説明

構造用継手部材及びその製造方法

【課題】構造用継手部材の一部位を起点として枝分かれする複数の閉じた突出部を有し、かつ、複数の閉じた突出部の突出高さを、所望の高さ、例えば他部品を溶接等で連結するのに必要な高さを確保できる構造用継手部材を提供することを目的とする。
【解決手段】中空の主管部の外周面に少なくとも2つの閉じた突出部が一体成形されており、前記2つの閉じた突出部は、前記主管部の主軸まわりに45度以上135度未満の角度をなして配置され、前記2つの閉じた突出部の各端面の前記主管部への投影面である交差面のいずれもが、該交差面の一部分のみで、前記主管部の主軸に対して垂直な面を互いに共有し、前記交差面の一部分の面積が、前記交差面それぞれの面積に対して30%以上90%以下であり、かつ、前記2つの閉じた突出部それぞれの突出高さが0.3D以上であることを特徴とする(Dは、前記構造用継手部材の成形前の素管外径)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空の主管部の外周面に複数の突出部が一体成形された構造用継手部材に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保全の問題から構造部材の軽量化が求められている。構造部材の中でも、輸送機器用、特に、自動車用の構造部材は、燃費の向上、排ガス及び二酸化炭素排出量の低減等、軽量化の効果が非常に大きいことから、自動車用の構造部材の軽量化が強く求められている。
【0003】
構造部材の軽量化は、構造部材の材質を高強度化し、構造部材を薄肉化することで達成することができる。構造部材の薄肉化に伴い、構造部材が破壊されること、即ち、構造部材の塑性変形や疲労破壊については、薄肉化で低下した強度不足を、構造部材の材質高強度化で補うことができる。しかしながら、構造部材が撓ること、即ち、構造部材の弾性変形については、薄肉化で低下した剛性不足を、構造部材の材質高強度化で補うことはできない。
【0004】
特に、自動車用の構造部材の場合、構造部材の材質を高強度化し、構造部材全体の強度を薄肉化前と同じにしても、薄肉化された構造部材全体の幾何学的構造が薄肉化前と同じで、薄肉化された構造部材全体の剛性が低下していると、騒音や振動が発生する原因となる。
【0005】
また、自動車用の構造部材の中でも、車体用部材や足回り部材等を薄肉化して剛性が低下した場合、操縦安定性が低下するといった問題もある。
【0006】
したがって、構造体全体として、剛性を低下させることなく強度を向上させるには、構造体全体を構成する構造部材の高強度化とともに、構造体全体の幾何学的構造を変更して、構造体全体の剛性を低下させないようにする必要がある。
【0007】
構造部材を薄肉化しても、構造部材で構成される構造体全体の剛性を低下させない方法として、結合部材の剛性向上、特に中空構造の継手部材を用いることが有効である。
【0008】
中空構造を有する構造部材を得る金属加工方法としては、鋳造、板材の溶接、ハイドロフォーム等がある。
【0009】
鋳造は、他の金属加工方法と比べて薄肉化することが難しい。また、鋳造用合金は、鉄系合金、軽合金のいずれの場合にも、流動性を確保するための元素を添加するため、鋼板材料や軽合金の展伸材・押出材と比較して、材料そのものを高強度化することが難しい。そして、薄肉化することができるダイカストは、中空形状の構造部材を得ることが難しい。
【0010】
また、板材を溶接して構造部材を製造する場合、構造部材の形状自由度は大きいが、構造部材を中空形状にする場合には、溶接長が長くなり、生産性に劣るという問題がある。
【0011】
そこで、ハイドロフォームで成形した構造用継手部材を溶接して構造体全体、例えば、自動車の車体やシャシーを形成することが有効である。
【0012】
特許文献1及び非特許文献1には、素管をハイドロフォームで成形し、主管部に対して複数の突出部を有するハイドロフォーム成形体が開示されている。
【0013】
また、特許文献2には、予め多角形に押し出されたアルミニウム又はその合金からなる中空形材を素材とし、この多角中空形材にバルジ加工により2つの膨出部が形成された継手部材用多角形管のバルジ成形品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特公昭58−167033号公報
【特許文献2】実開平5−84420号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】チューブフォーミング −管材の二次加工と製品設計−、社団法人塑性加工学会、コロナ社(1992)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1に開示されたハイドロフォーム成形体は、主管部に対して2つの突出部を有しているが、2つの突出部それぞれが離れて配置されており、ハイドロフォーム成形体中の一部位を起点として枝分かれする構造体を形成することができないという問題がある。
【0017】
非特許文献1に記載されたハイドロフォーム成形体は、主管部に対して2つの突出部を有し、かつ、2つの突出部の配置位置が近く、ハイドロフォーム成形体中の一部位を起点として枝分かれする構造を有している。
【0018】
しかしながら、非特許文献1に記載されたハイドロフォーム成形体は、2つの突出部それぞれの突出高さが短いため、突出部の先端に他部品を溶接等で連結することができず、継手部材として使用することができない。
【0019】
特許文献2に記載されたバルジ成形品は、中空六角形断面を有するアルミニウム押出形材が2つの膨出部を有し、かつ、2つの膨出部が同じ形状でアルミニウム押出形材の長手方向に対する位置が同じである構造を有している。
【0020】
しかしながら、特許文献2に記載された継手部材用多角形管のバルジ成形品では、2つの膨出部が同じ形状でアルミニウム押出形材の長手方向に対する位置が同じであるため、バルジ成形の際に膨出部の突出高さを確保しにくく、所望の突出高さにすることができない。
【0021】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、構造用継手部材の一部位を起点として枝分かれする複数の閉じた突出部を有し、かつ、複数の閉じた突出部の突出高さを、所望の高さ、例えば他部品を溶接等で連結するのに必要な高さを確保できる構造用継手部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の要旨は次の通りである。
(1)中空の主管部と、前記主管部の外周面に一体成形された少なくとも2つの閉じた突出部とを備え、前記2つの閉じた突出部は、前記主管部の主軸まわりに45度以上135度未満の角度をなして配置され、前記2つの閉じた突出部の各端面の前記主管部への投影面である交差面のいずれもが、該交差面の一部分のみで、前記主管部の主軸に対して垂直な面を互いに共有し、前記交差面の一部分の面積が、前記交差面それぞれの面積に対して30%以上90%以下であり、かつ、前記2つの閉じた突出部それぞれの突出高さが0.3D以上であることを特徴とする構造用継手部材。ここで、Dは、前記構造用継手部材の成形前の素管外径である。
(2)前記主管部の外周面に一体成形された他の閉じた突出部を備え、前記2つの閉じた突出部及び前記他の閉じた突出部の各端面の前記主管部への投影面である交差面のいずれもが、該交差面の一部分のみで、前記主管部の主軸に対して垂直な面を互いに共有することを特徴とする(1)に記載の構造用継手部材。
