説明

標的粒子サイズを有する、活性医薬を含む凝集体配合物

本発明の様々な実施形態が、少なくとも1種類の活性医薬品および少なくとも1種類の賦形剤を含む凝集体であって;少なくとも1種類の活性医薬品の少なくとも約90パーセントが約2μm未満の粒子サイズを有する凝集体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の様々な実施形態が乾燥粉末吸入剤、より具体的には、望ましい微細粒子画分を生じる凝集体に関する。
【背景技術】
【0002】
肺への薬物送達は乾燥粉末吸入器(DPI)、定量吸入器および噴霧器で達成することができる。大部分のDPIは受動性であり、これはDPIが、吸入の最中に粉末をエアロゾル化するエネルギーを患者が提供する、「呼気作動(breath−actuated)」装置であることを意味する。気道内で薬物を堆積させるため、DPIは約1−5μmの空力学的直径を有するミクロンサイズの薬物粒子を送達する。このサイズの粒子は大表面積および粒子間の多数の接触点を有する。そのような系の優勢粒子間相互作用はファン・デル・ワールスおよびクーロン相互作用である。微粉化粉末は粘着性で流動性に劣る傾向にあり、その両者が乏しい薬物のエアロゾル化効率および送達を生じるため、DPI配合物が困難であることが判明している。
【0003】
DPIの一般的なタイプには、小包もしくはカプセル内に微粉化粉末を有する吸入器、担体配合物ベースのDPIまたは凝集体配合物ベースのDPIが含まれる。担体ベースのシステムにおいては、微粉化薬物を、典型的には60〜90ミクロンの、粗い賦形剤と混合する。代替担体、例えば、ソルビトール、キシリトールおよびマンニトールが研究されてはいるものの、α−ラクトース一水和物が最も広く用いられる担体である。担体ベースのシステムにおいては、微粉化薬物をより大きい担体粒子に付着させる。吸入の最中にそれらの粒子が気流中に入るとき、薬物は担体の表面から分離し、より大きい担体粒子は中咽頭内で衝突して除去されるのに対して、吸入される。
【0004】
別の配合物手法が凝集体ベースのシステムである。この技術においては、微粉化薬物を、PULMICORT TURBOHALER(登録商標)乾燥粉末吸入器(AstraZeneca、Wilmington、DE)において用いられるような賦形剤と共に凝集させることができる。その代わりに、微粉化薬物をASMANEX TWISTHALER(登録商標)乾燥粉末吸入器(Schering−Plough、Kenilworth、NJ)において用いられるような微粉化賦形剤と組み合わせ、米国特許第6503537号(これはその全体が本明細書に組み込まれる)に記述されるように凝集体に配合することができる。患者が吸入している最中、乱流および凝集体と吸入器壁との衝突がこれらの凝集体を微細な薬物および賦形剤粒子に破壊する。
【0005】
担体ベースの配合物と凝集体ベースの配合物との主な相違は、凝集体ベースの配合物では微粉化薬物に加えて微粉化賦形剤が肺深部に吸引され、それに対して、担体ベースのシステムにおいては、一般に肺の前に喉および身体の他の領域に固着するため、大担体粒子が肺に到達することがない。したがって、凝集体ベースのシステムは、凝集体からのほとんどの粉末が肺に吸入されるため、特に困難である。一般には、最少量の粉末を肺に吸引することが望ましい。したがって、様々な呼吸器疾患、例えば、喘息およびCOPDを治療し、ならびにDPIから吸入する必要がある粉末の総量を減少させるのに望ましい、肺の標的領域に到達し得る配合物の微粒子(微粒子画分またはFPF)を増加させることにより、凝集体ベースの配合物の効率を高めることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6503537号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
驚くべきことに、凝集体ベースのDPIシステムの微粒子画分を制御し、および増加させることができる、凝集体配合物および方法が発見された。具体的には、APA粒子サイズの減少に伴い、凝集体ベースのDPIの送達された用量でより大きい微粒子画分を有する高効率凝集体配合物が増加することが見出された。より具体的には、驚くべきことに、より小さい粒子サイズを含む薬物物質を用いて調製される凝集体でより大きい微粒子画分が得られた。
【0008】
これらの結果は、担体ベースのDPI配合物について文献において報告されているもの(Taki M.,Marriott,Zeng X.,Martin G.,An investigation into the influence of particle size,drug−drug and drug−excipient interactions on the aerodynamic deposition of drugs aerosolized from single and combination dry powder inhalers,Respiratory Drug Delivery,2008,589−592)とは反対の方向に向かう。例えば、担体ベースのシステムにおいては、より小さいAPA粒子サイズがAPAと担体粒子との相互作用力の正味の増加につながることが報告されている。より小さいAPA粒子サイズはより小さい個々のAPA粒子が薬物送達の最中に担体粒子から分離することをより困難にし、APA粒子がより大きい粒子サイズを選択的に有するか、またはより小さい粒子のAPA塊であり、したがって、微粒子画分がより小さい吸入APA粒子を生じるものと信じられる。したがって、当業者はそのような粒子がDPIの作動時により大きい粒子/塊を生成し、望ましくないことに、より小さいFPFを有するものと信じるため、先験的に、当業者は凝集体ベースの配合物を調製するのに用いられる薬物物質の粒子サイズを減少させようと試みることはない。