標点設定方法

【課題】引張試験等において試験片の変形量を測定する際に用いられる複数の標点を、試験片の表面に容易に設定することができる標点設定方法を提供する。
【解決手段】まず、試験片2の表面に白色のテープ1を貼り付ける。ついで、テープ1の表面に複数のドットd11〜d66をプリンタで印刷する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張試験等において、試験片の変形量を測定する際に用いられる複数の標点を、試験片の表面に設定する標点設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
引張試験等において、試験片に複数の標点を付しておき、標点間の距離の変化から試験片の伸び量を測定する方法が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。この方法においては、作業の効率化の観点より、試験片に対する標点の設定を容易化することが重要である。
【0003】
従来、標点の設定作業を容易化するために、例えば次の方法が提案されている。すなわち、特許文献1には、一定間隔の目盛が印刷され、裏面に粘着のりが塗布された帯状の標点表示紙を、試験片の全長にわたって貼り付ける方法が開示されている。また、特許文献2には、白色系の塗料を試験片に塗布し、塗料を乾燥させた後に、黒色のペンで塗料の上に標線を描く方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献1〜4には、引張方向にのみ一次元的に複数の標点を配列し、引張方向の伸び量を測定する方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3063828号公報
【特許文献2】特開平8−226885号公報
【特許文献3】特開平8−136426号公報
【特許文献4】特開平11−241982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1に記載された方法では、試験片の変形量を精度良く測定するためには標点表示紙を所定方向に正確に貼り付けなければならず、作業が困難である。例えば、引張試験においては、標点表示紙を引張方向に対して真っ直ぐに貼り付けることが難しく、斜めに張り付けてしまった場合、試験片の伸び量を精度良く測定することができない。また、上記の特許文献2に記載された方法では、試験片に塗料を塗布し、塗料を乾燥させる必要があるので、作業に手間や時間がかかってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、試験片の変形量を測定する際に用いられる複数の標点を、試験片の表面に容易に設定することができる標点設定方法を提供する。
【0008】
また、上記の特許文献1〜4に記載された方法では、一次元的に標点を配列しているので、二次元方向について試験片の変形量を測定することができない。例えば、引張試験において、引張方向の変形量と引張方向に垂直な方向の変形量とを同時に測定することができない。
【0009】
そこで、他の本発明は、二次元方向についての試験片の変形量の測定を可能とする標点設定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る標点設定方法は、試験片の変形量を測定する際に用いられる複数の標点を、試験片の表面に設定する標点設定方法であって、試験片の表面にテープを貼り付けた後に、当該テープの表面に複数の標点を書き入れることを特徴とする。
【0011】
本発明の好適な態様では、複数の標点を試験片の表面に二次元的に配置する。
【0012】
また、本発明の好適な態様では、テープの表面に複数の標点をプリンタで印刷する。
【0013】
また、他の本発明に係る標点設定方法は、試験片の変形量を測定する際に用いられる複数の標点を、試験片の表面に設定する標点設定方法であって、複数の標点を試験片の表面に二次元的に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、試験片にテープを貼り付けた後に、当該テープの表面に標点を書き入れるので、テープを所定方向に正確に貼り付ける作業や、塗料を塗布・乾燥させる作業を不要とすることができ、試験片の表面に標点を容易に設定することができる。
【0015】
