説明

構造的に変性された脂質の輸送/再利用のための蛋白質を含有する調製物及びその適用

本発明は、構造的/官能的に変性された脂質に対する再利用輸送蛋白質、及び構造的に変性されていない脂質及び非輸送性有効物質を含む脂質デポを含有する調製物に関する。 このような調製物を、生体膜のエンジニアリングに、たとえば局所適用によって、特に皮膚/ 粘膜上に局所適用することによって使用することができる。この際、構造的に又は官能的に、特に酸化的に変性された脂質は、これを含有する構造体から、たとえば皮膚の脂質凝集体から除去され、外部でデポ中で再生され、そして好ましくはその構造体に戻る。したがって これは生体膜からの変性された脂質の再利用でもある。 この点で、上記調製物は自動調節性であり、そして特に 美容、美容―温泉療法又はまた皮膚科学的/医療的に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象
本発明は、構造的/官能的に変性された脂質に対する再利用輸送蛋白質、及び構造的に変性されていない脂質及び非輸送性有効物質を含む脂質デポを含有する調製物に関する。
【0002】
このような調製物を、生体膜のエンジニアリングに、たとえば局所適用によって、特に皮膚/ 粘膜上に局所適用することによって使用することができる。この際、構造的に又は官能的に、特に酸化的に変性された脂質は、これを含有する構造体から、たとえば皮膚の脂質凝集体から除去され、外部でデポ中で再生され、そして好ましくはその構造体に戻る。したがって これは生体膜からの変性された脂質の再利用でもある。 この点で、上記調製物は自動調節性であり、そして特に美容、美容―温泉療法又はまた皮膚科学的/医療的に使用することができる。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
脂質は、工業製品、必需品、 食物及び嗜好品、 医薬、 診断剤、 化粧料、衛生用品及び医療品の成分として極めて構造上及び官能上重要である。脂質はまた生物学的材料中で特別の役割を有し、その材料中で脂質は特にエネルギーキャリヤーとして、熱及び電気絶縁体、拡散―蒸発バリヤー、 前駆物質(signal substance)、着色剤、保護剤、酵素コファクターとして、又は細胞小器官、細胞、器官及び組織の構造―付与要素として使用される。
【0004】
多くの種類の脂質、たとえば脂肪酸、脂肪アルコール、エステル脂質、エーテル脂質及びステロイドは当業者に周知である。これらの構造上の異なる脂質の種類は、異なる物理及び化学性質を有することができる。したがって両親媒性脂質、たとえばリン脂質(これは生物学的材料中に広く分布している。)は、水の存在下に、容易に極めて特異的な構造及び官能特性を有する凝集体、 クラスター又は相(ミセル、単層、二重層、多層、リポソーム、チューブ)を容易に形成する性質を有する。両親媒性脂質から、より高度な凝集体の形成する場合、その他の物質、たとえば蛋白質、炭水化物、その他のバイオポリマー又は人工ポリマーを共によって作用させて、更にその性質を変化させることができる。生物学的材料及びまた食料、医薬又は合成製品中に含まれる脂質凝集体は、不飽和脂質(これは凝集体の作用に重要である。)を含有する。しかし、これらは空中酸素、紫外線、化学酸化剤及びフリーラジカルによって容易に酸化されうる。例として、不飽和食用油の“酸敗化”が挙げられる。 このような酸化は、基質が使い果たされて始めて常に停止するラジカル連鎖反応でしばしば生じる。脂質のその他の構造的及び同時に官能的変化又は妨害は、たとえば異性化、より高度な凝集体の形成、オリゴマー化及びポリマー化によっても起こりうる。特に酸化変性中に生じる反応生成物又は酸化生成物は、特に生物において有害でありがちである。したがって生体膜の脂質凝集体の酸化は、生物学的老化のプロセスと結びつく。この場合、酸化のいくつかの最終生成物、たとえばセロイド又はリポフスチンが組織中に蓄積されて、加齢色素と呼ばれる。
【0005】
従来、特に酸化による脂質変性を妨げるために、脂質を含む構造体への酸化防止作用のある物質の添加が行われた。これらに、たとえばフェノール性物質が含まれ、この物質は脂質凝集体中に親油性イソプレン基によってしっかり固定され、酸化攻撃でそれ自体がキノイド型に変換される(ドイツ特許公開第19962369(A1)号明細書も参照)。酸化防止物質の濃度が高くなればなるほど、脂質変性への保護はますます大きくなる。ドイツ特許第3815473(C1)号明細書によれば、 細胞凝集体中に親油性物質の有効な導入の課題は、いわゆる輸送蛋白質を用いて解決されうる。またドイツ特許公開第10324256(A1)号明細書によれば、所望されない乳化剤成分の必要なく皮膚上に局所適用することによって、脂質の導入又は脂質を含む構造体中での脂質の交換を達成するために、この系は使用される。この場合、存在する脂質それ自体はその官能性を変化させないが、別の脂質によって補充されるか又は置き換えられる。したがってこの場合、構造的/官能的に又は酸化的に変性されていない脂質の輸送が重要である。たとえば、ビタミンEを親油性酸化防止物質として脂質凝集体中に導入することができる。穏やかな酸化負荷で、このような酸化防止剤の中程度の濃度は、酸化老化のいくつかの予防を生じさせる。しかしながら、より強い酸化負荷及びより高い濃度の酸化防止剤の場合、 酸化された二次生成物が脂質凝集体中に蓄積し、それ自体がそこで機能性障害を引き起こしうる。同様に、変性されていない脂質に対する上記輸送蛋白質を、ドイツ特許公開第102004057150(A1)号明細書にしたがって、キャピラル作用系(capillary active system)と共に使用することができる。ドイツ特許第69300514(T2)号明細書によれば、特定のコレステロールが減少された、そしてそれ故に透明なベシクル 分散液が有効物質の輸送に提案されている。ドイツ特許第69400746(T2)号明細書中に、2つの脂質分散液の組み合わせは、外部及び内部の双方の皮膚層の治療のための有効物質キャリヤーとして使用される。ドイツ特許第69730604(T2)号明細書によれば、オキサ二塩基酸(oxa diacids)は、皮膚疾患、たとえば老化した皮膚(aged skin)の治療に使用される。 ドイツ特許第69813935(T2)号明細書によれば、色素異常症、 たとえば老化した皮膚中の色素異常症はフェノール基を含むレチノイドによって治療されねばならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題
したがって、本発明の課題は、上記欠点を改善すること及び脂質凝集体の構造的及び官能的阻害に、所望されない有害な二次的又は反応生成物の蓄積を引き起こすことなく、有効に立ち向かう系を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題の解決
上記課題は、本発明によれば、
a) 1種以上の 構造的/官能的に変性されていない脂質を含むデポ、
b) 構造的/官能的に変性された脂質に対する輸送速度を有する、1種以上の再利用輸送蛋白質、
c) 構造的/官能的に変性された脂質の再生のための、1種以上の非輸送性有効物質、 及び
d) 場合により、1種以上の、適用に関与する添加剤
を含む調製物によって達成される。
【0008】
再利用輸送蛋白質は、特に酸化的に変性された脂質に対する輸送速度を有するものであり、そして有効物質は酸化的に変性された脂質の再生のためのものである。そのような脂質は特に生体起源である。特に酸化的に変性された脂質の再生のための有効物質は非輸送性であり、それ故にそれによって生じる二次生成物が脂質構造体又は凝集体中に蓄積するのを回避することができる。したがって 構造上及び特に酸化的に変性された脂質、 特に生体起源の脂質を、このために供給される輸送蛋白質を用いて脂質を含有する凝集体から抽出し、変性されていない、特に酸化的に変性されていない脂質と共にデポ中に輸送し、そこに存在する有効物質によって再生させ、ついで戻すことができる。驚くべきことに、脂質の構造的変性、特に酸化に向けられた手段の効率の予期されない増加が、この点に限り外部再生によって起こる。2つのコンパートメント(すなわち、一方は構造的に変性された脂質を有する凝集体、そして他方がデポ)の間に存在し、そして熱力学的駆動力によって課せられる構造的に変性された脂質の平衡を介する交換を妨げるエネルギーバリヤーに、輸送蛋白質によって打ち勝つことができる。
【0009】
