説明

構造物の建設方法、この方法で用いられる建設構造材及び建設キット

【課題】建設資材の搬送作業及び設置作業が容易な上に、建設期間の短縮化できるようにする。
【解決手段】壁11と内部にコンクリートが打設される中空の型枠21を有する基礎型枠構造部材20とを有し、壁11と基礎型枠構造部材20とが一体化している建設構造材10を予め製造しておく。次に、建設構造材10の設置領域にこの建設構造材10を設置する。そして、設置領域に設置された建設構造材10の型枠21内にコンクリートを打設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁又は柱である立設部材を備えている構造物の建設方法、この方法で用いられる建設構造材及び建設キットに関する。
【背景技術】
【0002】
柱を備えている構造物は、一般的に、以下の工程で建設される。まず、柱の設置領域を掘削し、そこに鉄筋コンクリート製の基礎を形成する。次に、基礎上に柱を置いて、基礎と柱とをアンカー等で連結する。そして、柱の上端に屋根を設ける。しかしながら、以上のような一般的な建設方法は、鉄筋コンクリート製基礎の型枠形成時間、及びこの型枠内に打設したコンクリートの養生時間がかさむため、構造物の建設期間が長くなってしまう。
【0003】
そこで、以下の特許文献1,2には、柱の設置領域における型枠形成時間等の短縮化を図る建設方法が開示されている。
【0004】
特許文献1の建設方法では、まず、コンクリート製の基礎型枠としての凹形状のプレキャストコンクリート部材を予め工場等で製造しておく。次に、柱の設置領域を掘削し、掘削した領域にプレキャストコンクリート部材を設置する。次に、凹形状のプレキャストコンクリート部材内に、柱筋、ほぞ筋、トラス筋等の配筋を行う。そして、プレキャストコンクリート部材内に基礎用コンクリートを打設すると共に、柱用コンクリートも打設して、基礎及び鉄筋コンクリート製の柱を形成する。
【0005】
また、特許文献2の建設方法では、まず、鋼管柱の下部に鉄筋コンクリート製の基礎が設けられているエレメントを予め工場等で製造しておく。次に、柱の設置領域を掘削し、掘削した領域にエレメントを設置する。そして、このエレメントの基礎部をコンクリートで固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−299003号公報
【特許文献2】特開2006−125010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の建設方法では、柱の設置領域で、基礎型枠としての凹形状のプレキャストコンクリート部材と柱との一体化を図るための配筋工程を実施する必要がある。さらに、基礎用コンクリート及び柱用コンクリートが硬化した後でなければ、基本的に柱に対してなんら作業を行うことができない。このため、この建設方法では、構造物の建設期間の短縮化をあまり望めないという問題点がある。
【0008】
一方、上記特許文献2に記載の建設方法では、鋼管柱の下部に鉄筋コンクリート製の基礎が設けられているエレメントを予め工場等で製造しておき、これを目的の設置場所に設置すればよいため、現場での基礎形成時間等を大幅に短縮することができ、結果として構造物の建設期間を短縮化を図ることができる。しかしながら、この建設方法では、鋼管柱の下部に鉄筋コンクリート製の基礎が設けてエレメントを構成しているため、このエレメントの重量が増大し、このエレメントの搬送作業や設置作業が困難になるという問題点がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点に着目し、建設資材の搬送作業及び設置作業が容易な上に、建設期間の短縮化を図ることができる構造物の建設方法、この方法で用いられる建設構造材及び建設キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するための発明に係る構造物の建設方法は、
構造物の一部としての壁又は柱である立設部材と、内部にコンクリートが打設される中空の型枠を有する基礎型枠構造部材とを有し、該立設部材と該基礎型枠構造部材とが一体化している建設構造材を製造する製造工程と、前記建設構造材の設置領域に該建設構造材を設置する構造材設置工程と、前記設置領域に設置された前記建設構造材の前記型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、を実施することを特徴とする。
【0011】
当該建設方法では、立設部材と基礎型枠構造部材とが一体化している建設構造材を予め製造しているので、現場での型枠建て込み作業や、コンクリート打設前に型枠と立設部材とを連結する又は一体化する作業等を省くことができる。さらに、立設部材と基礎型枠構造部材とが一体化しているため、建設構造材を設置領域に設置した時点で、既に立設部材は自立することができるため、型枠内にコンクリートを打設した後、立設部材の上端に上部構造材を取り付けることができる。このため、当該建設方法によれば、建設期間の大幅な短縮化を図ることができる。