本発明は、驚くべきことに、凝集体中で用いられるより小さい粒子を有するAPAが、DPIの作動時に放出されるとき、より大きいFPFを有する粒子を実際に生じることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の様々な実施形態が、少なくとも1種類の活性医薬品および少なくとも1種類の賦形剤を含む凝集体であって;少なくとも1種類の活性医薬品の少なくとも約90パーセントが約2μm未満の粒子サイズを有する凝集体を提供する。加えて、凝集体は、約1μmを未満の粒子サイズを有する少なくとも1種類の医薬品を少なくとも約50%有することができる。好ましい賦形剤は結合剤であり、無水ラクトースNFであり得る。凝集体は少なくとも約9mN、少なくとも約10mN、少なくとも約13mNまたは少なくとも約15mNの硬度を有することができる。乾燥粉末吸入器からの活性医薬品放出用量は約30%、約50%、約60%、約70%、約75%または約80%を上回る微粒子画分を有することができる。有用な少なくとも1種類の活性医薬品には、これらに限定されるものではないが、抗コリン作動薬、コルチコステロイド、長時間作用型ベータアゴニスト、短時間作用型ベータアゴニスト、ホスホジエステラーゼ4阻害剤およびそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0010】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1種類の活性医薬品およびラクトースを含む凝集体であって;少なくとも1種類の活性医薬品の少なくとも約90パーセントが約2μm未満の粒子サイズを有する凝集体を提供する。本発明のさらに別の実施形態には、少なくとも1種類の活性医薬品および少なくとも1種類の賦形剤を含む凝集体であって;少なくとも1種類の活性医薬品のうちの1つが、それが有する粒子の少なくとも約90パーセントが約2μm未満の粒子サイズを有し、および第2活性医薬品が、それが有する粒子の約90パーセントが約2μm以上の粒子サイズを有する凝集体が含まれる。本発明のさらなる実施形態には、少なくとも1種類の活性医薬品およびラクトースを含む凝集体であって;少なくとも1種類の活性医薬品の少なくとも約90パーセントが約2μm未満の粒子サイズを有し、および少なくとも9mNの硬度を有する凝集体が含まれる。
【0011】
本発明のさらなる実施形態には、乾燥粉末吸引器装置ならびに、少なくとも1種類の活性医薬品および少なくとも1種類の賦形剤を含む、少なくとも1種類の凝集体を含む医薬製品であって;少なくとも1種類の活性医薬品の少なくとも約90パーセントが約2μm未満の粒子サイズを有する医薬製品が含まれる。少なくとも1種類の活性医薬品のうちの1つは2μm未満のDv90を有し、少なくとも1種類の活性医薬品のうちの第2のものは2μmを上回るDv90を有する。凝集体の硬度は少なくとも約9mN、少なくとも約10mN、少なくとも約13mNまたは少なくとも約15mNである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】APA粒子サイズが変化する3種類の凝集体バッチの光学顕微鏡写真;(A)バッチ1(APA Dv50=0.92μm)、(B)バッチ2(APA Dv50=1.19μm)および(C)バッチ3(APA Dv50=2.30μm)。
【図2】APA粒子サイズが変化する3種類の凝集体バッチの分散凝集体顕微鏡写真;(A)バッチ1(APA Dv50=0.92μm)、(B)バッチ2(APA Dv50=1.19μm)および(C)バッチ3(APA Dv50=2.30μm)。
【図3】バッチ1バッチの凝集体のSEM画像(APA Dv50=0.92μm)。
【図4】バッチ2バッチの凝集体のSEM画像(APA Dv50=1.19μm)。
【図5】バッチ3バッチの凝集体のSEM画像(APA Dv50=2.30μm)。
【図6】APA粒子サイズの関数としての放出用量(n=10)。
【図7】Sympatecによって測定されるAPI粒子サイズの関数としてのACIから得られる微粒子画分。
【図8】典型的な凝集体ベースの配合物のSEM。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、驚くべきことに、凝集体ベースのDPIシステムの微粒子画分を制御し、および増加させることができる凝集体配合物および方法を発見した。本発明は、驚くべきことに、凝集体ベースのDPIの送達用量の微粒子画分がAPA粒子サイズの減少に伴って増加することを発見した。サイズがより小さい薬物物質を用いて調製された凝集体でより大きい微粒子画分が得られた。これらのAPA粒子サイズは、担体ベースのDPI配合物についての文献(Taki M.,Marriott,Zeng X.,Martin G.,An investigation into the influence of particle size,drug−drug and drug−excipient interactions on the aerodynamic deposition of drugs aerosolized from single and combination dry powder inhalers,Respiratory Drug Delivery,2008,589−592)において報告されているものとは反対の方向の傾向を生じる。担体ベースのシステムについては、より小さいAPA粒子がAPAと担体粒子との相互作用力の正味の増加につながることが報告されている。より小さい粒子サイズのAPA粒子は薬物送達の最中にAPA粒子が担体粒子から分離することをより困難にし、APA粒子が、共に凝集し、したがって、より大きい粒子サイズおよびより小さい微粒子画分を有する吸入粒子を生じるものと信じられている。したがって、先験的に、凝集体ベースの粒子を調製するのに用いられる薬物物質の粒子サイズを当業者が減少させようと試みることはなく、薬物物質はそのような粒子がDPIの作動時により大きい粒子を生じ、望ましくないことに、薬物物質がより大きいFPFを有するものと当業者が信じるためである。本発明は、驚くべきことに、凝集体において用いられる、より小さい粒子を有するAPAが、DPIから発動されるとき、より大きいFPFを有する粒子を実際に生成することを見出した。