(3)素管をハイドロフォーム成形することにより、前記主管部及び前記2つの閉じた突出部が形成されることを特徴とする(1)に記載の構造用継手部材。
(4)前記2つの閉じた突出部それぞれの突出高さが0.8D以下であることを特徴とする(1)に記載の構造用継手部材。
(5)前記素管の引張強さが340MPa以上850MPa以下であることを特徴とする(1)に記載の構造用継手部材。
(6)前記主管部には、前記2つの閉じた突出部同士を連続して繋ぐ継合曲面又は継合斜平面が設けられていることを特徴とする(1)に記載の構造用継手部材。
(7)前記継合曲面又は前記継合斜平面が、前記主管部の管端部に向かって面積が小さくなる徐変部を有することを特徴とする(6)に記載の構造用継手部材。
(8)前記徐変部の長さが、前記主管部の主軸に平行な方向で、0.2D以上2.0D以下であることを特徴とする(7)に記載の構造用継手部材。
(9)前記継合曲面又は前記継合斜平面には、前記主管部の内側に凸となる周方向リブが設けられていることを特徴とする(6)に記載の構造用継手部材。
(10)前記継合曲面又は前記継合斜平面には、前記主管部の外側に凸となる周方向リブが設けられていることを特徴とする(6)に記載の構造用継手部材。
(11)前記2つの閉じた突出部のうち少なくともいずれかの閉じた突出部が、周方向の少なくとも一部に、溶接座面突条部を有することを特徴とする(1)に記載の構造用継手部材。
(12)前記2つの閉じた突出部のうち少なくともいずれかの閉じた突出部が、周方向に、板ばね状溶接座面部を、少なくとも1つ有することを特徴とする(1)に記載の構造用継手部材。
(13)前記構造用継手部材が、自動車構造用継手部材であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれか1つに記載の構造用継手部材。
(14)(1)〜(13)のいずれか1つに記載の構造用継手部材の前記閉じた突出部のうち少なくとも一つの閉じた突出部の端面の少なくとも一部を開口して溶接代を形成することを特徴とする構造用継手部材の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、構造用継手部材の一部位を起点として枝分かれする複数の閉じた突出部を有し、かつ、複数の閉じた突出部の突出高さを、所望の高さ、例えば他部品を溶接等で連結するのに必要な高さを確保できる構造用継手部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る自動車シャシー用継手を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のI−I線に沿う断面図である。
【図3】図3は、図1のII−II線に沿う断面図である。
【図4】図4は、図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図5】図5は、2つの交差面のいずれもが、主管部の主軸に対して垂直な面を全く共有しないハイドロフォーム成形体を示す斜視図である。
【図6】図6は、2つの交差面のいずれもが、それぞれの交差面の全面で、主管部の主軸に対して垂直な面を互いに共有するハイドロフォーム成形体を示す斜視図である。
【図7】図7は、2つの交差面のうち一方の交差面の一部分と、他方の交差面の全面で、主管部の主軸に対して垂直な面を互いに共有するハイドロフォーム成形体を示す斜視図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係る三枝自動車シャシー用継手を示す斜視図である。
【図9A】図9Aは、第3の実施形態に係る自動車ドア周り用継手を示す斜視図である。
【図9B】図9Bは、図9AのIV−IV線に沿う断面図である。
【図10】図10は、第4の実施形態に係る自動車シャシー用継手を示す斜視図である。
【図11】図11は、図10のV−V線に沿う断面図である。
【図12】図12は、図10のVI−VI線に沿う断面図である。
【図13】図13は、図10のVII−VII線に沿う断面図である。
【図14】図14は、第4の実施形態に係る自動車シャシー用継手に設けた継合曲面及び徐変部を説明する図である。
【図15A】図15Aは、図14のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図15B】図15Bは、図14のIX−IX線に沿う断面図である。
【図15C】図15Cは、図14のX−X線に沿う断面図である。
【図15D】図15Dは、図14のXI−XI線に沿う断面図である。
【図16】図16は、第5の実施形態に係る自動車シャシー用継手を示す斜視図である。
【図17A】図17Aは、図16のXII−XII線に沿う断面図である。
【図17B】図17Bは、図16のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図17C】図17Cは、図16のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【図18】図18は、第6の実施形態に係る自動車シャシー用継手を示す斜視図である。
【図19A】図19Aは、図18のXV−XV線に沿う断面図である。
【図19B】図19Bは、図18のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【図19C】図19Cは、図18のXVII−XVII線に沿う断面図である。
【図20A】図20Aは、突出部の交差面と別の突出部の交差面とで、主管部の主軸に対して垂直な面を互いに共有しない領域で設けた継合曲面に、周方向リブを設けた例を示す図である。
【図20B】図20Bは、突出部の交差面と別の突出部の交差面とで、主管部の主軸に対して垂直な面を互いに共有しない領域で設けた継合曲面に、周方向リブを設けた例を示す図である。
【図21】図21は、第7の実施形態に係る自動車シャシー用継手を示す斜視図である。
【図22A】図22Aは、図21のXVIII−XVIII線に沿う断面図である。
【図22B】図22Bは、図21のXIX−XIX線に沿う断面図である。
【図22C】図22Cは、図21のXX−XX線に沿う断面図である。
【図23】図23は、第8の実施形態に係る自動車シャシー用継手を示す斜視図である。
【図24A】図24Aは、図23のXXI−XXI線に沿う断面図である。
【図24B】図24Bは、図23のXXII−XXII線に沿う断面図である。
【図25】図25は、第9の実施形態に係る自動車シャシー用継手を示す斜視図である。
【図26】図26は、図25のXXIII−XXIII線に沿う断面図である。
【図27】図27は、第9の実施形態の変形例に係る自動車シャシー用継手を示す斜視図である。
【図28】図28は、第9の実施形態の変形例に係る自動車シャシー用継手を示す斜視図である。
【図29】図29は、図28のXXIV−XXIV線に沿う断面図である。
【図30】図30は、第10の実施形態に係る自動車シャシー用継手を示す斜視図である。
【図31】図31は、第10の実施形態の変形例に係る自動車シャシー用継手を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明者は、ハイドロフォーム成形する前の素管の厚さと材質、突出部の位置及び数を種々変更してハイドロフォーム成形体を製作し、ハイドロフォーム成形で形成された複数の突出部の突出高さを調査して、構造用ハイドロフォーム継手部材として使用することができるハイドロフォーム成形体について鋭意検討を重ねた。
