説明

槓桿式秤における重点部構造、及び槓桿式秤

【課題】精度の高い計量を行うことができる秤を提供する。
【解決手段】体重計1が備える重点エッジ8は、円錐状に縮径した先端部を有する支持突起81を備えている。各槓桿4,5は、重点エッジ8を受ける重点溝42,52を備えている。重点溝42,52は、その底面が下方に向けて湾曲した湾曲部42a,52aを備えている。湾曲部42a,52aには、円錐状に窪んだ支持窪み部42b,52bが設けられている。重点溝42,52は、支持突起81を支持窪み部42b,52bで支承することにより、重点エッジ8を支持する。各槓桿4,5には、カバー2に加えられた荷重が、重点エッジ8を介して重点溝42,52に伝達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槓桿式秤における槓桿の長機及び/又は短機で重点刃を支持する重点部の構造、及び該構造を備える槓桿式秤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カバーをベースに取り付けて構成される槓桿式秤としては、下記の特許文献1に記載の体重計が開示されている。この体重計は、ベースの内面の4隅にある支点エッジで、それぞれベースの中央部側に向けて延びた各槓桿の一端を支持している。ベースの前側隅部の支点エッジで支持された各長機槓桿は、ベースの後端部まで延びて先端部を受け台で支持されている。ベースの後側隅部の支点エッジで支持された各短機槓桿の他端は、前側隅部の支点エッジで支持された各長機槓桿の中央部で支持されている。受け台はロードセルの可動部に取り付けられている。
【0003】
カバーの内面の4隅の中央部寄りに設けられたカバーエッジには、それぞれ重点エッジが取り付けられている。各重点エッジは、それぞれ各槓桿に支持されている。ベースとカバーとの間には引っ張りバネが介装されており、この引っ張りバネによりカバーはベース側に付勢されている。
【0004】
上方からカバーに荷重が加えられると、この荷重は重点エッジを介して各槓桿に伝達される。後側隅部の支点エッジで支持された各短機槓桿は、前側隅部の支点エッジで支持された長機槓桿を下方に付勢する。前側隅部の支点エッジで支持された長機槓桿は、カバーから直接加えられる荷重と、後側隅部の支点エッジで支持された各短機槓桿から加えられる荷重とを、受け台を介してロードセルに伝達する。これによりカバーに加えられた荷重がロードセルで検知され、体重が計量される。
【0005】
【特許文献1】特開平8−86686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の体重計では、カバーの上に足を載置する際等に加えられる荷重がカバーの側方に向けて働くことや、上述した各部品の仕上がり状態により、各槓桿での重点エッジの支持位置が、所定の位置からずれることがある。この位置ずれが生じると、各槓桿によりロードセルに伝達される荷重値も本来伝達されるべき値と異なる値となり、計量値に大きな誤差が生じることがあった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決することのできる槓桿式秤における重支部構造及び槓桿式秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この欄の記載は特許請求の範囲の記載に応じて変更されます。
このような課題を解決するために、本発明の槓桿式秤における重点部構造は、槓桿の長機及び/又は短機で重点刃を支持する、槓桿式秤における重点部構造であって、前記槓桿及び前記重点刃の何れか一方に設けられた窪みで、他方に設けられた突起が支承されていることにより、前記重点刃を前記槓桿で支持したことを特徴とする。
また、本発明は、前記窪みが円錐状に窪んでおり、前記突起が円錐状に縮径した先端を備えていることを特徴とする。
また、本発明は、前記重点刃が、カバーエッジを支持する一対の支持部を結ぶ辺部に、前記突起又は前記窪みを備えており、前記辺部の延設方向に沿った縁部を折り曲げて構成された折曲片を備えていることを特徴とする。
また、本発明は、上辺部の左右の両端部及び中央部からそれぞれ下方に向けて延びる辺部を設けた形状の平板体を、前記中央部から延びる辺部が前方に位置して前記上辺部が後方に位置するように、前記左右の両端部から延びる辺部を後方に向けて屈曲させた形状を有しており、前記左右の両端部から延びる辺部が前記支持部を備え、前記中央部から延びる辺部が前記突起又は前記窪みを備えていることを特徴とする。
