説明

標的カルシニューリン関連疾患の予防及び/又は治療のためのオピオイド受容体アンタゴニスト化合物の使用

【課題】標的カルシニューリンに関連する障害の治療及び/又は予防薬剤の提供。
【解決手段】式(I)のモルヒナン誘導体、及びその薬学的に許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、標的カルシニューリンの影響を受ける障害の治療における、オピオイド受容体アンタゴニスト、及びその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【発明の背景】
【0002】
医学研究の更なる進歩により、この数十年の間に多様な適応症に有用である種々の強力な薬剤が生み出されてきた。そのような化合物の重要な一群として、薬物耽溺及びオピオイド誘発性便秘症の治療に用いられているオピオイドアンタゴニストが挙げられる。選択性かつ持続性であり、更に、望ましくない副作用の低減傾向を示す薬剤が製造される、等の大幅な改善が実現されている。しかしながら、他の分野、特に慢性障害、及び所与の集団の大半に影響を及ぼす障害では、依然として改善が求められている。この点、選択された障害に関して所望の活性プロファイルを示す新たな化合物群の開発が多大な注目を集めている。
【0003】
しかしながら、分子レベルにおける障害機序の理解の進展も、より多くの障害群の治療に関して有望と考えられ、また、所与の生物学的標的と相互に関係する生物学的標的に関する知識を大いに向上させてきた。
【0004】
この点、標的カルシニューリンは、炎症性障害、皮膚障害、神経変性障害、虚血性障害、アレルギー疾患、神経損傷、癌、腸管の障害、掻痒、心臓障害、心血管障害、脳卒中、精神的障害、耽溺及び薬物乱用、過体重及び肥満、イレウス、オピオイド鎮痛薬関連の副作用を含む、多様な障害の治療に有望な重要な標的である。
【発明の目的】
【0005】
そこで、本発明は、標的カルシニューリンとの相互作用によって上述の障害の治療を可能とする一群の化合物を提供することを目的とする。本発明は更に、炎症性障害、皮膚障害、神経変性障害、虚血性障害、アレルギー疾患、神経損傷、癌、腸管の障害、掻痒、心臓障害、心血管障害、脳卒中、精神的障害、耽溺及び薬物乱用、過体重及び肥満、イレウス、オピオイド鎮痛薬関連の副作用、等の障害の予防及び/又は治療を可能とすることを目的とする。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、請求の範囲で定義する目的のための、下記式(I)の化合物の使用を提供する。好ましい実施形態を以下で説明し、また、従属項で規定する。
【0007】
式(I):
【化1】


[式中、
は、C〜C10アルケニル;シクロアルキルがC〜Cシクロアルキルであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C10シクロアルキルアルキル;シクロアルケニルがC〜Cシクロアルケニルであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C10シクロアルケニルアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニルを表し、
は、水素;ヒドロキシ;C〜Cアルコキシ;C〜Cアルケニルオキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルオキシがC〜CアルキルオキシであるC〜C16アリールアルキルオキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルオキシがC〜CアルケニルオキシであるC〜C16アリールアルケニルオキシ;C〜Cアルカノイルオキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルカノイルオキシがC〜CアルカノイルオキシであるC〜C16アリールアルカノイルオキシを表し、
は、水素;C〜Cアルキル;C〜Cアルケニル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニル;ヒドロキシ(C〜C)アルキル;アルコキシがC〜Cアルコキシであり、アルキルがC〜Cアルキルであるアルコキシアルキル;COH;CO(C〜Cアルキル)を表し、
は、水素;ヒドロキシ;C〜Cアルコキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルオキシがC〜CアルキルオキシであるC〜C16アリールアルキルオキシ;C〜Cアルケニルオキシ;C〜Cアルカノイルオキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルカノイルオキシがC〜CアルカノイルオキシであるC〜C16アリールアルカノイルオキシ;アルキルオキシがC〜Cアルキルオキシであり、アルコキシがC〜CアルコキシであるC〜C10アルキルオキシアルコキシであり、
及びRは、各々独立に、水素;OH;C〜Cアルコキシ;C〜Cアルキル;アルキルがC〜Cアルキルであるヒドロキシアルキル;ハロ;ニトロ;シアノ;チオシアナト;トリフルオロメチル;COH;CO(C〜Cアルキル);CONH;CONH(C〜Cアルキル);CON(C〜Cアルキル);アミノ;C〜Cモノアルキルアミノ;C〜Cジアルキルアミノ;C〜Cシクロアルキルアミノ;SH;SOH;SO(C〜Cアルキル);SO(C〜Cアルキル);SONH;SONH(C〜Cアルキル);SONH(C〜C16アリールアルキル);SO(C〜Cアルキル)を表すか、或いは、R及びRは一緒になって、非置換であっても、また、ハロ、ニトロ、シアノ、チオシアナト、C〜Cアルキル、トリフルオロメチル、C〜Cアルコキシ、COH、CO(C〜Cアルキル)、アミノ、C〜Cモノアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、SH、SOH、SO(C〜Cアルキル)、SO(C〜Cアルキル)、SO(C〜Cアルキル)で置換されていてもよいフェニル環を形成し、
Xは、酸素、硫黄、CH=CH又はNRを表し、
は、H;C〜Cアルキル;C〜Cアルケニル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニル;C〜Cアルカノイルである。
但し、Rが水素、OCHOCH、OCHOC又はOC(Ph)である場合を除いて、Rがヒドロキシである場合、Rは水素であることができない。]
の化合物、及びその薬理学的に許容される塩。
【0008】
式(I)の化合物の好ましい実施形態は、以下の通りである。
【化2】