特に適する調製物は動物、植物又は海洋起源に由来する、場合によりまた以下に説明するような特徴を有する微生物起源、たとえば穀類、塊茎、乳、絹に由来する、記載した種類の輸送蛋白質又は加水分解された蛋白質を含有する。別の実施態様において、従来技術(ドイツ特許第3815473(C1)号明細書又はドイツ特許公開第10324256(A1)号明細書)による構造的/官能的に変性されていない脂質 に対する輸送活性を有する輸送蛋白質を更に使用して、 変性されていない脂質の高められた触媒活性的輸送(catalytischen Transfer)を生じさせる。この脂質は天然又は合成脂肪、油、ロウ、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸部分エステル、グリセリド、シリコーン 油、シリコーン ロウ、炭化水素、レシチン、スフィンゴ脂質、コレステロール、リン脂質、ガングリオシド、セレブロシド、セラミド 又はそれらの混合物から主に選ばれる。 脂質デポとして、単層又は多層リポソームの形にある、上記物質、すなわちレシチン、スフィンゴ脂質、リン脂質、セラミド 又はそれらの混合物に由来する脂肪相が極めて特に適する。
【0010】
再利用に特に適する有効物質は、殊に非輸送性、特に水溶性又は水分散性有効物質、たとえば比較的に高い分子量酵素蛋白質(たとえばパーオキシダーゼ)、コファクター 、たとえばグルタチオン、アルファ−リポ酸、水溶性酸化防止剤、たとえばユビキノン、及びレドックス系、たとえばエリソルビン酸である。
【0011】
更に、植物性フェノール、たとえばケルセチン、リンゴケルセチン、シスタスティー抽出物(Cystus incanus ssp. Tauricusに由来)を、非輸送性有効物質として使用することができる。非輸送性有効物質として、パーオキシダーゼ、エリソルビン酸及びグルタチオン、またシスタスティー抽出物、リンゴケルセチン 又はそれらの混合物が特に好ましい。
【0012】
調製物は、適用形態、好ましくは局所適用の形態に適し、そして水、及び特に界面活性物質(たとえばO/W型及びW/O型共乳化剤、コサーファクタント又はそれらの混合物)、天然又は合成起源のコロイド、稠度調節剤、着色剤、香料、保存剤、スキンケア 及び付加的な有効物質又はそれらの混合物を包含する添加剤から選ばれる添加剤を含有するのが好ましい。
【0013】
調製物の詳細な説明
本発明の調製物は、局所適用のために又は粘膜上に投与するために作られ、そして これらは脂質デポに適する脂質を含有する脂肪相又は油相、変性された脂質の輸送に適する1種以上の再利用蛋白質、再利用に適する1種以上の非輸送性有効物質及び所望の適用に適する添加剤を含む。これらの添加剤は、医学的に又は薬学的に許容し得る添加物及び水から選ばれるのが好ましい。 この場合、生体内、生体外又は生体内での生体膜の適切なエンジニアリング又は合成によって製造された脂質膜の適切なエンジニアリングを行うことができる。その適用は 、特に美容的、皮膚科学的、医療的又は美容−温泉療法的目的に、それぞれ場合に適する形態を用いて実施される。本発明の調製物は、クリーム (たとえば、O/W型、W/O型、ゲルクリーム)、ローション、ゲル、バルサム、スプレー、マスク又はフォームの形態を有するのが好ましい。 したがって特に上記剤は、アンチエンジング美容の目的で、たとえば皮膚上に適用するか又は入浴又はシャワー中に皮膚上で作用させることによって付与することができる。更に、上記剤を粘膜上に、たとえばプラーク及び病巣における処置に使用することができる。
【0014】
調製物の個々の成分を次に説明する。
【0015】
1)脂質輸送のための蛋白質
脂質の僅かな水溶性の故に、水性媒体中で脂質凝集体間の個々の脂質分子の交換は、 徐々に、すなわち僅かな効率で行われ、そして分子の熱運動によって実質的に行われる。
【0016】
脂質輸送蛋白質によって、脂質凝集体間の活性化エネルギーを触媒活性的に低くすることができる(ドイツ特許第3815473(C1)号明細書も参照)。
【0017】
本発明にしたがって使用されるべき再利用蛋白質は一般に植物、動物、遺伝子工学起源又は場合により微生物起源から得られ、そして全体で起源に応じて平均分子量約 2500〜 40,000Dを有する。この場合、穀類、たとえばカラスムギ、雑穀、小麦、トウモロコシ、大麦及びスペルト(spelt)由来の植物性蛋白質は、平均分子量 4000〜8000Dを有し、塊茎又は果実由来の蛋白質は平均分子量 6000〜20,000Dを有し、乳由来の蛋白質は平均分子量2500〜8000Dを有し、絹、微生物及び海洋起源からの蛋白質は平均分子量 10,000D〜40,000D、特に15,000D〜40,000Dを有する。これらの混合物を使用してもよい。上記蛋白質は遺伝子工学によって製造することもできる。
【0018】
塊茎として、ジャガイモ、イランイラン、きく芋 又は類似物が適する。海洋起源は、たとえば藻類、イガイ及びシーフードである。適当な微生物はたとえば細菌類である。植物及び動物起源の蛋白質及び海洋起源由来の蛋白質が好ましいが、特に前者が好ましい。海洋物のうち、藻類蛋白質が特に好ましく、殊に平均分子量12,000〜25,000Dを有するものが好ましい。
【0019】
植物性蛋白質は特に穀類、殊にスペルト、雑穀、カラスムギ、トウモロコシ 及び大豆から選ばれ、一方動物性蛋白質は殊に乳及び絹から選ばれる。
【0020】
特に好ましい蛋白質は、植物性蛋白質、殊にカラスムギ、小麦、トウモロコシ、大麦、大豆、豆類、雑穀、スペルト、そば、タピオカ、きく芋及びジャガイモ 又はそれらの混合物から選ばれる。雑穀、スペルト、そば、タピオカ、あるいはカラスムギ、トウモロコシ、大麦又は小麦;又はそれらの混合物が特に好ましい。
【0021】
輸送に適する蛋白質又は加水分解された生成物を、水中にスラリー化、場合により酸又は塩基との反応、更に処理、たとえば遠心分離、場合により、たとえば酸又は塩(たとえば硫酸アンモニウム)を用いる沈殿による随伴物質の分離、有機溶剤を用いる脱脂及び透析による精製、ゲル濾過又はクロマトグラフィー分離等々によって得ることができる。これに関連する方法は従来技術、特に、ドイツ特許第3815473(C1)号明細書に記載されている(米国特許第 A5776470号及び第A6077529号明細書も参照)。
【0022】
本発明にしたがって使用される蛋白質は、構造的に変性された、特に酸化的に変性された脂質に対する輸送速度を有する。この輸送速度は、「the resonance energy transfer test (RET test)」(Nichols、J.W.、Pagano、R.E.、J. Biol. Chem. 258 (1983)、5368-5371参照)で測定することができる。 このために脂質凝集体として、常法(たとえばデタージェントダイアリシス及び散乱光測定によるサイズ測定によって)で得られる、不飽和脂質、たとえば10%ジオレイルホスファチジルコリンを有するリポソームを使用することができる。上記ホスファチジルコリンは、2つの異なる 蛍光マーカー、たとえばN−NBD(N-[7-ニトロ-2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-4-イル] 及び N-Rh(N-[リサミン(Lissamine) ローダミン B])を有する。この脂質は、公知方法、たとえば空中酸素及びラジカル連鎖阻害剤、たとえば1,1’- アゾビス(シクロヘキサンカルボン酸ニトリル)を用いて二重結合で酸化される。酸化の度合を、公知方法で、たとえばリン脂質の薄層クロマトグラフィー分離で、又は 加水分解の後、脂肪酸メチルエステルのガスクロマトグラフィー分離によって測定することができる。使用される蛋白質によって生じる、供与体リポソームから受容体リポソームへの蛍光標識された脂質の輸送に基いて、蛋白質の触媒活性の測定は行われる。
【0023】
驚くべきことに、本発明者は、上記の、特に 酸化された脂質に対する再利用輸送蛋白質の比活性度が10〜10,000 ng/分/mg 蛋白質、特に150〜10,000及び好ましくは500〜9000、そして 特に800〜8000ng/分/mg 蛋白質である場合に本発明の系が活性であることを見出した。
【0024】
上述のような輸送速度、好ましくは600〜8000ng/分/mg 蛋白質、及び平均分子量 3500〜8000Dを有し、そして、特に 穀類、そしてこの部類で、 特に カラスムギ、小麦、トウモロコシ、大麦、雑穀、スペルトに由来するか又は平均分子量6000D〜15,000Dを有する大豆、ジャガイモ又はきく芋に由来する、変性された脂質に対する本発明の再利用輸送蛋白質が、特に好ましい。本発明より適する、別の好ましい輸送蛋白質は、それぞれ上記輸送速度、好ましくは500〜7000 ng/分/mg 蛋白質の輸送速度を有する、平均分子量 2500〜8000Dの乳、又は平均分子量 15,000〜20,000の絹に由来するものである。