また、本発明の槓桿式秤は、上記重点部構造を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、精度の高い計量を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の最良の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の体重計1を上方から見た斜視図である。また、図2は、体重計1のカバー2を内面側から見た斜視図である。また、図3は、体重計1のベース3を内面側から見た斜視図である。
【0011】
図1に示すように、体重計1は、荷重の加えられるカバー2を、ベース3に取り付けて構成されている。カバー2の外面は平坦に構成されており、前端部の左右方向の中央部には、カバー2に加えられた荷重を計量値として表示する表示部2aが設けられている。表示部2aは、カバー2の内面側からカバー2の外面側を臨んで配置されている。カバー2の外面の左右方向の両側部は、それぞれ被験者が左右の足を載置する載置部2bとなっている。
【0012】
図2に示すように、カバー2は、略四角形状の板状体から構成される荷重受部21と、この荷重受部21の縁部から内面側に延びる側壁部22とを備えて構成されている。荷重受部21の内面の左右の一対の側壁部22の近傍には、図示しないサイドスプリングが備えるフック部の掛けられる係止片28が形成されている。また、荷重受部21の内面の四隅には連結部23が固定されている。各連結部23は、互いに向かい合う一対のカバーエッジ24を備えている。連結部23とカバーエッジ24とは、一体に形成されている。両カバーエッジ24の対向する位置には、連結溝24aが形成されている。連結溝24aは、カバーエッジ24の両主面間を貫通し、カバーエッジ24の上縁から下縁側に向けて垂直に延びている。カバーエッジ24には、後で詳述する重点エッジ8が取り付けられている。
【0013】
荷重受部21の後端側の左右の隅部に位置する連結部23は、重点エッジ8の一主面を荷重受部21の前端側の左右の幅方向の中央部に向けて荷重受部21に固定されている。また、荷重受部21の前端側の左右の隅部に位置する連結部23は、重点エッジ8の一主面を荷重受部21の後端側に向けて荷重受部21に固定されている。
【0014】
図3に示すように、ベース3は、略四角形状の板状体から構成される底板部31と、この底板部31の縁部から内面側に延びる側壁部32とを備えて構成されている。底板部31の内面の左右の一対の側壁部32の近傍には、図示しないサイドスプリングが備える係止部の係止されるバネ固定孔35が形成されている。サイドスプリングは、バネ固定孔35と荷重受部21の係止片28との間に掛け渡されてカバー2とベース3との間に介装され、バネ固定孔35の周縁部に向けて係止片28を付勢している。
【0015】
また、底板部31の内面の四隅には、ベースエッジ33が固定されている。各ベースエッジ33は、その上縁から下縁側に向けて延びる支点溝34aが形成された支点エッジ34を備えている。底板部31の後端側の左右の隅部に位置するベースエッジ33は、支点エッジ34の一主面を底板部31の前端側の左右の幅方向の中央部に向けて底板部31に固定されている。また、底板部31の前端側の左右の隅部に位置するベースエッジ33は、支点エッジ34の一主面を底板部31の後端側に向けて底板部31に固定されている。
【0016】
底板部31の後端側のベースエッジ33が備える各支点エッジ34は、それぞれ短機槓桿4の基端部4bを支持している。各短機槓桿4は、後述する吊り輪6に先端部4aを挿通されている。また、底板部31の前端側のベースエッジ33が備える各支点エッジ34は、それぞれ長機槓桿5の基端部5bを支持している。各長機槓桿5は、後述する吊り輪6に先端部5a寄りの中央部5cを挿通され、先端部5aを連結片71に固定されている。
【0017】
吊り輪6は、略四角形の環状を呈した平板から構成されており、後述する短機槓桿4の作用点溝43及び長機槓桿5の荷重伝達溝53を対向する一対の辺部の内側縁部で受けている。図3に示すように、短機槓桿4の先端部4aは、吊り輪6を介して長機槓桿5の下方に吊り下げられた状態となっている。これにより、長機槓桿5には、短機槓桿4の受けた荷重が、吊り輪6を介して伝達される。
【0018】
