説明

構造物の吊装置および構造物のハンドリング方法

【課題】構造物をより安全にハンドリングすること。
【解決手段】他端に支点が設けられた構造物(保管容器14)の一端を吊って起立または横倒しを行う構造物の吊装置において、前記構造物の一端に設けられており前記構造物の重心Gよりも傾倒側の位置に吊点(係合穴22d)を有する吊具22を備える。保管容器14の重心Gよりも傾倒側の位置に吊点があることで、保管容器14を横倒し状態または起立状態にする間は、常に吊点(力点)と支点とで分担して保管容器14の重量を負担する。このため、横倒し状態または起立状態にする間は、保管容器14の全重量が吊点である係合穴22dに掛かる事態を防ぐ。この結果、収納された炉内構造物を含む保管容器14の重量が、クレーン12の吊り上げ能力を超えている場合でも、保管容器14を横倒しまたは起立させることができ、保管容器14をより安全にハンドリングすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、炉内構造物などの原子力関連の構造物を、安全かつ容易にハンドリングできる構造物の吊装置および構造物のハンドリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)において、原子炉容器内には炉内構造物が設けられており、原子炉燃料の支持やその他諸目的のために使用される。原子炉燃料は、所定の燃焼を終えれば使用済燃料として原子炉容器から搬出されるが、炉内構造物は交換されず、原子炉内で運転当初からそのまま使用されている。これは、炉内構造物が、元々原子炉燃料のように燃焼が終了すれば取り替えられるべきものではなく、恒久的な構成部材として長期の耐久性を持たせて設計製作されたものだからである。ところが、数十年の長期使用において、設計時には想定しなかった事態が発生したり、設計上の使用期間を越えて原子炉の運転を継続したりする場合、安全性を維持するために当該炉内構造物を新品に取り替えることが望ましい場合がある。
【0003】
ところが、炉内構造物は、取替えを前提として設計されていないので、実際に原子炉内から炉内構造物を搬出するための技術は余り提案されていない。また、炉内構造物は原子炉の運転により中性子等の照射を受けて放射能を帯びているため、安全に搬出することは勿論、搬出作業が簡単に行えるものである必要がある。さらに、炉内構造物は、燃料棒に比べて重量が大きくかつ大型であるため、通常の大型構造物の搬出作業に比べて極めて困難なものとなる。
【0004】
そこで、炉内構造物等の原子力関連構造物を安全かつ容易にハンドリングできるようにするため、従来、例えば、特許文献1に記載の原子力関連構造物のハンドリング方法は、炉内構造物その他の原子力関連構造物の一端を吊り上げて起立を行うハンドリング方法において、原子力関連構造物をその他端で支持する第一支持点と、この第一支持点より高い位置に形成した第二支持点とをそれぞれピボット軸及び開放軸受により形成し、まず、原子力関連構造物が第一支持点で支持された状態から、原子力関連構造物を第一支持点で支持しつつ吊り上げ、当該原子力関連構造物の重心が第一支持点の真上に位置する時点かその前に、前記第二支持点で原子力関連構造物を支持して吊り上げを行い、原子力関連構造物を第一支持持から解放して起立させた後、原子力関連構造物と第一支持点との間に自立架台を入れて自立させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−150958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の発明によれば、炉内構造物等の原子力関連構造物を安全かつ容易にハンドリングできるが、改善点がある。具体的には、起立された構造物の重心の真上に吊り上げを行う吊点(力点)が存在するため、構造物重量が吊上装置(クレーン)の吊り上げ能力以上である場合、立て起こし中に吊上装置の定格荷重を超えてしまうおそれがある。しかも、起立された構造物の重心の真上に吊り上げを行う吊点(力点)が存在すると、立て起こし完了時からさらなる吊り上げを行ってしまうと構造物が持ち上がるため、構造物重量が吊上装置(クレーン)の吊り上げ能力以上である場合、吊上装置の定格荷重を超えることになる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、構造物をより安全にハンドリングすることのできる構造物の吊装置および構造物のハンドリング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の構造物の吊装置は、他端に支点が設けられた構造物の一端を吊って起立または横倒しを行う構造物の吊装置において、前記構造物の一端に設けられており前記構造物の重心よりも傾倒側の位置に吊点を有する吊具を備えることを特徴とする。
【0009】
この構造物の吊装置によれば、構造物の重心よりも傾倒側の位置に吊点があることで、構造物を横倒し状態または起立状態にする間は、常に吊点(力点)と支点とで分担して構造物の重量を負担する。このため、横倒し状態または起立状態にする間は、構造物の全重量が吊点に掛かる事態を防ぐ。この結果、構造物の重量が、クレーンなどの吊り上げ能力を超えている場合でも、構造物を横倒しまたは起立させることができ、構造物をより安全にハンドリングすることができる。