【0025】
上記好ましい植物性蛋白質及び動物性蛋白質の混合物も特に適する。
【0026】
海洋起源に由来し、そして上記適する輸送速度を有する蛋白質を、特に藻類、イガイ 及び珊瑚から選ぶこともできる。これらの平均分子量は、特に7500Dであり、そしてこの際 輸送速度は 好ましくは300〜8500ng/分/mg 蛋白質である。
【0027】
微生物法に得られる蛋白質は、たとえば真菌培養に由来し、そしてこれらは上記輸送速度及び平均分子量 15,000D〜25,000Dを有する。
【0028】
植物性蛋白質は、たとえば上述のような絹又は特に乳に由来する上記の、動物性蛋白質が極めて特に好ましい。これらの2つのグループに由来する蛋白質混合物も、特に適する。特に、本発明にしたがって使用される蛋白質は少なくとも水分散性であるが、とりわけ水溶性である。これらは特に輸送ベシクルとして作用する。これらを 0.01〜10重量%、特に 0.01〜8重量%の量で使用することができる
0.01〜5 重量%、特に 0.01 〜3 重量%、特に 0.01〜0.95%、及び極めて特に 0.01〜0.85又は0.1〜0.85、特に 0.1〜0.5 重量%の量が選ばれるのが好ましい。
【0029】
種々のグループ、特に上記種類の動物性蛋白質及び植物性蛋白質からの代表物の組み合わせも使用することができる。この場合、異なるグループからの物質の割合は、たとえば1:4〜1:10、特に1:1〜1:6に変動することができる。乳蛋白質、特に加水分解された乳蛋白質と、上述のような、特に好ましい分子量を有する、カラスムギ蛋白質、大麦蛋白質、雑穀蛋白質又はスペルト蛋白質から選ばれる植物性蛋白質又は海洋性蛋白質(それぞれ示された、特に好ましい輸送速度及び分子量の範囲にある)との組み合わせが特に適する。
【0030】
場合により、上記分子量及び輸送速度を有する上記種類の特定の再利用蛋白質は、付加的に変性されていない脂質の輸送に触媒的にも作用し、これらはたとえば雑穀、そば、スペルト及びタピオカ(特にこれらが上記の好ましい平均分子量及び輸送速度を有する場合)に由来するものである。そしてこのことが変性されていないか又は再生された脂質の促進された輸送によってこの系の予期されない更なる改善を生じさせることができる。 したがってこれらも好ましい。本発明によれば、別の好ましい実施態様において、従来技術(ドイツ特許第3815473(C1)号明細書又はドイツ特許公開第10324256(A1)号明細書)に記載されているように、構造的に、特に酸化的に変性されていない脂質に対する輸送速度を有する蛋白質にさらに含有され、そしてそのときにこれが変性されていない脂質、特に再生された脂質の対応する凝集体への更なる触媒的活性化された輸送を生じさせる。これに、特にドイツ特許公開第10324256(A1)号明細書に記載されているように、好ましくはカラスムギ、小麦、トウモロコシ(平均分子量3800〜7700、特に5800〜7700)、乳 (たとえば平均分子量2700〜6800)、シーフード(平均分子量11,500〜23,000)又はそれらの混合物に由来する蛋白質が含まれる。したがって、全体で、再利用が行われる。構造的、特に酸化的に変性されていない脂質に対するこのような蛋白質の輸送活性は、公知方法で測定することができる(ドイツ特許公開第10324256(A1)号明細書参照)。
【0031】
2.脂質デポ
本発明の 脂質デポを調製するために、構造的に変性されていない脂質を使用する。
【0032】
これに特にレシチン、たとえば大豆及び卵レシチン、スフィンゴ脂質 及びリン脂質が含まれ、これらはベシクル形成剤でもある。後者の剤を用いて、単層又は多層リポソームの形成は、 それ自体で、たとえば適する界面活性添加剤及び水の存在下で行われるか、又は外部で、公知方法で、たとえば高圧均質化、超音波法、押し出し法又はデタージェントダイアリシスで行うことができる。ミセルエマルションが極性脂質から得られる。
【0033】
脂質デポとして、非輸送性有効物質の吸収に寄与する別の慣用の脂肪、油又はロウも使用することができる。これに、特に炭化水素、たとえばスクワレン、スクワラン 特にまた液体パラフィン、イソパラフィン、ジオクチルシクロヘキサン類、イソデカン及びイソヘキサンデカン類が含まれる。
【0034】
天然又は合成脂肪、油、ロウ、ポリシロキサン化合物、C12-22 脂肪酸のトリグリセリド又はモノグリセリド/ジグリセリド、C8-22 脂肪アルコール、たとえばオレイルアルコール、オクチルドデカノール、セチル/ステアリルアルコール;多価 C2-6 アルコールのC12-22 脂肪酸部分エステル、たとえば特にモノグリセリド、又はジグリセリド、たとえば グリセロールモノステアレート/ジステアレート及びそれらの混合物;ポリオールC12-22 脂肪酸エステル、たとえばPEGR−7−グリセリルココエート(Glycerycocoate)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプラート、ヘキシルデカノール及びヘキシルデシルラウラートのような混合物、及びC2-6 アルコールのC12-22 脂肪酸部分エステルも適する。 脂肪酸エステル、たとえばC2-18 アルコール脂肪酸エステル、たとえばイソプロピル脂肪酸エステル(パルミテート、ミルステート、イソステアレート及びオレアート)、デシルオレアート、ヘキシルラウレート、C12−15アルキル ベンゾエート及びジカプリルカーボネート並びに分枝状脂肪酸エステル、たとえばセテアリルオクタノエート及びジ−n−ブチルアジペートも適する。C8-22 脂肪アルコールエーテル、たとえばジカプリリルエーテル又は脂肪アルコールエステルたとえばC12−13 アルキルラクタート、特に グリセリド (C12-22 脂肪酸グリセリド)、たとえばトリグリセリド、特に 中鎖(中性油)、たとえばカプリル/カプリントリグリセリド、並びにそれらのポリオールエステル、たとえばプロピレングリコール ジカプリレート/ジカプラートも適する。
【0035】
中性脂肪、油及びロウは、たとえば、サンフラワー、大豆、桃仁、杏仁、ブドウの種、トウゴマ(castor)、オリーブ、ピーナッツ、アーモンド、乳、小麦胚芽及びアボガド油、シアバター又はイリッペ脂、中性液体ロウ、たとえばホホバ油又はその代替物、オレイルエルケート、中性ミツロウ及び類似物を包含する。
【0036】
合成又は半合成ロウの例は、 サラシミツロウ、Kエステル(登録商標) Wax K82H (C20-40 アルキルステアレート)又は Lunacera(登録商標) M (マイクロロウ) 又は 炭化水素ワックス、たとえば Lunacera(登録商標) P (鉱物ロウ)並びに硬化ヒマシ油 (Cutina(登録商標) HR)又は 合成ロウ、たとえば セチルパルミタート (Cutina(登録商標) CP)又は ミリスチルミリスタート (Crodamol(登録商標) MM)、又は ステアリル ステアレート(Crodamol(登録商標) SS)である。
【0037】
ポリシロキサン化合物の例は、シリコーンオイルロウ、たとえば ポリジメチルシロキサン類 (ジメチコン)、シクロメチルシロキサン類 (シクロペンタシロキサン類)、フェニルメチルポリシロキサン類、たとえば フェニルジメチコン 又は アルキルポリメチルシロキサン コポリマー類 、たとえば セチルジメチコン及びステアリル ジメチコン、ジアルコキシジメチルポリシロキサン類、たとえば ステアロキシ ジメチコン 及びベヘノキシジメチコンであり、これらは上記のその他の脂質と共に使用することができる。
【0038】
上述のように、脂質は、特にリポソーム相として、又はその他の脂質物質が単独で又はベシクル形成物質と組み合わせで使用される場合、エマルション、特にミセルエマルションとして使用される。これに適する添加剤、たとえば 後記の、特に水 及び 界面活性物質が含まれ、そして脂質と添加剤との混合物は、所望のエマルションに、たとえば 適する装置中で攪拌及び(又は)均質化することによって変換される。
【0039】
