説明

構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物

本発明は、構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)およびそのブレンドから作製された物品を提供する。提供される物品には、ポリ(プロピレンカーボネート)から製造された物品が含まれ、PPCは、高い頭−尾比、低いエーテル結合含有率、狭い多分散性および低い環状カーボネート含有率を有する。また、構造的に精密なPPCから作製された、それを取り込ませた、またはそれでコーティングした物品も提供される。一部の実施形態では、本発明は、構造的に精密なPPCから作製された、それを取り込ませた、またはそれでコーティングした物品を提供する。一部の実施形態では、本発明には、構造的に精密なPPCから作製されたフィルム、発泡物品、射出成形部品、吹込成形容器、コーティング、および分散液が包含される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、米国特許法第119条(e)項の下、2009年7月5日に出願された米国仮特許出願第61/223,042号、2009年7月9日に出願された米国仮特許出願第61/224,134号の利益を主張し、これらの各々の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
分野
本発明は、プラスチックの分野に関する。より詳細には、本発明は、構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)を含有するポリマー組成物およびブレンドならびにそれから作製された物品に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ポリ(プロピレンカーボネート)(本明細書中で以降「PPC」とも呼ぶ)とは、1960年代後半にInoueおよび共同研究者らによって最初に合成されてから知られているポリマーである。最近まで、高分子量のPPCは、酸化プロピレンをCOと共重合させるためにカルボン酸亜鉛触媒を用いて主に合成されていた。その結果生じる材料は熱心な調査の中心であり、いくつかの企業が日用品の熱可塑性物質としての材料の応用を探索している。現在まで、PPCは、PPCのクリーンな熱分解が有利である応用において犠牲ポリマーとしてのみ商業化されている。熱可塑性の応用のための材料の商業化は、乏しい熱および加工の特性によって複雑となっている。最近、遷移金属複合体がCOおよびエポキシドの共重合のために開発されたが、そのような複合体は、改善されたPPC材料の調製において完全に活用および/または最適化されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本発明には、反応パラメータを注意深く制御して作製したPPCは、有利な特性を有するPPCを生じるという認識が包含される。たとえば、特定の反応パラメータのそのような制御は、以前のPPC組成物よりも構造的に精密なPPCをもたらす。予想外に、この構造的に精密なPPCは、PPCが過去に性能が乏しかった数々の応用においてこの材料を使用することを可能にする、改善された加工特徴を有する。
【0005】
本発明は、他のものの中でとりわけ、構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)およびそのブレンドから作製された物品を提供する。特定の実施形態では、本発明は、構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)から製造された物品を包含し、PPCは、高い頭−尾比、低いエーテル結合含有率、狭い多分散性および低い環状カーボネート含有率を有する。
【0006】
一部の実施形態では、本発明は、構造的に精密なPPCから作製された、それを取り込ませた、またはそれでコーティングした物品を提供する。一部の実施形態では、本発明には、構造的に精密なPPCから作製されたフィルム、発泡物品、射出成形部品、吹込成形容器、コーティング、および分散液が包含される。特定の実施形態では、構造的に精密なPPCは、1つ以上の他のポリマーとブレンドする。一部の実施形態では、構造的に精密なPPCまたはそのブレンドは、充填剤、着色料、阻害剤、加工補助剤、可塑化剤、架橋結合剤などの添加剤をさらに含有する。
【0007】
定義
具体的な官能基および化学用語の定義を、以下により詳細に記載する。本発明の目的のために、化学元素をthe Periodic Table of the Elements、CAS version、Handbook of Chemistry and Physics、第75版、内表紙に従って同定し、具体的な官能基は、その中に記載されているように一般に定義される。さらに、有機化学の一般的原理、ならびに具体的な官能部分および反応性は、そのそれぞれの内容全体が本明細書中に参考として組み込まれている、Organic Chemistry、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito、1999、SmithおよびMarch、March’s Advanced Organic Chemistry、第5版、John Wiley&Sons,Inc.、New York、2001、Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers,Inc.、New York、1989、Carruthers、Some Modern Methods of Organic Synthesis、第3版、Cambridge University Press、Cambridge、1987に記載されている。
【0008】
本発明の特定の化合物は1つ以上の不斉中心を含むことができ、したがって様々な立体異性体、たとえば、鏡像異性体および/またはジアステレオマーで存在することができる。したがって、本発明の化合物およびその組成物は、個々の鏡像異性体、ジアステレオマーもしくは幾何異性体の形態であってよく、または、立体異性体の混合物の形態であってよい。特定の実施形態では、本発明の化合物はエナンチオピュアな化合物である。特定の他の実施形態では、鏡像異性体またはジアステレオマーの混合物が提供される。
【0009】
さらに、本明細書中に記載の特定の化合物は、別段に指定しない限りはZまたはE異性体のどちらかとして存在することができる、1つ以上の二重結合を有し得る。本発明には、さらに、他方の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、あるいは様々な異性体混合物、たとえば鏡像異性体のラセミ混合物としての化合物が包含される。上述の化合物自体に加えて、本発明には、1つ以上の化合物を含む組成物も包含される。
【0010】
本明細書中で使用する場合、用語「異性体」には、任意かつすべての幾何異性体および立体異性体が含まれる。たとえば、「異性体」には、本発明の範囲内にあるものとして、シス−およびトランス−異性体、E−およびZ−異性体、R−およびS−鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、そのラセミ混合物、ならびに他のその混合物が含まれる。たとえば、一部の実施形態では、化合物は、1つ以上の対応する立体異性体を実質的に含まないように提供される場合があり、「立体化学的に濃縮された」とも呼び得る。
【0011】
本明細書中で使用する場合、用語「エポキシド」とは、置換されたオキシランをいう。そのような置換されたオキシランには、一置換されたオキシラン、二置換されたオキシラン、三置換されたオキシラン、および四置換されたオキシランが含まれる。そのようなエポキシドは、本明細書中に定義されているように任意選択でさらに置換されていてもよい。特定の実施形態では、エポキシドは単一のオキシラン部分を含む。特定の実施形態では、エポキシドは2つ以上のオキシラン部分を含む。
【0012】
本明細書中で使用する場合、用語「ポリマー」とは、高い相対的分子質量の分子をいい、その構造は、低い相対的分子質量の分子から実際にまたは概念的に由来する単位の複数の反復を含む。特定の実施形態では、ポリマーは1つの単量体種のみからなる(たとえばポリエチレンオキシド)。特定の実施形態では、本発明のポリマーは、コポリマー、ターポリマー、ヘテロポリマー、ブロックコポリマー、または1つ以上のエポキシドのテーパードヘテロポリマーである。
【0013】
本明細書中で使用する場合、用語「触媒」とは、その存在が化学反応の速度および/または程度を増加させる、それ自体は消費されないまたは恒久的な化学変化を受けない物質をいう。
【0014】
本明細書中で使用する場合、用語「結晶性」とは、示差走査熱量(DSC)または同等の技法によって決定される、一次転移または結晶融点(Tm)を保有するポリマーまたはポリマー組成物をいう。この用語は、用語「半結晶性」と互換性があるように使用し得る。非晶質ポリマーと比較して、結晶性ポリマーまたはその組成物は、より高い度合の規則構造を保有する。一部の実施形態では、結晶性ポリマーは、この材料を非晶質材料から区別するために使用し得る特徴を有する。一部の実施形態では、結晶性物質は、融点を有するほどに十分に結晶性である。
【0015】
本明細書中で使用する場合、用語「結晶化可能」とは、特定の状態では主に非晶質であるが、本明細書中に記載の条件および方法に供した際に結晶化することができる、ポリマーまたはその組成物をいう。
【0016】
本明細書中で使用する場合、用語「非晶質」とは、示差走査熱量(DSC)または同等の技法によって決定される融点を欠くポリマーをいう。
【0017】
用語「頭−尾比」は、ポリ(プロピレンカーボネート)に関してその慣用の意味で使用される。そのような用語は、ポリマーまたはポリマー組成物の位置規則性を説明および/または定量するために使用し得る。ポリ(プロピレンカーボネート)の頭−尾比は、たとえばLednorら、J.Chem.Soc.,Chem.Comm.1985、598−599によって記載されているように、13C−NMR分光分析によって容易に決定することができる。
【0018】
本明細書中で使用する場合、用語「タクティシティー」とは、ポリマーまたはポリマー組成物中のプロピレン単位のメチル基の配向の立体規則性をいう。そのような立体規則性は、位置規則性(たとえば頭−尾比)とは別として考え得るが、単純にするために、以下の定義では、隣接するプロピレン単位を同じ位置化学とみなす。ポリマー主鎖に関して同じ相対的な立体化学配向を有する、隣接する(すなわち1つのカーボネート単位によって間隔が空いている)プロピレン単位からのメチル残基の対(ジアド)は、「メソ」(m)と呼ばれる。逆の立体化学的立体配置のものは「ラセミ」(r)と呼ばれる。3個の隣接するプロピレン単位(トライアド)が同じ配向のメチル基を有する場合、トライアドのタクティシティーは「mm」である。3個のプロピレン単位の配列中の2個の隣接するプロピレン単位が同じ立体化学配向を有し、その配向が3個目の単位の相対的な立体配置とは異なる場合、トライアドのタクティシティーは「mr」である。中央のプロピレン単位がどちらの隣接プロピレンとも逆の立体配置を有する場合、トライアドは「rr」タクティシティーを有する。全鎖の含有率における、ポリマー基材中のトライアドのそれぞれの種類の割合を決定することができ、100で乗算した場合に、ポリマー中に見つかるその種類のパーセンテージを示す。本明細書中で使用するタクティシティーとは、アイソタクチックな「mm」のトライアドのパーセンテージである。
【0019】
本明細書中で使用する場合、用語「シンジオタクチック」とは、プロピレン単位のメチル基の立体化学配向がポリマー鎖に沿って交互する、PPCポリマーまたはポリマー組成物をいう。たとえば、完全にシンジオタクチックなポリマーは、100%ラセミのジアドを有する。シンジオタクチックポリマーまたはその組成物は、必ずしも完全にシンジオタクチックである必要はなく、特定の度合のシンジオタクティシティーを含有し得る(たとえばわずかにシンジオタクチック)。
【0020】
本明細書中で使用する場合、用語「アイソタクチック」とは、プロピレン単位のメチル基の相対的な立体化学配向がポリマー鎖に沿って同じである、PPCポリマーまたはポリマー組成物をいう。たとえば、完全にアイソタクチックなポリマーは、100%メソのジアドを有する。アイソタクチックポリマーまたはその組成物は、必ずしも完全にアイソタクチックである必要はなく、特定の度合のアイソタクティシティーを含有し得る(たとえばわずかにアイソタクチック)。
【0021】
本明細書中で使用する場合、用語、材料の「融点」とは、示差走査熱量(DSC)によって決定される主および副の融解ピークのうち、最も高いピークとして定義される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、実施例2、3、および4で生成したPPCの試料のGPCの追跡ならびに分子量特徴を示す図である。
【図2】図2は、従来技術のPPCおよび本発明のPPCの、200℃で2時間にわたる熱安定性を実証するプロットを示す図である。
【図3】図3は、様々な濃度でポリエチレンおよびポリプロピレンとブレンドした本発明のPPCの物理的データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
特定の実施形態の詳細な説明
一部の実施形態では、本発明には、構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物から製造された物品が包含される。これらの物品を作製するポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、不均一亜鉛触媒系の存在下で酸化プロピレンおよび二酸化炭素の重合によって典型的に形成される従来技術のポリ(プロピレンカーボネート)組成物からそれらを区別する物理的特徴を有する。
【0024】
一般に、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、従来技術からの、構造的な精密さがより低いポリ(プロピレンカーボネート)組成物と比較して、改善された加工および性能の特徴を保有する。これらの従来技術の材料は、より高いパーセンテージのエーテル結合、より低い頭−尾比、より広い分子量分布、より高い環状カーボネート含有率、またはこれらのうちの任意の2つ以上の組合せを含有する。本明細書中に開示するポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、それだけには限定されないが、従来技術のポリ(プロピレンカーボネート)組成物が分解するまたは他の様式で性能が乏しくなる条件下での、射出成形、押出し、溶融加工、吹込み、熱成形、発泡、および鋳込を含めた手段によって加工されることができる。
【0025】