【0010】
しかも、起立状態の構造物の重心よりも傾倒側の位置に吊点があることで、起立状態を行き過ぎて吊り上げたとしても、支点から切り離して持ち上げず、一時的に構造物が反対方向に傾くことになる。この結果、起立状態を行き過ぎたことを容易に認知でき、構造物をより安全にハンドリングすることができる。
【0011】
また、本発明の構造物の吊装置は、前記吊具は、前記吊点が、起立状態の前記構造物における重心の真上の位置に移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0012】
この構造物の吊具によれば、構造物を起立させた後に、構造物を支点から切り離して吊り上げる場合、当該構造物を傾けることなく真っ直ぐに持ち上げることができる。
【0013】
また、本発明の構造物の吊装置は、前記支点を、ピボット軸および開放軸受によって形成し、かつ前記構造物の横倒しまたは起立方向に異なる高さで複数設けることを特徴とする。
【0014】
この構造物の吊装置によれば、吊点で吊っている横倒し状態と起立状態との途中において、構造物の重心が一の支点の直上に位置する時点かその前に、他の支点で構造物を支持して吊り上げを行うことで、支点に対して重心が横倒しまたは起立方向の一方側から反対側に移ることがない。このため、構造物を安定的にハンドリングできる。
【0015】
上述の目的を達成するために、本発明の構造物のハンドリング方法は、構造物の一端を吊り上げて起立を行う構造物のハンドリング方法において、横倒し状態での前記構造物の一端であって前記構造物の重心よりも下側の位置に吊点を形成する工程と、横倒し状態での前記構造物の他端に、支点を形成する工程と、前記構造物が前記支点で支持された状態から前記吊点を上昇させて前記構造物を吊り上げ、前記構造物を起立させる工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
この構造物のハンドリング方法によれば、横倒し状態での構造物の重心よりも下側の位置に吊点があることで、構造物を起立状態にする間は、常に吊点(力点)と支点とで分担して構造物の重量を負担する。このため、起立状態にする間は、構造物の全重量が吊点に掛かる事態を防ぐ。この結果、構造物の重量が、クレーンなどの吊り上げ能力を超えている場合でも、構造物を起立させることができ、構造物をより安全にハンドリングすることができる。
【0017】
しかも、横倒し状態の構造物の重心よりも下側の位置に吊点があることで、起立状態を行き過ぎて吊り上げたとしても、支点から切り離して持ち上げず、一時的に構造物が反対方向に傾くことになる。この結果、起立状態を行き過ぎたことを容易に認知でき、構造物をより安全にハンドリングすることができる。
【0018】
また、本発明の構造物のハンドリング方法は、構造物の一端を吊り上げて起立を行う構造物のハンドリング方法において、横倒し状態での前記構造物の一端であって前記構造物の重心よりも下側の位置に吊点を形成する工程と、横倒し状態での前記構造物の他端に、第一支点と前記第一支点よりも高い位置の第二支点とをそれぞれピボット軸および開放軸受によって形成する工程と、前記構造物が前記第一支点で支持された状態から前記吊点を上昇させて前記構造物を吊り上げる工程と、前記構造物の重心が前記第一支点の真上に位置する時点かその前に、前記第二支点で前記構造物を支持して吊り上げ、前記構造物を前記第一支点から開放して起立させる工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
この構造物のハンドリング方法によれば、横倒し状態での構造物の重心よりも下側の位置に吊点があることで、構造物を起立状態にする間は、常に吊点(力点)と支点とで分担して構造物の重量を負担する。このため、起立状態にする間は、構造物の全重量が吊点に掛かる事態を防ぐ。この結果、構造物の重量が、クレーンなどの吊り上げ能力を超えている場合でも、構造物を起立させることができ、構造物をより安全にハンドリングすることができる。
【0020】
しかも、横倒し状態の構造物の重心よりも下側の位置に吊点があることで、起立状態を行き過ぎて吊り上げたとしても、支点から切り離して持ち上げず、一時的に構造物が反対方向に傾くことになる。この結果、起立状態を行き過ぎたことを容易に認知でき、構造物をより安全にハンドリングすることができる。
【0021】
しかも、吊点で吊っている横倒し状態と起立状態との途中において、構造物の重心が第一支点の直上に位置する時点かその前に、第二支点で構造物を支持して吊り上げを行うことで、支点に対して重心が横倒しまたは起立方向の一方側から反対側に移ることがない。このため、構造物を安定的にハンドリングできる。
【0022】
また、本発明の構造物のハンドリング方法は、前記構造物を起立させた後、前記吊点を前記構造物における重心の真上の位置に移動させる工程をさらに含むことを特徴とする。
【0023】
この構造物のハンドリング方法によれば、構造物を起立させた後に、構造物を支点から切り離して吊り上げる場合、当該構造物を傾けることなく真っ直ぐに持ち上げることができる。
【0024】
