説明

構造測定方法および構造測定装置

【課題】キャリア周波数の干渉により生じる深さ方向の像の不鮮明さや誤差を低減して、深さ方向の構造をより鮮明かつ高精度に観察・測定する。
【解決手段】周波数が異なる複数のレーザ光を発生する光源11と、コム周波数間隔が可変で中心角周波数が異なる複数のコム光を順次生成するコム光生成装置12からのコム光が順次入射され参照鏡からの戻り光と測定対象からの戻り光との干渉出力を、コム周波数間隔を掃引することにより複数回検出する光学干渉計13と、複数のコム光の中心角周波数を設定し、コム周波数間隔を掃引し、所定の演算を行う演算制御部14は、光学干渉計13における参照鏡からの戻り光と測定対象からの戻り光との干渉出力を、コム周波数間隔を掃引することにより複数回検出し、各検出において得られた干渉成分の検出値から、測定対象の深さ方向の反射構率分布や散乱係数分布のみを取り出す演算を行うことで、測定対象の構造測定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光周波数コムを用いて、物体や人体の表面形状あるいは表面近傍の内部構造(本発明において、表面形状および内部構造を、単に「構造」と言う)を観察・測定する技術に関する。具体的には、光周波数コムを光学干渉計に入射し、前記光学干渉計における固定された参照鏡からの戻り光と測定対象からの戻り光との干渉出力を、コム周波数間隔を掃引することにより検出し、測定対象の深さ方向の反射率分布あるいは散乱係数分布を測定する方法において、中心角周波数の異なる複数の光周波数コムを用いることにより、深さ方向の構造をより鮮明かつ高精度に観察・測定する構造測定方法および構造測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光の干渉現象を用いた測定対象の表面形状の計測(Profilometry)、および内部構造の観察(Tomography)を行う技術として、従来、特許文献1,非特許文献1に記載された「白色干渉法」、特許文献2,非特許文献2に記載された「周波数走査干渉法」、特許文献3−5,非特許文献3に記載された「光コム周波数間隔掃引干渉法」が知られている。これらの干渉測定法は、光源からの光を測定対象からの戻り光(信号光)と参照鏡からの戻り光(信号光)に分けて干渉測定を行う点は共通である。
【0003】
「白色干渉法」では、図12に示すように、広帯域な白色光源71からの光Sを干渉計72に入射して、干渉計測を行う。信号光S1と参照光S2の光路差がゼロとなる付近でのみ干渉が起こる。参照ミラー721を機械的に掃引することでフォトダイオード(PD)723により干渉光を測定する。参照ミラー721の位置と干渉信号から、信号光S1の反射位置(測定対象722の形状)を同定する。図12では、干渉出力と、信号光S1と参照光S2との光路差との関係がグラフにより示されている。奥行き方向の分解能は、白色光源71の帯域に反比例するため、広い帯域の光源を用いるほど、細かい形状を測定することができる.
【0004】
「周波数掃引法」では、図13に示すように、周波数掃引レーザ(周波数が走査可能なレーザ)81からの光Sを干渉計82に入射して、干渉計測を行う。参照ミラー821は固定である。周波数掃引レーザ81の周波数を掃引しつつ、フォトダイオード(PD)823により、信号光S1と参照光S2との干渉光の波形を測定する。干渉波をフーリエ変換して信号光S1の反射位置(測定対象822の内部構造等)を計算する。図13では、周波数掃引レーザ81からの光Sが掃引されている様子をグラフで示すとともに、PD823が検出した干渉出力と光源周波数fとの関係、フーリエ変換した波形と光路差との関係がグラフにより示されている。奥行き方向の分解能は、光源周波数が走査可能な帯域で決まり、走査帯域が広いほど高い分解能が実現できる。
【0005】
「光コム周波数間隔掃引干渉法」では、図14に示すように、単一周波数光源911からの光Sが、周波数コム光発生器912に入射する。周波数コム光発生器912が、コム周波数間隔fiが掃引可能なコム光Scmbを発生する。コム光Scmbは、周波数軸上に多数の輝線スペクトルが一定の周波数間隔で整列した光のことを指す。参照ミラー921は固定である。イメージセンサ923により、信号光S1と参照光S2との干渉光の波形を測定する。干渉ピークが現れる光路差の位置はコム周波数間隔fiに依存し、等間隔に現れる。そのため、コム周波数間隔fiを掃引すると、光路差0の位置は動かないが、それ以外の位置は周波数間隔に依存して動くので測定対象922の深さ方向の反射率分布(測定対象922の内部構造等)が周波数間隔から同定できる。図14では、周波数コム光発生器912が発生する帯域fBの周波数コム光を図示するとともに、コム光Scmbが掃引されている様子も図示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2010042号「光波反射像測定装置」
【特許文献2】WO2006/022342「生体組織測定用の光干渉トモグラフィー用光発生装置及び生体組織測定用の光干渉トモグラフィー装置」
【特許文献3】日本国特許第4543180号 「形状測定方法、形状測定装置およびコム光発生装置」
【特許文献4】米国特許 7440112
【特許文献5】ドイツ特許 PN16001DE
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】D. Huang, E. A. Swanson, C. P. Lin, J. S. Schuman, W. G. Stinson, W. Chang, M. R. Hee, T. Flotte, K. Gregory, C. A. Puliafito, and J. G. Fujimoto, Science 254(1991) 1178.
