説明

標的化核酸構築物およびそれに関連する使用

【課題】標的化部分(T.M.)、核酸(N.A.)、およびペイロード(payload)を含む核酸構築物を提供すること。
【解決手段】本発明は、標的化構築物を提供し、この構築物は、標的化部分、核酸およびペイロードを含む。このペイロードは、検出可能な標識または治療剤であり得る。この核酸は、標的細胞中に存在するRNAに相補的なアンチセンス分子であり得る。この標的化構築物は、標的細胞に、インビボまたはインビトロでこのペイロードを導入するために使用され得る。従って、本発明は、診断目的および治療目的のために使用され得る。標的化オリゴヌクレオチド構築物であって、該構築物は、生物中のある部位に局在化する標的化部分;目的の核酸に相補的な核酸;および検出可能な標識、を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
治療剤および診断剤としての遺伝子の重要性が現れているので、診断用途および治療用
途における核酸の使用が活発になっている。核酸は、遺伝子発現の存在または非存在を検
出するため、または疾患状態と関連した変異を識別するためのプローブとして用いられ得
る。核酸はまた、標的遺伝子の発現を阻害するアンチセンス治療剤として用いられ得る。
さらに、ベクターは、細胞において遺伝子を挿入または欠失させ、それにより、罹患した
細胞の遺伝子型を変化させるために用いられ得る。近年、核酸は、他の分子に連結されて
、治療剤の効果を増大させている。
【0002】
Tullisに対する米国特許第4,904,582号、Brushに対する米国特許
第5,420,330号、Manoharanに対する米国特許第5,834,607号
、Hostetlerらに対する米国特許第5,223,263号、およびBischo
fbergerに対する米国特許第5,763,208号、ならびに国際出願公開WO9
6/07392、WO90/10448、およびWO96/18372は、構築物の膜輸
送を増大する疎水性/親油性の部分に連結された核酸を開示する。広範な種々の電荷また
は非電荷の脂質およびその誘導体は、外来分子の膜間輸送を促進することが知られている

【0003】
Cookらに対する米国特許第5,852,182号および同第5,578,718号
、ならびにLinらに対する米国特許第5,414,077号は、チオール−誘導体化オ
リゴヌクレオチドを表す。このチオール部分は、オリゴヌクレオチドを、他の分子(例え
ば、ペプチド、タンパク質、親油性分子、ステロイドまたはレポーター分子)に連結する
ために用いられる。
【0004】
Agrawalらに対する米国特許第5,510,475号は、修飾オリゴヌクレオチ
ドを保有するレポーター分子を議論する。
【0005】
国際出願公開WO95/02422は、特定の細胞に対してオリゴヌクレオチドを標的
化するために、抗体に結合されたオリゴヌクレオチドに関する。
【0006】
Cookらに対する米国特許第5,514,786号は、RNAの切断に寄与するか、
またはそれををもたらす、核酸、インターカレーティング部分、および反応性タンパク質
を含む構築物を開示する。
【0007】
Gryaznovに対する米国特許第5,830,658号は、標的結合部分としてオ
リゴヌクレオチド、および検出可能なシグナルを生成し得るシグナル生成部分(例えば、
ビオチン)を含む分枝したポリマーを開示する。
【0008】
Lowらに対する米国特許第5,820,847号および5,688,488号、なら
びにElmalehらに対する米国特許第5,716,594号は、フォレート、ビオチ
ン、およびリボフラビンのような栄養素を分子(例えば、核酸)に連結して、対応するレ
セプターを発現する細胞(特に、腫瘍細胞および感染の部位)によるそれらの取り込みを
容易にすることを議論する。
【0009】
しかし、上記の構築物は、オリゴヌクレオチドおよび治療剤または診断剤を標的化して
、それにより、治療剤または診断剤の、標的細胞へのより速く、特異的な送達を可能にす
るために、非オリゴヌクレオチド分子を使用していない。インビボでの標的細胞(腫瘍お
よび感染の部位)内で治療剤または画像化剤をより特異的に局在化するための、単純で、
迅速な方法は、標的細胞における薬剤の保持を促進する特定の方法を必要とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、少なくとも3つの部分:標的化部分(T.M.)、核酸(N.A.)、およ
びペイロード(payload)を含む核酸構築物に関する。これらの構築物は、インビ
トロで、生物または細胞の所望に位置に、診断用ペイロード、治療用ペイロード、または
他のペイロードを特異的に指向させるために用いられ得る。
【0011】
1つの局面では、標的化オリゴヌクレオチド構築物は、生物のある部位に局在化する標
的化部分、目的の核酸に相補的なオリゴヌクレオチド、および検出可能な標識を含む。生
物内の部位は、異常な生理学的状態の位置、または特定の組織型であり得る。標的化部分
は、脂質、抗体、レクチン、リガンド、糖、ステロイド、ホルモン、栄養素、またはタン
パク質であり得る。検出可能な標識は、化学発光標識、放射性同位体、蛍光標識、常磁性
造影剤、または金属キレートであり得る。オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌ
クレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドアナログであり得る。1つの実施形態
では、検出可能な標識および標的化部分は、オリゴヌクレオチドにカップリングされる。
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドおよび検出可能な標識は、標的化部分に結合され
る。さらに別の実施形態では、標的化部分およびオリゴヌクレオチドは、検出可能な標識
にカップリングされる。
【0012】
別の局面では、標的化オリゴヌクレオチド結合体は、生物内のある部分に局在化する標
的化部分、目的の核酸に相補的なオリゴヌクレオチド、および治療剤を含む。標的化部分
は、脂質、抗体、レクチン、リガンド、糖、ステロイド、ホルモン、栄養素、またはタン
パク質であり得る。オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアン
チセンスオリゴヌクレオチドアナログであり得る。治療剤は、酵素、酵素インヒビター、
レセプターリガンド、放射性同位体、抗生物質、ステロイド、ホルモン、ポリペプチド、
糖ペプチド、リン脂質、または薬物であり得る。1つの実施形態では、検出可能な標識お
よび標的化部分は、オリゴヌクレオチドにカップリングされる。別の実施形態では、オリ
ゴヌクレオチドおよび検出可能な標識は、標的化部分にカップリングされる。さらに別の
実施形態では、標的化部分およびオリゴヌクレオチドは、検出可能な標識にカップリング
される。
【0013】
別の局面では、本発明は、異常な生理学的状態の部位に局在化する標的化部分を、目的
の核酸に相補的なオリゴヌクレオチドに連結することによって、結合体を形成すること、
およびこの結合体に検出可能な標識を連結することにより、標的化オリゴヌクレオチド構
築物を調製する方法を提供する。別の実施形態では、この方法は、異常な生理学的状態の
部位に局在化する標的化部分を、検出可能な標識に連結することによって、結合体を形成
すること、およびこの結合体に、目的の核酸に相補的なオリゴヌクレオチドを連結するこ
とを包含する。さらに別の実施形態では、この方法は、検出可能な標識を、目的の核酸に
相補的なオリゴヌクレオチドに連結することによって、結合体を形成すること、およびこ
の結合体を異常な生理学的状態の部位に局在化する標的化部分に連結することを包含する

【0014】
関連する局面では、本発明は、異常な生理学的状態の部位に局在化する標的化部分を目
的の核酸に相補的なオリゴヌクレオチドに連結することにより、結合体を形成すること、
および治療剤をこの結合体に連結することによって、標的化オリゴヌクレオチド構築物を
調製するための方法を提供する。別の実施形態では、この方法は、異常な生理学的状態の
部位に局在化する標的化部分を治療剤に連結することによって、結合体を形成すること、
およびこの結合体を目的の核酸に相補的なオリゴヌクレオチドに連結することを包含する
。さらに別の実施形態では、この方法は、治療剤を、目的の核酸に相補的なオリゴヌクレ
オチドに連結することによって、結合体を形成すること、およびこの結合体を異常な生理
学的状態の部位に局在化する標的化部分に連結することを包含する。
【0015】
本発明はさらに、生理学的状態を処置するために十分な量の標的化構築物を投与するこ
とによって、患者における生理学的状態を処置するための方法を提供する。さらに、本発
明は、患者に検出可能な標識を含む標的化構築物を投与し、そしてこの患者においてこの
標識を検出することによって、患者における生理学的状態を画像化するための方法を提供
する。
【0016】
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
標的化オリゴヌクレオチド構築物であって、該構築物は、以下:
生物中のある部位に局在化する標的化部分;
目的の核酸に相補的な核酸;および
検出可能な標識、
を含む、標的化オリゴヌクレオチド構築物。
(項目2)
前記標的化部分が、脂質、抗体、レクチン、リガンド、糖、ステロイド、ホルモン、栄養
素およびタンパク質から選択される、請求項1に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築物

(項目3)
前記検出可能な標識が、化学発光標識、放射性同位体、蛍光標識、常磁性造影剤および金
属キレートから選択される、請求項1に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築物。
(項目4)
前記オリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびアンチセンスオリゴ
ヌクレオチドアナログから選択される、請求項1に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築
物。
(項目5)
前記検出可能な標識および前記標的化部分が、前記オリゴヌクレオチドにカップリングさ
れる、請求項1に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築物。
(項目6)
前記オリゴヌクレオチドおよび前記検出可能な標識が、前記標的化部分にカップリングさ
れる、請求項1に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築物。
(項目7)
前記標的化部分および前記オリゴヌクレオチドが、前記検出可能な標識にカップリングさ
れる、請求項1に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築物。
(項目8)
標的化オリゴヌクレオチド構築物であって、該構築物は、以下:
生物中のある部位に局在化する標的化部分;
目的の核酸に相補的なオリゴヌクレオチド;および
治療剤、
を含む、標的化オリゴヌクレオチド構築物。
(項目9)
前記標的化部分が、脂質、抗体、レクチン、リガンド、糖、ステロイド、ホルモン、栄養
素およびタンパク質から選択される、請求項8に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築物

(項目10)
前記治療剤が、酵素、酵素インヒビター、レセプターリガンド、放射性同位体、抗生物質
、ステロイド、ホルモン、ポリペプチド、糖ペプチド、リン脂質および薬物から選択され
る、請求項8に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築物。
(項目11)
前記オリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびアンチセンスオリゴ
ヌクレオチドアナログから選択される、請求項8に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築
物。
(項目12)
前記治療剤および前記標的化部分が、前記オリゴヌクレオチドにカップリングされる、請
求項8に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築物。
(項目13)
前記オリゴヌクレオチドおよび前記治療剤が、前記標的化部分にカップリングされる、請
求項8に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築物。
(項目14)
前記標的化部分および前記オリゴヌクレオチドが、前記治療剤にカップリングされる、請
求項8に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築物。
(項目15)
標的化オリゴヌクレオチド構築物を調製するための方法であって、該方法は、以下:
生物中のある部位に局在化する標的化部分を、目的の核酸に相補的なオリゴヌクレオチ
ドに接続することによって、結合体を形成する工程;および
検出可能な標識を、該結合体に接続する工程、
を包含する、方法。
(項目16)
標的化オリゴヌクレオチド構築物を調製するための方法であって、該方法は、以下:
生物中のある部位に局在化する標的化部分を、検出可能な標識に接続することによって
、結合体を形成する工程;および
目的の核酸に相補的なオリゴヌクレオチドを、該結合体に接続する工程、
を包含する、方法。
(項目17)
標的化オリゴヌクレオチド構築物を調製するための方法であって、該方法は、以下:
検出可能な標識を、目的の核酸に相補的なオリゴヌクレオチドに接続することによって
、結合体を形成する工程;および
生物中のある部位に局在化する標的化部分を、該結合体に接続する工程、
を包含する、方法。
(項目18)
標的化オリゴヌクレオチド構築物を調製するための方法であって、該方法は、以下:
生物中のある部位に局在化する標的化部分を、目的の核酸に相補的なオリゴヌクレオチ
ドに接続することによって、結合体を形成する工程;および
治療剤を、該結合体に接続する工程、
を包含する、方法。
(項目19)
標的化オリゴヌクレオチド構築物を調製するための方法であって、該方法は、以下:
生物中のある部位に局在化する標的化部分を、治療剤に接続することによって、結合体
を形成する工程;および
目的の核酸に相補的なオリゴヌクレオチドを、該結合体に接続する工程、
を包含する、方法。
(項目20)
標的化オリゴヌクレオチド構築物を調製するための方法であって、該方法は、以下:
治療剤を、目的の核酸に相補的なオリゴヌクレオチドに接続することによって、結合体
を形成する工程;および
生物中のある部位に局在化する標的化部分を、該結合体に接続する工程、
を包含する、方法。
(項目21)
請求項1に記載の標的化オリゴヌクレオチド構築物を細胞に導入するための方法であって
、細胞を請求項1に記載の標的化オリゴヌクレオチドと接触させて、その結果、該標的化
オリゴヌクレオチドが該細胞に導入される工程、を包含する、方法。
(項目22)
前記細胞がインビトロである、請求項21に記載の方法。
(項目23)
患者における生理学的状態を処置するための方法であって、該生理学的状態を処置するの
に十分な量の請求項8に記載の標的化構築物を投与する工程を包含する、方法。
(項目24)
被験体における生理学的状態を画像化するための方法であって、該方法は、以下:
該被験体に請求項1に記載の標的化構築物を投与する工程;および
該患者において前記標識を検出する工程、
を包含する、方法。
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明は、少なくとも3つの部分:標的化部分(T.M.)、核酸(N.A.)、およ
びペイロードを含む核酸構築物を提供する。標的化部分は、特定の標的領域に局在化する
際、標的細胞に入る際、および/または標的レセプターに結合する際に、構築物を補助す
る任意の分子構造であり得る。核酸は、標的領域もしくは標的細胞において活性であるか
、またはこの領域もしくは細胞に存在することが既知であるか、あるいはこのことが予想
される核酸(例えば、DNA、RNAなど)に相補的であるように選択された、オリゴヌ
クレオチドであり得る。例えば、核酸は、細胞に感染すると疑われるウイルスのRNAも
しくはDNA、特定の型の腫瘍細胞において発現される核酸、または異常な状態もしくは
組織型と関係する任意の他の核酸に対して相補的な、アンチセンスオリゴヌクレオチドで
あり得る。ペイロードは、治療剤(例えば、薬物、放射線治療用原子など)、検出可能な
標識(例えば、蛍光、放射能、放射性不透物質など)、またはインビボもしくはインビト
ロである部位もしくは細胞型(例えば、異常な状態の部位または組織型)に送達されるこ
とが所望される任意の他の薬剤であり得る。好ましい複合体は、標的細胞により内在化さ
れる前の有意なアンカップリングを防ぐのに十分に安定である。しかし、複合体は、標的
細胞内の適切な条件下で除去可能(clearable)であり得る。標的化構築物は、
1を超えるペイロード(例えば、治療剤および検出可能な標識、薬物ならびに治療用原子
など)を含み得る。標的化構築物の種々の部分は、以下でさらにより詳細に議論される。
【0018】
(定義)
本明細書中で用いられる場合、以下の用語および句は、以下に示される意味を有する。
【0019】
用語「抗体」は、本明細書中で用いられる場合、例えば、任意のアイソタイプの完全抗
体(IgG、IgA、IgM、IgEなど)を含むことが意図され、そしてそのフラグメ
ント(これもまた、脊椎動物(例えば、哺乳動物)のタンパク質と特異的に反応性である
)を含む。抗体は、従来の技術を用いてフラグメント化され得、そしてフラグメントは、
完全抗体について上記されるのと同じ様式における有用性についてスクリーニングされ得
る。従って、この用語は、特定のタンパク質と選択的に反応し得る、抗体分子のタンパク
質分解的切断された部分または組み換え的に調製された部分のセグメントを含む。このよ
うなタンパク質分解フラグメントおよび/または組み換えフラグメントの非制限的な例と
しては、Fab、F(ab’)2、Fab’、Fv、ならびにペプチドリンカーにより連
結されたV[L]ドメインおよび/またはV[H]ドメインを含む単鎖抗体(scFv)
が挙げられる。このscFvは、2つ以上の結合部位を有する抗体を形成するために共有
結合または非共有結合され得る。本発明は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、
または抗体の他の精製した調製物および組み換え抗体を含む。
【0020】
「アンチセンス」核酸とは、(例えば、転写および/または翻訳を阻害することによっ
て)発現を阻害するような細胞条件下で、核酸(例えば、細胞のmRNAおよび/または
ゲノムDNA)と特異的にハイブリダイズする(例えば、結合する)核酸をいう。この結
合は、従来の塩基対相補性によってか、または例えば、DNA二重鎖に結合する場合には
、二重らせんの主溝における特異的相互作用を介し得る。
【0021】
「相補的な」核酸とは、この用語が本明細書中で使用される場合、高度にストリンジェ