また、本発明の構造物のハンドリング方法は、構造物の一端を吊り下げて横倒しを行う構造物のハンドリング方法において、起立状態での前記構造物の一端であって前記構造物の重心よりも傾倒側の位置に吊点を形成する工程と、起立状態での前記構造物の他端に、支点を形成する工程と、前記構造物が前記支点で支持された状態から前記吊点を下降させて前記構造物を吊り下げ、前記構造物を横倒しさせる工程と、を含むことを特徴とする。
【0025】
この構造物のハンドリング方法によれば、起立状態の構造物の重心よりも傾倒側の位置に吊点があることで、構造物を横倒し状態にする間は、常に吊点(力点)と支点とで分担して構造物の重量を負担する。このため、横倒し状態にする間は、構造物の全重量が吊点に掛かる事態を防ぐ。この結果、構造物の重量が、クレーンなどの吊り上げ能力を超えている場合でも、構造物を横倒しすることができ、構造物をより安全にハンドリングすることができる。
【0026】
また、本発明の構造物のハンドリング方法は、構造物の一端を吊り下げて横倒しを行う構造物のハンドリング方法において、起立状態での前記構造物の一端であって前記構造物の重心よりも傾倒側の位置に吊点を形成する工程と、起立状態での前記構造物の他端に、第一支点と前記第一支点よりも高い位置の第二支点とをそれぞれピボット軸および開放軸受によって形成する工程と、前記構造物が前記第二支点で支持された状態から前記吊点を下降させて前記構造物を吊り下げる工程と、前記構造物の重心が前記第一支点の真上を過ぎた後に、前記第一支点で前記構造物を支持して吊り下げ、前記構造物を横倒しさせる工程と、を含むことを特徴とする。
【0027】
この構造物のハンドリング方法によれば、起立状態の構造物の重心よりも傾倒側の位置に吊点があることで、構造物を横倒し状態にする間は、常に吊点(力点)と支点とで分担して構造物の重量を負担する。このため、横倒し状態にする間は、構造物の全重量が吊点に掛かる事態を防ぐ。この結果、構造物の重量が、クレーンなどの吊り上げ能力を超えている場合でも、構造物を横倒しすることができ、構造物をより安全にハンドリングすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、構造物をより安全にハンドリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る構造物の搬入・搬出について示す説明図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る構造物の吊装置を示す側面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る構造物の吊装置を示す正面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る構造物のハンドリング方法の説明図である。
【図5−1】図5−1は、本発明の実施の形態に係る構造物のハンドリング方法の工程図である。
【図5−2】図5−2は、本発明の実施の形態に係る構造物のハンドリング方法の工程図である。
【図5−3】図5−3は、本発明の実施の形態に係る構造物のハンドリング方法の工程図である。
【図5−4】図5−4は、本発明の実施の形態に係る構造物のハンドリング方法の工程図である。
【図5−5】図5−5は、本発明の実施の形態に係る構造物のハンドリング方法の工程図である。
【図5−6】図5−6は、本発明の実施の形態に係る構造物のハンドリング方法の工程図である。
【図5−7】図5−7は、本発明の実施の形態に係る構造物のハンドリング方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0031】
図1は、本実施の形態に係る構造物の搬入・搬出について示す説明図である。本実施の形態において対象とする構造物は、例えば、原子力関連の構造物としての炉内構造物であり、この炉内構造物が後述の保管容器14に収納されたもの(保管容器14)を構造物としてハンドリングを行う。また、ハンドリングを行う構造物として、炉内構造物のほか、原子炉容器上蓋などを挙げることができる。また、ハンドリングを行う構造物として、リサイクル燃料集合体の中間貯蔵を行う金属キャスクを挙げることができる。
【0032】
図1に示すように、原子炉1は、外部遮蔽壁2内に格納容器3が設置され、この格納容器3の上部にポーラクレーン4を設置してある。ポーラクレーン4は、周状にレール5が敷設されており、径方向にガータ6が設けられている。ガータ6は、その上にトロリー6aが設置されている。また、原子炉1内にて炉内構造物の交換を行う際には、当該炉内構造物が配置されている上部に、原子炉1のキャビティを塞ぐ形で仮設床8が置かれる。
【0033】
仮設床8の上方は、揚重設備9が設けられている。揚重設備9は、2つのガントリ10の間にクロスメンバ11を渡した構造であり、このクロスメンバ11にクレーン12が載せられている。クレーン12は、ワイヤを巻き上げることで、炉内構造物が収納された保管容器14を持ち上げる装置である。また、格納容器3および外部遮蔽壁2は、出入口17が設けられている。そして、出入口17を境にして内部および外部に渡って、保管容器14を搬送する仮設床18が設けられている。
【0034】
