説明

構造物用変位センサー及びそれを用いた構造物用変位計測システム

【課題】 高架橋構造物間に生じる目違いや角折れを計測することで列車軌道の健全性を迅速に評価する。
【解決手段】本発明に係る構造物用変位センサー3は、円筒状ケーシング5の端板17に被摺動部材10a,10b,10cを固着するとともに、該内面と向かい合う中空ピストン状部材6の端板15に摺動部材13aを固着し、円筒状ケーシング5の材軸に沿って進退自在に摺動部材13b,13cを配置して、摺動部材13bを、その基端14が中空ピストン状部材6の端板15に当接し、摺動部材13cを、その基端側に設けられた係止部材16が中空ピストン状部材6の端板15の背面で係止されるよう構成してなる。各摺動部材の先端に設けられた接点12a,12b,12bと各被摺動部材に設けられた電気抵抗素子11a,11b,11cは、それらの上を接点が摺動することで、3つのポテンショメータとして機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として橋梁の目違いや角折れを計測する際に用いられる構造物用変位センサー及びそれを用いた構造物用変位計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路用や鉄道用の高架橋は、鉄筋コンクリート(以下、RC)のラーメン架構で下部工を構築する場合が多く、大地震時においては、該RCラーメン架構を構成する柱の地震時挙動が高架橋全体の耐震性に大きく影響する。
【0003】
すなわち、大地震時においては、橋軸方向又はそれに直交する方向への柱の曲げ変形によって柱脚部あるいは柱頭部が塑性化し、それがコンクリートの剥離あるいは剥落を招いて曲げ変形がさらに進行するといった事態が懸念される。
【0004】
そのため、RCラーメン架構を構成する柱の曲げ変形を計測するセンサーやそれを用いたシステムが開発されており(特許文献1,2)、かかるセンサーによれば、地震を受けている間に柱がどれだけ曲げ変形したかを最大応答部材角として計測することができるとともに、この計測結果を利用すれば、例えば鋼板巻立てされていることで外部から目視が不可能な柱の場合であっても、その損傷状況、特に塑性化の進行状況を適切に把握することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−51676号公報
【特許文献2】特開2008−51675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、鉄道用の高架橋は、支持地盤の違いや地上の交通状況等に応じて、ラーメン高架橋、調整桁、架道橋といったさまざまな種類の高架橋構造物を組み合わせて構築されており、全体としては、相異なる複数の高架橋構造物が橋軸方向に沿って配列されたものとなる。
【0007】
そのため、鉄道用高架橋は、場所によって異なる地震時挙動を呈することになり、例えば橋軸方向に沿って離間配置された2つのラーメン高架橋が互いに異なる固有周期で橋軸直交方向に振動し、その結果、これら2つのラーメン高架橋の端部同士が不同変位を生じる場合がある。
【0008】
かかる不同変位のうち、橋軸直交方向に沿った相対変位は目違い、回転方向の相対変位は角折れと呼ばれているが、かかる目違いや角折れは、高架橋上部工のスラブに敷設された列車軌道に撓みや座屈を生じさせる原因となり、列車の走行安定性に大きな影響を及ぼす。
【0009】
しかしながら、従来においては、目違いや角折れを計測するシステムが構築されていないため、地震による列車軌道の撓みや座屈を作業員の目視観察によって確認せざるを得ず、その結果、列車運行の可否の判断が遅れ、列車の運転停止時間、いわゆるダウンタイムが長くなるという問題を生じていた。
【0010】
加えて、上述した目視観察では、地震後の軌道の撓みや座屈状況を確認することはできても、地震途中における変形の履歴を確認することはできないため、軌道の損傷状況を適切に把握することは困難であるという問題も生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、離間配置された2つの高架橋構造物間に生じる目違いや角折れを計測し、それによって列車軌道の健全性を迅速かつ効率的に評価することが可能な構造物用変位センサー及びそれを用いた構造物用変位計測システムを提供することを目的とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る構造物用変位センサーは請求項1に記載したように、離間配置された2つの高架橋構造物のうち、一方の高架橋構造物の端部に連結される固定側部材と、他方の高架橋構造物であって前記一方の高架橋構造物の端部に対向する端部に連結され前記固定側部材によって該固定側部材の材軸に沿った進退動作が案内される可動側部材と、前記固定側部材及び前記可動側部材のうち、一方の部材に固着された第1の被摺動部材と、他方の部材に固着され前記第1の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられた第1の摺動部材とを備えてなり、前記第1の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、その両端が第1のポテンショメータの固定端子として機能し、前記第1の摺動部材に設けられた接点は、前記第1のポテンショメータの可動端子として機能するようになっているものである。
