説明

構造補強システム

開示されているのは、構造補強システム(20)の様々な実施形態である。システムは、様々な製品内の中空空洞を補強して、製品の構造剛性を増加させる。システムは通常剛体キャリア(22)、接合材料(40)、及び挿入部材(30)を含む。剛体キャリアは、空洞内の主構造補強をもたらし、そしてまた接合材料を載せる基体として役立つ。挿入部材は補強システムの構造剛性を増加させるために提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
車、トラック、ボート、列車、及び飛行機は大抵中空の空洞を備えたフレームを含む。中空空洞は、これらの製品でよく作られて、製品の全体重量及び材料コストを減少させる。しかしながら、中空空洞をフレームに導入することは、フレームの総強度を減少させるかもしれず、そして車両の他の部分にノイズ及び振動を増加させるかもしれない。
【0002】
これら及び他の悪い影響を軽減するため、中空空洞は、大抵補強を含み、様々な接合材料を含む。そのような補強は、ノイズ及び振動を減少させることができ、製品の構造剛性を増加させ、それらにより顕著な重量及び材料コストの減少を可能にする。補強システムは、例えば膨張可能な発泡体のように、剛体キャリアを付けられる接合材料を含むことができる。発泡体は、製造工程中に膨張し、発泡体が中空空洞の壁に接触するように、剛体キャリアを適所に固定する。補強システムは追加の構造補強をもたらすことができ、さらに、新規な形状、材料、及び構造の使用を通じて、他の利点をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
開示されているのは、構造補強システムの様々な実施形態である。システムは、様々な製品内の中空空洞を補強して、製品の構造剛性を増加させる。システムは通常剛体キャリア、接合材料、及び挿入部材を含む。剛体キャリアは、空洞内の主構造補強をもたらし、そしてまた接合材料を載せる基体として役立つ。挿入部材は補強システムの構造剛性を増加させるために提供される。さらに、システムは、特定の場所の製品の構造剛性を増加させることにより特定のシナリオに特に対処し、そして特定の負荷方向に対処するように構成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】複数の空洞を有する自動車フレームの斜視図である。
【図2】構造補強システムの斜視図である。
【図3】図2の線3−3に沿った図2の構造補強システムの断面図である。
【図4A】空洞内に配置された構造補強システムの側面図である。
【図4B】図4Aの構造補強システムの頂面図である。
【図5A】水平空洞中の別の構造補強システムの側面図である。
【図5B】図5Aの構造補強システムの頂面図である。
【図6A】水平空洞中のさらに別の構造補強システムの側面図である。
【図6B】図6Aの構造補強システムの頂面図である。
【図7】空洞に配置された様々な構成の構造補強システムの断面図である。
【図8】空洞に配置された様々な構成の構造補強システムの断面図である。
【図9】空洞に配置された様々な構成の構造補強システムの断面図である。
【図10】空洞に配置された様々な構成の構造補強システムの断面図である。
【図11】空洞に配置された様々な構成の構造補強システムの断面図である。
【図12】ノードのエルボー部分中に配置された構造補強システムの側面図である。
【図13】ファスナーを含む別の構造補強システムの斜視図である。
【図14】図13で示された構造補強システムのより低い部分の斜視拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1は、開示される構造補強システムを使用して補強された多くの空洞を含む車両フレーム10を図示する。そのような空洞は任意の寸法、形状、又は配向であることができ、そして、様々な金属、複合材料、及び/又はプラスチックを含む、任意の材料から形成されることができる。例えば、車両フレーム10内の潜在的に補強可能な空洞は、A−ビラー12、B−ピラー14、ロッカー16、及びフレームレール18を含む、フレームの様々な部分内に見出すことができる。さらなる用途には、C−ビラー、D−ピラー14、ルーフレール、横断ビーム等が挙げられる。通常、車両フレーム10の構造剛性は、車両フレーム10内のそのような中空空洞を補強することにより、大きく増大させることができる。もちろん、開示された構造補強システムは、製品の構造剛性を増加させるため、他の製品にも使用されることができ、そして車両フレーム内の中空空洞に制限されることはない。
【0006】