【非特許文献2】T. Kubota, M. Nara and T. Yoshino: Opt. Lett., 12 (1987) 310−312.
【非特許文献3】S. Choi, M. Yamamoto, D. Moteki, T. Shioda, Y. Tanaka, and T. Kurokawa,“Frequency−comb−based Interferometer for Profilometry and Tomography,” Optics.Letters,Vol. 31 No. 13, pp. 1976.−1978, July, 2006.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
「白色干渉法」では、表面形状測定(Profilometry)、および内部構造測定(Tomography)が可能である。しかし、機械的に可動される参照ミラー721の保守に手間がかかる。また、白色光源71からの光強度が弱いため、測定時間が長くなり、また安定性が悪い。
【0009】
「周波数走査法」では、表面形状測定、および内部構造測定が可能であり、機械的可動部分がないため、動作が安定しており、小型化が図られる。しかし、広い範囲に渉って周波数を掃引することが難しく、また周波数掃引光源が高価である。
【0010】
「光コム間隔周波数掃引法」では、機械的可動部分がないため、動作が安定しており、小型化が図られ、また高速な測定が可能である。しかし、「光コム間隔周波数掃引法」は、図4において後述するように、キャリア周波数の干渉が弱めあう位置となった場合、包絡線信号全体が小さくなり、鮮明な画像が得られず正確な測定ができない場合が生じる。すなわち、表面形状測定を行う場合には、境界面の反射が大きいため測定できるが、内部構造測定の場合には、微弱で連続した散乱を測定しなければならず、測定ができない場合が生じてしまう。
【0011】
本発明の目的は、キャリア周波数の干渉により生じる深さ方向の像の不鮮明さや誤差を低減して、深さ方向の構造をより鮮明かつ高精度に観察・測定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の構造測定方法は、(1)から(3)を要旨とする。
(1)
周波数が異なる複数のレーザ光から中心角周波数が異なる複数のコム光を順次生成して光学干渉計に入射し、複数のコム光ごとに、前記光学干渉計における固定された参照鏡からの戻り光と測定対象からの戻り光との干渉出力を、コム周波数間隔を掃引することにより複数回検出し、これらの検出値に基づき測定対象の構造を測定する構造測定方法であって、
前記複数回の検出ごとに、前記各検出において得られた干渉成分の検出値から、反射分布および/または散乱分布を取り出す演算を行うことで、前記測定対象の構造測定を行うことを特徴とする構造測定方法。
【0013】
(2)
m次の干渉成分が現れるように前記光学干渉計の参照側と測定対象側との光学長差を設定する(1)に記載の構造測定方法であって、
用意される中心角周波数が異なるコム光が2つであり、これら2つの中心角周波数ω1,ω2の差(ω1−ω2)を、
ω1−ω2=Ω0/4m
m:次数(正の整数)
ω1:一方のコム光の中心角周波数
ω2:他方のコム光の中心角周波数
Ω0:基準となるコム間隔角周波数
となるように設定することを特徴とする構造測定方法。
【0014】
(3)
干渉出力が得られる測定対象の深さzが、
z=m×(πc/Ω)
となるようなm次の干渉を測定する設定において、
境界面や内部構造の散乱分布sc(z,Ω)を、p1(Ω),p2(Ω)を実数として、
c(z,Ω)={p1(Ω)2+p2(Ω)21/2
により求め、
または、
1(Ω)=dp1(Ω)/dΩ
2(Ω)=dp2(Ω)/dΩ
の2つの式から、
c(z,Ω)=−mπc{q21(Ω)+q22(Ω)}1/2/z2
により求めることを特徴とする(2)に記載の構造測定方法。
z:測定対象の基準位置からの深さ方向の距離
m:次数(正の整数)
Ω:コム間隔の角周波数(掃引角周波数)
c:光速
ω1:一方のコム光の中心角周波数
ω2:他方のコム光の中心角周波数
c(z,Ω):Ωで掃引したときの演算値(測定値)
1(Ω):中心角周波数ω1のコム光に対し、Ωを掃引したときのイメージセンサ出力の干渉項(測定値)
2(Ω):中心角周波数ω2のコム光に対し、Ωを掃引したときのイメージセンサ出力の干渉項(測定値)
【0015】
本発明の構造測定装置は、(4)から(7)を要旨とする。
(4)
周波数が異なる複数のレーザ光を発生する光源と、
前記光源から出射されるレーザ光を元に、コム周波数間隔が可変で中心角周波数が異なる複数のコム光を順次生成するコム光生成装置と、
前記コム光生成装置からのコム光が順次入射され、固定された参照鏡からの戻り光と測定対象からの戻り光との干渉出力を、コム周波数間隔を掃引することにより複数回検出する光学干渉計と、