一部の実施形態では、それにより生成された、生じるポリ(プロピレンカーボネート)含有物品は、それだけには限定されないが、より高い強度、より低い熱変形の傾向、改善された気体遮断特性、より高いガラス転移温度、およびこれらのうちの2つ以上の組合せを含めた、予想外に改善された物理的特徴を保有する。
【0026】
提供されるポリマー組成物およびその物品の本開示中、用語「構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)」および「ポリ(プロピレンカーボネート)」は、別段に言及しない限りは、互換性があるように使用されることを理解されたい。
【0027】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、高い頭−尾比を有することを特徴とする。一部の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、高いカーボネート結合のパーセンテージを有することを特徴とする。一部の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、狭い多分散指数を有することを特徴とする。特定の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、非常に低いレベルの環状カーボネートを含有することを特徴とする。
【0028】
本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)が高い頭−尾比によって特徴づけられる実施形態では、ポリマーは、平均して約80%を超える隣接する単量体単位が頭−尾の配向である。特定の実施形態では、提供されるポリマー組成物中、平均して約85%を超える隣接する単量体単位が頭−尾の配向である。一部の実施形態では、提供されるポリマー組成物中、平均して約90%を超える隣接する単量体単位が頭−尾の配向である。一部の実施形態では、提供されるポリマー組成物中、平均して約95%を超える隣接する単量体単位が頭−尾の配向である。一部の実施形態では、提供されるポリマー組成物中、平均して本質的にすべての隣接する単量体単位が頭−尾の配向である。
【0029】
本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)が高いカーボネート結合のパーセンテージによって特徴づけられる実施形態では、ポリマーは、平均して約90%を超える隣接する単量体単位がカーボネート結合および約10%未満のエーテル結合を介して接続されている。特定の実施形態では、提供されるポリマー組成物中、平均して約95%を超える隣接する単量体単位がカーボネート結合を介して接続されている。一部の実施形態では、提供されるポリマー組成物中、平均して約97%を超える隣接する単量体単位がカーボネート結合を介して接続されている。一部の実施形態では、提供されるポリマー組成物中、平均して約99%を超える隣接する単量体単位がカーボネート結合を介して接続されている。一部の実施形態では、提供されるポリマー組成物中、平均して本質的にすべての隣接する単量体単位がカーボネート結合を介して接続されている。特定の実施形態では、ポリマーは、カーボネート鎖から別のプロセスで形成されたポリエーテル部分を含有する場合があり、そのような場合、ポリエーテル部分のエーテル結合は、COおよび酸化プロピレンの不完全な共重合から典型的に生じる上述のエーテル結合とは明確に異なると理解される。
【0030】
本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)が狭い多分散指数によって特徴づけられる実施形態では、ポリマーは約2未満のPDIを有する。特定の実施形態では、ポリマーは約1.8未満のPDIを有する。一部の実施形態では、ポリマーは約1.5未満のPDIを有する。一部の実施形態では、ポリマーは、約1.4未満、約1.2未満または約1.1未満のPDIを有する。特定の実施形態では、ポリマーは約1.0〜約1.2のPDIを有する。
【0031】
本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)が低い環状カーボネート含有率によって特徴づけられる実施形態では、ポリマーは約5%未満の環状カーボネート含有率を有する。特定の実施形態では、ポリマーは5%未満のプロピレンカーボネートを含有する。一部の実施形態では、ポリマーは3%未満のプロピレンカーボネートを含有する。一部の実施形態では、ポリマーは1%未満のプロピレンカーボネートを含有する。特定の実施形態では、ポリマーは本質的にプロピレンカーボネートを含有しない。
【0032】
一部の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、高い頭−尾比、高いカーボネート結合のパーセンテージ、狭い多分散指数、および低い環状カーボネート含有率からなる群から選択される2つ以上の特徴の組合せを保有することを特徴とする。一部の実施形態では、ポリ(プロピレンカーボネート)は、高い頭−尾比および高いカーボネート結合のパーセンテージの組合せを有することを特徴とする。一部の実施形態では、ポリ(プロピレンカーボネート)は、高い頭−尾比および狭い多分散指数の組合せを有することを特徴とする。一部の実施形態では、ポリ(プロピレンカーボネート)は、高い頭−尾比および低い環状カーボネート含有率の組合せを有することを特徴とする。一部の実施形態では、ポリ(プロピレンカーボネート)は、狭い多分散指数および高いカーボネート結合のパーセンテージの組合せを有することを特徴とする。一部の実施形態では、ポリ(プロピレンカーボネート)は、高い頭−尾比、高いカーボネート結合のパーセンテージ、および狭い多分散指数の組合せを有することを特徴とする。
【0033】
本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、一定範囲の分子量を有することができる。具体的な応用には、性能および加工の特徴の最適な組合せを得るためにより高いまたはより低い分子量の材料を使用することが望ましい場合がある。そのような選択プロセスは当業者に周知である。ポリマーの分子量は分子量数(Mn)によって表すことができる。本明細書中に記載の高分子量のPPCは、一般に約5×10g/molを超えるMnを有する。本明細書中に記載の低分子量のPPCは、約1×10〜約5×10g/molのMnを有する。
【0034】
特定の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、比較的高いMnを有する熱可塑性物質である。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密な熱可塑性ポリ(プロピレンカーボネート)は約5×10g/molを超えるMnを有する。特定の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)は約1×10g/molを超えるMnを有する。特定の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)は約5×10g/mol〜約2×10g/molのMnを有する。
【0035】
特定の実施形態では、本発明には、約40,000〜約400,000g/molの分子量を有する構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)が包含される。特定の実施形態では、本発明には、約50,000〜約350,000g/molの分子量を有する構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)が包含される。特定の実施形態では、本発明には、約100,000〜約300,000g/molの分子量を有する構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)が包含される。特定の実施形態では、Mnは約150,000〜約250,000g/molの範囲である。一部の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、約160,000〜約240,000g/molのMnを有する。特定の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、約180,000〜約220,000g/molのMnを有する。特定の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、約180,000のMnを有する。
【0036】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)は、以下の特性の組合せを有する:約60,000〜約400,000の範囲のMn、95%を超えるカーボネート結合含有率、約85%を超える頭−尾比、約1.5未満の多分散指数、および約5%未満の環状カーボネート含有率。
【0037】
一部の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)は、以下の特性の組合せを有する:約60,000〜約100,000の範囲のMn、95%を超えるカーボネート結合含有率、約85%を超える頭−尾比、約1.5未満の多分散指数、および約5%未満の環状カーボネート含有率。
【0038】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)は、以下の特性の組合せを有する:約80,000のMn、98%を超えるカーボネート結合含有率、約85%を超える頭−尾比、約1.2未満の多分散指数、および約2%未満の環状カーボネート含有率。
【0039】
一部の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)は、以下の特性の組合せを有する:約120,000〜約250,000の範囲のMn、95%を超えるカーボネート結合含有率、約85%を超える頭−尾比、約1.5未満の多分散指数、および約5%未満の環状カーボネート含有率。
【0040】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)は、以下の特性の組合せを有する:約180,000のMn、98%を超えるカーボネート結合含有率、約85%を超える頭−尾比、約1.2未満の多分散指数、および約2%未満の環状カーボネート含有率。
【0041】
一部の実施形態では、提供される構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)は、ある程度の度合の立体規則性を保有する。一部の実施形態では、PPCは少なくとも部分的にアイソタクチックである。一部の実施形態では、PPCは少なくとも部分的にシンジオタクチックである。特定の実施形態では、PPCは実質的にアイソタクチックである。一部の実施形態では、PPCは、アイソタクチックまたはシンジオタクチックなPPCを含むアタクチックなPPCのブレンドである。
【0042】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なPPCは、ブレンド中のそれぞれのPPC組成物が異なる平均分子量を有することを特徴とする、2つ以上のPPC組成物のブレンドを含む。特定の実施形態では、本発明のブレンドは、約150,000〜約400,000g/molのMnを有する高分子量のPPCのブレンドを含み、より低い分子量のPPCは約100,000g/mol未満のMnを有する。特定の実施形態では、本発明のブレンドは、約150,000〜約250,000g/molのMnを有する高分子量のPPCのブレンドを含み、より低い分子量のPPCは約30,000g/mol〜約80,000g/molのMnを有する。特定の実施形態では、そのようなブレンドのそれぞれの構成成分は、狭い多分散性を有する。特定の実施形態では、ブレンドの高分子量および低分子量の構成成分のPDIは、独立して測定した場合にそれぞれ1.2未満である。特定の実施形態では、そのようなブレンドは、低および高分子量を有する別々のPPCポリマーの試料を混合することによって生成する。
【0043】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)は、40℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有する。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)は、41℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有する。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)は、42℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有する。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)は、43℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有する。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)は、44℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有する。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)は、45℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有する。
【0044】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、亜鉛含有触媒以外の触媒を用いて形成する。特定の実施形態では、構造的に精密なポリマーは、検出可能な亜鉛残留物を含有しない。
【0045】
本発明に従って、本発明の実施形態に適した脂肪族ポリカーボネートは、遷移金属触媒の存在下でエポキシドおよび二酸化炭素の共重合によって得ることができる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、金属サレン触媒を用いて形成する。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、コバルトサレン触媒を用いて形成する。適切な触媒および方法には、その内容全体が本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第7,304,172号および公開PCT出願WO/2010/022388A2号に記載されているものが含まれる。
【0046】
一部の実施形態では、提供される構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、式Iによって表される構造を有するポリマー鎖を含む:
【0047】
【化1】