他の本発明によれば、複数の標点を試験片の表面に二次元的に配置するので、二次元方向についての試験片の変形量の測定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る標点設定方法を含む変形量測定方法の概略の工程を示す図である。この変形量測定方法は、試験片に複数の標点を予め設定しておき、標点間の距離の変化から試験片の変形量を測定するものである。以下、図1に従って、この変形量測定方法の手順について説明する。なお、図1に示される工程は、作業者によって手作業で行われてもよいし、装置によって自動的に行われてもよい。
【0018】
まず、試験片の表面にテープを貼り付ける(S11)。ここで、試験片は、金属や樹脂等の適宜の材料からなる。作業の容易性の観点より、テープに粘着層を設け、この粘着層によってテープを試験片に貼り付けることが好ましい。テープは、試験片の伸びに追従すべく、伸びの大きい材質であることが好ましい。
【0019】
ついで、試験片に張り付けられたテープの表面に、複数の標点を書き入れる(S12)。標点の形状は、例えばドットやライン(標線)であるが、試験片上の位置を示すものであればよい。標点は、一次元的に配置されてもよいし、二次元的に配置されてもよい。例えば、一定間隔で一列に配列されてもよいし、マトリクス状に配列されてもよい。二次元的に標点を配置することとすれば、二次元方向について試験片の変形量を測定することが可能となる。テープに標点を書き入れる方式は、特に限定されないが、作業の容易性や正確性の観点より、プリンタによる印刷が好ましい。
【0020】
ついで、標点が設定された試験片に対し、引張試験、圧縮試験、曲げ試験等を施し、この場合における試験片の変形量を測定する(S13)。具体的には、標点間の距離の変化量を測定し、この変化量に基づいて試験片の変形量を求める。標点間の距離の変化量は、適宜の方法で測定することができる。例えば、特許文献3または4に記載されているように、試験中に試験片表面の画像をカメラで撮影し、得られた画像データを画像解析することによって、各時点における標点間の距離の変化量を求めることができる。また例えば、試験前後に標点間の距離を作業者がスケール等で測定することにより、標点間の距離の変化量を求めることができる。
【0021】
以上、本実施の形態に係る標点設定方法を含む変形量測定方法について概略説明したが、以下、この変形量測定方法について、これを引張試験に適用した場合を例にとって具体的に説明する。
【0022】
図2は、本実施の形態に係る標点設定方法を含む引張試験方法の詳細な工程を示す図である。この引張試験方法は、試験片に複数の標点を予め設定しておき、引張試験中にカメラで標点を撮影し、得られた画像データを画像解析することにより引張試験中の標点間の距離の変化量を測定し、得られた変化量を利用して真応力および真歪みを求めるものである。図3は、実施の形態に係る標点設定方法の様子を示す図である。図3において、試験片2は、比較的幅の狭い試験片平行部2aと、その両端に設けられた比較的幅の広い把持部2bとから構成されており、引張試験において試験片平行部2aが破断するようになっている。なお、試験片2は、ここではアルミの板材である。以下、図2、3に従って、引張試験方法の手順について説明する。
【0023】
まず、作業者は、初期状態における試験片2の寸法をマイクロメータ等の適宜の測長器で測定する(S21)。具体的には、引張方向(図3中Y方向)における試験片平行部2aの長さ(以下、「板長」と称す)l0と、引張方向に垂直な方向(図3中X方向)における試験片平行部2aの長さ(以下、「板幅」と称す)w0と、試験片平行部2aの厚さ(以下、「板厚」と称す)t0とを測定する。ここでは、板長l0は4.0mm、板幅w0は3.8mm、板厚t0は0.6mmである。
【0024】
ついで、作業者は、図3に示されるとおり、テープ1を試験片2の試験片平行部2aの表面に貼り付ける(S22)。ここでは、後述する黒色のドットを鮮明にするため、テープ1として白色のテープを用いる。また、テープ1は、試験片破断までの変形に追従すべく、伸びが大きい材質であり、20%以上伸び率のあるものである。また、テープ1は、試験片2が破断するまで剥がれない粘着性の良いものである。具体的には、テープ1は、長鎖アルキル系アクリル樹脂にチタン(Ti)白(顔料)が充填されてなる層と、粘着性を有する層とが積層されてなり、例えば事務用修正テープである。テープ1の膜厚は、10〜30μm程度である。
【0025】