【0026】
その結果、複数の突出部それぞれの所定範囲の一部領域で、主管部の主軸に対して垂直な面を互いに共有するとき、突出部それぞれの突出高さが、連結される相手部品との取り合いに必要な所定の長さ以上となることを知見した。
【0027】
また、突出部それぞれを繋ぐ主管部の形状により、ハイドロフォーム成形体全体の剛性を向上させることができ、また、突出部の端部及び端面の形状により、突出部に溶接される相手部品との溶接性を向上させることができることを併せて知見した。
【0028】
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係る構造用ハイドロフォーム継手部材である自動車シャシー用継手を示す斜視図である。図1中、符号10は自動車シャシー用継手(以下、「シャシー用継手」という。)を示す。シャシー用継手10は、中空の主管部20と、主管部20に集合する突出部30a、30bとを有する。
【0029】
シャシー用継手10は、肉厚:2.3mm、外径:114.3mm、長さ:1500mmの素管をハイドロフォーム成形して得られる。
【0030】
素管の材質は、引張強さが390MPa級(全伸び:34%)の鋼材としている。ただし、これに限定されるものではない。シャシー用継手10は、中空構造であるため、薄肉化しても剛性低下が少ないことから、素管の材質は、引張強さが340MPa以上850MPa以下級の高張力鋼とすることが好ましい。素管の引張強さが340MPa未満であると、ハイドロフォーム成形後のシャシー用継手の強度を確保するために、素管の肉厚を厚くする必要が生じ、軽量化率が低下する。一方、素管の引張強さが850MPaを超えると、素管の最大拡管率の低下により、ハイドロフォーム成形性が低下する。
【0031】
また、ハイドロフォーム成形の条件は、常法に従って設定すればよい。例えばシャシー用継手10は、外径114.3mm、肉厚2.9mm、機械構造用炭素鋼鋼管のSTKM13Bにおける成形とし、軸押し量は左右とも150mm、内圧は最大100MPaで成形した。また、突出部とキャビティとの間に空隙があるとバーストの原因となるため、各々突出部にカウンターパンチを用いた。カウンターパンチの荷重は最大300kNである。
【0032】
具体的には図示しないが、突出部30aの端部は、自動車のBピラーの端部と溶接で連結される。また、突出部30bの端部は、自動車のクロスメンバの端部と溶接で連結される。
【0033】
主管部20の外周面に一体成形された突出部30a、30bは、主管部20の主軸40まわりに90度ずらして配置されている。なお、主軸40は、成形前の素管の中心線位置とする。
【0034】
また、突出部30a、30bは、図1中のKで示す領域で、シャシー用継手10の長手方向位置が重複(オーバーラップ)しており、シャシー用継手10は、シャシー用継手10の一部位、即ち、Kで示す領域を起点として枝分かれした構造を有する。即ち、突出部30aの交差面35aと、突出部30bの交差面35bとがいずれも一部分のみで、主軸40に対して垂直な面を互いに共有する。ここで、交差面35a、35bは、それぞれ突出部30aの端面33a、突出部30bの端面33bの主管部20への投影面(主管部20の根元R部を含まない)とする。
【0035】
次に、突出部30a、30bの突出高さについて説明する。図2は、図1のI−I線に沿う断面図である。突出部の突出高さは、突出部の端面上の点うち主軸から最も離れた点と、突出部と主管部との交差面上の点のうち主軸から最も離れた点とを結ぶ線分の長さとする。突出部30aの突出高さは、図2に示す突出高さLaである。点32aは、突出部30aの端面33a上の点のうち、主軸40から最も離れた点である。点34aは、突出部30aと主管部20との交差面35a上の点のうち、主軸40から最も離れた点である。即ち、突出高さLaは、点32aと点34aとの最短距離31aの長さである。また、突出部30bの突出高さは、図2に示す突出高さLbである。点32bは、突出部30bの端面33b上の点のうち、主軸40から離れた最も点である。点34bは、突出部30bと主管部20との交差面35b上の点のうち、主軸40から最も離れた点である。即ち、突出高さLbは、点32bと点34bとの最短距離31bの長さである。
【0036】
突出高さLa、Lbは、0.3D以上であることが必要である。ここで、Dはハイドロフォーム成形前の素管の外径である。突出高さLa、Lbが0.3D未満であると、突出部30a、30bに相手部品を溶接等で連結することができず、本来の目的である継手部材として機能しないからである。さらに、突出高さLa、Lbは、0.8D以下であるのが好ましい。突出高さLa、Lbが0.8Dを超えると、素管の塑性変形量が大きくなり、突出部30a、30bの付け根に亀裂が発生するおそれがあるからである。なお、この突出高さLa、Lbの範囲は、実験的に求めたものである。
【0037】
突出高さLa、Lbが上記の下限及び上限を満足するのは、シャシー用継手10が、突出部30a及び突出部30bそれぞれの所定範囲の一部領域で、主管部20の主軸40に対して垂直な面を互いに共有するときである。ここで、所定範囲の一部領域は、図1においてKで示す領域である。
【0038】
図1において、Kで示す領域は、以下で説明する交差面35a、35bを定義して具体的数値範囲内とすることが必要である。図1に示すように、突出部30aは、主管部20と交差面35aで交差する。また、突出部30bは、主管部20と交差面35bで交差する。既述したように、交差面35aは、端面33aの主管部20への投影面とする。この場合に、主管部20の根元R部を含まないものとする。同様に、交差面35bは、端面33bの主管部20への投影面とする。この場合に、主管部20の根元R部を含まないものとする。
【0039】
シャシー用継手10の、交差面35aの一部分36aと交差面35bの一部分36bとが、主軸40に対して垂直な面を共有し、交差面35aの一部分36aの面積が交差面35aの面積に対して30%以上90%以下の範囲にあり、かつ、交差面35bの一部分36bの面積が交差面35bの面積に対して30%以上90%以下の範囲にあるとき、突出部30a、30bの突出高さLa、Lbは0.3D以上0.8D以下を満足する。
【0040】
このことを、図1のI−Iに沿う断面、II−IIに沿う断面、III−IIIに沿う断面を例に説明する。交差面35aの一部分36aと、交差面35bの一部分36bとは、図1のI−I線に沿う断面を互いに共有する。即ち、図1のI−I線に沿う断面を示す図2において、交差面35aと交差面35bの両方が存在する。
【0041】
一方、図1のII−II線に沿う断面については、交差面35aを含むものの、交差面35bを含まない。即ち、図1のII−II線に沿う断面を示す図3において、交差面35aのみが存在し、交差面35bが存在しない。
【0042】
また、図1のIII−III線に沿う断面については、交差面35bを含むものの、交差面35aを含まない。即ち、図1のIII−III線に沿う断面を示す図4において、交差面35bのみが存在し、交差面35aが存在しない。
【0043】
つまり、図1において、突出部30a及び突出部30bそれぞれは、Kで示す領域内でのみ、主軸40に対して垂直な面を互いに共有している。具体的には、I−I線に沿う断面はKで示す領域内にあり、II−II線に沿う断面及びIII−III線に沿う断面はKで示す領域外にある。そして、Kで示す領域は、交差面35a、35bの面積の割合で表すことができる。