前記複数のコム光の中心角周波数を設定し、コム周波数間隔を掃引し、所定の演算を行う演算制御部と、
を備えた構造測定装置であって、
前記演算制御部は、前記光学干渉計における前記参照鏡からの戻り光と前記測定対象からの戻り光との干渉出力を、コム周波数間隔を掃引することにより複数回検出し、前記各検出において得られた干渉成分の検出値から、測定対象の深さ方向の反射構率分布および/または散乱係数分布のみを取り出す演算を行うことで、前記測定対象の構造測定を行うことを特徴とする構造測定装置。
【0016】
(5)
前記光源として、単一周波数光源と、前記単一周波数光源からの光を入射し、周波数を僅かに変化させる周波数シフタとからなることを特徴とする(4)に記載の構造測定装置。
【0017】
(6)
m次の干渉成分が現れるように前記光学干渉計の参照側と測定対象側との光学長差を設定する(4)または(5)に記載の構造測定方法であって、
用意される中心角周波数の異なるコム光が2つであり、これら2つの中心角周波数ω1,ω2の差(ω1−ω2)を、
ω1−ω2=Ω0/4m
中心角周波数ω1,ω2の差(ω1−ω2)を、
ω1−ω2=Ω0/4m
m:次数(正の整数)
ω1:一方のコム光の中心角周波数
ω2:他方のコム光の中心角周波数
Ω0:基準となるコム間隔角周波数
となるように設定することを特徴とする構造測定装置。
【0018】
(7)
干渉出力が得られる測定対象の深さzが、
z=m×(πc/Ω)
となるように設定した請求項6に記載の構造測定装置において、
前記演算制御部は、
境界面や内部構造の散乱分布sc(z,Ω)を、p1(Ω),p2(Ω)を実数として、
c(z,Ω)={p1(Ω)2+p2(Ω)21/2
により求め、
または、
1(Ω)=dp1(Ω)/dΩ、
2(Ω)=dp2(Ω)/dΩ
の2つの式から、
c(z,Ω)=−mπc{q21(Ω)+q22(Ω)}1/2/z2
により求めることを特徴とする請求項6に記載の構造測定装置。
z:基準位置からの深さ方向の距離
m:次数(正の整数)
Ω:コム光の角周波数間隔(掃引角周波数の間隔)
c:光速
ω1:一方のコム光の中心角周波数
ω2:他方のコム光の中心角周波数
c(z,Ω):Ωで掃引したときの演算値(測定値)
1(Ω):中心角周波数ω1のコム光に対し、Ωを掃引したときのイメージセンサ出力の干渉項(測定値)
2(Ω):中心角周波数ω2のコム光に対し、Ωを掃引したときのイメージセンサ出力の干渉項(測定値)
【発明の効果】
【0019】
従来の「光コム間隔周波数掃引法」で問題となっていた、キャリア周波数の干渉により生じる深さ方向の像の不鮮明さや誤差を低減して、深さ方向の構造をより鮮明かつ高精度に観察・測定できる。特に、微弱で連続した散乱を測定する内部構造測定の場合にも、十分に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の構造測定装置の概要を示す図である。
【図2】本発明で使用される光学干渉計の構成を示す図である。
【図3】(A)は単一周波数光源からの光を周波数シフタにより周波数変換する光源を示す図、(B)は2つの単一周波数光源からの周波数が異なる光を光切替えスイッチにより切り替える光源を示す図である。
【図4】従来の「光コム間隔周波数掃引干渉法」の干渉出力を示す説明図である。
【図5】本発明の構造測定方法による干渉出力を示す説明図である。
【図6】光周波数コムのパワースペクトルを示す図である。
【図7】従来の光コム間隔周波数掃引による形状測定装置を示す図である。
【図8】周波数コムを光源に用いた干渉計の出力を示す図であり、横軸は参照側と測定側の遅延時間差を示す。
【図9】測定対象の一例を示す図であり、n1はガラス、n2は空気である。
【図10】従来の光コム間隔周波数掃引法で、図9の測定対象を測定した結果を示す図である。
【図11】本発明の方法で、図9の測定対象を測定した結果を示す図である。
【図12】従来の、白色干渉法による形状測定の概要を示す図である。
【図13】従来の、周波数掃引法による形状測定の概要を示す図である。
【図14】従来の、光コム周波数間隔掃引干渉法による形状測定の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
《発明の概要》
本発明の構造測定装置の概要を図1に示す。なお、本発明の構造測定方法は以下の説明に含まれるので、特に記載はしない。