ントな条件下または中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るのに十分
な相補性を有し、それによって安定な二重鎖を形成する、配列をいう。「完全に相補的な
」核酸とは、ヌクレオチド配列を有する核酸をいい、ここで、一方の核酸の各塩基は、他
方の核酸の各塩基に相補的であり、これによって、これら2つの核酸の相補的配列の各位
置にて、塩基対形成が可能になる。
【0022】
「結合体化」とは、イオン結合、または好ましくは、共有結合(例えば、架橋剤を介す
る)を意味する。
【0023】
語、標的化治療剤または画像化剤の「有効量」とは、感染、腫瘍または他の標的を、排
除、低減または維持する(例えば、それらの伝播を防止する)のに必要な量または十分な
量をいう。この有効量は、処置される疾患もしくは状態、投与される特定の標的化構築物
、被験体の大きさ、または疾患もしくは状態の重篤度のような因子に依存して、変更され
得る。当業者は、過度な実験を要さず、特定の化合物の有効量を経験的に決定することが
できる。
【0024】
「フォレート(folate)」とは、この用語が本明細書中で使用される場合、葉酸
、またはその誘導体もしくはアナログ、またはフォレートレセプターに結合する関連化合
物をいう。葉酸、フォリン酸、プテロポリグルタミン酸(pteropolygluta
mic acid)、およびフォレートレセプター結合プテリジン(例えば、テトラヒド
ロプテリン、ジヒドロフォレート、テトラヒドロフォレート、ならびにそれらのデアザア
ナログおよびジデアザアナログ)は、本発明に従って使用される好ましい複合体形成リガ
ンドである。用語「デアザ」アナログおよび「ジデアザ」アナログとは、天然に存在する
葉酸構造において、1個または2個の窒素原子が炭素原子で置換されている、当該分野で
認識されているアナログをいう。例えば、デアザアナログとしては、1−デアザアナログ
、3−デアザアナログ、5−デアザアナログ、8−デアザアナログ、および10−デアザ
アナログが挙げられる。ジデアザアナログとしては、例えば、1,5−ジデアザアナログ
、5,10−ジデアザアナログ、8,10−ジデアザアナログ、および5,8−ジデアザ
アナログが挙げられる。本発明のための複合体形成リガンドとして有用な他のフォレート
は、フォレートレセプター結合アナログアミノプテリン、アメトプテリン(メトトレキサ
ート)、N10−メチルフォレート、2−デアミノ−ヒドロキシフォレート、デアザアナ
ログ(例えば、1−デアザメトプテリンまたは3−デアザメトプテリン)、および3’,
5’−ジクロロ−4−アミノ−4−デオキシ−N10−メチルプテロイルグルタミン酸(
ジクロロメトトレキサート)である。フォレートレセプターに結合して、構築物のレセプ
ター媒介性エンドサイトーシス輸送を開始し得る他の適切なリガンドとしては、フォレー
トレセプターに対する抗イディオタイプ抗体が挙げられる。
【0025】
「ヒトモノクローナル抗体」または「ヒト化」マウス抗体とは、これらの用語が本明細
書中で使用される場合、例えば、欧州特許出願公開番号0,411,893 A3に開示
される様式と類似の様式で、マウスFv領域(すなわち、抗原結合部位を含む)またはそ
の相補性決定領域をコードするヌクレオチド配列を、少なくともヒト定常ドメイン領域お
よびFc領域をコードするヌクレオチド配列で遺伝子組換えすることによって「ヒト化さ
れた」、マウスモノクローナル抗体をいう。いくつかのさらなるマウス残基はまた、ヒト
可変領域のフレームワークドメイン内に保持されて、適切な標的部位結合特徴を確実にし
得る。ヒト化抗体は、宿主レシピエントの抗体またはポリペプチドの免役反応性を減少す
ると認識され、これによって、半減期が増加されかつ有害な免役反応の可能性が低下され
得る。
【0026】
「画像化剤」とは、標的と結合する際に検出可能な画像を生成し得る組成物を意味し、
これらとしては、放射性核種(例えば、In−111、Tc−99m、I−123、I−
125 F−18、Ga−67、Ga−68)が挙げられ、陽子射出断層撮影法(PET
)およびシングルフォトンエミッショントモグラフィー(SPECT)については、不対
スピン原子および遊離ラジカル(例えば、Fe、ランタニド、およびGd)が挙げられ、
そして磁気共鳴画像法(MRI)については、造影剤(例えば、キレート化(DTPA)
マンガン)が挙げられる。
【0027】
「核酸」とは、デオキシリボ核酸(DNA)、および適切な場合、リボ核酸(RNA)
のようなポリヌクレオチドをいう。この用語はまた、ヌクレオチドアナログから作製され
るRNAまたはDNAのいずれかの等価物、アナログを含み、かつ適用可能な場合、記載
される一本鎖(センス鎖またはアンチセンス鎖)ポリヌクレオチドおよび二本鎖ポリヌク
レオチドである実施形態のように、理解されるべきである。この用語は、オリゴヌクレオ
チド(例えば、約100塩基以下、より好ましくは約50塩基未満、そして最も好ましく
は約25塩基未満を含む配列)を包含する。
【0028】
用語「ペイロード(payload)」は、治療剤(例えば、薬物、放射線療法用の原
子など)、検出可能な標識(例えば、蛍光標識、放射性標識、放射線不透過性標識など)
、または標的部位(例えば、異常状態の部位)に送達されることが所望される他の任意の
部分を含む。
【0029】
「薬学的に受容可能なキャリア」は、標的化治療剤と同時に投与され得る物質を含むこ
とが意図され、そしてこれによって、化合物がその意図される機能を果たすことが可能に
なる。このようなキャリアの例としては、溶液、溶媒、分散媒体、遅延剤、エマルジョン
などが挙げられる。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体の使用は、当該分野で周
知である。標的化構築物とともに使用するのに適切な任意の他の従来のキャリアもまた、
本発明の範囲内である。
【0030】
「低分子」とは、約2000amu未満、好ましくは、約1000amu未満、そして
なおさらに好ましくは、約500amu未満の分子量を有する組成物をいう。
【0031】
「被験体」とは、ヒトまたは非ヒト動物(例えば、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ウ
シ(cow)、ブタ、ウマ、ヒツジ(sheep)、ヒツジ(ovine)、ウシ(bo
vine)、サル、ネコ、イヌ、ヤギなど)を意味する。
【0032】
「標的」とは、標的化構築物が結合する、インビボ部位またはインビトロ部位を意味す
る。好ましい標的は、腫瘍(例えば、脳腫瘍、肺腫瘍(小細胞または非小細胞)、卵巣腫
瘍、前立腺腫瘍、胸部腫瘍および結腸腫瘍、ならびに他の癌腫および肉腫)である。別の
好ましい標的は、(例えば、細菌、ウイルス(例えば、HIVウイルス、疱疹ウイルス、
肝炎ウイルス)および病原性真菌(Candida sp.)による)感染部位である。
特に好ましい標的感染生物は、薬物耐性である生物(例えば、腸内細菌科、エンテロコッ
カス属、インフルエンザ菌、ヒト型結核菌、淋菌、熱帯熱マラリア原虫、緑膿菌、志賀赤
痢菌、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌)である。標的は、標的化部分が結合する分子構造
(例えば、ハプテン、エピトープ、レセプター、dsDNAフラグメント、炭水化物、ま
たは酵素)をいい得る。さらに、この標的は、組織型(例えば、ニューロン組織、腸組織
、膵臓組織など)であり得る。特定の例示的な組織が、以下の表1および表2に提供され
る。
【0033】
本発明の方法で標的として作用し得る「標的細胞」としては、酵母、植物細胞および動
物細胞(例えば、ヒト細胞)を含む、原核生物および真核生物が挙げられる。本発明の方
法を使用して、インビトロ(すなわち、細胞培養物中)またはインビボにおける生存細胞
の細胞機能を改変し得、ここでこの細胞は、植物組織または動物組織の一部を形成するか
、またはさもなければ、植物組織または動物組織中に存在する。従って、この細胞は、例
えば、成長植物の根、茎または葉を形成し得、そして本発明の方法は、標的化構築物と標
的化された細胞との接触を促進する任意の様式で、このような植物細胞に対して実施され
得る。あるいは、この標的細胞は、動物の組織の一部を形成し得る。従って、これらの標
的細胞としては、例えば、以下が挙げられる:消化管の管壁細胞(例えば、口腔粘膜およ
び咽頭粘膜)、小腸の絨毛を形成する細胞、大腸の管壁細胞、本発明の複合体の吸入によ
って接触され得る、動物の呼吸器系(鼻腔/肺)の管壁細胞、経皮細胞/表皮細胞、なら
びに膣および直腸の細胞、内臓細胞(胎盤細胞、およびいわゆる血液/脳関門を含む)な
ど。
【0034】
「標的化構築物(targeting construct)」または「標的化構築物
(targeted construct)」とは、標的化部分(T.M.)、核酸(N
.A.)およびペイロードを含む、分子複合体をいう。これらの要素のうちの少なくとも
2つは、好ましくは互いに共有結合する。「共有結合性の標的化複合体」とは、本明細書
中でさらに記載されるように、その標的化部分、核酸およびペイロードが互いに共有結合
している標的化複合体をいう。
【0035】
「標的化オリゴヌクレオチド構築物」とは、その核酸がオリゴヌクレオチドである、標
的化構築物をいう。
【0036】
用語「標的化部分」とは、その構築物が、特定の標的領域に局在化し、標的細胞に侵入
し、そして/または標的レセプターに結合するのを補助する、任意の分子構造をいう。例
えば、脂質(カチオン性脂質、中性脂質、およびステロイド性脂質、ビロゾーム、および
リポソームを含む)、抗体、レクチン、リガンド、糖、ステロイド、ホルモン、栄養分、
およびタンパク質が、標的化部分として作用し得る。
【0037】
「治療剤」とは、宿主に対する生物学的影響を有し得る薬剤を意味する。好ましい治療
剤は、腫瘍または感染の(全身的または局所的な)確立または増殖を予防し得る。例とし
ては、ホウ素含有化合物(例えば、カルボラン)、化学療法ヌクレオチド、薬物(例えば
、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤)、エンジイン(enediyne)(例えば、カ
リケマイシン(calicheamicin)、エスペラマイシン(esperamic
in)、ジネマイシン(dynemicin)、ネオカルチノスタチン(neocarz
inostatin)発色団、およびケダルシジン(kedarcidin)発色団、重
金属錯体(例えば、シスプラチン)、ホルモンアンタゴニスト(例えば、タモキシフェン
)、非特異的(非抗体)タンパク質(例えば、糖オリゴマー)、オリゴヌクレオチド(例
えば、標的核酸配列(例えば、mRNA配列)に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチ
ド)、ペプチド、光力学的薬剤(例えば、ローダミン123)、放射性核種(例えば、I
−131、Re−186、Re−188、Y−90、Bi−212、At−211、Sr
−89、Ho−166、Sm−153、Cu−67およびCu−64)、毒素(例えば、
リシン)、および転写に基づく医薬、が挙げられる。腫瘍の確立または増殖を処置または
予防するための好ましい実施形態において、治療剤は、放射線核種、毒素、ホルモンアン
タゴニスト、重金属錯体、オリゴヌクレオチド、化学療法ヌクレオチド、ペプチド、非特
異的(非抗体)タンパク質、ホウ素化合物またはエンジインである。細菌感染の確立また
は増殖を処置または予防するための好ましい実施形態において、この治療剤とは、抗生物
質、放射線核種またはオリゴヌクレオチドである。ウイルス感染の確立または増殖を処置
または予防するための好ましい実施形態において、この治療剤とは、抗ウイルス化合物、
放射線核種、またはオリゴヌクレオチドである。真菌感染の確立または増殖を処置または
予防するための好ましい実施形態において、この治療剤とは、抗真菌化合物、放射線核種
、またはオリゴヌクレオチドである。治療剤は、細胞の増殖を遅延もしくは阻害すること
によるか、または細胞を殺傷するかもしくは細胞における細胞死(アポトーシス)を誘導
することによって、治療効果を有し得る。
【0038】
疾患の「処置」とは、少なくとも1つの疾患の症状を、改善、治癒、または予防するこ
とをいう。
【0039】
(I.標的化部分)
構築物の、特定の標的領域への局在化、標的細胞への進入および/または標的レセプタ
ーへの結合を補助する標的化部分は、処置または画像化されるべき特定の状態または部位
に基づき選択され得る。標的化部分は、任意の多数の異なる化学実体をさらに含み得る。
1つの実施形態において、この標的化部分は、低分子である。
【0040】
レセプター媒介エンドサイトーシス活性が、外因性分子(例えば、タンパク質および核
酸)を細胞送達するために利用されてきた。一般的に、特定のリガンドが、目的の外因性
分子(すなわち外因性化合物)への共有結合、イオン結合、または水素結合により化学的
に結合体化され、結合体において標的レセプターによりなお認識される部分(リガンド部
分)を有する結合体分子を形成する。この技術を用いて、光毒性のタンパク質であるソラ
レンが、インスリンに結合体化され、そしてインスリンレセプターエンドサイトーシス経
路により内在化され(Gasparro、Biochem.Biophys.Res.C
omm.141(2)、pp.502−509、1986年12月15日);ガラクトー
ス末端アシアログリコプロテインについての肝細胞特異的レセプターが、DNAプラスミ
ドに非共有複合体化されたアシアロオルソムコイド−ポリ−L−リジンの肝細胞特異的な
膜貫通送達のために利用されており(Wu,G.Y.、J.Biol.Chem.、26
2(10)、pp.4429−4432、1987);上皮増殖因子についての細胞レセ
プターが、細胞内部への、EGFに共有結合したポリヌクレオチドの送達のために利用さ
れており(Myers、欧州特許出願番号86810614.7(1998年6月6日公
開));有機金属ビタミンB12−内性因子複合体に対する腸内に位置する細胞レセプタ
ーが、脊椎動物宿主の循環系への、ビタミンB12と複合体化した薬物、ホルモン、生体
活性ペプチドまたは免疫源の送達を媒介するために用いられており、そして経口投与を介
して腸に送達されている(Russell−Jonesら、欧州特許出願番号86307
849.9(1987年4月29日公開));マンノース−6−ホスフェートレセプター
が、細胞への低密度リポタンパク質を送達するために用いられている(Murray,G
.J.およびNeville,D.M.Jr.、J.Bio.Chem,Vol.255
(24),pp.1194−11948,1980);コレラ毒素結合サブユニット結合
レセプターが、インスリンレセプターを欠く細胞にインスリンを送達するために用いられ
ている(RothおよびMaddox,J.Cell.Phys.Vol.115,p.
151、1983);そしてヒト絨毛膜ゴナドトロピンレセプターが、細胞を殺傷するた
めに、HCGに結合されたリシンa−鎖を、適切なHCGレセプターを有する細胞に送達
するために使用されている(OeltmannおよびHeath、J.Biol.Che
m、vol.254、p.1028(1979))。
【0041】
特に好ましい実施形態は、ビオチン(天然に存在するビタミン、これは腫瘍および感染
部位に効率的に局在化することが示されている)である。さらに、米国特許第5,716
,594号に記載されるように、造影剤および治療剤は、ビオチンに結合する場合、この
ような部位に首尾よく送達される。別の好ましい低分子の標的化部分は、葉酸である(米
国特許第5,820,847号を参照のこと)。種々の癌は、葉酸レセプターを過剰発現
するので、葉酸は、癌細胞を標的化するのに特に有用である。Ladinoら(Int
J Cancer 1997,73(6):859−6)を参照のこと。リボフラビンお
よびその誘導体は、癌細胞への構築物の送達を標的化するための低分子標的化部分である
(例えば、米国特許第5,688,488号を参照のこと)。さらなる栄養分は、レセプ
ター媒介エンドサイトーシスを誘発すると考えられ、従って、本出願の特許請求の範囲の
有用な標的化部分としては、以下が挙げられる:カルニチン、イノシトール、リポ酸、ニ
コチン酸、パントテン酸、チアミン、ピリドキサール、アスコルビン酸ならびに脂質可溶
ビタミンA、D、EおよびK。低分子の標的化部分の第2の例示的な型は、ステロイド脂
質(例えば、コレステロール)およびステロイドホルモン(例えば、エストラジオール、
テストステロン)などが挙げられる。
【0042】
別の実施形態において、標的化部分は、タンパク質を含み得る。タンパク質の特定の型
は、標的化部位または標的化細胞の既知の特性に基づいて選択され得る。例えば、対応す
る抗原が、標的化部位で提示される場合、プローブは、モノクローナルまたはポリクロー
ナルのいずれかの抗体であり得る。特定のレセプターが、標的化細胞によって発現する状
況において、標的化部分は、レセプターに結合し得るタンパク質またはペプチド擬態性(
peptidomimetic)のリガンドを含み得る。公知の細胞表面レセプターのタ
ンパク質リガンドとしては、以下が挙げられる:低密度のリポタンパク質、トランスフェ
リン、インスリン、フィブリン溶解性酵素、抗HER2、血小板結合タンパク質(例えば
、アネキシン)および生物学的応答調節因子(インターロイキン、インターフェロン、エ
リスロポイエチンおよびコロニー刺激因子を含む)。また、抗EGFレセプター抗体(こ
れは、レセプターへの結合の後、一部が核に移動する)は、標的化細胞核へのArger
エミッターおよび核結合薬物の送達を容易にするための、本発明の使用のための好ましい
標的化部分である。
【0043】
細胞の特定の型に結合する多数のモノクローナル抗体(ヒトにおける腫瘍関連抗原に特
異的なモノクローナル抗体を含む)は開発されている。多数のモノクローナル抗体の中で
使用され得るこのようなモノクローナル抗体は、以下である:抗TACまたは他のインタ
ーロイキン−2レセプター抗体;250キロダルトンのヒト黒色腫関連プロテオグリカン
に対する9.2.27およびNR−ML−05;および全癌(pancarcinoma
)の糖タンパク質に対するNR−LU−10。本発明において使用される抗体は、インタ
クトな(全体の)分子、そのフラグメント、またはその機能的等価物であり得る。抗体フ
ラグメントの例は、F(ab’)、Fab’、FabおよびFvフラグメント(これら
は、従来の方法または遺伝子操作またはタンパク質操作によって生成され得る)である。
【0044】
他の好ましい標的化部分は、標的化特異的レセプターによって認識される糖(例えば、
グルコース、フコース、ガラクトース、マンノース)が挙げられる。例えば、本出願の特
許請求の範囲の構築物は、マンノース残基(例えば、遊離窒素にC−グリコシドとして結
合する)とグリコシル化して、腫瘍発現マンノースレセプター(例えば、膠芽細胞腫およ
び神経節細胞腫)および細菌(これもまた、マンノースレセプターを発現することが公知
である)(Bertozzi,CR and MD Bednarski Carboh
ydrate Research 223:243(1992);J.Am.Chem.
