説明

構造物内設置用太陽光発電システム

【課題】農業用ハウス等に設置される、構造および作動制御が簡単な新規構造の太陽電池パネルを提供する。
【解決手段】複数方向に向けて設けた指向性のある受光素子の出力値の相互比較結果から構造物内における最大の受光エネルギー方向を検出する受光センサを採用し、受光センサによる検出結果に基づいて太陽電池パネル42を構造物内における最大の受光エネルギー方向に向ける方向制御を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用ハウス等の透光性の外壁を備えた構造物内に設置される太陽電池パネルを備えた太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家屋等の建築の他に育苗ハウスや栽培ハウス等の農業用ハウス等において、透光性の外壁を備えた構造物が提案されている。これらの構造物では、透光性の外壁を通じて構造物内に採り入れられる日射エネルギーを、照明や暖房等の手段として利用することも検討されている。
【0003】
ところで、近年では環境問題への意識向上もあり、太陽の日射エネルギーを電気エネルギーに変換して利用する太陽光発電システムも提案されている。特に、農業用ハウスや家屋等のように電気エネルギーを消費する構造物では、その外壁の一つである屋根に太陽電池パネルを装着することにより環境負荷を軽減せしめた太陽光発電システムが提案されている。具体的には、実用新案登録第3161980号公報(特許文献1)に記載の農業用ハウスが、それである。
【0004】
しかしながら、かかる特許文献1に記載の農業用ハウスでは、単に、従来構造の農業用ハウスの屋根に対して、太陽電池パネルを重ね合わせて装着したものに過ぎない。それ故、季節だけでなく天気や時間等によって刻々変化する日射エネルギーを電気エネルギーに効率的に変換できるものではなかった。
【0005】
また、特許文献1には、太陽電池パネルの受光面を太陽の天動に追従転回可能にして受光発電効率を最大に維持させることができる旨の記載はあるが、単なる思いつき程度の記載に止まる。即ち、単に農業用ハウスの屋根に太陽電池パネルを重ね合わせて装着しただけの特許文献1に記載の構造において、如何にして受光面を太陽の天動に追従転回可能とするのか全く開示されておらず、発明開示不十分で発明未完成と言わざるを得ない。
【0006】
なお、太陽電池パネルの天動への追従転回装置は、例えば特開2004−362866号公報(特許文献2)に記載されているが、カレンダーや電波時計、GPSを装備して太陽電池パネルの設置点に応じた太陽の天動を演算する制御装置が必要となることから、構造が複雑で高コスト化と大型化が避け難く、農業用ハウス等での実用性に乏しいという問題もあった。
【0007】
しかも、仮に特許文献2に記載の如き天動への追従転回装置を採用し得たとしても、太陽電池パネルへの日射エネルギーの最大受光方向は周囲の構造物や地形等によって地点毎に相違するものであり、特に農業用ハウス等の構造物の中に太陽電池パネルが設置される場合には、構造物の骨格や透光性の外壁の構造等に応じても、日射エネルギーの最大受光方向が相違する。それ故、太陽の天動を正確に算出し得たとしても、かかる算出結果から、太陽電池パネルの受光方向を最も効率的な日射エネルギーの受光方向を制御することが困難なのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3161980号公報
【特許文献2】特開2004−362866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、農業用ハウス等に設置されることにより、日射エネルギーを優れた効率で電気エネルギーに変換することが出来ると共に、構造が簡単で設置が容易な新規構造の太陽光発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様は、(a)透光性の外壁を備えた構造物内に設置された太陽電池パネルと、(b)該太陽電池パネルの設置方向を変更設定する方向可変装置と、(c)指向性のある受光素子を複数方向に備えており、前記構造物内に設置されて該複数の受光素子の出力値の相互比較結果から該構造物内における最大の受光エネルギー方向を検出する受光センサと、(d)該受光センサによる検出結果に基づいて前記方向可変装置を作動させて前記太陽電池パネルを前記構造物内における最大の受光エネルギー方向に向ける方向制御を行うパネル方向制御装置とを、含む構造物内設置用太陽光発電システムを、特徴とする。
【0011】
本態様の太陽光発電システムでは、上記(c)記載の特定の受光センサを採用したことにより、構造物内における最大受光方向を、実際の現場での各種方向における受光結果から直接に求めることが出来る。それ故、特許文献2に記載の如き複雑で高コストな太陽の天動演算装置を必要とすることなく、システムが設置される各現場の各種条件に応じた最適な受光方向を略リアルタイムに求めて、太陽電池パネルを最適な受光方向に向けて方向制御することが可能となるのである。
【0012】
しかも、かかる受光センサは、構造物内に設置されることで透光性の外壁の構造や構造物の骨格の構造等による受光への影響も考慮して、特定地点における最適な受光方向を簡便に求めることが出来る。それ故、受光センサと同様に構造物内に設置される太陽電池パネルの受光方向を、最適な受光方向に高精度に向ける制御が可能となるのである。
【0013】
なお、本発明における透光性の外壁は、日射エネルギーを透過し得るものであれば良く、透明や半透明のもの、スリット状の透孔部を備えたもの等を含み、部分的または全体に適当な着色が施されたもの等であっても良い。また、太陽電池パネルは、公知のものが何れも採用可能であり、例えば結晶性シリコンを用いた可撓性樹脂シートで覆われた構造のものが軽量で取扱いも容易であることから好適であるが、ガラスで覆われたもの等も採用可能である。
【0014】
本発明の第二の態様は、第一の態様の太陽光発電シテスムにおいて、前記構造物が植物栽培用ハウスであり、該植物栽培用ハウスの前記外壁を構成する天井が全体に亘って透光性の外壁とされたものである。育苗用を含む植物栽培用ハウスでは、ハウス内の植物への日射を確保するために透光性の天井外壁が採用されることが多いことから、ハウス内へ多くの日射エネルギーが入射される。それ故、植物栽培用ハウス内に太陽電池パネルを設置することで外の風雨等から保護しつつ、前述の如き受光センサによる方向制御で充分な発電量を確保することが可能となる。なお、透光性の外壁は、樹脂シートや樹脂フィルム、樹脂パネル、ガラス等の各種材料で形成され得る。
【0015】
本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様の太陽光発電システムであって、太陽光の日射量を検出する日射計を備えており、該日射計による検出値が予め設定された下限値を下回った場合には、前記パネル方向制御装置による制御を停止して前記太陽電池パネルを、予め設定された定位置に向けて方向固定に設定する定位置制御装置を設けたものである。
【0016】
本態様の太陽光発電システムでは、例えば曇り等で日射方向が特定し難い状況では、不必要なパネル方向制御を休止することで制御エネルギーの浪費を防ぐことが出来るだけでなく、特に透光性の外壁の内部に設置された太陽電池パネルにおいて日射エネルギーを効率的に且つ安定して確保することが可能となる。
【0017】
すなわち、設定した日射量よりも低い場合、非常に日射量が少ないため、その少ないとは言え、刻々と変化する日射量を逐一追いかけていては、制御エネルギーの浪費になってしまう。曇天時に太陽電池パネルを水平等との特定方向に向けておくと、非常に少ない日射量を確保するために太陽電池パネルを動かすのはもったいないという意義がある。特に、構造物の天井が全体に透光性の外壁とされている場合には、予め設定された定位置を、太陽電池パネルが水平となって受光面を鉛直上方に向けた状態とすることが、天井の全体を広く受光するうえで好適である。また、例えば梨地の透光性外壁を採用する場合には、透光性の外壁を通じて入射される太陽光が透光性の外壁で散乱されることから太陽電池パネルが設置された建築物内では、曇りの状態で日射方向を特定することが屋外よりも一層困難であることと、建築物の構造材等による影の影響や透光性の外壁の位置等の各種状況が影響することから、例えば太陽電池パネルの受光面を太陽の天動に追従転回させる制御が必ずしも最良ではない。要するに、予め設定された日射エネルギー量を下回った曇りの状態では、透光性の外壁の略中央部分に向けて太陽電池パネルの方向を位置決めすることで、日射エネルギー量を効率的に且つ安定して確保することが出来、しかも、時折薄日が射す太陽光の受光センサによる検出結果を刻々に反映して細かな方向制御を太陽電池パネルに反映する場合に比して制御エネルギーの浪費も防ぐことが可能となるのである。
【0018】
特に、外壁のなかでも屋根壁の全てが透光性の樹脂シート等で構成される農業用ハウス等では、日射計による検出値が予め設定された下限値を下回って、構造物内で日射方向を特定することが困難な状況になった曇りの状態では、太陽電池パネルの表面を略水平として全面を屋根壁に広く対面させるようにすることが望ましい。これにより、曇り状態の太陽光が入射することで全体的に明るくされた屋根壁の広い領域からの日射エネルギーを、太陽電池パネルで効率的に且つ安定して受けることが可能となるのである。
【0019】
本発明の第四の態様は、前記第一〜三の何れかの態様に係る太陽光発電シテスムであって、前記構造物の前記外壁が梨地とされたものである。梨地の外壁は、例えば農業用ハウスの外壁を構成する樹脂シートやガラス板等として従来から用いられているものであり、散乱光の割合を透明フィルムよりも高くしたもので、一般に透過光に対する散乱光の割合が10%以上、一般に20〜40%程度とされたものである。特に梨地の外壁を採用した建築物に対して本発明を適用した場合にも、前述の如き受光センサによって建築物の内部で太陽電池パネルの方向を設定することが可能であると共に、建築物の骨格や設備等の内部構造による特定部位への日陰の影響を軽減し、一層安定した発電性能を得ることも可能となる。