【0013】
また、本発明に係る構造物用変位センサーは、前記固定側部材及び前記可動側部材のうち、一方の部材に固着された第2の被摺動部材と、該第2の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられ前記固定側部材の材軸に沿って進退自在に配置された第2の摺動部材と、前記固定側部材及び前記可動側部材のうち、一方の部材に固着された第3の被摺動部材と、該第3の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられ前記固定側部材の材軸に沿って進退自在に配置された第3の摺動部材とを備え、
前記第2の摺動部材は、前記固定側部材に対する前記可動側部材の所定方向移動に伴って前記固定側部材及び前記可動側部材のうちの他方の部材とともに移動し、反対方向移動に対しては前記他方の部材とともに移動することなく前記一方の部材に対する位置を保持するようになっており、
前記第3の摺動部材は、前記固定側部材に対する前記可動側部材の反対方向移動に伴って前記固定側部材及び前記可動側部材のうちの他方の部材とともに移動し、所定方向移動に対しては前記他方の部材とともに移動することなく前記一方の部材に対する位置を保持するようになっており、
前記第2の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、その両端が第2のポテンショメータの固定端子として機能し、前記第2の摺動部材に設けられた接点は、前記第2のポテンショメータの可動端子として機能し、
前記第3の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、その両端が第3のポテンショメータの固定端子として機能し、前記第3の摺動部材に設けられた接点は、前記第3のポテンショメータの可動端子として機能するようになっているものである。
【0014】
また、本発明に係る構造物用変位センサーは、前記第2の被摺動部材を前記固定側部材に固着するとともに前記第2の摺動部材をその基端側が前記可動側部材の端面に当接自在となるように構成し、前記第3の被摺動部材を前記固定側部材に固着するとともに前記第3の摺動部材をその基端側が前記可動側部材に挿通された状態で該可動側部材の背面で係止自在となるように構成したものである。
【0015】
また、本発明に係る構造物用変位計測システムは、請求項1記載の構造物用変位センサーと、該構造物用変位センサーに電気接続された変位計測部とを備え、該変位計測部は、前記第1のポテンショメータを構成する2つの固定端子間に基準電圧を印加した状態で可動端子と一方の固定端子との電圧を計測することにより、前記第1の摺動部材に設けられた接点の位置を求めることができるようになっているものである。
【0016】
また、本発明に係る構造物用変位計測システムは、請求項2又は請求項3記載の構造物用変位センサーと、該構造物用変位センサーに電気接続された変位計測部とを備え、該変位計測部は、前記第1のポテンショメータ、前記第2のポテンショメータ及び前記第3のポテンショメータをそれぞれ構成する2つの固定端子間に基準電圧を印加した状態で、前記第1のポテンショメータ、前記第2のポテンショメータ及び前記第3のポテンショメータをそれぞれ構成する可動端子と一方の固定端子との電圧を計測することにより、前記第1の摺動部材、前記第2の摺動部材及び前記第3の摺動部材のそれぞれに設けられた接点の位置を求めることができるようになっているものである。
【0017】
本実施形態に係る構造物用変位センサー及びそれを用いた構造物用変位計測システムを用いて高架橋構造物間に生じる相対変位を計測するにあたっては、構造物用変位センサーを構成する固定側部材を一方の高架橋構造物の端部に連結するとともに、該端部と対向する他方の高架橋構造物の端部に、同じく構造物用変位センサーを構成する可動側部材を連結しておく。
【0018】
このようにすると、地震による揺れによって2つの高架橋構造物に相対変位が生じたとき、かかる相対変位に伴い、可動側部材は、固定側部材に案内されつつ該固定側部材に対して進退するとともに、第1の摺動部材の先端に設けられた接点は、第1の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子上を摺動する。
【0019】
したがって、地震による揺れが収束したとき、電気抵抗素子に対する接点の位置を求めることによって、初期位置からの接点のずれを、高架橋構造物間に生じた目違いや角折れといった残留相対変位として評価することができるとともに、該残留相対変位から高架橋上部工のスラブに敷設された列車軌道の撓みや座屈といった変形状況を把握することも可能となり、かくして地震後における列車の走行安定性を迅速かつ適切に評価し、ひいては地震後の列車運行システムにおけるダウンタイムを大幅に短縮することが可能となる。
【0020】
上述した構造物用変位センサー(第1の発明)は、高架橋構造物間に生じる残留変位の計測のみを目的としたものであって、かかる計測により、列車運行システムのダウンタイムを大幅に短縮することができるが、列車軌道の健全性は、必ずしも軌道に生じた撓みや座屈といった変形状況でのみ評価できるとは限らず、地震継続中に軌道が受けた変形履歴、特にその最大変形量が重要な判断指標となることがある。