【0014】
この現象は幾つかの要因(例えば、粒子形状、粒子の表面エネルギー、凝集体の硬度および多孔性)によるものであり得ると信じられる。本発明の様々な実施形態において、圧入データは、小粒子サイズを有するAPAで形成された凝集体がより強い凝集体を生じたことを示した。より硬い凝集体はより小さい微粒子画分を生じるものと予想されたが、驚くべきことに、より小さい粒子サイズのAPAを有するより硬い凝集体がより大きい微粒子画分を生じることが発見された。
【0015】
Dvは体積径を表す。DvXは、それ未満に対数正規累積サイズ分布のXパーセントが入る体積径である。Dv90は、それ未満に対数正規累積サイズ分布の90パーセントが入る体積径である。Dv50は、それ未満に対数正規累積サイズ分布の50パーセントが入る体積径である。Dv10は、それ未満に対数正規累積サイズ分布の10パーセントが入る体積径である。したがって、Dv90は、少なくとも1種類の活性医薬品の少なくとも約90パーセントが特定の粒子サイズ未満の粒子サイズを有することを意味するように定義される。したがって、Dv50は、少なくとも1種類の活性医薬品の少なくとも約50パーセントが特定の粒子サイズ未満の粒子サイズを有することを意味するように定義される。
【0016】
本発明の様々な実施形態が、少なくとも1種類の賦形剤および、約5ミクロン(μm)未満、約4ミクロン未満、約3ミクロン(μm)未満、約2.5ミクロン(μm)未満、約2ミクロン(μm)未満、約1.8ミクロン(μm)未満、約1.7ミクロン(μm)未満、約1.5ミクロン(μm)未満、約1.3ミクロン(μm)未満または約1ミクロン(μm)未満のDv90を有する少なくとも1種類の活性医薬品を含む、DPIにおいて有用な凝集体を提供する。
【0017】
本発明の様々な実施形態が、少なくとも1種類の賦形剤および、約2ミクロン(μm)未満、1.8ミクロン(μm)、約1.7ミクロン(μm)未満、約1.5ミクロン(μm)未満、約1.3ミクロン(μm)未満、約1.2ミクロン(μm)未満、約1.1ミクロン(μm)未満、約1.0ミクロン(μm)未満または約0.75ミクロン(μm)未満のDv50を有する少なくとも1種類の活性医薬品を含む、DPIにおいて有用な凝集体を提供する。
【0018】
凝集体粒子ベースのDPIの別の必要条件は、凝集体配合物がDPIの作動前に時期尚早に分離せずにいるのに十分な硬さでなければならない。凝集体配合物は、DPIの貯留容器内に加えて製造プロセス全体を通してアイドリング状態であるのに対して、製品輸送および操作の最中の力に耐えるのに十分な硬さでなければならない。先験的に、当業者は、小粒子に伴うより強い力のためにより小さい粒子で調製される凝集体がより強く、したがって、微粒子に破壊することがより困難であると信じるように導かれる。これは、次に、配合物の微粒子画分を減少させるものと予想される。これは担体ベースのシステムについての文献(Taki M.,Marriott,Zeng X.,Martin G.,An investigation into the influence of particle size,drug−drug and drug−excipient interactions on the aerodynamic deposition of drugs aerosolized from single and combination dry powder inhalers,Respiratory Drug Delivery,2008,589−592)において確立されている。驚くべきことに、本発明の様々な実施形態において主張される凝集体配合物は、より小さいAPI粒子サイズを用いて配合されるとき、より大きい微粒子画分を有することが示された。
【0019】
本発明の様々な実施形態が少なくとも1種類のAPAを含む。幾つかの実施形態は2または3種類のAPAを含み得る。凝集体の製造に用いられる様々なAPAの粒子サイズを変化させることにより、生じるDPIからの放出FPF用量を特定の要求に対応するようにあつらえることができる。例えば、あるAPAが30または40%のFPFを有する凝集体配合物を有することが望ましいことがあり、それに対して同じ凝集体配合物中に60または70%のFPFを有する第2のAPAを有することが望ましいことがある。出発APAの粒子サイズを変化させることにより、今やこのタイプの凝集体配合物が可能である。粒子サイズが変化する第3および第4のAPAを1つの凝集体に含めることもできる。加えて、単一の凝集体に含められる賦形剤の粒子サイズを変化させてDPIから望ましくもたらされる放出FPFをあつらえることができる。
【0020】
そのような凝集体配合物は乾燥粉末吸入器システム、例えば、Schering−Ploughによって販売されるTWISTHALER(登録商標)において有用である。
【0021】
有用な賦形剤にはラクトース、例えば、無水ラクトースNF、ラクトース一水和物またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0022】