【0012】
また、当該建設方法では、立設部材と基礎型枠構造部材とが一体化した建設構造材は、基礎型枠構造部材内に未だコンクリートが打設されていない軽量な状態で、その搬送作業や設置作業を行えるので、これら作業を容易に行うことができる。
【0013】
ここで、前記構造物の建設方法において、前記構造材設置工程の前に、前記設置領域から、水平面に沿った方向に離間した仮置き領域まで延びるレールを設置するレール設置工程を実行し、前記構造材設置工程は、前記仮置き領域内の前記レール上に、前記建設構造材を置く仮置き工程と、前記仮置き領域の前記レール上に置かれた前記建設構造材を該レールに沿って、前記設置領域へ移送する移送工程と、を含んでもよい。
【0014】
また、前記構造物の建設方法において、前記構造材設置工程前に、前記設置領域の地中に地中杭を設ける杭設置工程を実施し、前記製造工程で製造される前記基礎型枠構造部材には、前記地中杭の杭頭が入り込む杭頭挿入部が形成されていてもよい。
【0015】
この場合、前記杭設置工程は、前記地中杭の前記杭頭に、該杭頭から上方に向けって延びる杭頭補強金を取り付ける杭頭補強金取付工程を含み、前記杭頭補強金取付工程では、鉄筋固定具を用いて、前記杭頭補強金を前記杭頭に取り付けてもよい。
【0016】
当該建設方法では、杭頭補強金の取付作業を簡略化することができる。
【0017】
上記問題点を解決するための発明に係る建設構造材は、
壁又は柱である立設部材と、内部にコンクリートが打設される中空の型枠を有する基礎型枠構造部材と、を有し、前記基礎型枠構造部材が予定の設置領域に置かれる前の状態で、該基礎型枠構造部材と該立設部材と一体化していることを特徴とする。
【0018】
当該建設構造材を用いることにより、現場での型枠建て込み作業や、コンクリート打設前に型枠と立設部材とを連結する又は一体化する作業等を省くことができる。さらに、立設部材と基礎型枠構造部材とが一体化しているため、建設構造材を設置領域に設置した時点で、既に立設部材は自立することができるため、型枠内にコンクリートを打設した後、このコンクリートの硬化を待たずに、立設部材の上端に上部構造材を取り付けることができる。このため、当該建設構造材を用いることにより、建設期間の大幅な短縮化を図ることができる。
【0019】
また、立設部材と基礎型枠構造部材とが一体化した建設構造材は、基礎型枠構造部材内に未だコンクリートが打設されていない軽量な状態で、その搬送作業や設置作業を行えるので、これら作業を容易に行うことができる。
【0020】
ここで、前記建設構造材において、前記基礎型枠構造部材の前記型枠は、前記立設部材に直接つながっていてもよい。
【0021】
また、前記建設構造材において、前記基礎型枠構造部材は、前記型枠の内面に固定された鋼材を有してもよい。この場合、前記基礎型枠構造部材の前記鋼材は、前記立設部材につながっていてもよい。さらに、前記基礎型枠構造部材の前記鋼材は、前記立設部材を貫通して、該立設部材につながっていてもよい。
【0022】
また、前記建設構造材において、前記型枠は、鋼板で形成されていてもよいし、コンクリートで形成されていてもよい。
【0023】
このように、型枠が鋼板又はコンクリートで形成されていると、この型枠内にコンクリートを打設した後、この型枠を取り外す必要がなく、この型枠自体を構造物の一部とすることができる。
【0024】
また、前記建設構造材において、前記型枠には、前記設置領域の地中に設けられる地中杭の杭頭が入り込む杭頭挿入部が形成されていてもよい。
【0025】
上記問題点を解決するための発明に係る構造物の建設キットは、
前記建設構造材と、前記設置領域から、水平面に沿った方向に離間した仮置き領域まで延びるレールと、前記レール上に載せられた前記建設構造材を該レールに沿って移送する移送装置と、を備えていることと特徴とする。
【0026】
当該建設キットは、前記建設構造材を備えているので、建設期間の大幅な短縮化を図ることができると共に、建設構造材の搬送作業や設置作業を容易に行うことができる。
【0027】
また、上記問題点を解決するための他の構造物の建設キットは、
前記建設構造材と、前記地中杭と、前記地中杭の前記杭頭から上方に向けって延びる杭頭補強金と、前記杭頭に前記杭頭補強金を固定する鉄筋固定具と、を備えていることを特徴とする。
【0028】
当該建設キットも、前記建設構造材を備えているので、建設期間の大幅な短縮化を図ることができると共に、建設構造材の搬送作業や設置作業を容易に行うことができる。さらに、当該建設キットは、鉄筋固定具を備えているので、杭頭補強金の取付作業を簡略化することができる。
【0029】
ここで、前記構造物の建設キットにおいて、前記鉄筋固定具は、前記杭頭に固定され、雌ネジが形成されているナット部材であり、前記杭頭補強金には、前記ナット部材の前記雌ネジに螺合可能な雄ネジが形成されていてもよい。
【0030】
当該建設キットでは、杭頭に杭頭補強金を取り付ける際、杭頭に予め固定されているナット部材に杭頭補強金を捻じ込めばよいので、杭頭補強金の取付作業を簡略化することができる。