Soc.114:2242,5543(1992))ならびに潜在的な他の病原性因子に
対して高親和性結合を有する標的化構築物を得ることができる。特定の細胞(例えば、悪
性細胞および血液細胞(例えば、A、AB、Bなど))は、対応するレクチンが標的化部
分として役立ち得る特定の炭水化物を提示する。
【0045】
本発明において、標的化部分としての使用に適切であり得るさらなるリガンドとしては
、ハプテン、エピトープ、およびdsDNAフラグメントならびにそのアナログおよび誘
導体が挙げられる。このような部分は、抗体、そのフラグメントまたはアナログ(擬態性
タンパク質(ハプテンおよびエピトープに対して)およびZincフィンガータンパク質
(dsDNAフラグメントに対して)を含む)に特異的に結合する。
【0046】
(表I.例示的標的化および標的化部分)
【0047】
【表1】


(表II.例示的組織選択性標的化部分)
【0048】
【表2】


抗体は、細胞表面上に特定の抗原を発現する細胞を標的化する有効な手段であり、従っ
て、特定の細胞(例えば、癌細胞または特定の組織由来の細胞)を選択的に標的化するた
めに使用され得る。さらに、抗体は、標準のプロトコルを使用することによって作製され
得る(例えば、Antibodies:A Laboratory Manual,Ha
rlowおよびLane編(Cold Spring Harbor Press:19
88)を参照のこと)。哺乳動物(例えば、マウス、ハムスターまたはウサギ)は、ペプ
チドの免疫原性形態を用いて免疫化され得る(例えば、抗体応答を誘発し得るポリペプチ
ドまたは抗原性フラグメント、もしくは上記のような融合タンパク質)。
【0049】
1つの例示的な技術において、ポリペプチドの抗原性調製を用いて動物を免疫化した後
、抗血清、所望される場合、血清から単離されたポリクローナル抗体を得ることができる
。モノクローナル抗体を産生するために、抗体産生細胞(リンパ球)は、免疫化動物から
回収され得、そして不死化細胞(例えば、骨髄腫細胞)を用いて、標準的な体細胞融合手
順によって融合され得、ハイブリドーマ細胞を得る。このような技術は、当該分野で周知
であり、そして例えば、以下の技術が挙げられる:ハイブリドーマ技術(Kohlerお
よびMilstein,(1975) Nature,256: 495−497によっ
て本来開発された)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbarら(1983)Im
munology Today,4:72)およびヒトモノクローナル抗体を産生するた
めのEBVハイブリドーマ技術(Coleら(1985)Monoclonal Ant
ibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,I
nc.pp.77−96)。ハイブリドーマ細胞は、本発明のポリペプチドと特異的に反
応する抗体およびこのようなハイブリドーマ細胞を含む培養物から単離されたモノクロー
ナル抗体の産生のために免疫化学的にスクリーニングされ得る。
【0050】
本明細書中で使用される場合、用語抗体は、本発明の哺乳動物ポリペプチドの1つと、
また特異的に反応するそのフラグメントを含むことが意図される。抗体は、従来の技術を
使用してフラグメント化され得、そのフラグメントは、全体の抗体についての上記と同様
の様式で有用性についてスクリーニングされ得る。例えば、F(ab)フラグメントは
、ペプシンを用いて抗体を処理することによって生成され得る。この得られたF(ab)
フラグメントは、ジスルフィド結合を還元するように処理され、Fabフラグメントを
生成し得る。本発明の抗体は、二特異的(bispecific)、単鎖ならびにキメラ
および少なくとも1つの抗体のCDR領域によって与えられた本発明のタンパク質に対し
て親和性を有するヒト化分子を含むことが意図される。
【0051】
好ましい標的化部分は、少なくとも約10−6M,好ましくは10−7M、より好まし
くは10−8Mおよび最も好ましくは10−9MのKの親和性でそれぞれの標的化分子
への構築物の結合を容易にする。そのレセプターに対する標的化部分の結合は、標的化部
分の有意な量が、標的化部分が細胞に取り込まれるのを可能にするのに十分に長く結合す
るのを可能するのに十分であるべきである。レセプターに対するリガンドの親和性は、当
該分野で周知の方法によって決定され得る。
【0052】
好ましい標的化構築物は、インビボで投与される場合、高い標的化対非標的化の比を示
す。好ましい比率は、少なくともも2:1であり、より好ましくは少なくとも3:1であ
り、そして最も好ましくは少なくとも5:1である(すなわち、標的化部分が、他のレセ
プターに対して、2倍、3倍または5倍より多くその特定のレセプターに結合する)。特
定の実施形態において、標的化構築物は、被験体またはインビトロで特定の細胞に局所的
に投与される。このような実施形態において、標的化構築物は異なる組織上に到達しない
ので、標的化部分はまた、このような部位に局在化される細胞表面分子と相互作用し得る
という結果にはならないようである。従って、標的化部分の特定のレベルは、因子(例え
ば、標的化構築物の投与の型)に依存する。
【0053】
標的化レセプター以外の構造に対する標的化部分の反応性は、アッセイ(例えば、標的
化部分を標識するかまたは標識した標的化構築物を使用して;組織切片とインキュベート
し;そして標識の位置を決定する)によって決定され得る。アッセイはまた、動物(例え
ば、マウスまたはラット)で行なわれ得る。例えば、標的化構築物は、非ヒト動物に投与
され得、そして種々の位置に存在する構築物の量は、例えば、実施例に記載されるように
測定される。
【0054】
特定の実施形態において、標的化構築物は、内在化ポリペプチド配列(例えば、ant
epennepediaタンパク質、HIVトランス活性化(Tat)タンパク質、マス
トパラン(T.Higashijimaら(1990)J.Biol.Chem.265
:14176)、メリチン、ボムボリチン(bombolittin)、δ溶血素、パー
ダキシン(pardaxin)、Pseudomonas外毒素A、クラスリン、ジフテ
リア毒素、C9補体タンパク質または前記タンパク質のうちの1つのフラグメント)を含
み得る。内在化ペプチドは、例えば、トランスサイトーシスによって、相対的に高い割合
で、細胞膜を横断し得、それによってそれらが結合する分子の細胞性取り込みを促進する
。特定の内在化ポリペプチド(例えば、Tat)はまた、核または他の細胞構造に局在す
ることが公知である。従って、このような内在化ペプチド配列を含む本発明の標的化構築
物は、このような配列を欠損する構築物に対して、標的化細胞による増加した取り込みを
示し得る。
【0055】
内在化ポリペプチドは、標的化部分の一部であり得るか、または標的化構築物の分離要
素であり得る。本発明の1つの実施形態において、内在化ポリペプチドは、標的化部分と
して役立つ(このような標的化部分の以下の実施例を参照のこと)。別の実施形態におい
て、内在化ポリペプチドは、標的化構築物の1つ以上の他の要素に共有結合される。例え
ば、内在化ポリペプチドは、標的化部分;核酸;ペイロード;標的化部分および核酸;ま
たは標的化部分およびペイロードに結合され得る。標的化構築物中の内在化ポリペプチド
の好ましい位置は、例えば、標的化細胞、標識された標的化構築物を使用してインビトロ
アッセイを行い、そして細胞に取り込まれる標識の量の測定することよって決定され得る

【0056】
1つの実施形態において、内在化ポリペプチドは、drosophila antep
ennepediaタンパク質またはそのホモログから誘導される。60アミノ酸長のホ
メオドメインのホメオタンパク質antepennepediaは、生物学的膜を通して
転移することが示されており、そして対である異種のポリペプチドの転移を促進し得る。
例えば、Derossiら(1994)J Biol Chem 269:10444−
10450;Perezら(1992)J Cell Sci 102:717−722
を参照のこと。近年、このタンパク質の16アミノ酸長と同じぐらい小さいフラグメント
が内在化を駆動するのに十分であることが証明された。Derossiら(1996)J
Biol Chem 271:18188−18193を参照のこと。本発明は、標的
化構築物単独に対して、統計的に有意な量で、標的化構築物の膜貫通輸送を増加するのに
十分なantepennepediaタンパク質(またはそのホモログ)の少なくとも一
部を含む標的化構築物を意図する。
【0057】
内在化ペプチドの別の例は、HIVトランス活性化(TAT)タンパク質である。この
タンパク質は、4つのドメインに分けられる明らかである(Kuppuswamyら(1
989)Nucl.Acids Res.17:3551−3561)。精製TATタン
パク質は、組織培養物中の細胞によって取り込まれ(Frankelら(1989)Ce
ll 55:1189−1193)、そしてペプチド(例えば、TATの37〜62残基
に対応するフラグメント)は、インビトロで細胞によって迅速に取り込まれる(Gree
nら(1989)Cell 55:1179−1188)。高度な塩基性領域は、内在化
および核に対する内在化部分の標的化を媒介する(Rubenら(1989)J.Vir
ol.63:1−8)。高度な塩基性領域(例えば、CFITKALGISYGRKKR
RQRRRPPQGS(配列番号1))に存在する配列を含むペプチドまたはアナログは
、標的化構築物に結合体化し、内在化および細胞内の環境に対してこの構築物を標的化す
ることを助ける。
【0058】
いずれの特定の理論によって束縛されることを望まず、親水性ポリペプチドはまた、レ
セプター媒介トランスサイトーシスによって膜を横断し得る輸送可能なペプチドに標的化
構築物を結合するか、または結合体化することによって、膜バリアを横切って生理学的に
輸送され得る。この型の適切な内在化ペプチドは、例えば、ヒストン、インスリン、トラ
ンスフェリン、塩基性アルブミン、プロラクチンおよびインスリン様増殖因子I(IGF
−I)、インスリン様増殖因子(IGF−II)または他の増殖因子の全てまたは一部を
使用して生成され得る。例えば、インスリンフラグメント(これは、毛細管細胞上のイン
スリンレセプターに対して親和性を示し、そして血糖の減少において、インスリンよりも
効果的でない)は、レセプター媒介トランスサイトーシスによって膜貫通輸送し得る。好
ましい増殖因子由来内在化ペプチドとしては、例えば、以下が挙げられる:EGF(上皮
増殖因子)由来ペプチド(例えば、CMHIESLDSYTC(配列番号2)およびCM
YIEALDKYAC(配列番号3));TGF−β(形質転換増殖因子β)由来ペプチ
ド;PDGF由来ペプチド(血小板由来増殖因子)またはPDGF−2;IGF−I由来
ペプチド(インスリン様増殖因子)またはIGF−II;およびFGF(線維芽細胞増殖
因子)由来ペプチド。親水性ポリペプチドは、標的化構築物中に含まれ得るか、または標
的化部分を構成し得る。
【0059】
転移/内在化ペプチドの別のクラスは、pH依存膜結合を示す。酸性pHでらせん状の
コンホメーションを想定する内在化ペプチドについて、内在化ペプチドは、両親媒性の特
性(例えば、疎水性界面および親水性界面の両方を有する)を取得する。より詳細には、
pH約5.0〜5.5の範囲内で、内在化ペプチドはα−らせんを形成し、両親媒性構造
は、標的化膜への部分の挿入を促進する。α−ヘリックス誘発酸性pH環境は、例えば、
細胞のエンドソーム内に存在する低いpH環境において見出され得る。このような内在化
ペプチドを使用して、エンドソーム区画から細胞質へとエンドサイトーシスの機構によっ
て取り込まれる標的化構築物の輸送を促進し得る。
【0060】
好ましいpH依存膜結合内在化ペプチドとしては、高いパーセンテージのヘリックス形
成残基(例えば、グルタミン、メチオニン、アラニンおよびロイシン)が挙げられる。さ
らに、好ましい内在化ペプチド配列としては、pH5〜7の範囲内でpKaを有するイオ
ン化残基が挙げられ、その結果、十分に荷電していない膜結合ドメインは、標的化細胞膜
への挿入を可能にするpH5でペプチド内に存在する。
【0061】
この点に関して、特に好ましいpH依存的膜結合性内部移行ペプチドは、aa1−aa
2−aa3−EAALA(EALA)4−EALEALAA−アミド(配列番号4)であ
り、これは、Subbaraoら(Biochemistry 26:2964(198
7))のペプチド配列の改変物を表す。このペプチド配列において、最初のアミノ酸残基
(aa1)は、好ましくは、標的化タンパク質結合体への内部移行ペプチドの化学的結合
体化を容易にする独特な残基(例えば、システインまたはリジン)である。アミノ酸残基
2〜3は、異なる膜に対する内部移行ペプチドの親和性を調節するように選択され得る。
例えば、残基2および3の両方がlysまたはargである場合、この内部移行ペプチド
は、負の表面電荷を有する脂質の膜または部分(patch)に結合する能力を有する。
残基2〜3が中性アミノ酸である場合、この内部移行ペプチドは、中性の膜に挿入する。
【0062】
さらに他の好ましい内部移行ペプチドとしては、以下が挙げられる:アポ−リポタンパ
ク質A−1およびBのペプチド;ペプチド毒素(例えば、メリチン、ボンボリチン(bo
mbolittin)、δ溶血素およびパルダキシン(pardaxin));抗生ペプ
チド(例えば、アラメチシン(alamethicin));ペプチドホルモン(例えば
、カルシトニン、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、βエンドルフィン、グルカゴン、副甲
状腺ホルモン、膵ポリペプチド);および多数の分泌タンパク質のシグナル配列に対応す
るペプチド。さらに、例示的な内部移行ペプチドは、酸性pHで内部移行ペプチドのαヘ
リックス特性を増強する置換基の結合を通して改変され得る。
【0063】
本発明における使用のために適切なさらに別のクラスの内部移行ペプチドは、生理的p
Hでは「隠される」が、標的細胞エンドソームの低いpH環境においては露出される、疎
水性ドメインを含む。pHにより誘導されるこの疎水性ドメインのアンフォールディング
および露出に際して、この部分は脂質二重層に結合し、そして細胞の細胞質中への共有結
合性標的化構築物のトランスロケーションをもたらす。このような内部移行ペプチドは、
例えば、Pseudomonas体外毒素A、クラスリンまたはDiphtheria毒
素において同定された配列により模られ得る。
【0064】
孔形成タンパク質または孔形成ペプチドもまた、本明細書における内部移行ペプチドと
して機能し得る。孔形成タンパク質または孔形成ペプチドは、例えば、C9補体タンパク
質、細胞溶解性T細胞分子またはNK細胞分子から得られ得るかまたはそれらから誘導さ
れ得る。これらの部分は、膜において環様の構造を形成し得、それにより、膜を通過し細
胞の内側へと、結合された標的化構築物を輸送させる。
【0065】
単に内部移行ペプチドの膜インターカレーションのみでも、細胞膜を横切る標的化構築
物のトランスロケーションに十分であり得る。しかし、トランスロケーションは、細胞内
酵素の基質(すなわち、「アクセサリーペプチド(accessory peptide
)」)を、内部移行ペプチドに結合させることによって改善され得る。アクセサリーペプ
チドは、細胞膜を通して細胞質側に突き出る内部移行ペプチド部分(1つまたは複数)に
結合されることが好ましい。アクセサリーペプチドは、トランスロケーション/内部移行
部分またはアンカーペプチドの一端に、有利なように結合され得る。本発明のアクセサリ
ー部分は、1つ以上のアミノ酸残基を含み得る。1つの実施形態において、アクセサリー
部分は、細胞のリン酸化のための基質を提供し得る(例えば、アクセサリーペプチドは、
チロシン残基を含み得る)。
【0066】
この点に関して例示的なアクセサリー部分は、GNAAAARR(配列番号5)(Eu
banksら(1988)Peptides.Chemistry and Biolo
gy,Garland Marshall(編),ESCOM,Leiden 566−
69)のような、N−ミリストイルトランスフェラーゼに対するペプチド基質である。こ
の構築物において、内部移行するペプチドは、このアクセサリーペプチドのC末端に結合
される。なぜなら、N末端のグリシンが、このアクセサリー部分の活性に重要であるから
である。このハイブリッドペプチドは、標的化構築物に結合されると、N−ミリスチル化
され、そして細胞膜を横切ってトランスロケーションされる。
【0067】
(II.核酸)
目的の核酸に対して相補的であるように設計された、本標的化構築物のオリゴヌクレオ
チド部分は、関連する遺伝子の転写を阻害し得るか、その遺伝子の発現についてのプロー
ブとして役立ち得るか、細胞における構築物の局在化を補助し得るか、標的細胞による構
築物の保持を促進し得るか、またはそれらの任意に組み合わされた効果を奏し得る。好ま
しい実施形態において、本構築物の核酸部分は、特定の核酸を発現する標的細胞による構
築物の保持を選択的に促進することによって、標的化部分を増強させるために役立つ。
【0068】
本発明のオリゴヌクレオチド部分は、通常のパターンのモノマー−ヌクレオシド相互作
用(例えば、Watson−Crick型の塩基対形成、Hoogsteen型または逆
Hoogsteen型の塩基対形成など)によって、標的ポリヌクレオチドに特異的に結
合し得る任意の高分子化合物を含み得る。オリゴヌクレオチド部分は、その効力、薬物動
態学的特性または物理的特性を増強するために改変され得る。例えば、脂質可溶度の増強
および/またはヌクレアーゼ消化に対する耐性は、アルキルホスホネートオリゴヌクレオ
シドまたはアルキルホスホトリエステルオリゴヌクレオチドを形成するように、ヌクレオ
チド間ホスホジエステル結合におけるリン酸エステルの酸素を、アルキル基またはアルコ
キシ基で置換することによって生じることが知られている。これらのような非イオン性オ
リゴヌクレオチドは、相補的核酸配列と安定な複合体を形成する能力を保持しつつ、ヌク
レアーゼ加水分解に対する耐性を増加し、そして/または、細胞性取り込みを増加するこ
とによって特徴付けられる。特に、アルキルホスホネートは、ヌクレアーゼによる切断に
対して安定であり、かつ脂質に可溶性である。アルキルホスホネートオリゴヌクレオチド
の調製は、Tsoら、米国特許第4,469,863号に開示される。
【0069】
好ましくは、ヌクレアーゼ耐性は、ヌクレアーゼ耐性のヌクレオシド間結合を提供する
ことによって、本発明の構築物に付与される。多くのこのような結合(例えば、ホスホロ
チオエート(ZonおよびGeiser,Anti−Cancer Drug Desi
gn,6:539−568(1991);Stecら,米国特許第5,151,510号
;Hirschbein,米国特許第5,166,387号;Bergot,米国特許第
5,183,885号);ホスホロジチオエート(Marshallら,Science
,259:1564−1570(1993);CaruthersおよびNielsen
,国際出願PCT/US89/02293);ホスホルアミデート(例えば、−OP(=
O)(NR)−O−であってここで、RおよびRは、水素またはC〜C
アルキルである);Jagerら,Biochemistry,27:7237−724
6(1988);Froehlerら,国際出願PCT/US90/03138);ペプ
チド核酸(Nielsenら,Anti−Cancer Drug Design,8:
53−63(1993),国際出願PCT/EP92/01220);メチルホスホネー
ト(Millerら,米国特許第4,507,433号,Ts’oら,米国特許第4,4
69,863号;Millerら,米国特許第4,757,055号);および種々の型
のP−キラル結合)が当該分野で公知であり、特に、ホスホロチオエート(Stecら,
欧州特許出願506,242(1992)およびLesnikowski,Bioorg
anic Chemistry,21:127−155(1993))が知られている。
さらなるヌクレアーゼ耐性結合としては、以下が挙げられる:ホスホロセレノエート、ホ
スホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホルアニリデート、アルキルホ
スホトリエステル(例えば、メチルホスホトリエステルまたはエチルホスホトリエステル
)、カルボネート(例えば、カルボキシメチルエステル)、カルバメート、モルホリノカ
ルバメート、3’−チオホルムアセタール、シリル(例えば、ジアルキル(C〜C
−シリルまたはジフェニルシリル)、スルファメートエステルなど。このような結合およ
びこのような結合をオリゴヌクレオチド中に導入する方法は、多くの文献に記載されてお
り、例えば、一般には、PeymanおよびUlmann,Chemical Revi
ews 90:543−584(1990);Milliganら,J.Med.Che
m.,36:1923−1937(1993);Matteucciら,国際出願PCT
/US91/06855に概説されている。
【0070】
ヌクレアーゼ消化に対する耐性はまた、Dagleら,Nucl.Acids Res
.18,4751−4757(1990)の手順に従って、ホスホロアミダイドで、5’
末端および3’末端の両方のヌクレオチド間結合を改変することによって達成され得る。
【0071】
好ましくは、ホスホジエステル結合のリンアナログ(例えば、ホスホロチオエート、ホ
スホロジチオエート、ホスホルアミデート、またはメチルホスホネート)が、本発明の化
合物に使用される。より好ましくは、ホスホロチオエートが、ヌクレアーゼ耐性結合とし
て使用される。
【0072】
ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド間ホスホジエステル結合にお
いて、酸素に代わる硫黄の置換を含む。ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、荷電
されたホスフェートアナログの水溶性を保持しつつ、二重鎖形成のための有効なハイブリ
ダイゼーション特性と、実質的なヌクレアーゼ耐性とを併せ持つ。電荷は、レセプターを
介する細胞性取り込みの特性を付与すると考えられる(Lokeら,Proc.Natl
.Acad.Sci.,86,3474−3478(1989))。
【0073】
好ましい結合基に加えて、本発明の化合物は、さらなる改変(例えば、ホウ素化塩基(
Spielvogelら、5,130,302号);コレステロール部分(Sheaら,
Nucleic Acids Research,18:3777−3783(1990
)またはLetsingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.,86:65
53−6556(1989));およびピリミジンの5−プロピニル改変(Froehl
erら,Tetrahedron Lett.,33:5307−5310(1992)
))を含み得ることが理解される。
【0074】
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチド部分は、市販の自動化DNA合成装置(例え
ば、Applied Biosystems(Foster City,Calif.)