幾つかの他の実施形態は、DPI装置および凝集体を含む投薬システムであって;DPI装置が作動して凝集体が送達されるとき、作動用量が少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%または少なくとも80%の微粒子画分を含むシステムを提供する。
【0023】
本発明による凝集体は小粒状物質が結合した塊である。凝集体は少なくとも1種類の第1物質および少なくとも1種類の賦形剤、例えば、固体結合剤を含むことができる。本発明は、医薬、化粧品、食品および香味料等を含む、あらゆる用途のための自由流動凝集体を製造するのに広く用いることができるため、本発明による第1物質は何でもよい。望ましくは、第1物質は活性医薬品または治療の過程を必要とする患者に投与しようとする薬物である。
【0024】
薬物単独の、または他の物質との凝集体、例えば、米国特許第6503537号(これは本明細書に組み込まれる)に記述される凝集体を用いることができる。固体結合剤および医薬活性剤を凝集させるあらゆる方法を用いることができる。有用な凝集方法には、固体結合剤の非晶質含有物を時期尚早に結晶形態に変換することなしに達成することができ、追加結合剤の使用を必要とせず、本発明に従って実施することができるものが含まれる。
【0025】
本発明による凝集体は小粒状物質が結合した塊である。凝集体は少なくとも1種類の第1物質および少なくとも1種類の固体結合剤を含む。本発明による第1物質は何でもよく、これは本発明が、実際、医薬、化粧品、食品および香味料等を含む、あらゆる用途のための自由流動凝集体を製造するのに広く用いることができるためである。しかしながら、好ましくは、第1物質は活性医薬品または治療の過程を必要とする患者に投与しようとする薬物である。
【0026】
活性医薬品は予防薬として予防的に、または医学的状態の過程の最中に処置または治療として投与することができる。活性医薬品または薬物は肺を含む呼吸器系に乾燥粉末形態で投与することができる物質であり得る。例えば、本発明による薬物は、肺を介して血流に吸収されるように投与することができる。しかしながら、より好ましくは、活性医薬品は、肺または呼吸器系の幾つかの状態を直接および/または局所的に治療するのに有効である、粉末化薬物である。
【0027】
有用な凝集体にはサイズが約100〜約1500μmの範囲の凝集体が含まれる。凝集体は約300〜約1,000μmの平均サイズを有することができる。有用な凝集体は約0.2〜約0.4g/cmまたは約0.29〜約0.38g/cmの範囲の嵩密度を有し得る。
【0028】
詰まった粒子サイズ分布を有することが有用である。この文脈において、粒子サイズは凝集体のサイズを指す。好ましくは、凝集体の約10%以下が平均または標的凝集体サイズよりも50%小さいか、または50%大きい。例えば、300μmの凝集体に対して、凝集体の約10%以下が約150μmより小さいか、または約450μmより大きい。
【0029】
凝集体を調製する有用な方法は米国特許第6503537号(これは本明細書に組み込まれる)に記述される。適切な方法は、予め選択された量の1種類以上の医薬活性剤(1以上)および乾燥固体結合剤を含有する微粉化非晶質含有物質を、固体結合剤の量に対して約100:1〜約1:500;約100:1〜約1:300(薬物:結合剤);約20:1〜約1:20または約1:3〜約1:10の比で混合することを含む。
【0030】
有用な凝集体は約50mg〜約5,000mg、最も好ましくは、約200mg〜約1,500mgの範囲の強度を有し得る。粉砕力は、日本国、東京(Tokyo,Japan)のSeiko Instruments,Inc.から入手可能なSeiko TMA/SS 120C熱機会分析器で、製造者から入手可能な手順を用いて試験した。この方法で測定される強度がここに記述される微粒子間結晶結合(interparticulate crystalline bonding)の質および程度の影響を受けることは注意するべきである。しかしながら、凝集体のサイズも測定される粉砕力において役割を果たす。一般には、より大きな凝集体はより小さい粒子よりも破砕するのにより多くの力を必要とする。
【0031】
様々な医薬活性剤を用いることができる。適切な少なくとも1種類の活性医薬品には、これらに限定されるものではないが、抗コリン作動薬、コルチコステロイド、長時間作用型ベータアゴニスト、短時間作用型ベータアゴニスト、ホスホジエステラーゼIV阻害剤が含まれる。適切な医薬は呼吸器、炎症性または閉塞性気道疾患の予防または治療に有用であり得る。そのような疾患の例としては喘息または慢性閉塞性肺疾患が挙げられる。
【0032】
適切な抗コリン作動薬には(R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、グリコピロレート、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、硝酸メチルアトロピンメチル、硫酸アトロピン、イプラトロピウム、ベラドンナ抽出物、スコポラミン、スコポラミンメトブロミド、メトスコポラミン、ホマトロピンメトブロミド、ヒヨスチアミン、イソプリオプラミド、オルフェナドリン、塩化ベンゾアルコニウム、臭化チオトロピウム、GSK202405、上記のいずれかの個々の異性体または上記のいずれかの医薬的に許容し得る塩もしくは水和物または上の2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0033】
