説明

標準光源、補正係数算出方法および装置並びに蛍光画像生成方法および装置

【課題】 蛍光診断画像生成装置を構成する結像光学手段や固体撮像手段のばらつきの影響を除去する。
【解決手段】 標準光源100から発せられる、光量および輝度スペクトルが既知であり、時間的な変動が小さく、輝度が均一の標準光Lsを撮像し、IR反射標準画像データS1および蛍光標準画像データS2を得る。これらの画像データにより表される標準画像の除算値を算出し、この除算値により予め定められた基準値を除算することにより補正係数H1を求める。生体観察部10を撮像して、蛍光画像データK0およびIR反射画像データF1を得、これらのデータにより表される蛍光画像およびIR反射画像の除算データDを求め、この除算データDを補正係数H1により補正して蛍光診断画像データGを得、これを蛍光診断画像12としてモニタ270に表示する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像し、生体観察部に関する情報を表す蛍光診断画像を生成するに際し、より正確な蛍光診断画像を得るための標準光源、補正係数算出方法および装置並びに蛍光診断画像生成方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より固体撮像素子を搭載した内視鏡装置が広く用いられている。この内視鏡装置は、固体撮像素子により撮像した画像をモニタ等に表示することにより複数の人間が同時に観察することができる利点を有し、また、撮像した画像を表示する前に種々の画像処理を施すことにより、特徴的な画像を強調してモニタ上に表示することもできるため、医療の発展に大きく貢献している。
【0003】ところで、内視鏡装置においては、所定の波長帯域の励起光を生体観察部に照射した場合に、正常組織と病変組織とでは発生する蛍光強度が異なることを利用して、生体観察部に所定波長の励起光を照射し、生体観察部が発する蛍光を受光することにより病変組織の局在・浸潤範囲を蛍光画像として表示する技術を用いて、病変状態を判定することが行われている。
【0004】このような蛍光画像を表示するための蛍光診断画像表示装置は基本的に、励起光を生体観察部に対して照射する励起光照射手段と、生体組織が発する蛍光を撮像して蛍光画像を取得する固体撮像手段と、蛍光を固体撮像手段に結像する結像光学手段と、この固体撮像手段の出力を受けて上記蛍光画像を表示する表示手段とからなるものであり、多くの場合、体腔内部に挿入される内視鏡や、コルポスコープあるいは手術用顕微鏡等に組み込まれた形に構成される。
【0005】ここで、生体組織には凹凸があるため、生体組織に照射される励起光の強度は均一ではない。また、生体組織から発せられる蛍光強度は励起光照度に略比例するが、励起光照度は距離の2乗に反比例して低下する。このため、光源から遠くにある正常組織よりも近くにある病変組織の方が強い蛍光を発する場合があり、励起光による蛍光の強度の情報だけでは生体組織の組織性状を正確に識別することができない。このような不具合を低減するために、異なる波長帯域(480nm付近の狭帯域と430nm近傍から730nm近傍の広帯域)の蛍光画像における2種類の蛍光強度の比率を除算により求め、その除算値に基づく演算画像を蛍光診断画像として表示する方法、すなわち、生体の組織性状を反映した蛍光スペクトルの形状の違いに基づいた画像の表示方法や、種々の生体組織に対して一様な吸収を受ける近赤外光を参照光として生体組織に照射し、この参照光の照射を受けた生体組織によって反射された反射光の強度を検出して蛍光強度との比率を除算により求め、その除算値に基づく演算画像を蛍光診断画像として表示する方法、すなわち、蛍光収率を反映した値を求めて画像を表示する方法等が提案されている。
【0006】また、異なる波長帯域の蛍光強度の除算値または蛍光強度と反射光強度との除算値に色の情報を割り当てて蛍光診断画像を生成し、蛍光診断画像における色の違いにより生体組織の病変状態を表す方法や、その色の違いにより生体組織の病変状態を示す色画像と、参照光の照射による反射光の強度に輝度の情報を割り当てることにより得られた輝度画像とを合成することにより、生体組織の形状も画像に反映させた凹凸感のある蛍光診断画像を表示する方法も提案されている。
【0007】このような波長帯域が異なる蛍光や、参照光の反射光から画像を得るためには、各波長帯域の光に対応した複数の固体撮像手段および複数の結像光学手段が用いられ、各固体撮像手段において波長帯域が異なる蛍光や参照光の反射光を検出し、蛍光画像や参照光反射画像を得ることにより、上述した蛍光診断画像を得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したように複数の固体撮像手段および複数の結像光学手段を用いた場合、各結像光学手段における透過特性のばらつき、および各固体撮像手段間における入出力特性のばらつきが存在する。さらに、結像光学手段および固体撮像手段のばらつきは温度や経年により変化する。したがって、蛍光診断画像表示装置の使用環境や使用年数の経過によって、同一の部位を撮影した場合であっても得られる比率が変化し、蛍光診断画像を用いて正確な診断を行うことが困難となる。また、ばらつきは蛍光診断画像表示装置の機種間においても生じるため、異なる装置において取得した蛍光診断画像を用いて比較診断を行うような場合には、正確な診断を行うことができない。
【0009】さらに、蛍光診断画像表示装置では、励起光や参照光の照射ムラ、結像光学手段の透過ムラ、結像光学手段および固体撮像手段のアライメントのばらつき、固体撮像手段の検出ムラ、蛍光や参照光の反射光が固体撮像手段に検出されるまでの効率ムラ等により、固体撮像手段における光検出効率の部分的な低下(シェーディング)が生じると、固体撮像手段において取得される蛍光画像や参照光反射画像にシェーディングに起因する濃淡ムラが生じてしまう。このように、蛍光画像や参照光反射画像に濃淡ムラが生じた場合にも、組織性状を正確に反映した蛍光診断画像を得ることができなくなってしまう。
【0010】本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、結像光学手段や固体撮像手段のばらつきの影響を除去することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による第1の標準光源は、蛍光の波長帯域の光を含む標準光を発することを特徴とするものである。
【0012】「蛍光の波長帯域」としては、具体的には400nm〜750nmとすることができる。
【0013】なお、本発明による第1の標準光源においては、前記標準光は、均一な輝度分布を有することが好ましい。
【0014】また、本発明による第1の標準光源においては、前記蛍光の波長帯域が、励起光を生体観察部に照射した際に、該生体観察部の正常組織から発せられる蛍光と略同一であることが好ましい。
【0015】また、本発明による第1の標準光源においては、白色光を発するハロゲンランプと、該ハロゲンランプから発せられた白色光のうち、前記蛍光の波長帯域の光を透過させる帯域フィルタとを備えるものとしてもよい。
【0016】本発明による第2の標準光源は、蛍光の波長帯域の光および参照光の波長帯域の光を含む標準光を発することを特徴とするものである。
【0017】「参照光」とは、種々の生体組織に対して一様な吸収を受ける光を意味し、具体的には750nm〜1000nmの波長帯域の近赤外光を参照光として用いることができる。
【0018】なお、本発明による第2の標準光源においては、前記標準光は、均一な輝度分布を有することが好ましい。
【0019】また、本発明による第2の標準光源においては、前記蛍光の波長帯域が、励起光を生体観察部に照射した際に、該生体観察部の正常組織から発せられる蛍光と略同一であることが好ましい。
【0020】また、本発明による第2の標準光源においては、白色光を発するハロゲンランプと、該ハロゲンランプから発せられた白色光のうち、前記蛍光の波長帯域の光および前記参照光の反射光の波長帯域の光を透過させる帯域フィルタとを備えるものとしてもよい。