モデル380B、392または394 DNA/RNA合成装置)において、従来の手段
により合成される。好ましくは、例えば、以下の文献において開示されるような、ホスホ
ルアミダイト化学を使用する:BeaucageおよびIyer,Tetrahedro
n,48:2223−2311(1992);Molkoら,米国特許第4,980,4
60号;Kosterら,米国特許第4,725,677号;Caruthersら,米
国特許第4,415,732号;同第4,458,066号;および同第4,973,6
79号。
【0075】
三重鎖形成が所望される実施形態では、標的配列の選択に対して制限が存在する。一般
的には、Hoogsteen型の結合を介した第3鎖の結合が、二本鎖標的のホモピリミ
ジン−ホモプリン軌跡に沿って最も安定となる。通常、塩基トリプレットは、T−A
またはC−GCモチーフ(ここで、「−」はWatson−Crick対形成を示し、
そして「」は、Hoogsteen型の結合を示す)において形成される;しかし、他
のモチーフもまた可能である。例えば、Hoogsteen塩基対形成は、条件および鎖
の組成に依存して、第3鎖(Hoogsteen鎖)と、その第3鎖が結合する二重鎖の
プリン富化鎖との間において平行および逆平行な方向を可能にする。特定の実施形態にお
いて所望されるような三重鎖の安定性を最大限にするため、さもなくばそのような三重鎖
の安定性を調節するための適切な配列、方向、条件、ヌクレオシド型(例えば、リボース
ヌクレオシドが使用されるか、デオキシリボースヌクレオシドが使用されるか)、塩基改
変(例えば、メチル化シトシンなど)の選択についての広範な指針が、文献において存在
する:例えば、Robertsら,Proc.Natl.Acad.Sci.,88:9
397−9401(1991);Robertsら,Science,58:1463−
1466(1992);Distefanoら,Proc.Natl.Acad.Sci
.,90:1179−1183(1993);Mergnyら,Biochemistr
y,30:9791−9798(1992);Chengら,J.Am.Chem.So
c.,114:4465−4474(1992);BealおよびDervan,Nuc
leic Acids Research,20:2773−2776(1992);B
ealおよびDervan,J.Am.Chem.Soc.,114:4976−498
2;Giovannangeliら,Proc.Natl.Acad.Sci.,89:
8631−8635(1992);MoserおよびDervan,Science,2
38:645−650(1987);McShanら,J.Biol.Chem.,26
7:5712−5721(1992);Yoonら,Proc.Natl.Acad.S
ci.,89:3840−3844(1992);ならびにBlumeら,Nuclei
c Acids Research,20:1777−1784(1992)。
【0076】
オリゴヌクレオチド部分の長さは、多くの文献(例えば、Rosenbergら,国際
出願PCT/US92/05305;またはSzostakら,Meth.Enzymo
l,68:419−429(1979))において説明されるような、特異的な結合が所
望される標的ポリヌクレオチドにおいてのみ生じ、そして他の偶発的な部位では生じない
ことを保証するに十分な大きさであり得る。所望される長さは、いくつかの要因によって
決定され、この要因としては、約30〜40ヌクレオチド長よりも長いオリゴマーの合成
および精製に関する不便さおよび費用、より長いオリゴヌクレオチドはより短いオリゴヌ
クレオチドよりもミスマッチについて寛容性がより高いこと、結合または特異性を増強す
るための改変が存在するか否か、二重鎖結合が所望されるか三重鎖結合が所望されるか、
などが挙げられる。一般的に、本発明において有用なオリゴヌクレオチドは、約12〜6
0ヌクレオチドの範囲の長さを有する。より好ましくは、本発明の化合物は、約15〜4
0ヌクレオチドの範囲の長さを有し;そして最も好ましくは、本発明の化合物は、約18
〜30ヌクレオチドの範囲の長さを有する。
【0077】
一般的に、本発明の実施に用いられるオリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドの
選択した部分に完全に相補的である配列を有する。しかし、完全な相補性は、特に、大き
なオリゴマーでは必須ではない。従って、本明細書中での、標的ポリヌクレオチド「に対
するヌクレオチド配列相補性」との言及は、標的セグメントとの100%の相補性を有す
る配列を意味する必要はない。一般的に、標的(例えば、癌遺伝子のmRNA)と安定な
二重鎖を形成するのに十分な相補性を有する任意のオリゴヌクレオチド(すなわち、「ハ
イブリダイズ可能」であるオリゴヌクレオチド)が、適切である。安定な二重鎖形成は、
ハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの配列および長さ、ならびに標的ポリヌクレオチ
ドとの相補性の程度に依存する。一般的に、ハイプリダイズするオリゴマーが大きくなれ
ば、より多くのミスマッチが容認され得る。1を超えるミスマッチは、約21未満のヌク
レオチドのオリゴマーに適切であり得ない。当業者は、得られた二重鎖の、融解温度、従
って、熱安定性に依存して、任意の所定のオリゴマー配列と標的配列との間で容認され得
る、ミスマッチの程度を容易に決定し得る。
【0078】
本発明のオリゴヌクレオチドにより形成されたハイブリッドの熱安定性は、融解(また
は鎖解離)曲線により決定され得る。50%の鎖解離の温度が、融解温度(T)として
取られ、これは、次いで、安定性の簡便な測定を提供する。T測定は、代表的に、約1
.0と2.0Mとの間の標的濃度およびオリゴヌクレオチド濃度を用いて、中性pHの生
理食塩溶液中で実行される。代表的な条件は、以下の通りである:10mMリン酸ナトリ
ウム緩衝液(pH7.0)または10mM Tris−HCl緩衝液(pH7.0)中に
150mM NaC1および10mM MgC1。融解曲線に関するデ−タは、室温か
ら約85℃にオリゴヌクレオチド/標的ポリヌクレオチド複合体のサンプルを加熱するこ
とにより蓄積される。サンプルの温度を上昇させながら、260nm光の吸収が、例えば
、Cary(Australia)モデルIEまたはHewlett−Packard(
Palo Alto,Calif.)モデルHP8459UV/VlS分光光度計および
モデルHP89100A温度コントローラーなどのような装置を用いて、1℃間隔でモニ
ターされる。このような技術は、異なる長さおよび組成物のオリゴヌクレオチドの結合強
度を測定および比較するための簡便な手段を提供する。
【0079】
特定の実施形態では、核酸部分は、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして機能するこ
とにより、遺伝子の転写を阻害または抑制するように機能し得る。
【0080】
標的ポリヌクレオチドは、mRNAを含む場合、転写物の任意の部分に相補的でありか
っこの部分とハイプリダイズ可能なオリゴヌクレオチドは、原則的には、翻訳を阻害する
ために有効である。細胞により合成される各タンパク質は、特定のメッセンジャ−mRN
A(mRNA)によりコードされるので、このことが生じる。特定のRNAの翻訳が阻害
される場合、この翻訳に由来するタンパク質産物が、同様に低減される。特定の標的mR
NA配列に相補的である(アンチセンス)ように設計されたオリゴヌクレオチド配列は、
標的配列に結合し、それによって、特定のmRNAの翻訳を阻害する。RNAにハイブリ
ダイズして、複合体を形成することにより、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的m
RNAのリボゾームへの結合をブロックして翻訳阻害を生じると考えられる。あるいは、
センス分子およびアンチセンス分子により形成される二重鎖は、分解することがより容易
であり得る。他の理論は、RNA転写を阻害するために、アンチセンスRNAが、相補的
DNAと形成姿勢し得る複合体を記載する。従って、アンチセンスオリゴヌクレオチドは
、翻訳を直接阻害するか、または転写の阻害を通じてかのいずれかによって、所定の遺伝
子産物の翻訳を阻害し得る。
【0081】
翻訳は、開始コドンの部位または開始コドンの付近でmRNAをブロックすることによ
り、最も有効に阻害されると考えられる。従って、mRNA転写物の5’領域に相補的な
オリゴヌクレオチドが好ましい。開始コドン(転写物の翻訳部分の5’末端の第1のコド
ン)またはこの開始コドンに隣接するコドンを含む、標的mRNAに相補的なオリゴヌク
レオチドが好ましい。
【0082】
標的mRNA転写物の5’領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド(特に、開
始コドンを含む領域)が好ましい一方で、有用なアンチセンスオリゴマーはまた、mRN
A転写物の翻訳部分において見出される配列に相補的であるオリゴマーに限定されないが
、5’−非翻訳領域および3’−非翻訳領域中に、またはこれらの領域にわたって、なら
びにプロモ−ター領域およびイントロン中に含まれるヌクレオチド配列に対して相補的な
オリゴマーも含むことが理解されるべきである。特定の実施形態では、標的化構造物は、
「センス」核酸を含む。
【0083】
本発明の範囲内に含まれるものはまた、2つ以上の核酸分子を含む標的化構築物である
。核酸は、同じ遺伝子に指向され得るか、または、これらは、異なる遺伝子に対して指向
され得る(またはこれらに対して相補的であり得る)。例えば、標的細胞が、高レベルの
c−mybRNAおよびc−fosRNAを発現する細胞である場合、標的化構築物は、
c−mybRNAに相補的であるオリゴヌクレオチド、およびc−fosRNAに相補的
であるオリゴヌクレオチドを含み得る。異なる核酸は、互いに共有連結され得るか、また
はこれらは、互いに連結され得ない。
【0084】
標的化構築物の核酸は、好ましくは、一本鎖である。核酸は、好ましくは、約12〜約
100のヌクレオチド、より好ましくは、約12〜約50のヌクレオチド長、および、さ
らにより好ましくは、約15〜約25のヌクレオチド長である。しかし、約100から約
200、500または1000ヌクレオチドを有する核酸もまた、本発明の範囲内である
。より長いヌクレオチドがまた、本発明に従って用いられ得る。本明細書中で用いられる
場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、本明細書中で、一本鎖核酸と交換可能に用いられ
、そしてヌクレオチドの数を限定することを意図しない。
【0085】
例示的標的核酸は、標的細胞において高レベルで発現される、例えば、癌細胞を標的化
する場合、標的核酸は、癌遺伝子のRNA(例えば、c−myc、c−ras、c−fo
s、またはc−jun)に相補的であり得る。rasのアンチセンスインヒビターの臨床
開発に関する潜在性は、例えば、Cowsert,L,M.,Anti−Cancer
Drug Design(1997)12:359−371により議論される。
【0086】
一般的に、核酸を、特定の細胞を標的化するための標的化構築物へと組み込むために選
択する場合、以下のプロトコルに従う。標的細胞において高レベルで発現される1以上の
遺伝子が同定される。このような遺伝子は、文献から公知であり得るか、またはこれらは
同定され得る。例えば、細胞株からRNAが抽出され、RNAからcDNAが合成され、
そしてcDNAは、種々の遺伝子のDNAを含むブロットまたはアレイにハイブリダイズ
される。次いで、1つ以上の標的遺伝子は、ハイブリダイゼーション結果に基づいて選択
され得る。好ましい標的遺伝子は、他の細胞型において(少なくとも、標的細胞に近い細
胞において)有意に発現されないものである。従って、ハウスキーピング遺伝子は、特定
の実施形態についての最良の選択ではないかもしれない。次いで、1つ以上の潜在的標的
遺伝子の異なる部分に相補的であるアンチセンス核酸は、例えば、PCR増幅、または合
成により、調製され得る。次いで、これらの核酸は、標的化構築物へと組み込まれ得、そ
して標的化構築物の組込みおよび保持のレベルは、例えば、実施例に記載されるように、
決定され得る。
【0087】
(IIl.ペイロード(Payload))
本発明の標的化構築物は、標的部位または標的細胞に送達される、広範な種々の化学実
体のいずれかを含み得る。一般的に、ペイロードは、造影剤および治療剤として分類され
得る。造影剤は、例えば、光発光、放射線放射、または化学シグナルによって、放射線(
例えば、x線)を吸収することによって、あるいは、さもなければ、未処理細胞に対して
処理細胞の特徴を変化させることによって、検出可能であるペイロードを含む。治療剤は
、標的部位の異常な状態(例えば、腫瘍または感染)に対抗することによって、好ましく
は、生物学的に活性であるペイロードを含む。
【0088】
標的化構築物において有用な治療剤は、多数の化学実体(例えば、酵素、薬物、放射性
核種、酵素、インヒビターなど)のいずれかであり得る。例えば、治療剤として有用な部
分はとしては、以下が挙げられる:アミノ酸およびその誘導体;鎮痛薬(例えば、アセト
アミノフェン、アスピリン、およびイブプロフェン);ぜん息治療薬;鎮痙薬;抗うつ薬
(例えば、アミトリプチリン、フロキセチン、ノルトリプチリン、およびイミプラミン)
;制吐薬;抗真菌剤(アリアミン、イミダゾール、ポリエン、およびトリアゾールを含む
);抗原およびそれに対する抗体;抗ヒスタミン薬(例えば、クロロフェニラミンおよび
プロモフェニラミン);抗高血圧薬(例えば、クロニジン、メチルドパ、プラゾシン、ベ
ラパミル、ニフェジピン、カプトプリル、およびエナラプリル);抗炎症薬(非ステロイ
ド薬(例えば、アミノアリールカルボン酸誘導体、アリール酢酸誘導体、アリール酪酸誘
導体、アリールカルボン酸、アリールプロピオン酸誘導体、ピラゾール、ピラゾロン、サ
リチル酸誘導体、チアジンカルボキサミドなど)、ならびにステロイド剤(例えば、糖質
コルチコイド)を含む);抗菌剤(例えば、アミノグリコシド、アンフェニコール、シノ
キサシン、シクロフロキサシン、2,4−ジアミノピリミジン、−ラクタム(例えば、カ
ルバペネム(carbapenem)、セファロスポリン、セファマイシン、モノバクタ
ム、オキサセフェム、およびペニシリン)、リンコサミド、マクロライド、ニトロフラン
、ノルフロキサシン、ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質(例えば、デフェンシ
ン、バシトラシン、ポリミキシン、セクロピン、マゲイニンII、インドリシジン、ラナ
レキン、プロテグリン、ガリナシン、トリトリプチシン、ラクトフェリシン、ドロソマイ
シン、ホロトリシン、サナシン(thanatin)、デルマセプチン(dermase
ptin)、イツリン(iturin)、シリンゴマイシン、ニッコマイシン、ポリオキ
シン、FR−900403、エキノカンジン(echinocandin)、ヌ−モカン
ジン(pneumocandin)、アクレアシン(acleacin)、ムルンドカン
ジン(mulundocandin)、WF11899、オーレオカンジン(aureo
basidin)、シゾトリン(schizotrin)A、カペジン、ゼアマチン、シ
クロペプチド、およびD4e1)、キノロンおよびアナログ、スルホンアミド、スルホン
、テトラサイクリン);制吐薬;抗パーキンソン病薬;鎮痙薬;アポタンパク質、気管支
拡張薬(例えば、アルブテロールおよびテオフィリン);抗ウイルス薬(プリン/ピリミ
ジノン(例えば、アシクロビル、ジデオキシ−シチジン、ジデオキシ−アデノシン、また
はジデオキシ−イノシン、インターフェロン、アマンタジン、リバビリン)を含む);β
遮断薬(例えば、プロプラノロール、メトプロパノロール、アテノロール、ラベトロール
、チモロール、ペンブトロール、およびピンドロール);制癌剤(化学治療薬を含む);
心血管薬(抗不整脈薬、強心配糖体、抗狭心症薬、および血管拡張薬を含む);中枢神経
系薬(刺激薬、向精神薬、抗躁病薬、および抑制薬を含む);補酵素;鎮咳剤;うっ血除
去薬;利尿薬;酵素;酵素インヒビター;去痰薬;糖タンパク質;H−2アンタゴニスト
(例えば、ニザチジン、シメチジン、ファモチジン、およびラニチジン);ハプテンおよ
びそれらに対する抗体;ホルモン、脂質、リポソ−ム;粘液溶解薬;筋弛緩薬;少なくと
も1つの非ペプチド連結が、ペプチド連結と置き換わったタンパク質アナログ;リン脂質
;プロスタグランジン;放射性核種(例えば、131I、186Re、188Re、90
Y、212Bi、211At、89Sr、166Ho、153Sm、67Cuおよび64
Cu);レセプターおよび他の膜タンパク質;捕虫葉オリゴペプチド;刺激薬;毒素(例
えば、アフラトキシン、ジゴキシン、ルブラトキシン、およびキサントトキシン(xan
thotoxin));トランキライザ(例えば、ジアゼパム、コルジアゼポキシド、オ
キサゼパム、アルプラゾラム、およびトリアゾラム);ならびにビタミンおよびミネラル
および栄養添加物。他の治療薬については、例えば、Merk Indexを参照のこと
。現在使用されて得る治療薬に加えて、本発明は、開発中または開発されるであろう薬剤
、および感染、炎症性応答、腫瘍、または他の異常な状態を処置するか、またはこれらの
進行を阻止するのに有効である薬剤を意図する。
【0089】
標的化構築物は、代替としてまたはさらに、当業者に公知であり、そしてインビボまた
はインビトロで化合物を検出またはモニターするために用いられる手段にある程度依存し
て、種々の造影剤のいずれかを用いて標識され得る。陽電子放射断層撮影法(PET)お
よび単光子射出コンピュ−ター断層撮影法(SPECT)のための好ましい造影剤として
は、F18、Tc−99m、およびI−123が挙げられる。磁気共鳴画像法(MRI)
のための好ましい造影剤としては、不対スピン電子またはフリ−ラジカルを有する適切な
原子が挙げられる。
【0090】
ペイロードが、画像化能力において機能することが意図される場合、このペイロードは
、放射性核種または常磁性造影剤、蛍光標識もしくは化学発光標識、または他の型の検出
可能なマーカーのような部分を含む。上記の造影剤は、本発明に従う任意の標識を含み得
る。高い特異性および感受性の標識は、放射性核種により提供され、これらは、次いで、
陽電子放射断層撮影法(PET)または単光子射出コンピュ−ター断層撮影法(SPEC
T)による画像化を用いて検出され得る。より好ましくは、本発明の造影剤は、131
125I、123I、99mTc、18F、68Ga、67Ga、72As、89Zr
64Cu、62Cu、111In、203Pb、198Hg、11C、97Ru、およ
201Tlからなる群より選択される放射性核種、または常磁性造影剤(例えば、ガド
リニウム、コバルト、ニッケル、マンガン、および鉄)を含む。以下で議論されるように
、これらの原子は、標的化部分またはオリゴヌクレオチドヘと直接取り込まれ得るか、ま
たは別々の化学構造を通じて付着され得る。キレート化放射性核種の使用に関するさらな
る情報は、米国特許第5,783,171号および同第5,688,488号において見
出され得る。
【0091】
(IV.標的化構築物を作製する方法)
標的化部分、核酸、およびペイロードの連結は、用いられる条件に耐えるために十分に
安定である、2つ以上の成分の間に連結を生じ、かついずれの成分の機能も変化させない
、任意の手段によりもたらされ得る。好ましくは、これらの間の連結は共有結合である。
種々の部分が、各部分の所望の活性を維持する任意のオーダーまたは任意の立体配置でア
センブルされ得る。2つの部分は、これらの部分の末端に存在する官能基を連結すること