適切なコルチコステロイドにはモメタゾンフロエート;ベクロメタゾンジプロピオネート;ブデソニド;フルチカゾン;デキサメタゾン;フルニソリド;トリアムシノロン;(22R)−6.アルファ.,9.アルファ.−ジフルオロ−11.ベータ.,21−ジヒドロキシ−16.アルファ.,17.アルファ.−プロピルメチレンジオキシ−4−プレグネン−3,20−ジオン、チプレダン、GSK685698、GSK799943または上記のいずれかの医薬的に許容し得る塩もしくは水和物または上記の2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0034】
適切な長時間作用型ベータアゴニストにはカルモテロール、インダカテロール、TA−2005、サルメテロール、フォルモテロールまたは上記のいずれかの医薬的に許容し得る塩もしくは水和物または上記の2つ以上の組み合わせが含まれる。適切な短時間作用型ベータアゴニストにはアルブテロール、硫酸テルブタリン、ビトルテロールメシレート、レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、酢酸ピルブテロールまたは上記のいずれかの医薬的に許容し得る塩もしくは水和物または上記の2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0035】
適切なホスホジエステラーゼIV阻害剤にはシロミラスト、ロフルミラスト、テトミラスト、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン、上記のいずれかのエチルエステルまたは医薬的に許容し得る塩もしくは水和物または上記の2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0036】
本発明の特定の実施形態において、少なくとも1種類の活性医薬品はコルチコステロイド、例えば、モメタゾンフロエートを含む、モメタゾンフロエートは化学名9,21−ジクロロ−11(ベータ),17−ジヒドロキシ−16(アルファ)−メチルプレグナ−l,4−ジエン−3,20−ジオン17−(2フロエート)を有する抗炎症性コルチコステロイドである。抗炎症性コルチコステロイドは事実上水に不溶であり;メタノール、エタノールおよびイソプロパノールに僅かに可溶であり;アセトンおよびクロロホルムに可溶であり;ならびにテトラヒドロフランに制限なしに可溶である。オクタノールおよび水の間でのその分配係数は5000を上回る。モメタゾンは様々な水和、結晶および鏡像異性形態で、例えば、一水和物として存在し得る。
【0037】
これらの化合物の幾つかは、存在する場合、薬理学的に許容し得るエステル、塩、溶媒和物、例えば、水和物、またはそのようなエスエルもしくは塩の溶媒和物の形態で投与することができる。この用語はラセミ混合物に加えて1種類以上の光学異性体の両者を取りあげようとするものでもある。本発明による薬物は吸入可能なタンパク質またはペプチド、例えば、インスリン、インターフェロン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、顆粒球コロニー刺激因子等でもあり得る。本明細書で用いられる「薬物」は単一の薬理学的に活性の実体またはあらゆる2つ以上の組み合わせを指すものであり得、有用な組み合わせの一例はコルチコステロイドおよびβ−アゴニストの両者を含む投薬形態である。本発明による使用に好ましい活性医薬品はモメタゾンフロエートである。
【0038】
肺または上および/もしくは下気道において局所的に有効となるには、活性医薬品を約10μm以下の粒子として送達することが望ましい。Task Group on Lung Dynamics,Deposition and Retention Models For Internal Dosimetry of the Human Respiratory Tract,Health Phys.,12,173,1966を参照のこと。これらの治療上有効なサイズの粒子の自由粒子を実際に投与する投薬形態の能力は微粒子画分である。したがって、微粒子画分は、ある閾値を下回る粒子サイズを有する薬物の自由粒子として投与の最中に放出される、結合薬物粒子の割合の尺度である。微粒子画分はCopley Instruments(Nottingham)によって製造される多段階液体インピンジャを用い、製造者のプロトコルを用いて測定することができる。本発明によると、許容可能な微粒子画分は、毎分60リットルの流速での測定で6.8μmの空力学的粒子サイズを有する自由粒子として利用可能とされる、少なくとも10重量%の薬物である。
【0039】
投与される薬物の量は、患者の年齢、性別、体重、状態、薬物、治療の過程、1日あたりの投薬回数等を限定することなしに含む、幾つかの因子に従って変化する。モメタゾンフロエートについては、用量あたり、すなわち、吸入あたりに送達される薬物の量は、一般には、約10.0μg〜約10,000μgの範囲である。25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、250μg、300μg、400μgおよび/または500μgの用量が好ましい。
【0040】
本発明による固体結合剤は、前述の活性医薬品の粒子のサイズとおおよそ合致する粒子サイズで提供することができ、またはそのサイズまで減少させることができる、あらゆる物質であり得る。例えば、無水モメタゾンフロエートUSPの凝集体は、好ましくは、少なくとも80%の5μm以下の粒子および少なくとも95%の10μm以下の粒子(体積分布による測定)で提供される。固体結合剤、例えば、無水ラクトースNFは、少なくとも60%の5μm以下の粒子、少なくとも90%の10μm未満の粒子および少なくとも95%の20μm以下の粒子で提供される。平均粒子サイズは両者ともほぼ同じで、10μm未満である。
【0041】