ベシクルを形成する脂質、特にリン脂質、レシチン たとえば 大豆 及び 卵 レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ガングリオシド、セレブロシド、コレステロール 及び セラミド、たとえば セラミド−2、3及び6 並びにスフィンゴ脂質と共に、脂質デポとして適するその他の物質は、特に上記の中性油、脂肪 及び ロウ、トリグリセリド、C8-22 脂肪アルコール;多価 C2-6 アルコールのC12-22 脂肪酸部分エステルである。
【0040】
簡単な安定なエマルション、たとえばO/W型 及びW/O型エマルションを、適する添加剤を用いて、後述するように製造することもできる。
【0041】
ミセルエマルションは極性脂質に由来し、並びに脂質デポはリン脂質、レシチン、 たとえば 大豆 及び 卵 レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ガングリオシド、セレブロシド、コレステロール 及び セラミド、たとえば セラミド−2、3及び6 並びに スフィンゴ脂質に由来するのが好ましい。
【0042】
別の適する実施態様において、上記のラメラ脂質デポは、天然 及び(又は) 合成 脂質、特に トリグリセリド、飽和、不飽和 及び 一部飽和C6-24 脂肪アルコール、C8-30 脂肪酸エステル、特に上記 グループの中性代表物、特に中性油及びロウ、たとえばサンフラワー油、オリーブ油、桃仁油、小麦胚芽油、オレンジオイル、アーモンド、菜の花、大豆 及びココナッツオイル、プラントロウ、果実 ロウ 及び ミツロウと組み合わせで使用することもできる。
【0043】
脂質デポの量は、それぞれ所望の適用形態に従い、そして好ましくは1〜70重量%、特に3〜60重量%及び特に8〜57重量%である。ローション、スプレー又は ゲル様生成物が望まれる場合、脂質量は5〜45重量%であるのが好ましい。 特に温泉療法の目的で、たとえば、浴用添加剤として、25〜70重量%の脂質が、そしてシャワー用添加剤として、5〜35重量%の脂質が存在するのが好ましい。 脂肪クリーム(たとえば W/O型)の形にある製剤の場合、特に 5〜60重量% の脂質デポを含有することができる。
【0044】
3.非輸送性有効物質
非輸送性有効物質は、特に、構造的に変性された脂質を相互作用によってそのベース構造を取り戻すことができるものを包含する。 次の物質が特にこの範囲に含まれる: 比較的に高い分子量の酵素蛋白質、たとえば パーオキシダーゼ、コファクター たとえばグルタチオン及び 同様なスルフヒドリル化合物、酸化防止剤、たとえば ユビキノン類、植物性 フェノール化合物、たとえば シスタスティー抽出物、リンゴケルセチン、レドックス系 たとえば エリソルビン酸 又はそれらの混合物。これらの有効物質、特に パーオキシダーゼ、コファクター たとえば グルタチオン、シスタスティー抽出物、リンゴケルセチン 及び エリソルビン酸は、酸化された脂質の再利用に特に 適する。
【0045】
更に、アスコルビン酸、アルファ−リポ酸、NADH、NADPH、緑茶抽出物又はそれらの混合物から選ばれる水溶性 又は少なくとも水分散性非輸送性有効物質を使用することもできる。
【0046】
ブルーベリー 又はエルダーベリー からの水溶性抽出物 又はブドウ又はイチゴ又はそれらの混合物からの水溶性抽出物も適する。
【0047】
ルチン酸 及び オオウイキョウ酸も同様に可能である。
【0048】
パーオキシダーゼ、グルタチオン、同様なスルフヒドリル化合物 及び ユビキノン類が特に好ましい。
【0049】
これらの有効物質は特に水分散性ないし水溶性であり、そしてそれ自体公知の製造方法によって脂質デポ中に導入することができる、このために、水性相を先ず調製し、所望の再利用有効物質1種以上を混合する場合、 脂質デポ相を調製し、 ついで2つの相を適する公知の装置を用いて、場合によりさらに別の添加剤、たとえば コロイド、界面活性剤、稠度調節剤等々と一緒に相互に混合する。非輸送性有効物質は、適用上公知の量、たとえばその系に応じて 0.01〜9 重量%、特に 0.1〜7% 及び 好ましくは 0.01 〜5 重量%で存在する。
【0050】
4.添加剤
添加剤の種類は所望の適用形態に従い、そして特に水、及び 添加剤を包含する。
【0051】
添加剤は、 特に、界面活性剤、コロイド、スキンケア剤、稠度調節剤、付加的な有効物質、保存剤、香料、着色剤 又はそれらの混合物から選ばれる。
【0052】
界面活性剤は乳化剤又は分散剤であり、そしてこれらを0.1 〜20重量%、好ましくは 0.1〜10 重量%、特に1〜7重量%の量で含有することができる。これらは、W/O型分散剤、 たとえば 好ましくは ソルビタン誘導体 (ソルビタンオレアート、ソルビタンステアレート)、エトキシル化された脂肪酸/アルコール/ エステル、たとえば PEG2/4 ステアレート、セテアレス(ceteareth)3、(ポリ)グリセリルエステル (たとえば ポリグリセリル−3−ステアレート)、グリセリンエステル、 たとえば グリセリル リシノレアート、ポリマー、たとえば ポリオキシプロピレン−ポリエチレン ブロックポリマー、ポリシロキサン−コポリマー、たとえば ポリシロキサン−ポリエーテルコポリマー、特に ポリシロキサン−ポリアルキル−ポリエーテル−コポリマー、たとえばセチルジメチコン コポリオール、多価の塩、たとえばステアリン酸−マグネシウム、−アルミニウム 又は−亜鉛、トリグリセリド、たとえば エトキシル化されたC8-22 脂肪 アルコール/C12-22 脂肪酸、酸化エチレンと C3-6 ポリオールとの付加生成物のC12-22 脂肪酸モノエステル及びジエステル、エトキシル化されたアルキルグリコシド、(ポリ)グリセリル誘導体、ポリオールエステル、ペンタエリスリトール誘導体、アルキルフェノール又はそれらの混合物、及びこれらのうち特にAbil(登録商標) EM90、Arlacel(登録商標)582及び ステアリン酸マグネシウム 又はそれらの混合物を包含する。 共乳化剤、たとえば ステアリル−セチルアルコールステアリン酸、及びまたAriatone(登録商標)T(V) も存在することができる。さらに、界面活性剤に、O/W型乳化剤、 たとえば 特に ポリオキシエチル化された生成物、たとえば マグロゴル(magrogol)タイプのもの(脂肪酸/エステル部分で6〜22個のC原子の鎖長及び5〜30のエトキシル化度を有する、PEG 脂肪酸/ アルコール/ 脂肪酸エステル)、非イオン性及びイオン性ホスフェート、イオン性一価の塩、ステロール誘導体、ヒマシ油誘導体、シロキサン類又はそれらの混合物 又はそれらの共乳化剤との混合物が含まれる。O/W型乳化剤として、特にポリオキシエチル化された生成物、非イオン性及びイオン性ホスフェート、イオン性一価の塩、(ポリ)グリセリルエステル、ステロール誘導体、ヒマシ油誘導体、シロキサン類 又はそれらの混合物 又はそれらの共乳化剤との混合物が適する。この場合、Tego Care(登録商標)450、Emulgin(登録商標)B1又はそれらの混合物 及び(又は) 共乳化剤との混合物が特に 適する。同様に、W/O型 乳化剤として、ソルビタン誘導体、ポリエトキシル化された脂肪酸/ アルコール /エステル/トリグリセリド、(ポリ)グリセロール 誘導体、ポリオールエステル、グルコース誘導体、ペンタエリスリトール 誘導体、アルキルフェノール、(ブロック) ポリマー、脂肪酸塩、シロキサン類 又はそれらの混合物が特に好ましく、そして これらのうち特にAbil(登録商標) EM90、Arlacel(登録商標)582及び ステアリン酸マグネシウム 又はそれらの混合物が特によって好ましい。
【0053】
共乳化剤 、たとえばArlatone(登録商標)T(V)が存在していてもよい。
【0054】
エトキシル化度 及び(又は) アルキル鎖長に応じて、O/W型又はW/O型分散剤を含有する。したがって、比較的高いエトキシル化度 及び(又は)短い鎖長はO/W型生成物を生じさせ、一方逆の特徴はW/O型生成物を生じさせる。このことは当業者に周知であり、そして適する生成物が対応するHLB値 (2〜7= W/O型、8〜18=O/W型、制限範囲9〜13水分散性)に基いて選ばれてよい。したがって所望のエマルションを、たとえば適する生成物の組み合わせによって得ることができる。
【0055】
更に、(コ)サーファクタントも界面活性剤として可能であり、特にアニオン性及び非イオン性サーファクタント(これらは特に付加的なクレンジング作用を伴う適用でも存在してよい。)である。これに、非イオン性 サーファクタントとして、 特にアルコキシル化された脂肪酸エステル、たとえば式R1CO(OCH2CHR2)xCR3(式中、R1CO=線状、分枝状、飽和 及び(又は) 不飽和 C6−22アシル基、R2=H又はメチル、R3=C1−4アルキル、x=1〜20 )で表わされるエステル及び類似の生成物(たとえば グリセリド)が含まれる。