ついで、作業者は、テープ1が貼り付けられた試験片2をプリンタ(不図示)にセットし、テープ1の表面に複数の標点をプリンタで印刷する(S23)。ここでは、図3に示されるとおり、複数の標点を二次元的に配置する。具体的には、引張方向に対して垂直な方向と平行な方向とに複数のドットdij(i,jは整数、1≦i≦6、1≦j≦6)を等間隔に配列する。このようなマトリクス状のドットパターンは、市販のパーソナルコンピュータおよび市販の図形作成ソフトウェアを用いることによって容易に作成できる。また、プリンタは、例えば市販のインクジェットプリンタを用いることができる。
【0026】
ついで、作業者は、複数のドットが表面に印刷された試験片2を引張試験装置100にセットし、引張試験装置100に対して引張試験の開始を指示する(S24)。引張試験装置100は、この指示に応じて引張試験を実行する(S25〜S27)。
【0027】
ここで、引張試験装置100の構成について説明する。図4は、引張試験装置100の構成を示すブロック図である。図4において、引張試験装置100は、引張試験機10、カメラ20、解析コンピュータ30、および制御コンピュータ40を備えている。
【0028】
引張試験機10は、移動係止具11、荷重検出器12、および引張変位検出器13を備えている。試験片2の両側の把持部2bは、一方が移動係止具11に支持され、他方が荷重検出器12に支持される。移動係止具11は、不図示の駆動装置により、試験片2を延伸させる方向に移動するものである。荷重検出器12は、試験片2に作用する引張荷重を検出するセンサである。引張変位検出器13は、移動前の移動係止具11の位置を始点とし、その移動距離を検出するセンサである。
【0029】
カメラ20は、試験片2の表面を撮影して画像データを得る撮像装置である。解析コンピュータ30は、カメラ20により得られた画像データと、荷重検出器12により得られた荷重データと、引張変位検出器13により得られた変位データとに基づいて、真応力、真歪み、公称応力、および公称歪みを算出する。制御コンピュータ40は、引張試験装置100全体を制御する。
【0030】
次に、図4を参照しながら、図2における引張試験装置100の動作手順(S25〜S27)について説明する。
【0031】
制御コンピュータ40は、作業者から引張試験開始の指示を受けると、引張試験機10に対して開始信号を送出する。引張試験機10は、この開始信号に応じて、移動係止具11の移動を開始させ、試験片2に対する引張試験を開始する(S25)。
【0032】
引張試験の最中、荷重検出器12は引張荷重を随時検出し、引張変位検出器13は引張変位を随時検出し、カメラ20は試験片2の表面を随時撮影する(S26)。荷重検出器12は、検出された荷重データP(t)を制御コンピュータ40に送る。ここでは、荷重データP(t)は、各時点tにおける荷重を示すデジタルデータである。引張変位検出器13は、検出された変位データa(t)を制御コンピュータ40に送る。ここでは、変位データa(t)は、各時点tにおける変位を示すデジタルデータである。制御コンピュータ40は、引張試験機10から受けた荷重データP(t)および変位データa(t)を解析コンピュータ30に送る。また、制御コンピュータ40は、荷重データP(t)の立ち上がりを検出すると、カメラ20に対して撮影開始信号を送出する。この撮影開始信号に応じて、カメラ20は、試験片2の撮影を開始する。カメラ20は、一定時間間隔で試験片2の撮影を行い、得られた各時点tでの画像データを解析コンピュータ30に送る。
【0033】
試験片2の破断後、解析コンピュータ30は、得られたデータに基づいて、破断部付近の真応力および真歪み、並びに、公称応力および公称歪みを算出する(S27)。図5は、引張試験における試験片2の変化の様子を模式的に示す図である。以下、図5を参照しながら、真応力、真歪み、公称応力、および公称歪みのそれぞれの算出手順について説明する。なお、初期状態における、板長l0、板幅w0、および板厚t0は、作業者によって解析コンピュータ30に予め入力されているものとする。
【0034】
(真応力)
まず、解析コンピュータ30は、画像データを画像解析することにより、試験片2の破断部に近いドットのうち、ドット間距離が最大となる2つのドットを選択する。図5においては、ドットd41およびドットd46が選択される。なお、このドットの選択は、ディスプレイやマウス等のユーザインタフェースを介して作業者によって行われてもよい。
【0035】
ついで、解析コンピュータ30は、初期状態における画像データを解析することにより、選択された2つのドットd41,d46間の初期状態におけるX方向の距離X0を求める。ここで、距離X0は例えば画素数で表される。