[式中、Xは、エポキシドを開環させることができる任意の求核剤の結合した形態に対応する部分であり、nは約10〜約40,000の整数である]。特定の実施形態では、構造I中のXは、ハロゲン化物、アジド、または、カルボン酸、スルホン酸、フェノール、およびアルコキシドの群からなる任意選択で置換された基からなる群から選択される。一部の実施形態では、nは約50〜約3,000である。
【0048】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリマーは、2つ以上の異なるポリマー鎖型の混合物として存在し、異なる鎖型は、2つ以上の異なる鎖末端基の存在および/またはポリマー鎖内に包埋された小分子ポリマー開始分子の存在、非存在もしくは相違によって識別される。
【0049】
特定の実施形態では、構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、2つのポリマー鎖型AおよびBが含まれることを特徴とし、型はその末端基が異なる。特定の実施形態では、ポリマー鎖型AおよびBは以下の式を有する:
【0050】
【化2】

[式中、nは上記定義のとおりであり、−Xおよび−Yは、それぞれエポキシドを開環させることができる求核剤を表し、−Xおよび−Yは異なる]。
【0051】
特定の実施形態では、XおよびYは、ハロゲン化物、アジド、または、カルボン酸、スルホン酸、フェノール、およびアルコキシドからなる群から選択される任意選択で置換された基からなる群から独立して選択される。特定の実施形態では、Xはハロゲン化物であり、Yは、カルボン酸、スルホン酸、フェノール、およびアルコキシドからなる群から選択される任意選択で置換された基である。特定の実施形態では、Xはハロゲン化物であり、Yはカルボン酸である。特定の実施形態では、Xはクロライドであり、Yはカルボン酸である。特定の実施形態では、Xはクロライドであり、Yは、ギ酸、酢酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、およびペンタフルオロ安息香酸からなる群から選択される。特定の実施形態では、Xはクロライドであり、Yはトリフルオロ酢酸である(以下に構造AおよびBとして示す)。
【0052】
【化3】

[式中、nは上記定義のとおりである]。
【0053】
特定の実施形態では、鎖型AおよびB間の比は約1:3〜約3:1の範囲である。特定の実施形態では、鎖型AおよびB間の比は約1:2〜約2:1の範囲である。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、鎖型AおよびBのほぼ等モルの混合物が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、鎖型AおよびBのほぼ等モルの混合物が含まれる。
【0054】
特定の実施形態では、構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物はC型の鎖を含む:
【0055】
【化4】

[式中、それぞれのnは独立して上記定義のとおりである]。
【0056】
特定の実施形態では、構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、型AまたはAおよびBの鎖と組み合わせたC型の鎖が含まれる。特定の実施形態では、C型の鎖対型AまたはAおよびBの鎖の比(たとえばC:AまたはC:[A+B]の比)は、約0.1:1〜約100:1の範囲である。特定の実施形態では、この比は約1:1〜約10:1である。特定の実施形態では、この比は約2:1〜約5:1である。
【0057】
一部の実施形態では、構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、その内にポリマー開始部分が包埋されたD型の鎖が含まれる。特定の実施形態では、包埋されたポリマー開始部分は、ポリカーボネート鎖のほぼ中央に位置する(言い換えれば、この部分は2つ以上のポリ(プロピレンカーボネート)鎖と連結されており、統計的には、それぞれの鎖はほぼ等しい長さである)。特定の実施形態では、D型の鎖は、2つのポリカーボネート鎖が包埋されたポリマー開始部分と連結された、直鎖状ポリマー鎖である。特定の実施形態では、D型の鎖は、3つ以上のポリカーボネート鎖が包埋されたポリマー開始部分と連結された、星形ポリマーである。
【0058】
特定の実施形態では、D型の鎖は式Dを有する:
【0059】
【化5】

[式中、それぞれのnは独立して上記定義のとおりであり、yは何個の追加の個々のポリカーボネート鎖が包埋されたポリマー開始部分に連結されているかを示す、1〜5の整数であり(たとえば、包埋されたポリマー開始部分と連結されたポリ(プロピレンカーボネート)鎖の合計数は、2〜6の範囲である)、Zは、2つ以上の部位で二酸化炭素と反応してポリマー鎖を開始させることができる(たとえば、酸素、窒素、硫黄、または炭素求核剤からそれぞれ炭酸、カルバミン酸、チオ炭酸、またはエステルを形成する)、任意の多官能性分子である]。特定の実施形態では、D型のポリマーのyの値は1である。特定の実施形態では、D型のポリマーのyの値は2である。特定の実施形態では、D型のポリマーのyの値は3である。
【0060】
一部の実施形態では、D型の鎖は式Dを有する:
【0061】
【化6】

[式中、それぞれのnは独立して上記定義のとおりであり、yは何個の追加の個々のポリカーボネート鎖が包埋されたポリマー開始部分に連結されているかを示す、1〜5の整数であり(たとえば、包埋されたポリマー開始部分と連結されたポリ(プロピレンカーボネート)鎖の合計数は、2〜6の範囲である)、Zは、2つ以上の部位でエポキシドと反応してポリカーボネート鎖の形成を開始させることができる(たとえば、それぞれ酸素、窒素、硫黄、もしくは炭素求核剤によって、それぞれエーテル、アミン、チオエーテル、または炭素−炭素結合を形成する)、任意の多官能性分子である]。特定の実施形態では、D型のポリマーのyの値は1である。特定の実施形態では、D型のポリマーのyの値は2である。特定の実施形態では、D型のポリマーのyの値は3である。
【0062】
一部の実施形態では、D型の鎖は式Dを有する:
【0063】
【化7】

[式中、それぞれのnは独立して上記定義のとおりであり、yおよびy’は、それぞれ独立して0〜6の整数であり、yおよびy’の和は少なくとも2であり、Zは、それぞれ構造DおよびDについて上述したように、2つ以上の部位で二酸化炭素またはエポキシドと反応してポリカーボネート鎖の形成を開始させることができる、任意の多官能性分子である]。特定の実施形態では、D型のポリマーのy’の値は2である。特定の実施形態では、D型のポリマーのyの値は2である。特定の実施形態では、D型のポリマーでは、yまたはy’のうちの一方の値は2であり、他方の値は0である。一部の実施形態では、yおよびy’の和は2を超える。
【0064】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、式Aの鎖および式Dの鎖を約1:50〜約50:1の比で含有する。特定の実施形態では、式Aの鎖対式Dの鎖の比は、約1:50〜約1:1の範囲である。特定の実施形態では、式Aの鎖対式Dの鎖の比は、約1:10〜約10:1の範囲である。特定の実施形態では、式Aの鎖対式Dの鎖の比は、約1:2〜約2:1の範囲である。
【0065】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、少なくとも0.1%の鎖Dを含有し、yおよびy’の和は2を超える。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、少なくとも0.5%および20%の鎖Dを含有し、yおよびy’の和は2を超える。
【0066】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、D型の鎖と共にA型の鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、D型の鎖と共にAおよびB型の鎖の混合物が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、D型の鎖と共にC型の鎖が含まれ、任意選択でA型の鎖またはAおよびB型の鎖の混合物も含有される。
【0067】
特定の実施形態では、本発明のポリマーにはD型の鎖が含まれ、包埋された鎖移動部分はエチレングリコールの結合した形態(たとえばZが−OCHCHO−である場合)であり、その結果生じるポリマー鎖は式Dを有する:
【0068】
【化8】

[式中、それぞれのnは独立して上記定義のとおりである]。
【0069】
特定の実施形態では、提供されるPPC組成物は、約10〜90%の構造Dを有する鎖を有し、残りは構造A、B、もしくはCの鎖またはこれらのうちの2つ以上の混合物から構成される。
【0070】
特定の実施形態では、本発明のポリマーにはD型の鎖が含まれ、包埋された鎖移動部分はジプロピレングリコールの結合した形態(異性体の混合物であり得る)であり、その結果生じるポリマー鎖は式Dを有する:
【0071】
【化9】

[式中、それぞれのnは独立して上記定義のとおりであり、RおよびRのうちの一方はメチルであり、他方は水素であり、RおよびRのうちの一方はメチルであり、他方は水素である(たとえば、式D中のZは以下の構造のうちの1つを有する:
【0072】
【化10】

)]。
【0073】
特定の実施形態では、PPC組成物は、約10〜90%の構造Dを有する鎖を有し、残りは構造A、B、もしくはCの鎖またはこれらのうちの2つ以上の混合物から構成される。
【0074】
特定の実施形態では、本発明のポリマーにはD型の鎖が含まれ、包埋された鎖移動部分は1,3プロパンジオールの結合した形態(たとえばZが−OCHCHCHO−である場合)であり、その結果生じるポリマー鎖は式Dを有する:
【0075】
【化11】

[式中、それぞれのnは独立して上記定義のとおりである]。
【0076】
特定の実施形態では、PPC組成物は、約10〜90%の構造Dを有する鎖を有し、残りは構造A、B、もしくはCの鎖またはこれらのうちの2つ以上の混合物から構成される。
【0077】
特定の実施形態では、本発明のポリマーにはD型の鎖が含まれ、包埋された鎖移動部分はグリコール酸の結合した形態であり、その結果生じるポリマー鎖は式Dを有する:
【0078】
【化12】

特定の実施形態では、提供されるPPC組成物は、約10〜90%の構造Dを有する鎖を有し、残りは構造A、B、もしくはCの鎖またはこれらのうちの2つ以上の混合物から構成される。
【0079】
特定の実施形態では、本発明のポリマーにはD型の鎖が含まれ、包埋された鎖移動部分はプロポキシル化グリセロールの結合した形態であり、その結果生じるポリマー鎖は式Dを有する:
【0080】
【化13】

[式中、それぞれのnは独立して上記定義のとおりである]。
【0081】
特定の実施形態では、提供されるPPC組成物は、約10〜90%の構造Dを有する鎖を有し、残りは構造A、B、もしくはCの鎖またはこれらのうちの2つ以上の混合物から構成される。
【0082】
特定の実施形態では、本発明のポリマーにはD型の鎖が含まれ、包埋された鎖移動部分はプロポキシル化ペンタエリスリトールの結合した形態であり、その結果生じるポリマー鎖は式Dを有する:
【0083】
【化14】