【0056】
アニオン性 サーファクタントとして、 グルタマート、たとえば ナトリウム ココイルグルタマート(Hostapon(登録商標) CCG) 又はサルコシン酸アルキル、硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、スルホコハク酸アルキル、アルキル スルホサクシナマート、イセチオナート 又は それらのアルカリ塩又はそれらの混合物から選ばれる生成物が適する。 これらは、特に8〜22、好ましくは8〜16個の炭素原子を アルキル鎖中にを有する。この際、12〜8個の炭素原子 及びエトキシル化度2〜6を有する脂肪アルコールに由来する硫酸アルキルエーテルが特に好ましい。 それらはたとえば ラウリル/ミリスチル エーテルスルフェート、Na塩、アンモニウムラウリル エーテルスルフェート 又は モノイソプロパノールアンモニウム ラウリル エーテルスルフェート 又は 硫酸アルキル、たとえば ナトリウム ラウリルスルフェート、アンモニウムラウリルスルフェート 又は モノイソプロパノールアンモニウム ラウリルスルフェートである。
【0057】
サルコシン酸アルキル、 たとえば ナトリウム ラウロイル、ココイル 又は オレイルサルコシネート、コハク酸誘導体、たとえば 8〜22個の炭素原子を有するアルキル基を含む、スルホコハク酸アルキル 及び アルキル スルホサクシナマート又はそれらの混合物が極めて特に好ましい。 特に、上記サルコシン酸アルキルが好ましい。
【0058】
エマルション、特にエマルションゲルを、好ましくはコロイドの使用によって得ることもできる。
【0059】
コロイド (たとえば、好ましくは 0.01〜8%)は、特に高い又は比較的に高い分子量物質(天然又は(半)合成起源又はその組み合わせ) 、たとえば100,000D以上の分子量を有する高分子量の植物性蛋白質、比較的に高い分子量の蛋白質、たとえばカゼインナート、たとえば 平均分子量18,000以上のもの、ゼラチン又は 合成ポリマー、たとえば高分子量(0.2〜3百万)を有するアクリレートポリマー 及びそのコポリマー、特にアルカリによる中和後の合成ポリマーである。この場合、カルボマーのINCI名称で公知のポリアクリレート Carbopol(登録商標)タイプ、たとえば Carbopol(登録商標) 910、934、940、941、954、980、981、2984、5984 又は Carbopol(登録商標) ETD 2001、2050 又は Synthalen(登録商標) K、L、M 又は the すでに中和されたカルボマー類、 たとえば PNC(登録商標) 400、410、430 (INCI: ナトリウム カルボマー)が好ましい。また、アクリレートコポリマー、たとえばアリーレイト(arylates)/ C10−30 アルキル アクリレート クロスポリマー(これらはCarbopol(登録商標) 1342、1382、ETD 2020、Pemulen(登録商標) TR-1、TR-2として公知である。)を使用することができる。
【0060】
更に、 適するコロイドは、アクリルアミド類 並びに ポリサッカライド 、たとえば Keltrol(登録商標)(キサンタンガム)、セルロース誘導体、 たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel(登録商標) J12-MS) 又は エチルセルロース 又はシリケート類、たとえば マグネシウム アルミニウム シリケート(Veegum(登録商標) HV)(それぞれ高分子量、特に50,000より高い分子量を有する。)である。
【0061】
好ましいアクリルアミド類はポリアクリルアミド、たとえば Fiocare(登録商標) T 920 GC、場合によりポリアクリルアミド含有混合物、たとえば Sepigel(登録商標) 305 (ポリアクリルアミド類、C13−14イソパラフィン、ラウレス−7) Sepigel(登録商標) 501 (アクリルアミド コポリマー、鉱油、C13−14イソパラフィン、ポリソルベート 85)、Sepigel(登録商標) 502 (C13−14イソパラフィン、イソステアリル イソステアレート、ナトリウム ポリアクリレート、ポリアクリルアミド類、ポリソルベート 20)、Creagel(登録商標) EZ DC (ポリアクリルアミド、ポリデセン、ジメチコン コポリオール)、Creagel(登録商標) EZ 5(ポリアクリルアミド、ポリデセン、ラウレス−5)である。
【0062】
コロイドを共乳化剤、たとえば稠度調節剤で以下に挙げる脂肪アルコールと共に使用するのが好ましい。
【0063】
スキンケア剤は、たとえば(たとえば好ましくは 0.01〜20%、特に 0.01〜10%) フィトステロール (実質的にβ−シトステロール、カンペステロール 及びスチグマステロールの混合物)、たとえば 菜種油を含むもの(Generol(登録商標) R)、シリコーン(コ)ポリマー、たとえば Dow Corning(登録商標) HMW 2220 (ジビニルジメチコン / ジメチコン コポリマー、C12−13 pareth−3/C12−13 pareth−23)である。別の スキンケア剤は、 保湿剤、たとえば グリセロール、プロピレングリコール 又は ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール 又は ポリマー、たとえば ポリクオタニウムタイプ、たとえば ポリクオタニウム-39 (Merquat(登録商標) plus 3330)、アミノ酸、尿素、ポリサッカライド、 たとえば Fucogel(登録商標) 1000(biosaccharide gum-1)、グルコサミノグリカン、たとえばヒアルロン酸又は硫酸化されたグルコサミノグリカン、たとえば コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、特に それらのNa塩 又はヘパリンNa、グルカン、たとえばβ−グルカン、たとえばカラスムギ由来のβ−グルカン((Drago-b-glucan(登録商標))、マンナン、たとえば コンニャクマンナン、又は 市販の保湿剤、たとえば Hydractin(登録商標) (グリセロール、水、アデノシン三リン酸二ナトリウム、アルギニン、カリーカ・パパイヤ) 又は Aquaderm(登録商標)(ナトリウム PCA)、乳酸ナトリウム、フルクトース、グリシン、ナイアシンアミド、尿素、イノシトール)、塩類、たとえば 乳酸ナトリウム、及び DL-2-ピロリドン-5-カルボン酸、Na塩である。
【0064】
保湿剤は、たとえば ポリエチレン/プロピレングリコール又はグリセロール(たとえば 0.5〜10%、特に 2〜5%の量で)、並びに ポリサッカライド 化合物、たとえば Fucogel(登録商標) 1000、及び(又は)ヒアルロン酸、Na塩が好ましい。
【0065】
稠度調節剤は、 錯体形成剤、たとえば Trilon(登録商標)BD (EDTA、Na塩)、pH調節剤、たとえばクエン酸、苛性ソーダ、溶剤、たとえば プロピレングリコール 又は アルコール、デンプン又はデンプン誘導体、デンプン、たとえば米、小麦、トウモロコシ 及び ジャガイモデンプン、疎水性に変性されたデンプン、たとえば Dry Flo(登録商標) AF (変性されたコーンスターチ)、アルミニウム デンプンオクテニルサクシネート(Dry Flo(登録商標) PC、Fluidamid(登録商標) DF 12)、ヒドロキシプロピル デンプンphosphate エステル(Structure(登録商標) XL) 又はそれらの混合物、たとえば Natrasorb(登録商標) HFB (アルミニウム デンプンオクテニルサクシネート、アクリレート コポリマー、炭酸マグネシウム)、ASO/MM3(登録商標) (アルミニウム デンプンオクテニルサクシネート、ミリスチン酸マグネシウム)、Dry Flo(登録商標) Elite LL (アルミニウム デンプンオクテニルサクシネート、ラウロイル lysine)、Facemat(登録商標) (アルミニウム デンプンオクテニルサクシネート、雲母、Zea Mays (Com) starch、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛)、その上記物質の混合物である。
【0066】