[式中、
は、C〜C10アルケニル;シクロアルキルがC〜Cシクロアルキルであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C10シクロアルキルアルキル;シクロアルケニルがC〜Cシクロアルケニルであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C10シクロアルケニルアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニルであり、
は、C〜Cアルコキシ;C〜Cアルケニルオキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルオキシがC〜CアルキルオキシであるC〜C16アリールアルキルオキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルオキシがC〜CアルケニルオキシであるC〜C16アリールアルケニルオキシであり、
は、水素;C〜Cアルキル;C〜Cアルケニル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニル;ヒドロキシ(C〜C)アルキル;アルコキシがC〜Cアルコキシであり、アルキルがC〜Cアルキルであるアルコキシアルキル;COH;CO(C〜Cアルキル)であり、
は、ヒドロキシ;C〜Cアルコキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルオキシがC〜CアルキルオキシであるC〜C16アリールアルキルオキシ;C〜Cアルケニルオキシ;アルキルオキシがC〜Cアルキルオキシであり、アルコキシがC〜CアルコキシであるC〜C10アルキルオキシアルコキシであり、
及びRは、各々独立に、水素;OH;C〜Cアルコキシ;C〜Cアルキル;アルキルがC〜Cアルキルであるヒドロキシアルキル;ハロゲン;ニトロ;シアノ;チオシアナト;トリフルオロメチル;COH;CO(C〜Cアルキル);CONH;CONH(C〜Cアルキル);CON(C〜Cアルキル);アミノ;C〜Cモノアルキルアミノ;C〜Cジアルキルアミノ;C〜Cシクロアルキルアミノ;SH;SOH;SO(C〜Cアルキル);SO(C〜Cアルキル);SONH;SONH(C〜Cアルキル);SONH(C〜C20アリールアルキル);SO(C〜Cアルキル)を表すか、或いは、R及びRは一緒になって、非置換であっても、また、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオシアナト、C〜Cアルキル、トリフルオロメチル、C〜Cアルコキシ、COH、CO(C〜Cアルキル)、アミノ、C〜Cモノアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、SH、SOH、H、SO(C〜Cアルキル)、SO(C〜Cアルキル)、SO(C〜Cアルキル)で置換されていてもよいフェニル環を形成する。]
の化合物、及びその薬理学的に許容される塩。
【0009】
アリールに関しては、本願全体を通して以下の定義が意図される。
【0010】
アリールは、非置換であっても、また、独立に、ヒドロキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、チオシアナト、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、COH、CO(C〜Cアルキル)、CONH、CONH(C〜Cアルキル)、CON(C〜Cアルキル)、CO(C〜Cアルキル)、アミノ、(C〜Cモノアルキル)アミノ、(C〜Cジアルキル)アミノ、C〜Cシクロアルキルアミノ、(C〜Cアルカノイル)アミノ、SH、SOH、SO(C〜Cアルキル)、SO(C〜Cアルキル)、SO(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキルチオ又はC〜Cアルカノイルチオで一、二又は三置換されていてもよい。
【0011】
上述のすべての置換パターンにおいて、R〜R及びXは下記のように選択される場合が好ましい。ここで、これらの好ましい態様は、独立に好ましいだけでなく、考えられるどのような組合せにおいても好ましい。すなわち、例えば、Rは、単独で下記の通りであっても、また、R及びR、R及びR、更には、考えられる全ての組合せにおいて下記の通りであっても好ましい。
【0012】
:アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルキルアルキル(すべて上記の定義と同義)。
:アルコキシ、アリールアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アリールアルケニルオキシ(すべて上記の定義と同義)。
:アルキル、アリールアルキル、アルケニル(すべて上記の定義と同義)。
:アルコキシ、アルキルオキシアルキルオキシ、アルケニルオキシ(すべて上記の定義と同義)。
及びR:独立に、水素、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、トリフルオロメチル、COH、COCH、CONH、CONHCH、CH、SH、SONH、N(CH、SOCHから選択される。
X:O、NH、NCH、N−ベンジル、N−アリル。
【0013】
好ましい実施形態において、
は、アリル、シンナミル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチルから選択され、
は、メトキシ;エトキシ;n−プロピルオキシ;ベンジルオキシ;芳香環において、F、Cl、NO、CN、CF、CH又はOCHで置換されたベンジルオキシ;アリルオキシ;シンナミルオキシ;3−フェニルプロピルオキシから選択され、
は、水素、メチル、エチル、ベンジル、アリルから選択され、
は、ヒドロキシ、メトキシ、メトキシメトキシ、アセチルオキシから選択され、
及びRは、各々独立に、水素、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、トリフルオロメチル、COH、COCH、CONH、CONHCH、CH、SH、SONH、N(CH、SOCHから選択され、
Xは、O、NH、NCH、N−ベンジル、N−アリルから選択される。
【0014】
特に好ましい実施形態において、
は、アリル又はシクロプロピルメチルであり、
は、メトキシ;エトキシ;n−プロピルオキシ;芳香環において塩素で置換されたベンジルオキシから選択され、
は、水素又はCHであり、
は、ヒドロキシであり、
及びRは、各々独立に、水素、COH、CONH、SONH、SOCHから選択され、
Xは、O又はNHである。
【0015】
現在知られている最良の形態は、実施例1、6、8、18、24、41及び42の化合物の使用である。
【0016】
本発明による新規な化合物は、標的カルシニューリンに関連する障害の治療及び/又は予防薬剤として有用である。本明細書で定義される化合物は、炎症性障害、皮膚障害、特に神経皮膚炎及び乾癬、神経変性障害、虚血性障害、アレルギー疾患、神経損傷、癌、腸管の障害、掻痒、心臓障害、心血管障害、脳卒中、精神的障害、耽溺及び薬物乱用、過体重及び肥満、イレウス、オピオイド鎮痛薬による治療に伴う副作用、等の障害の治療及び/又は予防薬剤の製造に特に適している。
【0017】
薬剤学的及び薬理学的に許容される式(I)の化合物の塩も本発明に含まれる。適切な塩は、HCl塩、HBr塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機塩である。塩はこれらに限定されるものではないが、メタンスルホン酸塩、サリチル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、アスパラギン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、オロチン酸塩等の有機酸塩も本発明に従って用いることができる。
【0018】
本発明は、δ−オピオイド受容体アンタゴニストとして知られる化合物の治療的使用の新たな可能性に関する。δ−オピオイド受容体アンタゴニストの治療的使用の新たな可能性の一部は、標的δ−オピオイド受容体とは別の第2の標的、すなわちカルシニューリンの驚くべき同定に基づくものである。カルシニューリンの阻害は、本明細書に開示のδ−オピオイド受容体アンタゴニストのいくつかを用いて証明された。本発明は、下記群の適応症の予防及び/又は治療のための、本明細書に開示のδ−オピオイド受容体アンタゴニスト、及びその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0019】
1.オピオイド使用の副作用:
掻痒、イレウス、嘔吐、悪心、鎮静、めまい、せん妄、耽溺、便秘、呼吸抑制
【0020】
2.耽溺:
オピオイド耽溺、アルコール耽溺、コカイン耽溺、薬物耽溺、薬物乱用
【0021】
3.炎症性障害:
過敏性大腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎等の消化管疾患;気管支喘息、ブドウ膜炎等の上皮疾患;眼瞼炎;炎症性筋疾患;酒さ;紅斑;苔癬;炎症性障害;アトピー性皮膚炎;神経皮膚炎;アレルギー性接触皮膚炎;乾癬;脳卒中、心筋梗塞等の虚血性障害;掻痒;多発性硬化症;静脈炎;腹水;緑内障;強皮症;全身性硬化症
【0022】
4.トリプトファンの代謝及び/又はレベルに関連する障害:
過食症、摂食障害、抑うつ、恐怖症、パニック障害、脱力発作、幻覚、睡眠障害、ナルコレプシー、統合失調症、不機嫌、大食、過食欲、過食症、アルツハイマー病、神経変性障害、ハンチントン病、パーキンソン病、中枢神経系の障害、ライムボレリア症、ツレット症候群、全身性硬化症、強皮症、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、大腸癌、不安障害、片頭痛、痛覚増強、睡眠障害、ナルコレプシー
【0023】
5.精神的障害:
多発性硬化症、気分変動、せん妄、不眠、耳鳴、不機嫌、抑うつ、統合失調症、過体重、大食、過食欲、過食症、鎮静、めまい、せん妄、耽溺、ツレット症候群、不安障害、痛覚増強、幻覚、睡眠障害、ナルコレプシー
【0024】
6.免疫障害:
脱毛症、糖尿病、神経皮膚炎、アトピー性皮膚炎、苔癬、白斑、自己免疫疾患、アレルギー性接触皮膚炎、乾癬、アレルギー性障害、悪性貧血、リンパ腫性甲状腺腫(橋本病)、糖尿病、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、多発性硬化症、肝炎、潰瘍性大腸炎、緑内障、免疫系細胞の活性の調節
【0025】
7.腸管の障害:
過敏性大腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、イレウス、術後イレウス、分娩後イレウス、大腸癌
【0026】
8.心血管障害:
心筋梗塞、心臓障害、静脈炎、脳卒中、心肥大、浮腫、腹水
【0027】
9.病原体感染:
眼瞼炎、酒さ、ライムボレリア症、壊疽性膿皮症、感染、ウイルス感染、細菌感染、原虫感染、後生動物感染
【0028】
10.古典的カルシニューリン阻害剤の副作用を最小限にすること:
糖尿病、腎障害、肝障害、多毛症、振戦、疲労、倦怠、頭痛、肥大性歯肉炎、摂食障害、悪心、嘔吐、下痢、胃炎、知覚異常、便秘、めまい、消化不良、耳鳴、高血圧、心肥大、高血糖、浮腫、乏尿、血小板減少、リンパ腫、癌、気分変動、抑うつ、せん妄、不眠、貧血、疼痛、背痛(backpain)、背痛(backache)、筋痙攣、腹水
【0029】
11.皮膚障害:
神経皮膚炎、アトピー性皮膚炎、眼瞼炎、壊疽性膿皮症、酒さ、苔癬、紅斑、脱毛症、魚鱗癬、白斑、強皮症、皮膚筋炎、アレルギー性接触皮膚炎、掻痒、乾癬、知覚異常、全身性硬化症、強皮症、脂漏性皮膚炎
【0030】
12.神経障害:
神経変性障害、中枢神経系の障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、神経損傷、耳鳴、筋痙攣、ツレット症候群、片頭痛、痛覚増強、脱力発作、睡眠障害、ナルコレプシー
【0031】
13.摂食障害:
過食症、摂食障害、肥満、過体重、大食、過食欲
【0032】
14.悪性障害:
悪性細胞、癌、大腸癌、悪性腫瘍、リンパ腫
【0033】
特定の理論に拘束されることなく、上述の適応症群は、本願に後述する特定の活性、及びそれに関連する生化学的経路を考慮して開示され、請求の範囲に記載される化合物で治療することができると考えられる。1群及び10群に関しては、本明細書に開示の化合物及び関連活性は、本発明で用いる化合物が示す活性を考慮して、用いるオピオイド又は他のカルシニューリン阻害剤の量を低減することを可能とするので、所望の効果が得られることは明らかである。これに関連して、1群に関しては、本発明はオピオイド鎮痛薬の所望の鎮痛活性を犠牲にすることなく、副作用の予防、治療又は抑制を可能とすることを強調しなければならない。
【0034】
特に重要なのは、請求の範囲に記載される障害である。本発明の教示に従って治療することのできる更なる重要な障害として、次のものが挙げられる。
高血圧、アルツハイマー病、パーキンソン病、アレルギー性疾患、癌、心臓障害、耳鳴、頭痛、糖尿病、疼痛、胃炎、肥満、心肥大
【0035】
それ以外にも、次のものが挙げられる。
皮膚障害、脂漏性皮膚炎、壊疽性膿皮症、苔癬、脱毛症、魚鱗癬、白斑、アレルギー性接触皮膚炎、掻痒、神経変性障害、中枢神経系の障害、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、神経損傷、悪性腫瘍、腸管の障害、心血管障害、静脈炎、腎障害、肝障害、多毛症、振戦、疲労、倦怠、肥大性歯肉炎、知覚異常、便秘、消化不良、高血糖、浮腫、乏尿、高カリウム血症、血小板減少、リンパ腫、気分変動、せん妄、貧血、筋痙攣、腹水、背痛(backpain)、背痛(backache)、緑内障、精神的障害、不機嫌、抑うつ、統合失調症、耽溺、オピオイド耽溺、コカイン耽溺、アルコール耽溺、薬物耽溺、薬物乱用、過体重、大食、過食欲、イレウス、術後イレウス、分娩後イレウス、ライムボレリア症、ツレット症候群、全身性エリテマトーデス、進行大腸癌、不安障害、片頭痛、痛覚増強、恐怖症、摂食障害、過食症、脱力発作、幻覚、睡眠障害、ナルコレプシー、悪性貧血、リンパ腫性甲状腺腫(橋本病)、皮膚筋炎、感染、ウイルス感染、細菌感染、原虫感染、後生動物感染、免疫系細胞の活性の調節。
【0036】
好ましくは、本発明は、炎症性疾患(例えば、過敏性大腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病等の炎症性消化管疾患;炎症性筋疾患;気管支喘息等の炎症性上皮疾患;ブドウ膜炎)、皮膚疾患(例えば、神経皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、眼瞼炎、壊疽性膿皮症、酒さ、乾癬、苔癬、紅斑、脱毛症、魚鱗癬、白斑、アレルギー性接触皮膚炎、掻痒)、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症)、CNS障害(例えば、外傷性脳損傷、脳卒中、脊髄損傷)、神経損傷、癌、腸管の障害、心臓障害、心血管障害、虚血性障害、アレルギー性疾患の治療及び/又は予防のための、本願に開示のオピオイド受容体アンタゴニスト、及びその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0037】
この点、後述の実験結果は、本明細書で定義する化合物の更なる活性を示すものである。試験結果によれば、インターロイキン−2産生の阻害は、本発明の化合物によって達成することができ、そのような阻害を必要とする障害の治療及び/又は予防を可能とする。
【0038】
驚くべきことに、本明細書で定義される化合物の抗増殖活性が検出されたため、それらの化合物の更なる用途として、悪性腫瘍の治療が考えられる。この活性は更に、極めて優れた選択性を示す。すなわち、抗増殖活性は、癌細胞に対しては示されるが、正常細胞に対しては示されない。機序としては、アポトーシスの発生が想定される。
【0039】
本明細書で定義される化合物は、術後イレウス、分娩後イレウスの治療及び/又は予防のために用いることもできる。更に、それらの化合物は、耽溺、例えば、オピオイド耽溺、コカイン耽溺、アルコール耽溺の治療、並びに肥満又は精神的障害の治療、例えば不機嫌、抑うつ、統合失調症等の治療に用いることができる。更に、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン等のオピオイド鎮痛薬の副作用(例えば、嘔吐、悪心、鎮静、めまい、せん妄、耽溺、便秘、呼吸抑制)を、それらの薬剤の鎮痛活性を犠牲にすることなく、予防、治療又は抑制することができる。
【0040】
式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、経口、静脈内、動脈内、筋肉内、くも膜下、腰椎内、腹腔内、鼻腔内、皮内、皮下、皮膚上、局所、経皮、経腸、経肺、経結膜、口腔内、経舌、又は舌下投与により、液剤、カプセル剤、錠剤、スプレー、坐剤、軟膏剤、クリーム、ペースト、硬膏剤、パッチ等の医薬製剤として投与することができる。
【0041】
本発明に従って用いられる化合物の適合性を、以下の試験法を用いて評価した。
【0042】
(方法)
カルシニューリン阻害アッセイ:
カルシニューリン阻害アッセイを、文献(R.Baumgrass等、J.Biol.Chem.276、47914、2001)に記載の手順に従って行った。
【0043】
カルシニューリンの阻害を、最適Ca2+及びカルモジュリン濃度において、試験化合物1〜50μMの濃度範囲で測定した。カルシニューリン/化合物の混合物を、22℃で30分間、アッセイバッファー(40mM Tris−HCl、pH7.5、100mM NaCl、6mM MgCl、0.5mM ジチオトレイトール、1mM CaCl、0.1mg/ml ウシ血清アルブミン)で平衡化した。カルシニューリンの活性は、試験化合物を含まないアッセイを基準として表した。データはSigmaPlotプログラムを用いて算出した。
【0044】
(結果)
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
カルシニューリンを阻害するために仲介(matchmaker)タンパク質との前結合を要するシクロスポリン及びFK506(タクロリムス)とは異なり、δ−オピオイド受容体アンタゴニストは、カルシニューリンのホスファターゼ活性の直接阻害を生じる。
【0047】
δ−オピオイド受容体アンタゴニストのカルシニューリン阻害作用を確認するために、更なる検討を行った。カルシニューリンの阻害は、インターロイキン−2の発現の阻害をもたらすことが知られている。
【0048】
(方法)
コンカナバリンA刺激リンパ球におけるインターロイキン−2産生の測定:
免疫後10日目に、コラーゲン注入Dark−Agoutiラットのリンパ節を用いて、文献(Kleinau等、Journal of Autoimmunity 4、871、1991)に記載の手順に従って、個別の単離細胞懸濁液を調製した。
【0049】
5μg/mlのConA(コンカナバリンA)を用いて、δ−オピオイド受容体アンタゴニスト又はシクロスポリンAの濃度を増加させ(0.01〜10μM)、細胞をインキュベートした。試験化合物の添加から48時間後、細胞を採取し、上清を回収して、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)によるインターロイキン−2の定量に用いた。405nmの吸光度を測定した。データは、GraphPadプログラムで算出した。結果は、試験化合物不存在下のコントロールに対する阻害パーセントで表す。
【0050】
(結果)
ConA刺激リンパ球の上清におけるインターロイキン−2産生に対するδ−オピオイド受容体アンタゴニストの影響:
【0051】
MLR(混合リンパ球反応)におけるインターロイキン−2産生の測定:
MLRにおけるインターロイキン−2産生の測定を、文献(Gaveriaux−Ruff等、J.Pharmacol.Exper.Ther.298、1193、2001)に記載の手順に従って行った。
【0052】
マウスの脾細胞を、同種刺激物質を用いて培養した(マイトマイシン処理BALB/c脾臓細胞)。混合リンパ球反応を、δ−オピオイド受容体アンタゴニスト及びシクロスポリンAの不存在下又は存在下で行った。培養48時間後、ELISAを用いて、細胞上清においてインターロイキン−2を測定した。
【0053】
(結果)
【表3】