【0021】本発明による第1の補正係数算出方法は、励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像して波長帯域が異なる複数の蛍光画像を取得する撮像手段と、該複数の蛍光画像間の光強度の比率を算出する比率算出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、前記比率を補正する補正係数を算出する補正係数算出方法であって、本発明による第1の標準光源から発せられた標準光を前記撮像手段により撮像して波長帯域が異なる複数の標準画像を取得し、該複数の標準画像間の光強度の比率を前記比率算出手段により算出し、予め定められた基準値を前記比率によって除算することにより、前記補正係数を算出することを特徴とするものである。
【0022】「励起光」の波長帯域としては、400nm〜420nmとすることができる。
【0023】「波長帯域が異なる複数の標準画像を取得する」とは、標準光から、フィルタ、プリズムあるいはダイクロイックミラー等からなる結像光学手段を用いて、互いに異なる波長帯域の標準光を取り出し、それらの標準光に基づいた光学像を検出して標準画像を撮像することを意味する。例えば、標準光から480nm付近の波長帯域の光と、400nm〜750nmの波長帯域の光とを取り出し、それぞれの波長帯域の光を検出して各波長帯域の標準画像を撮像することである。
【0024】「基準値」とは、標準光源から発せられる標準光の輝度スペクトル分布に基づいて算出される値であり、例えば、標準光の輝度スペクトル分布を複数の標準画像に対応する波長帯域において積分することにより、標準光の各波長帯域における強度値を求め、各強度値間の比率を算出することにより求めることができる。
【0025】本発明による第2の補正係数算出方法は、励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像して蛍光画像を取得する蛍光画像撮像手段と、参照光の照射を受けた前記生体観察部によって反射された前記参照光の反射光を撮像して反射画像を取得する反射画像撮像手段と、前記蛍光画像および前記反射画像間の光強度の比率を算出する比率算出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、前記比率を補正する補正係数を算出する補正係数算出方法であって、本発明による第2の標準光源から発せられた標準光を前記蛍光画像撮像手段および前記反射画像撮像手段により撮像して、前記蛍光の波長帯域の光に基づく蛍光標準画像および前記参照光の反射光の波長帯域の光に基づく反射光標準画像を取得し、前記蛍光標準画像および前記反射光標準画像間の光強度の比率を前記比率算出手段により算出し、予め定められた基準値を前記比率によって除算することにより、前記補正係数を算出することを特徴とするものである。
【0026】ここで、「蛍光標準画像および反射光標準画像を取得する」とは、標準光から、フィルタ、プリズムあるいはダイクロイックミラー等からなる結像光学手段を用いて、蛍光の波長帯域および参照光の波長帯域の光を取り出し、それらの光に基づいた光学像を検出して標準画像を取得することを意味する。例えば、標準光から400nm〜750nmの蛍光の波長帯域の光と、750nm〜1000nmの参照光の波長帯域の光とを取り出し、それぞれの波長帯域の光を検出して蛍光標準画像および反射光標準画像を撮像することである。
【0027】本発明による第1の補正係数算出装置は、本発明による第1の補正係数算出方法を実施するためのものであり、励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像して波長帯域が異なる複数の蛍光画像を取得する撮像手段と、該複数の蛍光画像間の光強度の比率を算出する比率算出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、前記比率を補正する補正係数を算出する補正係数算出装置であって、本発明による第1の標準光源から発せられた標準光を前記撮像手段により撮像することにより取得された複数の標準画像について、前記比率算出手段により算出された該複数の標準画像間の光強度の比率によって、予め定められた基準値を除算することにより、前記補正係数を算出する補正係数算出手段を備えたことを特徴とするものである。
【0028】本発明による第2の補正係数算出装置は、本発明による第2の補正係数算出方法を実施するためのものであり、励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像して蛍光画像を取得する蛍光画像撮像手段と、参照光の照射を受けた前記生体観察部によって反射された前記参照光の反射光を撮像して反射画像を取得する反射画像撮像手段と、前記蛍光画像および前記反射画像間の光強度の比率を算出する比率算出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、前記比率を補正する補正係数を算出する補正係数算出装置であって、本発明による第2の標準光源から発せられた標準光を撮像することにより取得された、前記蛍光の波長帯域の光に基づく蛍光標準画像および前記参照光の反射光の波長帯域の光に基づく反射光標準画像について、前記比率算出手段により算出された前記蛍光標準画像および前記反射光標準画像間の光強度の比率によって、予め定められた基準値を除算することにより、前記補正係数を算出する補正係数算出手段を備えたことを特徴とするものである。
【0029】本発明による第1の蛍光診断画像生成方法は、励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像して波長帯域が異なる複数の蛍光画像を取得し、該複数の蛍光画像間の光強度の比率を算出し、本発明による第1の補正係数算出方法により算出された補正係数に基づいて、前記比率を補正して補正済み比率を算出し、該補正済み比率に基づいて前記生体観察部の蛍光診断画像を生成することを特徴とするものである。
【0030】「波長帯域が異なる複数の蛍光画像を取得する」とは、照明光の照射により生体観察部から発せられた蛍光から、フィルタ、プリズムあるいはダイクロイックミラー等からなる結像光学手段を用いて、互いに異なる波長帯域の蛍光を取り出し、それらの蛍光に基づいた光学像を検出して蛍光画像を撮像することを意味する。例えば、蛍光として480nm付近の波長帯域の蛍光と、400nm〜750nmの波長帯域の蛍光とを用いる場合、480nm付近の蛍光を透過する狭帯域フィルタを透過した狭波長帯域の蛍光に基づいた狭帯域蛍光画像と、400nm〜750nmの広帯域フィルタを透過した広波長帯域の蛍光に基づいた広帯域蛍光画像とを撮像することである。
【0031】「蛍光診断画像」としては、補正済み比率を表す画像、補正済み比率に色の情報を割り当てた画像、あるいは生体観察部に参照光をも照射した場合には、この色の情報を割り当てた色画像と参照光の照射による反射光の強度に輝度の情報を割り当てることにより得られた輝度画像との合成画像等を用いることができる。
【0032】本発明による第2の蛍光診断画像生成方法は、励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像して蛍光画像を取得し、参照光の照射を受けた前記生体観察部によって反射された前記参照光の反射光を撮像して反射画像を取得し、前記蛍光画像および前記反射画像間の光強度の比率を算出し、本発明による第2の補正係数算出方法により算出された補正係数に基づいて、前記比率を補正して補正済み比率を算出し、該補正済み比率に基づいて前記生体観察部の蛍光診断画像を生成することを特徴とするものである。
【0033】「蛍光診断画像」としては、補正済み比率を表す画像、補正済み比率に色の情報を割り当てた画像、あるいはこの色の情報を割り当てた色画像と参照光の照射による反射光の強度に輝度の情報を割り当てることにより得られた輝度画像との合成画像等を用いることができる。