別の適する稠度調節剤は、たとえば、脂肪アルコール、たとえば ステアリルアルコール (Lanette(登録商標) 18)、セチルアルコール (Lanette(登録商標) 16)、ミリスチル アルコール (Lanette(登録商標) 14) 又は セチル アルコール (Lanette(登録商標) O)である。また グリセリルエステル、 たとえば ステアリン酸グリセリル、特に グリセロールモノステアレート 又は グリセロールジステアレート 又はそれらの混合物、たとえば Tegin(登録商標) Mが適する。 これらは場合により共乳化剤としても解釈することができる。
【0067】
本発明の調製物は、 特に皮膚に対して中性であり、皮膚又は粘膜上で穏やかであり、そしてこの場合これは好ましくはpH≦7を有する。
【0068】
更に、1種以上の 保存剤 (好ましくはたとえばそれぞれ 0.01〜5%) が存在していてもよい。適する保存剤は、ヨードプロピニルブチルカルバメート、DMDMヒダントイン、フェノキシエタノール及び別の慣用の保存剤、たとえば ソルビン酸 及び デヒドロ酢酸及びそれらの塩、メチルジブロモグルタンニトリル等々、又はそれらの組み合わせ、又は その他の酸、たとえば 安息香酸又はサリチル酸、又は ベンジルアルコール 又は エステル たとえば p−ヒドロキシ安息香酸エステル、たとえば メチル、エチル、プロピル、ブチル又はイソブチルパラベン、好ましくはメチル又は プロピルパラベン、又はそれらの混合物 又は クリバゾール(Climbazol)又は上記物質の適する組み合わせである。
【0069】
適する香料 (たとえば好ましくは 0.01〜5%)は、有効物質で挙げたエーテル油 又は市販の香料混合物である。
【0070】
着色剤 (たとえば、好ましくは 0.01〜2%)として、 好ましくは該当する分類の生成物に周知の成分、たとえば パテントブルー、アミドブルー、オレンジRGL、コチェニル(Cochenille)レッド及びキノリンイエローが選ばれる。
【0071】
付加的な有効物質 (たとえば0.01〜10%) は 特にビタミン類、植物性抽出物、合成によって製造された、これらの抽出物に対応する物質及びそれらの類似誘導体、並びに 皮膚に影響を与える有効物質 及びそれらの混合物である。
【0072】
植物性抽出物は、イランイラン、ギンナン、松葉、糸杉、樺の葉 抽出物、アロエベラ 抽出物、マリーゴールド、ハイビスカス、ゴボウ、マンサク、マーチペニーボルト葉(march pennywort leaf)、藻類、マルメロ、スイレン 及び シナモン抽出物、タイム、ミント、ライム、オレンジ、グレープフルーツ、マンダリン、ビャクシン、バレリアン、レモンバーム、ユーカリ、タイム、パルマローザ、ローズマリー、ラベンダー、ローズウッド、レモングラス、ワイルドローズ、トウヒ 及び 松葉に由来する抽出物、ジンジャー、アカフサスグリ、ライムブロッサム、マリーゴールド、マグノリア、パイナップル、グアバ、エキナシア及びアイビーリーフ抽出物又はそれらの混合物から得られるものである。
【0073】
これらの抽出物を、たとえば水蒸気蒸留によって製造することができる。これによってたとえばエーテル油が上記植物から得られ、これが特に好ましい。
【0074】
抽出物を、別の公知の方法、たとえば 溶剤抽出(アルコール、トリグリセリド 又は 炭化水素、水 及びそれらの混合物を用いて)によって得、ついでそのまま使用することもできる。
【0075】
同様に合成によって製造された物質はたとえばテルペン類及びテルペノイド類、たとえばカンファー、メタノール、シネオール又はそれらの混合物である。
【0076】
適するビタミン類は、ビタミン A、E、又はその他の又はそれらの適する誘導体、たとえば エステル、たとえば パルミタート、アセタート又はホスフェートである。
【0077】
更に、鉱物 及び 微量元素、 たとえば 銅、亜鉛 又はそれたの誘導体、たとえば Zincidone(登録商標)(Zink PCA)、グルコン酸亜鉛又はグルコン酸銅が適する。
【0078】
収斂性及び皮脂調節物質、たとえば Acnacidol(登録商標) 10.1 (プロピレングリコール、ヒドロキシデカン酸)、Asebiol(登録商標) BT(加水分解された 酵母蛋白質、ピリドキシン、ナイアシンアミド、グリセロール、パンテノール、プロピレングリコール、アラトイン(allatoin)、ビオチン)、Lipacide(登録商標) C8C0(カプロイルコラーゲンアミノ酸)、Sebosoft(登録商標) (グリセロール、水、PEG−8、カプリイルグリコール、セバシン酸、ナトリウム ポリアクリレート)、Sepi Control A5 (カプリロイルグリシン、メチルグリシン、シンナモヌムゼラニクム(cinnamonum zeylanicum))を使用することもできる。
【0079】
更に、 付加的な有効物質として、血液循環促進物質、たとえばニコチン酸 誘導体 たとえばニコチン酸メチル又はトコフェリル、アルファ及び ベータヒドロキシル酸及び それらの誘導体、たとえば グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸及び乳酸、サリチル酸、サリチル酸イソプロピルベンジル、C12−13 アルキルラクタート(Cosmacol(登録商標) ELI) 又は抗炎症及び 抗菌性物質、たとえば トリテルペン類、たとえば ウルソル酸又はグリシルレチン酸及びそれらの誘導体、たとえばグリシルレチン酸ステアリル、ステアリルカリウム、パントテン酸誘導体、たとえば D−パンテノール、パンテニルトリアセタート;アラトイン、ビスアルコール;アズレン類、たとえば カムアズレン又はクアヤアズレン(guajazulene);フィトスフィンゴシン;トリクロサン; クロロヒキシジン誘導体 及び(又は) ふけ防止剤、たとえば クライバゾール(climbazol) 又は ピロクトンオルアミン(piroctone olamine)を使用することができる。
【0080】
細胞保護効果を有する物質 、たとえば コエンザイムQ10を、本発明の調製物中に有効な添加剤として使用することもできる。
【0081】
その他の付加的な有効物質はUVフィルター、たとえば UVB、UVA及び 下記の種類の広帯域フィルター:
UVBフィルター:ケイヒ酸 エステル、たとえば エチルヘキシルメトキシシンナメート、イソアミルp−メトキシシンナメート 並びに4−メチルベンジリデンカンファー、パラアミノ安息香酸及び エステル たとえば N,N―ジメチルー4−アミノ安息香酸、2−エチルヘキシル エステル、サリチル酸ホモメチル、サリチル酸オクチル、オクロクリレン フェニルベンズイミダゾールスルホン酸又はベンジリデンマロナートポリシロキサン、広帯域吸収用UVA+UVB フィルター 、たとえば ベンゾフェノン−3(Neo(登録商標) Heliopan BB、Eusolex(登録商標) 4360)。
UVAフィルター、たとえば メチルアンタラニレート、ブチル メトキシジベンゾイルメタン、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジナトリウムフェニル ジベンズイミダゾールテトラスルホネート2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル。
【0082】
付加的な有効物質は、イランイラン、レモングラス、ミント、オレンジ、野バラ、グレープフルーツ、ライム、銀杏、マンダリン、糸杉、タイム、ラベンダー、ローズマリー、ジンジャー 又はそれらの混合物に由来するエーテル油 又は抽出物であるのが特に好ましい。
【0083】
更に、特に上記ビタミン類 及び(又は) パンテノールを、特に1種以上の植物性 抽出物 /エーテル油と組み合わせて使用する。
【0084】
特に、所望の付加的な有効物質は、ビタミン類、UVフィルター、植物性抽出物又は 皮膚科学的有効物質、たとえば 抗カビ剤 たとえばナフチフィンHCl、テルビナフィンHCl又は 抗酸化剤(特に少量で)、抗菌剤及び(又は) 皮脂調節物質から選ばれる。
【0085】
添加物の種類及び量は、適用の所望の形態及び 所望の目的に従う。 多くても40%、特に0.01〜30%、殊に0.01〜25%、好ましくは0.1〜20%又は1〜18%、特に5〜15%の添加物が存在する場合が好ましい。 特に好ましくは 添加剤として、水のほかに、稠度調節剤、着色剤、香料、コロイド、界面活性(表面活性)剤、スキンケア剤、場合により保存剤 又はそれらの混合物から選ばれ、この際 スキンケア剤、稠度調節剤及び付加的な有効物質が 特に好ましい。
【0086】