図1において、構造測定装置1は、光源11と、コム光生成装置12と、光学干渉計13と、演算制御部14とを備える。光学干渉計13は、図2に示すように、固定された参照鏡131と、ビームスプリッタ(BS)と、イメージセンサ133とを有しており、コム光生成装置12からの光をコリメータCLを介して入射する。イメージセンサ133により、参照鏡131からの戻り光と測定対象132からの戻り光との干渉出力を、コム間隔周波数を掃引することにより検出し、これらの検出値に基づき測定対象132の構造を測定する。ただし、周波数コムの中心角周波数を複数回変化させ、その度ごとに前記コム間隔周波数の掃引による測定を行う。なお、以下の説明において、構造測定装置1において、本発明の本質とはならない構成要素については図示を省略する。たとえば、演算制御部14には、表示装置や印刷装置が接続されてもよいが、これらの図示はしない。また、光学干渉計13では、説明に必要ではないレンズ系の図示は省略してある。
【0022】
光源11は、周波数が異なる複数のレーザ光を生成する。光源11は、周波数が異なる光を生成するものであれば、(a)単一周波数レーザと周波数シフタとからなるもの、(b)周波数がわずかに異なる2つの単一周波数レーザと光切替スイッチを用いたもの、(c)波長可変レーザからなるもの等を使用することができる。
(a)の構成の光源を図3(A)に示す。図3(A)に示すように、周波数が異なる複数の光を順次生成するための光源11として、単一周波数光源111と周波数シフタ112とを組み合わせて使用することができる。たとえば、周波数シフタ112として、単側波帯(SSB)変調器を用いることができ、周波数シフト量は、マイクロ波発生器113によりSSB変調器に印加する周波数によって決まる。したがって、演算制御部14(図1に示されている)がマイクロ波発生器113を正確に制御できる。
(b)の構成の光源を図3(B)に示す。図3(B)に示すように、2つの単一周波数レーザ111Aの出射光と、単一周波数レーザ111Bの出射光とを、
光切替スイッチ114により切り替え、周波数が異なる複数の光を順次生成することができる。
【0023】
コム光生成装置12は、光源11から出射されるレーザ光を元に、コム周波数間隔が可変で中心角周波数が異なる複数のコム光Scmb,k(k=1,2,3,・・・)を順次を生成することができる。コム光生成装置としては、例えば次のような構成のものを用いることができる。
単一周波数レーザの光をマイクロ波駆動のLN変調器で変調して種となるコム光を発生する。最終的に発生する光コムの周波数間隔は、このマイクロ波周波数で決定される。次にこの種コム光の各モードの振幅と位相を光パルスシンセサイザで調整し、種コム光から数ピコ秒幅の短光パルスを合成する。次にこの光パルスを増幅してファイバに入射することによりパルス幅を圧縮したのち、非線形ファイバに入射してスーパーコンティニューム(SC)コム光を発生させる。なお、前記光パルスシンセサイザは、回折格子と変調器が石英光回路に集積された構造からなり、振幅と位相の調整によりピコ秒程度の短光パルスを合成するデバイスである。このSCコム光のコム間隔周波数は、前記マイクロ波の周波数で決定される。したがって、前記マイクロ波の周波数を僅かの範囲で掃引すれば、SCコム光のコム間隔周波数も掃引される。
【0024】
光学干渉計13は、コム光生成装置12からのコム光が順次入射され、固定された参照鏡からの戻り光と測定対象からの戻り光との干渉出力を、コム間隔周波数の掃引に同期して検出する。
演算制御部14は、複数のコム光Scmb,k(k=1,2,3,・・・)の中心角周波数を設定し、コム間隔周波数を掃引する。すなわち、周波数コムの中心角周波数を複数回変化させ、その度ごとに前記コム間隔周波数の掃引に同期した干渉出力を測定する。複数回の測定において得られた干渉成分の検出値から、測定対象の反射分布および/または散乱分布を取り出す演算を行う。
【0025】
光学干渉計13は、参照側のBSから鏡までの光学長Lr、および測定対象側のBSから測定対象までの光学長Lsの差が、基準コム間隔周波数Ω0に対して次のような関係を満たすように設定する。
r−Ls=m×(πc/Ω0
このとき、光学干渉計13からm次(m:正の整数)の干渉が出力される(c:光速)。すなわち、コム間隔周波数をΩ0に設定したとき、測定対象の深さ方向に対して距離z0(=mπc/Ω0)の点からの干渉出力が得られる。
ここで、コム間隔周波数をΩ0からΩに僅かに変化させると、次の式で表される深さzからの干渉出力が得られる。
z=m×(πc/Ω)
以上のような設定において、
用意される中心角周波数の異なるコム光(それぞれの中心角周波数をω1,ω2とする)が2つであり、これら2つの中心角周波数の差を、
(中心角周波数の差)=(基準コム間隔周波数)÷(干渉次数の4倍)
すなわち、
ω1−ω2=Ω0/4m
となるように設定する。
中心角周波数ω1のコム光のコム間隔周波数Ωを掃引して得られる検出値の干渉成分をp1(Ω),中心角周波数ω2のコム光のコム間隔周波数Ωを掃引して得られる検出値の干渉成分をp2(Ω)とする。