図2は、車両フレーム10内の空洞を補強するための構造補強システム20の斜視図である。空洞は、例えば車両フレーム10の様々な場所内などの製品の任意の部分に配置されることができる。典型的には、システム20は、例えば、A−ビラー12内のような、特定の空洞のためにデザインされることができるが、システム20は異なる寸法の空洞に一般的に適合するようにデザインされることもできる。システム20は、空洞の一部に適合するようにデザインすることができ、又は全体の空洞に適合又は充填するようにデザインされることもできる。システム20は典型的には製造工程中に空洞内に配置されることができる運搬可能なアセンブリである。以下に詳細に議論されるように、システム20は、剛体キャリア22、挿入部材30、及び接合材料40を通常含む。もちろん、システム20はまた1以上の化学的な若しくは機械的なファスナー又は特定の応用にシステム20を強化又は仕立てることができる他の任意の部材を含むことができる。
【0007】
キャリア22は、大抵、空洞内に構造補強をもたらす剛性構造物であり、接合材料40のためのベース又は基体を提供する。キャリア22は、単一の材料から形成されることができ、又は一緒に固定される分離したコンポーネントとして形成されることができる。キャリア22は、様々なポリアミドを含む、様々な金属、プラスチック、複合材料、等を含む任意の数の異なる材料から作られることができる。もちろん、特定の材料又は色々な材料は、あるデザイン選択が重量、強度、及び材料を特定の形状又は構成に形成するための能力を基にするように、特定の応用に依存することもできる。キャリア22は、円柱状、矩形状、起伏状(contoured)、角度付けされた(angled)、折り曲げられた(bent)、湾曲した(curved)、及び/又は平坦な、部分を含む様々な形状及び構成で形成されることができ、空洞内に適合するようにデザインされた任意の形状の組み合わせを含む。
【0008】
図2に示すように、キャリア22は、均等な間隔を有して且つ1以上の垂直な壁により接続される複数のリブを含む。例えば、図2に示されるように、キャリア22は、複数の横断リブ26に相互接続された複数の長手方向リブ24を含む。もちろん、キャリア22は、任意の数、形状、及び構成のリブを含むように構成することができる。通常、各リブは、空洞壁に近接して配置される晒された水平面及び晒された垂直な面を含む。典型的には、接合材料40は、例えばリブ24、26の外側表面のような、キャリア22の外表面に配置される。リブ24、26の厚さ及び間隔は、実質的に特定の応用に依存して変えることができる。しかしながら、リブ24、26は、2〜8mmの厚さとすることができ、そして20〜40mm離れた間隔とすることができる。もちろん、そのようなデザイン選択は、特定の応用の性能要求により影響されることになりうる。横断リブ24は、典型的には、圧縮荷重を受け、空洞が負荷の主方向の、又はセクションの局所領域の、許容可能な限度を越えて変形する機会を減少させる。長手方向リブ26は、典型的には引張荷重を受ける。さらに、図2に示されるように、キャリア22のリブ24、26は、接合材料40を収容するためにも使用されることができる複数の窪み28を提供するように構成される。
【0009】
接合材料40は、膨張可能な発泡体、構造発泡体、接着剤、構造接着剤、流動可能材料、又は、空洞壁にキャリア22を接合させるそれらのいくつかの組み合わせであることができる。通常、接合材料40は、キャリア22に配置され、活性化工程を経た後にキャリア22を空洞に接合させる。キャリア22は、典型的には、例えば、リブ24、26の交差部中に形成されることができる窪み28のような、保持領域中に、接合材料40を保持する。接合材料40は、例えば、膠剤、接着剤、又は機械的クリップのような、化学的又は機械的ファスナーを含む、任意の可能な方法を使用して、窪み28に保持されることができる。キャリア22は、通常、接合材料40を収容するため少なくとも1つの窪み28を含む。図2で示されているように、キャリア22は、キャリア22の至るところに間隔を周期的に空けた多重窪み28を含み、そして窪み28内に配置され窪み28を越えて突出している接合材料40の一部を含む。しかしながら、接合材料40は、キャリア22の任意の表面に配置されることができ、それにより活性化後、接合材料40は、キャリア22を空洞内の適所に固定することができ、そして典型的には追加の構造補強を提供するようにできる。通常、接合材料40が膨張可能材料であるか、または、流動可能な材料であるとき、キャリア22は典型的には、複数の窪み28を伴って構成される。しかしながら、接合材料40が構造接着剤であるとき、キャリア22は、典型的には、構造接着剤に接合するために1以上の実質的な平坦な外側/外観表面で構成される。
【0010】
