説明

標本画像撮像装置、標本画像撮像システムおよび標本スライド供給装置

【課題】スライドガラスを容易に管理可能な標本画像撮像システムを提供する。
【解決手段】この標本画像撮像システムは、2次元バーコード10bが印字された血液からなる標本を含むスライドガラス10を作製する血液塗抹標本作製装置100と、血液塗抹標本作製装置100で作製されたスライドガラス10を移送するスライド取出部410、スライドガラス10の2次元バーコード10bを読み取るバーコード読取部420、および、2次元バーコード10bが読み取られたスライドガラス10を撮像する撮像部430を含む標本画像撮像装置400とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標本画像撮像装置、標本画像撮像システムおよび標本スライド供給装置に関し、特に、血液を塗抹して作製された標本スライドを撮像する標本画像撮像装置、標本画像撮像システムおよび標本スライド供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液を塗抹して作製された標本スライドを顕微鏡などにより構成される測定部で測定する血液像自動分類装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示された血液像自動分類装置では、ターンテーブル機構のカセット内から標本スライドを押し出し機構によって送り出し、送り出された標本スライドをスライド送りレバーによって測定部取出口まで移動させた後、測定部がその標本スライドを取り込んでいる。そして、測定部において測定作業を行い、測定作業の終了した標本スライドを測定部取出口まで移動させた後、測定部取出口から標本スライドをスライド送りレバーによってターンテーブル機構のカセット内に戻している。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−153727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された血液像自動分類装置では、ユーザーが、標本スライドを特定する識別情報をカセット内の収納位置に対応付けて入力しておき、標本スライドを測定した後に、測定前に収容されていた元のカセットの位置に標本スライドを戻すことによって標本スライドを管理していた。このため、標本スライドの管理に手間と時間とを要し、効率的な検査をすることができないという問題点がある。また、上記特許文献1に開示された血液像自動分類装置では、ユーザーが、作製された標本スライドをカセットに収納する必要があり、手間と時間とを要し、効率的な検査をすることができないという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の目的は、標本スライドを容易に管理可能な標本画像撮像装置および標本画像撮像システムを提供することである。また、本発明の第2の目的は、標本スライドの作製から撮像までを効率的に行うことが可能な標本画像撮像システムおよび標本スライド供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による標本画像撮像装置は、識別情報を含む生体試料の標本スライドを移送するスライド移送手段と、標本スライドの識別情報を読み取る識別情報読取手段と、識別情報が読み取られた標本スライドを撮像する撮像手段とを備えている。
【0007】
この第1の局面による標本画像撮像装置では、上記のように、標本スライドの識別情報を読み取る識別情報読取手段と、識別情報が読み取られた標本スライドを撮像する撮像手段とを設けることによって、標本スライドを撮像する前に標本スライドの識別情報を読み取ることができる。これにより、撮像手段によって撮像された標本スライドの標本画像と、標本スライドを特定する識別情報とを関連付けることができる。その結果、撮像された標本画像に対応する標本スライドを容易に管理することができる。
【0008】
上記第1の局面による標本画像撮像装置において、好ましくは、撮像手段により撮像された標本スライドを収納する複数の収納部を有するラックを貯留する貯留手段と、識別情報読取手段により読み取られた識別情報とラックの収納部の位置とを関連付けて記憶する第1記憶手段とをさらに備えている。このように構成すれば、識別情報が読み取られた標本スライドを撮像手段により撮像させた後、その標本スライドをラックの収納部に収納させることができる。この際、ラックの収容部の位置を第1記憶手段に記憶させておけば、ラックの収容部の位置、標本スライドを特定する識別情報および標本スライドの標本画像を関連付けることができる。その結果、撮像された標本画像に対応する標本スライドおよびその位置を容易に管理することができる。
【0009】
この発明の第2の局面による標本画像撮像システムは、識別情報を含む生体試料の標本スライドを作製する標本作製手段と、標本作製手段で作製された標本スライドを移送するスライド移送手段と、標本スライドの識別情報を読み取る識別情報読取手段と、識別情報が読み取られた標本スライドを撮像する撮像手段とを備えている。
【0010】
この第2の局面による標本画像撮像システムでは、上記のように、識別情報を含む生体試料の標本スライドを作製する標本作製手段と、標本スライドの識別情報を読み取る識別情報読取手段と、識別情報が読み取られた標本スライドを撮像する撮像手段とを設けることによって、標本作製手段によって作製された標本スライドを撮像する前に標本スライドの識別情報を読み取ることができる。これにより、撮像手段によって撮像された標本スライドの標本画像と、標本スライドを特定する識別情報とを関連付けることができる。その結果、撮像された標本画像に対応する標本スライドを容易に管理することができる。
【0011】
上記第2の局面による標本画像撮像システムにおいて、好ましくは、撮像手段により撮像された標本スライドを収納する複数の収納部を有するラックと、識別情報読取手段により読み取られた識別情報とラックの収納部の位置とを関連付けて記憶する第1記憶手段とをさらに備えている。このように構成すれば、識別情報が読み取られた標本スライドを撮像手段により撮像させた後、その標本スライドをラックの収納部に収納させることができる。この際、ラックの収容部の位置を第1記憶手段に記憶させておけば、ラックの収容部の位置、標本スライドを特定する識別情報および標本スライドの標本画像を関連付けることができる。その結果、撮像された標本画像に対応する標本スライドおよびその位置を容易に管理することができる。
【0012】
上記ラックを備えた標本画像撮像システムにおいて、好ましくは、複数の空のラックを貯留するための第1ラック貯留手段と、標本スライドを収納した複数のラックを貯留するための第2ラック貯留手段とをさらに備えている。このように構成すれば、複数のラックを貯留した第1ラック貯留手段から撮像済みの標本スライドを収納するラックを供給することができるとともに、撮像された標本スライドを収納した複数のラックを第2貯留手段に貯留させておくことができる。その結果、作業者は標本スライドを収納するラックを供給する度にラックを補充する必要がないのでラックを補充する作業を簡略化することができるとともに、標本スライドが収納される度にラックを取り出す必要がないのでラックを取り出す作業を簡略化することができる。
【0013】
上記第2の局面による標本画像撮像システムにおいて、好ましくは、撮像手段により撮像された標本画像を分析する分析手段をさらに備えている。このように構成すれば、標本画像に基づいて容易に血球の分類を行うことができる。
【0014】
上記分析手段を備えた標本画像撮像システムにおいて、好ましくは、分析手段により分析された標本画像と識別情報読取手段により読み取られた識別情報とを関連付けて記憶する第2記憶手段をさらに備えている。このように構成すれば、撮像手段によって撮像された標本スライドの標本画像と標本スライドを特定する識別情報とを関連付けて管理することができる。
【0015】
上記第2の局面による標本画像撮像システムにおいて、好ましくは、標本スライドは、標本作製手段によりカセットに収容され、標本作製手段から受け取ったカセットを複数貯留する第1カセット貯留手段と、第1カセット貯留手段に貯留されるカセットを移送するカセット移送手段と、カセット移送手段によって移送されたカセットから標本スライドを取り出すスライド取出手段とをさらに備えている。このように構成すれば、標本スライドが収容されたカセットを第1カセット貯留手段により収容させるとともに、カセット移送手段により移送することができる。そして、スライド取出手段により、移送されたカセットから標本スライドを取り出すことにより、容易に、標本スライドの識別情報を識別情報読取手段によって読み取ることができる。その結果、標本作製手段からカセットに収容された状態で標本スライドが送り出されたとしても、容易に、標本スライドの識別情報を読み取ることができる。
【0016】