【0054】
シクロスポリンAは、インターロイキン−2産生を抑制した。δ−オピオイド受容体アンタゴニストもインターロイキン−2産生を阻害することが見出され、そのような化合物がインターロイキン−2依存性機序によってリンパ球増殖を抑制し、従ってカルシニューリン経路を対象とすることを示唆している。
【0055】
HS378は、実施例1で得られる化合物1である。
HS573は、17−(シクロブチルメチル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−14β−エトキシ−5β−メチルインドロ[2’,3’:6,7]モルヒナン−3−オール塩酸塩である。
HS879は、14β−(ベンジルオキシ)−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシインドロ[2’,3’:6,7]モルヒナン−3−オールである。
HS881は、14β−[(4−クロロベンジル)オキシ]−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシインドロ[2’,3’:6,7]モルヒナン−3−オール塩酸塩である。
HS882は、17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−14β−[(2−フェニルベンジル)オキシ]インドロ[2’,3’:6,7]モルヒナン−3−オール塩酸塩である。
HS884は、14β−[(4−tert−ブチルベンジル)オキシ]−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシインドロ[2’,3’:6,7]モルヒナン−3−オール塩酸塩である。
HS894は、17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−14β−[(3−フェニルプロピル)オキシ]インドロ[2’,3’:6,7]モルヒナン−3−オールである。
【0056】
(合成)
式(I)で表される化合物は、以下の方法で得ることができる。
【0057】
下式:
【化3】


のテバインを、低温(−20〜−80℃)で、n−ブチルリチウム、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド等の強塩基を用いて、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の溶媒中、ジアルキルスルフェート、フルオロスルホン酸アルキルエステル、アルキルスルホン酸アルキルエステル、アリールスルホン酸アルキルエステル、アルキルハライド、アラルキルハライド、アルキルスルホン酸アラルキルエステル、アリールスルホン酸アラルキル、アリールアルケニルハライド、クロロホルメートで処理して(s.Boden等、J.Org.Chem.Vol.47:1347〜1349、1982;Schmidhammer等、Helv.Chim.Acta、Vol.71:642〜647、1988)、式(II):
【0058】
【化4】


[式中、Rは、C〜Cアルキル;C〜Cアルケニル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アラルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニル;アルコキシがC〜Cアルコキシであり、アルキルがC〜Cアルキルであるアルコキシアルキル、CO(C〜Cアルキル)を表す。]
の化合物を得る。この置換テバイン誘導体(式(II))又はテバインを、0〜60℃の温度で、過ギ酸(s.Schmidhammer等、Helv.Chim.Acta、Vol.71:1801〜1804、1988)又はm−クロロ過安息香酸との反応によって、式(III):
【0059】
【化5】


[式中、Rは、上記の定義と同義であるか、水素である。]
の、対応する14−ヒドロキシコデイノンに変換する。0〜10℃における過ギ酸との反応(H.Schmidhammer等、Helv.Chim.Acta、Vol.71:1801〜1804、1988)を用いるのが好ましい。この14−ヒドロキシコデイノンを、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド等の強塩基を用いて、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の溶媒中、ジアルキルスルフェート、アルキルハライド、アルケニルハライド、アラルキルハライド、アリールアルケニルハライド、クロロホルメートで処理して、式(IV):
【0060】
【化6】


[式中、
は、C〜Cアルキル;C〜Cアルケニル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニル;C〜Cアルカノイル;アリールがC〜C14アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C20アリールアルカノイル;アリールがC〜C14アリールであり、アルキルがC〜CアルケノイルであるC〜C20アリールアルケノイルを表し、
は、水素;C〜Cアルキル;C〜Cアルケニル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニル;アルコキシがC〜Cアルコキシであり、アルキルがC〜Cアルキルであるアルコキシアルキル;CO(C〜Cアルキル)を表す。]
の化合物を得、次いで、それを、パラジウム活性炭等の触媒、及びメタノール、エタノール、氷酢酸等の溶媒を用いて、接触水素化によって還元し、式(V):
【0061】
【化7】


[式中、
は、C〜Cアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;C〜Cアルカノイル;アリールがC〜C10アリールであり、アルカノイルがC〜CアルカノイルであるC〜C16アリールアルカノイルを表し、
は、水素;C〜Cアルキル;C〜Cアルケニル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニル;アルコキシがC〜Cアルキルであるアルコキシアルキル;CO(C〜Cアルキル)を表す。]
の化合物を得る。
【0062】
その後、クロロホルメート又は臭化シアンを用いて、N−脱メチル化を行い、式(VI):
【化8】


[式中、
及びRは、式(IV)における上記の定義と同義であり、
は、COCHClCH、COCH=CH、COCHCCl、COCHCH、COPh、CN等である。]
の中間体を得ることができる。
【0063】
式(VI)の中間体カルバメートは、アルコール中で還流することによって(1−クロロエチルカルバメートの場合)、或いはハロゲン化水素又はハロゲンを添加した後、アルコール中で還流することによって(ビニルカルバメートの場合)、或いは氷酢酸又はメタノール中で亜鉛を用いる還元開裂によって(2,2,2−トリクロロエチルカルバメートの場合)、開裂することができる。他のカルバメートは、酸、アルカリ又はヒドラジンの水溶液を用いて開裂してもよい。式(VI)の中間体シアナミドは、酸加水分解によって開裂することができる。式(VII):
【0064】
【化9】


[式中、R及びRは、式(V)における上記の定義と同義である。]
の、対応するN−nor誘導体のアルキル化を、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等の塩基の存在下、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中、アルケニルハライド、シクロアルキルアルキルハライド、シクロアルケニルアルキルハライド、アラルキルハライド、アリールアルケニルハライドを用いて行って、式(VIII):
【0065】
【化10】


[式中、
及びRは、式(V)における上記の定義と同義であり、
は、C〜Cアルケニル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニル;シクロアルキルがC〜Cシクロアルキルであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C10シクロアルキルアルキル;シクロアルケニルがC〜Cシクロアルケニルであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C10シクロアルキルアルケニルを表す。]
の誘導体を得ることができる。
【0066】
エーテル開裂は、三臭化ホウ素(約0℃の、ジクロロメタン、クロロホルム等の溶媒中)、48%臭化水素酸(還流)、又は周知の他のエーテル開裂試薬を用いて行うことができる。得られる式(IX):
【化11】


[式中、R、R及びRは、上記の定義と同義である。]
のフェノールを、アルキルハライド、アルキルスルフェート、スルホン酸エステル、アラルキルハライド、アリールアルケニルハライドを用いてアルキル化するか、或いは炭酸クロライド又は炭酸エステルを用いてアシル化して、式(X):
【0067】
【化12】


[式中、
、R及びRは、上記の定義と同義であり、
は、水素;C〜Cアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;C〜Cアルケニル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニル;C〜Cアルカノイル;アリールがC〜C10アリールであり、アルカノイルがC〜CアルカノイルであるC〜C16アリールアルカノイル;アルキルオキシがC〜Cアルキルオキシであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C10アルキルオキシアルキルを表す。]
の化合物を得る。
【0068】
がヒドロキシである式(I)の化合物は、Rが上記の定義と同義である式(III)の化合物から得ることができる。これらの化合物を、パラジウム活性炭等の触媒、及びメタノール、エタノール、氷酢酸等の溶媒を用いて、接触水素化により還元して、Rが水素であり、Rが式(II)におけるRに関する定義と同義である式(V)の化合物を得ることができる。
【0069】
14位の置換基がヒドロキシであり、他の置換基が上記の定義と同義である式(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)及び(X)の化合物を生じる以下の反応順序及び手順は、上述の反応順序及び手順に類似している。Rがヒドロキシである式(I)の化合物への更なる変換について説明する。
【0070】
が水素である式(I)の化合物は、Rが上記の定義と同義であるか、又は水素である式(II)の化合物から得ることができる。接触水素化、それに続く酸加水分解(s.Boden等、J.Org.Chem.Vol.47:1347〜1349、1982)によって、式(XI):
【化13】


[式中、Rは、式(II)における定義と同義であるか、又は水素である。]
の化合物が提供される。
【0071】
式(XI)及び(XIa)の化合物(Mannich及びLowenheim、Arch.Pharm.Vol.258:295、1920)は、上述したのと同様に、14位の置換基が水素であり、R及びRが上記の定義と同義である式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)及び(X)の化合物に変換することができる。Rが水素である式(I)の化合物への更なる変換について説明する。
【0072】
が水素である式(I)の化合物を、5−クロロ−1−フェニル−H−テトラゾールを用いるアルキル化によって、式(IX)の化合物から合成して、式(XII):
【化14】