【0021】
かかる場合においては、第2の被摺動部材及び第2の摺動部材を用いた第2のポテンショメータと、第3の被摺動部材及び第3の摺動部材を用いた第3のポテンショメータをさらに備えることで、残留変位のみならず、正負両方向に沿った高架橋構造物間の最大相対変位を計測するようにすればよい(第2の発明)。
【0022】
すなわち、第2の発明に係る構造物用変位センサーにおいては、第2の被摺動部材を、固定側部材及び可動側部材のうち、一方の部材、例えば固定側部材に固着するとともに、該第2の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられた第2の摺動部材を固定側部材の材軸に沿って進退自在に配置し、該第2の摺動部材を、固定側部材に対する可動側部材の所定方向移動(以下、負方向移動と呼ぶ)に伴って、固定側部材及び可動側部材のうちの他方の部材、例えば可動側部材とともに移動し、反対方向移動(以下、正方向移動と呼ぶ)に対しては、例えば可動側部材とともに移動することなく固定側部材に対する位置を保持するように構成してある。
【0023】
また、第2の発明に係る構造物用変位センサーにおいては、第3の被摺動部材を、固定側部材及び可動側部材のうち、一方の部材、例えば固定側部材に固着するとともに、該第3の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられた第3の摺動部材を固定側部材の材軸に沿って進退自在に配置し、該第3の摺動部材を、正方向移動に伴って固定側部材及び可動側部材のうちの他方の部材、例えば可動側部材とともに移動し、負方向移動に対しては、例えば可動側部材とともに移動することなく固定側部材に対する位置を保持するように構成してある。
【0024】
このようにすると、第2の摺動部材は、可動側部材が固定側部材に対して負方向移動するときのみ、例えば可動側部材とともに移動するため、その先端に設けられた接点及び該接点が摺動する第2の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、該接点を可動端子、該電気抵抗素子の両端を固定端子とした第2のポテンショメータとして機能するとともに、負方向移動に沿った固定側部材に対する可動側部材の最大相対変位を計測するピークセンサーとなり、かくして2つの高架橋構造物間に生じた負側の最大相対変位を計測することが可能となる。
【0025】
同様に、第3の摺動部材は、可動側部材が固定側部材に対して正方向移動するときのみ、例えば可動側部材とともに移動するため、その先端に設けられた接点及び該接点が摺動する第3の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、該接点を可動端子、該電気抵抗素子の両端を固定端子とした第3のポテンショメータとして機能するとともに、正方向移動に沿った固定側部材に対する可動側部材の最大相対変位を計測するピークセンサーとなり、かくして2つの高架橋構造物間に生じた正側の最大相対変位を計測することが可能となる。
【0026】
第2の摺動部材は、固定側部材に対する可動側部材の負方向移動に伴って固定側部材及び可動側部材のうちの他方の部材とともに移動し、正方向移動に対しては他方の部材とともに移動することなく一方の部材に対する位置を保持するように構成される限り、その具体的な構成は任意であるが、第2の被摺動部材が固定側部材に固着される場合には、第2の摺動部材の基端側が可動側部材の端面に当接自在となるように構成することができる。
【0027】
また、第3の摺動部材は、固定側部材に対する可動側部材の正方向移動に伴って固定側部材及び可動側部材のうちの他方の部材とともに移動し、負方向移動に対しては他方の部材とともに移動することなく一方の部材に対する位置を保持するように構成される限り、その具体的な構成は任意であるが、第3の被摺動部材が固定側部材に固着される場合には、第3の摺動部材の基端側が可動側部材に挿通された状態で該可動側部材の背面で係止自在となるように構成することができる。
【0028】
上述した各発明に係る構造物用変位センサーで計測可能な自由度は、固定側部材の材軸に沿った自由度に限られるが、これらを複数台用意して適宜組み合わせれば、水平目違い、鉛直目違い、水平面内の角折れ、水平軸線廻りの角折れなどを含む高架橋構造物間のあらゆる相対変位を計測することが可能である。
【0029】
すなわち、三次元空間における剛体の相対移動を把握するには、一般的には直交3軸に沿った並進3自由度と該直交3軸廻りの回転3自由度、計6自由度の計測が必要になるが、本発明に係る構造物用変位センサーを、各自由度に応じて複数設置すれば、上述の6自由度をすべて計測することができる。
【0030】
例えば、橋軸に直交する水平方向の相対変位、すなわち水平目違いを計測したいのであれば、1台の構造物用変位センサーを、固定側部材の材軸が橋軸に直交する水平方向に平行になるように設置すればよいし、鉛直方向の相対変位、すなわち鉛直目違いを計測したいのであれば、やはり1台の構造物用変位センサーを、固定側部材の材軸が鉛直になるように設置すればよい。