【0044】
即ち、2つの突出部30a、30bの交差面35a、35bのいずれもが、交差面35aの一部分36aと交差面35bの一部分36bのみで、主管部20の主軸40に対して垂直な面(例えば、I−I線に沿う断面)を互いに共有し、交差面35aの一部分36aの面積が交差面35aの面積の30%以上90%以下の範囲にあり、かつ、交差面35bの一部分36bの面積が交差面35bの面積の30%以上90%以下の範囲にあるとき、シャシー用継手10の突出高さLa、Lbは0.3D以上0.8D以下を満足する。
【0045】
これに対し、例えば、次の3つの場合において、2つの突出部30a、30bの突出高さLa、Lbは0.3D以上0.8D以下を満足しない。なお、以下の例では便宜上、本実施形態に係る構成要素に対応するものには同一の符号を付して説明する。
【0046】
1つ目は、交差面35aと交差面35bのいずれもが、交差面35a、35bの全面で、主軸40に対して垂直な面を互いに共有しない場合である。図5は、1つ目の場合のハイドロフォーム成形体の一例を示す斜視図である。図5中、符号11はハイドロフォーム成形体を示す。図5に示すハイドロフォーム成形体11は、突出部30a、30bがハイドロフォーム成形体11の長手方向(主軸40方向)に離れているため、素管をハイドロフォーム成形した際に、突出部30a、30bそれぞれに対して、塑性変形された材料が充分に供給され、突出部30a、30bの突出高さLa、Lbは、いずれも0.8Dを超える。
【0047】
2つ目は、交差面35aと交差面35bのいずれもが、交差面35a、35bの全面で、主軸40に対して垂直な面を互いに共有する場合である。図6は、2つ目の場合のハイドロフォーム成形体の一例を示す斜視図である。図6中、符号12はハイドロフォーム成形体を示す。図6に示すハイドロフォーム成形体12は、突出部30a、30bが、ハイドロフォーム成形体12の長手方向(主軸40方向)に対する位置が同じで、突出部30a、30bの形状が同じである。したがって、素管をハイドロフォーム成形した際に、突出部30a、30bそれぞれに対して、多量の塑性変形された材料を供給しなければならず、突出部30a、30bの突出高さLa、Lbは、いずれも0.3Dに満たない。
【0048】
3つ目は、交差面35a及び交差面35bのうちいずれか一方の交差面の一部分と、他方の交差面の全面とで、主軸40に対して垂直な面を互いに共有する場合である。図7は、3つ目の場合のハイドロフォーム成形体の一例を示す斜視図である。図7中、符号13はハイドロフォーム成形体を示す。図7に示すハイドロフォーム成形体13は、突出部30aの交差面35aの一部分36aと、突出部30bの交差面35bの全面とで、主軸40に対して垂直な面を互いに共有する。即ち、図7に示すハイドロフォーム成形体13は、ハイドロフォーム成形体13の長手方向(主軸40方向)に関して、突出部30aが配置されている範囲内に、突出部30bが配置されている。このような配置となった場合、素管をハイドロフォーム成形した際、容積の大きい突出部の方に塑性変形された材料が供給されやすくなるため、容積の大きい突出部30aの方に優先的に塑性変形された材料が供給され、突出部30aの突出高さLaは0.8Dを超える。一方、容積の小さい突出部30bには塑性変形された材料が供給され難くなるため、突出部30bの突出高さは0.3Dに満たない。La>0.8DとLb<0.3Dの両方を満たす成形は実際には起こり難く、突出部30bの突出高さLbを0.3D以上0.8D以下にすると、突出部30aの突出高さLaが0.8Dを超える。突出部30aの突出高さLaを0.3D以上0.8D以下にすると、突出部30bの突出高さLbが0.8Dに満たない。
【0049】
ここまで述べたように、素管をハイドロフォーム成形する際、突出部30aの交差面35aと突出部30bの交差面35bとが主軸40に対して垂直な面を互いに共有する場合、塑性変形された材料が、この共有する面上で、交差面35a及び交差面35bの両方から、突出部30a、30bの端面33a、33bへ向かって供給される。したがって、突出部30a、30bの突出高さLa、Lbを一定の値以上とするためには、塑性変形された材料の充分な供給量が必要である。
【0050】
交差面35aと交差面35bのいずれもが、交差面35aの一部分36a及び交差面35bの一部分36bのみで、主管部20の主軸40に対して垂直な面を互いに共有し、交差面35aの一部分36aの面積が交差面35aの面積の30%以上90%以下の範囲であり、かつ、交差面35bの一部分36bの面積が交差面35bの面積の30%以上90%以下の範囲であるとき、構造用ハイドロフォーム継手部材10の突出高さLa、Lbは0.3D以上0.8D以下を満足する。
【0051】
つまり、図1において、Kで示す領域では、交差面35a及び交差面35bは、主管部20の主軸40に対して垂直な面を互いに共有するため、塑性変形された材料の供給は不足する。しかしながら、Kで示す領域以外では、交差面35a及び交差面35bは、主管部20の主軸40に対して垂直な面を互いに共有しないため、塑性変形された材料の供給が充分であり、Kで示す領域における材料供給の不足分を補うことができる。その結果、突出部30a、30bの突出高さLa、Lbを0.3D以上0.8D以下とすることができる。
【0052】
Kで示す領域が変化することで、交差面35aのうち、交差面35aと交差面35bとが主軸40に対して垂直な面を互いに共有する部分の面積、即ち、交差面35aの一部分36aの面積が変化する。交差面35aの一部分36aの面積は、交差面35aの面積に対して、下限を30%、上限を90%とすることが必要である。交差面35aの一部分36aの面積が、交差面35aの面積に対して30%未満である場合、突出高さLaが0.8Dを超える。また、交差面35aの一部分36aの面積が、交差面35aの面積に対して30%未満である場合、シャシー用継手10を用いることによる結合部の十分な剛性向上が見込めない。一方、交差面35aの一部分36aの面積が、交差面35aの面積に対して90%を超える場合、Kで示す領域における材料供給が不足するため、突出部30aの突出高さLaが低くなり、突出高さLaが0.3Dに満たない。
【0053】
交差面35bの一部分36bの面積も、交差面35aの一部分35aの場合と同様である。
【0054】
以上述べたように本発明を適用することにより、ハイドロフォーム成形体に、ハイドロフォーム成形体中の一部位を起点として枝分かれする複数の突出部30a、30bを設けることができ、これらの複数の突出部30a、30bが、ハイドロフォーム成形体に相手部品を溶接等で連結するために必要な突出高さを有することから、ハイドロフォーム成形体を、構造用ハイドロフォーム継手部材として使用し、構造用ハイドロフォーム継手部材中の一部位を起点として枝分かれする構造体とすることができる。
【0055】
また、構造用ハイドロフォーム継手部材は、中空構造を有することから、強度と剛性を両立させつつ構造用ハイドロフォーム継手部材を軽量化することができ、その結果、構造用ハイドロフォーム継手部材を使用して構成される構造体全体を、強度と剛性を両立させつつ軽量化することができることから、工業上、顕著な効果を奏するものである。
【0056】