[式中、それぞれのnは独立して上記定義のとおりである]。
【0084】
特定の実施形態では、提供されるPPC組成物は、約10〜90%の構造Dを有する鎖を有し、残りは構造A、B、もしくはCの鎖またはこれらのうちの2つ以上の混合物から構成される。
【0085】
特定の実施形態では、本発明のポリマーにはD型の鎖が含まれ、包埋された鎖移動部分はポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールの結合した形態であり、その結果生じるポリマー鎖は式D10を有する:
【0086】
【化15】

[式中、それぞれのnは独立して上記定義のとおりであり、pは2〜200の整数(両端を含む)であり、Rは任意選択で存在し、存在する場合はメチルである]。
【0087】
特定の実施形態では、提供されるPPC組成物は、約10〜90%の構造D10を有する鎖を有し、残りは構造A、B、もしくはCの鎖またはこれらのうちの2つ以上の混合物から構成される。
【0088】
特定の実施形態では、本発明のポリマーにはD型の鎖が含まれ、包埋された鎖移動部分は任意選択で非置換の二価酸の結合した形態である。特定の実施形態では、二価酸は直鎖状の飽和二価酸であり、その結果生じるポリマー鎖は式D11を有する:
【0089】
【化16】

[式中、それぞれのnは独立して上記定義のとおりであり、qは0〜32の整数(両端を含む)である]。
【0090】
特定の実施形態では、提供されるPPC組成物は、約10〜90%の構造D11を有する鎖を有し、残りは構造A、B、もしくはCの鎖またはこれらのうちの2つ以上の混合物から構成される。
【0091】
特定の実施形態では、本発明のポリマーには、包埋された鎖移動部分が何であるかによって互いに区別される、D型の鎖の2つ以上の変種が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、D型のポリマー鎖と共に1つ以上の追加の異なるD型鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、D型のポリマー鎖と共に1つ以上の追加の異なるD型鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、D型のポリマー鎖と共に1つ以上の追加の異なるD型鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、D型のポリマー鎖と共に1つ以上の追加の異なるD型鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、D型のポリマー鎖と共に1つ以上の追加の異なるD型鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、D型のポリマー鎖と共に1つ以上の追加の異なるD型鎖が含まれる。
【0092】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、C型のポリマー鎖と共にD型の鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、C型のポリマー鎖と共にD型の鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、C型のポリマー鎖と共にD型の鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、C型のポリマー鎖と共にD型の鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、C型のポリマー鎖と共にD型の鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、C型のポリマー鎖と共にD型の鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、C型のポリマー鎖と共にD型の鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、A型のポリマー鎖と共にCおよびD型の鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、AおよびB型のポリマー鎖と共にCおよびD型の鎖が含まれる。
【0093】
特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、C型の鎖と共に鎖型AまたはAおよびBが含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、優勢のC型の鎖と共により少ない量の鎖型AまたはAおよびBが含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、大部分(たとえば、>50%、>60%、>70%、>80%、または>90%)のC型の鎖と共により少ない量のA型の鎖が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、大部分(たとえば、>50%、>60%、>70%、>80%、または>90%)のC型の鎖と共により少ない量のAおよびB型の鎖の混合物が含まれる。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、大部分(たとえば、>50%、>60%、>70%、>80%、または>90%)のCおよびD型の鎖と共により少ない量のAおよびB型の鎖の混合物が含まれる。
【0094】
一部の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物には、約30〜80%の、構造CおよびDの鎖またはCおよびDの混合物から選択されるポリマー鎖と、20〜70%の、構造A、B、またはAおよびBの混合物から選択される鎖とが含まれる。
【0095】
特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、等しい割合のAおよびB(たとえば、A鎖およびB鎖の間で1:1の比)と共に任意の割合の1つ以上の鎖型Cおよび/またはDを有する。特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、ほぼ等しい割合の、構造A、B、C、およびDを有する4つの鎖型を含有する。特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、ほぼ等しい割合のA、BおよびD(たとえば、A鎖、B鎖およびD鎖の間で約1:1:1の比)と共に任意の割合のC型の鎖を有する。特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、約10〜90%の鎖型A、B、CおよびDのそれぞれを含有する。
【0096】
特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、ほぼ等しい割合のA、BおよびD(たとえば、A鎖、B鎖およびD鎖の間で約1:1:1の比)と共に任意の割合のC型の鎖を有する。特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、約10〜90%の鎖型A、B、CおよびDのそれぞれを含有する。
【0097】
特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、ほぼ等しい割合のA、BおよびD(たとえば、A鎖、B鎖およびD鎖の間で約1:1:1の比)と共に任意の割合のC型の鎖を有する。特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、約10〜90%の鎖型A、B、CおよびDのそれぞれを含有する。
【0098】
特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、ほぼ等しい割合のA、BおよびD(たとえば、A鎖、B鎖およびD鎖の間で約1:1:1の比)と共に任意の割合のC型の鎖を有する。特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、約10〜90%の鎖型A、B、CおよびDのそれぞれを含有する。
【0099】
特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、ほぼ等しい割合のA、BおよびD(たとえば、A鎖、B鎖およびD鎖の間で約1:1:1の比)と共に任意の割合のC型の鎖を有する。特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、約10〜90%の鎖型A、B、CおよびDのそれぞれを含有する。
【0100】
特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、ほぼ等しい割合のA、BおよびD(たとえば、A鎖、B鎖およびD鎖の間で約1:1:1の比)と共に任意の割合のC型の鎖を有する。特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、約10〜90%の鎖型A、B、CおよびDのそれぞれを含有する。
【0101】
特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、ほぼ等しい割合のA、BおよびD10(たとえば、A鎖、B鎖およびD10鎖の間で約1:1:1の比)と共に任意の割合のC型の鎖を有する。特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、約10〜90%の鎖型A、B、CおよびD10のそれぞれを含有する。
【0102】
特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、ほぼ等しい割合のA、BおよびD11(たとえば、A鎖、B鎖およびD11鎖の間で約1:1:1の比)と共に任意の割合のC型の鎖を有する。特定の実施形態では、本発明のPPC組成物は、約10〜90%の鎖型A、B、CおよびD11のそれぞれを含有する。
【0103】
本発明の構造的に精密なPPC組成物に2つ以上の鎖型(たとえば、構造A〜D11のうちの任意のもの)が含まれる特定の実施形態では、nの値は、出現するごとにほぼ同じである。
【0104】
特定の実施形態では、上述した構造A〜D11のうちの任意のものを修飾し得る。特定の実施形態では、これは、重合後に、末端ヒドロキシル基に化学を行うことによって行い得る。特定の実施形態では、本発明の組成物には、A〜D11型の鎖を含有するポリマーが包含され、末端基は、エステル、エーテル、カルバミン酸、スルホン酸、または炭酸である。特定の実施形態では、これらの誘導体は、アシル化剤との反応によって形成して、酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸またはペンタフルオロ安息香酸などの基を提供し得る。実施形態では、ヒドロキシル基を、イソシアネートと反応させてカルバミン酸を形成する、シリルハロゲン化物もしくはシリルスルホン酸と反応させてシリルエーテルを形成する、ハロゲン化アルキルもしくはスルホン酸アルキルと反応させてエーテルを形成する、またはハロゲン化スルホニルもしくは酸無水物と反応させてスルホン酸を形成してもよい。
【0105】
一部の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は結晶化可能である。特定の実施形態では、本発明の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、結晶化して、融点を有する半結晶性熱可塑性ポリマーを提供する。一部の実施形態では、そのようなポリ(プロピレンカーボネート)の融点は、約100℃〜約160℃の範囲である。特定の実施形態では、構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)の融点は、約110℃〜約150℃の範囲である。特定の実施形態では、構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)の融点は、約120℃〜約140℃の範囲である。特定の実施形態では、構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)の融点は約132℃である。
【0106】
別の態様では、本発明には、上述した構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物と1つ以上の追加のポリマーとのブレンドが包含される。一般に、本明細書中に記載のポリマーでは、ブレンドを他のポリマーと共に調製してよく、そのような他のポリマーは、エラストマー、熱可塑性物質または熱硬化性物質であり得る。エラストマーとは、一般に、存在する場合はそのTg(ガラス転移温度)およびTm(融点)が、通常は約20℃であるとみなされる周囲温度未満であるポリマーである。熱可塑性物質とは、そのTgおよび/またはTmが周囲温度以上であるポリマーである。ブレンドは、一軸または二軸スクリュー押出機などの適切な機器中で、溶液ブレンドまたは溶融ブレンドなどの当業者に知られている一般的な技法のうちの任意のものによって作製することができる。
【0107】
ブレンドは、EP、EPDM、SBR、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ネオプレン、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、セグメント化ポリエステル−ポリエーテルコポリマー、エラストマーポリウレタン、塩素化またはクロロスルホン化ポリエチレン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ(メチルビニルエーテル)とのコポリマー、およびテトラフルオロエチレンとプロピレンとのコポリマーなどの(ペル)フッ化エラストマー等の、ほぼ任意の種類のエラストマーを用いて作製し得る。
【0108】
本明細書中に記載の構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)とブレンドするために有用な適切な熱可塑性物質には、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)(P4HB)、ポリ(ヒドロキシバレレート)(PHV)、ポリ(3−ヒドロキシプロピオネート)(P3HP)、ポリヒドロキシオクタノエート(PHO)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、およびポリ(エチレンアジペート)などのポリエステル、芳香族ポリカーボネート(polycarbonate)などの他のポリカーボネート、ポリ(エチレンカーボネート)、ポリ(ブチレンカーボネート)、ポリ(シクロヘキサンカーボネート)、ポリ(リモネンカーボネート)およびCOと任意の2つ以上のエポキシドとターポリマーなどの他の脂肪族ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−12、ナイロン−12,12、ナイロン−11、およびヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とテレフタル酸とのコポリマーなどのポリアミド、エチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマー、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)などのペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)とのコポリマー、およびポリ(ビニルフッ化物)などのフッ化ポリマー、ポリ(塩化ビニル)およびポリ(塩化ビニリデン)およびそのコポリマーなどの他のハロゲン化ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、およびそのコポリマーなどのポリオレフィン、ポリ(メチルメタクリレート)およびそのコポリマーなどの(メタ)アクリルポリマー、エチレンなどのオレフィンとアルキルアクリレート、(メタ)アクリル酸やそのイオノマー、およびグリシジル(メタ)アクリレートなどの様々な(メタ)アクリル酸単量体とのコポリマー、ビスフェノールAとテレフタル酸および/またはイソフタル酸とのコポリマーなどの芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルまたは芳香族ポリ(エステル−アミド)などの液晶ポリマーが含まれる。他の適切なブレンド用ポリマーには、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリフェニルエーテル、およびポリオキシメチレンなどのポリエーテルが含まれる。
【0109】
本明細書中に記載のポリマーとブレンドするための適切な熱硬化性物質には、エポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂(場合によっては熱硬化ポリエステルと呼ばれる)が含まれる。一部の実施形態では、熱硬化ポリマーとのブレンドは、熱硬化性物質を架橋結合させる前に、標準の技法を用いて行う。
【0110】