【0031】
なお、本発明に係る構造物用変位センサーは、上述したように固定側部材の材軸に沿った並進方向の相対変位を計測するものであるため、相対回転角を計測するには、2台の構造物用変位センサーが必要となる。
【0032】
いずれにしろ、本発明に係る構造物用変位センサーは、上述した6自由度のうち、任意の自由度に関して残留相対変位や最大相対変位を計測することが可能であり、それぞれの場合における設置台数や配置形態については、無視し得る自由度あるいは計測不要な自由度を考慮しつつ、各自由度ごとに適宜決定すればよい。
【0033】
高架橋構造物には、ラーメン高架橋、調整桁及び桁橋が少なくとも含まれるものとし、離間配置された2つの高架橋構造物としては、ラーメン高架橋同士、ラーメン高架橋と調整桁、桁橋同士、ラーメン高架橋と桁橋、調整桁と桁橋の各組み合わせが少なくとも包摂される。なお、ラーメン高架橋同士の組み合わせはさらに、ラーメン高架橋の張出し部が互いに対向するタイプと、背割れタイプのものが含まれる。
【0034】
固定側部材及びそれに案内される可動側部材は、任意に構成することが可能であり、例えば円筒状ケーシングとその内部に嵌挿される中空ピストン状部材で構成することができる。
【0035】
第1の被摺動部材及び第1の摺動部材は、第1の被摺動部材を固定側部材に、第1の摺動部材を可動側部材にそれぞれ固着してもよいし、逆に、第1の被摺動部材を可動側部材に、第1の摺動部材を固定側部材にそれぞれ固着してもよい。また、第2の被摺動部材や第3の被摺動部材は、固定側部材と可動側部材のいずれに固着するようにしてもかまわない。
【0036】
第1のポテンショメータ、第2のポテンショメータ及び第3のポテンショメータは、いずれも地震が収束した後に、固定端子間に基準電圧を印加した状態で可動端子と固定端子間の電圧を計測できれば足りるものであり、常時通電しておく必要はない。
【0037】
ここで、第1の発明に係る構造物用変位センサーと、該構造物用変位センサーに電気接続された変位計測部とで構造物用変位計測システムを構築するとともに、該変位計測部を、第1のポテンショメータを構成する2つの固定端子間に基準電圧を印加した状態で可動端子と一方の固定端子との電圧を計測することにより、第1の摺動部材に設けられた接点の位置を求めることができるように構成したならば、必要に応じてネットワークを適宜構築することにより、高架橋構造物間に生じた残留変位を広域にわたってかつ瞬時に確認することができるとともに、それを用いて列車軌道の撓みや座屈といった変形状況を迅速に把握することも可能となり、かくして列車運行システムにおけるダウンタイムをさらに確実に短縮することが可能となる。
【0038】
また、第2の発明に係る構造物用変位センサーと、該構造物用変位センサーに電気接続された変位計測部とで構造物用変位計測システムを構成するとともに、該変位計測部を、第1のポテンショメータ、第2のポテンショメータ及び第3のポテンショメータをそれぞれ構成する2つの固定端子間に基準電圧を印加した状態で、第1のポテンショメータ、第2のポテンショメータ及び第3のポテンショメータをそれぞれ構成する可動端子と一方の固定端子との電圧を計測することにより、第1の摺動部材、第2の摺動部材及び第3の摺動部材のそれぞれに設けられた接点の位置を求めることができるように構成したならば、必要に応じてネットワークを適宜構築することにより、高架橋構造物間に生じた残留変位や最大変位を広域にわたってかつ瞬時に確認することができるとともに、それを用いて列車軌道の撓みや座屈といった変形状況や列車軌道の損傷状況を迅速に把握することも可能となり、かくして列車運行システムにおけるダウンタイムをさらに確実に短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態に係る構造物用変位計測システムのブロック図。
【図2】本実施形態に係る構造物用変位センサーの図であり、(a)は全体配置図、(b)は設置状況を示す平面図。
【図3】本実施形態に係る構造物用変位センサーを詳細に示した縦断面図。
【図4】地震収束後における構造物用変位センサー3を示した縦断面図。
【図5】水平目違いδHが観測された場合の列車軌道の撓み状況を示した平面図。
【図6】変形例に係る図であり、(a)は構造物用変位センサーの詳細断面図、(b)はそれを用いた構造物用変位計測システムのブロック図。
【図7】他の自由度を計測する様子を示した図であり、(a)は鉛直目違いを計測する様子を示した側面図、(b)は水平面内の角折れを計測する様子を示した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る構造物用変位センサー及びそれを用いた構造物用変位計測システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図1は、本実施形態に係る構造物用変位計測システム1を示したブロック図、図2はそれに用いられる構造物用変位センサー3の配置図及び概要図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る構造物用変位計測システム1は、高架橋構造物2a,2b,2c,2d,2eのうち、隣り合う位置で離間配置された2つの高架橋構造物の間にそれぞれ設置された構造物用変位センサー3と、該構造物用変位センサーに電気接続された変位計測部4とで構成してある。