本実施形態では、2つの突出部30a、30bが主管部20の主軸40まわりに直角に配置されているが、その角度は直角に限定されるものではない。2つの突出部30a、30bを主軸40まわりに180度ずらして配置する場合、ハイドロフォーム成形するのは比較的容易であるが、本発明を適用することにより、2つの突出部30a、30bを主軸40まわりに近づけて配置する、即ち主軸40まわりに30度以上180度未満の角度ずらして配置する場合にも、突出高さLa、Lbが0.3D以上0.8D以下を満足するようにハイドロフォーム成形することが可能になる。
【0057】
なお、自動車用の構造部材に本発明を適用する場合には、継手部材として高い機械的強度、剛性が要求されるため、2つの突出部30a、30bを主軸40まわりに45度以上135度未満の角度ずらして配置することが望ましい。自動車用の構造部材として十分な機械的強度を重視する場合、前記突出が一定以上に大きいことが要求されるため、前記突出部高さLa、Lbが0.3D以上0.8D以下を満足するようにするためには、ハイドロフォーム成形の限界から前記角度の下限値は45度であり、一方、自動車用の構造部材として自動車構造全体に与える剛性を重視する場合、前記角度の上限は135度である。
【0058】
更に自動車用の構造部材としてより高い機械的強度、剛性が要求される場合は、前記角度は60度以上120度以下が望ましい。自動車用の構造部材に限らず更にもっと高い機械的強度、剛性が要求される場合は、前記角度は80度以上100度以下が望ましい。
【0059】
(第2の実施形態)
第1実施形態では、突出部が2つの場合について説明したが、突出部が3以上の場合にも同様に説明することができる。図8は、本発明を適用した第2の実施形態に係る構造用ハイドロフォーム継手部材である三枝自動車シャシー用継手を示す斜視図である。図8中、符号14は三枝自動車シャシー用継手(以下、「三枝シャシー用継手」という。)を示す。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、同様の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0060】
図8に示すように、三枝シャシー用継手14は、第1の実施形態で説明したのと同様の突出部30a、30bに、他の突出部30cを加えたものである。三枝シャシー用継手14は、突出部30aの交差面35a、突出部30bの交差面35b、及び突出部30cの交差面35cを有する。この場合に、交差面35aの一部分36aのみ、交差面35bの一部分36bのみ、及び交差面35cの一部分36cのみで、主管部20の主軸40に対して垂直な面を互いに共有することが必要である。
【0061】
このように、突出部が3以上の場合、すべての交差面が、それぞれの一部分のみで主管部20の主軸40に対して垂直な面を互いに共有するものとする。例えば、三枝シャシー用継手14の場合、交差面35a、35b、35cのすべてが、それぞれの一部分のみで主軸40に対して垂直な面を互いに共有するものとする。したがって、例えば、交差面35aと交差面35bとが、それぞれの一部分のみで主軸40に対して垂直な面を互いに共有し、かつ、交差面35bと交差面35cとが、それぞれの一部分のみで主軸40に対して垂直な面を互いに共有するが、交差面35aと交差面35cとが、それぞれの一部分のみで主軸40に対して垂直な面を共有しない場合は、交差面35a、35b、35cのすべてが、それぞれの一部分のみで主軸40に対して垂直な面を互いに共有するものではない。
【0062】
また、交差面35cの一部分36cの面積は、交差面35a、35bの場合と同様に、交差面35cの面積に対して、下限を30%、下限を90%とすることが必要である。
【0063】
突出高さLa、Lb、Lcそれぞれは、下限を0.3D、上限を0.8Dとすることが必要である。突出部の数を多くすると、1つの突出部の大きさは小さくなることから、突出高さは突出部の数に依存しないことが実験から判明した。なお、突出部30cの突出高さLcは、第1の実施形態で説明したLa、Lbの場合と同様に定義する。
【0064】
(第3の実施形態)
第1実施形態では、突出部30a、30bが主管部20の主軸40に対して直角方向に突出するように形成されているが、突出部が主軸40に対して傾いて突出するようにしてもよい。図9Aは、本発明を適用した第3の実施形態に係る構造用ハイドロフォーム継手部材である自動車ドア周り用継手を示す斜視図である。また、図9Bは、図9AのIV−IV線に沿う断面図である。図9A中、符号15は自動車ドア周り用継手を示す。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、同様の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0065】
自動車ドア周り用継手15は、Kで示す領域で、突出部30aの交差面35aと、突出部30bの交差面35bとがいずれも一部分のみで、主軸40に対して垂直な面を互いに共有する。そして、交差面35aの一部分36aの面積は交差面35aの30%以上90%以下の範囲であり、かつ、交差面35bの一部分36bの面積は交差面35bの30%以上90%以下の範囲であり、突出高さLa、Lbが0.3D以上0.8D以下である。即ち、突出部30aの交差面35aの一部分36aのみ、及び、突出部30bの交差面35bの一部分36bのみで、主管部20の主軸40に対して垂直な面を互いに共有しているとき、突出高さLa、Lbが0.3D以上0.8D以下となる。
【0066】
図9A、図9Bに示す自動車ドア周り用継手15は、突出部30aが主管部20の主軸40に対して直角方向に突出するように、また、突出部30bが主管部20の主軸40の直角方向に対して12度傾いて突出するように形成されている。このように主軸40に対して傾いて突出する突出部30bの交差面35bは、その突出方向(主軸40の直角方向に対して12度傾いた直線方向)に沿って端面33bを主管部20に投影した投影面とする。なお、突出部30bの角度はこれに限られるものではない。また、突出部30aも、主管部20の主軸40に対して斜め方向に突出するように配置されてもよい。
【0067】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、突出部を繋ぐ形状について説明する。図10は、第4の実施形態に係る構造用ハイドロフォーム継手部材である自動車シャシー用継手を示す斜視図である。図10中、符号16はシャシー用継手を示す。また、図14は、第4の実施形態に係るシャシー用継手16に設けた継合曲面及び徐変部を説明する図である。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、同様の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0068】
第4の実施形態に係る自動車シャシー用継手16は、図10、図14に示すように、突出部30aから突出部30bにかけて、滑らかな曲面で連続して繋いだものである。以下、この曲面を継合曲面50という。突出部30aと突出部30bとの間を継合曲面50で連続して繋いでいるので、シャシー用継手16が構成要素の1つとなる構造体全体の剛性向上が期待される。
【0069】
突出部30aから突出部30bにかけて滑らかな曲面で連続して繋ぐ際には、主管部20における突出部30a、30bから離れた位置に徐変部52a、52bを設けてもよい。
【0070】
図10に示すシャシー用継手16は、第1の実施形態に係るシャシー用継手10と同様に、交差面35aの一部分36aの面積は交差面35aの面積の30%以上90%以下の範囲であり、かつ、交差面35bの一部分36bの面積は交差面35bの面積の30%以上90%以下の範囲であり、突出高さLa、Lbはいずれも0.3D以上0.8D以下である。