[式中、R、R及びRは、上記の定義と同義であり、Rは、CHであってもよく、Tは、フェニルテトラゾリルである。]
の、対応するフェニルテトラゾリルエーテルを得ることができる。
【0073】
接触水素化(H.Schmidhammer等、J.Med.Chem.Vol.27:1575〜1579、1984)によって、式(XIII):
【化15】


[式中、R、R及びRは、上記の定義と同義であり、Rは、CHであってもよい。]
の化合物を得ることができる。
【0074】
がCHである場合、上述のように、N−メチル基を除去し、窒素をアルキル化しなければならない。
【0075】
或いは、Rがアリル又はシクロプロピルメチルであり、RがHである式(I)の化合物は、ナロキソン(XIVa)又はナルトレキソン(XIVa)から開始して、より短い経路で得ることができる。
【化16】

【0076】
式(XIV)の化合物の3−ヒドロキシ基を、塩基の存在下、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン等の溶媒中、臭化ベンジル、臭化メトキシメチル、臭化エトキシメチル又は塩化トリチル(塩化トリフェニルメチル)でアルキル化することによって保護して、式(XV):
【化17】


[式中、Rは、アリル又はシクロプロピルメチルであり、Yは、CHPh、CHOCH、CHOC又はC(Ph)である。]
の化合物を得る。
【0077】
これらの化合物を、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド等の強塩基を用いて、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の溶媒中、ジアルキルスルフェート、アルキルハライド、アルケニルハライド、アリールアルキルハライド又はアリールアルケニルハライドで、アルキル化、アルケニル化、シクロアルキルアルキル化、アリールアルキル化、又はアリールアルケニル化する。得られる式(XVI):
【化18】


[式中、
は、アリル又はシクロプロピルメチルであり、
は、C〜Cアルキル;C〜Cアルケニル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルコキシであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニルを表し、
Yは、上記の定義と同義である。]
の6−0,14−0−ジアルキル化化合物を塩酸、硫酸等の希釈酸で加水分解して、式(XVII):
【0078】
【化19】


[式中、Rは、アリル又はシクロプロピルメチルであり、Rは、上記(式(XVI))の定義と同義である。]
の化合物を得ることができる。
【0079】
がアルケニル又はアリールアルケニルである場合、二重結合を接触水素化によって還元して、対応する飽和誘導体を得ることができる。式(I)の化合物への更なる変換について説明する。
【0080】
がアリル又はシクロプロピルメチルであり、RがHである式(I)の化合物は、以下の経路によっても合成することができる。それぞれ、ナロキソン(XVa)又はナルトレキソン(XVb)の6位のカルボニル基を、20〜200℃の温度で、酸(例えば、メタンスルホン酸)の存在下、エチレングリコールと反応させて保護して、式(XVIII):
【化20】


[式中、Rは、アリル又はシクロプロピルメチルである。]
のケタールを得る。
【0081】
ケタールの3−ヒドロキシ基を、塩基の存在下、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン等の溶媒中、臭化ベンジル、臭化メトキシメチル、臭化エトキシメチル又は塩化トリチルでアルキル化することによって保護して、式(XIX):
【化21】


[式中、Rは、アリル又はシクロプロピルメチルであり、Yは、上記の定義と同義である。]
の化合物を得る。
【0082】
これらの化合物を、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド等の強塩基を用いて、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の溶媒中、ジアルキルスルフェート、アルキルハライド、アルケニルハライド、アリールアルキルハライド又はアリールアルケニルハライドで、アルキル化、アルケニル化、アリールアルキル化、又はアリールアルケニル化する。得られる式(XX):
【化22】