【0034】本発明による第1の蛍光診断画像生成装置は、本発明による第1の蛍光診断画像生成方法を実施するためのものであり、励起光を生体観察部に照射する光照射手段と、前記励起光の照射により前記生体観察部から発せられた蛍光を撮像して波長帯域が異なる複数の蛍光画像を取得する蛍光画像撮像手段と、該複数の蛍光画像間の光強度の比率を算出する比率算出手段と、本発明による第1の補正係数算出方法により算出された補正係数に基づいて、前記比率を補正して補正済み比率を算出する補正手段と、該補正済み比率に基づいて前記生体観察部の蛍光診断画像を生成する画像生成手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0035】なお、本発明による第1の蛍光診断画像生成装置においては、本発明による第1の補正係数算出装置をさらに備えるものであってもよく、さらに、本発明による第1の標準光源をさらに備えるものであってもよい。
【0036】また、前記光照射手段および前記蛍光画像撮像手段の一部または全部が、生体内部に挿入される内視鏡の形態としてもよい。
【0037】本発明による第2の蛍光診断画像生成装置は、本発明による第2の蛍光診断画像生成方法を実施するためのものであり、励起光および参照光を生体観察部に照射する光照射手段と、前記励起光の照射により前記生体観察部から発せられた蛍光を撮像して蛍光画像を取得する蛍光画像撮像手段と、前記参照光の照射を受けた前記生体観察部によって反射された前記参照光の反射光を撮像して反射画像を取得する反射画像撮像手段と、前記蛍光画像および前記反射画像間の光強度の比率を算出する比率算出手段と、本発明による第2の補正係数算出方法により算出された補正係数に基づいて、前記比率を補正して補正済み比率を算出する補正手段と、該補正済み比率に基づいて前記生体観察部の蛍光診断画像を生成する画像生成手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0038】なお、本発明による第2の蛍光診断画像生成装置においては、本発明による第2の補正係数算出装置をさらに備えるものであってもよく、さらに、本発明による第2の標準光源をさらに備えるものであってもよい。
【0039】また、前記光照射手段、前記蛍光画像撮像手段および前記反射画像撮像手段の一部または全部が、生体内部に挿入される内視鏡の形態としてもよい。
【0040】なお、本発明による補正係数算出方法および蛍光診断画像生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【0041】
【発明の効果】本発明による第1の標準光源は蛍光の波長帯域の光を含む標準光を発するものであるため、蛍光を撮像して蛍光診断画像を取得する装置において標準光を撮像し、撮像により取得された標準画像の信号強度を標準光の強度と比較することにより、その装置においてどの程度標準光が変化して撮像されるかを容易に認識することができる。
【0042】本発明による第2の標準光源は蛍光の波長帯域の光および参照光の波長帯域の光を含む標準光を発するものであるため、蛍光および参照光を撮像して蛍光診断画像を取得する装置において標準光を撮像し、撮像により取得された標準画像の信号強度を標準光の強度と比較することにより、その装置において撮像された標準光がどのように変化するかを容易に認識することができる。
【0043】とくに、第1および第2の標準光源において、標準光を均一な輝度分布を有するものとした場合、標準光を撮像することにより取得された標準画像の信号強度と標準光の強度とを、標準画像上の各画素位置において比較することにより、標準画像の濃淡ムラすなわち装置に含まれるシェーディングの影響を知ることができる。したがって、標準画像の信号強度と標準光の強度との差分値あるいは除算値を、シェーディングを補正するための補正係数として算出し、装置において実際に生体組織を撮像することにより取得される蛍光診断画像をこの補正係数により補正すれば、シェーディングの影響が除去された蛍光診断画像を得ることができる。よって、蛍光診断画像を用いた診断の精度を向上させることができる。
【0044】本発明による第1の補正係数算出方法および装置においては、第1の標準光源から発せられた標準光が撮像されて、波長帯域が異なる複数の標準画像が取得され、複数の標準画像間の光強度の比率が算出され、算出された比率を予め定められた基準値となるように補正する補正係数が算出される。この補正係数は、蛍光画像撮像装置において取得される複数の蛍光画像間の光強度の比率を補正した際に、蛍光画像に含まれる撮像手段や結像光学手段のばらつきの影響を除去するものである。
【0045】したがって、本発明による第1の蛍光診断画像生成方法および装置において取得される複数の蛍光画像間の光強度の比率を、この補正係数によって補正することにより、装置に含まれる撮像手段や結像光学手段のばらつきの影響を除去して、生体観察部の組織性状を正確に反映した蛍光診断画像を得ることができる。
【0046】また、機種間のばらつきの影響を除去することができるため、異なる装置において取得した蛍光診断画像を用いて比較診断を行うような場合にも、正確な診断を行うことができる。
【0047】さらに、標準光源が均一な輝度分布を有するものである場合には、蛍光診断画像から装置のシェーディングに起因する濃淡ムラをも除去することができるため、シェーディングの影響のない高画質の蛍光診断画像を得ることができ、その結果、診断の正確性をより向上させることができる。
【0048】また、光照射手段および蛍光画像撮像手段の一部または全部が、生体内部に挿入される挿入部を有する内視鏡の形態とした場合には、蛍光内視鏡装置として有効に利用することができる。
【0049】本発明による第2の補正係数算出方法および装置においては、第2の標準光源から発せられた標準光が撮像されて、蛍光標準画像および参照光標準画像が取得され、各画像間の光強度の比率が算出され、算出された比率を予め定められた基準値となるように補正する補正係数が算出される。この補正係数は、蛍光画像撮像装置において取得される蛍光画像および参照光反射画像間の光強度の比率を補正した際に、蛍光画像および参照光反射画像に含まれる撮像手段や結像光学手段のばらつきの影響を除去するものである。
【0050】したがって、本発明による第2の蛍光診断画像生成方法および装置において取得される蛍光画像および参照光反射画像間の光強度の比率を、この補正係数により補正することにより、装置に含まれる撮像手段や結像光学手段のばらつきの影響を除去して、生体観察部の組織性状を正確に反映した蛍光診断画像を得ることができる。
【0051】また、機種間のばらつきの影響を除去することができるため、異なる装置において取得した蛍光診断画像を用いて比較診断を行うような場合にも、正確な診断を行うことができる。
【0052】さらに、標準光源が均一な輝度分布を有するものである場合には、蛍光診断画像から装置のシェーディングに起因する濃淡ムラをも除去することができるため、シェーディングの影響のない高画質の蛍光診断画像を得ることができ、その結果、診断の正確性をより向上させることができる。
【0053】また、光照射手段、蛍光画像撮像手段および反射画像撮像手段の一部または全部が、生体内部に挿入される挿入部を有する内視鏡の形態とした場合には、蛍光内視鏡装置として有効に利用することができる。
【0054】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態による蛍光診断画像生成装置を適用した蛍光内視鏡装置の概略構成図である。図1に示すように本発明の第1の実施形態による蛍光内視鏡装置は、生体観察部10に励起光L2および参照光L5を照射し、生体観察部10から発せられた蛍光L3および参照光L5の反射光を撮像して蛍光画像および参照光反射画像を取得し、これらの画像の信号強度の比率すなわち対応する画素値の比率を算出し、算出した比率を蛍光診断画像としてモニタに表示するものである。図1に示すように、本発明の第1の実施形態による内視鏡装置は、患者の病巣と疑われる部位に挿入される内視鏡挿入部200、画像処理部2および標準光源100からなる。