によってか、またはいずれかの部分の任意の位置に存在する適切な官能基を連結すること
によって、互いに結合され得る。あるいは、3つの部分全てが、共通の継ぎ手分子に連結
され得る。このような構造は、図1に模式的に示される。種々の部分を連結するために適
切な方法が、以下で議論される。
【0092】
多数の化学架橋方法が公知であり、そして本発明の構築物の様々な部分を結合体化する
ために潜在的に適用可能である。多くの公知の化学架橋方法は、非特異的である(すなわ
ち、これらは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または他の分子上の任意の特定の部位
に、カップリング点を方向付けない)。結果として、非特異的架橋剤の使用は、機能的部
分を攻撃し得るか、または活性部位を立体的にブロックし得、それによって、結合体化タ
ンパク質を生物学的に不活化する。
【0093】
本発明の実施においてカップリング特異性を増大させる好ましいアプロ−チは、架橋さ
れる分子の一方または両方において、一回のみまたは数回見出される、官能基への直接的
化学カップリングである。例えば、多くのタンパク質の中で、チオール基を含む唯一のタ
ンパク質アミノ酸であるシステインは、数回のみ出現する。また、例えば、ポリペプチド
が、リジン残基を含まない場合、一級アミンに特異的な架橋試薬は、このポリペプチドの
アミノ酸末端について選択的である。カップリングの特異性を増大させるためのこのアプ
ロ−チの首尾よい利用は、分子が、その分子の生物学的活性の損失なしに変化され得る、
分子の領域中の適切な反応性残基を有することを必要とする。
【0094】
以下の実施例で実証されるように、システイン残基は、これらが、架橋反応におけるこ
れらの関与が、生物学的活性を妨害するようであるポリペプチド配列の一部に存在する場
合に置換され得る。システイン残基が置換される場合、代表的には、ポリペプチドの折り
畳みにおいて生じる変化を最小限にすることが望ましい。ポリペプチド折り畳みにおける
変化は、置換が、そしてシステインと化学的でかつ立体的に類似する場合に最小化される
。これらの理由のため、セリンは、システインについての置換物として好適である。以下
の実施例で実証されるように、システイン残基は、架橋目的のためにポリペプチドのアミ
ノ酸配列へと導入され得る。システイン残基が導入される場合、アミノ末端またはカルボ
キシ末端でのまたはこれらの末端付近での導入が好ましい。従来の方法は、目的のポリペ
プチドが、化学合成により生成されても、組換えDNAの発現により産生されても、この
ようなアミノ酸修飾について利用可能である。
【0095】
2つの成分のカップリングは、カップリング剤または結合剤を介して達成され得る。利
用され得るいくつかの分子間架橋剤が存在する(例えば、Means,G.E.およびF
eeney,R.E.,Chemical Modification of Prot
eins,Holden−Day,1974,39−43頁を参照のこと)。これらの試
薬の中には、例えば、J−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート
(SPDP)またはN,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド(これらの両方は
、スルフヒドリル基に非常に特異的であり、そして不可逆的連結を形成する);N,N’
−エチレン−ビス−(ヨードアセトアミド)または6〜11の炭素メチレン架橋を有する
ような他の試薬(これは、スルフヒドリル基に比較的特異的である);および1,5−ジ
フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(これは、アミノ基およびチロシン基と不可逆的連
結を形成する)がある。この目的のために有用な他の架橋剤としては、以下が挙げられる
:p,p’−ジフルオロ−m,m’−ジニトロジフェニルスルホン(これは、アミノ基お
よびフェノール基と不可逆的な架橋を形成する);ジメチルアジピミデート(これは、ア
ミノ基に特異的である);フェノール−1,4−ジスルホニルクロリド(これは、アミノ
基と主に反応する);ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはジイソチオシアネート、
またはアゾフェニル−p−ジイソシアネート(これは、アミノ基と主に反応する);グル
タルアルデヒド(これは、いくつかの異なる側鎖と反応する)およびジスジアゾベンジジ
ン(これは、チロシンおよびヒスチジンと主に反応する)。
【0096】
架橋剤は、ホモ二官能性(すなわち、同じ反応を受ける2つの官能基を有する)であり
得る。好ましいホモ二官能性架橋剤は、ビスマレイミドヘキサン(「BMH」)である。
BMHは、2つのマレイミド官能基を含み、これは、穏和な条件下(pH6、5〜7.7
)でスルフヒドリル含有化合物と特異的に反応する。2つのマレイミド基は、炭化水素鎖
により接続される。従って、BMHは、システイン残基を含むポリペプチドの不可逆的架
橋に有用である。
【0097】
架橋剤はまた、ヘテロ二官能性であり得る。ヘテロ二官能性の架橋剤は、2つの異なる
官能基(例えば、アミン反応性基およびチオール反応性基(これらは、それぞれ、遊離の
アミンおよびチオールを有する2つのタンパク質を架橋する))を有する。ヘテロ二官能
性は、2つの化学実体(例えば、ホモタンパク質ポリマー)を結合体化し、それにより、
不必要な副反応の発生を減少させるための、より特異的なカップリング方法を設計する能
力を提供する。広範な種々のヘテロ二官能性架橋リンカーは、当該分野で公知である。ヘ
テロ二官能性架橋剤の例は、以下である:スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル
)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、N−スクシンイミジル(4−
ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、1−エチル−3−(3一ジメチルア
ミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(EDC);4−スクシンイミジルオ
キシカルボニル−a−メチル−a−(2−ピリジルジチオ)ートルエン(SMPT)、N
−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシン
イミジル6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート]ヘキサノエート(LC−S
PDP)スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)一シクロヘキサン−1−カルボ
キシレート(「SMCC」)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミ
ドエステル(「MBS」)、およびスクシンイミド4−(p−マレイミドフェニル)ブチ
レート(「SMPB」)、MBSの伸長した鎖アナログ。これらの架橋リンカーのスクシ
ンイミジル基は、一級アミンと反応し、そしてチオール反応性マレイミドは、システイン
残基のチオールと共有結合を形成する。
【0098】
架橋剤は、頻繁に、水中で低い溶解性を有する。親水性部分(例えば、スルホネート基
)は、その水溶解性を改善するために、架橋試薬に添加され得る。Sulfo−MBSお
よびSulfo−SMCCは、水溶解性について改変された架橋試薬の例である。
【0099】
ヘテロ二官能性架橋リンカーの部分として有用である別の反応性基は、チオール反応性
基である。一般的な、チオール反応性基としては、マレイミド、ハロゲン、およびピリジ
ルジスルフィドが挙げられる。マレイミドは、わずかに酸性から中性(pH6.5−7.
5)の条件下で、数分で、遊離のスルフヒドリル(システイン残基)と特異的に反応する

ハロアルキル基(例えば、ヨードアセチル官能基)は、生理学的pHでチオール基と反応
する。これらの反応基の両方は、安定なチオールエーテル結合の形成を生じる。
【0100】
ヘテロ二官能性架橋リンカーに加えて、ホモ二官能性架橋リンカーおよび光活性架橋リ
ンカーを含む、多数の他の架橋剤が存在する。ジスクシンイミジルスベレート(DSS)
、ビスマレイミドヘキサン(BMH)およびジメチルピメリミデート−2HC1(DMP
)は、有用な二官能性架橋剤の例であり、そしてビス−[β−(4−アジドサリチルアミ
ド)エチル]ジスルフィド(BASED)およびN−スクシンイミジル−6(4’−アジ
ド−2’−ニトロフェニル−アミノ)ヘキサノエート(SANPAH)は、本発明におけ
る使用に有用な光活性架橋リンカーの例である。タンパク質カップリング技術の最近の総
説については、Meansら(1990)Bioconjugate Chemistr
y 1:2−12(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0101】
多くの架橋剤が、細胞条件下で本質的に明確ではない結合体を生じる。しかし、いくつ
かの架橋剤は、共有結合(例えば、ジスルフィド(これは、細胞条件下で明確である))
を含む。例えば、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(「DSP」)、Tr
aut試薬、およびN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(
「SPDP」)は、周知の切断可能なリンカーである。切断可能な架橋剤の使用は、ペイ
ロードが、標的への送達の後に、構築物から分離することを可能し得る。直接的ジスルフ
ィド結合もまた有用であり得る。さらなる切断可能な連結は当該分野で公知であり、そし
て本発明の特定の実施形態に有利になるように用いられ得る。
【0102】
化合物(例えば、タンパク質、標識、および他の化学実体)をヌクレオチドに連結する
ための多くの方法が当業者に公知である。いくつかの新規の架橋剤(例えば、N−マレイ
ミドブチリルオキシ−スクシンイミドエステル(「GMBS」)およびsulfo−GM
BS)は、低下した免疫原性を有する。置換基は、Ogilvie,K.K.ら、Pur
e and Appl Chem(1987)59:325およびFroehler,B
.C.,Nucleic Acids Res(1986)14:5399により記載さ
れるような、アミダイト化学またはH−ホスホネート化学を用いて、予め構築されたオリ
ゴヌクレオチドの5’末端に付着されている。置換基はまた、Asseline,U.ら
、Tet Lett(1989)30:2521により記載されるように、オリゴマーの
3’末端に付着されている。この最後の方法は、ジイソプロピルアミンを、アクリジン部
分を保有する3’ホスホネートからはずし、次いで、リンの酸化の後に除去させるために
、固体支持体に付着された2,2’−ジチオエタノールを利用する。他の置換基は、代替
の方法(ポリリジン(Bayard,B.,ら、Biochemistry(1986)
25:3730;Lemaitre,M.ら、Nucleosides and Nuc
leotides(1987)6:311)を含む)によりオリゴマーの3’末端に結合
されており、そしてさらに、ジスルフィドは、Zuckerman,Rら、Nuclei
c Acids Res(1987)15:5305により記載されるように、様々な基
を、3’末端に結合するために用いられている。3’末端で置換されるオリゴヌクレオチ
ドは、エキソヌクレアーゼによる分解に対して、増大した安定性および増大した耐性を示
すことが公知である(Lancelot,G.ら、Biochemistry(1985
)24:2521;Asseline,Uら、Proc Natl Acad Sci
USA(1984)81:3297)。非ヌクレオチド実体を、オリゴヌクレオチドに付
着させるさらなる方法は、米国特許第5,321,131号および同第5,414,07
7号において議論される。
【0103】
あるいは、オリゴヌクレオチドは、リンカーアームを介して塩基に付着された基を有す
る、1つ以上の改変オリゴヌクレオチドを含み得る。例えば、Langerら(Proc
.Natl、Acad,Sci,U.S.A.78(11):6633−6637,19
81)は、アリルアミンリンカーアームによる、dUTPのC−5位へのビオチンの付着
を記載する。ビオチンおよび他の基の、リンカーアームを介するピリミジンの5位への付
着はまた、米国特許第4,711,955号において議論される。リンカーアームを介し
て、ピリミジンの5位または他の位置に付着された標識されたヌクレオチドもまた、米国
特許第4,948,882号において示唆される。二官能性アミンを有するシトシンのN
位の亜硫酸水素触媒アミノ基転移は、Schulmanら(Nucleic Acid
Research,9(5):1203−1217,1981)およびDraperら
(Biochemistry,19:1774−1781,1980)により記載される
。この方法により、化学実体は、リンカーアームを介して、シチジンまたはシチジン含有
ポリヌクレオチドに付着される。シチジンのN位へのビオチンの付着は、米国特許第4
,828,979号に開示され、そしてN位でのシチジンヘのある部分の連結はまた、
米国特許第5,013,831号および同第5,241,060号に示される。米国特許
第5,407,801号は、オリゴヌクレオチド三重鎖の調製を記載し、ここで、リンカ
ーアームは、亜硫酸水素触媒アミノ基転移を介して、デオキシシチジンヘと結合体化され
る。このリンカーアームとしては、アミノアルキルリンカーアームまたはカルボキシアル
キルリンカーアームが挙げられる。米国特許第5,405,950号は、リンカーアーム
が、シトシン塩基のN位に付着されるシチジンアナログを記載する。
【0104】
上記のものを含む、多数の架橋剤が、市販されている。これらの使用についての詳細な
指示は、販売元から容易に入手可能である。タンパク質架橋および結合体調製物に関する
一般的な参考文献は、S.S.Wong,Chemistry of Protein
Conjugation and Cross−Linking,CRC Press(
1991)である。
【0105】
化学架橋は、スペーサーアームの使用を含み得る。スペーサーアームは、結合体化部分
の間の分子内可撓性を提供するかまたはこれらの間の分子内距離を調整し、それにより、
生物学的活性を保存することを補助し得る。スペーサーアームは、スペーサーアミノ酸を
含むポリペプチド部分の形態であり得る。あるいは、スペーサーアームは、「長鎖SPD
P」(Pierce Chem.Co,,Rockford,IlI,,カタログ番号2
1651H)のような、架橋剤の一部であり得る。
【0106】
種々のカップリング剤または架橋剤(例えば、プロテインA、カルボジイミド、ジマレ
イミド、ジチオービス−ニトロ安息香酸(DTNB)、N−スクシンイミジル−S−アセ
チル−チオアセテート(SATA)、およびN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジル
ジチオ)プロピオネート(SPDP)、6−ヒドラジノニコチミド(HYNIC)、N
SおよびN)は、標的化構築物を合成するための周知の手順において用いられ得る
。例えば、ビオチンは、Hnatowichら、Int.J.Appl.Radiat.
lsotop.33:327(1982)の二環式無水物法により、DTPAを介して、
オリゴヌクレオチドに結合体化され得る。
【0107】
さらに、スルホスクシンイミジル6−(ビオチンアミド)ヘキサノエート(NHS−L
C−ビオチン、これは、Pierce Chemical Co.Rockford,I
llから購入され得る)、「ビオシチン」(ビオチンのリジン結合体)は、一級アミンの
有効性に起因して、ビオチン化合物を作製するために有用であり得る。さらに、対応する
ビオチン酸塩化物または酸前駆体は、公知の方法により、治療剤のアミノ誘導体とカップ
リングされ得る。
【0108】
標的化構築物の部分の2つがポリペプチドを含む場合、さらなる連結技術が、利用可能
である。例えば、組換え技術は、例えば、ペイロードをコードする遺伝子をインターナラ
イズするポリペプチド配列をコードする遺伝子と連結し、そして得られた遺伝子構築物を
結合体を構築し得る細胞へと導入することによって、インターナライズするポリペプチド
配列を、ポリペプチド標的化部分またはペイロードに共有的に付着するために用いられ得
る。あるいは、2つの別々のヌクレオチド配列が細胞において発現され得るか、または公
知の技術を用いて化学的に合成され、そして、次いで、連結され得るか、または合わせた
配列が、単一のアミノ酸配列として化学的に合成され得(すなわち、いずれか一方に、両
方の構築物が存在する)、従って、引き続いての連結を排除する。
【0109】
画像化標識は、標的化部分またはオリゴヌクレオチドの原子に直接共有結合により、標
的化構築物へと組み込まれ得るか、または標識は、キレート構造を通してか、またはマン
ニトール、グルコネート、グルコヘプトネート、タータラートなどのような補助的な分子
を通して、標的分子と非共有的または共有的に会合し得る。キレート化構造が、標識分子
と標的分子との間の空間的近さを提供するために用いられる場合、キレート構造は、構築
物と直接会合し得るか、またはこれは、マンニトール、グルコネート、グルコヘプトネー
ト、タータラートなどのような補助分子を通して、構築物と会合し得る。
【0110】
任意の適切なキレート構造は、共有的会合または非共有的会合を通じて、放射性核種と
構築物との間の空間的近さを提供するために用いられ得る。多くのこのようなキレ−ティ
ング構造が当該分野で公知である。好ましくは、キレート構造は、N構造、NS
構造、N構造、イソニトリル含有構造、ヒドラジン含有構造、HYNIC(ヒドラジノ
ニコチン酸)含有構造、2−メチルチオールニコチン酸含有構造、カルボキシレート含有
構造などである。いくつかの場合、キレート化は、別々のキレート化構造を含むことなし
に、達成され得る。なぜならば、放射性核種は、標的化部分の原子に(例えば、種々の部
分の中の酸素原子に)直接キレート化するからである。
【0111】
放射性核種は、特定の放射性核種のリガンドヘのキレート化、会合、または付着をもた
らすかまたは最適化する公知の手順を用いて、標的分子の空間に近位に配置され得る。例
えば、123Iが放射性核種である場合、造影剤は、公知の放射ヨウ素標識手順(例えば
、クロラミンTを用いる直接的放射ヨウ素標識、ハロゲンまたは有機金属基を交換する放
射ヨウ素標識など)に従って標識され得る。放射性核種が、99mTcである場合、造影
剤は、99mTcをリガンド分子に付着させるのに適切な任意の方法を用いて標識され得
る。好ましくは、放射性核種が99mTcである場合、マンニトール、グルコネート、グ
ルコヘパトネート、またはタータラートのような補助分子は、キレート構造を伴ってか、
またはキレート構造を伴わないで、標識反応混合物中に含まれる。より好ましくは、99
Tcは、マンニトールおよび標的分子の存在下で、スズを用いて99mTcOを還元
することにより、標的分子に対して空間的に近位に配置される。酒石酸スズまたは非スズ
還元剤(例えば、亜ジチオン酸ナトリウム)を含む、他の還元剤もまた、本発明の心血管
造影剤を作製するために用いられ得る。
【0112】
一般に、標識方法論は、放射性核種の選択、標識されるべき部分および調査の下での臨
床条件とともに変更される。99mTcおよび111Inを使用する標識方法は、例えば
、以下に記載されている:Peters,A.M.ら、Lancet 2:946−94
9(1986);Srivastava,S.C.ら、Semin.Nucl.Med.