図3に示すように、連結片71には伝達槓桿72が取り付けられている。連結片71から突出した伝達槓桿72の先端部は、略四角形の環状を呈した終端エッジ73に挿通されている。終端エッジ73には取付片74が取り付けられており、伝達槓桿72は終端エッジ73を介して取付片74に吊り下げられた状態となっている。取付片74は、ロードセル75の可動部に固定されている。ロードセル75の固定部は、固定片76を介してベース3に固定されている。
【0019】
図4及び図5は、上述した重点エッジ8の構成の概略を示す図であり、図4(a)は上方からの斜視図,図4(b)は下方からの斜視図,図5(c)は平面図,図5(d)は正面図,図5(e)は右側面図である。図4に示すように、重点エッジ8は、左右方向に向けて直線状に延びる上辺部8aの左右の両端部及び中央部に、それぞれ下方に向けて直線状に延びる左辺部8b,右辺部8c,及び中辺部8dを設けた形状の平板体を、中辺部8dの先端が前方に位置して上辺部8aが後方に位置するように、左辺部8b及び右辺部8cの上端部を後方に向けて略直角に屈曲させた形状を有している。
【0020】
図5(c),(e)に示すように、上辺部8aは、左辺部8b及び右辺部8cの上端部の折曲部分の後方に位置して、両主面を上下方向に向けている。上辺部8aの後縁部は、上方に向けて略直角に折り曲げられて折曲片8a1を構成している。図5(c),(d)に示すように、左辺部8b及び右辺部8cは、中辺部8dを挟んで互いが左右対称となる形状を有して、上辺部8aから延びている。
【0021】
左辺部8bの先端には、左辺部8bの左方に延びる左突辺部8b1が設けられている。また、右辺部8cの先端には、右辺部8cの右方に延びる右突辺部8c1が設けられている。左突辺部8b1及び右突辺部8c1の先端には、それぞれ上方に向けて拡幅した拡幅部8b2,8c2が設けられている。左突辺部8b1及び右突辺部8c1の拡幅部8b2,8c2よりも基端側は、カバー2のカバーエッジ24に支持される支持部82を構成している。
【0022】
図5(c),(e)に示すように、中辺部8dは、上辺部8aの左右方向の中央部の前縁から、折り曲げられた左辺部8b及び右辺部8cの上端部と共に前方に向けて延びており、上辺部8aと一体となって左右の辺部8b,8cを結ぶ辺部を構成している。上辺部8aが備える折曲片8a1は、この辺部の延設方向である左右方向に沿った後縁部を折り曲げて構成された折曲片となっている。この折曲片により、上辺部8aの延設方向に対して垂直方向に向けて加えられる荷重に対する重点エッジ8の強度が高められている。図5(d),(e)に示すように、中辺部8dの下面には、円錐状に縮径した先端部を有する支持突起81が設けられている。支持突起81は、円形の断面を有して中辺部8dの厚さよりもやや長い長さを有する棒状体9を、中辺部8dに形成された嵌入孔8d1(図5(c)参照)に嵌入させて構成されている。
【0023】
図5(d)に示すように、支持突起81を構成する棒状体9は、先端部9aが後端側から先端側にかけて徐々に縮経して円錐状を呈している。また、中央部9bが嵌入孔8d1よりも大きな経を有しており、後端部が嵌入孔8d1とほぼ等しい径に縮径した縮径部9cとなっている。棒状体9は、先端部9aを下に向けて縮径部9cを中辺部8dの嵌入孔8d1に下側から圧入し、嵌入孔8d1の上方に突出した縮径部9cの後端部を拡開させて拡開部分を嵌入孔8d1の上側の周縁に係止させることにより、中辺部8dに取り付けられている。中辺部8dの下面から下方に向けて突出した棒状体9の先端部9a及び中央部9bにより、支持突起81は構成されている。支持突起81は、図5(c)に示すように、左辺部8bと右辺部8cとを結ぶ線上で、両辺部8b,8cの中間に位置している。
【0024】
図2に示すように、各重点エッジ8は、支持突起81を下方に向けてカバー2の連結部23が備える一対のカバーエッジ24間に掛け渡され、各カバーエッジ24が備える連結溝24aにそれぞれ支持部82を支持されて、図2中の矢印A方向に揺動自在にカバーエッジ24に取り付けられている。
【0025】
図6は、短機槓桿4の構成の概略を示す側面図である。また、図7は、各短機槓桿4が備える重点溝42の周辺を拡大して示す図であり、(a)は後方からの斜視図,(b)は平面図,(c)は(b)のA−A線断面図である。図6に示すように、短機槓桿4の基端部4bの下端面には、支点エッジ34を受ける支点溝41が形成されている。また、基端部4b寄りの中央部4cの上端面には、重点エッジ8を受ける重点溝42が形成されている。また、先端部4aの下端面には、吊り輪6を受ける作用点溝43が形成されている。短機槓桿4には、カバー2に加えられた荷重が、重点エッジ8を介して重点溝42に伝達される。