【0042】
高架橋構造物2a,2b,2c,2d,2eは共通の橋軸に沿って連続配置してあり、高架橋構造物2aは、図2(a)で言えば右側に張出し部を有するラーメン高架橋、高架橋構造物2bは、同じく左側に張出し部を有するラーメン高架橋、高架橋構造物2cは調整桁、高架橋構造物2dは、右側に張出し部を有するラーメン高架橋、高架橋構造物2eは、左側に張出し部を有するラーメン高架橋であり、調整桁である高架橋構造物2cは、ラーメン高架橋2b,2dの間に架け渡してある。
【0043】
構造物用変位センサー3は、高架橋構造物2a,2bの対向端部を跨ぐように設置してあるとともに、高架橋構造物2b,2cの対向端部、高架橋構造物2c,2dの対向端部、高架橋構造物2d,2eの対向端部を跨ぐようにそれぞれ設置してある。
【0044】
構造物用変位センサー3は図2(b)に示すように、円筒状ケーシング5と該円筒状ケーシングの内部に嵌挿された可動側部材としての中空ピストン状部材6とをそれぞれ備え、円筒状ケーシング5を一方の高架橋構造物としての高架橋構造物2b,2c,2d,2dの端部にそれぞれ連結するとともに、該端部に対向する高架橋構造物2a,2b,2c,2dの端部を他方の高架橋構造物の端部とし、かかる高架橋構造物2a,2b,2c,2dの端部に中空ピストン状部材6を連結部材8を介してそれぞれ連結してある。
【0045】
中空ピストン状部材6は中空円筒体で形成してあるとともに、円筒状ケーシング5は、その材軸に沿った中空ピストン状部材6の進退動作を案内する固定側部材として機能するよう、中空ピストン状部材6の外径より若干大きな内径を有する有底の中空円筒体で形成してある。
【0046】
図3は、構造物用変位センサー3の詳細を示した縦断面図である。同図でわかるように、円筒状ケーシング5には、これを一方の部材として該円筒状ケーシングを構成する端板17の内面に第1の被摺動部材としての被摺動部材10aを固着してあるとともに、円筒状ケーシング5の端板17の内面と向かい合う中空ピストン状部材6の端板15の対向面には、該中空ピストン状部材を他方の部材として、第1の摺動部材としての摺動部材13aを固着してあり、これら被摺動部材10a及び摺動部材13aは、摺動部材13aの先端に設けられた接点12aが被摺動部材10aに設けられた電気抵抗素子11aの上を摺動自在となるように位置決めしてある。
【0047】
ここで、電気抵抗素子11aは、その両端が第1のポテンショメータの固定端子として機能し、摺動部材13aに設けられた接点12aは、該第1のポテンショメータの可動端子として機能する。
【0048】
また、円筒状ケーシング5の端板17の内面には、第2の被摺動部材としての被摺動部材10bを固着してあるとともに、第2の摺動部材としての摺動部材13bを、円筒状ケーシング5の材軸に沿って進退動作が可能となるよう、端板17の内面とそれに向かい合う中空ピストン状部材6の端板15の対向面との間に配置してある。
【0049】
摺動部材13bは、その基端14が中空ピストン状部材6の端板15の対向面に当接自在となるように構成してあり、かかる構成により、摺動部材13bは、円筒状ケーシング5に対する中空ピストン状部材6の負方向移動(同図では右方向)に伴い、該中空ピストン状部材に押し込まれるようにして中空ピストン状部材6とともに移動し、正方向移動(同図では左方向)に対しては、中空ピストン状部材6から離れて円筒状ケーシング5に対する位置を保持するようになっている。
【0050】
ここで、被摺動部材10b及び摺動部材13bは、摺動部材13bの先端に設けられた接点12bが被摺動部材10bに設けられた電気抵抗素子11bの上を摺動自在となるように位置決めしてあり、電気抵抗素子11bは、その両端が第2のポテンショメータの固定端子として機能し、摺動部材13bに設けられた接点12bは、該第2のポテンショメータの可動端子として機能する。
【0051】
また、円筒状ケーシング5の端板17の内面には、第3の被摺動部材としての被摺動部材10cを固着してあるとともに、第3の摺動部材としての摺動部材13cを、円筒状ケーシング5の材軸に沿って進退動作が可能となるように配置してある。
【0052】
摺動部材13cは、その基端側に設けられた係止部材16が中空ピストン状部材6の端板15の背面で係止されるようになっており、かかる構成により、摺動部材13cは、円筒状ケーシング5に対する中空ピストン状部材6の正方向移動に伴い、該中空ピストン状部材に引っ張られるようにして中空ピストン状部材6とともに移動し、負方向移動に対しては、中空ピストン状部材6の動きに追従せず、円筒状ケーシング5に対する位置を保持するようになっている。
【0053】
ここで、被摺動部材10c及び摺動部材13cは、摺動部材13cの先端に設けられた接点12cが被摺動部材10cに設けられた電気抵抗素子11cの上を摺動自在となるように位置決めしてあり、電気抵抗素子11cは、その両端が第3のポテンショメータの固定端子として機能し、摺動部材13cに設けられた接点12cは、該第3のポテンショメータの可動端子として機能する。
【0054】