適切な固体結合剤にはポリヒドロキシアルデヒド、ポリヒドロキシケトンおよびアミノ酸が含まれる。好ましいポリヒドロキシアルデヒドおよびポリヒドロキシケトンは、ラクトース、グルコース、フラクトース、ガラクトース、トレハロース、スクロース、マルトース、ラフィノース、マンニトール、メレジトース、デンプン、キシリトール、マンニトール、ミオイノシトール、それらの誘導体等を限定なしに含む、水和および無水糖類である。特に有用なアミノ酸にはグリシン、アラニン、ベタインおよびリジンが含まれる。
【0042】
パーセンテージは、その文脈が明瞭に他を示さない限り、重量基準で表される。本明細書または請求の範囲におけるあらゆる特定の薬物物質の言及は、基本薬物のみではなくその薬物の医薬的に許容し得る塩、エステル、水和物および他の形態をも包含しようとするものである。薬物の特定の塩または他の形態が挙げられる場合、他の塩または形態が代用され得ることが意図される。
【0043】
実施例
【0044】
材料および方法
【0045】
この研究において用いられるAPAはPDE−4(ホスホジエステラーゼ4)阻害剤のクラスに属する。無水ラクトースを配合物中で賦形剤として用いた。ラクトースはジェットミルを用いて2μmに近い平均粒子サイズまで微粉化した。
【0046】
APAの微粉化
【0047】
最初に、Quadroミル(Quadro Comil Co.、モデル197AS)を通過させることによってAPAに展開(delumping)プロセスを施した。quadro粉砕材料の一部はバッチ製造(バッチ3と呼ぶ)に用い、その一方で残りの材料(バッチ1および2)は続いてジェットミルマイクロナイザ(Jet Pulverizer Co.、micron master 4インチ)を表1に略記される異なる供給速度および圧力で用いて微粉化し、異なるAPA粒子サイズを生成した。微粉化の後、HELOS(商標)およびRODOS(商標)アタッチメントを備えるSympatec粒径分析器(Sympatec GmbH)を用いて粉末粒子サイズ分布を決定した。3つのAPAロットの各々についての粒子サイズの結果(Dv10、Dv50、Dv90)を表1に見出すことができる。
【0048】
【表1】

【0049】
バッチ製造
【0050】
各々が微粉化APAの3つのロット(バッチ1、2および3)のうちの1つおよび微粉化無水ラクトースを含む、3つのバッチを400gのバッチサイズで製造した。これらのバッチにおけるAPA濃度は14.7%w/wであった。微粉化ラクトースおよびAPAを2qtで一緒に配合する。(粘着、凝集および静電効果のために自由流動しない)微粉化粉末に高剪断を付与するため、V型ブレンダシェルにインテンシファイアバー(intensifier bar)を取り付けた。配合後、篩振盪器を用いて粉末を自由流動凝集体に配合し、500μmの平均軽および約0.35g/mlの嵩密度(3)を有する凝集体を生成する。処理パラメータ、例えば、配合時間、篩振盪器のスクリーンサイズ、凝集時間、硬化時間および条件は望ましい物理的特性を有する凝集体が生成するように制御する。これらの凝集体をSchering−PloughのTWISTHALER(登録商標)装置に充填する。
【0051】
凝集体のバルク物理的特徴
【0052】
バルク凝集体の物理的特徴を光学顕微鏡、SEM、圧入および粒子サイズ分布によって評価した。未処理凝集体および油性非溶媒内に分散させた凝集体の両者の光学顕微鏡写真を撮影し、表面形態およびAPA粒子形状を観察した。未処理または非分散凝集体は斜照明を備える実体顕微鏡の下で観察した。写真はデジタルカメラを用いて一連の倍率(40−100×)で撮影した。分散凝集体は偏光顕微鏡の下、100×の倍率で観察した。
【0053】
圧入技術(CSM Instruments、Needham、MA)を用いて凝集体を試験し、それらの硬度を定量化した。半径2mmの先端が平坦なパンチプローブを凝集体の圧入に用いた。用いた負荷および除荷速度は25.0mN/分であった。凝集体を平滑面におき、第1「破壊(fail)」点(圧入曲線において観察される第1力偏向点(point of force deflection))が観察されるまで平坦プローブによって徐々に破砕した。第1「破壊(fail)」点を凝集体の硬度の指標として用いた。
【0054】
バルク凝集体の粒子サイズ分布はGRADIS(重量分散)乾燥粉末分散器および振動フィーダを備えるSympatecレーザー回折粒子径分析器を用いて決定した。
【0055】
質量メジアン空力学的直径および放出用量均一性
【0056】
吸入器に対するアンダーセンカスケード解析をバッチ1、2および3について行った。合計で5台の個別の吸入器を試験した。ガラス製スロート、心出しDPI吸入器アダプタ、サンプル溶媒充填(10ml)予備分離器、7つのインパクタステージ(−1〜5)およびフィルタからなる改変アンダーセンカスケードインパクタ(ACI)装置を組み立て、連続流の下で毎分60リットルの吸入流速が保証されるように試験した。上記の順で列挙される7枚のプレートのカットオフ径は、それぞれ、8.6、6.5、4.4、3.3、2.0、1.1および0.54μmであった。0.54μm未満の粒子をフィルタで集めた。
【0057】
吸入器をACI内で2秒間作動させた。各段階で堆積したAPAに質量をHPLCによって決定した。HPLCは0.5%トリフルオロ酢酸を含有する40%アセトニトリルおよび60%水からなる移動相を1ml/分の流速で用いるアイソクラチック条件下で作動させた。カラムは40℃で温度制御し、検出は254nmのUVにより外部標準測定法によるものであった。この研究の微粒子画分は6.5μmの粒子サイズを下回る粒子のパーセンテージと定義される。
【0058】