図2は、本実施の形態に係る構造物の吊装置を示す側面図であり、図3は、本実施の形態に係る構造物の吊装置を示す正面図である。
【0035】
炉内構造物を収納する保管容器14は、図2に示すように、横倒しにした状態で、仮設床18上を搬送され、図1に示す出入口17を通じて、原子炉1の内部および外部に搬入・搬出される。図2および図3に示すように、保管容器14は、円筒状の胴部14aを有し、起立したときの上端(一端)が蓋14bで開閉可能に構成され、起立したときの下端(他端)が底板14cで閉塞されている。
【0036】
保管容器14は、底板14cで閉塞された他端に、相互に平行に配置された第一ピボット軸20aと第二ピボット軸20bとを有している。各ピボット軸20a、20bは、ピボット架台21に支持される。
【0037】
ピボット架台21は、炉心の上部および前記出入口17内外の仮設床18上を移動すると共に、保管容器14を2ピボットで支持する構造である。ピボット架台21は、図2に示すように、第一ピボット軸20aを支持する低い方の第一開放軸受21aと、第二ピボット軸20bを支持する高い方の第二開放軸受21bとを有している。各開放軸受21a、21bは、板材に半円形の切込を入れて形成され、この切込が上方に向くように板材をフレーム21cに固定したものである。また、ピボット架台21は、フレーム21cの底に、移動手段としてのチルタンク21dが設けられている。チルタンク21dは、複数の車輪に掛け回されるように無端の駆動ベルトが配設され、仮設床18上を走行可能となっている。
【0038】
そして、図2に示すように、保管容器14を横倒した場合、ピボット架台21の第一開放軸受21aに、第一ピボット軸20aが係合して水平に支持される。この保管容器14を横倒した状態において、保管容器14を仮設床18上で支持する移動手段としてのチルタンク14dが胴部14aに設けられている。また、保管容器14を横倒した状態では、第一ピボット軸20aと第二ピボット軸20bとが鉛直な位置関係に配置される。
【0039】
一方、保管容器14を起立した場合(図5−5に参照)、ピボット架台21の第二開放軸受21bに、第二ピボット軸20bが係合して水平に支持される。この保管容器14を起立した状態において、保管容器14を支持する後述する自立架台23が保管容器14の底部に配置される。また、保管容器14を起立した状態では、第一ピボット軸20aと第二ピボット軸20bとが水平な位置関係に配置される。
【0040】
また、保管容器14は、蓋14bに、本実施の形態の吊装置の要部である吊具22が設けられている。吊具22は、側面視で略L形に形成された一対の板体として構成されている。吊具22は、蓋14bに固定された支持板14eを挟むように、当該支持板14eに対してL形の一端が支軸22aを介して支持されている。この支軸22aは、起立状態の保管容器14における重心Gの真上の位置に設けられている。なお、起立とは、保管容器14の一端を上方に向け、他端を下方に向けたとき、支軸22aと重心Gとを結ぶ線が鉛直方向を向くことをいう。
【0041】
吊具22は、L形の屈曲部分に、貫通穴22bが形成されている。貫通穴22bは、支持板14eに対して挿通される支持ピン22cが挿入される。このため、吊具22は、L形の屈曲部分が支持ピン22cを介して支持板14eに固定される。一方、吊具22は、支持ピン22cを貫通穴22bから抜くことで、L形の屈曲部分が支持板14eから外れ、前記支軸22aの回りに回転移動が可能になる。
【0042】
吊具22は、L形の他端に、係合穴22dが形成されている。係合穴22dは、一対の板体間を連結する円筒によって形成され、上述したクレーン12のワイヤの先端に設けられる後述のフック12aが掛け留められて吊点となるものである。この係合穴22dは、上述したようにL形の屈曲部分が支持ピン22cを介して支持板14eに固定されている状態で、保管容器14の重心Gよりも傾倒側の位置、すなわち水平に横倒した保管容器14での重心Gよりも下側の位置(図2および図5−1参照)、または起立した保管容器14での重心Gよりも横倒す側の位置に配置される(図5−5参照)。一方、吊具22は、上述したように支持ピン22cを貫通穴22bから抜いてL形の屈曲部分が支持板14eから外れた状態で、前記支軸22aの回りに回転移動が可能になり、クレーン12のワイヤを巻き上げた場合、係合穴22dが起立した保管容器14の重心Gの真上の位置に配置される(図5−6参照)。なお、吊具22は、上述した支軸22aに支持され、支持ピン22cによって支持板14eに支持される貫通穴22b、および係合穴22dを有する構成であれば、上述したように側面視で略L形に形成されていなくてもよい。
【0043】
以下、上記吊装置を用いた構造物のハンドリング方法を説明する。図4は、本実施の形態に係る構造物のハンドリング方法の説明図であり、図5−1〜図5−7は、本実施の形態に係る構造物のハンドリング方法の工程図である。
【0044】
上述した原子炉1において、炉内構造物は保管容器14に収納され、当該保管容器14内で固定された状態で搬送される。
【0045】