14(2):68−82(1984);Sinn,H.ら、Nucl.Med.(Stu
ttgart)13:180,1984);McAfee,J.G.ら、J.Nucl.
Med.17:480−487,1976;McAfee,J.G.ら、J.Nucl.
Med.17:480−487,1976;Welch,M.J.ら、J.Nucl.M
ed.18:558−562,1977;McAfee,J.G.ら、Semin.Nu
cl.Med.14(2):83,1984;Thakur,M.L.ら、Semin.
Nucl.Med.14(2):107,1984;Danpure,H.J.ら、Br
.J.Radiol.,54:597−601,1981;Danpure,H.J.ら
、Br.J.Radiol.55:247−249,1982;Peters,A.M.
ら、J.Nucl.Med.24:39−44,1982;Gunter,K.P.ら、
Radiology 149:563−566,1983;およびThakur,M.L
.ら、J.Nucl.Med.26:518−523,1985。125Iでの標識の例
は、以下の実施例において詳細に記載されている。
【0113】
合成された標的化構築物は、高磁場NMRスペクトル、ならびにIR、MSおよび光学
回転の標準方法を使用して特徴付けられ得る。元素分析、TLCおよび/またはHPLC
は、純度を測定するのに使用され得る。少なくとも約80%の純度、好ましくは、少なく
とも約90%の純度、より好ましくは、少なくとも約95%の純度、そしてさらにより好
ましくは、少なくとも約98%の純度が好ましい。TLCおよび/またはHPLCもまた
、このような化合物を特徴付けるために使用され得る。
【0114】
一旦調製されると、候補標的化構築物は、対応する標的に結合する能力について、感染
部位へのインビボ結合について、または腫瘍へのインビトロもしくはインビボ結合につい
て、スクリーニングされ得る。細胞中の標的化構築物の内在化および保持は、例えば、実
施例に記載されるように決定され得る。さらに、標的化構築物の安定性は、血清(例えば
、ヒト血清)中で化合物をインキュベートすることによって、そしてこの化合物の潜在的
な分解を長期にわたって測定することによって、試験され得る。安定性はまた、この化合
物を被験体(ヒトまたは非ヒト)に投与することによって、種々の期間(例えば、30分
、1時間、24時間)で血液サンプルを得ることによって、そして誘導された代謝産物ま
たは関連した代謝産物についてそれらの血液サンプルを分析することによって、決定され
得る。
【0115】
(V.標的化構築物の投与)
治療用途について、適切な標的化構築物の有効量は、任意の様式(この様式によって、
化合物は、適切な標的によって取り込まれ得る)によって、被験体に投与され得る。好ま
しい投与経路としては、経口および経皮(例えば、パッチを介する)が挙げられる。他の
投与経路の例としては、注射(皮下注射、静脈内注射、非経口注射、腹腔内注射、髄腔内
注射など)が挙げられる。注射は、ボーラス注入または連続注入であり得る。
【0116】
本発明の薬学的組成物としては、種々の機能(薬物濃度の調節、溶解度の調節、化学安
定性、粘度の調節、吸収増強、pHの調節などが挙げられる)を提供する種々の成分を含
み得る薬学的キャリアが挙げられる。この薬学的キャリアは、適切な液体ビヒクルまたは
賦形剤および任意の補助添加剤を包含し得る。この液体ビヒクルおよび賦形剤は、従来型
であり市販されている。これらの実例は、蒸留水、生理学的生理食塩水、デキストロース
の水溶液などである。水溶液処方物について、好ましくは、その薬学的組成物としては、
好ましくはpH約7と8との間の、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤)または他の有機酸塩
が挙げられる。弱溶解性化合物を含有する処方物について、例えば、0.04〜0.05
%(w/v)の量の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)を使用するこ
とによって、マイクロエマルジョンが用いられ、溶解度が増加され得る。他の成分として
は、抗酸化薬(例えば、アスコルビン酸)、親水性ポリマー(例えば、単糖類、二糖類、
および他の糖質(セルロースまたはその誘導体)、デキストリン、キレート剤(例えば、
EDTA)、および製薬化学(例えば、Remington’s Pharmaceut
ical Science、最新版(Mack Publishing Company
,Easton,Pa.))において周知の類似の成分が挙げられ得る。
【0117】
本発明の標的化構築物としては、それらの薬学的に受容可能な塩が挙げられ、これらの
塩としては、アルカリ土類(例えば、ナトリウムまたはマグネシウム)、アンモニウムま
たはテトラアルキルアンモニウムの塩が挙げられる。他の薬学的に受容可能な塩としては
、有機カルボン酸(例えば、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、イセチオン酸、ラクトビオ
ン酸、およびコハク酸);有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン
酸、およびベンゼンスルホン酸);ならびに無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、およ
びスルファミン酸)が挙げられる。ヒドロキシル基を有する化合物の薬学的に受容可能な
塩としては、適切なカチオン(例えば、ナトリウム、アンモニウムなど)を有する、この
ような化合物のアニオンが挙げられる。
【0118】
この標的化構築物は、好ましくは、非経口投与、最も好ましくは、静脈内投与される。
静脈内注射用の好ましい処方物は、この標的化構築物に加えて、等張性ビヒクル(例えば
、塩化ナトリウム液、リンガー液、デキストロース液、デキストロースおよび塩化ナトリ
ウム液、乳酸化リンガー液、または当該分野で公知のような他のビヒクル)を含むべきで
ある。あるいは、この構築物は、放出制御性投薬形態で、皮下投与され得る。
【0119】
従来型キャリアでの投与に加えて、この標的化構築物は、種々の専門的なオリゴヌクレ
オチド送達技術によって、投与され得る。本発明の薬学的組成物とともに使用するのに適
切な徐放系としては、フィルム、マイクロカプセルなどの形態の半透性ポリマーマトリク
スが挙げられ、これらとしては、ポリラクチド;L−グルタミン酸とγ−エチル−L−グ
ルタメートとのコポリマー、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、および類似
の物質(例えば、Rosenbergら、国際出願PCT/US92/05305)が挙
げられる。
【0120】
標的化構築物は、例えば、Liposome Technology、第II巻、In
corporation of Drugs,Proteins,and Geneti
c Material,CRC Pressに記載されるように、治療送達用のリポソー
ムにカプセル化され得る。この標的化構築物は、その溶解度に依存して、水層および脂質
層の両方に存在し得るか、または一般にリポソーム懸濁液と呼ばれるものに存在し得る。
疎水性層は、排他的ではなく一般的に、リン脂質(例えば、レクチンおよびスフィンゴミ
エリン)、ステロイド(例えば、コレステロール)、イオン性界面活性剤(ジアセチルホ
スフェート、ステアリルアミン、またはホスファチジン酸)、および/または疎水性の性
質を持った他の材料を含む。
【0121】
腫瘍または感染部位を処置または予防する好ましい用量は、5μg〜100mgの範囲
内である。しかし、正確な用量は、大部分が、投与される治療剤の毒性に依存する。例え
ば、被験体は、1ミリグラムより多いブレオマイシン用量に耐えることができない。さら
に、特定の化学療法ペプチドは、被験体にマイクログラム量で与えられた場合、血友病お
よび他の血液障害を引き起こす。しかし、即時性の標的化構築物による治療剤の選択的な
標的は、正常な体細胞に対する他の毒性効果を低減させる。
【0122】
(VI.標的化構築物の画像化の使用)
適切な画像化剤で標識される標的化構築物を、特定の腫瘍細胞株、組織型、または細菌
感染組織培養物、ウイルス感染組織培養物もしくは真菌感染組織培養物に添加して、特定
の候補標的化治療の結合親和性を試験し得る。標識された標的化構築物はまた、適切な被
験体(例えば、サル、イヌ、ブタ、ウシ)に注射され得、次いで、腫瘍、組織型、または
インビボでの感染部位へのその結合がモニタリングされ得る。
【0123】
本発明の画像化剤は、当業者によって(例えば、核医学の専門医によって)、本発明の
方法に従って使用され、被験体中の感染部位または炎症部位が画像化され得る。いかなる
感染部位または炎症部位も、本発明の画像化剤を使用して画像化され得る。
【0124】
画像は、腫瘍部位、感染部位、または炎症部位にて蓄積する画像化剤の空間分布の差異
によって、作製され得る。この空間分布は、特定の標識に適切な任意の手段(例えば、γ
線カメラ、PET装置、SPECT装置など)を使用して、測定され得る。強いスポット
が画像内にほとんど現れない場合、いくらかの病変がある証拠になり得、このことは、周
辺組織に蓄積する画像化剤の濃度に対して、より低濃度の画像化剤が蓄積している組織の
存在を示している。あるいは、病変は、画像内のより強いスポットとして検出可能であり
得、このことは、周辺組織に蓄積する画像化剤の濃度に対して、病変部位における画像化
剤の濃度が増加した領域を示している。病変におけるより低量またはより高量の画像化剤
の蓄積は、視覚的に容易に検出され得る。あるいは、この画像化剤の蓄積の程度は、放射
活性、蛍光または他の発光を定量するための公知の方法を使用して、定量され得る。特定
の有用な画像化アプローチは、1種より多い画像化剤を使用して、同時研究を実施する。
【0125】
好ましくは、本発明の画像化剤の検出可能に有効な量が、被験体に投与され得る。本発
明に従って、本発明の画像化剤の「検出可能に有効な量」は、臨床用途に利用可能な機器
を使用して受容可能な画像を生じるのに十分な量として定義される。本発明の画像化剤の
検出可能に有効な量は、1回以上の注射で投与され得る。本発明の画像化剤の検出可能に
有効な量は、個人の感受性の程度、年齢、性別および個人の体重、個人の特異体質応答、
線量測定のような因子によって変更され得る。本発明の画像化剤の検出可能に有効な量は
また、機器および膜関連因子によっても変更され得る。このような因子の最適化は、十分
に、当業者のレベルの範囲内である。
【0126】
診断目的および画像化研究期間に使用される画像化剤の量は、この画像化剤を標識する
ために使用される放射性核種、患者の体重、処置されている状態の性質および重篤度、患
者が経験する治療処置の性質、ならびに患者の特異体質応答に依存する。究極的には、担
当医が、各個々の患者に投与する画像化剤の量、およびその画像化研究期間を決定する。
【0127】
本発明に従って処置され得る疾患および状態としては、特定の細胞を殺傷するまたはそ
れら細胞の増殖を低下もしくは阻害することが望ましい、任意の状態が挙げられる。この
ような実施形態において、細胞を殺傷する標的化構築物の有効荷重(payload)は
、毒素であり得る。このような状態としては、過剰な細胞増殖または未制御の細胞増殖(
例えば、良性癌および悪性癌)から生じる状態が挙げられる。一般には、増殖性疾患また
は状態のいかなる型も、本発明の標的化構築物を用いて(すなわち、それらの疾患および
状態の少なくとも1つの症状を改善するために)処置され得る。処置され得る他の疾患と
しては、自己免疫疾患およびウイルス感染が挙げられる。
【0128】
疾患は、本発明の標的化オリゴヌクレオチドを被験体に投与することによって処置され
得る。あるいは、標的化オリゴヌクレオチドは、エキソビボで細胞(例えば、被験体の細
胞)に投与され得る。従って、1つの実施形態において、本発明は、疾患を有する被験体
を処置するための方法を提供し、この方法は、被験体由来の細胞を得る工程、この細胞を
、エキソビボで本発明の標的化構築物と接触させる工程、およびこの細胞を被験体中に戻
して導入する工程を包含する。本発明の標的化構築物のエキソビボ投与はまた、処置目的
ではなく、画像化目的のためにも使用され得る。
【0129】
本発明は、多数の癌の型(固形腫瘍、ならびに血球の癌、リンパ腫および白血病)を処
置するために使用され得る。固形腫瘍癌としては、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、黒色腫、
膵臓癌、胃癌、胆嚢癌、食道癌、肺癌、神経膠腫、腎臓癌、および甲状腺癌が挙げられる
。これらの腫瘍において特異的に発現される遺伝子は、例えば、米国特許第6,093,
399号に記載される。例えば、乳癌を処置するために標的化構築物が指向され得る標的
化遺伝子としては、以下が挙げられる:bcl−1、bcl−2、バソプレシン関連タン
パク質;Northら、Breast Cancer Res.Treat.,34(3
):229−35(1995);Hellemans,Br.J.Cancer,72(
2):354−60(1995);およびHurlimannら、Virchows A
rch.,426(2).163−8(1995)を参照のこと。他の癌腫を標的化する
ための遺伝子としては、例えば、以下が挙げられる:c−myc、int−2、hst−
1、rasおよびp53変異体;Issingら、Anticancer Res.,1
3(6B):2541−51(1993);Tjoaら、Prostate,28(1)
:65−9(1996);Suzichら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA,92(25):11553−7(1995);およびGjertsenら、Lan
cet,346(8987):1399−400(1995)を参照のこと。B細胞リン
パ腫に標的化するための遺伝子としては、以下が挙げられる:CD19、CD20、CD
37、ならびに米国特許第6,099,846号に記載される遺伝子。腎臓癌腫に関連す
る遺伝子は、RAGE(Gauglerら、(1996)Immunogenetics
44:323)である。前立腺癌に関連する遺伝子としては、以下が挙げられる:前立
腺特異的膜抗原(PSMA)(米国特許第5,538,866号);前立腺特異的抗原(
PSA)(Watt K Wら、Proc Natl Acad Sci USA(19
86)83:3166−3170);および前立腺の酸性ホスファターゼ(PAP)(S
harief,F.S.ら、Biochem Biophys Res Commun(
1989)180:79−86;Tailor,P.G.ら、Nucleic Acid
s Res(1990)18:4928)。膵臓癌または結腸直腸癌の処置について、標
的化遺伝子は、癌胎児抗原(CEA)(例えば、Benchimolら、Cell,57
:327−324,1989を参照のこと)であり得る。黒色腫の処置について、標的化
遺伝子は、メラニン細胞分化抗原−MART−1/Melan A(Coulieら、1
994,J.Exp.Med.180:35;Hawakamiら、1994,PNAS
91:3515;Bakkerら、1994,J.Exp.Med.179:1005
)、gp100、チロシナーゼ/アルビノ、p97黒色腫抗原、および種々のMAGEの
いずれか(黒色腫関連抗原E)(MAGE1、MAGE2、MAGE3、MAGE4など
を含む)(Boon,T.Scientific American(1993年3月)
:82−89;例えば、Zhaiら、J.Immunol.,156(2):700−1
0(1996);Kawakamiら、J.Exp.Med.,180(1):347−
52(1994);およびTopalianら、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA,91(20):9461−5(1994))であり得る。上記の遺伝子の少な
くともいくつかは、膜タンパク質をコードするので、標的化構築物の標的化部分はまた、
これらの膜タンパク質にも指向され得る。従って、特定の実施形態において、この標的化
部分および核酸は、同じ遺伝子またはタンパク質に標的化される。
【0130】
ウイルス感染の処置について、標的化構築物は、ウイルスタンパク質をコードする核酸
を含み得る。慢性感染を生じるウイルスとしては、以下が挙げられる:ヘパドナウイルス
(HBVを含む)、レンチウイルス(HIVを含む)、ヘルペスウイルス(HSV−1、
HSV−2、EBV、CMV、VZV、およびHHV−6を含む)、ならびにフラビウイ
ルス属/ペスチウイルス属(HCVを含む)、ならびにT細胞白血病およびミエロパシー
を引き起こすヒトレトロウイルス(例えば、ヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV−1
およびHTLV−2)。本発明に従ってまた処置され得る慢性感染を引き起こす他の生物
体としては、例えば、以下が挙げられる:病原性原生動物亜界(例えば、ニューモシステ
ィス、トリパノソーマ属、マラリアおよびトキソプラスマ)、細菌(例えば、ミコバクテ
リア、サルモネラ属およびリステリア属)および真菌(例えば、カンジダ属およびアスペ
ルギルス属)。多数のこれらのウイルスのヌクレオチド配列(異なる種、株、および単離
体を含む)は、当該分野で公知である。総説については、以下を参照のこと:Robin
son(1990)(Hepadnaviridae);Levy,Microbiol
ogical Reviews,57:183−289(1993)(HIV);および
Chooら、Seminars in Liver Disease,12:279−2
88(1992)(HCV)。
【0131】
例えば、ヘルペスウイルスのファミリーウイルス(単純疱疹ウイルス(HSV)1型お
よび2型(例えば、HSV−1およびHSV−2)を含む)による感染の処置について、
標的化構築物は、以下に相補的なオリゴヌクレオチドを含み得る:糖タンパク質gB、g
DまたはgHをコードする遺伝子;水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン−バ
ーウイルス(EBV)およびサイトメガロウイルス(CMV)(CMV gBおよびgH
を含む)由来の遺伝子;ならびに他のヒトヘルペスウイルス(HHV6およびHHV7を
含む)由来の遺伝子。(例えば、Cheeら、Cytomegaloviruses(サ
イトメガロウイルス遺伝子の総説については、J.K.McDougall編、Spri
nger−Verlag 1990)125−169頁;種々のHSV−1遺伝子の議論
については、McGeochら、J.Gen.Virol.(1988)69:1531