一部の実施形態では、本明細書中に記載のポリマーは、過剰な粘度および/またはポリマーが融解温度未満で分解するほど高い融点などの様々な理由で通常は熱可塑性物質であるとみなされない、架橋結合していないポリマーとブレンドする。そのようなポリマーには、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(p−フェニレンテレフタレート)およびポリ(m−フェニレンイソフタレート)などのアラミド、ポリ(ベンゾオキサゾール)などの液晶ポリマー、ならびに芳香族ポリイミドなどの非溶融加工性ポリイミドが含まれる。
【0111】
本明細書中に開示するすべてのポリマーは、エラストマーおよび熱可塑性物質に通常加える様々な添加剤と任意選択で混合し得る[たとえばEncyclopedia of Polymer Science and Engineering、第2版、第14巻、頁327−410を参照]。たとえば、カーボンブラック、ガラス繊維、デンプンおよび木粉などの有機物質、粘土、雲母およびタルクなどの鉱物、ガラス球、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭素繊維、ならびにアラミド繊維またはフィブリド等の、強化性、非強化性および伝導性の充填剤を使用し得る。抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、顔料、色素、艶消剤、架橋結合を促進する化合物を加え得る。また、様々な炭化水素油などの可塑化剤も使用し得る。一部の実施形態では、本発明には、ナノ粒子またはナノ材料を含有するPPCが包含される。また、炭素ナノチューブ、フラーレン、グラフェン、バッキーボール、量子ドット、銀および金および白金などのコロイド金属、鉄もしくは他の金属ナノ粒子または他の非炭素ナノ粒子等のナノ材料も、構造的に精密なPPC組成物内に取り込ませ得る。
【0112】
一態様では、本発明には、本明細書中に上述した構造的に精密なPPCまたはPPCブレンドから作製された、それを含有する、またはそれでコーティングした消費者包装物品が包含される。包装におけるポリマーの代表的な応用およびそれに関連する概念は、その全体で本明細書中に参考として組み込まれているSusan E.M.SelkeのPlastics Packaging:Properties,Processing,Applications,And Regulations(Hanser Gardner Publications、第2版(2004年12月1日)ISBN978−1569903728)に記載されている。
【0113】
一態様では、本発明には、ポリ(プロピレンカーボネート)を含有するフィルムが包含される。一部の実施形態では、フィルムは、吹込成形フィルム、キャストフィルムまたは押出成形フィルムである。特定の実施形態では、フィルムは、硬質フィルム、伸縮フィルム、または熱収縮フィルムである。そのようなフィルムを生成するための製造技法は当業者に周知である。本明細書中に上述した構造的に精密なポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、他のフィルム形成ポリマーとのブレンドとして、またはニートな材料として、そのようなフィルム形成プロセス内に取り込ませることができる。
【0114】
本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドは、吹込成形もしくはキャストフィルム用またはシート材料として有用である(Encyclopedia of Polymer Science and Technology、第1版、第7巻、頁88−106、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、第11巻、頁843−856、Plastics Materials、第5版、Butterworth−Heinemann、252および頁432ffを参照)。フィルムは単層または多層であってよく、多層フィルムには他のポリマー、接着剤などが含まれ得る。包装には、フィルムは、ストレッチラップ、シュリンクラップまたはクリングラップであり得る。フィルムは、農業用フィルム、食品包装などの多くの応用に有用である。
【0115】
押出成形フィルムをこれらの本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドから形成してよく、これらのフィルムを処理、たとえば延伸または伸張し得る。一部の実施形態では、そのようなフィルムは二軸伸張する。そのような押出成形フィルムは、様々な種類の包装に有用である。
【0116】
特定の実施形態では、本発明のフィルムは、ポリ(プロピレンカーボネート)を多層フィルムの構成成分として含有する。特定の実施形態では、ポリ(プロピレンカーボネート)はラミネートフィルム中の結束層として役割を果たす。一部の実施形態では、ポリ(プロピレンカーボネート)組成物は多層フィルム中の構造層を提供する。特定の実施形態では、本発明のフィルムは生分解性フィルムである。一部の実施形態では、そのようなフィルムは、ポリ(プロピレンカーボネート)組成物を、デンプン、PHB、3PHP、PLA、または変性セルロースなどの1つ以上の他の分解性ポリマーと組み合わせて含む。特定の実施形態では、ポリ(プロピレンカーボネート)組成物を含有する層は、酸素、水蒸気、二酸化炭素、または有機分子の透過を遅延させるためのバリヤー層として役割を果たす。
【0117】
一部の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)含有フィルムは包装の応用に使用する。特定の実施形態では、本発明のフィルムは、食品と接触する状況または二次包装材料として、食料品を包装するために使用する。特定の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)含有フィルムは、消費者製品の小売包装として使用する。特定の応用では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)含有フィルムは、バブルラップまたは他の類似の梱包材料を作製するために使用する。特定の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)含有フィルムは、接着テープの基材として使用する。
【0118】
一部の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)含有フィルムは、農業用フィルムとして使用する。一部の応用では、そのようなフィルムは地面のマルチングとして使用する。特定の実施形態では、本発明のPPCを含有する地面のマルチングは分解性であり、使用後に土壌内に耕作し得る。一部の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)含有フィルムは、温室の被覆材料として使用する。特定の実施形態では、提供されるPPC組成物は、透過性または不透過性の列の被覆材料として使用する。特定の実施形態では、提供されるPPC組成物は、ジオメンブレンおよび池の中敷として使用する。
【0119】
特定の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)含有フィルムは、多層構造中の1つ以上の層として使用する。一部の実施形態では、フィルムは、飲料ボトルなどの多層包装物品中の構成成分として使用する。一部の実施形態では、そのような多層ボトルは吹込成形によって形成する。他の実施形態では、本発明のPPC組成物は、ジュースボックス、ミルクカートンおよびゲーブル・トップ・ボックスなどの紙ベースの液体包装物品の内層において使用する。特定の実施形態では、フィルムは、「箱内の袋」の構造で使用する。特定の応用では、フィルムは、カラー(collar)ラッパー、キャップライナーまたは蓋メンブレンなどの容器密封構造中で使用する。
【0120】
特定の実施形態では、本発明には、上述の単層または多層フィルムから作製された柔軟なパウチが包含される。そのようなパウチは、乳などの様々な液体製品、またはホットココアミックスなどの粉末を包装するために使用することができる。パウチはヒートシールし得る。また、これは金属箔層などのバリヤー層も有し得る。
【0121】
一部の実施形態では、本発明には、ポリ(プロピレンカーボネート)を含有するラップ包装フィルムが包含される。一部の実施形態では、フィルムは示差的な付着性を有し得る。そのようなフィルムは、少なくとも2つの層、すなわち、付着特性を与えるために十分な量の粘着剤を含有する、本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはそのブレンドである外側裏面および付着性をわずかしか有さないまたは有さない外側表面が含まれる、フィルムラミネートによって提供することができる。
【0122】
別の態様では、本発明には、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物をコーティングとして使用する物品が包含される。この態様の例では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、それだけには限定されないが、紙または他の親水性材料用の耐水コーティング、ヒート・シール・コーティング、印刷用インク、刷り重ねコーティング、バリヤーコーティング、プライマーコーティング、リリースコーティング、防曇コーティング、および帯電防止コーティングを含めた応用で使用し得る。特定の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、溶媒、燃料、潤滑剤または他の有機液体または蒸気と接触する応用におけるコーティングとして使用する。特定の実施形態では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、食品または飲料用の容器上のコーティングとして使用する。一部の実施形態では、本発明には、そのようなコーティングされた食品および飲料の容器が包含される。
【0123】
アルミニウム箔などの金属箔を本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドでコーティングすることによって、優れたバリヤー特性を維持する一方でヒートシールを達成することができる。一部の実施形態では、本発明には、そのようなポリ(プロピレンカーボネート)でコーティングした金属箔が包含される。
【0124】
ヒートシールの応用では、本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、リッドストックとして(たとえば、乳製品、乾物、医療用品および液体充填容器における包装)、石鹸、タバコ、紙製品、および他の消費者製品などの品目の上包みとして、ラベルの応用におけるオーバーレイとして、ならびにブリスターパック構造等の応用に使用し得る。
【0125】
以下のリストは、本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物およびポリ(プロピレンカーボネート)ブレンドの一部の使用である。一部の事例では、ポリ(プロピレンカーボネート)以外の具体的なポリマーまたはポリマー全般のそのような使用を記述している参考文献を挙げる。これらの事例では、その中に記載されている概念は、当業者が必要以上の実験を行わずに、その概念および技法を本発明のポリ(プロピレンカーボネート)組成物の応用に適用するために、十分に一般的である。これらの参考文献のそれぞれの全体が本明細書中に参考として組み込まれている。参考文献としては、これらには、巻および頁番号を以下に示すW.Gerhartzら編、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、VCH Verlagsgesellschaft mBH、Weinheim、巻および頁番号を以下に示すH.F.Markら編、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、John Wiley&Sons、New York、J.I Kroschwitzら編、巻および頁番号を以下に示すEncyclopedia of Polymer Science and Technology、第1版、John Wiley&Sons、New York、巻および頁番号を以下に示すH.F.Markら編、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第2版、John Wiley&Sons、New York、ならびに頁を以下に示すJ.A.Brydson編、Plastics Materials、第5版、Butterworth−Heinemann、Oxford、UK、1989が含まれる。
【0126】
一部の実施形態では、本発明の構造的に精密なPPC組成物は、低強度の接着剤の粘着剤として役割を果たすことができる(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、第A1巻、頁235−236)。エラストマーブレンドおよび/または比較的低分子量のポリ(プロピレンカーボネート)組成物がこれらの応用に好ましい。一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述したポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドを含有する低強度の接着剤が包含される。
【0127】
一部の実施形態では、本発明の構造的に精密なPPC組成物は、ホットメルト接着剤(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、第A1巻、頁233−234)、感圧接着剤(同書頁235−236)または溶媒塗布接着剤の原樹脂として有用な場合がある。低から中程度の分子量のポリ(プロピレンカーボネート)およびポリ(プロピレンカーボネート)の熱可塑性ブレンドがホットメルト接着剤に好ましい。一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述したポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドを含有するホットメルト接着剤が包含される。
【0128】
他の使用には、材木および石工などの様々な多孔性品目、特に屋外の設定の使用を意図する品目を保護するためのポリマーコーティングおよび/または浸透剤が含まれる。そのような応用のためのポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドは、懸濁液もしくは乳濁液で提供することができるか、または溶媒中に溶かし得る。一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述したポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドを含有する耐候性コーティングが包含される。
【0129】
本発明のPPC組成物は、様々な種類のコーキングのためのポリマー基材として使用することができる。より低分子量のポリ(プロピレンカーボネート)またはエラストマーとのブレンドを使用し得る。一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述したポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドを含有するコーキング物質が包含される。
【0130】
特定の実施形態では、ポリマーは、様々な化合物、特に、それだけには限定されないが、エポキシ、カルボン酸無水物(たとえば無水マレイン酸との反応)、イソシアネートまたはカルボン酸を含めた官能基をもたらすものと反応させ得る(Encyclopedia of Polymer Science and Technology、第1版、第12巻、頁445)。特定の実施形態では、構造的に精密なPPC組成物は、鎖の末端に存在するヒドロキシ(hydoxy)基を介して修飾する。そのような官能化されたポリマーは、ブレンドした場合に様々な熱可塑性物質および熱硬化性物質の強化剤として有用であり得る。ポリマーがエラストマーである場合、それら上に移植する官能基は、ポリマーを架橋結合させるための硬化部位として使用し得る。無水マレイン酸を移植したポリマーは、広範囲の材料(ナイロン、PPO、PPO/スチレン合金、PET、PBT、POM、PLA、PHBなど)の強化剤として、包装バリヤーフィルムなどの多層構造物中の結束層として、ホットメルト、湿分硬化性、かつ同時押出可能な接着剤として、またはポリマー可塑化剤として有用である。マレイン酸およびヒドリドを移植した材料(maleic andhydride−grafted materials)は、たとえばアミンと後に反応させて、他の機能的材料を形成し得る。アミノプロピルトリメトキシシランとの反応は、湿分硬化性材料を可能にする。ジおよびトリ−アミンとの反応は粘度の改変を可能にする。
【0131】
特定の態様では、電線の絶縁体および外被をポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはそのブレンドから作製し得る(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第2版、第17巻、頁828−842を参照)。エラストマーの場合、絶縁体または外被を形成した後にポリマーを架橋結合させることが好ましい場合がある。一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述したポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドを含有する外被または絶縁体が包含される。