格納容器3内への搬入にあたって、保管容器14は、図2に示すように、ピボット架台21の第一開放軸受21aに第一ピボット軸20aが支持された第一支点P1が形成され、胴部14aのチルタンク14d、およびピボット架台21のチルタンク21dによって、仮設床18上で横倒しされた状態で支持されている。そして、保管容器14は、この横倒しされた状態で、各チルタンク14d,21dによって仮設床18上を搬送され、出入口17から格納容器3内に搬入される。そして、この格納容器3内において、保管容器14内の炉内構造物を取り出すため、図4に矢印Aで示すように保管容器14を横倒し状態(図4に実線で示す)から起立(図4に破線で示す)させる。
【0046】
保管容器14を横倒し状態から起立させるにあたり、まず、図5−1に示すように、保管容器14の一端に設けられている吊具22の係合穴22dに、クレーン12のフック12aを玉掛けする。このとき、吊具22は、屈曲部分の貫通穴22bに支持ピン22cが挿入されて支持板14eに固定されおり、係合穴22dが保管容器14の重心Gよりも下側の位置に配置されている。また、保管容器14の他端では、第一ピボット軸20aがピボット架台21の第一開放軸受21aに支持されている。
【0047】
次に、クレーン12によって保管容器14の一端を吊り上げる。これにより、吊具22の係合穴22dが吊点(力点)となり、第一ピボット軸20aおよび第一開放軸受21aが第一支点P1となって、第一開放軸受21aを中心に保管容器14が起立し始める。図5−2および図5−3に示すように、第一開放軸受21aを中心とした起立動作中は、保管容器14の重心Gが、第一支点P1よりも吊点(係合穴22d)側に位置しており、これにより、クレーン12による吊り上げは、第一開放軸受21aによって保管容器14の荷重を支持して吊っている状態となる。
【0048】
次に、図5−3に示すように、引き続き保管容器14を吊り上げてゆくと、保管容器14の重心Gが第一開放軸受21aの真上またはその手前に位置し、そのとき保管容器14の第二ピボット軸20bがピボット架台21の第二開放軸受21bにより支持される。ここで、重心Gが第一開放軸受21aの真上を通り過ぎて、そのまま起立動作を続けると、重心Gの位置が第一支点P1を通り越して反対側に倒れる荷重となるため、保管容器14の支持が不安定となりハンドリンクがし難い状態となる。そこで、重心Gが第一支点P1を通り越すときに、第二ピボット軸20bおよび第二開放軸受21bがなす第二支点P2で支持する。これにより、保管容器14の重心Gが、第二支点P2よりも吊点(係合穴22d)側に位置することになる。このような条件を満たすには、少なくとも、第二開放軸受21bの高さを、第一開放軸受21aの高さより高くすること。この高低差により保管容器14を同時支持した時点の当該保管容器14の重心Gが第一開放軸受21aの真上位置より外側(即ち、第一開放軸受21aと第二開放軸受21bとの間に位置していないこと)になる。
【0049】
次に、図5−4に示すように、引き続き保管容器14を吊り上げることで、第一開放軸受21aから第一ピボット軸20aが外れることで、保管容器14が第一開放軸受21aによる支持から解放される。ここで、クレーン12によって保管容器14がさらに引き上げられた場合、吊点(係合穴22d)が保管容器14の重心Gよりも傾倒側にあることから、保管容器14は、第二開放軸受21bによって支持されたままで、第二開放軸受21bを中心に傾倒側とは反対側(図5−4中の右側)に傾く。すなわち、クレーン12に保管容器14の全荷重が掛かることがない。しかも、保管容器14が第二開放軸受21bを中心に傾倒側とは反対側(図5−4中の右側)に傾くことで、保管容器14の吊り上げ過ぎを容易に認知できる。
【0050】
次に、図5−5に示すように、保管容器14が第二開放軸受21bによって支持された状態で、第一ピボット軸20a側を、第二ピボット軸20bと同じ高さとなるように、保管容器14の下に自立架台23を介在させ、保管容器14を自立させる。本実施の形態において、自立架台23は、第一開放軸受21aの高さを嵩上げするように、第一開放軸受21aとフレーム21cとの間に自立架台23を配置し、嵩上げされた第一開放軸受21aで第一ピボット軸20aを支持する。
【0051】
次に、図5−6に示すように、吊具22において、支持ピン22cを貫通穴22bから抜く。そして、クレーン12によって吊点(係合穴22d)を吊り上げることで、貫通穴22bが設けられた吊具22のL形の屈曲部分が支持板14eから外れて、吊具22が支軸22aの回りに回転移動し、吊点(係合穴22d)が起立した保管容器14の重心Gの真上の位置に配置される。このため、クレーン12によって保管容器14を吊り上げて持ち上げる場合、保管容器14が傾くことがない。
【0052】
また、図5−7に示すように、保管容器14の蓋14bを外し、クレーン12によって吊点(係合穴22d)を吊り上げることで、蓋14bの中心部分を持ち上げて当該蓋14bを胴部14aから離隔させる。これにより、胴部14aが開放され、保管容器14内の炉内構造物を取り出すことが可能になる。
【0053】
一方、保管容器14を起立状態から横倒し状態にする場合、図4に矢印Bで示すように、上記手順と反対に、ハンドリングを行う。まず、図5−7に示すように、起立状態の保管容器14において、保管容器14の蓋14bを外し、クレーン12によって吊具22(係合穴22d)を吊り上げることで、蓋14bの中心部分を持ち上げて当該蓋14bを胴部14aから離隔させる。