典型的には、キャリア22は、多種多様の形状に簡単に形成することが可能なプラスチック又は複合材料から製造されることができる。通常、キャリア22をプラスチックから形成することは、空洞が補強されることができる一方、製品の総重量を減少させることもできることを確実にする。さらに、プラスチックは、複雑な3−D形状に形成されることができ、新規な形状及びデザインを通じて強化された構造補強を提供することができる。しかしながら、そのような材料は、典型的には、例えば鉄又は鋼鉄のような金属よりも少ない構造補強を提供する。金属は、一方、より重く、複雑な3−D形状を形成することはより難しいが、典型的には、プラスチックまたは複合材料よりもさらに構造補強を提供する。このように、以下で説明するように、システム20は、空洞の強化された補強を提供することができる一方、軽量のままで、そしてさまざまな構成の1以上の金属挿入部材30を含むことにより簡単に形成可能であるものを提供する。
【0011】
さらに図2で図示されているようにシステム20はまた挿入部材30を含む。挿入部材30は、図2で図示されたように、細長く、実質的に平坦なプレートでありキャリア22内に配置されている。挿入部材30は、金属から製造されることができる一方、キャリア22は、挿入部材30周りにオーバーモールドされた剛性プラスチックから製造されることもできる。図2で図示されているように、挿入部材30は長手方向にまたは負荷適用と反対側の空洞壁の近くに配置され、典型的にはシステムは引っ張り負荷の影響を受ける。そのような構成において、システム20は金属の増加された構造補強から利点を得る一方、同時に減少された重量及びプラスチックの複雑な3−D形状を形成する能力から利点を得る。挿入部材30は、任意の配向に配置されることができ、システム20が任意の形状及び寸法の空洞を補強することができるように形成又は成形されることができる。さらに、挿入部材30は、特定の局所化された領域及び配向で、特定の要求を達成するために、追加の構造補強に対処することができる。例えば、検査データは、ある配向でストレスを受けたとき空洞が所望の量よりも変形することを示すことができる。補強システムはそして、特定の変形問題に対処するために、特定の場所及び配向で挿入部材30で増補されることができる。以下でさらに詳しく説明されるように、構造補強システムは、特定の変形懸念に対処するためまたは特定の顧客要求に対処するため戦略的に配置された1以上の挿入部材30で増補されることができる一方、全ての製品に追加される重量を最小化することができる。挿入部材30はまた金属のように強化された構造補強を提供することができるファイバーマット(fiber mat)であることができる。例えば、ファイバーマットは、熱可塑性プラスチックからなる熱成型されたラミネートであることができる。そのようなファイバーマットは、軽量ハイブリッド構造を形成するためプラスチックを使用したオーバーモールド工程を通じて形成されることができる。
【0012】
力が、例えばフレームレール18のような、車両フレーム10のレール形状の空洞に加えられたとき、レールは、横断方向に変形する傾向があるだけではなく、レールのセクションが、負荷を受ける局所領域に受容可能な限度を越えて変形することになりうる。そのような局所変形は、全てのレールの構造完全性に不利な影響を与えうる。典型的には、そのようなレールは、キャリア22及び接合材料40を含む構造補強システムを使用して補強されることができる。そのような補強システムはレールの構造剛性を圧縮の際増加させることができる一方、負荷に対して通常の方向の引っ張りの際にはレールの構造剛性を増加させる必要はないかもしれない。挿入部材30は、システム20内で受容不可能な量の変形に影響をうける位置及び方向に含まれることができる。そのような変形はレールの1つの領域に限定されないかもしれないので、多重補強システム20がレールの全体の長さを補強するために使用されることができる。さらに、1つのシステム20が使用されることができ、1つのシステム20は、キャリア22に固定された多重挿入部材30を含む。
【0013】
通常、システム20は挿入部材30を含み、それは鋼鉄又はアルミニウムの金属プレートであって、そしてキャリア22により取り囲まれており、それはプラスチックリブ化構造であることができる。システム20は、また、キャリア22を1以上の空洞壁に接合する膨張可能な発泡体を含むことができる。挿入部材30は、実質的に平坦な金属プレートであることができ、又は、例えば「U」形状、「S」形状、又は「W」形状のような形状にすることができる。さらに、金属からなる挿入部材30を含めることにより、システム20は次に金属空洞に溶接されることができる。
【0014】