【0132】
ポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはそのブレンドは、それだけには限定されないが、PLA、PHB、およびPVCを含めた他のポリマーの可塑化剤または加工補助剤として使用し得る。
【0133】
ポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドは、PLA、PHB、およびポリオレフィンなどの他のポリマーの強化剤として使用することができる。一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述したポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドとブレンドしたPLAが包含される。一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述したポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドとブレンドしたPHBが包含される。一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述したポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドとブレンドしたデンプンが包含される。
【0134】
本明細書中のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドは、他のポリマーの難燃特性を改善させるためのドリップ抑制剤として使用することができる。本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドは、蝋燭のワックスとブレンドするために使用することができ、ここで、これらは煙の抑制および/またはドリップの制御を提供することができる。一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述したポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドを含有する蝋燭のワックスが包含される。別の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述したポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドを含有する蝋燭が包含される。
【0135】
本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンド、特に比較的柔軟なものは、炭酸および非炭酸飲料のキャップライナー樹脂として有用である。
【0136】
本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドは、プラスチック、金属、織物またはペーパーウェブ上への押出または同時押出コーティングのために使用し得る。
【0137】
本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドは、ガラスのラミネート接着剤として使用し得る。一部の実施形態では、本発明には、ラミネート接着剤として使用する本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドを含めた、ラミネートガラス物品が包含される。
【0138】
本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンド、特にエラストマーであるものは、自動車ヒーターホースなどの様々な種類のホースにおいて使用し得る。
【0139】
本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドは、様々な他のポリマー間の相溶化剤として役割を果たすことができる。
【0140】
本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドは、ブレンド中の他のポリマーの内部可塑化剤として役割を果たすことができる。可塑化され得るポリマーは、ポリ(塩化ビニル)である。一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドで可塑化したPVCが包含される。
【0141】
本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドは、他のポリマー間の接着剤として役割を果たすことができる。一部の実施形態では、本発明には、そのような接着剤が包含される。
【0142】
適切な官能基を用いて、本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物は、相補的な官能基を有する他のポリマーの硬化剤として役割を果たし得る(すなわち、2つのポリマーの官能基が互いに反応する)。一部の実施形態では、本発明には、そのような硬化性樹脂が包含される。
【0143】
一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドを含有するポリマー添加剤が包含される。特定の実施形態では、本発明には、自動車での使用などにおいて、たとえばペンキの接着を改善させるためにPPCを加えた、いわゆる熱可塑性オレフィンなどの成形用樹脂が含まれる。
【0144】
一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドを含有する繊維が包含される。一部の実施形態では、繊維は細デニールの繊維および/または多繊維である。これらは溶融紡糸し得る。これらは、フィラメント束、不織ウェブ、織布、編布またはステープル繊維の形態であり得る。別の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述した構造的に精密なPPCを含有する布、ロープ、ヤーンまたは他の完成した繊維製品が包含される。
【0145】
一部の実施形態では、本発明には、発泡物品が包含される。発泡製品を生成する技術および方法は十分に開発されており、本発明のポリマーを発泡させるために必要なプロセスは当業者に理解されるであろう。本発明の発泡物品には、絶縁材料、包装材料、およびフードサービス容器が含まれる。PPCおよびPPCブレンドは、HFC、窒素および二酸化炭素などの知られている発泡剤を用いて発泡させることができる。特定の実施形態では、本発明には、二酸化炭素ガスで発泡させたPPCを含有する環境に優しい包装物品が包含される。
【0146】
本明細書中に記載のポリ(プロピレンカーボネート)組成物またはブレンドを含有する発泡材は、サーフボードおよび保護用ヘッドギアの裏地などの様々なスポーツ用品の核等の、柔軟または硬質な発泡物体を形成するために使用し得る。構造発泡材も作製し得る。一部の実施形態では、発泡材のポリマーは架橋結合されていてもよい。
【0147】
一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述したPPCまたはPPCブレンドを射出成形することによって作製される物品が包含される。そのような射出成形の品目には、フードサービスの容器および器具などの使い捨ての品目、ならびに、それだけには限定されないが、消費財、玩具、機器の部品、電子機器、および自動車の応用などの品目を含めた、より耐久性のあるものが含まれる。
【0148】
一部の実施形態では、本発明には、構造的に精密なPPCまたはそのブレンドを含有する光学的構成成分が包含される。一態様では、本発明には、PPCまたはPPCブレンドを含有するコンパクトディスクまたはDVDなどのデジタル記憶媒体が包含される。別の態様では、本発明には、PPCまたはPPCブレンドからなる、それを含有する、またはそれでコーティングしたレンズ、プリズムおよび鏡が包含される。
【0149】
特定の実施形態では、本発明には、上述のPPC組成物のうちの1つ以上を含む包装材料が包含される。
【0150】
特定の実施形態では、本発明の包装材料はフィルムを含む。一部の実施形態では、フィルムは、少なくとも10重量%のPPCを含む。一部の実施形態では、フィルムは、少なくとも20重量%のPPCを含む。一部の実施形態では、フィルムは、少なくとも30重量%のPPCを含む。一部の実施形態では、フィルムは、少なくとも50重量%のPPCを含む。一部の実施形態では、フィルムは、少なくとも70重量%のPPCを含む。一部の実施形態では、フィルムは、少なくとも90重量%のPPCを含む。
【0151】
特定の実施形態では、本発明の包装材料は吹込成形フィルムを含む。一部の実施形態では、本発明には、押出成形フィルムが包含される。一部の実施形態では、フィルムは約0.01〜約100milの厚さである。一部の実施形態では、フィルムは、約0.1〜約10mil、約0.2〜約5milまたは約0.5〜約3milの厚さである。
【0152】
一部の実施形態では、本発明の包装フィルムはラミネートフィルムである。一部の実施形態では、本発明のラミネートフィルムには、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、フッ化ポリマー、およびこれらのうちの任意の2つ以上の混合物からなる群から選択されるポリマーが含まれる。特定の実施形態では、本発明のラミネートフィルムには、ポリ乳酸、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(プロピレンカーボネート)以外の脂肪族ポリカーボネート、芳香族ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ナイロン(商標)、およびこれらのうちの任意の2つ以上の混合物からなる群から選択されるポリマーが含まれる。
【0153】
一部の実施形態では、本発明には、上述の構造的に精密なPPCを含む1回分のサッシェが包含される。特定の実施形態では、そのようなサッシェは、石鹸またはシャンプーなどのパーソナルケア製品を包装するためのものである。特定の実施形態では、そのようなサッシェは、調味料などの食料製品を包装するためのものである。
【0154】
一部の実施形態では、本発明には、本明細書中に上述した構造的に精密なPPCを含有する成形用樹脂が包含される。
【0155】
一部の実施形態では、本発明には、上述の構造的に精密なPPCを含むクラムシェル包装が包含される。
【実施例】
【0156】
実施例1〜4は、本発明の構造的に精密なPPCを作製する方法を記載している。異なる連鎖移動剤を使用し、反応中に存在する水の量を制御することによって、試料中の鎖型が何であるか、およびその相対比が変化する。
【0157】
(実施例1)
およびCの鎖を含むPPCの合成。
【0158】
1リットルのパー反応器に、33ppmの水、123mgのラセミのN,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)トリフルオロアセテート(salcyCoTFA)触媒および112mgのビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムトリフルオロアセテート(PPN−TFA)共触媒を含有する200グラムの酸化プロピレンを入れた。反応器を密封し、COで100psiまで加圧し、温度を35℃に維持しながら250rpmで撹拌した。23時間後、重合を200gのアセトン中の2.1当量のメタンスルホン酸(MSA)で反応停止させた。反応混合物を蒸留して未反応の酸化プロピレンを除去し、その後、試料を50/50のMeOH/HO中で沈殿させて固体ポリマーを単離した。回収されたポリマーを真空オーブン中で乾燥させ、その後、20重量%でアセトン中に再度溶かし、再び沈殿させた。回収されたポリマーを75℃の真空オーブン中で8時間乾燥させた。GPC分析により、実施例1から生じるPPC試料は二峰性の分子量分布を有しており、それぞれCおよびB型の鎖に対応する230.8kg/molおよび110kg/molのMwの鎖のほぼ等しい集団を含有することが明らかとなった。
【0159】
(実施例1a)
、B、およびCの鎖を含むPPCの合成。
【0160】
本実施例のPPCは、104mgのビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムクロライド(PPN−Cl)でPPN−TFAを置換した以外は、実施例1と同一の条件下で生成する。AおよびB型の鎖の存在および相対的存在量は、塩素およびフッ素を検出するための分析方法によって検出することができる。適切な方法は当分野で知られており、とりわけ、質量分析およびフッ素NMRが含まれる。
【0161】
(実施例2)
、C、およびDの鎖を含むPPCの合成。
【0162】
1リットルのパー反応器に、33ppmの水、58mgのジプロピレングリコール、123mgのsalcyCoTFA触媒および112mgのPPN−TFA共触媒を含有する200グラムの酸化プロピレンを入れた。反応器を密封し、COで100psiまで加圧し、温度を35℃に維持しながら250rpmで撹拌した。23時間後、重合を200gのアセトン中の2.1当量のメタンスルホン酸(MSA)で反応停止させた。反応混合物を蒸留して未反応の酸化プロピレンを除去し、その後、試料を50/50のMeOH/HO中で沈殿させて固体ポリマーを単離した。回収されたポリマーを真空オーブン中で乾燥させ、その後、20重量%でアセトン中に再度溶かし、再び沈殿させた。回収されたポリマーを75℃の真空オーブン中で8時間乾燥させた。
【0163】
(実施例3)
、C、およびDの鎖を含むPPCの合成。
【0164】
この材料は、76mgのグリセロールプロポキシレートでジプロピレングリコールを置換した以外は、実施例2に記載のものと同一の条件下で生成した。
【0165】
(実施例4)
、C、およびDの鎖を含むPPCの合成。
【0166】
この材料は、92mgのペンタエリスリトールプロポキシレートでジプロピレングリコールを置換した以外は、実施例2に記載のものと同一の条件下で生成した。
【0167】
(実施例5)
実施例2〜4からのポリマーのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を得た(図1)。実施例2〜4からのPPCのGPCの追跡を図1に示す。実施例2から生じる試料は二峰性の分子量分布を有しており、主に約120kg/molのMwの鎖(DおよびC型の鎖の混合物)、ならびにB型の鎖の混合物に対応する約60kg/molのMwの鎖のより小さな集団を含有する。実施例3および4からの試料は、それぞれGPCにおいて特徴的な三峰性の分子量分布を示す。3つの構成成分は、B型の鎖(低分子量集団)、C型の鎖を含有する中央集団およびD(実施例3)またはD(実施例4)型の鎖に対応する高Mwの集団に対応する。
【0168】
これらの鎖型の比は、前述の実施例中に開示されている方法を用いて、または異なる鎖型を有する試料を物理的にブレンドすることによって操作して、様々な溶融流れ指数(MFI)を有するPPC組成物を提供することができる。特定の応用では、より高いMFIを有することが、本発明のプラスチック物品を作製するための射出成形および押出操作に有利な場合がある。実施例2のPPCは、170℃、2.16kgで測定した場合に2.56g/10分のMFIを有することが判明した。同じ条件下で、実施例3のPPCは2.35g/10分のMFIを有することが判明した一方で、実施例4のPPCは0.79g/10分であることが判明した。当業者がこれらの傾向を用いて様々な溶融流れ特性を有するPPC組成物を配合できることを理解されたい。
【0169】
実施例6〜7では、本発明のPPCを170℃で押出機に通し、射出成形して引張り試験片を作製し、様々な厚さのフィルムへと押出成形した。商品名QPACの下で購入可能な従来技術のPPCの処理を試みたが、従来技術の材料は、これらの条件下で加工することができなかったか、または非常に柔らかく、本発明のPPCの試料によって示される構造的完全性を欠くフィルムおよび引張り試験片をもたらした。任意の理論に束縛されずに、またはそれにより特許請求した発明の範囲を限定せずに、これは、これらの温度での押出加工中に市販のPPCが熱分解されることが原因であり得ると考えられている(図2)。
【0170】
図2は、200℃に保った2つのPPCの試料の経時的な質量をプロットしている。見られるように、従来技術のPPC(亜鉛系触媒を用いて生成)は、本発明のPPCよりも速い速度で質量を失う。この挙動により、従来技術のPPCを典型的な熱可塑性押出温度で加工することが、本発明のPPCよりも困難となる。
【0171】
(実施例6)
本発明のPPCを、4インチのフィルムダイを備えた一軸スクリュー押出機に供給した。押出機の温度は170℃に維持した。100ミクロン、200ミクロン、500ミクロン、および900ミクロンのフィルムは、ダイの開口部を調節することによって得られた。水冷ロールを備えたロールシステムに通すことによってフィルムを冷却した。得られたフィルムは透明かつ強靭であり、様々な物品の熱成形に使用することができた。
【0172】
(実施例6a)
真空システムを備えたIllig SB53−C1熱成形機を用いて、実施例6のPPCフィルムのそれぞれから小さなカップを形成した。PPCフィルムの熱成形条件を以下に要約する。
【0173】
【表1】