【0054】
次に、図5−6に示すように、クレーン12によって蓋14bを吊り下げ、当該蓋14bを胴部14aに固定する。
【0055】
次に、図5−5に示すように、クレーン12によって吊点(係合穴22d)を吊り下げることで、吊具22を支軸22aの回りに回転移動させ、貫通穴22bに支持ピン22cを挿入し、貫通穴22bが設けられた吊具22のL形の屈曲部分を支持板14eに固定する。
【0056】
次に、図5−4に示すように、自立架台23を取り外し、第一開放軸受21aの位置を下げる。これにより、第一ピボット軸20aと第一開放軸受21aとが離隔し、保管容器14が第二開放軸受21bのみに支持される。
【0057】
次に、図5−3に示すように、係合穴22dの位置を下降させ、第二開放軸受21bを中心に保管容器14を横倒しさせるように保管容器14を吊り下げる。重心Gの位置が第一支点P1の直上または傾倒側に移動することにより、第二ピボット軸20bおよび第二開放軸受21bがなす第二支点P2から、第一ピボット軸20aおよび第一開放軸受21aがなす第一支点P1に保管容器14の支持が移る。
【0058】
次に、図5−2に示すように、引き続き保管容器14を吊り下げてゆくと、第一開放軸受21aを中心に保管容器14が横倒しされる。最後は、図5−1に示すように、保管容器14のチルタンク14dが仮設床18に接地したところで、横倒しが完了する。
【0059】
なお、上述の説明では、支点を第一支点P1と第二支点P2との2つにしたが、当該支点が少なくとも1つであっても、吊装置および当該吊装置を用いたハンドリング方法を実現することが可能である。
【0060】
すなわち、本実施の形態の構造物の吊装置は、他端に支点が設けられた保管容器(構造物)14の一端を吊って起立または横倒しを行う構造物の吊装置において、保管容器14の一端に設けられており保管容器14の重心Gよりも傾倒側の位置に吊点としての係合穴22dを有する吊具22を備える。
【0061】
この構造物の吊装置によれば、保管容器14の重心Gよりも傾倒側の位置に吊点としての係合穴22dがあることで、保管容器14を横倒し状態または起立状態にする間は、常に吊点(力点)と支点とで分担して保管容器14の重量を負担する。このため、横倒し状態または起立状態にする間は、保管容器14の全重量が吊点である係合穴22dに掛かる事態を防ぐ。この結果、収納された炉内構造物を含む保管容器14の重量が、クレーン12の吊り上げ能力を超えている場合でも、保管容器14を横倒しまたは起立させることができ、保管容器14をより安全にハンドリングすることが可能である。
【0062】
しかも、起立状態の保管容器14の重心Gよりも傾倒側の位置に吊点としての係合穴22dがあることで、起立状態を行き過ぎて吊り上げたとしても、支点から切り離して持ち上がらず、一時的に保管容器14が反対方向に傾くことになる。この結果、起立状態を行き過ぎたことを容易に認知でき、保管容器14をより安全にハンドリングすることが可能である。
【0063】
また、本実施の形態の構造物の吊装置は、吊具22は、吊点としての係合穴22dが、起立状態の保管容器14における重心Gの真上の位置に移動可能に設けられている。
【0064】
この構造物の吊装置によれば、保管容器14を起立させた後に、保管容器14を支点から切り離して吊り上げる場合、当該保管容器14を傾けることなく真っ直ぐに持ち上げることが可能である。
【0065】
また、本実施の形態の構造物の吊装置は、支点を、ピボット軸20a、20bおよび開放軸受21a,21bによって形成し、かつ保管容器14の横倒しまたは起立方向に異なる高さで複数(第一支点P1,第二支点P2)設ける。
【0066】
この構造物の吊装置によれば、吊点としての係合穴22dで吊っている横倒し状態と起立状態との途中において、保管容器14の重心Gが第一支点P1の直上に位置する時点かその前に、第二支点P2で保管容器14を支持して吊り上げを行うことで、支点に対して重心Gが横倒しまたは起立方向の一方側から反対側に移ることがない。このため、保管容器14を安定的にハンドリングすることが可能である。
【0067】
また、本実施の形態の構造物のハンドリング方法は、保管容器(構造物)14の一端を吊り上げて起立を行う構造物のハンドリング方法において、横倒し状態での保管容器14の一端であって保管容器14の重心Gよりも下側の位置(または起立状態での保管容器14の重心Gよりも傾倒側の位置)に吊点としての係合穴22dを形成する工程と、横倒し状態での保管容器14の他端に、支点を形成する工程と、保管容器14が支点で支持された状態から係合穴22dを上昇させて保管容器14を吊り上げ、保管容器14を起立させる工程と、を含む。
【0068】
この構造物のハンドリング方法によれば、横倒し状態での保管容器14の重心Gよりも下側の位置に吊点としての係合穴22dがあることで、保管容器14を起立状態にする間は、常に吊点(力点)と支点とで分担して保管容器14の重量を負担する。このため、起立状態にする間は、保管容器14の全重量が吊点である係合穴22dに掛かる事態を防ぐ。この結果、収納された炉内構造物を含む保管容器14の重量が、クレーン12の吊り上げ能力を超えている場合でも、保管容器14を起立させることができ、保管容器14をより安全にハンドリングすることが可能である。