図3は、図2の線3−3に沿った構造補強システム20の断面図である。図3に示されるように、システム20は、接合材料40が膨張の後空洞壁19とキャリア22の両方に接触するように構成され、それにより適所にキャリア22を固定し、また追加の構造補強をも提供する。典型的には、接合材料40及びキャリア22は、活性化前にシステム20と空洞壁19の間の予備膨張隙間を維持するように構成される。予備膨張隙間を提供することは、製造者に、液体コーティングを例えば窪み又は槽のような空洞内の壁42に適用することを可能にし、そしてより広い組立公差を可能にする。通常、システム20は、接合材料40が活性化されるとき、接合材料が、キャリア22及び1以上の空洞壁19の両方に膨張し接触する。活性化工程の後、接合材料40は、実質的に固相に転移して、硬化する。接合材料40は、構造発泡体であることができ、それにより追加の構造補強を空洞内に提供することができる。
【0015】
活性化する前には、接合材料40は、非膨張状態に止まり、おそらくキャリア22内の窪み28を占有するか、キャリア22の外観面に配置される。通常、システム20は、車両製造工程の初期段階中に、車両フレーム10内の窪みに配置されうる。後の段階で、車両フレーム10は、例えば塗装工程中のような加熱処理又は焼成工程を受ける。通常、接合材料40は、キャリア22と空洞壁19の間の任意の空間を充填するために膨張することができる熱活性化材料である。活性化は通常熱を加えることにより起こるが、接合材料40は、マイクロウェーブ、超音波、放射、電流、化学反応等を使用した様々な他の電気的な又は化学的な工程を通じて活性化されることもできる。
【0016】
図3に示したように、システム20は、噛み合うように又は空洞壁19内に固定されるように構成されることができる挿入部材30を含む。さらに、挿入部材30は直接的に空洞壁19に接触することはないかもしれず、しかし単にシステム20内に含まれることができる。挿入部材30は、おそらく所望の性能特性に応じて異なる場所及び配向を含む任意の形式でキャリア22に一体化されることができる。キャリア22は2つのピースの構造物であることができ、2分割されたものが互いに挿入部材30に、膠剤、接着剤、又は機械的ファスナーを使用して取り付けられることができる。さらに、キャリア22は、挿入部材30上及び周辺でオーバーモールドされることができる。挿入部材30は、挿入部材30がキャリア22に一体的に形成されることを可能とする複数のホール32を含むことができる。ホール32はそして、液体プラスチックがホール32を通じて流れることを可能にし、キャリア22が形成されて挿入部材30と一体的に接合されることができる。形成に続いて、接合材料40はそしてキャリア22及び/又は挿入部材30に追加されることができる。
【0017】
図4A及び4Bは、挿入部材30を含む構造補強システム20の一例を示す。図4Aはシステム20の側面図であり、システム20は、挿入部材30により空洞壁19に取り付けられることを示している。図4Aで示されているように、キャリア22は挿入部材30及び接合材料40を含む。図4A及び4Bで示されているように、挿入部材30は、空洞壁19の間の距離にわたるキャリア22内に配置された、単一の、細長い、実質的に平坦なプレートである。そのような例では、挿入部材30はその部分の長さの大部分に固定されることができる。空洞壁19は空洞内の継ぎ目を溶接されることができる。挿入部材30は、金属から作ることができ、溶接を通じてシステム20を空洞壁19に固定するために使用されることができる複数の溶接ポイント50を含むことができる。図4Bで示されているように、システム20はキャリア22に配置される少なくとも2つの接合材料40の堆積場所を含む。
【0018】
図5A及び5Bは、複数の挿入部材30を含む構造補強システム20の例を示す。図5Aは、システム20の側面図であり、互いに接触しない2つの挿入部材30を含むシステム20を例示し、各挿入部材30はキャリア22に固定されている。システム20は、溶接ポイント50で挿入部材30により空洞壁19に取り付けられている。挿入部材30は、キャリア22の対向する端部でそれぞれ配置されている。図5A及び5Bにより示されているように、各挿入部材30は、空洞壁19の間の距離にわたって、細長く、実質的に平坦なストリップである。そのような例において、システム20は、キャリア22に固定される複数の局所化された金属挿入部材30を含む。システム20は、キャリア22に配置された少なくとも2つの接合材料の堆積場所を含む。
【0019】
図6A及び6Bは、挿入部材30を含む構造補強システム20の別の例を示す。図6Aはシステム20の側面図であり、システム20は、キャリア22に固定された1つの挿入部材30を含むことを示している。システム20は再び、溶接ポイント50で挿入部材30により空洞壁19に取り付けられている。図6A及び6Bで示されているように、挿入部材30は、「I」形状の構成で形成される、細長く、実質的に平坦なプレートである。再び、挿入部材30は空洞壁19の間の距離にわたる。システム20はまた、キャリア22に配置された少なくとも2つの接合材料40の堆積場所を含む。