合計で10台の個別の吸入器を放出用量について試験した。各吸入器から放出される用量を、ガラスフリットが装着され、およびガラス繊維フィルタを有する改良分液漏斗からなる装置内に集めた。試験実行あたり1回吸入の用量を集めた。用量は、USP手順の推奨により、流れ制御と直列の真空ラインを介して2秒間適用される60 l/分の気流速度で引いた。集めた用量をHPLCによって評価した。
【0059】
結果
【0060】
未処理凝集体および油性非溶媒内に分散させた凝集体の両者の光学顕微鏡写真を撮影した。これらの顕微鏡写真は、APAバッチ2で製造される未処理凝集体が平滑面を有し、形状が球状に見えることを明らかにする(図1A)。APAバッチ2から製造される凝集体は形状が球状性に劣り、棒様APA粒子が凝集体表面から突き出す領域を示す(図1B)。最後に、バッチ3APAバッチから製造される凝集体は凝集体から突き出す多くの棒様構造を含む凝集体を示し、他のバッチと比較して破損しているように思われる。分散凝集体の偏光顕微鏡写真はバッチ1における完全に微粉化したAPAの存在を裏付け(図2A)、その一方でバッチ2は長さが約10−50μmの棒様APAの幾らかの例が明らかにされた(図2B)。バッチ3はAPAの多くの棒様構造を示したが、これらの棒は長さが約20−100μmであった(図2C)。3つのバッチについての異なる倍率での凝集体のSEM写真が図3−5に提示される。これらの写真は、バッチ1が十分に分散した系であり、バッチ2がその内に幾らかの針状APA粒子の存在を有し、それに対してバッチ3がその内に幾つもの針状APA粒子を有することをさらに裏付ける。これらの顕微鏡結果は、最も厳しい微粉化条件(バッチ1)のAPAが、形状がより球形であり、およびサイズがより均一であるように思われる凝集体を生成することを示す。無作為の向きに組織化される棒様構造はラクトースおよびAPAが付着することができる接触点の数を制限し、おそらくはそれが付着力(adhesional forces)の低下につながることにより、凝集体の脆性の増加を生じ得る。
【0061】
【表2】

【0062】
表2は3つのバッチについてSympatecから得られたバルク凝集体粒子サイズ分布データを示す。バルク凝集体の平均粒子サイズと初期APA粒子サイズとの間に相関はないものと思われる。TW1STHALER(登録商標)装置を作動させることで気流に取り込まれた凝集体は装置内の蛇行路をたどり、この蛇行路はそれらが吸入器を出るときに望ましい粒子サイズ範囲に破壊されることを助ける。これは、輸送および取り扱いの最中に受ける応力を維持することができるが、吸入の間に望ましい粒子サイズレベルまで破壊され得る、特定の固有「硬度」を凝集体が有することを意味する。そのような凝集体の物理的特徴(例えば、硬度)を制御することはそのような生成物にとって重要であり得る。これらの凝集体の「硬度」を定量化するため、圧入技術を評価した。圧入曲線において観察される第1偏向点を凝集体が最初に破砕する力としてマークした。これを「第1破壊」値と呼んだ。この試験を3回実施することにより、1つのサンプル(バッチ3)で測定の反復性をチェックした。得られた第1破壊値は8.71、8.40および8.62mNであった。バッチ1およびバッチ2の第1破壊値は、それぞれ、13.90および9.67mNと見積もられた。したがって、圧入試県は、バッチ1からの凝集体が最も硬く、それに続いてバッチ2、次いでバッチ3であることを示した。これらの結果は光学顕微鏡およびSEM画像からの知見をさらに裏付ける。
【0063】
放出用量および空力学的粒子サイズ分布を用いて、装置内での配合物の性能を評価した。図6は放出用量試験から得られる個々の吸入器の結果を示す。これらの結果は3つのサンプルロットのすべてが放出用量均一性(EDU)のFDA指針を満たすことを示す。すべてのサンプルが、85−115%(n=10)の平均を有しながら、ラベルの主張の80−120%内の個別放出用量値を有していた。バッチ3でEDU値が一般により低く、およびより可変であることが観察されたものの、APA粒子サイズの変更で観察可能な傾向は存在しなかった。図7は、Sympatecによって測定されるAPA粒子サイズの関数としての、ACIによって得られる微粒子画分(この研究においては6.5μm未満)の依存性を示す。FPFは、微粒子範囲内の、回収される微粒子用量のパーセントと定義される。バッチ1およびバッチ2は両者とも、それぞれ、62%および52%の高FPFを有し、その一方でバッチ3は20%のより低いFPFを有していた。図8は、3つのAPA凝集体バッチの各々についての、TWISTHALER(登録商標)を出る薬物粒子の空力学的粒子サイズ分布を示す。ACIデータをMMAD(質量メジアン空力学的直径)、GSD(幾何標準偏差)と共に表3にまとめる。MMADは質量に基づく粒子のメジアン径と定義され、その空力学的飛行特性に影響を及ぼし得る密度および粒子形状のような物理的特性を説明する。粒子の空力学的直径は実際の粒子と同じ終末沈降速度を有する単位密度球状粒子と等価である。MMADは肺内の沈降部位を予測するのに用いられ、ACI試験を用いて得ることができる。APA粒子サイズが増加するに従い、Twisthalerを出る対応粒子のMMADも増加することが観察された。これはMMADが単にAPA粒子サイズの関数であることを意味するものではないことに注意するべきである。
【0064】
【表3】

【0065】
最も高い「硬度」値を示す凝集体バッチ(バッチ1)でより大きい微粒子画分が観察されたことに注目することは興味深く、それは最初は直感と相容れないものと思われ得る。これは、微粒子画分が完全には凝集体の硬度の関数ではなく、より強くそれに影響を及ぼす他の因子が存在することを意味する。第1に、(この研究において呼称される)凝集体硬度が(凝集体粒子サイズ、200−800μmのスケールの)顕微鏡的特性であり、それに対して微粒子画分は薬物と賦形剤との接着ならびにAPAおよび賦形剤粒子サイズスケール(この場合1−2μm)での薬物粒子間の凝集に関連することを指摘しなければならない。反比例関係は非常に驚くべきことであった。