【0055】画像処理部2は、通常画像撮像用の白色光L1、蛍光画像撮像用の励起光L2、およびIR反射画像撮像用の近赤外光である参照光L5を発する光源を備える照明ユニット210、生体観察部10についての蛍光画像および参照光の反射画像であるIR反射画像を撮像して蛍光画像データK0およびIR反射画像データF1を得る撮像ユニット220、蛍光画像データK0およびIR反射画像データF1により表される蛍光画像およびIR反射画像間における対応する画素値の除算値を除算データDとして算出して除算データDに基づいた蛍光診断画像データGを生成する画像生成ユニット230、通常画像を表す通常画像データNおよび蛍光診断画像データGに対して、可視画像として表示するための画像処理を行う画像処理ユニット240、各ユニットに接続され、動作タイミングの制御を行うコントローラ250、画像処理ユニット240において処理された通常画像データNを通常画像13として表示するモニタ260、並びに画像処理ユニット240において処理された蛍光診断画像データGを蛍光診断画像12として表示するモニタ270から構成されている。
【0056】内視鏡挿入部200は、内部に先端まで延びるライトガイド201、CCDケーブル202、およびイメージファイバ203を備えている。ライトガイド201およびCCDケーブル202の先端部、すなわち内視鏡挿入部200の先端部には、照明レンズ204および対物レンズ205を備えている。また、イメージファイバ203は石英ガラスファイバであり、その先端部には集光レンズ206を備えている。CCDケーブル202の先端部には、図示省略されたカラーフィルタがオンチップされたCCD撮像素子207が接続され、CCD撮像素子207には、プリズム208が取り付けられている。
【0057】ライトガイド201は、石英ガラスファイバである励起光ライトガイド202a、多成分ガラスファイバである白色光ライトガイド202b、および多成分ガラスファイバである近赤外光ライトガイド202cがバンドルされ、ケーブル状に一体化されており、白色光ライトガイド202b、励起光ライトガイド202aおよび近赤外光ライトガイド202cは照明ユニット210に接続されている。
【0058】標準光源100は、標準光Lsを発するものであり、白色光を発するハロゲンランプ101、ハロゲンランプ101に電気的に接続された標準光源用電源102、および4種類のバンドパスフィルタがモザイク状に配列された分光フィルタ103から構成されている。ここで、ハロゲンランプ101を用いているのは、光量および輝度スペクトルが既知であり、時間的な変動が小さく、また輝度分布が均一だからである。
【0059】ここで、分光フィルタ103は、1000nm付近の波長帯域の光を透過させるバンドパスフィルタ、800nm付近の波長帯域の光を透過させるバンドパスフィルタ、600nm付近の波長帯域の光を透過させるバンドパスフィルタおよび400nm付近の波長帯域の光を透過させるバンドパスフィルタがモザイク状に配列されてなるものである。ここで、ハロゲンランプ101から発せられる白色光の輝度スペクトル分布は図2に示すものであるが、分光フィルタ103を透過することにより、標準光Lsは、図3に示すように、400nm、600nm、800nmおよび1000nm付近の波長帯域にのみ輝度スペクトル分布を有する光となる。したがって、標準光Lsは、蛍光L3の波長帯域の光および参照光L5の波長帯域の光を含むものとなっている。
【0060】なお、分光フィルタ103に加えてさらにNDフィルタを組み合わせることにより、図4に示すように各波長帯域の輝度を略一定としてもよい。
【0061】また、標準光Lsの輝度分布は均一となっているが、ここで、輝度分布が均一であるとは、標準光Lsが照射可能な全範囲に亘って同一の輝度値を有するもののみならず、図5に示すように、標準光Lsの光軸を通る任意の断面において、光軸に垂直な方向における輝度の分布が光軸に対称である場合も含むものとする。
【0062】照明ユニット210は、通常画像撮像用の白色光L1を発するハロゲンランプ等の白色光源211、白色光源211に電気的に接続された白色光源用電源212、白色光源211から射出された白色光を集光する白色光用集光レンズ213、蛍光画像撮像用の励起光L2を発するGaN系半導体レーザ214、GaN系半導体レーザ214に電気的に接続されている励起光用電源215、GaN系半導体レーザ214から射出される励起光を集光する励起光用集光レンズ216、IR反射画像撮像用の波長帯域750nm〜1000nm内のいずれかの発振波長の参照光L5を発するGaAs系半導体レーザ217、GaAs系半導体レーザ217に電気的に接続された参照光用電源218、およびGaAs系半導体レーザ217から射出された参照光L5を集光する参照光用集光レンズ219を備える。
【0063】撮像ユニット220は、イメージファイバ203により伝搬された蛍光L3および参照光L5の反射光L6を撮像系に導くコリメートレンズ121、蛍光L3および反射光L6から励起光近傍の波長である420nm以下の波長帯域の光をカットする励起光カットフィルタ122、波長700nm以下の蛍光L3を透過させ、700nm以上の反射光L6を直角方向に反射するダイクロイックミラー123、ダイクロイックミラー123を透過した蛍光L3を結像させる集光レンズ128、集光レンズ128により結像された蛍光L3により表される蛍光画像を撮像するCCD撮像素子221、CCD撮像素子221において撮像された撮像信号をデジタル化して蛍光画像データK0を得るA/D変換回路222、ダイクロイックミラー123において反射された反射光L6を結像させる集光レンズ225、集光レンズ225により結像された反射光L6により表されるIR反射画像を撮像するCCD撮像素子226、およびCCD撮像素子226において撮像された撮像信号をデジタル化して反射画像データF1を得るA/D変換回路227を備えている。
【0064】画像生成ユニット230は、撮像ユニット220のA/D変換回路222において得られた蛍光画像データK0を記憶する画像メモリ231、撮像ユニット220のA/D変換回路227において得られたIR反射画像データF1を記憶する画像メモリ232、蛍光画像およびIR反射画像間の除算値である除算データDを算出する演算部233、除算データDを後述するように補正するための補正係数H1を算出する補正係数算出部234、算出された補正係数H1を記憶する補正メモリ235、および除算データDを補正係数H1により補正して蛍光診断画像データGを生成する補正部236から構成されている。
【0065】ここで、補正係数算出部234には、補正係数H1を算出するために用いられる基準値Bが記憶されている。この基準値Bは、標準光Lsの輝度スペクトル分布における400nmから600nmの波長帯域の積分値を、800nmから1000nmの波長帯域の積分値により除した値であり、標準光源100を第1の実施形態による蛍光内視鏡装置において撮像した際に取得される標準画像の画素値の理論値を表すものである。具体的には、400nmから600nmの波長帯域の積分値をik、800nmから1000nmの波長帯域の積分値をiiとした場合、基準値B=ik/iiとなる。
【0066】画像処理ユニット240は、CCD撮像素子207において取得された信号のプロセス処理を行う信号処理回路241、信号処理回路241において得られた画像データをデジタル化してデジタルの通常画像データNを得るA/D変換回路242、通常画像データNを記憶する通常画像メモリ243、通常画像データNおよび蛍光診断画像データGをビデオ信号に変換して出力するビデオ信号処理回路244を備えている。
【0067】コントローラ250は、各部位に接続され、動作タイミングを制御している。
【0068】次いで、第1の実施形態の動作について説明する。まず、補正係数H1の算出の動作について説明する。補正係数H1を算出するために、図6に示すように、標準光源100から発せられる標準光Lsを撮像ユニット220において撮像する。撮像前に、標準光Lsの光軸とイメージファイバ203の光軸とが一致するように、内視鏡挿入部200と標準光源100とが位置決めされる。そして、コントローラ250からの信号に基づいて標準光源100の標準光源用電源102が駆動され、ハロゲンランプ101から白色光が発せられる。白色光は分光フィルタ103を透過して標準光Lsとして標準光源100から射出される。
【0069】標準光Lsは、集光レンズ206により集光され、イメージファイバ203の先端に入射され、イメージファイバ203を経て、コリメートレンズ121により集光され、励起光カットフィルタ122を透過し、ダイクロイックミラー123に入射する。