[式中、Rは、アリル又はシクロプロピルメチルであり、Rは、上記(式(XVI))の定義と同義であり、Yは、上記の定義と同義である。]
の化合物を塩酸、硫酸等の希釈酸で加水分解して(加水分解用混合物として典型的なのは、濃HCl:MeOH:HO 3/6/1 v/v/vである)、式(XVII)の化合物を得ることができる。Rがアリル又はシクロプロピルエチルであり、RがHであり、XがNH又はOである式(I)の化合物は、以下のように、式(XVII)の化合物から合成することができる。
【0083】
が上記の定義と同義であり、XがNHである式(I)の化合物は、メタンスルホン酸、HCl又はHBrの存在下、メタノール、エタノール、氷酢酸等の溶媒中、式(VIII)、(X)又は(XIII)の化合物を、フェニルヒドラジン又は置換フェニルヒドラジンと反応させることによって得られる。芳香環において、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、チオシアナト、トリフルオロメチル、COH、CO(C〜C)アルキル、CONH、CONH(C〜Cアルキル)、CON(C〜Cアルキル)、SONH、SO(C〜C)アルキル等で置換されたフェニルヒドラジンを用いることができる。この反応は、20〜160℃、好ましくは20〜80℃の温度で行う。
【0084】
が上記の定義と同義であり、XがOである式(I)の化合物は、メタンスルホン酸、HCl又はHBrの存在下、メタノール、エタノール、氷酢酸等の溶媒中、式(VIII)、(IX)、(X)又は(XIII)の化合物を、O−フェニルヒドロキシルアミン又は置換(芳香環で置換された)O−フェニルヒドロキシルアミンと反応させることによって得られる。芳香環において、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、チオシアナト、トリフルオロメチル、COH、CO(C〜C)アルキル、CONH、CONH(C〜Cアルキル)、CON(C〜Cアルキル)、SONH、SO(C〜C)アルキル等で置換されたO−フェニルヒドロキシルアミンを用いることができる。
【0085】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0086】
(実施例1)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−エトキシ−3−ヒドロキシ−5−メチル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン塩酸塩(化合物1)の合成:
14−O−エチル−5−メチルナルトレキソン(H.Schmidhammer等、Helv.Chim.Acta、Vol.76:476〜480、1993)(580mg、1.51mmol)、フェニルヒドラジン塩酸塩(394mg、2.72mmol)及び氷酢酸(7ml)の混合物を23時間還流した。冷却後、反応混合物を氷上に注ぎ、濃NHOHでアルカリ化し、CHCl(3×30ml)で抽出した。有機層を合わせて、HO(3×80ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(615mgの褐色泡状物質)を少量のMeOHに溶解し、EtO/HClを添加した。このようにして、550mg(95%)の化合物1を単離した。分析用に少量をMeOHから再結晶させた。融点>260℃(dec.)。IR(KBr):3200(NH,NH,OH)cm−1。CI−MS:m/z 457(M +1)。H−NMR((d)DMSO):δ11.34,9.21.及び8.55(3 s,NH,NH,OH)、7.32(m,2 芳香族H)、7.08(t,J=8.1Hz,1 芳香族H)、6.94(t,J=8.1Hz,1 芳香族H)、6.62(d,J=8.1Hz,1 芳香族H);6.55(d.J=8.1Hz,1 芳香族H)、1.86(s,CH−C(5))、1.01(t,J=6.8Hz,3H,CHCHO)。元素分析C2932.HCl.HO(511.06)の計算値:C 68.16,H 6.90,N 5.48,Cl 6.94;実測値:C 67.87,H 6.88,N 5.30,Cl 7.28。
【0087】
(実施例2)
17−アリル−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−エトキシ−3−ヒドロキシ−5−メチル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン塩酸塩(化合物2)の合成:
14−O−エチル−5−メチルナロキソン(H.Schmidhammer等、Helv.Chim.Acta、Vol.76:476〜480、1993)(1.2g、2.66mmol)、フェニルヒドラジン塩酸塩(577mg、3.99mmol)及び氷酢酸(15ml)の混合物を24時間還流した。冷却後、反応混合物を氷上に注ぎ、濃NHOHでアルカリ化し、CHCl(3×80ml、1×30ml)で抽出した。有機層を合わせて、HO(3×80ml、1×30ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(1.3gの黄褐色泡状物質)をカラムクロマトグラフィーで精製した(アルミナ 塩基性 グレードIV、CHClで溶出)。相当する画分を合わせ、蒸発させて、無色の油を得、これを通常の方法で塩酸塩に変換し、MeOH/ジエチルエーテルから晶出させて、200mg(17%)の標題化合物2を得た。融点168〜170℃。IR(KBr):3200(NH,OH)cm−1。CI−MS:M/z 443(M+1)。H−NMR(CDOD):δ7.39(dd,J=7.8,7.8HZ,2 芳香族H)、7.14(t,J=7.8hz,1 芳香族H)、7.01(t=7.8HZ,1 芳香族H)、6.67(s,2 芳香族H)、6.02(m,1 オレフィンH)、5.72(m,2 オレフィンH)、1.99(s,CH−C(5))、1.09(t,J=6.8Hz,CH)。元素分析C2830.HCl.1.5 HO(506.05)の計算値:C 66.46,H 6.77 N 5.54,Cl 7.01;実測値:C 66.55,6.68,N 5.39,Cl 6.98。
【0088】
(実施例3)
6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−エトキシ−3−ヒドロキシ−5−メチル−17−(2−フェニル)エチル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン塩酸塩(化合物5)の合成:
4,5α−エポキシ−14−エトキシ−3−メトキシ−5−メチルモルヒナン−6−オン塩酸塩(H.Schmidhammer等、Helv.Chim.Acta、Vol.76:476〜480、1993)(3.0g、7.88mmol)、炭酸カリウム(3.9g、28.2mmol)、臭化2−フェニルエチル(1.41ml、10.4mmol)及び無水N,N−ジメチルホルムアミド(20ml)の混合物を、80℃(浴温)で2時間攪拌した。冷却し、HO130mlを添加した後、混合物をジエチルエーテル(3×60ml)で抽出した。有機層を合わせて、HO(3×70ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(3.6の黄色油)をMeOHから晶出させて、2.1g(70%)の4,5α−エポキシ−14−エトキシ−3−メトキシ−5−メチル−17−(2−フェニル)エチルモルヒナン−6−オン(化合物3)を得た。融点86〜89℃。IR(KBr):1725(CO)cm−1。CI−MS:m/z 448(M+1)。H−NMR(CDCl):δ7.21(m,5 芳香族H)、6.64(d,J=8.2Hz,1 芳香族H,6.54(d,J=8.2Hz,1 芳香族H.)、3.85(s,OCH)、1.60(s,CH−C(5))、1.12(t,J=6.8Hz,CH)。元素分析C2833NO(447.55)の計算値:C 75.14,H 7.43,N 3.13;実測値:C 75.04,H 7.69,N 3.26。
【0089】
化合物3(1.5g、3.35mmol)の48%HBr5ml溶液を30分間還流し、その後、蒸発させた。残留物をMeOHに溶解し、再び蒸発させて(この手順を2回繰り返した)、灰色の結晶残留物(1.7g)を得、これを熱メタノールで処理して、950mg(63%)の化合物4を得た。融点>270℃。IR(KBr):1720(CO)cm−1。CI−MS:m/z 434(M+1)。H−NMR(DMSO−d):δ9.38及び8.48(2 s,NH,OH)、7.33(m,5 芳香族H)、6.68(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.64(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、1.51(s,CH−C(5))、1.34(t,J=6.8Hz,CH)。元素分析C2731NO.HBr(514.45)の計算値:C 63.04,H 6.27,N 2.72,Br 15.53;実測値:C 63.15,H 6.48,N 2.61,Br 15.37。
【0090】
化合物4(700mg、1.61mmol)、フェニルヒドラジン塩酸塩(513mg、3.54mmol)及び氷酢酸(15ml)の混合物を6時間還流した。反応混合物を氷上に注ぎ、濃NHOHでアルカリ化し、CHCl(3×80ml、1×30ml)で抽出した。有機層を合わせて、HO(3×80ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(600mgの薄い褐色の泡状物質)を通常の方法で塩酸塩に変換し、MeOH/ジエチルエーテルから晶出させて、薄いピンク色の結晶として、360mg(51%)の標題化合物5を得た。融点>225℃。IR(KBr):3400及び3200(NH,NH,OH)。CI−MS:m/z 507(M+1)。H−NMR(DMSO−d):δ11.34,9.19及び8.97(NH,NH,OH)、7.34(m,7 芳香族H)、7.08(t,J=7.9Hz,1 芳香族)、6.94(t,J=7.9Hz,1 芳香族H)、6.62(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)、6.57(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)、1.87(s,CH3−C(5))、0.96(t,J=6.9Hz,CH)。元素分析C3334.HCl.2 HO(579.14)の計算値:C 68.44,H 6.79,N 4.84,Cl 6.12;実測値:C 68.81,H 6.55,N 4.72,Cl 6.40。
【0091】
(実施例4)
17−アリル−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−メトキシ−5−メチル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン塩酸塩(化合物6)の合成:
14−O−メチル−5−メチルナロキソン(H.Schmidhammer等、Helv.Chim.Acta、Vol.77:1585〜1589、1994)(1.0g、2.8mmol)、フェニルヒドラジン塩酸塩(728mg、5.04mmol)及び氷酢酸(15ml)の混合物を24時間還流した。冷却後、反応混合物を氷上に注ぎ、濃NHOHでアルカリ化し、CHCl(3×80ml、1×30ml)で抽出した。有機層を合わせて、HO(3×80ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(1.1gの褐色泡状物質)を通常の方法で塩酸塩に変換し、アセトンから晶出させて、薄い褐色の結晶として、190mg(19%)の標題化合物6を得た。融点>280℃。IR(KBr):3200(NH,NH,OH)、H−NMR:δ7.32(dd,J=7.9,7.9Hz,2 芳香族H)、7.06(t,J=7.9Hz,1 芳香族H)、6.93(t,=7.9Hz,1 芳香族H)、6.63(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.55(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.02(m,1 オレフィンH)、5.63(m,1 オレフィンH)、3.15(s,OCH)、2.07(s,CH−C(5))。元素分析C2728.HCl.1.7 HO.0.9 MeOH(524.44)の計算値:C64.41,H 7.09,N 5.22;実測値:C 64.44,H 6.87,N 4.94。
【0092】
(実施例5)
6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−メトキシ−5−メチル−17−(2−フェニル)エチル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン塩酸塩(化合物9)の合成:
4,5α−エポキシ−3,14−ジメトキシ−5−メチルモルヒナン−6−オン塩酸塩(H.Schmidhammer等、Helv.Chim.Acta、Vol.77:1585〜1589、1994)(2.24g、6.12mmol)、炭酸カリウム(3.0g、21.9mmol)、臭化2−フェニルエチル(1.05ml、7.74mmol)及び無水N,N−ジメチルホルムアミド(15ml)の混合物を、80℃(浴温)で2時間攪拌した。冷却し、HO110mlを添加した後、混合物をジエチルエーテル(3×60ml)で抽出した。有機層を合わせて、HO(3×70ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(2.9の黄色油)を通常の方法で臭化水素酸塩に変換し、MeOHから晶出させて、無色の結晶として、1.4g(63%)の4,5α−エポキシ−3,14−ジメトキシ−5−メチル−17−(2−フェニル)エチルモルヒナン−6−オン臭化水素酸塩(化合物7)を得た。この物質の少量を分析用にMeOHから再結晶させた。融点94〜96℃。IR(KBr):3400(NH)、1720(CO)cm−1。CI−MS:m/z 434(M+1)。H−NMR(DMSO−d)δ10.15(s,NH)、7.30(m,5 芳香族H)、6.74(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.68(d,J=8.2Hz,1 芳香族)、3.87(s,OCH−C(3))、3.58(s,OCH−C(14))、1.60(s,CH−C(5))。元素分析C2731NO.HBr(514.44)の計算値:C 63.04,H 6.27,N 2.72;実測値:C 63.18,H 6.60,N 2.39。
【0093】
化合物7(1.4g、3.32mmol)の48%HBr5ml溶液を30分間還流し、その後、蒸発させた。残留物をMeOHに溶解し、再び蒸発させて(この操作を一度繰り返した)、褐色の結晶残留物(1.8g)を得、これを熱メタノールで処理して、590mg(42%)の化合物8.HBrを得た。少量を分析用に再結晶させた。融点>316℃。IR(KBr):3400(NH,OH)、1722(CO)cm−1。CI−MS:m/z 420(M+1)。H−NMR(DMSO−d)δ8.95及び8.45(2s,NH,OH)、6.90(m,5 芳香族H)、6.23(dd,J=8.2,8.2Hz,2 芳香族H)、2.97 s,OCH3)、1.08(s,CH−C(5))。元素分析C2629NO.HBr.0.2 MeoH(506.85)の計算値:C 62.09,H 6.13,N 2.76,Br 16.77;実測値:C 61.79,H 6.18,N 2.63,Br 16.12。
【0094】
化合物8.HBr(468mg、0.93mmol)、フェニルヒドラジン塩酸塩(343mg、2.36mmol)及び氷酢酸(15ml)の混合物を7時間還流した。冷却後、反応混合物を氷上に注ぎ、濃NHOHでアルカリ化し、CHCl(3×70ml、1×30ml)で抽出した。有機層を合わせて、HO(3×80ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(410mgの薄い褐色の泡状物質)を通常の方法で塩酸塩に変換し、MeOH/ジエチルエーテルから晶出させて、薄いピンク色の結晶として、390mg(83%)の標題化合物9を得た。この物質の少量をMeOH/ジエチルエーテルから再結晶させて、分析試料を得た。融点257〜260℃(dec.)。IR(KBr):3460(NH,NH,OH)cm−1。CI−MS:m/z 493(M+1)。H−NMR(DMSO−d)δ11.30,9.20及び9.05(3 S,NH,NH,OH)、7.25(m,7 芳香族H)、7.10(t,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.96(t,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.59(dd,J=8.2,8.2Hz,2 芳香族H)、3.32(s,OCH)、1.87(s,CH−C(5))。元素分析C3232.HCl.3.7 MeOH(647.63)の計算値:C 66.21,H 7.44,N 4.33;実測値:C 66.04,H 7.13,N 4.60。
【0095】
(実施例6)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−メトキシ−5−メチル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン塩酸塩(化合物10)の合成:
14−O−メチル−5−メチルナルトレキソン(H.Schmidhammer等、Helv.Chim.Acta、Vol.77:1585〜1589、1994)(620mg、1.68mmol)、フェニルヒドラジン塩酸塩(365mg、2.52mmol)及び氷酢酸(7ml)の混合物を17.5時間還流した。冷却後、反応混合物を氷上に注ぎ、NHOHでアルカリ化し、CHCl(3×70ml、1×20ml)で抽出した。有機層を合わせて、HO(3×80ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(1.11gの褐色泡状物質)をカラムクロマトグラフィーで精製した(シリカゲル230〜400メッシュ、移動相CHCl/MeOH90:9)。相当する画分を合わせ、蒸発させて、淡黄色の泡状物質を得、これをMeOHに溶解し、エーテルHClで処理して、無色の結晶として、520mg(65%)の化合物10を得た。分析のために、少量の試料をMeOHから再結晶させた。融点>250℃(dec.)。IR(KBr):3515及び3220(NH,NH,OH)cm−1。CI−MS:m/z 443(M+1)。H−NMR(DMSO−d):δ11.30,9.12,8.93(3 s,NH,NH,OH)、7.34(m,2 芳香族H)、7.09(t,J=8.3Hz,1 芳香族H)、6.95(t,J=8.3HZ,1 芳香族H)、6.63(d,J=8.1Hz,1 芳香族H)、6.56(d,J=8.1Hz,1 芳香族H)、3.24(s,OCH)、1.87(s,CH−C(5))。元素分析C2830.HCl.0.7 HO(491.67)の計算値:C 68.41,H 6.64,N 5.70,Cl 7.21;実測値:C 68.52,H 6.86,N 5.65,Cl 7.48。
【0096】
(実施例7)
17−アリル−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−5−メチル−14−n−プロピルオキシ−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン.CHSOH(化合物15)の合成:
7,8−ジヒドロ−5−メチル−14−n−プロピルオキシコデイノン(9、2.67g、7.19mmol)、KHCO(3.6g、35.93mmol)、クロロギ酸1−クロロエチル(4.73ml、43.12mmol)及び1,2−ジクロロエタン(35ml)の混合物を、3.5時間、還流しながら攪拌した。冷却後、無機物質を濾別し、濾液を蒸発させた。残留物(4.67gの黄色がかった油である17−(1−クロロエトキシ)−カルボニル−4,5α−エポキシ−3−メトキシ−5−メチル−14−n−プロピルオキシモルヒナン−6−オン(化合物11);TLCで精製)の更なる精製及び同定は行わなかった。化合物11のMeOH溶液を1時間還流し、その後、蒸発させた。残留物(3.54gの薄い褐色の泡状物質)をMeOH2.5ml/ジエチルエーテル2mlから晶出させて、1.68g(66%)の4,5α−エポキシ−3−メトキシ−5−メチル−14−n−プロピルオキシモルヒナン−6−オン塩酸塩(化合物12)を得た。融点186〜188℃。IR(KBr):3425(NH)、1725(CO)cm−1。EI−MS:m/z 357(M)。H−NMR(DMSO−d):σ10.11及び8.15(2 広幅s,NH)、6.83(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.74(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、3.78(s,CHO)、1.48(s,CH−C(5))、0.95(t,J=7.4Hz,CH)。元素分析C2127NO.HCl.0.6 MeOH(413.14)の計算値:C 62.80,H 7.42,N 3.39,Cl 8.58;実測値:C 62.66,H 7.34,N 3.40,Cl 8.98。
【0097】
化合物12(1.45g、3.68mmol)、臭化アリル(0.36ml、4.06mmol)、炭酸カリウム(2.9g、20.8mmol)及び無水N,N−ジメチルホルムアミド(10ml)の混合物を、80℃(浴温)で1.5時間攪拌した。無機固体を濾別し、濾液を蒸発させて、1.7gの黄色がかった油性残留物を得た。この残留物をCHCl及びHOに分配した。有機層をHO及び食塩水で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(1.375gの淡黄色の油)をエタノールから晶出させて、淡黄色の結晶として、1.28g(88%)の17−アリル−4,5α−エポキシ−3−メトキシ−5−メチル−14−n−プロピルオキシモルヒナン−6−オン(化合物13)を得た。融点122〜124℃。IR(KBr):1720(CO)cm−1。EI−MS:m/z 397(M)。H−NMR(CDCl):δ6.63(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、6.55(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、5.79(m,1 オレフィンH)、5.13(m,2 オレフィンH)、3.84(s,OCH3)、1.60(s,CH−C(5))、1.00(t,J=7.4Hz,CH3)。元素分析C2431NO(397.51)の計算値:C 72.52,H 7.86,N 3.52;実測値:C 72.14,H 7.76,N 3.44。
【0098】
三臭化ホウ素のCHCl(10.8ml)1M溶液を、氷冷した化合物13(577mg、1.45mmol)のCHCl75ml溶液に一度に添加した。0〜5℃で2時間攪拌した後、氷20g及び濃NHOH4mlの混合物を添加した。得られた混合物を室温で30分間攪拌し、CHCl(3×50ml)で抽出した。有機層を合わせて、食塩水(70ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(600mgの褐色泡状物質)を通常の方法で臭化水素酸塩に変換し、MeOHから晶出させて、314mg(47%)の17−アリル−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−5−メチル−14−n−プロピルオキシモルヒナン−6−オン臭化水素酸塩(化合物14)を得た。融点244〜247℃(dec.)。IR(KBr):3441及び3332(NH,OH)、6.68(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.62(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、5.92(m,1 オレフィンH)、5.67(m,2 オレフィンH)、1.49(s,CH−C(5))、0.96(t,J=7.2Hz,CH)。
【0099】
化合物14(300mg、0.65mmol)、フェニルヒドラジン塩酸塩(187mg、1.29mmol)及び氷酢酸(30ml)の混合物を7.5時間還流した。冷却後、反応混合物を氷上に注ぎ、濃NHOHでアルカリ化し、CHCl(3×60ml)で抽出した。有機層を合わせて、HO(3×80ml)及び食塩水(50ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(325mgの褐色泡状物質)を通常の方法でメタンスルホネートに変換し、MeOH/ジエチルエーテルから再結晶させて、264mg(74%)の標題化合物15を得た。この物質の少量をエタノールから再結晶させて、分析試料を得た。融点>256℃。FAB−MS:m/z 457(M+1)、H−NMR(DMSO−d):δ11.29,9.17及び8.45(3 s,NH,NH,OH)、7.32(d,J=8.2Hz,2 芳香族H)、7.10(t,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.94(t,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.59(s,2 芳香族H)、5.90(m,1 オレフィンH)、5.68(m,2 オレフィンH)、1.88(s,CH−C(5))、0,55(t,J=7.3Hz,CH)。元素分析C2932H.0.5 HO(561.70)の計算値:C 64.15,H 66.4,N 4.99,S 5.72;実測値:C 64.08,H 6.87,N 5.09,S 5.87。
【0100】
(実施例8)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−5−メチル−14−n−プロピルオキシ−6,7−2,3’−インドロモルヒナン.CHSOH(化合物18)の合成:
4,5α−エポキシ−3−メトキシ−5−メチル−14−n−プロピルオキシモルヒナン−6−オン塩酸塩(実施例7の化合物12)(1.46g、3.71mmol)、炭酸カリウム(2.24g、16.24mmol)、塩化シクロプロピルメチル(0.43ml、4.44mmol)及び無水N,N−ジメチルホルムアミド(15ml)の混合物を、85℃(浴温)で36時間攪拌した。無機固体を濾別し、濾液を蒸発させた。残留物のCHCl30ml溶液をHO(3×30ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(1.69gの橙黄色油)をジエチルエーテルに溶解し、エーテルHClで処理して、無色の粉末として、920mg(55%)の17−(シクロプロピルメチル)−4,5α−エポキシ−3−メトキシ−5−メチル−14−n−プロピルオキシモルヒナン−6−オン塩酸塩(化合物16)を得た。融点156〜158℃。IR(KBr):3400(NH)、1723(CO)cm−1。CI−MS:m/z 412(M+1)。H−NMR(DMSO−d):δ8.57(s,NH)、6,85(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.75(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、3.79(s,OCH)、1.51(s,CH−C(5))、0.97(t,J=7.4Hz,CH)。元素分析C2533NO.HCl.0.6 HO(458.81)の計算値:C 65.45,H 7.73,N 3.05,Cl 7.73;実測値:C 65.45,H 7.85,N 3.08,Cl 7.84。
【0101】
三臭化ホウ素のCHCl(7.3ml)1M溶液を、氷冷した化合物16(480mg、0.97mmol)のCHCl50ml溶液に一度に添加した。0〜5℃で50分間攪拌した後、氷13g及び濃NHOH3mlの混合物を添加した。得られた混合物を室温で30分間攪拌し、CHCl(3×30ml)で抽出した。有機層を合わせて、食塩水(45ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残留物(204mgの薄い褐色の泡状物質)を温MeOH0.5mlで処理して、302mg(55%)の17−(シクロプロピルメチル)−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−5−メチル−14−n−プロピルオキシモルヒナン−6−オン(化合物17)を得た。融点184〜186℃。IR(KBr):3390(OH)、1720(CO)cm −1。CI−MS:m/z 397(M+1)。H−NMR(CDCl):δ10.24(広幅s,OH)、6.73(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.65(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)1.62(s,CH−C(5))、1.00(t,J=7.3Hz,CH3)。元素分析C2431NO.0.6 MeOH(416.74)の計算値:C 70.90,H 8.08,N 3.36;実測値:C 70.76,H 7.73,N 3.52。
【0102】
化合物17(230mg、0.58mmol)、フェニルヒドラジン塩酸塩(142mg、0.98mmol)及び氷酢酸(23ml)の混合物を3.5時間還流した。冷却後、反応混合物を氷上に注ぎ、濃NHOHでアルカリ化し、CHCl(3×40ml)で抽出した。有機層を合わせて、HO(2×50ml)及び食塩水(50ml)で洗浄、乾燥し、蒸発させた。残留物(262mgの黄褐色泡状物質)を通常の方法でメタンスルホネートに変換し、MeOH/ジエチルエーテルから晶出させて、204mg(62%)の化合物18を得た。融点295〜298℃(dec.)。FAB−MS:m/z 471(M+1)。H−NMR(DMSO−d)δ11.27,9.12及び8.46(3s,NH,NH,OH)、7.14(m,4 芳香族H)、6.59(s,2 芳香族H)、1.90(s,CH3−C(5))、0.67(t,J=7.3Hz,CH)元素分析C3034.CHSOH.1.5 HO(584.74)の計算値:C 62.71,H 6.96,N 4.72,S 5.40;実測値:C 62.67,H 6.96,N 4.79,S 5.40。
【0103】
実施例9〜24及び28〜30は更なる化合物を例示するものであり、それらの化合物は、上述の方法のいずれかに従って合成することができる。
【0104】
(実施例9)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−(メトキシメトキシ)−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン(化合物19):
融点129〜130℃。1H−NMR(CDCl):δ7.45(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、7.37(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、7.25(m,1 芳香族H)、7.16(m,1 芳香族)、6.86(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、6.60(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、5.63(s,H−C(5))、5.17及び5.06(2 d,J=6.6,6.6Hz,OCHO)、3.42(s,CHO)。
【0105】
(実施例10)
17−シクロプロピルメチル−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−(メトキシメトキシ)−6,7−2’,3’−(N−メトキシメチルインドロ)モルヒナン(化合物20):
H NMR(CDCl):δ7.44(m,2 芳香族H)、7.20(m,1 芳香族H)、7.07(m,1 芳香族H)、6.82(d,J=8Hz,1 芳香族H)、6.58(J=8Hz)、5.81(s,H−C(5))、5.79及び5.50(2 d,J=10.8,10.8Hz,NCHO)、5.12及び5.50(2 d,J=6.4,6.4Hz,OCHO)、3.41及び3.33(2 s,2 CHO)。
【0106】
(実施例11)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−14−(2’,6’−ジクロロベンジルオキシ)−4,5α−エポキシ−14−3−(メトキシメトキシ)−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン(化合物21):
融点180〜182℃。1H NMR(CDCl):δ7.41(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、7.33(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、7.23(m,1 芳香族H)7.14(m,2 芳香族H)、7.03及び7.01(2 d,J=7.3,7.3Hz)、6.84(d,J,8.3Hz,1 芳香族H)6.59(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、5.56(s,H−C(5))、5.32及び4.68(2 d,J=8.7,8.7Hz,OCHAr)、5.16及び5.05(2 d,J=6.6,6.6Hz,OCHO)、3.41(s,CHO)。
【0107】
(実施例12)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−14−(2’,6’−ジクロロベンジルオキシ)−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン(化合物22):
融点193〜195℃(dec)。1H NMR(CDCl):δ7.42(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、7.33(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.24(m,1 芳香族H)7.14(m,2 芳香族H)、7.03及び7.01(2 d,J=7.3Hz,1 芳香族H)、6.64(d,J,8.1Hz,1 芳香族H)6.56(d,J=8.1Hz,1 芳香族H)、5.58(s,H−C(5))、5.32及び4.68(2 d,J=8.6Hz,OCH Ar)。
【0108】
(実施例13)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−(メトキシメトキシ)−14−(3’−ニトロベンジルオキシ)−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン(化合物23):
H NMR(CDCl):δ8.25(s,1 芳香族H)、7.28(m,4 芳香族H)、7.15(m,1 芳香族H)6.87(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、6.62(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、5.66(s,H−C(5))、5.17及び5.07(2 d,J=6.6Hz,OCHO)4.92及び4.44(2 d,J=11.5Hz,OCHAr)、3.42(s,CHO)。
【0109】
(実施例14)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−(3’−ニトロベンジルオキシ)−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン塩酸塩(化合物24):
融点>230℃(dec)。1H NMR(DMCO−d6):δ9.40(s,OH)、9.15(広幅s,NH)、7.84(s,1 芳香族H)7.60(d,J=8.8Hz,1 芳香族H)、7.53(d,J=7.6Hz,1 芳香族H)、7.45(d,J=8Hz,1 芳香族H)7.23(d,J=7.6Hz,1 芳香族H)、7.19(d,J=7.6Hz,1 芳香族H)、6.98(m,1 芳香族H)6.88(d,J=7.6Hz,1 芳香族H)6.69(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、6.66(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、6.03(s,H−C(5))、4.98及び4.87(2 d,J=14,14Hz,OCHPh)。