【0071】
また、図10のV−V線に沿う断面には、図11に示すように交差面35a及び交差面35bの両方が存在する。一方、図10のVI−VI線に沿う断面には、図12に示すように交差面35aのみが存在し、交差面35bは存在しない。また、図10のVII−VII線に沿う断面には、図13に示すように交差面35bのみが存在し、交差面35aは存在しない。
【0072】
次に、継合曲面50、徐変部52a、52bについて説明する。突出部30aと突出部30bとの間は、継合曲面50で滑らかに連続して繋がれ、突出部30aと突出部30bとが継合される。突出部が3以上ある場合には、主軸40まわりに隣り合う突出部同士を滑らかな曲線で繋ぎ、突出部それぞれが継合される。
【0073】
継合曲面50は、主管部20の主軸40方向の両端に徐変部52a、52bを有する。図15A〜図15Dは、シャシー継手16の徐変部52aの形状を説明するために主管部20の断面形状変化を示す図である。図15Aは、図14のVIII−VIII線に沿う断面図である。図15Bは、図14のIX−IX線に沿う断面図である。図15Cは、図14のX−X線に沿う断面図である。図15Dは、図14のXI−XI線に沿う断面図である。一方の管端部21aに近いVIII−VIII線に沿う断面では、継合曲面50は存在しない。そして、IX−IX線に沿う断面、X−X線に沿う断面、XI−XI線に沿う断面の順に徐変部52aの面積は大きくなり、XI−XI線に沿う断面で面積は最大となる。即ち、XI−XI線に沿う断面の位置で、徐変部52aは終点となる。このように、継合断面50は、管端部21aに向かって面積が小さくなる徐変部52aを有する。主管部20の反対側の管端部21bについても、同様の徐変部52bを有する。
【0074】
突出部30aと突出部30bとを継合曲面50で継合することで、シャシー用継手16の全体剛性を向上させることができる。そして、徐変部52a、52bをさらに設けることで、シャシー用継手16の全体剛性をより一層向上させることができる。
【0075】
徐変部52bの大きさを、図14に示すように、主管部20の主軸40に平行な方向の長さWで表すと、Wを0.2D以上2.0D以下としたとき、シャシー用継手16の剛性向上とハイドロフォーム成形性が両立する。Wが0.2D未満であると、徐変部52bの形状変化が急激なため、ハイドロフォーム成形性が低下する。一方、Wが2.0Dを超えると、剛性向上効果が低下する。Dはハイドロフォーム成形前の素管の外径である。徐変部52aについても同様である。
【0076】
(第5の実施形態)
主管部20の主軸40まわりに隣り合う突出部30a、30bの間には、凸状の周方向リブを設けてもよい。図16は、第5の実施形態に係る構造用ハイドロフォーム継手部材である自動車シャシー用継手を示す斜視図である。図16中、符号17はシャシー用継手を示す。
【0077】
第5の実施形態に係るシャシー用継手17では、突出部30aと突出部30bとを繋ぐ継合曲面50に、主管部20の内側に凸となる周方向リブ53を形成している。
【0078】
図17A〜図17Cは、主管部20の断面形状変化を示す図である。図17Aは、図16のXII−XII線に沿う断面図である。図17Bは、図16のXIII−XIII線に沿う断面図である。図17Cは、図16のXIV−XIV線に沿う断面図である。図17Cに示すXIV−XIV線に沿う断面から明らかなように、継合曲面50には、主管部20の内側に凸となる周方向リブ53が形成されている。周方向リブ53のような凸状のリブを継合曲面50に設けることによって、シャシー用継手17全体の剛性を向上させることができる。
【0079】
周方向リブ53の深さは、1.0t以上3.0t以下の範囲とすることが好ましい。ここで、tはハイドロフォーム成形する前の素管の肉厚である。周方向リブ53の深さが1.0t未満であると、剛性向上効果が得られない。一方、3.0tを超えると、ハイドロフォーム成形性が低下する。
【0080】
(第6の実施形態)
周方向リブは、主管部20の外側に凸となるようにしてもよい。図18は、第6の実施形態に係る構造用ハイドロフォーム継手部材である自動車シャシー用継手を示す斜視図である。図18中、符号18はシャシー用継手を示す。
【0081】
第6の実施形態に係るシャシー用継手18では、突出部30aと突出部30bとを繋ぐ継合曲面50に、主管部20の外側に凸となる周方向リブ54を形成している。
【0082】
図19A〜図19Cは、主管部20の断面形状変化を示す図である。図19Aは、図18のXV−XV線に沿う断面図である。図19Bは、図18のXVI−XVI線に沿う断面図である。図19Cは、図18のXVII−XVII線に沿う断面図である。図19Cに示すXVII−XVII線に沿う断面から明らかなように、継合曲面50には、主管部20の外側に凸となる周方向リブ54が形成されている。周方向リブ54のような凸状のリブを継合曲面50に設けることによって、シャシー用継手17全体の剛性を向上させることができる。周方向リブ54の深さについては、周方向リブ53の場合と同様である。
【0083】
ここで、図18に示すように、主管部20の外側に凸となる周方向リブ54は、突出部30aの交差面35aと、突出部30bの交差面35bとが、主軸40に対して垂直な面を互いに共有する、図1においてKで示す領域内にある継合曲面50に設けることができる。或いは、図20A、図20Bに示すように、周方向リブ54は、Kで示す領域外にある継合曲面50に設けてもよい。図20A、図20Bは、周方向リブ54を、突出部30aの交差面35aと、突出部30bの交差面35bとが、主軸40に対して垂直な面を互いに共有する領域外にある継合曲面50に設けた例を示す図である。図20Aは周方向リブ54が管端部21b側にある場合、図20Bは周方向リブ54が管端部21a側にある場合を示す。なお、ここでは、主管部20の外側に凸となる周方向リブ54の位置について説明したが、第5の実施形態で説明した主管部20の内側に凸となる周方向リブ53の位置についても同様である。
【0084】
(第7の実施形態)
主管部20の外側に凸となる周方向リブ54に代えて、斜平面状リブとしてもよい。図21は、第7の実施形態に係る構造用ハイドロフォーム継手部材である自動車シャシー用継手を示す斜視図である。図21中、符号19はシャシー用継手を示す。
【0085】
図22A〜図22Cは、主管部20の断面形状変化を示す図である。図22Aは、図21のXVIII−XVIII線に沿う断面図である。図22Bは、図21のXIX−XIX線に沿う断面図である。図22Cは、図21のXX−XX線に沿う断面図である。図22Cに示すXX−XX線に沿う断面から明らかなように、継合曲面50は、主管部20の外側に凸となり、かつ、その凸面が斜平面である斜平面状リブ55を有する。斜平面状リブ55は、継合曲面50の形状に沿う形状を有する周方向リブ53、54と同様の効果を得ることができる。
【0086】
(第8の実施形態)
第4〜第7の実施形態で説明したように突出部30a、30bを曲面で連続して繋げることに限られず、斜平面とすることができる。図23は、第8の実施形態に係る構造用ハイドロフォーム継手部材である自動車シャシー用継手を示す斜視図である。図23中、符号24はシャシー用継手を示す。
【0087】