セラミック加熱器の温度設定
**熱成形では、加工は、セラミック加熱器の照射によって加熱されたPPCシートの温度を監視する高温計によって達成される温度によって、制御される。すなわち、表面温度が設定点である130℃に達した際に雄型が上に動き、真空が作動する。
【0174】
(実施例7)
実施例1に記載のものに類似のPPC(Novomer PPC)を供給ホッパーから射出成形機械に供給した。バレル内に入った際、樹脂は170℃まで加熱され、型に供給される。以下に記載のようにASTMの標準に従って試験するドッグボーンおよびフラットバーを成形した。
【0175】
1.引張り特性(引張力、パーセント伸長、引張り係数):ASTM D638−08(ISO527)
2.曲げ試験:ASTM D790(ISO178)
3.ノッチ付アイゾッド衝撃:ASTM D256、ISO180
4.加熱撓み温度(または負荷下の撓み温度):ASTM D648、ISO75。
【0176】
5.溶融流れ指数(PPC粉末またはペレット):ASTM D1238、ISO1133
【0177】
【表2】

(実施例8)
本実施例では、本発明のPPC(Novomer PPC)をポリオレフィンとブレンドし、フィルム、射出成形品目および吹込成形ボトルを含めた様々な物品へと作製した。予想外に、本発明のPPCは押出加工を乗り切り、ポリオレフィンとの有用なブレンドを提供した。
【0178】
本発明のPPC(実施例1に記載のものに類似)を、30または50重量%で、低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはポリプロピレン(PP)のいずれかと共に、二軸スクリュー押出機中でブレンドした。押出機の温度は、LLDPEには180℃に設定し、HDPEおよびPPには190℃に設定した。PPCおよびポリオレフィンの増強された分散を可能にするために相溶化剤を使用した。典型的には、相溶化剤を分散相の最大20〜22%で入れた。したがって、50/50のポリオレフィン/PPCブレンドは45/45/10のポリオレフィン/PPC/相溶化剤として配合し、70/30のポリオレフィン/PPCブレンドは66/28/6のポリオレフィン/PPC/相溶化剤として配合した。酸無水物(anyhydride)で修飾したLLDPEをLLDPEブレンドおよびHDPEの相溶化剤として使用した一方で、酸無水物(anyhydride)で修飾したPPをPPブレンドの相溶化剤として使用した。溶融物を二軸スクリュー押出機からストランドダイを通してペレタイザー内に通すことによって、これらのブレンドのペレットを作製した。その後、これらのペレットを用いて、純粋なPPCについて上述したように、フィルム、射出成形部品、および熱成形物品を作製した。一例(HDPEブレンド)では、ペレットを用いて、伝統的な押出吹込成形機器を用いて洗剤およびシャンプー使用のためのボトルなどの吹込成形品も作製した。実施例8のブレンドの物理的データを図3に示す。
【0179】
本明細書中に記載した本発明の実施形態は、本発明の原理の応用を単に例示しているのみであることを理解されたい。本明細書中における、例示した実施形態の詳細への言及は、それ自体が本発明に必須であるとみなされる特長を列挙している、特許請求の範囲を限定することを意図しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(プロピレンカーボネート)を含む包装材料であって、該ポリ(プロピレンカーボネート)中、平均して少なくとも80%の隣接する単量体単位が頭−尾の配向である、包装材料。
【請求項2】
少なくとも85%の隣接する単量体単位が頭−尾の配向である、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
少なくとも90%の隣接する単量体単位が頭−尾の配向である、請求項1に記載の包装材料。
【請求項4】
少なくとも95%の隣接する単量体単位が頭−尾の配向である、請求項1に記載の包装材料。
【請求項5】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)中、平均して少なくとも90%の隣接する単量体単位間の結合がカーボネート結合である、請求項1に記載の包装材料。
【請求項6】
少なくとも95%の隣接する単量体単位間の結合がカーボネート結合である、請求項5に記載の包装材料。
【請求項7】
少なくとも99%の隣接する単量体単位間の結合がカーボネート結合である、請求項5に記載の包装材料。
【請求項8】
隣接する単量体単位間の結合の本質的にすべてがカーボネート結合である、請求項5に記載の包装材料。
【請求項9】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の数平均分子量が約40,000g/mol〜約400,000g/molである、請求項1に記載の包装材料。
【請求項10】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の数平均分子量が約50,000g/mol〜約350,000g/molである、請求項9に記載の包装材料。
【請求項11】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の数平均分子量が約100,000g/mol〜約300,000g/molである、請求項9に記載の包装材料。
【請求項12】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の数平均分子量が約150,000g/mol〜約250,000g/molである、請求項9に記載の包装材料。
【請求項13】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の数平均分子量が約180,000g/mol〜約220,000g/molである、請求項9に記載の包装材料。
【請求項14】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の多分散指数が1.7未満である、請求項1に記載の包装材料。
【請求項15】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の多分散指数が1.5未満である、請求項14に記載の包装材料。
【請求項16】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の多分散指数が1.3未満である、請求項14に記載の包装材料。
【請求項17】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の多分散指数が1.2未満である、請求項14に記載の包装材料。
【請求項18】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)が、式Aを有する鎖:
【化17】

を、式Dを有する鎖:
【化18】

と組み合わせて含み、式中、Xが、エポキシドを開環させることができる求核剤の結合した形態を表し、
nが、出現するごとに、約50〜約3,000の整数であり、
yおよびy’が、それぞれ独立して0〜6の整数であり、y+y’が2を超え、
【化19】

が、二酸化炭素または酸化プロピレンと反応してポリマー鎖を開始させることができる2つ以上の官能基を含有する多官能性化合物を表す、請求項1に記載の包装材料。
【請求項19】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)が、式Bの鎖:
【化20】