【0020】
本発明の第五の態様は、前記第一〜四の何れかの態様に係る太陽光発電システムであって、前記太陽電池パネルが設置された前記構造物の内部環境制御手段として、以下の(i)〜(iii)の少なくとも一つを備えたものである。
(i)前記構造物の内部温度が予め設定された作動温度に達した場合に作動を開始して該構造物の内部と外部での換気を実行する換気扇装置。
(ii)前記構造物の屋根部分に開閉可能な開放窓を設けると共に、該構造物の内部温度が予め設定された開放温度に達した場合に該開放窓を開く一方、降雨が検出された場合に該開放窓を閉じる開放窓の開閉装置。
(iii)前記構造物の周壁部分に開閉可能な通気窓を設けると共に、該構造物の内部温度が予め設定された通気温度に達した場合に該通気窓を開く一方、予め設定された速度を超えた風速が検出された場合に該通気窓を閉じる通気窓の開閉装置。
【0021】
本態様の太陽光発電システムでは、太陽電池パネルの発電効率が、設置場所の環境温度に影響を受けることを考慮して、特に高温になることに起因する発電効率の低下を防止することが、換気扇装置や開放窓開閉装置、通気窓開閉装置を利用し、また必要に応じてそれらの各装置を適宜に組み合わせて採用することにより、実現可能となる。
【0022】
本発明の第六の態様は、前記第一〜五の何れかの態様に係る太陽光発電システムであって、前記太陽電池パネルを取り外すことによって警報信号を発する盗難防止装置が設けられているものである。なお、複数の太陽電池パネルを設置する場合には、複数の太陽電池パネルを直列的に接続する通電線を設け、当該通電線が切断されることをもって警報を発する装置を採用することで、盗難防止装置の簡略化を図ることが出来る。また、警報信号は、例えば光や音の他、特定の携帯端末(携帯電話を含む)や監視装置、コンピュータ等への通報等であっても良い。
【0023】
本発明の第七の態様は、前記第一〜六の何れかの態様に係る太陽光発電システムであって、前記構造物の内部には、前記外壁の内方に位置して展張及び収容可能にシート状遮光体が配設されており、該シート状遮光体の展張面と該外壁との間に前記太陽電池パネルが設置されているものである。
【0024】
本態様では、構造物の内部に照射される日射量を調節する等の目的で透光性の外壁にカーテンや寒冷紗、ブラインド等のシート状遮光体が設置される場合において、かかるシート状遮光体の状態に拘わらず太陽電池パネルによる発電を安定して継続実施することが可能となる。
【0025】
本発明の第八の態様は、前記第一〜七の何れかの態様に係る太陽光発電システムであって、前記構造物が一方向に直線的に延びる長手構造体とされていると共に、該構造物の内部には前記外壁の屋根部分の下方を長手方向に延びる支持部材が、該構造物の骨格部材により複数箇所で支持されて配設されており、該支持部材の長さ方向で所定間隔を隔てた位置に複数の前記太陽電池パネルが設置されているものである。
【0026】
本態様では、例えば農業用ハウス等のように一方向に長く延びる構造物の場合において、その屋根部分に沿って複数の太陽電池パネルを効率的に且つ簡単な構造で設置することが可能となる。
【0027】
本発明の第九の態様は、前記第一〜八の何れかの態様に係る太陽光発電システムであって、前記太陽電池パネルが複数設置されていると共に、前記方向可変装置の駆動力をそれら複数の太陽電池パネルに対して同期して伝達せしめて、それら複数の太陽電池パネルの設置方向を同じ方向に変更設定する連動手段が設けられているものである。
【0028】
本態様では、複数の太陽電池パネルを設置しつつ、それら複数の太陽電池パネルの方向制御を相互に同期させて実行することが可能になる。これにより、複数の太陽電池パネルを各別に方向制御する場合に比して、システム全体における駆動源や制御装置が少なくて済むと共に、方向制御も容易となって、システム構成のシンプル化が図られる。また、複数の太陽電池パネルを含む太陽光発電システムの設置コストが低減されると共に、方向の調節やメンテナンスの労力軽減も図られ得る。
【0029】
本発明の第十の態様は、前記第九の態様に係る太陽光発電システムであって、前記方向可変装置が、方位角調節用モータと、仰角調節用モータとを、含んで構成されていると共に、該方向可変装置における前記連動手段が、該方位角調節用モータの駆動力を複数の前記太陽電池パネルに同期して伝達する方位角調節用連動手段と、該仰角調節用モータの駆動力を複数の前記太陽電池パネルに同期して伝達する仰角調節用連動手段とを含んで構成されているものである。
【0030】
本態様では、複数の太陽電池パネルにおいて方位角と仰角とを各別のモータからなる駆動系によって調節されることとなる。それ故、方位角および仰角の調節に際して相互の関連が回避されて、それぞれの角度を容易に且つシンプルな機構で制御することが可能になる。
【0031】
本発明の第十一の態様は、前記第十の態様に係る太陽光発電システムであって、複数の前記太陽電池パネルが、鉛直軸回りで回動可能とされて該鉛直軸回りの回動により方位角変更可能とされていると共に、水平軸回りで回動可能とされて該水平軸回りの回動により仰角変更可能とされている一方、複数の該太陽電池パネル間に跨って方位角用本線ワイヤと仰角用本線ワイヤとが配設されており、該方位角用本線ワイヤで前記方位角調節用モータの駆動力が複数の該太陽電池パネルにそれぞれ該鉛直軸回りの駆動力として及ぼされることにより前記方位角調節用連動手段が構成されていると共に、該仰角用本線ワイヤで前記仰角調節用モータの駆動力が複数の該太陽電池パネルにそれぞれ該水平軸回りの駆動力として及ぼされることにより前記仰角調節用連動手段が構成されているものである。
【0032】
本態様では、複数の太陽電池パネルの連動に際し、モータの駆動力の伝達にワイヤを用いたことにより、例えばギア機構やカム機構による駆動力伝達に比して、駆動力の伝達機構を大きな自由度で且つ簡単な構造をもって敷設することが可能になる。特に、ワイヤによるモータ駆動力の伝達機構を採用することで、ギア機構やカム機構等に比してより遠方に設置された多数の太陽電池パネルへの駆動力伝達も容易に実現され得る。
【0033】
本発明の第十二の態様は、前記第十一の態様に係る太陽光発電システムであって、前記方位角用本線ワイヤ及び前記仰角用本線ワイヤから複数の各前記太陽電池パネルに延びる方位角用支線ワイヤ及び仰角用支線ワイヤが設けられており、前記方位角調節用モータの駆動力が該方位角用本線ワイヤから該方位角用支線ワイヤを介して各該太陽電池パネルに及ぼされると共に、前記仰角調節用モータの駆動力が該仰角用本線ワイヤから該仰角用支線ワイヤを介して各該太陽電池パネルに及ぼされるようになっているものである。
【0034】
本態様では、モータの駆動力の伝達機構において、本線ワイヤに加え、支線ワイヤを採用したことにより、本線ワイヤの敷設態様をシンプルにして構造簡略化を図りつつ、モータの駆動力を各太陽電池パネルに対して効率的に伝達することが可能になる。即ち、モータで直接的に駆動される本線ワイヤは、各太陽電池パネルの近くを通るように敷設する一方、本線ワイヤの途上から分岐するように延び出したそれぞれの支線ワイヤで各太陽電池パネルを駆動することで、本線ワイヤの敷設経路をシンプルにすると共に、各太陽電池パネルの設置位置の設定自由度を大きく確保することが可能になる。なお、本線ワイヤに比して支線ワイヤは、作用する伝達力が小さいことから、本線ワイヤに比して小径の支線ワイヤを採用することも可能である。
【0035】
本発明の第十三の態様は、前記第十二の態様に係る太陽光発電システムであって、前記太陽電池パネルには鉛直方向に延びる回転駆動軸が設けられており、前記方位角調節用モータの駆動力が前記方位角用本線ワイヤと前記方位角用支線ワイヤとを介して該回転駆動軸に及ぼされて該回転駆動軸が回動せしめられることで方位角が調節されるようになっている一方、該太陽電池パネルには水平方向に延びる揺動軸が設けられていると共に、該太陽電池パネルにおける該揺動軸から離れた位置に前記仰角支線ワイヤが係止されており、前記仰角調節用モータの駆動力が前記仰角用本線ワイヤと該仰角支線ワイヤとを介して該太陽電池パネルに及ぼされて該太陽電池パネルが該揺動軸回りに揺動せしめられることで仰角が調節されるようになっているものである。
【0036】
本態様では、太陽電池パネルが直交二軸回りで揺動可能に支持されていると共に、モータ駆動力が本線ワイヤおよび支線ワイヤの引張力を各軸回りの回動力に変換されて太陽電池パネルに及ぼされるようになっている。それ故、太陽電池パネルの方位角と仰角を調節可能にする機構が、太陽電池パネルにおけるシンプルな支持構造と、太陽電池パネルに対するシンプルな駆動力伝達構造とをもって、一層効率的に実現可能となる。
【0037】
本発明の第十四の態様は、前記第十の態様に係る太陽光発電システムであって、複数の前記太陽電池パネルが、鉛直軸回りで回動可能とされて該鉛直軸回りの回動により方位角変更可能とされていると共に、水平軸回りで回動可能とされて該水平軸回りの回動により仰角変更可能とされている一方、複数の該太陽電池パネル間に跨って仰角用本線ワイヤが配設されており、該仰角用本線ワイヤで前記仰角調節用モータの駆動力が複数の該太陽電池パネルにそれぞれ該水平軸回りの駆動力として及ぼされることにより前記仰角調節用連動手段が構成されていると共に、複数の該太陽電池パネル間に跨がって方位角調節用のドライブシャフトが水平方向に配設されており、該ドライブシャフトで前記方位角調節用モータの駆動力が複数の該太陽電池パネルにそれぞれ該鉛直軸回りの駆動力として及ぼされることにより前記方位角調節用連動手段が構成されているものである。
【0038】