変位計測部4は、電気抵抗素子11aの両端に設けられた2つの固定端子間に基準電圧を印加した状態で可動端子である接点12aと一方の固定端子との電圧を計測することで、電気抵抗素子11aに対する接点12aの位置を計測するとともに、その計測された位置と初期位置との関係から円筒状ケーシング5に対する地震収束後の中空ピストン状部材6の相対変位を残留変位として算出するようになっている。
【0055】
また、変位計測部4は、電気抵抗素子11bの両端に設けられた2つの固定端子間に基準電圧を印加した状態で可動端子である接点12bと一方の固定端子との電圧を計測することで、電気抵抗素子11bに対する接点12bの位置を計測するとともに、その計測された位置と初期位置との関係から円筒状ケーシング5に対する中空ピストン状部材6の相対変位を負方向最大相対変位として算出するようになっている。
【0056】
同様に、変位計測部4は、電気抵抗素子11cの両端に設けられた2つの固定端子間に基準電圧を印加した状態で可動端子である接点12cと一方の固定端子との電圧を計測することで、電気抵抗素子11cに対する接点12cの位置を計測するとともに、その計測された位置と初期位置との関係から円筒状ケーシング5に対する中空ピストン状部材6の相対変位を正方向最大相対変位として算出するようになっている。
【0057】
変位計測部4は、例えば無線ネットワークを介して、遠隔地に設置されたコンピュータ(図示せず)から制御自在に構成するとともに、該コンピュータに随時データを転送するように構成することが可能である。
【0058】
本実施形態に係る構造物用変位センサー3及びそれらを用いた構造物用変位計測システム1においては、まず、構造物用変位センサー3を図2(a)のように高架橋構造物2a,2b間、高架橋構造物2b,2c間、高架橋構造物2c,2d間及び高架橋構造物2d,2e間にそれぞれ配置するとともに、各構造物用変位センサー3の摺動部材13a,13b,13cを中立位置にリセットしておく。
【0059】
次に、地震が到来したとき、その収束を待って、接点12a,12b,12cの位置を構造物用変位センサー3ごとに計測するとともに、該計測値を用いて初期位置からの相対変位を算出する。かかる計測及び算出は、変位計測部4で行う。
【0060】
図4は、地震収束後の構造物用変位センサー3の状況を一例として示したものである。同図の例では、中空ピストン状部材6が初期位置から左方向にずれていることからもわかる通り、正方向に残留変位が発生しており、かかる残留変位は、摺動部材13aの先端に設けられた接点12aの位置から求めることができる。また、係止部材16がさらにその左方向にずれたところで止まっていることからもわかる通り、比較的大きな正方向最大相対変位が発生しており、かかる正方向の最大相対変位は、摺動部材13cの先端に設けられた接点12cの位置から求めることができる。また、負方向の最大相対変位は、摺動部材13bの先端に設けられた接点12bの位置から求めることができる。
【0061】
図5は、構造物用変位センサー3により、高架橋構造物2a,2b間で残留変位である水平目違いδHが観測された場合の列車軌道51の変形状況を示したものである。
【0062】
水平目違いδHによる列車軌道51の変形状況は、主として列車が脱線することなく安定して走行できるかどうかの指標として可能である。また、水平目違いδHという形で最終的に残留しなくても、地震継続中に大きな変形をしていれば、目に見えない形で損傷を受けている懸念があるが、上述した正負両方向の最大相対変位を用いることにより、列車軌道51自体の損傷のみならず、該列車軌道を支持するバラストの崩れや、スラブ板の固定モルタルの損傷を推定することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る構造物用変位センサー3及びそれらを用いた構造物用変位計測システム1によれば、地震による揺れによって、2つの高架橋構造物2a,2b、高架橋構造物2b,2c、高架橋構造物2c,2d、高架橋構造物2d,2eに相対変位が生じたとき、かかる相対変位に伴い、中空ピストン状部材6は、円筒状ケーシング5に案内されつつ該円筒状ケーシングの材軸に沿って進退するとともに、摺動部材13a,13b,13cの先端に設けられた接点12a,12b,12cは、被摺動部材10a,10b,10cに設けられた電気抵抗素子11a,11b,11c上をそれぞれ摺動するが、摺動部材13aは、その基端を中空ピストン状部材6に固着してあるため、中空ピストン状部材6の動きに追従し、摺動部材13bは、その基端側で中空ピストン状部材6に当接するようになっているため、正方向への移動が制限され、摺動部材13cは、その基端側で中空ピストン状部材6の端板15の背面側に係止されるため、負方向への移動が制限される。
【0064】
したがって、地震による揺れが収束したとき、電気抵抗素子11aに対する接点12aの位置を変位計測部4で計測することにより、初期位置からの接点12aのずれを、高架橋構造物間に生じた残留相対変位として求めることができるとともに、該残留相対変位から高架橋上部工のスラブに敷設された列車軌道の残留変形を推定することも可能となり、かくして地震後における列車の走行安定性を迅速かつ適切に評価し、ひいては地震後の列車運行システムにおけるダウンタイムを大幅に短縮することが可能となる。
【0065】