【0036】
ついで、解析コンピュータ30は、画像データの解析により、引張試験中の各時点tにおける、ドットd41,d46間のX方向の距離X(t)を求める。そして、引張試験中の各時点tにおけるドット間距離の減少率X(t)/X0を算出する。そして、板幅および板厚がドット間距離と同様の減少率で減少していくとみなし、引張試験中の各時点tにおける試験片2の断面積S(t)を、下記式
S(t)=w0・(X(t)/X0)×t0・(X(t)/X0)
により算出する。
【0037】
ついで、解析コンピュータ30は、引張試験中の各時点tにおける荷重P(t)を、算出した断面積S(t)で割り、引張試験中の各時点tにおける真応力σ(t)=P(t)/S(t)を算出する。
【0038】
(真歪み)
まず、解析コンピュータ30は、画像データを画像解析することにより、試験片2の破断部を挟んで対向し、破断部に隣接する一対または複数対のドットを選択する。ここでは、二対のドットを選択することとする。図5においては、ドット対(d31,d41)およびドット対(d36,d46)が選択される。なお、このドットの選択は、ディスプレイやマウス等のユーザインタフェースを介して作業者によって行われてもよい。
【0039】
ついで、解析コンピュータ30は、初期状態における画像データを解析することにより、選択されたドットd31,d41間の初期状態におけるY方向の距離Y10およびドットd36,d46間の初期状態におけるY方向の距離Y20を求める。ここで、距離Y10およびY20は例えば画素数で表される。
【0040】
ついで、解析コンピュータ30は、画像データの解析により、引張試験中の各時点tにおける、ドットd31,d41間のY方向の距離Y1(t)およびドットd36,d46間のY方向の距離Y2(t)を求める。
【0041】
そして、引張試験中の各時点tにおけるドット間距離の増加率{Y1(t)−Y10}/Y10および{Y2(t)−Y20}/Y20を算出し、これら2つの増加率の平均値を真歪みε(t)とする。
【0042】
(公称応力)
解析コンピュータ30は、引張試験中の各時点tにおける荷重P(t)を、初期状態における断面積(w0・t0)で割り、引張試験中の各時点tにおける公称応力s(t)=P(t)/(w0・t0)を算出する。
【0043】
(公称歪み)
解析コンピュータ30は、引張試験中の各時点tにおける変位a(t)を、初期状態における板長l0で割り、引張試験中の各時点tにおける公称歪みe(t)=a(t)/l0を算出する。
【0044】
図6、7に、本実施の形態における引張試験の試験結果を示す。ここでは、試験片2は5000系アルミの板材であり、歪み速度は200s−1である。図6は、引張試験においてカメラ20で撮影された試験片2の画像である。図6には、初期状態、引張試験中、および破断後の試験片2の画像が並べられている。図7は、解析コンピュータ30の解析結果から得られた応力−歪み線図である。図7には、真応力−真歪み線図L1と、公称応力−公称歪み線図L2とが示されている。
【0045】
本実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
【0046】
(1)標点が印刷済みのテープを試験片に貼り付ける方法(特許文献1に記載の方法)では、変形量を精度良く測定するためにはテープを所定方向に正確に貼り付けなければならず、作業が困難である。これに対し、本実施の形態では、試験片にテープを貼り付けた後にテープ表面に標点を書き入れるので、テープの貼り付け方向は変形量の測定精度に影響を及ぼさない。このため、本実施の形態によれば、テープを所定方向に正確に貼り付ける必要がなく、作業を容易化することができる。別の言い方をすると、標点が印刷済みのテープを試験片に貼り付ける方法では、テープを斜めに張り付けてしまった場合、試験片の変形量を精度良く測定することができない。これに対し、本実施の形態では、テープ貼り付け時に発生し得るゆがみは変形量の測定精度に影響を与えないので、精度の良い測定が可能となる。
【0047】
(2)標点が印刷済みのテープを試験片に貼り付ける方法(特許文献1に記載の方法)では、変形量を精度良く測定するためにはテープの伸びが発生しないようにテープを貼り付けなければならず、作業が困難である。これに対し、本実施の形態では、試験片にテープを貼り付けた後にテープ表面に標点を書き入れるので、テープ貼り付け時のテープの伸びは変形量の測定精度に影響を及ぼさない。このため、本実施の形態によれば、テープの伸びを気にすることなく貼り付け作業を行うことができ、作業を容易化することができる。別の言い方をすると、標点が印刷済みのテープを試験片に貼り付ける方法では、テープ貼り付け時にテープの伸びが発生してしまった場合、試験片の変形量を精度良く測定することができない。これに対し、本実施の形態では、テープ貼り付け時に発生し得る伸びは変形量の測定精度に影響を与えないので、精度の良い測定が可能となる。