【0110】
(実施例15)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−(メトキシメトキシ)−14−(2−ナフチルメトキシ)−6,7−2’−3’−ベンゾ[b]フランモルヒナン(化合物25):
融点198〜201℃。1H NMR(CDCl):δ7.72〜7.08(m,11 芳香族H)、6.86(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、6.62(d,J=8.3Hz,1 芳香族H)、5.68(s,H−C(5))、5.17及び5.07(2 d,J=6.6,6.6Hz,OCHO)、5.01及び4.57(2 d,J=11.2,11.2Hz,OCHAr)、3,42(s,CHO)。
【0111】
(実施例16)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−(2’−ナフチルメトキシ)−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン塩酸塩(化合物26):
融点>215℃。1H NMR(DMSO−d6):δ9.42(s,OH)、9.00(広幅s,NH)、7.68〜6.85(m,11 芳香族H)、6.71(d,J=8Hz,1 芳香族H)、6.67(d,J=8Hz,1 芳香族H)、6.04(s,H−C(5))、4.92(s,OCHAr)。
【0112】
(実施例17)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−(2’−フルオロベンジルオキシ)−3−(メトキシメトキシ)−6,7−2’−3’−ベンゾ[b]フランモルヒナン(化合物27):
H NMR(DMSO−d6):δ7.56(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.49(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.31(m,1 芳香族H)、7.21(m,1 芳香族H)、6.81(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)、6.67(d,J=8.4Hz)、5.72(s,H−C(5))、5.06及び5.01(2 d,J=6.4,6.4Hz,OCHO)、4.89及び4.57(2 d,J=11.6,11.6Hz,OCH Ar)、3,33(s,CHO)。
【0113】
(実施例18)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−(2’−フルオロ−ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシ−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン塩酸塩(化合物28):
融点>215℃。1H NMR(CDCl):δ9.45(s,OH)、9.04(広幅s,NH)、7.54(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)7.31〜6.73(m,7 芳香族H)、6.71(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.66(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、5.98(s,H−C(5))、4.81及び4.84(2 d,J=12Hz,OCH Ar)。
【0114】
(実施例19)
14−シンナミルオキシ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−(メトキシメトキシ)−6,7−2’−3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン(化合物29):
融点156〜159℃。1H NMR(CDCl):δ7.47(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.33(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.28〜7.07(m,7 芳香族H)、6.84(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)、6.59(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)、6.38(d,J=16Hz,1 オレフィンH)、6.13(m,1 オレフィンH)、5.68(s,H−C(5))、5.16及び5.06(2 d,J=6.4,6.4Hz,OCHO)、4.46及び4.11(2 m,OCHAr)、3,42(s,CHO)。
【0115】
(実施例20)
14−シンナミルオキシ−17−シクロプロピルメチル−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−6,7−2’−3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン サリチレート(化合物30):
H NMR(CDCl):δ7.94(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.35(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.30〜6.73(m,12 芳香族H)、6.56(d,J=8Hz,1 芳香族H)、5.96(s,2 オレフィンH)、5.55(s,H−C(5))、4.33〜4.02(m,OCHAr)。
【0116】
(実施例21)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−メトキシ−3−(メトキシメトキシ)−6,7−2’−3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン(化合物31):
H NMR(DMSO−d6):δ7.7.56(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.52(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.32(dd,J=8,8Hz,1 芳香族H)、5.64(s,H−C(5))、5.05及び5.00(2 d,J=6.4,6.4Hz,OCHO)、3.32(CHO)。
【0117】
(実施例22)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−メトキシ−6,7−2’−3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン塩酸塩(化合物32):
融点>240℃。H NMR(DMSO−d6):δ9.47(s,OH)、9.17(広幅s,NH)、7.61(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.53(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.36(dd,J=8,8Hz,1 芳香族H)、7.27(dd,J=8,8Hz,1 芳香族H)、6.72(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)、6.65(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)、5.90(s,H−C(5))、3.35(s,CHO)。
【0118】
(実施例23)
17−(シクロプロピルメチル)−14−(2’−クロロベンジルオキシ)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−(メトキシメトキシ)−6,7−2’−3’−(N−メトキシメチルインドロ)モルヒナン(化合物33):
H NMR(CDCl):δ7.56(m,1 芳香族H)、7.44(m,1 芳香族H)、7.37〜7.17(m,3 芳香族H)、7.01(m,1 芳香族H)、6.91(m,1 芳香族H)、6.83(d,J=8.2Hz,1 芳香族H)、6.59(dd,J=8.2,8.2Hz,1 芳香族H)、5.90(s,H−C(5))、5.82及び5.55(2 d,J=11.2,11.2Hz,NCHO)、5.13及び5.03(2 d,J=6.4,6.4Hz,OCHO)、4.98及び4.56(2 d,J=13,13Hz,OCHAr)、3.40及び3.26(2 s,2 CHO)。
【0119】
(実施例24)
17−(シクロプロピルメチル)−14−(2’−クロロベンジルオキシ)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−6,7−2’−3’−インドロモルヒナン塩酸塩(化合物34):
融点>250℃(dec)。H NMR(DMSO−d6):δ11.38(s,NH)、9.38(s,OH)、8.76(広幅s,NH)、7.34〜6.85(m,8 芳香族H)、6.72(d,J=8Hz,1 芳香族H)、6.64(d,J=8Hz,1 芳香族H)、5.93(s,H−C(5))、4.80及び4.67(2 d,J=13,13Hz,OCH Ar)。
【0120】
(実施例25)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−3,14−ジメトキシ−4,5α−エポキシ−6,7−2’−3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン(化合物35)の合成:
水素化ナトリウム(144mg、6mmol;n−ヘキサンによる洗浄によって、240mgの60%水素化ナトリウム油性分散液から得た。)を、0℃で、メタンスルホン酸ナルトリベン(P.S.Portoguese等、J.Med.Chem.Vol.34:1715〜1720、1991)(500mg、0.97mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド10ml溶液に添加した。得られた混合物を0℃で15分間攪拌し、その後、室温で更に30分間攪拌した。0℃に冷却した後、硫酸ジメチル(380μl、4mmol)を添加し、最初に0℃で30分間、次いで室温で3時間攪拌した。MeOH及びHOを添加して、過剰な水素化ナトリウムを分解した。得られた混合物を酢酸エチル(3×40ml)で抽出し、有機層を合わせて、HO(2×30ml)及び食塩水(2×30ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させて、結晶残留物を得、これをMeOHから再結晶させて、320mg(74%)の化合物35を得た。融点221〜224℃(dec.)。1H NMR(CDCl):δ7.47〜7.14(m,4 芳香族H)、6.64(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)、6.59(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)、5.62(s,H−C(5))、3.78 (s,CHO−C(3))、3.31(s,CHO−C(14))。
【0121】
(実施例26)
17−シクロプロピルメチル−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−ヒドロキシ−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン(化合物36)の合成:
3−デオキシオナルトレキソン(R.Krassnig及びH.Schmidhammer、Heterocycles、Vol.38:877〜881、1994)(1.3g、3.99mmol)、O−フェニルヒドロキシルアミン塩酸塩(750mg、5.15mmol)、メタンスルホン酸(0.75ml、11.55mmol)及びエタノール(30ml)の混合物を20時間還流した。冷却後、混合物をHOで希釈し、濃NHOHでアルカリ化し、CHCl(4×40ml)で抽出した。有機層を合わせて、HO(2×30ml)及び食塩水(30ml)で洗浄、NaSOで乾燥し、蒸発させて、褐色の油を得、これをMeOHから晶出させて、1.1mg(69%)の化合物36を得た。融点>260℃。H NMR(CDCl):δ7.45(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.37(d,J=8Hz,1 芳香族H)、7.26〜7.13(m,2 芳香族H)、7.01(dd,J=7.8,7.8Hz,1 芳香族H)、6.67(d,J=7.8Hz,1 芳香族H)、6.59(d,J=7.8Hz,1 芳香族H)、5.59(s,H−C(5))、5.00(広幅s,OH)。
【0122】
(実施例27)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−ヒドロキシ−6,7−2’−3’−インドロモルヒナン塩酸塩(化合物37)の合成:
3−デオキシオナルトレキソン(R.Krassnig及びH.Schmidhammer、Heterocycles、Vol.38:877〜881、1994)(1.5g、4.6mmol)、フェニルヒドラジン塩酸塩(1.0mg、6.9mmol)、エーテル中1M HCl(5ml)及びメタノール(20ml)の混合物を室温で3日間攪拌した。真空で元の容量のおよそ半分に濃縮した後、溶液を一晩冷蔵した。形成された無色の結晶を回収して、1.54g(77%)の化合物37を得た。融点>240℃(dec.)。H NMR(DMSO−d6):δ11.37(s,NH)、9.01(広幅s,NH)、7.36〜6.94(m,5 芳香族H)、6.78(d,J=7.8Hz,1 芳香族H)、6.59(d,J=7.8Hz,1 芳香族H)、6.55(s,OH)。
【0123】
(実施例28)
17(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−(3’−クロロベンジルオキシ)−6,7,2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン塩酸塩(化合物39):
H NMR(DMSO−d6):δ9.40(s,OH)、8.59(広幅s,+NH)、7.53〜6.90(m,8 芳香族H)、6.65(s,2 芳香族H)、6.03(s,H−C(5))、4.74及び4.62(2 d,J=13.6,13.6Hz,OCH(3’−ClPh))。元素分析C3330ClNO.HCl.1.5 HOの計算値:C 65.67,H 5.68,N 2.32;実測値:C 65.31,H 5.37,N 2.33。
【0124】
(実施例29)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−(2’−クロロベンジルオキシ)−6,7,2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン塩酸塩(化合物41):
融点>220℃。H NMR(DMSO−d6):δ9.40(s,OH)、8.59(広幅s,+NH)、7.56〜6.90(m,8 芳香族H)、6.66(m,2 芳香族H)、6.03(s,H−C(5))、4.74(s,OCH(2−ClPh))。元素分析C3330ClNO.Hcl.1.5 HOの計算値:C 65.67,H 5.68,N,2.32.実測値:C 65.72,H 5.48,N 2.25。
【0125】
(実施例30)
14−アリルオキシ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−1’−アリル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン塩酸塩(化合物42):
遊離塩基(無色のオイル)のNMR:
H NMR(CDCl):δ7.40(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)、7.24(m,1 芳香族H)、7.15(m,1 芳香族H)、7.03(m,1 芳香族H)、6.57(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)、6.50(d,J=8.4Hz,1 芳香族H)、6.08(m,1 オレフィンH)、5.76(m,1 オレフィンH)、5.72(s,H−C(5))、5.15〜4.75(m,6 H,CHN,2 CH=C)、4.24及び3.92(2 dd,J=12.4,4.8Hz,CHO)。
この遊離塩基をエチルエーテルに溶解し、0℃で、HCl/エーテルHCl溶液で処理した。沈殿物を単離して、固体として、標題化合物42を得た。
【0126】
(医薬製剤)
医薬製剤を調製するために、活性成分を、注射剤、カプセル剤、錠剤、坐剤、液剤、軟膏剤、クリーム、ペースト、硬膏剤、パッチ等に製剤化することができる。この医薬製剤は、式(I)の化合物を単独で含んでも、また、安定剤、緩衝剤、希釈剤、等張剤、防腐剤等の賦形剤を更に含んでもよい。医薬製剤は、上述の活性成分を0.01〜95重量%の割合で含有することができる。活性成分の用量は、投与対象、投与経路、及び患者の状態に応じて適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1A】シクロスポリンA濃度と阻害との関係を示すグラフである。
【図1B】HS378濃度と阻害との関係を示すグラフである。
【図1C】HS894濃度と阻害との関係を示すグラフである。
【図1D】HS879濃度と阻害との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的カルシニューリンの阻害の影響を受けやすい障害の治療及び/又は予防薬剤を製造するための、下記式(I)の化合物、及びその薬理学的に許容される塩の使用。
【化1】