【0031】
また、前記構造物の建設キットにおいて、前記鉄筋固定具は、前記杭頭の外周を囲む取付リングを構成する複数のリング分割片と、前記杭頭に予め形成されているボルト孔に挿通可能な、又は該杭頭に予め固定されているボルトと、該ボルトに螺合可能なナットと、を有し、複数の前記リング分割片には、予め前記杭頭補強金が固定されていると共に、前記ボルトが挿通可能なボルト孔が形成されていてもよい。
【0032】
この場合、前記鉄筋固定具は、前記杭頭の外周を囲む第一及び第二固定リングを有し、前記第一及び第二固定リングは、上下方向に間隔をあけて前記杭頭の外周に予め固定されており、複数の前記リング分割片には、前記第一固定リングと前記第二固定リングとの間に入り込む凸部が形成されていてもよい。
【0033】
当該建設キットでは、杭頭に杭頭補強金を取り付ける際、杭頭補強金が予め固定されているリング分割片をボルト及びナットで杭頭に固定すればよいので、杭頭補強金の取付作業を簡略化することができる。さらに、当該建設キットでは、杭頭が複数のリング分割片で囲まれるので、杭頭の剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明では、建設資材の搬送作業及び設置作業が容易である上に、建設期間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る実施形態における建設方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る実施形態における建設構造材の断面図である。
【図3】本発明に係る実施形態における建設構造材の設置領域の断面図である。
【図4】本発明に係る実施形態における建屋周りの平面図である。
【図5】本発明に係る実施形態における設置工程中の建設構造材、及び設置領域の断面図(その1)である。
【図6】本発明に係る実施形態における設置工程中の建設構造材、及び設置領域の断面図(その2)である。
【図7】本発明に係る実施形態における設置工程完了後の建設構造材、及び設置領域の断面図である。
【図8】本発明に係る実施形態におけるコンクリート打設工程中の建設構造材、及び設置領域の断面図である。
【図9】本発明に係る実施形態におけるコンクリート打設工程完了後の建設構造材、及び設置領域の断面図である。
【図10】本発明に係る実施形態における移送工程中の建設構造材、レール及び水平ジャッキの側面図である。
【図11】本発明に係る実施形態における杭頭、杭頭補強金及び鉄筋固定具の斜視図である。
【図12】本発明に係る実施形態における杭頭、杭頭補強金及び鉄筋固定具の他の変形例の斜視図である。
【図13】本発明に係る実施形態における杭頭、杭頭補強金及び鉄筋固定具のさらに他の変形例の斜視図である。
【図14】本発明に係る実施形態における第一変形例の建設構造材の断面図である。
【図15】本発明に係る実施形態における第二変形例の建設構造材の断面図である。
【図16】本発明に係る実施形態における第三変形例の建屋周りの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係る構造物の建設方法、この方法で用いられる建設構造材及び建設キットの実施形態、この実施形態の各種変形例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
「実施形態」
本実施形態で建設する構造物は、壁及び屋根を備えている建屋である。また、本実施形態の建設方法で用いられる建設キットは、図6に示すように、建屋の一部を成す立設部材としての壁11を有する建設構造材10と、地中杭40と、建設構造材10の設置領域から水平面に沿った方向に離間した仮置き領域まで延びるレール50と、レール50上に載せられた建設構造材10をレール50に沿って移送する移送装置60と、を備えている。
【0038】
以下、本実施形態の構造物の建設方法について、図1に示すフローチャートに従って説明しつつ、前述の建設キットの構成部材の詳細について説明する。
【0039】
本実施形態の構造物の建設方法では、まず、建設構造材10を製造する(S1)。
【0040】
この建設構造材10は、図2に示すように、立設部材である壁11の他に、基礎型枠構造部材20を有している。この基礎型枠構造部材20は、内部にコンクリートが打設される中空の型枠21と、型枠21の内面に固定された鋼材31とを有している。
【0041】
型枠21は、鋼板で箱型に形成したもので、天板22と底板24と側周板23とを有している。天板22、底板24及び側周板23は、相互に溶接で接合されている。天板22及び側周板23には、型枠21内にコンクリートを打設するためのコンクリート打設孔25,26が形成され、底板24には、型枠21内に地中杭40の杭頭を挿入するための杭孔(杭頭挿入部)27が形成されている。
【0042】