上記第2の局面による標本画像撮像システムにおいて、好ましくは、標本作製手段は、カセットを複数貯留する第2カセット貯留手段と、カセットを第1カセット貯留手段および第2カセット貯留手段のいずれか一方を選択して貯留させる選択手段とを含んでいる。このように構成すれば、標本作製手段で作製された標本スライドの供給先を自動的に決定することができる。これにより、作業者は第1カセット貯留手段および第2カセット貯留手段のいずれか一方を選択して貯留させる必要がないので、作業者の負担を低減させることができる。
【0017】
上記スライド取出手段を備えた標本画像撮像システムにおいて、好ましくは、スライド取出手段により取り出された標本スライドを収容していた空のカセットを貯留するための第3カセット貯留手段をさらに備えている。このように構成すれば、スライド取出手段により取り出された標本スライドを収容していた空のカセットを貯留させておくことができる。その結果、作業者はカセットから標本スライドが取り出される度にカセットを取り出す必要がないので、カセットを取り出す作業を簡略化することができる。
【0018】
上記第1カセット貯留手段およびカセット移送手段を備えた標本画像撮像システムにおいて、好ましくは、第1カセット貯留手段と、カセット移送手段とを含むカセット搬送装置を備えている。このようにカセット搬送装置を設ければ、容易に、標本作製手段から送り出されたカセットを貯留することができるとともに、搬送することができる。
【0019】
上記スライド取出手段とスライド移送手段と識別情報読取手段と撮像手段とを備えた標本画像撮像システムにおいて、好ましくは、スライド取出手段と、スライド移送手段と、識別情報読取手段と、撮像手段とを含む標本画像撮像装置を備えている。このように標本画像撮像装置を設ければ、容易に、カセットから取り出した標本スライドの識別情報を識別情報読取手段により読み取った後、撮像手段により標本スライドを撮像することができる。
【0020】
この発明の第3の局面による標本画像撮像システムは、生体試料の標本スライドを作製する標本作製手段と、標本作製手段で作製された標本スライドを移送するスライド移送手段と、標本スライドを撮像する撮像手段とを備えている。
【0021】
この第3の局面による標本画像撮像システムでは、上記のように、標本作製手段で作製された標本スライドを移送するスライド移送手段を設けることによって、標本作製手段で作製した標本スライドを自動的に撮像手段まで移送することができる。これにより、標本スライドの作製から撮像までを自動的に行うことができる。その結果、ユーザーは、作製された標本スライドを手動で撮像手段まで移送する手間と時間とを必要としないので、標本スライドの作製から撮像までを効率的に行うことができる。
【0022】
この発明の第4の局面による標本スライド供給装置は、標本スライドを作製する標本作製手段から作製された標本スライドを受け取って移送するスライド移送手段と、スライド移送手段によって移送された標本スライドを、標本スライドを撮像する撮像手段へ供給するスライド供給手段とを備えている。
【0023】
この第4の局面による標本スライド供給装置では、上記のように、標本スライドを作製する標本作製手段から作製された標本スライドを受け取って移送するスライド移送手段と、スライド移送手段によって移送された標本スライドを、標本スライドを撮像する撮像手段へ供給するスライド供給手段とを設けることによって、標本作製手段で作製した標本スライドを自動的に撮像手段まで移送することができる。これにより、標本スライドの作製から撮像までを自動的に行うことができる。その結果、ユーザーは、作製された標本スライドを手動で撮像手段まで移送する手間と時間とを必要としないので、標本スライドの作製から撮像までを効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態による標本画像撮像システムの全体構成を示した斜視図であり、図2は、図1に示した標本画像撮像システムのブロック図である。図3〜図20は、図1に示した一実施形態による標本画像撮像システムの詳細構造を説明するための図である。まず、図1〜図20を参照して、本発明の一実施形態による標本画像撮像システムの構成について説明する。
【0026】
本発明の一実施形態による標本画像撮像システムは、図1および図2に示すように、血液塗抹標本作製装置100と、ラック搬送装置200と、カセット搬送装置300と、標本画像撮像装置400と、ホストコンピュータ500とを備えている。なお、標本画像撮像システムは、血液塗抹標本作製装置100で作製されたスライドガラス10(図4参照)を、デジタル画像処理して自動的に血球の分類を行う装置である。また、血液塗抹標本作製装置100は、標本画像撮像装置400により分析することが可能な自動分析用の標本(スライドガラス)と、目視により分析することが可能な目視用の標本(スライドガラス)との2種類の標本を作製する装置である。なお、血液塗抹標本作製装置100は、標本が作製されたスライドガラス10を1時間あたり120枚作製する処理能力を有している。
【0027】
ラック搬送装置200は、血液塗抹標本作製装置100の前面に設置されている。そして、血液塗抹標本作製装置100、カセット搬送装置300、標本画像撮像装置400は側方に並んで配置されている。
【0028】
ラック搬送装置200は、図1に示すように、血液が収容された試験管151を収納する検体ラック150を血液塗抹標本作製装置100に自動的に搬送するために設けられている。また、血液塗抹標本作製装置100は、タッチパネルからなる表示操作部101と、起動スイッチ102と、電源スイッチ103と、カバー104とを含んでいる。また、血液塗抹標本作製装置100には、血液が収容された試験管151をラック搬送装置200側から血液塗抹標本作製装置100側に搬送するためのハンド部材160が設けられている。血液が収容された試験管151には、ゴム栓151aが装着されている。
【0029】
また、血液塗抹標本作製装置100は、図3に示すように、吸引分注機構部1と、塗抹部2と、樹脂製のカセット3と、カセット収容部4と、第1カセット搬送部5と、スライドガラス挿入部6と、染色部7と、第2カセット搬送部8と、保管部9とを備えている。
【0030】
吸引分注機構部1は、ハンド部材160(図1参照)によって血液塗抹標本作製装置100側に搬送された試験管151(図1参照)から血液を吸引するとともに、吸引した血液をスライドガラス10に滴下する機能を有する。この吸引分注機構部1は、図3に示すように、試験管151から血液を吸引するためのピアサ(吸引針)1aと、吸引した血液をスライドガラス10に分注するためのピペット1bと、ピアサ1aおよびピペット1bに接続されるシリンジポンプ1cと、ピアサ1aとシリンジポンプ1cとの間の流路を開閉するためのバルブ1dと、ピペット1bとシリンジポンプ1cとの間の流路を開閉するためのバルブ1eとを含んでいる。また、吸引分注機構部1は、2枚のスライドガラス10の各々に同一の血液(検体)を分注するとともに、その血液の分注量を、自動分析用の標本に対応した量と、目視用の標本に対応した量とに調節する機能を有する。
【0031】
塗抹部2は、スライドガラス10を分注・塗抹位置20に供給するとともに、スライドガラス10に滴下された血液を塗抹して乾燥し、かつ、スライドガラス10に印字を行うために設けられている。この塗抹部2には、スライドガラス供給部2aと、スライドガラス収納部2bと、引きガラス2cと、送りベルト2dおよび2eと、ファン2fと、印字部2gと、スライドガラス搬送部2hとが設けられている。
【0032】
また、スライドガラス供給部2aは、2つのスライドガラス収納部2bに収納されたスライドガラス10を、図示しない取出機構および送りベルト2dに取り付けられた図示しないチャックを用いて、送りベルト2e上に供給する機能を有する。送りベルト2eは、スライドガラス10を分注・塗抹位置20および乾燥位置21aおよび21bに搬送するように構成されている。引きガラス2cは、分注・塗抹位置20でスライドガラス10に分注された血液を塗抹することができるように、スライドガラス10に当接する位置に移動可能で、かつ、スライドガラス10の長手方向に移動可能に構成されている。ファン2fは、乾燥位置21aおよび21bに搬送されたスライドガラス10の塗抹された血液を乾燥するために設けられている。
【0033】
また、印字部2gは、熱転写プリンタからなる。そして、印字部2gは、図4に示すように、スライドガラス10のフロスト部(情報表示領域)10aに、検体番号、日付、受付番号および氏名などの標本情報が蓄積された2次元バーコード10bと、標本情報に含まれる属性情報としての日付(07/06/04)10c、名前(Sysmex)10dおよび検体番号(BA15617)10eからなる3行のテキストデータとを印字するために設けられている。なお、本実施形態による2次元バーコード10bの情報量は、50バイトである。
【0034】
また、図3に示すように、スライドガラス搬送部2hは、スライドガラス10を送りベルト2eの端部から印字部2gへ移動させるとともに、印字後のスライドガラス10をカセット3の収納位置21eへ移動させるために設けられている。このスライドガラス搬送部2hは、スライドガラス10を送りベルト2eの端部から印字のための横方向位置21cへ横方向(図3のX方向)に移動させるための横方向移動片2iと、スライドガラス10を印字のための縦方向位置21dおよびカセット3の収納位置21eへ縦方向(図3のY方向)に移動させるための縦方向移動片2jとを含んでいる。