【0048】
(3)標点が印刷済みのテープを試験片に貼り付ける方法(特許文献1に記載の方法)では、テープ貼り付け時のテープの伸びが測定精度を低下させるので、伸びの少ない材質のテープを用いることが望ましい。しかし、伸びの少ないテープを使用した場合、特に伸びの大きな試験片では、試験片の伸び量とテープの伸び量に差が発生し、正確な伸び量を測定することができない。これに対し、本実施の形態では、試験片にテープを貼り付けた後にテープ表面に標点を書き入れるので、テープ貼り付け時のテープの伸びは測定精度に影響を及ぼさない。このため、本実施の形態では、試験片の伸びに追従する伸びの大きい材質のテープを使用することができ、引張方向の変形量を高い精度で測定することができる。
【0049】
(4)試験片にテープを貼り付けた後にテープの表面に複数の標点をプリンタで印刷するので、複数の標点をテープ表面の所望の位置に正確に書き入れることができる。また、複雑な標点パターンであっても、正確かつ容易に書き入れることができる。例えば、引張方向に対して垂直方向および平行方向に、複数のドットをマトリクス状に正確かつ容易に配列することができる。
【0050】
(5)特許文献1〜4に記載の技術では、標点を試験片に一次元的に配列している。このため、例えば引張試験において、引張方向の変形量と引張方向に垂直な方向の変形量とを同時に測定することができない。これに対し、本実施の形態によれば、複数の標点を試験片の表面に二次元的に配置するので、二次元方向について試験片の変形量を求めることができる。具体的には、引張試験において引張方向および引張方向に垂直な方向(幅方向)に標点を配列することにより、引張方向に配列された標点を用いて引張方向の試験片の歪みを求めることができ、幅方向に配列された標点を用いて幅方向の試験片の歪みを求めることができる。これにより、引張試験において、真応力および真歪みを同時に測定することができる。
【0051】
なお、当該効果は、テープに複数の標点を書き入れた後に当該テープを試験片に貼り付ける場合においても得られる。また、当該効果は、試験片に複数の標点を直接書き入れる場合においても得られる。
【0052】
(6)塗料を試験片に塗布し、塗料を乾燥させた後に、塗料の上に標線を描く方法(特許文献2に記載の方法)では、試験片に塗料を塗布・乾燥させる必要があるので、作業に手間や時間がかかってしまう。これに対し、本実施の形態では、試験片にテープを貼り付けた後にテープ表面に標点を書き入れるので、塗料を塗布・乾燥させる必要がなく、標点設定作業を容易化することができる。
【0053】
(7)試験片に標点を直接書き入れる方法では、標点を書き入れる前に試験片の表面を研磨、脱脂しなければならず、前準備に時間がかかってしまう。これに対して、本実施の形態では、試験片にテープを貼り、その上に標点を書き入れるので、表面研磨作業や脱脂作業等の前処理を省略することが可能となる。これにより、標点設定作業の容易化や、試験時間の短縮を図ることができる。
【0054】
(8)試験片に標点を直接書き入れる方法では、試験片の色によっては、試験片と標点とのコントラストを高くすることが困難である。試験片と標点とのコントラストが低いと、画像解析の精度が落ちてしまう。これに対し、本実施の形態では、試験片にテープを貼り、その上に標点を書き入れるので、標点の色とその背景(テープ)の色とを自由に設定することができ、標点とその背景とのコントラストを高くすることができる。例えば、テープを白色とし、標点を黒色とすることにより、高いコントラストを得ることができる。これにより、画像品質を向上させることができ、測定精度を向上させることができる。
【0055】
(9)試験片に標点を直接書き入れる方法では、試験片の変形とともに標点が不鮮明になり、破断までを画像解析することができない。これに対し、本実施の形態では、試験片破断までの変形に追従する伸びが大きなテープを試験片に貼り、その上に標点を書き入れるので、破断まで標点を読み取ることが可能となり、破断時の真応力−真歪みの測定が可能となる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明が上記の実施の形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、標点の利用方法、すなわち標点をどのように処理してどのような変化量を測定するかは、特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施の形態に係る標点設定方法を含む変形量測定方法の概略の工程を示す図である。