【0070】ダイクロイックミラー123は、波長700nm以上の光を直角方向に反射するため、標準光Lsに含まれる800nmおよび1000nmの波長成分は反射され、集光レンズ225を透過してCCD撮像素子226において受光され、光電変換された後、A/D変換回路227においてデジタル信号に変換され、画像メモリ232にIR反射標準画像データS1として記憶される。
【0071】一方、ダイクロイックミラー123を透過した400nmおよび600nmの波長成分を含む標準光Lsは、集光レンズ128を透過してCCD撮像素子221において受光され、光電変換された後、A/D変換回路222においてデジタル信号に変換され、画像メモリ231に蛍光標準画像データS2として記憶される。
【0072】この際、IR反射標準画像データS1または蛍光標準画像データS2により表されるIR反射標準画像または蛍光標準画像は図7(a)に示すように円形となるが、これらの標準画像のx方向およびy方向における画素値の分布を、図7(b)に示すようにモニタ270に表示してもよい。本実施形態による蛍光内視鏡装置のオペレータは、モニタ270に表示された画素値の分布を観察し、分布が図7(b)に実線で示すように測定されるべき分布(破線参照)からずれている場合には、画素値の分布が図7(b)に破線で示す分布となるようにイメージファイバ203や撮像ユニット220の構成要素を調整することにより、光軸の調整を行うことができる。なお、IR反射標準画像データS1または蛍光標準画像データS2により表される標準画像の画素値の分布が、測定されるべき分布からずれている場合には、音声やモニタ270への表示等による警告を行うようにしてもよい。また、画素値の分布を測定されるべき分布に一致させるための補正値を算出するようにしてもよい。
【0073】次いで、補正係数算出部234において、画像メモリ231に記憶された蛍光標準画像データS2により表される蛍光標準画像および画像メモリ232に記憶されたIR反射標準画像データS1により表されるIR反射標準画像の各画素毎に、蛍光標準画像における画素値をIR反射標準画像における対応する画素値で除算し、除算データを得る。さらに除算データにより基準値Bを除算することにより補正係数H1を算出する。すなわち、基準値B/除算データの演算を行って補正係数H1を算出する。なお、補正係数H1は除算データにより表される画像の各画素位置毎に算出される。また、画素値の分布を測定されるべき分布に一致させるための補正値が算出されている場合には、この補正値が補正係数H1に反映される。算出された補正係数H1は、補正メモリ235に記憶される。
【0074】このように算出された補正係数H1は、後述するように生体観察部10を撮像することにより得られる除算データDを補正した際に、除算データDに含まれる、内視鏡挿入部200および撮像ユニット220を構成する光学系(集光レンズ206、コリメートレンズ121等)や検出系(CCD撮像素子221,226等)の透過特性や感度の違い等に起因するばらつきの影響を除去するものである。すなわち、図8に示すように、実線で示す標準光Lsを検出することにより取得される標準画像の画素値に補正係数H1を乗算することにより、画素値を破線で示す理論値となるように補正するものである。
【0075】次いで、生体観察部10の撮像について説明する。まず、通常画像の撮像および通常画像の表示の動作を説明し、次に反射画像の撮像、蛍光画像の撮像時の動作を説明し、その後で蛍光診断画像の表示の動作について説明する。
【0076】第1の実施形態においては、通常画像の撮像、IR反射画像の撮像、および蛍光画像の撮像が時分割で交互に行われる。通常画像の撮像時には、コントローラ250からの信号に基づいて白色光源用電源212が駆動され、白色光源211から白色光L1が射出される。白色光L1は白色光用集光レンズ213を経て白色光ライトガイド202bに入射され、内視鏡挿入部200の先端まで導光された後、照明レンズ204から生体観察部10に照射される。
【0077】白色光L1の反射光L4は対物レンズ205によって集光され、プリズム208において反射されて、CCD撮像素子207に結像される。
【0078】信号処理回路241においては、CCD撮像素子207において得られた反射光L4の撮像信号からカラー画像であるアナログの通常画像データが作成される。アナログの通常画像データはA/D変換回路242に入力され、デジタル化された後、通常画像データNとして通常画像メモリ243に記憶される。通常画像メモリ243に記憶された通常画像データNは、ビデオ信号処理回路244によってビデオ信号に変換された後にモニタ260に入力され、モニタ260に通常画像13として表示される。上記一連の動作は、コントローラ250によって制御される。
【0079】次に、IR反射画像を撮像する場合の動作について説明する。IR反射画像の撮像時には、コントローラ250からの信号に基づき参照光用電源218が駆動され、GaAs系半導体レーザ217から波長帯域750nm〜1000nm内のいずれかの発振波長の近赤外光である参照光L5が射出される。参照光L5は、参照光用集光レンズ219を経て参照光ライトガイド202cに入射され、内視鏡挿入部200の先端まで導光された後、照明レンズ204から生体観察部10に照射される。
【0080】参照光L5の反射光L6は集光レンズ206により集光され、イメージファイバ203の先端に入射され、イメージファイバ203を経て、コリメートレンズ121により集光され、励起光カットフィルタ122を透過し、ダイクロイックミラー123に入射する。
【0081】ダイクロイックミラー123は、波長700nm以上の光を直角方向に反射するため、参照光L5の反射光L6は反射され、集光レンズ225を透過してCCD撮像素子226において受光され、光電変換された後、A/D変換回路227においてデジタル信号に変換され、画像メモリ232にIR反射画像データF1として記憶される。
【0082】次に、蛍光画像を撮像する場合の動作について説明する。コントローラ250からの信号に基づいて励起光用電源215が駆動され、GaN系半導体レーザ214から波長410nmの励起光L2が射出される。励起光L2は、励起光用集光レンズ216を透過し、励起光ライトガイド202aに入射され、内視鏡挿入部200の先端まで導光された後、照明レンズ204から生体観察部10に照射される。
【0083】励起光L2を照射されることにより生じる生体観察部10からの蛍光L3は、集光レンズ206により集光され、イメージファイバ203の先端に入射され、イメージファイバ203を経て、コリメートレンズ121により集光され、励起光カットフィルタ122およびダイクロイックミラー123を透過する。ダイクロイックミラー123を透過した蛍光L3は、集光レンズ128を透過してCCD撮像素子221において受光され、光電変換された後、A/D変換回路222においてデジタル信号に変換され、画像メモリ231に蛍光画像データK0として記憶される。
【0084】次いで、画像生成ユニット230の演算部233において、画像メモリ231に記憶された蛍光画像データK0により表される蛍光画像および画像メモリ232に記憶されたIR反射画像データF1により表されるIR反射画像の各画素毎に、蛍光画像における画素値をIR反射画像における対応する画素値で除算して除算データDが算出される。算出された除算データDは、補正メモリ235に記憶された補正係数H1により補正部236において補正されて蛍光診断画像データGが得られる。具体的には、除算データにDより表される画像の各画素に対して、各画素に対応する補正係数H1を乗算することにより、蛍光診断画像データGが算出される。蛍光診断画像データGは画像処理ユニット240のビデオ信号処理回路244に出力される。
【0085】ビデオ信号処理回路244によってビデオ信号に変換された蛍光診断画像データGはモニタ270に入力され、モニタ270に蛍光診断画像12として表示される。上記一連の動作は、コントローラ250によって制御される。
