部位への一層良好なアクセスを有する。
【0036】さらに第2機能性要素の個数および容積、並びに物質分離要素の個数を、考慮される問題に基づき変化させると共にこれらをモジュラー方式で組合せることも可能であり、従って一方では物質分離特性および他方では第2機能性の効果を考慮される材料もしくは反応システムの要求に適合させることができる。かくして優秀な効果および高い使用融通性が、本発明による多目的パッキングで達成される。
【0037】以下、構造化多目的パッキングを用いて第3級アルコールを製造するための反応性精留につき構造化多目的パッキングおよび反応器の構造を図面により一層詳細に説明する。
【0038】図4aおよび4bに示したように、図1a、bおよびcに示された物質分離要素(1)および第2機能性要素(2)は交互の層で設けられる。第2機能性要素の個数および容積、並びに物質分離要素の個数は図1a、bおよびcにて異なる実施例で例示した考えられる反応システムに応じ変化させることができる。従って、第2機能性要素における滞留時間および有効表面積、並びに物質分離要素における接触面積は考慮される材料システムに鑑み処理することができる。装着する場合、第二機能性要素は図1cにおけるように流体透過性の安定化金属シート(10)により補強しうるが、機能上の理由で必ずしも必要とされない(図1aおよびb参照)。
【0039】図2aおよびbには第2機能性要素の異なる実施例の正面図が見られる。全実施例において、たとえば触媒的、吸着性もしくは生物学上活性な物質が充填される相互の頂部に設けられた完全閉鎖かつ充分小さいチャンバ(3)を見ることができる。ポリマー材料よりなる各チャンバの壁部は流体透過性であるが、パッキング材料に対し不透過性である。図2bに示されるように、複数のチャンバ(3)を水平層にて配置することができ、次の下側層で交互に変位させることができる。さらに1個のみの閉鎖チャンバを図2aにおけるように各水平層に設けることも可能である。各チャンバ(3)および案内セクション(6)は一緒に垂直シート層(2)を形成する。
【0040】図3aおよびbは、閉鎖チャンバ(3)を有する第2機能性要素の側面図である。各チャンバは、その壁部が第2機能性要素の横壁部4aおよび4bにおける上側および下側を縁部(5)並びにチャンバ中間部(6)の両者にて密に連結することにより形成され、従って各チャンバはパッキング部材に対し密に閉鎖される。この連結は、好ましくは超音波を用いる熔接により行われる。第2機能性要素とパッキングの縁部との間に僅かな自由空間を残して、第2機能性要素の周囲の流動を容易化させるのが有用である。
【0041】図4aおよびbは構造化多目的パッキングの要素の斜視図を示す。交互の層における種々異なる機能部分の配置を見ることができる。専ら物質分離の機能を果たす物質分離要素(1)は種々異なるプロフィルを有する構造化布地シートもしくは金属シート(7)で構成される。布地シートの各チャンネルの配向を交互に変化させれば有利である。構造化布地シートの広範な種類の設計を用いることができ、多目的パッキングの所定用途に関し合理的な最適化を与えるよう選択するのが最も適している。接触(11)の各点にて種々異なる機能的ユニットを密に連結しうるが、これはより高い柔軟性のため省略することもできる。構造化パッキングにつき通常であるようにローブ状突出部(9)を有するスカート(8)は機能的要素を密に包囲すると共に、カラム内に多目的パッキングを安定化させる。
【0042】図示したパッキング要素は円形断面を有する多目的カラムにつき設計されるが、多目的パッキングの実現は全ゆる断面についても基本的に可能である。
【0043】図5aおよびbは、第2機能性要素の形状の種々異なる実施例を示す。2枚の予備成形された布地シート(4aおよび4b)を互いに連結する。得られたチャンバ(3)には閉鎖前に充填する。チャンバの完全充填は必要でない。充填量は、所定用途に関し合理的な最適化を与えるよう変化自在である。
【0044】図6は、本発明による構造化多目的パッキングを用いる反応性精留における第三級アルコールの製造につき反応器の構造を示す。第三級オレフィン流の供給は構造化多目的パッキングの下の供給ライン(R1)を介して行われる。水の供給は、構造化多目的パッキングの上方の供給ライン(R2)を介して行われる。すなわち第三級オレフィンと水とは、チャンバ内に充填された内蔵イオン交換体にわたり構造化多目的パッキング(R3)を介して向流で流動する。カラムの頂部にて未反応第三級オレフィンは水との共沸物(98重量%のイソアミレンと2重量%の水とからのTAA製造の場合)にて凝縮し(R4)、触媒パッキング(R5)の上方にて新鮮水と一緒にカラムに循環される。作成された第三級アルコールと過剰の水とは反応器の底部に流入し、そこ(R6)から必要に応じ副流(R7)を介して除去され、更なる精製が所望される場合は共沸蒸留のための蒸留カラムに供給される。
【0045】
【実施例】比較例1および2(CE1およびCE2):第三級アミルアルコール(TAA)の作成を、イソアミレンと水とを図6に示した反応器における連続操作の反応性精留にて反応させることにより行う。カラムの直径は55mmである。パッキングの直径は213mmである。循環される量の設定は無限循環比にて25kg/hである。反応器における温度は多目的パッキングのレベルにて約60℃であると共に、カラムにおける2.2バールの全圧力につき底部にて110〜125℃である。