壁11は、互いに対向配置された二枚の表面鋼板12と、表面鋼板12相互を連結する連結材13とを有している。この壁11の下部は、型枠21の天板22から型枠21内に挿入され、型枠21の底板24に接している。この壁11の表面鋼板12は、型枠21の天板22及び底板24に溶接されている。
【0043】
型枠21を形成する各板22,23,24の内面、及び型枠21内に挿入された壁11の下部の表面には、複数のスタッド32が溶接されている。また、型枠21の側周板23で互いに対向する箇所相互は、複数のタイバー33で連結されている。このタイバー33の両端は、それぞれ、型枠21の側周板23に溶接されている。また、複数のタイバー33のうち何本かのタイバー33は、型枠21内に挿入された壁11を貫通し、壁11との接触分でも溶接されている。なお、ここでの鋼材31は、スタッド32及びタイバー33である。
【0044】
基礎型枠構造部材20は、以上のように、型枠21の天板22及び底板24が壁11に溶接されると共に、タイバー33が壁11に溶接されることで、壁11と一体化している。なお、ここでは、型枠21の天板22、底板24、及びタイバー33が壁11に溶接されているが、これらのうち、一部材のみが壁11に溶接されることで、壁11との一体化を図ってもよい。
【0045】
次に、図4に示すように、ステップ1で製造した建設構造材10の設置領域R1内の地中に地中杭40を打ち込む(S2)。なお、同図中の「H」は建設する建屋を示す。
【0046】
次に、図4に示すように、設置領域R1から水平面に沿った方向で且つ設置後の壁11の表面に沿った方向(以下、X方向とする)へ離間した仮置き領域R0まで延びる二本のレール50を設置する(S3)。この際、図3及び図6に示すように、壁11の二枚の表面鋼板12のほぼ下方に位置するように、二本のレール50を設置する。なお、地中杭40は、これら二本のレール50を基準にして、水平面に沿った方向で且つX方向に垂直なY方向の両側に設けられている。
【0047】
このレール50の設置工程(S4)では、レール50に沿って移送されてきた建設構造材10を下方に下ろす際に使用する鉛直ジャッキ61が置かれる鉛直ジャッキ台53と、下方に下ろされた建設構造材10を受ける受け台55も設置する。鉛直ジャッキ台53及び受け台55は、いずれも、図4に示すように、Y方向に並んでいる二本の地中杭40を基準にしてY方向の両側の位置であって、X方向に点在するよう、設置される。レール50、鉛直ジャッキ台53及び受け台55は、いずれのH形鋼で形成されている。H形鋼は、その互いに対向する一対のフランジが鉛直方向に並び、一対のフランジ間のウェブが鉛直方向に延びるように設置される。
【0048】
次に、ステップ1で製造した建設構造材10をその設置領域R1に設置する(S4)。
【0049】
この建設構造材10の設置工程(S4)では、まず、仮置き領域R0内のレール50上に建設構造材10を置く(S5)。この際、レール50上には、まず、図5及び図10に示すように、水平ジャッキ62及び独立スライドベース69を置く。その後、これら水平ジャッキ62及び独立スライドベース69の上に建設構造材10を置く。
【0050】
水平ジャッキ62は、レール50に対して相対移動不能にレール50を挟持するクランプ63と、レール50に対して摺動可能なスライドベース64と、クランプ63とスライドベース64とをつなぎ且つ両者の間隔を変える油圧シリンダ68と、を有している。スライドベース64は、レール50を形成するH形鋼の上側のフランジの上面に接する樹脂シート(例えば、フッ素樹脂)65と、この樹脂シート65上に固定されている壁接続ベース66と、壁接続ベース66に取り付けられている移動ガイド67と、を有している。移動ガイド67は、レール50を形成するH形鋼の上側のフランジを両側から挟み込めるように、壁接続ベース66の両側に取り付けられている。
【0051】
独立スライドベース69は、水平ジャッキ62の構成要素であるスライドベース64と基本的に同じものである。水平ジャッキ62は、基本的に、建設構造材10の移動方向の前側(+X側)に置かれ、独立スライドベース69は建設構造材10の移動方向の後側(−X側)に置かれる。
【0052】
次に、図4、図5及び図10に示すように、仮置き領域R0に仮置きされた建設構造材10をレール50に沿って設置領域R1まで移送する(S6)。この移送では、レール50上に設けた水平ジャッキ62の油圧シリンダ68内にオイルを送り込んで、この水平ジャッキ62のクランプ63とスライドベース64との間を狭める。この結果、スライドベース64及び独立スライドベース69上に載っている建設構造材10は、水平ジャッキ62のクランプ63側、つまり+X側に移動する。次に、水平ジャッキ62のクランプ63によるレール50の挟持を解放し、油圧シリンダ68内からオイルを抜きつつ、クランプ63のみを+X側に移動させてから、このクランプ63によって再びレール50を挟持させる。次に、先の場合と同様、油圧シリンダ68内にオイルを送り込んで、クランプ63とスライドベース64との間を狭め、スライドベース64及び独立スライドベース69上に載っている建設構造材10を+X側に移動させる。そして、以上の操作を繰り返し実行して、建設構造材10を設置領域R1上まで移動する。