【0020】
例えばA−ピラー12及びB−ピラー14のようなピラーは、通常、負荷がかかるときに、1以上の領域で変形する傾向がある。ピラーを補強することは、システム20を使用することで達成されることができる。ピラーに加えられたストレスによりよく対処するために、システム20は、ピラーの長手方向に配置され且つ通常「C」「U」又は「W」断面形状を有する金属からなる挿入部材30を含むことができる。上に示されているように、挿入部材30はキャリア22内に配置されることができ、キャリア22はリブ24、26のアレイを含む。リブ24、26は、横断及び長手方向の両方に挿入部材30に対して垂直に配置されることができる。
【0021】
図7−11は、例えばピラーのように、空洞内に配置される様々な構成の構造補強システム20の切り取り図である。図7に示されているように、システム20のキャリア22は、2つの長手リブ24により分離された複数の横断リブ26を含む。システム20はまた挿入部材30、及び接合材料40を含む。挿入部材30は、図7で示されているように、長手リブ24の端部でキャリア22内に配置されている。挿入部材30は、実質的に平坦な中間セクションとともに対向する端部で上向きにされた部分を含む。1つの例では、挿入部材30はそれぞれの端部で2つの上向きにされたセクションを備えた金属シートであり、それにより実質的に空洞の形状と一致する。別の例において、挿入部材30は、空洞の形状と実質的に一致するような形状であるファイバーマットである。接合材料40が活性化後に挿入部材30を空洞壁19に接合させることにより空洞内にシステム20を固定することができるように、接合材料40は、次に挿入部材30上に配置される。別の例において、接着剤が使用されることができ、接合材料40を置き換えることができる。
【0022】
図8は、補強システム20の別の例を示す。図8に示されているように、実質的に「U」形状であり且つそれぞれの側に追加のフランジ状の突起を含む長手方向リブ24により分離された複数の横断リブ26をキャリア22は含む。システム20はまた挿入部材30、及び接合材料40を含む。挿入部材30は、図8に示されているように、長手リブ24の端部でキャリア22内に配置されている。挿入部材30は、実質的に平坦な中間セクションを備える対向する端部で上向きにされた部分を含む。再び、挿入部材30は成形金属プレートであることができ、また成形ファイバーマットであることができる。接合材料40はそして挿入部材30及びキャリア22と空洞壁19との間のリブ24の外観面上に配置され、それにより、実質的にキャリア22と挿入部材30を囲む。
【0023】
図9は、補強システム20の別の例を示し、キャリア22は、実質的に「W」形状である長手リブ24を含む。システム20はまた挿入部材30、及び接合材料40を含む。挿入部材30は、図9に示されているように、リブ24の中間セクションでキャリア22内に配置され、実質的にリブ24の形状と一致している。しかしながら、挿入部材30は:リブ24の副セクションのみに沿って配置され、リブ24の領域の一つの半分よりも少ない領域を覆っている。示されているように、挿入部材30は実質的に「U」形状であり且つキャリア22及び空洞壁19の間のリブ24の外観面に配置されている。再び、挿入部材30は成形金属プレートであることができ、そして成形ファイバーマットであることもできる。接合材料40はそして少なくとも3つの場所に配置されている。例えば、接合材料40は、挿入部材30のセクション上、及びキャリア22と空洞壁19の間のリブ24のセクション上に配置され、それにより部分的にキャリア22と挿入部材30を囲んでいる。
【0024】
図10は補強システム20の別の例を示し、実質的に「W」形状であり、図9のそれに似ている、長手リブ24を、キャリア22は含み、その2つの端部は、中間セクションの長さ近くに延在する。システム20は、また、挿入部材30、及び接合材料40を含む。挿入部材30は、図10に示されているように、キャリア22内に配置され、「W」形状であり、リブ24の形状に実質的に一致している。図10に示されているように、挿入部材30はリブ24の表面領域のかなりの部分を覆う。再び、挿入部材30は、成形プレートであることができ、成形ファイバーマットであることもできる。接合材料40は、再び、少なくとも3つの場所、すなわち、挿入部材30のセクション上、及びキャリア22と空洞壁19の間のリブ24のセクション上に配置される。
【0025】