本態様では、ドライブシャフトの駆動によって複数の太陽電池パネルの方位角が変更されることから、ワイヤ駆動に比して駆動力をリニアに伝達することが可能になり伝達精度の向上も可能になる。また、ワイヤ駆動に比して、構造的な強度や安定性を容易に確保して大きな駆動力の伝達にも容易に対応することが可能になり、設備の信頼性の向上も図り易い。
【0039】
本発明の第十五の態様は、前記第十四の態様に係る太陽光発電システムであって、前記ドライブシャフトには長さ方向の複数箇所に駆動ギアが装着されていると共に、鉛直方向に延びる前記太陽電池パネルの回転駆動軸には、該駆動ギアに常時噛合されて該ドライブシャフトの回転運動を直交する該太陽電池パネルの該回転駆動軸回りの回転運動に変換する被駆動ギアが装着されており、これら駆動ギアと被駆動ギアとにより回転方向が変換されて、該ドライブシャフトの長さ方向の複数箇所に装着された複数の該駆動ギアにより複数の該太陽電池パネルが同時に各該回転駆動軸回りに同期して回転運動せしめられて方位角が変更されるようになっているものである。
【0040】
本態様では、複数の太陽電池パネル間に跨がって延びるドライブシャフトにより各太陽電池パネルを駆動することが可能になり、太陽電池パネル間毎に分割されたドライブシャフトを使用する場合に比して、部品寸法や構造の簡略化が図られ得る。なお、駆動ギア及び被駆動ギアとしては、公知のヘリカルギアやウォームギアなどを用いることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明に従う構造とされた太陽光発電システムでは、透光性の外壁が梨地等の場合や天候が曇りの場合、或いは日射が制限される山間部の場合などであっても、構造物内において太陽電池パネルを最適な受光方向に向けて方向制御することが可能となる。それ故、例えば農業用ハウス等においても、太陽電池パネルを簡単な構造で且つ優れた発電効率をもって設置することが可能となるのである。
【0042】
また、複数の太陽電池パネルを設置するに際して、本発明の上記第九〜十五の態様に記載の連動手段を採用することにより、それら複数の態様電池パネルにおける目的とする方向制御を、システム全体としてシンプルな構造と優れた駆動効率をもって行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第一の実施形態としての太陽光発電システムを農業用ハウスに適用した一具体例を示す説明図。
【図2】図1に示された太陽光発電システムの本体構造を示す平面図。
【図3】図1に示された太陽光発電システムの本体構造を示す右側面図。
【図4】図1に示された太陽光発電システムの本体構造を示す正面図。
【図5】図1に示された太陽光発電システムの受光センサの一具体例を示す正面図。
【図6】本発明の第二の実施形態としての太陽光発電シテスムの概要構造を示す正面説明図であり、仮想線は太陽電池パネルが揺動軸を中心として、水平軸回りに回動変位した状態を示す。
【図7】図6におけるVII−VII断面に相当する平面説明図であり、仮想線は太陽電池パネルが回転駆動軸を中心として、鉛直軸回りに回動変位した状態を示す。
【図8】図6におけるVIII−VIII断面に相当する断面説明図であり、仮想線は太陽電池パネルが揺動軸を中心として、水平軸回りに回動変位した状態を示す。
【図9】図6に示された太陽光発電システムにおける第一及び第二の電動モータによる駆動プーリの駆動機構を説明するための正面説明図。
【図10】図9における平面説明図。
【図11】図6に示された太陽光発電システムを構成する各太陽電池パネルの方位角調節用の駆動機構を説明するための正面説明図。
【図12】図11における底面説明図。
【図13】本発明の第三の実施形態としての太陽光発電システムの概要構造を示す正面説明図。
【図14】図13に示された太陽光発電システムにおける第一の電動モータによるドライブシャフトの駆動部分を示す拡大説明図。
【図15】図13に示された太陽光発電システムにおける太陽電池パネルの方位角調節用の駆動機構を説明するための拡大説明図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0045】
図1は、本発明の第一の実施形態である太陽光発電システムを装備した農業用ハウスの内部概略構造の斜視図である。この農業用ハウスは、好ましくは一方向に直線的に延びる長手構造体とされている。そして、同一形状とされた複数本のアーチ部材10が互いに所定距離を隔てて設置されていると共に、それら複数本のアーチ部材10が複数本の連結ロッド12で相互に固定的に連結されることにより、構造物の骨格構造体が構成されている。
【0046】
また、かかる骨格構造体には、全体を覆うようにして外壁である樹脂シート14が装着されている。この樹脂シート14は、従来から農業用ハウスに用いられているものが栽培種目等に応じて適宜に採用可能であるが、例えば透過光における直射光線と散乱光線との割合は適宜に設定されたものが何れも採用され得るし、適当な波長領域の光線を透過又は遮断するフィルタ機能を有するものも必要に応じて採用可能である。例えば水稲育苗には梨地状の樹脂シートが採用され得る。要するに、本実施形態の農業用ハウスでは、屋根壁だけでなく両側壁の全体が、透光性の樹脂シート14によって構成されており、外部から日射エネルギーがハウス内に充分に導き入れられるようにされている。
【0047】
そして、複数本のアーチ部材10が所定距離を隔てて設置されることで、一定の断面形状で直線的に延びるハウス内空間が形成されており、このハウス内空間が育苗等の栽培用空間として利用されるようになっている。なお、ハウス内空間への出入口は、例えばハウスの長さ方向両端の壁部に対して設けられる。
【0048】
このような農業用ハウス自体は、従来から公知のものであり、育苗ハウスや植物栽培用ハウス等として利用されているものであるから、ハウス自体の詳細構造についての説明は割愛する。尤も、そのような公知の各種の農業用ハウスに対して、何れも、本発明が適用可能である。
【0049】
さらに、かかる農業用ハウスのハウス内空間において、本発明に従う構造とされた太陽光発電システムが設置されている。この太陽光発電システムは、図2〜4に示されたシステム本体20と、図5に示された受光センサ22を含んで構成されている。
【0050】
システム本体20は、支持部24を備えており、この支持部24によって、鉛直方向に延びる回転駆動軸26が回動可能に支持されている。支持部24は、何れも水平方向に広がる複数枚の支持プレート28を鉛直方向で相互に離隔配置せしめて、鉛直方向に延びる複数本の連結ロッド30でそれら複数枚の支持プレート28を相互に連結固定することによって構成されている。
【0051】
また、支持部24には、方位角制御用の第一電気モータ32が配設支持されている。そして、この第一電気モータ32の出力軸33が、直接に或いは適当な調速ギア等を介して、回転駆動軸26に連結されており、第一電気モータ32の駆動力が回転駆動軸26に伝達されて回転駆動されるようになっている。なお、第一電気モータ32としては、正確な制御を実現するためにサーボモータや同期モータを用いることが望ましい。
【0052】
更にまた、支持部24には、方位角制御用の第一ロータリエンコーダ34が配設支持されている。そして、この第一ロータリエンコーダ34により、回転駆動軸26の回転位置と回転量が検出されて、検出信号が出力されるようになっている。
【0053】
さらに、支持部24から上方に突設された回転駆動軸26の上端部分には、水平方向に広がる連結プレート36が固定されており、この連結プレート36を介して、水平方向にストレートに延びる長手状の基台フレーム38が、回転駆動軸26に対して固着されている。なお、本実施形態では、平行に延びる一対のパイプ部材を連結することによって構成された基台フレーム38が採用されている。
【0054】
また、基台フレーム38の両端部分には、それぞれ鉛直方向に広がる一対の側壁板40,40が、対峙して固定されている。そして、これら一対の側壁板40、40の間に跨がって、太陽電池パネル42が配設されて支持されている。
【0055】
太陽電池パネル42は、従来から公知のものが何れも採用可能であるが、耐久性や取扱容易性だけでなく、支持するに際しての重量の問題も考慮して、例えば被覆ガラスを用いないで可撓性が付与されたシート状の太陽電池で構成されたものが好適であり、結晶性シリコン等を用いた可撓性樹脂シート構造のもの等が採用され得る。より好適には、農業用ハウスの屋根を開放した場合の降雨やハウス内散布水等への対策を考慮して、防水シールが施された太陽電池パネル本体を、硬質樹脂や薄肉金属板等の硬質支持プレート上に敷設した構造の太陽電池パネル42が採用される。
【0056】
また、太陽電池パネル42には、両側から一対の揺動軸44,44が突出形成されている。そして、これらの揺動軸44,44が、基台フレーム38と平行に水平方向に延びる状態で配設されて、側壁板40,40によって揺動可能に支持されている。これにより、受光面46が平面形状とされた太陽電池パネル42が、水平方向に延びる揺動軸44,44回りで揺動可能に支持されており、かかる揺動軸44,44回りでの揺動に基づいて、太陽電池パネル42の受光面46の仰角が変更設定可能とされている。
【0057】
さらに、一方の揺動軸44を支持する側壁板40には、仰角制御用の第二電気モータ48が取り付けられており、揺動軸44と平行に延びた第二電気モータ48の出力軸49には、駆動円板50が固定されている。また、揺動軸44の突出先端部には、軸直角方向に突出する従動アーム52が固着されており、この従動アーム52の先端部が、駆動円板50の周上の一箇所に対して、伝動リンク54により連結されている。
【0058】