【0053】
続いて、図6に示すように、鉛直ジャッキ台53上に鉛直ジャッキ61を置き、この鉛直ジャッキ61を操作して、水平ジャッキ62及び独立スライドベース69上の建設構造材10を僅かに浮かせてから、これら水平ジャッキ62及び独立スライドベース69をレール50上から外す。その後、再び鉛直ジャッキ61を操作して、建設構造材10を下げて、図7に示すように、この建設構造材10を受け台55上に置く。この際、建設構造材10の型枠21における杭孔27に、地中杭40の杭頭41が挿入される。
【0054】
以上の建設構造材10の仮置き(S5))、建設構造材10の移送(S6)で、建設構造材10の設置工程(S4)が終了する。なお、建設構造材10の移送(S6)で用いる移送装置60は、以上で説明した水平ジャッキ62、独立スライドベース69及び鉛直ジャッキ61を備えている。
【0055】
次に、地中杭40の杭頭41に杭頭補強金49を取り付ける(S7)。地中杭40の杭頭41には、図11に示すように、鉄筋固定具としてのナット部材42が予め固定されている。ナット部材42には、雌ネジが形成されている。このナット部材42は、その貫通孔の貫通方向が上下方向を向くように杭頭41に予め固定されている。一方、杭頭補強金49には、ナット部材42の雌ネジに螺合可能な雄ネジが形成されている。そこで、ここでは、杭頭41に固定されているナット部材42に杭頭補強金49を捻じ込んで、この杭頭補強金49を杭頭41に取り付ける。杭頭補強金49及び鉄筋固定具としてのナット部材42は、本実施形態の建設キットの一部を構成している。
【0056】
なお、地中杭40の設置工程は、この杭頭補強金取付工程(S7)と先に説明した杭打ち込み工程(S2)とを含んでいる。また、ここでは、杭打ち込み工程(S2)後に、建設構造材10の設置工程(S4)を経てから、杭頭補強金取付工程(S7)を実施しているが、これは建設構造材10の移送工程(S6)で、杭頭補強金49と型枠21とが接触するのを回避するためである。このため、水平ジャッキ62等の高さが十分に高く、杭頭41に杭頭補強金49が取り付けられている状態でも、建設構造材10の移送過程で、杭頭補強金49と型枠21とが接触しない場合には、杭打ち込み工程(S2)後に直ちにこの杭頭補強金取付工程を実施してもよい。
【0057】
また、ここでは、鉄筋固定具としてナット部材42を用いているが、その他の部材を用いたものであってもよい。例えば、鉄金固定具は、図12に示すように、杭頭41の外周を囲む取付リングを構成する複数のリング分割片43と、杭頭41及びリング分割片43に予め形成されているボルト孔に挿通可能なボルト44と、このボルト44に螺合可能なナット45とを有しているものであってもよい。この場合、杭頭補強金49aは、リング分割片43に予め固定されており、このリング分割片43をボルト44及びナット45を用いて杭頭41に固定することで、この杭頭補強金49aは杭頭41に取り付けられる。
【0058】
また、鉄筋固定具は、図13に示すように、杭頭41の外周を囲む取付リングを構成する複数のリング分割片43aと、杭頭41の外周を囲み且つ互いに上下方向に間隔をあけて配置されている第一固定リング46及び第二固定リング47と、杭頭41及びリング分割片43aに予め形成されているボルト孔に挿通可能なボルト44と、このボルト44に螺合可能なナット45とを有しているものであってもよい。この場合、第一固定リング46及び第二固定リング47は、上下方向に間隔をあけて杭頭41の外周に予め固定されている。また、複数のリング分割片43aには、第一固定リング46と第二固定リング47との間に入り込む凸部43sが形成されている。杭頭補強金49aは、リング分割片43aに予め固定されており、このリング分割片43aの凸部43sを第一固定リング46と第二固定リング47との間に入れ、このリング分割片43aをボルト44及びナット45を用いて杭頭41に固定することで、この杭頭補強金49aは杭頭41に取り付けられる。
【0059】
このように、図12及び図13に示す鉄筋固定具は、固定リング46,47や分割リング片43,43aを有し、これらで杭頭41を囲むので、杭頭41の剛性、特に曲げ剛性を高めることができる。
【0060】
なお、図12及び図13に示す鉄筋固定具において、その一部を構成するボルト44は、杭頭41に予め固定しておいてもよい。
【0061】
杭頭補強金49の取付(S7)が終了すると、図8及び図9に示すように、型枠21内、壁11内、型枠21とグランドレベルGLとの間にコンクリートCを打設する(S8)。この際、型枠21内には、この型枠21を構成する天板22及び側周板23に形成されているコンクリート打設孔25,26からコンクリートCを打設する。
【0062】
次に、壁11の上端に屋根(不図示)を取り付ける(S9)。この屋根の取付けは、コンクリートが硬化してから行ってもよいが、本実施形態では、建設構造材10を設置した時点で、既に壁11が自立しているので、ステップ8で打設したコンクリートが硬化する前、例えば、コンクリート打設直後から行ってよい。