図24A、図24Bは、主管部20の断面形状変化を示す図である。図24Aは、図23のXXI−XXI線に沿う断面図である。図24Bは、図23のXXII−XXII線に沿う断面図である。図24Bに示すXXII−XXII線に沿う断面から明らかなように、突出部30aと突出部30bとの間は、継合斜平面58で連続して繋がれ、突出部30aと突出部30bとが継合される。突出部が3以上ある場合には、主軸40まわりに隣り合う突出部同士を継合斜平面で連続して繋ぎ、突出部それぞれが継合される。このように継合斜平面58とすることで、継合曲面50と比較して、シャシー用継手24全体の剛性はやや低下するものの、ハイドロフォーム成形性を向上させることができる。
【0088】
(第9の実施形態)
第9の実施形態では、本発明を適用した構造用ハイドロフォーム継手部材における突出部の末端溶接部について説明する。図25は、第9の実施形態に係る構造用ハイドロフォーム継手部材である自動車シャシー用継手を示す斜視図である。図25中、符号25はシャシー用継手を示す。また、図26は、図25のXXIII−XXIII線に沿う断面図である。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、同様の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0089】
シャシー用継手25は、突出部30a、30bの溶接末端部37a、37bで相手部品と溶接され、所望の構造体となる。図25に示すように、溶接末端部37bに環状の溶接座面突条部60を設けることで、その突条形状ゆえに、溶接座面突条部60が相手部品と優先的に接触する。これにより、溶接座面突条部60で溶接すれば、シャシー用継手25と相手部品との溶接が確実になり、溶接性が向上する。特に、入熱部の小さいレーザ溶接を用いる場合に、溶接座面突条部60を設けることは有効である。
【0090】
図26に示す突条高さHW1は、0.3t1以上2t1以下とすることが好ましい。ここで、t1はシャシー用継手25の肉厚である。HW1が0.3t1未満であると、上記の溶接性向上効果が得られない。一方、HW1が2t1を超えるとハイドロフォーム成形性が低下する。また、平面長LW1は、特に制限はないが、5mm以上10mm以下とすることが好ましい。LW1が5mm未満であると、溶接範囲が溶接座面突条部60から外れ、溶接を確実に行うことができない。一方、LW1が10mmを超えると、ハイドロフォーム成形性が低下する。また、突条肩半径RW1は、ハイドロフォーム成形性確保のため、3t1以下とすることが好ましい。
【0091】
図27は、第9の実施形態の変形例を示す。溶接座面突条部60は、図27に示すように、点線状としてもよい。即ち、突出部30bは、溶接末端部37bにおいて、周方向の少なくとも一部に溶接座面突条部60を有することが好ましい。
【0092】
図28は、第9の実施形態の変形例を示す。溶接座面突条部60に代えて、次に説明する板ばね状溶接座面部としてもよい。図28は、溶接座面突条部60に代えて、板ばね状溶接座面部61としたシャシー用継手25の斜視図である。また、図29は、図28のXXIV−XXIV線に沿う断面図である。
【0093】
板ばね状溶接座面部61は、図29に示すように、切り欠き部62を設けることにより、板ばねのような形状を有する。このような板ばね状溶接座面部61とすることで、シャシー用継手25を相手部品と溶接する際に、板ばね状溶接座面部61を板ばねのように僅かに変形させた状態で溶接することができ、相手部品と板ばね状溶接座面部61の接触性をさらに向上させることができる。これにより、溶接を一層確実に行うことができ、溶接性をさらに向上させることができる。
【0094】
図29に示す座面高さHW2は、0.3t1以上1.5t1以下とすることが好ましい。ここで、t1はシャシー用継手25の肉厚である。HW2が0.3t1未満であると、上記の溶接性向上効果が得られない。一方、HW2が1.5t2を超えると、ハイドロフォーム成形で板ばね状溶接座面部61を成形するときに、板ばね状溶接座面部61の根元に亀裂が入るおそれがある。平面長LW2及び座面肩半径RW2は、平面長LW1及び突条肩半径RW1と同様である。
【0095】
なお、これまで、溶接座面突条部60及び板ばね状溶接座面61を、突出部30bの溶接末端部37bに設ける場合について説明したが、突出部30aの溶接末端部37aに設ける場合も同様である。
【0096】
(第10の実施形態)
第10の実施形態でも、本発明を適用した構造用ハイドロフォーム継手部材における突出部の末端溶接部について説明する。第10の実施形態では、構造用ハイドロフォーム継手部材の突出部で相手部品と溶接するに際し、突出部の端面の一部を開口して溶接代(しろ)とする実施形態について説明する。図30は、第10の実施形態に係る構造用ハイドロフォーム継手部材である自動車シャシー用継手を示す斜視図である。図30中、符号26はシャシー用継手を示す。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、同様の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0097】
シャシー用継手26は、突出部30bの端面33bの少なくとも一部を開口して溶接代70aとする。溶接代70aを、相手部品の溶接部に重ね合わせ、溶接する。このようにすることで、シャシー用継手26と相手部品との溶接を確実なものとする。突出部30bの端面33bの少なくとも一部を開口する方法は、常法でよい。例えば、せん断加工、エンドミル加工等である。
【0098】
複数の部材(部品)を溶接して1つの構造体とする場合、特定の部材(部品)の溶接部の剛性が高すぎると、構造体を使用するときに、その特定の部材(部品)の溶接部以外のところから破壊しやすくなる場合がある。また、自動車用の衝撃吸収部材のように、構造体の特定の部位から意識的に破壊させたい場合がある。これらの場合に、突出部30bの端面33bの少なくとも一部を開口し、開口部の面積を変えることによって、突出部30bの剛性を制御することができる。
【0099】
図31は、第10の実施形態の変形例を示す。突出部30bの端面33bは、図31に示すように、複数の溶接代70a〜70dを形成することができるように開口してもよい。なお、図30、図31では、溶接代を、突出部30bの端面33bに設ける場合について説明したが、突出部30aの端面33aに設ける場合も同様である。
【実施例】
【0100】
次に、本発明を実施例でさらに説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0101】
図1に示したようなシャシー用継手10、及び図8に示したような三枝シャシー用継手14において、図1及び図8中のKで示す領域を変化させて、各交差面における、主管部20の主軸40に対して垂直な面を互いに共有する面積割合Rを変化させた。そして、これにより突出部30a、30b、30cの突出高さLa、Lb、Lcがどのように変化するかを調査した。
【0102】
なお、面積割合Rとは、交差面35aについて説明すれば、交差面35aが他の交差面と主軸20に対して垂直な面を共有する面積の、交差面35aの面積に対する割合のことである。即ち、図1において、交差面35aの一部分36aの面積の、交差面35aの面積に対する割合である。交差面35b、35cについても同様である。
【0103】