これにより、駆動円板50と伝動リンク54と従動アーム52とによって、第二電気モータ48の回転駆動力を揺動軸44に伝達するリンク機構が構成されている。そして、第二電気モータ48の回転作動に基づいて、揺動軸44が所定角度範囲で往復回動せしめられ、それに伴って、太陽電池パネル42が所定角度範囲で揺動変位せしめられて仰角が変更設定可能となっている(図3参照)。なお、第二電気モータ44としては、第一電気モータ32と同様、正確な制御を実現するためにサーボモータや同期モータを用いることが望ましい。
【0059】
また、側壁板40には、第二ロータリエンコーダ56が装着されており、揺動軸44ひいては太陽電池パネル42の揺動位置と揺動量が検出されて、検出信号が出力されるようになっている。
【0060】
さらに、このような構造とされたシステム本体20は、受光センサ22の検出信号に基づいて、第一電気モータ32及び第二電気モータ48を作動制御することにより、太陽電池パネル42の受光面46の方向、換言すれば太陽電池パネル42の方位角と仰角とが、日射エネルギーを効率的に受け得るように自動的に調節されるようになっている。
【0061】
ここにおいて、受光センサ22は、図5に例示されているように、上半球状の支持体60に対して複数個の受光素子62が、各々所定位置に配設された構造となっている。各受光素子62は、受光する光量の大きさに応じた電気信号を出力する光電変換素子等であって、例えば素子自体の特性により、又は素子の前面に装着されたレンズ等の光学部材の特性により、或いは素子の受光側の周囲を筒状の遮光体で覆う等の導光部材の特性により、有効な受光方向を特定した構造とされている。
【0062】
そして、各受光素子62は、上半球状の支持体60の半径方向線に向けられており、その有効な受光方向を、各配置点において支持体60の表面に対して垂直な外方に向けられている。
【0063】
さらに、各受光素子62の位置は予め特定されて、支持体60の中心点に対する各方向、換言すれば各受光素子62が向けられた受光方向が既知とされている。なお、受光素子62の位置の特定は、例えば支持体60の半球状表面に適当な座標を設けることで可能となる。具体的には、図5に例示されているように、複数本の経線64と緯線66とによって各受光素子62の座標を特定することが出来、かかる座標値と支持体60の中心点とを用いて、各受光素子62の受光方向を特定することが出来る。
【0064】
また、本実施形態の構造物内設置用太陽光発電システムは、制御ユニットとして、電気式の制御回路を備えており、適当な場所に別途設置する他、例えば支持体60の内部や支持部24の内部に設置されている。この制御回路には、システム本体20の第一及び第二のロータリエンコーダ34,56の検出信号と、受光センサ22の各受光素子62の出力信号が入力されるようになっていると共に、それらの入力信号に基づいて予めプログラムされた信号処理回路により、システム本体20の第一及び第二の電気モータ32,48への駆動制御信号を生成し、かかる駆動制御信号をシステム本体20に出力するようになっている。
【0065】
より具体的には、かかる制御回路は、電気信号の比較回路を含んでおり、受光センサ22における全ての受光素子62の出力信号を比較することで、最大の受光出力をもった受光素子62を特定し、予め記憶された各受光素子62の受光方向の情報を用いて、最大の光入射方向を特定するようになっている。
【0066】
そして、この最大の光入射方向を最大の日射方向として、システム本体20の太陽電池パネル42の受光面46が当該日射方向に対して直交するように、システム本体20の第一及び第二の電気モータ32,48に対して駆動信号を出力するようになっている。具体的には、例えば、第一及び第二のロータリエンコーダ34,56の検出信号に基づいて、太陽電池パネル42の受光面46の方向を特定し、当該方向が目的とする方向となるように、方位角及び仰角を付与する制御を実行するようになっている。なお、このように太陽電池パネル42の受光面46の方位設定と制御は、第一及び第二のロータリエンコーダ34,56の検出信号に基づいて指示及び確認される。特に、正確な位置制御のために、第一及び第二の電気モータ32,48として、電源回路や制御回路の種別等を考慮してシンクロナスモータやステッピングモータ等が好適に採用され得る。
【0067】
さらに、本実施形態では、太陽光の日射量を検出する日射計が採用されており、この日射計によって検出される検出値が予め設定された下限値を下回ることで日射方向を有効に特定できないと判定された場合には、受光センサ22による日射方向の特定に基づく太陽電池パネル42の方向制御を中止し、太陽電池パネル42を水平として鉛直上方の屋根に向けて方向設定する定位置制御装置が構成されている。なお、日射計の下限値は、例えば屋外において太陽の位置を視認で特定できない程度に曇が発生している状況に対応した値とすることが出来る。また、日射計は、屋外に設置することも可能であるが、ハウス内に設置して、屋外での曇りの状況に対応した下限値を設定しておいても良い。更にまた、日射計の具体的構成は限定されず、太陽光の日射状況を検出し得るものであれば良い。それ故、ハウス外やハウス内に日射計を設置する他、ハウス内に設置した受光センサ22が、その受光量に応じた信号値を出力し得るものであれば、かかる受光センサ22を日射計として利用することも可能である。その際、例えば全ての受光素子62によって検出される出力信号の総和を日射量に対応する値として利用したり、全ての受光素子62によって検出される出力信号の標準偏差やばらつき、最大最小の差などのよって、日射量の値を推定することで判定することも可能である。なお、日射エネルギーを時間的な総和として把握する他、例えば照度計を用いて瞬間的な日射エネルギーを検出して日射量に対応する値として利用することも可能である。
【0068】
また、このことから明らかなように、本実施形態では、太陽電池パネル42を駆動して設置方向を変更設定する方向可変装置が、第一及び第二の電気モータ32,48で構成されている。また、これら第一及び第二の電気モータ32,48を作動制御して、太陽電池パネル42の受光面46を農業ハウス内における最大の受光エネルギー方向に向ける方向制御を行うパネル方向制御装置が、太陽電池パネル42の方位を検出する第一及び第二のロータリエンコーダ34,56と、第一及び第二の電気モータ32,48の駆動のための制御回路とを含んで、構成されている。
【0069】
そして、上述の如き構造とされたシステム本体20は、ハウス内空間において、透光性の外壁を通じて日射エネルギーが照射される適当な箇所に設置される。その際、好適には農業用ハウスの構造部材等の日陰を可及的に避けて設置されることが望ましく、隣り合うアーチ部材10,10の中間部分に設置されるのが良い。具体的には、例えば図1に示されているように、各アーチ部材10の頂部付近に、アーチ部材10等と協働して骨格部材を構成する横桟68を設置すると共に、複数のアーチ部材10の各横桟68に跨がってハウス内で屋根の下方に位置して長さ方向に連続して延びる支持部材としての架台ビーム70を固設する。そして、この架台ビーム70に対して、互いに隣り合うアーチ部材10,10間の略中央部分で、それぞれ、システム本体20の支持部24を固定的に支持せしめることによって、システム本体20、ひいては太陽電池パネル42を屋根下の日射条件の良い場所に設置することが可能である。
【0070】
また、このようにして本実施形態では、隣り合うアーチ部材10,10間の全てにシステム本体20を設置することが可能であるが、必ずしも隣り合うアーチ部材10,10間の全てに設置する必要はないし、反対に、隣り合うアーチ部材10,10間に複数のシステム本体20を直接的或いは並列的に設置することも可能である。
【0071】
更にまた、各システム本体20における太陽電池パネル42を方向制御するための受光センサ22は、ハウス空間内の適当な位置に設置し、一つの受光センサ22を複数のシステム本体20で制御用に共用することも可能である。或いは、各システム本体20毎に、一つの受光センサ22を設けても良い。特に、受光センサ22による検出結果は、システム本体20の制御ひいては発電効率に直接に影響することから、システム本体20の太陽電池パネル42と略同じ日射条件下に置かれることが望ましく、システム本体20の横に位置するように、受光センサ22を、上記架台ビーム70で支持させて設置するようにしても良い。
【0072】
さらに、詳述のように農業用ハウスの屋根に接近した直下にシステム本体20を設置することにより、屋根の下方を覆うようにして寒冷紗等のシート状遮光体(ハウス内への日射量を遮断するものに限らず、制限するものを含む)を設ける場合でも、かかるシート状遮光体の上側で、屋根とシート状遮光体との間にシステム本体20を設置することが出来る。これにより、シート状遮光体の開閉状態に拘わらず、安定して有効な日射エネルギーを太陽電池パネル42に受光させることが可能となる。
【0073】
上述の如き構造とされた構造物内設置用太陽光発電システムにおいては、小型計量のシステム本体20を採用したことにより、架台ビーム70等の簡易な構造によって、屋根の直下の日射効率の良い場所に太陽発電パネルを設置することが可能になり、優れた発電効率を得ることができる。
【0074】
しかも、特別な受光センサ22を採用したことにより、前述の特許文献2に記載の如き複雑な追尾装置を必要とすることがなく、且つ日射エネルギーを高効率で安定して得ることが可能になる。なお、受光センサ22による検出信号を反映して太陽電池パネル42の方向制御を行う作動は、常時実行することも可能であるが、例えば5分毎や10分毎、或いは30分毎等の適当な時間間隔で実行しても良い。
【0075】
特に本実施形態では、梨地の外壁を採用したことで、ハウス内に入射する太陽光を一層均一化することが出来たのであり、それにより、頻繁な太陽電池パネル42の方向制御を必要とすることなく安定した電気出力を得ることが可能となる。また、複数のシステム本体20を設置した場合においても全ての太陽発電パネル42によって略安定した出力を得ることも可能となる。
【0076】