図11は、補強システム20のさらに別の例を示し、キャリア22は、また実質的に「U」形状の長手リブ24を含む。システム20はまた、少なくとも2つの挿入部材30を含み、そして少なくとも3つの接合材料40の部分を含む。挿入部材30は、図11で示されているように、実質的に「U」形状であり、リブ24のものに対向する配向で構成されている。挿入部材30は、リブ24の延長された部分と噛み合うように構成されている。図11で示されているように、各「U」形状の挿入部材30の1つの側が外側に、キャリア22の内側セクションから離れて延在し、空洞壁19に向かって延在するように、挿入部材30は、リブ24に固定されている。さらに、図11で示されるように、挿入部材30は、リブ24の表面領域の副部分のみを覆う。再び、挿入部材30は成形金属プレートであることができ、そして成形ファイバーマットであることができる。接合材料40は、再び少なくとも3つの場所、すなわち、挿入部材30と空洞壁19の間の挿入部材30のセクション上、及びキャリア22と空洞壁19の間のリブ24のセクション上に配置される。
【0026】
図12は車両フレーム内のエルボー部分を示す。例えば、正面負荷を受容するA−ピラー12のような負荷を受けるノードは、y及びz軸周りに回転する傾向があり、そのy軸は車両の横断軸であり、z軸は車両の垂直軸である。そのような望ましくない回転を減少又は防ぐために、構造補強システム20は、図12に示されているように、ノードのエルボー部分に挿入されることができる。システム20は実質的に平坦な挿入部材30を含むことができる。さらに、挿入部材30は、「L」、「U」又は「S」形状の形状にすることができる。さらに、挿入部材30は、追加の安定性をもたらし、そのような望まない回転を防ぐために、軸外に備えられることができる。
【0027】
図12に示されているように、システム20は、「L」形状のキャリア22内に配置された挿入部材30を含む。キャリア22は、複数の横断リブ26に相互接続した複数の長手リブ24を含む。もちろん、キャリア22は、空洞に一致する任意の数、形状、及び構成のリブを含むように構成されることができる。システム20は、空洞壁19に溶接及び固定するための対向する端部で延長部を含む実質的に「L」形状の挿入部材30を含む。挿入部材30はまた、局部剛性を増大させるために中間領域で長手変形を含む。挿入部材30の延長部は、両方空洞の幅にわたり且つ溶接ポイント50で空洞壁19に固定されることができる。挿入部材30の長手変形は、波形又は実質的に「S」形状の構造であることができ、それは空洞内のキャリア22のエルボー部分を通じて対角線状に延在し、図12に示されているように、それにより空洞の垂直及び水平部分の両方に延在する。キャリア22は、挿入部材30にわたりオーバーモールドされることができ、又は、膠剤、接着剤、若しくは機械的ファスナーを使用して挿入部材30の両側上に機械的に固定されることができる。
【0028】
図13は別の構造補強システム20の斜視図である。図13で示されているように、システム20は、キャリア22、キャリア22の全体長を越えて延在する挿入部材30、及び(示されていない)接合材料を含む。示されているように、挿入部材30は、システム20を空洞壁19に固定するために使用されることができる1以上のナット60を含むことができ、また、空洞壁19の対向側で追加の構造要素のための固定ポイントとして使用されることができる。例えば、ナット60は、挿入部材30に溶接されることができ、そして空洞壁19の対向側で追加の構造要素を固定することができる対応するボルトにかみ合うように構成されることができる。典型的な構造的要素は、ドアヒンジ、ドアストライカー、シートベルトアタッチメント、等を含むことができる。もちろん、ファスナーの他の種類も、例えばねじ、ナットとボルト、フック、ピン、等のように、良好に使用されることができる。さらに、挿入部材30は、空洞内の対応するスロットに噛み合うように構成された延長部62を含むことができ、それにより空洞内のシステム20の簡単な操作及び配置を促進することができる。延長部は、図14でさらに示されているように、対応するスロットと噛み合うように構成されたフランジ状の金属延長部であることができる。さらに、図14で示されているように、挿入部材30は、ガイド64を使用してキャリア22に固定されることができる。ガイド64は、例えば図14で示される小さな突起のような、摩擦力を使用して適所に挿入部材30を維持するために使用されることができるキャリア22の一体的な部分であることができる。
【0029】