をさらに含み、式中、Yが、エポキシドを開環させることができる求核剤の結合した形態であり、
XおよびYが異なる、請求項18に記載の包装材料。
【請求項20】
式Aの鎖対式Dの鎖の比が約1:50〜約50:1の範囲である、請求項18に記載の包装材料。
【請求項21】
式Aの鎖対式Dの鎖の比が約1:50〜約1:1の範囲である、請求項18に記載の包装材料。
【請求項22】
式Aの鎖対式Dの鎖の比が約1:10〜約10:1の範囲である、請求項18に記載の包装材料。
【請求項23】
式Aの鎖対式Bの鎖の比が約1:2〜約2:1の範囲である、請求項19に記載の包装材料。
【請求項24】
が式:
【化21】

の鎖を含み、式中、qが0〜32の整数(両端を含む)である、請求項18に記載の包装材料。
【請求項25】
が式:
【化22】

の鎖を含み、式中、qが0〜32の整数(両端を含む)である、請求項18に記載の包装材料。
【請求項26】
が式:
【化23】

の鎖を含み、式中、pが1〜200の整数(両端を含む)であり、
が任意選択で存在し、存在する場合はメチルである、請求項18に記載の包装材料。
【請求項27】
が式:
【化24】

の鎖を含み、式中、RおよびRのうちの一方がメチルであり、他方が水素であり、RおよびRのうちの一方がメチルであり、他方が水素である、請求項26に記載の包装材料。
【請求項28】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)が少なくとも0.1%の鎖Dを含有し、yおよびy’の和が2を超える、請求項18に記載の包装材料。
【請求項29】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)が0.5%〜20%の鎖Dを含有し、yおよびy’の和が2を超える、請求項28に記載の包装材料。
【請求項30】
nの値が出現するごとにほぼ同じである、請求項18に記載の包装材料。
【請求項31】
フィルムを含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項32】
前記フィルムが少なくとも10重量%のポリ(プロピレンカーボネート)を含む、請求項31に記載の包装材料。
【請求項33】
前記フィルムが少なくとも50重量%のポリ(プロピレンカーボネート)を含む、請求項31に記載の包装材料。
【請求項34】
前記フィルムが少なくとも90重量%のポリ(プロピレンカーボネート)を含む、請求項31に記載の包装材料。
【請求項35】
前記フィルムが吹込成形フィルムである、請求項31に記載の包装材料。
【請求項36】
前記フィルムが押出成形フィルムである、請求項31に記載の包装材料。
【請求項37】
前記フィルムの厚さが約0.01〜約100milである、請求項31に記載の包装材料。
【請求項38】
前記フィルムの厚さが約0.1〜約10milである、請求項31に記載の包装材料。
【請求項39】
前記フィルムの厚さが約0.2〜約5milである、請求項31に記載の包装材料。
【請求項40】
前記フィルムの厚さが約0.5〜約3milである、請求項31に記載の包装材料。
【請求項41】
前記フィルムが二軸延伸フィルムを含む、請求項31に記載の包装材料。
【請求項42】
前記フィルムがラミネートフィルムを含む、請求項31に記載の包装材料。
【請求項43】
前記フィルムが、充填剤、加工補助剤、難燃剤、着色料、相溶化剤、および可塑化剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む、請求項31に記載の包装材料。
【請求項44】
前記ラミネートフィルム中の層が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、フッ化ポリマー、およびこれらのうちの任意の2つ以上の混合物からなる群から選択されるポリマーを含む、請求項42に記載の包装材料。
【請求項45】
前記ラミネートフィルム中の層が、ポリ乳酸、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(プロピレンカーボネート)以外の脂肪族ポリカーボネート、芳香族ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ナイロン(商標)、およびこれらのうちの任意の2つ以上の混合物からなる群から選択されるポリマーを含む、請求項44に記載の包装材料。
【請求項46】
請求項1から30のいずれか一項に記載の包装材料を含む射出成形品。
【請求項47】
請求項1から30のいずれか一項に記載の包装材料を含む吹込成形品。
【請求項48】
請求項1から30のいずれか一項に記載の包装材料を含む1回分のサッシェ。
【請求項49】
請求項1から30のいずれか一項に記載の包装材料を含む食品包装フィルム。
【請求項50】
請求項1から30のいずれか一項に記載の包装材料を含むクラムシェル包装。
【請求項51】
ポリ(プロピレンカーボネート)を含む成形用樹脂であって、該ポリ(プロピレンカーボネート)中、平均して少なくとも80%の隣接する単量体単位が頭−尾の配向である、成形用樹脂。
【請求項52】
少なくとも85%の隣接する単量体単位が頭−尾の配向である、請求項51に記載の成形用樹脂。
【請求項53】
少なくとも90%の隣接する単量体単位が頭−尾の配向である、請求項51に記載の成形用樹脂。
【請求項54】
少なくとも95%の隣接する単量体単位が頭−尾の配向である、請求項51に記載の成形用樹脂。
【請求項55】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)中、平均して少なくとも90%の隣接する単量体単位間の結合がカーボネート結合である、請求項51に記載の成形用樹脂。
【請求項56】
少なくとも95%の隣接する単量体単位間の結合がカーボネート結合である、請求項55に記載の成形用樹脂。
【請求項57】
少なくとも99%の隣接する単量体単位間の結合がカーボネート結合である、請求項55に記載の成形用樹脂。
【請求項58】
隣接する単量体単位間の結合の本質的にすべてがカーボネート結合である、請求項55に記載の成形用樹脂。
【請求項59】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の数平均分子量が約40,000g/mol〜約400,000g/molである、請求項51に記載の成形用樹脂。
【請求項60】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の数平均分子量が約50,000g/mol〜約350,000g/molである、請求項59に記載の成形用樹脂。
【請求項61】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の数平均分子量が約100,000g/mol〜約300,000g/molである、請求項59に記載の成形用樹脂。
【請求項62】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の数平均分子量が約150,000g/mol〜約250,000g/molである、請求項59に記載の成形用樹脂。
【請求項63】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の数平均分子量が約180,000g/mol〜約220,000g/molである、請求項59に記載の成形用樹脂。
【請求項64】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の多分散指数が1.7未満である、請求項51に記載の成形用樹脂。
【請求項65】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の多分散指数が1.5未満である、請求項64に記載の成形用樹脂。
【請求項66】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の多分散指数が1.3未満である、請求項64に記載の成形用樹脂。
【請求項67】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)の多分散指数が1.2未満である、請求項64に記載の成形用樹脂。
【請求項68】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)が、式Aを有する鎖:
【化25】

を、式Dを有する鎖:
【化26】

と組み合わせて含み、式中、Xが、エポキシドを開環させることができる求核剤の結合した形態を表し、
nが、出現するごとに、約50〜約3,000の整数であり、
yおよびy’が、それぞれ独立して0〜6の整数であり、y+y’が2を超え、
【化27】

が、二酸化炭素または酸化プロピレンと反応してポリマー鎖を開始させることができる2つ以上の官能基を含有する多官能性化合物を表す、請求項51に記載の成形用樹脂。
【請求項69】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)が、式Bの鎖:
【化28】

をさらに含み、式中、Yが、エポキシドを開環させることができる求核剤の結合した形態であり、
XおよびYが異なる、請求項68に記載の成形用樹脂。
【請求項70】
式Aの鎖対式Dの鎖の比が約1:50〜約50:1の範囲である、請求項68に記載の成形用樹脂。
【請求項71】
式Aの鎖対式Dの鎖の比が約1:50〜約1:1の範囲である、請求項68に記載の成形用樹脂。
【請求項72】
式Aの鎖対式Dの鎖の比が約1:10〜約10:1の範囲である、請求項68に記載の成形用樹脂。
【請求項73】
式Aの鎖対式Bの鎖の比が約1:2〜約2:1の範囲である、請求項69に記載の成形用樹脂。
【請求項74】
が式:
【化29】

の鎖を含み、式中、qが0〜32の整数(両端を含む)である、請求項68に記載の成形用樹脂。
【請求項75】
が式:
【化30】

の鎖を含み、式中、qが0〜32の整数(両端を含む)である、請求項68に記載の成形用樹脂。
【請求項76】
が式:
【化31】

の鎖を含み、式中、pが1〜200の整数(両端を含む)であり、
が任意選択で存在し、存在する場合はメチルである、請求項68に記載の成形用樹脂。
【請求項77】
が式:
【化32】

の鎖を含み、式中、RおよびRのうちの一方がメチルであり、他方が水素であり、RおよびRのうちの一方がメチルであり、他方が水素である、請求項76に記載の成形用樹脂。
【請求項78】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)が少なくとも0.1%の鎖Dを含有し、yおよびy’の和が2を超える、請求項68に記載の成形用樹脂。
【請求項79】
前記ポリ(プロピレンカーボネート)が0.5%〜20%の鎖Dを含有し、yおよびy’の和が2を超える、請求項78に記載の成形用樹脂。
【請求項80】
nの値が出現するごとにほぼ同じである、請求項68に記載の成形用樹脂。
【請求項81】
少なくとも50重量%のポリ(プロピレンカーボネート)を含む、請求項51から80のいずれか一項に記載の成形用樹脂。
【請求項82】
少なくとも70重量%のポリ(プロピレンカーボネート)を含む、請求項81に記載の成形用樹脂。
【請求項83】
少なくとも90重量%のポリ(プロピレンカーボネート)を含む、請求項81に記載の成形用樹脂。
【請求項84】
加工補助剤、難燃剤、着色料、相溶化剤、抗酸化剤、充填剤および可塑化剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、請求項51から80のいずれか一項に記載の成形用樹脂。
【請求項85】
ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、フッ化ポリマー、およびこれらのうちの任意の2つ以上の混合物からなる群から選択されるポリマーをさらに含む、請求項51から80のいずれか一項に記載の成形用樹脂。
【請求項86】
ポリ乳酸、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(プロピレンカーボネート)以外の脂肪族ポリカーボネート、芳香族ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ナイロン(商標)、およびこれらのうちの任意の2つ以上の混合物からなる群から選択されるポリマーをさらに含む、請求項51から80のいずれか一項に記載の成形用樹脂。
【請求項87】
請求項51から80のいずれか一項に記載の成形用樹脂を含む射出成形品。
【請求項88】
請求項51から80のいずれか一項に記載の成形用樹脂を含む吹込成形品。
【請求項89】
請求項51から80のいずれか一項に記載の成形用樹脂を含むボトル。
【請求項90】
請求項51から80のいずれか一項に記載の成形用樹脂を含む押出物品。
【請求項91】
請求項51から80のいずれか一項に記載の成形用樹脂を含む熱成形物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−532233(P2012−532233A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518615(P2012−518615)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/040829
【国際公開番号】WO2011/005664
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(511046391)ノボマー, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】