【0035】
樹脂製のカセット3は、図5および図6に示すように、塗抹が施されたスライドガラス10および染色工程で用いる液体(染色液)を収容することが可能なように構成されている。具体的には、カセット3は、スライドガラス収納孔3aと、染色液吸引分注孔3bとを含んでいる。なお、スライドガラス収納孔3aと、染色液吸引分注孔3bとは、内部で繋がっている。
【0036】
また、図3に示すように、カセット収容部4は、カセット3を搬入するために設けられており、送り込みベルト4aを含んでいる。
【0037】
第1カセット搬送部5は、図3に示すように、カセット収容部4から搬入されたカセット3をスライドガラス挿入部6および染色部7に搬送するために設けられている。この第1カセット搬送部5は、X方向に移動可能なカセット搬送部材5aと、カセット搬送部材5aをX方向に移動させるための駆動ベルト5bと、カセット収容部4から供給されたカセット3を搬送するための搬送路5cとを含んでいる。
【0038】
スライドガラス挿入部6は、図3に示すように、塗抹および印字が施されたスライドガラス10をカセット3のスライドガラス収納孔3a(図5参照)に収納するために設けられている。このスライドガラス挿入部6は、カセット3を水平方向に配置してスライドガラス10を挿入可能な状態にするためのカセット回動機構部6aを含んでいる。
【0039】
染色部7は、図3に示すように、カセット搬送部材5aにより搬送されたカセット3の染色液吸引分注孔3bに染色液を供給することにより、塗抹済みのスライドガラス10に染色を施すために設けられている。この染色部7は、カセット搬送部材5aにより搬送されたカセット3を染色部7の第2吸引排出部7dに送り込むための送り込み部材7aと、送り込み部材7aから送り込まれたカセット3を搬送するための搬送ベルト7bと、カセット3に対して染色液の供給および排出を行うための第1〜第5吸引排出部7c〜7gと、染色済のスライドガラス10を乾燥するためのファン7hとを含んでいる。
【0040】
第2カセット搬送部8は、染色済みのスライドガラス10が収納されたカセット3を、カセット搬送装置300の導入口300a(図7参照)と、血液塗抹標本作製装置100の保管部9の搬入口9a(図3参照)との両方に搬送することが可能なように構成されている。この第2カセット搬送部8は、フレーム8aに取り付けられた搬送部8bと、搬送部8bをX方向に移動させるための駆動ベルト8cと、搬送路8dとによって構成されている。そして、搬送路8dは、カセット搬送装置300の導入口300aに至る位置まで延びるように設けられている。この搬送路8dは、搬送部8bにより押圧されて移動するカセット3の通路となる。
【0041】
また、保管部9は、図3に示すように、染色部7により染色されたスライドガラス10が収納されたカセット3を保管するために設けられている。なお、保管部9に搬入された染色済みのスライドガラス(標本)10は、目視により分析される。この保管部9には、送り込み部9bと、搬送ベルト9cとが設けられている。また、本実施形態では、送り込み部9bは、第2カセット搬送部8のフレーム8aに取り付けられているとともに、保管部9の搬入口9aに対応する領域に配置されている。この送り込み部9bは、第2カセット搬送部8により保管部9の搬入口9aに搬送されたカセット3を、保管部9側に移動させるために設けられている。
【0042】
また、本実施形態では、血液塗抹標本作製装置100の制御部110は、染色済みのスライドガラス10が収納されたカセット3を、保管部9の搬入口9aに搬送するか、または、カセット搬送装置300の導入口300aに搬送するかを制御する機能を有する。そして、第2カセット搬送部8の搬送部8bを駆動する駆動ベルト8cおよび保管部9の送り込み部9bの動作は、制御部110により制御される。また、制御部110には、標本作製条件などの標本情報が記憶されたメモリ111が設けられている。そして、制御部110は、ホストコンピュータ500(図2参照)と有線または無線による通信ができるように接続されている。
【0043】
カセット搬送装置300は、図7に示すように、導入口300aで受け取ったカセット3に収容されるスライドガラス10を標本画像撮像装置400(図1参照)に搬送するために設けられている。また、カセット搬送装置300は、図1に示すように、表示部301と、電源スイッチ302と、カバー303とを含んでいる。そして、カセット搬送装置300は、図7に示すように、送り込み部310と、カセット搬送部320および330と、カセット回動機構部340とによって構成されている。
【0044】
送り込み部310は、図7に示すように、導入口300aに搬送されたカセット3を、カセット搬送部320側に移動させるために設けられている。この送り込み部310は、導入口300aに導入されたカセット3を押し出すための押出し部材311と、押出し部材311を矢印Y1方向に移動させるための直動ガイド312とによって構成されている。
【0045】
カセット搬送部320は、図7に示すように、送り込み部310の押出し部材311により押し出されたカセット3をカセット回動機構部340まで搬送するために設けられている。また、カセット搬送部320は、カセット3を貯留する機能を有しており、約100個のカセット3を貯留することが可能である。また、カセット搬送部320は、図1に示すように、緊急の検体(血液)から作製されたスライドガラスを収容したカセット、または、本実施形態の血液塗抹標本作製装置100とは異なる他の標本作製装置や作業者が手動で作製したスライドガラスを収容したカセットを外部から直接設置することが可能である。また、血液塗抹標本作製装置100から搬送されるカセット3に割り込んで搬送することが可能であり、順番に関係なくカセット3を設置することが可能である。このカセット搬送部320は、図7に示すように、カセット3を矢印Y1方向に搬送するための一対の搬送ベルト321を含んでいる。
【0046】
カセット回動機構部340は、図8および図9に示すように、垂直方向に配置された状態で搬送されたカセット3を水平方向に配置する機能を有している。これにより、後述する標本画像撮像装置400(図1参照)のスライド取出部410(図14参照)によりカセット3に収容されたスライドガラス10を取り出すことが可能となる。このカセット回動機構部340は、横送り部350と、回動機構部360と、送り込み部370とを備えている。
【0047】
また、横送り部350は、図10に示すように、モータ351と、モータ351に接続されるプーリ352と、プーリ352と所定の間隔を隔てて設けられたプーリ(図示せず)と、駆動伝達ベルト353と、駆動伝達ベルト353に連結される移動部材354とによって構成されている。また、移動部材354には、図8に示すように、カセット搬送部320により搬送されたカセット3の側端部を押圧するカセット押圧部354aが設けられるとともに、回動機構部360を押圧する回動機構部押圧部354bが設けられている。これにより、モータ351が駆動することにより、プーリ352を介して、駆動伝達ベルト353が駆動されるので、駆動伝達ベルト353に連結される移動部材354がX方向に移動される。その結果、カセット搬送部320により搬送されたカセット3の側端部をカセット押圧部354aが押圧するので、カセット3を回動機構部360側に送ることが可能となる。さらに、回動機構部360を回動機構部押圧部354bが押圧することにより、回動機構部360の全体を標本画像撮像装置400側(X1方向側)に移動させることが可能となる。
【0048】
また、回動機構部360は、図8に示すように、横送り部350により送られたカセット3を矢印A方向に回動させた後、矢印B方向に回動させる機能を有している。すなわち、回動機構部360は、垂直方向に配置された状態で搬送されたカセット3内のスライドガラス10を水平方向に配置する機能を有している。また、図8および図20に示すように、回動機構部360は、X方向に移動可能に設置されており、上記した横送り部350の回動機構部押圧部354bに押圧されることにより、シャーシ300bに取り付けられた軸に挿入されたバネ304を撓ませて移動する。この回動機構部360は、1次回動部361と、2次回動部362とを含んでいる。
【0049】
1次回動部361は、横送り部350により搬送されたカセット3を矢印A方向に回動してカセット3を横向きに配置(図18参照)するために設けられている。この1次回動部361は、図8および図9に示すように、カセット3を収容可能なカセット収容部材361aと、モータ361bと、モータ361bの軸に取り付けられるアーム部361cと、アーム部361cに取り付けられる移動部材361dと、移動部材361dをZ方向に移動させる直動ガイド361eと、移動部材361dに取り付けられる押圧ローラ361fとを含んでいる。また、カセット収容部材361aは、後述する2次回動部362の回動部材362cに取り付けられる軸362eに回動可能に取り付けられている。そして、カセット収容部材361aには、移動部材361dに取り付けられる押圧ローラ361fが当接する当接片361gが設けられている。また、カセット収容部材361aには、後述する送り込み部370の押出し部材371が挿入される開口部361hが設けられている。