【0026】
図6及び図7に示すように、重点溝42は、短機槓桿4の上縁部を矩形に切り欠いた側面形状を有している。図6に示すように、重点溝42は、重点エッジ8の上辺部8aの後端部から中辺部8dの前端部までの重点エッジ8の前後方向の長さよりもやや広い幅を有して、短機槓桿4の両側面間を貫通している。図6に示すように、重点溝42は、上辺部8aを短機槓桿4の先端側に向けると共に中辺部8dを短機槓桿4の基端側に向けた重点エッジ8を支持する。
【0027】
図7に拡大して示すように、重点溝42の前後方向の中央部のやや後方寄りには、重点溝42の底面が下方に向けて湾曲した湾曲部42aが設けられている。図7に示すように、湾曲部42aには、円錐状に窪んだ支持窪み部42bが設けられている。支持窪み部42bは、支持突起81を支承することにより、重点エッジ8を支持するための窪みである。支持窪み部42bは、重点エッジ8が備える支持突起81の先端部の傾斜面よりもやや緩やかな傾斜面を有しており、支承した支持突起81が支持窪み部42b上を移動できるように構成されている。
【0028】
図8は、長機槓桿5の構成の概略を示す側面図である。図8に示すように、長機槓桿5の基端部5bの下端面には、支点エッジ34を受ける支点溝51が形成されている。また、基端部5b寄りの中央部5cの上端面には、重点エッジ8を受ける重点溝52が形成されている。また、先端部5a寄りの中央部5cの上端面には、吊り輪6を受ける荷重伝達溝53が形成されている。長機槓桿5には、カバー2に加えられた荷重が、重点エッジ8を介して重点溝52に伝達される。
【0029】
重点溝52は、湾曲部52aの形成位置を除いて、短機槓桿4の備える重点溝42と同様の構成を有しており、湾曲部52aの備える支持窪み部52bも、重点溝42の湾曲部42aが備える支持窪み部42bと同様の形状を有している。重点溝52は、上辺部8aを長機槓桿5の基端側に向けると共に中辺部8dを長機槓桿5の先端側に向けた重点エッジ8を、支持突起81を支持窪み部52bで支承することにより支持する。このため、重点溝52の湾曲部52aは、長機槓桿5の前後方向の中央部のやや前方寄りに設けられている。
【0030】
次に、本実施形態の体重計1での計量時の動作について説明する。ベース3が床面上に載置された状態において、図3に示すように、体重計1が備える各短機槓桿4は、支点エッジ34により支点溝41で基端部4bを支持されると共に、吊り輪6により作用点溝43で先端部4aを支持されている。また、各長機槓桿5は、支点エッジ34により支点溝51で基端部5bを支持されると共に、吊り輪6により荷重伝達溝53で先端部5a寄りの中央部5cを支持され、先端部5aを連結片71で支持されている。このような状態で、各槓桿4,5は、重点エッジ8を介して重点溝42,52でカバー2を支持している。また、図示しないが、カバー2の荷重受部21とベース3の底板部31との間に介装されたサイドスプリングの付勢力により、ベース3の底板部31のバネ固定孔35の周縁部に向けて、カバー2の荷重受部21の係止片28が付勢されている。
【0031】
カバー2の重量やサイドスプリングの付勢力により、各槓桿4,5には、重点エッジ8を介して所定の大きさの荷重が加えられている。短機槓桿4で受けられたこの荷重は、吊り輪6を介して長機槓桿5に伝達される。長機槓桿5は、重点エッジ8から直接受けた荷重と、吊り輪6を介して短機槓桿4から伝達された荷重とを、先端部5aの固定された連結片71に伝達する。
【0032】
このようにして連結片71に伝達された荷重は、伝達槓桿72から終端エッジ73及び取付片74を介してロードセル75に伝達され、ロードセル75が撓む。撓んだロードセル75に生じた弾発力で、各槓桿4,5には重点エッジ8から加えられる荷重に抗してカバー2を上方に押し付ける力が働く。これにより、ベース3に対するカバー2の取付位置が所定の位置に保たれている。
【0033】
この状態で、被験者がカバー2の載置部2bに両足を載置する等して、カバー2に荷重が加えられると、カバー2のカバーエッジ24から重点エッジ8を介して各槓桿4,5に荷重が伝達される。このようにして加えられた荷重は、支点エッジ34との接触点を支点として各槓桿4,5をベース3の底板部31側に回動させるように働き、ロードセル75の撓み量が大きくなる。この撓み量の変化を検知することにより、荷重の計量が行われる。
【0034】