測定対象に明確な反射境界が存在する(例えば、物体の表面形状を測定する)場合は、p1(Ω)とp2(Ω)から、反射率分布sr(Ω)を次式により求められる。
r(Ω)={p1(Ω)2+p2(Ω)21/2
一方、内部構造の測定(例えばOCTのように物体の内部断面の測定)をする場合は、p1(Ω)とp2(Ω)をそれぞれΩで微分する。
1(Ω)=dp1(Ω)/dΩ
2(Ω)=dp2(Ω)/dΩ
上記の2つの式から次のようにして、内部構造の散乱分布sc(z,Ω)を求めることができる。
c(z,Ω)=−mπc{q21(Ω)+q22(Ω)}1/2/z2
なお、演算の詳細については、実施例において説明する。
【0026】
このようにして、図13で説明した「光コム間隔周波数掃引干渉法」の問題点(キャリア周波数の干渉により生じる深さ方向の像の不鮮明さや誤差)を回避できる。
これにより、測定対象や生体の断層画像を連続的に測定するトモグラフィーも実現可能となる。
【0027】
図13で説明した従来の「光コム間隔周波数掃引干渉法」の干渉出力を図4に示し、本発明の構造測定方法による干渉出力を図5に示す。
これらは、何れもコム間隔周波数掃引により干渉出力の包絡線が変化することを利用する。測定対象からの反射光を信号光とし、その反射位置をコム間隔周波数により同定して、測定対象の表面形状や内部構造の測定を行う。
【0028】
後述するように、光コム間隔周波数を掃引したときに現れる干渉出力は、包絡線の関数にcos(2ω0z/c)というキャリア周波数の干渉による項が掛かった形となる。そのため、信号光S1と参照光S2が強め合う干渉が起きる場合(図4の位置zd)、包絡線の位置を走査して包絡線をなぞるように波形が取得でき計測が可能となる。弱め合う干渉が起きる場合には(図4の位置zb)、干渉出力がゼロとなるため、包絡線を走査しても信号出力がゼロとなり、何も信号が得られない。
このように、奥行き方向に沿って測定位置がzaからzgへ動くと、その位置に応じた干渉出力は図のように変化するため、反射境界が鮮明でなくなる。
【0029】
一方、本発明での構造測定方法および構造測定装置では、所定周波数の光から生成した周波数コム光により作られる干渉波と、この光と中心角周波数が所定周波数分異なる光により生成した周波数コム光から作られる干渉波を生成する。この2つの干渉波(図5参照)は、π/2位相が異なる。
これら2つの干渉波を利用して2回測定して二乗和を計算すると、どの位置(za−zg)でも測定が可能となり、3次元形状・断層構造が測定できる。
【0030】
《実施形態》
<周波数コムを用いた従来の干渉計測法の原理>
図6は、コム光のパワースペクトルを示している。
コム光のパワースペクトル|U0(ω−ω0)|2は次式のように表すことができる。
|U0(ω−ω0)|2
∝F(ω−ω0)[G(ω)*Σδ(ω−ω0−mΩ0)] (1)
(*は畳み込み積分を表す)
ω0:コムの中心角周波数
Ω0:基準のコム間隔角周波数
F(ω):スペクトルの包絡線形状を示す関数
G(ω):周波数コムの縦モードの形状を示す関数
Σ:m=0,1,2としたときのδ(ω−ω0−mΩ0)の総和
δ:デルタ関数
【0031】
図7は従来の形状計測装置3を示す図であり、形状計測装置3により、図14においてすでに説明した「光コム周波数間隔掃引干渉法」が実施される。
図7において、形状計測装置3は、レーザ311と、周波数コム光発生器312と、コリメータCLと、干渉計33とからなる。
干渉計33は、コリメータCLにより、周波数コム光発生器312から出射した光を広げてコリメートし、干渉計33に入射する。ここで、コリメートされた光は、一様であるとする。
【0032】
干渉計33に入射された周波数コム光は、
Z方向を測定対象の深さ方向にとる。イメージセンサ上の平面(x,y)上の1点で考える。
2つの分枝の遅延時間差をτとして、
サンプル側からの複素光振幅を、
s(t−τ)=s(τ)u0(t−τ)
とする。また、参照側からの複素光振幅を、
r(t)=ru0(t)
とする。ここで
s(τ):遅延時間τに相当する測定対象の深さ方向の点からの光の戻る割合
r:参照鏡の反射率
である。
【0033】
イメージセンサの1つの画素の出力i(τ)は、次のように表される。
i(τ)∝<|us(t−τ)+ur(t)|2
=(s2(τ)+r2)<|u0(t)|2
+2Re[s(τ)r<u0(t)u0*(t−τ)>] (2)
ここで<・・>は、イメージセンサの蓄積時間内での時間平均を表す。
【0034】
ウィナーキンチン(Wiener−Khintchine)の定理から、干渉信号(自己相関関数)は光源のパワースペクトルのフーリエ逆変換となるので、自己相関関数Γ(τ)は次のようになる。
Γ(τ)≡<u0(t)u0*(t−τ)>
=[f(τ)・Σδ(τ−mT)]g(τ)exp(jω0τ)
T≡2π/Ω0 (3)
【0035】