なお、図面上には明示されていないが、従来公知の構造として、農業用ハウスには、内部環境制御手段としての外気導入用や内気排出用の換気扇が設置されたり、屋根部分に開閉可能な開放窓が設けられたり、側壁部分に開閉可能な通気窓が設けられたりする。これらの構造は何れも周知故に詳細構造はわざわざ開示しないが、これらの構造を、上述の如き本発明に従う太陽光発電システムと併用することで、一層優れた技術的効果が発揮され得るのである。
【0077】
すなわち、換気扇装置を設置し、ハウス内が所定温度に達した場合には、換気扇を作動させたり換気能力を上昇させることにより、ハウス内外での換気が可能となる。農業用ハウスによる太陽電池パネル42による発電では、ハウス内温度の必要以上の上昇を回避することが好適であり、それによって、温度上昇に伴い発電効率が低下する太陽電池パネル42でも、その発電効率の安定確保が図られ得る。
【0078】
同様な理由により、屋根部分に開閉可能な、或いは常時開放状態の開放窓を設けることも可能であり、例えば、予め設定された温度までハウス内の温度が上昇した場合に開放窓が開くようにしたり、降雨が検出された場合に開放窓が閉じるような開放窓の開閉装置を設けても良い。又は、周壁部分に開閉可能な、或いは常時開放状態の通気窓を設けることも可能であり、例えば、予め設定された温度までハウス内の温度が上昇した場合に通気窓が開くようにしたり、予め設定された速度を超えた風速が検出された場合に通気窓が閉じるような通気窓の開閉装置を設けても良い。これらの機能により、更なる太陽電池パネル42の発電効率の安定確保を図ることが可能となる。
【0079】
さらに、システム本体20には、盗難防止装置を組み込むことが望ましく、特に本実施形態のように農業用ハウスでは、夜間等の警備が手薄となりがちであることから、自動監視システムの採用が望ましい。具体的には、例えば、太陽電池パネル42や支持部24において、切断しなければそれらを取り外すことができない通電線を設けておき、且つ、かかる通電線が切断されたことを感知して警報を発する警報システムを採用することが出来る。
【0080】
ところで、上述の図1〜4に示された実施形態では、各システム本体20において、それぞれ、太陽電池パネル42を回転駆動軸26を中心として鉛直軸回りで回動駆動させる方位角調節用モータとしての第一電気モータ32と、太陽電池パネル42を揺動軸44,44を中心として水平軸回りで回動駆動させる仰角調節用モータとしての第二電気モータ48とが設けられていた。しかし、複数のシステム本体20を構成する複数の太陽電池パネル42において、方位角や仰角を調節するための電気モータを共用して太陽光発電システムを構成することも可能である。その一具体例が、本発明の太陽光発電システムの第二の実施形態として、図6〜8に示されている。
【0081】
本実施形態の太陽光発電システムは、第一の実施形態と同様に一つの建造物である農業用ハウス内に設置された複数の太陽電池パネル42を含んで構成されていると共に、それら複数の太陽電池パネル42の方位角および仰角を相互に連動させて変更設定する太陽電池パネル42の連動システムを備えている。なお、本実施形態では、前記第一の実施形態と同様な機能を発揮する部材に対して、それぞれ、図中に第一の実施形態と同一の符号を付することにより、詳細な説明を省略する。
【0082】
本実施形態における太陽電池パネル42の連動システム本体80は、その方向可変装置として方位角可変装置と仰角可変装置とを含んでいる。方位角可変装置は、太陽電池パネル42を回転駆動軸26を中心として鉛直軸回りで回動駆動させるものであり、駆動力を発生する第一電気モータ32と、この第一電気モータ32の回転駆動力を複数の太陽電池パネル42に対してそれぞれ伝達して回転駆動軸26を中心として鉛直軸回りで同期的に回動作動させる方位角調節用連動手段とを含んで構成されている。また、仰角可変装置は、太陽電池パネル42を揺動軸44を中心として水平軸回りで揺動駆動させるものであり、駆動力を発生する第二電気モータ48と、この第二電気モータ48の回転駆動力を複数の太陽電池パネル42に対してそれぞれ伝達して揺動軸44を中心として水平軸回りで同期的に揺動作動させる仰角調節用連動手段とを含んで構成されている。
【0083】
特に本実施形態では、方位角および仰角をそれぞれ同期的に連動制御される複数の太陽電池パネル42が、農業用ハウスの長さ方向に延びる架台ビーム70上で所定間隔で直列的に設置されている。また、図6,7に例示されているように架台ビーム70の長さ方向一方の端部等において、第一及び第二の電気モータ32,48が設置されている。更に、架台ビーム70に沿って方位角調節用連動手段を構成する方位角調節用ワイヤ94,98(後述)が架設されていると共に、農業用ハウスの屋根を長さ方向に延びる頂部ビーム材81に沿って仰角調節用連動手段を構成する仰角調節用ワイヤ106,112(後述)が架設されている。そして、第一電気モータ32の駆動力が方位角調節用ワイヤ94,98(後述)を介して複数の太陽電池パネル42に対してそれぞれ伝達されることにより、複数の太陽電池パネル42が同期して回転駆動軸26回りで回動されるようになっている。また、第二電気モータ48の駆動力が仰角調節用ワイヤ106,112(後述)を介して複数の太陽電池パネル42に対してそれぞれ伝達されることにより、複数の太陽電池パネル42が同期して揺動軸44回りで揺動されるようになっている。
【0084】
より詳細には、図9,10に拡大図示されているように、方位角調節用の第一電気モータ32の回転駆動力に基づいて各太陽電池パネル42に対する方位角の調節力を発生する方位角調節用コンポーネント82が、かかる第一の電気モータ32と、その出力軸33に装着された駆動プーリとしての方位角調節用プーリ86を含んで構成されている。また、かかる方位角調節用コンポーネント82では、各太陽電池パネル42の方位角を、前述の受光センサ22による検出信号に基づいて制御するために、方位角検出センサが設けられている。
【0085】
かかる方位角検出センサは、受光センサ22の検出信号に基づいて得られる目的とする方位角が各太陽電池パネル42の方位角に設定されるように、目的とする方位角を参照信号として第一電気モータ32の出力軸33の回動位置をフィードバック制御やフィードフォワード制御等を実現できるように、参照信号と対応付け可能に駆動プーリ(方位角調節用プーリ)86の回動位置を電気信号として検出又は設定し得るものであれば良い。具体的には、例えば第一電気モータ32に第一のロータリエンコーダ34を装着して、第一電気モータ32の出力軸33の回動位置を検出又は設定可能としたり、或いは、第一電気モータ32の出力軸33に電気ボリュームからなる方位角調節用ボリューム88を装着して、電気モータ32の出力軸33の回動位置を検出又は設定可能とすること等によって実現され得る。
【0086】
そして、この方位角検出センサによって検出される第一電気モータ32の出力軸33の回動位置を、それと同期して連動される太陽電池パネル42の方位角として、受光センサ22の検出信号に基づいて得られる方位角に対して対応付ける。これにより、受光センサ22の検出信号に基づいて目的とする方位角の電気信号である参照信号が得られると、かかる参照信号に対して対応付けられた検出信号が、方位角検出センサとしての第一ロータリエンコーダ34または方位角調節用ボリューム88によって得られる位置まで、第一電気モータ32を作動させて停止させることで、太陽電池パネル42に対して、目的とする方位角を設定することが可能となる。なお、方位角検出センサは、例示のように方位角調節用コンポーネント82に設ける他、第一の実施形態と同様に、複数の太陽電池パネル42の何れかに対して設けることも可能である。
【0087】
なお、本実施形態では、架台ビーム70に対して固着されたベースプレート89が設けられており、このベースプレート89に対して第一電気モータ32が固定されている。そして、第一電気モータ32の出力軸33が、ベースプレート89から下方に向かって鉛直方向で突出しており、かかる出力軸33に対して方位角調節用プーリ86が取り付けられている。
【0088】
また、本実施形態における各太陽電池パネル42は、第一の実施形態と同様に方位角及び仰角を可変に支持されているが、それら各太陽電池パネル42には、第一及び第二電気モータや第一及び第二ロータリエンコーダが直接設けられる必要がない。
【0089】
一方、各太陽電池パネル42を方位角変更可能に支持する回転駆動軸26は、図11,12に拡大図示されているように、その下端が、架台ビーム70に固定された上下支持プレート90,91により、必要に応じてベアリングや摺動スリーブを介して回動可能に支持されている。また、回転駆動軸26の下端部分が、これら上下支持プレート90,91を貫通して鉛直方向で下方に突出されており、かかる突出部分に対して従動プーリ92が装着されている。これにより、従動プーリ92が回動駆動されることに伴って、図7に仮想線で示されているように、回転駆動軸26ひいては太陽電池パネル42が鉛直軸回りに回動変位せしめられるようになっている。
【0090】
そして、農業用ハウスの架台ビーム70に沿って架設された方位角調節用ワイヤ94,98(後述)を介して、方位角調節用コンポーネント82の方位角調節用プーリ86の回転駆動力が各太陽電池パネル42の従動プーリ92に伝達されて、それら各太陽電池パネル42が連動して方位角変更されるようになっている。かかる方位角調節用ワイヤは、架台ビーム70の長さ方向一端側に配設された方位角調節用プーリ86と他端側に配設された図示しない折返しプーリとの間に跨がって掛け渡された無端状の方位角調節用本線ワイヤ94を備えている。
【0091】