被験者がカバー2の載置部2bに両足を載置する際等に、カバー2に対して水平方向への荷重が働き、また、各槓桿4,5や各エッジ8,24,34等の部品の仕上がり状態の影響を受けることにより、各槓桿4,5による重点エッジ8の支持位置を所定の位置からずらそうとする力が働くことがある。これにより、各槓桿4,5による重点エッジ8の支持位置が所定の位置からずれて、この位置が所定の位置にある場合とで、ロードセル75の可動部に加えられる荷重に違いが生じ、計量値に大きな誤差が生じる虞がある。
【0035】
しかしながら、本実施形態の体重計1は、中辺部8dに設けられた支持突起81を、各槓桿4,5の重点溝42,52が備える支持窪み部42b,52bで支承することにより、重点エッジ8を各槓桿4,5で支持していることから、水平方向の何れの方向に向けた荷重が重点エッジ8に加えられても、支持窪み部42b,52bの傾斜面により支持突起81の水平方向への移動を妨げることができる。つまり、支持窪み部42b,52bの中心部に位置する最奥部から支持窪み部42b,52bの周縁に向けて、支持窪み部42b,52bの傾斜面上を上方に向けて移動し、支持窪み部42b,52bの外側に支持突起81が移動するのには、平坦面上を移動するのに比べて、大きな力が重点エッジ8に加わる必要がある。しかも、支持窪み部42b,52bの傾斜面を上りきらなかった支持突起81は、カバーエッジ24から加えられる荷重及び重点エッジ8の自重により、支持窪み部42b,52bの傾斜面を下降して最奥部に再び戻る。このため、カバー2に対して水平方向の何れの方向に荷重が加えられても、各槓桿4,5による重点エッジ8の支持位置が、支持窪み部42b,52bの最奥部に支持突起81が位置する所定の位置に保たれ易くなる。この結果、カバー2の側方に向けて荷重が働くことや、体重計1を構成する各部品の仕上がり状態によって、各槓桿4,5での重点エッジ8の支持位置がずれることに伴い生じる計量値の誤差を抑え、計量の精度を高めることができる。
【0036】
また、支持窪み部42b,52bが、支持突起81の傾斜面よりもやや緩やかな傾斜面を有して、支持突起81が支持窪み部42b,52b上を移動できるように構成されていることから、支持窪み部42b,52bの傾斜面上での支持突起81の移動を円滑に行わせることができる。このため、支持窪み部42b,52bと支持突起81との間の移動に伴い両者に生じる摩耗や重点エッジ8や各槓桿4,5の損傷を抑え、これらの摩耗や損傷が生じることに伴い、各槓桿4,5の重点溝42,52への重点エッジ8の取付姿勢等が変化するのを防止できる。従って、計量の精度をより高めることができる。
【0037】
さらに、円錐状に窪んだ支持窪み部42b,52bに、円錐状に縮径した支持突起81の先端部が支承されていることから、支持窪み部42b,52bの傾斜面上での支持突起81の移動をより円滑に行わせることができる。このため、支持窪み部42b,52bと支持突起81との間の移動に伴い、両者に生じる摩耗や重点エッジ8や各槓桿4,5の損傷を効果的に抑え、これらの摩耗や損傷が生じることに伴い、各槓桿4,5の重点溝42,52への重点エッジ8の取付姿勢等が変化するのを、効果的に防止できる。従って、計量の精度をより高めることができる。
【0038】
上記実施形態の説明では、短機槓桿4と長機槓桿5とで重点エッジ8を支持する向きが違っていたが、重点エッジ8を支持する向きは任意であり、例えば、各槓桿4,5で重点エッジ8を支持する向きが同じでもよい。また、重点エッジ8を支持する向きも任意であり、上辺部8aが各槓桿4,5の先端側や後端側を向いている必要は必ずしもない。また、連結部23の各カバーエッジ24間に掛け渡されて、連結溝24aに各支持部82を支持された状態で、支持突起81により各槓桿4,5に支持されるのであれば、重点エッジ8の形状も任意である。
【0039】
また、上記実施形態の説明では、中辺部8dに形成された嵌入孔8d1に棒状体9を嵌入させることにより、支持突起81が構成されていた。しかしながら、支持突起81の構成は、各槓桿4,5が備える支持窪み部42b,52bに支承されることにより、重点エッジ8を各槓桿4,5に支持することが出きるのであれば、任意であり、中辺部8dと一体に形成されていてもよい。また、支持突起81が重点エッジ8と別体に形成されているときには、その取付方法も任意である。
【0040】