【図2】実施の形態に係る標点設定方法を含む引張試験方法の詳細な工程を示す図である。
【図3】実施の形態に係る標点設定方法の様子を示す図である。
【図4】引張試験装置の構成を示すブロック図である。
【図5】引張試験における試験片の変化の様子を模式的に示す図である。
【図6】引張試験においてカメラで撮影された試験片の画像である。
【図7】解析コンピュータの解析結果から得られた応力−歪み線図である。
【符号の説明】
【0058】
1 テープ、2 試験片、2a 試験片平行部、2b 把持部、10 引張試験機、11 移動係止具、12 荷重検出器、13 引張変位検出器、20 カメラ、30 解析コンピュータ、40 制御コンピュータ、100 引張試験装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片の変形量を測定する際に用いられる複数の標点を、試験片の表面に設定する標点設定方法であって、
試験片の表面にテープを貼り付けた後に、当該テープの表面に複数の標点を書き入れることを特徴とする標点設定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の標点設定方法であって、
複数の標点を試験片の表面に二次元的に配置することを特徴とする標点設定方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の標点設定方法であって、
テープの表面に複数の標点をプリンタで印刷することを特徴とする標点設定方法。
【請求項4】
試験片の変形量を測定する際に用いられる複数の標点を、試験片の表面に設定する標点設定方法であって、
複数の標点を試験片の表面に二次元的に配置することを特徴とする標点設定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図6】
【公開番号】特開2006−78345(P2006−78345A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
物理学 | 測定;試験 | 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析 | 機械的応力の負荷による固体材料の強さの調査 | 細部 | 指示または記録手段の特殊な適用
物理学 | 測定;試験 | 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析 | 機械的応力の負荷による固体材料の強さの調査 | 定張力または定圧縮力によるもの
【出願番号】特願2004−262770(P2004−262770)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社
【Fターム(参考)】
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査方法;試験の仕方 | 引張試験
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査対象項目 | 弾性率 | 伸び弾性率(縦弾性係数)
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、形状、構造及び部分、部品 | 柱状、棒状
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象 | 荷重
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象 | 歪み
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象の検出手段 | 光学的(光電的を含む)
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定された変化量の取扱い | データの電気的処理 | 画像処理
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