使用した素管の直径は60.5mm、114.3mmの2種類とした。また、素管の肉厚は2.3mmとした。ハイドロフォーム成形の条件は、引張強さが390MPa級の素管を成形するときは、軸押し:180mm、内圧:80MPa、引張強さが540MPa級の素管を成形するときは、軸押し:200mm、内圧:100MPa、引張強さが780MPa級の素管を成形するときは、軸押し:210mm、内圧:120MPaとした。
【0104】
各条件の組合せ及び結果を表1に示す。
【0105】
【表1】

【0106】
表1から明らかなように、交差面のいずれもが、交差面の一部分のみで、主管部20の主軸40に対して垂直な面を互いに共有し、交差面の一部分の面積が、交差面それぞれの面積に対して30%以上90%以下であるとき、即ち交差面面積割合Rが30%以上90%以下であるとき、すべての突出高さは、素管の外径Dに対して、継手としての機能を確保できる0.3D以上であることが確認できた(成形結果○を参照のこと)。
【0107】
これに対し、交差面の一部分のみで、主管部20の主軸40に対して垂直な面を互いに共有していても、交差面の一部分の面積が、交差面それぞれの面積に対して30%以上90%以下でないとき、即ち交差面面積割合Rが30%以上90%以下でないとき、突出高さの一部又は全部が、継手としての機能を確保できる0.3Dを満足していないことを確認できた(成形結果×を参照のこと)。
【0108】
また、シャシー継手10、14に、継合曲面50、徐変部52a、52b、周方向リブ53、54、継合斜平面58、溶接座面突条部60、板ばね状溶接座面61、及び、溶接代70a〜70dのうちの少なくとも1つを設けた場合においても、表1に示した結果と同様の結果が得られたことを確認した。
【0109】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記実施形態では主管部20の横断面(主軸40に垂直な断面)が丸みを帯びた略矩形状を呈する例を示したが、主管部20の形状は限定されるものでなく、主管部20の横断面が円形であったり、多角形であったりしてもよい。
【0110】
また、本発明の構造部材を、建築用継手部材に適用することにより、板材や棒材等をボルト等で締結して建築物を構築する場合と比べて、組立て工数を大幅に削減できる。
【0111】
また、本発明の構造部材を、建築用継手部材に適用した場合、同じ強度及び剛性を有する構造物を軽量化できるため、構造物の自重を支える負荷が低減し、建造物全体の構造を簡略化することができるとともに、耐震性も向上させることができる。
【0112】
そして、本発明の構造部材は、高張力鋼をはじめとする鉄鋼系材料において、最も大きい効果を奏するが、アルミニウム合金等の軽合金系材料にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明では、主管部に枝分かれする複数の突出部を設けることができ、これらの複数の突出部が、所望の突出高さを有する。例えば相手部品を溶接等で連結するために必要な突出高さを有するようにして、構造用継手部材として使用すれば、構造用継手部材中の一部位を起点として枝分かれする構造体を得ることができる。よって、本発明は、工業上、利用価値の高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の主管部と、
前記主管部の外周面に一体成形された少なくとも2つの閉じた突出部とを備え、
前記2つの閉じた突出部は、前記主管部の主軸まわりに45度以上135度未満の角度をなして配置され、
前記2つの閉じた突出部の各端面の前記主管部への投影面である交差面のいずれもが、該交差面の一部分のみで、前記主管部の主軸に対して垂直な面を互いに共有し、
前記交差面の一部分の面積が、前記交差面それぞれの面積に対して30%以上90%以下であり、かつ、前記2つの閉じた突出部それぞれの突出高さが0.3D以上であることを特徴とする構造用継手部材。ここで、Dは、前記構造用継手部材の成形前の素管外径である。
【請求項2】
前記主管部の外周面に一体成形された他の閉じた突出部を備え、
前記2つの閉じた突出部及び前記他の閉じた突出部の各端面の前記主管部への投影面である交差面のいずれもが、該交差面の一部分のみで、前記主管部の主軸に対して垂直な面を互いに共有することを特徴とする請求項1に記載の構造用継手部材。
【請求項3】
素管をハイドロフォーム成形することにより、前記主管部及び前記2つの閉じた突出部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の構造用継手部材。
【請求項4】
前記2つの閉じた突出部それぞれの突出高さが0.8D以下であることを特徴とする請求項1に記載の構造用継手部材。
【請求項5】
前記素管の引張強さが340MPa以上850MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の構造用継手部材。
【請求項6】
前記主管部には、前記2つの閉じた突出部同士を連続して繋ぐ継合曲面又は継合斜平面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の構造用継手部材。
【請求項7】
前記継合曲面又は前記継合斜平面が、前記主管部の管端部に向かって面積が小さくなる徐変部を有することを特徴とする請求項6に記載の構造用継手部材。
【請求項8】
前記徐変部の長さが、前記主管部の主軸に平行な方向で、0.2D以上2.0D以下であることを特徴とする請求項7に記載の構造用継手部材。
【請求項9】
前記継合曲面又は前記継合斜平面には、前記主管部の内側に凸となる周方向リブが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の構造用継手部材。
【請求項10】
前記継合曲面又は前記継合斜平面には、前記主管部の外側に凸となる周方向リブが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の構造用継手部材。
【請求項11】
前記2つの閉じた突出部のうち少なくともいずれかの閉じた突出部が、周方向の少なくとも一部に、溶接座面突条部を有することを特徴とする請求項1に記載の構造用継手部材。
【請求項12】
前記2つの閉じた突出部のうち少なくともいずれかの閉じた突出部が、周方向に、板ばね状溶接座面部を、少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1に記載の構造用継手部材。
【請求項13】
前記構造用継手部材が、自動車構造用継手部材であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の構造用継手部材。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の構造用継手部材の前記閉じた突出部のうち少なくとも一つの閉じた突出部の端面の少なくとも一部を開口して溶接代を形成することを特徴とする構造用継手部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2013−10140(P2013−10140A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173950(P2012−173950)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【分割の表示】特願2012−506260(P2012−506260)の分割
【原出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】