[式中、
は、C〜C10アルケニル;シクロアルキルがC〜Cシクロアルキルであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C10シクロアルキルアルキル;シクロアルケニルがC〜Cシクロアルケニルであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C10シクロアルケニルアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニルを表し、
は、水素;ヒドロキシ;C〜Cアルコキシ;C〜Cアルケニルオキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルオキシがC〜CアルキルオキシであるC〜C16アリールアルキルオキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルオキシがC〜CアルケニルオキシであるC〜C16アリールアルケニルオキシ;C〜Cアルカノイルオキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルカノイルオキシがC〜CアルカノイルオキシであるC〜C16アリールアルカノイルオキシを表し、
は、水素;C〜Cアルキル;C〜Cアルケニル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニル;ヒドロキシ(C〜C)アルキル;アルコキシがC〜Cアルコキシであり、アルキルがC〜Cアルキルであるアルコキシアルキル;COH;CO(C〜Cアルキル)を表し、
は、水素;ヒドロキシ;C〜Cアルコキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルオキシがC〜CアルキルオキシであるC〜C16アリールアルキルオキシ;C〜Cアルケニルオキシ;C〜Cアルカノイルオキシ;アリールがC〜C10アリールであり、アルカノイルオキシがC〜CアルカノイルオキシであるC〜C16アリールアルカノイルオキシ;アルキルオキシがC〜Cアルキルオキシであり、アルコキシがC〜CアルコキシであるC〜C10アルキルオキシアルコキシであり、
及びRは、各々独立に、水素;OH;C〜Cアルコキシ;C〜Cアルキル;アルキルがC〜Cアルキルであるヒドロキシアルキル;ハロ;ニトロ;シアノ;チオシアナト;トリフルオロメチル;COH;CO(C〜Cアルキル);CONH;CONH(C〜Cアルキル);CON(C〜Cアルキル);アミノ;C〜Cモノアルキルアミノ;C〜Cジアルキルアミノ;C〜Cシクロアルキルアミノ;SH;SOH;SO(C〜Cアルキル);SO(C〜Cアルキル);SONH;SONH(C〜Cアルキル);SONH(C〜C20アリールアルキル);SO(C〜Cアルキル)を表すか、或いは、R及びRは一緒になって、非置換であっても、また、ハロ、ニトロ、シアノ、チオシアナト、C〜Cアルキル、トリフルオロメチル、C〜Cアルコキシ、COH、CO(C〜Cアルキル)、アミノ、C〜Cモノアルキルアミノ、C〜Cジアルキルアミノ、SH、SOH、H、SO(C〜Cアルキル)、SO(C〜Cアルキル)、SO(C〜Cアルキル)で置換されていてもよいフェニル環を形成し、
Xは、酸素、硫黄、CH=CH又はNRを表し、
は、H;C〜Cアルキル;C〜Cアルケニル;アリールがC〜C10アリールであり、アルキルがC〜CアルキルであるC〜C16アリールアルキル;アリールがC〜C10アリールであり、アルケニルがC〜CアルケニルであるC〜C16アリールアルケニル;C〜Cアルカノイルであり、
アリールは、非置換であるか、或いは、独立に、ヒドロキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、チオシアナト、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、COH、CO(C〜Cアルキル)、CONH、CONH(C〜Cアルキル)、CON(C〜Cアルキル)、CO(C〜Cアルキル)、アミノ、(C〜Cモノアルキル)アミノ、(C〜Cジアルキル)アミノ、C〜Cシクロアルキルアミノ、(C〜Cアルカノイル)アミノ、SH、SOH、SO(C〜Cアルキル)、SO(C〜Cアルキル)、SO(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキルチオ又はC〜Cアルカノイルチオで一、二又は三置換されている。
但し、Rが水素、OCHOCH、OCHOC又はOC(Ph)である場合を除いて、Rがヒドロキシである場合、Rは水素であることができない。]
【請求項2】
が、アリル、シンナミル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチルから選択され、
が、メトキシ;エトキシ;n−プロピルオキシ;ベンジルオキシ;芳香環において、F、Cl、NO、CN、CF、CH若しくはOCHで置換されたベンジルオキシ;アリルオキシ;シンナミルオキシ;3−フェニルプロピルオキシから選択され、
が、水素、メチル、エチル、ベンジル、アリルから選択され、
が、ヒドロキシ、メトキシ、メトキシメトキシ、アセチルオキシから選択され、
及びRが、各々独立に、水素、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、トリフルオロメチル、COH、COCH、CONH、CONHCH、SH、SONH、N(CH、SOCHから選択され、
Xが、酸素、NH、NCH、N−ベンジル、N−アリルから選択される、
請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式(I)の化合物が、薬学的に許容される塩の形態である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
塩が無機塩である、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
塩が有機塩である、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
式(I)の化合物が、
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−エトキシ−3−ヒドロキシ−5−メチル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン × HCl;
17−アリル−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−エトキシ−3−ヒドロキシ−5−メチル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン × HCl;
6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−エトキシ−3−ヒドロキシ−5−メチル−17−(2−フェニル)エチル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン × HCl;
17−アリル−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−メトキシ−5−メチル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン × HCl;
6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−メトキシ−5−メチル−17−(2−フェニル)エチル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン × HCl;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−メトキシ−5−メチル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン × HCl;
17−アリル−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−5−メチル−14−n−プロピルオキシ−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン × HCl;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−5−メチル−14−n−プロピルオキシ−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン × CHSOH;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−14−(2’,6’−ジクロロベンジルオキシ)−4,5α−エポキシ−3−(メトキシメトキシ)−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−14−(2’,6’−ジクロロベンジルオキシ)−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−(メトキシメトキシ)−14−(3’−ニトロベンジルオキシ)−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン × HCl;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−(3’−ニトロベンジルオキシ)−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン × HCl;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−(メトキシメトキシ)−14−(2’−ナフチルメトキシ)−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−(2’−ナフチルメトキシ)−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン × HCl;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−(2’−フルオロベンジルオキシ)−3−(メトキシメトキシ)−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−(2’−フルオロベンジルオキシ)−3−ヒドロキシ−6,7−2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン × HCl;
14−シンナミルオキシ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−(メトキシメトキシ)−6,7−2’−3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン;
14−シンナミルオキシ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−6,7−2’−3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン サリチレート;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−14−メトキシ−3−(メトキシメトキシ)−6,7−2’−3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン;
17−(シクロプロピルメチル)−14−(2’−クロロベンジルオキシ)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−(メトキシメトキシ)−6,7−2’,3’−(N−メトキシメチルインドロ)モルヒナン;
17−(シクロプロピルメチル)−14−(2’−クロロベンジルオキシ)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン × HCl;
17(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−(3’−クロロベンジルオキシ)−6,7,2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン × HCl;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−14−(2’−クロロベンジルオキシ)−6,7,2’,3’−ベンゾ[b]フラノモルヒナン × HCl;
14−アリルオキシ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−デヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−1’−アリル−6,7−2’,3’−インドロモルヒナン × HCl;
17−(シクロブチルメチル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−14β−エトキシ−5β−メチルインドロ[2’,3’:6,7]モルヒナン−3−オール塩酸塩;
14β−(ベンジルオキシ)−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシインドロ[2’,3’:6,7]モルヒナン−3−オール;
14β−[(4−クロロベンジル)オキシ]−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシインドロ[2’,3’:6,7]モルヒナン−3−オール塩酸塩;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−14β−[(2−フェニルベンジル)オキシ]インドロ[2’,3’:6,7]モルヒナン−3−オール塩酸塩;
14β−[(4−tert.−ブチルベンジル)オキシ]−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシインドロ[2’,3’:6,7]モルヒナン−3−オール塩酸塩;
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−14β−[(3−フェニルプロピル)オキシ]インドロ[2’,3’:6,7]モルヒナン−3−オール
である、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
障害が、炎症性障害、特に炎症性消化管疾患、皮膚障害、特に神経皮膚炎及び乾癬、神経変性障害、中枢神経系障害、虚血性障害、アレルギー疾患、神経損傷、癌、腸管の障害、掻痒、心臓障害、心血管障害、脳卒中、糖尿病、緑内障、精神的障害、耽溺及び薬物乱用、過体重及び肥満、イレウス、並びにオピオイド鎮痛薬による治療に伴う副作用、から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
障害が神経皮膚炎である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
障害が乾癬である、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
障害が、免疫系細胞の活性の調節の影響を受けやすい、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
障害が炎症性消化管(腸)疾患である、請求項7に記載の使用。
【請求項12】
障害が、炎症性障害、特に炎症性消化管疾患、消化管疾患、過敏性大腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、気管支喘息、ブドウ膜炎、眼瞼炎、炎症性筋疾患、酒さ、紅斑、苔癬、炎症性障害、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、虚血性障害、脳卒中、心筋梗塞、多発性硬化症、静脈炎、腹水、緑内障、強皮症、全身性硬化症である、請求項7に記載の使用。
【請求項13】
障害が、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン等のオピオイド鎮痛薬による治療に伴う副作用、特に掻痒、イレウス、嘔吐、悪心、鎮静、めまい、せん妄、耽溺、便秘、呼吸抑制である、請求項7に記載の使用。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate


【公開番号】特開2012−254986(P2012−254986A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−145951(P2012−145951)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2007−512104(P2007−512104)の分割
【原出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(512128508)シロンヴェルズ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】