また、方位角調節用本線ワイヤ94は、複数の太陽電池パネル42の従動プーリ92の各近接位置を経由して掛け渡されている。更に、方位角調節用本線ワイヤ94には、それら複数の太陽電池パネル42の従動プーリ92の近くに位置する方位角調節用支線ワイヤ結束位置96,96において、方位角調節用支線ワイヤ98,98が結束されている。かかる方位角調節用支線ワイヤ98,98は、その一端側が方位角調節用本線ワイヤ94に固着されて、方位角調節用本線ワイヤ94から分岐するように延び出しており、その延び出した他端側が、従動プーリ92に対して巻き付けられて先端係止されている。従動プーリ92は太陽電池パネル42と連結されており、従って方位角調節用支線ワイヤ98は太陽電池パネル42に係止されているとも解釈できる。
【0092】
なお、方位角調節用本線ワイヤ94は、ループ状に掛け渡されており、各従動プーリ92の両側に方位角調節用本線ワイヤ94が対を為して敷設されている。これら対を為す両側の方位角調節用本線ワイヤ94から、それぞれ方位角調節用支線ワイヤ98が延び出して設けられている。これにより、一対の方位角調節用支線ワイヤ98,98が、従動プーリ92に対して、互いに反対方向に巻き付けられている。そして、方位角調節用プーリ86が一方向に回動して方位角調節用本線ワイヤ94が一方向に駆動されると、一対の方位角調節用支線ワイヤ98,98の一方が張力をもって従動プーリ92に一方向の回動力を伝達して、太陽電池パネル42が一方向に回動されるようになっている。また、方位角調節用プーリ86が他方向に回動して方位角調節用本線ワイヤ94が他方向に駆動されると、一対の方位角調節用支線ワイヤ98,98の他方が張力をもって従動プーリ92に他方向の回動力を伝達して、太陽電池パネル42が他方向に回動されるようになっている。
【0093】
すなわち、本実施形態では、方位角調節用本線ワイヤ94と複数対の方位角調節用支線ワイヤ98,98から構成された方位角調節用ワイヤ94,98が、方位角調節用プーリ86と各従動プーリ92を経由して張設されており、この方位角調節用ワイヤ94,98を介して、第一電気モータ32の駆動力が各太陽電池パネル42に対して方位角調節用駆動力として及ぼされるようになっている。なお、従動プーリ92と太陽電池パネル42は実質的に連結されており、方位角調節用ワイヤ94,98は、太陽電池パネル42を経由して敷設されているとも解釈できる。
【0094】
また、方位角調節用本線ワイヤ94は、例えばループ上にターンバックルが組み付けられることにより、その張力が設定されており、方位角調節用プーリ86の回転によりスリップ等することなくダイレクトに駆動されるようになっている。特に本実施形態では、方位角調節用プーリ86に対する方位角調節用本線ワイヤ94の巻付力を安定して確保するために、一対のテンションプーリとしてのアイドラ99,99が設けられている。かかるアイドラ99,99は、架台ビーム70で支持されており、方位角調節用プーリ86から延び出した左右両側の方位角調節用本線ワイヤ94,94に対して、それぞれ、相互に接近する方向に圧力を掛けている。
【0095】
一方、各太陽電池パネル42における前述の仰角調節用連動手段では、図9,10に示されているように、仰角調節用の第二電気モータ48の回転駆動力に基づいて各太陽電池パネル42に対する仰角の調節力を発生する仰角調節用コンポーネント100が、かかる第二電気モータ48と、その出力軸49に装着された駆動プーリとしての仰角調節用プーリ102を含んで構成されている。また、かかる仰角調節用コンポーネント100では、各太陽電池パネル42の仰角を、前述の受光センサ22による検出信号に基づいて制御するために、仰角検出センサが設けられている。かかる仰角検出センサは、前述の方位角検出センサと同様、例えば第二電気モータ48の出力軸49に装着される第二のロータリエンコーダ56や仰角調節用ボリューム104等によって実現され得る。なお、かかる仰角検出センサを、第一の実施形態と同様に、複数の太陽電池パネル42の何れかに設けることも可能である。
【0096】
そして、本実施形態では、第二電気モータ48が架台ビーム70に対して固定的に装着されており、かかる装着状態下、第二電気モータ48の出力軸49が、架台ビーム70の長さ方向に直交する水平方向に延びている。更に、この水平方向に延びた出力軸49に対して、仰角調節用プーリ102が取り付けられており、かかる仰角調節用プーリ102に対して仰角調節用ワイヤを構成する仰角調節用本線ワイヤ106が巻き付けられている。
【0097】
仰角調節用本線ワイヤ106は、農業用ハウスの屋根を長さ方向に延びる頂部ビーム材81に沿って架設されており、複数の太陽電池パネル42の上方で架台ビーム70と平行に延びている。この仰角調節用本線ワイヤ106の長さ方向一方の端部が、頂部ビーム材81の一端側に設置された定滑車108から下方に引き下げられ、仰角調節用コンポーネント100の仰角調節用プーリ102に巻き付けられて先端係止されている。また、仰角調節用本線ワイヤ106の長さ方向他方の端部は、図示されていないが、頂部ビーム材81の他端側に設置された定滑車から下方に引き下げられ、張力保持用の適当質量のマスに係止されており、仰角調節用本線ワイヤ106に対して緊張力が付与されている。
【0098】
さらに、仰角調節用本線ワイヤ106の架設経路上には、各太陽電池パネル42の近くに位置して複数の支線ワイヤ用定滑車109が設置されている。また、仰角調節用本線ワイヤ106には、長さ方向の複数箇所に設定された仰角調節用支線ワイヤ結束位置110において、それぞれ、仰角調節用支線ワイヤ112が結束されている。そして、各仰角調節用支線ワイヤ112は、その一端側が仰角調節用本線ワイヤ106に固着されて、仰角調節用本線ワイヤ106から分岐するように延び出しており、その延び出した他端側が、支線ワイヤ用定滑車109を経て下方に引き出され、太陽電池パネル42に係止されている。
【0099】
ここにおいて、太陽電池パネル42に対する仰角調節用支線ワイヤ112の先端の係止位置は、揺動軸44から離隔していれば良いが、太陽電池パネル42に対して揺動駆動力を効率的に伝達するように、揺動軸44からの離隔距離がある程度大きいことが望ましい。具体的には、揺動軸44に直交する方向において、揺動軸44から太陽電池パネル42の外周端縁部までの距離L(図6参照)に対して、L/2〜Lの距離だけ、揺動軸44から離れた位置に仰角調節用支線ワイヤ112の先端が係止されることが望ましい。
【0100】
また、太陽電池パネル42における仰角調節用支線ワイヤ112の係止位置は、太陽電池パネル42の方位角が変更設定されることに伴って水平面上で変化する。それ故、仰角調節用支線ワイヤ112における支線ワイヤ用定滑車109から太陽電池パネル42への引き出し方向の変更に追従して、支線ワイヤ用定滑車109の回転中心が水平面内で変更可能とされて、仰角調節用支線ワイヤ112がスムーズに滑動するように、支線ワイヤ用定滑車109は首振り可能とされることが望ましい。
【0101】
更にまた、各太陽電池パネル42は、揺動軸44回りにおいて、仰角調節用支線ワイヤ112による引張力が及ぼされることにより、仰角調節用支線ワイヤ112の係止部が上方に引き上げられる方向に回動変位せしめられることとなるが、かかる回動方向とは反対側に向かって、太陽電池パネル42を揺動軸回りで一方向に付勢する付勢手段が設けられている。なお、この付勢手段は、例えば渦巻きバネやコイルスプリング等でも良いが、太陽電池パネル42における揺動軸44の位置を偏倚させることにより、太陽電池パネル42に作用する重力を利用して構成することも可能である。
【0102】
これにより、図6及び図8に仮想線で示されているように、仰角調節用プーリ102が一方向に回動して仰角調節用本線ワイヤ106が、仰角調節用プーリ102による巻取方向に駆動されると、各仰角調節用支線ワイヤ112が張力をもって太陽電池パネル42に対して引上方向の駆動力を伝達して、太陽電池パネル42が揺動軸44を中心として水平軸回りで仰角を大きくする方向に揺動されるようになっている。また、仰角調節用プーリ102が他方向に回動して仰角調節用本線ワイヤ106が、仰角調節用プーリ102からの送り出し方向に駆動されると、仰角調節用支線ワイヤ112が張力を保ちつつ、上述の付勢手段により、太陽電池パネル42が揺動軸44を中心として水平軸回りで仰角を小さくする方向に揺動されるようになっている。
【0103】
すなわち、本実施形態では、仰角調節用本線ワイヤ106と複数の仰角調節用支線ワイヤ112から構成された仰角調節用ワイヤ106,112が、複数の太陽電池パネル42を経由して架設されており、この仰角調節用ワイヤ106,112を介して、第二電気モータ48の駆動力が各太陽電池パネル42に対して仰角調節用駆動力として及ぼされるようになっている。また、複数の太陽電池パネル42は、仰角調節用ワイヤ106,112により、同期して仰角が同じに設定されるようになっている。
【0104】
従って、このような本実施形態に従う構造とされた連動システム本体80を備えた構造物内設置用太陽光発電システムにおいては、複数設置された太陽電池パネル42の方位角および仰角を、少ない電気モータの駆動力を効率的に活用して、且つ同期して調節設定することが可能となる。それ故、第一の実施形態と同様にして受光センサ22の検出信号に基づいて設定される太陽電池パネル42の好適な方位角および仰角を、複数の太陽電池パネル42に対して速やかに且つ精度良く設定することが出来る機構が、シンプルな構造で実現可能となるのである。
【0105】
また、第一及び第二の電気モータ32,48の駆動力を各太陽電池パネル42に伝達する動力伝達機構として、ギアやロッド、アーム、リンクなどを採用することも可能であるが、本実施形態では、前述の如きワイヤ式の動力伝達機構を採用したことにより、広い範囲に設置された複数の太陽電池パネル42に対して効率的に、駆動力を同時に且つ同期して伝達することができる。
【0106】