式(3)より、図8に示すように、一定の遅延時間差(すなわち干渉距離差)の箇所ごとにきわめて強い干渉出力が現れる。つまり、周波数コムを干渉系に入射すると、遅延時間差τが次のような条件を満たす時、干渉はきわめて強い値を示す。
τ=mπ/Ω
f(τ),g(τ)は実関数である。またm次の干渉のみを考える。すなわち、測定対象側と参照側の遅延時間差をτとし、これがmTの近傍にあるように参照鏡の位置を設定する。
【0036】
このとき、
<|u0(t)|2>=Γ(0)≒f(0)g(0)
<u0(t)u0*(t−τ)>
=Γ(τ)≒g(mT)f(τ−mT)exp(jω0τ)
したがって、イメージセンサ上の出力は、
i(τ)∝f(0)g(0)(s2(τ)+r2
+2rs(τ)g(mT)f(τ−mT)cos(ω0τ)
=f(0)g(0)(s2(τ)+r2
+2rs(τ)g(m・2π/Ω0)f(τ−m・2π/Ω)cos(ω0τ) (4)
ここで、Ωはコム角周波数間隔(Ω0は基準のコム角周波数間隔)、ω0は光の中心角周波数である。ΩはΩ0の近傍で掃引される。
【0037】
光学的深さ方向のzを2分枝の遅延時間の差をもとに、次のように定義する。
z≡cτ/2
ここで、遅延時間差τがmTの近傍にあるので、 z≒m・πc/Ω0(=mλRF/2) (5)
i(z,Ω)∝f(0)g(0)(s2(z)+r2)+2rs(z)g(m・2π/Ω0)f(2/c(z−m・πc/Ω))cos(2πω0z/c) (6)
これは、掃引されるマイクロ波周波数がΩのとき、深さzの点から戻ってくる光の干渉出力を表している。
【0038】
たとえば、f(τ)がガウス関数の場合は、
f(τ)=exp[−(loge2){τ/(Δτ/2)}2
Δτ:半値幅 (7)
で表すことができる。
したがって、
i(z,Ω)∝f(0)g(0)(s2(z)+r2
+2rs(z)g(m・2π/Ω0
×exp[−(loge2){(z−m・πc/Ω)/(zres/2)}2]cos(2ω0z/c) (8)
res=cΔτ/2:深さz方向の分解能
すなわち、参照ミラーを動かし距離差を走査する代わりに、コム周波数間隔Ωを掃引すれば、(8)式の条件を満たすところで干渉信号が現れ、機械的可動部が無い測定が可能になる。しかし、式(8)の干渉項はキャリア周波数成分cos(2ω0z/c)の項がある。そのため図4で説明したように、位置によって干渉成分が変化するので反射境界が明瞭でなくなる、あるいは内部構造が鮮明に見えないという問題がある。
【0039】
<本発明の原理>
〔A〕 表面形状の測定(膜厚測定のように境界のみを見る場合も含む)
測定される信号は、マイクロ波周波数Ωの掃引により、
c=m・πc/Ω0を中心に、測定対象のzc−a/2からzc+a/2の深さ範囲が検出されるとする。
一般に、aはzc/100のオーダーである。
また、mは一般に、3〜20の範囲の整数値とする。
表面がz0のところにあるとき、z=z0以外のところからくる光は無視できるとする。また、表面からの反射光あるいは散乱光の割合をs(z0)とすると、CCDの1つの画素の信号は次のようになる。
i(Ω)=f(0)g(0)(s2(z0)+r2
+2rs(z0)g(m・2π/Ω0))
×exp[−(loge2){(z0−m・πc/Ω)/(zres/2)}2]cos(2ω00/c) (9)
【0040】
図9(A),(B)は、測定対象の一例として積み重ねたガラス板を示す図である。
図10(A),(B)は、図8のガラス板を従来方法で構造測定を行った例を示している。境界となる4つの反射面が観測されるが、cos(2ω00/c)の項によって、正負や大きさが変化する。通常、表面が光入射面に完全に平行であることはないので、表面自体は測定される。しかし、場所によってcosの項のために0に近くなる場合がある。
【0041】
そこで、2つのコムの中心角周波数に対し、次のような信号処理を行う。
2つのコムの中心角周波数をω1,ω2とし、それぞれに対してコム間隔周波数を掃引すると干渉信号が得られる。測定結果からバイアス部分を差し引いた干渉項(第2項)を、ω1のコムに対してp1(Ω)、ω2のコムに対してp2(Ω)とする。
ただし、2つのコム中心角周波数の差を次のように設定する。
ω1−ω2=Ω0/4m (10)
【0042】
このとき、
1(Ω)=sc(Ω)cos(2ω1z/c) (11)
2(Ω)=sc(Ω)cos(2ω2z/c)
=sc(Ω)cos{2ω1z/c−(π/2)・(z/zc)}
≒sc(Ω)sin(2ω1z/c) (12)
ただし、
c(Ω)=2rs(z0)g(m・2π/Ω0)×exp[−(loge2){(z0−m・πc/Ω)/(zres/2)}2] (13)
【0043】
取得された2つのデータから次のようにして、sc(Ω)を求めることができる。
c(Ω)={p21(Ω)+p22(Ω)}1/2