また、電気抵抗素子11b,11cに対する接点12b,12cの位置を変位計測部4でそれぞれ計測することにより、初期位置からの接点12b,12cのずれを、高架橋構造物間に生じた負方向及び正方向の最大相対変位としてそれぞれ求めることができるとともに、該正負の最大相対変位から高架橋上部工のスラブに敷設された列車軌道の最大変形量を推定することも可能となり、上述した残留変形と併せて、列車軌道の健全性をさらに適切に判断することができる。
【0066】
本実施形態では特に言及しなかったが、正負方向の最大相対変位を計測する必要がないのであれば、第2のポテンショメータ及び第3のポテンショメータを省略してもかまわない。
【0067】
図6は、変形例に係る構造物用変位センサー61及びそれを用いた構造物用変位計測システム62を示したものであり、構造物用変位センサー3と同様、円筒状ケーシング5と該円筒状ケーシングの内部に嵌挿された可動側部材としての中空ピストン状部材6とをそれぞれ備え、円筒状ケーシング5には、これを一方の部材として該円筒状ケーシングを構成する端板17の内面に第1の被摺動部材としての被摺動部材10aを固着してあるとともに、円筒状ケーシング5の端板17の内面と向かい合う中空ピストン状部材6の端板15の対向面には、該中空ピストン状部材を他方の部材として、第1の摺動部材としての摺動部材13aを固着してあり、これら被摺動部材10a及び摺動部材13aは、摺動部材13aの先端に設けられた接点12aが被摺動部材10aに設けられた電気抵抗素子11aの上を摺動自在となるように位置決めしてあるとともに、構造物用変位センサー61を変位計測部4に電気接続することで、構造物用変位計測システム62を構築してある。
【0068】
かかる構成においては、正負方向の最大相対変位を計測することができないものの、残留変位については上述と同様の作用効果を奏するものであり、列車軌道の健全性を残留変形のみで判断可能である場合には、比較的安価なコストで地震収束後の被災状況を広い範囲にわたって瞬時に把握することができる。なお、本変形例に係る作用効果については、残留変位に関する限り、上述の実施形態と同様であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0069】
また、本実施形態及び上述した変形例では、4つの構造物用変位センサー3、あるいは4つの構造物用変位センサー61を一つの変位計測部4に電気接続するようにしたが、これに代えて、各構造物用変位センサー3ごと、あるいは各構造物用変位センサー61ごとに変位計測部4を個別に備えるようにしてもかまわない。
【0070】
また、本実施形態及び上述した変形例では、全体として一つの高架橋を構成する高架橋構造物2a,2b,2c,2d,2eに本発明を適用した例を説明したが、本発明はかかる構成に限定されるものではなく、複数の高架橋を対象とし、該高架橋にそれぞれ属する高架橋構造物に適用してもかまわない。かかる構成によれば、列車軌道に対する地震被害をさらに広い範囲で把握することが可能となる。
【0071】
一方、一つの高架橋に属する全ての高架橋構造物2a,2b,2c,2d,2e間に構造物用変位センサー3や構造物用変位センサー61をそれぞれ設ける必要はなく、水平目違いが生じる可能性が高い箇所に限定して構造物用変位センサー3や構造物用変位センサー61を設置するようにしてもかまわない。例えば、張出し部を有する高架橋同士では比較的水平目違いが生じやすいため、高架橋構造物2a,2b間と高架橋構造物2d,2e間だけに水平目違いを計測するための構造物用変位センサー3や構造物用変位センサー61を設置するようにしてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、高架橋構造物間の水平目違いを計測対象としたが、上述の構造物用変位センサー3や構造物用変位センサー61は、任意の自由度に対して計測可能である。
【0073】
例えば図7(a)に示すように、円筒状ケーシング5の材軸が鉛直方向と平行になるように該円筒状ケーシングを高架橋構造物2bの側面に固着するとともに、該円筒状ケーシング内を進退する中空ピストン状部材6を連結ロッド8を介して他方の高架橋構造物2aに固着するようにすれば、高架橋構造物2a,2b間の鉛直目違いδVを計測することができる。
【0074】
また、高架橋構造物2bと調整桁である高架橋構造物2cとの間、あるいは高架橋構造物2cと高架橋構造物2dとの間では、橋軸直交方向の水平目違いよりも鉛直軸線廻りの相対回転変位、すなわち水平面内の角折れが卓越しやすいが、このような水平面内の角折れは図7(b)に示すように、高架橋構造物2c上の相異なる2点において直交2方向の相対変位δAH1AH2及びδBH1BH2をそれぞれ計測することで、角折れ状況を把握することができる。
【0075】
また、本実施形態や上述した変形例では特に言及しなかったが、構造物用変位センサー3や構造物用変位センサー61にそれらの円筒状ケーシング5の材軸に沿った方向以外の外力が加わると損傷を来すおそれがある。
【0076】
そのため、必要に応じて、ピン要素やスライダー要素を連結部材8に適宜組み込み、あるいは中空ピストン状部材6との連結箇所や高架橋構造物との連結箇所に同様のピン要素やスライダー要素を適宜組み込めばよい。
【符号の説明】
【0077】
1,62 構造物用変位計測システム