ある構成においては、挿入部材30と空洞壁19の間に絶縁層を維持することが望まれる。例えば、空洞壁19がアルミニウムから製造され且つ挿入部材30が鋼鉄から製造されるとき、通常「バッテリー効果」として知られる、2つの金属界面で腐蝕が起こることがある。上述されているように、2つの要素の間にバッファ又は絶縁層を提供することが望まれるそのようなシナリオにおいて、システム20はオーバーモールドされたプラスチック層、接合材料40、又は接着剤で構成されることができる。認識できるように、そのような構成は金属接触する金属の量を制限することができる。
【0030】
本願発明は、前述の好ましい及び代替的な実施例を参照して特に示され記載されている一方、当業者は、ここに記載されている発明の実施形態の様々な代替物が、以下の請求項で記載されるような発明の精神及び範囲から離れることなく、本発明を実施することを採用することができることが理解されるべきである。以下の請求項は、本発明の範囲を規定し、これらの請求項の範囲内の方法及び装置及びそれらの均等物がそれらにより含まれることが意図されている。本発明のこの記載は、新規であり、ここに記載された要素の非自明な組み合わせを含み、請求項はこれ又は後の出願中でこれらの要素の任意の新規で非自明な組み合わせで表わされることができることが理解されるべきである。前述の実施形態は、例示的であり、どの単一の特徴又は要素も、この又は後の出願で請求される全ての可能な組み合わせについて本質的ではない。
【符号の説明】
【0031】
10 車両フレーム
12 A−ピラー
14 B−ピラー
16 ロッカー
18 フレームレール
19 空洞壁
20 構造補強システム
22 キャリア
24 長手リブ
26 横断リブ
28 窪み
30 挿入部材
40 接合材料
60 ナット
62 延長部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造補強システム(20)であって、
剛性キャリア(22);
前記剛性キャリア(22)に固定的に固定された挿入部材(30);及び
前記剛性キャリア(22)及び前記挿入部材(30)が前記接合材料(40)が膨張した後に適所に固定されるように、前記剛性キャリア(22)又は前記挿入部材(30)の少なくとも一部にわたって配置された接合材料(40)
を備えることを特徴とする構造補強システム(20)。
【請求項2】
前記剛性キャリア(22)はプラスチックから形成され、前記挿入部材(30)は金属又はファイバーマットから形成され、そして前記接合材料(40)は構造膨張可能材料、流動可能材料、及び構造接着剤の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1に記載の構造補強システム(20)。
【請求項3】
前記剛性キャリア(22)は、複数の横断リブ(26)に相互接続された複数の長手リブ(24)を含むことを特徴とする請求項1に記載の構造補強システム(20)。
【請求項4】
前記挿入部材(30)は、実質的に矩形のプレート、実質的に「L」形状の構成、実質的に「U」形状の構成、実質的に「S」形状の構成、又は実質的に「W」形状の構成であることを特徴とする請求項1に記載の構造補強システム(20)。
【請求項5】
前記挿入部材(30)は、前記挿入部材(30)が前記キャリア(22)と一体的に形成されることを可能とする複数のホール(32)を含むことを特徴とする請求項1に記載の構造補強システム(20)。
【請求項6】
前記挿入部材(30)の少なくとも一部は、2つの空洞壁(19)の間の距離にわたるように構成されることを特徴とする請求項4に記載の構造補強システム(20)。
【請求項7】
前記挿入部材(30)は、局所的に細長い波形変形を含むことを特徴とする請求項6に記載の構造補強システム(20)。
【請求項8】
第2挿入部材(30)をさらに備え、前記挿入部材(30)は互いに直接接触せず、それぞれの前記挿入部材(30)は前記剛性キャリア(22)内に一体的に形成され、それぞれの前記挿入部材(30)は前記剛性キャリア(22)の対向する端部に配置され、それぞれの前記挿入部材(30)は細長く、実質的に平坦なストリップとして形成されていることを特徴とする請求項1に記載の構造補強システム(20)。
【請求項9】
前記挿入部材(30)は、「I」形状の構成で形成される細長い、実質的に平坦なプレートであり、そして空洞壁(19)の間の距離にわたりさらに構成されることを特徴とする請求項1に記載の構造補強システム(20)。
【請求項10】
前記挿入部材(30)は、空洞内に配置されるときに前記挿入部材(30)が空洞壁(19)にかなり接近して配置されるように、長手リブ(24)の端部で前記剛性キャリア(22)内に配置されることを特徴とする請求項3に記載の構造補強システム(20)。
【請求項11】
前記挿入部材(30)は、実質的に平坦な中間セクションを備えて対向する端部で上向きにされた部分を含むこと特徴とする請求項10に記載の構造補強システム(20)。
【請求項12】