【0063】
そして、壁11及び屋根で囲まれた屋内の施工等(S10)を行って建屋Hを完成する。
【0064】
以上のように、本実施形態では、壁11と基礎型枠構造部材20とが一体化している建設構造材10を予め製造しているので、現場での型枠建て込み作業や、コンクリート打設前に型枠21と壁11とを連結する又は一体化する作業等を省くことができる。さらに、壁11と基礎型枠構造部材20とが一体化しているため、建設構造材10を設置領域R1に設置した時点で、既に壁11は自立することができるため、型枠21内にコンクリートを打設した後、このコンクリートの設計強度の発現を待たずに、壁11の上端に屋根を取り付けることができる。このため、建設期間の大幅な短縮化を図ることができる。
【0065】
また、本実施形態では、壁11と基礎型枠構造部材20とが一体化した建設構造材10は、基礎型枠構造部材20内に未だコンクリートが打設されていない軽量な状態で、その搬送作業や設置作業を行えるので、これら作業を容易に行うことができる。
【0066】
「第一変形例」
次に、以上で説明した実施形態の第一変形例について、図14を用いて説明する。
【0067】
本変形例は、先の実施形態における建設構造材10の一部をコンクリートで形成したものである。本変形例の建設構造材10aは、先の実施形態と同様、壁11aと基礎型枠構造部材20aとを有している。
【0068】
壁11aは、基礎型枠構造部材20aと接続される接続部16と、この接続部16から上方に延びている壁本体部15とを有している。壁本体部15は、先の実施形態の壁11と同様、互いに対向配置された二枚の表面鋼板12と、表面鋼板12相互を連結する連結材13とを有している。接続部16は、コンクリートCと、このコンクリートC内に配置された鉄筋19とを有しており、その外形状は、先の実施形態の壁11の下部と、基本的に同一である。
【0069】
基礎型枠構造部材20aは、先の実施形態の基礎型枠構造部材20と同様、箱型の型枠21aを有している。この型枠21aは、コンクリートCと、このコンクリートC内に配置された鉄筋29とで形成されている。また、この型枠21aは、天板部22aと底板部24aと側周板部23aとを有している。天板部22a及び側周板部23aには、型枠21a内にコンクリートCを打設するためのコンクリート打設孔25a,26aが形成され、底板部24aには、型枠21a内に地中杭の杭頭を挿入するための杭孔27aが形成されている。
【0070】
壁11の接続部16は、型枠21aの天板部22aから型枠21a内に入り込み、型枠21aの底板部24aに接している。この接続部16と型枠21aとは、コンクリートC及び鉄筋19,29により一体形成されている。
【0071】
以上、本変形例でも、壁11aと基礎型枠構造部材20aとが一体化している建設構造材10aを予め製造するので、先の実施形態と同様、建設期間の大幅な短縮化を図ることができる。また、本変形例でも、先の実施形態と同様、基礎型枠構造部材20a内に未だコンクリートが打設されていない軽量な状態で、その搬送作業や設置作業を行えるので、これら作業を容易に行うことができる。
【0072】
「第二変形例」
次に、以上で説明した実施形態の第二変形例について、図15を用いて説明する。
【0073】
本変形例は、先の実施形態における建設構造材10の型枠21を仮型枠21bとしたものである。本変形例の建設構造材10bは、先の実施形態及び第一変形例と同様、壁11と基礎型枠構造部材20bとを有している。
【0074】
壁11は、先の実施形態と同様、互いに対向配置された二枚の表面鋼板12と、表面鋼板12相互を連結する連結材13とを有している。
【0075】
仮型枠21bは、天板22bと底板24bと側周板23bとを有している。これら天板22b、底板24b、側周板23bは、各種支保工28で連結されている。天板22b及び側周板23bには、仮型枠21b内にコンクリートを打設するためのコンクリート打設孔25b,26bが形成され、底板24bには、仮型枠21b内に地中杭の杭頭を挿入するための杭孔27bが形成されている。
【0076】
側周板23bで互いに対向する箇所相互は、鋼材としての複数のタイバー33bで連結されている。このタイバー33bの両端は、それぞれ、側周板23bを貫通して、この側周板23bに固定されている。また、複数のタイバー33bのうち何本かのタイバー33bは、仮型枠21b内に挿入された壁11を貫通し、壁11との接触分でも固定されている。本変形例の基礎型枠構造部材20bは、仮型枠21bと、鋼材であるタイバー33bとを有して構成されている。このため、基礎型枠構造部材20bは、そのタイバー33bにより壁11とつながって一体化している。
【0077】
本変形例では、建設構造材10bの仮型枠21b内にコンクリートを打設し、このコンクリートが硬化すると、支保工28が外され、仮型枠21bは取り除かれる。なお、仮型枠21bの構想要素のうち、底板24bを鋼板等で形成している場合には、この底板24bをそのまま残してもよい。