なお、各太陽電池パネル42の方位角および仰角の調節可能範囲は、特に限定されるものでないが、配線等を考慮して、方位角の調節可能範囲を360度以下に制限設定することが望ましく、より好適には方位角の調節可能範囲が南向きを中心に東西各110度ずつとして合計220度以下に制限設定される。また、仰角の調節可能範囲αも、90度以下に制限設定されることが望ましく、更には70度以下とされることがより望ましい。このような角度調節可能範囲の設定は、機械的なストッパ機構を設ける他、リミットスイッチを用いて電気モータへの給電を停止するシステムを採用することが、システム安全設計上望ましい。
【0107】
また、連動して方向制御される複数の太陽電池パネル42の数や配置形態は限定されるものでない。例えば、図6〜8では、2枚の太陽電池パネル42が直線上に配置された状態で図示されているが、3枚以上の太陽電池パネル42を採用することも可能であり、複数列を為すように又は千鳥状となるように、複数の太陽電池パネル42を設置することも可能である。特に、本実施形態のように電気モータの駆動力を伝達する連動手段としてワイヤを採用する場合には、滑車等を適宜に用いてワイヤの敷設方向を任意に設定することが可能であり、太陽電池パネル42の多様な配置形態にも容易に対応することができる。
【0108】
次に、本発明における太陽光発電システムの第三の実施形態が図13〜15に示されている。なお、太陽光発電システムの第三の実施形態において、仰角を調節するシステム、即ち仰角調節用連動手段は第二の実施形態と同様であり、図中に第二の実施形態と同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。以下、第三の実施形態における方位角調節システム、即ち方位角調節用連動手段について説明する。
【0109】
先ず、図13には本実施形態の太陽電池パネル42の連動システム本体120が示されている。太陽電池パネル42の連動システム本体120は、第二の実施形態と同様に、複数の太陽電池パネル42と、太陽電池パネル42を支持する支持手段と、更に太陽電池パネル42の方位角及び/又は仰角を同期的に連動させる連動手段を含んで構成されている。この方位角調節用連動手段には、駆動力の発生に第二の実施形態と同様に第一電気モータ32が用いられていると共に、この第一電気モータ32の駆動力を各太陽電池パネル42に伝達するために、第二の実施形態ではワイヤが用いられていたが、本実施形態ではシャフト(ドライブシャフト)122が用いられている。
【0110】
具体的には、図13,14に示されるように、農業用ハウスの長さ方向に延びる架台ビーム70の側面に支持プレート124が、ボルト等により固着されている。更に、支持プレート124には第一電気モータ32がボルト等により固着されており、その出力軸33が架台ビーム70に沿って長さ方向に突出されている。出力軸33には、第二の実施形態と同様に第一ロータリエンコーダ34が設けられており、第二の実施形態と同様に太陽電池パネル42の方位角調節に用いられる。
【0111】
そして、第一ロータリエンコーダ34を備えた第一電気モータ32の出力軸33には、その先端部に対して、スリーブ126を介して、ドライブシャフト122が接続固定されている。ドライブシャフト122は直列に設置された複数個の太陽電池パネル42を経由するようにして、架台ビーム70の側面(水平方向)に沿って延びており、複数個の太陽電池パネル42(図13においては2個だが、例えば3〜10個程度)の設置部間に跨がって延びるだけの長さを有している。また、ドライブシャフト122は剛性の部材とされており、長さ方向の複数箇所において、ベアリング127等を用いて架台ビーム70により中心軸回りで回転可能に支持されている。
【0112】
一方、図15に示されるように、太陽電池パネル42は第一及び第二の実施形態と同様に、鉛直方向に延び出した回転駆動軸26により支持されている。この回転駆動軸26は、剛性を有する固定部材128を介して、架台ビーム70により回転可能に支持されている。固定部材128の構造は限定されないが、回転駆動軸26を長さ方向の複数箇所で中心軸回りで回転可能に且つ軸方向で移動不能に支持するようになっており、本実施形態では、上下のベアリング132,132を介して、回転駆動軸26を支持するようになっている。
【0113】
また、太陽電池パネル42の回転駆動軸26は、ドライブシャフト122に対して、近接して且つ直交方向で延びるように配設されている。更に、回転駆動軸26には、ドライブシャフト122と近接する位置に被駆動ギアとしてのヘリカルギア134が外挿されて固着されている。一方、ドライブシャフト122には、回転駆動軸26と近接する位置に、それぞれ、駆動ギアとしてのヘリカルギア136が外挿されて固着されている。そして、これらドライブシャフト122のヘリカルギア136と、回転駆動軸26のヘリカルギア134とが、互いに噛合されており、回転駆動力を直交する二軸間で方向変換して伝達するようになっている。
【0114】
このような構造とされた方位角調節手段によれば、第一及び第二の実施形態と同様に第一電気モータ32が駆動制御されることにより、第一電気モータ32の回転駆動力がドライブシャフト122から太陽電池パネル42の回転駆動軸26に及ぼされて太陽電池パネル42の方位角が調節され得る。更に、複数の太陽電池パネル42を用いた方位角調節用連動手段としては、先ず、複数の太陽電池パネル42の回転駆動軸26に装着された複数のヘリカルギア134に対応して、ドライブシャフト122の長さ方向において、複数のヘリカルギア136を装着する。これにより、方位角調節用モータとしての第一電気モータ32による回転駆動力がドライブシャフト122に及ぼされると共に、複数のヘリカルギア134,136により回転駆動力が水平方向から鉛直方向へと変換され、それに伴い複数の回転駆動軸26、要するに各太陽電池パネル42が同期して回転運動せしめられ、同時に方位角の変更が可能となる。特に本実施形態では、ドライブシャフト122とギア機構による回転駆動力伝達系を方位角調節機構に採用したことにより、ワイヤ等による駆動力伝達系に比して、一層リニアでダイレクトな駆動力伝達が可能になり、方位角の制御精度の向上も図られ得る。また、一本のドライブシャフト122の回転方向を制御することで、太陽電池パネル42を回転駆動軸26回りで両方向に回転駆動させることが出来ることから、左右回転方向で別の駆動力伝達が必要とされるワイヤに比して、駆動力伝達部材であるドライブシャフト122の配設スペースが小さくて済むという利点もある。
【0115】
なお、ドライブシャフト122は、全長に亘って一体構造である必要はなく、所定長さのシャフトを相互に直列的に連結することによって一体化して用いることができる。また、架台ビーム70が長尺で多数の太陽電池パネル42が直列的に設置される場合には、それら多数の太陽電池パネル42を複数のグループに分割して、各グループ毎に、各別の第一電気モータ32とドライブシャフト122とで方位角駆動することも可能である。例えば、一本の架台ビーム70上に計9台の太陽電池パネル42が設置される場合には、3台の太陽電池パネル42ずつ3つのグループに分けて、各グループ毎に設置した第一電気モータ32による駆動力を、各グループ毎に設置したドライブシャフト122で、それぞれのグループを構成する各計3台の太陽電池パネル42に伝達するようにしても良い。なお、このように多数の太陽電池パネル42を複数のグループに分割する場合には、仰角制御用の第二電気モータ48や仰角調節用ワイヤ106,112は全ての太陽電池パネル42で共用することも可能であるが、各グループ毎に、仰角制御用の第二電気モータ48や仰角調節用ワイヤ106,112を設けても良い。
【0116】
また、上述のように、多数の太陽電池パネル42を複数のグループに分割して、各グループ毎に、各別の第一電気モータ32とドライブシャフト122とで方位角駆動する場合、全ての第一電気モータ32の駆動制御系を共通化することも可能である。即ち、何れか一つのグループの第一電気モータ32にだけ第一ロータリエンコーダ34を装着し、この第一ロータリエンコーダ34による検出信号に基づいて、全ての第一電気モータ32の駆動制御を同一に且つ同時に実行することで、全ての第一電気モータ32で駆動される全ての太陽電池パネルの方位角を同じ方向に同時に制御することも可能である。
【0117】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はかかる実施形態の具体的記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様で実施可能であり、且つそのような各種態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【0118】
例えば、前記実施形態では第一電気モータ32及び第二電気モータ48の2種類を別個に設けていたが、方位角調節用モータと仰角調節用モータとして単一の電動モータを用いても良い。その場合には、機械式や電磁式のクラッチ機構を用い、電動モータによる駆動力を、方位角調節用連動手段と仰角調節用連動手段とに対して選択的に及ぼす構成が好ましい。なお、前記実施形態のように、方位角調節用と仰角調節用とで互いに独立した方向可変装置を採用することにより、方位角と仰角を同時に調節設定することも可能になる。
【0119】
また、前記実施形態では方位角調節用本線ワイヤ94は、端に設けたプーリで折り返し、往動側と復動側の2本構造としていたが、仰角調節用本線ワイヤ106のように1本構造でも良い。その場合、方位角調節用本線ワイヤ94の端部に、仰角調節用本線ワイヤ106同様にマスを係止するなど、常に張力が保たれる必要がある。更に、仰角調節用本線ワイヤ106については、張力を保つためにマスを係止していたが、張力を保つ効果があるのであればどのような構成でも採用し得る。
【0120】
更に、前記実施形態では全自動で太陽電池パネル42の調節を行っていたが、第一及び第二の電気モータ32,48をマニュアル操作で正/逆回転させることで太陽電池パネル42に対して所望の方位角や仰角を設定することを可能にするマニュアル設定モードを設けることも可能である。また、各ワイヤ94,98,106,112の破断や引っ掛かり等のトラブルに備え、太陽電池パネル42の方位角や仰角を手動で調節する手動設備を設けても良い。その場合、複数の太陽電池パネル42の方向を一つずつ手動で調節するのは大変な手間であり、手動でも連動システムを採用することが望ましい。