前記長手リブ(24)は実質的に「U」形状であり、且つさらに少なくとも2つのフランジ状の突起を前記長手リブ(24)の対向する側上に含むことを特徴とする請求項3に記載の構造補強システム(20)。
【請求項13】
前記挿入部材(30)は、実質的に平坦な中間セクションを備えて対向する端部で上向きにされた部分を含み、空洞内に配置されるときに前記挿入部材(30)が空洞壁(19)にかなり近接して配置されるように、前記長手リブ(24)の端部で前記剛性キャリア(22)内に配置されることを特徴とする請求項12に記載の構造補強システム(20)。
【請求項14】
前記長手リブ(24)は実質的に「W」形状であり、並びに前記挿入部材(30)は実質的に「U」形状であり、前記長手リブ(24)の中間セクションで前記キャリア(22)内に配置され、前記挿入部材(30)は、前記長手リブ(24)の形状に実質的に一致することを特徴とする請求項3に記載の構造補強システム(20)。
【請求項15】
前記長手リブ(24)は実質的に「W」形状であり、並びに前記挿入部材(30)も実質的に「W」形状であり、前記挿入部材(30)は実質的に形状に一致するような形状であることを特徴とする請求項3に記載の構造補強システム(20)。
【請求項16】
空洞内に配置されるとき前記接合材料(40)が前記剛性キャリア(22)及び空洞壁(19)の間に配置されるように、前記接合材料(40)は前記挿入部材(30)上及び前記長手リブ(24)の外観面上に配置されることを特徴とする請求項11、13、又は15のいずれか1つに記載の構造補強システム(20)。
【請求項17】
第2挿入部材(30)をさらに備え、前記長手リブ(24)は実質的に「U」形状であり、並びに前記挿入部材(30)も実質的に「U」形状であり且つ各「U」形状の挿入部材(30)の1つの側が前記剛性キャリア(22)の内側セクションから離れるように延在し、空洞内に配置されるとき空洞壁(19)に向かって延在するように、前記「U」形状の長手リブ(24)の配向に、対向する配向で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の構造補強システム(20)。
【請求項18】
ナット(60)及び延長部(62)の少なくとも1つをさらに備え、前記ナット(60)は空洞壁(19)の対向側で追加の構造要素のための固定ポイントとして役立つことができ、並びに前記延長部(62)は前記挿入部材(30)と一体的に形成され且つ空洞壁(19)に形成された対応するスロットと噛み合うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の構造補強システム(20)。
【請求項19】
空洞を補強する方法であって、
補強されるべき空洞の一部を同定するステップ;
追加の構造補強を確立するために負荷方向を同定するステップ;
前記空洞部分内に挿入部材(30)の位置及び配向を選択するステップ;
前記同定された空洞部分を補強するために、前記挿入部材(30)を剛性キャリア(22)に固定するステップであって、前記挿入部材(30)は、追加の構造補強が前記同定された負荷方向に対応して提供するために配置され且つ配向されるステップ;及び
接合材料(40)を前記挿入部材(30)又は前記剛性キャリア(22)に提供するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
複数の横断リブ(26)に相互接続される複数の長手リブ(24)を含むために前記剛性キャリア(22)を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
実質的に矩形プレート、実質的に「L」形状の構成、実質的に「U」形状の構成、実質的に「S」形状の構成、又は実質的に「W」形状の構成に、前記挿入部材(30)を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記剛性キャリア(22)はプラスクックから形成され、前記挿入部材(30)は金属又はファイバーマットから形成され、そして前記接合材料(40)は、構造膨張可能材料、流動可能材料、及び構造接着剤の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−530450(P2011−530450A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522508(P2011−522508)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060431
【国際公開番号】WO2010/018190
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】