また、上記実施形態の説明では、重点エッジ8が備える支持突起81を、各槓桿4,5が備える支持窪み部42b,52bで支承した場合について説明した。しかしながら、各槓桿4,5及び重点エッジ8の何れか一方に設けられた窪みで、他方に設けられた突起が支承されていることにより、重点エッジ8が各槓桿4,5で支持されているのであれば、その構成は任意である。例えば、各槓桿4,5が備える支持突起を重点エッジ8が備える支持窪み部で支承してもよく、また、短機槓桿4及び長機槓桿5の何れかが支持突起を備えると共に、残りが支持窪み部を備え、何れの各槓桿4,5で支持されるかに応じて重点エッジ8が支持突起又は支持窪み部を備える構成としてもよい。
【0041】
また、上記実施形態の説明では、重点溝42,52が、各槓桿4,5の上縁部を矩形に切り欠いた側面形状を有しており、また、重点溝42,52が湾曲部42a,52aに支持窪み部42b,52bを備えていた場合について説明した。しかしながら、重点エッジ8が備える支持突起81を支持窪み部42b,52bで支承することにより、各槓桿4,5で重点エッジ8を支持できるのであれば、重点溝42,52の構成は任意であり、湾曲部42a,52aは必ずしも備える必要はない。
【0042】
また、重点エッジ8が備える支持突起81を各槓桿4,5が備える支持窪み部42b,52bで支承することにより、各槓桿4,5で重点エッジ8を支持することができるのであれば、支持突起81及び支持窪み部42b,52bの形状は任意であり、必ずしも支持窪み部42b,52bが円錐状に窪んでおり、支持突起81が円錐状に縮径した先端を備えている必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態の体重計の外観構成の概略を示す斜視図である。
【図2】図1に示す体重計が備えるカバーの構成の概略を示す斜視図である。
【図3】図1に示す体重計が備えるベースの構成の概略を示す斜視図である。
【図4】図2に示すカバーが備える重点刃の構成の概略を示す第1の図である。
【図5】図2に示すカバーが備える重点刃の構成の概略を示す第2の図である。
【図6】図3に示すベースが備える短機槓桿の構成の概略を示す側面図である。
【図7】図6に示す短機槓桿が備える重点溝の構成の概略を示す図である。
【図8】図3に示すベースが備える長機槓桿の構成の概略を示す側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 体重計
2 カバー
3 ベース
4 短機槓桿
41 支点溝
42 重点溝
42a 湾曲部
42b 支持窪み部
43 作用点溝
5 長機槓桿
51 支点溝
52 重点溝
52a 湾曲部
52b 支持窪み部
53 荷重伝達溝
6 吊り輪
8 重点エッジ
81 支持突起
82 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
槓桿の長機及び/又は短機で重点刃を支持する、槓桿式秤における重点部構造であって、
前記槓桿及び前記重点刃の何れか一方に設けられた窪みで、他方に設けられた突起が支承されていることにより、前記重点刃を前記槓桿で支持したことを特徴とする槓桿式秤における重点部構造。
【請求項2】
前記窪みは円錐状に窪んでおり、前記突起は円錐状に縮径した先端を備えていることを特徴とする請求項1に記載の槓桿式秤における重点部構造。
【請求項3】
前記重点刃は、カバーエッジを支持する一対の支持部を結ぶ辺部に、前記突起又は前記窪みを備えており、
前記辺部の延設方向に沿った縁部を折り曲げて構成された折曲片を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の槓桿式秤における重点部構造。
【請求項4】
前記重点刃は、上辺部の左右の両端部及び中央部からそれぞれ下方に向けて延びる辺部を設けた形状の平板体を、前記中央部から延びる辺部が前方に位置して前記上辺部が後方に位置するように、前記左右の両端部から延びる辺部を後方に向けて屈曲させた形状を有しており、前記左右の両端部から延びる辺部が前記支持部を備え、前記中央部から延びる辺部が前記突起又は前記窪みを備えていることを特徴とする請求項3に記載の槓桿式秤における重点部構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の重点部構造を備えたことを特徴とする槓桿式秤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−270911(P2009−270911A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121121(P2008−121121)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)