【符号の説明】
【0121】
10:アーチ部材、12:連結ロッド、14:樹脂シート、20:システム本体、22:受光センサ、24:支持部材、32:第一電気モータ(方向可変装置)、34:第一ロータリエンコーダ、42:太陽電池パネル、48:第二電気モータ(方向可変装置)、56:第二ロータリエンコーダ、62:受光素子、68:横桟、70:架台ビーム、94:方位角調節用本線ワイヤ、98:方位角調節用支線ワイヤ、106:仰角調節用本線ワイヤ、112:仰角調節用支線ワイヤ、122:ドライブシャフト、134,136:ヘリカルギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の外壁を備えた構造物内に設置された太陽電池パネルと、
該太陽電池パネルの設置方向を変更設定する方向可変装置と、
指向性のある受光素子を複数方向に備えており、前記構造物内に設置されて該複数の受光素子の出力値の相互比較結果から該構造物内における最大の受光エネルギー方向を検出する受光センサと、
該受光センサによる検出結果に基づいて前記方向可変装置を作動させて前記太陽電池パネルを前記構造物内における最大の受光エネルギー方向に向ける方向制御を行うパネル方向制御装置と
を、含むことを特徴とする構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項2】
前記構造物が植物栽培用ハウスであり、該植物栽培用ハウスの前記外壁を構成する天井が全体に亘って透光性の外壁である請求項1に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項3】
太陽光の日射量を検出する日射計を備えており、該日射計による検出値が予め設定された下限値を下回った場合には、前記パネル方向制御装置による制御を停止して前記太陽電池パネルを、予め設定された定位置に向けて方向固定に設定する定位置制御装置を設けた請求項1又は2に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項4】
前記構造物の前記外壁が梨地である請求項1〜3の何れか1項に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項5】
前記太陽電池パネルが設置された前記構造物の内部環境制御手段として、以下の(i)〜(iii)の少なくとも一つを備えた請求項1〜4の何れか1項に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
(i)前記構造物の内部温度が予め設定された作動温度に達した場合に作動を開始して該構造物の内部と外部での換気を実行する換気扇装置。
(ii)前記構造物の屋根部分に開閉可能な開放窓を設けると共に、該構造物の内部温度が予め設定された開放温度に達した場合に該開放窓を開く一方、降雨が検出された場合に該開放窓を閉じる開放窓の開閉装置。
(iii)前記構造物の周壁部分に開閉可能な通気窓を設けると共に、該構造物の内部温度が予め設定された通気温度に達した場合に該通気窓を開く一方、予め設定された速度を超えた風速が検出された場合に該通気窓を閉じる通気窓の開閉装置。
【請求項6】
前記太陽電池パネルを取り外すことによって警報信号を発する盗難防止装置が設けられている請求項1〜5の何れか1項に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項7】
前記構造物の内部には、前記外壁の内方に位置して展張及び収容可能にシート状遮光体が配設されており、該シート状遮光体の展張面と該外壁との間に前記太陽電池パネルが設置されている請求項1〜6の何れか1項に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項8】
前記構造物が一方向に直線的に延びる長手構造体とされていると共に、該構造物の内部には前記外壁の屋根部分の下方を長手方向に延びる支持部材が、該構造物の骨格部材により複数箇所で支持されて配設されており、該支持部材の長さ方向で所定間隔を隔てた位置に複数の前記太陽電池パネルが設置されている請求項1〜7の何れか1項に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項9】
前記太陽電池パネルが複数設置されていると共に、
前記方向可変装置の駆動力をそれら複数の太陽電池パネルに対して同期して伝達せしめて、それら複数の太陽電池パネルの設置方向を同じ方向に変更設定する連動手段が設けられている請求項1〜8の何れか1項に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項10】
前記方向可変装置が、
方位角調節用モータと、仰角調節用モータとを、含んで構成されていると共に、
該方向可変装置における前記連動手段が、
該方位角調節用モータの駆動力を複数の前記太陽電池パネルに同期して伝達する方位角調節用連動手段と、該仰角調節用モータの駆動力を複数の前記太陽電池パネルに同期して伝達する仰角調節用連動手段とを、含んで構成されている
請求項9に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項11】
複数の前記太陽電池パネルが、鉛直軸回りで回動可能とされて該鉛直軸回りの回動により方位角変更可能とされていると共に、水平軸回りで回動可能とされて該水平軸回りの回動により仰角変更可能とされている一方、
複数の該太陽電池パネル間に跨って方位角用本線ワイヤと仰角用本線ワイヤとが配設されており、
該方位角用本線ワイヤで前記方位角調節用モータの駆動力が複数の該太陽電池パネルにそれぞれ該鉛直軸回りの駆動力として及ぼされることにより前記方位角調節用連動手段が構成されていると共に、
該仰角用本線ワイヤで前記仰角調節用モータの駆動力が複数の該太陽電池パネルにそれぞれ該水平軸回りの駆動力として及ぼされることにより前記仰角調節用連動手段が構成されている
請求項10に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項12】
前記方位角用本線ワイヤ及び前記仰角用本線ワイヤから複数の各前記太陽電池パネルに延びる方位角用支線ワイヤ及び仰角用支線ワイヤが設けられており、
前記方位角調節用モータの駆動力が該方位角用本線ワイヤから該方位角用支線ワイヤを介して各該太陽電池パネルに及ぼされると共に、前記仰角調節用モータの駆動力が該仰角用本線ワイヤから該仰角用支線ワイヤを介して各該太陽電池パネルに及ぼされるようになっている請求項11に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項13】
前記太陽電池パネルには鉛直方向に延びる回転駆動軸が設けられており、前記方位角調節用モータの駆動力が前記方位角用本線ワイヤと前記方位角用支線ワイヤとを介して該回転駆動軸に及ぼされて該回転駆動軸が回動せしめられることで方位角が調節されるようになっている一方、
該太陽電池パネルには水平方向に延びる揺動軸が設けられていると共に、該太陽電池パネルにおける該揺動軸から離れた位置に前記仰角支線ワイヤが係止されており、前記仰角調節用モータの駆動力が前記仰角用本線ワイヤと該仰角支線ワイヤとを介して該太陽電池パネルに及ぼされて該太陽電池パネルが該揺動軸回りに揺動せしめられることで仰角が調節されるようになっている請求項12に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項14】
複数の前記太陽電池パネルが、鉛直軸回りで回動可能とされて該鉛直軸回りの回動により方位角変更可能とされていると共に、水平軸回りで回動可能とされて該水平軸回りの回動により仰角変更可能とされている一方、
複数の該太陽電池パネル間に跨って仰角用本線ワイヤが配設されており、
該仰角用本線ワイヤで前記仰角調節用モータの駆動力が複数の該太陽電池パネルにそれぞれ該水平軸回りの駆動力として及ぼされることにより前記仰角調節用連動手段が構成されていると共に、
複数の該太陽電池パネル間に跨がって方位角調節用のドライブシャフトが水平方向に配設されており、
該ドライブシャフトで前記方位角調節用モータの駆動力が複数の該太陽電池パネルにそれぞれ該鉛直軸回りの駆動力として及ぼされることにより前記方位角調節用連動手段が構成されている
請求項10に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。
【請求項15】
前記ドライブシャフトには長さ方向の複数箇所に駆動ギアが装着されていると共に、鉛直方向に延びる前記太陽電池パネルの回転駆動軸には、該駆動ギアに常時噛合されて該ドライブシャフトの回転運動を直交する該太陽電池パネルの該回転駆動軸回りの回転運動に変換する被駆動ギアが装着されており、これら駆動ギアと被駆動ギアとにより回転方向が変換されて、該ドライブシャフトの長さ方向の複数箇所に装着された複数の該駆動ギアにより複数の該太陽電池パネルが同時に各該回転駆動軸回りに同期して回転運動せしめられて方位角が変更されるようになっている請求項14に記載の構造物内設置用太陽光発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−146967(P2012−146967A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−278954(P2011−278954)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【出願人】(593131910)株式会社セイオー技研 (4)
【Fターム(参考)】