【0069】
しかも、横倒し状態の保管容器14の重心Gよりも下側の位置に吊点としての係合穴22dがあることで、起立状態を行き過ぎて吊り上げたとしても、支点から切り離して持ち上がらず、一時的に保管容器14が反対方向に傾くことになる。この結果、起立状態を行き過ぎたことを容易に認知でき、保管容器14をより安全にハンドリングすることが可能である。
【0070】
また、本実施の形態の構造物のハンドリング方法は、保管容器(構造物)14の一端を吊り上げて起立を行う構造物のハンドリング方法において、横倒し状態での保管容器14の一端であって保管容器14の重心よりも下側の位置(または起立状態での保管容器14の重心Gよりも傾倒側の位置)に吊点としての係合穴22dを形成する工程と、横倒し状態での保管容器14の他端に、第一支点P1と第一支点P1よりも高い位置の第二支点P2とをそれぞれピボット軸20a,20bおよび開放軸受21a,21bによって形成する工程と、保管容器14が第一支点P1で支持された状態から係合穴22dを上昇させて保管容器14を吊り上げる工程と、保管容器14の重心Gが第一支点P1の真上に位置する時点かその前に、第二支点P2で保管容器14を支持して吊り上げ、保管容器14を第一支点P1から開放して起立させる工程と、を含む。
【0071】
この構造物のハンドリング方法によれば、横倒し状態での保管容器14の重心Gよりも下側の位置に吊点としての係合穴22dがあることで、保管容器14を起立状態にする間は、常に吊点(力点)と支点とで分担して保管容器14の重量を負担する。このため、起立状態にする間は、保管容器14の全重量が吊点である係合穴22dに掛かる事態を防ぐ。この結果、収納された炉内構造物を含む保管容器14の重量が、クレーン12の吊り上げ能力を超えている場合でも、保管容器14を起立させることができ、保管容器14をより安全にハンドリングすることが可能である。
【0072】
しかも、横倒し状態の保管容器14の重心Gよりも下側の位置に吊点としての係合穴22dがあることで、起立状態を行き過ぎて吊り上げたとしても、支点から切り離して持ち上がらず、一時的に保管容器14が反対方向に傾くことになる。この結果、起立状態を行き過ぎたことを容易に認知でき、保管容器14をより安全にハンドリングすることが可能である。
【0073】
しかも、吊点としての係合穴22dで吊っている横倒し状態と起立状態との途中において、保管容器14の重心Gが第一支点P1の直上に位置する時点かその前に、第二支点P2で保管容器14を支持して吊り上げを行うことで、支点に対して重心Gが横倒しまたは起立方向の一方側から反対側に移ることがない。このため、保管容器14を安定的にハンドリングすることが可能である。
【0074】
また、本実施の形態の構造物のハンドリング方法は、保管容器14を起立させた後、吊点としての係合穴22dを保管容器14における重心Gの真上の位置に移動させる工程をさらに含む。
【0075】
この構造物のハンドリング方法によれば、保管容器14を起立させた後に、保管容器14を支点から切り離して吊り上げる場合、当該保管容器14を傾けることなく真っ直ぐに持ち上げることが可能である。
【0076】
また、本実施の形態の構造物のハンドリング方法は、保管容器(構造物)14の一端を吊り下げて横倒しを行う構造物のハンドリング方法において、起立状態での保管容器14の一端であって保管容器14の重心Gよりも傾倒側の位置に吊点としての係合穴22dを形成する工程と、起立状態での保管容器14の他端に、支点を形成する工程と、保管容器14が支点で支持された状態から係合穴22dを下降させて保管容器14を吊り下げ、保管容器14を横倒しさせる工程と、を含む。
【0077】
この構造物のハンドリング方法によれば、起立状態の保管容器14の重心Gよりも傾倒側の位置に吊点としての係合穴22dがあることで、保管容器14を横倒し状態にする間は、常に吊点(力点)と支点とで分担して保管容器14の重量を負担する。このため、横倒し状態にする間は、保管容器14の全重量が吊点である係合穴22dに掛かる事態を防ぐ。この結果、収納された炉内構造物を含む保管容器14の重量が、クレーン12の吊り上げ能力を超えている場合でも、保管容器14を横倒しすることができ、保管容器14をより安全にハンドリングすることが可能である。
【0078】
また、本実施の形態の構造物のハンドリング方法は、保管容器(構造物)14の一端を吊り下げて横倒しを行う構造物のハンドリング方法において、起立状態での保管容器14の一端であって保管容器14の重心Gよりも傾倒側の位置に吊点としての係合穴22dを形成する工程と、起立状態での保管容器14の他端に、第一支点P1と第一支点P1よりも高い位置の第二支点P2とをそれぞれピボット軸20a,20bおよび開放軸受21a,21bによって形成する工程と、保管容器14が第二支点P2で支持された状態から係合穴22dを下降させて保管容器14を吊り下げる工程と、保管容器14の重心Gが第一支点P1の真上を過ぎた後に、第一支点P1で保管容器14を支持して吊り下げ、保管容器14を横倒しさせる工程と、を含む。
【0079】