【0050】
2次回動部362は、図8〜図10に示すように、1次回動部361により矢印A方向に回動して横向きに配置されたカセット3(図18参照)を矢印B方向に回動して水平
に配置(図19参照)するために設けられている。この2次回動部362は、モータ362aと、モータ362aの軸に取り付けられるアーム部362bと、シャーシ300bに取り付けられる軸305に回動可能に取り付けられる回動部材362cと、一方端がアーム部362bに取り付けられるとともに他方端が回動部材362cに取り付けられるリンクレバー362dと、回動部材362cに取り付けられる軸362eと、軸362eに取り付けられるねじりコイルバネ362fとを含んでいる。また、上記した1次回動部361のカセット収容部材361aは、回動部材362cに取り付けられる軸362eに回動可能に取り付けられており、その軸362eに取り付けられるねじりコイルバネ362fは、カセット収容部材361aを矢印A方向に回動させるように付勢する機能を有している。これにより、回動部材362cに取り付けられる軸362eに回動可能に取り付けられているカセット収容部材361aは、ねじりコイルバネ362fの付勢力により、矢印A方向(図8参照)に回動されて、カセット3が横向きに配置(図18参照)される。そして、図18に示した状態から、2次回動部362のモータ362aが駆動することにより、アーム部362bが回動するので、リンクレバー362dを介して、回動部材362cおよび1次回動部361が矢印B方向(図8参照)に回動されて、カセット3が水平に配置(図19参照)される。
【0051】
また、送り込み部370は、後述する標本画像撮像装置400のスライド取出部410によってスライドガラス10が取り出されたカセット3を、カセット搬送部330側に移動させるために設けられている。この送り込み部370は、図9および図10に示すように、押出し部材371と、押し出し部材371をY2方向に移動させる直動ガイド372と、アーム373と、モータ374とによって構成されている。押出し部材371は、直動ガイド372に取り付けられているとともに、直動ガイド372は、Y方向に沿って延びるように配置されている。また、アーム373の一方の端部は、押出し部材371に取り付けられているとともに、他方の端部は、モータ374の回転軸に連結されている。これにより、モータ374が駆動することにより、アーム373の一方の端部が回動するので、押出し部材371が直動ガイド372の延びる方向(Y方向)に沿って移動される。
【0052】
カセット搬送部330は、カセット搬送部320と同様の構成を有しており、スライドガラス10が取り出された空のカセット3を搬送するとともに、その空のカセット3を貯留するために設けられている。なお、カセット搬送部330は、図7に示すように、約100個の空のカセット3を貯留することが可能である。このカセット搬送部330は、カセット3をY2方向に搬送するための一対の搬送ベルト331を含んでいる。
【0053】
標本画像撮像装置400は、受け取ったスライドガラス10の標本作製領域10f(図4参照)に形成された標本を撮像する機能を有している。なお、標本画像撮像装置400は、スライドガラス10の標本を1時間あたり90枚撮像する処理能力を有している。また、標本画像撮像装置400は、図1に示すように、電源スイッチ401と、開閉可能なカバー部402と、筐体の側面に開閉可能に設けられる蓋部403とを含んでいる。また、標本画像撮像装置400には、パーソナルコンピュータ404が接続されている。そして、図2に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)404の制御部404aは、ホストコンピュータ500と有線または無線による通信ができるように接続されている。また、標本画像撮像装置400は、図11に示すように、スライド取出部410と、バーコード読取部420と、撮像部430と、マガジン搬送機構部440と、マガジン450とを備えている。なお、マガジン450は、図12に示すように、スライドガラス10を25枚収容可能であり、側面部の1、5、10、15、20、25枚目に対応する収容部451の位置に番号が付されている。この番号を目視することにより、所定のスライドガラス10が収容される収容部451の位置を確認することが可能となる。
【0054】
スライド取出部410は、図13および図14に示すように、カセット搬送装置300のカセット回動機構部340により水平に配置されたカセット3から染色済みのスライドガラス10を取り出してバーコード読取部420に搬送する機能を有する。さらに、スライド取出部410は、スライドガラス10をX1方向に搬送する機能も有している。スライド取出部410は、モータ411と、モータ411に接続されるプーリ412と、プーリ412と所定の間隔を隔てて設けられるプーリ413と、プーリ412およびプーリ413に装着される駆動伝達ベルト414と、駆動伝達ベルト414に伴って移動する移動機構部415と、移動機構部415をX方向に移動させる直動ガイド(スライドレール)416と、2つの遮光センサ417とから構成されている。これにより、モータ411が駆動することによって、プーリ412を介して、駆動伝達ベルト414が駆動するので、駆動伝達ベルト414に連結される移動機構部415がX方向に移動される。
【0055】
また、移動機構部415は、駆動伝達ベルト414に連結される連結部材415aと、連結部材415aに取り付けられるソレノイド支持部材415bと、ソレノイド支持部材415bに支持されるソレノイド415cと、連結部材415aに取り付けられるとともに上記した直動ガイド(スライドレール)416に沿って移動可能な移動部材415dと、移動部材415dに回転可能に取り付けられる支持シャフト415eと、ソレノイド415cのロッド415fとともに上下方向(Z方向)に移動する下側チャック部415gと、支持シャフト415eに取り付けられるとともに下側チャック部415gに連動して矢印C方向に回動する上側チャック部415hと、支持シャフト415eに取り付けられる押圧部415i(図14参照)および415j(図14参照)とによって構成されている。したがって、ソレノイド415cのロッド415fがZ方向に延びることにより、下側チャック部415gがZ方向に移動して、搬送路400aのスライドガラス10の下面が支持される。この際、下側チャック部415gのZ方向(上方向)の移動に連動して上側チャック部415hが支持シャフト415eとともに矢印C方向に回動して、搬送路400aのスライドガラス10の下面が支持される。このようにして、下側チャック部415gおよび上側チャック部415hにより、搬送路400aのスライドガラス10が把持される。また、押圧部415iおよび415jも支持シャフト415eに取り付けられているので、上側チャック部415hの矢印C方向への回動に連動して、押圧部415i(図14参照)および415j(図14参照)も矢印C方向へ回動する。また、図14に示すように、移動部材415dには、2つの遮光センサ417を遮光する検出片415kが設けられており、2つの遮光センサ417により、移動機構部415の位置が検出される。
【0056】
また、上側チャック部415hおよび下側チャック部415gは、カセット搬送装置300のカセット回動機構部340により搬送路400aの導入位置400bに配置されたスライドガラス10を把持するとともに、バーコード読取部420による読取位置400cまでスライドガラス10をX1方向に搬送する機能を有している。また、押圧部415iは、上側チャック部415hおよび下側チャック部415gにより搬送された搬送路400aにおけるスライドガラス10を、撮像部430のスライドチャック431が把持可能な引き込み位置400dまで搬送する機能を有している。また、押圧部415jは、搬送路400aの引き込み位置400dに配置されるスライドガラス10を、搬送路400aのマガジン導入位置400eまで搬送する機能を有している。
【0057】
ここで、本実施形態では、バーコード読取部420は、図11に示すように、2次元バーコードリーダからなり、スライドガラス10のフロスト部10aに印字された2次元バーコード10b(図4参照)を読み取る機能を有する。そして、2次元バーコード10bが読み取られたスライドガラス10は、押圧部415iによってスライドガラス10の下端部を押圧されて撮像部430のスライドチャック431が把持可能な引き込み位置400dまで搬送される。
【0058】