−1574;HSV−1およびHSV−2 gB遺伝子およびgD遺伝子の議論について
は、米国特許第5,171,568号;EBVゲノムにおける遺伝子の同定については、
Baerら、Nature(1984)310:207−211;そして、VZVの総説
については、DavisonおよびScott,J.Gen.Virol.(1986)
67:1759−1816を参照のこと)。
【0132】
ウイルスの肝炎ファミリー(A型肝炎ウイルス、(HAV)、B型肝炎ウイルス(HB
V)、C型肝炎ウイルス(HCV)、デルタ型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイル
ス(HEV)およびG型肝炎ウイルス(HGV)を含む)による感染はまた、本明細書中
に記載されるように処置され得る。例によって、HCVのウイルスゲノム配列は、その配
列を得るための方法と同様に、公知である。例えば、国際公開番号WO 89/0466
9;WO 90/11089;およびWO 90/14436を参照のこと。このHCV
ゲノムは、数種のウイルスタンパク質(E1(Eとしてもまた公知である)およびE2(
E2/NSIとしてもまた公知である)ならびにN−末端ヌクレオカプシドタンパク質(
「コア」と呼ばれる)を含む)をコードする(HCVタンパク質(E1およびE2を含む
)の議論については、Houghtonら、Hepatology(1991)14:3
81−388を参照のこと)。これらのタンパク質の各々をコードする遺伝子は、ウイル
ス感染を処置するために、本明細書中記載される標的化構築物で標的化され得る。
【0133】
標的化構築物が、ウイルスによって感染されていない細胞に侵入する場合でさえ、この
標的化構築物は、ウイルス感染細胞内でより効率的に保持されると予測される。
【0134】
本発明はまた、細胞集団内の特定の細胞を選択的に改変(例えば、殺傷または標識)す
るための方法を提供する。1つの実施形態において、この細胞集団は、インビトロにある
。この細胞集団は、被験体から得られ得る。この細胞集団は、本発明の標的化構築物とと
もにインキュベートされ得、ここで、その標的化部分は、標的された細胞(すなわち、改
変されることが望ましい集団内の細胞)の細胞膜タンパク質(例えば、レセプター)と特
異的に結合し、かつその核酸部分は、好ましくは高レベルで標的化細胞型において発現さ
れる遺伝子に相補的である。少なくとも数種の標的化細胞中に標的化構築物を取り込んだ
後、細胞集団、またはその画分は、被験体(この被験体は、細胞集団が得られるものと、
同じであっても異なっていてもよい)に投与され得る。
【0135】
1つの実施形態において、特定のリンパ球が、被験体の血球または骨髄細胞から取り除
かれる。従って、この被験体の血球または骨髄細胞が得られ、標的化構築物の存在下、イ
ンビトロでインキュベートされ(ここにおいて、その標的化部分は、リンパ球に特異的に
結合して取り除かれるが、本質的には、サンプル中の他の細胞(または少なくとも、サン
プル中の他の主要な細胞)には結合しない)、そしてその標的化構築物は、その標的化細
胞を殺傷するための治療用化合物またはそれら細胞の増殖を阻害するための治療用化合物
をさらに含む。この標的化部分は、特定のTリンパ球レセプター(例えば、自己抗原に結
合するレセプター)に結合するリガンドであり得、この場合において、このリガンドは、
自己抗原、またはT細胞レセプターによって識別される自己抗原のエピトープを有するそ
の部分であり得る。治療用化合物は、アフラトキシンのような毒素であり得る。細胞と標
的化構築物とのインキュベーションは、有意な量の標的化リンパ球がその標的化構築物を
取り込むことができるのに十分な時間、行われ得る。インキュベーション時間は、そのイ
ンキュベーション時間の間に集団内に残存している標的化リンパ球の量をモニタリングす
ることによって決定され得る。インキュベーション後、細胞集団は、被験体に投与され戻
され得る。標的化構築物もまた被験体に投与され得ることが、理解される。
【0136】
従って、本発明は、例えば、以下の自己免疫疾患を処置するための方法を提供する:イ
ンスリン依存性糖尿病(IDDM)(自己抗原は、島細胞抗原(グルタミン酸デカルボキ
シラーゼを含む));重症筋無力症(自己抗原は、アセチルコリンレセプターである);
および、自己免疫性甲状腺炎またはグレーヴズ病(甲状腺濾胞上皮細胞自己抗原)。他の
潜在的な自己免疫疾患としては、以下が挙げられる:多発性硬化症;エリテマトーデス、
慢性関節リウマチ、ALS(ルー・ゲーリグ病)、ならびに間質性膀胱炎および前立腺炎

【0137】
本発明の標的化構築物はまた、一般に、任意の炎症性疾患にも使用され得、ここにおい
て、その炎症性疾患の原因となるかまたはその炎症性疾患を悪化させるリンパ球の増殖を
阻害するか、またはそのリンパ球を破壊することが望ましい。
【0138】
本発明は、いかなる様式においても制限されるように構成されるべきではない、以下の
実施例によってさらに例示される。本出願の全体を通して引用される、参考文献、発行さ
れた特許、公開または非公開の特許出願を含めた、全ての引用文献の内容は、本明細書中
で参考として明確に援用される。他に指示がなければ、本発明の実施は、細胞生物学、細
胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫
学の従来技術(これらは、当業者の範囲内である)を用いる。このような技術は、文献に
おいて、完全に説明されている。(例えば、Molecular Cloning A
Laboratory Manual、第2版、Sambrook、Fritschおよ
びManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory
Press:1989);DNA Cloning,第I巻および第II巻(D.N.
Glover編、1985);Oligonucleotide Synthesis(
M.J.Gait編、1984);Mullisら、米国特許第4,683,195号;
Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & S
.J.Higgins編、1984);Transcription And Tran
slation(B.D.Hames & S.J.Higgins編、1984);(
R.I.Freshney,Alan R.Liss,Inc.,1987);Immo
bilized Cells And Enzymes(IRL Press,1986
);B.Perbal,A Practical Guide To Molecula
r Cloning(1984);the treatise,Methods In
Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.);Gen
e Transfer Vectors For Mammalian Cells(J
.H.MillerおよびM.P.Calos編、1987,Cold Spring
Harbor Laboratory);第154巻および第155巻(Wuら編)、I
mmunochemical Methods In Cell And Molecu
lar Biology(MayerおよびWalker編、Academic Pre
ss,London,1987);Handbook Of Experimental
Immunology,第I巻〜第IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blac
kwell編、1986)(Cold Spring Harbor Laborato
ry Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1986)を参
照のこと)。
【実施例】
【0139】
(例示)
(実施例I:誘導体化ポリヌクレオチドの調製)
この実施例は、5’末端にて核酸分子を放射標識するための従来技術を記載する。
【0140】
c−myb−オクタデカマー(octadecamer)オリゴヌクレオチド(アンチ
センスY−GTG−TCG−GGG−TCT−CCG−GGC(配列番号6))およびセ
ンスY−GCC−CGG−AGA−CCC−CGA−CAC(配列番号7))を、以下で
詳細に記載されるように、合成し、そして5’末端にて、高収率および高純度のヘキシル
アミノホスホチオエート(Y=NH−(CH−O−P(=O)(SH)O−)を
用いて誘導体化した。次いで、これらの誘導体化したc−mybオリゴマーを、DMSO
/水中、p−ヨード[125I]−N−スクシンイミジルベンゾエートとともに反応させ
ることによって放射ヨウ素標識し、これを、以下にもまた詳細に記載されるように、対応
するp−トリブチルスズ−N−スクシンイミジルベンゾエートから、高収率および高純度
で調製した(図2AおよびB)。適切なヨウ化物を加え、細胞取り込みを最適化するのに
適切な特定の活性に到達させた。次いで、これは、ODNの標識効率を増加させた。
【0141】
(オリゴヌクレオチド合成)
オリゴヌクレオチドホスホロチオエートを、標準的なホスホロアミダイト(phosp
horoamidite)化学による自動化シンセサイザー(Biosearch 87
00,Milligen,Bedford,IVIA)を用いて調製した。N−モノメト
キシトリチルアミノヘキサ−6−オキシ−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルアミノ
ホスホロアミダイト(Millipore)を、最終カップリングに使用して、製造業者
のプロトコルに従って5’末端を誘導体化した。ホスホロチオエート結合を、Beauc
ageチオール剤(thiolating reagent)(Iyer,R.P.,U
znanski,B.,Boal,J.,Storm,C.,Egan,W.,Mats
ukura,M.,Broder,S.,Zon,G.,Wilk,A.& Kozio
lkiewicz M.(1990)Nucleic Acids Res.18,28
55−2859)を用いて酸化することによって導入した。その粗製オリゴヌクレオチド
である「MMT−on」ホスホロチオエートを、アセトニトリル(緩衝液A:0.1M
酢酸アンモニウム、緩衝液B:80% アセトニトリル:20% 緩衝液A、v/v)の
勾配を用いる、C−18逆相カラム(1×20cm)でのクロマトグラフィーによって調
製した。溶出条件は、以下であった:100% Aを2分間、その後、2ml/分の一定
流速で、45分間にわたって80% Bの線形勾配。80%酢酸を用いてモノメトキシト
リチル基を除去した後、オリゴヌクレオチドを、蒸留水に対して透析した(36〜40時
間、Spectra−Por膜、分子量カットオフ:3500Da)。WAX−カラムに
よるHPLCおよびPAGE電気泳動(20%ゲル)は、単一種を示した(Metele
v,V.& Agrawal,S.(1992)Anal Biochem 200,3
42−346)。
【0142】
(p−トリ−N−ブチルスタニル安息香酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(p
−BuATE)の調製)
パラ−ヨード安息香酸(20.0g)、メタノール(200mL)および濃硫酸(5m
L)の溶液を、加熱し、20時間還流し、冷却し、50mLまで濃縮し、そして1Nの炭
酸水素ナトリウム400mLを注いだ。この混合物を、エーテル(3×300mL)で抽
出し、そしてこのエーテル層を、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして乾
燥するまでエバポレートして、メチルパラ−ヨードベンゾエートをオフホワイトの固体と
して得た。これは、シリカゲルでのTLC(ヘキサン:酢酸エチル 95:5、Rf:0
.7)により、単成分であった。この生成物を、さらに精製することなく使用した。
【0143】
乾燥トルエン(50mL)中、メチルパラ−ヨードベンゾエート(5.25g、20m
mol)、ヘキサブチルジチン(17.5g、30mmol)およびテトラキス(トリフ
ェニルホスフィン)酸化パラジウム(0.22g、0.2mmol)を、110℃にて2
4時間、窒素下で加熱した。この反応溶液を、冷却し、デカンタし、そして乾燥するまで
エバポレートした。その濃い油状の残渣を、溶出液としてヘキサン:酢酸エチル(9:1
)を使用する、シリカゲル(230g)によるカラムクロマトグラフィーによって精製し
た。純粋な生成物を含有する画分を合わせて、乾燥するまでエバポレートして、透明なオ
イル6.85g(16mmol、80%収率)を得た。
【0144】
水酸化カリウム(1.15g、20mmol)を、エタノール(150mL)中、メチ
ルp−トリブチルスタニルベンゾエート(tributylstannylbenzoa
te)(6.7g、16mmol)の溶液に加え、そしてその混合物を、6時間加熱し、
室温まで冷却し、そして1.6gの酢酸を含有する氷水(50mL)中に注いだ。この混
合物を、エーテル(3×250mL)で抽出し、そしてそのエーテル層を、ブラインで洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして乾燥するまでエバポレートした。得られた
オイル(6.2g)を、精製することなく、次の工程に使用した。
【0145】
オイル(6.2g)を、50mLの乾燥テトラヒドロフラン(THF)中に溶解し、そ
してジシクロヘキシルカルボジイミド(3.64g)およびN−ヒドロキシスクシンイミ
ド(2.04g)を、連続して加えた。この反応混合物を、40℃にて20時間維持し、
濾過してジシクロヘキシル尿素を除去し、そして乾燥するまでエバポレートした。この油
状残渣を、溶出液としてヘキサン:酢酸エチル(3:1)を使用する、シリカゲル(19
0g)によるカラムクロマトグラフィーによって精製した。この生成物を濃縮して、2工
程の間に60%収率にて透明なオイル(4.9g、9.5mmol)を得、これは、全収
率の48%であった。この化合物を調製するための手順を、図2Aに要約する。メタトリ
−n−ブチルスタニル安息香酸およびN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを、本質的
に、同じ様式で調製した。全ての生成物について、NMRスペクトルは、以前に報告され
たスペクトル(Hanson,R.N.,Franke,L.,Lee,S.H.& S
eitz,D.E.(1987)Int.J.Rad.Appl.Instrum.[A
]38,641−645)と同一であった。
【0146】
(N−スクシンイミジル−p−[125I]−ベンゾエート(p−IBTE)の調製)
p−BuATEの放射ヨウ素標識を、いくつかの改変を用いて、前記のように行った(
Zalutsky,M.R.& Narula,A.S.(1988)Int J.Ra
d.Appl.Instrum.[A]39,227−232)。代表的には、10〜2
0μlのNa125I(400〜500μl Ci、Amersham、NaOH中、2
,500〜3,000μCi/mol、pH:7〜8.5)、10μlのKl(0.04
N)含有水、5〜15μlの2%酢酸含有クロロホルム、10μlのt−ブチルヒドロペ
ルオキシド含有クロロホルム(1M)および200μgのp−BuATE含有クロロホル
ム(2mg/ml)を、5mlの反応用バイアルに入れた。この反応を、室温にて、20
分間攪拌しながら行い、そして10μlの10% KF、10μlの飽和NaHSO
よび10μlの飽和NaCOでクエンチした。この混合物を、CHCl(3×1
ml)で抽出し、そしてNaSOを含むカラム(4×0.4cm、パスツールピペッ
ト)によって脱水した。この溶媒を、窒素流下で、乾燥するまでエバポレートし、そして
その残渣を、300μlのクロロホルム中に溶解し、そして0.5gのシリカゲルカラム
(Supelco,Inc.)に充填し、これを、10mlのクロロホルムで予洗した。
放射標識された化合物を含有する画分(3×0.5ml、2〜5)を合わせて、窒素流を
用いて、乾燥するまでエバポレートした。放射活性ストリップスキャナ(Bioscan
)を使用するTLCシリカゲル(ヘキサン:酢酸エチル 3:2、Rf=0.4)によっ
て決定された放射化学純度は、96%を越えた。放射化学収率は、40〜56%の範囲で
あった。
【0147】
([125I]c−mybオリゴヌクレオチドの調製)
5’アミノ誘導体化オリゴヌクレオチド(「S−ODN」)(0.4〜0.5mg)を
、0.1N NaHCO(pH8.5)の滅菌溶液50μl中に溶解した。50μlの
DMSO中に溶解した放射ヨウ素標識化p−IBTEを添加し、この混合物を、150℃
で1時間反応させた。放射標識化S−ODNを、PBSで溶出する、Sephadex
G−25(Pharmacia,Inc.)での2サイクルのサイズ排除クロマトグラフ
ィーによって精製した。アリコート(0.7ml)を、所望の画分を合わせる前に、UV
吸収(OD260nm)および放射活性についてモニタリングした。この化合物を調製す
るための手順を、図2Bに例示する。S−ODN(センスおよびアンチセンスc−myb
)のストック溶液を、各々の配列中に存在するヌクレオチドのモル吸光係数を考慮して、
260nmでの吸収によって決定された量の未標識物質の添加によって、96μMに調節
した(31)。各溶液の10μlアリコートは、約22,000CPM(15.4mCi
/mmol)を含んだ。ラットにおける生体分布実験において、放射標識C−mybアン
チセンスを、未標識化合物で希釈しなかった;比活性(7,400mCi125I/mm
oleのODN)。
【0148】
ヘキシルアミノテザーでのオリゴヌクレオチドホスホロチオエートの6位の誘導体化は
、オリゴマーの特異的放射標識のための一般的かつ簡便な方法を示す。遊離アミノ基は、
疎水性溶媒(例えば、DMSO)中の活性化エステルの迅速な求核攻撃を促進する。室温
で、この反応は、1時間以内に完了し、そして放射標識収率は、比較的高かった(>40
%)(図2B)。この収率は、活性化エステルを溶解するために水溶液が使用される場合
に、減少した(<6%)。これらの条件下で、より低い温度およびより長いインキュベー
ション時間は、収率を改善しなかった。イオン交換カラムによる単純な精製により、高い
放射化学的純度が得られた(>96%)。
【0149】
(実施例2)
(5’−p−ヨード−[125I]−ベンゾエート誘導体化c−mybの放射安定性)
放射標識化合物を、−20℃で6ヶ月間保存した。この時間の間に、この溶液を9回解
凍し、そして1〜2時間にわたって4〜10℃の間の温度で維持した。次いで、この生成
物の完全性を、C−18 RP HPLC(Microsorb;5m、25cm×4.