この構造物のハンドリング方法によれば、起立状態の保管容器14の重心Gよりも傾倒側の位置に吊点としての係合穴22dがあることで、保管容器14を横倒し状態にする間は、常に吊点(力点)と支点とで分担して保管容器14の重量を負担する。このため、横倒し状態にする間は、保管容器14の全重量が吊点である係合穴22dに掛かる事態を防ぐ。この結果、収納された炉内構造物を含む保管容器14の重量が、クレーン12の吊り上げ能力を超えている場合でも、保管容器14を横倒しすることができ、保管容器14をより安全にハンドリングすることが可能である。
【0080】
なお、上述した実施の形態では、ピボット架台21が移動手段としてのチルタンク21dが設けられ、保管容器14の横倒しまたは起立に際してピボット架台21が移動する構成であるが、ピボット架台21は移動せずクレーン12が水平方向にスライド移動することで保管容器14を横倒しまたは起立させてもよい。
【符号の説明】
【0081】
12 クレーン
12a フック
14 保管容器(構造物)
14a 胴部
14d チルタンク
14b 蓋
14c 底板
14e 支持板
20a 第一ピボット軸(支点)
20b 第二ピボット軸(支点)
21 ピボット架台
21a 第一開放軸受(支点)
21b 第二開放軸受(支点)
21c フレーム
21d チルタンク
22 吊具
22a 支軸
22b 貫通穴
22c 支持ピン
22d 係合穴
23 自立架台
G 重心
P1 第一支点
P2 第二支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他端に支点が設けられた構造物の一端を吊って起立または横倒しを行う構造物の吊装置において、
前記構造物の一端に設けられており前記構造物の重心よりも傾倒側の位置に吊点を有する吊具を備えることを特徴とする構造物の吊装置。
【請求項2】
前記吊具は、前記吊点が、起立状態の前記構造物における重心の真上の位置に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の構造物の吊装置。
【請求項3】
前記支点を、ピボット軸および開放軸受によって形成し、かつ前記構造物の横倒しまたは起立方向に異なる高さで複数設けることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の吊装置。
【請求項4】
構造物の一端を吊り上げて起立を行う構造物のハンドリング方法において、
横倒し状態での前記構造物の一端であって前記構造物の重心よりも下側の位置に吊点を形成する工程と、
横倒し状態での前記構造物の他端に、支点を形成する工程と、
前記構造物が前記支点で支持された状態から前記吊点を上昇させて前記構造物を吊り上げ、前記構造物を起立させる工程と、
を含むことを特徴とする構造物のハンドリング方法。
【請求項5】
構造物の一端を吊り上げて起立を行う構造物のハンドリング方法において、
横倒し状態での前記構造物の一端であって前記構造物の重心よりも下側の位置に吊点を形成する工程と、
横倒し状態での前記構造物の他端に、第一支点と前記第一支点よりも高い位置の第二支点とをそれぞれピボット軸および開放軸受によって形成する工程と、
前記構造物が前記第一支点で支持された状態から前記吊点を上昇させて前記構造物を吊り上げる工程と、
前記構造物の重心が前記第一支点の真上に位置する時点かその前に、前記第二支点で前記構造物を支持して吊り上げ、前記構造物を前記第一支点から開放して起立させる工程と、
を含むことを特徴とする構造物のハンドリング方法。
【請求項6】
前記構造物を起立させた後、前記吊点を前記構造物における重心の真上の位置に移動させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項4または5に記載の構造物のハンドリング方法。
【請求項7】
構造物の一端を吊り下げて横倒しを行う構造物のハンドリング方法において、
起立状態での前記構造物の一端であって前記構造物の重心よりも傾倒側の位置に吊点を形成する工程と、
起立状態での前記構造物の他端に、支点を形成する工程と、
前記構造物が前記支点で支持された状態から前記吊点を下降させて前記構造物を吊り下げ、前記構造物を横倒しさせる工程と、
を含むことを特徴とする構造物のハンドリング方法。
【請求項8】
構造物の一端を吊り下げて横倒しを行う構造物のハンドリング方法において、
起立状態での前記構造物の一端であって前記構造物の重心よりも傾倒側の位置に吊点を形成する工程と、
起立状態での前記構造物の他端に、第一支点と前記第一支点よりも高い位置の第二支点とをそれぞれピボット軸および開放軸受によって形成する工程と、
前記構造物が前記第二支点で支持された状態から前記吊点を下降させて前記構造物を吊り下げる工程と、
前記構造物の重心が前記第一支点の真上を過ぎた後に、前記第一支点で前記構造物を支持して吊り下げ、前記構造物を横倒しさせる工程と、
を含むことを特徴とする構造物のハンドリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図5−6】
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【図5−7】
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