【0078】
以上、本変形例でも、壁11と基礎型枠構造部材20bとが一体化している建設構造材10bを予め製造するので、先の実施形態や第一変形例と同様、建設期間の大幅な短縮化を図ることができる。また、本変形例でも、先の実施形態や第一変形例と同様、基礎型枠構造部材20b内に未だコンクリートが打設されていない軽量な状態で、その搬送作業や設置作業を行えるので、これら作業を容易に行うことができる。
【0079】
「第三変形例」
次に、以上で説明した実施形態の第三変形例について、図16を用いて説明する。
【0080】
以上で説明した実施形態、第一及び第二変形例における構造物の立設部材は壁11であるが、本変形例の立設部材は柱11cである。
【0081】
このため、本変形例の建設構造材10cは、柱11cと基礎型枠構造部材20cとを有している。本変形例における基礎型枠構造部材20cは、先の実施形態の基礎型枠構造部材20と同一構成であっても、第一又は第二変形例の基礎型枠構造部材20a,20bと同一構成であってもよい。但し、本変形例における基礎型枠構造部材20cの外形は、先の実施形態や第一又は第二変形例の基礎型枠構造部材20,20a,20bのように、壁11が延びているX方向に長いものではなく、X方向及びY方向にほぼ同じ寸法である。
【0082】
なお、建設構造材10cの設置領域R2には、以上で説明した実施形態、第一及び第二変形例と同様、地中杭40、鉛直ジャッキ台53、受け台55が設けられる。
【0083】
「その他の変形例」
以上の実施形態及び各変形例の型枠は、いずれの直方体形状であるが、直方体形状でなくてもよく、例えば、立設部材が柱である場合、型枠は円柱形状であってもよい。
【0084】
また、以上の実施形態及び各変形例の構造物は、建屋であるが、立設部材として、壁又は柱を有するものであれば、如何なる構造物でもよく、例えば、橋であってもよい。この場合、柱の上端に取り付けられる上部構造材は橋桁となる。
【0085】
また、以上の実施形態及び各変形例では、建設構造材の型枠内にコンクリートを打設した後、壁等の立設部材の上端に上部構造材としての屋根を取り付けている。しかしながら、仮置き領域R0に仮置きされている建設構造材の上端部に上部構造材を取り付けてから、この上部構造材と共に建設構造材を設置領域R1に移送してもよい。
【0086】
また、以上の実施形態及び各変形例での建設構造材の設置工程(S3)では、レール設置工程(S4)、建設構造材の仮置き工程(S5)等を実施するが、これらの工程(S4,S5)を実施せず、クレーン等を用いて、建設構造材を直接設置領域に設置してもよい。この場合、地中杭の設置工程における杭頭補強金取付工程(S7)を、建設構造材の設置工程(S3)前、つまり杭打ち込み工程(S2)直後に行ってもよい。
【0087】
また、以上の実施形態及び各変形例では、地中杭40を設けているが、設置領域の地盤が強固である場合、この地中杭40を設ける必要はない。この場合、型枠には、杭孔を形成する必要はない。
【0088】
また、以上の実施形態及び各変形例では、基礎型枠構造部材をグランドレベルよりも高い位置に設置しているが、設置領域を掘削し、グランドレベルよりも低い位置に基礎型枠構造部材を設置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10,10a,10b,10c:建設構造材、11,11a:壁、11c:柱、20,20a,20b,20c:基礎型枠構造部材、21,21a:型枠、21b:仮型枠、25,26:コンクリート打設孔、27:杭頭孔(杭頭挿入部)、31:鋼材、32:スタッド、33,33b:タイバー、40:地中杭、41:杭頭、42:ナット部材、43,43a:リング分割片、44:ボルト、45:ナット、46:第一固定リング、47:第二固定リング、49,49a:杭頭補強金、50:レール、60:移送装置、61:鉛直ジャッキ、62:水平ジャッキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の一部としての壁又は柱である立設部材と、内部にコンクリートが打設される中空の型枠を有する基礎型枠構造部材とを有し、該立設部材と該基礎型枠構造部材とが一体化している建設構造材を製造する製造工程と、
前記建設構造材の設置領域に該建設構造材を設置する構造材設置工程と、
前記設置領域に設置された前記建設構造材の前記型枠内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
を実施することを特徴とする構造物の建設方法。
【請求項2】
請求項1に記載の構造物の建設方法において、
前記構造材設置工程の前に、前記設置領域から、水平面に沿った方向に離間した仮置き領域まで延びるレールを設置するレール設置工程を実行し、
前記構造材設置工程は、
前記仮置き領域内の前記レール上に、前記建設構造材を置く仮置き工程と、
前記仮置き領域の前記レール上に置かれた前記建設構造材を該レールに沿って、前記設置領域へ移送する移送工程と、