撮像部430は、図16に示すように、スライドガラス10の標本作製領域10f(図4参照)に形成された標本画像(図15参照)を撮像するために設けられている。この撮像部430は、スライドチャック431と、対物レンズ432と、複数のレンズ433と、ハーフミラー434と、CCDカメラ435と、ラインセンサ436〜438とを含んでいる。また、スライドチャック431は、前方に移動して搬送路400aの引き込み位置400dに搬送されたスライドガラス10を把持した後、後方に移動して対物レンズ432の下方の位置に配置する機能を有している。これにより、対物レンズ432の下方の位置に配置されたスライドガラス10の標本作製領域10fの標本が複数のレンズ433を介してCCDカメラ435により撮像される。なお、ラインセンサ436は、特異的に青色に染色される白血球600(図15参照)を検出する機能を有している。また、ラインセンサ437および438は、CCDカメラ435のフォーカス調整用に用いられる。
【0059】
マガジン搬送機構部440は、図17に示すように、マガジン貯留部441およびマガジン貯留部442と、マガジン移送部443と、マガジン送り込み部444とにより構成されている。そして、マガジン搬送機構部440は、筐体の側面に開閉可能に設けられる蓋部403(図1参照)を開けることにより補充される空のマガジン450をマガジン貯留部441からマガジン貯留部442に搬送する機能を有している。
【0060】
また、本実施形態では、図17に示すように、マガジン貯留部441は、複数の空のマガジン450を貯留するために設けられている。このマガジン貯留部441は、マガジン450をY1方向に搬送するための一対の搬送ベルト441aを含んでいる。また、マガジン貯留部442は、スライドガラス10が収容された複数のマガジン450を貯留するために設けられている。なお、マガジン貯留部441および442は、それぞれ、マガジン450を最大8個収容可能である。
【0061】
また、マガジン移送部443は、空のマガジン450を下方のマガジン貯留部441から上方のマガジン貯留部442まで搬送するように構成されている。このマガジン移送部443は、モータ443aと、モータ443aの軸に接続されるプーリ443bと、プーリ443bと所定の間隔を隔てた上方に配置されるプーリ443cと、プーリ443bおよびプーリ443bに装着される駆動伝達ベルト443dと、駆動伝達ベルト443dに連結される搬送部材443eとを含んでいる。これにより、モータ443aが駆動することにより、プーリ443bを介して、駆動伝達ベルト443dが駆動されるので、駆動伝達ベルト443dに連結される搬送部材443eがZ方向に移動される。そして、マガジン450を載置可能な搬送部材443eをZ方向に移動させることが可能となる。
【0062】
また、マガジン送り込み部444は、マガジン移送部443によって上方に移送されたスライドガラス10を収容したマガジン450をマガジン貯留部442側に送り出す機能を有している。このマガジン送り込み部444は、押出し部材444aと、移動可能なスライドレール444bと、スライドレール444bを移動可能に支持するスライドレール支持部材444cと、アーム444dと、モータ444eとによって構成されている。押出し部材444aは、スライドレール444bに取り付けられているとともに、スライドレール444bは、Y方向に沿って延びるように配置されている。また、アーム444dの一方の端部は、長穴を介してスライドレール444bに取り付けられているとともに、他方の端部は、モータ444eの回転軸に連結されている。これにより、モータ444eが駆動することにより、アーム444dの一方の端部が回動されることによって、スライドレール444bがスライドレール支持部材444cに対してY方向に移動される。これにより、押出し部材444aがY方向に沿って移動される。したがって、マガジン移送部443によって上方に移送されたマガジン450は、押出し部材444aに押圧されてマガジン貯留部442側に押し出される。
【0063】
パーソナルコンピュータ(PC)404は、図1および図2に示すように、染色済みのスライドガラス10の標本をデジタル画像処理するとともに、血球の分類を自動で行う機能を有しており、制御部404aと、表示部404bと、入力部404cとを有している。また、制御部404aは、撮像部430やスライド取出部410の動作制御を行うとともに、撮像部430で取得された標本画像(図15参照)を分析するための機能を有している。また、制御部404aには、バーコード読取部420により取得された識別情報(2次元バーコード10b)と撮像部430で撮像された標本画像とを関連付けて記憶するメモリ404d(図2参照)が設けられている。そして、メモリ404dは、バーコード読取部420により取得された識別情報(2次元バーコード10b)とマガジン450の収容部451の位置とを関連付けて記憶する機能を有している。
【0064】
次に、図1〜図20を参照して、本実施形態による標本画像撮像システムの動作について説明する。
【0065】
まず、血液塗抹標本作製装置100による吸引分注動作として、図1に示すように、起動スイッチ102が押されて血液塗抹標本作製装置100が起動した状態で、血液検体が収容された試験管151が収納された検体ラック150をラック搬送装置200にセットする。そして、表示操作部101に表示された自動吸引のスタートスイッチを押す。これにより、検体ラック150が血液塗抹標本作製装置100のハンド部材160が把持可能な位置まで搬送されて、ハンド部材160により検体ラック150の血液が収容された試験管151が把持される。そして、ハンド部材160を上昇させることにより試験管151を持ち上げるとともに、ハンド部材160を回動させることにより試験管151を撹拌した後、図3に示す吸引分注機構部1に試験管151を配置する。そして、ピアサ1aを試験管151のゴム栓151aに突き刺して血液を吸引する。この吸引動作の際には、バルブ1dを開放状態(オン状態)にするとともに、バルブ1eを遮断状態(オフ状態)にする。血液の吸引動作を終了した後、バルブ1dを遮断状態(オフ状態)にするとともに、バルブ1eを開放状態(オン状態)にする。この後、ピペット1bを図3に示した分注・塗抹位置20に移動させる。
【0066】
次に、吸引分注動作と並行して、図3に示したカセット収容部4によるカセット3の搬入動作が行われる。具体的には、まず、カセット収容部4にカセット3をセットする。これにより、カセット3がカセット収容部4の送り込みベルト4aにより搬送された後、搬送路5cに配置される。
【0067】
次に、血液塗抹標本作製装置100の制御部110は、ホストコンピュータ500(図2参照)から標本情報を取得する。なお、標本情報は、塗抹標本の検体番号および塗抹標本の作製枚数などの情報を含んでいる。また、標本情報は、目視用の標本および自動分析用の標本のうちの一方のみを作製するのか、または、目視用の標本および自動分析用の標本の両方を作製するのかなどの情報も含んでいる。さらに、標本情報は、標本画像撮像装置400で分析するかどうかなどの情報も含んでいる。そして、取得した標本情報に基づいて、制御部110内に蓄積されたデータベースから塗抹条件が呼び出される。なお、塗抹条件は、塗抹標本を作製するための予め設定された条件であり、血液の滴下量、引きガラスの角度および引きガラスの移動速度などが所望の塗抹標本に対応して設定されている。この後、呼び出された塗抹条件に基づいて、スライドガラス10にピペット1bを用いて血液の滴下(分注)が行われる。この際、自動分析用の標本および目視用の標本の両方を作製する場合には、同一の血液を、2枚のスライドガラス10の各々に分注する。そして、自動分析用の標本を作製する場合には、自動分析用の標本に対応した量の血液が分注されるとともに、目視用の標本を作製する場合には、目視用の標本に対応した量の血液が分注される。
【0068】
次に、塗抹条件に基づいて、塗抹部2による塗抹動作が行われる。なお、塗抹部2による塗抹動作は、上記した吸引分注機構部1による吸引分注動作と並行して、または、吸引分注動作の後に行われる。この塗抹部2では、図3に示すように、スライドガラス10を分注・塗抹位置20に供給するとともに、スライドガラス10に滴下された血液を塗抹して乾燥し、かつ、スライドガラス10に印字を行う。具体的には、スライドガラス供給部2aの2つのスライドガラス収納部2bに収納されたスライドガラス10が、図示しない取り出し機構および送りベルト2dにより、送りベルト2e上に供給される。そして、送りベルト2eにより、スライドガラス10が分注・塗抹位置20に搬送される。なお、このスライドガラス10を分注・塗抹位置20に搬送する動作は、上記した吸引分注動作の前に行われている。この状態で、スライドガラス10にピペット1bを用いて血液の滴下(分注)が行われる。
【0069】