添加剤は水、 及び特に、付加的な有効物質、スキンケア剤、着色剤、香料、界面活性剤、特に コロイド、コサーファクタント、稠度調節剤 及び 保存剤から選ばれる、 0.01 〜30%、特に 0.1〜20重量%の添加物から選ばれるのが特に好ましい。
【0087】
好ましい調製物は、これらが 0.01〜10 重量%の、1種以上の 輸送蛋白質 b)、1〜 70重量%、好ましくは 1〜50 重量%、特に 1〜40 重量% の 脂質 デポ a)、 0.01〜10 重量%の、1種以上の非輸送性有効物質c)、 及び d)として、特に、付加的な有効物質、スキンケア剤、着色剤、香料、上記の界面活性(表面活性)剤、コロイド、稠度調節剤、保存剤 又はそれらの混合物から選ばれる添加物1〜30重量%、特に 1〜20重量%並びに 水(残部として)を含有することを特徴とする。
【0088】
別の実施態様において、0.05〜5重量%、特に 0.1〜3 重量%の輸送蛋白質 b)、1〜 60 重量%、特に5〜53重量%の 脂質デポ a)、0.05〜5 重量%、特に 0.1〜 5 重量%の有効物質 c)、及び d)として付加的な有効物質、スキンケア剤、着色剤、香料、界面活性(表面活性)剤 たとえば /W型乳化剤、W/O型乳化剤、共乳化剤、コサーファクタント、コロイド、稠度調節剤、保存剤 又はそれらの混合物から選ばれる添加剤1〜 25 重量%、好ましくは 1〜20、特に 1〜15 重量%、並びに水(残部として)を含有する。
【0089】
5.適用形態:
5〜80 重量%にあることができる水含量に従い、次の(例としての)適用形態が得られる (それぞれ例として挙げた添加物を有する):
コロイド、共乳化剤 及び 場合により付加的な有効物質、スキンケア剤、着色剤、香料、稠度調節剤 又はそれらの混合物を含有するゲル (たとえば、50〜80%水);
界面活性剤 / コロイド 及び 場合により付加的な有効物質、スキンケア剤、着色剤、香料、稠度調節剤 又はそれらの混合物を含有するO/W型 又は W/O型クリーム (たとえば、20〜70%水);
界面活性剤/コロイド 及び 場合により付加的な有効物質、スキンケア剤、着色剤、香料、稠度調節剤 又はそれらの混合物を含有するバルサム(たとえば、10〜60%水);
コロイド、コサーファクタント、共乳化剤 及び場合により付加的な有効物質、スキンケア剤、着色剤、香料、稠度調節剤 又はそれらの混合物を含有する入浴又はシャワー用添加剤(たとえば30〜80%水)。
【0090】
再利用系の作用プロセス(Functionweise)
本発明の調製物は、構造的に変性された脂質の触媒活性的輸送又は再利用を特徴する、脂質デポ、特定の蛋白質及び特定の有効物質を含有する。この際、これらの有効物質は脂質デポ中に導入され、輸送されない。この方法で、変性された脂質の輸送に対する熱力学的駆動力は保持され、したがってこのプロセスは、2つのコンパートメント(構造的に変性された脂質不含脂質デポ /構造的に変性された脂質含有脂質凝集体)中での平衡分配によって、従来技術に記載されている系の場合のように、使い果たされない。したがって、輸送されない有効物質1種以上の濃縮によって作用持続のまさにその時をコントロールすることができる。 たとえば、これは適当な適用形態、たとえば高い有効物質含有量のナイトクリーム、ミルク(たとえば クレンジングミルク)、中程度の有効物質量の浴用添加剤及びいくらかより少量の有効物質量のシャワー調製物を用いて行うことができる。その特、変性された脂質の再利用が脂質凝集体構造の外部で行われ、その結果として有効物質の非生理学的蓄積が起こりえない。それによってこれらの構造体への望まれない作用が避けられる。
【0091】
再利用の後、本発明によれば同時に又は付加的に、従来技術、たとえば ドイツ特許第3815473(C1)号明細書によれば、対応する輸送蛋白質の存在下に再利用された脂質を再度凝集体に戻す。
【0092】
次の純効果(net effect)が生じる:変性された脂質の本発明のデポへの触媒活性的輸送の特異性と関係なく、変性された脂質を凝集体構造の外部での再利用によって、一方で凝集体から除去する(リモート再利用(remote recycling))。というのは変性されていない脂質に関して、その脂質の不変の出−入り輸送(Hin- und Hertransfer)によって、純効果が全く起こらないからである。変性された脂質に対する触媒活性的輸送の与えられた特異性で、凝集体からの変性された脂質に対する純輸送は、依然として変性された脂質の濃度しか依存しない。脂質凝集体のその含有量が増加した場合、デポ中に輸送されたその割合も増加される。
【0093】
したがって、脂質凝集体からの変性された、特に 酸化的に変性された脂質の再利用のための本発明の系は、自動調節特性を有する。この際再利用の効率が脂質凝集体の変性が増加するのと同じ程度に増加する。同時に、凝集体の生理学的組成は、変性されていない脂質の不変の出−入り輸送の故に、著しく維持され、結果として望まれない作用を生じ得らない。 したがって、本発明の再利用輸送蛋白質を、特に皮膚/粘膜上への局所適用による、構造的、特に 酸化的に変性された脂質の輸送 / 再利用に、又は生体膜のエンジニアリングに使用又は適用することができる。更に、これらはまた特に、これに適する系又は調製物中で使用することができるか、又は成分a)、b)、c) 及び d)からなる上記調製物のように、これらからの製造に使用することもできる。このような系又は調製物は、 特に 局所適用に、たとえばクリーム、ゲル、ローション、スプレー、マスク、バルサム、シャワー 又は浴用添加剤、バルサム、ミルクの形で、たとえば 皮膚又は粘膜、たとえば 後述の適応症、特に皮膚及び毛髪における適応症に関する皮膚又は粘膜での構造的、特に酸化的に変性された脂質の輸送/ 再利用に適する。
【0094】
再利用系の適用
意図する目的に応じて、適する添加剤、特に美容的又は美容−温泉療法的あるいは皮膚科学的/治療的な、皮膚、毛髪又は粘膜への適用に対する適する添加剤の選択によって本発明の調製物を使用することもできる。この場合、調製物はクリーム、ローション、ミルク、ゲル、ゲルエマルション、バルサム、スプレー、シャワー用添加剤、浴用添加剤 (場合によりフォーミング)又はマスクとして存在し、そのまま、美容又は美容−温泉療法的適用で脂質再生スキンケア又はクレンジングに使用することができる。 その際、炎症した、老化した、特に軽くダメージを受けた、乾燥敏感肌又は毛髪の外観の改善、すなわち官能的 / 構造的、特に酸化的に変化した皮膚/粘膜における改善が行われる。クリーム 又は ゲル クリーム 並びにシャワー 又は 浴用添加剤の形での、又はまたマスクとしての適用が特に好ましい。本発明の組み合わせによって、使用される輸送蛋白質は、変性された親油性 / 両親媒性成分用ベシクルとしてその作用を発現することができる。変性された脂質の輸送、外部再利用及びリターン輸送の故に、所望されない物質は脂質構造体中に残存しない。したがって特に美容のための、 酸化的に変性された脂質の再生を、上述のように本発明の調製物の表面上及び特にヒトの皮膚上への適用によって達成することができる。適する付加的な有効物質の選択によって、別の効果を達成することができる。その適用は皮膚科学的 /医療適用にも使用することができる。この場合特に、炎症状態、皮膚の炎症状態、たとえばアレルギーの結果としての炎症、又は 皮膚火傷、並びに気道の炎症状態、たとえば アレルギーの結果としての炎症、又は 起こりうる適用域の炎症である。この場合、本発明の調製物を用いて 、局所外部適用で、特に老化した、ダメージを受けた、特に 軽いダメージを受けた、乾燥、敏感な、炎症した哺乳類の皮膚、特にヒトの皮膚の変性された、特に酸化的に変性された脂質凝集体構造に影響を与えて、再生することができる。
【0095】
製品の製造
本発明の調製物を、1種以上の所望の脂質を混合し、場合により加熱し、場合によりまた、所望ならば上述のようにリポソームの別々の製造によって脂質相を調製する。そこで可溶性添加物をこれに加えることができる。水溶性又は水分散性成分、たとえば添加物、グループc)の有効物質並びにグループb)の1種以上の蛋白質を、所望の濃度で添加し、ついで2つの相を適する温度、たとえば20〜80℃、好ましくは30〜60℃ないし室温で、エマルション/ ゲル/分散液等々の形にある安定な調製物が得られるように混合する。冷却後、熱的に安定な物質を場合により攪拌しながら添加することができる。この際、反応は、一方でコヒーレント相の高い分散性が達成されて、それ故に非輸送性有効物質がデポ中に残存し、そしてもう一方で輸送蛋白質の完全な状態(integrity)が保たれるように行われる。