【0086】このように、第1の実施形態においては、蛍光画像データK0およびIR反射画像データF1から得られる除算データDを補正係数H1により補正して蛍光診断画像データGを得るようにしたため、モニタ270に表示される蛍光診断画像12は、装置に含まれる光学系や検出系のばらつきの影響が除去されたものとなる。したがって、生体観察部10の組織性状を正確に反映した蛍光診断画像12をモニタ270に表示することができ、これにより蛍光診断画像12を用いて正確な診断を行うことができる。
【0087】また、除算データDを補正係数H1によって補正することにより、蛍光診断画像生成装置の機種間のばらつきの影響を除去することができるため、異なる装置において取得した蛍光診断画像12を用いて比較診断を行うような場合にも、正確な診断を行うことができる。
【0088】また、補正係数H1を定期的に算出すれば、光学系や検出系の経時によるばらつきを補正することができる。
【0089】さらに、標準光源100から発せられる標準光Lsは、輝度分布が均一であるため、除算データDを補正係数H1により補正することにより、取得される蛍光診断画像12から装置のシェーディングに起因する濃淡ムラをも除去することができる。したがって、シェーディングの影響のない高画質の蛍光診断画像12を得ることができ、その結果、診断の正確性をより向上させることができる。
【0090】次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。図9は本発明の第2の実施形態による蛍光診断画像生成装置を適用した蛍光内視鏡装置の概略構成図である。なお、第2の実施形態において第1の実施形態と同一の構成については同一の参照番号を付し、詳細な説明は省略する。図9に示すように本発明の第2の実施形態による蛍光内視鏡装置は、生体観察部10に励起光L2を照射し、生体観察部10から発せられた蛍光L3を撮像して波長帯域が異なる2つの蛍光画像を得、これらの蛍光画像の信号強度の比率を算出し、算出した比率を蛍光診断画像としてモニタに表示するものである。
【0091】このため、第2の実施形態においては、第1の実施形態による蛍光内視鏡装置からライトガイド201の近赤外光ライトガイド202c、照明ユニット210からGaAs系半導体レーザ217、参照光用電源218、および参照光用集光レンズ219が省略されている。また、撮像ユニット220′および画像生成ユニット230′が第1の実施形態における撮像ユニット220および画像生成ユニット230と異なる構成となっている。
【0092】すなわち、第2の実施形態における撮像ユニット220′は、イメージファイバ203により伝搬された蛍光L3を結像系に導くコリメートレンズ121、蛍光L3から励起光近傍の波長である420nm以下の波長帯域の光をカットする励起光カットフィルタ122、励起光カットフィルタ122を透過した蛍光L3を分光するハーフミラー124、ハーフミラー124において反射された蛍光L3を結像させる集光レンズ125、集光レンズ125により結像された蛍光L3により表される蛍光画像を撮像する、フィルタ126がオンチップされたCCD撮像素子127、ハーフミラー124を透過した蛍光L3を結像させる集光レンズ128、集光レンズ128により結像された蛍光L3により表される蛍光画像を撮像する、フィルタ129がオンチップされたCCD撮像素子221、およびCCD撮像素子127,221において撮像された撮像信号をデジタル化して2種類の蛍光画像データK1,K2を得るA/D変換回路222を備えている。
【0093】フィルタ126は、430nm〜530nmの波長帯域の光を透過させる狭帯域フィルタであり、フィルタ129は、430nm〜700nmの波長帯域の光を透過させる広帯域フィルタである。
【0094】画像生成ユニット230′は、撮像ユニット220′のA/D変換回路222において得られた2種類の蛍光画像データK1,K2を記憶する画像メモリ231′、蛍光画像データK1,K2により表される蛍光画像間の除算値である除算データD′を算出する演算部233′、除算データD′を後述するように補正する補正係数H2を算出する補正係数算出部234′、算出された補正係数H2を記憶する補正メモリ235′、および除算データD′を補正係数H2により補正して蛍光診断画像データG′を生成する補正部236′から構成されている。
【0095】なお、標準光源100から発せられる標準光Lsは、図3に示すように、400nm、600nm、800nmおよび1000nm付近の波長帯域にのみ輝度スペクトル分布を有する光であるが、第2の実施形態においては、400nmおよび600nmの波長帯域にのみ輝度スペクトル分布を有する光であってもよい。
【0096】次いで、第2の実施形態の動作について説明する。まず、補正係数H2の算出の動作について説明する。補正係数H2を算出するために、第1の実施形態と同様に、標準光源100から発せられる標準光Lsを撮像ユニット220において撮像する。この際、コントローラ250からの信号に基づいて標準光源100の標準光源用電源102が駆動され、ハロゲンランプ101から白色光が発せられる。白色光は分光フィルタ103を透過して標準光Lsとして標準光源から射出される。
【0097】標準光Lsは、集光レンズ206により集光され、イメージファイバ203の先端に入射され、イメージファイバ203を経て、コリメートレンズ121により集光され、励起光カットフィルタ122透過し、ハーフミラー124において分光される。ハーフミラー124において反射された標準光Lsは、集光レンズ125を透過してCCD撮像素子127において受光され、光電変換された後、A/D変換回路222においてデジタル信号に変換され、画像メモリ231′の狭帯域蛍光画像記憶領域に狭帯域蛍光標準画像データS3として記憶される。一方、ハーフミラー124を透過した標準光Lsは、集光レンズ128を透過してCCD撮像素子221において受光され、光電変換された後、A/D変換回路222においてデジタル信号に変換され、画像メモリ231′の広帯域蛍光画像記憶領域に広帯域蛍光標準画像データS4として記憶される。
【0098】この際、第1の実施形態と同様に、狭帯域蛍光標準画像データS3または広帯域蛍光標準画像データS4により表される狭帯域蛍光標準画像または広帯域蛍光標準画像のx方向およびy方向における画素値の分布を、モニタ270に表示して、光軸の調整を行ったり、画素値の分布を測定されるべき分布に一致させるための補正値を算出してもよい。
【0099】次いで、補正係数算出部234において、画像メモリ231′に記憶された狭帯域蛍光標準画像データS3により表される狭帯域蛍光標準画像および広帯域蛍光標準画像データS4により表される広帯域蛍光標準画像の各画素毎に、狭帯域蛍光標準画像における画素値を広帯域蛍光標準画像における対応する画素値で除算し、除算データを得る。さらに除算データにより基準値B′を除算することにより補正係数H2を算出する。すなわち、基準値B′/除算データの演算を行って補正係数H2を算出する。なお、補正係数H2は除算データにより表される画像の各画素位置毎に算出される。また、画素値の分布を測定されるべき分布に一致させるための補正値が算出されている場合には、この補正値が補正係数H2に反映される。算出された補正係数H2は、補正メモリ235′に記憶される。
【0100】なお、基準値B′は、標準光Lsの輝度スペクトル分布における400nmの波長帯域の積分値を、400nmから600nmの波長帯域の積分値により除した値であり、標準光源100を第2の実施形態による蛍光内視鏡装置において撮像した際に取得される標準画像の画素値の理論値を表すものである。具体的には、400nmの波長帯域の積分値をin、400nmから600nmの波長帯域の積分値をiwとした場合、基準値B′=in/iwとなる。
【0101】このように算出された補正係数H2は、後述するように生体観察部10を撮像することにより得られる除算データD′を補正した際に、除算データD′に含まれる、内視鏡挿入部200および撮像ユニット220′を構成する光学系や検出系のばらつきの影響を除去するものである。
【0102】次いで、生体観察部10の撮像について説明する。第2の実施形態においては、通常画像の撮像、および蛍光画像の撮像が時分割で交互に行われる。ここで、通常画像13の表示は第1の実施形態による蛍光内視鏡装置と同様であるため、詳細な説明は省略し、ここでは、蛍光画像の撮像および蛍光診断画像の表示の動作について説明する。