6mm)によって評価した。移動相は、以下からなった:緩衝液A:0.1N 酢酸Na
(pH6.3)、緩衝液B−アセトニトリル。溶出条件は、以下であった:100%のA
、0〜3分;0〜50%のB(3〜30分)、流速=1.5ml/分。吸光度を、254
nmでモニタリングした。125I放射活性を、ウェルカウンター(LKB)で各画分(
0.75ml)を計数することによって測定した。図3に示されるように、放射標識化合
物は、−20℃で保存された場合には、少なくとも6ヶ月までにわたって安定であった。
【0150】
(実施例3)
(ヒト血清における125I−c−mybホスホロチオエートの安定性)
ヒト血清を、0.9% NaClで60%(W/V)まで希釈し、そして0.2gm
Teflon(登録商標)フィルタで濾過した。25μl(96M、2,200CPM/
l)のS−ODN(センスc−myb)を、80μlの血清溶液に添加して、22μMの
最終濃度を得た。この混合物のアリコートを、36〜37℃の水浴中で、0時間、1時間
、2時間および4時間にわたってインキュベートし、そしてサンプルを、分析まで−20
℃で保存した。
【0151】
分析に使用したカラムおよび溶出液は、上記と同じであった。溶出プロフィールを改変
して、ODNの溶出前にカラムからタンパク質を洗浄(flush)した。溶出条件は、
以下であった:100%のA(0〜10分)、0〜100%のB(11〜30分)、10
0%のB(30〜35分)、流速=1.5ml/分。放射活性を、アリコート(各々、0
.5分間にわたって収集された)において測定した。
【0152】
これらの結果は、36〜37℃にて4時間までの、ヒト血清(45%)との125I−
c−mybホスホロチオエート(2μM)のインキュベーションが、最小の脱ヨウ素化(
<2%);1〜2分でのピーク溶出を生じたことを示した。画分のHPLC分析は、ほと
んどの放射活性が、UV活性オリゴヌクレオチド分子と関連したことを示した。予測され
るように、HPLC分析は、この放射標識オリゴヌクレオチドの分解についての主要な部
位が、3’末端であったことを示唆した(17〜18分の間のピーク溶出)。ヒト血清中
の分解産物は、4時間のインキュベーション後に、6.4%増加した。
【0153】
画像化適用または治療適用のいずれかのために、悪性組織に対して活性なアンチセンス
オリゴヌクレオチドを標的化することは、その5’末端に放射性標識を配置することによ
って改善され得、そして安定性は、以前に記載されたように(Ausubel,F.M.
,Brent,R.,Kingston,R.E.,Moore,D.D.,Seidm
an,J.G.,Smith,J.A.,Struhl,K.,Albright,L.
M.,Coen,D.M.&Varki,A.(1987)、Current prot
ocols in molecular biology.(J.Wiley,New
York)、pp.A.3D.1−8)、その3’末端をブロックすることによって改善
される。血清中での放射ヨウ素化オクタデカマーの安定性は、トリチウム化S−ODNで
の研究(Temsamani,J.ら、Antisense Res.Dev.1993
,3,277−284;Agrawal,S.ら、Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 1991,88,7595−7599)の結果と良好に一致した。インビト
ロおよびインビボで検出された微量な程度の脱ヨウ素化は、この放射標識方法が、代謝的
に安定な放射性医薬品を生じることを示す。この放射標識のインビボでの安定性は、画像
化研究の解釈を単純化するはずである。
【0154】
(実施例4)
(時間の関数としての、オリゴヌクレオチドのインビトロ取り込み)
この実施例は、標識化c−mybオリゴヌクレオチドの取り込みを、3つの異なる細胞
株において時間の関数として記載する。
【0155】
NIH−3T3マウス繊維芽細胞、ヒト神経芽細胞腫(SK−N−SH)およびヒト腸
平滑筋細胞(HISM)を、American Type Culture Colle
ction(ATCC),10801 University Blvd.,Manas
sas,Va.20110から得た。細胞を、5%CO/95%空気下で、10%(V
/V)ウシ胎仔血清およびペニシリン/ストレプトマイシンを含むイーグルMEMまたは
DMEM中で、75cmのフラスコ中で増殖させた。他の補充物を、ATCCの指示に
従って添加した。細胞を、各実験の36〜48時間前に、12ウェルプレートに播種し、
NIH−3T3細胞株およびSK−N−SH細胞株について約10細胞/ウェル、そし
てよりゆっくりと増殖しているHISM細胞について約2.5〜3×10細胞/ウェル
の最終細胞数を与えた。コンフルエント未満の単層を使用した。
【0156】
各実験の一日目に、インキュベーション培地を、(剥離した細胞または死細胞を除去す
るために)10% FCSを含む新たなDMEMで置換し、そして血小板を、37℃で2
時間インキュベートした。次いで、この培地を、10mM HEPES緩衝液および放射
標識化c−mybホスホロチオエートアナログ(最終濃度5μM)を含む350μlのD
MEMで置換した。一定の条件を確実にするために、この培地を、5%CO含有雰囲気
中で、37℃にて、予めインキュベートした。全ての実験を、三連ウェルで少なくとも2
回実施した。これらの細胞を、図4に示される時間にわたって、オリゴヌクレオチドとイ
ンキュベートした。
【0157】
各インキュベーション時間の終わりで、細胞に関連するS−ODN放射活性の濃度(取
り込み反応速度論)を決定するために、ウェルを、1.0mlの氷冷リン酸緩衝化生理食
塩水(PBS、3×)で洗浄して、細胞外の放射活性を除去し、その後0.5mlの1N
NaOHで溶解した。この細胞溶解物をプールし、37℃で少なくとも2時間のインキ
ュベーション後に、引き続き水で洗浄した(0.5ml)。125I放射活性を、ウェル
型自動γカウンターで測定した。細胞数を、温PBS(×3)で洗浄し、その後トリプシ
ン処理した平行ウェルから決定した。
【0158】
統計的分析を、一方向または二方向のAnalysis of Variance(A
NOVA)によって実施した。個々の平均を、複数の比較について較正して、Stude
nt t検定によって比較した。全ての結果を、平均±semで表す。0.05未満のP
値を、有意とみなした。
【0159】
HISM細胞株、SK−N−SH細胞株およびNIH−3T3細胞株による、センスお
よびアンチセンスの125I−c−mybホスホロチオエートについての取り込み反応速
度論は、全ての場合において、インキュベーション時間の関数としての増大した細胞取り
込みを実証した(図4)。3つ全ての細胞株において、c−mybホスホロチオエートの
センス形態の取り込みは、対応するアンチセンス化合物の取り込みよりも低かった。予測
されるように、センス取り込みとアンチセンス取り込みとの間の最も大きい差異は、HI
SM細胞において観察された(図4A)。この細胞株は、c−mybを発現することが公
知である。オリゴヌクレオチドの非特異的取り込みは、多くの細胞株において観察されて
いるので(Agrawal,S.Antisense Therapeutics、Cu
rrent Opinion in Chemical Biology,Vol.2,
1998,pp.519−528)、神経芽細胞腫細胞および繊維芽細胞における非特異
的取り込みは、驚くべきことではない。
【0160】
(実施例5)
(濃度の関数としての、オリゴヌクレオチドのインビトロ取り込み)
この実施例は、3つの異なる細胞株において、標識化c−mybオリゴヌクレオチドの
取り込みをオリゴヌクレオチド濃度の関数として記載する。
【0161】
HISM細胞、SK−N−SH細胞およびNIH−3T3細胞を、上記のように、放射
標識したc−mybのセンスオリゴヌクレオチドおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド
と共にインキュベートした。但し、これらのオリゴヌクレオチドとの全てのインキュベー
ションは、40分間行い、濃度は、図5に示されるとおりであった。
【0162】
これらの結果は、HISM細胞が、漸増する濃度の放射標識化アンチセンスと共に顕著
な取り込みの増加(1μMで約10%および7.5μMで約30%)を示したが、一方、
標識化センスが、僅かな変化だけ(7.5μMで約7%に対して、1μMで約5%)しか
示さなかったことを示す(図5A)。神経芽細胞腫細胞株を用いて、研究した濃度範囲に
わたって、アンチセンス取り込みは変化しなかった(1〜7.5μMの濃度について約7
%)(図5B)。同じ濃度範囲にわたって、センス化合物は、より低い取り込み(約2%
)を示した。繊維芽細胞細胞株について、1μMでの取り込み%は、センスおよびアンチ
センスの両方について類似であった(約4%)(図5C)。この取り込みは、漸増するセ
ンス濃度と共に減少した(7.5μMで−1%)が、一方アンチセンスでは、取り込みが
7.5μMで約5.5%まで僅かに減少したのと比べて、5μMでは約6%まで増大した
。これらの知見は、トリチル化オリゴヌクレオチドを用いて実施した研究の結果と一致す
る。
【0163】
図6はまた、1μMのオリゴヌクレオチド濃度での20秒間のインキュベーション後(
最初の2つの柱)、または1μMもしくは7.5μMのオリゴヌクレオチド濃度での40
分間のインキュベーション後(図6の柱3〜6)に、SK−SN−NH細胞株に取り込ま
れた放射標識したセンスおよびアンチセンスのc−mybオリゴヌクレオチドの量を示す

【0164】
5μMの最終総濃度で40分間にわたるSK−S−NH細胞とのインキュベーションの
前に、室温で10分間にわたって等モル濃度で、センスおよびアンチセンスのストック溶
液のアリコートを同時インキュベートすることは、細胞に結合した放射活性を、ほぼバッ
クグラウンドレベルにまで低減させた(図6の最後の柱)。比較として、同じ細胞を、5
μMのアンチセンスc−mybと共に40分間にわたってインキュベートした(図6の最
後から2つ目の柱)。これらの結果は、一本鎖S−ODNについての輸送系の特異性の程
度(Loke,S.L.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989
,86,3474−3478;Stein,C.A.ら、Biochemistry,1
993,32,4855−4861)ならびに、細胞結合および細胞取り込みに対する分
子電荷の重要な役割を示す
(実施例6)
(オリゴヌクレオチドの取り込みおよび保持)
この実施例は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの保持が、センスオリゴヌクレオチド
の保持よりも高いこと、そして細胞中のRNAの存在が、対応するアンチセンス分子の保
持を増大することを、実証する。
【0165】
HISM細胞、SK−N−SH細胞およびNIH−3T3細胞を、上記のように、12
I−c−mybホスホロチオエートセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド(S
−ODN)5μMと共に、1時間または2時間にわたってインキュベートした。S−OD
Nとの細胞のインキュベーション後、放射活性培地を完全に吸引し、そしてウェルを、1
mlの予め暖めたDMEM(37℃/5%CO)で穏やかに洗浄した。次いで、細胞を
、1mlのDMEM(37℃/5%CO)と共に30分間(洗浄期間)インキュベーシ
ョンし、その後冷PBSで2回洗浄した(洗浄反応速度論)。
【0166】
c−mybセンス配列およびc−mybアンチセンス配列の吸収および相対的保持を、
表1および図7に示す。HISM細胞株について、インキュベーションの1時間後および
2時間後にとられた125I−c−mybホスホロチオエートアンチセンスの放射活性の
80%よりも多くが、30分間にわたって保持された(表1中のデータは、正規化された
細胞結合放射活性として示される)が、一方で、センスオリゴマーでは、放射活性の52
%だけが保持された。これらの知見は、トリチル化オリゴヌクレオチドを用いて得られた
結果と一致する。神経芽細胞腫細胞株で、125I−c−mybホスホロチオエートアン
チセンスの保持は、60分間および120分間のインキュベーションにわたって、それぞ
れ、66%および82%であった。対応するセンス化合物では、保持は有意に低く、60
分間および120分間のインキュベーションにわたって、それぞれ、38%および44%
であった。最初の細胞結合放射活性は、ヒト由来のSK−N−SH細胞株およびHISM
細胞株と比較して、NIH−3T3マウス繊維芽細胞において高かった。しかし、保持値
(表1)は、ヒト細胞株において有意により高かった。HISM細胞は、c−myb m
RNA配列を発現することが公知であるので(Simons,M.ら、Nature,1
992,359,69−70;Simons,M.ら、Circ.Res.,1992,
70,835−843)、他の2種の細胞株の取り込みおよび保持と比較した、HISM
細胞による放射標識化c−mybアンチセンス(センスではなく)の、より高い取り込み
および保持は、細胞中のmRNAの存在が、このような細胞における本発明の構築物の取
り込みおよび保持を増大させることを示唆する。
【0167】
(表III.1時間もしくは2時間の連続インキュベーションおよび30分間の洗浄期
間後の、3つの細胞株における125I−c−mybセンスオリゴヌクレオチドおよび
25I−c−mybアンチセンスオリゴヌクレオチドの保持%(詳細については、方法を
参照のこと))
【0168】
【表3】


(実施例7)
(ラットにおけるc−mybアンチセンスの生体分布)
CD Fisherラット(175〜225g)に、尾部静脈を介して、15〜20μ
Ciの放射標識化c−mybアンチセンスを注射した(ラット1匹当たり、約10μgの
c−mybアンチセンス)。これらのラットを、注射の5分後、30分後、60分後およ
び120分後に、頸部脱臼によって屠殺し、そして血液、心臓、肝臓、腎臓、筋肉、胃、
胃腸管および脳のサンプルを計量し、そしてウェル型γカウンターを用いて放射活性を測
定した。放射活性の減衰について較正するため、および投与された用量の関数としての各
器官における放射活性の濃度の算出を可能にするために、注射した用量のアリコートを、
同時に計数した。これらの結果を、1グラム当たりの注射用量%(% I.D./g)と
して示した。6匹のラットを、各時点において研究した。
【0169】
図8に示される結果は、ラットにおける125I標識化c−mybオクタデカマーが、
循環からの迅速なクリアランス(主に、腎クリアランスによって説明される)を示すこと
を示す。低レベルの取り込みが、静止性組織(骨、骨格筋および特に脳(ここでは、血液
脳関門が、蓄積をさらにブロックする))において観察された。他方、迅速に分裂する組
織(例えば、胃粘膜および胃腸管)は、放射標識のいくらかの蓄積を示した。これらの結
果は、Zamecnikら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1994
,91,3156−3160)(これは、S−OIDNの細胞侵入が、細胞周期事象に関
連することを示す)によって公開されたデータと一致する。遊離ヨウ素は、胃における放
射活性の蓄積を部分的に説明するだけである。本発明者らの結果は、脱ヨウ素化が、4時
間のインキュベーション後の、ヒト血清における活性の2%のみであったことを示した。
本発明の実験において使用されるc−mybアンチセンスオリゴヌクレオチドは、4つ連
続するG残基(これは、それ自体、細胞内の生体保持において役割を果たす)を有するセ
グメントを含む。
【0170】
結果として、本発明者らは、以下を記載する:(i)単純かつ迅速な放射ヨウ素化のた
めに、c−mybホスホロチオエートを誘導体化するための、簡便かつ有効な方法。放射
標識化産物は、インビトロおよびインビボで優れた放射化学的安定性を有する。(ii)
125I−c−myb−ホスホロチオエートは、種々の細胞株において、配列特異的な取
り込みおよび保持を示した。(iii)相補的c−myb mRNA発現を発現すること
が公知であるヒト平滑筋細胞は、最も高いレベルの取り込みおよび保持を示し、そしてト
リチル化化合物を用いたインビトロ研究およびインビボ研究の結果を確認し、そして(例
えば、細胞における取り込みおよび/または保持を増大させるために)標的化複合体中に
アンチセンス分子を含むことの利点を確認する。(iv)ラットの平行研究における生体
分布研究を、トリチル化オリゴヌクレオチドを用いて実施した。これらの結果は、新規放
射標識手順が、アンチセンスの生化学的特性を変更せず、従って、診断的画像化および放
射線療法についての新規トレーサーを提供し得ることを示す。
【0171】
(等価物)
本明細書中に記載される実施例および実施形態は、限定ではなく例示としてであり、そ
して特許請求の範囲に示される本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、他の実
施例が使用され得ることが、当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】図1は、核酸分子(N.A.)、標的化部分(T.M.)、およびペイロードから構成される、標的化構築物の構造の模式図を示す。
【図2A】図2Aは、スキーム1の化学合成を示す。
【図2B】図2Bは、スキーム2の化学合成を示す。
【図3】図3は、−20℃で6ヶ月間保存した後の、125I−c−mybアンチセンス(点線)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドおよび125I−c−mybセンス(連続線)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)図である。
【図4】図4Aは、時間の関数として、HISM細胞による、125I−c−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(上の線)および125I−c−mybホスホロチオエートセンスオリゴヌクレオチド(下の線)の量を示す。図4Bは、時間の関数として、SK−N−SH細胞による、125I−c−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(上の線)および125I−c−mybホスホロチオエートセンスオリゴヌクレオチド(下の線)の量を示す。図4Cは、時間の関数として、NIH−3T3細胞による、125I−c−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(上の線)および125I−c−mybホスホロチオエートセンスオリゴヌクレオチド(下の線)の量を示す。
【図5】図5Aは、細胞培養物に添加されたオリゴヌクレオチドの濃度の関数として、10細胞あたりの、HISM細胞による、125I−c−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(上の線)および125I−c−mybホスホロチオエートセンスオリゴヌクレオチド(下の線)の取り込み%を示す。データを、10細胞あたりの、適用された活性の合計のパーセントに対して正規化する。図5Bは、細胞培養物に添加されたオリゴヌクレオチドの濃度の関数として、10細胞あたりの、SK−S−NH細胞による、125I−c−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(上の線)および125I−c−mybホスホロチオエートセンスオリゴヌクレオチド(下の線)の取り込み%を示す。データを、10細胞あたりの、適用された活性の合計のパーセントに対して正規化する。図5Cは、細胞培養物に添加されたオリゴヌクレオチドの濃度の関数として、10細胞あたりの、NIH−3T3細胞による、125I−c−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(上の線)および125I−c−mybホスホロチオエートセンスオリゴヌクレオチド(下の線)の取り込み%を示す。データを、10細胞あたりの、適用された活性の合計のパーセントに対して正規化する。
【図6】図6は、20秒間(最初の2つのカラム)または40分間にわたって、表示される濃度のオリゴヌクレオチドと共にインキュベートしたSK−S−NH細胞による、125I−c−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(格子縞のカラム)および125I−c−mybホスホロチオエートセンスオリゴヌクレオチド(単色のカラム)または2つの混合物(最後のカラム)の取り込みを(1ウェルあたりの放射活性の量として)示す。
【図7】図7は、60分間または120分間、オリゴヌクレオチドとインキュベートし、次いで、オリゴヌクレオチドなしで30分間倍地中で洗浄およびインキュベーション(すなわち、洗い流し)した、HISM細胞、SK−N−SH細胞およびNIH−3T3細胞による、125I−c−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび125I−c−mybホスホロチオエートセンスオリゴヌクレオチドの取り込みおよび保持を示す。
【図8】図8は、1グラムあたりの注入用量のパーセントとして表される、オリゴヌクレオチドでのラットの注射(「p.i.」)の後の種々の時間で、ラットの種々の器官に存在する(「生体分布」)、125I−c−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドの量を示す。各値は、6匹の動物についての平均±semである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的化オリゴヌクレオチド構築物を細胞に導入するための方法であって、細胞を該標的化オリゴヌクレオチドと接触させて、その結果、該標的化オリゴヌクレオチドが該細胞に導入される工程、を包含する、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−89714(P2009−89714A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335668(P2008−335668)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【分割の表示】特願2003−525650(P2003−525650)の分割
【原出願日】平成14年8月26日(2002.8.26)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】