その後、引きガラス2cが、スライドガラス10に当接するように移動されるとともに、スライドガラス10の長手方向に往復移動されることにより、分注・塗抹位置20でスライドガラス10に滴下された血液が塗抹される。この際、自動分析用の標本を作製する場合と、目視用の標本を作製する場合とで、スライドガラス10に対する引きガラス2cの接触角度および引きガラス2cの往復移動の速度が調節される。具体的には、自動分析用の標本の厚みが、目視用の標本の厚みよりも小さくなるように調節される。この後、塗抹されたスライドガラス10は、送りベルト2eにより乾燥位置21aに搬送される。そして、乾燥位置21aにおいて、ファン2fにより、スライドガラス10の塗抹された血液が冷風乾燥される。このスライドガラス10の冷風乾燥は、隣接する2つの乾燥位置21aおよび21bで2回行われる。その後、スライドガラス搬送部2hにより、塗抹済みのスライドガラス10が印字部2gに移動される。そして、印字部2gにおいて、図4に示すように、スライドガラス10のフロスト部10aに、検体番号、日付、受付番号、氏名などの標本情報が蓄積された2次元バーコード10bと、日付や氏名の漢字などからなる3行のテキスト10cとが印字される。
【0070】
次に、搬送路5cに配置されたカセット3(図5および図6参照)は、1つずつカセット搬送部5によりスライドガラス挿入部6に搬送される。すなわち、カセット搬送部5を構成するカセット搬送部材5aがカセット3の側面部を押しながら移動することによって、カセット3はスライドガラス挿入部6に搬送される。
【0071】
次に、塗抹済みのスライドガラス10がカセット3に収納されるとともに、カセット搬送部材5aにより染色部7に搬送され、かつ、染色処理が施される。
【0072】
具体的には、カセット回動機構部6aを所定の方向に回動させることにより、カセット3を垂直方向位置から水平方向位置(図3の2点鎖線の位置)に移動させてスライドガラス10を挿入可能な状態にする。この状態で、塗抹部2の縦方向移動片2jを前進移動させることにより、塗抹済みのスライドガラス10をカセット3のスライドガラス収納孔3aに挿入する。これにより、カセット3に、塗抹済みのスライドガラス10が収納される。この後、カセット回動機構部6aを上記所定の方向とは逆方向に回動させることにより、カセット3を元の垂直方向位置に戻す。この後、染色部7において、まず、第1吸引排出部7cにより、カセット3のスライドガラス収納孔3aから塗抹済みのスライドガラス10を持ち上げるとともに、カセット3の染色液吸引分注孔3bにメタノールを分注する。そして、塗抹済みのスライドガラス10をカセット3に戻した後、塗抹済みのスライドガラス10が収納されたカセット3が1つずつ、送り込み部材7aにより搬送ベルト7bに載せられる。そして、搬送ベルト7bにより、カセット3が第2吸引排出部7dに搬送される。
【0073】
第2吸引排出部7dでは、カセット3のスライドガラス収納孔3aから塗抹済みのスライドガラス10を持ち上げるとともに、スライドガラス10の塗抹面にファン7hによる送風を約1秒〜約60秒間当てて塗抹面上の液体成分を蒸発させることによって乾燥させる。なお、第1吸引排出部7cにより塗抹済みのスライドガラス10がメタノールに浸漬されてから第2吸引排出部7dによりスライドガラス10が持ち上げられるまでの時間(浸漬時間)は、約20秒〜約120秒である。
【0074】
次に、染色処理(メイグリュンワルド・ギムザ2重染色処理)が施される。まず、第2吸引排出部7dにおいて、カセット3の染色液吸引分注孔3bからメタノールが吸引されて排出された後、カセット3のスライドガラス収納孔3aにスライドガラス10を戻す。次にカセット3の染色液吸引分注孔3bからメイグリュンワルド液(主成分はメタノールで99%)が分注され、塗抹済みのスライドガラス10をメイグリュンワルド液に浸漬する。これにより、メイグリュンワルド・ギムザ2重染色処理が開始される。そして、カセット3が搬送ベルト7bにより搬送されながら、塗抹済みのスライドガラス10は、約1分〜約5分間、染色処理として、メイグリュンワルド液に浸漬される。そして、第3吸引排出部7eにより、カセット3の染色液吸引分注孔3bからメイグリュンワルド液が吸引されて排出された後、カセット3の染色液吸引分注孔3bにメイグリュンワルド希釈液が分注される。そして、カセット3が搬送ベルト7bにより搬送されながら、塗抹済みのスライドガラス10は、約1分〜約5分間、メイグリュンワルド希釈液に浸漬される。そして、第4吸引排出部7fにより、カセット3の染色液吸引分注孔3bからメイグリュンワルド希釈液が吸引されて排出された後、カセット3の染色液吸引分注孔3bにギムザ希釈液が分注される。そして、カセット3が搬送ベルト7bにより搬送されながら、塗抹済みのスライドガラス10は、約1分〜約20分間、ギムザ希釈液に浸漬される。
【0075】
次に、第5吸引排出部7gにより、カセット3の染色液吸引分注孔3bからギムザ希釈液が吸引されて排出された後、カセット3の染色液吸引分注孔3bに対して洗浄液が分注および吸引されて染色済みのスライドガラス10が水洗される。その後、染色済みのスライドガラス10は、ファン7hにより乾燥される。
【0076】
次に、本実施形態では、制御部110は、標本情報に基づいて、染色部7の搬送ベルト7bにより搬送された染色済みのスライドガラス10が収納されたカセット3の搬送先を決定する。すなわち、カセット3を、血液塗抹標本作製装置100の保管部9の搬入口9a(図7参照)またはカセット搬送装置300の導入口300a(図7参照)のいずれに搬送するかを決定する。
【0077】
次に、制御部110で決定された搬送先情報に基づいて、第2カセット搬送部8により、染色済みのスライドガラス10が収納されたカセット3を決定された搬送先に搬送する。そして、血液塗抹標本作製装置100の保管部9の搬入口9aに搬送された染色済みのスライドガラス10が収納されたカセット3は、保管部9の送り込み部9bの機能により保管部9側に移動する。
【0078】
その一方、カセット搬送装置300の導入口300aに搬送された染色済みのスライドガラス10が収納されたカセット3は、送り込み部310によりカセット搬送部320側に押圧されて、カセット搬送部320に貯留される。そして、カセット搬送部320の搬送ベルト321によりカセット回動機構部340に搬送される。
【0079】
そして、カセット回動機構部340に搬送されたカセット3は、図8および図9に示すように、カセット回動機構部340の横送り部350により、X1方向に搬送される。具体的には、モータ351が駆動することにより、プーリ352を介して、駆動伝達ベルト353が駆動されるので、駆動伝達ベルト353に連結される移動部材354がX1方向に移動される。この際、カセット搬送部320により搬送されたカセット3の側端部をカセット押圧部354aが押圧するので、カセット3が回動機構部360側に搬送されて、回動機構部360のカセット収容部材361aに収容される。
【0080】
そして、回動機構部360のカセット収容部材361aに収容されたカセット3は、図18に示すように、1次回動部361により、矢印A方向に回動される。具体的には、モータ361bが駆動することにより、アーム部361cが回動して、移動部材361dがZ方向(下方向)に移動する。この際、カセット収容部材361aは、2次回動部362の軸362eに取り付けられるねじりコイルバネ362fにより矢印A方向に回動するように付勢されているので、カセット収容部材361aは、当接片361gが移動部材361dの押圧ローラ361fに支持されながら軸362eを中心に矢印A方向に回動する。
【0081】
そして、図19に示すように、1次回動部361により矢印A方向(図18参照)に回動されたカセット3および1次回動部361は、2次回動部362により、矢印B方向に回動されて、カセット3およびカセット3内のスライドガラス10が水平方向に配置される。具体的には、モータ362aが駆動することによって、アーム部362bが回動するので、リンクレバー362dを介して、回動部材362cおよび1次回動部361が軸305(図8参照)を中心に矢印B方向に回動される。
【0082】
そして、図20に示すように、2次回動部362が矢印B方向(図19参照)に回動された状態で、横送り部350がX1方向に移動することにより、1次回動部361および2次回動部362を含むカセット回動機構部340がX1方向に移動される。すなわち、横送り部350がX1方向に移動することにより、カセット回動機構部340が軸に嵌め込まれたバネ304を圧縮しながらX1方向に移動する。これにより、カバー303の側面に設けられる開口部303a(図1および図7参照)からスライドガラス10が突出して、図13に示すように、標本画像撮像装置400のスライド取出部410の上側チャック部415hおよび下側チャック部415gが把持可能な導入位置400bまで送り出される。
【0083】
なお、標本画像撮像装置400のスライド取出部410の上側チャック部415hおよび下側チャック部415gによりスライドガラス10が取り出されたカセット3は、2次回動部362および1次回動部361により上述した動作と逆の動作で水平方向に配置された状態(図20参照)から垂直方向(図8参照)に配置される。そして、垂直方向に配置された空のカセット3は、図9および図10に示すように、送り込み部370の押出し部材371によりカセット搬送部330側(矢印Y2方向)に押圧されて、カセット搬送部330に貯留される。そして、カセット搬送部330の搬送ベルト331によりY方向に搬送されて、空のカセット3が順次貯留される。
【0084】