【0103】コントローラ250からの信号に基づいて励起光用電源215が駆動され、GaN系半導体レーザ214から波長410nmの励起光L2が射出される。励起光L2は、励起光用集光レンズ216を透過し、励起光ライトガイド202aに入射され、内視鏡挿入部200の先端まで導光された後、照明レンズ204から生体観察部10に照射される。
【0104】励起光L2を照射されることにより生じる生体観察部10からの蛍光L3は、集光レンズ206により集光され、イメージファイバ203の先端に入射され、イメージファイバ203を経て、コリメートレンズ121により集光され、励起光カットフィルタ122を透過して、ハーフミラー124において分光される。ハーフミラー124において反射された蛍光L3は、集光レンズ125を透過してCCD撮像素子127において受光され、光電変換された後、A/D変換回路222においてデジタル信号に変換され、画像メモリ231′の狭帯域蛍光画像記憶領域に狭帯域蛍光画像データK2として記憶される。一方、ハーフミラー124を透過した蛍光L3は、集光レンズ128を透過してCCD撮像素子221において受光され、光電変換された後、A/D変換回路222においてデジタル信号に変換され、画像メモリ231′の広帯域蛍光画像記憶領域に広帯域蛍光画像データK1として記憶される。
【0105】次いで、画像生成ユニット230の演算部233においては、画像メモリ231′に記憶された広帯域蛍光画像データK1および狭帯域蛍光画像データK2により表される広帯域蛍光画像および狭帯域蛍光画像の各画素毎に、狭帯域蛍光画像における画素値を広帯域蛍光画像における画素値で除算し、その除算データD′が算出される。算出された除算データD′は、補正メモリ235′に記憶された補正係数H2により補正部236′において補正されて、蛍光診断画像データG′が得られる。具体的には、除算データD′により表される画像の各画素に対して、各画素に対応する補正係数H2を乗算することにより、蛍光診断画像データG′が算出される。蛍光診断画像データG′は画像処理ユニット240のビデオ信号処理回路244に出力される。
【0106】ビデオ信号処理回路244によってビデオ信号に変換された蛍光診断画像データG′はモニタ270に入力され、モニタ270に蛍光診断画像12′として表示される。上記一連の動作は、コントローラ250によって制御される。
【0107】このように、第2の実施形態においては、蛍光画像データK1,K2から得られる除算データD′を補正係数H2により補正するようにしたため、モニタ270に表示される蛍光診断画像12は、装置に含まれる光学系や検出系のばらつきの影響が除去されたものとなる。したがって、生体観察部10の組織性状を正確に反映した蛍光診断画像12をモニタ270に表示することができ、これにより正確な診断を行うことができる。また、第1の実施形態と同様に、機種間のばらつきさらには装置のシェーディングの影響を除去することができる。
【0108】なお、上記第1および第2の実施形態においては、標準画像の各画素毎に補正係数H1,H2を算出しているが、全画素位置における平均値を算出し、標準画像の画素位置に拘わらず値が同一の補正係数H1,H2を用いるようにしてもよい。この場合、装置のシェーディングの影響を除去することはできないが、補正係数H1,H2によって除算データD,D′を補正することにより、除算データD,D′から光学系や検出系のばらつきおよび機種間のばらつきの影響を除去することができるものである。
【0109】また、上記第1および第2の実施形態においては、標準光源100を備えているが、標準光源100を第1および第2の実施形態による蛍光内視鏡装置とは別個に設けるようにしてもよい。
【0110】さらに、上記第1および第2の実施形態においては、補正係数H1,H2を補正メモリ235,235′に記憶しているが、蛍光内視鏡装置とは別の場所に記憶するようにしてもよい。例えば、画像処理部2とネットワーク接続されたデータサーバに、補正係数H1,H2を保管しておき、生体観察部10の撮像時にデータサーバにアクセスして補正係数H1,H2をダウンロードして、除算データD,D′の補正に用いるようにしてもよい。
【0111】また、上記第1および第2の実施形態において、経時によりCCD撮像素子の感度が低下する場合がある。このため、定期的に標準光源100から発せられる標準光Lsを撮像し、予め定められた値以上の画素値を有する画像が得られるか否かを確認することにより、撮像ユニット220を構成するCCD撮像素子の感度の低下の確認を行うことができる。
【0112】さらに、撮像した標準光Lsに基づく標準画像をモニタ270に表示することにより、内視鏡挿入部200の先端の汚れの程度を認識することができる。
【0113】また、上記第1および第2の実施形態においては、通常画像を撮像しているが、通常画像を撮像することなく、蛍光診断画像のみを表示するようにしてもよい。
【0114】また、上記第1および第2の実施形態においては、得られた蛍光診断画像データG,G′をそのままモニタ270に蛍光診断画像12として表示しているが、蛍光診断画像データG,G′の値に色の情報を割り当てて、蛍光診断画像12における色の違いにより生体組織の病変状態を表すようにしてもよい。
【0115】さらに、第1の実施形態においては、蛍光診断画像データGに色の情報を割り当てた色画像およびIR反射画像データFに輝度の情報を割り当てた輝度画像を生成し、色画像および輝度画像を合成した合成画像を蛍光診断画像12として生成してもよい。また、第2の実施形態において、照明ユニット210に参照光L5を発するGaAs系半導体レーザ217を設けて、参照光L5の反射光L6を撮像してIR反射画像データを取得するようにし、蛍光診断画像データG′に色の情報を割り当てた色画像および反射IR画像データに輝度の情報を割り当てた輝度画像を生成し、色画像および輝度画像を合成した合成画像を蛍光診断画像12として生成してもよい。これにより、生体組織の形状も画像に反映させた凹凸感のある蛍光診断画像12を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による蛍光診断画像生成装置を適用した蛍光内視鏡装置の概略構成図
【図2】ハロゲンランプから発せられる白色光の輝度スペクトル分布を示す図
【図3】標準光の輝度スペクトル分布を示す図
【図4】補正された標準光の輝度スペクトル分布を示す図
【図5】標準光の輝度分布を示す図
【図6】標準光の撮像状態を示す図
【図7】撮像された標準光に基づく画像の画素値の分布を示す図
【図8】補正係数による補正を説明するための図
【図9】本発明の第2の実施形態による蛍光診断画像生成装置を適用した蛍光内視鏡装置の概略構成図
【符号の説明】
2 画像処理部
10 生体観察部
L1 白色光
L2 励起光
L3 蛍光
L4,L6 反射光
L5 参照光
Ls 標準光
100 標準光源
200 内視鏡挿入部
201 ライトガイド
202 CCDケーブル
127,221,226 CCD撮像素子
210 照明ユニット
211 白色光源
214 GaN系半導体レーザ
217 GaAs系半導体レーザ
220,220′ 撮像ユニット
230,230′ 画像生成ユニット
240 画像処理ユニット
250 コントローラ
260,270 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 蛍光の波長帯域の光を含む標準光を発することを特徴とする標準光源。
【請求項2】 前記標準光は、均一な輝度分布を有することを特徴とする請求項1記載の標準光源。
【請求項3】 前記蛍光の波長帯域は、励起光を生体観察部に照射した際に、該生体観察部の正常組織から発せられる蛍光と略同一であることを特徴とする請求項1または2記載の標準光源。
【請求項4】 白色光を発するハロゲンランプと、該ハロゲンランプから発せられた白色光のうち、前記蛍光の波長帯域の光を透過させる帯域フィルタとを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の標準光源。
【請求項5】 蛍光の波長帯域の光および参照光の波長帯域の光を含む標準光を発することを特徴とする標準光源。