=2rs(z0)g(m・2π/Ω0
×exp[−(loge2){(z0−m・πc/Ω)/(zres/2)}2] (14)
すなわち、これより散乱分布s(z)が求められる。
【0044】
図11は、上記のようにして、図9のガラス板を測定対象として本発明の構造測定方法による測定を行った例を示している。全ての境界面で高さの揃った鮮明な信号が得られていることが判る。
【0045】
〔B〕 内部構造の測定(OCTのように物体の内部断面の測定をしようとする場合を含む)
測定される信号は、マイクロ波周波数Ωの掃引により、zc=m・πc/Ω0を中心に測定対象のzc−a/2からからzc+a/2の深さ範囲が検出されるとする。一般に、aはzc/100のオーダーである。すると、CCDの1つの画素には、測定対象のいろいろな深さからくる光が合わされて露光されるので、式(6)を積分した信号is(Ω)が画素の信号となる。
【0046】
s(Ω)=∫i(z,Ω)dz
=∫[f(0)g(0)(s2(z)+r2
+2rs(z)g(m・2π/Ω0))
×exp[−(loge2){(z−m・πc/Ω)/(zres/2)}2]cos(2ω0z/c)]dz
(積分範囲は、zc−a/2からからzc+a/2まで)
(15)
【0047】
上記の信号のバイアス部分を差し引いた干渉項(積分の第2項)のみを、次のように書き直す。
p(Ω)=∫sc(z,Ω)cos(2ω0z/c)dz (16)
【0048】
ただし、
c(z,Ω)
=2rs(z)g(m・2π/Ω0
×exp[−(loge2){(z−m・πc/Ω)/(zres/2)}2] (17)
上記の干渉項は、cosによって平均化されるので鮮明な画像が得られない。
【0049】
そこで、2つのコムの中心角周波数に対し、次のような信号処理を行う。
2つのコムの中心角周波数をω1,ω2とし、それぞれに対してコム間隔周波数を掃引すると干渉信号が得られる。測定結果からバイアス部分を差し引いた干渉項(第2項)を、ω1のコムに対してp1(Ω)、ω2のコムに対してp2(Ω)とする。
ただし、2つのコム中心角周波数の差を次のように設定する。
ω1−ω2=Ω0/4m (18)
【0050】
このとき、
1(Ω)=∫sc(z,Ω)cos(2ω1z/c)dz (19)
2(Ω)=∫sc(z,Ω)cos(2ω2z/c)dz
=∫sc(z,Ω)cos{2ω1z/c−(π/2)・(z/zc)}dz
=∫sc(z,Ω)sin(2ω1z/c)dz (20)
【0051】
取得された2つのデータをそれぞれΩで微分する。
1(Ω)=dp1(Ω)/dΩ (21)
2(Ω)=dp2(Ω)/dΩ (22)
上記の2つの式から次のようにして、sc(z,Ω)を求めることができる。
c(z,Ω)=−mπc{q21(Ω)+q22(Ω)}1/2/z2
【0052】
これより、sc(z,Ω)、すなわち内部構造の散乱分布sc(z)を求めることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 構造測定装置
3 形状計測装置
11 光源
12 コム光生成装置
13 光学干渉計
14 演算制御部
33 干渉計
71 白色光源
72 干渉計
81 周波数掃引レーザ
82 干渉計
111 単一周波数光源
111A,111B 単一周波数レーザ
112 周波数シフタ
113 マイクロ波発生器
114 光切替スイッチ
131 参照鏡
132 測定対象
133 イメージセンサ
311 レーザ
312 周波数コム光発生器
721 参照ミラー
722 測定対象
723 フォトダイオード
821 参照ミラー
822 測定対象
823 フォトダイオード
911 単一周波数光源
912 周波数コム光発生器
921 参照ミラー
922 測定対象
923 イメージセンサ
CL コリメータ
r,Ls 光学長
S1 信号光
S2 参照光
Scmb コム光
cos キャリア周波数成分
f 光源周波数
B 帯域
i コム周波数間隔
s 信号
s 測定対象の構造の反射または散乱分布
z 測定対象の深さ方向の距離
Ω0 基準となるコム間隔周波数
ω1 コムの中心角周波数
ω2 コムの中心角周波数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数が異なる複数のレーザ光から中心角周波数が異なる複数のコム光を順次生成して光学干渉計に入射し、複数のコム光ごとに、前記光学干渉計における固定された参照鏡からの戻り光と測定対象からの戻り光との干渉出力を、コム周波数間隔を掃引することにより複数回検出し、これらの検出値に基づき測定対象の構造を測定する構造測定方法であって、
前記複数回の検出ごとに、前記各検出において得られた干渉成分の検出値から、反射分布および/または散乱分布を取り出す演算を行うことで、前記測定対象の構造測定を行うことを特徴とする構造測定方法。