2a,2b,2c,2d,2e
高架橋構造物
3,61 構造物用変位センサー
4 変位計測部
5 円筒状ケーシング(固定側部材)
6 中空ピストン状部材(可動側部材)
10a,10b,10c 被摺動部材
11a,11b,11c 電気抵抗素子
12a,12b,12c 接点
13a,13b,13c 摺動部材
16 係止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離間配置された2つの高架橋構造物のうち、一方の高架橋構造物の端部に連結される固定側部材と、他方の高架橋構造物であって前記一方の高架橋構造物の端部に対向する端部に連結され前記固定側部材によって該固定側部材の材軸に沿った進退動作が案内される可動側部材と、前記固定側部材及び前記可動側部材のうち、一方の部材に固着された第1の被摺動部材と、他方の部材に固着され前記第1の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられた第1の摺動部材とを備えてなり、前記第1の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、その両端が第1のポテンショメータの固定端子として機能し、前記第1の摺動部材に設けられた接点は、前記第1のポテンショメータの可動端子として機能するようになっていることを特徴とする構造物用変位センサー。
【請求項2】
前記固定側部材及び前記可動側部材のうち、一方の部材に固着された第2の被摺動部材と、該第2の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられ前記固定側部材の材軸に沿って進退自在に配置された第2の摺動部材と、前記固定側部材及び前記可動側部材のうち、一方の部材に固着された第3の被摺動部材と、該第3の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられ前記固定側部材の材軸に沿って進退自在に配置された第3の摺動部材とを備え、
前記第2の摺動部材は、前記固定側部材に対する前記可動側部材の所定方向移動に伴って前記固定側部材及び前記可動側部材のうちの他方の部材とともに移動し、反対方向移動に対しては前記他方の部材とともに移動することなく前記一方の部材に対する位置を保持するようになっており、
前記第3の摺動部材は、前記固定側部材に対する前記可動側部材の反対方向移動に伴って前記固定側部材及び前記可動側部材のうちの他方の部材とともに移動し、所定方向移動に対しては前記他方の部材とともに移動することなく前記一方の部材に対する位置を保持するようになっており、
前記第2の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、その両端が第2のポテンショメータの固定端子として機能し、前記第2の摺動部材に設けられた接点は、前記第2のポテンショメータの可動端子として機能し、
前記第3の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、その両端が第3のポテンショメータの固定端子として機能し、前記第3の摺動部材に設けられた接点は、前記第3のポテンショメータの可動端子として機能するようになっている請求項1記載の構造物用変位センサー。
【請求項3】
前記第2の被摺動部材を前記固定側部材に固着するとともに前記第2の摺動部材をその基端側が前記可動側部材の端面に当接自在となるように構成し、前記第3の被摺動部材を前記固定側部材に固着するとともに前記第3の摺動部材をその基端側が前記可動側部材に挿通された状態で該可動側部材の背面で係止自在となるように構成した請求項2記載の構造物用変位センサー。
【請求項4】
請求項1記載の構造物用変位センサーと、該構造物用変位センサーに電気接続された変位計測部とを備え、該変位計測部は、前記第1のポテンショメータを構成する2つの固定端子間に基準電圧を印加した状態で可動端子と一方の固定端子との電圧を計測することにより、前記第1の摺動部材に設けられた接点の位置を求めることができるようになっていることを特徴とする構造物用変位計測システム。
【請求項5】
請求項2又は請求項3記載の構造物用変位センサーと、該構造物用変位センサーに電気接続された変位計測部とを備え、該変位計測部は、前記第1のポテンショメータ、前記第2のポテンショメータ及び前記第3のポテンショメータをそれぞれ構成する2つの固定端子間に基準電圧を印加した状態で、前記第1のポテンショメータ、前記第2のポテンショメータ及び前記第3のポテンショメータをそれぞれ構成する可動端子と一方の固定端子との電圧を計測することにより、前記第1の摺動部材、前記第2の摺動部材及び前記第3の摺動部材のそれぞれに設けられた接点の位置を求めることができるようになっていることを特徴とする構造物用変位計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−191155(P2011−191155A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56969(P2010−56969)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】