次に、標本画像撮像装置400のスライド取出部410の上側チャック部415hおよび下側チャック部415gが把持可能な導入位置400bまで送り出されたスライドガラス10は、図14に示すように、スライド取出部410において、カセット3から染色済みのスライドガラス10が取り出されるとともに、その染色済みのスライドガラス10がバーコード読取部420による読取位置400cに搬送される。具体的には、ソレノイド415cのロッド415fがZ方向に延びることにより、下側チャック部415gがZ方向に移動して、搬送路400aのスライドガラス10の下面が支持される。この際、下側チャック部415gのZ方向(上方向)の移動に連動して上側チャック部415hが支持シャフト415eとともに矢印C方向に回動して、搬送路400aのスライドガラス10の下面が支持される。これにより、下側チャック部415gおよび上側チャック部415hにより、搬送路400aのスライドガラス10が把持される。そして、スライドガラス10が把持された状態で、モータ411を駆動することにより、プーリ412および駆動伝達ベルト414が駆動するので、駆動伝達ベルト414に連結される移動機構部415がX1方向に移動される。これにより、上側チャック部415hおよび下側チャック部415gにより把持されたスライドガラス10が読取位置400cまで搬送される。
【0085】
そして、図11に示すように、バーコード読取部420による読取位置400cまで搬送されたスライドガラス10は、バーコード読取部420において、スライドガラス10のフロスト部10aに印字された2次元バーコード10bが読み取られる。そして、バーコード読取部420によって読み取られた染色済みのスライドガラス10の検体番号がパーソナルコンピュータ404の制御部404aに送られる。したがって、撮像部430に撮像される直前の位置(読取位置400c)でスライドガラス10の2次元バーコード10bを読み取ることが可能となる。その後、バーコード読取部420によって読み取られた染色済みのスライドガラス10は、スライド取出部410の押圧部415iに押圧されて、搬送路400aに沿ってX1方向に移動することによりスライドチャック431が把持可能な引き込み位置400dまで搬送される。
【0086】
次に、図16に示すように、引き込み位置400dに配置されたスライドガラス10は、前方に移動されたスライドチャック431により把持された後、スライドチャック431が後方に移動して撮像部430の内部に引き込まれる。これにより、対物レンズ432の下方の位置に配置される。そして、撮像部430のCCDカメラ435により、スライドチャック431に把持されるスライドガラス10の標本を、複数のレンズ433およびハーフミラー434を介して撮像する。このようにして、スライドガラス10の標本画像(図15参照)を複数取得することが可能となる。その後、撮像部430のCCDカメラ435によって撮像された標本画像がパーソナルコンピュータ404の制御部404aに送られる。その結果、バーコード読取部420において読み取られた2次元バーコード10bと、撮像部430のCCDカメラ435により撮像された標本画像とが関連付けられて、制御部404aのメモリ404d(図2参照)に格納される。
【0087】
また、パーソナルコンピュータ404の制御部404aに送られた標本画像(図15参照)は、制御部404aにおいて、画像処理されるとともに、血球の分類が自動的に行われる。
【0088】
そして、撮像済みのスライドガラス10は、スライドチャック431により前方の引き込み位置400dに戻された後、図14に示すように、スライド取出部410の押圧部415jに押圧されて、搬送路400aに沿って搬送される。その後、図17に示すように、マガジン搬送機構部440のマガジン貯留部441から空のマガジン450(図12参照)が上方に搬送されて、そのマガジン450の1段目の収容部451にスライドガラス10が収容される。そして、撮像されたスライドガラス10がマガジン450の2段目の収容部451、3段目の収容部451へと順次収容される。なお、パーソナルコンピュータ404の制御部404aは、マガジン移送部443のモータ443aのステップ数を制御している。したがって、スライドガラス10の2次元バーコード10bと、マガジン450の収容部451の位置とが関連付けられて、制御部404aのメモリ404dに格納される。上記のようにして本実施形態による標本画像撮像システムの分析動作が行われる。
【0089】
本実施形態では、上記のように、2次元バーコード10bを含む生体試料のスライドガラス10を作製する血液塗抹標本作製装置100と、スライドガラス10の2次元バーコード10bを読み取るバーコード読取部420と、2次元バーコード10bが読み取られたスライドガラス10を撮像する撮像部430とを設けることによって、血液塗抹標本作製装置100によって作製されたスライドガラス10を撮像する前にスライドガラス10の2次元バーコード10bを読み取ることができる。これにより、撮像部430によって撮像されたスライドガラス10の標本画像と、スライドガラス10を特定する2次元バーコード10bとを関連付けることができる。その結果、撮像された標本画像に対応するスライドガラス10を容易に管理することができる。
【0090】
また、本実施形態では、パーソナルコンピュータ404に、バーコード読取部420により読み取られた2次元バーコード10bとマガジン450の収容部451の位置とを関連付けて記憶するメモリ404dを設けることによって、2次元バーコード10bが読み取られたスライドガラス10を撮像部430により撮像させた後、そのスライドガラス10をマガジン450の収容部451に収納させることができる。この際、マガジン450の収容部451の位置をメモリ404dに記憶させておけば、マガジン450の収容部451の位置、スライドガラス10を特定する2次元バーコード10bおよびスライドガラス10の標本画像を関連付けることができる。その結果、撮像された標本画像に対応するスライドガラス10およびその位置を容易に管理することができる。
【0091】
また、本実施形態では、標本画像撮像装置400に、複数の空のマガジン450を貯留するためのマガジン貯留部441と、スライドガラス10を収納した複数のマガジン450を貯留するためのマガジン貯留部442とを設けることによって、複数の空のマガジン450を貯留したマガジン貯留部441から撮像済みのスライドガラス10を収納する空のマガジン450を供給することができるとともに、撮像されたスライドガラス10を収容した複数のマガジン450をマガジン貯留部442に貯留させておくことができる。その結果、作業者はスライドガラス10を収納するマガジン450を供給する度にマガジン450を蓋部403を開けて補充する必要がないのでマガジン450を補充する作業を簡略化することができるとともに、スライドガラス10が収納される度にマガジン450を取り出す必要がないのでマガジン450を取り出す作業を簡略化することができる。
【0092】
また、本実施形態では、制御部404aにより分析された標本画像とバーコード読取部420により読み取られた2次元バーコード10bとを関連付けて記憶するメモリ404dを設けることによって、撮像部430によって撮像されたスライドガラス10の標本画像とスライドガラス10を特定する2次元バーコード10bとを関連付けて管理することができる。
【0093】
また、本実施形態では、血液塗抹標本作製装置100に、カセット3を複数貯留する保管部9と、カセット3をカセット搬送部320および保管部9のいずれか一方を選択して貯留させる制御部110を設けることによって、血液塗抹標本作製装置100で作製されたスライドガラス10の供給先を自動的に決定することができる。これにより、作業者はカセット搬送部320および保管部9のいずれか一方を選択して貯留させる必要がないので、作業者の負担を低減させることができる。
【0094】
また、本実施形態では、カセット搬送装置300のカセット搬送部320を、約100個のカセット3を貯留可能にすることによって、血液塗抹標本作製装置100の処理能力と標本画像撮像装置400の処理能力とが異なる場合でも、血液塗抹標本作製装置100で作製されたカセット3をカセット搬送部320に貯留させておくことができる。
【0095】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0096】
たとえば、上記実施形態では、血液塗抹標本作製装置、カセット搬送装置および標本画像撮像装置から構成される標本画像撮像システムに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、1つの装置に、血液塗抹標本作製装置、カセット搬送装置および標本画像撮像装置の機能を持たせてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、血液塗抹標本作製装置、カセット搬送装置および標本画像撮像装置から構成される標本画像撮像システムに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、標本画像撮像装置のみでも適用可能である。