【請求項2】
m次の干渉成分が現れるように前記光学干渉計の参照側と測定対象側との光学長差を設定する請求項1に記載の構造測定方法であって、
用意される中心角周波数が異なるコム光が2つであり、これら2つの中心角周波数ω1,ω2の差(ω1−ω2)を、
ω1−ω2=Ω0/4m
m:次数(正の整数)
ω1:一方のコム光の中心角周波数
ω2:他方のコム光の中心角周波数
Ω0:基準となるコム間隔角周波数
となるように設定することを特徴とする構造測定方法。
【請求項3】
干渉出力が得られる測定対象の深さzが、
z=m×(πc/Ω)
となるようなm次の干渉を測定する設定において、
境界面や内部構造の散乱分布sc(z,Ω)を、p1(Ω),p2(Ω)を実数として、
c(z,Ω)={p1(Ω)2+p2(Ω)21/2
により求め、
または、
1(Ω)=dp1(Ω)/dΩ
2(Ω)=dp2(Ω)/dΩ
の2つの式から、
c(z,Ω)=−mπc{q21(Ω)+q22(Ω)}1/2/z2
により求めることを特徴とする請求項2に記載の構造測定方法。
z:測定対象の基準位置からの深さ方向の距離
m:次数(正の整数)
Ω:コム間隔の角周波数(掃引角周波数)
c:光速
ω1:一方のコム光の中心角周波数
ω2:他方のコム光の中心角周波数
c(z,Ω):Ωで掃引したときの演算値(測定値)
1(Ω):中心角周波数ω1のコム光に対し、Ωを掃引したときのイメージセンサ出力の干渉項(測定値)
2(Ω):中心角周波数ω2のコム光に対し、Ωを掃引したときのイメージセンサ出力の干渉項(測定値)
【請求項4】
周波数が異なる複数のレーザ光を発生する光源と、
前記光源から出射されるレーザ光を元に、コム周波数間隔が可変で中心角周波数が異なる複数のコム光を順次生成するコム光生成装置と、
前記コム光生成装置からのコム光が順次入射され、固定された参照鏡からの戻り光と測定対象からの戻り光との干渉出力を、コム周波数間隔を掃引することにより複数回検出する光学干渉計と、
前記複数のコム光の中心角周波数を設定し、コム周波数間隔を掃引し、所定の演算を行う演算制御部と、
を備えた構造測定装置であって、
前記演算制御部は、前記光学干渉計における前記参照鏡からの戻り光と前記測定対象からの戻り光との干渉出力を、コム周波数間隔を掃引することにより複数回検出し、前記各検出において得られた干渉成分の検出値から、測定対象の深さ方向の反射構率分布および/または散乱係数分布のみを取り出す演算を行うことで、前記測定対象の構造測定を行うことを特徴とする構造測定装置。
【請求項5】
前記光源として、単一周波数光源と、前記単一周波数光源からの光を入射し、周波数を僅かに変化させる周波数シフタとからなることを特徴とする請求項4に記載の構造測定装置。
【請求項6】
m次の干渉成分が現れるように前記光学干渉計の参照側と測定対象側との光学長差を設定する請求項4または5に記載の構造測定装置であって、
用意される中心角周波数の異なるコム光が2つであり、これら2つの中心角周波数ω1,ω2の差(ω1−ω2)を、
ω1−ω2=Ω0/4m
m:次数(正の整数)
ω1:一方のコム光の中心角周波数
ω2:他方のコム光の中心角周波数
Ω0:基準となるコム間隔角周波数
となるように設定することを特徴とする構造測定装置。
【請求項7】
干渉出力が得られる測定対象の深さzが、
z=m×(πc/Ω)
となるように設定した請求項6に記載の構造測定装置において、
前記演算制御部は、
境界面や内部構造の散乱分布sc(z,Ω)を、p1(Ω),p2(Ω)を実数として、
c(z,Ω)={p1(Ω)2+p2(Ω)21/2
により求め、
または、
1(Ω)=dp1(Ω)/dΩ
2(Ω)=dp2(Ω)/dΩ
の2つの式から、
c(z,Ω)=−mπc{q21(Ω)+q22(Ω)}1/2/z2
により求めることを特徴とする請求項6に記載の構造測定装置。
z:基準位置からの深さ方向の距離
m:次数(正の整数)
Ω:コム光の角周波数間隔(掃引角周波数の間隔)
c:光速
ω1:一方のコム光の中心角周波数
ω2:他方のコム光の中心角周波数
c(z,Ω):Ωで掃引したときの演算値(測定値)
1(Ω):中心角周波数ω1のコム光に対し、Ωを掃引したときのイメージセンサ出力の干渉項(測定値)
2(Ω):中心角周波数ω2のコム光に対し、Ωを掃引したときのイメージセンサ出力の干渉項(測定値)

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−154728(P2012−154728A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13109(P2011−13109)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【Fターム(参考)】