を含むことを特徴とする構造物の建設方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の構造物の建設方法において、
前記構造材設置工程前に、前記設置領域の地中に地中杭を設ける杭設置工程を実施し、
前記製造工程で製造される前記基礎型枠構造部材には、前記地中杭の杭頭が入り込む杭頭挿入部が形成されている、
ことを特徴とする構造物の建設方法。
【請求項4】
請求項3に記載の構造物の建設方法において、
前記杭設置工程は、前記地中杭の前記杭頭に、該杭頭から上方に向けって延びる杭頭補強金を取り付ける杭頭補強金取付工程を含み、
前記杭頭補強金取付工程では、鉄筋固定具を用いて、前記杭頭補強金を前記杭頭に取り付ける、
ことを特徴とする構造物の建設方法。
【請求項5】
壁又は柱である立設部材と、
内部にコンクリートが打設される中空の型枠を有する基礎型枠構造部材と、
を有し、
前記基礎型枠構造部材が予定の設置領域に置かれる前の状態で、該基礎型枠構造部材と該立設部材と一体化している、
ことを特徴とする建設構造材。
【請求項6】
請求項5に記載の建設構造材において、
前記基礎型枠構造部材の前記型枠は、前記立設部材に直接つながっている、
ことを特徴とする建設構造材。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の建設構造材において、
前記基礎型枠構造部材は、前記型枠の内面に固定された鋼材を有する、
ことを特徴とする建設構造材。
【請求項8】
請求項7に記載の建設構造材において、
前記基礎型枠構造部材の前記鋼材は、前記立設部材につながっている、
ことを特徴とする建設構造材。
【請求項9】
請求項8に記載の建設構造材において、
前記基礎型枠構造部材の前記鋼材は、前記立設部材を貫通して、該立設部材につながっている、
ことを特徴とする建設構造材。
【請求項10】
請求項5から9のいずれか一項に記載の建設構造材において、
前記型枠は、鋼板で形成されている、
ことを特徴とする建設構造材。
【請求項11】
請求項5から9のいずれか一項に記載の建設構造材において、
前記型枠は、コンクリートで形成されている、
ことを特徴とする建設構造材。
【請求項12】
請求項5から11のいずれか一項に記載の建設構造材において、
前記型枠には、前記設置領域の地中に設けられる地中杭の杭頭が入り込む杭頭挿入部が形成されている、
ことを特徴とする建設構造材。
【請求項13】
請求項5から12のいずれか一項に記載の建設構造材と、
前記設置領域から、水平面に沿った方向に離間した仮置き領域まで延びるレールと、
前記レール上に載せられた前記建設構造材を該レールに沿って移送する移送装置と、
を備えていることと特徴とする構造物の建設キット。
【請求項14】
請求項5から12に記載の建設構造材と、
地中杭と、
前記地中杭の杭頭から上方に向けって延びる杭頭補強金と、
前記杭頭に前記杭頭補強金を固定する鉄筋固定具と、
を備えていることを特徴とする構造物の建設キット。
【請求項15】
請求項14に記載の構造物の建設キットにおいて、
前記設置領域から、水平面に沿った方向に離間した仮置き領域まで延びるレールと、
前記レール上に載せられた前記建設構造材を該レールに沿って移送する移送装置と、
を備えていることと特徴とする構造物の建設キット。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の構造物の建設キットにおいて、
前記鉄筋固定具は、前記杭頭に固定され、雌ネジが形成されているナット部材であり、
前記杭頭補強金には、前記ナット部材の前記雌ネジに螺合可能な雄ネジが形成されている、
ことを特徴とする構造物の建設キット。
【請求項17】
請求項14又は15に記載の構造物の建設キットにおいて、
前記鉄筋固定具は、前記杭頭の外周を囲む取付リングを構成する複数のリング分割片と、前記杭頭に予め形成されているボルト孔に挿通可能な、又は該杭頭に予め固定されているボルトと、該ボルトに螺合可能なナットと、を有し、
複数の前記リング分割片には、予め前記杭頭補強金が固定されていると共に、前記ボルトが挿通可能なボルト孔が形成されている、
ことを特徴とする構造物の建設キット。
【請求項18】
請求項17に記載の構造物の建設キットにおいて、
前記鉄筋固定具は、前記杭頭の外周を囲む第一及び第二固定リングを有し、
前記第一及び第二固定リングは、上下方向に間隔をあけて前記杭頭の外周に予め固定されており、
複数の前記リング分割片には、前記第一固定リングと前記第二固定リングとの間に入り込む凸部が形成されている、
ことを特徴とする構造物の建設キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−108322(P2013−108322A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256148(P2011−256148)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】