【0098】
また、上記実施形態では、バーコード読取部を標本画像撮像装置に設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、バーコード読取部をカセット搬送装置に設けてもよいし、血液塗抹標本作製装置に設けてもよい。ただし、撮像部に撮像される直前にバーコード読取部でスライドガラスを読み取るのが好ましいので、撮像部の手前の位置にバーコード読取部を配置するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施形態による標本画像撮像システムの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による標本画像撮像システムのブロック図である。
【図3】図1に示した一実施形態による標本画像撮像システムの血液塗抹標本作製装置の平面図である。
【図4】図1に示した一実施形態による標本画像撮像システムに用いるスライドガラスのフロスト部の拡大図である。
【図5】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムに用いるカセットおよびスライドガラスの斜視図である。
【図6】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムに用いるカセットおよびスライドガラスの斜視図である。
【図7】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムのカセット搬送装置の上面図である。
【図8】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムのカセット搬送装置のカセット回動機構部の拡大斜視図である。
【図9】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムのカセット搬送装置のカセット回動機構部の上面図である。
【図10】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムのカセット搬送装置のカセット回動機構部の側面図である。
【図11】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムの標本画像撮像装置の斜視図である。
【図12】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムの標本画像撮像装置のマガジンの斜視図である。
【図13】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムの標本画像撮像装置の側面図である。
【図14】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムの標本画像撮像装置の斜視図である。
【図15】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムの標本画像撮像装置の撮像部によって撮像される標本画像である。
【図16】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムの標本画像撮像装置の撮像部の模式図である。
【図17】図1に示した一実施形態による標本作製撮像システムの標本画像撮像装置のマガジン搬送機構部の斜視図である。
【図18】図1に示した一実施形態による標本画像撮像システムのカセット回動機構部の動作を説明するための斜視図である。
【図19】図1に示した一実施形態による標本画像撮像システムのカセット回動機構部の動作を説明するための斜視図である。
【図20】図1に示した一実施形態による標本画像撮像システムのカセット回動機構部の動作を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0100】
3 カセット
9 保管部(第2カセット貯留手段)
10 スライドガラス(標本スライド)
100 血液塗抹標本作製装置(標本作製手段)
110 制御部(選択手段)
300 カセット搬送装置(標本スライド供給装置)
320 カセット搬送部(第1カセット貯留手段、カセット移送手段、スライド移送手段)
330 カセット搬送部(第3カセット貯留手段)
340 カセット回動機構部(スライド供給手段)
400 標本画像撮像装置
404 パーソナルコンピュータ
404a 制御部(分析手段)
404d メモリ(第1記憶手段、第2記憶手段)
410 スライド取出部(スライド取出手段)
420 バーコード読取部(識別情報読取手段)
430 撮像部(撮像手段)
441 マガジン貯留部(貯留手段、第1ラック貯留手段)
442 マガジン貯留部(貯留手段、第2ラック貯留手段)
450 マガジン(ラック)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報を含む生体試料の標本スライドを移送するスライド移送手段と、
前記標本スライドの識別情報を読み取る識別情報読取手段と、
識別情報が読み取られた前記標本スライドを撮像する撮像手段とを備えた、標本画像撮像装置。
【請求項2】
前記撮像手段により撮像された前記標本スライドを収納する複数の収納部を有するラックを貯留する貯留手段と、
前記識別情報読取手段により読み取られた識別情報と前記ラックの収納部の位置とを関連付けて記憶する第1記憶手段とをさらに備える、請求項1に記載の標本画像撮像装置。
【請求項3】
識別情報を含む生体試料の標本スライドを作製する標本作製手段と、
前記標本作製手段で作製された前記標本スライドを移送するスライド移送手段と、
前記標本スライドの識別情報を読み取る識別情報読取手段と、
識別情報が読み取られた前記標本スライドを撮像する撮像手段とを備えた、標本画像撮像システム。
【請求項4】
前記撮像手段により撮像された前記標本スライドを収納する複数の収納部を有するラックと、
前記識別情報読取手段により読み取られた識別情報と前記ラックの収納部の位置とを関連付けて記憶する第1記憶手段とをさらに備える、請求項3に記載の標本画像撮像システム。
【請求項5】
複数の空の前記ラックを貯留するための第1ラック貯留手段と、
前記標本スライドを収納した複数の前記ラックを貯留するための第2ラック貯留手段とをさらに備える、請求項4に記載の標本画像撮像システム。
【請求項6】
前記撮像手段により撮像された標本画像を分析する分析手段をさらに備える、請求項3〜5のいずれか1項に記載の標本画像撮像システム。
【請求項7】
前記分析手段により分析された標本画像と前記識別情報読取手段により読み取られた識別情報とを関連付けて記憶する第2記憶手段をさらに備える、請求項6に記載の標本画像撮像システム。
【請求項8】
前記標本スライドは、前記標本作製手段によりカセットに収容され、
前記標本作製手段から受け取った前記カセットを複数貯留する第1カセット貯留手段と、
前記第1カセット貯留手段に貯留される前記カセットを移送するカセット移送手段と、
前記カセット移送手段によって移送された前記カセットから前記標本スライドを取り出すスライド取出手段とをさらに備える、請求項3〜7のいずれか1項に記載の標本画像撮像システム。
【請求項9】
前記標本作製手段は、前記カセットを複数貯留する第2カセット貯留手段と、前記カセットを前記第1カセット貯留手段および前記第2カセット貯留手段のいずれか一方を選択して貯留させる選択手段とを含む、請求項8に記載の標本画像撮像システム。
【請求項10】
前記スライド取出手段により取り出された標本スライドを収容していた空のカセットを貯留するための第3カセット貯留手段をさらに備える、請求項8または9に記載の標本画像撮像システム。
【請求項11】
前記第1カセット貯留手段と、前記カセット移送手段とを含むカセット搬送装置を備える、請求項8〜10のいずれか1項に記載の標本画像撮像システム。
【請求項12】
前記スライド取出手段と、前記スライド移送手段と、前記識別情報読取手段と、前記撮像手段とを含む標本画像撮像装置を備える、請求項8〜11のいずれか1項に記載の標本画像撮像システム。
【請求項13】
生体試料の標本スライドを作製する標本作製手段と、
前記標本作製手段で作製された前記標本スライドを移送するスライド移送手段と、
前記標本スライドを撮像する撮像手段とを備えた、標本画像撮像システム。
【請求項14】
標本スライドを作製する標本作製手段から作製された前記標本スライドを受け取って移送するスライド移送手段と、
前記スライド移送手段によって移送された前記標本スライドを、前記標本スライドを撮像する撮像手段へ供給するスライド供給手段とを備える、標本スライド供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2007−178251(P2007−178251A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376863(P2005−376863)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】