【請求項6】 前記標準光は、均一な輝度分布を有することを特徴とする請求項5記載の標準光源。
【請求項7】 前記蛍光の波長帯域は、励起光を生体観察部に照射した際に、該生体観察部の正常組織から発せられる蛍光と略同一であることを特徴とする請求項5または6記載の標準光源。
【請求項8】 白色光を発するハロゲンランプと、該ハロゲンランプから発せられた白色光のうち、前記蛍光の波長帯域の光および前記参照光の反射光の波長帯域の光を透過させる帯域フィルタとを備えたことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項記載の標準光源。
【請求項9】 励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像して波長帯域が異なる複数の蛍光画像を取得する撮像手段と、該複数の蛍光画像間の光強度の比率を算出する比率算出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、前記比率を補正する補正係数を算出する補正係数算出方法であって、請求項1から4のいずれか1項記載の標準光源から発せられた標準光を前記撮像手段により撮像して波長帯域が異なる複数の標準画像を取得し、該複数の標準画像間の光強度の比率を前記比率算出手段により算出し、予め定められた基準値を前記比率によって除算することにより、前記補正係数を算出することを特徴とする補正係数算出方法。
【請求項10】 励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像して蛍光画像を取得する蛍光画像撮像手段と、参照光の照射を受けた前記生体観察部によって反射された前記参照光の反射光を撮像して反射画像を取得する反射画像撮像手段と、前記蛍光画像および前記反射画像間の光強度の比率を算出する比率算出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、前記比率を補正する補正係数を算出する補正係数算出方法であって、請求項5から8のいずれか1項記載の標準光源から発せられた標準光を前記蛍光画像撮像手段および前記反射画像撮像手段により撮像して、前記蛍光の波長帯域の光に基づく蛍光標準画像および前記参照光の反射光の波長帯域の光に基づく反射光標準画像を取得し、前記蛍光標準画像および前記反射光標準画像間の光強度の比率を前記比率算出手段により算出し、予め定められた基準値を前記比率によって除算することにより、前記補正係数を算出することを特徴とする補正係数算出方法。
【請求項11】 励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像して波長帯域が異なる複数の蛍光画像を取得する撮像手段と、該複数の蛍光画像間の光強度の比率を算出する比率算出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、前記比率を補正する補正係数を算出する補正係数算出装置であって、請求項1から4のいずれか1項記載の標準光源から発せられた標準光を前記撮像手段により撮像することにより取得された複数の標準画像について、前記比率算出手段により算出された該複数の標準画像間の光強度の比率によって、予め定められた基準値を除算することにより、前記補正係数を算出する補正係数算出手段を備えたことを特徴とする補正係数算出装置。
【請求項12】 励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像して蛍光画像を取得する蛍光画像撮像手段と、参照光の照射を受けた前記生体観察部によって反射された前記参照光の反射光を撮像して反射画像を取得する反射画像撮像手段と、前記蛍光画像および前記反射画像間の光強度の比率を算出する比率算出手段とを備えた蛍光画像撮像装置において、前記比率を補正する補正係数を算出する補正係数算出装置であって、請求項5から8のいずれか1項記載の標準光源から発せられた標準光を撮像することにより取得された、前記蛍光の波長帯域の光に基づく蛍光標準画像および前記参照光の反射光の波長帯域の光に基づく反射光標準画像について、前記比率算出手段により算出された前記蛍光標準画像および前記反射光標準画像間の光強度の比率によって、予め定められた基準値を除算することにより、前記補正係数を算出する補正係数算出手段を備えたことを特徴とする補正係数算出装置。
【請求項13】 励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像して波長帯域が異なる複数の蛍光画像を取得し、該複数の蛍光画像間の光強度の比率を算出し、請求項9記載の補正係数算出方法により算出された補正係数に基づいて、前記比率を補正して補正済み比率を算出し、該補正済み比率に基づいて前記生体観察部の蛍光診断画像を生成することを特徴とする蛍光診断画像生成方法。
【請求項14】 励起光の照射により生体観察部から発せられた蛍光を撮像して蛍光画像を取得し、参照光の照射を受けた前記生体観察部によって反射された前記参照光の反射光を撮像して反射画像を取得し、前記蛍光画像および前記反射画像間の光強度の比率を算出し、請求項10記載の補正係数算出方法により算出された補正係数に基づいて、前記比率を補正して補正済み比率を算出し、該補正済み比率に基づいて前記生体観察部の蛍光診断画像を生成することを特徴とする蛍光診断画像生成方法。
【請求項15】 励起光を生体観察部に照射する光照射手段と、前記励起光の照射により前記生体観察部から発せられた蛍光を撮像して波長帯域が異なる複数の蛍光画像を取得する蛍光画像撮像手段と、該複数の蛍光画像間の光強度の比率を算出する比率算出手段と、請求項9記載の補正係数算出方法により算出された補正係数に基づいて、前記比率を補正して補正済み比率を算出する補正手段と、該補正済み比率に基づいて前記生体観察部の蛍光診断画像を生成する画像生成手段とを備えたことを特徴とする蛍光診断画像生成装置。
【請求項16】 請求項11記載の補正係数算出装置をさらに備えたことを特徴とする請求項15記載の蛍光診断画像生成装置。
【請求項17】 請求項1から4のいずれか1項記載の標準光源をさらに備えたことを特徴とする請求項15または16記載の蛍光診断画像生成装置。
【請求項18】 前記光照射手段および前記蛍光画像撮像手段の一部または全部が、生体内部に挿入される内視鏡の形態であることを特徴とする請求項15から17のいずれか1項記載の蛍光診断画像生成装置。
【請求項19】 励起光および参照光を生体観察部に照射する光照射手段と、前記励起光の照射により前記生体観察部から発せられた蛍光を撮像して蛍光画像を取得する蛍光画像撮像手段と、前記参照光の照射を受けた前記生体観察部によって反射された前記参照光の反射光を撮像して反射画像を取得する反射画像撮像手段と、前記蛍光画像および前記反射画像間の光強度の比率を算出する比率算出手段と、請求項10記載の補正係数算出方法により算出された補正係数に基づいて、前記比率を補正して補正済み比率を算出する補正手段と、該補正済み比率に基づいて前記生体観察部の蛍光診断画像を生成する画像生成手段とを備えたことを特徴とする蛍光診断画像生成装置。
【請求項20】 請求項12記載の補正係数算出装置をさらに備えたことを特徴とする請求項19記載の蛍光診断画像生成装置。
【請求項21】 請求項5から8のいずれか1項記載の標準光源をさらに備えたことを特徴とする請求項19または20記載の蛍光診断画像生成装置。
【請求項22】 前記光照射手段、前記蛍光画像撮像手段および前記反射画像撮像手段の一部または全部が、生体内部に挿入される内視鏡の形態であることを特徴とする請求項19から21のいずれか1項記載の蛍光診断画像生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2003−111716(P2003−111716A)
【公開日】平成15年4月15日(2003.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−311071(P2001−311071)
【出願日】平成13年10月9日(2001.10.9)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】