【0096】
実施例
本発明を次の例によって更に詳細に説明する (その他に明記しない限り、重量の記載は重量%で示す):
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
【表4】

【0101】
【表5】

【0102】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1種以上の 構造的/官能的に変性されていない脂質を含むデポ(depot)、
b)構造的に変性された脂質に対する輸送速度を有する、1種以上の再利用輸送蛋白質(Recycling-Transferproteine)、
c)構造的/官能的に変性された脂質の再生のための、1種以上の非輸送性有効物質、及び
d)場合により、1種以上の、適用に関与する添加剤
を含む、調製物。
【請求項2】
構造的/官能的に変性された脂質が、酸化的に変性された脂質であり、そして脂質デポ中の脂質が酸化的に変性されていない脂質である、請求項1記載の調製物。
【請求項3】
1種以上の再利用輸送蛋白質が、酸化的に変性された脂質に対する輸送速度を有する、請求項1又は2記載の調製物。
【請求項4】
構造的/官能的に、特に酸化的に変性されていない脂質に対する輸送速度を有する輸送蛋白質1種以上を更に含有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の調製物。
【請求項5】
デポ a) の脂質1種以上が、天然又は合成脂肪、油、ロウ、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸部分エステル、グリセリド、シリコーン油、シリコーンロウ、炭化水素、レシチン、スフィンゴ脂質、コレステロール、リン脂質、ガングリオシド、セレブロシド、セラミド 又はそれらの混合物から選ばれる、請求項1〜4のいずれか1つに記載の調製物。
【請求項6】
脂質デポが単層又は多層リポソームを含むリポソーム脂質構造の形で含有される、請求項5記載の調製物。
【請求項7】
1種以上の再利用輸送蛋白質b)が、動物性蛋白質、植物性蛋白質及び海洋性蛋白質又はそれらの混合物から選ばれる、請求項1〜6のいずれか1つに記載の調製物。
【請求項8】
1種以上の輸送蛋白質 b)が 、平均分子量 4000〜8000Dを有する穀類、平均分子量6000〜20,000Dを有する塊茎又は果実、平均分子量 2500〜8000Dを有する乳から得られる蛋白質、又は平均分子量10,000〜40,000Dを有する絹及び海洋起源から得られる蛋白質、又はそれらの混合物から選ばれる、請求項7記載の調製物。
【請求項9】
1種以上の再利用輸送蛋白質が、構造的/官能的に変性され、そして特に酸化された脂質に対して、10〜10,000ng/分/mg 蛋白質の輸送速度を有する、請求項8記載の調製物。
【請求項10】
構造的/官能的に変性され、そして特に酸化された脂質に対する再利用輸送蛋白質1種以上が、600〜8000ng/分/mg 蛋白質の輸送速度及び平均分子量 3500〜8000Dを有し、そして上記蛋白質が、植物性蛋白質、特にカラスムギ、小麦、トウモロコシ、大麦、大豆、豆類、雑穀、スペルト(spelt)、そば、タピオカ、きく芋、ジャガイモに由来する、請求項8又は9記載の調製物。
【請求項11】
1種以上の再利用輸送蛋白質が、そば、雑穀、スペルト、タピオカに由来する蛋白質から選ばれる、請求項10記載の調製物。
【請求項12】
構造的/官能的に変性され、そして特に酸化された脂質に対する再利用輸送蛋白質1種以上が、上述のような輸送速度のそれぞれ、好ましくは500〜7000ng/分/mg 蛋白質の輸送速度を有する、平均分子量 2500〜8000Dの乳又は平均分子量15,000〜20,000Dの絹に由来する蛋白質である、請求項8又は9記載の調製物。
【請求項13】
輸送蛋白質として、請求項10〜12のいずれか1つに記載の植物性及び動物性蛋白質の混合物を含有する、請求項8〜12のいずれか1つに記載の調製物。
【請求項14】
1種以上の有効物質c)が、エリソルビン酸、グルタチオン、アルファ−リポ酸、植物フェノール化合物、比較的に高い分子量の酵素蛋白質、コファクター、水溶性酸化防止剤及び レドックス系より成る群からなる水溶性又は水分散性有効物質から選ばれる、請求項1〜13のいずれか1つに記載の調製物。
【請求項15】
非輸送性有効物質c)が、NADH、パーオキシダーゼ、エリソルビン酸、グルタチオン、アルファ−リポ酸、グリーンティー抽出物、シスタスティー(cystus-tea)抽出物、リンゴケルセチン、ブルーベリー抽出物、エルダーベリー抽出物又はそれらの混合物から選ばれる、請求項14記載の調製物。
【請求項16】
非輸送性有効物質 c)がエリソルビン酸、グルタチオン、シスタスティー抽出物、リンゴケルセチン又はそれらの混合物から選ばれる、請求項14又は15記載の調製物。
【請求項17】
0.01〜10重量%の、1種以上の再利用輸送蛋白質 b)、1〜40重量%の脂質 デポ a)、 0.01〜10重量%の、1種以上の有効物質c)、 及びd)として、0.1〜20重量%の添加物から選ばれた添加剤及び水 (残部として)を含有する、請求項1〜16のいずれか1つに記載の調製物。
【請求項18】
局所適用のための添加剤を含有する、請求項1〜17記載の調製物。
【請求項19】
添加剤として、水、及びコロイド、稠度調節剤、界面活性剤、保存剤、付加的な有効物質(Zusatzwirkstoffen)、香料、着色剤、スキンケアー剤又はそれらの混合物から選択される添加物から選ばれた、1種以上の物質を含有する。請求項1〜18のいずれか1つに記載の調製物。
【請求項20】
界面活性剤がO/W型乳化剤、W/O型乳化剤、共乳化剤、コサーファクタント(Co-Tensiden) 又はそれらの混合物から選ばれる、請求項19記載の調製物。
【請求項21】
液状、半液状又は固形物質の形でO/W型エマルション、W/O型エマルション、ゲルエマルション、ゲル、クリーム、バルサム(Balsam)、ローション、ミルク、フェイシャルマスク、スプレー、浴用添加剤又はシャワー用添加剤として存在する、請求項19又は20記載の調製物。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれか1つに記載の調製物を表面に塗布することによって処理すべき脂質凝集体と接触させる、酸化的に変性された脂質凝集体の再生方法。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれか1つに記載の調製物の塗布によって、酸化的に変性された脂質を、これを含有する脂質凝集体から流出させ(export)、デポ a)中で1種以上の有効物質c)を用いて再利用させ、その後脂質凝集体中に戻す、請求項22記載の方法。
【請求項24】
脂質凝集体が、ヒトの皮膚に、及び美容のための再生に関係する、請求項22又は23記載の方法。
【請求項25】
哺乳類、特にヒトの皮膚の局所美容又は美容−温泉療法的再生スキンケア又は再生スキンケアクレンジングへの、請求項1〜21のいずれか1つに記載の調製物の使用。
【請求項26】
哺乳類の皮膚の予防的、皮膚科学的、治療的再生治療用剤の製造への、請求項1〜21のいずれか1つに記載の調製物の使用。
【請求項27】
生体膜(生体内)の適切なエンジニアリング用剤の製造への、請求項1〜21のいずれか1つに記載の調製物の使用。
【請求項28】
生体膜(生体外、試験管内)の適切なエンジニアリングへの、請求項1〜21のいずれか1つに記載の調製物の使用。
【請求項29】
人工的に製造された脂質膜の適切なエンジニアリングへの、請求項1〜21のいずれか1つに記載の調製物の使用。

【公表番号】特表2009−517348(P2009−517348A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541606(P2008−541606)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010223
【国際公開番号】WO2007/059836
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(397045220)メルツ・ファルマ・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト・アウフ・アクティーン (31)
【Fターム(参考)】