【0046】第2機能性要素における各チャンバの壁部が鋼材で作成されたモンツGmbHの多機能性パッキング・モンツマルチパック(登録商標)を構造化多目的パッキングとして作用させる。この多目的パッキングには、酸性硫黄基を有する約4kg(5.5リットルに相当)のスチレン−ジビニルベンゼン樹脂(バイエルAG社の市販製品レバチット(登録商標)K2631)を充填する。
【0047】第三級アミルメチルエーテルの開裂により得られると共に約99重量%より高い純度のイソアミレンを有するイソアミレン流を供給流として作用させる。
【0048】残余の実験条件および反応性精留の結果を表1に示す。
【0049】例1および2(E1およびE2):比較例1および2と同様に実施する。使用した多機能性パッキングはモンツGmbHの多機能性パッキング、すなわちマルチパック(登録商標)と同一であるが、第2機能性要素の各チャンバは鋼材で作成せずにポリエチレン布地で作成する。
【0050】残余の実験条件および反応性精留の結果を表1に示す。
【0051】
【表1】


【図面の簡単な説明】
【図1】図1のa、bおよびcは構造化多目的パッキングの種々異なる実施例の平面図である。
【図2】図2のaおよびbは閉鎖チャンバを有する構造化多目的パッキングにおける第2機能性要素の種々異なる実施例の断面正面図である。
【図3】図3のaおよびbは閉鎖チャンバを有する構造化多目的パッキングにおける第2機能性要素の種々異なる実施例の断面側面図である。
【図4】図4のaおよびbは第2機能性要素および物質分離要素を有する構造化多目的パッキングの種々異なる実施例の斜視図である。
【図5】図5のaおよびbは解体した壁部を有する構造化多目的パッキングにおける第2機能性要素の種々異なる実施例の正面図である。
【図6】図6は例として本発明の方法を実施する装置の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 交互の層にて設けられた物質分離要素(1)と第2機能性要素(2)とを内蔵し、物質分離要素がプロフィルド表面を有すると共に第2機能性要素のそれぞれが相互の頂部に設けられて物理的、化学的もしくは生物学的に活性なパッキング材料を充填した2つもしくはそれ以上の閉鎖チャンバ(3)を有し、任意2つのチャンバの間に空間を設け、この空間を液体を案内するセクション(6)により架橋してなる構造化多目的パッキングにおいて、第2機能性要素の各チャンバの壁部がポリマー材料により構成されることを特徴とする構造化多目的パッキング。
【請求項2】 ポリマー材料がポリアミド(好ましくはナイロン)、ポリオレフィン(好ましくはポリエチレン)またはハロゲン化(好ましくは弗素化)ポリオレフィン(特にポリテトラフルオロエチレンもしくはポリ塩化ビニル)からなることを特徴とする請求項1に記載の構造化多目的パッキング。
【請求項3】 前記第2機能性要素の各チャンバの壁部が織布、編布、編組布もしくはオープンメッシュ布の形態であることを特徴とする請求項1または2に記載の構造化多目的パッキング。
【請求項4】 第2機能性要素の各チャンバのための前記物理的、化学的もしくは生物学的に活性なパッキング材料が固体状もしくは液体状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の構造化多目的パッキング。
【請求項5】 前記パッキング材料がイオン交換体、活性炭、ビオフィルムもしくは抽出剤を含む支持材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の構造化多目的パッキング。
【請求項6】 物理的物質分離と化学的もしくは生物学的プロセスとのまたは第1物理的物質分離とは異なる第2物理的物質分離プロセスとの組合せ実施方法において、請求項1〜5のいずれか一項に記載の構造化多目的パッキングを用いることを特徴とする組合せ実施方法。
【請求項7】 前記物理的物質分離が蒸留、精留、吸収、吸着または抽出であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】 前記化学的プロセスがアルキル化、異性化、エステル化、エーテル化、水和、二量化、オリゴマー化または重合であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】 不均質反応性精留、反応性吸収、反応性吸着、ビオフィルムへの吸着、または同時生物学的変換を伴う物質分離であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】 同数の炭素原子を有する第3級オレフィンを酸性イオン交換体にて水と反応させることにより第3級アルコールを製造するための請求項9に記載の方法。
【請求項11】 対応第3級オレフィン(特に第3級C、CもしくはCオレフィン、特にイソアミレン)を酸性イオン交換体にて水と反応させることにより第三級C〜Cアルコール(好ましくはC、CもしくはCアルコール、特に第三級アミルアルコール)を製造するための請求項9に記載の方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【公開番号】特開2002−248346(P2002−248346A)
【公開日】平成14年9月3日(2002.9.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】有
【出願番号】特願2001−316000(P2001−316000)
【出願日】平成13年10月12日(2001.10.12)
【出願人】(501310321)ビーピー ケルン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【Fターム(参考)】