【0066】
序章において考察されるように、凝集体の引張り強さ(σ)は以下によって得ることができる:
σ=15.6φR/D
【0067】
式中、ψは比質量偏差であり、Rは破壊仕事であり、Dは粒子径である。この等式は、凝集体の強度がAPA粒子サイズの減少および比質量偏差(より強い関数)の増加と共に増加することを示唆する。これは、より小さいAPA粒子サイズを有する場合に凝集体がより硬い(より高い引張り強さ)ことが見出される、圧入試験からの結果と一致する。加えて、図3は図4と比較したときのより小さいAPA粒子サイズでの多孔性の少ない充填を示し、それはより小さいAPA粒子サイズが最も強い凝集体を生成することに反映される。したがって、硬度の結果は上に提示される等式と一致する。しかしながら、これはACIから得られる微粒子画分とは直接には相関しない。
【0068】
結論
【0069】
この研究は凝集体ベースの乾燥粉末吸入器システムの性能に対するAPA粒子サイズの効果を決定するように設計された。APA粒子を3つの異なる粉砕条件で微粉化し、それらの微粉化APAおよび微粉化ラクトースから凝集体の形態で配合物を調製した。
【0070】
それらの結果は、ACIから得られる微粒子画分がSympatecによって測定されるAPA粒子サイズの増加に従って減少することを示す。圧入データは、最小APA粒子サイズで最強の凝集体が形成されることを示す。微粒子画分は凝集体の硬度とは直接関連しないことがわかった。
【0071】
前述の本発明の様々な実施形態の説明は本発明の様々な態様を代表するものであり、包括的であるか、または開示される厳密な形態に限定しようとするものではない。当業者には多くの変更および変化が心に浮かび得る。本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ十分に定義されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の活性医薬品および少なくとも1種類の賦形剤を含む凝集体であって;該少なくとも1種類の活性医薬品の少なくとも約90パーセントが約2μm未満の粒子サイズを有する凝集体。
【請求項2】
該少なくとも1種類の活性医薬品の少なくとも約50%が約1μm未満の粒子サイズを有する請求項1に記載の凝集体。
【請求項3】
該少なくとも1種類の賦形剤が結合剤である請求項1に記載の凝集体。
【請求項4】
該少なくとも1種類の賦形剤が無水ラクトースNFである請求項1に記載の凝集体。
【請求項5】
該凝集体の硬度が少なくとも9mNである請求項1に記載の凝集体。
【請求項6】
該凝集体の硬度が少なくとも13mNである請求項1に記載の凝集体。
【請求項7】
該乾燥粉末吸入器からの活性医薬品放出用量が約50%を上回る微粒子画分を有する請求項1に記載の凝集体。
【請求項8】
乾燥粉末吸入器からの少なくとも1種類の活性医薬品放出用量が約70%を上回る微粒子画分を有する請求項1に記載の凝集体。
【請求項9】
該少なくとも1種類の活性医薬品が抗コリン作動薬、コルチコステロイド、長時間作用型ベータアゴニスト、短時間作用型ベータアゴニスト、ホスホジエステラーゼ4阻害剤およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択される請求項1に記載の凝集体。
【請求項10】
少なくとも1種類の活性医薬品およびラクトースを含む凝集体であって;該少なくとも1種類の活性医薬品の少なくとも約90パーセントが約2μm未満の粒子サイズを有する凝集体。
【請求項11】
少なくとも1種類の活性医薬品および少なくとも1種類の賦形剤を含む凝集体であって;該少なくとも1種類の活性医薬品のうちの1つが、それが有する粒子の少なくとも約90パーセントが約2μm未満の粒子サイズを有し、および第2の活性医薬品が、それが有する粒子の約90パーセントが約2μm以上の粒子サイズを有する凝集体。
【請求項12】
少なくとも1種類の活性医薬品およびラクトースを含む凝集体であって;該少なくとも1種類の活性医薬品の少なくとも約90パーセントが約2μm未満の粒子サイズを有し、および少なくとも9mNの硬度を有する凝集体。
【請求項13】
乾燥粉末吸入器ならびに少なくとも1種類の活性医薬品および少なくとも1種類の賦形剤を含有する少なくとも1種類の凝集体を含む薬物製品であって;該少なくとも1種類の活性医薬品の少なくとも約90パーセントが約2μm未満の粒子サイズを有する薬物製品。
【請求項14】
少なくとも1種類の活性医薬品のうちの1つが2μm未満のDv90を有し、および該少なくとも1種類の活性医薬品のうちの第2のものが2μmを上回るDv90を有する請求項13の薬物製品。
【請求項15】
該凝集体の硬度が少なくとも9mNである請求項13の凝集体。
【請求項16】
該凝集体の硬度が少なくとも13mNである請求項13の凝集体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−524817(P2012−524817A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507428(P2012−507428)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/032228
【国際公開番号】WO2010/124203
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】